説明

建設機械

【課題】 フロアマットをフロア部材の床板部に確実に固定する。
【解決手段】 キャノピ18を構成する中空な前側取付部材19をフロア部材8の前側に固定し、この前側取付部材19の開口端19Cに、フロアマット28に設けた嵌合部32を嵌合させる構成とする。これにより、フロアマット28は、中央開口部30が走行レバー・ペダル装置16に嵌合し、右側開口部31がオフセット用ペダル装置17に嵌合することに加え、嵌合部32の筒状突起部32Bを、前側取付部材19の開口端19Cに嵌合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に、床板上にフロアマットが設けられた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
ここで、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレーム上に設けられた運転席と床板部とを有するフロア部材と、該フロア部材の運転席を上方から覆うキャノピと、フロア部材の床板部に設けられたフロアマットとにより大略構成されている。
【0004】
そして、フロアマットは、オペレータが床板部を足場として運転席に乗降するときのスリップを防止すると共に、運転席に着席したオペレータの靴から落ちた泥等を受け、これら泥等の汚れがフロア部材に付着するのを抑えるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−149040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来技術によるフロアマットは、通常、ゴム等の可撓性材料を用いて平板状に形成され、運転席の前側に配置されたレバー・ペダル装置に対応する位置には開口部が設けられている。そして、フロアマットは、開口部をレバー・ペダル装置に挿通した状態で床板部の上面に載置され、該床板部を覆う構成となっている。
【0007】
このように、従来技術によるフロアマットは、単に床板部の上面に載置されるだけであるため、フロアマットの洗浄時等において該フロアマットを床板部に取付ける作業を容易に行うことができる反面、オペレータの乗降時にフロアマットが床板部に対して位置ずれし易くなるという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、フロアマットをフロア部材の床板部に確実に固定することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレーム上に設けられオペレータが着席する運転席と該運転席の前側に位置して前記オペレータの足場となる床板部とを有するフロア部材と、該フロア部材に取付けられ前記運転席を上方から覆うキャノピと、前記フロア部材の床板部に設けられるフロアマットとを備えてなる建設機械に適用される。
【0010】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記キャノピは、端面が開口した中空部材からなり前記フロア部材の前側に取付けられる前側取付部材と、前記フロア部材の後側に取付けられる後側取付部材と、これら前,後の取付部材に固着され上,下方向に延びた複数の支柱と、該各支柱に取付けられ前記運転席を覆うルーフとにより構成し、前記フロアマットには、前記前側取付部材の開口端に嵌合し該フロアマットを前記フロア部材に対して固定させる嵌合部を設けたことにある。
【0011】
請求項2の発明は、前記フロアマットは、前記フロア部材の床板部を覆うマット本体と、該マット本体の前側に設けられ前記運転席の前側に配置されたレバー・ペダル装置が挿通される開口部と、該開口部よりも前側に位置して前記マット本体の前端部に設けられた前記嵌合部とにより構成したことにある。
【0012】
請求項3の発明は、前記キャノピの前側取付部材は閉断面構造を有する筒体として形成し、前記フロアマットの嵌合部は、前記前側取付部材の開口端と対面する位置に設けられ該開口端に嵌合することにより液密に施蓋する筒状突起として構成したことにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、キャノピを構成する前側取付部材をフロア部材の前側に取付け、この前側取付部材の開口端にフロアマットの嵌合部を嵌合させることにより、キャノピの前側取付部材を利用して、フロアマットをフロア部材の床板部に確実に固定することができる。これにより、床板部に対するフロアマットの位置ずれを抑え、オペレータが運転席に乗降するときのスリップを確実に防止できる上に、オペレータの靴から落ちた泥等をフロアマットによって確実に受けることができる。
【0014】
また、フロアマットの嵌合部を前側取付部材の開口端から抜取ることにより、フロアマットをフロア部材から容易に取外すことができ、洗浄時等においてフロアマットを着脱するときの作業性を高めることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、フロアマットの開口部を運転席の前側に配置されたレバー・ペダル装置に挿通すると共に、フロアマットの嵌合部をキャノピの前側取付部材の開口端に嵌合させることにより、フロアマットをフロア部材に対して適正な位置に位置決めした状態で固定することができ、マット本体によって床板部を確実に覆うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、フロアマットの嵌合部を、前側取付部材の開口端と対面する位置に設けられ該開口端に嵌合してこれを液密に施蓋する筒状突起として構成することにより、雨水等が前側取付部材の内部に侵入して錆等が発生するのを抑え、前側取付部材を含むキャノピの強度を長期に亘って保つことができる。また、例えばフロアマットとは別部材からなるプラグ(封止栓)等を用いて前側取付部材の開口端を施蓋する場合に比較して、部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図中、1は油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられたオフセット式の作業装置4とにより大略構成されている。
【0019】
ここで、作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前部側に取付けられたロアブーム4Aと、該ロアブーム4Aの先端側に取付けられたアッパブーム4Bと、該アッパブーム4Bの先端側に取付けられたアーム支持体4Cと、該アーム支持体4Cの先端側に取付けられたアーム4Dと、該アーム4Dの先端側に取付けられたバケット4Eと、ロアブーム4Aとアーム支持体4Cとの間を連結するリンクロッド4Fと、ロアブーム4Aを上,下方向に回動(俯仰動)させるブームシリンダ4Gと、アーム4Dを回動させるアームシリンダ4Hと、バケット4Eを回動させるバケットシリンダ4Iと、アッパブーム4Bを左,右方向に揺動させるオフセットシリンダ4Jとにより大略構成されている。
【0020】
そして、作業装置4は、オフセットシリンダ4Jによりアッパブーム4Bをロアブーム4Aに対して左,右方向に平行移動(オフセット)した状態で、ブームシリンダ4Gによってロアブーム4Aを俯仰動させ、アームシリンダ4Hによってアーム4Dを回動させ、バケットシリンダ4Iによってバケット4Eを回動させることにより、道路脇の側溝等の掘削作業を行うものである。
【0021】
一方、上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に設けられた支持構造体をなす旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の後端部に設けられ作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン、油圧ポンプ等の搭載機器(図示せず)を覆う外装カバー7と、後述のフロア部材8、キャノピ18、フロアマット28等により大略構成されている。
【0022】
ここで、上部旋回体3は、例えば下部走行体2の車幅内で旋回できるように、上方からみてほぼ円形状に形成されている(図2参照)。また、上部旋回体3の後端部の旋回半径は、カウンタウエイト6の外側面によって規定されており、カウンタウエイト6は、上部旋回体3の後端部の旋回半径を小さくするため、できるだけ前側(作業装置4側)に寄せて配置されている。
【0023】
8はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に配設されたフロア部材で、該フロア部材8は、図4に示すように、後述の床板部9、レバー・ペダル取付板10、前側キャノピ取付板11、運転席台座12、後側キャノピ取付板13等により構成されている。
【0024】
9は後述の運転席14に着席したオペレータの足場を形成する床板部で、該床板部9は、左,右方向に長尺なほぼ長方形の平板状に形成されている。そして、床板部9の上面側には、後述のフロアマット28が配設される構成となっている。また、床板部9の前端側には、左,右方向に延びるレバー・ペダル取付板10が設けられ、該レバー・ペダル取付板10には、後述の走行レバー・ペダル装置16を取付けるための走行レバー・ペダル取付開口10Aと、後述のオフセット用ペダル装置17を取付けるためのペダル取付開口10Bとが設けられている。
【0025】
11はレバー・ペダル取付板10の前端部に設けられた前側キャノピ取付板で、該前側キャノピ取付板11は、L字状に折曲げられた強度部材により構成され、レバー・ペダル取付板10に沿って左,右方向に延びている。そして、前側キャノピ取付板11には、後述するキャノピ18の前側取付部材19が取付けられる構成となっている。
【0026】
12は床板部9の後側に設けられた運転席台座で、該運転席台座12は、床板部9の後部側から上方に立上がる箱状に形成されている。そして、運転席台座12上には、後述する運転席14が取付けられる構成となっている。
【0027】
13は運転席台座12の後端部に設けられた後側キャノピ取付板で、該後側キャノピ取付板13は、運転席台座12の後端部から後方へと略水平に張出している。そして、後側キャノピ取付板13には、後述するキャノピ18の後側取付部材20が取付けられる構成となっている。
【0028】
14はオペレータが着席する運転席で、該運転席14は、上述したフロア部材8の運転席台座12上に取付けられるものである。そして、図1及び図3に示すように、運転席14の左,右両側には、作業装置4を操作するための操作レバー装置15,15が設けられ、運転席14の前側には、後述の走行レバー・ペダル装置16,16と、オフセット用ペダル装置17とが設けられている。
【0029】
16,16は運転席14の前側に配置された左,右の走行レバー・ペダル装置で、該各走行レバー・ペダル装置16は、運転席14に着席したオペレータによって操作されることにより、下部走行体2の走行を制御するものである。17は走行レバー・ペダル装置16の右側に配置されたオフセット用ペダル装置で、該オフセット用ペダル装置17は、オペレータによって操作されることにより、作業装置4のオフセットシリンダ4Jを伸縮させ、アッパブーム4Bを左,右方向にオフセットするものである。
【0030】
18はフロア部材8に取付けられたキャノピで、該キャノピ18は、運転席14を上方及び右側方から覆うものである。ここで、キャノピ18は、図5等に示すように、後述の前側取付部材19、後側取付部材20、各支柱21,22,24、キャノピルーフ25等を備えた3柱式キャノピとして構成されている。
【0031】
19はフロア部材8の前側に取付けられる前側取付部材で、該前側取付部材19は、左,右方向に延びる長方形状をなす平板状の底板19Aと、該底板19Aの上面側に溶接等の手段を用いて固着された断面コ字状のみぞ形鋼19Bとにより、強固な閉断面構造を有する中空な角筒体として形成されている。
【0032】
ここで、左,右方向に延びる前側取付部材19の右側の端面には、後述する右前支柱21の下端部が溶接等によって固着され、前側取付部材19の左側の端面は四角形状に開口した開口端19Cとなっている。そして、前側取付部材19は、フロア部材8の前側キャノピ取付板11に複数のボルトを用いて固定される構成となっている。
【0033】
20はフロア部材8の後側に取付けられる後側取付部材で、該後側取付部材20は、左,右方向に延びる平板状に形成され、その上面側には後述の右後支柱22と左後支柱24の下端部が溶接等によって固着されるものである。そして、後側取付部材20は、フロア部材8の後側キャノピ取付板13に複数のボルトを用いて固定される構成となっている。
【0034】
21は前側取付部材19の右端側に溶接等によって固着され上,下方向に延びた右前支柱で、該右前支柱21は、例えばパイプ材等を用いて形成されている。ここで、右前支柱21の上端側は、後方に向けてL字状に湾曲した湾曲部21Aとなっている。
【0035】
22は後側取付部材20の右端側に溶接等によって固着され上,下方向に延びた右後支柱で、該右後支柱22は、例えばパイプ材等を用いて形成され、その上端側は前方に向けてL字状に湾曲した湾曲部22Aとなっている。そして、右前支柱21の湾曲部21Aと右後支柱22の湾曲部22Aとは、接合部23において溶接等の手段を用いて接合され、右前支柱21と右後支柱22は、後述のキャノピルーフ25を取付けるための強固な枠体を構成している。
【0036】
24は後側取付部材20の左端側に溶接等によって固着され上,下方向に延びた左後支柱で、該左後支柱24は、例えばパイプ材等を用いて形成され、下端部が後側取付部材20に固着され、上端部が右後支柱22の湾曲部22Aに固着されている。
【0037】
25は右前支柱21と右後支柱22とに取付けられたキャノピルーフで、該キャノピルーフ25は、薄肉な鋼板等を用いて形成され、運転席14を上方から覆う天蓋部25Aと、運転席14を右側方から覆う右側壁部25Bとにより構成されている。
【0038】
26は右前支柱21等に固着されたガード部材(手摺り)で、該ガード部材26は、U字状に折曲げたパイプ材等によって構成され、右前支柱21から前側取付部材19に沿って左,右方向に延びている。そして、ガード部材26は、運転席14等を前方から保護するもので、ガード部材26の右端側には夜間作業用の照明機器27が取付けられている。
【0039】
28はフロア部材8の床板部9上に設けられるフロアマットで、該フロアマット28は、図4、図6ないし図8等に示すように、後述のマット本体29、各開口部30,31、嵌合部32等により構成され、例えばゴム材料を用いて一体形成されている。そして、フロアマット28は、オペレータが床板部9を足場として運転席14に乗降するときのスリップを防止すると共に、運転席14に着席したオペレータの靴から落ちた泥等を受け、これら泥等の汚れが床板部9等に付着するのを抑えるものである。
【0040】
29はキャノピ18の前側取付部材19と運転席14との間に配置されたマット本体で、該マット本体29は、フロア部材8の床板部9に沿ってほぼ水平に延びる底面部29Aと、該底面部29Aの後端縁部及び右端縁部から上向きに突出した突堤部29Bとを有している。これにより、フロア部材8の床板部9上に配設したフロアマット28に洗浄水を吹付けたときに、この洗浄水が底面部29Aの周囲に飛散するのを突堤部29Bによって抑え、突堤部29Bが設けられていない底面部29Aの左端側から洗浄水を外部に排出することができる構成となっている。
【0041】
30はマット本体29の前側中央部に設けられた中央開口部で、該中央開口部30は、走行レバー・ペダル装置16が挿通されるものである。31はマット本体29の右前側に設けられた右側開口部で、該右側開口部31は、オフセット用ペダル装置17が挿通されるものである。ここで、中央開口部30の周縁部には、洗浄水等が中央開口部30を通じてフロアマット28の下方に流れるのを抑える突堤部30Aが突設され、右側開口部31の周縁部には、洗浄水等が右側開口部31を通じてフロアマット28の下方に流れるのを抑える突堤部31Aが突設されている。
【0042】
そして、フロアマット28をフロア部材8の床板部9上に配設するときには、図7に示すように、中央開口部30に走行レバー・ペダル装置16のパイロット弁が嵌合し、右側開口部31にオフセット用ペダル装置17のパイロット弁が嵌合することにより、フロアマット28を、床板部9に対して位置決めすることができる構成となっている。
【0043】
32はマット本体29の前端部に一体に設けられた嵌合部で、該嵌合部32は、図6ないし図8に示すように、中央開口部30の左前側に位置してマット本体29の底面部29Aから立上る立上り部32Aと、該立上り部32Aのうち前側取付部材19の開口端19Cと対面する右端面から右方に突出した筒状突起部32Bとにより構成されている。そして、嵌合部32は、前側取付部材19の開口端19Cと対面する位置に設けられた筒状突起部32Bを、開口端19Cに嵌合することにより、前側取付部材19を利用して、フロアマット28をフロア部材8に確実に固定させるものである。
【0044】
ここで、嵌合部32の筒状突起部32Bは、図8に示すように、左,右方向で対面する前側取付部材19の開口端19Cに嵌合することにより、該開口端19Cを液密に施蓋する構成となっている。また、嵌合部32の立上り部32Aは、図7に示すように、筒状突起部32Bを前側取付部材19の開口端19Cに嵌合させた状態で、当該前側取付部材19の外側面に滑らかに連続するものである。
【0045】
このように、フロアマット28に設けた嵌合部32が、前側取付部材19の開口端19Cに嵌合してこれを液密に施蓋することにより、前側取付部材19の内部に雨水や洗浄水等が侵入して錆等が発生するのを抑え、前側取付部材19を含むキャノピ18の強度を長期に亘って保つことができる構成となっている。また、嵌合部32の立上り部32Aが、前側取付部材19の外側面に滑らかに連続することにより、前側取付部材19と嵌合部32との境界部分を目立たなくすることができる構成となっている。
【0046】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、運転席14に着席したオペレータは、左,右の走行レバー・ペダル装置16を操作して油圧ショベル1を所望の作業場所まで自走させた後、左,右の操作レバー装置15、オフセット用ペダル装置17等を操作することにより、作業装置4を用いて側溝等の掘削作業を行うことができる。
【0047】
ここで、フロア部材8の床板部9上にはフロアマット28が配置され、このフロアマット28によって、オペレータが運転席14に乗降するときのスリップを防止すると共に、運転席14に着席したオペレータの靴から落ちた泥等を受けることができる。
【0048】
そして、本実施の形態では、泥等が付着したフロアマット28を洗浄した後、このフロアマット28をフロア部材8に取付けるときの作業性を高めることができるようになっており、以下、フロアマット28の取付作業について説明する。
【0049】
まず、フロアマット28の取付作業に際しては、図7に示すように、フロアマット28の中央開口部30に走行レバー・ペダル装置16を挿通すると共に、右側開口部31にオフセット用ペダル装置17を挿通した状態で、フロア部材8の床板部9上にマット本体29を配置する。
【0050】
このとき、フロアマット28の中央開口部30に走行レバー・ペダル装置16のパイロット弁が嵌合し、右側開口部31にオフセット用ペダル装置17のパイロット弁が嵌合することにより、フロアマット28をフロア部材8に対して適正な位置に位置決めすることができる。
【0051】
この状態で、図7に示すように、フロアマット28に設けた嵌合部32の筒状突起部32Bを、キャノピ18を構成する前側取付部材19の開口端19Cに対面させ、該開口端19C内に嵌合部32の筒状突起部32Bを押込むことにより嵌合させる。この結果、フロアマット28をフロア部材8の床板部9を覆う位置に位置決めした状態では、該フロアマット28をフロア部材8に確実に固定することができる。
【0052】
かくして、本実施の形態によれば、キャノピ18を構成する中空な前側取付部材19をフロア部材8の前側に固定し、この前側取付部材19の開口端19Cに、フロアマット28に設けた嵌合部32を嵌合させる構成としている。これにより、フロアマット28は、中央開口部30が走行レバー・ペダル装置16に嵌合し、右側開口部31がオフセット用ペダル装置17に嵌合することに加え、嵌合部32の筒状突起部32Bを、前側取付部材19の開口端19Cに嵌合させることができる。
【0053】
これにより、フロアマット28を、フロア部材8の床板部9を覆う位置に確実に固定することができる。従って、オペレータが運転席14に乗降するときのスリップを確実に防止できる上に、オペレータの靴から落ちた泥等をフロアマット28によって確実に受けることができる。
【0054】
一方、汚れたフロアマット28を取外して洗浄するときには、フロアマット28の嵌合部32(筒状突起部32B)を弾性変形させ、前側取付部材19の開口端19Cから抜取ることにより、フロアマット28をフロア部材8から容易に取外すことができ、洗浄時においてフロアマット28を着脱するときの作業性を高めることができる。
【0055】
また、フロアマット28に設けた嵌合部32が、前側取付部材19の開口端19Cに嵌合してこれを液密に施蓋することにより、前側取付部材19の内部に雨水や洗浄水等が侵入して錆等が発生するのを抑えることができるので、前側取付部材19を含むキャノピ18の強度を長期に亘って保つことができる。
【0056】
さらに、例えばフロアマット28とは別部材からなるプラグ(封止栓)等を用いて前側取付部材19の開口端19Cを施蓋する場合に比較して、このプラグ等を不要とすることができる分、部品点数を削減することができる。しかも、図7に示すように、嵌合部32の筒状突起部32Bを前側取付部材19の開口端19Cに嵌合させた状態で、嵌合部32の立上り部32Aは、前側取付部材19の外側面に滑らかに連続する。これにより、前側取付部材19と嵌合部32との境界部分を目立たなくすることができ、油圧ショベル1の外観品質を高めることができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、ゴム材料を用いて1枚の平板状に形成したフロアマット28に嵌合部32を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばフロアマットを前側フロアマットと後側フロアマットとに2分割し、前側フロアマットに嵌合部を設ける構成としてもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態では、右前支柱21、右後支柱22、左後支柱24を備えた3柱式のキャノピ18を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば右前支柱、右後支柱、左前支柱、左後支柱からなる4本の支柱を備えた4柱キャノピを用いてもよい。一方、例えば右前支柱、右後支柱からなる2本の支柱を備えた2柱キャノピを用いてもよい。
【0059】
さらに、上述した実施の形態では、建設機械として油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
【図3】作業装置を取外した油圧ショベルを図1中の矢示III−III方向からみた左側面図である。
【図4】フロア部材、キャノピ、フロアマットを示す分解斜視図である。
【図5】キャノピを単体で示す斜視図である。
【図6】フロアマットを単体で示す斜視図である。
【図7】フロアマットの嵌合部をキャノピの前側取付部材に嵌合させた状態を示す要部拡大の斜視図である。
【図8】フロアマットの嵌合部がキャノピの前側取付部材に嵌合する前の状態を示す要部拡大の斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
5 旋回フレーム
8 フロア部材
9 床板部
14 運転席
16 走行レバー・ペダル装置
18 キャノピ
19 前側取付部材
19C 開口端
21 右前支柱
22 右後支柱
24 左後支柱
25 キャノピルーフ
28 フロアマット
29 マット本体
30 中央開口部
32 嵌合部
32B 筒状突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、
前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレーム上に設けられオペレータが着席する運転席と該運転席の前側に位置して前記オペレータの足場となる床板部とを有するフロア部材と、該フロア部材に取付けられ前記運転席を上方から覆うキャノピと、前記フロア部材の床板部に設けられるフロアマットとを備えてなる建設機械において、
前記キャノピは、端面が開口した中空部材からなり前記フロア部材の前側に取付けられる前側取付部材と、前記フロア部材の後側に取付けられる後側取付部材と、これら前,後の取付部材に固着され上,下方向に延びた複数の支柱と、該各支柱に取付けられ前記運転席を覆うルーフとにより構成し、
前記フロアマットには、前記前側取付部材の開口端に嵌合し該フロアマットを前記フロア部材に対して固定させる嵌合部を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記フロアマットは、前記フロア部材の床板部を覆うマット本体と、該マット本体の前側に設けられ前記運転席の前側に配置されたレバー・ペダル装置が挿通される開口部と、該開口部よりも前側に位置して前記マット本体の前端部に設けられた前記嵌合部とにより構成してなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記キャノピの前側取付部材は閉断面構造を有する筒体として形成し、前記フロアマットの嵌合部は、前記前側取付部材の開口端と対面する位置に設けられ該開口端に嵌合することにより液密に施蓋する筒状突起として構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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