説明

建築用膜用途に用いられる吹き付け可能な接着剤組成物

吹き付け可能な接着剤組成物はシリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサン、又はこれらの反応生成物、並びに充填材及び溶媒を含む。シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンは58%〜64%の範囲の樹脂/ポリマー比をもたらす量で存在する。吹き付け可能な接着剤組成物は周囲温度で下塗り又は他の表面処理なしで低表面エネルギー基材に塗布することができる。吹き付け可能な接着剤組成物及びその接着剤生成物は建築ラップのようなウェザーバリア用途において有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
省エネルギーの傾向は商業建築基準にウェザーバリアを組み込む変更を促した。本出願の目的のため、「ウェザーバリア」の語は空気若しくは蒸気(例えば、水)、又は両方の通過を抑制又は低減する基材を意味する。これらのウェザーバリアの多くはポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標))、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリオレフィン(例えばDuPontのTYVEK(登録商標))、又は他の低表面エネルギー有機基材である。例えば、ウェザーバリアは野地板及び外部羽目板を覆い、建築物への空気の浸透及び水の侵入に抵抗することができる。効果を向上させるため、ウェザーバリアシステムは連続的であることが望ましい、すなわち、ウェザーバリアを窓要素に接着するためシール材が用いられる。
【0002】
従来のシール材には問題がある。従来のシール材は一般的にはポリエチレン及び他の低表面エネルギー基材との接着不良を示す。それらは接着性を得るため下塗り又は他の表面処理(例えばコロナ処理)を要し得、表面処理はウェザーバリアを取り付けるプロセスに労働集約性及び追加費用を加算する。従来のシール材は、例えば熱膨張中、継ぎ部の動作を可能にするほど十分には柔軟でないことがあり得る。
【0003】
建築物の所有者、建築請負業者、建築家及びコンサルタントは、ウェザーバリアと建築基材、例えば窓基材との接着をもたらし、連続的、頑強なウェザーバリアシステムを形成するプライマーレスの柔軟なシール材を望んでいる。これは漏風を低減し、低エネルギー費用をもたらし、新エネルギー建築基準を満たす。現在存在する解決方法は下塗りを用い、基材間の動作が可能な頑強な接着は提供しない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は吹き付け可能な接着剤組成物並びにその調製及び使用方法に関する。吹き付け可能な接着剤組成物はウェザーバリア用途のような建築用途において有用である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
すべての量、比、及び割合はとくに指示のない限り重量による。以下は本明細書において用いる定義のリストである。
【0006】
用語の定義及び使用法
本出願の目的のため、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、とくに指示のない限り、それぞれ1つ以上を指す。「低表面エネルギー」の語は45mJ/m未満、あるいは40mJ/m未満、あるいは35mJ/m未満の表面エネルギーを有することを意味する。本明細書に記載する方法において有用なこうした低表面エネルギー基材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。重量平均及び数平均分子量値はASTM D5296−05に従って測定され、ポリスチレン分子量当量として計算された。すべての粘度値はとくに指示のない限り25Cで測定された。とくに指示のない限り、運動粘度(cSt)は目盛り付き粘度管において流動速度により測定され、動的粘度(mPa.s)はコーンプレートスピンドルを有するBrookfield(登録商標)HB DV−II+PRO装置を5rpmの速度で用いて測定された。
【0007】
吹き付け可能な接着剤組成物
吹き付け可能な接着剤組成物は
I) 材料a)及びb)の混合物、反応生成物、及びこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のシリコーン樹脂のオルガノポリシロキサンに対する比(R/P比)をもたらす量で添加される、成分、
II) 充填剤、
III) 溶媒、
任意で
IV) シラン架橋剤、並びに
任意で
V) 触媒
を含む。
【0008】
吹き付け可能な接着剤組成物は固化して接着剤生成物を形成する。吹き付け可能な接着剤組成物は硬化性又は非硬化性であってもよい。例えば、吹き付け可能な接着剤組成物が硬化性である場合、吹き付け可能な接着剤組成物は材料I)、V)、II)、III)、及び任意でIV)を含むことができ、硬化により固化して接着剤生成物を形成することができる。あるいは、吹き付け可能な接着剤組成物は非硬化性であってもよく、材料I)、II)、III)、及び任意でIV)を含むことができ、冷却、溶媒除去、又はこれらの組み合わせにより固化して接着剤生成物を形成することができる。
【0009】
シリコーン樹脂
本発明において有用なシリコーン樹脂はRSiO1/2で表される単官能性単位及びSiO4/2で表される四官能性単位を含有する。Rは置換又は非置換一価炭化水素基を表す。このタイプのシリコーン樹脂は当技術分野において感圧接着剤として用いられるオルガノシロキサン組成物中に存在する材料の1つとして周知である。
【0010】
シリコーン樹脂は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン等のような液体炭化水素中に又は低粘度環状及び線状ポリジオルガノシロキサンのような液体有機ケイ素化合物中に可溶性である。例としては以下に記載する溶媒が挙げられる。
【0011】
SiO1/2単位中、Rは最大20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子を含有する一価炭化水素基であってもよい。Rに適した炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシルのようなアルキル基;ビニル、アリル及び5−ヘキシルのようなアルケニル基;シクロへキシル及びシクロへキセニルエチルのような脂環式基;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルのようなアリール基が挙げられる。R上に存在することができる非反応性置換基としては、ハロゲン及びシアノが挙げられるが、これらに限定されない。Rで表すことができる一般的な置換炭化水素基としては、クロロメチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
SiO1/2単位中のR1基の少なくとも3分の1、あるいは少なくとも3分の2はメチル基であってもよい。RSiO1/2単位の例としては、これらに限定されないが、MeSiO1/2、PhMeSiO1/2及びMeViSiO1/2が挙げられ、式中、Me、Ph及びViはそれぞれメチル、フェニル及びビニルを示す。シリコーン樹脂はこれらの単位を2つ以上含有することができる。
【0013】
シリコーン樹脂中のRSiO1/2及びSiO4/2単位のモル比は0.5/1〜1.5/1、あるいは0.6/1〜0.9/1の範囲とすることができる。これらのモル比は29Si NMR分光により便利に測定される。この技術は、シリコーン樹脂の総ヒドロキシル含量に加えて、シリコーン樹脂及び初期シリコーン樹脂中に存在するネオペンタマー、Si(RSiO)に由来するRSiO1/2(「M」)及びSiO4/2(「Q」)単位の濃度を量的に測定することができる。
【0014】
SiO1/2対SiO4/2の比は[M(樹脂)+M(ネオペンタマー)]/[Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)]と表すことができ、シリコーン樹脂の樹脂及びネオペンタマー部分のトリオルガノシロキシ基の総数の樹脂及びネオペンタマー部分中のシリケート基の総数に対する比を表す。
【0015】
シリコーン樹脂は2.0%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下の式XSiO3/2で表される末端単位を含有することができ、式中、Xはヒドロキシ又は加水分解性基であり、例としてはメトキシ及びエトキシようなアルコキシ;イソプロぺニルオキシのようなアルケニルオキシ;メチルエチルケトキシモのようなケトキシモ;アセトキシのようなカルボキシ;アセトアミドキシのようなアミドキシ;並びにN,N−ジメチルアミノキシのようなアミノキシが挙げられる。シリコーン樹脂中に存在するシラノール基の濃度はフーリエ変換赤外分光(FTIR)を用いて測定することができる。
【0016】
シリコーン樹脂の所望の流動特性を達成するための重量平均分子量、Mwは少なくとも部分的にはシリコーン樹脂の分子量及びこの材料中に存在するRで表される炭化水素基のタイプによって決まるだろう。シリコーン樹脂のMwは3,000より大きくてもよく、あるいはシリコーン樹脂のMwは14,000〜19,000の範囲内とすることができる。
【0017】
シリコーン樹脂はいずれかの適切な方法により調製することができる。このタイプのシリコーン樹脂は、報告によると、対応するシランの共加水分解により又は当技術分野において知られるシリカヒドロゾルキャッピング方法により調製されている。シリコーン樹脂はDaudt他の米国特許第2,676,182号、Rivers−Farrell他の米国特許第4,611,042号、及びButlerの米国特許第4,774,310号に記載のシリカヒドロゾルキャッピングプロセスにより調製することができる。
【0018】
シリコーン樹脂を調製するのに用いられる中間体は一般的には式RSiX’のトリオルガノシランであり、式中、X’は加水分解性基、及びハロゲン、アルコキシ若しくはヒドロキシルのような4つの加水分解基を有するシラン、又はケイ酸ナトリウムのようなアルカリ金属ケイ酸塩を表す。
【0019】
シリコーン樹脂中のケイ素結合ヒドロキシル基(すなわち、HOSiO3/2基)の含有量はシリコーン樹脂の総重量の1.2%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.3%未満であることが望ましい。シリコーン樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を適当な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることにより、トリヒドロカルビルシロキシ基又は加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは一般的にはシリコーン樹脂のケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量を超えて添加される。
【0020】
シリコーン樹脂は1つのシリコーン樹脂であってもよい。あるいは、シリコーン樹脂は以下の特性:構造、ヒドロキシル及び/又は加水分解性基含有量、分子量、シロキサン単位、並びに配列の少なくとも1つが異なる2つ以上のシリコーン樹脂を含んでいてもよい。2つ以上のシリコーン樹脂が存在する場合、一方の樹脂は他方より低い分子量を有することができ、低分子量樹脂は粘着付与樹脂とすることができる。
【0021】
あるいは、米国特許第6,730,397号、10段〜12段に開示される粘着付与樹脂を用いることができる。本発明において有用な粘着付与樹脂としては、RSiO1/2で表される単官能性(M)単位、及びSiO4/2で表される四官能性(Q)単位を含有する樹脂が挙げられ、Rは上述のとおりである。これらは4,000〜9,000のMw、0.9〜1.1の範囲のM単位のQ単位に対する比(M/Q比)、及び0.7%未満のケイ素結合ヒドロキシ基の含有量を有することができる。
【0022】
MQシリコーン粘着付与樹脂は、それぞれ少なくとも1つの他のQ単位に結合したQ単位に結合したM単位を有するコポリマーシリコーン樹脂であってもよい。Q単位のいくつかはヒドロキシル基に結合し、HOSiO3/2で表される三官能性(TOH)単位をもたらし、これによりシリコーン粘着付与樹脂のケイ素結合ヒドロキシル含有量をもたらし、いくつかは他のQ単位のみに結合している。こうした樹脂については、例えば、Daudt他の米国特許第2,676,182号、Bradyの第3,627,851号、Flanniganの第3,772,247号、及びSchmidt他の第5,248,739号に記載されている。
【0023】
適切なMQシリコーン粘着付与樹脂は、実質的に上述の要件を満たすM及びQ単位で構成される可溶性樹脂をもたらすいずれかの方法により調製することができる。こうしたMQ樹脂は、Daudt他の米国特許第2,676,182号、Bradyの第3,627,851号、及びFlanniganの第3,772,247号に記載されるシリカヒドロゾルキャッピングプロセスにより調製することができる。簡単に言うと、プロセスは、ケイ酸ナトリウム溶液の濃度、及び/又はケイ酸ナトリウム中のケイ素対ナトリウム比、及び/又は中和ケイ酸ナトリウム溶液をキャッピングするまでの時間を一般的にはDaudt他により開示されるものより低い値に限定することを含む。中和シリカヒドロゾルは2−プロパノールのようなアルコールで安定させ、中和後できる限り速やかにM単位でキャッピングすることができる。MQ樹脂上のケイ素結合ヒドロキシル基のレベルは、例えば1.5%未満まで、あるいは1.2%以下まで、あるいは1.0%以下まで、あるいは0.8%以下まで低下させることができることに留意することが重要である。これは例えばヘキサメチルジシラザンをシリコーン粘着付与樹脂と反応させることにより達成することができる。こうした反応は、例えばトリフルオロ酢酸で、触媒することができる。あるいは、トリメチルクロロシラン又はトリメチルシリルアセトアミドをシリコーン粘着付与樹脂と反応させることができ、この場合触媒は必要ない。こうした反応は溶媒中で行うことができる。
【0024】
各種適切な低シラノール含有量シリコーン粘着付与樹脂はミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーション、ニューヨーク州アルバニーのMomentive Performance Materials及びニュージャージー州イーストブランズウィックのBluestar Silicones USA Corp.のような供給業者から市販されている。例としては、Tangneyの米国特許第5,082,706号に開示されている。こうした樹脂は有機溶媒中で供給することができ、入手したまま吹き付け可能な接着剤組成物に用いることができる。
【0025】
吹き付け可能な接着剤組成物に添加するシリコーン粘着付与樹脂の量は、吹き付け可能な接着剤組成物の放出及び剥離力のレベルに影響を及ぼし得る。粘着付与樹脂の量は吹き付け可能な接着剤中のすべてのシリコーン樹脂の総重量に対して0%〜50%、あるいは20%〜30%の範囲とすることができる。理論に縛られることを望むことなしに、粘着付与樹脂は接着性を向上させると考えられる。
【0026】
あるいは、上述のシリコーン粘着付与樹脂に加えて、又は替えて、有機粘着付与樹脂を用いることができる。適切な有機粘着付与樹脂としては、ワックス、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエン、スチレンイソプレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
オルガノポリシロキサン
本発明において有用なオルガノポシロキサンは式RSiOの二官能性単位及び式R3−aSiG−の末端単位を含み、式中、Rはアルコキシ基又は一価非置換若しくは置換炭化水素基であり、Rは非置換又は置換一価炭化水素基であり、Rはアミノアルキル又はR1基であり、Xは加水分解性基であり、Gは酸素原子又は末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と結合する二価基とすることができ、aは0又は1である。オルガノポリシロキサンは任意で、式RSiO3/2の三官能性単位の総量に対して最大約20パーセントを含有することができ、式中、Rは前述のとおりである。RR3SiO単位中のR及びRで表される基の少なくとも50%、あるいは少なくとも80%はメチルのような低アルキルであってもよい。オルガノポリシロキサンは線状構造を有することができる。
【0028】
オルガノポリシロキサン上に存在する末端単位は式R3−aSiG−で表すことができ、式中、X1は加水分解性基であり、Rはアミノアルキル又はRであり、Gは末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と結合する二価基であり、aは0又は1である。一般的には、架橋生成物を形成するため、オルガノポリシロキサンは1分子当たり平均2つ以上の加水分解性(X)基を含有する。Xで表される一般的な加水分解性基としては、ヒドロキシ;メトキシ及びエトキシのようなアルコキシ;イソプロぺニルオキシのようなアルケニルオキシ;メチルエチルケトキシモのようなケトキシモ;アセトキシのようなカルボキシ;アセトアミドキシのようなアミドキシ;並びにN,N−ジメチルアミノキシのようなアミノキシが挙げられる。
【0029】
末端基中、aが0である場合、Xで表される基はアルコキシ、ケトキシモ、アルケニルオキシ、カルボキシ、アミノキシ又はアミドキシとすることができる。aが1である場合、Xはアルコキシであってもよく、Rはメチル若しくはエチルのようなアルキル、又はアミノプロピル若しくは3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルのようなアミノアルキルであってもよい。アミノアルキル基のアミノ部分は第1級、第2級又は第3級とすることができる。
【0030】
末端単位の式中、Gは酸素原子又は加水分解に安定な二価基若しくは原子とすることができる。加水分解に安定であるとは、加水分解性ではなく、オルガノポリシロキサンにおいて末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子に結合し、組成物の硬化中に末端単位が除去されず、硬化反応が悪影響を受けないようにすることを意味する。Gで表される加水分解に安定な結合としては、酸素;アルキレン及びフェニレンのようなヒドロカルビレン;酸素、窒素及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有するヒドロカルビレン;並びにこれらの結合基の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。Gは−(OSiMe)CHCH−、−(CHCHSiMe)(OSiMe)CHCH−、−(CHCHSiMe)O−、(CHCHSiMe)OSiMe)O−、−(CHCHSiMe)CHCH−及びCHCH−のようなシルアルキレン結合、−(OSiMe)O−のようなシロキサン結合又は、より好適には、酸素原子を表すことができる。
【0031】
好適な末端単位の具体例としては、(MeO)SiCHCH−、(MeO)SiO−、Me(MeO)SiO−、HNCHCHN(H)(CHSiO−、(EtO)SiO−、(MeO)SiCHCHSiMeCHSiMeCHCHSiMeO−、MeNOSiO−、MeC(C)N(H)SiO−及びCH=C(CH)OSiO−が挙げられるが、これらに限定されない。これらの式中、Meはメチルを表し、Etはエチルを表す。
【0032】
X1がアルコキシ基を含有する場合、このX1基をエチレンのようなアルキレン基により一番近いシロキサン単位から分離することが望ましくあり得る。この場合、R4aX13−aSiG−は、例えば、(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)O−である。アルコキシ基をトリアルコキシシリルアルキル基に変換する方法は従来技術において開示されている。例えば、式(MeO)3SiO−及びMe(MeO)2SiO−を有する湿気反応性基は、それぞれ式(MeO)4Si及びMe(MeO)3Siを有する化合物によりシラノール末端ポリオルガノシロキサン中に導入することができる。あるいは、それぞれ式(MeO)3SiH及びMe(MeO)2SiHを有する化合物は、ポリオルガノシロキサンがシラノール基、若しくはビニル及び白金基金属のようなアルケニル基、又はこれらの化合物をヒドロシリル化反応触媒として含有する場合に用いることができる。ジアルキルケトキシモ、アルケニルオキシ及びカルボキシのような他の加水分解性基はアルコキシ基を置き換えることができることが理解されるだろう。
【0033】
吹き付け可能な接着剤組成物に用いられるオルガノポリシロキサンは、3つのアルコキシ若しくはケトキシモ基、2つのケトキシモ基又は2つのアルコキシ基をアルキル又はアミノアルキル基のいずれかとともに含有するポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0034】
オルガノポリシロキサンの粘度は、25℃で0.02Pa・s〜100Pa・s、あるいは0.35〜約60Pa・sの範囲とすることができる。
【0035】
シリコーン樹脂のオルガノポリシロキサンに対する比(R/P比)は、(乾燥シリコーン樹脂の重量+オルガノポリシロキサンの重量)の量で割った乾燥(すなわち、無溶媒)シリコーン樹脂の重量により測定される。R/P比は58%〜64%、あるいは60%〜62%の範囲とすることができる。理論に縛られることを望むことなしに、58%未満のR/P比は接着性に悪影響を及ぼし得る一方、64%より高いR/P比はスランプ及び/又は押出性能不良をもたらし得ると考えられる。
【0036】
あるいは、吹き付け可能な接着剤組成物中のシリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの全部若しくは一部に加えて、又は替えて、シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの反応生成物を用いることができる。
【0037】
シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの化合物は室温で固体である。従って、溶媒、及び任意で架橋剤を添加し、吹き付け可能な接着剤組成物を室温で流動可能にし、押出性能を与える。あるいは、シリコーン樹脂は吹き付け可能な接着剤組成物の他の材料と化合する前に溶媒中で提供することができる。
【0038】
架橋剤
シラン架橋剤を任意で吹き付け可能な接着剤組成物に添加することができる。シラン架橋剤は式RSiZ(4−n)で表され、式中、Rは前述のとおりであり、Zは少なくともオルガノポリシロキサンの末端基と周囲条件で反応し、硬化材料を形成する加水分解性基であり、nは0、1又は2である。Rはアルキル及び/又はフェニル基であってもよい。Zで表される適切な加水分解性基としては、1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ、アセトキシのようなカルボキシ、メチルエチルケトキシモのようなケトキシモ、及びアミノキシが挙げられるが、これらに限定されない。シラン架橋剤においてnが2である場合、オルガノポリシロキサンは3つのX基を含有することができる(例えば、a=0)。
【0039】
適切なシラン架橋剤としては、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルオキシモシラン、及びエチルオルソシリケートのようなアルキルオルソシリケートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
用いる場合、シラン架橋剤の量はシリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの総量に対して百分の0.5〜15部(pph)、あるいは1.5〜15pph、あるいは1〜8pphの範囲とすることができる。過度のシラン架橋剤が存在すると、吹き付け可能な接着剤組成物の生強度及び/又は硬化速度は低下し得る。シラン架橋剤が揮発性である場合、製造方法中、最終的な吹き付け可能な接着剤組成物において0.5〜15pphを達成するには過剰な量を用いることが必要であり得る。当業者であれば、0.5〜15pphを有する吹き付け可能な接着剤組成物を生成するのに必要な量を決定することができるだろう。架橋剤の正確な量は選択される架橋剤のタイプ並びにシリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン、及び存在する場合触媒の選択を含む各種要因によって決まるだろう。ビニルオキシモシランを湿気硬化性吹き付け可能な接着剤組成物を生成するための架橋剤として用いる場合、ビニルオキシモシランの量は吹き付け可能な接着剤組成物の重量に対して1%〜8%、あるいは2%〜5%の範囲とすることができる。
【0041】
触媒
触媒を任意で吹き付け可能な接着剤組成物に用いることができる。例えば吹き付け可能な接着剤組成物が硬化性でない場合又はオルガノポリシロキサン及び/若しくはシラン架橋剤が存在し、ケトキシム官能基を含有する場合、触媒は省いてもよい。触媒は、金属の電気化学系列において、鉛からマンガンまでの範囲の金属のカルボン酸塩を含むことができる。例えば、触媒は金属のカルボン酸塩、錫化合物、チタン化合物、又はジルコニウム化合物であってもよい。適切なチタン化合物はキレートチタン化合物、テトラアルコキシチタネートのようなチタネート、又はこれらの組み合わせを含むことができる。適切なチタン化合物の例としては、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、テトラブトキシチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、及びビス−(エトキシアセトアセトネート)ジイソプロピルチタン(IV)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、触媒材料は二酢酸ジブチル錫、ジラウリル酸ジブチル錫、酸化ジブチル錫、オクタン酸第一錫、酸化錫、又はこれらの組み合わせのような錫化合物を含むことができる。触媒の例については米国特許第4,962,076号、第5,051,455号、及び第5,053,442号に開示されている。
【0042】
用いる触媒の量はシリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの総量に対して0.01〜2pph、あるいは0.05〜1pphの範囲とすることができる。過剰な量の触媒を添加すると、組成物の硬化が損なわれる。また、触媒の量を増加させると、吹き付け可能な接着剤組成物の粘度が増加し得、これにより材料に印加すること要する力がより大きくなる。
【0043】
充填材
適切な充填材の例としては、沈降炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、カーボンブラック、及びこれらの組み合わせ、あるいは沈降炭酸カルシウムが挙げられる。適切な沈降炭酸カルシウムとしては、SolvayのWinnofil(登録商標)SPM並びにSMIのUltrapflex(登録商標)及びUltrapflex(登録商標)100が挙げられる。沈降炭酸カルシウムは、例えばステアリン酸のような脂肪酸で表面処理し、表面を疎水性にすることができる。充填材のタイプ及び量は、充填材を単独で又は後述するPolyvestのようなレオロジー調整剤と併せて用いる場合、吹き付け可能な接着剤組成物に非スランプ特性を与えるように選択することができる。充填材のタイプ及び量はまた押出速度に影響を及ぼすように選択されるが、充填材の量は接着を妨げず、吹き付け可能な接着剤組成物の接着剤生成物に許容可能な物理的特性をもたらすように選択される。充填材の正確な量は充填材のタイプ及び選択される表面処理を含む各種要因によって決まるが、その量は組成物の重量に対して1%〜50%の範囲とすることができる。理論に縛られることを望むことなしに、充填材は比較的小さい粒径及び大きな表面積比を有すると考えられる。正確な粒径は選択される充填材のタイプを含む各種要因によって決まるが、沈降炭酸カルシウムの平均粒径は0.05マイクロメーター〜0.15マイクロメーター、あるいは0.06マイクロメーター〜0.08マイクロメーターの範囲とすることができる。正確な表面積は選択される充填材のタイプ及びその平均粒径を含む各種要因によって決まるが、沈降炭酸カルシウムの表面積は10m/g〜30m/g、あるいは15m/g〜25m/gの範囲とすることができる。粉砕炭酸カルシウム及び粉砕石英のような粉砕充填材は、他の充填材なしでは、吹き付け可能な接着剤組成物にとって望ましい特性をもたらすのに適さないことがあり得ると考えられる。しかしながら、粉砕充填材は上述の充填材と組み合わせて用いることができる。
【0044】
吹き付け可能な接着剤組成物中の充填材の量は選択される充填材のタイプに応じて異なり得るが、前記の適切な沈降炭酸カルシウムのような充填材は吹き付け可能な接着剤組成物の重量に対して40%〜50%の範囲の量で用いることができる。当業者であれば、充填材の量を最適化し、接着及び押出特性を維持したまま、最小限のスランプを得ることができるだろう。
【0045】
溶媒
溶媒を吹き付け可能な接着剤組成物に用いることができる。溶媒はシリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの流動及び導入を補助し、吹き付け可能な接着剤組成物に吹き付け可能性を与えるのに役立つ。本発明に用いる溶媒は吹き付け可能な接着剤組成物を生成するのに用いる成分を流動化するのに役立つが、その中の成分のいずれとも反応しないものである。溶媒は吹き付け可能な接着剤組成物中のシリコーン樹脂及び他の材料の溶解性並びに揮発性に基づいて選択される。溶解性とは、溶媒が(上述の)乾燥シリコーン樹脂を溶解し、吹き付け可能な接着剤組成物に製剤する場合その組成物の貯蔵寿命中は分離することなく単相のままであるのに十分であることを指す。揮発性とは、溶媒の蒸気圧を指す。溶媒が過度に揮発性である(高すぎる蒸気圧を有する)場合、塗布温度で吹き付け可能な接着剤組成物中に泡が形成され得、泡はひびをもたらし、又はそうでなければ接着剤生成物を弱め得る。一方、溶媒が十分に揮発性でない(低すぎる蒸気圧を有する)場合、溶媒は吹き付け可能な接着剤組成物中の接着剤生成物において可塑剤のままであり得、又は生成物が物理的特性を発現させる時間は所望より長いことがあり得る。しかしながら、溶媒は25℃で絶対圧力1〜50、あるいは3〜10mmHg(400Pa〜1333Pa)の範囲の飽和蒸気圧を有することができる。適切な溶媒としては、オクタメチルトリシロキサン及びキシレンが挙げられる。適切な溶媒としては、トルエン及びキシレンのような有機溶媒、並びにオクタメチルトリシロキサン、米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されている0.5〜1.5cSt Dow Corning(登録商標)200 Fluid及びDow Corning(登録商標)OS FLUIDのような低分子量シロキサンが挙げられる。溶媒の量は選択される溶媒のタイプ並びに選択されるシリコーン樹脂の量及びMwを含む各種要因によって決まるだろう。しかしながら、溶媒の量は吹き付け可能な接着剤組成物の重量に対して3%〜10%、あるいは4%〜7%の範囲とすることができる。
【0046】
吹き付け可能な接着剤組成物中の材料及びその量は吹き付け可能な接着剤組成物に非スランプ及び押出性能を与えるように選択される。非スランプとは、吹き付け可能な接着剤組成物がASTM C639により測定される0℃〜100℃の範囲の温度で0mm〜5mmの範囲のスランプを有することを意味する。吹き付け可能な接着剤組成物の押出性能とはASTM C1183により測定される最小10mL/分、あるいは10〜1000mL/分、あるいは100〜1000mL/分を意味する。吹き付け可能な接着剤組成物の材料及びその量は、吹き付け可能な接着剤組成物を固化することにより調製される各種基材に対するピーク剥離強度及び接着剤生成物に動作性能を与えるように選択される。ASTM C719により測定される動作性能は25%より高く、あるいは25%〜50%の範囲である。後述の参照例3の修正ASTM C794により測定される低エネルギー表面及び構造基材に対するピーク剥離強度は少なくとも5pli(875.7 Nm−1)、あるいは少なくとも10pli(1751.3Nm−1)である。
【0047】
推進剤
吹き付け可能な接着剤組成物のパッケージに推進剤を添加し、例えば分注を補助することができる。適切な推進剤としては、二酸化炭素、ブタン、ペンタン、ヘプタン、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。添加量はパッケージのサイズ及びパッケージ中の吹き付け可能な接着剤組成物の量に応じて異なるだろう。
【0048】
他の任意の材料
吹き付け可能な接着剤組成物は任意でシリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンの総量に対して0.05〜2pphの接着促進剤をさらに含むことができる。接着促進剤は当技術分野において知られ、式RSi(OR)4−(c+d)を有するシランを含むことができ、式中、Rは少なくとも3つの炭素原子を有する置換又は非置換、一価炭化水素基であり、Rはアミノ、エポキシ、メルカプト又はアクリレート基のような接着促進基を有する少なくとも1つのSiC結合基を含み、cは0〜2の値を有し、dは1又は2であり、(c+d)は3以下である。接着促進剤は上記シランの部分縮合物とすることもできる。
【0049】
吹き付け可能な接着剤組成物は任意で可塑剤をさらに含むことができる。可塑剤は材料b)の0%〜50%を置き換える量で添加することができる。可塑剤は当技術分野において知られ、市販されている。例えば、非反応性ポリジオルガノシロキサンを用いることができる。例えば、50〜50,000cStの範囲の粘度を有するポリジメチルシロキサンを用いることができる。こうしたポリジメチルシロキサンは米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションからDow Corning(登録商標)200 Fluidとして市販されている。当業者であれば、特定の溶媒は可塑剤としても作用することができ、溶媒の一部に替えて可塑剤を添加することができることを認識するだろう。
【0050】
吹き付け可能な接着剤組成物は充填材のほかに任意で組成物の重量に対して最大5%、あるいは1%〜2%のレオロジー調整剤をさらに含むことができる。適切なレオロジー調整剤は当技術分野において知られ、市販されている。例としては、ポリアミド、Evonkから市販されるPolyvet、King IndustriesのDisparlon、Du PontのKevlar Fibre Pulp、NanocorのRheospan、及びLubrizolのIrcogelが挙げられる。
【0051】
充填材のほかに組成物に添加することができる他の任意の材料としては、ChemturaのLowLite、PolyOneのOnCap、Du PontのLight Stabilizer 210、及びCibaのTinuvinのようなUV安定剤並びに酸化チタン、カーボンブラックStan−Tone 50SP01 Green(PolyOneから市販)のような顔料が挙げられる。カーボンブラックの代表的、非限定的な例としては、Elementis Pigments Inc.、Fairview Heights、IL 62208より供給されるSUPERJET(登録商標)Carbon Black(LB−1011)、Sid Richardson Carbon Co、3560 W Market Street、Suite 420、Akron、OH 44333より供給されるSR 511、及びN330、N550、N762、N990(Degussa Engineered Carbons、Parsippany、NJ 07054)が挙げられる。吹き付け可能な接着剤組成物に添加する顔料の量は吹き付け可能な接着剤組成物中の他の材料を含む各種要因によって決まるが、その量は吹き付け可能な接着剤組成物の重量に対して0.001%〜20%の範囲とすることができる。
【0052】
上述の吹き付け可能な接着剤組成物は以下の特性を有することができる:
ASTM C639により測定される0℃〜100℃の範囲の温度での0mm〜5mmの範囲のスランプ、及び
ASTM C1183により測定される10mL/分の最小値を有する押出性能。
吹き付け可能な接着剤組成物は固化して接着剤生成物となる。接着剤生成物は以下の特性を有することができる:
ASTM C719による+/−5%〜+/−50%の範囲の動作性能、
参照例3の修正ASTM C794により測定される少なくとも5pli(875.7Nm−1)の低表面エネルギー基材及び構造基材に対するピーク剥離強度。
【0053】
固化して接着剤生成物となる吹き付け可能な接着剤組成物は
I) 材料a)及びb)の混合物及び反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のR/P比をもたらす量で添加される、成分、
II) 充填材、
III) 溶媒、
任意で
IV) シラン架橋剤、並びに
任意で
V) 触媒
を含み、
該吹き付け可能な接着剤組成物は
ASTM C639により測定される0℃〜100℃の範囲の温度での0mm〜5mmの範囲のスランプ、及び
ASTM C1183により測定される10mL/分の最小値を有する押出性能
を有し、
該接着剤生成物は
ASTM C719による+/−5%〜+/−50%の範囲の動作性能、
参照例3の修正ASTM C794により測定される少なくとも5pli(875.7Nm−1)の低表面エネルギー基材及び構造基材に対するピーク剥離強度
を有する。本出願の目的のため、「固化する」及び「固化」の語は硬化、冷却、及び/又は液化して吹き付け可能な接着剤組成物から溶媒を除去し、これにより粘度を増加させることによる接着剤生成物の形成を指す。
【0054】
生成方法
吹き付け可能な接着剤組成物はいずれかの便利な手段により調製することができる。例えば、シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン、充填材、溶媒及びその他の材料は、二軸押出機のような連続混合装置に供給することができる。連続混合装置への添加順は吹き付け可能な接着剤組成物の生成には重要ではない。しかしながら、シリコーン樹脂が0.7%より高いシラノールを有する場合、シラン架橋剤及び/又は触媒並びにシリコーン樹脂を一緒に添加し、いずれかの反応を起こし、反応生成物(揮発性物質)を除去することが望ましくあり得る。連続混合装置は材料を混合することができなければならず、揮発性物質を除去する手段を備えていなければならない。一般的には、押出装置が用いられ、より一般的には二軸押出装置が用いられる。
【0055】
押出装置を用いる場合、材料は押出機に供給することができ、任意で50℃〜250℃、あるいは80℃〜150℃の範囲の温度まで加熱することができる。押出機において材料を加熱することにより、粘度を低下し、材料の混合を向上させることができる。一般的には押出装置では、シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン及び溶媒が装置に供給される。このときシラン架橋剤及び触媒を添加することもでき、又はそれらはいくらかの混合を行った後に装置のさらに下流で添加してもよい。共回転二軸押出機上でのホットメルト接着剤の連続プロセスについてはT.Peitz、“Continuous Processing of Hot Melt Adhesives on Co−Rotating Twin Screw Extruders”、1996 Hot Melt Symposium、p.37〜45に記載されている。
【0056】
溶媒のいくらか又はすべては連続混合プロセス中に除去及び/又は置換することができる。吹き付け可能な接着剤組成物はいくらかの溶媒を含有し、シリコーン樹脂はプロセスから排出される吹き付け可能な接着剤組成物において望ましい溶媒とは異なる溶媒中で送達することができる。例えば、シリコーン樹脂はキシレン中で送達することができる。連続混合装置に真空を印加し、吹き付け可能な接着剤組成物中に存在し得る溶媒及びその他の揮発性成分の除去を促進することができる。真空は連続混合装置上で単一又は多段階において印加することができる。多段階真空を用いることは溶媒の除去を向上させることが見出された。シラン架橋剤は揮発性であり得るので、シラン架橋剤はほとんどの溶媒が除去された後に添加し、架橋剤を溶媒とともに除去するのを防ぐことが好ましい。溶媒は真空印加後に添加し、例えば除去された溶媒のいくらか又はすべてを補うこともできる。
【0057】
あるいは、吹き付け可能な接着剤組成物はバッチプロセスにおいて調製することができる。プロセスは材料をバッチミキサーに添加するステップ、及び混合するステップ、並びに任意で材料を50℃〜250℃、あるいは80℃〜150℃の範囲の温度まで加熱するステップを含むことができる。添加順はとくに限定されないが、用いる場合、架橋剤及び触媒はi)シリコーン樹脂及びポリオルガノシロキサンを溶媒存在下で混合するステップ並びにii)その後すべて又は一部の溶媒を除去するステップの後に添加することができる。次に異なる溶媒をステップii)後、架橋剤及び/又は触媒の添加前又は後に添加することができる。しかしながら、溶媒除去は任意であり、例えばシリコーン樹脂が吹き付け可能な接着剤組成物において望ましいタイプ又は量の溶媒中で供給される場合、省くことができる。
【0058】
使用方法
吹き付け可能な接着剤組成物はギャップ充填用途に用いることができる。あるいは、吹き付け可能な接着剤組成物は、建築用膜における重ね継ぎ部の縁又は破れたシールの封止のような封止用途、例えば建築用膜における通気孔の封止に用いることができる。あるいは、吹き付け可能な接着剤組成物を用いて少なくとも2つの基材を接着することができる。吹き付け可能な接着剤組成物を2つの基材間の層として用い、第1基材、接着剤生成物(すなわち、吹き付け可能な接着剤組成物を冷却及び/又は硬化することにより調製される)及び第2基材の積層を形成することができる。本発明において生成される積層構造はこれらの3つの層に限定されない。硬化接着剤及び基材の追加の層を用いてもよい。積層中の吹き付け可能な接着剤組成物の層は連続性又は非連続性であってもよい。例えば、連続層を用い、以下図1において示す壁100の一部のような積層を形成することができる。図1では、ウェザーバリア101が内壁102とレンガ外壁103との間にある。
【0059】
さらに、基材として用いることができる材料は限定されない。吹き付け可能な接着剤組成物、又はその接着剤生成物を用いることができる適切な基材としては、ガラス;コンクリート;レンガ;スタッコ;アルミニウム、銅、金、ニッケル、シリコン、銀、ステンレス鋼合金、及びチタンのような金属;セラミック材料;エポキシ、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂、ポリアミド樹脂及びそのブレンド、例えば米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから市販されるもののようなポリアミド樹脂とシンジオタクチックポリスチレンとのブレンド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン変性ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、ポリフタルアミド、並びにポリイミドを含む工業用プラスチックを含むプラスチック;紙、繊維、及び木材のようなセルロース基材;並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の基材を用いる場合、基材が同じ材料で構成されなければならないという要件はない。例えば、プラスチック及び金属基材又は木材及びプラスチック基材の積層を形成することが可能である。
【0060】
吹き付け可能な接着剤組成物及びそれから生成される接着剤生成物を用い、建築用膜を構造体に接着することができる。建築用膜を構造体に接着する方法は
I) 上述の吹き付け可能な接着剤組成物を第1基材に塗布するステップ、
II) 該接着剤組成物を固化して接着剤生成物を形成するステップ、及び
III) 該接着剤生成物によって該第1基材を第2基材に接着するステップ
を含む。
【0061】
第1基材は建築用膜であってもよく、第2基材は構造体であってもよい。あるいは、第1基材は構造体であってもよく、第2基材は建築用膜であってもよい。あるいは、第1基材及び第2基材はそれぞれ建築用膜であってもよいが、ただし、第1基材及び第2基材は同じ又は異なる建築用膜であってもよい。
【0062】
建築用膜
適切な建築用膜の例は、合成ゴム及びプラスチック、あるいはプラスチック、あるいは低表面エネルギープラスチックを含むことができる。合成ゴムとしては、ポリクロロプレン、ブチルゴム、再生セルロース、セルロースエーテル、又はセルロースエステルが挙げられる。プラスチックとしては、ポリアミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、及びこれらの組み合わせ;並びにハロゲン化ポリオレフィン、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル及び塩化ビニリデンのコポリマー、及びこれらの組み合わせ;あるいはポリエチレンが挙げられる。適切な基材としては、Tyvek(登録商標)HomeWrap(登録商標)、Tyvek(登録商標)StuccoWrap(登録商標)、Tyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)、Tyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)D、Tyvek(登録商標)DrainWrap(商標)、Tyvek(登録商標)ThermaWrap(商標)、Tyvek(登録商標)AtticWrap(商標)、DuPont(商標)FlexWrap(商標)、DuPont(商標)FlexWrap(商標)NF、DuPont(商標)StraightFlash(商標)、DuPont(商標)StraightFlash(商標)VF、DuPont(商標)Flashing Tape、DuPont(商標)Thru−Wall Flashing、Tyvek(登録商標)Tape、Tyvek(登録商標)Wrap Capsのような市販の建築ラップが挙げられ、これらはすべて米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemoursから市販されている。別の適切な建築ラップとしては、米国マサチューセッツ州ケンブリッジのW.R.Grace & Co.Conn.のPerm−a−barrier(登録商標)及びBituthene(登録商標)がある。
【0063】
当業者であれば、上記建築用膜は例であり、限定的ではないことを認識するだろう。例えば、同様の低表面エネルギーを有する他の適切な建築用膜が米国カリフォルニア州エルセガンドのHenry Company及び米国テキサス州ワイリーのCarlisleから市販されている。
【0064】
吹き付け可能な接着剤組成物、及びその接着剤生成物は、各種バリア用途において建築用膜を接着するのに有用である。例えば、吹き付け可能な接着剤組成物は、米国特許第5,091,235号及び米国特許公開第2001/0034984号公報に記載されるもののような積層土台ラップアセンブリ;米国特許第3,900,102号及び第6,355,333号に記載されるもののような外壁建築用バリアシート材料;米国特許公開第2003/0041537号及び国際公開第2008/048763号に記載されるもののような窓及び壁アセンブリ;並びに米国特許第6,401,402号に記載されるもののような雨押さえシステムに用いることができる。
【0065】
製造品
例えば、吹き付け可能な接着剤組成物を用い、バリアを製造することができる。バリアは
I) 建築ラップ、並びに
II) 該建築ラップの表面上の吹き付け可能な接着剤組成物の膜において、
該吹き付け可能な接着剤組成物は
i) 材料a)及びb)の混合物及び反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のR/P比をもたらす量で添加される、成分、
ii) 充填剤、
iii) 溶媒、
任意で
iv) シラン架橋剤、
任意で
v) 触媒
を含む、膜
を備えることができる。
【0066】
バリアは、材料a)が3,000より大きい数平均分子量を有し、材料b)が25℃で0.02Pa・s〜100Pa・sの範囲の粘度を有するように製造することができる。このバリアにおいて、吹き付け可能な接着剤組成物は任意で推進剤、接着促進剤、可塑剤、及びレオロジー調整剤から選択される材料をさらに含むことができる。材料I)は上述の建築ラップであってもよい。あるいは、材料I)はポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0067】
バリアは構造体に用いることができる。上述のバリアは構造体の表面に接着することができる。バリアは土台ラップ、壁バリアシート、床材バリア、又は外断熱仕上げシステム(EIFS)であってもよい。
【0068】
本発明はさらに
I) 構造体、
II) 接着剤生成物の膜において、該接着剤生成物は吹き付け可能な接着剤組成物を硬化及び/又は冷却することにより調製され、該吹き付け可能な接着剤組成物は
i) 材料a)及びb)の混合物及び反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のR/P比をもたらす量で添加される、成分、
ii) 充填剤、
iii) 溶媒、
任意で
iv) シラン架橋剤、
任意で
v) 触媒
を含む、膜、並びに
III) 該接着剤生成物によって該構造体に接着される建築ラップ
を備える建築物に関する。
【0069】
上述の建築物において、材料a)は3,000より大きい重量平均分子量を有することができ、材料b)は25℃で0.02Pa・s〜100Pa・sの範囲の粘度を有する。吹き付け可能な接着剤組成物は接着促進剤、可塑剤、及びレオロジー調整剤から選択される材料をさらに含むことができる。材料III)は上述の建築ラップであり得る建築ラップのいずれであってもよい。あるいは、材料III)はポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【実施例】
【0070】
これらの実施例は本発明を当業者に示すことを意図し、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本出願において、すべての量、比、及び割合はとくに指示のない限り重量による。すべての粘度測定はとくに指定のない限り25Cで行う。
【0071】
(参照例1)
剥離強度試験
剥離試験は以下のように標準試験方法ASTM C794「エラストマー継ぎ部シール材の剥離接着性」を適応させることにより行った。基材のシートを試験実施の際に最小限の屈曲又は反射を示す硬い板に固定することにより試験板を形成した。吹き付け可能な接着剤組成物のビードを板上の基材上に0.25インチ(in)(0.635cm)×4in(10.16cm)の寸法で配置した。0.5in(1.27cm)×10in(25.4cm)のアルミニウムスクリーンを予めイソプロパノール(IPA)中で洗浄し、任意で以下の実施例で記載するプライマーで下塗りし、少なくとも4時間標準条件の温度及び湿度で乾燥させることにより準備した。準備したアルミニウムスクリーンをビードに取り付け、ビードに押し付け、スクリーン下の全領域に吹き付け可能な接着剤組成物を充填した。スクリーンの上に吹き付け可能な接着剤組成物の第2ビードを第1ビードと同様に塗布した。0.25in(0.635cm)×0.5in(1.27cm)の用具を用い、吹き付け可能な接着剤組成物をスクリーン上に拡散し、吹き付け可能な接着剤組成物/スクリーン試料を所望の形状及び厚さにプロファイルした。余分な吹き付け可能な接着剤組成物をこすり、試験領域から除去した。次に試料を特定の条件、通常70°F(21.1℃)及び50%の相対湿度(RH)で特定の時間、一般的には7、14、21、又は28日間放置し、硬化した。特定の調整サイクルを完了した後、試料を張力計において引っ張った。
【0072】
試料は張力計において、試験板を1つの端に固定し、余分なスクリーンを他の端に固定することにより固定した。試料は引っ張った際に剥離方向が初期平面スクリーンから180度となる、すなわち、試料をスクリーンとともに後ろにはがすように配向した。試料を一般的には1インチ(2.54cm)の距離、2in/分(5.08cm/分)の引張速度で引っ張った。荷重変換器は試料を剥離するのに要した印加力を測定し、この力及び試料幅又は長さのような他の要因、例えば最大剥離力=最大荷重/試料幅からの値を計算した。試料の剥離強度を破壊モードとともに記録した。
【0073】
(参照例2)
重ねせん断試験
重ねせん断試験は以下のように標準試験方法ASTM C961「シール材の重ねせん断強度」を適応させることにより行った。1インチ×4インチ(2.54cm×10.16cm)の基材片を切り出すことにより試験用試料を作成した。1つの片に接合用の1in×1in正方形(2.54cm×2.54cm正方形)が得られるように端から1in(2.54cm)で印をつけた。圧縮した際に重なる基材からの空隙を充填するのに十分な、少量の吹き付け可能な接着剤組成物を1in正方形(2.54cm正方形)に塗布した。第2基材を吹き付け可能な接着剤組成物上に後部を180°を離して一列に配置し、1インチ正方形の接合部及び後で引っ張る離れた2つの後部とした。それぞれ60ミル(0.152cm)厚さを有する2つのシムを試料の両側面に配置した。平らな板を2つのシムで保持し、試料に沿って前へ移動させ、余分な吹き付け可能な接着剤組成物を接合ギャップの外へ押し出し、接合ギャップを平らにした。シムを取り外し、余分な吹き付け可能な接着剤組成物を小さなヘラを用いて接合ギャップから穏やかに除去した。試料を剥離ライナー上に配置し、特定の時間、温度、及び湿気条件で硬化させた。
【0074】
指定硬化条件を満たした後、試料の後部を張力計に固定した。試料を引っ張った際に接着剤生成物が平行に配置した基材を移動させることにより発生するせん断力にさらされるように配向した。試料を一般的には1インチ(2.54cm)の距離、0.5in/分(1.27cm/分)の引張速度で引っ張った。荷重変換器は試料を分離するのに要した印加力を測定した。この際、試料の最大重ねせん断強度を破壊モード(接着破壊、凝集破壊、基材破壊)とともに記録した。
【0075】
(参照例3)
剥離強度試験を修正ASTM C794 180°剥離接着性試験に従って行った。この試験では、各基材をイソプロパノールで洗浄し(IPA拭き取り)、乾燥させた。試験する組成物をドローダウン技術及び適当なシム(ドローダウンバー)を用いて基材に塗布し、1/16in(0.159cm)の太さの線を作成した。アルミニウムメッシュ0.5in(1.27cm)幅スクリーン片(20本)をキシレンで洗浄し、米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されているDOW CORNING(登録商標)DC 1200レッドプライマーで下塗りした。洗浄したスクリーンを各組成物の上に配置した。組成物の第2層を適当なシム(ドローダウンバー)を用いて塗布し、別の1/16in(0.159cm)の太さの線を作成した。次に得られた試料を硬化し、評価した。試料の第1セットを標準条件(70°F(21.1C)及び50%RH)で7日間放置することにより硬化した。ピーク剥離強度を3つの試料について測定し、平均値pli及び凝集破壊%を記録した。まず上述の周囲条件で放置し、次に水中に1日間及び7日間浸漬した追加の試料も評価した。
【0076】
スクリーンの全長(両面)に沿った剥離に点数をつけることにより硬化時間経過後の試料を評価した。試料を手で剥がした後、点数をつけた。試料を張力計(Instron又はMTS Alliance RT/5)上、2インチ/分(5.08cm/分)の速度で引っ張った。平均ピーク応力を記録し、引張及び接着強度の指標をもたらした。凝集破壊の量も記録した。
【0077】
(実施例/比較例1)
吹き付け可能な接着剤組成物を以下の材料を混合することにより調製した:
a) 41.4%のトリメチルシロキサン処理をしたシリコーン樹脂、
b) 19.5%の50,000cP(mPa.s)の粘度を有するヒドロキシル末端ジメチルシロキサンポリマー、
c) 26.1%のステアリン酸処理粉砕炭酸カルシウム、
d) 8.7%の(CHSiOSi(CHOSi(CH、及び
e) 4.4%のビニルトリオキシミノシラン。
【0078】
吹き付け可能な接着剤組成物を4つの低エネルギー基材に塗布し、周囲温度で硬化し、基材上に接着剤生成物を形成した。ピーク剥離強度を参照例1の試験方法に従って各基材について測定した。結果を表1及び表2に示す。4つの基材は、すべて米国デラウェア州ウィルミントンのDuPontから市販されている、Tyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)、Tyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)D、DuPont(商標)FlexWrap(商標)、及びDuPont(商標)FlexWrap(商標)NFとした。比較例1は接着性を有するが、唯一の充填材として粉砕炭酸カルシウムが存在するため非スランプ特性を有さない。
【0079】
(比較例2〜13)
従来のシール材
米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されている各種シール材を実施例1と同じ低エネルギー基材に塗布した。シール材はプライマー(下塗り)の後又はプライマーなし(未下塗り)で塗布した。シール材を周囲温度で硬化し、基材上に接着剤生成物を形成した。ピーク剥離強度を参照例1の試験方法に従って各基材について測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0080】
(比較例14〜15)
ホットメルト接着剤組成物
ホットメルト接着剤組成物、米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されているInstantGlaze(登録商標)を実施例1と同じ低エネルギー基材に塗布した。ホットメルト接着剤組成物はプライマー(下塗り)の後又はプライマーなし(未下塗り)で塗布した。ホットメルト接着剤組成物試料を周囲温度で硬化し、基材上に接着剤生成物を形成した。ピーク剥離強度を参照例1の試験方法に従って各基材について測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
実施例1において吹き付け可能な接着剤組成物を硬化することにより調製した未下塗り接着剤生成物は、プライマーを塗布したかどうかにかかわらず、これらの実施例において試験した基材のすべてに対してすべての市販のシール材より良好なピーク剥離強度をもたらした。実施例1において吹き付け可能な接着剤組成物を硬化することにより調製した接着剤生成物はDuPont(商標)FlexWrap(商標)基材上で市販のInstantGlaze(登録商標)(下塗り及び未下塗りともに)より良好なピーク剥離強度をもたらした。実施例1において吹き付け可能な接着剤組成物を硬化することにより調製した接着剤生成物は、残りの基材上で下塗り及び未下塗りInstantGlaze(登録商標)の剥離強度と同程度のピーク剥離強度をもたらしたが、InstantGlaze(登録商標)には塗布に熱を要するという欠点があり、これは建築ラップのような特定の用途の顧客にとっては望ましくない。
【0084】
(実施例2〜17)
実施例2〜17において吹き付け可能な接着剤組成物の試料を表3の材料を混合することにより調製した。各材料の量は重量部とした。充填材1はCS−11ステアリン酸処理粉砕炭酸カルシウム充填材とした。充填材2は200m/gの表面積を有するM7D未処理ヒュームドシリカとした。充填材3はWinnofilSPM補強沈降炭酸カルシウム充填材とした。充填材4は100m/gの表面積を有するL90未処理ヒュームドシリカとした。充填材5はThixocarb500補強沈降炭酸カルシウム充填材とした。樹脂1はトリメチルシロキサン処理をしたシリコーン樹脂とした。ポリマー1は50,000cP(mPa.s)の粘度を有するヒドロキシル末端ジメチルシロキサンポリマーとした。ポリマー2は50,000cP(mPa.s)の粘度を有するシラノール末端ジメチルシリコーンポリマーとした。架橋剤1はビニルトリオキシミノシランとした。架橋剤2はメチルオキシミノシランとした。溶媒1はオクタメチルトリシロキサンとした。可塑剤1は100cStの粘度を有するトリメチルシリル末端ジメチルシリコーンポリマーとした。
【0085】
試料を参照例2の試験方法に従って評価した。結果を表4に示す。
【0086】
(比較例16〜28)
米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販の製品の試料を参照例2の試験方法を用いて評価した。結果を以下の表5に示す。
【0087】
(実施例18〜19及び比較例29〜37)
実施例18及び19を表6の材料を混合することにより調製した。ポリマー3は50,000cStの粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンとした。可塑剤1は米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションからDOW CORNING(登録商標)200 Fluidとして市販されている100cStの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。溶媒1は米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションからDOW CORNING(登録商標)200 Fluidとして市販されている1cStの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。粘着付与樹脂1は30%の溶媒中の70%のトリメチル末端キャップMQ樹脂とした。粘着付与樹脂1は4,000〜9,000のMw及び0.9〜1.1のM/Q比を有した。架橋剤1はビニルトリオキシミノシランとした。充填材3はWinnofil SPM補強沈降炭酸カルシウム充填材とした。樹脂1は14,000〜19,000のMwを有するトリメチル末端キャップMQ樹脂とした。
【0088】
市販の製品の試料を比較例29〜36として評価した。製品は以下のとおりとした。比較例29はプライマーなしで基材に塗布したDOW CORNING(登録商標)790とした。比較例30はプライマーなしで基材に塗布したDOW CORNING(登録商標)756とした。比較例31はプライマーなしで基材に塗布したDOW CORNING(登録商標)795とした。これらの製品のそれぞれは米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されている。
【0089】
比較例32は米国カリフォルニア州エルセガンドのHenry Companyから市販のHENRY 925 BESとした。
【0090】
比較例33は米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販のDOW CORNING(登録商標)757とした。
【0091】
比較例34はTremflex 834とし、比較例35はVulkem(登録商標)116とし、比較例36はCCW−704とし、比較例37はTrempro/Vulkem(登録商標)626としたが、これらはすべて米国オハイオ州ビーチウッドのTremco Commercial Sealants & Waterproofingから市販されている。
【0092】
試料を各種低表面エネルギー基材に塗布し、参照例3の条件下で硬化した。基材は以下のとおりとした。
【0093】
LDPEは低密度ポリエチレンである。HDPEは高密度ポリエチレンである。TEFLONはDu Pontから市販のポリテトラフルオロエチレンである。PPはポリプロピレンである。REISS RUBBERは、バージニア州ブラックストーンのReiss Manufacturingから市販されている50のデュロメーターを有する成形された過酸化物硬化シリコーンゴムである。FRCは繊維補強コンクリートである。BLACK DURANARはペンシルバニア州ピッツバーグのPPG Industries製のポリフッ化ビニリデンの黒色塗料、塗料コードUC40577を塗ったアルミニウムである。SSSS DURANARはこちらもPPG Industriesから市販のSunstorm Silversmith塗料を塗ったアルミニウムである。SA CONCは小骨材コンクリートである。LA CONCは大骨材コンクリートである。GALV STEELは亜鉛メッキ鋼である。ANDERSON VINYLはミネソタ州ベイポートのAnderson Windows(登録商標)のビニル押出物である。BROWN VINYLは窓用途のビニル押出物である。TREATED PINEは外装用途の加圧処理したマツである。DOUGLAS FIRは外装用途の染色したモミである。ANODIZED ALは陽極酸化アルミニウムである。GLASSは1/4インチ(0.635cm)厚の透明なフロートガラスである。PVCはポリ塩化ビニルである。GRANITEは花崗岩である。POWDER COATはポリエステル粉末塗料を塗ったアルミニウムである。PAINTED ALはPPG IndustriesのDURACRON塗料を塗ったアルミニウムである。OSBは配向ストランドボードである。WOOD COMPOSITEは低表面エネルギー木粉補強ポリエチレンデッキ材である。
【0094】
DP COMM WRAP DはTyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)Dであり、DP FLASHING TAPEはDuPont(商標)Flashing Tape(商標)であり、DP FLEX WRAPはDuPont(商標)FlexWrap(商標)であり、DP FLEXWRAP NFはDuPont(商標)FlexWrap(商標)NFであり、これらはすべて米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemoursから市販されている。DP Flashing Tapeは(その表面に印刷を有するので)吹き付け可能な接着剤組成物の塗布前にコロナ処理されており、他のdu Pont低表面エネルギー基材は表面処理されていないと考えられる。理論に縛られることを望むことなしに、表面処理は初期に各種組成物との接着性を向上させるが、表面処理は処理及び基材のタイプで異なる時間の後に効果がなくなると考えられる。
【0095】
GRACE WALL FLASHは米国マサチューセッツ州ケンブリッジのW.R.Grace & Co.Conn.から市販されているPerm−a−barrier Wall Flashingである。
【0096】
CARLISLE CCW−705は米国テキサス州ワイリーのCarlisleのCCW−705 Air & Vapour Barrierである。
【0097】
HENRY BSはBlueSkinであり、Henry BS SAはBlueSkin SAであり、Henry BS SALTはBlueSkin Self Adhesive Low Tempであり、Henry BS TWFはBlueSkin Thru Wall Flashingであり、これらはすべて米国カリフォルニア州エルセガンドのHenry Companyから市販されている自己接着性空気/蒸気バリア膜である。
【0098】
PW BT25XLはProtecto Wrap Butyl Hybrid 25XL Building Tapeであり、PW PS 45 FOIL FACEはProtecto Shield 45 Foil Faceであり、PW SUPERSTICKはProtecto Wrap Super Stick Building Tapeであり、PW SAFE SEALはProtecto Wrap Safe Sealであり、これらはすべて米国コロラド州デンバーのProtecto Wrap Companyから市販されている。
【0099】
次に得られた試料を参照例3の方法により評価した。ピーク剥離強度を参照例3の試験方法に従って各基材について測定した。各基材上の各試料を3回試験し、結果の平均であるピークpli及び凝集破壊%を計算した。各試料は(10未満の平均pliについて)0又は(10より大きい平均pliについて)1の点数を付けた。次に点数を各試料について平均化し、平均に10をかけ、評価を計算した。(点数について、ほとんどの基材に対して0は最低の接着性を表し、10は最高の接着性を表す。)結果を表7に示す。試験した製品及び基材について、実施例19はその他の製品と比較してほとんどの基材に対して最高の接着性を有していた。
【0100】
これらの試料について建築用途に一般的に用いられる3つの低表面エネルギー基材のピーク剥離強度(pli)及び凝集破壊%も比較した。結果は各試料についての3つの試験結果の平均であり、表8〜10に示す。これらの結果は実施例18及び19が比較例29〜37における市販の製品のいずれよりも良好な低表面エネルギー基材への接着性を有していたことを示す。
【0101】
実施例20
吹き付け可能な接着剤組成物は材料を以下に記載する量で混合することにより調製した。
量は重量部である。
樹脂1 0.2342
ポリマー1―50,000cP(mPa.s)の粘度を有するヒドロキシル末端ジメチルシロキサンポリマー 0.1914
充填材6―ステアリン酸処理沈降炭酸カルシウム 0.4736
架橋剤1―ビニルオキシモシラン 0.0158
溶媒1―オクタメチルトリシロキサン 0.0595
粘着付与樹脂1 0.0256
【0102】
ASTM C639により測定されるスランプは2.5mmであり、押出性能は120.3g/分だった。押出性能は90psi(621×103Pa)の腔圧で1/8”(0.32cm)ノズルを用いて測定し、結果はg/分であり、これは吹き付け可能な接着剤組成物がASTM C1183により測定される10mL/分より高い押出性能を有していたことを示した。
【0103】
吹き付け可能な接着剤組成物を周囲温度に21日間さらすことにより硬化した。接着剤生成物はガラス及び陽極酸化アルミニウム基材上でASTM C719による50%の動作性能を有していた。接着剤生成物はPTFE上で32.7pli(5726.8Nm−1)、LDPE上で24.0pli(4203.1Nm−1)、HDPE上で24.0pli(4203.1Nm−1)、及びPP上で26.7pli(4676.0Nm−1)の剥離接着性を有していた。
【0104】
【表3】

【0105】
COMMERCIAL WRAP基材に塗布した際に得られた結果
【表4】

【0106】
表中の略語を以下のとおり定義する:14dとは14日を意味し、RTとは室温を意味し、afとは接着破壊を意味し、cfとは凝集破壊を意味し、ptとは紙の引き裂きを意味し、基材破壊を示し、commercial wrapとは米国デラウェア州ウィルミントンのDuPontから市販されているTyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)を意味する。
【0107】
COMMERCIAL WRAP基材に塗布した際に得られた結果
【表5】

【0108】
表中の略語を以下のとおり定義する:14dとは14日を意味し、RTとは室温を意味し、afとは接着破壊を意味し、cfとは凝集破壊を意味し、ptとは紙の引き裂きを意味し、基材が破壊されたことを示し、commercial wrapとは米国デラウェア州ウィルミントンのDuPontから市販されているTyvek(登録商標)CommercialWrap(登録商標)を意味し、とは2つの試料のみが試験され、3番目が記録されかったことを意味する。
【0109】
実施例18及び19の材料
【表6】

【0110】
以下の表7では、「−」とはpliの値が記録されなかったことを意味する。
【0111】
実施例18及び19並びに比較例29〜37の結果
【表7−1】

【表7−2】

【0112】
LDPEの結果
【表8】

【0113】
TEFLONの結果
【表9】

【0114】
DP COMM WRAP Dの結果
【表10】

【0115】
上の表8〜10では、「7d RT」とは試験前に試料を7日間室温で硬化したことを意味する。「1d H2O」とは試験前に試料を7日間室温で硬化した後、1日間水中に浸漬したことを意味する。「7d H2O」とは試験前に試料を7日間室温で硬化した後、8日間水中に浸漬したことを意味する。「」とは製品が基材から剥がれ落ち、接着性の値を記録することができなかったことを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明に用いる接着剤組成物は吹き付け可能である。「吹き付け可能」とは接着剤組成物を標準コーキングガンで基材に塗布することができ、周囲温度より高い熱を必要としないことを意味する。(当業者であれば、周囲温度は季節及び場所によって異なるが、少なくとも20℃であり得ることを認識するだろう。)
【0117】
吹き付け可能な接着剤組成物が硬化若しくは固化し、又はその両方が起き、ウェザーバリアのような市販の建築用途において有用な接着剤生成物を形成する。吹き付け可能な接着剤組成物は、ポリエチレンのようなポリオレフィンを含む低エネルギー基材との未下塗り接着性をもたらす。ポリエチレンの例としては、米国デラウェア州ウィルミントンのDuPontから市販されているTYVEX(登録商標)wrap、tyvekinf@usa.dupont.com、並びに米国マサチューセッツ州ケンブリッジのW.R.Grace & Co.−Conn.のPerm−a−barrier(登録商標)及びBituthene(登録商標)が挙げられる。
【0118】
吹き付け可能な接着剤組成物を硬化することにより調製される接着剤生成物は熱膨張中に良好な応力緩和特性を有する。これにより接着剤生成物は木材/プラスチック複合体の製造に有用となる。例えば、住宅用デッキ材用途において、生成物は鼻隠を基部に接着するのに有用であり、向上した美観を提供し、作業を削減することができる。
【0119】
接着剤生成物は土台ラップ、壁バリアシート、雨押さえ、及び他のウェザーバリアのような建築用膜用途において有用である。
【0120】
吹き付け可能な接着剤組成物は自己平滑化性であるという追加の利点を提供することができる。接着剤生成物は高い剥離強度及びウェザーバリアと窓基材との間の接着もたらし、連続ウェザーバリアシステムを形成する性能という追加の利点を提供することができる。
【0121】
吹き付け可能な接着剤組成物は組成物を基材に塗布する前の2つ以上の部分の複雑な混合の必要性をなくす一液型接着剤組成物である。
【0122】
吹き付け可能な接着剤組成物は上述の低表面エネルギー基材に接着する接着剤生成物を形成し、吹き付け可能な接着剤組成物は建築産業において用いられる他の構造基材(窓基材)と接着することもできる。本出願の目的のため、「構造基材」とは建築産業において用いられ、低表面エネルギーを有さない基材を意味し、例としては木材;銅、陽極酸化アルミニウム、及び鋼のような金属;セラミック;ゴム入りアスファルト;コンクリート;ポリ塩化ビニル及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなプラスチック;並びにガラスが挙げられるが、これらに限定されない。吹き付け可能な接着剤組成物は建築用膜を構造体に接着するプライマーレスな方法に用いることができる。「プライマーレス」な手段とは、吹き付け可能な接着剤組成物の建築用膜及び/又は構造体への塗布前に別の接着促進剤を建築用膜、又は建築用膜を接着させる構造体に塗布する必要がないことを意味する。さらに、表面処理(例えばプラズマ、コロナ、オゾン若しくは酸化性酸による酸化、スパッタエッチング、又は電子ビーム処理)も必要ではなく、このステップを本方法から削除し、効率を高めることができる。本方法は表面処理を全く含まなくてもよい。「表面処理を全く含まない」とは、吹き付け可能な接着剤組成物の建築用膜及び/又は構造体への塗布前に、建築用膜、若しくは建築用膜を接着する構造体、又は両方に上述の表面処理を施さないことを意味する。
【0123】
吹き付け可能な接着剤組成物を硬化することにより調製される接着剤生成物は低温柔軟性及び透湿性の利点を提供することもできる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化して接着剤生成物となる吹き付け可能な接着剤組成物において、
該吹き付け可能な接着剤組成物は、
I)材料a)及びb)の混合物及び反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のR/P比をもたらす量で添加される成分と、
II)充填材と、
III)溶媒と、
任意で、IV)シラン架橋剤と、
任意で、V)触媒と、
を含み、
該吹き付け可能な接着剤組成物は、
ASTM C639により測定される0℃〜100℃の範囲の温度における0mm〜5mmの範囲のスランプ、及び
ASTM C1183により測定される10mL/分の最小値を有する押出性能
を有し、
該接着剤生成物は、
ASTM C719による+/−5%〜+/−50%の範囲の動作性能、
参照例3の修正ASTM C794により測定される少なくとも5pli(875.7Nm−1)の低表面エネルギー基材及び構造基材に対するピーク剥離強度
を有する、吹き付け可能な接着剤組成物。
【請求項2】
材料a)が、3,000より大きい重量平均分子量を有し、材料b)が25℃で0.02Pa・s〜100Pa・sの範囲の粘度を有する、請求項1に記載の吹き付け可能な接着剤組成物。
【請求項3】
接着促進剤、可塑剤、及びレオロジー調整剤から選択される材料をさらに含む、請求項1又は2に記載の吹き付け可能な接着剤組成物。
【請求項4】
前記触媒が存在する、前請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
適切な連続、半連続又はバッチプロセス中に存在する材料を混合してなる、前請求項のいずれかに記載の吹き付け可能なシール材の製造方法。
【請求項6】
連続方法からなる請求項5に記載の方法において、材料IV)が存在し、該方法は、
1) 材料III)を除去しながら材料I)、II)、及びIII)を連続混合装置に供給するステップと、
2) 材料IV)を添加するステップと、
任意で、
3) 追加溶媒を添加するステップと、
任意で、
4) 材料V)を添加するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
半連続方法からなる請求項5に記載の方法において、材料IV)が存在し、該方法は、
1) 材料I)、II)、及びIII)を予備混合するステップと、
2) 材料III)を除去しながらステップ1)の生成物を連続混合装置に供給するステップと、
3) 材料IV)を添加するステップと、
任意で
4) 追加溶媒を添加するステップと、
任意で
5) 材料V)を添加するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
バッチ方法からなる請求項5に記載の方法において、該方法は、
1) 材料III)を除去しながら材料I)、II)、III)、及びIV)を混合するステップと、
2) 追加溶媒を添加するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
バッチ方法からなる請求項5に記載の方法において、該方法は、
1) 材料I)、II)、III)、及びIV)を混合するステップを含む、方法。
【請求項10】
i) 請求項1〜4のいずれかに記載の吹き付け可能な接着剤組成物を建築用膜及び/又は構造体に塗布するステップと、
ii) 該吹き付け可能な接着剤組成物を固化して接着剤生成物を形成ステップと、iii) 該接着剤生成物によって該建築用膜を該構造体に接着するステップと、
を含み、
プライマーレスであり、表面処理を全く含まない、
建築用膜を構造体に接着する方法。
【請求項11】
i) 請求項1〜4のいずれか1項に記載の吹き付け可能な接着剤組成物を建築用膜に塗布するステップ、
ii) 該吹き付け可能な接着剤組成物を固化して接着剤生成物を形成ステップ、及び
iii) 該接着剤生成物によって該建築用膜を第2建築用膜に接着するステップ
を含み、
プライマーレスであり、表面処理を全く含まない、
方法。
【請求項12】
ステップii)がステップiii)前又はその間に行われる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
材料a)が3,000より大きい数平均分子量を有し、
材料b)が25℃で0.02Pa・s〜100Pa・sの範囲の粘度を有する、
請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記吹き付け可能な接着剤組成物が推進剤、接着促進剤、可塑剤、及びレオロジー調整剤から選択される材料をさらに含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップi)が周囲温度で行われる、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
I) 建築ラップ、及び
II) 該建築ラップの表面上の請求項1〜4のいずれかに記載の吹き付け可能な接着剤組成物の膜
を備える、バリア。
【請求項17】
材料a)が3,000より大きい数平均分子量を有し、
材料b)が25℃で0.02Pa・s〜100Pa・sの範囲の粘度を有する、
請求項16に記載のバリア。
【請求項18】
前記吹き付け可能な接着剤組成物、が推進剤、接着促進剤、可塑剤、及びレオロジー調整剤から選択される材料をさらに含む、請求項16又は請求項17に記載のバリア。
【請求項19】
前記建築ラップが、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16又は請求項17に記載のバリア。
【請求項20】
その表面に接着される請求項16又は請求項17に記載のバリアを備える構造体。
【請求項21】
前記バリアが土台ラップ、壁バリアシート、床材バリア及び外断熱仕上げシステムから選択される、請求項20に記載の構造体。
【請求項22】
I) 構造体、
II) 請求項1、2、3、又は4に記載の吹き付け可能な接着剤組成物を固化することにより調製される接着剤生成物の膜、及び
III)該接着剤生成物によって該構造体に接着される建築ラップ
を備える建築物。
【請求項23】
材料a)が3,000より大きい重量平均分子量を有し、
材料b)が25℃で0.02Pa・s〜100Pa・sの範囲の粘度を有する、
請求項22に記載の建築物。
【請求項24】
前記吹き付け可能な接着剤組成物が接着促進剤、可塑剤、及びレオロジー調整剤から選択される材料をさらに含む、請求項22又は請求項23に記載の建築物。
【請求項25】
前記建築ラップがポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項22又は請求項23に記載の建築物。
【請求項26】
i) 吹き付け可能な接着剤組成物を低表面エネルギー基材及び/又は構造基材に塗布するステップであって、該吹き付け可能な接着剤組成物が、
ASTM C639により測定される0℃〜100℃の範囲の温度での0mm〜5mmの範囲のスランプ、及び
ASTM C1183により測定される10mL/分の最小値を有する押出性能
を有するステップと、
ii) 該吹き付け可能な接着剤組成物を固化して接着剤生成物を形成するステップであって、該接着剤生成物が、
ASTM C719による+/−5%〜+/−50%の範囲の動作性能、
参照例3の修正ASTM C794により測定される少なくとも5pli(875.7Nm−1)の低表面エネルギー基材及び構造基材に対するピーク剥離強度
を有するステップと、
を含み、
これにより該接着剤生成物を該低表面エネルギー基材及び該構造基材に接着する、方法。
【請求項27】
i) 吹き付け可能な接着剤組成物を低表面エネルギー基材と構造基材との隙間に塗布するステップであって、該吹き付け可能な接着剤組成物が、
ASTM C639により測定される0℃〜100℃の範囲の温度での0mm〜5mmの範囲のスランプ、及び
ASTM C1183により測定される10mL/分の最小値を有する押出性能
を有するステップと、
ii) 該吹き付け可能な接着剤組成物を固化して接着剤生成物を形成するステップであって、該接着剤生成物が、
ASTM C719による+/−5%〜+/−50%の範囲の動作性能、
参照例3の修正ASTM C794により測定される少なくとも5pli(875.7Nm−1)の低表面エネルギー基材及び構造基材に対するピーク剥離強度
を有するステップと、
を含む方法。
【請求項28】
前記吹き付け可能な接着剤組成物が、
I) 材料a)及びb)の混合物及び反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のR/P比をもたらす量で添加される成分と、
II) 充填材と、
III) 溶媒と、
任意で、
IV) シラン架橋剤と、
任意で、
V) 請求項1に記載の触媒と、
を含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
I) 材料a)及びb)の混合物及び反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される成分であって、
材料a)がシリコーン樹脂であり、
材料b)がオルガノポリシロキサンであり、
該シリコーン樹脂及び該オルガノポリシロキサンが58%〜64%の範囲のR/P比をもたらす量で添加される成分と、
II) 充填材と、
III) 溶媒と、
任意で、
IV) シラン架橋剤と、
任意で、
V) 触媒と、
を含む、固化して接着剤生成物を形成する吹き付け可能な接着剤組成物。

【公表番号】特表2012−528928(P2012−528928A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514185(P2012−514185)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/037450
【国際公開番号】WO2010/141852
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】