説明

建設機械の草刈用アタッチメント

【課題】簡素かつ安価な構成で、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる建設機械の草刈用アタッチメントを提供する。
【解決手段】ハンマーナイフ24を有する回転体25と、この回転体25を収納するとともに回転可能に支持するケーシング26と、回転体25を回転させる回転体用油圧モータとを備え、油圧ショベルのアーム15の先端部に設けられた草刈用アタッチメント16において、ケーシング26は、地面等の接触物から与えられる外力によって上下方向に回動するように、アーム15の先端側に回動可能に連結されており、ケーシング26を所定の姿勢に復帰させる方向の回動力を付与するコイルバネを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に係わり、特に、建設機械の作業機の先端部に設けられた建設機械の草刈用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の一つである油圧ショベルは、一般に、下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、この上部旋回体に俯仰可能に設けられた多関節型の作業機(フロント装置)とを備えている。作業機は、上部旋回体に対し上下方向に回動可能に設けられたブームと、このブームの先端に上下方向に回動可能に連結されたアームと、このアームの先端に回動可能に連結された標準装備のアタッチメントであるバケットとを備えており、ブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、及びアタッチメント用油圧シリンダの伸縮駆動によりそれぞれ回動するようになっている。
【0003】
また、油圧ショベルは、多様な使用目的に対応するため、標準装備のバケットに代えて、オプション装備のアタッチメントを装着可能としており、その一つとして草刈用アタッチメント(草刈機)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の草刈用アタッチメントは、カッター(草刈刃)を有する回転体と、この回転体を収納するとともに回転可能に支持するカバーと、回転体を回転させる回転体用油圧モータとを備えている。また、アームの先端に回動可能に連結されるとともにリンク機構を介しアタッチメント用油圧シリンダに接続され、アタッチメント用油圧シリンダの伸縮によって回動するブラケットを備えている。そして、カバーは、ブラケットに対し略水平方向に回転可能に設けられており、カバー用油圧モータの駆動により回転するようになっている。また、左右のチルトシリンダの伸縮駆動により、水平線に対する傾斜角が変化するようになっている。
【0005】
また、特許文献1に記載の油圧ショベルは、ブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、アタッチメント用油圧シリンダ、及び旋回用油圧シリンダを操作する2つの十字操作式の操作レバーと、これら操作レバーのグリップ部に設けられた第1のスイッチ群、第2のスイッチ群、及び第3のスイッチ群(詳細には、一対のプッシュ式スイッチでそれぞれ構成されたもの)とを備えている。そして、第1のスイッチ群の操作によって回転体用油圧モータを正回転又は逆回転させ、第2のスイッチ群の操作によってカバー用油圧モータを正回転又は逆回転させ、第3のスイッチ群の操作によって左右のチルトシリンダのうちのいずれか一方を伸長させ他方を縮短させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−163442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術では、草刈用アタッチメントを用いて草刈作業を行う際、まず準備段階として、十字操作式の操作レバーを操作して草刈用アタッチメントの位置を調整し、第2及び第3のスイッチ群を操作して草刈用アタッチメント(言い換えれば、回転体)の向きや傾斜角を調整する。そして、第1のスイッチ群を操作して回転体を回転させつつ、油圧ショベルの走行等によって草刈用アタッチメントを所定の作業方向に移動させて、草刈作業を行うようになっている。このような草刈作業において、草刈用アタッチメントの移動方向に沿って地面の起伏が変化することがある。このとき、仮に、草刈用アタッチメントの移動とともにその傾斜角を変化させないのであれば、準備段階で地面の局部的に高い部分に合わせるように草刈用アタッチメントの高さや傾斜角を調整しなければならないし、草刈用アタッチメントで刈られた草の長さ(詳細には、地面からの長さ)が不均一となって全体的に長くなる。そのため、地面の起伏の変化に追従して草刈用アタッチメントの傾斜角を変化させたいという要望があった。これを解決するための方法の一つとして、地面の起伏の変化に追従するように運転者が草刈用アタッチメントの傾斜角を操作する方法が考えられるものの、その場合には、運転者に相応の技量を要し、負担がかかる。また、別の方法として、地面の起伏の変化を検出して草刈用アタッチメントの姿勢を制御する電子機器等を用いる方法が考えられるものの、その場合には、部品点数が多くなるばかりか、コスト高となる。
【0008】
本発明の目的は、簡素かつ安価な構成で、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる建設機械の草刈用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、草刈刃を有する回転体と、前記回転体を収納するとともに回転可能に支持するケーシングと、前記回転体を回転させる回転体用モータとを備え、建設機械の作業機の先端部に設けられた建設機械の草刈用アタッチメントにおいて、前記ケーシングは、地面等の接触物から与えられる外力によって上下方向に回動するように、前記作業機の先端側に回動可能に設けられており、前記ケーシングを所定の姿勢に復帰させる方向の回動力を付与する少なくとも1つの弾性体を設ける。
【0010】
建設機械の走行等によって草刈用アタッチメントを移動させて草刈作業を行う際に、草刈用アタッチメントの移動方向に沿って地面等の起伏が変化する場合を想定して、本発明の作用効果を説明する。例えば、草刈用アタッチメントのケーシングは、最初、その下部が地面と接触しなければ、地面から外力が与えられないので、弾性体の回動力によって所定の姿勢となる。その後、ケーシングの回動方向一方側の地面がある程度盛り上がって接触し、その地面から外力が与えられると、弾性体の回動力に抵抗しつつ回動方向他方側に回動する。その後、ケーシングの回動方向一方側の地面が盛り下がって接触しなくなり、地面からの外力が与えられなくなると、弾性体の回動力によって所定の姿勢に復帰する。このように本発明においては、地面の起伏の変化に追従するように運転者が草刈用アタッチメントの傾斜角を操作しなくとも、また地面等の起伏の変化を検出してケーシングの姿勢を制御する電子機器等を用いなくとも、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる。すなわち、簡素かつ安価な構成で、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記作業機の先端側に回動可能に連結されるとともにリンク機構を介しアタッチメント用油圧シリンダに接続されて、前記アタッチメント用油圧シリンダの伸縮駆動によって回動する連結金具を備えており、前記ケーシングは、地面等の接触物から与えられる外力によって回動するように、前記連結金具に回動可能に連結される。
【0012】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記弾性体は、コイルバネであり、前記コイルバネが外周側に配設されたバネ支持軸を有し、前記バネ支持軸は、起端側が前記ケーシングに回動可能に連結されるとともに、前記連結金具のバネ係合板に形成された貫通穴に挿通されており、前記連結金具に対する前記ケーシングの回動に伴い前記バネ支持軸に沿って移動する前記バネ係合板によって、前記コイルバネが伸縮するように構成される。
【0013】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記コイルバネは、複数あり、前記バネ支持ロッドの外周側に前記バネ係合板を挟んで直列配置される。
【0014】
(5)上記(3)において、好ましくは、前記コイルバネ、前記バネ支持軸、及び前記バネ係合板は、複数組あり、前記ケーシングの回動支点を間に並列配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡素かつ安価な構成で、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態における草刈用アタッチメントが設けられた小型の油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。
【図2】図1中II部を拡大した側面図であり、本発明の一実施形態における草刈用アタッチメントの全体構造を表す。
【図3】図2中矢視III方向から見た草刈用アタッチメントの前面図である。
【図4】図2中IV部を拡大した側面図であり、本発明の一実施形態における草刈用アタッチメントの連結金具及びバネ支持構造を表す。
【図5】図4中矢視断面V−Vにおける断面図である。
【図6】本発明の一実施形態における草刈用アタッチメントの動作の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施形態における草刈用アタッチメントの連結金具及びバネ支持構造を表す側面図である。
【図8】図7中矢視断面VIII−VIIIにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本実施形態における草刈用アタッチメントが設けられた小型の油圧ショベル(ミニショベル)の全体構造を表す側面図である。なお、以降、油圧ショベルが図1に示す状態にて操作者が運転席に着座した場合における操作者の前側(図1中左側)、後側(図1中右側)、左側(図1中紙面に向かって手前側)、右側(図1中紙面に向かって奥側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
【0019】
この図1において、油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体1と、この下部走行体1上に旋回可能に設けた上部旋回体2と、この上部旋回体2の基礎下部構造をなす旋回フレーム3と、この旋回フレーム3の前側に左右方向に回動可能に設けられたスイングポスト4と、このスイングポスト4に上下方向に回動可能(俯仰可能)に連結された多関節型の作業機5と、旋回フレーム4上に設けたキャノピータイプの運転室6と、旋回フレーム4上の運転室6以外の大部分を覆う外装カバー7とを備えている。
【0020】
下部走行体1は、上方から見て略H字形状のトラックフレーム8と、このトラックフレーム8の左右両側の後端近傍に回転可能に支持された左右の駆動輪9,9と、トラックフレーム8の左右両側の前端近傍に回転可能に支持された左右の従動輪(アイドラ)10,10と、左右それぞれの駆動輪9と従動輪10とで掛けまわされた左右の履帯(クローラ)11,11とを備えている。そして、左の走行用油圧モータ(図示せず)の駆動により左の駆動輪9(すなわち、左の履帯11)が回転し、右の走行用油圧モータ(図示せず)の駆動により右の駆動輪9(すなわち、右の履帯11)が回転するようになっている。
【0021】
トラックフレーム8の前側には排土用のブレード12が上下動可能に設けられており、このブレード12はブレード用油圧シリンダ(図示せず)の伸縮駆動により上下動するようになっている。
【0022】
トラックフレーム8の中央部には旋回輪13が設けられ、この旋回輪13を介し旋回フレーム3が旋回可能に設けられており、旋回フレーム3(すなわち、上部旋回体2)は旋回用油圧モータ(図示せず)の駆動により旋回するようになっている。
【0023】
スイングポスト4は、旋回フレーム3の前側に左右方向に回動可能に設けられており、スイング用油圧シリンダ(図示せず)の伸縮駆動により左右方向に回動するようになっている。これにより、作業機5が左右にスイングするようになっている。
【0024】
作業機5は、スイングポスト4に上下方向に回動可能に連結されたブーム14と、このブーム14に上下方向に回動可能に連結されたアーム15と、このアーム15に上下方向に回動可能に連結されたオプション装備の草刈用アタッチメント16とを備えている。ブーム14、アーム15、及び草刈用アタッチメント16は、ブーム用油圧シリンダ17、アーム用油圧シリンダ18、及びアタッチメント用油圧シリンダ19により上下方向に回動するようになっている。なお、草刈用アタッチメント16は、標準装備のアタッチメントであるバケットや、他のオプション装備のアタッチメント(詳細には、例えばクラッシャ、ブレーカ、又はオーガ)等と交換可能にしている。
【0025】
運転室6には、運転者が着座する運転席(座席)20が設けられている。運転席20の前方には、手または足で操作可能とし前後方向に操作することで左右の旋回用油圧モータの動作を指示する左右の走行用操作レバー21,21が設けられている。左の走行用操作レバー21のさらに左側の足元部分には、左右方向に操作することで草刈用アタッチメント19の回転体用モータ(詳細は後述)の動作を指示するオプション用操作ペダル(図示せず)が設けられている。右の走行用操作レバー21のさらに右側の足元部分には、左右方向に操作することでスイング用油圧シリンダの動作を指示するスイング用操作ペダル(図示せず)が設けられている。
【0026】
運転席20の左側には、前後方向に操作することでアーム用油圧シリンダ18の動作を指示し、左右方向に操作することで旋回用油圧モータの動作を指示する十字操作式のアーム・旋回用操作レバー22Aが設けられている。運転席20の右側には、前後方向に操作することでブーム用油圧シリンダ17の動作を指示し、左右方向に操作することアタッチメント用油圧シリンダ19の動作を指示する十字操作式のブーム・アタッチメント用操作レバー22B(図示せず)が設けられている。また、運転席20の右側には、前後方向に操作することでブレード用油圧シリンダの動作を指示するブレード用操作レバー23が設けられている。
【0027】
次に、本実施形態の要部である草刈用アタッチメント16の構造について説明する。図2は、図1中II部を拡大した側面図であり、本実施形態における草刈用アタッチメントの全体構造を表す。図3は、図2中矢視III方向から見た草刈用アタッチメントの前面図である。図4は、図2中IV部を拡大した側面図であり、本実施形態における草刈用アタッチメントの連結金具及びバネ支持構造を表す。図5は、図4中矢視断面V−Vにおける断面図である。
【0028】
これら図2〜図5において、草刈用アタッチメント16は、いわゆるハンマーナイフモアであって、外周側に複数のハンマーナイフ24(草刈刃)が配列された回転体25と、この回転体25を収納するとともに回転可能に支持するケーシング26と、回転体25を回転させる回転体用モータ(図示せず。詳細には、例えば油圧モータ若しくは電動モータ)と、ケーシング26をアーム15の先端部に連結する連結金具27とを備えている。そして、例えば回転体25の軸方向に対してほぼ垂直な方向(図3中左右方向)に草刈用アタッチメント16を移動させつつ、回転体用モータによって回転体25を回転させることにより、草刈作業が行えるようになっている。
【0029】
連結金具27は、左右の縦板28,28と、これら左右の縦板28,28の間で接合された横板29と、左右の縦板28,28の間で接合された略L字状のバネ係合板30とで構成されている。そして、連結金具27は、アーム15の先端部に回動可能に連結されるとともに、第1リンク31及び左右の第2リンク32,32からなるリンク機構を介しアタッチメント用油圧シリンダ19に接続されている。
【0030】
詳しく説明すると、連結金具27の縦板28,28には、アーム連結用の連結穴28a,28aとリンク連結用の連結穴28b,28bが形成されている。そして、連結金具27の連結穴28a,28aとアーム15の先端部の第1連結穴に回動軸33Aが挿着されている。これにより、連結金具27がアーム15の先端部に回動可能に連結されている。また、連結金具27の連結穴28b,28bと第1リンク31の一方側(図2中下側)端部のボス部に回動軸33Bが挿着されている。また、第1リンク31の他方側(図2中上側)端部に形成された一対のボス部がアクチュエータ用油圧シリンダ19のロッド先端のボス部を挟込むとともに、それらボス部の両側を第2リンク32,32の一方側(図2中左側)端部で挟込み、それら第2リンク32,32の一方側端部の連結穴と前述した第1リンク31の他方側端部のボス部及びアクチュエータ用油圧シリンダ19のロッド先端のボス部に回動軸33Cが挿着されている。また、第2リンク32,32の他方側(図2中右側)端部の連結穴とアーム15の先端の第2連結穴に回動軸33Dが挿着されている。このような構造により、アタッチメント用油圧シリンダ19の伸縮駆動によって、連結金具27がアーム15に対し回動するようになっている。
【0031】
ここで、本実施形態の大きな特徴として、ケーシング26は、地面等の接触物から与えられる外力によって上下方向に回動するように、連結金具27に回動可能に連結されている。詳細には、連結金具27の縦板28,28には、ケーシング連結用の連結穴28c,28cが形成され、ケーシング26の一対のブラケット34,34には、連結穴34a,34aが形成されている。そして、対応する連結金具27の連結穴28cとケーシング26の連結穴34aに回動ピン35が挿着されることにより、ケーシング26が連結金具27に対し回動可能に連結されている。また、ケーシング26の下部(すなわち、地面との接触部)には、ケーシング26の回動方向の一方側(図2中左側)及び他方側(図2中右側)にそれぞれ位置し、回転体24の軸方向に対して垂直方向(図3中左右方向)に延在する略直線状のソリ36A,36B(詳細には、図3で示すように、両側端部に傾斜部が形成されたもの)が設けられている。
【0032】
そして、例えばケーシング26の回動方向一方側の地面がケーシング26の回動方向他方側の地面より盛り上がってケーシング26のソリ部36Aに当接するような場合は、その当接した地面から外力が与えられて、ケーシング26が回動方向他方側に回動する。また、例えばケーシング26の回動方向他方側の地面がケーシング26の回動方向一方側の地面より盛り上がってケーシング26のソリ部36Bに当接するような場合は、その当接した地面から外力が与えられて、ケーシング26が回動方向他方側に回動するようになっている。
【0033】
また、ケーシング26の上部には、起端側(図4中下側)が連結ピン37を介し回動可能に連結されたバネ支持軸38が設けられており、このバネ支持軸38は、連結金具27のバネ係合板30に形成された貫通穴(例えば長穴)30aに挿通されている。これにより、ケーシング26が連結金具27に対し回動すると、バネ支持軸38がバネ係合板30の貫通穴30aに挿通されつつ回動する。このとき、バネ係合板30は、バネ支持軸38に沿って移動するようになっている。
【0034】
バネ支持軸38の外周側には、バネ係合板30を挟んでコイルバネ39A,39B(弾性体)が直列配置されている。コイルバネ39Aは、バネ支持軸38におけるバネ係合板30より起端側に配置されており、バネ係合板30とケーシング26の上部によって伸縮長さが制限されている。コイルバネ33Bは、バネ支持軸38におけるバネ係合板30より先端側(図4中上側)に配置されており、バネ係合板30とバネ支持軸38の外周側に遊嵌された円環状の押さえ板40によって伸縮長さが制限されている。なお、押さえ板40及びコイルバネ33Bがバネ支持軸38より抜けないように、バネ支持軸38の先端には抜止めピン41が設けられている。
【0035】
コイルバネ39A,39Bは、例えば自然長より縮短された状態で配設されており、上述した地面等の接触物からの外力がケーシング26に働かなければ、コイルバネ39A,39Bのバネ力が釣り合うことにより、ケーシング26を所定の姿勢(本実施形態では、連結金具27の横板29に対して回転体24の軸方向が平行となるようなケーシング26の所定の回動角)に維持するようになっている。
【0036】
そして、例えば上述したようにケーシング26の回動方向一方側(図2中左側)の地面がケーシング26の回動方向他方側(図2中右側)の地面より盛り上がって、その当接した地面から外力が与えられてケーシング26が所定の姿勢状態から回動方向他方側に回動すると(但し、所定の姿勢状態からの最大回動角は5度程度)、バネ係合板30がバネ支持軸38の起端側に移動し、これによって起端側のコイルバネ39Aが縮短する(このとき、先端側のコイルバネ39Bは伸長するが、自然長になってもよいし、自然長より短くなってもよい)。このコイルバネ39Aのバネ力の影響により、ケーシング26を所定の姿勢に復帰させる方向の回動力(詳細には、回動方向一方側への回動力)が付与される。そのため、その後、例えばケーシング26の回動方向一方側の地面が盛り下がれば、ケーシング26が回動方向一方側に回動するようになっている。また、例えば上述したようにケーシング26の回動方向他方側の地面がケーシング26の回動方向一方側の地面より盛り上がって、その当接した地面から外力が与えられてケーシング26が所定の姿勢状態から回動方向一方側に回動すると(但し、所定の姿勢状態からの最大回動角は5度程度)、バネ係合板30がバネ支持軸38の先端側に移動し、これによって先端側のコイルバネ39Bが縮短する(このとき、基端側のコイルバネ39Aは伸長するが、自然長になってもよいし、自然長より短くなってもよい)。このコイルバネ39Bのバネ力の影響により、ケーシング26を所定の姿勢に復帰させる方向の回動力(詳細には、回動方向他方側への回動力)が付与される。そのため、その後、例えばケーシング26の回動方向他方側の地面が盛り下がれば、ケーシング26が回動方向一方側に回動するようになっている。
【0037】
以上のように構成された油圧ショベルの動作を説明する。例えば油圧ショベルを停車させた状態で油圧ショベルの前方領域の草刈作業を行うことを意図した場合、運転者がオプション用操作ペダルを操作して草刈用アタッチメント16の回転体25を回転させつつ、スイング用操作ペダルを操作してスイングポスト4すなわち作業機5を左右にスイングさせる。あるいは、例えば油圧ショベルを走行させながら草刈作業を行うことを意図した場合、運転者がスイング用操作ペダルを操作してスイングポスト4すなわち作業機5を油圧ショベルの側方に配置し、その後、オプション用操作ペダルを操作して草刈用アタッチメント16の回転体25を回転させつつ、走行用操作レバー21を操作して油圧ショベルを走行させる。なお、草刈用アタッチメント16の位置に関しては、例えば、ブーム・アタッチメント用操作レバー22Bを前後方向に操作してブーム16を上下させたり、旋回・アーム用操作レバー22Aを前後方向に操作してアーム17を上下方向に回動させたりして設定する。また、草刈用アタッチメント16の初期姿勢(言い換えれば、上述したケーシング26の所定の姿勢)に関しては、ブーム・アタッチメン用操作レバー22Bを左右方向に操作して草刈用アタッチメント16を上下方向に回動させて設定する。
【0038】
このような草刈作業を行う際に草刈用アタッチメント16の移動方向に沿って地面等の起伏が変化する場合があり、このような場合を想定して本実施形態の作用効果を説明する。最初、例えば図6中二点鎖線で示す地面Gのような起伏である場合、草刈用アタッチメント16のケーシング26のソリ36A,36Bは地面Gと接触せず、ケーシング26はコイルバネ39A,39Bの回動力によって所定の姿勢(図中では水平姿勢)となる。その後、例えば図6中実線で示す地面Gのような起伏に変化すると、すなわち、ケーシング26の回動方向一方側(図中左側)の地面が盛り上がってケーシング26のソリ36Aに接触すると、ケーシング26はその地面からの外力によってコイルバネ39Bの回動力に抵抗しつつ回動方向他方側(図中右側)に回動する。その後、ケーシングの回動方向一方側の地面が盛り下がってケーシング26のソリ36Aに接触しなくなると、ケーシング26はコイルバネ39Bの回動力によって所定の姿勢に復帰する。
【0039】
また、図示しないが、ケーシング26の回動方向他方側の地面が盛り上がってケーシング26のソリ36Bに接触すると、ケーシング26はその地面からの外力によってコイルバネ39Aの回動力に抵抗しつつ回動方向一方側に回動する。その後、ケーシング26の回動方向他方側の地面が盛り下がってケーシング26のソリ36Bに接触しなくなると、ケーシング26はコイルバネ39Aの回動力によって所定の姿勢に復帰する。
【0040】
このように本実施形態においては、地面の起伏の変化に追従するように運転者が草刈用アタッチメント16の傾斜角を操作しなくとも、また地面等の起伏の変化を検出してケーシング26の姿勢を制御する電子機器等を用いなくとも、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる。すなわち、簡素かつ安価な構成で、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる。
【0041】
本発明の他の実施形態を図7及び図8により説明する。本実施形態は、コイルバネ39A,39B等を並列配置した実施形態である。なお、本実施形態において、上記一実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0042】
図7は、本実施形態における草刈用アタッチメントの連結金具及びバネ支持構造を表す側面図である。図8は、図7中矢視断面VIII−VIIIにおける断面図である。
【0043】
本実施形態では、連結金具27は、左右の縦板28,28と、これら左右の縦板28,28の間で接合された横板29と、左右の縦板28,28の間で接合された略L字状のバネ係合板30A,30Bとで構成されている。バネ係合板30Aは、ケーシング26の回動支点である回動ピン35より回動方向他方側(図7中右側)に配置され、バネ係合板30Aは、ケーシング26の回動支点である回動ピン35より回動方向一方側(図7中左側)に配置されている。
【0044】
ケーシング26の上部には、起端側(図中下側)が連結ピン37Aを介し回動可能に連結されたバネ支持軸38Aが設けられており、このバネ支持軸38Aは、連結金具27のバネ係合板30Aに形成された貫通穴(例えば長穴)30aに挿通されている。これにより、ケーシング26が連結金具27に対し回動すると、バネ支持軸38Aがバネ係合板30Aの貫通穴30aに挿通されつつ回動する。このとき、バネ係合板30Aは、バネ支持軸38Aに沿って移動するようになっている。なお、バネ係合板30Aの貫通穴30aからバネ支持軸38Aが抜けないように、押さえ板40A及び抜止めピン41Aが設けられている。
【0045】
バネ支持軸38Aの外周側にはコイルバネ39Aが配設されている。このコイルバネ39Aは、バネ支持軸38Aにおけるバネ係合板30Aより起端側に配置されており、バネ係合板30Aとケーシング26の上部によって伸縮長さが制限されている。
【0046】
同様に、ケーシング26の上部には、起端側(図中下側)が連結ピン37Bを介し回動可能に連結されたバネ支持軸38Bが設けられており、このバネ支持軸38Bは、連結金具27のバネ係合板30Bに形成された貫通穴(例えば長穴)30aに挿通されている。これにより、ケーシング26が連結金具27に対し回動すると、バネ支持軸38Bがバネ係合板30Bの貫通穴30aに挿通されつつ回動する。このとき、バネ係合板30Bは、バネ支持軸38Bに沿って移動するようになっている。なお、バネ係合板30Bの貫通穴30aからバネ支持軸38Bが抜けないように、押さえ板40B及び抜止めピン41Bが設けられている。
【0047】
バネ支持軸38Bの外周側にはコイルバネ39Bが配設されている。このコイルバネ39Bは、バネ支持軸38Bにおけるバネ係合板30Bより起端側に配置されており、バネ係合板30Bとケーシング26の上部によって伸縮長さが制限されている。
【0048】
そして、例えばケーシング26の回動方向一方側(図7中左側)の地面がケーシング26の回動方向他方側(図7中右側)の地面より盛り上がって、その当接した地面から外力が与えられてケーシング26が所定の姿勢状態から回動方向他方側に回動すると(但し、所定の姿勢状態からの最大回動角は5度程度)、バネ係合板30Aがバネ支持軸38Aの起端側に移動し、これによってコイルバネ39Aが縮短する(このとき、バネ係合板30Bがバネ支持軸38Bの先端側に移動し、これによってコイルバネ39Bは伸長するが、自然長になってもよいし、自然長より短くなってもよい)。このコイルバネ39Aのバネ力の影響により、ケーシング26を所定の姿勢に復帰させる方向の回動力(詳細には、回動方向一方側への回動力)が付与される。そのため、その後、例えばケーシング26の回動方向一方側の地面が盛り下がれば、ケーシング26が回動方向一方側に回動するようになっている。また、例えばケーシング26の回動方向他方側の地面がケーシング26の回動方向一方側の地面より盛り上がって、その当接した地面から外力が与えられてケーシング26が所定の姿勢状態から回動方向一方側に回動すると(但し、所定の姿勢状態からの最大回動角は5度程度)、バネ係合板30Bがバネ支持軸38Bの起端側に移動し、これによってコイルバネ39Bが縮短する(このとき、バネ係合板30Aがバネ支持軸38Aの先端側に移動し、これによってコイルバネ39Aは伸長するが、自然長になってもよいし、自然長より短くなってもよい)。このコイルバネ39Bのバネ力の影響により、ケーシング26を所定の姿勢に復帰させる方向の回動力(詳細には、回動方向他方側への回動力)が付与される。そのため、その後、例えばケーシング26の回動方向他方側の地面が盛り下がれば、ケーシング26が回動方向一方側に回動するようになっている。
【0049】
以上のように構成された本実施形態においても、上記一実施形態と同様、簡素かつ安価な構成で、容易に地面等の起伏の変化に追従して草刈作業を行うことができる。
【0050】
なお、上記実施形態においては、2つのコイルバネ39A,39Bを直列配置又は並列配置した場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば3つ以上のコイルバネを直列配置又は並列配置してもよい。また、例えばケーシング26を所定の姿勢に復帰させる方向の回動力が十分に得られるならば、コイルバネを1つとしてもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、上記実施形態においては、草刈用アタッチメント16は、いわゆるハンマーナイフモアとした場合(すなわち、草刈用アタッチメントの進行方向が限定されており、ケーシング26に一対の略直線状のソリ36A,36Bを設けた場合)を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばいわゆるロータリモアとしてもよい。この場合には、草刈用アタッチメントの進行方向が限定されず、ケーシングに略円環状のソリ部を設けることが考えられるので、ケーシングはユニバーサルジョイントを介して連結金具に連結してもよい。そして、ケーシングの回動方向がユニバーサルとなることから、2つ以上の回動方向にそれぞれ対応するようにコイルバネ等を配設してもよい。このような変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、弾性体としてコイルバネ39A,39Bを用いた場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば板バネ等を用いてもよい。このような変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、以上においては、本発明の適用対象として、スイング式の油圧ショベル(詳細には、ブーム14がスイングポスト4を介し旋回フレーム3の前側に連結されたもの)を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばオフセット式の油圧ショベル(詳細には、旋回フレームに上下方向に回動可能に連結されたロアブーム及びこのロアブームの先端に左右方向に回動可能に連結されたアッパーブームからなり、このアッパーブームの回動により左右方向に偏心するブームを備えたもの)等に適用してもよい。また、本発明の適用対象として、クローラ式の油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、例えばホイール式の油圧ショベル等に適用してもよい。また、油圧ショベル以外の他の建設機械に適用してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
5 作業機
16 草刈用アタッチメント
19 アタッチメント用油圧シリンダ
24 ハンマーナイフ(草刈刃)
25 回転体
26 ケーシング
27 連結金具
30,30A,30B バネ係合板
30a 貫通穴
31 第1リンク
32 第2リンク
38,38A,38B バネ支持軸
39A,39B コイルバネ(弾性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈刃を有する回転体と、前記回転体を収納するとともに回転可能に支持するケーシングと、前記回転体を回転させる回転体用モータとを備え、建設機械の作業機の先端部に設けられた建設機械の草刈用アタッチメントにおいて、
前記ケーシングは、地面等の接触物から与えられる外力によって上下方向に回動するように、前記作業機の先端側に回動可能に設けられており、
前記ケーシングを所定の姿勢に復帰させる方向の回動力を付与する少なくとも1つの弾性体を設けたことを特徴とする建設機械の草刈用アタッチメント。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の草刈用アタッチメントにおいて、
前記作業機の先端側に回動可能に連結されるとともにリンク機構を介しアタッチメント用油圧シリンダに接続されて、前記アタッチメント用油圧シリンダの伸縮駆動によって回動する連結金具を備えており、
前記ケーシングは、地面等の接触物から与えられる外力によって上下方向に回動するように、前記連結金具に回動可能に連結されたことを特徴とする建設機械の草刈用アタッチメント。
【請求項3】
請求項2記載の建設機械の草刈用アタッチメントにおいて、
前記弾性体は、コイルバネであり、
前記コイルバネが外周側に配設されたバネ支持軸を有し、
前記バネ支持軸は、起端側が前記ケーシングに回動可能に連結されるとともに、前記連結金具のバネ係合板に形成された貫通穴に挿通されており、
前記連結金具に対する前記ケーシングの回動に伴い前記バネ支持軸に沿って移動する前記バネ係合板によって、前記コイルバネが伸縮するように構成されたことを特徴とする草刈用アタッチメント。
【請求項4】
請求項3記載の建設機械の草刈用アタッチメントにおいて、
前記コイルバネは、複数あり、前記バネ支持ロッドの外周側に前記バネ係合板を挟んで直列配置されたことを特徴とする建設機械の草刈用アタッチメント。
【請求項5】
請求項3記載の建設機械の草刈用アタッチメントにおいて、
前記コイルバネ、前記バネ支持軸、及び前記バネ係合板は、複数組あり、前記ケーシングの回動支点を間に並列配置されたことを特徴とする建設機械の草刈用アタッチメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−34631(P2012−34631A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177824(P2010−177824)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】