説明

弗素含有複合塩の製造方法

【課題】粒子サイズや形状が揃った単分散の弗素含有複合塩、特に2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占めるような弗素含有複合塩を製造する新規な方法を提供すること。
【解決手段】溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に、フルオロアニオンの分解を促進するトリガーを作用させて、複数種のカチオンおよび弗素を含有する複合塩を反応母液から固体として析出させることを特徴とする、弗素含有複合塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料、発光材料、波長変換材料、強誘電体材料、磁性材料、電池の正極、負極や固体電解質材料、イオン伝導体材料、融剤あるいは焼結助剤等に応用可能な、弗素含有複合塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弗素を含有する塩類は透光性をはじめとするユニークな特性を有する化合物群として知られている。特に複合塩(複数のカチオン種を含む塩)は発光材料や強誘電体材料等として有用である。非特許文献1にはイオン伝導体(PbSnF4等)、磁性材料(BaCuFe34等)、発光材料(4f金属を含むKMgF、BaLiF、LiYF等)、強誘電体材料(SrAlF、BaMgF等)などの複合弗化物が、非特許文献2にはBaMF(M=Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Zn)、SrMF(M=Al、Cr、Ga)、BaMF(M=Ti,V,Fe,In)などの複合弗化物と共にKMoO、BiTiOなどの複合酸化弗化物強誘電体も記載されている。LiAIIIII(A=Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn、Cd、Hgなど2価カチオンになる金属種、M=Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niなど3価カチオンになる金属種)構造を有する化合物群も知られており、特許文献1に示されるような光学材料への応用や特許文献2に示されるようなリチウムイオン電池の正極材料への応用が検討されている。更に、例えば特許文献3には、200nm以下の紫外域でも透明性が高いことから、非線形光学結晶を使用する波長変換素子の材料として、BaMgF、BaZnF、SrAlF、NaMgAlF、NaZnAlFなどの強誘電性複合弗化物結晶が挙げられている。
【0003】
複合塩を構成する複数のカチオンのイオン半径が近い場合、結晶中の同一のサイトを占めて固溶体を形成することが可能である。しかし、イオン半径の差が大きくなると、広い範囲での固溶体の形成は困難になり、結晶中の異なるサイトを占めるようになる。例えば、非特許文献2に示されるように、BaMF(M=Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Zn)の場合、Baは8配位、Mは6配位のサイトを占めている。Mの周囲の弗素は歪んだ八面体構造を取っており、頂点を共有する形で隣接する八面体と連結している。この八面体が回転することでBaの占める位置がシフトし、分極反転が起きるため、BaMFは強誘電性を示す。また、非特許文献3に記述があるように、BaMgFのFサイトの格子欠陥は電子をよくトラップするため、Euなどをドーピングすることで優れた発光特性を示すことが知られている。このときEuはイオン半径の近いBaサイトを選択的に占有する。さらに、非特許文献4にはBaMgFにEuとMnを同時にドーピングし、Eu2+からMn2+へのエネルギー移動を観測した例が示されている。この場合、EuはBaのサイト、MnはMgのサイトというようにイオン半径の近いサイトを選択的に占めている。
【0004】
また、非特許文献5にはM1M2M3F型の複合弗化物の多様な結晶構造が示されている。これらの中で例えばLiCaAlF(LiCAF)やLiSrAlF(LiSAF)はCeやCrなどをドーピングすることでレーザー材料となることが知られているが、非特許文献6に示される通り、LiCAF、LiSAFは共にColquiriite型と呼ばれる結晶構造を取り、6配位のAlとLiの層と6配位のCa(あるいはSr)の層が交互に積層していることが知られている。
【0005】
このように複合塩、特に2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占めるような弗素含有複合塩は、機能性に富み、有用な物質を多く含んでいる。しかし、その合成は容易ではない。
【0006】
弗素含有複合塩の合成方法としては、単独カチオンの弗化物、塩化物、硝酸塩等の固体混合物をカチオン源とし、弗素や弗化水素のガス雰囲気中、あるいは液体の無水弗化水素中で合成する方法が知られている。これらの方法は反応性に富む化学種である弗酸や弗化水素を反応剤として用いるため、雰囲気制御、生成物からの過剰な反応剤の除去、あるいは製造装置の腐蝕防止が困難であった。また、単独カチオンの弗化物同士を固相混合してから焼成して弗素含有複合塩を合成する場合、固相反応の完結が困難なため未反応の単独カチオン弗化物が残留するという欠点があった。
【0007】
これらの従来法に対し、トリフルオロ酢酸を用いるゾル−ゲル法や、水溶液相を経由する1ステップ法が提案されている。非特許文献7に示されているゾル−ゲル法では、弗素含有塩の構成カチオンとトリフルオロ酢酸を一旦溶媒に溶解して混合し、その後濃縮・乾燥の工程、および場合によっては200℃の予備焼成工程で溶媒を留去してゲルを得る。このゲルを粉砕してから焼成することで最終的に弗素含有塩が生成しているが、弗素はトリフルオロ酢酸アニオンの熱分解で発生しており、この分解温度は300℃程度であることから弗素含有塩の合成反応は焼成工程で進行していることが分かる。また、非特許文献8に示されている1ステップ法では目的塩の構成カチオンを水溶液中に溶解させた後に弗化水素を加えて反応させ、弗素含有塩を合成している。いずれの例でも、BaMgF、SrAlF、LiCaAlFのような弗素含有複合塩の合成が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】『フッ素化学入門2010 ―基礎と応用の最前線―』(独)日本学術振興会・フッ素化学第155委員会 編(2010)
【非特許文献2】J .Ravez,J. Phys. III France 7(1997)1129−1144
【非特許文献3】J.W.Quilty et.al.,Current Applied Physics 8(2008)420−424
【非特許文献4】A .M.Srivastava et.al.,Materials Chemistry and Physics,19(1988)199−204
【非特許文献5】E .V.Peresypkina and V.A.Blatov,Acta Cryst.(2003)B59,361−377
【非特許文献6】Y.Yin and D .A.Keszler,Chem. Mater.(1992)4,645−648
【非特許文献7】Shinobu Fujihara et. al., Journal of Fluorine Chemistry 105 (2000) 65―70
【非特許文献8】P.D. Belsare et. al., Journal of Alloys and Compounds 464 (2008) 296―300
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,260,963号明細書
【特許文献2】特開2001−176510号公報
【特許文献3】特開2010−108956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来法あるいは上記の新たな方法では、生成物の粒子径や形態を制御し、粒子サイズや形状が揃った単分散の弗素含有複合塩を得ることができなかった。ゾル−ゲル法では弗素含有複合塩の生成が溶媒留去の後の固相反応であること、また、1ステップ法では弗酸を添加した瞬間に反応が進行してしまうことから、いずれも弗素含有複合塩を生成する反応の前駆状態が不均一になってしまうためである。
【0011】
本発明は、粒子サイズや形状が揃った単分散の弗素含有複合塩、特に2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占めるような弗素含有複合塩を製造する新規な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、弗素含有複合塩を製造する方法について検討した結果、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に於いて、該フルオロアニオンをトリガーの作用で徐々に分解させることにより、前記反応母液中で均一に弗素含有複合塩を生成させることができ、結果として粒子サイズや形状が揃った単分散の弗素含有複合塩が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
なお、本発明において、単分散とは、生成した弗素含有複合塩の粒子サイズや形状が揃っていることを意味する。
【0014】
本発明は、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に、フルオロアニオンの分解を促進するトリガーを作用させて、複数種のカチオンおよび弗素を含有する複合塩を反応母液から固体として析出させることを特徴とする、弗素含有複合塩の製造方法である。
【0015】
フルオロアニオンの分解を促進するトリガーは、前記反応母液へのエネルギーの印加、酸性度を変化させる物質の作用による反応母液の酸性度の変化、あるいはその両方であることが好ましい。
【0016】
複数種のカチオンのうちの少なくとも一種は、1族元素の1価のカチオン、2族元素の2価以上のカチオン、あるいは、3族から13族までの元素の3価以上のカチオンであることが好ましい。
【0017】
フルオロアニオンは、A−F結合(ここで、Aは、Al、Ti、B、Si、P、S、As、Se、Sb、及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素)を有することが好ましい。前記Aは、B、Si、P、S、As、Se、Sb、及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であることがより好ましく、更に、前記Aは、B、Si、P、及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であることが特に好ましい。
【0018】
また、フルオロアニオンは、TiF2−、AlF3−、BF、SiF2−、PF、PO、PO、及びSOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。前記フルオロアニオンは、BF、SiF2−、PF、PO、PO、及びSOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましく、最も好ましくはBFあるいはPFである。
【0019】
前記反応母液の酸性度を変化させる物質は、酸、塩基、及び、エネルギーの印加で酸や塩基を発生する化学種からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法で製造された弗素含有複合塩である。
【0021】
また、前記弗素含有複合塩は、2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占めるものであることが好ましい。例えば、発光材料で、発光元素の濃度が高すぎると濃度消光が起きて発光効率が低下するため、発光元素間の距離を規則的に離すためには固溶不可能なサイトを有することが有利に働くことが知られているなど、このような構造を有する複合塩は高い機能性を有しているためである。
【0022】
また、前記の2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占める弗素含有複合塩は、それぞれのカチオン種の単塩の混合物が不純物として形成されやすいという理由で一般に合成が難しいので、本発明の製造方法は、該弗素含有複合塩の製造に特に有効である。
【0023】
前記弗素含有複合塩として、例えば、BaMF(M=Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Zn)、SrMF(M=Al、Cr、Ga)、BaMF(M=Ti,V,Fe,In)、LiAIIIII(A=Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn、Cd、Hgなど2価カチオンになる金属種、M=Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niなど3価カチオンになる金属種)の単体およびこれらをホストとする固溶体、ABMO(A,B=K,Rb,CsかつAのイオンの半径>Bのイオン半径、M=Mo,W)、LiM−LiF−MOF系固溶体(M=Nb,Ta)、LiMO−LiMgF系固溶体(M=Nb,Ta)などが挙げられる。
【0024】
なお、本発明の製造方法では上記以外の弗素含有複合塩、すなわち、「2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占める弗素含有複合塩」以外の弗素含有複合塩(例えば、Ln1−x3−x(LnはYやLaやCe等、MはBaやSrやCa等)、Pb1−xSn(xは0.25以下))やLa1−xLnOF(Ln=Eu,Ce)なども製造可能である。
【0025】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法に用いられる、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液である。
【0026】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法に用いられる、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液、及び、前記反応母液の酸性度を変化させる物質からなる薬剤キットである。なお、該薬剤キットは、前記母液、及び、前記反応母液の酸性度を変化させる物質を別々の容器に保管したものであり、前記弗素含有複合塩の析出にはそれらの混合液を用いる。
【0027】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法に用いられる、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンと前記反応母液の酸性度を変化させる物質を含む反応母液、及び、フルオロアニオンからなる薬剤キットである。なお、該薬剤キットは、前記母液、及び、前記フルオロアニオンを別々の容器に保管したものであり、前記弗素含有複合塩の析出にはそれらの混合液を用いる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の製造方法によれば、粒子サイズや形状が揃った単分散の弗素含有複合塩を製造することができる。更に、製造条件を最適化することで結晶粒子径や結晶成長の面方位を制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の製造方法で製造した弗素含有複合塩の一例を示す図面代用の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較のための製造方法で製造した弗素含有複合塩の一例を示す図面代用の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に、フルオロアニオンの分解を促進するトリガーを作用させて、複数種のカチオンおよび弗素を含有する複合塩を反応母液から固体として析出させることを特徴とする、弗素含有複合塩の製造方法である。
【0031】
合成対象である弗素含有複合塩の主要構成カチオンはPearsonのHSAB則で定義される「硬い酸」であることが好ましい。すなわち、正電荷が局在しており、分極率の小さいカチオンであることが好ましい。複数の価数をとることが可能な元素では正電荷がより大きいカチオンの方が好ましく、同族同価数のカチオンではイオン半径が小さい方が好ましい。具体的には、オニウムイオン、1族元素の1価のカチオン、2族元素の2価以上のカチオン、及び、3族から13族までの元素の3価以上のカチオンのうち少なくとも一種類を含んでいることが好ましい。
【0032】
オニウムイオンとしては例えばNHが挙げられる。1族元素の1価のカチオンとしては例えば、H、Li、Na、K、Rbが挙げられる。2族元素の2価以上のカチオンとしては例えば、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+が挙げられる。
【0033】
3族から13族までの元素の3価以上のカチオンとしては例えば、Sc3+、Y3+、La3+、Ce3+、Ce4+、Pr3+、Pr4+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Tb4+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Th4+、Pa4+、Pa5+、U3+、U4+、U5+、U6+、Np3+、Np4+、Np5+、Np6+、Np7+、Pu3+、Pu4+、Pu5+、Pu6+、Pu7+、Ti3+、Ti4+、Zr3+、Zr4+、Hf3+、Hf4+、V3+、V4+、V5+、Nb3+、Nb4+、Nb5+、Ta3+、Ta4+、Ta5+、Cr3+、Cr4+、Cr5+、Cr6+、Mo3+、Mo4+、Mo5+、Mo6+、W3+、W4+、W5+、W6+、Mn3+、Mn4+、Mn5+、Mn6+、Mn7+、Tc4+、Tc5+、Tc6+、Tc7+、Re4+、Re6+、Fe3+、Fe4+、Fe6+、Ru3+、Ru4+、Ru6+、Ru8+、Os3+、Os4+、Os5+、Os6+、Os7+、Os8+、Co3+、Co4+、Rh3+、Rh4+、Rh5+、Rh6+、Ir3+、Ir4+、Ir6+、Ni3+、Ni4+、Ni5+、Pt4+、Pt5+、Pt6+、Cu3+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+が挙げられる。
【0034】
更に、2族元素の2価以上のカチオン、及び、3族元素、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niの3価以上のカチオンのうち少なくとも一種類を含んでいることがより好ましい。
【0035】
前記反応母液に含まれる溶媒は原料カチオンを溶解できるものであれば特に限定されず、水系および非水系が共に使用可能である。中でも、原料カチオンの溶解度の面から、極性のあるものが好ましい。極性溶媒の例として、水やアルコール、エチレングリコール、PEGなどのグリコール類、グリセリンが挙げられ、酢酸のような酸性液体を利用することも可能である。上記のようなカチオンの溶解度の大きさに加え、弗素含有複合塩の結晶粒子径や結晶成長の面方位に与える影響、弗素含有複合塩への溶媒あるいは副生成物のコンタミネーションの程度の観点から、前記溶媒として最適なものを選択することになるが、コストの観点からは水系が最も好ましい。
【0036】
原料カチオンの対アニオンとしては、酢酸塩、塩化物塩、水酸化物塩、硝酸塩、硫酸塩などが選択可能である。使用するカチオン種に対して溶解度の高い対アニオンを選択することが好ましい。例えばMgの場合は水酸化物塩の溶解度が低く、Baの場合は硫酸塩の溶解度が低い。このため、BaMgFを製造する場合には酢酸塩、塩化物塩、硝酸塩が原料として好ましい。
【0037】
フルオロアニオンとしてはA−F結合(Aは典型元素)を有するものが好ましい。中でもAは、Al、Ti、B、Si、P、S、As、Se、Sb、及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素がより好ましく、前記Aは、B、Si、P、S、As、Se、Sb、及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であることがより好ましく、更に、前記Aは、B、Si、P、及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であることが特に好ましい。
【0038】
具体的なアニオン種の典型例としては、TiF2−、AlF3−、BF、SiF2−、PF、PO、PO、SOなどが挙げられる。前記フルオロアニオンは、BF、SiF2−、PF、PO、PO、及びSOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましく、最も好ましくはBFあるいはPFである。複合弗化物を製造する場合は、Fの原子数が等量より不足すると収率が低下したり不純物相や非晶質相が副生成したりすることがあるため、Fの原子数が等量より過剰になるようにすることが好ましい。
【0039】
フルオロアニオンの分解を促進するトリガーとしては、熱、圧力、光やマイクロ波などの電磁波等のエネルギーの印加、酸、塩基などの酸性度を変化させる物質の作用による反応母液の酸性度の変化が適用可能であり、併用も可能である。また、熱、電磁波などのエネルギーの印加で分解して酸や塩基を発生する化学種を前記反応母液に含有させて、該エネルギーを印加させることも適用できる。エネルギーの印加で分解して酸を発生する化学種の例としては、酢酸エチルなどのエステル類や、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ジアゾニウム塩類、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩などの光酸発生剤が挙げられる。また、エネルギーの印加で分解して塩基を発生する化学種の例としては、尿素、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。
【0040】
上記のような化学種を用いる場合、副生成物が析出しないように反応条件を制御する必要がある。例えばBFを分解してBaMgFを製造する場合、反応母液を強アルカリ性にすると水酸化マグネシウムの沈澱が固体として析出してしまう。そこで、酸性の反応母液を用いる必要があるが、BFの分解を促進するために液の酸性度を徐々に上昇させることが好ましい。但し、この合成系で尿素を添加すると炭酸バリウムなどの炭酸塩が析出してしまう場合がある。この合成系ではヘキサメチレンテトラミンの方が好ましく、大過剰に添加しても分解後の液性をほぼ中性に保つことができる。
【0041】
フルオロアニオンの分解を促進するトリガーとして、前記反応母液へのエネルギーの印加を行う場合、具体的には、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)反応母液へのエネルギーの印加のみでフルオロアニオンの分解を促進する場合
(2)酸性度を変化させる物質として酸または塩基を反応母液に含有させることと、エネルギーの印加を併用してフルオロアニオンの分解を促進する場合
(3)酸性度を変化させる物質としてエネルギーの印加で酸や塩基を発生する化学種を反応母液に含有させることと、エネルギーの印加を併用してフルオロアニオンの分解を促進する場合
【0042】
また、フルオロアニオンの分解を促進するトリガーとして、酸性度を変化させる物質の作用による反応母液の酸性度の変化を利用する場合、具体的には、例えば以下の方法が挙げられる。
(4)酸性度を変化させる物質として酸または塩基を反応母液に含有させ、フルオロアニオンの分解を促進する場合
【0043】
以下、前記の具体例のそれぞれの詳細について述べる。
【0044】
(1)反応母液へのエネルギーの印加のみでフルオロアニオンの分解を促進する場合
溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に対してエネルギーの印加を行ってもよいし、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンを含む反応母液に対してエネルギーの印加を行いながら該反応母液にフルオロアニオンを混合してもよい。
【0045】
上記の処理を施すことにより、反応母液から弗素含有複合塩を固体として析出させる。反応母液の調製時には、蒸発で溶媒量が大幅に減少しないようにしながら加熱と機械的攪拌を併用することが生産性の観点から好ましい。熱印加によりエネルギー印加を行う場合、蒸発や沸騰による溶媒の枯渇を避けることと液の均一性を保つために機械的攪拌を併用することが好ましい。熱印加の場合、前記反応母液の温度を40℃以上、該母液の沸点以下の温度に保持することが好ましい。また、蒸気の還流冷却機構や加圧密閉容器を用いて溶媒の枯渇を避けることが好ましい。圧力印加によりエネルギー印加を行う場合、ソルボサーマル法のような液相全体への均一な加圧であることが好ましい。光やマイクロ波などの電磁波等の印加によりエネルギー印加を行う場合、容器内へ均一に電磁波を印加するか、電磁波の印加部分に反応母液を循環供給することが好ましい。
【0046】
また、上記は容器内での反応による弗素含有複合塩の析出を前提としているが、反応母液を基板上に均一に塗布した状態で弗素含有複合塩を析出させることもできる。この場合は、熱の印加は基板自体に行うかあるいは基板を載せたヒーターによって均一に行うことが好ましく、圧力の印加は基板を容器に入れて容器ごと行うことが好ましい。
【0047】
また、電磁波の印加は基板上へ均一に行うこともできるが、基板上へのパターニングを目的として析出を行う場所のみに局所選択的に行うこともできる。なお、エネルギー印加では前記の熱、圧力、光やマイクロ波などの電磁波等のエネルギーを組み合わせて印加してもよい。
【0048】
(2)酸性度を変化させる物質として酸または塩基を反応母液に含有させることと、エネルギーの印加を併用してフルオロアニオンの分解を促進する場合
酸または塩基を反応母液に含有させる方法としては、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液、及び、前記酸または塩基からなる薬剤キットを用い、それらを混合させて行う。
または、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンと前記酸または塩基を含む反応母液、及び、フルオロアニオンからなる薬剤キットを用い、それらを混合させて行う。
【0049】
前記エネルギーの印加は、混合前の上記薬剤キットのいずれかまたは両方に対して行ってもよいし、上記薬剤キットを混合しながら該混合液に対して行ってもよいし、混合後の反応母液に対して行ってもよい。
上記の処理を施すことにより、反応母液から弗素含有複合塩を固体として析出させる。熱印加によりエネルギー印加を行う場合、蒸発や沸騰による溶媒の枯渇を避けることと液の均一性を保つために機械的攪拌を併用することが好ましい。熱印加の場合、前記混合前の薬剤、その混合液、または反応母液の温度を、40℃以上、該液の沸点以下の温度に保持することが好ましい。また、蒸気の還流冷却機構や加圧密閉容器を用いて溶媒の枯渇を避けることが好ましい。圧力印加によりエネルギー印加を行う場合、ソルボサーマル法のような液相全体への均一な加圧であることが好ましい。光やマイクロ波などの電磁波等の印加によりエネルギー印加を行う場合、容器内へ均一に電磁波を印加するか、電磁波の印加部分に前記混合前の薬剤、その混合液、または反応母液を循環供給することが好ましい。
【0050】
また、上記は容器内での反応による弗素含有複合塩の析出を前提としているが、反応母液を基板上に均一に塗布した状態で弗素含有複合塩を析出させることもできる。この場合は、熱の印加は基板自体に行うかあるいは基板を載せたヒーターによって均一に行うことが好ましく、圧力の印加は基板を容器に入れて容器ごと行うことが好ましい。また、酸、塩基もしくはフルオロアニオンの供給は蒸気あるいはミストの状態で基板全体に均一に行うこともできる。
【0051】
また、電磁波の印加は基板上へ均一に行うこともできるが、基板上へのパターニングを目的として析出を行う場所のみに局所選択的に行うこともできる。なお、エネルギー印加では前記の熱、圧力、光やマイクロ波などの電磁波等のエネルギーを組み合わせて印加してもよい。
【0052】
酸性度を変化させる物質として酸または塩基を含有させても該物質単独ではフルオロアニオンの分解を起こさない場合は、上記のように該物質を反応母液に先に含有させておいてから、エネルギー印加を行うことが好ましい。例えばPFの分解は酢酸の添加のみでは起こらないため、該酸を含有させた均一な母液を調製しておいて、これにエネルギー印加を行うことができる。この方法によるとより均一な弗素含有複合塩を固体として析出させることができるため好ましい。
【0053】
(3)酸性度を変化させる物質としてエネルギーの印加で酸や塩基を発生する化学種を反応母液に含有させることと、エネルギーの印加を併用してフルオロアニオンの分解を促進する場合
前記化学種を含有させた反応母液を得る方法としては、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液、及び、前記化学種からなる薬剤キットを用い、それらを混合させて行う。
または、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンと前記化学種を含む反応母液、及び、フルオロアニオンからなる薬剤キットを用い、それらを混合させて行う。
【0054】
前記エネルギーの印加は、混合前の上記薬剤キットのいずれかまたは両方に対して行ってもよいし、上記薬剤キットを混合しながら該混合液に対して行ってもよいし、混合後の反応母液に対して行ってもよい。
上記の処理を施すことにより、反応母液から弗素含有複合塩を固体として析出させる。熱印加によりエネルギー印加を行う場合、蒸発や沸騰による溶媒の枯渇を避けることと液の均一性を保つために機械的攪拌を併用することが好ましい。熱印加の場合、前記混合前の薬剤、その混合液、または反応母液の温度を、40℃以上、該液の沸点以下の温度に保持することが好ましい。また、蒸気の還流冷却機構や加圧密閉容器を用いて溶媒の枯渇を避けることが好ましい。圧力印加によりエネルギー印加を行う場合、ソルボサーマル法のような液相全体への均一な加圧であることが好ましい。光やマイクロ波などの電磁波等の印加によりエネルギー印加を行う場合、容器内へ均一に電磁波を印加するか、電磁波の印加部分に前記混合前の薬剤、その混合液、または反応母液を循環供給することが好ましい。
【0055】
また、上記は容器内での反応による弗素含有複合塩の析出を前提としているが、反応母液を基板上に均一に塗布した状態で弗素含有複合塩を析出させることもできる。この場合は、熱の印加は基板自体に行うかあるいは基板を載せたヒーターによって均一に行うことが好ましく、圧力の印加は基板を容器に入れて容器ごと行うことが好ましい。
【0056】
また、電磁波の印加は基板上へ均一に行うこともできるが、基板上へのパターニングを目的として析出を行う場所のみに局所選択的に行うこともできる。なお、エネルギー印加では前記の熱、圧力、光やマイクロ波などの電磁波等のエネルギーを組み合わせて印加してもよい。
【0057】
酸性度を変化させる物質として前記化学種を含有させても該化学種単独ではフルオロアニオンの分解を起こさないため、上記のように該化学種を反応母液に先に含有させておいてから、エネルギー印加を行うことが好ましい。例えばBFの分解は尿素あるいはヘキサメチレンテトラミンの添加のみでは起こらないため、該尿素あるいはヘキサメチレンテトラミンを含有させた均一な母液を調製しておいて、これにエネルギー印加を行うことができる。この方法によるとより均一な弗素含有複合塩を固体として析出させることができるため好ましい。なお、尿素あるいはヘキサメチレンテトラミンは特に溶媒中では室温でも徐々に分解するため母液は調製後速やかに使用することが好ましい。
【0058】
(4)酸性度を変化させる物質として酸または塩基を反応母液に含有させ、フルオロアニオンの分解を促進する場合
溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に対して酸または塩基を添加してもよいし、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンを含む反応母液に対してフルオロアニオンと酸または塩基を同時に混合してもよいし、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンを含む反応母液に対して酸または塩基を添加し、次いでフルオロアニオンを添加してもよい。
【0059】
上記の処理を施すことにより、反応母液から弗素含有複合塩を固体として析出させる。反応母液の調製時には、蒸発で溶媒量が大幅に減少しないようにしながら加熱と機械的攪拌を併用することが生産性の観点から好ましい。酸または塩基の添加は機械的な攪拌・混合を十分に行いながら実施することが好ましい。例えば、弱塩基であるアンモニアは反応性が高く、反応母液の酸性度をすばやく変化させるため、反応母液を攪拌しながらアンモニアを滴下して反応させるか、反応母液を攪拌しながらアンモニアの蒸気やミストを密閉された反応容器に導入することが好ましい。
【0060】
エネルギー印加として圧力印加をする場合を除いて、上記(1)〜(4)の方法において、フルオロアニオンの分解を促進する際の圧力は任意に選択できる。特に大気圧下の開放系あるいは密閉系(ソルボサーマル法)が好ましい。開放系で行う場合は溶媒が揮発あるいは沸騰して系外に排出されてしまう場合があるため還流する機構を有する装置を用いることが望ましい。また、雰囲気を制御することも考えられる。特に弗素含有複合塩の酸化状態を制御する目的で、不活性ガス雰囲気で製造を行うことも可能である。更に、反応母液にはエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヘキシルアミン、高次カルボン酸、過酸化物、あるいはアスコルビン酸、ギ酸、チオ硫酸などの含硫黄酸、ホスホン酸などの含燐酸、およびそれらの塩類などの添加剤を加えても良い。添加剤の種類によっては結晶成長制御や酸化状態制御が達成できる場合がある。
【0061】
本製造法では反応母液中に弗素含有複合塩が生成するが、該複合塩を回収する後処理方法として、ろ過、遠心分離などの分離および精製、洗浄を用いても良い。また、その後に焼成などを行っても良い。固体を分離せず、そのまま薬液としても良い。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.10mmol/g(2.1質量%)
酢酸バリウム 0.10mmol/g(2.5質量%)
ヘキサフルオロ燐酸アンモニウム 0.23mmol/g(3.8質量%)
酢酸 5.14mmol/g(30.8質量%)
エチレングリコール 40.0質量%
水 20.8質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ130℃で3時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩1を得た。乾燥体塩1および該乾燥体塩を150℃、400℃あるいは600℃で各2時間焼成した乾燥体塩1の焼成体がいずれもBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩1を走査型電子顕微鏡で観察した結果、図1に示すように、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0064】
[実施例2]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.11mmol/g(2.4質量%)
酢酸バリウム 0.11mmol/g(2.8質量%)
酢酸 5.69mmol/g(34.7質量%)
エチレングリコール 43.8質量%
水 16.3質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ130℃で加熱し、母液総量の10.5質量%に相当するヘキサフルオロ燐酸アンモニウム水溶液(濃度2.4mmol/g)を滴下により添加した後に3時間保持したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩2を得た。得られた乾燥体塩2がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩2を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0065】
[実施例3]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.14mmol/g(3.0質量%)
酢酸バリウム 0.14mmol/g(3.6質量%)
ヘキサフルオロ燐酸アンモニウム 0.32mmol/g(5.2質量%)
エチレングリコール 58.0質量%
水 30.2質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ130℃で加熱し、母液総量の45質量%に相当する酢酸を滴下により添加した後に3時間保持したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩3を得た。得られた乾燥体塩3がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩3を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0066】
[実施例4]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.08mmol/g(1.7質量%)
酢酸バリウム 0.08mmol/g(2.0質量%)
ヘキサフルオロ燐酸アンモニウム 0.16mmol/g(2.6質量%)
酢酸 3.41mmol/g(20.8質量%)
グリセリン 72.9質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ130℃で3時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体を遠心分離し、メタノールで洗浄後風乾して乾燥体塩4を得た。得られた乾燥体塩4がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩4を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0067】
[実施例5]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.24mmol/g(5.1質量%)
酢酸バリウム 0.24mmol/g(6.1質量%)
ヘキサフルオロ燐酸アンモニウム 0.50mmol/g(8.2質量%)
酢酸 4.06mmol/g(24.7質量%)
水 55.9質量%
この母液を密閉式反応器に入れ、攪拌しつつ150℃の油浴で3時間加熱したところ、容器内圧は徐々に上昇し0.25MPa−Gに到達した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体を遠心分離し、メタノールで洗浄後風乾して乾燥体塩5を得た。得られた乾燥体塩5がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩5を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0068】
[実施例6]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.24mmol/g(5.1質量%)
酢酸バリウム 0.24mmol/g(6.1質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.50mmol/g(4.4質量%)
ヘキサメチレンテトラミン 1.68mmol/g(23.6質量%)
水 60.8質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ130℃で3時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩6を得た。ろ液と一次洗浄水を合わせた液は中性(pHは6〜8程度)であった。得られた乾燥体塩6がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩6を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0069】
[実施例7]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.22mmol/g(4.7質量%)
酢酸バリウム 0.22mmol/g(5.6質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.88mmol/g(7.7質量%)
ヘキサメチレンテトラミン 1.53mmol/g(21.4質量%)
水 60.6質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で3時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩7を得た。ろ液と一次洗浄水を合わせた液は中性(pHは6程度)であった。得られた乾燥体塩7がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩7を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0070】
[実施例8]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化ストロンチウム六水和物 0.18mmol/g(4.8質量%)
塩化アルミニウム六水和物 0.18mmol/g(4.3質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.89mmol/g(7.8質量%)
ヘキサメチレンテトラミン 1.57mmol/g(22.0質量%)
水 61.1質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で2時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩8を得た。得られた乾燥体塩8および該乾燥体塩を600℃で2時間焼成した乾燥体塩8の焼成体がいずれもSrAlFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩8を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0071】
[実施例9]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化リチウム 0.15mmol/g(0.6質量%)
塩化ストロンチウム六水和物 0.15mmol/g(4.0質量%)
塩化アルミニウム六水和物 0.15mmol/g(3.6質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.89mmol/g(7.8質量%)
ヘキサメチレンテトラミン 1.61mmol/g(22.6質量%)
水 61.4質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で6時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩9を得た。得られた乾燥体塩9がLiSrAlFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩9を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0072】
[実施例10]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化リチウム 0.15mmol/g(0.6質量%)
塩化カルシウム二水和物 0.15mmol/g(2.2質量%)
塩化アルミニウム六水和物 0.15mmol/g(3.6質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.92mmol/g(8.1質量%)
ヘキサメチレンテトラミン 1.67mmol/g(23.4質量%)
水 62.1質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で6時間加熱したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩10を得た。得られた乾燥体塩10がLiCaAlFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩10を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0073】
[実施例11]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸リチウム 0.20mmol/g(1.3質量%)
酢酸ストロンチウム0.5水和物 0.20mmol/g(4.3質量%)
塩化アルミニウム六水和物 0.20mmol/g(4.8質量%)
ヘキサフルオロ燐酸アンモニウム 0.62mmol/g(10.1質量%)
酢酸 6.00mmol/g(36.0質量%)
水 43.5質量%
この母液を密閉式反応器に入れ、攪拌しつつ170℃の油浴で16時間加熱したところ、容器内圧は徐々に上昇し0.52MPa−Gに到達した。加熱を止めて放冷した後、析出した固体をデカンテーションで分離し、水を加えて分散させてから遠心分離およびろ過を行って回収し、アセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩11を得た。得られた乾燥体塩11がLiSrAlFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩11を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0074】
[実施例12]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸リチウム 0.25mmol/g(1.6質量%)
酢酸バリウム 0.25mmol/g(6.4質量%)
ヘキサフルオロ燐酸アンモニウム 0.76mmol/g(12.4質量%)
酢酸 3.75mmol/g(22.5質量%)
水 57.1質量%
この母液を密閉式反応器に入れ、攪拌しつつ170℃の油浴で17時間加熱したところ、容器内圧は徐々に上昇し0.34MPa−Gに到達した。加熱を止めて放冷した後、析出した固体をろ過にて回収し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩12を得た。得られた乾燥体塩12がBaLiFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩12を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0075】
[実施例13]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化ナトリウム 0.40mmol/g(2.3質量%)
塩化鉄(III)六水和物 0.40mmol/g(10.8質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.80mmol/g(7.0質量%)
ヘキサメチレンテトラミン 1.20mmol/g(16.8質量%)
水 63.1質量%
この母液を密閉式反応器に入れ、攪拌しつつ140℃の油浴で19時間加熱したところ、容器内圧は上昇して0.6〜0.86MPa−Gに到達した。加熱を止めて放冷した後、析出した固体をろ過にて回収し、水で洗浄した後窒素流通下140℃で乾燥して乾燥体塩13を得た。得られた乾燥体塩13が(NHNaFeFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩13を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0076】
[実施例14]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.28mmol/g(6.0質量%)
酢酸バリウム 0.28mmol/g(7.2質量%)
テトラフルオロ硼酸 1.12mmol/g(9.8質量%)
水 77.0質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で加熱しながら反応母液総量の53質量%に相当する25質量%アンモニア水を5時間かけて徐々に滴下したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩14を得た。得られた乾燥体塩14がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩14を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0077】
[実施例15]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化ストロンチウム六水和物 0.23mmol/g(6.2質量%)
塩化アルミニウム六水和物 0.23mmol/g(5.6質量%)
テトラフルオロ硼酸 1.14mmol/g(10.0質量%)
水 78.2質量%
この母液を、大気開放式反応器に入れ、室温で攪拌しつつ反応母液総量の55質量%に相当する25質量%アンモニア水を10時間かけて徐々に滴下したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩15を得た。得られた乾燥体塩15がSrAlFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩15を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0078】
[実施例16]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化リチウム 0.19mmol/g(0.8質量%)
塩化ストロンチウム六水和物 0.19mmol/g(5.2質量%)
塩化アルミニウム六水和物 0.19mmol/g(4.7質量%)
テトラフルオロ硼酸 1.15mmol/g(10.1質量%)
水 79.2質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で加熱しながら反応母液総量の57質量%に相当する25質量%アンモニア水を10時間かけて徐々に滴下したところ、時間の経過と共に徐々に白色の固体が析出した。加熱を止めて放冷した後、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩16を得た。得られた乾燥体塩16がLiSrAlFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩16を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0079】
[実施例17]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
塩化ナトリウム 0.48mmol/g(2.8質量%)
塩化鉄(III)六水和物 0.48mmol/g(13.0質量%)
テトラフルオロ硼酸 0.96mmol/g(8.4質量%)
水 75.8質量%
この母液を、大気開放式反応器に入れ、室温で攪拌しつつ反応母液総量の39質量%に相当する25質量%アンモニア水を10時間かけて徐々に滴下したところ、時間の経過と共に徐々に固体が析出した。析出した固体をろ過にて回収し、水で洗浄した後窒素流通下140℃で乾燥して乾燥体塩17を得た。得られた乾燥体塩17が(NHNaFeFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩17を走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒子サイズや形状が揃った単分散の一次粒子から構成されていることが判明した。
【0080】
[比較例1]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.50mmol/g(10.7質量%)
酢酸バリウム 0.50mmol/g(12.8質量%)
水 76.5質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で加熱し、母液総量の16.8質量%に相当する酸性弗化アンモニウム(NHHF)水溶液(濃度7.2mmol/g)を滴下により添加したところ、滴下と同時に沈澱が生成した。温度を80℃に保持したまま2時間熟成した後で加熱を止めて放冷し、析出した白色固体をろ別し、水およびアセトンで洗浄後風乾して乾燥体塩18を得た。得られた乾燥体塩18がBaMgFであることを粉末X線回折法で確認した。乾燥体塩18を走査型電子顕微鏡で観察した結果、図1に示すように、結晶が不揃いに成長していて粒子サイズや形状が揃っていない多分散の粒子から構成されていることが判明した。
【0081】
図1および図2から、弗素源として酸性弗化アンモニウムを用いて製造した比較のための弗素含有複合塩粒子(比較例1)は粒子サイズや形状が不均一な多分散であることが分かる。これに対して弗素源にフルオロアニオンを用い、トリガーとして熱の印加と酸の添加を用いた本発明の弗素含有複合塩粒子(実施例1)は粒子サイズや形状が揃った単分散であることが分かる。
【0082】
[比較例2]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸マグネシウム四水和物 0.10mmol/g(2.1質量%)
酢酸バリウム 0.10mmol/g(2.5質量%)
トリフルオロ酢酸 1.08mmol/g(12.3質量%)
2−プロパノール 75.1質量%
水 8.0質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で3時間加熱した。次いで母液を蒸発皿に移し、乾燥機内で80℃で乾燥させて乾燥体塩19を得た。該乾燥体塩19を400℃あるいは600℃で各2時間焼成したところ、いずれの場合も焼成体の主生成物はBaFとMgFであり、BaMgFの回折強度はこれらの単塩に比べて弱いことを粉末X線回折法で確認した。
【0083】
[比較例3]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム 0.30mmol/g(9.5質量%)
トリフルオロメタンスルホン酸バリウム 0.30mmol/g(12.9質量%)
トリフルオロメタンスルホン酸 0.57mmol/g(8.6質量%)
水 69.0質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で3時間加熱した。次いで母液を蒸発皿に移し、乾燥機内で95℃で乾燥させて乾燥体塩20を得た。該乾燥体塩20を600℃で2時間焼成したところ、焼成体の主生成物はBaFとMgFであり、BaMgFの回折強度はこれらの単塩に比べて弱いことを粉末X線回折法で確認した。
【0084】
[比較例4]
室温で各成分を溶解混合し、以下の組成の反応母液を調製した。
酢酸ストロンチウム半水和物 0.10mmol/g(2.1質量%)
アルミニウムエトキシド 0.10mmol/g(1.6質量%)
トリフルオロ酢酸 1.08mmol/g(12.3質量%)
2−プロパノール 76.0質量%
水 8.0質量%
この母液を、還流冷却部を備えた大気開放式反応器に入れ、攪拌しつつ80℃で3時間加熱した。次いで母液を蒸発皿に移し、乾燥機内で80℃で乾燥させて乾燥体塩21を得た。該乾燥体塩21を400℃あるいは600℃で各2時間焼成したところ、いずれの場合も焼成体の主生成物はSrFとAlFであり、SrAlFの回折強度はこれらの単塩に比べて弱いことを粉末X線回折法で確認した。
【0085】
[比較例5]
粉末の弗化マグネシウム試薬と弗化バリウム試薬を等モル量採取し、乳鉢で混練した後に600℃で2時間焼成した。焼成体はBaFとMgFの混合物のままであり、BaMgF相が形成されていないことを粉末X線回折法で確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液に、フルオロアニオンの分解を促進するトリガーを作用させて、複数種のカチオンおよび弗素を含有する複合塩を反応母液から固体として析出させることを特徴とする、弗素含有複合塩の製造方法。
【請求項2】
フルオロアニオンの分解を促進するトリガーが、前記反応母液へのエネルギーの印加、酸性度を変化させる物質の作用による反応母液の酸性度の変化、あるいはその両方であることを特徴とする、請求項1に記載の弗素含有複合塩の製造方法。
【請求項3】
複数種のカチオンのうちの少なくとも一種が、1族元素の1価のカチオン、2族元素の2価以上のカチオン、あるいは、3族から13族までの元素の3価以上のカチオンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の弗素含有複合塩の製造方法。
【請求項4】
フルオロアニオンが、A−F結合(ここで、Aは、Al、Ti、B、Si、P、S、As、Se、Sb、及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素)を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の弗素含有複合塩の製造方法。
【請求項5】
フルオロアニオンが、TiF2−、AlF3−、BF、SiF2−、PF、PO、PO、及びSOからなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の弗素含有複合塩の製造方法。
【請求項6】
前記反応母液の酸性度を変化させる物質が、酸、塩基、及び、エネルギーの印加で酸や塩基を発生する化学種からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の弗素含有複合塩の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造方法で製造された弗素含有複合塩。
【請求項8】
2群以上の固溶不可能なカチオン種群を含み、それぞれの群が結晶学的に区別されたサイトを占めることを特徴とする、請求項7に記載の弗素含有複合塩。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造方法に用いられる、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液。
【請求項10】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造方法に用いられる、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンとフルオロアニオンを含む反応母液、及び、前記反応母液の酸性度を変化させる物質からなる薬剤キット。
【請求項11】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造方法に用いられる、溶媒中に溶解させた状態の複数種のカチオンと前記反応母液の酸性度を変化させる物質を含む反応母液、及び、フルオロアニオンからなる薬剤キット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−232886(P2012−232886A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−81673(P2012−81673)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】