説明

建設装備用運転室

【課題】運転室に取り付けられたスライドドアの全開状態において、運転室からの衝撃又は振動によるスライドドアの振れや遊動を抑える。
【解決手段】出入口が開設される外側壁の上部及び下部に形成された上部レール4及び下部レール5と、上部レール4及び下部レール5に係合される上部ローラ及び下部ローラにより出入口を開閉させるスライドドア3と、上部ローラが取り付けられる上部ブラケットに形成したパッドと、下部ローラが取り付けられる下部ブラケットに形成したパッドと、スライドドアが完全に開放される開位置でパッドの加圧によりスライドドア3の振れを防止する上部ストッパ21と、スライドドア3が完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、パッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する下部ストッパ23とにより振れや遊動を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転室に取付けられたスライドドアがフルオープンされた全開状態において、運転室に伝わる振動などによるスライドドアの振れや遊動を抑止することができる建設装備用運転室に関する。
【0002】
さらに詳しくは、スライドドアの開放状態において、運転室からの衝撃又は振動によるスライドドアのX軸、Y軸、Z軸方向への振れや遊動を抑えることが可能な建設装備用運転室に関するものである。
【0003】
ここで、前述したX軸方向とは、運転室の前後方向(スライドドアが開閉される前後方向)を意味し、Y軸方向とは、運転室の左右方向を意味する。さらに、Z軸方向とは、運転室の上下方向を意味する。
【背景技術】
【0004】
一般に、掘削機などのような建設装備において、作業時、オペレータの視野を確保すると共に運転室内の換気を図るべく、運転室のドアを開放させた上で作業を行う場合が多い。特に、都市部や狭小な場所での作業時にヒンジ式に開閉される運転室のドアを開放させた上で作業を行う場合、スイング駆動時、作業現場の周辺にある障害物などに干渉する恐れがあった。
【0005】
これにより、図1に示されたように、運転室ドアを含めた運転室の外側壁が円弧形状をなすと共に、ドアの開放時、運転室の旋回半径内に納められ、スライド開閉されるドアが取り付けられた運転室を用いるようになった。
【0006】
図1ないし図3Dに示されたように、特許文献1に記載のスライドドア3が外側壁2a上をスライド移動する運転室2は、外側壁2aの上部、下部、中央に形設される複数のレール4、5、6と、ドア3に取り付けられ、出入口2bが閉じる閉位置と、出入口2bが開く開位置との間でドア3がスライド移動する際、ドア3を支持する複数のローラ7、8、9と、雌ストライカ10、12と雄ストライカ11、13とを含んで、各ストライカセットの何れかの一つはドア3に設けられると共に、他の一つは外側壁2cに設けられ、ドア3が閉位置にある時には少なくとも一対が互いに係合する一方、ドア3が全開位置にある時には少なくとも一対が係合するように設けられる複数組のストライカを含んで、ストライカセットの少なくとも一対は、ドア3の全開時、ドア3の前面端で係合するように設けられ、少なくとも他の一対は、ドア3の全開時、ドア3の後面端で互いに係合するように設けられる。
【0007】
図2に示されたように、上部ローラ7は、ドア3の開閉時、上部レール4に沿って移動するガイドローラ7aを含む。下部ローラ8は、ドア3の開閉時、下部レール5に沿ってX軸方向に転動し、ドア3の荷重を支持する転がりローラ8a及び、Y軸方向に転動し、下部レール5からドア3の離脱を防止するガイドローラ8bとを含める。
【0008】
図3Cに示されたように、ドア3に取り付けられた中央ローラ9は、ドア3の開閉時、X軸方向に転動し、ドア3の荷重を支持する転がりローラ9aと、ドア3の開閉時、Y軸方向に転動し、中央レール6からドア3の離脱を防止するガイドローラ9bとを含める。
【0009】
前述したスライドドア3の全開又は全閉状態で作業を行う場合、運転室2に伝わる衝撃や振動によりドア3が左右方向に振れたり、又は上下方向に遊動が生じる。これにより、オペレータが作業に集中することが難しく、作業性が劣り、セキュリティー上の問題が生じ得る。
【0010】
これに鑑みて、ドア3を完全に開放させた状態(図3B参照)又は閉鎖させた状態で(図3A参照)作業を行う場合、運転室2に伝わる振動などによるドア3の振れを防止すると共に、着脱可能に支持することが可能となるように雌雄からなる複数のストライカ10、11、12、13、14、15をドア3と運転室2とにそれぞれ設けた(図1及び図2参照)。
【0011】
図1に示されたように、ドア三を開放ロックするか、又は閉鎖ロックし得るようにロッキングストライカ16、17をドア3と運転室2とにそれぞれ設けた。ここで、ロッキングストライカ16は、出入口2bに近接する位置に設けられる一方、ロッキングストライカ17は、出入口2bから遠くなる位置に設けられる。
【0012】
従来技術による建設装備用運転室の構造は、運転室2に対してドア3を全開状態又は全閉状態に保持することができるように複数組の雌雄からなるストライカ10、11、12、13、14、15(図1及び図2参照)と、ロッキングストライカ16、17(図1参照)とを運転室2とドア3とに設ける。これにより、部品点数の増加によるコスト増を招くと共に、これらを取り付けるための作業時間及び作業工数の増加により作業能率が低下するという問題があった。
【0013】
しかも、運転室2とドア3に取り付けられたストライカ10、11、12、13、14、15と、ロッキングストライカ16、17とが外部に露出されることから、車両の外観美を損なうという問題もあった。
【0014】
また、図3Dに示されたように、ドア3を運転室2に開状態に固定させる場合、ドア3の開放方向(図面上、X軸方向をいう)へ生じ得る衝撃又は振動などを雌雄ストライカ14、15の構造により、吸収または抑止することができる。
【0015】
しかし、ドア3の上下方向(図面上、Z軸方向をいう)に生ずる衝撃又は振動を効率よく抑止ことはできなかった。また、ドア3の左右方向(図面上、Y軸方向をいう)に生ずる衝撃又は振動をも効果的に抑えることができないという不具合があった。
【0016】
さらに、ドア3を開放ロックするための雌雄ストライカ14、15の部品寸法があまりにも大きいため、運転室2の外部に突出されることになり、建設車両の外観を損ねてしまう問題があった。
【0017】
【特許文献1】米国特許第5577795号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の実施例は、スライドドアの全開状態において、運転室からの衝撃又は振動によるスライドドアの3方向(X軸、Y軸、Z軸方向をいう)への振れを抑止することから、オペレータは作業に集中することが可能となる建設装備用運転室に関連する。
【0019】
また、本発明の実施例は、スライドドアの振れを防止するストッパとパッドとの相互面接触による固定力を増大させ、且つ、ローラの遊隔によるスライドドアの振れを防止することができる建設装備用運転室に関連する。
【0020】
また、本発明の実施例は、スライドドアの開扉時、ローラに加わる荷重を分散させ、ローラの磨耗を低減させると共に、耐久性を向上させることができる建設装備用運転室に関連する。
【0021】
また、本発明の実施例は、運転室とスライドドアとの間で生じ得る製造偏差、ストッパ用のパッドに磨耗が起きる場合、ストッパの固定位置を微細に変更することができる建設装備用運転室に関連する。
【0022】
さらに、本発明の実施例は、ストッパの構造を簡単かつ容易にすることから、製造コストを削減すると共に、運転室の外部にストッパが突出することを最小限に抑えた建設装備用運転室に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一実施例による建設装備用運転室は、建設装備用運転室において、
出入口が開設される外側壁と、
外側壁の上部及び下部に形成され、上部ローラ及び下部ローラが係合される上部レール及び下部レールと、
上部レール及び下部レールに係合される上部ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
スライドドアの内側面に固定され、上部ローラが回転可能に装着される上部ブラケットに形成の上部パッドと、
スライドドアの内側面に固定され、下部ローラが回転可能に装着される下部ブラケットに形成の下部パッドと、
スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると上部パッドに面接触することになり、上部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する上部ストッパと、
スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると下部パッドに面接触することになり、下部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する下部ストッパとを含める。
【0024】
本発明の他の実施例による建設装備用運転室は、建設装備用運転室において、出入口が開設される外側壁と、
外側壁の上部、中央及び下部に形成され、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラが係合される上部レール、中央レール及び下部レールと、
上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
スライドドアの内側面に固定され、上部ローラが回転可能に装着される上部ブラケットに形成の上部パッドと、
スライドドアの内側面に固定され、中央ローラが回転可能に装着される中央ブラケットに形成の中央パッドと、
スライドドアの内側面に固定され、下部ローラが回転可能に装着される下部ブラケットに形成の下部パッドと、
スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると上部パッドに面接触することになり、上部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する上部ストッパと、
スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると中央パッドに面接触することになり、中央パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する中央ストッパと、
スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると下部パッドに面接触することになり、下部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する下部ストッパとを含める。
【0025】
ここで、前述した上部ストッパ、中央ストッパ及び下部ストッパのうちに、少なくとも何れかの一つは、外側壁に取り付けられるケースと、
ケースを貫通して固定されたガイド棒に位置移動可能に組み合わせられ、スライドドアの開く方向にその上面が上向きに傾斜するように形成されるパッドと、
パッド前後方向のガイド棒の外側面に設けられ、スライドドアの全開時、上部パッド、中央パッド及び下部パッドのうちに何れかの一つと面接触するパッドを弾性復元力により加圧して固定させる弾性部材とを含める。
【0026】
前述した上部ストッパ、中央ストッパ又は下部ストッパは、上部ローラ、中央ローラ又は下部ローラの個数に相応して外側壁に設けられる。
【0027】
前述した上部ストッパは、スライドドアの全開時、パッドにより上部パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止する。
【0028】
前述した下部ストッパは、スライドドアの全開時、パッドにより第1下部パッドをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1下部ストッパと、
スライドドアの全開時、パッドにより第2下部パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止する第2下部ストッパとを含める。
【0029】
前述した中央ストッパは、スライドドアの全開時、パッドにより第1中央パッドをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1中央ストッパと、スライドドアの全開時、パッドにより第2中央パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止する第2中央ストッパとを含める。
【0030】
前述した上部ストッパ、中央ストッパ及び下部ストッパのうちに、少なくとも何れかの一つを外側壁に対してX軸又はZ軸方向に位置移動させて固定せしめることができるように、それぞれのケースを外側壁に取り付けるためのブラケットに長孔形状からなる取付孔を備える。
【0031】
前述した外側壁の上部又は下部に設けられ、スライドドアの全開時、スライドドアの側面に接触され、スライドドアのX軸方向への振れを防止するサポータをさらに含める。
【0032】
前述したスライドドアの後方内側面に備えられるストッパバーホルダと、
スライドドアが完全に開放された場合、ストッパバーホルダに結合されるように外側壁に設けられ、スライドドアの全開時、ストッパバーホルダをロックさせることによりスライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止するストッパバーと、ストッパバーに隣接して設けられ、スライドドアの全開時、スライドドアに設けられたロッキングプレートによりロックされるロックストライカとをさらに含める。
【0033】
前述したケースは、ガイド棒を中心としケースの左右方向に形成され、 上部パッド又は下部パッドがスライドドアの移動によりパッドの傾斜面に接触することになれば、パッドのX軸方向に直線移動をガイドする一対の隔壁部材をさらに含める。
【0034】
前述したストッパバーホルダは、プラスチック材からなる。前述したパッドは、プラスチック材からなる。前述したサポータは、プラスチック材からなる。
【0035】
前述した上部パッド、中央パッド及び下部パッドは、金属材からなる。
【0036】
前述した弾性部材は、パッド前後方向のガイド棒にそれぞれ設けられる。
【0037】
前述した弾性部材は、パッドが加圧される方向のガイド棒に設けられる。
【0038】
前述した弾性部材をパッド前後方向のガイド棒にそれぞれ設けるが、パッド前方のガイド棒に設けられる弾性部材は、パッド後方の弾性部材より相対的に強度が高く、設置場所がパッド前方のガイド棒の長さの一部に設けられる。
【0039】
前述したパッドとの接触時、円滑に滑られるように上部パッド、中央パッド及び下部パッドの両末端のうちに、少なくとも何れかの一方は折り曲げ形成される。
【0040】
前述した上部ストッパは、スライドドアが完全に開放される開位置の上部レールの内側端部に位置するように設けられ、中央ストッパは、スライドが完全に開放される開位置の中央レールの内側端部に位置するように設けられ、下部ストッパはスライドドアが完全に開放される開位置の下部レールの内側端部に位置するように設けられる。
【発明の効果】
【0041】
以上述べたように、本発明の実施例による建設装備用運転室は、次のような効果を奏する。先ず、スライドドアの全開状態において、運転室からの衝撃又は振動によるスライドドアの3方向(X軸、Y軸、Z軸方向を云う)への振れを防止することが可能となることから、オペレータは、作業に集中することができる。
【0042】
また、スライドドアの開扉時の振れを防止するパッドとの面接触による固定力を増大させ、且つ、ローラの遊隔によるスライドドアの振れを防止することができる。
【0043】
スライドドアの全開時、ローラに直接に加わる荷重を分散させることでローラの磨耗を少なくし、しかも当該部品の変形及び破損を防止することが可能となる。
【0044】
運転室とスライドドアとの製造偏差発生、ストッパ用のパッドに磨耗が生じる場合、ストッパの固定位置を微細に変更することができ、スライドドアの開扉状態又は閉扉状態ではスライドドアの振れが常時抑止できる。
【0045】
最後に、ストッパ構造を簡単にすることから原価コストを削減すると共に、運転室の外部にストッパが突出されることを最小限に抑えることによって建設装備の外観美を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の望ましい実施例を添付図面に基づいて説明するが、これは本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が発明を容易に実施することができる程度に詳しく説明するためのものであって、これにより本発明の技術的思想及び範疇に限定されることを意味するものではない。
【0047】
図4、図5、図6、図8及び 図9に示されたように、本発明の一実施例による建設装備用運転室は(スライドドア3の全開時、上部ストッパ21と下部ストッパ23とによりスライドドア3の振れを防止する場合について述べる)、出入口2bが形成され、外側面が円弧形状からなる外側壁2aと、
外側壁2aの上部及び下部に形成され、上部ローラ7(7a)及び下部ローラ8(8a、8b)が係合される上部レール4及び下部レール5と、
上部レール4及び下部レール5に係合される上部ローラ7及び下部ローラ8によりスライド移動されることで出入口2bを開閉させるスライドドア3と、
スライドドア3の内側面に固定され、上部ローラ7が回転可能に装着される上部ブラケット7cと、上部ブラケット7cの側面(外側壁2aに近い内方側面をいう)に板形状に傾斜するように形成される金属材質の上部パッド7dと、
スライドドア3の内側面に固定され、下部ローラ8が回転可能に装着される下部ブラケット8cと、下部ブラケット8cの側面(下部レール5側の内方側面をいう)に板形状に傾斜するように形成される金属材質の第1、2下部パッド8d、8eと、
スライドドア3が完全に開放される開位置の外側壁2aに設けられ、スライドドア3の全開時、上部パッド7dに面接触され、且つ、上部パッド7dとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッド20の加圧により、X軸及びY軸方向にスライドドア3の振れを防止する上部ストッパ21と、
スライドドア3が完全に開放される開位置の外側壁2aに設けられ、スライドドア3の全開時、第1、2下部パッド8d、8eに面接触され、且つ、第1、2下部パッド8d、8eとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッド20の加圧により、X軸、Y軸及びZ軸方向にスライドドア3の振れを防止する一対の下部ストッパ23(23a、23b)とを含める。
【0048】
この際、前述したパッド20との接触時、円滑に滑られるように上部パッド7d、第1、2下部パッド8d、8eの両末端のうちに、少なくとも何れかの一方は折り曲げ形成される。
【0049】
前述した外側壁2aの上部又は下部に設けられ、スライドドア3の全開時、スライドドア3の側面に接触されることにより、スライドドア3がX軸方向に振れることを防止するサポータ32をさらに含める。
【0050】
前述したスライドドア3の後方内側面にプラスチック材の‘コ’字状からなる結合片33aが上下側に形成されるストッパバーホルダ33と、
スライドドア3の全開時に結合片33aが固定できるように外側壁2aに上下方向に設けられ、スライドドア3が全開されるとストッパバーホルダ33をロックさせることによって、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れを防止するストッパバー34と、
ストッパバー34に隣接して設けられ、スライドドア3の全開時、スライドドア3に備えられたロッキングプレート(図示せず)によりロックされるロックストライカ40とをさらに含める。
【0051】
前述したストッパバーホルダ33は、スライドドア3の垂直方向の中央に設けられており、ストッパバー34は、スライドドア3を開放位置でロックすることができるように、スライドドア3の全開時に出入口2bから遠くなる位置の外側壁2aに設けられる。
【0052】
図4、図6、図7、図8、図9及び図11に示されたように、本発明の他の実施例による建設装備用運転室は(スライドドア3の全開時、上部ストッパ21、中央ストッパ22、下部ストッパ23により、スライドドア3の振れを防止することについて述べる)、
出入口2bが形成され、外側面が円弧形状からなる外側壁2aと、
外側壁2aの上部、中央及び下部に形成され、上部ローラ7(7a)、中央ローラ9(9a、9b)及び下部ローラ8(8a、8b)が係合される上部レール4、中央レール6及び下部レール5と、
上部レール4、中央レール6及び下部レール5に係合される上部ローラ7、中央ローラ9及び下部ローラ8によりスライド移動され、出入口2bを開閉させるスライドドア3と、
スライドドア3の内側面に固定され、上部ローラ7が回転可能に装着される上部ブラケット7cと、上部ブラケット7cの側面(外側壁2aに近い内方側面をいう)に板形状に傾斜するように形成される上部パッド7dと、
スライドドア3の内側面に固定され、中央ローラ9が回転可能に装着される中央ブラケット9cと、中央ブラケット9cの側面(中央レール6側の内方側面をいう)に板形状に傾斜するように形成される第1、2中央パッド9d、9eと、
スライドドア3の内側面に固定され、下部ローラ8が回転可能に装着される下部ブラケット8cと、下部ブラケット8cの側面(下部レール5側の内方側面をいう)に板形状に傾斜するように形成される第1、2下部パッド8d、8eと、
スライドドア3が完全に開放される開位置の外側壁2aに設けられ、スライドドア3が完全に開放されると上部パッド7dに面接触され、且つ、上部パッド7dとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッド20の加圧によりスライドドア3のX軸及びY軸方向への振れを防止する上部ストッパ21と、
スライドドア3が完全に開放される開位置の外側壁2aに設けられ、スライドドア3が完全に開放されると第1、2中央パッド9d、9eに面接触され、且つ、第1、2中央パッド9d、9eとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッド20の加圧によりX軸、Y軸、Z軸方向にスライドドア3の振れを防止する一対の中央ストッパ22(22a 、22b)と、
スライドドア3が完全に開放される開位置の外側壁2aに設けられ、スライドドア3が完全に開放されると第1、2下部パッド8d、8eに面接触され、且つ、第1、2下部パッド8d、8e との接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッド20の加圧によりX軸、Y軸及びZ軸方向にスライドドア3の振れを防止する一対の下部ストッパ23(23a 、23b)とを含める。
【0053】
この際、前述したパッド20との接触時、円滑に滑られるように上部パッド7d、第1、2中央パッド9d、9e、第1、2下部パッド8d、8eの両末端のうちに少なくとも何れかの一方は折り曲げて形成される。
【0054】
前述したスライドドア3の後方内側面に備えられるストッパバーホルダ33と、ストッパバーホルダ33と結合するように外側壁2aに上下方向に備えられるストッパバー34と、ストッパバー34に隣接して設けられ、スライドドア3に設けられたロッキングプレート(図示せず)によりロックされるロックストライカ40とは、本発明の一実施例と実際に同様に適用されるため、以下ではこれらの説明は略し、重複される図面符号は同様に付する。
【0055】
前述した上部ストッパ21、中央ストッパ22、下部ストッパ23のうちに何れかの一つは、図4aに示されたように、外側壁2aに取り付けられるケース24と、ケース24を貫通して固定されたガイド棒25に位置移動可能に結合され、スライドドア3の開放方向に傾斜面20aが上向きに傾斜するように形成されたパッド20と、パッド20の前後方向のガイド棒25の外側面にそれぞれ設けられ、スライドドア3の全開時、上部パッド7d、第1、2中央パッド9d、9e及び第1、2下部パッド8d、8eのうちに何れかの一つと面接触されるパッド20を弾性復元力により加圧して固定させる弾性部材26、27(一例として、圧縮コイルばねが用いられる)を含める。
【0056】
図4bに示されたように、スライドドア3が完全に開放される開位置で開放ロックした後、パッド20は、−X軸方向に変位が生じない。これにより、パッド20が加圧される方向のガイド棒25にのみ弾性部材27を設けることができる(つまり、パッド20の後方にのみ、弾性部材27が設けられたことをいう)。
【0057】
図4cに示されたように、前述した弾性部材26、27をパッド20の前後方向のガイド棒25にそれぞれ設けるが、パッド20前方(X軸方向のパッド20前方をいう)のガイド棒25に設けられる弾性部材26は、パッド20後方(X軸方向のパッド20後方をいう)の弾性部材27より相対的に強度が高く、且つ、設置場所がパッド20前方のガイド棒25の長さの一部に設けられる。つまり、弾性部材27の強度が低いことから、スライドドア3を少ないパワーで開放することが可能となるのは勿論のことである。
【0058】
前述した運転室2とスライドドア3との間の狭い空間でガイド棒25に設けられる弾性部材26、27の弾性力を容易に調整することが可能となる。即ち、パッド20前方のガイド棒25に設けられる弾性部材26として引張コイルばねを用い、パッド20後方のガイド棒25に設けられる弾性部材27として圧縮コイルばねを用いることができる。
【0059】
また、前述したパッド20前方のガイド棒25に設けられる弾性部材26として圧縮コイルばねを用い、且つ、パッド20後方のガイド棒25に設けられる弾性部材27として引張コイルばねを用いることができる。
【0060】
前述したケース24は、ガイド棒25を中心としケース24の左右方向に形成され、上部パッド7d、第1、2中央パッド9d、9e及び第1、2下部パッド8d、8e のうちに何れかの一つがスライドドア3の移動によりパッド20に接触すると、パッド20のX軸方向に直線移動をガイドする一対の隔壁部材35を含める。
【0061】
前述した上部ストッパ21、中央ストッパ22、下部ストッパ23は、上部ローラ7、中央ローラ9又は下部ローラ8の個数にそれぞれ対応するように外側壁2aに設けられる。
【0062】
前述した上部ストッパ21は、図5、図6A、図6B、図11に示されたように、スライドドア3の全開時、パッド20との接触により、上部パッド7dをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れを防止する。
【0063】
前述した下部ストッパ23は、図5、図8A、図8B及び図11に示されたように、スライドドア3の全開時、パッド20との接触により、第1下部パッド8dをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドア3のX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1下部ストッパ23aと、スライドドア3の全開時、パッド20との接触により、第2下部パッド8eをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れを防止する第2下部ストッパ23bとを含める。
【0064】
前述した中央ストッパ22は、図7A、図7B、図11に示されたように、スライドドア3の全開時、パッド20との接触により、第1中央パッド9dをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドア3のX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1中央ストッパ22aと、スライドドア3の全開時、パッド20との接触により、第2中央パッド9eをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れを防止する第2中央ストッパ22bとを含める。
【0065】
前述した上部ストッパ21は、スライドドア3が完全に開放される開位置の上部レール4の内側端部に位置するように設けられ、中央ストッパ22は、スライドドア3が完全に開放される開位置の中央レール6の内側端部に位置するように設けられ、且つ、下部ストッパ23は、スライドドア3が完全に開放される開位置の下部レール5の内側端部に位置するように設けられる。
【0066】
図10A、図10Bに示されたように、前述した運転室2とスライドドア3との間で製造偏差が生じたり、又は長期使用によるパッド20に磨耗が生ずる場合、上部ストッパ21、中央ストッパ22、下部ストッパ23のうちに何れかの一つを外側壁2aに対してX軸又はZ軸方向に位置移動させて固定することができるようにケース24を外側壁2aに固定するためのブラケット30に円形(図示せず)又は長孔形状からなる取付孔31を備える。
【0067】
図5及び図6A、Bに示されたように、前述した上部ローラ7は、スライドドア3の開閉時、上部レール4に沿ってY軸方向に転動するガイドローラ7aを含める。
【0068】
図7A、B及び図11に示されたように、前述した中央ローラ9は、スライドドア3の開閉時、中央レール6に沿ってX軸方向に転動し、スライドドア3の荷重を支持する第1中央ローラ(転がりローラ9aをいう)と、スライドドア3の開閉時、中央レール6に沿ってY軸方向に転動し、中央レール6からスライドドア3の離脱を防止する第2中央ローラ(ガイドローラ9bをいう)とを含める。
【0069】
図5及び図8A、Bに示されたように、前述した下部ローラ8は、スライドドア3の開閉時、下部レール5に沿ってX軸方向に転動し、スライドドア3の荷重を支持する第1下部ローラ(転がりローラ8aをいう)と、スライドドア3の開閉時、下部レール5に沿ってY軸方向に転動し、下部レール5からスライドドア3の離脱を防止する第2下部ローラ(ガイドローラ8bをいう)とを含める。
【0070】
以下では、本発明の実施例による建設装備用運転室の使用例を添付図面に基づいて詳述する。
【0071】
図4ないし図6、図8、図9に示されたように、オペレータによりスライドドア3を開放させるべく、運転室2の後方側(出入口2bから遠くなるほうをいう)にスライド移動させる場合、スライドドア3の上部及び下部に形成の上部ローラ7(7a)及び下部ローラ8(8a、8b)が外側壁2aに形成の上部レール4及び下部レール5に沿ってそれぞれスライド移動することから、スライドドア3を開放することができる(図5に仮想線で示されている)。
【0072】
この際、開放されたスライドドア3の位置は、運転室2の旋回半径内に納められるため、作業空間の狭い都市部の小道などで作業中のスライドドア3を開放させたまま、上部旋回体をスイング駆動する場合でも、作業現場の周辺に隣接した建物又は木々などのような障害物に干渉する恐れを無くすことが可能となる。
【0073】
図6A、6Bに示されたように、前述した上部ストッパ21のパッド20との面接触により上部ブラケット7cに形成の上部パッド7dを加圧することによって、スライドドア3のX軸方向又はY軸方向への振れや遊動を抑えることが可能となる。
【0074】
スライドドア3が完全に開放される開位置にスライド移動される場合、上部パッド7dは、上部ストッパ21のパッド20の傾斜面20aに面接触することになり、X軸方向(運転室2の前後方向、又はスライドドア3の開放方向をいう)にさらに前進することが不可能となる。
【0075】
上部パッド7dとの接触により、パッド20は、ガイド棒25に沿って前方又は後方に移動されることでX軸方向への変位が生ずる。この際、図面上、パッド20の後方に設けられた弾性部材27は圧縮力を受けると共に、パッド20の前方に設けられた弾性部材26は引張力を受けることになる。
【0076】
前述した上部ストッパ21のガイド棒25に弾設された弾性部材26、27の弾性復元力によりパッド20を固定させる。位置固定されたパッド20の傾斜面20aの構造により上部パッド7dを、図面上、X軸方向(運転室2の前後方向)に加圧することから、スライドドア3のX軸方向への振れや遊動を抑止することが可能となる。
【0077】
これと同時に、位置固定されたパッド20との面接触により上部パッド7dを、図面上、Y軸方向(運転室2の左右方向をいう)に加圧することから、スライドドア3のY軸方向への振れや遊動を抑止することが可能となる。
【0078】
スライドドア3の開放時、パッド20と上部パッド7dとの相互面接触により、接触面積が増大するから、スライドドア3の固定力を増大させることができる。また、上部ローラ7に加わる荷重を分散させ、上部ローラの磨耗及び破損を低減させることができる。
【0079】
したがって、前述したスライドドア3を完全に開放される開位置にスライド移動させる場合、上部ストッパ21のパッド20との面接触により、上部パッド7dをX軸及びY軸方向に加圧することから、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れ又は遊動が抑止できる。
【0080】
図5及び図8A、Bに示されたように、前述した下部ストッパ23のパッド20との面接触により、第1、2下部パッド8d、8eを加圧し、スライドドア3のX軸、Y軸及びZ軸方向への振れや遊動を抑止することが可能となる。
【0081】
前述したスライドドア3が完全に開放される開位置に移動される場合、第1下部パッド8dは、第1下部ストッパ23aのパッド20の傾斜面20aに面接触されることによって、X軸方向(運転室2の前後方向、又はスライドドア3の開放方向)へさらに前進することが不可能となる。
【0082】
即ち、第1下部パッド8dとの面接触により、パッド20は、ガイド棒25に沿ってX軸方向に移動されることになり、変位が生ずる。この時、パッド20の左右側に設けられた一対の弾性部材26、27の弾性復元力によりパッド20の位置が決まる。
【0083】
位置固定されたパッド20の傾斜面20aの構造により、第1下部パッド8dを、図面上、X軸方向(運転室2の前後方向)に加圧することから、スライドドア3のX軸方向への振れや遊動を防止することが可能となる。
【0084】
これと同時に、位置固定されたパッド20との面接触により、第2下部パッド8eを、図面上、Z軸方向(運転室2の上下方向)に加圧することから、スライドドア3のZ軸方向への振れや遊動を防止することが可能となる。
【0085】
一方、前述した第2下部パッド8eは、第2下部ストッパ23bのパッド20の傾斜面20aに面接触されることによって、X軸方向(運転室2の前後方向)にさらに前進することが不可能となる。
【0086】
第2下部パッド8eとの面接触により、パッド20は、ガイド棒25に沿ってX軸方向に移動されることになり、変位が生ずる。この際、パッド20の左右側に設けられた弾性部材26、27の弾性復元力によりパッド20の位置が決まる。
【0087】
位置固定されたパッド20の傾斜面20aの構造により第2下部パッド8eを、図面上、X軸方向(運転室2の前後方向)に加圧することから、スライドドア3のX軸方向への振れや遊動を防止することができる。
【0088】
これと同時に、位置固定されたパッド20との面接触により、第2下部パッド8eを、図面上、Y軸方向(運転室2の左右方向)に同時に加圧することから、スライドドア3のY軸方向への振れや遊動を防止することができる。
【0089】
したがって、スライドドア3を全開させた場合、第1下部ストッパ23aのパッド20との面接触により、第1下部パッド8dをX軸及びZ軸方向に加圧することから、スライドドア3のX軸及びZ軸方向への振れや遊動を抑えることが可能となる。これと同時に、第2下部ストッパ23bのパッド20との面接触により、第2下部パッド8eをX軸及びY軸方向に加圧することから、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れや遊動を抑えることができる。
【0090】
図9に示されたように、スライドドア3を全開位置に移動させた場合、出入口2bから遠くなる位置のスライドドア3の内側面に設けられたプラスチック材のストッパバーホルダ33の結合片33aが、外側壁2aに設けられたストッパバー34に結合される。
【0091】
これにより、スライドドア3の全開位置において、ストッパバーホルダがストッパバー34にロックされることによって、図面上、スライドドア3がX軸及びY軸方向に振れたり、又は遊動されることを防止することができる。
【0092】
この時、前述したストッパバー34とストッパバーホルダ33とが結合すると、ストッパバー34に隣接して設けられたロックストライカ40と、ストッパバーホルダ34に隣接して設けられたロッキングプレート(図示せず)とのロックにより、スライドドア3を全開位置で開放ロックさせることができる。
【0093】
また、スライドドア3が全開位置に移動される場合、スライドドア3の外側面が外側壁2aの上・下部に設けられたサポータ32に密着されることになる。このことから、スライドドア3のX軸方向への振れや遊動を防止することが可能となる。
【0094】
図4、図6、図7、図8及び図11に示されたように(本発明のさらに他の実施例による建設装備用運転室をいう)、スライドドア3を、上部、中央及び下部レール4、5、6に沿って全開位置にスライド移動させる場合、スライドドア3の上部パッド7d、第1、2中央パッド9d、9e、第1、2下部パッド8d,8eは、外側壁2aの上部、中央、下部に設けられた上部ストッパ21、中央ストッパ22(22a、22b)、下部ストッパ23(23a 、23b)それぞれのパッド20の傾斜面20aに接触することになる。
【0095】
この際、前述した上部ストッパ21と下部ストッパ23は、本発明の一実施例と実際に同様に適用されるため、これらの詳細な説明は略する。
【0096】
図7A、B及び図11に示されたように、中央ストッパ22のパッド20との面接触により、第1、2中央パッド9d、9eを加圧して、スライドドア3のX軸、Y軸及びZ軸方向への振れ又は遊動を防止することができる。
【0097】
前述したスライドドア3が全開位置に移動される場合、第1中央パッド9dは、第1中央ストッパ22aのパッド20の傾斜面20aに面接触されることによって、X軸方向(運転室2の前後方向又はスライドドア3が開放される方向)にさらに前進することが不可能となる。
【0098】
第1中央パッド9dとの面接触により、パッド20は、ガイド棒25に沿ってX軸方向に移動されることになり、変位が生ずる。この際、パッド20の前後方向に設けられた弾性部材26、27の弾性復元力によりパッド20の位置が決まる。
【0099】
即ち、位置固定されたパッド20の傾斜面20aの構造により、 第1中央パッド9dを、図面上、X軸方向(運転室2の前後方向)に加圧することから、スライドドア3のX軸方向への振れ又は遊動を防止することができる。
【0100】
これと同時に、位置が固定されたパッド20との面接触により、第1中央パッド9dを、図面上、Z軸方向(運転室2の上下方向)に加圧することから、スライドドア3のZ軸方向への振れ又は遊動を防止することができる。
【0101】
一方、第2中央パッド9eは、第2中央ストッパ22bのパッド20の傾斜面20aに面接触されることによって、X軸方向(運転室2の前後方向又はスライドドア3の開放方向)にさらに前進することが不可能となる。
【0102】
即ち、第2中央パッド9eとの面接触により、パッド20は、ガイド棒25に沿ってX軸方向に移動することになり、変位が生ずる。この際、パッド20の前後方に設けられた弾性部材26、27の弾性復元力によりパッド20の位置が決まる。
【0103】
位置固定されたパッド20の傾斜面20aの構造により、第2中央パッド9eを、図面上、X軸方向(運転室2の前後方向)に加圧することから、スライドドア3のX軸方向への振れ又は遊動を防止することができる。
【0104】
これと同時に、位置固定されたパッド20との面接触により、第2中央パッド9e、図面上、Y軸方向(運転室2の左右方向)に加圧することから、スライドドア3のY軸方向への振れ又は遊動を防止することができる。
【0105】
従って、スライドドア3の全開時、第1中央ストッパ22aのパッド20との面接触により、第1中央パッド9dをX軸及びZ軸方向に加圧することから、スライドドア3のX軸及びZ軸方向への振れ又は遊動を抑える。同時に、第2中央ストッパ22bのパッド20との面接触により、 第2中央パッド9eをX軸及びY軸に加圧することから、スライドドア3のX軸及びY軸方向への振れ又は遊動を抑える。
【0106】
図10A、Bに示されたように、外側壁2aとスライドドア3との間で製造偏差が生じたり、又はスライドドア3を繰り返して開閉させることによって、プラスチック材からなるパッド20に磨耗が発生する。この時、上部ストッパ21、中央ストッパ22及び下部ストッパ23のうちに、何れかの一つを外側壁2aに取り付けるための取付部材38をX軸又はZ軸方向に微細に位置移動させることによって、上部パッド7d、第1、2中央パッド9d、9e、第1、2下部パッド8d、8eに対するパッド20の固定位置をX軸又はZ軸方向に調整して固定することが可能となる。
【0107】
即ち、パッド20が組み合わせられたケース24を外側壁2aに固定させるための取付部材38が嵌挿される取付孔31が、ブラケット30に長孔形状(スロット状)からなされることによって、取付孔31内で取付部材38をX軸方向(図10Aに仮想線で示されている)、又はZ軸方向(図10Bに仮想線で示されている)に微細に位置移動させ、ケース24を固定せしめることが可能となる。
【0108】
これにより、スライドドア3の全開状態において、運転室2に生ずる衝撃又は振動により、スライドドア3の微細な振れを常時防止することができる。
【0109】
本発明の実施例による建設装備用運転室は、建設装備に搭載される運転室を一例にして説明したが、ドアがスライド移動自在に開閉されるバン、ワゴン車などに適用し、ドアを閉状態で走行すると生じえるドアのX軸、Y軸、Z軸方向への振れ又は遊動を防止することができるのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】従来技術による運転室の斜視図である。
【図2】図1に示されたスライドドアの側面図である。
【図3A】図2に示されたS‐S線における断面図であって、スライドドアを閉鎖した状態の図面である。
【図3B】図2に示されたT‐T線における断面図であって、スライドドアを開放させた状態の図面である。
【図3C】図1に図示の中央レール及び中央ローラの断面図である。
【図3D】図3Bの円部位の拡大図である。
【図4A】本発明の一実施例による建設装備用運転室に取り付けられるストッパの斜視図である。
【図4B】本発明の一実施例による建設装備用運転室に取り付けられるストッパの変形例示図である。
【図4C】本発明の一実施例による建設装備用運転室に取り付けられるストッパの変形例示図である。
【図5】本発明の一実施例によるストッパが取り付けられた運転室の斜視図である。
【図6A】図5に図示の上部ストッパの使用状態図である。
【図6B】図5に図示の上部ストッパの側面図である。
【図7A】図11に図示の中央ストッパの使用状態図である。
【図7B】図11に図示の中央ストッパの側面図である。
【図8A】図5に図示の下部ストッパの使用状態図である。
【図8B】図5に図示の下部ストッパの側面図である。
【図9】図5に図示のストッパバーホルダとストッパバーの要部抜粋図である。
【図10A】図4に示されたストッパの固定位置をX軸方向に位置移動させて固定することを説明するための図面である。
【図10B】図4に示されたストッパの固定位置をZ軸方向に位置移動させて固定することを説明するための図面である。
【図11】本発明の他の実施例による建設装備用運転室の斜視図である。
【符号の説明】
【0111】
2 運転室
3 スライドドア
4 上部レール
5 下部レール
6 中央レール
7 上部ローラ
8 下部ローラ
9 中央ローラ
20 パッド
21 上部ストッパ
22 中央ストッパ
23 下部ストッパ
24 ケース
25 ガイド棒
26、27 弾性部材
30 ブラケット
31 取付孔
32 サポータ
33 ストッパバーホルダ
34 ストッパバー
35 隔壁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設装備用運転室において、
出入口が開設される外側壁と、
前記外側壁の上部及び下部に備えられ、上部ローラ及び下部ローラが係合される上部レール及び下部レールと、
前記上部レール及び下部レールに係合される上部ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
前記スライドドアの内側面に固定され、前記上部ローラが回転可能に取り付けられる上部ブラケットに形成の上部パッドと、
前記スライドドアの内側面に固定され、前記下部ローラが回転可能に取り付けられる下部ブラケットに形成の下部パッドと、
前記スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると前記上部パッドに面接触することになり、上部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する上部ストッパと、
前記スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると前記下部パッドに面接触することになり、下部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する下部ストッパとを含めることを特徴とする建設装備用運転室。
【請求項2】
建設装備用運転室において、
出入口が開設される外側壁と、
前記外側壁の上部、中央及び下部に形成され、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラが係合される上部レール、中央レール及び下部レールと、
前記上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
前記スライドドアの内側面に固定され、上部ローラが回転可能に取り付けられる上部ブラケットに形成の上部パッドと、
前記スライドドアの内側面に固定され、中央ローラが回転可能に取り付けられる中央ブラケットに形成の中央パッドと、
前記スライドドアの内側面に固定され、下部ローラが回転可能に取り付けられる下部ブラケットに形成の下部パッドと、
前記スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると上部パッドに面接触することになり、上部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する上部ストッパと、
前記スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると中央パッドに面接触することになり、中央パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する中央ストッパと、
前記スライドドアが完全に開放される開位置の外側壁に設けられ、スライドドアが完全に開放されると下部パッドに面接触することになり、下部パッドとの接触時、X軸方向に変位が生ずるように弾性支持されたパッドの加圧によりスライドドアの振れを防止する下部ストッパとを含めることを特徴とする建設装備用運転室。
【請求項3】
前記上部ストッパと下部ストッパのうちに少なくとも何れかの一つは、
前記外側壁に取り付けられるケースと、
前記ケースを貫通して固定されたガイド棒に位置移動可能に組み合わせられ、スライドドアの開く方向にその上面が上向きに傾斜するように形成されたパッドと、
前記パッド前後方向のガイド棒の外側面に設けられ、スライドドアの全開時、上部パッドと下部パッドのうちに何れかの一つに面接触するパッドを弾性復元力により加圧して固定せしめる弾性部材とを含めることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項4】
前記上部ストッパ、中央ストッパ及び下部ストッパのうちに少なくとも何れかの一つは、
前記外側壁に取り付けられるケースと、
前記ケースを貫通して固定されたガイド棒に位置移動可能に組み合わせられ、スライドドアの開く方向にその上面が上向きに傾斜するように形成されたパッドと、
前記パッド前後方向のガイド棒の外側面に設けられ、スライドドアの全開時、上部パッド、中央パッド及び下部パッドのうちに何れかの一つに面接触するパッドを弾性復元力により加圧することによって固定せしめる弾性部材とを含めることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項5】
前記上部ストッパ又は下部ストッパは、
前記上部ローラ又は下部ローラの個数に相応して外側壁に設けられることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項6】
前記上部ストッパ、 中央ストッパ又は下部ストッパは、
前記上部ローラ、 中央ローラ 又は下部ローラの個数に相応して外側壁に設けられることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項7】
前記上部ストッパは、
前記スライドドアの全開時、前記パッドにより上部パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止することを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項8】
前記上部ストッパは、
前記スライドドアの全開時、前記パッドにより上部パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止することを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項9】
前記下部ストッパは、
前記スライドドアの全開時、パッドにより第1下部パッドをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1下部ストッパと、
前記スライドドアの全開時、パッドにより第2下部パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止する第2下部ストッパとを含めることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項10】
前記下部ストッパは、
前記スライドドアの全開時、パッドにより第1下部パッドをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1下部ストッパと、
前記スライドドアの全開時、パッドにより第2下部パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止する第2下部ストッパとを含めることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項11】
前記中央ストッパは、
前記スライドドアの全開時、パッドにより第1中央パッドをX軸及びZ軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びZ軸方向への振れを防止する第1中央ストッパと、
前記スライドドアの全開時、パッドにより第2中央パッドをX軸及びY軸方向に加圧するように設けられ、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止する第2中央ストッパとを含めることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項12】
前記上部ストッパ又は下部ストッパを外側壁に対してX軸又はZ軸方向に位置移動させて固定せしめることが可能となるように、ケースを外側壁に取り付けるためのブラケットに長孔形状からなる取付孔を備えることを特徴とする請求項3に記載の建設装備用運転室。
【請求項13】
前記上部ストッパ、中央ストッパ及び下部ストッパのうちに何れかの一つを、外側壁に対してX軸又はZ軸方向に位置移動させて固定せしめることが可能となるように、ケースを外側壁に取り付けるためのブラケットに長孔形状からなる取付孔を備えることを特徴とする請求項4に記載の建設装備用運転室。
【請求項14】
前記外側壁の上部又は下部に設けられ、スライドドアの全開時、スライドドアの側面に接触されることにより、スライドドアのX軸方向への振れを抑えるサポータをさらに含めることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項15】
前記外側壁の上部又は下部に設けられ、スライドドアの全開時、スライドドアの側面に接触されることにより、スライドドアのX軸方向への振れを抑えるサポータをさらに含めることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項16】
前記スライドドアの後方内側面に備えられるストッパバーホルダと、
前記スライドドアが完全に開放されるとストッパバーホルダに結合されるように外側壁に設けられ、スライドドアの全開時、ストッパバーホルダをロックさせることによって、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止するストッパバーと、
前記ストッパバーに隣接して設けられ、前記スライドドアの全開時、前記スライドドアに設けられたロッキングプレートによりロックされるロックストライカとをさらに含めることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項17】
前記スライドドアの後方内側面に備えられるストッパバーホルダと、
前記スライドドアが完全に開放されるとストッパバーホルダに結合されるように外側壁に設けられ、スライドドアの全開時、ストッパバーホルダをロックさせることによって、スライドドアのX軸及びY軸方向への振れを防止するストッパバーと、
前記ストッパバーに隣接して設けられ、前記スライドドアの全開時、前記スライドドアに設けられたロッキングプレートによりロックされるロックストライカとをさらに含めることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項18】
前記ケースは、
前記ガイド棒を中心としケースの前後方向に形成され、前記上部パッド又は下部パッドが、スライドドアの移動によりパッドの傾斜面に接触することになれば、パッドのX軸方向に直線移動をガイドする一対の隔壁部材をさらに含めることを特徴とする請求項3に記載の建設装備用運転室。
【請求項19】
前記ケースは、
前記ガイド棒を中心としケースの左右方向に形成され、前記上部パッド、中央パッド及び下部パッドのうちに何れかの一つが、スライドドアの移動によりパッドの傾斜面に接触することになれば、パッドのX軸方向に直線移動をガイドする一対の隔壁部材をさらに含めることを特徴とする請求項4に記載の建設装備用運転室。
【請求項20】
前記ストッパバーホルダは、プラスチック材からなることを特徴とする請求項16又は17に記載の建設装備用運転室。
【請求項21】
前記パッドは、プラスチック材からなることを特徴とする請求項3又は4に記載の建設装備用運転室。
【請求項22】
前記サポータは、プラスチック材からなることを特徴とする請求項14又は15に記載の建設装備用運転室。
【請求項23】
前記上部パッド及び下部パッドは、金属材からなることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項24】
前記上部パッド、中央パッド及び下部パッドは、金属材からなることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項25】
前記弾性部材は、前記パッドの前後方向のガイド棒にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の建設装備用運転室。
【請求項26】
前記弾性部材は、前記パッドが加圧される方向のガイド棒に設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の建設装備用運転室。
【請求項27】
前記弾性部材を前記パッド前後方向のガイド棒にそれぞれ設けるが、前記パッド前方のガイド棒に設けられる弾性部材は、前記パッド後方の弾性部材より相対的に強度が高く、且つ、設置場所がパッド前方のガイド棒の長さの一部に設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の建設装備用運転室。
【請求項28】
前記パッド前方のガイド棒に設けられる弾性部材は、引張コイルばねであり、且つ、前記パッド後方のガイド棒に設けられる弾性部材は、圧縮コイルばねが用いられることを特徴とする請求項25に記載の建設装備用運転室。
【請求項29】
前記パッド前方のガイド棒に設けられる弾性部材は、圧縮コイルばねであり、且つ、前記パッド後方のガイド棒に設けられる弾性部材は、引張コイルばねが用いられることを特徴とする請求項25に記載の建設装備用運転室。
【請求項30】
前記弾性部材は、圧縮コイルばねが用いられることを特徴とする請求項25に記載の建設装備用運転室。
【請求項31】
前記パッドとの接触時、円滑に滑られるように上部パッド及び下部パッドの両末端のうちに少なくとも何れかの一方は、折り曲げ形成されることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項32】
前記パッドとの接触時、円滑に滑られるように上部パッド、中央パッド及び下部パッドの両末端のうちに少なくとも何れかの一方は、折り曲げ形成されることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。
【請求項33】
前記上部ストッパは、前記スライドドアが完全に開放される開位置の上部レールの内側端部に位置するように設けられ、
前記下部ストッパは、前記スライドドアが完全に開放される開位置の下部レールの内側端部に位置するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の建設装備用運転室。
【請求項34】
前記上部ストッパは、前記スライドドアが完全に開放される開位置の上部レールの内側端部に位置するように設けられ、
前記中央ストッパは、前記スライドドアが完全に開放される開位置の中央レールの内側端部に位置するように設けられ、
前記下部ストッパは、前記スライドドアが完全に開放される開位置の下部レールの内側端部に位置するように設けられることを特徴とする請求項2に記載の建設装備用運転室。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−138491(P2008−138491A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335218(P2006−335218)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】