説明

弱毒化された組換えニューカッスル病ウイルス及びこれを含むニューカッスル病ワクチン

本発明は組換えニューカッスル病ウイルスゲノム転写ベクター、これに通じて製作された病原性ニューカッスル病ウイルスの表面抗原を有する弱病原性組換えニューカッスル病ウイルス、前記ゲノム転写ベクターを使用してニューカッスル病に対して優れた予防効能を有しながら病原性は低い組換えニューカッスル病ウイルスを製造する方法、及び前記組換えニューカッスル病ウイルスを含むニューカッスル病ワクチンに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は韓国特許出願第2006-093620号に基づいた優先権を主張し、前記出願明細書は本明細書に参照として含まれる。
【0002】
本発明は組換えNDVゲノム転写ベクター、これによって製作された病原性NDVの表面抗原を有する弱病原性組換えNDV、前記ゲノム転写ベクターを使用してニューカッスル病に対して優れた予防効能を有して病原性は低い組換えNDVを製造する方法及び前記組換えNDVを含むNDワクチンに関するものである。
【背景技術】
【0003】
ニューカッスル病(Newcastle Disease、ND)は国際的に最も重要な家畜疾病の15種のうちの一つで急性熱性呼吸器疾病であり、免疫されていない家禽に感染した場合には100%死亡する法廷第1種伝染病である。韓国はニューカッスル病ウイルス(Newcastle disease virus、NDV)常在地域で、この疾病の根絶に相当な困難があると予想される。また、韓国と活発な交易をしている東南アジア、中国及び台湾には多様なニューカッスル病ウイルスが流行していて潜在的な危害要因として存在するので、アジア型ニューカッスル病ワクチンの開発が切実な時点である。
ニューカッスル病ウイルスは単鎖(single stranded)RNAウイルスでアブラウイルス属(genus Avulavirus)に属する。ニューカッスル病ウイルスはエンベロープ(envelope)を保有していて、エンベロープにはウイルスを宿主細胞に結合させるHN(Haemagglutinin-Neuraminidase)蛋白質とエンベロープと宿主細胞の融合を起こすF(Fusion)蛋白質がある。F蛋白質とHN蛋白質は糖タンパク質(glycoprotein)でエンベロープの表面に分布されている。
【0004】
F蛋白質はI型膜糖タンパク質(type I membrane glycoprotein)で三量体(trimeric)構造を形成する。F蛋白質は不活性前駆体形態(F0)に作られ、ゴルジ膜(Golgi membranes)を通って移動する間に活性形態のF1とF2に切られる。このような過程はF1サブユニット(subunit)のアミノ末端で疎水性ドメイン(domain)を露出させ、これは成熟した蛋白質の生物学的活性に重要な役割を果たす。融合ペプチド(fusion peptide)と呼ばれる疎水性ドメインはパラミクソウイルス(paramyxovirus)F蛋白質でよく保存されていて膜融合を媒介するのに直接的に関与すると思われている。パラミクソウイルスF蛋白質は7個反復(heptad repeats)を含んでアルファヘリックス構造を形成する可能性のある2つの地域を含む複数の共通した構造形態を有している。2つの反復の中で最も長い7個反復A(heptad repeat A)はF1のアミノ末端で疎水性融合ペプチドと隣接しており、7個反復Bは貫通膜(transmembrane)地域の上部に密着している。7個反復Bは毎7個残基ごとによく保存されたロイシンまたはイソロイシンの連続で構成されている。
【0005】
HN蛋白質はII型膜糖タンパク質(type II membrane glycoprotein)でウイルスエンベロープの表面で四量体(tetramer)を形成して細胞膜に浸透する(Gorman et al.,1998:Ng et al.,1989)。HN蛋白質はビリオン(virion)がグリコ接合(glycoconjugates)のシアル酸(sialic acids)に結合することによってホスト細胞表面に位置させる機能を持つ。HN蛋白質は貫通膜(transmembrane)ドメイン、茎(stalk)ドメイン及び球形(globular)ドメインの3つの地域に分けられる。抗原性の収容体結合とノイラミニダーゼ(neuraminidase)活性位置は全て球形ドメインに位置している。融合誘導活性は茎ドメインに位置していて、これはF蛋白質と相互作用する(Sergei et al., 1993 )。茎ドメインは予想される形態でα-ヘリックスと共に2つの7個反復地域A(74-88位置)と7個反復地域B(96-110位置)を有している。また、構造を破壊する何者かによる突然変異も収容体結合とノイラミニダーゼ活性を減少させる原因になるという報告がある。
【0006】
NDVは鶏で疾病程度に応じて下記のような病原性タイプ(pathotype)に分類される:1)消化器病変と高い死亡率を示す内臓親和強病原性(velogenic)NDV;そして呼吸器及び神経学的症状が主に示されて高い死亡率を示す神経親和強病原性NDV;2)低い死亡率、一部鳥類で急性呼吸器疾患及び神経性症状を示す亜病原性(methogenic)NDV;3)軽症または無症状の呼吸器感染を誘発する弱病原性(lentogenic)及び無病原性(apathogenic)NDV。
【0007】
NDVが細胞に感染性を有するためにはF1及びF2に切断される前駆体糖蛋白質Foが必要である。この翻訳-後切断は宿主細胞プロテアーゼによって仲裁される。仮に切断行為が失敗すると非-感染性ウイルス粒子が生成され、さらにウイルス複製が進められない。毒性ウイルスのFo蛋白質は広範囲なプロテアーゼによって切断され得るが、低い毒性のウイルスでFo蛋白質はそれらの感受性に制約され、これらウイルスは単に特定宿主細胞タイプでのみ増殖可能である。
【0008】
弱病原性の弱毒株ウイルスは単に呼吸器または腸管のようなトリプシン-のような酵素を有する領域でのみ複製する反面、毒性ウイルスは組織及び器官の範囲で複製することができて致命的な全身感染を招く。
【0009】
Fo前駆体のアミノ酸を検査することにより、弱病原性ウイルスはF2及びF1鎖を連結する単一アルギニン(R)を有する反面、亜病原性以上の菌株は切断部位にK/R-X-K/R-R-Fのような2対を形成する追加の基本アミノ酸を保有するということを示した。さらに、亜病原性以上の病原性を有する菌株のF2鎖は一般にフェニルアラニン(phenylalanine)残基で開示する反面、弱病原性以下の病原性を示す菌株のF2鎖は一般にロイシン(leucine)で開示する。
【0010】
米国でニューカッスル病の同定は不活化ワクチンの使用を引き出した(Hofstad, 1953)。一部動物風土病ウイルスが単に軽い疾患を生産したという観察は最初に亜病原性生ワクチンローキン(Roakin)開発の結果をもたらし、次いで、さらに軽いHitchnerB1及びLaSota(Goldhaft, 1980)の開発を持ってきた。
【0011】
生ワクチンの主な利点のうちの1つは費用の安い大量適用技術によって投与できるということである。通常の適用方法は水を飲むことを通じて行なわれる。
スプレー及びエアゾールによる生ワクチンの大量適用は複数の鳥類が短時間内にワクチン接種できるという容易性のためにまた非常に人気が高い。粒子が発生するノズルを調節することによって正確な粒子の大きさを達成することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国特許出願第2006-026667号
【特許文献2】韓国特許出願第2006-093620号
【特許文献3】韓国特許第0451883号
【特許文献4】米国特許出願 US6,699,479B1
【特許文献5】米国特許出願 US5,166,057
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】1.Kwon H.J.PhD Thesis. Seoul National University, 2000.
【非特許文献2】2.Lemniczi.B,Wehmann E., Herezeg J.,Ballagi-Pordny A.,Kaleta E.F., Werner O., Meulemans G., Jorgensen P.H., Mante A.P., Gielkens A.L.J., Capua I., and Damoser J., Arch Virol 143, 49-64, 1998.
【非特許文献3】Herezeg J., Wehmann E., Bragg R.R., Travassos Dias P.M., Hadjiev G., Werner O., and Lomniezi,B. Arch Virol 144, 2087-2099, 1999.
【非特許文献4】Yang C.Y., Shieh H.K., Lin Y.L., Chang P.C., Avian Dis 43, 125-130, 1999.
【非特許文献5】Kwon H.J., Cho S.H., Ahn Y.J., Seo S.H., Choi K.S., and Kim S.J., Vet Microbiol 95, 39-48, 2003.
【非特許文献6】Liu X.F., Wan H.Q., Ni X.X., Wu Y.T., and Liu W.B., (2003).Pathotypical and genotypical characterization of strains of Neweastle disease virus isolated from outbreaks in chicken and goose flocks in some regeons of China during 1985-2001. Arch Virol, 148, 1387-1403.
【非特許文献7】Tsai H.J., Chang K.H., Tseng C.H., Frost K.M., Manvell R.J., and Alexander D.J., Vet Microbiol, 104, 19-30,2004.
【非特許文献8】‘Cho SH, Ahn YJ, Kim SJ, Kwon HJ. Characterization of a Newcastle disease virus with variation in the major Hemagglutinin-Neuraminidase (HN) linear epitope. The49th Annual Meeting of the Korean Society of Veterinary Science 2005, 45 (3,suppl), 199'
【非特許文献9】Gorman et al., 1998
【非特許文献10】Ng et al., 1989
【非特許文献11】Sergei et al., 1993
【非特許文献12】Hofstad, 1953
【非特許文献13】Goldhaft, 1980
【非特許文献14】Xiong,A.S.et al.,2004,Nucleic Acids Research, Vol32, No.12 e98
【非特許文献15】Spalatin,1970
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
最近使用される生ワクチンはいくつかの問題を持っている。これらワクチンは依然として若干の病原性を持っていて、場合によってはワクチン副作用が表れることがある。さらに、母系から遺伝された抗体が生ワクチンウイルスを中和して成功的な免疫形成が妨害されることもある。したがって、1次ワクチン接種はきわめて軽いウイルスを使用することが重要であり、母体移行抗体の克服が可能なワクチンが要求される。
【0015】
不活化ワクチンはウイルスを殺すためにホルマリンまたはβ-プロピオラクトンで処理され、適切な補助剤と混合された感染性尿膜腔液から普通生産される。不活化ワクチンは筋肉または皮下注射で投与される。しかし、不活化ワクチンは生産して適用するのに費用が高い短所がある。
【0016】
最近国内外で発生している強病原性NDVは抗原性でワクチン株と多くの差を示すと推定されるが、これに対する根拠としてはワクチン株の遺伝型と相当な差を示す野外株の発見とワクチン抗体力価が十分に高くない場合に死亡は防止することができるが、散乱率低下を防止することはできないという事実などが挙げられる。
NDVの遺伝型はF遺伝子の部分塩基配列に基づいた系統分析によってI型からIX型までに分類される。国内に分布するニューカッスル病ウイルスは大概分子力学上VI型とVII型に属する。このうち、VI型の場合には集中的なワクチン接種によって変異株が出現したが、VII型に比べては相対的に低い分離率を示し、2000年後には大概VII型ウイルスのみ分離されていて絶滅の可能性もあると考えられている。したがって、塩基配列分析及びゲノム事業を通じた最近NDVの遺伝子構造結晶及び最近GenBankに登録されている全世界NDVとの遺伝子比較による分子力学研究は最適のワクチン株開発において非常に重要である。
【0017】
現在商品化されたニューカッスル病(ND)不活化オイルワクチンは弱病原性NDVのクローン30またはラソタ株を使用して生産されたものであり、強病原性NDVを利用した不活化ワクチンは安全性問題のために製造が禁止されている。したがって、より安全で経済的で野外株と類似の抗原性を示すNDワクチン生産技術の必要性が増大しているが、現在逆遺伝学(Reverse Genetics)技術を利用したワクチン開発がこのような要求に最も近接した技術である。
【0018】
ネガティブストランドRNAウイルスの逆遺伝学技術はウイルスゲノムから感染性のあるウイルスを回収する技術として提案された方式である(US Patent No.5,166,057等参照)。このような技術は最初にインフルエンザウイルスゲノムを操作するために提案されたものであるが、インフルエンザウイルス以外のRNAウイルスである狂犬病ウイルス(Rabies Virus)、呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory Syncytial Virus)、センダイウイルス(Sendai virus)をはじめとして多様な分節と非分節ネガティブストランドRNAウイルスに成功的に適用されている。
【0019】
本発明者らはこのような逆遺伝学技術を利用して新規ワクチン株開発のための研究を繰り返した結果、野外株と類似な抗原性を有する安全なNDワクチン株生産技術を開発して本発明を完成した。
【0020】
本発明の目的は、組換えNDVゲノム転写ベクターを提供することにある。
本発明の他の目的は、病原性NDVの表面抗原を有する弱病原性組換えNDVを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、前記のような組換えNDVゲノム転写ベクターを使用してNDに対して優れた予防効能を有して病原性は低い組換えNDVを製造する方法を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、逆遺伝学技術を利用してNDVの免疫原性は高めて病原性は下げるNDVの弱毒化方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記組換えNDVを含むNDワクチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は組換えニューカッスル病ウイルスゲノム転写ベクター、これを含む病原性ニューカッスル病ウイルスの表面抗原を有する弱病原性組換えニューカッスル病ウイルス、前記組換えニューカッスル病ウイルスゲノム転写ベクターを使用してNDに対して優れた予防効能を有して病原性は低い組換えNDVを製造する方法及び前記組換えニューカッスル病ウイルスを含むニューカッスル病ワクチンに関するものである。
【0024】
本発明のF遺伝子(384bp;F遺伝子ヌクレオチド位置1〜384bp)と近隣結合法を利用したニュケスルウイルスの系統分析の結果は次の通りである:
【表1】

【0025】
前記の図面に示された菌株は例示に過ぎず、現在幾多の種類のニューカッスル病ウイルス菌株が前記のようにI型乃至IX型に分類され、ニューカッスル病ウイルスを分子力学的に分類した結果が多く報告されていて、このような分類の基準と各類型に属する菌株はこの発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が容易に分かると考えられる。本明細書での菌株分類及びその基準は次のような参考文献に記載された内容を引用し、下記の文献は全て本明細書に参照として含まれる:
【0026】
【表2】

【0027】
現在ワクチン株として使用されるラソタ/46はII型であることに対し、現在野外株として発見されている菌株はこれと遺伝的に距離が遠いVI型乃至VII型が大部分である。例えば、NDVのHN蛋白質で345-PDEQDYQIR-353部位が中和抗体を形成する重要な線状抗原として知られている。国内病原性NDVはVI型(95-98、99-70、99-71)とVII型ウイルスが共存してきたが、VI型NDVは1999年を最後に2000年から2006年までは全く分離されず、1995年家禽から最初に分離されたVIIa型のNDVはその後分離されず、VIId型のNDVのみ分離されている。
【0028】
VI型ウイルスの場合、線状抗原の変異(E347K)が1993年と1994年分離株(SNU9358GG、SNU9444)で最初確認された後、95-98、99-70、99-71でも持続的に観察されて、このような変異株がしばらくは免疫を回避して生存してきたと判断され、2000年後VIId型ウイルスの全国的な拡散後ほとんど絶滅したと判断される。VII型ウイルスの場合、1995年から2001まで分離されたウイルスはすべてラソタ株の線状抗原と同一であったが、2002年に最初に線状抗原変異株(E347K)が出現し、2005年には追加的な変異を示すNDVが優占する様相を示した(下記表参照)。
【表3】

【0029】
このようなことを鑑みる時、従来のワクチン株ラソタ/46では現在流行しているニューカッスル病に対する効果的な予防が不可能であると考えられ、本発明は野外株に対して優れた抗原性を有するワクチン株開発技術を提供するという点で最も大きい意味があると言える。
【0030】
本明細書において、強病原性ニューカッスル病ウイルスは、別途の言及がない限り通常分類される強病原性ニューカッスル病ウイルスだけでなく、中間以上の病原性を有するすべての病原性ニューカッスル病ウイルスを含む意味として使用される。本発明において、強病原性ニューカッスル病ウイルスは動物の感染時に体内すべての細胞で感染性のあるウイルスが作られることによって病原性を示すもので、F蛋白質の113番目から116番目アミノ酸配列が次の式1のように表現される場合、体内大部分の細胞内に分布するフランまたはフラン類似蛋白質分解酵素(以下、フラン)によって切断されて活性を有する構造を有するので、ウイルスの感染能力が生じる。したがって、病原性ニューカッスル病ウイルスはF蛋白質の113番目から116番目アミノ酸配列のコーディング配列として次の式1で表現されるアミノ酸配列をコーディングする塩基配列を有すると定義される:
[式1]
113-X1X2X3X4-116
【0031】
前記式のうち、X、X及びXはそれぞれ独立的にアルギニン(R)またはリシン(K)であり、Xはアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群の中から選択されたアミノ酸である。
【0032】
この時、Fの112番目アミノ酸もアルギニンまたはリシンのような塩基性アミノ酸である場合にさらに強い病原性を示す。
【0033】
また、本明細書において弱病原性ニューカッスル病ウイルスは、別途の言及がない限り通常分類される弱病原性ニューカッスル病ウイルスだけでなく無毒ニューカッスル病ウイルスを含む意味として使用される。本発明において弱病原性ニューカッスル病ウイルスは動物感染時に体内一部細胞内と消化管及び呼吸器官の細胞外蛋白質分解酵素によってのみ活性化されて局所的なウイルス増殖が起こって弱い病原性を示すもので、Fの113番目から116番目アミノ酸配列が次の式2のように表現される場合を意味する。したがって、弱病原性ニューカッスル病ウイルスはFの113番目から116番目アミノ酸配列のコーディング配列として次の式2で表現されるアミノ酸配列をコーディングする塩基配列を有すると定義される:
[式2]
113-X4X5X7X8-116
【0034】
前記式のうち、X、X及びXはそれぞれ独立的にアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群の中から選択されたアミノ酸であり、XとXは同時にアルギニン(R)またはリシン(K)でなく、Xはアルギニン(R)またはリシン(K)である。
【0035】
ニューカッスル病ウイルスはフランによってF蛋白質に位置するフラン認識部位(cleavage site)が切断されて細胞膜と融合するF蛋白質の融合ペプチド部位が露出されるとようやく感染能力を有する。フランは動物の全身に分布する酵素であるので、フランによるウイルス感染能力活性化は全身で発生して病原性を示す。したがって、ニューカッスル病ウイルスの病原性はF蛋白質に位置するフラン切断部位がフランによって認知されて切断される程度に応じて変わる。
【0036】
ニューカッスル病ウイルスF蛋白質のフラン認識部位(113乃至116番目アミノ酸)が前記式1のアミノ酸配列のように少なくとも3個以上の塩基性アミノ酸(113-R-X-K/R-R-116)を有する場合、フランによるウイルス感染が全身的に起こるために病原性を示す。しかし、前記式2のアミノ酸配列のように、1つ以上の塩基性アミノ酸が非塩基性アミノ酸で置換される場合にはフランによる認識及び切断がほとんど起こらず、単に局所的に存在する細胞内または細胞外蛋白分解酵素によって切断が行なわれるので、致命的な全身感染が行なわれなくて病原性は低い。
【0037】
本発明は弱病原性ニューカッスル病ウイルスのゲノムを根茎としながら、表面抗原と関するF蛋白質及びHN蛋白質コーディング部位を国内及びアジア地域で流行する強病原性ウイルスのもので置換させることで強病原性ウイルスに対する防御効能を高めると同時に、強病原性ニューカッスル病ウイルスの115番目コドンを非塩基性アミノ酸をコーディングするコドンで置換し、少なくとも2回以上の点突然変異を経て塩基性アミノ酸をコーディングするコドンに変わる特定コドンで置換させて遺伝的に安定な弱毒組換えニューカッスル病ウイルスを製作する技術に関するものである。本発明による組換えニューカッスル病ウイルスは前記のように野外株と同一または類似の表面抗原を示して野外株に対する抗原性が高く、効果的に弱毒化されているだけでなく、115番コドンで少なくとも2回以上の点突然変異を経て強病原性に変換可能であるので、安定性と安全性面で優れた特性を持っている。
【0038】
また、病原性ニューカッスル病ウイルスは細胞変成効果に応じて合胞体(syncytium)を形成する合胞体形と顆粒(granules)を形成する顆粒型(granulation)に分類することができるが、一般に合胞体型が顆粒型より病原性が強いと知られている。本発明はF及びHNコーディング部位を提供する強病原性ニューカッスル病ウイルスとして顆粒-型に属するウイルスクローンを使用して病原性を大幅減少させたという特徴がある。また、ニューカッスル病ウイルスのHNにおいても強病原性ニューカッスル病ウイルスは相対的に短い571個のアミノ酸のみ有する反面、弱病原性ニューカッスル病ウイルスはこれより長い577個または616個のアミノ酸を持っていて、HNのC末端アミノ酸配列によって強病原性株と弱病原性株が区分される。したがって、本発明では前記のようなHNのC末端を弱病原性株と同一に変形(577個アミノ酸)させより弱毒化された組換えニューカッスル病ウイルスを製作した。
【0039】
本明細書において、本発明によるニューカッスル病ウイルスのゲノム転写ベクターと組換えニューカッスル病ウイルスに含まれたものとして記載されたP、M、F、HN及びL蛋白質のコーディング配列は前記それぞれの蛋白質を直接コーディングする塩基配列だけでなく、発現した蛋白質に影響を与えない限り、P、M、F、HN及びL遺伝子に存在し得る全ての非暗号化(non-coding)配列も含むことができると解釈される。
【0040】
より具体的に、本発明はニューカッスル病ウイルスのNP、P、M、F、HN及びL蛋白質のコーディング配列で構成された遺伝子切片;前記遺伝子切片に作動可能に連結されたプロモーター及びターミネーターを含むニューカッスル病ウイルスのゲノム転写ベクターで、前記NP、P、M及びL遺伝子は弱病原性ニューカッスル病ウイルスであるラソタ株ゲノムから由来したものであり、前記F及びHN遺伝子は強病原性ニューカッスル病ウイルスのKBNP-4152ゲノムで由来したものであり、前記F蛋白質コーディング配列において、KBNP-4152を含む強病原性ニューカッスル病ウイルスFの115番目に位置する塩基性アミノ酸をコーディングするコドンがGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;及びUAC及びUAUからなるチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換されたことを特徴とする、ニューカッスル病ウイルスのゲノム転写ベクターに関するものである。
【0041】
前記ベクターのHN遺伝子は1番から569番コドンまでは強病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングし、570番後のコドンはラソタ株を含む弱病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングするように追加的に変移されたものであり得る。
【0042】
また、前記プロモーターとターミネーターは使用されたプラスミドでニューカッスル病ウイルスゲノムと作動可能に連結されるものであれば制限なく使用することができ、このようなプロモーターとターミネーターはこの発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば容易に選択して使用することができる。本発明の1実施例において、前記プロモーター及びターミネーターとしてT7プロモーター及びT7ターミネーターを使用することができる。
【0043】
本発明の具体的な例において、前記ゲノム転写ベクターはSEQ ID NOs:2乃至7のアミノ酸配列をコーディングするヌクレオチド配列または下記のSEQ ID NO:1の塩基配列を有するものであり得る(図23参照、pTNH-c4152R2Lと命名)。
【0044】
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【0045】
前記ゲノム転写ベクターpTNH-c4152R2Lによって発現するNP、P、M、F、HN及びL蛋白質のアミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NOs:2乃至7に示した。
【0046】
また他の側面において、本発明はNP、P、M、F、HN及びL遺伝子のコーディング部位を有するニューカッスル病ウイルスにおいて、前記NP、P、M及びL遺伝子のコーディング部位は弱病原性ニューカッスル病ウイルスから由来したものであり、前記F及びHN蛋白質コーディング配列は強病原性ニューカッスル病ウイルスから由来したものであり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスF蛋白質の115番アミノ酸をコーディングするコドンがGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;UAC及びUAUからなるチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換されたことを特徴とする、組換えニューカッスル病ウイルスに関するものである。前記組換えニューカッスル病ウイルスのHN遺伝子は1番から569番コドンまでは強病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングし、570番後のコドンはラソタ株を含む弱病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングするように追加的に変移されたものであり得る。
【0047】
本発明の具体的な例において、前記組換えニューカッスル病ウイルスはKCTC10984BPであり得る。
【0048】
本発明による組換えニューカッスル病ウイルスは強病原性野外株と同一または類似な表面抗原を有するために野外株と同一または類似の抗原性を示しながら、従来の弱病原性ワクチン株より減少した病原性を示すことを特徴とする。病原性ニューカッスル病ウイルスはFにフラン切断部位を有し、フランに切断されることによって細胞膜と融合するF蛋白質の融合ペプチドが露出することでウイルスの感染能力が生じる。フランは体内大部分の細胞内に分布するので、ニューカッスル病ウイルスの全身感染が起こって強病原性を示すことができる。
【0049】
本発明のゲノム転写ベクターにおいて、前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスは前記で定義された通りであり、例えば、ニューカッスル病ウイルスI型またはII型に属する菌株からなる群の中から選択されたものであってもよく、本発明の具体的な例においてII型に属するラソタ/46菌株(AY845400)を使用することができる。前記強病原性ニューカッスル病ウイルスは前記で定義された通りであり、現在全世界的に流行する野外株としてIII、V、VI、VII、VIII、XI型を使用することができ、好ましくはニューカッスル病ウイルスVI型及びVII型菌株からなる群の中から選択されたものであってもよい。本発明の具体的な例において、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスはKBNP-4152(寄託番号:KCTC10919BP)であり得る。前記KBNP-4152菌株の製造方法及び特性は大韓民国特許出願第2006-0026667号及び‘Cho SH, Ahn YJ, Kim SJ, Kwon HJ. Characterization of a Newcastle disease virus with variation in the major Hemagglutinin-Neuraminidase (HN) linear epitope. The49th Annual Meeting of the Korean Society of Veterinary Science 2005, 45 (3,suppl), 199'に記載された通りである(前記文献は全て本明細書に参照として含まれる)。本明細書において、強病原性ニューカッスル病ウイルスと弱病原性ニューカッスル病ウイルスは特別な言及がない限り前記のように定義される。
【0050】
従来の逆遺伝学を利用したニューカッスル病ウイルスの弱毒化では115番目アミノ酸をグリシンで置換させた例があったが、このようにグリシンで置換された場合には、これをコーディングするコドンの中で単に1つの塩基のみ変移されても塩基性アミノ酸であるリシンまたはアルギニンで置換されて再び病原性を回復するという問題があった。
【0051】
しかし、本発明による組換えニューカッスル病ウイルスはF蛋白質の115番目コドンが少なくとも2回以上の点突然変異を経て塩基性アミノ酸をコーディングするコドンに変わる非塩基性アミノ酸コーディングコドンを有するので、病原性を回復する可能性が非常に低く、従来の弱毒化された変異株と比較して安定性が顕著に増加なされたことを特徴とする。本発明のようにF蛋白質のフラン切断部位が変形された場合には、フランによる切断が起こらなくて全身感染が生じず、一部体内細胞、呼吸器及び消化器官に分布するトリプシンまたはトリプシン類似酵素によってのみ分解されるために局所感染のみ起こる。
【0052】
このような効果を達成するために本発明のF蛋白質の115番目コドンはGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;及びUAC及びUAUチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換されたことを特徴でする。
【0053】
また他の側面において、本発明は弱病原性ニューカッスル病ウイルスのF蛋白質及びHN蛋白質コーディング部位を強病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質コーディング配列に置換させ、前記F遺伝子の115番コドンをGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;及びUAC及びUAUチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換させ、強病原性ニューカッスル病ウイルスと同一または類似の抗原性を発現させ、病原性を減少させることを特徴とする組換えニューカッスル病ウイルスの製造方法に関するものである。
【0054】
前記組換えニューカッスル病ウイルスの製造のために前記HN遺伝子は1番から569番コドンまでは強病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングし、570番後のコドンはラソタ株を含む弱病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングするように追加的に変移させたものであり得る。
【0055】
本発明の組換えニューカッスル病ウイルスの製造方法は前記のような本発明によるニューカッスル病ウイルスのゲノム転写ベクターを宿主細胞で発現させる段階を含むものであり得る。本発明で使用可能な宿主細胞には制限がなく、本発明の具体的な例においてHep2及びBHK21からなる群より選択された動物細胞を使用することができる。
また他の側面において、本発明は弱病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN遺伝子のコーディング部位を強病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質コーディング配列に置換させ、前記F遺伝子の115番塩基性アミノ酸コーディングコドンをGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;UAC及びUAUチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンに置換させることを特徴とする、ニューカッスル病ウイルスの抗原性及び安定性増加及び弱毒化方法に関するものである。
【0056】
前記方法は前記HN遺伝子は1番から569番コドンまでは強病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングし、570番後のコドンはラソタ株を含む弱病原性ニューカッスル病ウイルスのアミノ酸をコーディングするように追加的に変異させる段階を追加的に含むものであり得る。また、前記方法は本発明による組換えニューカッスル病ウイルスゲノム転写ベクターを使用するものであり得る。
【0057】
また他の側面において、本発明は前記のような抗原性が増加して病原性が減少した組換えニューカッスル病ウイルスを含むニューカッスル病ワクチンに関するものである。前記ニューカッスル病ワクチンは前記組換えニューカッスル病ウイルスを不活化させた死毒ワクチン形態であり得る。前記不活化はこの発明が属する技術分野で知られたすべての通常の方法を使用することができ、例えば、ホルムアルデヒドまたはブロモメチルアミンヒドロブロマイドなどを使用するものであり得る。また、前記ニューカッスル病ワクチンは病原性が非常に低くて安定性及び安全性の高い菌株であるので、生ワクチン形態に使用したり、受精卵に直接使用するin ovoワクチン形態で使用することができる。生ワクチン形態で使用される場合、その投与方法には制限がなく、症状及び目的に応じて皮下または筋肉投与、直接的な鶏胎児注射法(in ovoワクチン)またはスプレーまたは飲料水などを利用して投与することができる。本発明のワクチン投与量は投与方法及び投与対象個体の状態に応じて変わり、例えば、10EID50(50%egg-infectiousdose)乃至1012EID50菌株/個体の量で使用可能である。具体的に、死毒ワクチンの場合、好ましくは106.0〜12EID50/数が適当であり、より好ましくは108.0〜10EID50/数量で使用することができる。In ovoワクチンの場合、種卵の母体移行抗体程度に応じて101〜9.0EID50/種卵の量で使用することが可能であるが、より好ましくは103.0〜7.0EID50/種卵の量で使用することができる。
前記のように、ニューカッスル病ウイルスの病原性はF蛋白質のフラン切断部位アミノ酸配列に応じて決められる。つまり、F蛋白質のフラン切断部位のアミノ酸配列がR-X-K/R-R(113番目から116番目アミノ酸位置、以下、特別な言及のない限りすべてのアミノ酸四量体に適用される)であればすべての細胞内に存在するフランによって切られて活性化されるので、全身感染が起こって強病原性を示す。しかし、R-Q-G-RまたはG-Q-G-Rのように塩基性アミノ酸が単に1つあるいは離れて1つのみ存在すると一部細胞内、消化管及び器官の上皮細胞一部に存在するトリプシン及び類似酵素によってのみ活性化されるので、局所感染のみ起こって病原性が低い。HNにおいても強病原性ウイルスは相対的に短い571個のアミノ酸のみ有している。これに反し、弱病原性ニューカッスル病ウイルスの場合にはより長い577個または616個のアミノ酸を有し、その後の部分のアミノ酸によって強病原性株と区分される。したがって、Fのフラン切断部位とHNのC末端部位を多様に組み合わせた組換えウイルスを作って多様な段階の病原性を有するウイルスを製作することができる。
【0058】
特に、本発明は誘電的変異によって病原性を獲得できないようにFのフラン切断部位のアミノ酸配列をより安全なアミノ酸配列に変えたことを特徴とする。弱病原性のFのフラン切断部位のアミノ酸配列はR-Q-G-RまたはK-Q-G-Rである。強病原性主になるためにはR-X-K/R-Rに変わらなければならないので、3番目に位置しているグリシン(G)がアルギニン(R)またはリシン(K)に変わらなければならない。しかし、GからR/Kへの変換は1つの点突然変異のみで容易に起こり得る。つまり、グリシンのコドンはGGA、GGC、GGGまたはGGUであるが、アルギニン/リシンのコドンはAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、CGU、AAAまたはAAGであるので、グリシンのコドンがどれでもただ1回の突然変異でも容易にアルギニンやリシンに置換されて強病原性ニューカッスル病ウイルスに変換できることである。実際に2001年オーストラリアでは非病原性NDVであるアルスター株が類似な機作で病原性が増加してNDVが発生した事例が報告された。
【0059】
したがって、本発明ではこのようなワクチン株の点突然変異による病原性増加確率を従来のワクチン株より顕著に下げるために、PTDS(PCR based Two steps DNA synthesis)技法など、通常知られた技術を利用して点突然変異によるリシン/アルギニンへのアミノ酸変化が起こる確率の低いアミノ酸とコドンを有する組換えウイルスを製作した。つまり、R-Q-A-RまたはG-Q-A-Rのように、従来の弱病原性ニューカッスル病ウイルスFの115番アミノ酸グリシンをアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、セリン、スレオニン、バリン及びチロシンからなる群より選択されたアミノ酸で置換させることによって、これらアミノ酸のコーディングコドンの全部または一部は最少2個以上の塩基が同時に変異された場合のみR/Kに変異が起こるので、より安全なワクチン株の製造が可能になる。
【0060】
本発明によって製作された組換えニューカッスル病ウイルスの病原性程度は平均死亡時間(Mean Death Time;MDT)及び脳内病原性指数(Intracerebral Pathogenicity Index;ICPI)を測定して決め、その生物学的性状はEID50(50%のegg-infectious dose)及び血球凝集解離様相などによって確認した。このような測定結果、本発明の組換えニューカッスル病ウイルスは従来の弱病原性菌株よりも病原性が減少したことが明らかになった。
【発明の効果】
【0061】
従来のワクチン株では現在流行しているニューカッスル病に対する効果的な予防が困難であると考えられ、本発明は野外株に対して優れた抗原性を有するワクチン株開発技術を提供するという点で最も大きい意味があると言える。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】国内強病原性ニューカッスル病ウイルス(NDV)であるKBNP-4152のゲノムRNAのRT-PCR結果と増幅産物の名称及び位置を示す図面である。
【図2】図1の増幅産物をTA-クローニングベクターにクローニングした結果である。
【図3】組換えNDVゲノムの両側末端を正確に作り出すように認識部位と切断部位が相異なる制限酵素であるBsmBIとBsaI認識塩基配列を挿入する過程を示す図面である。
【図4】NDVゲノムDNAクローニングのための母ベクターpTMH製作のためのリンカー塩基配列とリンカーの製作のためのプライマー塩基配列を示す図面である。
【図5】pTMHベクターの製造過程を模式的に示す図面である。
【図6】pTMHの主要部位の塩基配列を示す図面である。
【図7】pTMHベクターの全塩基配列を示す図面である。
【図8】ラソタ株のゲノムRNAのRT-PCR結果及び増幅産物の名称と位置を示す図面である。
【図9】図8の増幅産物をTA-クローニングベクターにクローニングした結果である。
【図10】NDVのゲノムDNAクローニング過程を示す図面である。
【図11】NDVのNP、P及びL遺伝子発現プラスミドの製作過程を示す図面で、Aの2、3、4レーンはそれぞれNP、P、L遺伝子のRT-PCR結果であり、6、7、8レーンはそれぞれNP、P、L遺伝子をpcDNA3.1/topoにクローニングした後、NotIで処理して挿入遺伝子を確認した写真であり、Bはこれに対する模式図である。
【図12】PTDS技法を利用したF及びHN遺伝子半合成過程を示す図面である。
【図13】本発明の組換えウイルスのM及びF遺伝子連結部及びF蛋白質のフラン認識部位のヌクレオチド配列を示す図面である。
【図14】PTDS及び部位特異的突然変異誘発(site−directed mutagenesis)を利用したF蛋白質のフラン認識部位に突然変異が誘発された遺伝子合成過程を示す図面である。
【図15】KBNP-4152HN(1-566)遺伝子とラソタ株のHN末端(567-577番)遺伝子連結のためのPTDS用プライマー設計図である。
【図16】組換えウイルスであるKBNP-C4152R2Lの製作過程を示す図面である。
【図17】多様なフラン認識部位を有する組換えウイルスクローンの製作過程を示す図面である。
【図18】鶏胎児に接種したKBNP-C4152R2Lの増殖有無を平板血球凝集反応試験で確認した図面である。
【図19】KBNP-C4152R2Lの病原性を調べるためのpathotype-specificRT-PCR結果を示す図面である。
【図20】KBNP-4152とKBNP-C4152R2LのF蛋白質のフラン認識部位の塩基配列を比較した図面である。
【図21】交差血球凝集抑制法を利用してラソタ株、KBNP-4152及びKBNP-C4152R2Lの抗原的関連性を示す図面である。
【図22】KBNP-C4152R2Lの細胞変成効果を示す図面である。
【図23】pTMHにクローニングされたKBNP-C4152R2Lのゲノム地図及びゲノムの塩基配列を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明を実施例をより詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるわけではない。
【実施例】
【0064】
実施例1:ウイルス遺伝子クローニング
1.1.ウイルスcDNAの合成
最近国内で流行する強病原性抗原性変異株ニューカッスル病ウイルスを代表するウイルスとして、ソウル大学校水医科大学鳥類疾病学室で分離されたSNU4152週を選定した。このウイルスを鶏胎児繊維亜細胞(CEF)上で3回プラーク精製を行なってクローニングし、SPF発育卵で2回継代培養してKBNP-4152(寄託番号KCTC 10919BP)と命名した。
【0065】
RNAの操作はRNaseのないガラス製品及びプラスチック製品で行われ、使用されたすべての溶液は1%のジエチル-ピロカーボネート(DEPC)を処理して高圧滅菌した3次蒸溜水(DEPC-DW)を使用した。その後、ウイルスをBeckman SW40ローター(Beckman)で40℃、21000rpmで70分間遠心分離し、ペレットを緩衝溶液(50mMのTris HCl pH7.5, 50mMのEDTA, 0.5%のSDS)に再浮遊させて攪拌しながら37℃で90分間プロテアーゼK(200μg/ml、Invitrogen co.)を処理した後、酸性フェノール抽出法でRNAを抽出した。その後、エタノール沈澱法でRNAを沈殿させた後、75%のエタノールで洗浄して乾燥した後、DEPC-DWに浮遊させた。紫外線分光器(Eppendorf, Biophotometer)で定量(15μg/μl)してRNA1μlと下記の表1に示すプライマー(10pmol/μl)1μlをDEPC-DW10μlと混合し、70℃で10分間変成させた後、5×RT緩衝溶液4μl(250mMのTris-HCl、pH8.3、375mMのKCl、15mMのMgCl;GibcoBRL/Life Technologies)、0.1MのDTT2μl及び10mMのdNTPs(それぞれ2.5mM)2μlを添加して42℃で2分間培養した。その後、逆転写酵素1μl(200unit、Invitrogen co.)を添加して42℃で60分間培養した。
【0066】
【表17】

【0067】
1.2.ウイルス遺伝子のクローニング
GeneBankのデータに基づいて15,192bpに至る前記合成された9種のウイルスcDNAを次の表2に示したような9個のプライマー対でPCR法を通じて遺伝子を増幅し、クローニングして得られたクローンをZ1乃至Z9と命名した。
【表18】

【0068】
PCR過程中に発生する人為的な突然変異率を下げるために矯正機能のあるDNA重合酵素Pwo(Invitrogen co.)を使用し、PCR増幅産物は溶液の場合Boehringer Mannheim社の精製キットをアガロースゲルの場合にはQiagen社の精製キットを使用した。
【0069】
前記PCRの結果から得られたKBNP-4152ウイルス遺伝子RT-PCR及び各PCR産物の位置を図1に示した。
【0070】
前記で精製された9種の増幅産物はXL-topo、pCR8/GW/TopoまたはpcDNA3.1V5topoベクター(Invitrogen co.)にTAクローニングし、それぞれ3個以上のクローンを確保してプラスミドを抽出精製して塩基配列を決めた。
【0071】
すべての塩基配列はcyclic sequencing kit(PRISM Ready Reaction Dye ターミネーター kit)と自動塩基配列分析器(ABI310、Applied Biosystems Co.)に決めた。
【0072】
塩基配列分析に使用されたプライマーはM13 forward、M13 reverseプライマーを使用し、これらプライマーで全て読み取りできない断片の場合、primer walkingの方法によって次の表3のプライマーを使用して分析した。
【0073】
【表19】

【0074】
前記のようなTA-クローニングベクターを下記の図2Bに示し、PCRを通じてEcoRIで処理して挿入された切片の大きさを確認して図2Aに示した。
【0075】
KBNP-4152菌株は中国のガチョウ由来SF02と最も高い塩基配列及びアミノ酸配列相同性を示したが、ウイルス蛋白質のうちNP、P、M、Lの場合には98%以上の高い相同性を示した反面、P、V及びHNの場合はそれぞれ96.2%、95.0%と97.6%の比較的に低い相同性を示した。配列相同性の測定結果を表4に示した。
【0076】
【表20】

【0077】
特に、細胞内インターフェロン発現を妨害するV蛋白質での変異が大きいのは細胞内防御体系を克服する過程でアミノ酸変異が蓄積された結果であり得、HN蛋白質の変異が比較的に大きいのは-線状抗原の変異から分かるように-体液性免疫反応を回避する過程で特定アミノ酸変異を有するウイルスが選択されたためであると思われる。前記KBNP-4152菌株の遺伝子塩基配列及び各遺伝子のコーディングアミノ酸配列をGenBankに登録した(Accession No.DQ839397)。
【0078】
この他にもHN及びF蛋白質のシステイン及びN-linked glycosylation位置の変化、HNの構造及び極性に影響を与え得るアミノ酸の変化及びFの構造及び極性に影響を与え得るアミノ酸の変化を測定してそれぞれ表5乃至7に示した。
【0079】
【表21】

【0080】
【表22】

【0081】
【表23】

【0082】
前記結果から、本発明で使用されたKBNP-4152菌株はVII型と類似な遺伝子型を有することが分かり、従来のワクチン株であるラソタ株をはじめとして他の類型のウイルスと遺伝的に差がある菌株であることが確認された。
【0083】
実施例2:ラソタ株を基本根茎(back bone)にした組換えニューカッスル病ウイルスゲノム転写ベクターの製造
2.1.ニューカッスル病ウイルス(NDV)発現母ベクターpTMHの設計及び製作
NDVのcDNAからウイルスを作り出すためにはウイルスゲノムの5'と3'両端に不要な塩基の添加なくウイルスゲノムと同じ構造で転写されなければならない。このような構造を得るために次のような特徴の母ベクターpTMHを製造した(SEQ ID NO:84):
1)転写(transcription)開始部の直前にT7プロモーターを位置させた(図3及び4参照)。
2)NDVアンチゲノム(antigenomic)RNA直後には肝炎デルタウイルス(Hepatitis delta virus;HDV)リボザイム(リボザイム)RNAを位置させてセルフクレイヴィジ(self cleavage)が起こるようにした。
3)T7プロモーターとHDVリボザイムの間には最終的にNDVゲノムがクローニングできる制限酵素領域(MCS)を有するようにした(図4参照)。
4)15kbに至るNDVアンチゲノム全体を含んでもクローニングベクターが大腸菌内で安定的に存在するようにpBR322の複製開始塩基配列(ori)を有するようにした。
5)T7プロモーターとNDV転写開始が行なわれるアンチゲノム5'-末端の間、及びNDV転写が終了するアンチゲノム3'-末端とHDVリボザイムの間にそれぞれ認識部位と切断部位が相異なるBsmB IとBsa I認識塩基配列を位置させてNDVアンチゲノムからウイルスゲノムRNAの両側末端を正確に転写した(図3参照)。
【0084】
図4に示したように、リンカー製作用プライマーTMp1-p4のうちのTMp2とTMp3は1.5pmoleずつ、そしてTMp1とTMp4は30pmoleずつ1つのPCRチューブに入れ、10xPCRバッファー5μl、2.5mMのdNTP5μl、Taqポリメラーゼ2.5Uをそれぞれ入れて全体積が50μlになるようにDWを入れた後、94℃-1分、90℃-30秒-55℃-45秒-72℃-15秒の反応を25回繰り返し、72℃-5分間反応させた。PCR単位複製配列を確認した後、pCR8/GW/TopoTAクローニングベクターにクローニングし、正確な塩基配列を有するクローンをpCR-TMベクターと命名した。
【0085】
前記HDVF、Rプライマーを利用してpTVベクター(MOGAM生命工学研究所ppark man hoon博士提供)からHDVリボザイムとT7ターミネーター部分をPCR方法で増幅して得られた断片もまたpCR8/GW/TopoTAcloningベクターにクローニングし、正確な塩基配列を有するクローンをpCR-HDVと命名した。
pCR-HDVベクターをBsaIとNdeI制限酵素で切断して得られたHDV断片とBsaIとNdeI制限酵素で切断したpCR-TMベクターをT4DNAリガーゼで連結し、Top10F´適格細胞に変換して得られたベクターをpCR-TMHと命名した。大腸菌に安定的にクローニングできるようにpBR322ベクター(Promega co, Cat.#D1511)にpCR-TMHベクターのT7プロモーター-MCS-HDVリボザイム部分をEcoRIとNdeI制限酵素を利用してサブクローニングし、これをpTMHベクターと命名した(SEQ ID NO:84)。
【0086】
前記pTMHベクター製作過程を図5に模式的に示し、製作された母ベクターpTMPの概略的な開裂地図と主要部位塩基配列を図6に示し、製作されたpTMHベクターの塩基配列を図7に示した。
【0087】
本実施例で製作された母ベクターpTMHの制限酵素認識部位は次の通りである:
(認識部位のない場合(No site found))
【表24】

【0088】
2.2.ラソタ株の全体cDNAクローニング
ラソタ/46菌株(AY845400)に対するRNA抽出及びcDNA合成は前記実施例1に記載された方法によって実施した。
【0089】
2.2.1.NDV全長cDNAのPCR
GenBankのデータに基づいて全15,186bpに至るNDVcDNA全体をクローニングするために全て8部分(S1乃至S9)に分けて下記の表8に記載したプライマーを使用して実施例1に記載された方法によって重合酵素連鎖反応(PCR)を行った。
【0090】
【表25】

【0091】
前記のようなラソタ株遺伝子RT-PCR及び各PCR産物の位置を図8に示した。
ラソタ株の遺伝子8部分をそれぞれTA-クローニングベクターにクローニングした模様を図9Bに示し、PCRにEcoRIで処理して挿入された切片のサイズを確認して図9Aに示した。
【0092】
2.2.2.NDV全長cDNAのクローニング及び塩基配列分析
前記PCRによって得られた産物はアガロースゲルで電気泳動した後、GeneClean IIITM(Qbio co.)を使用して精製し、トップクローニングキット(Invitrogen)またはXL-Topo Tcloning kit(Invitrogen)を使用してクローニングした。クローニングされた各クローンはベクター内にあるM13forward、M13reverseなどのようなプライマーを使用したり、下記の表9に記載されたプライマーを使用して全塩基配列分析を通じて公知のラソタ株の塩基配列と同一な、つまり、突然変異の発生しないクローンのみ選別した。
【0093】
【表26】

【0094】
塩基配列に変異のない全てのクローンは母ベクターのpTMHの多重制限酵素部位でそれぞれ順次に図10に示したようにクローニングした。L geneの間に新たな制限酵素認識部位(ClaI)を導入した。前記クローニング過程を図10に示した。
【0095】
2.2.3.RNP複合体を形成するためのNP、P及びL遺伝子ゲノム転写ベクター製造
ニューカッスルウイルスNP、P及びL遺伝子ゲノム転写ベクターを製造するために下記の表10のプライマーでラソタ株のNP、P及びL遺伝子をそれぞれRT-PCRし、これをTA-クローニングベクターにクローニングした。クローンを塩基配列分析した後、突然変異のないクローンのみNotIで処理してpcDNA6/V5ベクターのNotI位置にサブ-クローニングした。
【0096】
【表27】

【0097】
前記RT-PCRによるNP、P、L遺伝子増幅の結果を図11のAに示した。各遺伝子はTA-cloningベクターにクローニングして塩基配列を分析し、突然変異のないクローンを選別した。このように選別されたクローンを図11のBに示した。
【0098】
2.3.野外強病原性NDVの表面抗原を有する組換え弱病原性NDV製造
2.3.1.強病原性KBNP-4152のFとHN遺伝子を弱毒化した組換えクローン製作
本実施例では最近国内で流行する強病原性ニューカッスル病ウイルスであるKBNP-4152のFとHN誘電者をラソタ株を基本バックボーンとしたラソタ株転写ベクター(rNDV)に挿入した組換えNDVゲノム転写ベクターを製作した。
【0099】
2.3.2.組換えウイルスの遺伝子合成
それぞれのFとHN遺伝子は部位特異的突然変異誘発またはPTDS(PCR based Two steps DNA synthesis)を利用してフラン切断部位が変形されたそれぞれのFとHN遺伝子を得た(非特許文献14、Xiong,A.S.et al.,2004,Nucleic Acids Research, Vol32, No.12 e98)。前記製作過程を図12乃至図15に示した。
【0100】
(イ)ラソタのM遺伝子3'-末端部、KBNP-4152F遺伝子連結部及びフラン切断部位の塩基配列が変異された遺伝子を合成した。
【0101】
組換えウイルスを製造するために、M遺伝子3'-末端まではラソタ株のゲノム配列を有するようにし、遺伝子間塩基配列(intergenic sequence)と遺伝子開始塩基配列(gene start sequence)からはKBNP-4152の塩基配列を有するように2つの遺伝子を融合させた(図13参照)。F遺伝子を弱毒化するためにフラン切断部位のコドンらを塩基性アミノ酸が2つまたは1つのみコーディング(112-RRQKRF-117で112-GRQARL-117)されるように遺伝子変異を起こし、図14のようにプライマーを合成して矢印方向に組み合わせられたプライマーを入れて部位特異的突然変異誘発法及びPTDS法で人工合成した。
【0102】
(ロ)その後、KBNP-4152HN(1-569)遺伝子とラソタ株のHN遺伝子末端(570-577番)を連結させた。このように連結された連結部位の塩基配列は下記の通りである(SEQ ID NO:85、下線で示した部分からラソタ株のHNC-末端コーディング塩基配列である)。
【表28】

【0103】
(ハ)前記のようにKBNP-4152HN遺伝子(1-569)とラソタ株のHN遺伝子末端(570-577)を連結するために図15のようにプライマーを設計してPTDSを行った。
【0104】
2.3.3.キメラNDV(KBNP-C4152R2L)rescue
Hep-2(韓国遺伝子銀行)またはBHK21細胞株(MOGAM生命工学研究所のpark man hoon博士チームから提起)を6ウェル(孔)プレートで80%程度育てた後(37℃、5%のCO)、vacciniaT7ウイルス(MOGAM生命工学研究所のpark man hoon博士チームから提起)を感染させた。前記細胞株にNDVのRNP複合体を形成するためのNP、P、L遺伝子ゲノム転写ベクターであるpcDNA3.1-NP、pcDNA3.1-P及びpcDNA3.1-L3個のベクター(図11のB)と弱毒化されたKBNP-4152F遺伝子の転写開始部からHN遺伝子569までをラソタ株ゲノム転写ベクター(rNDV)中M遺伝子後の遺伝子間配列(intergenic sequence)部分とHN遺伝子の570間に挿入して組換えNDVゲノムを転写することができるpTMH C4152-R2L(SEQ ID NO:1、図23参照)を製作した。
【0105】
前記プラスミドベクターをそれぞれ1:1:0.1:1比率で混合したプラスミドDNA4μg当り10μlのリポフェクタミンTM(Invitrogen co.)と混合して形質移入した。ここに1μl/mlのアセチル化トリプシンを添加して弱病原性組換えウイルスが生成されて感染性を有するようにした。得られた細胞株を2〜3日間37℃で培養した後、6孔の細胞及び細胞培養液を収得して急凍結及び急解凍を3回経て9〜111日齢のSPF発育卵に接種し、尿膜液を収得して組換えニューカッスル病ウイルスを得て、これをKBNP-C4152R2Lと命名した。前記菌株KBNP-C4152R2Lは2006年9月12日付で大韓民国大田広域市儒城区魚隠洞52番地に所在する韓国生命工学研究院生物資源センターに寄託して寄託番号KCTC 10984BPを与えられた。
このようなKBNP-C4152R2Lの生成過程を図16に示した。
【0106】
前記と同様な方法で、F蛋白質のフラン切断部位に4個の塩基性アミノ酸を有する強病原性NDV(RRQKRF;KBNP-C4152R4Lと命名)と1個の塩基性アミノ酸を有する弱病原性NDV(GGQARL;KBNP-C4152R1Lと命名)をそれぞれ製造した。前記菌株の名称はフラン切断部位の塩基性アミノ酸数によって定めたことで、Rの後の数字はフラン切断部位の112から116番アミノ酸中の塩基性アミノ酸の個数を意味し、L(long)はHN蛋白質の長さがラソタ株と同様な577個アミノ酸であることを示す。
【0107】
前記得られたKBNP-C4152R1L、KBNP-C4152R2L及びKBNP-C4152R4Lの模式図を図17に示した。
【0108】
実施例3:KBNP-C4152R2L分析
3.1.キメラNDVの一般的特性調査
前記で得られたKBNP-C4152R2Lを9〜10令のSPF発育卵に接種した後、3〜5日後尿膜液を収得して平板血球凝集検査を通じて組換えNDVの増殖有無を確認した。その結果を図18に示した。図18から分かるように、KBNP-C4152R2Lを接種して得られた尿膜液から血球凝集が観察され、これを通じてKBNP-C4152R2Lの増殖を確認した。
【0109】
KBNP-C4152R2Lは大部分のF及びHN遺伝子が野外強病原性株であるKBNP-4152と同一であるが、Fのフラン切断部位が人工的に合成されたウイルスで強病原性NDV特異プライマーを使用したPCRではウイルスのRNAが検出されず、全てのNDVを共通に検出するプライマーを通じてのみウイルスのRNAが検出されることが確認された。このような事実は表5のNDV-pt-RとNDVcomF156プライマーを使用するRT-PCRで増幅されたウイルスのRNA塩基配列を決定して組換えNDVの遺伝子標識を確認した。前記RT-PCR方法を通じてキメラウイルスを検出し、病原性類型を確認してその結果を図19に示した。図19に示したように、KBNP-C4152R2LはNDV共通プライマーで(NDVcomF156)は検出することができるが、病原性株特異プライマー(NDV-pt-R、韓国特許第0451883号)では検出が不可能であった。
【0110】
より精密なウイルス同定のためにRT-PCR後塩基配列を分析して人工的に合成されたFのフラン切断部位をコーディングする遺伝子塩基配列を確認してその結果を図20に示した。
【0111】
図20に示したように、母菌株であるKBNP-4152のFのフラン切断部位は112-RRQKRF-117の構造を有する反面、KBNP-C4152R2Lは112-GRQARL-117の構造を有することが確認された。特に、115番目アミノ酸位置に存在するアラニン(A)は自然系のNDVが有していない本発明のキメラウイルスのみの特徴であると言える。
【0112】
3.2.キメラNDVの血清学的特性調査
KBNP-C4152R2LのF及びHNはKBNP-4152と類似してラソタ株ワは明確な差を示すので、KBNP-C4152R2LはKBNP-4152と血清学的に類似しているが、ラソタ株ワは差を示すと予想された。これを確認するために交差-血球凝集抑制検査を実施して血清学的特性を調査し、その結果を図21に示した。予想した通り、KBNP-C4152R2LはKBNP-4152と類似の血清学的特性を示すことが確認された。つまり、抗ラソタ抗血清はラソタ株と比較してKBNP-C4152R2L及びKBNP-4152に対して4乃至8倍低い血球凝集力価を示し、抗KBNP-4152抗血清は自分やKBNP-C4152R2Lに対してほとんど類似な血球凝集力価を示すことが確認された。
【0113】
3.3.KBNP-C4152R2Lの病原性指数測定
3.3.1.平均死亡時間(Mean Death Time;MDT)測定
MDT測定はAlexander(1988)の方法に基づいて実施した。本発明のKBNP-C4152R2Lを滅菌PBSに10-6で希釈したウイルスを10個の発育卵を5個ずつ1つのグループに分けて接種した。最初グループは午前9時に接種を実施し、第2グループは午後5時に実施した。接種後7日間37℃で培養しながら毎日午前9時と5時に検卵を実施して死亡時間を記録してMDTを計算した。測定されたMDTが60時間以内である場合には強病原性、60〜90時間以上である場合には中間毒、90〜120時間は弱病原性、そして120〜∞は無病原性に判定した。ワクチンウイルスのMDTは最少90時間以上でなければならない。その結果、本発明のKBNP-C4152R2Lは平均死亡時間が168時間以上で測定されて無病原性NDVに分類された。
【0114】
3.3.2.脳内病原性指数(Intracerebral Pathogenicity Index、ICPI)測定
1日齢ヒヨコそれぞれ10匹に滅菌食塩水で10倍希釈した尿膜液(実施例2.3.3)50μlを1ccの注射器を利用して脳内に接種した後、毎日正常ヒヨコは0、病症を示したヒヨコは1、死亡したヒヨコは2に点数を付け、毎日合計を出して8日間の合計点数を80に分けて計算した。無病原性は0.0〜0.2、弱病原性は0.2〜0.5、亜病原性は1.0〜1.5、強病原性は1.5〜2.0に分類した。国内でワクチンウイルスとして活用するためには最少0.5以下の病原性指数を示さなければならないので、0.0〜0.5までの組換えウイルスを選定した。
【0115】
KBNP-4152、KBNP-C4152R2L及びラソタ株のICPIを測定した結果をそれぞれ表11乃至13に示した。
【0116】
【表29】

【0117】
【表30】

【0118】
【表31】

【0119】
前記平均死亡時間(MDT)及びICPI結果を見ると、KBNP-C4152R2LはMDTが168時間以上であり、ICPIも0.0で病原性の殆どないウイルスとして確認された。このような病原性減少結果は本発明のKBNP-C4152R2L菌株が従来の弱毒化されたラソタ株より非常に弱毒化されて病原性が低いということを示し、このような病原性の急激な低下は細胞変成効果において合胞体形成能力に優れた野外株のFとHN遺伝子の代わりに顆粒型の細胞変成効果を示す野外NDVのF及びHN遺伝子を導入して作った組換えウイルスで現れ得る結果である。今まで強病原性NDV中合胞体形と顆粒型の細胞変成効果を示すクローンが存在するという事実は全世界的にも国内でほとんど絶滅したことが疑われるVI型ウイルスでのみ知られていたが、合胞体形NDVクローンであるSNU9358GS(ソウル大学校水医科大学鳥類疾病学室保有)のICPI数値(1.95)より顆粒型クローンであるSNU9358GG(AF535861)の数値(1.78)がさらに低くて病原性が低いということが知られていた。しかし、VII型を含む他のIII、IV、V、VIII、XI型病原性NDVではこのような顆粒型細胞変成効果を起こすNDVクローンは全く知られていなかったが、本研究者らはVII型NDVで顆粒型NDVを最初にクローニングするのに成功して、このウイルスのF及びHN遺伝子を利用して顆粒型細胞変成効果を示すラソタ株より低い病原性を有する組換えNDVを製作するのに成功した。
【0120】
3.4.KBNP-C4152R2Lの誘電的安定性試験
本発明の組換えウイルスKBNP-C4152R2Lを鶏胎児で9回以上系対培養した後、キメラゲノムヌクレオチド4030〜8889までをRT-PCRで増幅した後、塩基配列分析した結果、塩基配列に変化がなくて非常に安定であることが確認された。
【0121】
3.5.KBNP-C4152R2Lの生産性測定:EID50(50%egg-infectious dose)測定
ウイルスを10進希釈(10倍、100倍、1000倍など、2進数列では6,12,24時間など)して各稀釈倍数当り9〜10日齢鶏胎児5〜7個に0.1mlずつ尿膜腔内に接種し、5〜7日間37℃で培養した後、鶏胎児を冷却しながら尿膜液を収得して血球凝集反応によってウイルスの増殖有無を判定し、定められた計算式によって算出した。その結果、KBNP-C4152R2LのEID50は1010.1/mlで従来のラソタ株と類似して生産性が非常に高いことが確認された。
【0122】
3.6.血球解離様相測定
血球凝集解離に対する調査は(非特許文献15,Spalatin,1970)の方法に準じて実施した。つまり、マクロプレート孔にCMF-PBSに2進稀釈したラソタ株とKBNP-C4152R2Lそれぞれ0.5mlに1%の鶏血球を0.25mlずつ入れて室温で1時間反応させた後、血球凝集力価を測定した。1次判読が終わった後、プレートを4℃で24時間定置をした後に血球凝集力価を測定し、再浮遊2時間後に再び血球凝集力価を測定する。力価は凝集が起こる最高稀釈倍数の逆数にした。判定方法は解離様相の判定は血球凝集反応24時間後に完全に解離が起こって再浮遊2時間後にも血球凝集が現れない場合にrapid eluter、そうではない場合にslow eluterに判定した。
【0123】
その結果、ラソタ株はslow eluterであったが、KBNP-C4152R2Lはrapid eluterとしてKBNP-4152と同一な生物学的特性を有することが確認された。
【0124】
3.7.細胞変成効果測定
鶏胎児繊維亜細胞(CEF)を96孔プレート全面に断層を形成するように培養した後、ラソタ株、KBNP-4152及びKBNP-C4152R2Lでそれぞれ感染させた後(それぞれ200 TCID50/well)、FBS0.5%、トリプシン20μg/mlを添加した培地に交替して培養し、3日後に観察した結果を図22に示した。写真中間の赤い矢印はNDVの典型的な細胞変成効果である合胞体が形成された模様を示すことで、実際にKBNP-C4152R2Lはトリプシン添加時にNDVの特徴的な合胞体を形成することを確認することができた(図22のEの赤い矢印)。
【0125】
このような細胞変成効果はキメラウイルスが合胞体形成にトリプシン依存性を有する弱病原性株であることを意味するが、ラソタ株とKBNP-4152株とは異なって典型的な合胞体をほとんど形成せず、図22のDのように顆粒型の細胞変成効果を示した。
【0126】
3.8.KBNP-C4152R2Lの不活化ワクチン実験
KBNP-C4152R2Lの鶏胎児培養原液、これを10倍濃縮した濃縮液及びラソタ株鶏胎児培養液をそれぞれ0.3%のフォルムアルデヒドで不活化し、不活化されたそれぞれのウイルス抗原浮遊液30%にISA70オイル70%を混合してそれぞれの不活化ワクチンを製造した。このように製造された不活化ワクチンを6週令のSPF鶏の皮下に接種し、ワクチン接種3週後に検疫院で標準として使用する校正円周106TCID50(AY6304009)を鼻腔及び口腔で攻撃した。攻撃接種後10日までの死亡率を観察し、その結果をの下の表14に示した。
【0127】
【表32】

【0128】
前記表14に示したように、KBNP-C4152R2Lはラソタ株に比べてHA力価で計算した抗原量が低い場合にも抗体を形成させる能力は従来ワクチンに比べて優れていることが確認され、特に血清学的にラソタ株に比べて野外株に対する免疫をさらによく形成することが確認された。
【0129】
3.9.KBNP-C4152R2Lのin ovoワクチン実験
KBNP-C4152R2Lは現在ワクチンとして使用されている菌株よりも病原性が非常に低くてin ovoワクチンの可能性が高くて、これを確認するために18日齢常用鶏の胎児を利用してin ovoワクチンを投与し、孵化率及び孵化2週後の増体率を対照群と比較し、2週令後の抗体価を検査することによって母体移行抗体克服の有無と免疫水準を比較し、2週後強病原性ウイルスを攻撃接種して防御率を確認した。
【0130】
試験に使用した鶏胎児は常用産卵鶏で18日齢の鶏胎児に107.0EI D50/mlになるように希釈した各ワクチン株を0.1ccずつ接種した。また、陰性対照群には滅菌PBS0.1ccを接種した。母体移行抗体の水準を調べるために陰性対照群のうちの5匹を孵化直後犠牲させて血清を確保した。孵化後17日齢に各グループ当り個体格別体重を測定して採血し、強毒株のKBNP-4152 106.5 TCID50を鼻腔及び口腔で攻撃接種した。生存率は攻撃接種後10日まで観察した。このようにして得られた結果を下記の表15に示した。
【0131】
【表33】

【0132】
前記表15のようにKBNP-C4152R2L接種群と陰性対照群は孵化率及び増体率で有意的な差がなかったが、孵化後17日齢の抗体力価は対照群に比べてKBNP-C4152R2L接種群で高く維持されていることが確認できる。つまり、対照群の場合、1日齢の場合は母体移行抗体がラソタ株に対する血球凝集抑制(HI)力価が平均5.8±2.7から2.7±1.7に落ちた反面、KBNP-C4152R2L接種群はラソタ株に対して4.9±1.1、そして自分に対しては5.5±1.4で比較的に高い力価を示した。また、攻撃接種後対照群で33.3%の死亡を示したが、組換えワクチン接種群の場合には100%生存した。
【0133】
このような結果はAkzo Nobel N.V.(NL)社が持っている従来の"Recombinant Newcastle disease virus as an embryo vaccine"を題目とする"US6,699,479B1"特許文献4より優れた結果であり、P gene editingによる弱毒化を利用せず新たな方法で開発されたKBNP-C4152R2Lから得られたものである点で意味がある。
【0134】
最近先進国では接種の容易性及び経済性などの理由でヒヨコが孵化する前の鶏胎児に直接ワクチンするIn ovoワクチンが好まれているが、ニューカッスル病の場合には現在まで知られたセンドクワクチン株は鶏胎児病原性があって適用に限界があった。しかし、本発明のKBNP-C4152R2Lの場合は鶏胎児病原性がないことが確認されてin ovoワクチンとしての活用価値が非常に高いことが期待される。
【0135】
以上で説明したように本発明の組換えニューカッスル病ウイルスは国内及びアジア地域で流行する強病原性ニューカッスル病ウイルスと抗原性が類似しており、病原性は現在使用されているワクチン株と類似しているか顕著に低くてin ovoワクチンとして使用することができ、点突然変異による病原性獲得の可能性も従来のワクチン株に比べて非常に低い遺伝子構造を持っていて国内だけでなくアジア地域のニューカッスル病予防のための死毒ワクチンをはじめ生独ワクチン及びin ovoワクチンの製造に有用に使用することができる。
【0136】
[寄託書]



【特許請求の範囲】
【請求項1】
F蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式2で表現される配列を有する弱病原性ニューカッスル病ウイルスのNP、P、M及びL蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
F蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式1で表現される配列を有する強病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含み、
前記F蛋白質コーディング配列において強病原性ニューカッスル病ウイルスF蛋白質の115番目アミノ酸のコーディングコドンがGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;UAC及びUAUチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換されたことを特徴とするニューカッスル病ウイルスのゲノム転写ベクター:
[式1]
113-X1X2X3X4-116
前記式のうち、
、X及びXはそれぞれ独立的にアルギニン(R)またはリシン(K)であり、
はアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸である。
[式2]
113-X4X5X7X8-116
前記式のうち、
、X及びXはそれぞれ独立的にアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸であり、XとXは同時にアルギニン(R)またはリシン(K)でなく、
はアルギニン(R)またはリシン(K)である。
【請求項2】
前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスはII型ニューカッスル病ウイルス菌株からなる群の中から選択されたものであり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスはVI及びVII型ニューカッスル病ウイルス菌株からなる群の中から選択されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のゲノム転写ベクター。
【請求項3】
前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスはラソタ/46菌株(AY845400)であり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスはKBNP-C4152(寄託番号:KCTC 10919BP)であることを特徴とする、請求項2に記載のゲノム転写ベクター。
【請求項4】
前記HN蛋白質コーディング配列が強病原性ニューカッスル病ウイルスのHNの569番目アミノ酸のC末端に弱病原性ニューカッスル病ウイルスのHN蛋白質の570番目後のアミノ酸配列が追加的に挿入された組換えHN蛋白質をコーディングするものであることを特徴とする、請求項1に記載のゲノム転写ベクター。
【請求項5】
SEQ ID NO:1の塩基配列で表現されることを特徴とする、請求項1に記載のゲノム転写ベクター。
【請求項6】
F蛋白質の113番目から116番目アミノ酸配列として下記の式1
[式1]
113-X1X2X3X4-116
[前記式中、
、X及びXはそれぞれ独立的にアルギニン(R)またはリシン(K)であり、
はアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸である]
で表現されるアミノ酸配列を有する弱病原性ニューカッスル病ウイルスのNP、P、M及びL蛋白質をコードするヌクレオチド配列、及び
F蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式2
[式2]
113-X4X5X7X8-116
[前記式中、
、X及びXはそれぞれ独立的にアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸であり、XとXは同時にアルギニン(R)またはリシン(K)でなく、
はアルギニン(R)またはリシン(K)である]
で表現されるアミノ酸配列を有する強病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有し、
菌株に含まれる前記F蛋白質コーディング配列が、強病原性ニューカッスル病ウイルスのF蛋白質の115番目のアミノ酸をコードするコドンが、GCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;UAC及びUAUからなるチロシンコーディングコドンからなる群から選択されたいずれか1つのコドンで置換されたことを特徴とする、
ニューカッスル病ウイルス菌株。
【請求項7】
前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスがII型ニューカッスル病ウイルスからなる群から選択されたものであり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスがVI及びVII型ニューカッスル病ウイルスからなる群から選択されたものであることを特徴とする、請求項6に記載のニューカッスル病ウイルス菌株。
【請求項8】
前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスがラソタ/46菌株(AY845400)であり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスがKBNP-C4152(寄託番号:KCTC 10919BP)であることを特徴とする、請求項7に記載のニューカッスル病ウイルス菌株。
【請求項9】
前記HN蛋白質をコードするヌクレオチド配列が、強病原性ニューカッスル病ウイルスのHN蛋白質の569番のアミノ酸のC末端に、弱病原性ニューカッスル病ウイルスのHN蛋白質の570番目の後のアミノ酸配列が連結された、組換えHN蛋白質をコードするヌクレオチド配列である、請求項6に記載のニューカッスル病ウイルス菌株。
【請求項10】
寄託番号KCTC 10984BPである、請求項6に記載のニューカッスル病ウイルス菌株。
【請求項11】
F蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式2で表現されるアミノ酸配列を有する弱病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質をコードするヌクレオチド配列をF蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式1で表現されるアミノ酸配列を有する強病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質をコードするヌクレオチド配列で置換させ、前記F蛋白質の115番目アミノ酸のコーディングコドンをGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;及びUAC及びUAUチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換させることを特徴とする組換えニューカッスル病ウイルスの製造方法:
[式1]
113-X1X2X3X4-116
前記式のうち、
、X及びXはそれぞれ独立的にアルギニン(R)またはリシン(K)であり、
はアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸である。
[式2]
113-X4X5X7X8-116
前記式のうち、
、X及びXはそれぞれ独立的にアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸であり、XとXは同時にアルギニン(R)またはリシン(K)でなく、
はアルギニン(R)またはリシン(K)である。
【請求項12】
前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスはI型またはII型ニューカッスル病ウイルス菌株からなる群の中から選択されたものであり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスはVI及びVII型ニューカッスル病ウイルス菌株からなる群の中から選択されたものであることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記弱病原性ニューカッスル病ウイルスはラソタ/46菌株(AY845400)であり、前記強病原性ニューカッスル病ウイルスはKBNP-C4152(寄託番号:KCTC 10919BP)であることを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記HN蛋白質をコードするヌクレオチド配列を強病原性ニューカッスル病ウイルスのHNの569番アミノ酸のC末端に弱病原性ニューカッスル病ウイルスのHNの570番後のアミノ酸配列が追加的に挿入された組換えHN遺伝子をコーディングするように変異させる段階を追加的に含むことを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1つの請求項に記載の組換えニューカッスル病ウイルスのゲノム転写ベクターを使用することを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項16】
前記組換えニューカッスル病ウイルスはKCTC 10984BPであることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項17】
F蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式2で表現されるアミノ酸配列を有する弱病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質コーディング部分をF蛋白質の113番から116番アミノ酸配列として下記の式1で表現されるアミノ酸配列を有する強病原性ニューカッスル病ウイルスのF及びHN蛋白質をコードするヌクレオチド配列で置換させ、前記F蛋白質の115番目アミノ酸のコーディングコドンをGCA、GCC、GCG及びGCUからなるアラニンコーディングコドン;GAC及びGAUからなるアスパラギン酸コーディングコドン;UUC及びUUUからなるフェニルアラニンコーディングコドン;AUC及びAUUからなるイソロイシンコーディングコドン;UUA及びUUGからなるロイシンコーディングコドン;UCA、UCC、UCG及びUCUからなるセリンコーディングコドン;ACC及びACUからなるスレオニンコーディングコドン;GUA、GUC、GUG及びGUUからなるバリンコーディングコドン;及びUAC及びUAUチロシンコーディングコドンからなる群より選択されたコドンで置換させることを特徴とするニューカッスル病ウイルスの抗原性及び安定性増加及び弱毒化方法:
[式1]
113-X1X2X3X4-116
前記式のうち、
、X及びXはそれぞれ独立的にアルギニン(R)またはリシン(K)であり、
はアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸である。
[式2]
113-X4X5X7X8-116
前記式のうち、
、X及びXはそれぞれ独立的にアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されたアミノ酸であり、XとXは同時にアルギニン(R)またはリシン(K)でなく、
はアルギニン(R)またはリシン(K)である。
【請求項18】
前記HN蛋白質をコードするヌクレオチド配列を強病原性ニューカッスル病ウイルスのHNの569番アミノ酸のC末端に弱病原性ニューカッスル病ウイルスHNの570番後のアミノ酸配列が追加的に挿入された組換えHN蛋白質をコーディングするように変異させる段階を追加的に含むことを特徴とする、請求項17に記載のニューカッスル病ウイルスの抗原性及び安定性増加及び弱毒化方法。
【請求項19】
請求項6乃至請求項10のうちのいずれか1つの請求項に記載の組換えニューカッスル病ウイルス菌株を含むニューカッスル病に対するワクチン。
【請求項20】
前記ワクチンが、不活化された死毒ワクチン形態、活性ワクチン形態及びin ovoワクチン形態で構成された群より選択されたある1つの形態で使用される、請求項19に記載のニューカッスル病ワクチン。

【図7】
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【図14】
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【図15】
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【図20】
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【図23】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−504751(P2010−504751A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530235(P2009−530235)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003837
【国際公開番号】WO2008/038845
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508064883)ケービーエヌピー・インコーポレーテッド (2)
【出願人】(508064908)ビオポア・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】