説明

建築用パネル及び建築用パネルの下地材への取付構造

【課題】隣接する他の建築用パネルとの接続部分が、シンプルな形状となった建築用パネルを提供する。
【解決手段】本発明は、表面板2と裏面板3との間に芯材4が充填された建築用パネル1である。前記表面板2は、略矩形状の本体部21と、この本体部21の外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22と、この側面部22の先端から外側方に向けて突出した突出部23とを備えている。前記裏面板3は平板状に形成されている。前記表面板2の突出部23に前記裏面板3の外縁部が重合され、前記裏面板3と前記表面板2の前記本体部21と前記側面部22とに囲まれた部分に前記芯材4が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載の建築用パネルは、表面板と、裏面板と、この表面板と裏面板との間に充填された芯材とを備えている。この種の建築用パネルは、幅方向の一方の端部に嵌合凸部が形成され、他方の端部に嵌合凹部が形成されている。この建築用パネルは、幅方向に隣接する他の建築用パネルに対し、嵌合凸部と嵌合凹部とが嵌合することで連結される。
【0004】
この嵌合凸部及び嵌合凹部は、その形状を形成するために、表面板及び裏面板の端部を曲げたり折り返したりして複雑な成形を行い、その曲げられた端部同士を対向させることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−247656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように特許文献1の建築用パネルは、隣接する他の建築用パネルに対して接続するには、嵌合凹部と嵌合凸部とが必要である。ところが、この嵌合凹部及び嵌合凸部は、上述のように、表面板及び裏面板の両端部を複雑に曲げ加工することで形成されているため、加工に手間が掛かり、この結果、製造コストを抑えにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、隣接する他の建築用パネルとの接続部分が、シンプルな形状となった建築用パネル及び建築用パネルの下地材への取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルであって、前記表面板は、略矩形状の本体部と、この本体部の外縁から芯材側に向けて突設された側面部と、この側面部の先端から外側方に向けて突出した突出部とを備え、前記裏面板は平板状に形成されており、前記表面板の突出部に前記裏面板の外縁部が重合され、前記裏面板と前記表面板の前記本体部と前記側面部とに囲まれた部分に前記芯材が充填されていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記建築用パネルの下地材への取付構造であって、少なくとも一対の前記建築用パネルが、前記下地材の前方で前記突出部同士を上下又は左右に並べるようにして隣接配置され、隣接する建築用パネルの間において対向する前記側面部間に取付部材が配置され、前記取付部材に固着具を打入することで、前記隣り合う突出部が前記取付部材と下地材との間で挟持されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記建築用パネルの下地材への取付構造であって、少なくとも一対の前記建築用パネルが、前記下地材の前方で前記突出部同士を前後に重ねるようにして隣接配置され、隣接する建築用パネルの間において対向する前記側面部間に取付部材が配置され、前記取付部材に固着具を打入することで、前記突出部が取付部材と下地材との間で挟持されていることを特徴とする。
【0011】
またこの建築用パネルの下地材への取付構造において、前記取付部材が、建築用パネルの本体部を前方から押さえる押さえ片を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建築用パネルによれば、隣接する他の建築用パネルとの接続部分を、シンプルな形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1の建築用パネルの斜視図である。
【図2】実施形態1の建築用パネルの断面図である。
【図3】(a)は芯材の変形例を示す斜視図であり、(b)はさらに他の芯材の変形例を示す斜視図である。
【図4】実施形態1の建築用パネルの取付状態を示す分解斜視図である。
【図5】実施形態1の建築用パネルの取付状態を示す要部断面図である。
【図6】実施形態1の建築用パネルの配置図である。
【図7】実施形態2の建築用パネルの図であり(a)は斜視図(b)は要部断面図である。
【図8】実施形態3の建築用パネルの斜視図である。
【図9】実施形態4の建築用パネルの取付構造を示す要部断面図である。
【図10】実施形態5の建築用パネルの取付構造を示す要部断面図である。
【図11】実施形態5の変形例を示す要部断面図である。
【図12】(a)は実施形態6の建築用パネルの取付構造を示す図であり(b)(c)はその他の例の取付構造を示す図である。
【図13】(a)(b)(c)は、実施形態2の建築用パネルの取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、図1において矢印Aで示す方向を幅方向とし、この幅方向に直角で且つパネルに沿った方向Bを長さ方向と定義し、厚み方向Cを前後方向と定義する。
【0015】
実施形態1の建築用パネル1は、建物の外壁材として用いられる。本実施形態の建築用パネル1は、主に、横張り用の建築用パネル1として用いられるが、設置箇所に応じて90°回転され、縦張り用の建築用パネル1としても使用される。
【0016】
なお、本実施形態の建築用パネル1は、外壁材としてだけでなく、内壁材や屋根材や天井材として用いられてもよい。
【0017】
本実施形態の建築用パネル1は、図2に示されるように、第1の金属外皮により構成された表面板2と、表面板2に対向配置されると共に第2の金属外皮により構成された裏面板3と、この表面板2と裏面板3との間に配設された芯材4とを備えている。本実施形態の建築用パネル1は、正面視矩形状のサンドイッチパネルにより構成されている。
【0018】
表面板2及び裏面板3は、例えば厚み0.27〜0.8mm程度の金属板により形成される。この表面板2及び裏面板3の母材となる金属板は、亜鉛めっき鋼板や塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板等により構成される。
【0019】
表面板2は、図1に示されるように、主体を構成する平面視略矩形状の本体部21と、この本体部21の外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22と、この側面部22の芯材4側の突出端縁から外側方に向けて突出した突出部23とを備えている。表面板2は、この本体部21及び側面部22及び突出部23が、プレス加工,ベンダー加工等といった曲げ加工を施すことにより一体に成形されている。
【0020】
本体部21は、その前面が化粧面210を構成している。本体部21は、建築用パネル1が外壁材として使用される場合、建物の外壁面を構成する。本体部21は、平面視略矩形状(正方形形状を含む)をしており、その化粧面210が平坦面となっている。
【0021】
なお化粧面210としては、例えば、断面波形のリブ形状を全面に亘って施してもよいし、部分的にエンボス加工を施してもよいし、また各種の色を塗装してもよい。また、鏡面加工を施してもよいし、シボ加工を施してもよい。
【0022】
側面部22は、矩形状の金属板の外周縁部を芯材4側に曲げ加工することで形成されている。本実施形態の側面部22は、矩形状の本体部21の四辺の各外縁から芯材4側に屈曲することで形成されている。各側面部22は、本体部21に連続しており、本体部21との境界においては溶接により接続されたような継ぎ目が存在しない。しかも各側面部22同士は、図1に示されるように、周方向に一体となっている。これにより、側面部22及び本体部21により形成される角部24は、本体部21及び側面部22が連続して滑らかに形成されている。
【0023】
突出部23は、図1,2に示されるように、側面部22における芯材4側の端縁部を、外側に向けて且つ本体部21と略平行するよう曲げ加工することで形成されている。言い換えると突出部23は、側面部22の芯材4側の端縁から外側方に向けて屈曲形成されている。そのため各突出部23は、側面部22に連続しており、側面部22との境界においては溶接により接続されたような継ぎ目が存在しない。なお、突出部23同士でなすコーナー部分(各突出部23の長手方向の両端部分)には、図1に示されるように、第1の切欠部25が設けられており、これにより、各突出部23同士は周方向に連続せずに独立している。
【0024】
裏面板3は、図2に示されるように、略矩形状をした平板により形成されている。裏面板3は、その外縁の形状が、表面板2の突出部23の外縁の形状と略一致している。裏面板3は、表面板2の裏側に配置されており、その外縁部が、表面板2の各突出部23に重合するようにして取り付けられる。具体的に裏面板3は、表面板2の各突出部23に、溶接による接合や接着剤による接着を行なうことにより、固着されて積層一体化される。本実施形態の裏面板3は、図3に示されるように、表面板2の四隅部の各第1の切欠部25に対応するようにして、第2の切欠部31が設けられている。
【0025】
芯材4は、表面板2と裏面板3との間に充填される。具体的に芯材4は、図2に示されるように、突出部23に裏面板3を重ね合わせた状態で、裏面板3と、表面板2の本体部21と側面部22とに囲まれた収容空間内に配置される。
【0026】
芯材4は、例えば、ロックウールやグラスウールなどの無機質断熱材や、ウレタンフォーム・スチレンフォーム・フェノールフォーム・ポリイソシアヌレートフォーム等の合成樹脂発泡体からなる断熱材や、石膏ボード・ケイ酸カルシウム板・水酸化アルミニウム板等の無機質板などが用いられる。また、ペンタンからなる発泡剤により構成されたフロン不使用の発泡断熱材を用いてもよい。芯材4としては、これら複数種類を組み合わせて形成してもよいし、どれか一つだけを用いてもよい。
【0027】
あるいは芯材4は、図3(a)(b)に示されるような、ハニカム構造体41により構成されていてもよい。ハニカム構造体41は、断面角型あるいは断面円形の貫通孔42が敷き詰められた構造体である。ハニカム構造体41は、紙,ダンボール,プラスチック,アルミニウム等により構成される。ハニカム構造体41は、各貫通孔42が断面六角形状のものに限定されない。例えば図3(b)のように、ダンボールの断面のように波形隔壁により形成されたものであってもよい。また、ハニカム構造体41は、図3(a)のように、貫通孔42の連通方向が、表面板2及び裏面板3に直角な方向に向くよう配置されてもよい。あるいは、図3(b)のように、貫通孔42の連通方向が、サンドイッチパネル1の長さ方向と平行になるよう配置されていてもよいし、特に図示しないが、幅方向と平行になるよう配置されてもよい。
【0028】
芯材4がハニカム構造体41により構成されると、軽量化が図れると共に安価に製造可能である。
【0029】
このような構成部材を有する本実施形態の建築用パネル1は、図1に示されるような形状に組み立てられる。組み立てられた状態の建築用パネル1は、主体を構成する平面視略矩形状のパネル主体部11と、このパネル主体部11の外周縁に設けられた接続部12とを備えている。本実施形態の接続部12は、パネル主体部11の厚み方向の裏側の端部から側方に向けて突出しており、当該パネル主体部11の外周の略全周に亘って設けられている。パネル主体部11は、表面板2の本体部21及び側面部22と、裏面板3の外縁部を除く部分(言い換えると、裏面板3の中央部分)と、芯材4とにより構成されている。また接続部12は、表面板2の突出部23と、突出部23に重合された裏面板3の外縁部とにより構成されている。
【0030】
本実施形態の建築用パネル1は、図4に示されるように取り付けられる。以下、施工者が本実施形態の建築用パネル1を取り付けて、外壁を構成する場合につき説明する。
【0031】
本実施形態の建築用パネル1は、下地材5の前方に配設される。本実施形態の下地材5は、水平方向に所定のピッチで離設された複数の縦胴縁50により構成されている。縦胴縁50は、図4に示されるように、例えば角柱により構成されており、床スラブ(図示せず)上に立設される。なお、縦胴縁50は、木造でもよいし、鉄骨造でもよい。鉄骨造の場合は、角パイプ,リップ付き溝型鋼,L型アングル材等種々の鉄骨材が用いられる。なお必要に応じ、図4中の角柱で表される縦胴縁5の間に位置する縦胴縁5を、中間胴縁52として区別して説明する。
【0032】
施工者は、この縦胴縁50に本実施形態の建築用パネル1を取り付ける。施工者は、図5に示されるように、建築用パネル1の接続部12同士を、縦胴縁50の前方で重ね合わせるようにして、建築用パネル1を隣接配置する。このとき本実施形態において、接続部12は、縦胴縁50の取付面51に直接当接しているが、別の部材を介して縦胴縁50の取付面51に固定されてもよい。
【0033】
この状態で、施工者は、接続部12の前方から断面ハット状の取付部材6を配置する。取付部材6は、断面略コ字状に形成された凹溝部61と、この凹溝部61の前端縁から外方に向けて連設された押さえ片62とを備えている。
【0034】
凹溝部61は、一方向に長く形成されており、長手方向の略全長に亘って一様な断面形状となっている。本実施形態の凹溝部61は、図4に示されるように、並設された複数の建築用パネル1の上下方向の一方の端部から他方の端部の略全長に亘って設けられている。凹溝部61は、図5に示されるように、その対向する一対の側壁63が、建築用パネル1の側面部22に当接又は近接対向するよう配置される。また凹溝部61は、両側壁63間に位置する奥壁部64が、接続部12に当接するよう配置される。凹溝部61の奥壁部64は、図5に示されるように、固着具8が打入される。
【0035】
なおここで用いられる固着具8は、ねじ具でもよいし、釘でもよい。したがってここで言う「打入」とは、ハンマーなどで打ち込むことだけでなく、ドライバーなどでねじ込むことも含むこととする。
【0036】
押さえ片62は、建築用パネル1の本体部21を前方から押さえるためのものである。押さえ片62は、凹溝部61の開放側の端縁から外方に向けて連設される。押さえ片62は、図5に示されるように、建築用パネル1の本体部21の外縁部に当接又は近接対向するようにして配置される。言い換えると押さえ片62は、建築用パネルの側面部22を前方から押圧する。これにより押さえ片62は、側面部22に対して力を付与したとしても、その力が側面部22に対して圧縮方向への力となる。したがって本実施形態において、仮に押さえ片62が建築用パネル1に圧接されたとしても、建築用パネルが変形し難いようになっている。
【0037】
なお押さえ片62は、建築用パネル1の本体部21の外縁部に圧接して、建築用パネル1を後方に押さえ付けるものであってもよいし、僅かな隙間を介して配置されて、建築用パネル1の倒れ止めとして働くものであってもよい。
【0038】
この取付部材6は、図5に示されるように、隣接する建築用パネル1の間において対向する側面部22間に配置される。本実施形態の取付部材6は、図4に示されるように、上下方向に長く形成されている。このため取付部材6は、上下方向に並設された複数の建築用パネル1に跨って設置される(以下、本実施形態において、上下方向に長い取付部材6を第1の取付部材65という)。このように建築用パネル1と取付部材6とが配置された後、施工者は、取付部材6の前方から凹溝部61の奥壁部64に向けて固着具8を打入する。固着具8は、凹溝部61の長手方向に沿って所定のピッチで複数箇所に打入される。
【0039】
すると固着具8は、図5に示されるように、取付部材6の奥壁部64・隣接する建築用パネル1のうちの一方の建築用パネル1の接続部12・他方の建築用パネル1の接続部12・縦胴縁50の順に貫通する。このとき重なり合った接続部12(言い換えると突出部23)は、取付部材6と縦胴縁50との間で挟持され固定される。
【0040】
この後、建築用パネル1の本体部21の長さ方向の寸法と略同寸法に形成された取付部材6(以下、この取付部材6を第2の取付部材66という)を、その長手方向が水平方向に平行となるようにして、縦胴縁50間に順次設置する。
【0041】
なお第2の取付部材66の後方には中間胴縁52が配置されているため、第2の取付部材66と中間胴縁52との間に接続部12が挟持されることで、建築用パネル1の長さ方向の両辺が固定される。
【0042】
このとき、一の建築用パネル1において、幅方向両側に位置する接続部12の長手方向両端と、長さ方向両側に位置する接続部12の長手方向両端とに位置する各コーナー部分には切欠部(表面板2の第1の切欠部25と裏面板の第2の切欠部35)が設けられる。建築用パネル1が長さ方向及び幅方向に並設されても、この切欠部25,35は重なり合うため、前後に貫通してしまう。このため、本実施形態の取付構造では、建築用パネル1を複数配置した後、取付部材6を取り付ける前に、図4に示されるような、平面視十字状の閉塞体7が取り付けられる。この閉塞体7は、例えばゴム板により形成され、切欠部25,35を覆うよう水密的に装着される。言い換えると閉塞体7は、建築用パネル1と取付部材6との間に介装される。
【0043】
以上のようにして、長さ方向及び幅方向に順に建築用パネル1を取り付ける。以下の説明においては、設置された建築用パネル1のうち、図6中の中央の建築用パネルを第1のパネル90とし、第1のパネル90の幅方向の一方側に隣接配置される建築用パネル1を第2のパネル91、他方側に隣接配置される建築用パネル1を第3のパネル92とする。また、第1のパネル90の長さ方向の一方側に隣接配置される建築用パネル1を第4のパネル93、他方側に隣接配置される建築用パネル1を第5のパネル94とする。
【0044】
第1のパネル90は、第2のパネル91及び第3のパネル92に対し、次のような関係となるよう配置されている。第1のパネル90における第2のパネル91側の接続部12は、第2のパネル91の接続部12の前面に当接する。また、第1のパネル90における第3のパネル92側の接続部12は、第3のパネルの接続部12の後面に当接する。
【0045】
さらに第1のパネル90は、第4のパネル93及び第5のパネル94に対し、次のような関係となるよう配置されている。第1のパネル90における第4のパネル93側の接続部12は、第4のパネル93の接続部12の前面に当接する。また、第1のパネル90における第5のパネル94側の接続部12は、第5のパネル94の接続部12の後面に当接する。
【0046】
このような関係となるよう配置された建築用パネル1は、上下左右に同じようにして順次設置される。これにより建物の外壁面が形成される。
【0047】
本実施形態の建築用パネル1は、隣接する建築用パネル1との接続に用いられる接続部12が、表面板2の側面部22の端縁を屈曲した突出部23により構成されているため、従来の嵌合構造よりも単純な構造となっている。このため本実施形態の建築用パネル1は、容易に製造することができるようになり、製造コストを低減することができる。
【0048】
また、本実施形態の建築用パネル1は、凹凸嵌合による接続ではなく、接続部12が重ね合わせられて設置されるものであるため、複数の建築用パネル1を設置した後であっても、一つだけの建築用パネルを取り外すことが容易にできる。これにより作業者は、補修作業が効率よくできる。
【0049】
次に、実施形態2について図7に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0050】
実施形態2の建築用パネルは、実施形態1の建築用パネルとは異なり、パネル主体部11から突出した接続部12が、パネル主体部11の幅方向の両端に設けられており、長さ方向の両端には設けられていない。
【0051】
本実施形態の建築用パネル1の表面板2は、略矩形状の本体部21と、この本体部21の四辺の各外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22と、四辺の側面部22のうちパネル幅方向両端の側面部22の突出端縁から外側方に向けて突出した突出部23とを備えている。この建築用パネル1の芯材4は、表面板2の本体部21及び側面部22と、裏面板3とに囲まれた部分に充填されている。
【0052】
建築用パネル1の長さ方向両端の側面部22は、図7(b)に示されるように、表面板2の側面部22の端縁と、裏面板3の端縁とが離間するよう構成されている。
【0053】
本実施形態の建築用パネル1の取付構造につき説明する。
【0054】
建築用パネルの幅方向両端の側面部は、接続部12が設けられている。建築用パネル1は、実施形態1と同様、接続部12が、下地材5と断面ハット状の取付部材6との間に挟持されて、これにより下地材5に取り付けられる。
【0055】
建築用パネル1の長さ方向の両端の施工は、図13(a)〜(c)に示されるようないくつかの方法が挙げられる。
【0056】
図13(a)に示される例は、建築用パネル1の長さ方向の端部同士が対向するよう隣接する建築用パネル1が配置される。この対向する端部間は、下地材5の前面に位置するようにして配置される。このようにして、建築用パネル1の長さ方向の端部と下地材5の前面とで、シール材82を充填するための凹所81が形成される。そして、この凹所81内にシール材82が充填される。
【0057】
図13(b)に示される例は、建築用パネル1の長さ方向の両端同士が対向するよう隣接する建築用パネル1が配置される。この対向する端部間は、下地材5の前面に位置するようにして配置される。この対向する端部間と下地材5の前面とでなす部分に、断面ハット状のカバー材83が嵌め込まれる。
【0058】
このカバー材83は、断面略コ字状の挿入部831と、挿入部831の前端から外方に向けて突設されたフランジ部832とを備える。カバー材83は、挿入部831が、建築用パネル1の対向する端部間に挿入され、フランジ部832が、建築用パネル1の表面板2に当接するようにして配置される。この状態でカバー材83は、挿入部831の前方から固着具8が打入され、これにより下地材5に固定される。この後、挿入部831の前方からシール材82が充填される。
【0059】
図13(c)に示される例は、建築用パネル1の長さ方向の両端同士が対向するよう隣接する建築用パネル1が配置される。この対向する端部間は、下地材5の前面に位置するようにして配置される。建築用パネル1の長さ方向の端部は、固定用部材84により、下地材5に固定されている。
【0060】
固定用部材84は、下地材5に固定される第1の固定部85と、第1の固定部85に着脱自在に取り付けられる第2の固定部86とを備えている。第1の固定部85は、建築用パネル1の背面側に位置すると共に下地材5の前面に配置固定される取付片851と、この取付片851から前方に突設された装着部852とを有している。装着部852は、前方に開口している。装着部852は、建築用パネル1の長さ方向の端部同士の間に配置される。装着部852は、その開口内に、第2の固定部86を保持するための係止部853が設けられている。
【0061】
第2の固定部86は、建築用パネル1の表面板2に当接するつば状部861と、つば状部861から後方に向けて突設された被装着部862とを備えている。被装着部862は、装着部852の開口内に挿入されて着脱自在に取り付けられる。被装着部862は、装着部852の係止部853に係合する被係止部863を有している。
【0062】
固定用部材84は、建築用パネル1の長さ方向の両端部を下地材5に固定する。固定用部材84は、下地材5に第1の固定部85の取付片851が固定された状態で、建築用パネル1が配置され、その後第2の固定部86が第1の固定部85に装着されることで、建築用パネル1を固定する。
【0063】
このような構成の建築用パネル1も、実施形態1と同様に、取り付ける際には接続部12を用いることができる。つまり嵌合構造が必要とはならないため、形状をシンプルな形状とすることができ、製造が容易となる。
【0064】
次に実施形態3について図8に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0065】
実施形態3の建築用パネルは、実施形態2と同様、パネル主体部11から突出した接続部12が、パネル主体部11の幅方向の両端に設けられており、長さ方向の両端には設けられていない点で実施形態1とは異なっている。なお本実施形態の建築用パネル1は、パネルの長さ方向の両端に位置する側面部22と接続部12との両方が設けられていない点で、実施形態2の建築用パネル1とは異なっている。
【0066】
本実施形態の建築用パネル1の表面板2は、略矩形状の本体部21と、この本体部21の幅方向両端の各外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22と、この側面部22の突出端縁から外側方に向けて突出した突出部23とを備えている。この建築用パネル1の芯材4は、表面板2の本体部21及び側面部22と、裏面板3とに囲まれた部分に充填されている。
【0067】
このような構成の建築用パネル1は、長さ方向に平行な辺が、実施形態1の取付構造と同様にして取り付けられ、長さ方向に直角な辺が、実施形態2の短辺方向の取付構造(図13(a)(b)(c)参照)と同様にして取り付けられる。
【0068】
このような構成の建築用パネル1も、実施形態1,2と同様に、接続部12を用いて取り付けることができる。すなわち嵌合構造が必要とはならないため、形状をシンプルな形状とすることができ、製造が容易となる。
【0069】
次に実施形態4について図9に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0070】
実施形態4の建築用パネルは、実施形態1の建築用パネルと同じ構造であるが、その取付構造が異なっている。本実施形態の取付構造は、実施形態1〜3の取付構造において用いられた取付部材6とは、異なる取付部材67が用いられる。すなわち取付部材67は、図9に示されるように、凹溝部61の奥壁部64の外底面の幅寸法が、建築用パネル1の接続部12の突出長さの2倍程度の長さとなるよう形成されている。
【0071】
本実施形態の取付構造は、少なくとも一対の前記建築用パネル1が、下地材5の前方で突出部23同士が上下又は左右に並ぶようにして配置されている。言い換えると突出部23は、下地材5の前面の同一平面上で隣接配置される。
【0072】
施工者は、下地材5の前方で突出部23同士が隣接配置された状態で、建築用パネル1同士の間において対向する側面部22間に、取付部材67を配置する。そして、実施形態1〜3と同様にして、取付部材67の奥壁部64に固着具8を打入する。これにより、隣り合う突出部23同士が、取付部材67と下地材5との間で挟持される。
【0073】
また、取付部材6の押さえ片62は、建築用パネル1の本体部21の前面に当接又は近接対向している。本実施形態の押さえ片62は、本体部21に圧接しており、建築用パネル1を下地材5側に押し付けている。
【0074】
本実施形態の取付構造は、隣接する建築用パネル1が、接続部12同士が重合しない状態で固定されているため、独立して着脱ができる。このため本実施形態の取付構造は、設置後に一枚の建築用パネル1だけを取り外して、新しい建築用パネル1に交換することが容易となり、メンテナンス性に優れたものとなる。
【0075】
なお、本実施形態の取付構造は、実施形態2や実施形態3の建築用パネル1に対しても適用可能である。
【0076】
次に実施形態5について図10に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0077】
実施形態5の建築用パネル1の取付構造は、取付部材68が、実施形態1〜4のものとは異なり、帯状の平板からなる金属材により構成されている。なお、その他の構造は同じである。本実施形態の建築用パネル1は、実施形態1の建築用パネル1と同じ構造のものである。
【0078】
取付部材68は、前後に重合された突出部23の前方に配置される。取付部材68は、突出部23の前方に配置された状態で、前方から固着具8が打入される。これにより、突出部23を下地材5との間で挟持して固定する。
【0079】
なお、図11に示すように、隣接する建築用パネル1の突出部23同士を、実施形態4のように上下又は左右に隣接配置して、この突出部23の前方に平板状の取付部材68を配置し、この状態で固着具8を打入してもよい。
【0080】
なお、本取付構造に使用される建築用パネル1は、実施形態2,3の建築用パネルのいずれであっても適用することができる。
【0081】
次に実施形態6について図12に基づいて説明する。
【0082】
本実施形態の建築用パネル1の取付構造は、実施形態1の建築用パネルと同じ建築用パネル1が用いられる。本実施形態の建築用パネル1の取付構造は、実施形態1〜5の取付構造とは異なり、取付部材6,67,68を使用せずに、建築用パネル1が取り付けられる。
【0083】
本実施形態の建築用パネル1の取付構造は、図12(a)に示されるように、一対の建築用パネル1が、下地材5の前方で接続部12同士を前後に重ねるようにして隣接配置され、この接続部12の前方から固着具8が打入される。その後、建築用パネル1の対向間に形成された凹所にシール材82が充填される。
【0084】
なお本実施形態の取付構造は、図12(b)に示されるように、シール材82に替えて、板状の定形パッキン71が配設されてもよい。この定形パッキン71は、建築用パネル1の対向間の隙間に嵌め込むようにして取り付けられる。
【0085】
また本実施形態の取付構造は、シール材82が建築用パネル1の対向間に形成された凹所に充填されていたが、図12(c)に示されるように、シール材82や定形パッキン71を配設しなくてもよい。言い換えると、目地部において固着具8が露出していてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 建築用パネル
11 パネル主体部
12 接続部
2 表面板
21 本体部
210 化粧面
22 側面部
23 突出部
24 コーナー部分
240 角部
25 切欠部
3 裏面板
31 本体部
4 芯材
5 縦胴縁
51 取付面
6 取付部材
61 パネル取付部
62 固定部
63 取付部材
64 パネル取付部
65 固定プレート
7 閉塞体
8 固着具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルであって、
前記表面板は、
略矩形状の本体部と、
この本体部の外縁から芯材側に向けて突設された側面部と、
この側面部の先端から外側方に向けて突出した突出部と
を備え、
前記裏面板は平板状に形成されており、
前記表面板の突出部に前記裏面板の外縁部が重合され、前記裏面板と前記表面板の前記本体部と前記側面部とに囲まれた部分に前記芯材が充填されている
ことを特徴とする建築用パネル。
【請求項2】
請求項1記載の建築用パネルの下地材への取付構造であって、
少なくとも一対の前記建築用パネルは、前記下地材の前方で前記突出部同士が上下又は左右に並ぶようにして隣接配置され、
隣接する建築用パネルの間において対向する前記側面部間に取付部材が配置され、
前記取付部材に固着具を打入することで、前記隣り合う突出部が前記取付部材と下地材との間で挟持されている
ことを特徴とする
建築用パネルの下地材への取付構造。
【請求項3】
請求項1記載の建築用パネルの下地材への取付構造であって、
少なくとも一対の前記建築用パネルが、前記下地材の前方で前記突出部同士を前後に重ねるようにして隣接配置され、
隣接する建築用パネルの間において対向する前記側面部間に取付部材が配置され、
前記取付部材に固着具を打入することで、前記突出部が取付部材と下地材との間で挟持されている
ことを特徴とする
建築用パネルの下地材への取付構造。
【請求項4】
前記取付部材が、建築用パネルの本体部を前方から押さえる押さえ片を有している
ことを特徴とする
請求項2又は請求項3のいずれかに記載の建築用パネルの下地材への取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−96057(P2013−96057A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236453(P2011−236453)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】