説明

建築用面材

【課題】補強用リブが容易に形成されるとともにスタッキングの効率がよい建築用面材を提供する。
【解決手段】石膏ボード10を断面略コ字状に成形することで、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とを面状部100に一体成形することができ、建築用面材1を容易に製造することができる。また、第二補強用リブ102の厚さ寸法Lが第一補強用リブ101の厚さ寸法Lに比べて面状部100の厚さ寸法tだけ小さいため、第二補強用リブ102と面状部100の一方の平面103とが当接するようにスタッキングすることで、スタッキングした2枚の建築用面材1の厚さを1枚の建築用面材1の厚さに収めることができる。そのため、建築用面材1の運搬、保管に省スペースを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用面材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物では壁材などの建築用面材として石膏ボードが利用されている。石膏ボードの強度を大きくするために、石膏ボードの裏面両端部に木製の補強用リブを取り付けて建築用面材が構成されている。そして、この建築用面材が面方向に沿って複数枚並んで配置されることで、内壁の下地材が構成される。
従来の建築用面材では補強用リブが木材から形成されているので、森林保護の観点から好ましくない。そのため、石膏ボードの裏面に複数の溝を形成し、溝に沿って石膏ボードを折り曲げて補強用リブを形成する従来例(例えば、特許文献1参照)がある。ここで、石膏ボードの裏面に形成された補強用リブは、ボード厚さ方向の厚さ寸法が互いに同じとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−273263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来例では、溝を形成する工程と、それに続く折り曲げ工程とを実施しなければならず、建築用面材を簡単に製造することができない。その上、左右に配置された補強用リブの厚さ寸法が同じであるため、補強用リブの底面同士が当接するように2枚の建築用面材をスタッキングする場合には、その厚さ寸法が大きくなりすぎて保管に大きなスペースが必要となる。また、2枚の建築用面材をオフセットしてスタッキングする場合も、運搬性が悪い。図7には、石膏ボード50に厚さ寸法Mが同じ補強用リブ51、51が設けられた2枚の建築用面材5、5をオフセットしてスタッキングした状態が示されている。石膏ボード50の厚さ寸法tに相当する隙間Sが石膏ボード50に当接していない補強用リブ51の底面に隣接して生じることになり、スタッキング効率が悪い。また、スタッキングした建築用面材5がかさ張り、持ち運びしにくいため、運搬性も悪い。
【0005】
本発明の目的は、補強用リブが容易に形成されるとともにスタッキングの効率がよい建築用面材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の建築用面材は、以下の構成を備える。
すなわち、本発明は、図面も参照して説明すると、面状部100と、この面状部100の互いに反対側に向く2つの平面のうち少なくとも一方の平面103に間隔を離して設けられる第一補強用リブ101および第二補強用リブ102を備え、前記面状部100と第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とが主に石膏またはケイ酸カルシウムなどの無機材料から形成される建築用面材1であって、前記第一補強用リブ101と前記第二補強用リブ102とが前記面状部100に一体成形され、前記第一補強用リブ101と前記第二補強用リブ102との前記面状部100の厚さ方向の厚さ寸法L、Lが前記面状部100の厚さ寸法tだけ相違することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とが面状部100に一体成形されるため、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とを面状部100とは別に形成する手間を省くことができる。
また、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とが面状部100に強固に結合されているため、建築用面材1の強度を確実に向上することができる。
さらに、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102との面状部100の厚さ方向の厚さ寸法が面状部100の厚さ寸法だけ相違するため、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102との内で面状部100の厚さ方向の厚さ寸法が小さい方と、面状部100の一方の平面103とが当接するようにスタッキングすることで、スタッキングした2枚の建築用面材1の厚さを1枚の建築用面材1の厚さに収めることができる。そのため、所定のスペースにより多くの建築用面材1をスタッキングすることができ、建築用面材1の保管に省スペースを図ることができる。
また、スタッキングした2枚の建築用面材1が面一の状態となり、持ち易いとともに束ね易いため、運搬性を向上することができる。
【0008】
この際、本発明の建築用面材1では、前記面状部100の一方の平面103側、かつ前記第一補強用リブ101と前記第二補強用リブ102との間には、合板12が取り付けられていることが好ましい。
この構成によれば、面状部100を貫通した釘やビスが合板12に係止されるため、面状部100に釘打ちやビス止めができる。
【0009】
また、本発明の建築用面材1では、前記面状部100の一方の平面103側、かつ前記第一補強用リブ101と前記第二補強用リブ102とが設けられていない方向の少なくとも一端には、アングル材11が取り付けられていることが好ましい。
この構成によれば、アングル材11を梁32や根太などの建物躯体に釘30打ちすることで、建築用面材1を容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建築用面材の斜視図。
【図2】(A)、(B)は建築用面材製造装置の概略構成図。
【図3】前記建築用面材の取り付け状態を示す縦断面図。
【図4】前記建築用面材のスタッキング状態を示す斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る建築用面材の斜視図。
【図6】前記建築用面材のスタッキング状態を示す斜視図。
【図7】従来例に係る建築用面材のスタッキング状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る建築用面材の斜視図であり、図2(A)、(B)は石膏ボード製造装置の概略構成図であり、図3は建築用面材1の取り付け状態を示す縦断面図であり、図4は建築用面材1のスタッキング状態を示す斜視図である。
【0012】
図1において、建築用面材1は、石膏ボード10と、この石膏ボード10に取り付けられたアングル材11とを備えている。
【0013】
石膏ボード10は、平面矩形状の面状部100と、この面状部100にそれぞれ一体成形された第一補強用リブ101および第二補強用リブ102とを有している。これらの面状部100と第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とは石膏又はケイ酸カルシウムなどの無機材料からなり、これらの表面には図示しない石膏ボード用原紙が貼り付けられている。
【0014】
第一補強用リブ101は、X方向を幅方向とし、Y方向を高さ方向とし、XY平面と直行する方向を厚さ方向とすると、幅寸法Lかつ厚さ寸法Lの断面矩形状とされるものであり、面状部100の幅方向の一端にY方向に沿って設けられている。
第二補強用リブ102は、幅寸法Lかつ厚さ寸法Lの断面矩形状とされるものであり、面状部100の幅方向の他端にY方向に沿って設けられている。
なお、幅寸法L、Lが同じ寸法(L=L)に形成されるとともに、第一補強用リブ101の厚さ寸法Lが、面状部100の厚さ寸法tと第二補強用リブ102の厚さ寸法Lとの和と同じ寸法(L=L+t)に形成されている。また、幅寸法L、Lは同じ寸法でもよく、相違した寸法でもよい。
アングル材11は、面状部100の一方の平面103側、かつ高さ方向の両端に接着剤などで取り付けられている。
【0015】
ここで、面状部100と第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とは、図2(A)、(B)に示すように、石膏ボード製造装置2によって一体成形される。なお、図2(B)は、図2(A)のB−B線に沿う断面図である。すなわち、図2(A)に示すように、ベルトコンベア20などの搬送装置上に図示しない石膏ボード用原紙が繰り出され、この石膏ボード用原紙上にミキサー21から石膏スラリー22が吐出され、この石膏スラリー22を同軸異径の3つの筒状部からなるローラー23で押圧する。これにより、図2(B)に示すように、面状部100と第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とが一体成形される。この後、ローラー23で押圧された押圧面24には、図示しない石膏ボード用原紙が貼り付けられる。そして、所定の長さに粗切断され、乾燥工程を経た後、図示しない切断装置によって所定長の石膏ボード10に裁断される。なお、面状部100に第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とを一体成形する製造方法は図2に示すものに限定されない。
【0016】
図3は建築用面材1の施工の一例である。図3に示される通り、建築用面材1は内壁として用いられており、上端のアングル材11を介して梁32に固定される。つまり、アングル材11は、図3に示すように、釘30などが挿通される穴110を有している。穴110を介して天井31と梁32とに釘30を打つとともに、下端のアングル材11の穴110を介して図示しない床と根太とに釘30を打つことで、建築用面材1が固定される。そして、建築用面材1が面方向に並べて固定されることで内壁の下地材が形成される。
【0017】
図4には建築用面材1のスタッキング状態を示す斜視図が示されている。
以上の建築用面材1は、図4に示すように、第二補強用リブ102と一方の平面103とが当接するように2枚の建築用面材をオフセットしてスタッキングすることで、スタッキングした2枚の建築用面材1の厚さ寸法が第一補強用リブ101の厚さ寸法L、すなわち1枚の建築用面材1の厚さ寸法に収まる。従って、この状態では、図7に示される従来例のように角部に凹みが生じない。
【0018】
従って、第1実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とが面状部100に一体成形されるため、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とを面状部100とは別に形成する手間を省くことができ、建築用面材1の製造効率を向上することができる。また、第一補強用リブ101と第二補強用リブ102とが面状部100に強固に結合されているため、建築用面材1の強度を確実に向上することができる。
【0019】
(2)第一補強用リブ101の厚さ寸法Lが、面状部100の厚さ寸法tと第二補強用リブ102の厚さ寸法Lとの和と同じ寸法(L=L+t)に形成されているため、第二補強用リブ102と面状部100の一方の平面103とが当接するようにスタッキングすることで、スタッキングした2枚の建築用面材1の厚さを1枚の建築用面材1の厚さに収めることができる。そのため、所定のスペースにより多くの建築用面材1をスタッキングすることができ、建築用面材1の保管に省スペースを図ることができる。また、スタッキングした2枚の建築用面材1が面一の状態となり、スタッキングした2枚の建築用面材1を複数段スタッキングしても持ちやすいとともに束ねやすいため、運搬性を向上することができる。
【0020】
(3)さらに、アングル材11を梁32や根太などの建物躯体に釘30打ちすることで、建築用面材1を容易に取り付けることができる。
【0021】
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。図5は本発明の第2実施形態に係る建築用面材の斜視図である。第2実施形態は第1実施形態とは合板12を備える点が相違するもので、他の構成は第1実施形態と同じである。ここで、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の構成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にする。
【0022】
第2実施形態では、図5に示すように、面状部100の一方の平面103側、かつ第一補強用リブ101と第二補強用リブ102との間に酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤などを介して合板12が接着されたものである。
合板12は、高さ寸法が面状部100と同じ寸法に形成されるとともに、幅寸法が第一補強用リブ101と第二補強用リブ102との間隔と同じ寸法に形成され、平面矩形状に形成されている。
また、第一補強用リブ101は幅寸法Lかつ厚さ寸法Lの断面矩形状とされるものであり、面状部100の幅方向の一端に設けられている。第二補強用リブ102は幅寸法Lかつ厚さ寸法Lの断面矩形状とされるものであり、面状部100の幅方向の他端に設けられている。そして、幅寸法L、Lが同じ寸法(L=L)に形成されるとともに、第一補強用リブ101の厚さ寸法Lが、第二補強用リブ102の厚さ寸法Lと面状部100の厚さ寸法tと合板12の厚さ寸法tとの和と同じ寸法(L=L+t+t)に形成されている。なお、幅寸法L、Lは同じ寸法でもよく、相違した寸法でもよい。
【0023】
図6には建築用面材1のスタッキング状態を示す斜視図が示されている。
以上の建築用面材1は、図6に示すように、第二補強用リブ102と合板12とが当接するように2枚の建築用面材をオフセットしてスタッキングすることで、スタッキングした2枚の建築用面材1の厚さ寸法が第一補強用リブ101の厚さ寸法L、すなわち1枚の建築用面材1の厚さ寸法に収まる。従って、この状態でも、図7に示される従来例のように角部に凹みが生じない。
【0024】
従って、第2実施形態では、第1実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を奏する他、次の効果を奏することができる。
(4)合板12を面状部100に取り付けたから、面状部100を貫通した釘やビスが合板12に係止されるため、面状部100に釘打ちやビス止めができる。
【0025】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、建築用面材1はアングル材11を備えているが、アングル材11はなくてもよい。つまり、建築用面材1を接着剤などで天井と床とに固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は戸建て住宅、集合住宅、その他の建物に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1…建築用面材、11…アングル材、12…合板、100…面状部、101…第一補強用リブ、102…第二補強用リブ、103…一方の平面、L…厚さ寸法、L…厚さ寸法、t…面状部の厚さ寸法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状部と、この面状部の互いに反対側に向く2つの平面のうち少なくとも一方の平面に間隔を離して設けられる第一補強用リブおよび第二補強用リブを備え、前記面状部と第一補強用リブと第二補強用リブとが主に石膏またはケイ酸カルシウムなどの無機材料から形成される建築用面材であって、
前記第一補強用リブと前記第二補強用リブとが前記面状部に一体成形され、
前記第一補強用リブと前記第二補強用リブとの前記面状部の厚さ方向の厚さ寸法が前記面状部の厚さ寸法だけ相違することを特徴とする建築用面材。
【請求項2】
請求項1に記載の建築用面材において、
前記面状部の一方の平面側、かつ前記第一補強用リブと前記第二補強用リブとの間には、合板が取り付けられていることを特徴とする建築用面材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建築用面材において、
前記面状部の一方の平面側、かつ前記第一補強用リブと前記第二補強用リブとが設けられていない方向の少なくとも一端には、アングル材が取り付けられていることを特徴とする建築用面材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−26877(P2011−26877A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174996(P2009−174996)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】