説明

建設機械

【課題】 チルトフロアをチルトダウンしたときに、簡単な構成でフロア取付板に対して位置合わせでき、チルトフロアとフロア取付板との取付作業を容易にする。
【解決手段】 チルトフロア9の後側に位置する取付板部11には係合穴25を設ける。また、旋回フレーム5側のフロア取付板24には、防振部材29を取付けるための取付ボス26が設けられており、この既存の取付ボス26の上部をフロア取付板24の上面側から上方に突出させることにより突状部26Bを形成している。従って、チルトフロア9をチルトダウンしたときには、フロア取付板24側の突状部26Bをチルトフロア9側の係合穴25に係合させることにより、この係合によってチルトフロア9を前後方向、左,右方向に移動して、フロア取付板24の所定の取付位置に自動的に案内することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設建設に関し、特に、旋回フレームに対してフロアが傾転可能となった建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルには、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルがある。この小型の油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、該エンジンの後側に位置して前記旋回フレームに設けられ前記作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、前記エンジンの前側に位置して前記旋回フレーム上に設けられたフロア部材と、該フロア部材に設けられオペレータが着座する運転席とにより大略構成されている。
【0004】
ここで、小型の油圧ショベルは、上部旋回体が小さく機器類の設置スペースが限られているから、例えば制御弁装置、旋回モータ等の機器類はフロア部材の下側のスペースを利用して配設している。このため、小型の油圧ショベルでは、旋回フレームとフロア部材との間に、フロア部材の前側位置を支点として該フロア部材をチルトアップ、チルトダウン可能に支持する傾転支持部材を設けることにより、フロア部材の下側に配置した機器類の点検作業、修理作業等を行えるようにしている。
【0005】
一方、旋回フレームの後側位置またはカウンタウエイトの上側には、フロア部材をチルトダウンさせたときに該フロア部材の後側位置を取付けるためのフロア取付板が設けられ、該フロア取付板と旋回フレームの後側位置またはカウンタウエイトとの間には防振部材が設けられている。
【0006】
これにより、フロア部材をチルトダウンさせたときには、このフロア部材の後側位置をボルト等を用いてフロア取付板に取付けることにより、フロア部材の後側を防振状態で支持することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−2480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献1によるものでは、前側の傾転支持部材を支点としてフロア部材を傾転させている。この場合、傾転支持部材を構成する各部品は、公差の範囲内で加工時の寸法が管理されているから、この加工公差の分だけチルトアップ、チルトダウンするときにフロア部材が前,後方向、左,右方向に位置ずれする虞がある。特に、フロア部材が位置ずれした状態で、該フロア部材をチルトダウンすると、例えば旋回フレーム側のフロア取付板に設けたねじ穴とフロア部材の後側に設けたボルト挿通孔とがずれてしまい、位置合わせ作業が必要になってボルト止め作業に手間を要するという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、チルトフロアをチルトダウンするときにフロア取付板に対して位置合わせすることができ、チルトフロアとフロア取付板との取付作業を容易に行えるようにした建設機械を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、既存の部品を利用してチルトフロアをフロア取付板に位置合わせすることができ、この位置合わせに関する構成を簡略化できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレーム上に前側位置を傾転支点としてチルトアップ、チルトダウン可能に設けられ運転席を有するチルトフロアと、前記旋回フレームの後側に位置して配置され該チルトフロアがチルトダウンしたときに該チルトフロアの後側位置を取付けるフロア取付部材と、前記チルトフロアの後側を防振状態で支持するために該フロア取付部材に設けられた防振部材とを備えてなる。
【0012】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記チルトフロアの後側位置には、前記防振部材に対応する位置に係合穴を設け、前記フロア取付部材には、前記防振部材を前記フロア取付部材に取付ける取付ボスを設け、前記取付ボスは、前記チルトフロアの係合穴に係合させるため前記フロア取付部材の上面側から上方に突出した突状部を有する構成としたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記取付ボスの突状部の周囲には、径方向の外側に向けて傾斜する傾斜部を設け、この傾斜部で案内することにより前記チルトフロアの後側を所定の取付位置に移動させる構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記取付ボスの傾斜部は、前記取付ボスの周囲を溶接手段を用いて前記フロア取付部材の上面に固着したときの溶接ビード部を利用して形成したことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記取付ボスは、上,下方向に延びる円筒状に形成され内周面に前記防振部材を取付けるための取付ボルトが螺合する雌ねじが刻設された円筒部と、該円筒部の上部を拡径して円環状に形成された前記突状部とにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、チルトフロアの後側位置には係合穴を設け、チルトフロアの後側が取付けられるフロア取付部材には、防振部材を取付けるための取付ボスが設けられている。この取付ボスを利用し、その上部をフロア取付部材の上面側から上方に突出させることにより突状部を形成している。
【0017】
従って、チルトフロアをチルトダウンしたときには、フロア取付部材の突状部をチルトフロアの係合穴に係合させることにより、チルトフロアの後側位置をフロア取付部材に対する所定の取付位置に案内することができる。
【0018】
この結果、チルトダウンしたチルトフロアをフロア取付部材にボルト止めするときの位置合わせ作業を省略することができるから、例えばフロア下に配設した制御弁装置等の機器類のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0019】
また、係合穴はチルトフロアに穴を形成するだけでよく、しかも、フロア取付部材の取付ボスは、防振部材を取付けるために従来から用いられている既存の部品であるから、部品点数を増やすことなく、小さな設計変更を施すだけでチルトフロアをフロア取付部材の正確な位置に配置することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、取付ボスの突状部の周囲には、径方向の外側に向けて傾斜する傾斜部を設けている。従って、チルトフロアをチルトダウンするときに、突状部の傾斜部を前記チルトフロアの係合穴の内縁に当接させることにより、この傾斜部に沿ってチルトフロアの後側を円滑に移動させることができ、所定の取付位置に正確に位置合わせすることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、取付ボスの傾斜部は、取付ボスの周囲を溶接手段を用いてフロア取付部材の上面に固着したときの溶接ビード部を利用して容易に形成することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、取付ボスは、内周面に雌ねじが刻設された円筒部と、該円筒部の上部を拡径した円環状の前記突状部とにより構成しているから、フロア取付部材に形成したボス挿通孔に上側から前記円筒部を挿入し、突状部をフロア取付部材の上面に当接させることにより、正確な高さ寸法、直径寸法をもった突状部を簡単に形成することができる。また、円筒部の雌ねじには、防振部材を取付けるための取付ボルトを下側から螺合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるキャノピ仕様の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを拡大して示す平面図である。
【図3】油圧ショベルを作業装置とキャノピを省略した状態で後側から見た斜視図である。
【図4】図4の油圧ショベルをチルトフロアをチルトアップした状態で示す斜視図である。
【図5】旋回フレームを単体で拡大して示す斜視図である。
【図6】旋回フレームと床板と傾転支持部材とを分解した状態で示す要部拡大の分解斜視図である。
【図7】カウンタウエイトに防振部材ブラケットを取付けた状態を示す要部拡大の斜視図である。
【図8】カウンタウエイトと防振部材ブラケットとチルトフロアと化粧カバーとフロア取付板と防振部材との分解斜視図である。
【図9】フロア取付板にチルトフロアの取付板部を取付けた状態を防振部材等と一緒に図3中の矢示IX−IX方向から見たみた要部拡大の断面図である。
【図10】位置ずれしたチルトフロアをチルトダウンして突状部に係合穴の内縁を係合された状態を図3中の矢示X−X方向から見たみた断面斜視図である。
【図11】図10の要部を上側から見た平面図である。
【図12】突状部と係合穴とによってチルトフロアをフロア取付板の所定位置に位置合わせした状態を図10と同様位置から示す断面斜視図である。
【図13】図12の要部を上側から見た平面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態によるキャブ仕様の油圧ショベルを示す正面図である。
【図15】旋回フレームと支持部材とを拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として小型の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図13は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのキャノピ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。また、上部旋回体3の前側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式の作業装置4が揺動および俯仰動可能に設けられている。
【0026】
ここで、上部旋回体3は、図2に示すように、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、かつ旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回中心Oを中心として旋回したときに、後述するカウンタウエイト7の後面がほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0027】
なお、上述の旋回半径Rは、旋回中心Oからカウンタウエイト7の後面までの距離によって規定され、上述の仮想円Cは、上部旋回体3の旋回時におけるカウンタウエイト7の後面の軌跡となっている。即ち、この仮想円Cの突出量は、下部走行体2の車幅方向に対し、僅かな寸法(例えば、車幅方向の片側で10〜30mm程度)である。
【0028】
そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、カウンタウエイト7、チルトフロア9、運転席13、傾転支持部材18、フロア取付板24、係合穴25、取付ボス26、防振部材29等により構成されている。また、上部旋回体3は、チルトフロア9を運転席13と一緒に前側位置を支点としてチルトアップ(図4の状態)、チルトダウン(図1、図3の状態)することができる。
【0029】
5は上部旋回体3の支持構造体を構成する旋回フレームである。この旋回フレーム5は、図5に示す如く、左,右方向の中間部を前,後方向に延びた平板状の底板5Aと、該底板5Aの上面側に左,右方向に離間して略V字状に立設された左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの前端部に設けられ、作業装置4を支持する支持ブラケット5Dと、前記底板5Aの前端部から左側に延びつつ屈曲して後側に延びた左サイドフレーム5Eと、前記底板5Aの前端部から右側に延びつつ屈曲して後側に延びた右サイドフレーム5Fとにより大略構成されている。
【0030】
ここで、旋回フレーム5の前側位置には、左寄りに位置して左サイドフレーム5Eの上方を左,右方向に延びる前梁5Gが設けられている。そして、旋回フレーム5の前側位置となる前梁5Gには、図6に示すように、左,右方向に間隔をもって後述する傾転支持部材18が取付けられている。
【0031】
また、旋回フレーム5上には、後側に位置してエンジン(図示せず)が搭載され、後述するチルトフロア9の足置き場12の下側となる左前側に位置して制御弁装置6(図4参照)、旋回モータ等の機器類が搭載され、チルトフロア9の右側に位置して作動油タンク、燃料タンク(いずれも図示せず)が搭載されている。
【0032】
7はエンジンの後側に位置して旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトである。このカウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるもので、後向きに突出した凸湾曲形状をなしている。また、カウンタウエイト7は、所望の高さ寸法をもって形成されており、その上部前側には、図8に示すように、後述の防振部材ブラケット22を取付けるための取付台7Aが設けられ、該取付台7Aには、後側寄りに位置して複数個のねじ穴7Bが左,右方向に間隔をもって形成されている。
【0033】
8はチルトフロア9の周囲に位置して旋回フレーム5上に設けられた外装カバーである。この外装カバー8は、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン、熱交換器、作動油タンク、燃料タンク等の機器を覆うものである。
【0034】
9は旋回フレーム5上の左側寄りに設けられたチルトフロアである。このチルトフロア9は、その前側位置が後述の傾転支持部材18を介して旋回フレーム5の前側位置となる前梁5Gに支持され、後側位置がカウンタウエイト7の上部に支持されている。また、チルトフロア9は、図6に示すように、後側に位置してステップ状に形成され、後述の運転席13が搭載される運転席台座10と、該運転席台座10の後部から後向きに延びた取付板部11と、前記運転席台座10の前側に位置してオペレータが足を置く足置き場12とにより大略構成されている。
【0035】
ここで、取付板部11は、図6、図8に示す如く、左,右方向に延びる略長方形状の板体からなり、右側位置に1個、左側位置に2個のボルト挿通孔11Aが設けられている。これらのボルト挿通孔11Aは、チルトフロア9をチルトダウンした後に、取付板部11を後述のフロア取付板24に取付けるときに、ボルト28を挿通するもので、フロア取付板24のねじ穴24Bに対応している。また、取付板部11には、左,右方向に離間して後述の係合穴25が形成されている。
【0036】
一方、チルトフロア9の前側位置となる足置き場12の前側は、レバー・ペダル取付部12Aとなっている。このレバー・ペダル取付部12Aには、後述する走行用の操作レバー・ペダル15等が設けられている。また、レバー・ペダル取付部12Aの下面側には、左,右方向に間隔をもって後述する傾転支持部材18のフロア側軸受20が取付けられている。
【0037】
13はチルトフロア9を構成する運転席台座10上に設けられた運転席(図1参照)で、該運転席13は、オペレータが着座するものである。また、運転席13の左,右両側には、図3に示すように、作業装置4等を操作するための作業用の操作レバー14が配設されている。さらに、運転席13の前方となる足置き場12のレバー・ペダル取付部12Aには、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル15が設けられている。
【0038】
16はチルトフロア9の取付板部11を覆うように取付けられた化粧カバー、17は該化粧カバー16と一緒に取付板部11に取付けられたキャノピを示している。このキャノピ17は、運転席13の上側を覆うもので、後側に設けられた2本の支柱が取付板部11にボルト止めされた2柱キャノピを構成している。
【0039】
ここで、チルトフロア9、運転席13、作業用の操作レバー14、走行用の操作レバー・ペダル15、キャノピ17等は、旋回フレーム5上に搭載された一つのユニットとして構成され、図4に示す如く、前側の傾転支持部材18を支点として後側が上,下方向に傾転可能となっている。
【0040】
18は旋回フレーム5の前側位置とチルトフロア9の前側位置との間に設けられた左,右の傾転支持部材を示している(図4参照)。この左,右の傾転支持部材18は、チルトフロア9の左,右方向の両端部に配置されている。そして、各傾転支持部材18は、旋回フレーム5の左,右方向に延びる軸線を回動軸線とし、チルトフロア9の前側位置を旋回フレーム5の前側位置にチルトアップ、チルトダウン(傾転)可能に取付けるものである。
【0041】
また、各傾転支持部材18は、図6に示すように、旋回フレーム5の前梁5Gの左,右両端部に取付けられたフレーム側軸受19と、該フレーム側軸受19と対向する位置で足置き場12のレバー・ペダル取付部12Aに取付けられた2枚で一対のフロア側軸受20と、前記フレーム側軸受19とフロア側軸受20とを回動可能(傾転可能)に連結する連結ピン21とにより大略構成されている。
【0042】
ここで、フレーム側軸受19は、前梁5Gにボルト止められる取付台19Aの上側に左,右方向を軸線とする筒部19Bを有している。また、前記筒部19Bの内部には、例えば弾性を有するゴム材料等からなる厚肉な円筒状の弾性筒体19Cが挿嵌され、該弾性筒体19Cの中心位置には連結ピン21が相対回転可能に挿嵌される。
【0043】
また、左,右のフロア側軸受20は、ほぼ正方形の板体により形成され、筒部19Bを挟む位置に平行に配置されている。さらに、連結ピン21は、円柱状の棒状体からなり、フレーム側軸受19の弾性筒体19Cと各フロア側軸受20とに挿嵌されている。この場合、連結ピン21は、フレーム側軸受19に対して回転可能に挿嵌され、両端部がフロア側軸受20に固定されている。
【0044】
このように、左,右の傾転支持部材18は、連結ピン21を支点としてチルトフロア9を前側ないし上側となる方向に向けて傾転(チルトアップ)させることができ、該チルトフロア9の後側を持上げて傾転位置(図4に示す位置)に配置することができる。また、左,右の傾転支持部材18は、チルトフロア9の後側を後側ないし下側となる方向に向けて傾転(チルトダウン)させることにより、ほぼ水平となる運転位置(図1、図3に示す位置)に配置することもできる。この運転位置では、チルトフロア9の取付板部11を後述のフロア取付板24に取付けることにより、旋回フレーム5からチルトフロア9に伝わる振動を防振部材29により緩和することができる。
【0045】
また、各軸受19,20、連結ピン21等からなる傾転支持部材18は、これらの部品を加工するときに、指定された公差の範囲内で寸法が管理されている。このために、各部品間には遊びがあり、この加工公差による遊びの分だけチルトアップ、チルトダウンするときにチルトフロア9が前,後方向、左,右方向に位置ずれすることがある。このときの位置ずれは、後述する係合穴25と取付ボス26の突状部26Bとによって解消することができる。
【0046】
22はカウンタウエイト7の上側に設けられた防振部材ブラケット(図7参照)で、該防振部材ブラケット22は、後述の防振部材29が取付けられるものである。また、防振部材ブラケット22は、図8に示すように、カウンタウエイト7に沿うように円弧状をした後側に複数のボルト挿通孔22Aを有し、該各ボルト挿通孔22Aに挿通したボルト23をカウンタウエイト7の各ねじ穴7Bに螺着することにより、取付台7A上に固定されている。一方、防振部材ブラケット22の前側には、左,右方向に所定の間隔を持って2個の取付孔22Bが形成され、該各取付孔22Bには、防振部材29が取付けられている。
【0047】
24は防振部材ブラケット22の上側に配置されたフロア取付部材としてのフロア取付板を示している。このフロア取付板24は、チルトフロア9がチルトダウンしたときに取付板部11が取付けられるものである。また、フロア取付板24は、左,右方向に延びる長方形状の強度板からなり、その左,右両側位置には、防振部材ブラケット22の取付孔22Bに対応してボス挿通孔24A(図9、図10に右側のみ図示)が形成されている。このボス挿通孔24Aには、後述する取付ボス26の円筒部26Aが挿通されるものである。
【0048】
また、フロア取付板24には、取付板部11の3個のボルト挿通孔11Aに対応するように、右側位置に1個、左側位置に2個のねじ穴24Bが形成されている。そして、各ねじ穴24Bに取付板部11のボルト挿通孔11Aに挿通した後述のボルト28を螺着することにより、フロア取付板24にチルトフロア9の取付板部11を着脱可能に取付けることができる。
【0049】
次に、チルトフロア9をチルトダウンしたときに、その取付板部11をフロア取付板24の所定の取付位置に案内するための構成について説明する。
【0050】
まず、25はチルトフロア9の取付板部11に設けられた2個の係合穴で、該各係合穴25は、後述の防振部材29に対応するように左,右方向に所定の間隔をもって配置されている。ここで、各係合穴25は、その内縁が後述する突状部26Bの周囲に係合(当接)することにより、前,後方向ないし左,右方向に案内されて移動するものである。
【0051】
また、各係合穴25の直径寸法は、チルトフロア9をチルトダウンしたときに、図10に示す如く、取付板部11が前,後方向または左,右方向に位置ずれしていても突状部26Bに係合でき、また、図12に示すように、取付板部11がフロア取付板24の上面に当接したときに、図13に示す如く、取付板部11のボルト挿通孔11Aに挿通した後述のボルト28がフロア取付板24のねじ穴24Bに螺合可能な位置まで移動できる寸法に設定されている。さらに、各係合穴25の下側(フロア取付板24側)部位は、突状部26Bの周囲に設けられた溶接ビード部27に沿って円滑に移動できるように滑らかな円弧面25Aとなっている。
【0052】
26は旋回フレーム5側のフロア取付板24に設けられた取付ボスを示している。この取付ボス26は、防振部材29をフロア取付板24に取付けるもので、該フロア取付板24の左,右両側に離間して配置されている。また、取付ボス26は、図9、図10等に示すように、上,下方向に延びた円筒部26Aと、該円筒部26Aの上部を拡径して設けられた円環状(鍔状)の突状部26Bとにより段付筒状に形成されている。また、円筒部26Aの内周面には、後述する防振部材29のボルト33が螺着される雌ねじ26Cが刻設されている。
【0053】
そして、取付ボス26は、フロア取付板24に形成したボス挿通孔24Aに上側から円筒部26Aを挿入し、拡径した鍔状の突状部26Bをフロア取付板24の上面に当接させる。このときに、突状部26Bは、予め設定された厚さ寸法、直径寸法で加工されているから、フロア取付板24の上面に当接させるだけで、該フロア取付板24上に正確な高さ寸法、直径寸法をもって簡単に形成することができる。
【0054】
また、取付ボス26をフロア取付板24に取付ける場合には、取付ボス26をフロア取付板24のボス挿通孔24Aに挿着したら、その突状部26Bの周囲を溶接手段を用いてフロア取付板24に固着する。このときには、突状部26Bの周面とフロア取付板24の上面との間に隅肉溶接を施すことになるから、突状部26Bの周囲には、この隅肉溶接によって円錐状の溶接ビード部27を形成することができる。
【0055】
この溶接ビード部27は、径方向の外側に向けて傾斜する傾斜部として形成されている。即ち、円錐状の溶接ビード部27は、チルトフロア9をチルトダウンするときに、係合穴25の内縁に当接することにより、傾斜に沿ってチルトフロア9を円滑に移動させるものである。
【0056】
ここで、突状部26Bは、チルトフロア9をチルトダウンしたときに、取付板部11に形成した係合穴25に係合することにより、チルトフロア9の後側位置となる取付板部11をフロア取付板24の所定の取付位置に案内するものである。なお、突状部26Bは、新たな部品を追加することなく、既存の取付ボス26の上部をフロア取付板24の上面から突出させることによって容易に形成することができる。
【0057】
また、突状部26Bは、取付ボス26一部を利用することで、その高さ寸法、直径寸法を正確に、かつ簡単に設定することができる。しかも、突状部26Bの周囲には、円錐状の溶接ビード部27を形成しているから、この溶接ビード部27の傾斜に沿ってチルトフロア9側の係合穴25を円滑に移動させることができる。
【0058】
そこで、突状部26Bによる位置合せ動作について述べる。まず、チルトフロア9は、前側だけを傾転支持部材18によって傾転可能に支持する構造になっているから、この傾転支持部材18を構成する各部品の加工公差やフレーム側軸受19の弾性筒体19Cの弾性変形によって後側部位が前,後方向ないし左,右方向に位置ずれする場合がある。そして、例えば左,右方向に位置ずれしている状態で、チルトフロア9をチルトダウンさせると、図10に示すように、例えば取付ボス26(防振部材29)の中心から係合穴25の中心が右側に距離寸法Gだけずれてしまう。このままでは、図11に示すように、フロア取付板24のねじ穴24Bと取付板部11のボルト挿通孔11Aとが大きくずれていてボルト28を螺着することができない。
【0059】
このような場合でも、突状部26Bは、係合穴25に係合することにより、チルトフロア9を正しい位置に移動させることができる。即ち、フロア取付板24の突状部26Bは、円錐状をした溶接ビード部27を取付板部11の係合穴25に係合させることにより、自重によって下側に移動しようとする取付板部11(チルトフロア9)を、左方向にも移動させる。これにより、図12に示すように、取付板部11をフロア取付板24に当接させた取付状態では、図13に示す如く、取付板部11のボルト挿通孔11Aをフロア取付板24のねじ穴24Bに自動的に位置合せすることができる。これにより、取付板部11のボルト挿通孔11Aに挿通したボルト28を、位置合せ作業を行うことなく、フロア取付板24のねじ穴24Bに螺着することができる。
【0060】
なお、29はフロア取付板24を防振部材ブラケット22上に取付ける左,右の防振部材で、該各防振部材29は、図8、図9に示すように、後述の上側弾性体30、下側弾性体31、スリーブ32、ボルト33、ストッパ板34等により構成されている。
【0061】
30はフロア取付板24と防振部材ブラケット22との間に設けられた上側弾性体で、該上側弾性体30は、例えばゴム等の弾性材料を用いて円筒状に形成されている。そして、上側弾性体30内には、フロア取付板24に取付けられた取付ボス26の円筒部26Aが挿通されている。
【0062】
31は防振部材ブラケット22の下面側に設けられた下側弾性体で、該下側弾性体31は、防振部材ブラケット22を挟んで上側弾性体30と上,下方向で対をなすものである。そして、下側弾性体31は、上側弾性体30と同様にゴム等の弾性材料を用いて円筒状に形成されている。
【0063】
32は上,下の弾性体30,31内に挿通された円筒状のスリーブで、該スリーブ32は、その内周側に挿通したボルト33を取付ボス26の雌ねじ26Cに螺着することにより、取付ボス26を介してフロア取付板24に固定されるものである。
【0064】
34は下側弾性体31の下側に配置されたストッパ板で、該ストッパ板34は、コ字型の板体として形成されている。そして、ストッパ板34は、ボルト33の頭部とスリーブ32との間で挟持され、屈曲した両端部が防振部材ブラケット22の下面と間隔をもって対面している。
【0065】
また、35は防振部材ブラケット22の上面側に配置された上側ワッシャ、36は防振部材ブラケット22の下面側に配置された下側ワッシャで、上側ワッシャ35は上側弾性体30の下端部が当接し、下側ワッシャ36は下側弾性体31の上端部が当接するものである。
【0066】
このように、フロア取付板24は、上述の防振部材29を介して防振部材ブラケット22上に防振状態に取付けられている。即ち、防振部材29は、油圧ショベル1の作業時等において旋回フレーム5からフロア取付板24(チルトフロア9)に伝わる振動を、上側弾性体30、下側弾性体31の弾性変形によって吸収して緩和するものである。
【0067】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて掘削作業等を行う場合には、まず、チルトフロア9上に設けられた運転席13にオペレータが着席し、該オペレータが走行用の操作レバー・ペダル15を操作することにより、油圧ショベル1を作業現場まで自走させる。そして、オペレータが作業用の操作レバー14を操作し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行なう。
【0068】
ここで、油圧ショベル1の走行時、掘削作業時には、下部走行体2上に搭載された旋回フレーム5が振動を発生するが、前側の傾転支持部材18のフレーム側軸受19に設けた弾性筒体19Cおよび後側の防振部材29に設けた各弾性体30,31が弾性変形することにより、旋回フレーム5からチルトフロア9に伝わる振動を抑えてオペレータの作業環境を良好に保つことができる。
【0069】
次に、油圧ショベル1のメンテナンス作業を行なう場合について説明する。このメンテナンス作業の対象となるエンジン、制御弁装置6等はチルトフロア9の下側に配設されている。このため、チルトフロア9は、図4に示すように、運転席13、キャノピ17等と一緒に後側を上側にチルトアップする必要がある。
【0070】
そこで、チルトフロア9を運転席13、キャノピ17等と一緒にチルトアップするときの作業について説明する。まず、チルトフロア9の取付板部11をカウンタウエイト7側のフロア取付板24に取付けているボルト28等を緩めて取外す。これにより、チルトフロア9等は、前側位置の傾転支持部材18を支点としてチルトアップすることができ、エンジン、制御弁装置6等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0071】
一方、メンテナンス作業が終了したら、チルトフロア9等をチルトダウンする。このときに、チルトフロア9は、傾転支持部材18を構成する各部品の加工公差等によって後側部位が前,後方向ないし左,右方向に位置ずれする場合がある。しかし、フロア取付板24に設けた取付ボス26の突状部26Bを取付板部11に形成した係合穴25に係合させることにより、チルトフロア9を正しい位置に自動的に移動させることができる。そして、取付板部11のボルト挿通孔11Aに挿通したボルト28を、フロア取付板24のねじ穴24Bに螺着することにより、チルトフロア9の後側をカウンタウエイト7側に固定することができる。
【0072】
かくして、第1の実施の形態によれば、チルトフロア9の後側に位置する取付板部11には係合穴25を設ける。また、チルトフロア9の取付板部11が取付けられる旋回フレーム5側のフロア取付板24には、防振部材29を取付けるための取付ボス26が設けられており、この既存の取付ボス26を利用し、その上部をフロア取付板24の上面側から上方に突出させることにより突状部26Bを形成する構成としている。
【0073】
従って、チルトフロア9をチルトダウンしたときには、フロア取付板24側の突状部26Bをチルトフロア9側の係合穴25に係合させることにより、この係合によってチルトフロア9を前後方向、左,右方向に移動でき、取付板部11をフロア取付板24に対する所定の取付位置、即ち、取付板部11のボルト挿通孔11Aに挿通したボルト28をフロア取付板24のねじ穴24Bに螺着できる位置に自動的に案内することができる。
【0074】
この結果、チルトダウンしたチルトフロア9をフロア取付板24にボルト止めするときの位置合わせ作業を省略することができるから、チルトフロア9の下側に配設される制御弁装置6、旋回モータ、エンジン等の機器類のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0075】
しかも、係合穴25は、チルトフロア9の取付板部11を鋳造、切削等の加工を施すときに穴を追加して形成するだけでよく、しかも、フロア取付板24側の取付ボス26は、防振部材29を取付けるために従来から用いられている既存の部品であるから、部品点数を増やす必要はない。これにより、簡単な構造、小さな設計変更によってチルトフロア9をフロア取付板24の正確な位置に配置することができ、構成を簡略化することができる。
【0076】
また、取付ボス26の突状部26Bの周囲には、該突状部26Bをフロア取付板24の上面に溶接手段を用いて固着したときの溶接ビード部27を利用し、径方向の外側に向けて傾斜する円錐状の傾斜部を設ける構成としている。従って、チルトフロア9をチルトダウンしたときには、溶接ビード部27の傾斜部をチルトフロア9側の係合穴25の内縁に当接させることにより、この傾斜部に沿ってチルトフロア9の後側を円滑に移動させることができ、所定の取付位置に正確に位置合わせすることができる。また、傾斜部は、溶接ビード部27を利用することで容易に設けることができる。
【0077】
さらに、取付ボス26は、フロア取付板24に形成したボス挿通孔24Aに上側から挿入される円筒部26Aと、該円筒部26Aの上部を拡径した円環状の突状部26Bとにより段付筒状に形成しているから、突状部26Bをフロア取付板24の上面に当接させるだけで、正確な高さ寸法、直径寸法をもって形成することができる。
【0078】
次に、図14および図15は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、キャブ仕様の油圧ショベルを用いると共に、旋回フレームの後側に設けられた支持部材にフロア取付板、取付ボス等を設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0079】
図14において、41は第2の実施の形態による建設機械としての油圧ショベルを示している。この油圧ショベル41は、前述した第1の実施の形態による油圧ショベル1とほぼ同様に、下部走行体42、上部旋回体43、作業装置44により大略構成されている。しかし、第2の実施の形態による油圧ショベル41は、運転席13の周囲と上部を覆うキャブ49を備え、かつ第1の実施の形態による油圧ショベル1と比較して大型となっている点で相違している。
【0080】
また、上部旋回体43は、旋回フレーム45、支持部材46、カウンタウエイト47、外装カバー48、キャブ49等と、前述したチルトフロア9、運転席13、フロア取付板24、取付ボス26等とにより構成されている。
【0081】
ここで、第2の実施の形態による上部旋回体43は、第1の実施の形態による上部旋回体3よりも大きく形成されているから、チルトフロア9とカウンタウエイト47とが離間している。このために、チルトフロア9の後側は、カウンタウエイト47ではなく、支持部材46によって支持されている。
【0082】
そこで、第2の実施の形態による旋回フレーム45と支持部材46の構成について、図15を参照して説明する。旋回フレーム45は、第1の実施の形態による旋回フレーム5とほぼ同様に、底板45A、左縦板45B、右縦板45C、支持ブラケット45D、左サイドフレーム45E、右サイドフレーム45F、前梁45Gにより大略構成されている。しかし、第2の実施の形態による旋回フレーム45は、第1の実施の形態による旋回フレーム5よりも大型に形成されている。
【0083】
また、支持部材46は、カウンタウエイト47の前側に位置して旋回フレーム45に設けられている。この支持部材46は、エンジンの上方を左,右方向に延びて設けられた支持ブラケット46Aと、該支持ブラケット46Aから下側に延びた4本の脚部46B〜46Eとにより大略構成され、各脚部46B〜46Eの下端側は旋回フレーム45に取付けられている。そして、支持部材46の支持ブラケット46Aには、防振部材29を介してフロア取付板24が取付けられ、該フロア取付板24を介してチルトフロア9の後側位置を支持することができる。
【0084】
なお、キャブ49は、旋回フレーム45の左前側に搭載されている。また、キャブ49は、運転席13の周囲と上方とを覆うようにチルトフロア9上に取付けられ、該チルトフロア9と一緒にチルトアップ、チルトダウンするものである。
【0085】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0086】
なお、各実施の形態では、取付ボス26を溶接手段を用いてフロア取付板24に取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば取付ボス26を圧入、ねじ止め等の他の手段を用いてフロア取付板24に取付ける構成としてもよい。
【0087】
また、各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベルを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の他の建設機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1,41 油圧ショベル(建設機械)
2,42 下部走行体
3,43 上部旋回体
4,44 作業装置
5,45 旋回フレーム
5G,45G 前梁(前側位置)
9 チルトフロア
10 運転席台座
11 取付板部
12 足置き場
12A レバー・ペダル取付部(前側位置)
13 運転席
18 傾転支持部材
24 フロア取付板(フロア取付部材)
24A ボス挿通孔
24B ねじ穴
25 係合穴
26 取付ボス
26A 円筒部
26B 突状部
26C 雌ねじ
27 溶接ビード部(傾斜部)
28,33 ボルト
29 防振部材
46 支持部材
G 位置ずれ距離寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、
前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレーム上に前側位置を傾転支点としてチルトアップ、チルトダウン可能に設けられ運転席を有するチルトフロアと、前記旋回フレームの後側に位置して配置され該チルトフロアがチルトダウンしたときに該チルトフロアの後側位置を取付けるフロア取付部材と、前記チルトフロアの後側を防振状態で支持するために該フロア取付部材に設けられた防振部材とを備えてなる建設機械において、
前記チルトフロアの後側位置には、前記防振部材に対応する位置に係合穴を設け、
前記フロア取付部材には、前記防振部材を前記フロア取付部材に取付ける取付ボスを設け、
前記取付ボスは、前記チルトフロアの係合穴に係合させるため前記フロア取付部材の上面側から上方に突出した突状部を有する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記取付ボスの突状部の周囲には、径方向の外側に向けて傾斜する傾斜部を設け、この傾斜部で案内することにより前記チルトフロアの後側を所定の取付位置に移動させる構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記取付ボスの傾斜部は、前記取付ボスの周囲を溶接手段を用いて前記フロア取付部材の上面に固着したときの溶接ビード部を利用して形成してなる請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記取付ボスは、上,下方向に延びる円筒状に形成され内周面に前記防振部材を取付けるための取付ボルトが螺合する雌ねじが刻設された円筒部と、該円筒部の上部を拡径して円環状に形成された前記突状部とにより構成してなる請求項1,2または3に記載の建設機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−202357(P2011−202357A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67798(P2010−67798)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】