説明

引戸装置

【課題】引戸枠に設けたレール部材に複数の吊下げボルトで引戸を吊下げてなる引戸装置に関するものであり、簡単な構造で、レール部材に容易な作業で、強固に引戸を連結することができる引戸装置を提供する。
【解決手段】レール部材5の吊り下げ用金具55は、上片554と、垂下面553と、吊り下げ支持面552を有し、吊り下げ支持面552には吊り下げボルト挿通孔556が形成される一方、引戸6は、吊り下げボルト61を有し、吊り下げボルト61は、螺軸部62とボルト頭部63よりなり、ボルト頭部63が吊下げ支持面に載置され、吊り下げボルト61の回動を阻止する回動防止片と、ボルト頭部の点検側に位置して、吊り下げボルトの脱落するのを防止する移動防止片と、連結ネジにて垂下面と連結される連結片からなるボルト保持体65が垂下面に連結される事で、引戸が吊り下げ用金具55に連結されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入口以外が壁面と面一な化粧ボードで覆われてなる引戸装置に係わり、更に詳しくは引戸枠に設けたレール部材に複数の吊下げボルトで引戸を吊下げてなる引戸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引戸の吊下げ作業が点検側から、極めて簡単に行える引戸装置として、レールに沿って移動可能な支持体に引戸を吊支ロッドで吊下げるに際し、支持体は、垂直板とその下端に後方(固定側)へ向けて直角に形成した受け板とを有し、前記垂直板の下端複数箇所に開口を形成するとともに、該開口に連続するように前記受け板の折曲縁よりに係止孔を形成し、前記引戸の上端面複数箇所に螺合した吊支ロッドの頭部を前方(点検側)から開口内に挿入し且つ吊支ロッドの軸部を係止孔内に位置させるとともに頭部を受け板に係止してなるものが提供されている。(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、上記構成によると、吊支ロッドの上方には引戸を浮き上がりを防止する部材が構成されていないので、引戸に対し上下方向の力が負荷されると(例えば地震による縦揺れ等)、引戸だけが(吊支ロッド)上方に勢いよく浮き上がり、落下時には衝撃荷重となって、予期せぬ破損を引戸装置にもたらす結果となっていた。
【0003】
【特許文献1】特許第3255127公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の問題点に鑑みて、簡単な構造で、レール部材(本発明では、レール部材に連結された吊り下げ用金具)に容易な作業で、強固に引戸を連結することができ、しかも、地震等の不測の揺れにも破損する事が少なく、しかも、出入口上部の点検側(室内側)の意匠が、固定側(室外側)の意匠とほぼ同じとなって、全体の美観の向上が図れる引戸装置を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、戸先側縦枠と戸尻側縦枠と上枠より門形に形成されて建物側の鉄骨に固定される引戸枠にレール部材が配設され、レール部材に自閉可能に引戸が吊り下げられて、引戸の閉鎖状態で引戸の位置する側を出入口側とし、引戸の開放状態で引戸の位置する側を戸袋側となし、少なくとも出入口側の上部に点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルが所定間隔を有して対向して配設され、戸袋側と、点検側ランマ下地パネルと、固定側ランマ下地パネルの表面が、壁面と略面一とした、化粧ボードと点検側化粧ボードと固定側化粧ボードで覆われてなる引戸装置において、レール部材に連結された吊り下げ用金具は、下端部がレール部材の下方で固定側に突出し、レール保持材の下方に位置して連設された上片と、上片の固定側端部に垂下して連設された垂下面と、垂下面の下端部で点検側に突出して形成された吊り下げ支持面を有し、吊り下げ支持面の開閉方向側両端部には、点検側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成される一方、吊り下げ用金具に吊り下げられる引戸は、前記吊り下げボルト挿通孔に対応する位置の上端面に吊り下げボルトを有し、吊り下げボルトは、螺軸部とボルト頭部よりなり、吊り下げボルトの螺軸部が、吊り下げボルト挿通孔を挿通して、ボルト頭部が吊下げ支持面に載置され、ボルト頭部の戸先側と戸尻側に位置して吊り下げボルトの回動を阻止する回動防止片と、ボルト頭部の点検側に位置して、吊り下げボルトが吊り下げボルト挿通孔から脱落するのを防止する移動防止片と、連結ネジにて垂下面と連結される連結片からなるボルト保持体が垂下面に連結されることで、引戸が吊り下げ用金具を介してレール部材と連結されているものである。
【0006】
次に本発明が第2の手段として構成したところは、戸先側縦枠と戸尻側縦枠と上枠より門形に形成されて建物側の鉄骨に固定される引戸枠にレール部材が配設され、レール部材に自閉可能に引戸が吊り下げられて、引戸の閉鎖状態で引戸の位置する側を出入口側とし、引戸の開放状態で引戸の位置する側を戸袋側となし、少なくとも出入口側の上部に点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルが所定間隔を有して対向して配設され、戸袋側と、点検側ランマ下地パネルと、固定側ランマ下地パネルの表面が、壁面と略面一とした、化粧ボードと点検側化粧ボードと固定側化粧ボードで覆われてなる引戸装置において、点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルの下端部には、点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁の外側に突出して点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁を隠蔽する点検側化粧突部と固定側化粧突部が設けられ、レール部材に連結された吊り下げ用金具は、下端部がレール部材の下方で固定側に突出し、レール保持材の下方に位置して連設された上片と、上片の固定側端部に垂下して連設された垂下面と、垂下面の下端部で点検側に突出して形成された吊り下げ支持面を有し、吊り下げ支持面の開閉方向側両端部には、点検側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成される一方、吊り下げ用金具に吊り下げられる引戸は、前記吊り下げボルト挿通孔に対応する位置の上端面に吊り下げボルトを有し、吊り下げボルトは、螺軸部とボルト頭部よりなり、吊り下げボルトの螺軸部が、吊り下げボルト挿通孔を挿通して、ボルト頭部が吊下げ支持面に載置され、ボルト頭部の戸先側と戸尻側に位置して吊り下げボルトの回動を阻止する回動防止片と、ボルト頭部の点検側に位置して、吊り下げボルトが吊り下げボルト挿通孔から脱落するのを防止する移動防止片と、連結ネジにて垂下面と連結される連結片からなるボルト保持体が垂下面に連結されることで、引戸が吊り下げ用金具を介してレール部材と連結され、前記点検側化粧突部は、点検側ランマ下地パネルの基板と分離可能で、点検側ランマ下地パネルに取付けられた状態で、前記連結ネジを隠蔽し、固定側化粧突部と下端面がほぼ同一高さとなるものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によると、吊下げボルト挿通孔に吊下げボルトの螺軸部を挿通するだけで、引き戸を吊下げ用金具に吊下げることができるので、吊下げ作業が簡単である。
又、引戸の吊下げ状態で、ボルト頭部を回動させるだけで、引戸の吊下げ高さの調節を行う事ができるので作業が浮上に容易である。
更に、ボルト保持体が垂下面に連結された状態で、回動防止片がボルト頭部の戸先側と戸尻側に位置するので、吊下げボルトが不用意に回動することがなく、引戸は確実に所定の高さに維持される。
又、ボルト保持対の移動防止片が、吊り下げボルトのボルト頭部の点検側に位置するので、吊り下げボルトが吊り下げボルト挿通孔から脱落するのを防止することができる。
更に、ボルト頭部が吊下げ支持面に載置された状態で、ボルト頭部のやや上方に、上片が位置するので、地震等で、引戸が独立して単独で上方に浮き上がることもなく、引戸装置の損傷を回避することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によると前記効果に加え、点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルの下端部に、点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁の外側に突出し、下端面がほぼ同一高さとなるよう点検側化粧突部と固定側化粧突部を形成し、点検側化粧突部は、取り外された状態で、レール部材に対する引戸の保持部が臨む高さ寸法に設定されているので、レール部材の高さ寸法、取付高さに関係なく保持部の位置に対応した極力小さな高さ寸法に設定できるので、固定側化粧突部との意匠的統一をはかることも可能で、取付状態で固定側化粧突部と下端面をほぼ同一高さとすることで、出入口上部の点検側と固定側の意匠に違和感がなくなり、全体の美観の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
戸先側縦枠と戸尻側縦枠と上枠より門形に形成されて建物側の鉄骨に固定される引戸枠にレール部材が配設され、レール部材に自閉可能に引戸が吊り下げられて、引戸の閉鎖状態で引戸の位置する側を出入口側とし、引戸の開放状態で引戸の位置する側を戸袋側となし、少なくとも出入口側の上部に点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルが所定間隔を有して対向して配設され、戸袋側と、点検側ランマ下地パネルと、固定側ランマ下地パネルの表面が、壁面と略面一とした、化粧ボードと点検側化粧ボードと固定側化粧ボードで覆われてなる引戸装置において、点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルの下端部には、点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁の外側に突出して点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁を隠蔽する点検側化粧突部と固定側化粧突部が設けられ、レール部材に連結された吊り下げ用金具は、下端部がレール部材の下方で固定側に突出し、レール保持材の下方に位置して連設された上片と、上片の固定側端部に垂下して連設された垂下面と、垂下面の下端部で点検側に突出して形成された吊り下げ支持面を有し、吊り下げ支持面の開閉方向側両端部には、点検側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成される一方、吊り下げ用金具に吊り下げられる引戸は、前記吊り下げボルト挿通孔に対応する位置の上端面に吊り下げボルトを有し、吊り下げボルトは、螺軸部とボルト頭部よりなり、吊り下げボルトの螺軸部が、吊り下げボルト挿通孔を挿通して、ボルト頭部が吊下げ支持面に載置され、ボルト頭部の戸先側と戸尻側に位置して吊り下げボルトの回動を阻止する回動防止片と、ボルト頭部の点検側に位置して、吊り下げボルトが吊り下げボルト挿通孔から脱落するのを防止する移動防止片と、連結ネジにて垂下面と連結される連結片からなるボルト保持体が垂下面に連結されることで、引戸が吊り下げ用金具を介してレール部材と連結され、前記点検側化粧突部は、点検側ランマ下地パネルの基板と分離可能で、点検側ランマ下地パネルに取付けられた状態で、前記連結ネジを隠蔽し、固定側化粧突部と下端面がほぼ同一高さとなるものである。
【実施例】
【0010】
以下、第1実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1において、符号1は引戸枠を示している。
引戸枠1は、図1から図6に示すように、建物側の鉄骨11・・・にブラケット12・・・を介して固定された戸尻側縦枠13および戸先側縦枠14と、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の上端間に、建物側の鉄骨11・・・にブラケット12・・・を介して配設された上枠15より門形に形成されている。
【0011】
そして、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14間で、上枠15の点検側(実施例では室内側)と固定側(実施例では室外側)の両面に上端が固定され、下端部が床面に埋め込まれた点検側中枠3と固定側中枠30が、点検側と固定側に所定間隔を有して配設されている。
以下、戸尻側縦枠13と点検側中枠3間を戸袋点検側、戸尻側縦枠13と固定側中枠30間を戸袋固定側、戸袋点検側と戸袋固定側をあわせて戸袋側、戸先側縦枠14と点検側中枠3間を出入口点検側、戸先側縦枠14と固定側中枠30間を出入口固定側、出入口点検側と出入口固定側をあわせて出入口側と云う。
【0012】
図1、図2、図3において、符号50は、上枠15の固定側内面にネジ止め連結されているレール取付材を示している。
符号2は、点検側にレール部材5を保持し、レール取付材50に係脱自在に取付けられるレール保持材を示している。
符号6は、レール部材5に吊り下げられた引戸を示し、符号16は、点検、固定両戸袋側の床面全幅にわたって固定されたベース材を示し、符号164は、ベース材16の出入口側端部に、ガイドローラー17を回転自在に設け、 固定側中枠30、点検側中枠3間でやや出入口側に突出して取付けられたガイドローラー取付部材を示している。
図1、図5、図6において、符号4・・・は、戸袋点検側及び戸袋固定側の両面上下方向に所定間隔を有して配設された下地桟を示している。
図2、図3、図4において符号7は、上枠15の点検出入口側に取付られる点検側ランマ下地パネルを示し、符号19は、上枠15の固定出入口側に設けられる固定側ランマ下地パネルを示している。
【0013】
そして、上記引戸枠1(レール取付材50を含む。)、ベース材16、点検側中枠3、固定側中枠30、下地桟4・・・、固定側ランマ下地パネル19、点検側ランマ下地パネル7、レール部材5が取付られたレール保持材2は、内装仕上げ(化粧ボード、クロス等の張り付け)が行われるまでに施工され、内装仕上げが終了した後、点検側ランマ下地パネル7の一部を取外して、引戸6がレール部材5に吊り込まれ、引戸6の摺動確認、閉鎖スピードの調整作業等が行われる。
【0014】
以下、各部材について詳述する。
戸尻側縦枠13は、図7に示す如く、出入口側面131と点検側面133と固定側面132より横断面略コ字形に形成され、建物側鉄骨11側の上下方向に所定間隔を有して設けられた固定用部材134・・・が、建物用鉄骨11の出入口側面に突出して固着されたブラッケット12・・・に溶接され、下端部は床面仕上げ時に床面に埋め込まれて立設されている。
そして、引戸6が開放された時、引戸6の戸尻側端面が当接する緩衝部材135が出入口側面131に取付られている。
【0015】
戸先側縦枠14は、図7に示す如く、建物側鉄骨11側の上下方向に所定間隔を有して固定用部材141・・・が設けられ、出入口側方向で点検側(室内側)に突出して点検側(室内側)の化粧ボード100の出入り口側端面を隠蔽する点検側ボード閉塞部147と、出入口側方向で固定側に突出して固定側の化粧ボード100の出入口側端面を隠蔽する固定側ボード閉塞部146を有する扁平な略コ字形に形成され、出入口側の引戸6の戸先側端部が位置する部分に閉鎖用凹部148が、点検側ボード閉塞部147と固定側ボード閉塞部146間で上下方向に渡って連設されている。
【0016】
上枠15は、図3、図4、図5、図6に示す如く、上面壁151と上面壁151の点検側端部が垂下した点検側壁152と、上面壁151の固定側端部が垂下し、高さ方向略中央部に点検側に突出するレール取付材連結突部150を有する点検側壁152の略4倍強程度の高さ寸法を有する固定側壁153より略逆L字形に形成されている。
【0017】
ベース材16は、図5、図6に示す如く、戸袋側の床面全幅に位置する固定面161と、固定面161の戸袋点検側および戸袋固定側の端部に形成された立ち上がり面162、162より断面上向きコ字形に形成され、出入口側に位置する端部に、引戸6の下端面に形成された嵌合溝60内に嵌合するガイドローラー17を上面で回転自在に保持するガイドローラー取付部材164が固定面161の出入り口側端部に取付けられている。
そして、ガイドローラー取付部材164の戸尻側縦枠13側の端部側は、アンカーボルトにてベース材16と共に床面に固定され、立ち上がり面162、162の出入口側端部は、点検側中枠3、固定側中枠30の内面と連結されている。
【0018】
点検側中枠3は、図7に示す如く、内面側に位置する補強枠31と、補強枠31の出入り口側の端部から点検側に突出し、点検側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する点検側中枠突部32と、点検側中枠突部32の内面側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、点検側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる化粧ボード支持部33と、化粧ボード支持部33の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出し、下地
桟4・・・の点検側中枠3側の端部が連結される下地桟連結部34より形成され、上端部が上枠15の点検側壁152に連結され、下端部がベース材16と連結され、床面仕上げ時に下端が床面に埋め込まれて立設される。
【0019】
固定側中枠30は、図7に示す如く、内面側に位置する固定側補強枠301と、固定側補強枠301の出入り口側の端部から固定側に突出し、固定側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する固定側中枠突部302と、固定側中枠突部302の内面側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、固定側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる固定側化粧ボード支持部303と、固定側化粧ボード支持部303の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出し、下地桟4・・・の固定側中枠30側の端部が連結される固定側下地桟連結部304より形成され、上端部が上枠15の固定側壁153に連結され、下端部がベース材16と連結され、床面仕上げ時に下端が床面に埋め込まれて立設される。
【0020】
下地桟4は、図2、図6、図7に示すように、基板表面部41と、基板表面部41の上下端部をL字形に折り曲げた上下フランジ部42、43と、基板表面部41の戸尻側端部を内側にL字形に折り曲げた連結用フランジ部44(図5に示す。)と、基板表面部41の点検側中枠3側の端部に形成された中枠側連結部45より構成され、戸尻側縦枠13と点検側中枠3及び固定側中枠30間の上下方向に所定間隔を有して配設されている。
【0021】
固定側ランマ下地パネル19は、図3、図4、図5に示す如く、固定側表面基板191の上端部に形成された上部連結用突片192が、上枠15の固定側壁153の固定出入口側の上端部に溶接され、固定側表面基板191の下端部に形成された下部連結用突片193が、上枠15の固定側側壁153の固定出入口側下端部に溶接されて上枠15と一体化される。
そして、引戸枠1に固定側中枠30が取付けられた後、固定側中枠30と戸先側縦枠14の固定出入口側の上端部と上枠15の固定出入口側下端部で、固定側中枠30側と戸先側縦枠14側の端部とねじ止めされた連結座194、194に、化粧ボード100の下端縁が当接する固定側化粧突部155が上方からねじ止め連結され、固定側下地パネル19の下端部で外方に突出して設けられている。
【0022】
点検側ランマ下地パネル7は、図3、図4、図5に示すように、基板72と、基板72の下端部に分離可能に設けられた点検側化粧突部73より構成されている。
そして、基板72は、上端に形成された上端連結突片71と、点検側化粧ボード100の下端縁の下面を隠蔽する基板側下突片721を有する、基板72の下端部に溶接されたL字形の化粧突部支持座722(図8に示す。)より構成されている。
【0023】
点検側化粧突部73は、図9に示すように、点検側の上方から基板側下突片721に載置され、点検側化粧ボード100に張られたクロス103の下縁を隠蔽する載置用突片76と、戸先側縦枠14と点検側中枠3の上端部出入口側内面に取付けられた突部連結座70、70に下面側がネジ止めされるL字形の上部化粧突部77と、上部化粧突部77の下端部に略L字形に一体に連設され、引戸6側に突出して、出入口上部の点検側を閉塞する点検側閉塞部78より構成されている。
【0024】
突部連結座70、70は対向した同形に構成されているので一方側についてのみ説明する。
突部連結座70は、図10に示すように、点検側中枠3の上端部出入口側内面にネジ止め連結される連結用壁701と、連結用壁701の外側端部に出入口側に突出して連設された上部隙間閉塞壁702と、上部隙間閉塞壁702の下端部に内側に突出して連設され、上部化粧突部77が下面にネジ止め連結される連結用螺孔703を有する化粧突部連結用壁704と、化粧突部連結用壁704の内側端部に下方に突出して連設された下部隙間閉塞壁705より構成されている。
【0025】
点検側ランマ下地パネル7と、突部連結座70、70は、上記のように形成され、上端連結突片71が上枠15の点検側壁152にネジ止めされた状態で、基板72の点検側の表面に点検側化粧ボード100が貼り付けられ、固定側ランマ下地パネル19の下固定側表面基板191の表面に固定側化粧ボード100が貼り付けられ、下地桟4・・・の連結用フランジ部44・・・間、及びベース材16の立ち上がり面162、162と上下フランジ部42、43・・・間、上フランジ42・・・と、上枠15の点検側壁152及び固定側壁153間に下地ボード101・・・が貼り付けられ、下地ボード101・・・の表面の戸袋側に化粧ボード100が貼り付けられた状態で、出入口以外の表面が建物の壁面と同じ化粧用ボード100で面一に覆われた後、さらに室内側にはクロス103等が貼り付けられることとなる。
【0026】
すなわち、戸先側縦枠14の点検側ボード閉塞部146と、固定側ボード閉塞部147と、点検側中枠突部32と固定側中枠突部302と、点検側化粧突部73と固定側化粧突部155が化粧ボード100より外側に突出してあらわれることとなる。
そして、最終仕上げが施された(レール保持材2、引戸6等がとりつけられた)後、点検側化粧突部73の載置用突片76を基板側下突片721に外側上方から載置し、突部連結座70、70に上部化粧突部77が下面からネジ止め連結されて出入口の上部に点検側化粧突部73が着座自在に設けられる。
【0027】
この時、載置突片76によって点検側ランマ下地パネル72に貼られた化粧ボード100の下縁、化粧ボード100の前面に貼られたクロス103の下端縁は隠蔽されるので、化粧ボード100とクロス103の下端縁を正確にそろえる必要がなくクロス張りが能率よく行える。
又、突部連結座70、70の上部隙間閉塞壁702、702と下部隙間閉塞壁705、705によって、点検側中枠3及び戸先側縦枠14の出入口側内面と、点検側化粧突部73(上部化粧突部77と点検側閉塞部78)の両端部側間に形成される隙間が裏面側から
閉塞されるので美観が向上する。
さらに、点検側化粧突部73を連結する際、載置突片76を基板側下突片721に載置することで、点検側閉塞部78が、下部隙間閉塞壁705の前面に当接するので、点検側化粧突部73は、不用意に落下することがなく、連結作業が容易に行える。
【0028】
レール保持材2は、図8、図14、図15に示ように、上枠15のレール取付材連結突部150に出入口側から戸袋側ほぼ全幅にわたって連結されたレール取付材50に、係脱自在に連結され、点検側にレール部材5を保持している。
すなわち、レール取付材50は、図14に示すように、レール取付材連結突部150の上方の固定側壁153の内面と連結される略L字形の上向き連結用突片501と、上向き連結用突片501の点検側端部に連設され、下端部に点検側に突出するレール支持突片503を有する略L字形の下向き連結用壁502と、下向き連結用壁502の戸先側端部で点検側に突出して設けられた移動用ボルト支持突片504より構成され、連結ボルト505・・・(図2に示す。)にて上枠15の固定側壁153及びレール取付材連結突部150の点検側に連結されている。
そして、下向き連結用壁502には、引戸6の開閉方向に所定間隔を有して、引戸6の開閉方向に長めの係止孔506・・・が複数個形成され、移動用ボルト支持突片504には、点検側端部が開口し、固定側に向かって形成された移動用ボルト支持孔507が設けられている。
尚、上枠15のレール取付材連結突部150には、前記係止孔506・・・に対応する位置に係止孔506・・・より大きい取付用逃がし孔(図示せず。)が設けられている。
【0029】
レール保持材2は、レール取付材50のほぼ全幅に渡って配設され、図14、図15に示すように、レール取付材50の下向き連結用突片502の点検側に連結される連結用垂下片21と、連結用垂下片21の上端に連設された点検側に突出する水平上片22と、連結用垂下片21の戸先側端部で点検側に突出して形成された、前記移動用ボルト支持突片504に対応するボルト螺合用突片23より構成されている。
そして、ボルト螺合用突片23には引戸6の開閉方向に移動用ボルト24が螺合して戸先側に突出し、ボルト頭部26とボルト螺合用突片23間側で固定用ナット25が移動用ボルト24の螺軸27に螺合している。
又、図15に示すように、連結用垂下片21には前記係止孔506・・・に係合する係止爪211・・・が戸尻側方向に突出して設けられている。
【0030】
レール部材5は、レール保持材2のほぼ全幅に渡って配設され、図8に示すように、アルミ材の押し出し成形により形成された断面略C字形で、レール保持材2とほぼ同長のレール補強部材500と、レール補強部材500の点検側に連結される断面略C字形で、レール補強部材500とほぼ同長の固定側メンバー51と、固定側メンバー51の略3分の2程度の長さのボールリテーナ52に回転自在に保持されたボール53・・・を介して、固定側メンバー51に摺動自在に保持される、固定側メンバーの略3分の1程度の長さの移動側メンバー54より構成され、移動側メンバー54の点検側には、移動側メンバー54と同程度の長さの吊り下げ用金具55が固着されている。
【0031】
レール部材5は、上記のように構成され、レール保持材2の点検側で水平上片22の下方に位置して、連結用垂下片21にボルト等にて連結され、吊り下げ用金具55が取付けられた状態で、レール保持部材2と一体化される。
【0032】
レール部材5と一体化されたレール保持材2は、点検側化粧突部73が取り外された状態で、レール保持材2の戸尻側端部を点検側中枠3と固定側中枠30間の出入口側下方から戸袋側の上部方向に差し込んで、連結用垂下片21の戸尻側端部に形成された係止爪211を、レール取付材50の戸尻側端部に形成された係止孔506に一致させて、さらに水平状態としながら固定側方向に移動させ、ボルト頭部26をレール取付材50の移動用ボルト支持突片504の戸先側に、固定ナット25を移動用ボルト支持突片504の戸尻側に位置させた状態で、移動用ボルト24の螺軸27を移動用ボルト支持突片504に形成された移動用ボルト支持孔507内に嵌入しながら戸尻側に押しやり、各係止爪506・・・を各係止孔506・・・に係止初期段階とし、次に、固定用ナット25をレール取付材50の移動用ボルト支持突片504の戸尻側に当接させた状態で、移動用ボルト24をボルト螺合用突片23から抜け出す方向(一般的には半時計回りの方向)に固定用ナット25と共に回動させると、固定用ナット24は移動用ボルト支持突片504に当接しているので、移動用ボルト24は戸先側方向には移動せず、レール保持材2を戸尻側方向に移動させ、各係止爪506・・・を各係止孔506・・・に完全に係止させる。
そして、移動用ボルト24を螺合方向に回動して、ボルト頭部26を移動用ボルト支持突片504の戸先側に当接させ、さらに固定用ナット25を回動して移動用ボルト支持突片504の戸尻側に当接させ、レール保持材2の引戸6開閉方向への移動を完全に防止した状態で、上枠15(レール取付材50)に連結される。
【0033】
一方、補修等のためレール保持材2を取外す場合は、上記の状態から固定ナット25を回動して所定位置まで戸尻側に移動させ(又は、ボルト螺合用突片23に当接するまで移動させ)、 ボルト頭部26を移動用ボルト支持突片504の戸先側の面に当接させた状態で、移動用ボルト24を螺合方向に螺合させていくと、レール保持部材2は戸先側方向に移動し、やがて、係止爪211・・・と係止孔506・・・の係止状態が解除され、レール部材2はレール取付材50から取外される。
以上のように、レール保持材2をレール取付材50に取付けるとき、あるいは、取外す時は、移動用ボルト24を回動させるだけの簡単な操作であるから、レール保持材2の取付け、取外し作業が非常に容易である。
【0034】
上記吊り下げ用金具55は、図14、図16に示すように、下端部がレール部材5の下方に突出し、移動側メンバー54の点検側に固着される連結固着部551と、連結固着部551の下端部で固定側に突出し、レール保持材2の下方に位置して連設された上片554と、上片554の固定側端部に垂下して連設された垂下面553と、垂下面553の下端部で点検側に突出して形成された吊り下げ支持面552より構成されている。
そして、吊り下げ支持面552の開閉方向側両端部には、点検側が開口する吊り下げボルト挿通孔556、556が形成されている。
【0035】
吊り下げ用金具55に吊り下げられる引戸6は、前記吊り下げボルト挿通孔556、556に対応する位置で、上端面に吊り下げボルト61、61が設けられたパネル形状をなし、図11及び図13に示すように、戸先側と戸尻側の両端部上面に略L字形のオプション部材取付け座201、201がとりつけられ、下端面の開閉方向に前記ガイドローラー17が嵌合する嵌合溝60が形成され、引戸6の戸先側端面には、引戸の閉鎖状態で戸先側縦枠14の閉鎖用凹部148内に位置する戸当たり部材600が、戸先側縦枠14方向に突出して設けられている。
符号300は、引戸6の戸先側端部で、点検側(室内側)、固定側(室外側)に設けられた取手を示している。
【0036】
吊り下げボルト61は、螺軸部62とボルト頭部63よりなり、ボルト保持体65が垂下面553に連結されることで、吊り下げ用金具55を介してレール部材5と連結され、開閉方向に移動自在となる。
【0037】
ボルト保持体65(図17に示す。)は、螺孔557・・・(図16に示す。)螺合する連結ネジ650・・・にて垂下面553と連結される連結片651、651と、連結片651、651の内側端部側から点検側に突出して連設され、ボルト頭部63の戸先側と戸尻側に位置して吊り下げボルト61の回動を阻止する回動防止片652、652と、ボルト頭部63の点検側に位置して、吊り下げボルト61が吊り下げボルト挿通孔556から脱落するのを防止する、回動防止片652、652間に連設された移動防止片653より構成されている。
【0038】
そして、点検側化粧突部73が取り外され状態の出入口の点検側より、引戸6は、吊り下げボルト61、61の螺軸部62、62が、吊り下げボルト挿通孔556、556を挿通して、ボルト頭部63が吊下げ支持面552に載置させ、必要に応じて頭部63、63をスパナで回動して引戸6を所定の高さに位置させた後、ボルト保持体65、65が垂下面553に連結されて、レール部材5に吊り下げ用金具55を介して吊り下げられる。
この状態で、
回動防止片652、652がボルト頭部63の戸先側と戸尻側に位置するので、吊下げボルト61が不用意に回動することがなく、引戸6は確実に所定の高さに維持される。
又、ボルト保持体65の移動防止片653が、吊り下げボルト61のボルト頭部63の点検側に位置するので、吊り下げボルト61が吊り下げボルト挿通孔556から脱落するのを防止することができる。
更に、ボルト頭部63が吊下げ支持面552に載置された状態で、ボルト頭部のやや上方に、上片554が位置するので、地震等で、引戸6が独立して単独で上方に浮き上がることもなく、引戸装置の損傷を回避することができる。
そして、レール部材5に対する引戸6の保持部とは、引戸6がレール部材5から脱落するのを最終的に防止する、ボルト保持体65と吊り下げ用金具55の連結に供される連結ネジ650・・・をさす。
【0039】
次に、自閉装置、振れ止め装置、全開ストッパー装置、ブレーキ装置、フリーストッパー装置等のオプション部材が点検側から取付けられる。
自閉装置は、図2、図5、図13に示すように、引戸6の開閉動作に伴って引戸6の戸尻側内部を昇降する自閉用錘801と、一端が自閉用錘801と連結され、引戸6の戸尻側端部上端で回転自在に保持された自閉用滑車803に掛け渡され、他端が、引戸6の閉鎖状態で、自閉用滑車803のやや戸先側に位置して、上枠15の固定側壁153の内面に連結ネジ800にて連結されるワイヤー802より構成されている。
【0040】
そして、予め、ワイヤー802の一端を自閉用錘801と連結し、他端を引戸6の戸尻側端部上面にネジ等で仮止めして、自閉用錘801を引戸6の戸尻側端部の内部に吊り下げた状態で、引戸6が吊り下げ用金具55と連結された後、仮止めされたワイヤー802の一端を取外して、上枠15の固定側壁153の内面に連結ネジ800にて連結される。
すなわち、引戸6の開放方向の移動に伴って、ワイヤー802の一端は上枠15に固定されているので、開放方向に移動する自閉用滑車803によって、ワイヤー802を介して自閉用錘801は上方に引き上げられ、引き上げられた自閉用錘801の自重によって
引戸6に自閉力が付与されることとなる。
尚、実施例の自閉用滑車803は、引戸6の吊り下げ後に、前記戸尻側のオプション部材取付座201に取付けられる振れ止め装置の戸尻側振れ止め部材203と共に連結される。
【0041】
振れ止め装置は、引戸6の戸先側端部と戸尻側端部の上面に連結されたオプション部材取付け座201、201(図2、図9、図11、図13に示す。)に連結される戸先側振れ止め部材202と、戸尻側振れ止め部材203と、上枠15のレール取付材連結突部150の下方に出入口側、戸袋側のほぼ全幅に渡って設けられる振れ止め用嵌入部材204より構成されている。
戸尻側振れ止め部材203は、図5に示すように、固定側端部に上方に突出し、振れ止め用嵌入部材204に形成された下方が開口する振れ止め嵌入溝206に、下方から嵌入する戸尻側上向き嵌入突片207と、オプション部材取付け座201の固定側面に連結される固定用連結片208と、固定用連結片208の下端部に逆L字形に下方に突出し、下端部が引戸6の上端内部に位置し、固定側面に自閉用滑車803が回転自在に取付けられる滑車取付け片209より構成されている。
そして、連結ネジ700にて点検側からオプション部材取付座201の固定側に連結される。
【0042】
戸先側振れ止め部材202は、図3に示すように、固定側端部に上方に突出し、振れ止め用嵌入部材204に形成された下方が開口する振れ止め嵌入溝206に、下方から嵌入する戸先側上向き嵌入突片200を有し、全開ストッパー装置8の全開用ローラ保持部材83と共に戸先側のオプション部材取付座201の固定側面に連結ネジ710にて、点検側から連結される。
符号400(図8に示す。)は、戸尻側上向き嵌入突片207(戸先側上向き嵌入突片200)に取付けられた合成樹脂製の緩衝用滑り部材を示している。
【0043】
全開ストッパー装置は、図3、図5、図11、図13に示すようにストッパー取付座81を介して点検側中枠突部32の出入口側上端部に、連結ネジ820にて戸先側縦枠14方向に向かって突出して取付けられた弾性ストッパー片82と、前記戸先側のオプション部材取付座201の点検側に、全開用ローラー保持部材83を介して連結ネジ710にて取付けられる全開用ローラー84より構成されている。
そして、弾性ストッパー82は、戸先側端部に上方に向かって山形に突出するローラー係止突部821が形成された板バネ材よりなり、引戸6の開放と共に戸袋側に移動する全開用ローラー84が、前記弾性ストッパー82の弾性に抗してローラー係止突部821を乗り越して、戸袋側に位置した状態で引戸7が全開状態となり、自閉装置の自閉力を、弾性ストッパー82(ローラー係止突部821)の弾性による全開用ローラー84の保持力が上まわることにより引戸7の全開姿勢が維持される。
【0044】
一方、全開姿勢での保持力が自閉力に比べて強すぎると、引戸6の全開姿勢から引戸6を閉鎖させる時の手動による初期閉鎖力(全開用ローラー84がローラー係止突部821を戸先側縦枠14方向に乗り越す力)が大きくなりすぎる事となる。
よって、自閉力と、保持力の微妙なバランスを取るためと、戸尻側振れ止め部材203、戸先側振れ止め部材202の取付け高さを調節する為、オプション部材取付座201には上下方向に長い取付用長孔220、220が形成され、全開用ローラー保持部材83を上下方向に取付け位置調整可能とすることにより、全開用ローラー84の取付け高さを調整可能とし、弾性ストッパー82を上方から押さえつける力、いわゆるローラー係止突部821による全開用ローラー84の保持力を調整可能としている。
【0045】
ブレーキ装置は図3、図4、図12に示すように、吊り下げ用金具55の戸尻側端部の垂下面553に、連結ネジ910・・・にて連結され、上片554の下面から連結固着部551の点検側に突出して設けられたブレーキ操作突片911を有するブレーキ操作部材91と、点検側ランマ下地パネル7の下方部に設けられた、出入口の略中央部で固定側に突出する調整部連結用突片92、92に、シリンダー取付け金具94を介して連結ネジ940・・・にて下方から連結されるエアーシリンダー(ブレーキ装置の調整部)93より構成されている。
尚、エアーシリンダー(ブレーキ装置の調整部)93とブレーキ操作突片911からなるブレーキ装置は、特開平08−177305号公報に記載されている衝撃緩衝装置のピストンシリンダーと取付けブラケットの作用効果と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
すなわち、ブレーキ装置は、引戸6がレール部材5に吊り下げ用金具55を介して吊り下げられた状態で、自閉装置、振れ止め装置、全開ストッパー装置が取付けられたのち、ブレーキ操作部材91を垂下面553に点検側よりネジ止め連結して、吊り下げ金具55と、点検側ランマ下地パネル7の基板72間にブレーキ操作突片911を位置させ、次に、エアーシリンダー(ブレーキ装置の調整部)93を下方より、吊り下げ用金具55と点検側ランマ下地パネル7間に挿入し、シリンダー取付け金具94の下端部を調整部連結用突片92、92の下面側に位置させ、下方より連結ネジ940・・・にて調整部連結用突片92、92に連結する。
そして、下方より、ドライバーにて閉鎖スピードの調整を行い、フリーストッパー装置を取付けた後、点検側化粧突部73の載置用突片76を基板側下突片721に外側上方から載置し、突部連結座70、70に上部化粧突部77が下面からネジ止め連結されて、出入口上部の点検側を閉塞する。
【0047】
フリーストッパー装置は、図4、図12に示すように、弾性係止部材90と、弾性係止部材90の上端部を回動自在に保持する回動支持部材901よりなり、回動支持部材901はストッパー連結金具902とネジ止め連結され、ストッパー連結金具902の下端部は、吊り下げ用金具55の垂下面553にネジ止め連結された連結金具取付け座903の点検側壁に連結ネジ900・・・にて連結される。
尚、フリーストッパー装置は、特許第2683321号公報に記載されたフリストップ機構と同じ作用効果を有するものであるから、その詳細は省略する。
【0048】
すなわち、フリーストッパー装置は、引戸6がレール部材5に吊り下げ用金具55を介して吊り下げられた状態で、自閉装置、振れ止め装置、全開ストッパー装置、ブレーキ装置が取付けられた後、弾性係止部材90、回動支持部材901が連結された状態のストッパー連結金具902を下方より、吊り下げ用金具55と点検側ランマ下地パネル7間に挿入し、弾性係止部材90の下端部が戸尻側に位置し、レール保持材2の水平上片22に傾斜状態で接触させた状態で、ストッパー連結金具902の下端部を、予め、吊り下げ用金具55の垂下面553にネジ止め連結された連結金具取付け座903の点検側に連結ネジ900・・・にて連結される。
【0049】
そして、全ての調整を行った後、点検側化粧突部73の載置用突片76を基板側下突片721に点検側上方から載置し、突部連結座70、70に上部化粧突部77が下面からネジ止め連結されて、点検側に臨む引戸の保持部(連結ネジ650・・・)、自閉装置とその連結ネジ800、振れ止め装置とその連結ネジ700、710、全開ストッパー装置とその連結ネジ710、820、フリーストッパー装置とその連結ネジ900は全て隠蔽される。
そして、上記各連結ネジは、ほぼ点検側に臨む同一高さに形成されているので、点検側化粧突部の高さ寸法を極力小さく設定でき、点検側と、出入口側の意匠を違和感のないものに構成するころができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の点検側(室内側)からの正面図
【図2】化粧ボードと、点検側下地パネルを取外した状態での本発明の点検側からの正面図
【図3】図1のA―A線拡大断面図
【図4】図1のB―B線拡大断面図
【図5】図1のC―C線拡大断面図
【図6】図1のD―D線拡大断面図
【図7】図1のE―E線拡大断面図
【図8】レール部材部分の拡大断面図
【図9】点検側化粧突部部分の拡大断面図
【図10】突部連結座の斜視図
【図11】図2における戸先側縦枠の上端部付近の拡大図
【図12】図2におけるフリーストッパー装置付近の拡大図
【図13】図2における点検側中枠の上端部付近の拡大図
【図14】レール取付材とレール保持材の関係を示す要部斜視図
【図15】レール保持材の要部斜視図
【図16】吊り下げ用金具と引戸の関係を示す要部斜視図
【図17】ボルト保持体の斜視図
【図18】フリーストッパー装置の取付け方法を示す要部断面図
【図19】エアーシリンダー(ブレーキ装置の調整部)の取付け方法を示す要部断面図
【符号の説明】
【0051】
1 引戸枠
11 鉄骨
13 戸尻側縦枠
14 戸先側縦枠
15 上枠
19 固定側ランマ下地パネル
100 化粧ボード、点検側化粧ボード、固定側化粧ボード
2 レール保持材
23 ボルト螺合用突片
24 移動用ボルト
25 固定用ナット
26 ボルト頭部
211 係止爪
3 点検側(室内側)中枠
30 固定側(室外側)中枠
4 下地桟
5 レール部材
50 レール取付材
504 移動用ボルト支持突片
506 係止孔
507 移動用ボルト支持孔
55 吊り下げ用金具
552 吊り下げ支持面
553 垂下面
554 上片
556 吊り下げボルト挿通孔
6 引戸
61 吊り下げボルト
62 螺軸部
63 ボルト頭部
65 ボルト保持体
650 引戸の保持部(連結ネジ)
651 連結片
652 回動防止片
653 移動防止片
7 点検側ランマ下地パネル
70 突部連結座
701 連結用壁
702 上部隙間閉塞壁
704 化粧突部連結用壁
705 下部隙間閉塞壁
72 基板
721 基板側下突片
73 点検側化粧突部
76 載置用突片
77 上部化粧突部
78 点検側閉塞部
92 調整部連結用突片
93 ブレーキ装置の調整側(エアーシリンダー)

902 フリーストッパー連結金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸先側縦枠と戸尻側縦枠と上枠より門形に形成されて建物側の鉄骨に固定される引戸枠にレール部材が配設され、レール部材に自閉可能に引戸が吊り下げられて、引戸の閉鎖状態で引戸の位置する側を出入口側とし、引戸の開放状態で引戸の位置する側を戸袋側となし、少なくとも出入口側の上部に点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルが所定間隔を有して対向して配設され、戸袋側と、点検側ランマ下地パネルと、固定側ランマ下地パネルの表面が、壁面と略面一とした、化粧ボードと点検側化粧ボードと固定側化粧ボードで覆われてなる引戸装置において、レール部材に連結された吊り下げ用金具は、下端部がレール部材の下方で固定側に突出し、レール保持材の下方に位置して連設された上片と、上片の固定側端部に垂下して連設された垂下面と、垂下面の下端部で点検側に突出して形成された吊り下げ支持面を有し、吊り下げ支持面の開閉方向側両端部には、点検側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成される一方、吊り下げ用金具に吊り下げられる引戸は、前記吊り下げボルト挿通孔に対応する位置の上端面に吊り下げボルトを有し、吊り下げボルトは、螺軸部とボルト頭部よりなり、吊り下げボルトの螺軸部が、吊り下げボルト挿通孔を挿通して、ボルト頭部が吊下げ支持面に載置され、ボルト頭部の戸先側と戸尻側に位置して吊り下げボルトの回動を阻止する回動防止片と、ボルト頭部の点検側に位置して、吊り下げボルトが吊り下げボルト挿通孔から脱落するのを防止する移動防止片と、連結ネジにて垂下面と連結される連結片からなるボルト保持体が垂下面に連結されることで、引戸が吊り下げ用金具を介してレール部材と連結されている事を特徴とする引戸装置。
【請求項2】
戸先側縦枠と戸尻側縦枠と上枠より門形に形成されて建物側の鉄骨に固定される引戸枠にレール部材が配設され、レール部材に自閉可能に引戸が吊り下げられて、引戸の閉鎖状態で引戸の位置する側を出入口側とし、引戸の開放状態で引戸の位置する側を戸袋側となし、少なくとも出入口側の上部に点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルが所定間隔を有して対向して配設され、戸袋側と、点検側ランマ下地パネルと、固定側ランマ下地パネルの表面が、壁面と略面一とした、化粧ボードと点検側化粧ボードと固定側化粧ボードで覆われてなる引戸装置において、点検側ランマ下地パネルと固定側ランマ下地パネルの下端部には、点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁の外側に突出して点検側化粧ボードと固定側化粧ボードの下端縁を隠蔽する点検側化粧突部と固定側化粧突部が設けられ、レール部材に連結された吊り下げ用金具は、下端部がレール部材の下方で固定側に突出し、レール保持材の下方に位置して連設された上片と、上片の固定側端部に垂下して連設された垂下面と、垂下面の下端部で点検側に突出して形成された吊り下げ支持面を有し、吊り下げ支持面の開閉方向側両端部には、点検側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成される一方、吊り下げ用金具に吊り下げられる引戸は、前記吊り下げボルト挿通孔に対応する位置の上端面に吊り下げボルトを有し、吊り下げボルトは、螺軸部とボルト頭部よりなり、吊り下げボルトの螺軸部が、吊り下げボルト挿通孔を挿通して、ボルト頭部が吊下げ支持面に載置され、ボルト頭部の戸先側と戸尻側に位置して吊り下げボルトの回動を阻止する回動防止片と、ボルト頭部の点検側に位置して、吊り下げボルトが吊り下げボルト挿通孔から脱落するのを防止する移動防止片と、連結ネジにて垂下面と連結される連結片からなるボルト保持体が垂下面に連結されることで、引戸が吊り下げ用金具を介してレール部材と連結され、前記点検側化粧突部は、点検側ランマ下地パネルの基板と分離可能で、点検側ランマ下地パネルに取付けられた状態で、前記連結ネジを隠蔽し、固定側化粧突部と下端面がほぼ同一高さとなる事を特徴とする引戸装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−261187(P2008−261187A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106599(P2007−106599)
【出願日】平成19年4月14日(2007.4.14)
【出願人】(000125990)株式会社くろがね工作所 (84)
【Fターム(参考)】