引落処理装置および引落処理方法
【課題】引落処理装置および引落処理方法を提供すること。
【解決手段】円口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、円に関する引落額が前記円口座の預金残高の範囲内であると前記引落判断部により判断された場合、前記円口座について前記円に関する引落額に基づく引落処理を行う引落処理部と、を引落処理装置に設け、前記外貨口座の外貨に関する引落額に対する不足額が前記円口座の預金残高の範囲内である場合、前記引落処理部は、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行う。
【解決手段】円口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、円に関する引落額が前記円口座の預金残高の範囲内であると前記引落判断部により判断された場合、前記円口座について前記円に関する引落額に基づく引落処理を行う引落処理部と、を引落処理装置に設け、前記外貨口座の外貨に関する引落額に対する不足額が前記円口座の預金残高の範囲内である場合、前記引落処理部は、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引落処理装置および引落処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近日、インターネットの普及に伴い、インターネットを利用したサービスの提供がサービス提供業者により広く行なわれている。例えば、ネットバンクに代表されるように、預金管理、および資産運用などの金融サービスもインターネットを介して顧客に提供されるようになった。
【0003】
特に、金融サービス提供者は、競合他者との差別化を図るべく、独自のサービスの展開を試みている。例えば、特許文献1には、外貨口座を有する顧客が外国でクレジットカードを利用して外貨の支払いを行なった場合、クレジットカードの利用額を、自国通貨の口座でなく、外貨口座から引き落とす決済システムについて記載されている。仮に外国でのクレジットカードの利用額を自国通貨の口座から引き落とす場合、外貨と自国通貨の間に発生する変換コストを顧客が負担することになる。これに対し、上記決済システムは、顧客が支払うコストを軽減できる点で顧客にとって有益である。
【0004】
【特許文献1】特開2001−229247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の決済システムでは、クレジットカードの利用額に対して外貨口座の預金残高が不足している場合、クレジットカードの利用額が未決済として処理される。その結果、例えば決済の延滞料金が発生するなど、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合が想定される。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合を抑制することが可能な、新規かつ改良された引落処理装置および引落処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行う引落処理部と、前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択する選択部と、前記選択部により選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する補填判断部と、を備え、前記引落処理部は、前記補填判断部による判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行う、引落処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成においては、ある通貨に関する引落額が、該通貨に対応する口座の預金残高の範囲外であった場合でも、不足額が第2の優先順位データに従って他の通貨口座から補填される。その結果、該通貨に関する引落が未決済となってしまう場合を抑制することができる。
【0009】
前記引落処理部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記不足額を当該優先順位の高い通貨口座から補填して引落処理を行なってもよい。
【0010】
前記補填判断部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲外であると判断した場合、前記第2の優先順位データに基づいて次に優先順位の高い通貨を選択し、前記不足額が、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高との合計金額の範囲内であるか否かを判断し、前記引落処理部は、前記不足額が前記合計金額の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高の全額、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高の少なくとも一部を補填して前記不足額の引落処理を行なってもよい。
【0011】
前記記憶部は、前記複数種類の通貨の口座を有する顧客ごとに、前記複数種類の通貨の口座ごとの預金残高の合計金額に基づいて設定された、前記複数種類の通貨を相互に変換するための通貨レートを記憶しており、前記補填判断部は、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨から前記不足額が発生している通貨へ変換するための前記通貨レートを前記記憶部から読み出し、前記不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高に前記通貨レートを適用した変換通貨残高の範囲内であるか否かを判断してもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記録するステップと、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと、前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断するステップと、前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行うステップと、前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択するステップと、選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと、前記範囲内であるか否かの判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行うステップと、を含む引落処理方法が提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、円口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、円および外貨に関する引落額が、前記円口座および前記外貨口座のそれぞれの預金残高の範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する円補填判断部と、前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると前記円補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と、を備える引落処理装置が提供される。
【0014】
前記引落処理装置は、前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲外であると前記円補填判断部により判断された場合、前記円に関する引落額に対する前記円口座の預金残高の不足額が、前記外貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する外貨補填判断部と、前記円口座の前記不足額が前記外貨口座の預金残高の範囲内であると前記外貨補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記外貨口座から補填して引落処理を行う円引落処理部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと、前記引落要求情報に含まれる円に関する引落額が円口座の預金残高の範囲内であるか否か、および外貨に関する引落額が外貨口座の預金残高の範囲内であるかを判断するステップと、円および外貨に関する引落額が前記円口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと、前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行うステップと、を含む引落処理方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ドル口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、ドルおよび外貨に関する引落額が前記ドル口座および外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ドル口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するドル補填判断部と、前記外貨口座の前記不足額が前記ドル口座の預金残高の範囲内であると前記ドル補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ドル口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と、を備える引落処理装置が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーロ口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、ユーロおよび外貨に関する引落額が前記ユーロ口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するユーロ補填判断部と、前記外貨口座の前記不足額が前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であると前記ユーロ補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ユーロ口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と、を備える引落処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明にかかる引落処理装置および引落処理方法によれば、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕クレジットカードによる決済の概要
〔2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバについて
〔2−1〕第1の実施形態にかかる銀行サーバのハードウェア構成
〔2−2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの機能
〔2−3〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの動作
〔3〕第2の実施形態にかかる銀行サーバについて
〔3−1〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの機能
〔3−2〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの動作
〔4〕まとめ
【0021】
〔1〕クレジットカードによる決済の概要
まず、図1を参照し、クレジットカードによる決済について概略的に説明する。
【0022】
図1は、クレジットカードによる決済の流れを示した説明図である。より詳細には、図1には、顧客、クレジットカードのカード会社、カード会社の加盟店、および顧客の預金口座を管理する金融機関による決済の流れを示している。
【0023】
(ステップS1)
まず、顧客が加盟店に対して商品またはサービスを要求し、商品またはサービスの代金をクレジットカードで支払う。なお、顧客は、加盟店に直接赴いてクレジットカードにより代金の支払いを行なっても、インターネットを介してクレジットカードにより代金の支払いを行なってもよい。また、加盟店は、例えば、商品を販売する商品販売業者、宿泊や移動手段の予約サービスを行なう旅行業者、教育サービスを提供する教育業者、音楽や映像などのコンテンツの配信サービスを提供するコンテンツ配信業者、または、異常事態に備える警備サービスを提供する警備業者などであってもよい。
【0024】
(ステップS2およびS3)
次に、加盟店は、顧客により利用されたクレジットカードに記録されている情報をクレジットカード照会用のネットワークを経由してカード会社に転送する。カード会社は、加盟店から受信した情報に基づき、クレジットカードの有効性の確認、顧客のカード与信残高の照会等を行なう。そして、カード会社は、クレジットカードに問題ない場合には、加盟店でのクレジットカードによる代金の支払いを許可する。
【0025】
その後、加盟店は、クレジットカードによる支払いに関する情報を示す売上票をカード会社へ送付、または支払いに関する情報をクレジットカード端末から入力してカード会社へ送信する。また、カード会社は、一定期間ごとに加盟店でのクレジットカードの利用額を取りまとめ、該利用額からカード会社の手数料を差し引いた額を加盟店の指定する銀行口座へ入金する。
【0026】
(ステップS4)
次に、カード会社は、所定期間ごとに、顧客が使用したクレジットカードの利用代金の明細書、顧客の指定銀行口座からの代金引落日を顧客に通知する。ただし、所定期間に顧客によりクレジットカードが利用されなかった場合、当該通知は行なわれない。
【0027】
(ステップS5)
顧客は、ステップS4における通知を確認することにより以前のクレジットカードの利用額および引落日を把握し、引落日前に金融機関が管理する口座に必要に応じて金銭を入金する。ここで、外貨での引落が発生する場合、顧客は円預金口座の円預金の一部で外貨を購入し、購入した外貨を外貨口座に充当してもよい。この場合、顧客は、通常、銀行等の金融機関において売買により発生する為替コストを含む為替レートで外貨を購入する。為替コストや為替レートについては、図7を参照して後述する。
【0028】
(ステップS6)
そして、カード会社は、金融機関に対し、顧客の口座からカード会社が指定する口座へのクレジットカード利用額の振替処理(引落処理、決済処理)を依頼する。金融機関は、カード会社からの依頼に応じ、クレジットカード利用額の振替処理を行う。かかる振替処理の詳細については、「〔2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバについて」、および「〔3〕第2の実施形態にかかる銀行サーバについて」において説明する。
【0029】
(ステップS7)
その後、金融機関は、クレジットカード利用額の振替処理が完了した場合、顧客およびカード会社に対して振替処理が完了した旨の通知を行なう。以上説明したステップS1〜ステップS7までの一連の流れにより、クレジットカードによる決済が完了する。
【0030】
(本実施形態に至った経緯)
上記説明したように、金融機関は、カード会社により依頼があったクレジットカード利用額の振替処理を行う。ここで、顧客が外国でクレジットカードを利用して外貨の支払いを行なった場合を考える。
【0031】
この場合、金融機関は、以下の方法により振替処理を行うことが想定される。
1.外貨による利用額を自国通貨に換算し、顧客の自国通貨の口座から換算された利用額の振替を行なう。
2.顧客が外貨口座を有する場合、外貨による利用額を、顧客の自国通貨の口座でなく、外貨口座から振替える。
【0032】
上記1の方法では、外貨と自国通貨の間での利用額の換算時に、コストが発生してしまう点で顧客にとって不利である。上記2の方法によれば、顧客が支払うコストを軽減できる点で有益である。
【0033】
しかし、上記2の方法では、クレジットカードの利用額に対して外貨口座の預金残高が不足している場合、クレジットカードの利用額が未決済として処理される。その結果、例えば決済の延滞料金が発生するなど、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に予期せぬ負担を強いる場合が想定される。特に、外貨口座を有する顧客は為替差益等による資産運用を目的とすることが多く、為替レートのタイミングにより所有する外貨を売買するため、問題となる。
【0034】
また、一般的に外貨を購入して外貨口座へ入金する際は、外貨購入のためのコストが上乗せされているため、上記2の方法のようにクレジットカード利用額の決済を外貨口座の通貨で行った場合においても実質的に大幅なコストの削減となっているわけではない。
【0035】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20、および本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21を創作するに至った。本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20、および本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21によれば、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合を抑制することができる。以下、このような本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20、および本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21について説明する。
【0036】
〔2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバについて
まず、図2〜図13を参照し、金融機関に設けられて上記振替処理(決済処理)を実行する引落処理装置の一例として、本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20について説明する。
【0037】
〔2−1〕第1の実施形態にかかる銀行サーバのハードウェア構成
図2は、銀行サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。銀行サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0038】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って銀行サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0039】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0040】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなど銀行サーバ20の管理者が情報を入力するための入力手段と、銀行サーバ20の管理者による入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。銀行サーバ20の管理者は、該入力装置208を操作することにより、銀行サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0041】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0042】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる銀行サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の、例えば顧客情報DB、円預金情報DBなどが記録される。
【0043】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、銀行サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0044】
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、通信網12は、通信網12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internt Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。通信装置215は、このような通信網12を介して顧客端末10やカード会社装置30との間で各種データを送受信する。
【0045】
〔2−2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの機能
以上、図2を参照して本実施形態にかかる銀行サーバ20のハードウェア構成について説明した。続いて、図3〜図10を参照し、本実施形態にかかる銀行サーバ20の機能を説明する。
【0046】
図3は、本実施形態にかかる銀行サーバ20の構成を示した機能ブロック図である。図3に示したように、本実施形態にかかる銀行サーバ20は、通信部216と、テーブル管理部220と、記憶部230と、顧客ステージ判定部240と、決済判断部250と、決済処理部260と、補填判断部270と備える。
【0047】
通信部216は、顧客端末10、およびカード会社に設けられるカード会社装置30と通信網12を介して接続され、受信部、および送信部としての機能を有する。また、通信部216は、顧客口座からの引落請求額をカード会社装置30から取得する取得部としての機能も有する。さらに、通信部216は、図7を参照して説明する基準レート(為替レート)を提供する情報提供サーバから、所定間隔で基準レートを取得する機能も有する。
【0048】
なお、図3において顧客端末10の一例としてPC(Personal Computer)を示しているが、顧客端末10は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0049】
テーブル管理部220は、記憶部230に記憶されている各DBの管理を行なう。例えば、テーブル管理部220は、新たな顧客に関する顧客テーブルを作成して顧客情報DBに登録したり、顧客テーブルの内容を更新したり、必要に応じて削除したりする。
【0050】
(各DBの構成)
記憶部230は、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、および優遇レートDBなどの任意のデータを記憶している。以下、図4を参照して顧客情報DB、円預金情報DB、および外貨預金情報DBについて説明する。
【0051】
図4は、顧客情報DB、円預金情報DB、および外貨預金情報DBの構成例を示した説明図である。図4に示したように、顧客情報DBは顧客ごとの顧客テーブルを含み、円預金情報DBは顧客ごとの円預金テーブルを含み、外貨預金情報DBは顧客ごとの外貨預金テーブルを含む。
【0052】
さらに、顧客テーブルは、識別情報、顧客情報、および履歴情報を含む。識別情報は、銀行サーバ20に登録されている顧客を識別する情報であり、例えば口座番号に対応する。顧客情報は、顧客に関する情報であり、例えば顧客の氏名、年齢、生年月日、住所、電話番号、自宅PCのメールアドレス、職業、家族構成、年収、およびパスワードなどの情報を含んでもよい。さらに、顧客情報は、顧客が外貨クレジットカードを有するか否かを示す情報、および顧客の優良性の度合いを示す顧客ステージを含む。履歴情報は、顧客テーブルの更新前の情報と更新後の情報を含む。例えば、履歴情報には、パスワードが変更された場合変更前のパスワードが記録され、顧客の住所が変更された場合変更前の住所が記録される。
【0053】
また、円預金テーブルは、識別情報、円普通預金情報、円定期預金情報、および履歴情報を含む。識別情報は、顧客を識別する情報であり、銀行サーバ20は該識別情報を参照することにより対象顧客の円預金テーブルを検索することができる。円普通預金情報は、現在の普通預金の残高情報を含む。また、円定期預金情報は、例えば1年定期100万円、満期日、金利などの約定定期ごとの円定期預金に関する情報を含む。履歴情報は、以前に顧客が行なった取引や行動の内容を示し、例えば、円普通預金および円定期預金についての入出金額および日時に関する情報を含む。
【0054】
また、外貨預金テーブルは、識別情報、外貨普通預金情報、外貨定期預金情報、および履歴情報を含む。識別情報は、顧客を識別する情報であり、銀行サーバ20は該識別情報を参照することにより対象顧客の外貨預金テーブルを検索することができる。外貨普通預金情報は、現在の普通預金の残高情報を含む。また、外貨定期預金情報は、外貨定期預金に関する情報を含む。履歴情報は、以前に顧客が行なった取引や行動の内容を示し、例えば、外貨普通預金および外貨定期預金についての入出金額および日時に関する情報を含む。
【0055】
テーブル管理部220は、顧客が外貨を売却して円を購入する際、該顧客を示す識別情報を含む円預金テーブルおよび外貨預金テーブルを検索する。そして、テーブル管理部220は、外貨預金テーブルに含まれる外貨普通預金情報の示す額を減算し、減算額を現在の為替レートで円に変換し、変換された円の額を円預金テーブルに含まれる円普通預金情報の示す額に加算する。さらに、テーブル管理部220は、円預金テーブルおよび外貨預金テーブルの双方に含まれる履歴情報に日時、金額の増減などの情報を記録する。
【0056】
なお、外貨預金テーブルの外貨普通預金情報および外貨定期預金情報には、ドルやユーロなどの各国通貨ごとにデータが記録されている。このため、外貨普通預金情報および外貨定期預金情報には、各国通貨の識別子(例えば、米ドルは1、ユーロは2)が含まれ、銀行サーバ20はかかる識別子に基づいて特定の通貨に関する処理を行うことができる。
【0057】
また、このような各種DBが記録される記憶部230は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdam Access Memory)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0058】
(顧客ステージについて)
また、図3に示した顧客ステージ判定部240は、顧客ステージを判定し、図4に示した顧客情報に判定した顧客ステージを記録する。以下、図5〜図7を参照し、顧客ステージについて説明する。
【0059】
図5は、ステージ判定日および判定結果の適用日の関係を示した説明図である。図5に示したように、顧客ステージ判定部240は、例えば毎月の月末に各顧客の顧客ステージを判定する。具体的には、顧客ステージ判定部240は、まず、顧客の外貨預金(定期預金を含む)の残高を円に換算する。このとき、顧客ステージ判定部240は、判定月の初日の為替レートに基づいて換算を行なう。例えば、顧客ステージ判定部240は、2/29にステージ判定を行なう場合、2/1の為替レートに基づいて外貨預金の残高を円に換算する。そして、顧客ステージ判定部240は、円に換算された外貨の預金残高の合計額に対応するステージを図6に示すステージ判定テーブルに基づいて判定する。
【0060】
図6は、ステージ判定テーブルの一例を示した説明図である。図6のステージ判定テーブルに示したように、「預金残高1,000,000円以上3,000,000円未満」がステージ1に該当し、「預金残高3,000,000円以上」がステージに該当し、「預金残高1,000,000円未満」がステージ外に該当する。顧客が保有する外貨を全て一の通貨に統一した方が基準が分かり易いため、図6には円を基準とするステージ判定テーブルを示している。
【0061】
したがって、顧客ステージ判定部240は、ある顧客の外貨の預金残高の合計値が例えば2,000,000円であった場合、該顧客の顧客ステージがステージ1であると1次的に判定する。
【0062】
さらに、顧客ステージ判定部240は、本実施形態による決済処理方式が適用される外貨クレジットカードを顧客が有するという情報が顧客情報に含まれている場合、顧客ステージを優遇してもよい。例えば、顧客ステージ判定部240は、顧客が外貨クレジットカードを有する場合、1次的に判定したステージの1ランク上のステージを顧客ステージとして判定してもよい。または、顧客ステージ判定部240は、外貨の預金残高の合計値にさらに所定額を加算して顧客ステージを判定してもよい。
【0063】
このようにして判定された顧客ステージは顧客情報に記録される。また、月末に判定された顧客ステージは、再来月中に適用される。例えば、2/29日に判定された顧客ステージは、図5に示したように4/1〜4/30まで適用される。なお、銀行における収益を顧客に還元するという観点から、外貨預金残高が高い顧客に対して為替コストが低減するよう設定される(すなわち、外貨をより多く購入した顧客に対する利益還元)。具体的には、図7に示すように、顧客ステージのランクが高いほど為替コストが優遇される。
【0064】
図7は、顧客ステージと為替コストの関係を示した説明図である。顧客ステージがステージ外である場合、図7の上段に示した為替コストが適用される。具体的には、ステージ外においては、1米ドルを売却する際に0.25円の為替コストが設定されている。したがって、通信部216により取得された基準レートが107.78であった場合、売却レートは基準レートから0.25円を減じた107.53円である。同様に、ステージ外においては、1米ドルを購入する際に0.25円の為替コストが設定されている。したがって、基準レートが107.78であった場合、購入レートは基準レートから0.25円を加算した108.03円である。
【0065】
一方、顧客ステージ1においては、1米ドルを売却する際に0.20円の為替コストが設定されている。したがって、基準レートが107.78であった場合、売却レートは基準レートから0.20円を減じた107.58円である。同様に、顧客ステージ1においては、1米ドルを購入する際に0.20円の為替コストが設定されている。したがって、通信部216により取得された基準レートが107.78であった場合、購入レートは基準レートから0.20円を加算した107.98円である。このように、顧客ステージ1においては、売却レートがステージ外より高く、購入レートがステージ外より低いため、顧客にとって有利である。なお、ユーロに関しても同様に顧客ステージ1の顧客がステージ外の顧客より優遇される。
【0066】
さらに、顧客ステージ2においては、1米ドルを売却する際に0.10円の為替コストが設定されている。したがって、基準レートが107.78であった場合、売却レートは基準レートから0.10円を減じた107.68円である。同様に、顧客ステージ2においては、1米ドルを購入する際に0.10円の為替コストが設定されている。したがって、通信部216により取得された基準レートが107.78であった場合、購入レートは基準レートから0.10円を加算した107.88円である。このように、顧客ステージ2においては、売却レートが顧客ステージ1より高く、購入レートが顧客ステージ1より低いため、顧客にとってさらに有利である。なお、ユーロに関しても同様に顧客ステージ2の顧客が顧客ステージ1の顧客より優遇される。
【0067】
ここで、顧客が実際に本実施形態にかかる外貨クレジットカードを利用して外貨で商品を購入した際の為替レートと決済(外貨補填時)を行なう時点における為替レートが大幅に剥離している場合、さらに為替コストを顧客に課すことは酷である。したがって、上記のように優良顧客には優遇レートを適用することにより、基準レートにより近い為替レートでの補填を可能とし、顧客の負担を軽減させることが可能である。
【0068】
(決済処理)
ここで、図3を参照して銀行サーバ20の構成の説明に戻ると、決済判断部250は、カード会社装置30から決済の依頼があった利用請求額が、対象顧客の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部としての機能を有する。また、第1の実施形態においては、顧客が円預金に加え、1の外貨預金として米ドル預金を有する場合について説明する。ただし、外貨預金は米ドル預金に限られず、ユーロ預金であってもよい。また、自国通貨が米ドルである場合、外貨預金は円預金であってもユーロ預金であってもよく、自国通貨がユーロである場合、外貨預金は円預金であっても米ドル預金であってもよい。
【0069】
そして、決済処理部260は、決済判断部250により利用請求額が預金残高の範囲内であると判断された通貨口座から、利用請求額の決済処理を行う引落処理部としての機能を有する。具体的には、決済処理部260は、決済判断部250により利用請求額が預金残高の範囲内であると判断された通貨口座から、カード会社により指定されている口座へ利用請求額を通貨ごとに振替える。
【0070】
また、補填判断部270は、決済判断部250により米ドルに関する利用請求額のみが預金残高の範囲外であると判断された場合、利用請求額に対する米ドル預金残高の不足額が、円預金残高の範囲内であるか否かを判断する。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに基づく為替コストを考慮し、米ドル預金残高の不足額が、円預金残高の範囲内であるか否かを判断する。補填判断部270により米ドル預金残高の不足額が、円預金残高の範囲内であると判断された場合、決済処理部260は、不足額を円預金から補填して米ドルに関する利用請求額の決済処理を行う。
【0071】
かかる構成により、米ドルに関する利用請求額が米ドル預金残高の範囲外であった場合でも、不足額が円預金から補填される。したがって、米ドルに関する利用請求額が未決済となってしまう場合を抑制することができる。その結果、決済の延滞料金が発生するなど、米ドル預金残高の不足により顧客に予期せぬ負担を強いてしまうという問題を緩和することができる。また、本実施形態においては、第2の実施形態において説明する優先順位テーブルを利用する必要が無いため、第2の実施形態と比較して処理時間を短縮することができる。
【0072】
また、補填判断部270は、決済判断部250により利用請求額が米ドル預金残高の範囲外であると判断され、かつ、利用請求額が円預金残高の範囲外であると判断された場合、米ドルに関する利用請求額が優先的に決済されるよう処理を行う。具体的には、補填判断部270は、優先的に米ドルに関する利用請求額を決済するために、第1段階として、米ドルに関する利用請求額に対する米ドル預金残高の不足額を円預金から補填できるか否かを判断し、補填できる場合には不足額を円預金から補填する。そして、補填判断部270は、第2段階として、円に関する利用請求額に対する円預金残高の不足額を米ドル預金から補填できるか否かを判断し、補填できる場合には不足額を米ドル預金から補填する。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに基づく為替コストを考慮して、円預金残高および米ドル預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する。なお、米ドルに関する利用請求額を優先的に決済することは事前に決定されていてもよい。
【0073】
また、補填判断部270は、決済判断部250により円に関する利用請求額のみが預金残高の範囲外であると判断された場合、利用請求額に対する円預金残高の不足額が、米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する。ここで、顧客ステージに基づく為替コストを考慮して円預金残高の不足額が、米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する。補填判断部270により円預金残高の不足額が、米ドル預金残高の範囲内であると判断された場合、決済処理部260は、不足額を米ドル預金から補填して円に関する利用請求額の決済処理を行う。
【0074】
以上、決済判断部250、決済処理部260、および補填判断部270の機能について説明した。続いて、図8〜図10を参照し、決済判断部250、決済処理部260、および補填判断部270により行なわれる決済処理について具体的に説明する。
【0075】
図8〜図10は、決済処理部260、および補填判断部270により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。なお、図8〜図10の説明においては、説明の便宜上、1米ドルが100円に相当するものとし、為替コストが発生しないものとしている。
【0076】
図8Aは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、100,000円および1,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲内であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲内であると判断する。
【0077】
したがって、決済処理部260は、10,000米ドルから1,000米ドルを減算して得られる9,000米ドルに米ドル預金残高を更新し、1,000,000円から100,000円を減算して得られる900,000円に円預金算残高を更新する。また、減算額は、カード会社の指定口座へ振り込まれる。例えば、銀行サーバ20が指定銀行の指定口座へ入金要求を行い、入金要求が完了した旨の通知を受け取って振り込みが完了する。なお、カード会社の指定口座は顧客と同じ銀行の口座であっても、異なる銀行の口座であってもよい。また、決済処理が完了すると、顧客およびカード会社へ決済が終了した旨が通知される。また、上記のような円および米ドルに関するカード会社からの利用請求は、顧客が日本で円クレジットカードを利用して円の支払いをし、かつ、米国でドルクレジットカードを利用して米ドルの支払いをした場合などに生じる。
【0078】
図8Bは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円をカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。
【0079】
したがって、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額である500,000円を米ドル預金から補填できるか否かを判断する。米ドル預金残高は不足額である500,000円の範囲内であるため、補填判断部270は補填可能であると判断する。このため、決済処理部260は、不足額である500,000円に対応する5,000米ドルを円預金に補填し、補填した後の1,500,000円で円請求額の決済処理を行う。その結果、米ドル預金残高は5,000米ドルになる。
【0080】
図8Cは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、15,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断する。
【0081】
したがって、補填判断部270が、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額である5,000米ドルを円預金から補填できるか否かを判断する。円預金残高は不足額である5,000米ドルの範囲内であるため、補填判断部270は補填可能であると判断する。このため、決済処理部260は、不足額である5,000米ドルに対応する500,000円を米ドル預金に補填し、補填した後の15,000米ドルで米ドル請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は500,000円になる。
【0082】
図8Dは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円および15,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高および円預金残高が請求額の範囲外であると判断する。
【0083】
したがって、補填判断部270が、まず、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額である5,000米ドルを円預金から補填できるか否かを判断する。円預金残高は不足額である5,000米ドルの範囲内であるため、補填判断部270は補填可能であると判断する。このため、決済処理部260は、不足額である5,000米ドルに対応する500,000円を米ドル預金に補填し、補填した後の15,000米ドルで米ドル請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は500,000円になり、円請求額は未決済となる。この場合、銀行サーバ20は顧客に対して円請求額に対する不足額を通知する。
【0084】
図9Aは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,100,000円および7,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲内であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、10,000米ドルから7,000米ドルを減算して得られる3,000米ドルに米ドル預金残高を更新する。
【0085】
続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額である100,000円が、米ドル預金残高の範囲内であると判断する。したがって、決済処理部260は、不足額である100,000円に対応する1,000米ドルを円預金に補填し、補填した後の1,100,000円で円請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は2,000米ドルになる。
【0086】
図9Bは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円および7,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲内であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、10,000米ドルから7,000米ドルを減算して得られる3,000米ドルに米ドル預金残高を更新する。
【0087】
続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額である500,000円が、米ドル預金残高の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、円請求学の決済処理を行うことができない。この場合、円預金残高は1,000,000円、米ドル預金残高は2,000米ドルになり、円請求額は未決済となる。
【0088】
図9Cは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円および25,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、補填無しに円請求額および米ドル請求額を決済することができない。
【0089】
この場合、補填判断部270が、まず、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できるか否かを判断する。しかし、米ドル預金残高の不足額15,000米ドルに対し、円預金残高は1,000,000円であるため、補填判断部270は米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できないと判断する。
【0090】
続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できるか否かを判断する。この場合、円預金残高の不足額500,000円に対し、米ドル預金残高は10,000米ドルであるため、補填判断部270は円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できる判断する。したがって、決済処理部260は、不足額である500,000円に対応する5,000米ドルを円預金に補填し、補填した後の1,500,000円で円請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は5,000米ドルになり、米ドル請求額は未決済となる。
【0091】
図10Aは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、2,500,000円をカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。さらに、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できるか否かを判断する。この場合、円預金残高の不足額1,500,000円に対し、米ドル預金残高は10,000米ドルであるため、補填判断部270は円預金残高の不足額を米ドル預金から補填できないと判断する。したがって、決済処理部260は円請求額を決済することができず、円請求額は未決済となる。
【0092】
図10Bは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、25,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断する。さらに、補填判断部270が、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できるか否かを判断する。この場合、米ドル預金残高の不足額15,000米ドルに対し、円預金残高は1,000,000円であるため、補填判断部270は米ドル預金残高の不足額を円預金から補填できないと判断する。したがって、決済処理部260は米ドル請求額を決済することができず、米ドル請求額は未決済となる。
【0093】
図10Cは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、2,500,000円および25,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断し、かつ、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、補填無しに円請求額および米ドル請求額を決済することができない。
【0094】
この場合、補填判断部270が、まず、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できるか否かを判断する。しかし、米ドル預金残高の不足額15,000米ドルに対し、円預金残高は1,000,000円であるため、補填判断部270は米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できないと判断する。続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できるか否かを判断する。この場合、円預金残高の不足額1,500,000円に対し、米ドル預金残高は10,000米ドルであるため、補填判断部270は円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できないと判断する。したがって、決済処理部260は米ドル請求額および円請求額を決済することができず、米ドル請求額および円請求額は未決済となる。
【0095】
〔2−3〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの動作
以上、図3〜図10を参照して本実施形態にかかる銀行サーバ20の機能を説明した。続いて、図11〜図13を参照し、本実施形態にかかる銀行サーバ20の動作について説明する。
【0096】
図11〜図13は、本実施形態にかかる銀行サーバ20の決済処理の流れを示したフローチャートである。図11に示したように、まず、決済判断部250が、円請求額が円預金残高の範囲内であるか否かを判断する(S304)。そして、円請求額が円預金残高の範囲内であると決済判断部250により判断された場合、決済処理部260が円請求額を円預金により決済する(S308)。一方、円請求額が円預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、銀行サーバ20は図12に示すS340の処理に進む。
【0097】
円預金による決済の後、決済判断部250は、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する(S312)。そして、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であると決済判断部250により判断された場合、決済処理部260が米ドル請求額を米ドル預金により決済する(S316)。
【0098】
一方、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、補填判断部270が、円請求額の決済後の円預金残高で、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する(S320)。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮して円預金残高で不足額を補填できるか否かを判断する。そして、不足額を円預金残高で補填できると補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで円から米ドルへ両替する(S324)。
【0099】
その後、決済処理部260は、両替後の米ドルを米ドル預金口座へ入金し(S328)、米ドル請求額を入金後の米ドル預金により決済する(S332)。一方、不足額を円預金残高で補填できないと補填判断部270により判断された場合(S320)、銀行サーバ20は不足額を顧客端末10へ例えばメールで通知する(S336)。
【0100】
S304において円請求額が円預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、図12に示したように、決済判断部250は、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する(S340)。そして、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であると決済判断部250により判断された場合、決済処理部260が米ドル請求額を米ドル預金により決済する(S344)。一方、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、銀行サーバ20は図13のS368の処理へ進む。
【0101】
その後、補填判断部270が、米ドル請求額の決済後の米ドル預金残高で、円請求額に対する円預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する(S348)。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮して米ドル預金残高で不足額を補填できるか否かを判断する。そして、不足額を米ドル預金残高で補填できると補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで米ドルから円へ両替する(S352)。
【0102】
その後、決済処理部260は、両替後の円を円預金口座へ入金し(S356)、円請求額を入金後の円預金により決済する(S360)。一方、不足額を米ドル預金残高で補填できないと補填判断部270により判断された場合(S356)、銀行サーバ20は不足額を顧客端末10へ例えばメールで通知する(S364)。
【0103】
S340において米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、図13に示したように、補填判断部270は、円残高と米ドル残高の合計額が米ドル請求額より大きいか否かを判断する(S368)。そして、合計額が不足額より大きいと補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで円から米ドルへ両替する(S372)。その後、決済処理部260は、両替後の米ドルを米ドル預金口座へ入金し(S376)、米ドル請求額を入金後の米ドル預金により決済する(S380)。
【0104】
一方、S368において合計額が不足額より小さいと補填判断部270により判断された場合、補填判断部270は、円残高と米ドル残高の合計額が円請求額より大きいか否かを判断する(S384)。そして、合計額が不足額より大きいと補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで米ドルから円へ両替する(S388)。
【0105】
その後、決済処理部260は、両替後の円を円預金口座へ入金し(S392)、円請求額を入金後の円預金により決済する(S394)。一方、合計額が不足額より大きいと補填判断部270により判断された場合(S384)、銀行サーバ20は不足額を顧客端末10へ例えばメールで通知する(S396)。そして、円請求額および米ドル請求額が未決済であるまま処理を終了する。以上説明したように、米ドルを優先的に決済することにより、円預金残高に余力があるにも拘らず米ドルが未決済となってしまう場合を抑制できる。その結果、為替相場の急激な変動により顧客が不測の損害を被ってしまう事態を防止することが可能である。例えば、米ドルが未決済と扱われている間に円が急落してしまい、顧客が多額の支払いを強いられる場合を防止することができる。
【0106】
なお、上記では顧客が自国通貨として円の預金口座を有し、外貨として米ドルの預金口座を有し、外貨に関する米ドル請求額を優先的に決済する例を説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、米国に在住する顧客が自国通貨として米ドルの預金口座を有し、外貨の預金口座として例えば円の預金口座を有する場合、銀行サーバ20は外貨に関する円請求額を優先的に決済してもよい。さらに、ヨーロッパに在住する顧客が自国通貨としてユーロの預金口座を有し、外貨の預金口座として例えば米ドルの預金口座を有する場合、銀行サーバ20は外貨に関する米ドル請求額を優先的に決済してもよい。また、上記では顧客の在住する国で利用される通貨を自国通貨に該当する例を示したが、銀行サーバ20の位置する国で利用される通貨を自国通貨として扱ってもよい。
【0107】
〔3〕第2の実施形態にかかる銀行サーバについて
以上、図2〜図13を参照して第1の実施形態にかかる銀行サーバ20について説明した。第1の実施形態にかかる銀行サーバ20は、自国通貨および外貨の預金口座を有する顧客に関し、外貨の預金残高の不足により顧客に予期せぬ負担を強いてしまうという問題を緩和することができた。
【0108】
しかし、第1の実施形態にかかる銀行サーバ20は、顧客が2種の通貨の預金口座を有する場合に対応できるが、顧客は3種以上の預金口座を有する場合も考えられる。そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21を創作するに至った。第2の実施形態にかかる銀行サーバ21によれば、顧客が3以上の多種の通貨口座を有する場合にも対応することが可能である。以下、このような第2の実施形態にかかる銀行サーバ21について説明する。
【0109】
〔3−1〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの機能
図14は、第2の実施形態にかかる銀行サーバ21の構成を示した機能ブロック図である。図14に示したように、本実施形態にかかる銀行サーバ21は、通信部216と、テーブル管理部220と、記憶部232と、顧客ステージ判定部240と、決済判断部250と、決済処理部260と、補填判断部272と、通貨選択部280と、を備える。通信部216、テーブル管理部220、および顧客ステージ判定部240の機能は、第1の実施形態で説明した機能と実質的に同一であるため、以下では第1の実施形態と機能が異なる構成に重きをおいて説明する。
【0110】
図14に示したように、本実施形態においては、記憶部232が複数の外貨預金情報DBを記憶している。具体的には、記憶部232は、米ドル預金情報DBおよびユーロ預金情報DBを記憶している。米ドル預金情報DBおよびユーロ預金情報DBは、顧客ごとに普通預金残高および定期預金残高などを管理する預金テーブルを含む。
【0111】
さらに、記憶部232は、優先順位テーブルを記憶している。優先順位テーブルは、図15に示すように、決済通貨優先順位テーブルおよび補填通貨優先順位テーブルを含む。
【0112】
図15は、決済通貨優先順位テーブル(第1の優先順位データ)および補填通貨優先順位テーブル(第2の優先順位データ)の具体例を示した説明図である。決済通貨優先順位テーブルは、補填なしに決済することができなかった通貨のうちで、いずれの通貨を優先的に決済するかを示したテーブルである。図15に示した例では、米ドル、ユーロ、円、の順に決済優先順位が設定されている。
【0113】
補填通貨優先順位テーブルは、補填なしに決済することができなかった通貨に対し、いずれの通貨から優先的に補填させるかを示したテーブルである。図15に示した例では、円、米ドル、ユーロ、の順に補填優先順位が設定されている。
【0114】
図14に示した通貨選択部280は、上記決済通貨優先順位テーブルを参照して決済対象通貨を選択し、上記補填通貨優先順位テーブルを参照して補填元通貨を選択する選択部としての機能を有する。例えば、通貨選択部280は、決済判断部250により請求額が預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、決済通貨優先順位テーブルにおいて最も優先順位を高く設定されている通貨から順に選択する。また、通貨選択部280は、補填通貨優先順位テーブルにおいて最も優先順位を高く設定されている通貨から順に選択する。
【0115】
そして、補填判断部272は、通貨選択部280により選択された決済対象通貨の請求額の預金残高に対する不足額が、通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の範囲内であるか否かを判断する。なお、補填判断部272は、通貨選択部280により選択された決済対象通貨の請求額が、決済対象通貨の預金残高と補填元通貨の預金残高の合計値の範囲内であるか否かを判断してもよい。
【0116】
不足額が、通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の範囲内であると判断された場合、決済処理部260が補填元通貨の預金残高から不足額を補填して決済を行なう。一方、不足額が、通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の範囲外であると判断された場合、通貨選択部280は次に優先順位の高い補填元通貨を選択する。そして、補填判断部272は、不足額が、これまで通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の合計値の範囲内であるか否かを判断する。不足額が、これまで通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の合計値の範囲内であると判断された場合、決済処理部260がこれまで通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高から不足額を補填して決済を行なう。
【0117】
以下、図16を参照して本実施形態にかかる決済の具体例を説明する。なお、図16は、銀行サーバ21が図15に示した優先順位テーブルに従って動作し、1米ドルが100円であり、1ユーロが150円であり、1ユーロが1.5米ドルである場合の具体例を示している。また、図16の説明においては、説明の便宜上、為替コストが発生しないものとしている。
【0118】
図16Aは、1,000,000円の円預金、10,000米ドルの米ドル預金、および10,000ユーロのユーロ預金を有する顧客に関し、2,750,000円をカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円請求額が円預金残高の範囲外であると判断する。
【0119】
続いて、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として米ドルを選択する。しかし、円請求額が円預金算高と米ドル預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が米ドル預金からの補填のみでは円請求額を決済できないと判断する。
【0120】
このため、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨としてさらにユーロを選択する。補填判断部272は、円請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲内であるため、米ドル預金およびユーロ預金からの補填により円請求額を決済できると判断する。
【0121】
上記補填判断部272による判断を受け、決済処理部260は、10,000米ドルを円に両替して円預金へ入金し、5,000ユーロを円に両替して円預金へ入金し、入金後の円預金から円請求額を決済する。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は0円、ユーロ預金残高は5,000ユーロとなる。
【0122】
図16Bは、1,000,000円の円預金、10,000米ドルの米ドル預金、および10,000ユーロのユーロ預金を有する顧客に関し、24,500米ドルおよび15,000ユーロを振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると判断し、ユーロ請求額がユーロ預金残高の範囲外であると判断する。
【0123】
続いて、通貨選択部280が、決済通貨優先順位テーブルを参照して、決済対象通貨としてまず米ドルを選択する。また、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として円を選択する。しかし、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金からの補填のみでは米ドル請求額を決済できないと判断する。
【0124】
このため、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨としてさらにユーロを選択する。補填判断部272は、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲内であるため、円預金およびユーロ預金からの補填により米ドル請求額を決済できると判断する。
【0125】
上記補填判断部272による判断を受け、決済処理部260は、1,000,000円を米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、3,000ユーロを米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、入金後の米ドル預金から米ドル請求額を決済する。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は0円、ユーロ預金残高は7,000ユーロとなる。
【0126】
続いて、通貨選択部280が、決済通貨優先順位テーブルを参照して、決済対象通貨としてユーロを選択する。また、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として円を選択する。しかし、ユーロ請求額が円預金算高とユーロ預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金からの補填のみではユーロ請求額を決済できないと判断する。したがって、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、さらに補填元通貨として米ドルを選択する。しかし、ユーロ請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金と米ドル預金からの補填ではユーロ請求額を決済できないと判断する。その結果、ユーロ請求額は未決済として扱われる。
【0127】
図16Cは、1,000,000円の円預金、10,000米ドルの米ドル預金、および10,000ユーロのユーロ預金を有する顧客に関し、500,000円および19,500米ドルを振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円請求額が円預金残高の範囲内であり、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260が、円請求額を円預金により決済する。その結果、円預金残高が500,000円になる。
【0128】
続いて、通貨選択部280が、未決済である米ドル請求額を決済するために、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として円を選択する。しかし、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金からの補填のみでは米ドル請求額を決済できないと判断する。
【0129】
このため、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨としてさらにユーロを選択する。補填判断部272は、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲内であるため、円預金およびユーロ預金からの補填により米ドル請求額を決済できると判断する。
【0130】
上記補填判断部272による判断を受け、決済処理部260は、500,000円を米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、3,000ユーロを米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、入金後の米ドル預金から米ドル請求額を決済する。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は0円、ユーロ預金残高は7,000ユーロとなる。
【0131】
〔3−2〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの動作
以上、図14〜図16を参照して本実施形態にかかる銀行サーバ21の機能について説明した。続いて、図17を参照し、本実施形態にかかる銀行サーバ21の動作について説明する。
【0132】
図17は、第2の実施形態にかかる銀行サーバ21の動作の流れを示したフローチャートである。図17に示したように、銀行サーバ21が決済要求をカード会社装置30から取得すると(S404)、決済判断部250が全ての通貨の請求額を両替無しに決済できるか否かを判断する(S408)。そして、決済判断部250により全ての通貨の請求額を決済できると判断された場合、決済処理部260が全ての通貨の請求額の決済を行なう(S412)。
【0133】
一方、決済判断部250により少なくとも一部の通貨の請求額を決済できないと判断された場合(S408)、決済処理部260が両替無しで決済できる通貨の請求額を決済する(S416)。その後、通貨選択部280が、未決済の通貨から、決済通貨優先順位テーブルを参照して、決済優先順位が最も高い通貨を選択する(S420)。さらに、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照して、補填優先順位が最も高い通貨を選択する(S424)。
【0134】
続いて、補填判断部272が、通貨選択部280により選択された通貨の預金残高が、決済対象通貨の請求額に対する決済対象通貨の預金残高の不足額の範囲内であるか否かを判断する(S428)。ここで、補填判断部272は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮して決済対象通貨の預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する。そして、通貨選択部280により選択された通貨の預金残高が不足額の範囲内であると判断された場合、決済処理部260が通貨選択部280により選択された通貨の預金から不足額を所定のレートで補填して決済対象通貨の請求額を決済する(S432)。
【0135】
一方、通貨選択部280により選択された通貨の預金残高が不足額の範囲外であると判断された場合、通貨選択部280が補填通貨優先順位テーブルを参照して次に補填優先順位が高い通貨を選択する。そして、補填判断部272が、補填優先順位が最も高い通貨と次に補填優先順位が高い通貨の預金残高の合計額が、不足額の範囲内であるか否かを判断する(S436)。ここで、補填判断部272は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮し、合計額が決済対象通貨の預金残高の不足額の範囲内であるか否かを判断する。そして、合計額が、不足額の範囲内であると判断された場合、決済処理部260が通貨選択部280により選択された通貨の預金から不足額を所定のレートで補填して決済対象通貨の請求額を決済する(S440)。一方、合計額が、不足額の範囲外であると判断され、かつ、さらに補填優先順位の低い通貨が存在する場合、該通貨の預金残高を合計金額に加算してS436の処理を行う。
【0136】
そして、S440の後、または補填優先順位の最も低い通貨の預金残高が加算済みである場合(S444)、通貨選択部280は全ての未決済の通貨の請求額に関する補填判断が終了したか否かを判断する(S448)。そして、通貨選択部280は、請求額に関する補填判断がされていない未決済の通貨がある場合、決済通貨優先順位テーブルを参照し、未決済の通貨から次に決済優先順位の高い通貨を選択してS428へ移行する(S452)。一方、請求額に関する補填判断がされていない未決済の通貨が無い場合、一連の決済処理を終了する。
【0137】
〔4〕まとめ
以上説明したように、本発明の第1の実施形態においては、円および米ドルに関する利用請求額が各々の預金残高外であった場合、第1段階として、米ドルの利用請求額に対する米ドル預金残高の不足額を円預金から補填できるか否かを判断する。そして、円預金から補填できる場合には、不足額を円預金から補填することにより米ドルの利用請求額の決済を行なう。さらに、第2段階として、円の利用請求額に対する円預金残高の不足額を米ドル預金から補填できるか否かを判断し、可能である場合には円預金残高の不足額米ドル預金から補填することにより円の利用請求額の決済を行なう。このように米ドルを優先的に決済することにより、米ドルに関する利用請求額が未決済となってしまう場合を抑制することができる。その結果、決済の延滞料金が発生するなど、米ドル預金残高の不足により顧客に予期せぬ負担を強いてしまうという問題を緩和することができる。
【0138】
また、本発明の第2の実施形態においては、決済通貨優先順位テーブル、および補填通貨優先順位テーブルを利用することにより、3種の通貨を顧客が有する場合にも対応することができる。さらに、決済通貨優先順位テーブル、および補填通貨優先順位テーブルに新たな通貨および通貨の優先順位を追加するのみで通貨種類の増加に対応できるため、拡張性も優れている。
【0139】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0140】
例えば、本明細書の銀行サーバ20および銀行サーバ21の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、銀行サーバ20および銀行サーバ21の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0141】
また、銀行サーバ20および銀行サーバ21に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した銀行サーバ20および銀行サーバ21の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図3または図14の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】クレジットカードによる決済の流れを示した説明図である。
【図2】銀行サーバのハードウェア構成を示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態にかかる銀行サーバの構成を示した機能ブロック図である。
【図4】顧客情報DB、円預金情報DB、および外貨預金情報DBの構成例を示した説明図である。
【図5】ステージ判定日および判定結果の適用日の関係を示した説明図である。
【図6】ステージ判定テーブルの一例を示した説明図である。
【図7】顧客ステージと為替コストの関係を示した説明図である。
【図8A】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図8B】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図8C】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図8D】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図9A】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図9B】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図9C】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図10A】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図10B】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図10C】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図11】第1の実施形態にかかる銀行サーバの決済処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】第1の実施形態にかかる銀行サーバの決済処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】第1の実施形態にかかる銀行サーバの決済処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】第2の実施形態にかかる銀行サーバ21の構成を示した機能ブロック図である。
【図15】決済通貨優先順位テーブル(第1の優先順位データ)および補填通貨優先順位テーブル(第2の優先順位データ)の具体例を示した説明図である。
【図16A】第2の実施形態における決済処理の具体例を示した説明図である。
【図16B】第2の実施形態における決済処理の具体例を示した説明図である。
【図16C】第2の実施形態における決済処理の具体例を示した説明図である。
【図17】第2の実施形態にかかる銀行サーバの動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0143】
20、21 銀行サーバ
216 通信部
220 テーブル管理部
230、232 記憶部
240 顧客ステージ判定部
250 決済判断部
260 決済処理部
270、272 補填判断部
280 通貨選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、引落処理装置および引落処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近日、インターネットの普及に伴い、インターネットを利用したサービスの提供がサービス提供業者により広く行なわれている。例えば、ネットバンクに代表されるように、預金管理、および資産運用などの金融サービスもインターネットを介して顧客に提供されるようになった。
【0003】
特に、金融サービス提供者は、競合他者との差別化を図るべく、独自のサービスの展開を試みている。例えば、特許文献1には、外貨口座を有する顧客が外国でクレジットカードを利用して外貨の支払いを行なった場合、クレジットカードの利用額を、自国通貨の口座でなく、外貨口座から引き落とす決済システムについて記載されている。仮に外国でのクレジットカードの利用額を自国通貨の口座から引き落とす場合、外貨と自国通貨の間に発生する変換コストを顧客が負担することになる。これに対し、上記決済システムは、顧客が支払うコストを軽減できる点で顧客にとって有益である。
【0004】
【特許文献1】特開2001−229247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の決済システムでは、クレジットカードの利用額に対して外貨口座の預金残高が不足している場合、クレジットカードの利用額が未決済として処理される。その結果、例えば決済の延滞料金が発生するなど、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合が想定される。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合を抑制することが可能な、新規かつ改良された引落処理装置および引落処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行う引落処理部と、前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択する選択部と、前記選択部により選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する補填判断部と、を備え、前記引落処理部は、前記補填判断部による判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行う、引落処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成においては、ある通貨に関する引落額が、該通貨に対応する口座の預金残高の範囲外であった場合でも、不足額が第2の優先順位データに従って他の通貨口座から補填される。その結果、該通貨に関する引落が未決済となってしまう場合を抑制することができる。
【0009】
前記引落処理部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記不足額を当該優先順位の高い通貨口座から補填して引落処理を行なってもよい。
【0010】
前記補填判断部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲外であると判断した場合、前記第2の優先順位データに基づいて次に優先順位の高い通貨を選択し、前記不足額が、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高との合計金額の範囲内であるか否かを判断し、前記引落処理部は、前記不足額が前記合計金額の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高の全額、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高の少なくとも一部を補填して前記不足額の引落処理を行なってもよい。
【0011】
前記記憶部は、前記複数種類の通貨の口座を有する顧客ごとに、前記複数種類の通貨の口座ごとの預金残高の合計金額に基づいて設定された、前記複数種類の通貨を相互に変換するための通貨レートを記憶しており、前記補填判断部は、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨から前記不足額が発生している通貨へ変換するための前記通貨レートを前記記憶部から読み出し、前記不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高に前記通貨レートを適用した変換通貨残高の範囲内であるか否かを判断してもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記録するステップと、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと、前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断するステップと、前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行うステップと、前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択するステップと、選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと、前記範囲内であるか否かの判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行うステップと、を含む引落処理方法が提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、円口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、円および外貨に関する引落額が、前記円口座および前記外貨口座のそれぞれの預金残高の範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する円補填判断部と、前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると前記円補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と、を備える引落処理装置が提供される。
【0014】
前記引落処理装置は、前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲外であると前記円補填判断部により判断された場合、前記円に関する引落額に対する前記円口座の預金残高の不足額が、前記外貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する外貨補填判断部と、前記円口座の前記不足額が前記外貨口座の預金残高の範囲内であると前記外貨補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記外貨口座から補填して引落処理を行う円引落処理部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと、前記引落要求情報に含まれる円に関する引落額が円口座の預金残高の範囲内であるか否か、および外貨に関する引落額が外貨口座の預金残高の範囲内であるかを判断するステップと、円および外貨に関する引落額が前記円口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと、前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行うステップと、を含む引落処理方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ドル口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、ドルおよび外貨に関する引落額が前記ドル口座および外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ドル口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するドル補填判断部と、前記外貨口座の前記不足額が前記ドル口座の預金残高の範囲内であると前記ドル補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ドル口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と、を備える引落処理装置が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーロ口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と、通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と、前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と、ユーロおよび外貨に関する引落額が前記ユーロ口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するユーロ補填判断部と、前記外貨口座の前記不足額が前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であると前記ユーロ補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ユーロ口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と、を備える引落処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明にかかる引落処理装置および引落処理方法によれば、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕クレジットカードによる決済の概要
〔2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバについて
〔2−1〕第1の実施形態にかかる銀行サーバのハードウェア構成
〔2−2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの機能
〔2−3〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの動作
〔3〕第2の実施形態にかかる銀行サーバについて
〔3−1〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの機能
〔3−2〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの動作
〔4〕まとめ
【0021】
〔1〕クレジットカードによる決済の概要
まず、図1を参照し、クレジットカードによる決済について概略的に説明する。
【0022】
図1は、クレジットカードによる決済の流れを示した説明図である。より詳細には、図1には、顧客、クレジットカードのカード会社、カード会社の加盟店、および顧客の預金口座を管理する金融機関による決済の流れを示している。
【0023】
(ステップS1)
まず、顧客が加盟店に対して商品またはサービスを要求し、商品またはサービスの代金をクレジットカードで支払う。なお、顧客は、加盟店に直接赴いてクレジットカードにより代金の支払いを行なっても、インターネットを介してクレジットカードにより代金の支払いを行なってもよい。また、加盟店は、例えば、商品を販売する商品販売業者、宿泊や移動手段の予約サービスを行なう旅行業者、教育サービスを提供する教育業者、音楽や映像などのコンテンツの配信サービスを提供するコンテンツ配信業者、または、異常事態に備える警備サービスを提供する警備業者などであってもよい。
【0024】
(ステップS2およびS3)
次に、加盟店は、顧客により利用されたクレジットカードに記録されている情報をクレジットカード照会用のネットワークを経由してカード会社に転送する。カード会社は、加盟店から受信した情報に基づき、クレジットカードの有効性の確認、顧客のカード与信残高の照会等を行なう。そして、カード会社は、クレジットカードに問題ない場合には、加盟店でのクレジットカードによる代金の支払いを許可する。
【0025】
その後、加盟店は、クレジットカードによる支払いに関する情報を示す売上票をカード会社へ送付、または支払いに関する情報をクレジットカード端末から入力してカード会社へ送信する。また、カード会社は、一定期間ごとに加盟店でのクレジットカードの利用額を取りまとめ、該利用額からカード会社の手数料を差し引いた額を加盟店の指定する銀行口座へ入金する。
【0026】
(ステップS4)
次に、カード会社は、所定期間ごとに、顧客が使用したクレジットカードの利用代金の明細書、顧客の指定銀行口座からの代金引落日を顧客に通知する。ただし、所定期間に顧客によりクレジットカードが利用されなかった場合、当該通知は行なわれない。
【0027】
(ステップS5)
顧客は、ステップS4における通知を確認することにより以前のクレジットカードの利用額および引落日を把握し、引落日前に金融機関が管理する口座に必要に応じて金銭を入金する。ここで、外貨での引落が発生する場合、顧客は円預金口座の円預金の一部で外貨を購入し、購入した外貨を外貨口座に充当してもよい。この場合、顧客は、通常、銀行等の金融機関において売買により発生する為替コストを含む為替レートで外貨を購入する。為替コストや為替レートについては、図7を参照して後述する。
【0028】
(ステップS6)
そして、カード会社は、金融機関に対し、顧客の口座からカード会社が指定する口座へのクレジットカード利用額の振替処理(引落処理、決済処理)を依頼する。金融機関は、カード会社からの依頼に応じ、クレジットカード利用額の振替処理を行う。かかる振替処理の詳細については、「〔2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバについて」、および「〔3〕第2の実施形態にかかる銀行サーバについて」において説明する。
【0029】
(ステップS7)
その後、金融機関は、クレジットカード利用額の振替処理が完了した場合、顧客およびカード会社に対して振替処理が完了した旨の通知を行なう。以上説明したステップS1〜ステップS7までの一連の流れにより、クレジットカードによる決済が完了する。
【0030】
(本実施形態に至った経緯)
上記説明したように、金融機関は、カード会社により依頼があったクレジットカード利用額の振替処理を行う。ここで、顧客が外国でクレジットカードを利用して外貨の支払いを行なった場合を考える。
【0031】
この場合、金融機関は、以下の方法により振替処理を行うことが想定される。
1.外貨による利用額を自国通貨に換算し、顧客の自国通貨の口座から換算された利用額の振替を行なう。
2.顧客が外貨口座を有する場合、外貨による利用額を、顧客の自国通貨の口座でなく、外貨口座から振替える。
【0032】
上記1の方法では、外貨と自国通貨の間での利用額の換算時に、コストが発生してしまう点で顧客にとって不利である。上記2の方法によれば、顧客が支払うコストを軽減できる点で有益である。
【0033】
しかし、上記2の方法では、クレジットカードの利用額に対して外貨口座の預金残高が不足している場合、クレジットカードの利用額が未決済として処理される。その結果、例えば決済の延滞料金が発生するなど、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に予期せぬ負担を強いる場合が想定される。特に、外貨口座を有する顧客は為替差益等による資産運用を目的とすることが多く、為替レートのタイミングにより所有する外貨を売買するため、問題となる。
【0034】
また、一般的に外貨を購入して外貨口座へ入金する際は、外貨購入のためのコストが上乗せされているため、上記2の方法のようにクレジットカード利用額の決済を外貨口座の通貨で行った場合においても実質的に大幅なコストの削減となっているわけではない。
【0035】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20、および本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21を創作するに至った。本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20、および本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21によれば、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合を抑制することができる。以下、このような本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20、および本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21について説明する。
【0036】
〔2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバについて
まず、図2〜図13を参照し、金融機関に設けられて上記振替処理(決済処理)を実行する引落処理装置の一例として、本発明の第1の実施形態にかかる銀行サーバ20について説明する。
【0037】
〔2−1〕第1の実施形態にかかる銀行サーバのハードウェア構成
図2は、銀行サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。銀行サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0038】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って銀行サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0039】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0040】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなど銀行サーバ20の管理者が情報を入力するための入力手段と、銀行サーバ20の管理者による入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。銀行サーバ20の管理者は、該入力装置208を操作することにより、銀行サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0041】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0042】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる銀行サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の、例えば顧客情報DB、円預金情報DBなどが記録される。
【0043】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、銀行サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0044】
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、通信網12は、通信網12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internt Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。通信装置215は、このような通信網12を介して顧客端末10やカード会社装置30との間で各種データを送受信する。
【0045】
〔2−2〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの機能
以上、図2を参照して本実施形態にかかる銀行サーバ20のハードウェア構成について説明した。続いて、図3〜図10を参照し、本実施形態にかかる銀行サーバ20の機能を説明する。
【0046】
図3は、本実施形態にかかる銀行サーバ20の構成を示した機能ブロック図である。図3に示したように、本実施形態にかかる銀行サーバ20は、通信部216と、テーブル管理部220と、記憶部230と、顧客ステージ判定部240と、決済判断部250と、決済処理部260と、補填判断部270と備える。
【0047】
通信部216は、顧客端末10、およびカード会社に設けられるカード会社装置30と通信網12を介して接続され、受信部、および送信部としての機能を有する。また、通信部216は、顧客口座からの引落請求額をカード会社装置30から取得する取得部としての機能も有する。さらに、通信部216は、図7を参照して説明する基準レート(為替レート)を提供する情報提供サーバから、所定間隔で基準レートを取得する機能も有する。
【0048】
なお、図3において顧客端末10の一例としてPC(Personal Computer)を示しているが、顧客端末10は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0049】
テーブル管理部220は、記憶部230に記憶されている各DBの管理を行なう。例えば、テーブル管理部220は、新たな顧客に関する顧客テーブルを作成して顧客情報DBに登録したり、顧客テーブルの内容を更新したり、必要に応じて削除したりする。
【0050】
(各DBの構成)
記憶部230は、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、および優遇レートDBなどの任意のデータを記憶している。以下、図4を参照して顧客情報DB、円預金情報DB、および外貨預金情報DBについて説明する。
【0051】
図4は、顧客情報DB、円預金情報DB、および外貨預金情報DBの構成例を示した説明図である。図4に示したように、顧客情報DBは顧客ごとの顧客テーブルを含み、円預金情報DBは顧客ごとの円預金テーブルを含み、外貨預金情報DBは顧客ごとの外貨預金テーブルを含む。
【0052】
さらに、顧客テーブルは、識別情報、顧客情報、および履歴情報を含む。識別情報は、銀行サーバ20に登録されている顧客を識別する情報であり、例えば口座番号に対応する。顧客情報は、顧客に関する情報であり、例えば顧客の氏名、年齢、生年月日、住所、電話番号、自宅PCのメールアドレス、職業、家族構成、年収、およびパスワードなどの情報を含んでもよい。さらに、顧客情報は、顧客が外貨クレジットカードを有するか否かを示す情報、および顧客の優良性の度合いを示す顧客ステージを含む。履歴情報は、顧客テーブルの更新前の情報と更新後の情報を含む。例えば、履歴情報には、パスワードが変更された場合変更前のパスワードが記録され、顧客の住所が変更された場合変更前の住所が記録される。
【0053】
また、円預金テーブルは、識別情報、円普通預金情報、円定期預金情報、および履歴情報を含む。識別情報は、顧客を識別する情報であり、銀行サーバ20は該識別情報を参照することにより対象顧客の円預金テーブルを検索することができる。円普通預金情報は、現在の普通預金の残高情報を含む。また、円定期預金情報は、例えば1年定期100万円、満期日、金利などの約定定期ごとの円定期預金に関する情報を含む。履歴情報は、以前に顧客が行なった取引や行動の内容を示し、例えば、円普通預金および円定期預金についての入出金額および日時に関する情報を含む。
【0054】
また、外貨預金テーブルは、識別情報、外貨普通預金情報、外貨定期預金情報、および履歴情報を含む。識別情報は、顧客を識別する情報であり、銀行サーバ20は該識別情報を参照することにより対象顧客の外貨預金テーブルを検索することができる。外貨普通預金情報は、現在の普通預金の残高情報を含む。また、外貨定期預金情報は、外貨定期預金に関する情報を含む。履歴情報は、以前に顧客が行なった取引や行動の内容を示し、例えば、外貨普通預金および外貨定期預金についての入出金額および日時に関する情報を含む。
【0055】
テーブル管理部220は、顧客が外貨を売却して円を購入する際、該顧客を示す識別情報を含む円預金テーブルおよび外貨預金テーブルを検索する。そして、テーブル管理部220は、外貨預金テーブルに含まれる外貨普通預金情報の示す額を減算し、減算額を現在の為替レートで円に変換し、変換された円の額を円預金テーブルに含まれる円普通預金情報の示す額に加算する。さらに、テーブル管理部220は、円預金テーブルおよび外貨預金テーブルの双方に含まれる履歴情報に日時、金額の増減などの情報を記録する。
【0056】
なお、外貨預金テーブルの外貨普通預金情報および外貨定期預金情報には、ドルやユーロなどの各国通貨ごとにデータが記録されている。このため、外貨普通預金情報および外貨定期預金情報には、各国通貨の識別子(例えば、米ドルは1、ユーロは2)が含まれ、銀行サーバ20はかかる識別子に基づいて特定の通貨に関する処理を行うことができる。
【0057】
また、このような各種DBが記録される記憶部230は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdam Access Memory)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0058】
(顧客ステージについて)
また、図3に示した顧客ステージ判定部240は、顧客ステージを判定し、図4に示した顧客情報に判定した顧客ステージを記録する。以下、図5〜図7を参照し、顧客ステージについて説明する。
【0059】
図5は、ステージ判定日および判定結果の適用日の関係を示した説明図である。図5に示したように、顧客ステージ判定部240は、例えば毎月の月末に各顧客の顧客ステージを判定する。具体的には、顧客ステージ判定部240は、まず、顧客の外貨預金(定期預金を含む)の残高を円に換算する。このとき、顧客ステージ判定部240は、判定月の初日の為替レートに基づいて換算を行なう。例えば、顧客ステージ判定部240は、2/29にステージ判定を行なう場合、2/1の為替レートに基づいて外貨預金の残高を円に換算する。そして、顧客ステージ判定部240は、円に換算された外貨の預金残高の合計額に対応するステージを図6に示すステージ判定テーブルに基づいて判定する。
【0060】
図6は、ステージ判定テーブルの一例を示した説明図である。図6のステージ判定テーブルに示したように、「預金残高1,000,000円以上3,000,000円未満」がステージ1に該当し、「預金残高3,000,000円以上」がステージに該当し、「預金残高1,000,000円未満」がステージ外に該当する。顧客が保有する外貨を全て一の通貨に統一した方が基準が分かり易いため、図6には円を基準とするステージ判定テーブルを示している。
【0061】
したがって、顧客ステージ判定部240は、ある顧客の外貨の預金残高の合計値が例えば2,000,000円であった場合、該顧客の顧客ステージがステージ1であると1次的に判定する。
【0062】
さらに、顧客ステージ判定部240は、本実施形態による決済処理方式が適用される外貨クレジットカードを顧客が有するという情報が顧客情報に含まれている場合、顧客ステージを優遇してもよい。例えば、顧客ステージ判定部240は、顧客が外貨クレジットカードを有する場合、1次的に判定したステージの1ランク上のステージを顧客ステージとして判定してもよい。または、顧客ステージ判定部240は、外貨の預金残高の合計値にさらに所定額を加算して顧客ステージを判定してもよい。
【0063】
このようにして判定された顧客ステージは顧客情報に記録される。また、月末に判定された顧客ステージは、再来月中に適用される。例えば、2/29日に判定された顧客ステージは、図5に示したように4/1〜4/30まで適用される。なお、銀行における収益を顧客に還元するという観点から、外貨預金残高が高い顧客に対して為替コストが低減するよう設定される(すなわち、外貨をより多く購入した顧客に対する利益還元)。具体的には、図7に示すように、顧客ステージのランクが高いほど為替コストが優遇される。
【0064】
図7は、顧客ステージと為替コストの関係を示した説明図である。顧客ステージがステージ外である場合、図7の上段に示した為替コストが適用される。具体的には、ステージ外においては、1米ドルを売却する際に0.25円の為替コストが設定されている。したがって、通信部216により取得された基準レートが107.78であった場合、売却レートは基準レートから0.25円を減じた107.53円である。同様に、ステージ外においては、1米ドルを購入する際に0.25円の為替コストが設定されている。したがって、基準レートが107.78であった場合、購入レートは基準レートから0.25円を加算した108.03円である。
【0065】
一方、顧客ステージ1においては、1米ドルを売却する際に0.20円の為替コストが設定されている。したがって、基準レートが107.78であった場合、売却レートは基準レートから0.20円を減じた107.58円である。同様に、顧客ステージ1においては、1米ドルを購入する際に0.20円の為替コストが設定されている。したがって、通信部216により取得された基準レートが107.78であった場合、購入レートは基準レートから0.20円を加算した107.98円である。このように、顧客ステージ1においては、売却レートがステージ外より高く、購入レートがステージ外より低いため、顧客にとって有利である。なお、ユーロに関しても同様に顧客ステージ1の顧客がステージ外の顧客より優遇される。
【0066】
さらに、顧客ステージ2においては、1米ドルを売却する際に0.10円の為替コストが設定されている。したがって、基準レートが107.78であった場合、売却レートは基準レートから0.10円を減じた107.68円である。同様に、顧客ステージ2においては、1米ドルを購入する際に0.10円の為替コストが設定されている。したがって、通信部216により取得された基準レートが107.78であった場合、購入レートは基準レートから0.10円を加算した107.88円である。このように、顧客ステージ2においては、売却レートが顧客ステージ1より高く、購入レートが顧客ステージ1より低いため、顧客にとってさらに有利である。なお、ユーロに関しても同様に顧客ステージ2の顧客が顧客ステージ1の顧客より優遇される。
【0067】
ここで、顧客が実際に本実施形態にかかる外貨クレジットカードを利用して外貨で商品を購入した際の為替レートと決済(外貨補填時)を行なう時点における為替レートが大幅に剥離している場合、さらに為替コストを顧客に課すことは酷である。したがって、上記のように優良顧客には優遇レートを適用することにより、基準レートにより近い為替レートでの補填を可能とし、顧客の負担を軽減させることが可能である。
【0068】
(決済処理)
ここで、図3を参照して銀行サーバ20の構成の説明に戻ると、決済判断部250は、カード会社装置30から決済の依頼があった利用請求額が、対象顧客の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部としての機能を有する。また、第1の実施形態においては、顧客が円預金に加え、1の外貨預金として米ドル預金を有する場合について説明する。ただし、外貨預金は米ドル預金に限られず、ユーロ預金であってもよい。また、自国通貨が米ドルである場合、外貨預金は円預金であってもユーロ預金であってもよく、自国通貨がユーロである場合、外貨預金は円預金であっても米ドル預金であってもよい。
【0069】
そして、決済処理部260は、決済判断部250により利用請求額が預金残高の範囲内であると判断された通貨口座から、利用請求額の決済処理を行う引落処理部としての機能を有する。具体的には、決済処理部260は、決済判断部250により利用請求額が預金残高の範囲内であると判断された通貨口座から、カード会社により指定されている口座へ利用請求額を通貨ごとに振替える。
【0070】
また、補填判断部270は、決済判断部250により米ドルに関する利用請求額のみが預金残高の範囲外であると判断された場合、利用請求額に対する米ドル預金残高の不足額が、円預金残高の範囲内であるか否かを判断する。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに基づく為替コストを考慮し、米ドル預金残高の不足額が、円預金残高の範囲内であるか否かを判断する。補填判断部270により米ドル預金残高の不足額が、円預金残高の範囲内であると判断された場合、決済処理部260は、不足額を円預金から補填して米ドルに関する利用請求額の決済処理を行う。
【0071】
かかる構成により、米ドルに関する利用請求額が米ドル預金残高の範囲外であった場合でも、不足額が円預金から補填される。したがって、米ドルに関する利用請求額が未決済となってしまう場合を抑制することができる。その結果、決済の延滞料金が発生するなど、米ドル預金残高の不足により顧客に予期せぬ負担を強いてしまうという問題を緩和することができる。また、本実施形態においては、第2の実施形態において説明する優先順位テーブルを利用する必要が無いため、第2の実施形態と比較して処理時間を短縮することができる。
【0072】
また、補填判断部270は、決済判断部250により利用請求額が米ドル預金残高の範囲外であると判断され、かつ、利用請求額が円預金残高の範囲外であると判断された場合、米ドルに関する利用請求額が優先的に決済されるよう処理を行う。具体的には、補填判断部270は、優先的に米ドルに関する利用請求額を決済するために、第1段階として、米ドルに関する利用請求額に対する米ドル預金残高の不足額を円預金から補填できるか否かを判断し、補填できる場合には不足額を円預金から補填する。そして、補填判断部270は、第2段階として、円に関する利用請求額に対する円預金残高の不足額を米ドル預金から補填できるか否かを判断し、補填できる場合には不足額を米ドル預金から補填する。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに基づく為替コストを考慮して、円預金残高および米ドル預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する。なお、米ドルに関する利用請求額を優先的に決済することは事前に決定されていてもよい。
【0073】
また、補填判断部270は、決済判断部250により円に関する利用請求額のみが預金残高の範囲外であると判断された場合、利用請求額に対する円預金残高の不足額が、米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する。ここで、顧客ステージに基づく為替コストを考慮して円預金残高の不足額が、米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する。補填判断部270により円預金残高の不足額が、米ドル預金残高の範囲内であると判断された場合、決済処理部260は、不足額を米ドル預金から補填して円に関する利用請求額の決済処理を行う。
【0074】
以上、決済判断部250、決済処理部260、および補填判断部270の機能について説明した。続いて、図8〜図10を参照し、決済判断部250、決済処理部260、および補填判断部270により行なわれる決済処理について具体的に説明する。
【0075】
図8〜図10は、決済処理部260、および補填判断部270により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。なお、図8〜図10の説明においては、説明の便宜上、1米ドルが100円に相当するものとし、為替コストが発生しないものとしている。
【0076】
図8Aは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、100,000円および1,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲内であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲内であると判断する。
【0077】
したがって、決済処理部260は、10,000米ドルから1,000米ドルを減算して得られる9,000米ドルに米ドル預金残高を更新し、1,000,000円から100,000円を減算して得られる900,000円に円預金算残高を更新する。また、減算額は、カード会社の指定口座へ振り込まれる。例えば、銀行サーバ20が指定銀行の指定口座へ入金要求を行い、入金要求が完了した旨の通知を受け取って振り込みが完了する。なお、カード会社の指定口座は顧客と同じ銀行の口座であっても、異なる銀行の口座であってもよい。また、決済処理が完了すると、顧客およびカード会社へ決済が終了した旨が通知される。また、上記のような円および米ドルに関するカード会社からの利用請求は、顧客が日本で円クレジットカードを利用して円の支払いをし、かつ、米国でドルクレジットカードを利用して米ドルの支払いをした場合などに生じる。
【0078】
図8Bは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円をカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。
【0079】
したがって、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額である500,000円を米ドル預金から補填できるか否かを判断する。米ドル預金残高は不足額である500,000円の範囲内であるため、補填判断部270は補填可能であると判断する。このため、決済処理部260は、不足額である500,000円に対応する5,000米ドルを円預金に補填し、補填した後の1,500,000円で円請求額の決済処理を行う。その結果、米ドル預金残高は5,000米ドルになる。
【0080】
図8Cは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、15,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断する。
【0081】
したがって、補填判断部270が、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額である5,000米ドルを円預金から補填できるか否かを判断する。円預金残高は不足額である5,000米ドルの範囲内であるため、補填判断部270は補填可能であると判断する。このため、決済処理部260は、不足額である5,000米ドルに対応する500,000円を米ドル預金に補填し、補填した後の15,000米ドルで米ドル請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は500,000円になる。
【0082】
図8Dは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円および15,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高および円預金残高が請求額の範囲外であると判断する。
【0083】
したがって、補填判断部270が、まず、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額である5,000米ドルを円預金から補填できるか否かを判断する。円預金残高は不足額である5,000米ドルの範囲内であるため、補填判断部270は補填可能であると判断する。このため、決済処理部260は、不足額である5,000米ドルに対応する500,000円を米ドル預金に補填し、補填した後の15,000米ドルで米ドル請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は500,000円になり、円請求額は未決済となる。この場合、銀行サーバ20は顧客に対して円請求額に対する不足額を通知する。
【0084】
図9Aは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,100,000円および7,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲内であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、10,000米ドルから7,000米ドルを減算して得られる3,000米ドルに米ドル預金残高を更新する。
【0085】
続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額である100,000円が、米ドル預金残高の範囲内であると判断する。したがって、決済処理部260は、不足額である100,000円に対応する1,000米ドルを円預金に補填し、補填した後の1,100,000円で円請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は2,000米ドルになる。
【0086】
図9Bは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円および7,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲内であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、10,000米ドルから7,000米ドルを減算して得られる3,000米ドルに米ドル預金残高を更新する。
【0087】
続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額である500,000円が、米ドル預金残高の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、円請求学の決済処理を行うことができない。この場合、円預金残高は1,000,000円、米ドル預金残高は2,000米ドルになり、円請求額は未決済となる。
【0088】
図9Cは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、1,500,000円および25,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断し、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、補填無しに円請求額および米ドル請求額を決済することができない。
【0089】
この場合、補填判断部270が、まず、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できるか否かを判断する。しかし、米ドル預金残高の不足額15,000米ドルに対し、円預金残高は1,000,000円であるため、補填判断部270は米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できないと判断する。
【0090】
続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できるか否かを判断する。この場合、円預金残高の不足額500,000円に対し、米ドル預金残高は10,000米ドルであるため、補填判断部270は円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できる判断する。したがって、決済処理部260は、不足額である500,000円に対応する5,000米ドルを円預金に補填し、補填した後の1,500,000円で円請求額の決済処理を行う。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は5,000米ドルになり、米ドル請求額は未決済となる。
【0091】
図10Aは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、2,500,000円をカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断する。さらに、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できるか否かを判断する。この場合、円預金残高の不足額1,500,000円に対し、米ドル預金残高は10,000米ドルであるため、補填判断部270は円預金残高の不足額を米ドル預金から補填できないと判断する。したがって、決済処理部260は円請求額を決済することができず、円請求額は未決済となる。
【0092】
図10Bは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、25,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断する。さらに、補填判断部270が、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できるか否かを判断する。この場合、米ドル預金残高の不足額15,000米ドルに対し、円預金残高は1,000,000円であるため、補填判断部270は米ドル預金残高の不足額を円預金から補填できないと判断する。したがって、決済処理部260は米ドル請求額を決済することができず、米ドル請求額は未決済となる。
【0093】
図10Cは、1,000,000円の円預金および10,000米ドルの米ドル預金を有する顧客に関し、2,500,000円および25,000米ドルをカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円預金残高が円請求額の範囲外であると判断し、かつ、米ドル預金残高が米ドル請求額の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260は、補填無しに円請求額および米ドル請求額を決済することができない。
【0094】
この場合、補填判断部270が、まず、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できるか否かを判断する。しかし、米ドル預金残高の不足額15,000米ドルに対し、円預金残高は1,000,000円であるため、補填判断部270は米ドル預金残高の不足額を、円預金から補填できないと判断する。続いて、補填判断部270が、円請求額に対する円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できるか否かを判断する。この場合、円預金残高の不足額1,500,000円に対し、米ドル預金残高は10,000米ドルであるため、補填判断部270は円預金残高の不足額を、米ドル預金から補填できないと判断する。したがって、決済処理部260は米ドル請求額および円請求額を決済することができず、米ドル請求額および円請求額は未決済となる。
【0095】
〔2−3〕第1の実施形態にかかる銀行サーバの動作
以上、図3〜図10を参照して本実施形態にかかる銀行サーバ20の機能を説明した。続いて、図11〜図13を参照し、本実施形態にかかる銀行サーバ20の動作について説明する。
【0096】
図11〜図13は、本実施形態にかかる銀行サーバ20の決済処理の流れを示したフローチャートである。図11に示したように、まず、決済判断部250が、円請求額が円預金残高の範囲内であるか否かを判断する(S304)。そして、円請求額が円預金残高の範囲内であると決済判断部250により判断された場合、決済処理部260が円請求額を円預金により決済する(S308)。一方、円請求額が円預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、銀行サーバ20は図12に示すS340の処理に進む。
【0097】
円預金による決済の後、決済判断部250は、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する(S312)。そして、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であると決済判断部250により判断された場合、決済処理部260が米ドル請求額を米ドル預金により決済する(S316)。
【0098】
一方、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、補填判断部270が、円請求額の決済後の円預金残高で、米ドル請求額に対する米ドル預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する(S320)。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮して円預金残高で不足額を補填できるか否かを判断する。そして、不足額を円預金残高で補填できると補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで円から米ドルへ両替する(S324)。
【0099】
その後、決済処理部260は、両替後の米ドルを米ドル預金口座へ入金し(S328)、米ドル請求額を入金後の米ドル預金により決済する(S332)。一方、不足額を円預金残高で補填できないと補填判断部270により判断された場合(S320)、銀行サーバ20は不足額を顧客端末10へ例えばメールで通知する(S336)。
【0100】
S304において円請求額が円預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、図12に示したように、決済判断部250は、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であるか否かを判断する(S340)。そして、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲内であると決済判断部250により判断された場合、決済処理部260が米ドル請求額を米ドル預金により決済する(S344)。一方、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、銀行サーバ20は図13のS368の処理へ進む。
【0101】
その後、補填判断部270が、米ドル請求額の決済後の米ドル預金残高で、円請求額に対する円預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する(S348)。ここで、補填判断部270は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮して米ドル預金残高で不足額を補填できるか否かを判断する。そして、不足額を米ドル預金残高で補填できると補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで米ドルから円へ両替する(S352)。
【0102】
その後、決済処理部260は、両替後の円を円預金口座へ入金し(S356)、円請求額を入金後の円預金により決済する(S360)。一方、不足額を米ドル預金残高で補填できないと補填判断部270により判断された場合(S356)、銀行サーバ20は不足額を顧客端末10へ例えばメールで通知する(S364)。
【0103】
S340において米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると決済判断部250により判断された場合、図13に示したように、補填判断部270は、円残高と米ドル残高の合計額が米ドル請求額より大きいか否かを判断する(S368)。そして、合計額が不足額より大きいと補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで円から米ドルへ両替する(S372)。その後、決済処理部260は、両替後の米ドルを米ドル預金口座へ入金し(S376)、米ドル請求額を入金後の米ドル預金により決済する(S380)。
【0104】
一方、S368において合計額が不足額より小さいと補填判断部270により判断された場合、補填判断部270は、円残高と米ドル残高の合計額が円請求額より大きいか否かを判断する(S384)。そして、合計額が不足額より大きいと補填判断部270により判断された場合、決済処理部260は、不足額を所定のレートで米ドルから円へ両替する(S388)。
【0105】
その後、決済処理部260は、両替後の円を円預金口座へ入金し(S392)、円請求額を入金後の円預金により決済する(S394)。一方、合計額が不足額より大きいと補填判断部270により判断された場合(S384)、銀行サーバ20は不足額を顧客端末10へ例えばメールで通知する(S396)。そして、円請求額および米ドル請求額が未決済であるまま処理を終了する。以上説明したように、米ドルを優先的に決済することにより、円預金残高に余力があるにも拘らず米ドルが未決済となってしまう場合を抑制できる。その結果、為替相場の急激な変動により顧客が不測の損害を被ってしまう事態を防止することが可能である。例えば、米ドルが未決済と扱われている間に円が急落してしまい、顧客が多額の支払いを強いられる場合を防止することができる。
【0106】
なお、上記では顧客が自国通貨として円の預金口座を有し、外貨として米ドルの預金口座を有し、外貨に関する米ドル請求額を優先的に決済する例を説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、米国に在住する顧客が自国通貨として米ドルの預金口座を有し、外貨の預金口座として例えば円の預金口座を有する場合、銀行サーバ20は外貨に関する円請求額を優先的に決済してもよい。さらに、ヨーロッパに在住する顧客が自国通貨としてユーロの預金口座を有し、外貨の預金口座として例えば米ドルの預金口座を有する場合、銀行サーバ20は外貨に関する米ドル請求額を優先的に決済してもよい。また、上記では顧客の在住する国で利用される通貨を自国通貨に該当する例を示したが、銀行サーバ20の位置する国で利用される通貨を自国通貨として扱ってもよい。
【0107】
〔3〕第2の実施形態にかかる銀行サーバについて
以上、図2〜図13を参照して第1の実施形態にかかる銀行サーバ20について説明した。第1の実施形態にかかる銀行サーバ20は、自国通貨および外貨の預金口座を有する顧客に関し、外貨の預金残高の不足により顧客に予期せぬ負担を強いてしまうという問題を緩和することができた。
【0108】
しかし、第1の実施形態にかかる銀行サーバ20は、顧客が2種の通貨の預金口座を有する場合に対応できるが、顧客は3種以上の預金口座を有する場合も考えられる。そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の第2の実施形態にかかる銀行サーバ21を創作するに至った。第2の実施形態にかかる銀行サーバ21によれば、顧客が3以上の多種の通貨口座を有する場合にも対応することが可能である。以下、このような第2の実施形態にかかる銀行サーバ21について説明する。
【0109】
〔3−1〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの機能
図14は、第2の実施形態にかかる銀行サーバ21の構成を示した機能ブロック図である。図14に示したように、本実施形態にかかる銀行サーバ21は、通信部216と、テーブル管理部220と、記憶部232と、顧客ステージ判定部240と、決済判断部250と、決済処理部260と、補填判断部272と、通貨選択部280と、を備える。通信部216、テーブル管理部220、および顧客ステージ判定部240の機能は、第1の実施形態で説明した機能と実質的に同一であるため、以下では第1の実施形態と機能が異なる構成に重きをおいて説明する。
【0110】
図14に示したように、本実施形態においては、記憶部232が複数の外貨預金情報DBを記憶している。具体的には、記憶部232は、米ドル預金情報DBおよびユーロ預金情報DBを記憶している。米ドル預金情報DBおよびユーロ預金情報DBは、顧客ごとに普通預金残高および定期預金残高などを管理する預金テーブルを含む。
【0111】
さらに、記憶部232は、優先順位テーブルを記憶している。優先順位テーブルは、図15に示すように、決済通貨優先順位テーブルおよび補填通貨優先順位テーブルを含む。
【0112】
図15は、決済通貨優先順位テーブル(第1の優先順位データ)および補填通貨優先順位テーブル(第2の優先順位データ)の具体例を示した説明図である。決済通貨優先順位テーブルは、補填なしに決済することができなかった通貨のうちで、いずれの通貨を優先的に決済するかを示したテーブルである。図15に示した例では、米ドル、ユーロ、円、の順に決済優先順位が設定されている。
【0113】
補填通貨優先順位テーブルは、補填なしに決済することができなかった通貨に対し、いずれの通貨から優先的に補填させるかを示したテーブルである。図15に示した例では、円、米ドル、ユーロ、の順に補填優先順位が設定されている。
【0114】
図14に示した通貨選択部280は、上記決済通貨優先順位テーブルを参照して決済対象通貨を選択し、上記補填通貨優先順位テーブルを参照して補填元通貨を選択する選択部としての機能を有する。例えば、通貨選択部280は、決済判断部250により請求額が預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、決済通貨優先順位テーブルにおいて最も優先順位を高く設定されている通貨から順に選択する。また、通貨選択部280は、補填通貨優先順位テーブルにおいて最も優先順位を高く設定されている通貨から順に選択する。
【0115】
そして、補填判断部272は、通貨選択部280により選択された決済対象通貨の請求額の預金残高に対する不足額が、通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の範囲内であるか否かを判断する。なお、補填判断部272は、通貨選択部280により選択された決済対象通貨の請求額が、決済対象通貨の預金残高と補填元通貨の預金残高の合計値の範囲内であるか否かを判断してもよい。
【0116】
不足額が、通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の範囲内であると判断された場合、決済処理部260が補填元通貨の預金残高から不足額を補填して決済を行なう。一方、不足額が、通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の範囲外であると判断された場合、通貨選択部280は次に優先順位の高い補填元通貨を選択する。そして、補填判断部272は、不足額が、これまで通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の合計値の範囲内であるか否かを判断する。不足額が、これまで通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高の合計値の範囲内であると判断された場合、決済処理部260がこれまで通貨選択部280により選択された補填元通貨の預金残高から不足額を補填して決済を行なう。
【0117】
以下、図16を参照して本実施形態にかかる決済の具体例を説明する。なお、図16は、銀行サーバ21が図15に示した優先順位テーブルに従って動作し、1米ドルが100円であり、1ユーロが150円であり、1ユーロが1.5米ドルである場合の具体例を示している。また、図16の説明においては、説明の便宜上、為替コストが発生しないものとしている。
【0118】
図16Aは、1,000,000円の円預金、10,000米ドルの米ドル預金、および10,000ユーロのユーロ預金を有する顧客に関し、2,750,000円をカード会社の指定口座へ振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円請求額が円預金残高の範囲外であると判断する。
【0119】
続いて、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として米ドルを選択する。しかし、円請求額が円預金算高と米ドル預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が米ドル預金からの補填のみでは円請求額を決済できないと判断する。
【0120】
このため、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨としてさらにユーロを選択する。補填判断部272は、円請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲内であるため、米ドル預金およびユーロ預金からの補填により円請求額を決済できると判断する。
【0121】
上記補填判断部272による判断を受け、決済処理部260は、10,000米ドルを円に両替して円預金へ入金し、5,000ユーロを円に両替して円預金へ入金し、入金後の円預金から円請求額を決済する。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は0円、ユーロ預金残高は5,000ユーロとなる。
【0122】
図16Bは、1,000,000円の円預金、10,000米ドルの米ドル預金、および10,000ユーロのユーロ預金を有する顧客に関し、24,500米ドルおよび15,000ユーロを振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると判断し、ユーロ請求額がユーロ預金残高の範囲外であると判断する。
【0123】
続いて、通貨選択部280が、決済通貨優先順位テーブルを参照して、決済対象通貨としてまず米ドルを選択する。また、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として円を選択する。しかし、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金からの補填のみでは米ドル請求額を決済できないと判断する。
【0124】
このため、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨としてさらにユーロを選択する。補填判断部272は、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲内であるため、円預金およびユーロ預金からの補填により米ドル請求額を決済できると判断する。
【0125】
上記補填判断部272による判断を受け、決済処理部260は、1,000,000円を米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、3,000ユーロを米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、入金後の米ドル預金から米ドル請求額を決済する。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は0円、ユーロ預金残高は7,000ユーロとなる。
【0126】
続いて、通貨選択部280が、決済通貨優先順位テーブルを参照して、決済対象通貨としてユーロを選択する。また、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として円を選択する。しかし、ユーロ請求額が円預金算高とユーロ預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金からの補填のみではユーロ請求額を決済できないと判断する。したがって、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、さらに補填元通貨として米ドルを選択する。しかし、ユーロ請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金と米ドル預金からの補填ではユーロ請求額を決済できないと判断する。その結果、ユーロ請求額は未決済として扱われる。
【0127】
図16Cは、1,000,000円の円預金、10,000米ドルの米ドル預金、および10,000ユーロのユーロ預金を有する顧客に関し、500,000円および19,500米ドルを振替ることを要求する依頼があった場合の決済例を示している。この場合、決済判断部250が、円請求額が円預金残高の範囲内であり、米ドル請求額が米ドル預金残高の範囲外であると判断する。したがって、決済処理部260が、円請求額を円預金により決済する。その結果、円預金残高が500,000円になる。
【0128】
続いて、通貨選択部280が、未決済である米ドル請求額を決済するために、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨として円を選択する。しかし、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高の合計金額の範囲外であるため、補填判断部272が円預金からの補填のみでは米ドル請求額を決済できないと判断する。
【0129】
このため、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照し、補填元通貨としてさらにユーロを選択する。補填判断部272は、米ドル請求額が円預金算高と米ドル預金残高とユーロ預金残高の合計金額の範囲内であるため、円預金およびユーロ預金からの補填により米ドル請求額を決済できると判断する。
【0130】
上記補填判断部272による判断を受け、決済処理部260は、500,000円を米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、3,000ユーロを米ドルに両替して米ドル預金へ入金し、入金後の米ドル預金から米ドル請求額を決済する。その結果、円預金残高は0円、米ドル預金残高は0円、ユーロ預金残高は7,000ユーロとなる。
【0131】
〔3−2〕第2の実施形態にかかる銀行サーバの動作
以上、図14〜図16を参照して本実施形態にかかる銀行サーバ21の機能について説明した。続いて、図17を参照し、本実施形態にかかる銀行サーバ21の動作について説明する。
【0132】
図17は、第2の実施形態にかかる銀行サーバ21の動作の流れを示したフローチャートである。図17に示したように、銀行サーバ21が決済要求をカード会社装置30から取得すると(S404)、決済判断部250が全ての通貨の請求額を両替無しに決済できるか否かを判断する(S408)。そして、決済判断部250により全ての通貨の請求額を決済できると判断された場合、決済処理部260が全ての通貨の請求額の決済を行なう(S412)。
【0133】
一方、決済判断部250により少なくとも一部の通貨の請求額を決済できないと判断された場合(S408)、決済処理部260が両替無しで決済できる通貨の請求額を決済する(S416)。その後、通貨選択部280が、未決済の通貨から、決済通貨優先順位テーブルを参照して、決済優先順位が最も高い通貨を選択する(S420)。さらに、通貨選択部280が、補填通貨優先順位テーブルを参照して、補填優先順位が最も高い通貨を選択する(S424)。
【0134】
続いて、補填判断部272が、通貨選択部280により選択された通貨の預金残高が、決済対象通貨の請求額に対する決済対象通貨の預金残高の不足額の範囲内であるか否かを判断する(S428)。ここで、補填判断部272は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮して決済対象通貨の預金残高の不足額を補填できるか否かを判断する。そして、通貨選択部280により選択された通貨の預金残高が不足額の範囲内であると判断された場合、決済処理部260が通貨選択部280により選択された通貨の預金から不足額を所定のレートで補填して決済対象通貨の請求額を決済する(S432)。
【0135】
一方、通貨選択部280により選択された通貨の預金残高が不足額の範囲外であると判断された場合、通貨選択部280が補填通貨優先順位テーブルを参照して次に補填優先順位が高い通貨を選択する。そして、補填判断部272が、補填優先順位が最も高い通貨と次に補填優先順位が高い通貨の預金残高の合計額が、不足額の範囲内であるか否かを判断する(S436)。ここで、補填判断部272は、顧客ステージに応じた為替コストを考慮し、合計額が決済対象通貨の預金残高の不足額の範囲内であるか否かを判断する。そして、合計額が、不足額の範囲内であると判断された場合、決済処理部260が通貨選択部280により選択された通貨の預金から不足額を所定のレートで補填して決済対象通貨の請求額を決済する(S440)。一方、合計額が、不足額の範囲外であると判断され、かつ、さらに補填優先順位の低い通貨が存在する場合、該通貨の預金残高を合計金額に加算してS436の処理を行う。
【0136】
そして、S440の後、または補填優先順位の最も低い通貨の預金残高が加算済みである場合(S444)、通貨選択部280は全ての未決済の通貨の請求額に関する補填判断が終了したか否かを判断する(S448)。そして、通貨選択部280は、請求額に関する補填判断がされていない未決済の通貨がある場合、決済通貨優先順位テーブルを参照し、未決済の通貨から次に決済優先順位の高い通貨を選択してS428へ移行する(S452)。一方、請求額に関する補填判断がされていない未決済の通貨が無い場合、一連の決済処理を終了する。
【0137】
〔4〕まとめ
以上説明したように、本発明の第1の実施形態においては、円および米ドルに関する利用請求額が各々の預金残高外であった場合、第1段階として、米ドルの利用請求額に対する米ドル預金残高の不足額を円預金から補填できるか否かを判断する。そして、円預金から補填できる場合には、不足額を円預金から補填することにより米ドルの利用請求額の決済を行なう。さらに、第2段階として、円の利用請求額に対する円預金残高の不足額を米ドル預金から補填できるか否かを判断し、可能である場合には円預金残高の不足額米ドル預金から補填することにより円の利用請求額の決済を行なう。このように米ドルを優先的に決済することにより、米ドルに関する利用請求額が未決済となってしまう場合を抑制することができる。その結果、決済の延滞料金が発生するなど、米ドル預金残高の不足により顧客に予期せぬ負担を強いてしまうという問題を緩和することができる。
【0138】
また、本発明の第2の実施形態においては、決済通貨優先順位テーブル、および補填通貨優先順位テーブルを利用することにより、3種の通貨を顧客が有する場合にも対応することができる。さらに、決済通貨優先順位テーブル、および補填通貨優先順位テーブルに新たな通貨および通貨の優先順位を追加するのみで通貨種類の増加に対応できるため、拡張性も優れている。
【0139】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0140】
例えば、本明細書の銀行サーバ20および銀行サーバ21の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、銀行サーバ20および銀行サーバ21の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0141】
また、銀行サーバ20および銀行サーバ21に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した銀行サーバ20および銀行サーバ21の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図3または図14の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】クレジットカードによる決済の流れを示した説明図である。
【図2】銀行サーバのハードウェア構成を示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態にかかる銀行サーバの構成を示した機能ブロック図である。
【図4】顧客情報DB、円預金情報DB、および外貨預金情報DBの構成例を示した説明図である。
【図5】ステージ判定日および判定結果の適用日の関係を示した説明図である。
【図6】ステージ判定テーブルの一例を示した説明図である。
【図7】顧客ステージと為替コストの関係を示した説明図である。
【図8A】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図8B】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図8C】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図8D】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図9A】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図9B】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図9C】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図10A】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図10B】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図10C】決済処理部、および補填判断部により行なわれる決済処理の具体例を示した説明図である。
【図11】第1の実施形態にかかる銀行サーバの決済処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】第1の実施形態にかかる銀行サーバの決済処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】第1の実施形態にかかる銀行サーバの決済処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】第2の実施形態にかかる銀行サーバ21の構成を示した機能ブロック図である。
【図15】決済通貨優先順位テーブル(第1の優先順位データ)および補填通貨優先順位テーブル(第2の優先順位データ)の具体例を示した説明図である。
【図16A】第2の実施形態における決済処理の具体例を示した説明図である。
【図16B】第2の実施形態における決済処理の具体例を示した説明図である。
【図16C】第2の実施形態における決済処理の具体例を示した説明図である。
【図17】第2の実施形態にかかる銀行サーバの動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0143】
20、21 銀行サーバ
216 通信部
220 テーブル管理部
230、232 記憶部
240 顧客ステージ判定部
250 決済判断部
260 決済処理部
270、272 補填判断部
280 通貨選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行う引落処理部と;
前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択する選択部と;
前記選択部により選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する補填判断部と;
を備え、
前記引落処理部は、前記補填判断部による判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行う、引落処理装置。
【請求項2】
前記引落処理部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記不足額を当該優先順位の高い通貨口座から補填して引落処理を行う、請求項1に記載の引落処理装置。
【請求項3】
前記補填判断部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲外であると判断した場合、前記第2の優先順位データに基づいて次に優先順位の高い通貨を選択し、前記不足額が、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高との合計金額の範囲内であるか否かを判断し、
前記引落処理部は、前記不足額が前記合計金額の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高の全額、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高の少なくとも一部を補填して前記不足額の引落処理を行う、請求項1に記載の引落処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記複数種類の通貨の口座を有する顧客ごとに、前記複数種類の通貨の口座ごとの預金残高の合計金額に基づいて設定された、前記複数種類の通貨を相互に変換するための通貨レートを記憶しており、
前記補填判断部は、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨から前記不足額が発生している通貨へ変換するための前記通貨レートを前記記憶部から読み出し、前記不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高に前記通貨レートを適用した変換通貨残高の範囲内であるか否かを判断する、請求項1記載の引落処理装置。
【請求項5】
複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記録するステップと;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと;
前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断するステップと;
前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行うステップと;
前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択するステップと;
選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと;
前記範囲内であるか否かの判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行うステップと;
を含む、引落処理方法。
【請求項6】
円口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
円および外貨に関する引落額が、前記円口座および前記外貨口座のそれぞれの預金残高の範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する円補填判断部と;
前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると前記円補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と;
を備える、引落処理装置。
【請求項7】
前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲外であると前記円補填判断部により判断された場合、前記円に関する引落額に対する前記円口座の預金残高の不足額が、前記外貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する外貨補填判断部と;
前記円口座の前記不足額が前記外貨口座の預金残高の範囲内であると前記外貨補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記外貨口座から補填して引落処理を行う円引落処理部と;
をさらに備える、請求項6に記載の引落処理装置。
【請求項8】
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと;
前記引落要求情報に含まれる円に関する引落額が円口座の預金残高の範囲内であるか否か、および外貨に関する引落額が外貨口座の預金残高の範囲内であるかを判断するステップと;
円および外貨に関する引落額が前記円口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと;
前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行うステップと;
を含む、引落処理方法。
【請求項9】
ドル口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
ドルおよび外貨に関する引落額が前記ドル口座および外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ドル口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するドル補填判断部と;
前記外貨口座の前記不足額が前記ドル口座の預金残高の範囲内であると前記ドル補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ドル口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と;
を備える、引落処理装置。
【請求項10】
ユーロ口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
ユーロおよび外貨に関する引落額が前記ユーロ口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するユーロ補填判断部と;
前記外貨口座の前記不足額が前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であると前記ユーロ補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ユーロ口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と;
を備える、引落処理装置。
【請求項1】
複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行う引落処理部と;
前記引落判断部により前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択する選択部と;
前記選択部により選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する補填判断部と;
を備え、
前記引落処理部は、前記補填判断部による判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行う、引落処理装置。
【請求項2】
前記引落処理部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記不足額を当該優先順位の高い通貨口座から補填して引落処理を行う、請求項1に記載の引落処理装置。
【請求項3】
前記補填判断部は、前記不足額が前記第2の優先順位データに基づいた優先順位の高い通貨口座の預金残高の範囲外であると判断した場合、前記第2の優先順位データに基づいて次に優先順位の高い通貨を選択し、前記不足額が、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高との合計金額の範囲内であるか否かを判断し、
前記引落処理部は、前記不足額が前記合計金額の範囲内であると前記補填判断部により判断された場合、前記優先順位の高い通貨口座の預金残高の全額、および前記次に優先順位の高い通貨口座の預金残高の少なくとも一部を補填して前記不足額の引落処理を行う、請求項1に記載の引落処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記複数種類の通貨の口座を有する顧客ごとに、前記複数種類の通貨の口座ごとの預金残高の合計金額に基づいて設定された、前記複数種類の通貨を相互に変換するための通貨レートを記憶しており、
前記補填判断部は、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨から前記不足額が発生している通貨へ変換するための前記通貨レートを前記記憶部から読み出し、前記不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高に前記通貨レートを適用した変換通貨残高の範囲内であるか否かを判断する、請求項1記載の引落処理装置。
【請求項5】
複数種類の通貨の口座ごとの預金残高、通貨の優先順位を示す第1の優先順位データ、および第2の優先順位データを記録するステップと;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと;
前記引落要求情報に含まれる引落額が口座の預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断するステップと;
前記引落額が前記預金残高の範囲内であると判断された口座について、前記引落額に基づく引落処理を行うステップと;
前記引落額が前記預金残高の範囲外であると判断された通貨のうちで、優先順位の高い通貨を前記第1の優先順位データに従って選択するステップと;
選択された通貨口座の前記引落額に対する不足額が、前記第2の優先順位データに基づいて選択される通貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと;
前記範囲内であるか否かの判断結果に基づいて前記不足額を補填して前記引落額の引落処理を行うステップと;
を含む、引落処理方法。
【請求項6】
円口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
円および外貨に関する引落額が、前記円口座および前記外貨口座のそれぞれの預金残高の範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する円補填判断部と;
前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると前記円補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と;
を備える、引落処理装置。
【請求項7】
前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲外であると前記円補填判断部により判断された場合、前記円に関する引落額に対する前記円口座の預金残高の不足額が、前記外貨口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断する外貨補填判断部と;
前記円口座の前記不足額が前記外貨口座の預金残高の範囲内であると前記外貨補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記外貨口座から補填して引落処理を行う円引落処理部と;
をさらに備える、請求項6に記載の引落処理装置。
【請求項8】
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得するステップと;
前記引落要求情報に含まれる円に関する引落額が円口座の預金残高の範囲内であるか否か、および外貨に関する引落額が外貨口座の預金残高の範囲内であるかを判断するステップと;
円および外貨に関する引落額が前記円口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記円口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するステップと;
前記外貨口座の前記不足額が前記円口座の預金残高の範囲内であると判断された場合、前記不足額を前記円口座から補填して引落処理を行うステップと;
を含む、引落処理方法。
【請求項9】
ドル口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
ドルおよび外貨に関する引落額が前記ドル口座および外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ドル口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するドル補填判断部と;
前記外貨口座の前記不足額が前記ドル口座の預金残高の範囲内であると前記ドル補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ドル口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と;
を備える、引落処理装置。
【請求項10】
ユーロ口座の預金残高および外貨口座の預金残高を記憶している記憶部と;
通貨ごとの引落額を含む引落要求情報を取得する取得部と;
前記引落要求情報に含まれる引落額が預金残高の範囲内であるか否かを通貨ごとに判断する引落判断部と;
ユーロおよび外貨に関する引落額が前記ユーロ口座および前記外貨口座の預金残高のそれぞれの範囲外であると前記判断部により判断された場合、前記外貨に関する引落額に対する外貨口座の預金残高の不足額が、前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であるか否かを判断するユーロ補填判断部と;
前記外貨口座の前記不足額が前記ユーロ口座の預金残高の範囲内であると前記ユーロ補填判断部により判断された場合、前記不足額を前記ユーロ口座から補填して引落処理を行う外貨引落処理部と;
を備える、引落処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【公開番号】特開2009−238104(P2009−238104A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86010(P2008−86010)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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