説明

引出し型の乾燥キャビネット

【課題】 他のキャビネットとの間で統一感を実質的に欠くことなく、キッチンのベースキャビネットに組み込むことのできる引出し型の乾燥キャビネット。
【解決手段】 軽く水切りされた物を収納して乾燥させる引出し型の乾燥キャビネット(1)。引出し前板(2)の上側には、ほぼ一定の断面形状で横方向に細長く延びるライン型の把手(3)が設けられ、乾燥機構のためのスイッチユニット(4)および排気ユニット(5)が、ライン型の把手の凹部(3a)に組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出し型の乾燥キャビネットに関し、例えばキッチンにおいて軽く水切りされた調理道具を収納して乾燥させる引出し型の乾燥キャビネット(乾燥収納庫)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面に隣接して配置される壁付け型のキッチンでは、洗った調理道具を載置して水切りするための水切り棚を壁面に取り付けて設置することが可能である。しかしながら、対面型のキッチンやフラット対面型のキッチンやアイランド型のキッチンでは、隣接する壁面がないため、水切り棚を取り付けて設置することが不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その結果、従来の対面型のキッチンやフラット対面型のキッチンやアイランド型のキッチンでは、たとえばカウンター上の水切りカゴや水切りプレートを利用して、洗った調理道具を水切りする場合が多く、リビングルームからのキッチンの見栄えが悪くなり本来の美観が損なわれ易い。
【0004】
そこで、軽く水切りされた調理道具を収納して乾燥させる引出し型の乾燥キャビネットをキッチンのベースキャビネットに組み込むことが考えられる。しかしながら、この場合、乾燥機構のためのスイッチユニットや排気ユニットなどが乾燥キャビネットの前面に取り付けられるため、乾燥キャビネットと他のキャビネットとの間で統一感を欠くことになる。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、他のキャビネットとの間で統一感を実質的に欠くことなく、キッチンのベースキャビネットに組み込むことのできる引出し型の乾燥キャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明では、軽く水切りされた物を収納して乾燥させる引出し型の乾燥キャビネットであって、
引出し前板の上側には、ほぼ一定の断面形状で横方向に細長く延びるライン型の把手が設けられ、
乾燥機構のためのスイッチユニットおよび前記乾燥機構のための排気ユニットが、前記ライン型の把手の凹部に組み込まれていることを特徴とする引出し型の乾燥キャビネットを提供する。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、前記スイッチユニットは前記ライン型の把手の前記凹部の一方の側に設けられ、前記排気ユニットは前記ライン型の把手の前記凹部の他方の側に設けられている。あるいは、前記スイッチユニットと前記排気ユニットとは1つの一体化ユニットとして構成され、該一体化ユニットは前記ライン型の把手のほぼ全体に亘って延びるように設けられていることが好ましい。また、前記ライン型の把手は、隣接するライン型の把手とほぼ同じ高さ位置に整列して設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ほぼ一定の断面形状で横方向に細長く延びるライン型の把手が乾燥キャビネットの引出し前板の上側に設けられ、このライン型の把手の凹部に乾燥機構のためのスイッチユニットおよび排気ユニットが組み込まれている。したがって、スイッチユニットおよび排気ユニットの取付けによりライン型の把手の特徴的な外観が実質的に変化することがなく、例えばキッチンのベースキャビネットに乾燥キャビネットを組み込んでも、乾燥キャビネットと他のキャビネットとの間で実質的に統一感を欠くことがない。
【0009】
なお、本発明では、ライン型の把手の凹部の一方の側にスイッチユニットを設け、ライン型の把手の凹部の他方の側に排気ユニットを設けることが好ましい。この構成により、ライン型の把手の中央部分を確実に把持して、乾燥キャビネットの引出し動作および押戻し動作を容易に行うことができる。
【0010】
あるいは、本発明では、スイッチユニットと排気ユニットとを一体化して得られる一体化ユニットをライン型の把手のほぼ全体に亘って延びるように設けても良い。この場合、一体化ユニットの取付けによりライン型の把手の特徴的な外観がほとんど変化しないので、他のキャビネットとの間の統一感を良好に保つことができる。
【0011】
また、本発明では、乾燥キャビネットのライン型の把手を隣接するライン型の把手とほぼ同じ高さ位置に整列させることが好ましい。この構成では、隣接する2つのライン型の把手がほぼ水平に並ぶことになり、キャビネット間の統一感をさらに良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる引出し型の乾燥キャビネットを備えたキッチンの構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のキッチン本体の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、図2のキッチン本体において本実施形態の乾燥キャビネットを引き出した状態を概略的に示す斜視図である。
【0013】
図1〜図3を参照すると、本実施形態のキッチン本体は、床Fの上に載置されたベースキャビネットBCを備えている。ベースキャビネットBCの上部には、キッチンに向かって左側から加熱調理部(ガスコンロ、IHコンロなど)11と、一対のカウンタ12aおよび12bとが設けられ、この一対のカウンタ12aと12bとの間にはシンク13が設けられている。また、シンク13に隣接して、たとえば湯水混合型の水栓14が設けられている。
【0014】
ベースキャビネットBCは、4つのキャビネット15〜18を備えている。すなわち、加熱調理部11の下方にはキャビネット15が、加熱調理部11とシンク13との間のカウンタ12aの下方にはキャビネット16が、シンク13の下方にはシンクキャビネット17が、シンク13よりも端部側のカウンタ12bの下方にはキャビネット18がそれぞれ設けられている。
【0015】
また、加熱調理部11の上方にはレンジフード19が壁面Wに取り付けられ、このレンジフード19とほぼ高さに整列するようにウォールキャビネットWCが壁面Wに取り付けられている。本実施形態にかかる引出し型の乾燥キャビネット1は、図2および図3に示すように、カウンタ12bの下方に設けられたキャビネット18の上段の引出し収納部として構成されている。
【0016】
図4は、本実施形態にかかる引出し型の乾燥キャビネットの構成を概略的に示す斜視図である。図5は、図4に示す本実施形態の乾燥キャビネットのライン型の把手にスイッチユニットおよび排気ユニットを取り付ける様子を示す図である。図6(a)は図4の線Aに沿った断面図であり、図6(b)は図4の線Bに沿った断面図である。
【0017】
図4〜図6を参照すると、本実施形態にかかる引出し型の乾燥キャビネット1は、引出し収納部の形態を有し、その引出し前板2の上側にはほぼ一定の断面形状で横方向に細長く延びるライン型の把手3が設けられている。そして、図示を省略した乾燥機構のためのスイッチユニット(入りスイッチ、切りスイッチ、タイムスイッチなど)4および排気ユニット5が、ライン型の把手3の凹部3aに組み込まれている。
【0018】
具体的には、スイッチユニット4は、ライン型の把手3の凹部3aの向かって右側に、スイッチユニット4の右端と把手3の右端とがほぼ整列するように設けられている。また、排気ユニット5は、ライン型の把手3の凹部3aの向かって左側に、排気ユニット5の左端と把手3の左端とがほぼ整列するように設けられている。ただし、この配置は例示的であって、スイッチユニット4を左側に設け、排気ユニット5を右側に設けることもできる。
【0019】
なお、スイッチユニット4の取付けに際しては、図5に示すように、ライン型の把手3の凹部3aの右端からスイッチユニット4を所要の姿勢で押し込み、所定位置に設けられたストッパ6aに当接するまでスイッチユニット4を挿入する。その結果、図6(b)に示すように、スイッチユニット4は、ライン型の把手3の凹部3aに組み込まれ、いわゆる嵌合方式により安定的に保持される。スイッチユニット4に接続されたコード4aは、ライン型の把手3の背板部分4bに形成された開口部4baを介して乾燥キャビネット1の内側へ引き込まれる。
【0020】
一方、排気ユニット5の取付けに際しては、図5に示すように、ライン型の把手3の凹部3aの左端から排気ユニット5を所要の姿勢で押し込み、所定位置に設けられたストッパ6bに当接するまで排気ユニット5を挿入する。その結果、図6(a)に示すように、排気ユニット5はライン型の把手3の凹部3aに組み込まれ、この状態で例えばビス7のようなねじ締結手段によりライン型の把手3の背板部分3bに固定的に取り付けられる。
【0021】
本実施形態では、図7に示すように、たとえばフライパン21のような調理道具や食器などをカウンタ12b上で洗った後、軽く水切りしてから乾燥キャビネット1の内部に収納して乾燥させる。なお、乾燥キャビネット1の内部には、図8に示すように、フライパン21に加えて、なべ、ボール、ザル、まな板、包丁、ふきん等の調理道具や、必要に応じて上記した物以外の適当な物も乾燥のために収納される。
【0022】
以上のように、本実施形態では、ほぼ一定の断面形状で横方向に細長く延びるライン型の把手3が乾燥キャビネット1の引出し前板2の上側に設けられ、このライン型の把手3の凹部3aに乾燥機構のためのスイッチユニット4および排気ユニット5が組み込まれている。したがって、図9(a)に示すように、スイッチユニット4および排気ユニット5の取付けにより、ライン型の把手3の特徴的な外観が実質的に変化することがない。
【0023】
一方、図9(b)に示すような従来構成では、スイッチユニットや排気ユニットが乾燥キャビネット101の前面102に取り付けられるため、乾燥キャビネット101と他のキャビネットとの間で統一感を欠くことになる。このように、従来構成と比較して明らかなように、本実施形態の引出し型の乾燥キャビネット1は、他のキャビネットとの間で統一感を実質的に欠くことなく、キッチンのベースキャビネットBCに組み込まれる。
【0024】
また、本実施形態では、ライン型の把手3の凹部3aの一方の側(図では向かって右側)にスイッチユニット4が設けられ、ライン型の把手3の凹部3aの他方の側(図では向かって左側)に排気ユニット5が設けられているので、ライン型の把手3の中央部分を確実に把持して、乾燥キャビネット1の引出し動作および押戻し動作を容易に行うことができる。
【0025】
また、本実施形態では、図9(a)に示すように、乾燥キャビネット1のライン型の把手3が隣接するライン型の把手(乾燥キャビネット1に隣接するシンクキャビネット17の上段引出し収納部の引出し前板の上側に設けられたライン型の把手)10と同じ高さ位置に整列しているので、隣接する2つのライン型の把手3と10とが水平に並ぶことになり、キャビネット間の統一感が良好に保たれる。
【0026】
このように、本実施形態では、例えば洗った調理道具の水を軽く切ってから引出し型の乾燥キャビネット1に収納して乾燥させることができるので、カウンタ(12a,12b)上がすっきりと片付いた状態に整頓され、リビングルームからのキッチンの見栄えが悪くなることなく、ひいてはキッチンの本来の美観も損なわれることがない。一般に、乾燥キャビネット1は乾燥機能に加えて送風機能も有するので、乾燥キャビネット1の内部の湿気を気にすることなく、水気のある調理道具などをそのまま収納することができる。
【0027】
また、乾燥キャビネット1に除菌機能や脱臭機能を付加することにより、菌の繁殖や臭いの発生を防いで衛生的な環境を維持することができる。また、乾燥キャビネット1の扉(引出し前板)2をライン型の把手3付きのタッチオープン式に構成することにより、例えばシンク13で洗い物をしている時でも濡れた手で把手3を把持することなく扉2の開閉動作を行うことが可能になる。さらに、安全面を考慮し、乾燥キャビネット1の運転中に扉2を開けた場合の停止機能を付加することが好ましい。この場合、乾燥キャビネット1の扉2を閉じれば自動的に運転が再開されるように構成することが好ましい。
【0028】
なお、上述の実施形態では、所定位置に設けられたストッパ6aおよび6bにそれぞれ当接するまでライン型の把手3の凹部3aに挿入することにより、スイッチユニット4および排気ユニット5の位置決めを行っている。しかしながら、図10の第1変形例に示すように、ストッパを利用しなくても、上述の実施形態とほぼ同様の手順にしたがってスイッチユニット4および排気ユニット5の取付けを行うことができる。この場合、図11に示すように、例えばビス7を用いて、スイッチユニット4および排気ユニット5をライン型の把手3の背板部分3bに固定的に取り付ければ良い。
【0029】
また、上述の実施形態では、ライン型の把手3の凹部3aの一方の側にスイッチユニット4を設け、ライン型の把手3の凹部3aの他方の側に排気ユニット5を設けている。しかしながら、これに限定されることなく、図12の第2変形例に示すように、スイッチユニットと排気ユニットとを一体化させて構成し、この一体化ユニット8をライン型の把手3の凹部3aのほぼ全体に亘って延びるように設けても良い。この場合、一体化ユニット8の取付けによりライン型の把手3の特徴的な外観がほとんど変化しないので、他のキャビネットとの間の統一感がさらに良好に保たれる。
【0030】
なお、上述の実施形態では、キッチンのベースキャビネットに組み込まれて主に調理道具などを収納して乾燥させる乾燥キャビネットに対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、一般に軽く水切りされた物を収納して乾燥させる引出し型の乾燥キャビネットに対しても同様に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態にかかる引出し型の乾燥キャビネットを備えたキッチンの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のキッチン本体の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2のキッチン本体において本実施形態の乾燥キャビネットを引き出した状態を概略的に示す斜視図である。
【図4】本実施形態にかかる引出し型の乾燥キャビネットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】図4に示す本実施形態の乾燥キャビネットのライン型の把手にスイッチユニットおよび排気ユニットを取り付ける様子を示す図である。
【図6】(a)は図4の線Aに沿った断面図であり、(b)は図4の線Bに沿った断面図である。
【図7】本実施形態の乾燥キャビネットの中に軽く水切りされた調理道具を収納する様子を示す図である。
【図8】本実施形態の乾燥キャビネットの中に収納された様々な調理道具を示す図である。
【図9】本実施形態の乾燥キャビネットの作用効果を従来例に比して説明する図である。
【図10】第1変形例にしたがって乾燥キャビネットのライン型の把手にスイッチユニットおよび排気ユニットを取り付ける様子を示す図である。
【図11】第1変形例においてスイッチユニットや排気ユニットをライン型の把手に固定する様子を示す図である。
【図12】第2変形例にしたがって乾燥キャビネットのライン型の把手にスイッチユニットおよび排気ユニットを取り付ける様子を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 乾燥キャビネット
2 引出し前板
3 ライン型の把手
3a ライン型の把手の凹部
4 スイッチユニット
5 排気ユニット
6 ストッパ
7 ビス
8 一体化ユニット
BC ベースキャビネット
WC ウォールキャビネット
11 加熱調理部
12 カウンタ
13 シンク
14 水栓
15〜18 キャビネット
19 レンジフード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽く水切りされた物を収納して乾燥させる引出し型の乾燥キャビネットであって、
引出し前板の上側には、ほぼ一定の断面形状で横方向に細長く延びるライン型の把手が設けられ、
乾燥機構のためのスイッチユニットおよび前記乾燥機構のための排気ユニットが、前記ライン型の把手の凹部に組み込まれていることを特徴とする引出し型の乾燥キャビネット。
【請求項2】
前記スイッチユニットは前記ライン型の把手の前記凹部の一方の側に設けられ、前記排気ユニットは前記ライン型の把手の前記凹部の他方の側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の引出し型の乾燥キャビネット。
【請求項3】
前記スイッチユニットと前記排気ユニットとは1つの一体化ユニットとして構成され、該一体化ユニットは前記ライン型の把手のほぼ全体に亘って延びるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の引出し型の乾燥キャビネット。
【請求項4】
前記ライン型の把手は、隣接するライン型の把手とほぼ同じ高さ位置に整列して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の引出し型の乾燥キャビネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate