説明

張力検出機構

【課題】張力による荷重のみを検出できる張力検出機構を提供する。
【解決手段】検出ローラ2、ピローブロック3、スライダー4が一体に組み立てられてなる検出子が、長尺材7の張力を受けることで水平に移動自在に保持された張力検出機構であり、検出子は、スライダー4の摺動部4bを、筐体100に固定されたガイドレール5に嵌合させた状態で、水平方向に張力を受けることで、ガイド部5に沿って水平方向に摺動するよう構成されている。ガイドレール5は検出子を保持し、検出子の重力方向の荷重を受け、支えている。張力によって水平方向に検出子が移動すると、筐体100内に配置された張力検出器1のベース10に、スライダー4の先端部4cが当接し、張力検出器1は、張力によって回転変位するベース10の変化量を読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、フィルム、糸、ワイヤなどの長尺材の巻出し、または巻き取り時における、長尺材にかかる張力を検出する張力検出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
張力検出機構のセンサ部分である張力検出器は、長尺材の張力を制御するための機械に使用されており、張力検出対象が紙やフィルムなど所定の幅を持つ幅広材料で、検出ローラが軸方向に長い場合は軸の両端部に1台ずつの計2台、張力検出対象が糸やワイヤで非幅広材料で、検出ローラが軸方向に短い場合は、1台で使用される。
図9に従来の張力検出機構の側面図を示す。
従来の張力検出器101は、例えばボルトで装置の水平面上に固定され、下向き(重力方向)の張力を受けることでヒンジを支点として回転変位するベース110を備えている。この張力検出器101のベース110上にはピローブロック103がボルトで固定され、検出ローラ102がピローブロック103により支持されている。
【0003】
検出ローラ102の両側に1本ずつ計2本のガイドローラ106を配置し、ガイドローラ106と検出ローラ102の間に被張力検出部材である長尺材107を通すことで、材料張力をかけると張力検出器101に荷重が下向きにかかり、張力検出器101は、この荷重を電気信号として出力する。長尺材107の張力を制御するための機械は、張力検出器101からの荷重信号を取り込んで荷重を張力に変換して張力の制御や表示を行っていた。
しかし、従来の張力検出機構では、張力検出器101のベース110は、被張力検出部材の張力以外に検出ローラ102とピローブロック103の自重による荷重を常に重力方向に受ける構成となっていた。
【0004】
従来の張力検出機構の場合、使用するための主な作業として、張力検出器101の選定、据付、校正が必要である。張力検出器101の選定は、検出ローラ102と、検出ローラ102を支えるピローブロック103の自重による荷重と張力による荷重を合わせた、張力検出器101のベース110の面に対する垂直方向成分が、定格荷重(許容荷重)を超えない範囲で行われる。張力検出器101に関する詳細な選定計算について従来の文献に記載されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
また、張力の検出には張力校正が必要である。張力校正とは張力検出器101の風袋荷重をキャンセルするゼロ調整と最大張力を予め定めるスパン調整とがあり、張力検出器101の取付け角度および材料の通紙角度などの条件が張力検出を行う箇所それぞれで異なるため、ゼロ調整とスパン調整は各箇所で行う必要がある。ゼロ調整では、検出ローラ102とピローブロック103が風袋荷重であり、このときの張力検出器101の出力信号をゼロ調整値とする。また、スパン調整では、検出ローラ102の中央に紐を通し、その先にスパン目標値となる錘をつるし、この時の張力検出器101からの出力信号にフルスケール張力までのスパンを加えた信号をスパン調整値とする。このようなゼロ調整とスパン調整を行うことで張力の検出が可能となる。張力校正に関する詳細について従来の文献に記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−333298号
【非特許文献1】「三菱電機クラッチ・ブレーキ<パウダ式・ヒステリシス式>・三菱テンションコントローラ 2010年度版」、2010年3月、三菱電機株式会社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の張力検出機構では、張力検出器はベースに対してかかる検出ローラとピローブロックの自重と張力の強さによる荷重を合わせた荷重を、水平なベース面に対する垂直方向成分として受けていた。そのため、検出ローラとピローブロックの自重による荷重を考慮せず、張力による荷重の大きさのみで張力検出器の定格荷重(許容荷重)を選定した場合、両者の合力が張力検出器の定格荷重を超えてしまい、適正な選定がなされず、張力を検出することができなかった。
【0008】
従来の張力検出器の選定は、張力検出器の略水平なベース面に対する垂直方向(下向き)成分である検出ローラとピローブロックの自重による荷重と張力による荷重の合計が、定格荷重を超えない範囲で行われていた。よって、検出ローラとピローブロックの自重による荷重の割合が大きく、張力による荷重の割合が小さい場合は、止むを得ず定格荷重の大きな張力検出器を使用しなければならず、定格荷重に対する張力による荷重の割合が小さくなり、検出精度が悪くなるという問題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、張力による荷重のみを張力検出器が受ける張力検出機構を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係わる張力検出機構は、搬送される被張力検出部材から受ける張力によって水平方向に移動自在に配置された検出子、上記検出子にかかる上記張力を検出する張力検出器を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の張力検出機構によれば、張力検出器は、検出子から張力による水平方向の荷重のみ受けることになるため、張力の検出精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1の張力検出機構の要部断面側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の張力検出機構の他方向からの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の張力検出機構で検出する張力の大きさを模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2の張力検出機構の要部断面側面図である。
【図5】本発明の実施の形態3の張力検出機構の要部断面側面図と他方向からの側面図である。
【図6】本発明の実施の形態4の自動調心式ピローブロックを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態4の自動調心式ピローブロックを張力検出機構に取り入れた場合の動作を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態5の張力検出機構のスライダー先端部の拡大図である。
【図9】従来の張力検出機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
本願発明では、張力による荷重のみ張力検出器が受ける機構とするため、検出ローラおよびピローブロックなどの張力を受ける検出子と、張力検出器とを分離した構造とし、検出子の自重による荷重は重力方向(鉛直方向)に、張力による荷重は水平方向に働く構造とすることを提案している。従って、本願では、検出子の自重による荷重の水平方向成分と、これに垂直な張力による荷重の重力方向成分が共にゼロとなり、検出ローラとピローブロック等よりなる検出子の自重による荷重は、全てガイドレール(後述する。)が受け、張力検出器は、張力による荷重のみを受けられるよう構成している。
【0013】
以下、この発明の実施の形態1について、図1〜図3を用いて説明する。図1に、本発明の実施の形態1の張力検出機構の要部断面側面図を示す。なお、全図において、XY平面は水平面、Y軸は重力方向を示している。張力検出器1は、例えば装置の筐体100の内壁面に、ボルト(図示せず。)等の固定部材により取り付けられ、固定されており、ベース面がYZ平面に配置されている。検出ローラ2の軸は、筐体100の側壁面(YZ平面)に対して平行、かつ水平方向(Y軸方向)に配置され、検出ローラ2の軸方向両端部はそれぞれピローブロック3により支持される。釘形状のスライダー4の平板状の頭部4aには、ピローブロック3がボルト等によって固定される。ガイドレール5は、装置の筐体100に固定される。ガイドレール5の固定のしかたは様々な形態があるが、図1では、その一例として、筐体100側壁を貫通する穴部を設けて、その穴部に、水平方向(X軸方向)にガイドレール5を差し込んだ状態で筐体100に固定した場合を示しており、ガイドレール5のスライダー4との摺動面部となるガイド部5aは、水平方向(X軸方向)に沿って伸びるように設置されるものとする。
【0014】
スライダー4は、上述したように釘形状の部材であり、ピローブロック3を固定する平板部よりなる端部(頭部4a)、ガイドレール5のガイド部5aに嵌合する円柱状の胴部4b(摺動部)、胴部4bにつながり、張力検出器1に当接する先端部4cによって主に構成されている。スライダー5には、胴部4bを通し、摺動可能に保持できる寸法に開口された貫通孔がガイド部5aとして設けられるが、胴部4bが円筒状である場合、ガイド部5aの開口形状は円形となる。
【0015】
また、スライダー4は、装置へ設置された状態では、軸方向が水平にX軸方向に配置され、摺動部となる胴部4bはガイドレール5のガイド部5aに通され、胴部4bの延長上である先端部4cは筐体内部側に、頭部4aは筐体外部側に向けられ、ガイドレール5のガイド部5aの伸びる方向に沿って摺動可能に配置される。
スライダー4の胴部(摺動部)4bと先端部4cとの境に設けられた凸部4dは、ガイドレール5からスライダー4の胴部4bが抜けないための抜け止め部材である。スライダー4は、この凸部4dと、頭部4aとの間の範囲(矢印で示す。)が摺動可能な範囲となる。
なお、図1の例では、摺動部(胴部4b)の軸と、検出ローラ2の軸とが、水平な同一平面(XY平面)上に配置された場合を示している。なお、スライダー4およびガイドレール5は剛体により構成される。
【0016】
図2は、図1の張力検出機構の他方向からの側面図である。図2に示すように、検出ローラ2は、筐体100の側壁面に沿って、水平(Y軸方向)に離間して配置された2台のピローブロック3により支持され、検出ローラ2の軸はY軸方向に配置される。
検出ローラ2を挟んで配置される2本のガイドローラ6の軸もY軸に配置され、一方のガイドローラ6、検出ローラ2、他方のガイドローラ6の順に、上下(Z軸方向)に並ぶように筐体100外側面に配置される。2本のガイドローラ6は、図示しない固定部材により、筐体100に固定される。このガイドローラ6と検出ローラ2の間に張力検出を行う長尺材7を通して張力検出が行われる。
【0017】
長尺材7に張力をかけると、検出ローラ2を保持するスライダー4は、張力による荷重を受け、張力検出器1側へ水平に(X軸方向に)移動し、スライダー4の先端部4cが張力検出器1の荷重点8を押す。張力検出器1の荷重点8は、荷重を受ける中心点である。張力検出器1は、センサ本体部と、剛体の板状部材のベース10、ベース10とセンサ本体部を繋ぐ可撓性のヒンジ9を構成部材として含むものであり、ベース10は、水平方向(X軸方向)からかかる張力による荷重を垂直に受けるよう、平板部がYZ平面に配置されている。ヒンジ9は、張力検出器1が荷重を受けた時の支点となり、ベース10は、ヒンジ9を支点に回転変位する。張力による荷重が大きい程、ベース10の回転量が大きくなる傾向となる。張力検出器1は、この張力による荷重を電気信号として出力する。この出力された電気信号を張力に変換して張力の制御や表示が行われる。
【0018】
この実施の形態1の張力検出機構では、検出ローラ2、ピローブロック3、スライダー4の重力方向(Z軸方向)の自重による荷重の反力は、全てガイドレール5が受ける構造となっている。また、スライダー4は所定の水平方向(X軸方向)にのみ可動となり、それ以外の重力方向(Z軸方向)とY軸方向の動きは、ガイドレール5により拘束される。
さらに、検出ローラ2、ピローブロック3、スライダー4の重力方向(Z軸方向)の任意の自重による荷重に対しても、水平方向(X軸方向)成分はゼロになるように可動の方向を採っているので、張力検出器1は、張力による荷重のみ受ける構造となる。
【0019】
図3は、この発明に係わる張力検出機構で長尺材7が張力を受けた場合の張力検出器1が受ける荷重を模式的に示した構成図であり、また荷重を示すベクトル図である。
張力Fを長尺材7に加えた場合、張力による荷重Wは、W=2F×cosθとなり、簡単に求めることができる。張力検出器1を2台で使用する場合は、1台あたり1/2となるため、W=F×cosθとなる。張力検出器1は、受ける荷重の大きさに応じて定格荷重を選定する必要があるが、張力検出器1を選定する場合、定格荷重が張力による荷重Wを超えることなく、かつ最も近い値を選ぶことによって選定が可能となる。また、張力検出器1の検出誤差は定格荷重に対する荷重の割合で決まるため、両者が近いほど検出精度が良くなる。
【0020】
このように、実施の形態1の張力検出機構は、搬送される被張力検出部材(長尺材7)から受ける張力によって水平方向に移動自在に配置された検出子(スライダー4および検出ローラ2を含む張力によって水平方向に移動する構造体。軸受けであるピローブロック3も検出子に含まれる。)、検出子にかかる張力を検出する張力検出器1を備えている。
さらに、検出子は、長尺材7の搬送に従って転動する検出ローラ2と、検出ローラ2を支持するとともに、固定部(筐体100に相当する。)に取り付けられたガイドレール5によって水平方向に摺動可能に保持されるスライダー4を含み、張力を受けて検出子が水平方向に摺動移動し、張力検出器1に押し当てられる構造となっている。
【0021】
また、スライダー4は、ガイドレール5に設けられた一方向に伸びるガイド部5aに嵌合する、ガイド部5aよりも長い摺動部(4bに同じ。)を含む構造である。
ガイドレール5は、例えば、筒状部材であり、筒状部材の所定開口寸法で一方向に貫かれた貫通孔によってガイド部5aが構成され、貫通孔に柱状の摺動部4bが嵌め込まれた状態でスライダー4がガイドレール5に保持された状態となっている。
スライダー4は、頭部4a、胴部4b、先端部4cが同軸に配置された釘形状であり、頭部4a上に検出ローラ2を保持し、胴部4bが摺動部となり、先端部4cが張力検出器1に当接するように構成されている。
【0022】
張力検出器1は、固定部である筐体100内に保持され、ガイドレール5は、筐体100の側壁部を貫通する穴部に嵌め込まれて固定され、スライダー4が筐体100の内外へ通じるように配置されている。
また、ガイドレール5は、筐体100の側壁部に、水平方向に離間して、二カ所に配置され、二カ所のガイドレール5間に、検出ローラ2の軸が、水平方向に配置され、被張力検出部材である長尺材7は、検出ローラ2を挟んで上下に配置されたガイドローラ6にガイドされて、略上下方向に搬送される状態となる。
【0023】
このように、本発明では、張力検出器1に水平方向(X軸方向)から張力がかかる構成とし、検出ローラ2を支持するスライダー4の重力方向(Z軸方向)の自重による荷重の水平方向(X軸方向)成分をゼロにしたことで、張力検出器1にて検出する張力の検出誤差を小さくすることができ、精度の良い検出が可能である。
さらに、長尺材7に張力をかけない状態では、張力検出器1は荷重を全く受けていないため、上述した張力校正時の風袋荷重をキャンセルするゼロ調整が不要となるという効果も得ることができる。
【0024】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、スライダー4が釘形状に形成され、ガイドレール5に保持される摺動部と、張力検出器1を押す先端部とが一続きであり、1本の突起状部材である場合について説明した。この実施の形態2では、図4に張力検出機構の要部断面側面図を示すように、スライダー41が平板部41aと、平板部41aの裏面から突出する複数の突起状部材41b、41cを組み合わせた形状に形成される場合について説明する。
【0025】
ここで、スライダー41は、検出ローラ2をピローブロック3を介して上面側に保持する平板部41a、平板部41aの裏面側から互いに離間して平行に突出する複数の柱状の突起状部材41b、41cを含む形状であり、突起状部材の一つ(符号41cで示す。摺動部となる二つの突起状部材41bの間に配置される。)は、スライダー51の摺動によって張力検出器1の荷重点8に当接する先端部41ccを持ち、別の突起状部材(符号41bで示す。)は、図4の例では上下方向に二カ所あり、いずれもスライダー51に嵌合して摺動部となる。このように、この実施の形態2では、摺動部となる突起状部材41bと、張力検出器1を押す突起状部材41cとを別々に設けている。
【0026】
また、摺動部となる突起状部材41bを複数設けることで、検出子の保持状態を安定化させることができる。
さらに、図4の例に示すように、突起状部材41cの軸を通る水平面(XY平面)上に、検出ローラ2の軸がY軸方向に配置されている。図4に、一点鎖線で示す突起状部材41cの軸は、スライダー41の中心軸となっており、この中心軸上に検出ローラ2を保持する形態とすることで検出子の安定した保持が可能となる。
【0027】
実施の形態3.
上述の実施の形態1および2では、被張力検出部材である長尺材7が、筐体100の側壁部に沿って、略上下方向に搬送される場合に、検出ローラ2の軸が水平方向に配置され保持される例を示した。この実施の形態3においては、図5に示すように、長尺材7が筐体100の側壁部に沿って水平方向に搬送される場合の、張力検出機構の配置について説明する。
【0028】
図5(a)に実施の形態3の張力検出機構の要部断面側面図を、図5(b)に別の側面図をそれぞれ示す。この実施の形態3では、ガイドレール5は、筐体100の側壁部に、上下方向に離間して、二カ所に配置され、二カ所のガイドレール5間に、検出ローラ2の軸が、上下方向(Z軸方向)に配置される。筐体100内のガイドレール5の延長上には張力検出器1がそれぞれ配置されるが、上下方向の二カ所にてそれぞれの張力検出器1が検出する値の誤差は僅かなものであり、二つの張力検出器1が計測する値の平均値として張力を求めることができる。
このように、ガイドレール5を上下の二カ所に配置して検出ローラ2の軸が重力方向に向けられた場合でも、実施の形態1、2と同様に、張力検出器1は、検出ローラ2やピローブロック3、スライダー4の重力方向の荷重の影響を受けることなく、検出子が水平方向に受ける張力のみを検出できるため、検出精度を向上させることができる。
【0029】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4について、図6および図7を用いて説明する。
上述したように、検出ローラ2は軸受けとなるピローブロック3を介してスライダー4に転動自在に保持され、これらの構成体が検出子となり、張力を受けた場合に、検出子が水平方向に移動するように構成されている。
この実施の形態4では、軸受けであるピローブロック3が自動調心機構によって構成された場合の、張力検出機構の利点について説明する。図6(a)はピローブロック3の側面図、図6(b)は、ピローブロック3の断面図であり、軸受け部分(ベアリング)が回動する自動調心式であることを示している。このような自動調心機構のピローブロック3を組み込んだ張力検出機構の要部断面側面図を図7に示す。
検出ローラ2の取り付け時に、図示するような傾きが生じても、ベアリングの許容調心角の範囲内で調心することができ、スライダー4とガイドレール5との摺動抵抗を低減することができ、精度良く張力検出機構を組立て形成することが可能となる。
【0030】
実施の形態5.
次に、この実施の形態5では、実施の形態1〜3の張力検出器1に当接するスライダー4の先端部4c(またはスライダー41の先端部41cc。)の形状について詳細に説明する。
上述の例では、先端部4c(41cc)は、先細りの形状であることを説明したが、図8(a)にその拡大図を示すように、先端部4c(41cc)は、荷重点8に当接する部分が球状となるように丸みを帯びて形成されている。張力による荷重を受けた場合、張力検出器1のベース10は、ヒンジ9を中心に回転変位することは既に述べたが、先端部4c(41cc)が尖った円錐状である場合は、ベース10の回転変位に伴って接触位置が急変することも考えられ、張力検出が安定しない場合が想定される。そこで、スライダー4の先端部4c(41cc)を球状に、丸みを持たせた形状とすることで、図8(b)に示すように、張力による荷重の変化でスライダー4がベース10を押す強さが変わっても、球状の先端部4c(41cc)がベース10に当接した状態が得られ、ベース10の回転変位に対して接触位置が急変することを防止し、安定した正確な張力検出が可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 張力検出器、
2 検出ローラ、
3 ピローブロック、
4、41 スライダー、
4a 頭部、
4b 胴部(摺動部)、
4c、41cc 先端部、
4d 凸部、
5、51 ガイドレール、
5a、51a ガイド部、
6 ガイドローラ、
7 材料、
8 荷重点、
9 ヒンジ、
10 ベース、
41a 平板部、
41b 突起状部材(摺動部)、
41c 突起状部材、
100 筐体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被張力検出部材から受ける張力によって水平方向に移動自在に配置された検出子、上記検出子にかかる上記張力を検出する張力検出器を備えたことを特徴とする張力検出機構。
【請求項2】
上記検出子は、上記被張力検出部材の搬送に従って転動する検出ローラと、上記検出ローラを支持するとともに、固定部に取り付けられたガイドレールによって水平方向に摺動可能に保持されるスライダーを含み、上記張力を受けて上記検出子が水平方向に摺動移動し、上記張力検出器に押し当てられることを特徴とする請求項1記載の張力検出機構。
【請求項3】
上記スライダーは、上記ガイドレールに設けられた一方向に伸びるガイド部に嵌合する、上記ガイド部よりも長い摺動部を含むことを特徴とする請求項2記載の張力検出機構。
【請求項4】
上記ガイドレールは筒状部材であり、上記筒状部材の所定開口寸法で一方向に貫かれた貫通孔によって上記ガイド部が構成され、上記貫通孔に柱状の上記摺動部が嵌め込まれた状態で上記スライダーが上記ガイドレールに保持されることを特徴とする請求項3記載の張力検出機構。
【請求項5】
上記スライダーは、頭部、胴部、先端部が同軸に配置された釘形状であり、上記頭部上に上記検出ローラを保持し、上記胴部が上記摺動部となり、上記先端部が上記張力検出器に当接するように構成されたことを特徴とする請求項3記載の張力検出機構。
【請求項6】
上記スライダーは、上記検出ローラを上面側に保持する平板部、上記平板部の裏面側から互いに離間して平行に突出する複数の柱状の突起状部材を含む形状であり、上記突起状部材の一つは、上記スライダーの摺動によって上記張力検出器に当接する先端部を含み、別の上記突起状部材は、上記摺動部となることを特徴とする請求項3記載の張力検出機構。
【請求項7】
上記張力検出器は、上記固定部である筐体内に保持され、上記ガイドレールは、上記筐体の側壁部を貫通する穴部に嵌め込まれて固定され、上記スライダーが上記筐体の内外へ通じるように配置されたことを特徴とする請求項2記載の張力検出機構。
【請求項8】
上記ガイドレールは、上記筐体の側壁部に、水平方向に離間して、二カ所に配置され、二カ所の上記ガイドレール間に、上記検出ローラの軸が、水平方向に配置されたことを特徴とする請求項7記載の張力検出機構。
【請求項9】
上記ガイドレールは、上記筐体の側壁部に、上下方向に離間して、二カ所に配置され、二カ所の上記ガイドレール間に、上記検出ローラの軸が、上下方向に配置されたことを特徴とする請求項7記載の張力検出機構。
【請求項10】
上記検出子の上記張力検出器と接触する部分は、球状に形成されたことを特徴とする請求項2記載の張力検出機構。
【請求項11】
上記検出ローラは、上記スライダーに自動調心機構である軸受け部を介して保持されたことを特徴とする請求項2記載の張力検出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−247246(P2012−247246A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117885(P2011−117885)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】