説明

強光沢箔紙の製造方法

【課題】 紙とアルミ箔を貼合した低コストな貼合紙でも強光沢で仕上げること。
【解決手段】 紙材11の表面にアルミ箔12を貼合した貼合紙10を熱加圧する熱加圧装置1を加圧ローラー3と受けローラー2とで構成する。加圧ローラー3は表面を鏡面無地ロールとし、熱加圧装置1による貼合紙10の加工条件を、速度:毎分5〜10メートル、温度:140〜150℃、圧力:0.3〜0.55MPaとしている。アルミ箔12の面を鏡面無地ロールとした加圧ローラー3で熱加圧して表面を強光沢とした強光沢箔紙20を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙とアルミ箔を貼合した強光沢箔紙の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙器、袋、ラベル、包装紙などの金属光沢を有する金銀紙または金銀フィルムの製法としては以下のようなものがある。
1.紙とアルミ箔を貼合したもの。
2.紙に直接アルミなどを真空蒸着したもの。
3.紙にアルミ蒸着転写箔を使って転写したもの。
4.金属光沢を有するインクを使ってグラビア印刷したもの。
5.ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの各種フィルムにアルミなどを真空蒸着し、そのフィルムを単独で、あるいは紙と貼合したもの。
なお、金色については、それぞれの銀色に黄色の光透過性インクをトップコートして仕上げている。
【0003】
上記の金属光沢の製法の中で、2〜5に挙げた製法は比較的高コストとなり、低コストな金属光沢を持たせた紙を製造する場合には、上記1の製法となる。もちろん、用途別、例えば、化粧品、薬品向けのパッケージ用途向けでは、仕上がりの状態(強光沢)により高コストであっても上記の製法が用いられる。
【0004】
上記1の製法で製造された紙とアルミ箔とを貼合した貼合紙は、低コストであるものの、厚みを略5〜20μmのアルミ箔と紙の貼合紙は該アルミ箔の性質上、その表面の光沢度は上記1、2の製法で製造されたものに比較して弱く、高級感や印刷効果の面で劣っていた。また、紙とアルミ箔との貼合紙は、紙の表面状態によりアルミ箔の表面がザラザラとした感じで仕上がっていた。
そのため、上記1の製法で製造した貼合紙は、化粧品、薬品向けのパッケージ用途で、強光沢が要求されるものには適していないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、紙とアルミ箔を貼合した低コストな貼合紙でも強光沢で仕上げることを目的とした強光沢箔紙の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の請求項1記載の強光沢箔紙の製造方法では、紙材11の表面にアルミ箔12を貼合した貼合紙10のアルミ箔12面側を、表面を鏡面無地ロールとした加圧ローラー3により速度、温度、圧力の加工条件を、
速度:毎分5〜10メートル
温度:140〜150℃
圧力:0.3〜0.55MPa
として強光沢箔紙20を製造するようにしていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の強光沢箔紙の製造方法では、紙材11の表面にアルミ箔12を貼合した貼合紙10のアルミ箔12面側を、表面をエンボス面とした加圧ローラー3aにより速度、温度、圧力の加工条件を、
速度:毎分5〜10メートル
温度:140〜150℃
圧力:0.3〜0.55MPa
として熱加圧して前記アルミ箔12の表面に凹凸面21を形成し、
次いで、前記アルミ箔12の表面にフィルム22を貼合して強光沢箔紙20を製造するようにしていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の強光沢箔紙の製造方法によれば、貼合紙10を熱加圧して加工することで、アルミ箔12の表面は滑らかとなり、低コストで強光沢を呈する強光沢箔紙20を製造することができた。なお、アルミ箔12の厚みが厚い程、光沢が強くなるので、このアルミ箔12の厚みとして、5〜20μmのものが好ましい。
また、一般的な厚物ボール紙と違って、高級なカード紙などの厚みが薄くて強度が要求される化粧品箱や、薬などの薬品のパッケージなどの場合は、鏡面無地ロールの加圧ローラー3にて熱加圧されることにより、紙密度が上昇し、紙材11が薄くても腰のある、強靱な製品に仕上げることができた。
【0009】
請求項2に記載の強光沢箔紙の製造方法によれば、従来のケーキ用などの受け皿は表面がフラットなものしかなかったが、アルミ箔12に貼合したフィルム22の表面はフラットであるものの、アルミ箔12の表面に形成された凹凸面21が見える強光沢箔紙20を製造することで、凹凸感のある高級なものに仕上げることができる。なお、このフィルム22の厚みは、25〜40μm程度の厚めのものが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の強光沢箔紙の製造方法を示す工程図であり、図中1は熱加圧装置であり、この熱加圧装置1は、下側の受けローラー2と、この受けローラー2の上方に配置されている加圧ローラー3とで構成されている。
【0011】
加圧ローラー3の受けローラー2は、軸4により回転自在に配置されていて、所定の幅を有している。また、所定幅を有する加圧ローラー3は、軸5にて回転自在に配置されており、また、上下方向に移動可能となっていて、所定の圧力にて常時受けローラー2を付勢している。
加圧ローラー3は、図外のモータなどの駆動手段にて所定の回転速度で駆動されるようになっている。さらに加圧ローラー3や受けローラー2は、加熱手段(図示せず)により所定の温度に加熱されている。
【0012】
ここで、本発明では、従来例で説明した製法1で用いていた貼合紙を上記熱加圧装置1にて強光沢のある強光沢箔紙を製造するものであり、図1において熱加圧装置1による熱加圧前の材料を貼合紙10とし、熱加圧装置1による熱加圧後の製品を強光沢箔紙20とする。ただし、貼合紙10及び強光沢箔紙20の材料自体は同じである。
【0013】
図2(a)は図1に示す貼合紙10のA部の拡大断面図を示し、図2(b)は熱加圧された後の強光沢箔紙20のB部の拡大断面図を示している。図2(a)において、貼合紙10は従来例で説明したように、紙材11と、この紙材11の表面に貼合されたアルミ箔12とで構成されており、コストを安くするために市販の貼合紙10を用いてるが、紙材11とアルミ箔12とを貼合して貼合紙10を製造するようにしても良い。
【0014】
本発明は、貼合紙10のアルミ箔12が熱と圧力に順応し易いという性質を利用して、貼合紙10のアルミ箔12の表面を鏡面無地ロールで構成した加圧ローラー3にて熱加圧するようにしたものである。なお、現在まで、アルミ箔貼合紙に鏡面無地ロールを用いて熱加圧を行なっている製品は存在していなかった。
【0015】
貼合紙10を熱加圧装置1にて熱加圧して加工する速度、温度、圧力の条件は以下の通りである。すなわち、加圧ローラー3と受けローラー2との周速度である貼合紙10の加工速度は、毎分5〜10m(メートル)、加熱温度は140〜150℃、貼合紙10に加える加圧ローラー3の圧力は、0.3MPa〜0.55MPaである。
【0016】
これらの条件にて貼合紙10を熱加圧して加工することで、図2(b)に示すようにアルミ箔12の表面は滑らかとなり、低コストで強光沢を呈する強光沢箔紙20を製造することができた。なお、試行錯誤の結果、アルミ箔12の厚みが厚い程、光沢が強くなるという結論を得た。このアルミ箔12の厚みとして、5〜20μmのものを用いている。
また、一般的な厚物ボール紙と違って、高級なカード紙などの厚みが薄くて強度が要求される化粧品箱や、薬などの薬品のパッケージなどの場合は、鏡面無地ロールの加圧ローラー3にて熱加圧されることにより、紙密度が上昇し、紙材11が薄くても腰のある、強靱な製品に仕上げることができた。
【0017】
なお、上記熱加圧装置1で製造した強光沢箔紙20の表面はアルミ箔12が露出しているので、腐食したり、印刷効果を上げにくい恐れがある。そこで、強光沢箔紙20のアルミ箔12の表面に透明なフィルムなどをコーティングする場合、加圧ローラー3がかなりの高温のため、アルミ箔12にコートする黄色インク層やプライマーコート層に、硝化綿などを用いた耐熱性を有するコーティング材料を用いるようにする。
【0018】
(第2の実施の形態)
図3〜図5に第2の実施の形態を示す。図3は図1の場合と同様に製造工程を示し、図4(a)は図3のC部の拡大断面図であり、図4(b)は図3のD部の拡大断面図を示している。熱加圧装置1による加工前の材料としては先の実施形態と同じであり、紙材11の表面にアルミ箔12を貼合した貼合紙10を用いる。
また、熱加圧装置1の加圧ローラーは先の実施形態と異なり、鏡面無地ロールではなく表面に任意の凹凸面を有するエンボス加工用の加圧ローラー3aを用いている。
【0019】
熱加圧装置1による貼合紙10の速度、温度及び圧力の加工条件は先の実施形態と同じである。すなわち、速度は5〜10m、温度は140〜150℃、圧力は0.3〜0.55MPaである。熱加圧装置1により熱加圧され、特に加圧ローラー3aにてエンボス加工されることで、図4(b)に示すように加工後の強光沢箔紙20の表面には比較的深めの凹凸面21が表面全体にわたって形成されている。
【0020】
次に、図5に示すように、強光沢箔紙20の凹凸面21の表面にポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルムなどの透光性のフィルム22を貼合する。かかる場合、強光沢箔紙20の表面に形成したフィルム22の表面は滑らかになるが、フィルム22の下面とアルミ箔12の上面に形成されている凹凸面21が見えることになり、見た目に凹凸感を醸しだしている。そして、表面にフィルム22を貼合した強光沢箔紙20をケーキなどの受け皿用に用いる。なお、このフィルム22の厚みは、25〜40μm程度の厚めのものが適している。
【0021】
このように、本実施形態では、従来のケーキ用などの受け皿は表面がフラットなものしかなかったが、アルミ箔12に貼合したフィルム22の表面はフラットであるものの、アルミ箔12の表面に形成された凹凸面21が見える強光沢箔紙20を製造することで、凹凸感のある高級なものに仕上げることができた。もちろん、ケーキ用の受け皿だけでなく、どのような用途にも用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における強光沢箔紙を製造する場合の工程図である。
【図2】(a)(b)は本発明の実施の形態における図1のA部の拡大断面図及びB部の拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における凹凸面を形成する場合の工程図である。
【図4】(a)(b)は本発明の実施の形態における図3のC部の拡大断面図及びD部の拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるフィルムを貼合した場合の強光沢箔紙の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 熱加圧装置
2 受けローラー
3 加圧ローラー
3a 加圧ローラー
10 貼合紙
11 紙材
12 アルミ箔
20 強光沢箔紙
21 凹凸面
21a 凹凸面
22 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材(11)の表面にアルミ箔(12)を貼合した貼合紙(10)のアルミ箔(12)面側を、表面を鏡面無地ロールとした加圧ローラー(3)により速度、温度、圧力の加工条件を、
速度:毎分5〜10メートル
温度:140〜150℃
圧力:0.3〜0.55MPa
として強光沢箔紙(20)を製造するようにしていることを特徴とする強光沢箔紙の製造方法。
【請求項2】
紙材(11)の表面にアルミ箔(12)を貼合した貼合紙(10)のアルミ箔(12)面側を、表面をエンボス面とした加圧ローラー(3a)により速度、温度、圧力の加工条件を、
速度:毎分5〜10メートル
温度:140〜150℃
圧力:0.3〜0.55MPa
として熱加圧して前記アルミ箔(12)の表面に凹凸面(21)を形成し、
次いで、前記アルミ箔(12)の表面にフィルム(22)を貼合して強光沢箔紙(20)を製造するようにしていることを特徴とする強光沢箔紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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