説明

強磁性形状記憶合金複合材料および前記材料を組み込んだアクチュエータの設計

本発明は、スプリング型アクチュエータ、FSMAベースのアクチュエータで使用するための改善されたハイブリッド磁気トリガ、FSMA複合材料ベースのスプリング型アクチュエータ、トリガユニットおよびFSMAスプリングのスタックを備えるFSMAベースのスプリング型アクチュエータ、FSMA複合材料ベースのトルクアクチュエータで使用される強磁性形状記憶合金(FSMA)複合材料の最適化された断面形状を採用する。本発明は、さらに、FSMAベースのトルクアクチュエータまたはFSMAスプリングアクチュエータのいずれかで使用されるFSMA複合材料に対するFSMAの構成要素と考えられる様々な材料を評価するために使用することができるモデルも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2件の先立つ出願である2003年2月27日に出願した同時係属仮出願第60/450,632号および2003年2月27日に出願した第60/450,633号に基づいており、35U.S.C第119条(e)に基づいて出願日の利益が主張される。
【0002】
政府権利
本発明は、少なくとも一部はDarpa/ONR Grant No.N−00014−00−1−0520およびAFOSR Grant No.F49620−02−1−0028により資金提供を受けており、したがって、米国政府は本発明にいくつかの権利を有している場合がある。
【0003】
本発明は、強磁性形状記憶合金の使用に関するものであり、より具体的には、スプリングアクチュエータ(spring actuators)およびトルクアクチュエータ(torque actuators)における強磁性形状記憶合金の使用に関するものである。
【背景技術】
【0004】
アクチュエータは、自動車、飛行機、製造設備、および処理施設に見られるシステムを含む、より複雑な機械システムに組み込まれることが多い比較的単純な機械コンポーネントである。従来のソレノイドは、様々な種類の産業および技術にわたって広範なアプリケーションが知られているアクチュエータの一実施例である。
【0005】
形状記憶合金(SMA)は、マルテンサイトおよびオーステナイトと呼ばれる、2つの異なる固相で存在する金属である。マルテンサイトは、比較的軟らかく、変形しやすいが、オーステナイトは、比較的強固であり、変形しにくい。SMAは、温度の変化および機械的応力の変化で相の変化が引き起こされる可能性がある。また、SMAは、比較的大きな力を発生することができ(相変態時に抵抗に出会うと)、大きな変形から復元するときに比較的大きな動きを示すことがある。SMAは、作動サイクルを制御するために温度変化が使用される様々な種類のアクチュエータで商業利用されてきた。最も広範に認知されているアプリケーションの1つは、自動スプリンクラシステムにおけるSMAベースのアクチュエータの使用であった。
【0006】
温度変化をトリガとするSMAアクチュエータの短所の1つは、加熱装置または冷却装置をアクチュエータに組み込まなければならず、そのためアクチュエータのサイズ、コスト、および複雑さが増大する点である。さらに、そのようなアクチュエータのレスポンスは、熱伝達に左右され、アプリケーションによっては熱伝達が遅すぎることがある。材料科学者は、マルテンサイトとオーステナイトとの間の相変化が特定の合金内の印加磁場の変化とともに、温度および応力負荷の変化により引き起こされうることを比較的最近になって認識した。電磁石により発生する磁場はオンとオフを急速に切り換えることができるため、特に作動を開始するために温度変化を誘起するのに要する時間と比較して、電磁制御SMAベースのアクチュエータは高速レスポンスのアクチュエーションが必要とされるアプリケーションにおいて有望であるように見える。このような合金は、強磁性形状記憶合金(FSMA)と呼ばれる。
【0007】
スプリングベースのFSMAアクチュエータ(例えば、非特許文献1を参照。その開示は、特に参照により本明細書に組み込まれている)が設計され、テストされており、好ましい結果が得られている。使用される特定のFSMAは、鉄とパラジウムの合金(FePd)であり、説明されているアクチュエータは、永久磁石および電磁石を含むハイブリッドシステムを使用してトリガされた。相変化を引き起こすのに永久磁石だけでは不十分であるが、より小型の電磁石を採用することが可能である。残念なことに、パラジウムは非常に高価であり、FePdベースのアクチュエータを商業利用するのは、今のところ、経済的に実現可能でない。
【0008】
FSMAアクチュエータで使える他の材料を特定しようとする試みにおいて、強磁性材料およびそれ自体は強磁性ではないSMA合金の複合材料が提案されている(例えば、非特許文献2を参照。その開示は、特に参照により本明細書に組み込まれている)。非特許文献2では、柔らかい鉄(Fe)のコアが超弾性(ただし、非強磁性)SMAの2層の間にサンドイッチ状に挟まれた3層複合材料について説明している。強磁性材料は、鉄、または鉄、コバルト、バナジウムの合金(FeCoV)であり、SMAは、チタンとニッケルの合金(TiNi)であるか、またはチタン、ニッケル、銅の合金(TiNiCu)である。この方式では、良好な機械特性を持つSMA材料を良好な磁気特性を持つ材料と組み合わせ、望ましいFSMA複合材料を実現できる。このような研究により、FSMA複合材料は実際に実現可能であることが示されたが、生成されたFSMA複合材料は、アクチュエータでは、FePd材料ほどの性能を達成しなかった。
【0009】
【非特許文献1】T. Wada, and M. Taya. 2002. Proc. of SPIE on Smart Structures and Materials, ed. C. S. Lynch. 4699: 294-302
【非特許文献2】Y. Matsunaga, T. Tagawa, T. Wada, and M. Taya, et al. 2002. Proc. SPIE on Smart Materials, (March 17-21): 4699: 172
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、商業的に実現可能なコストでアクチュエータに使用するのに好適な特性を持つFSMA複合材料を形成することが望ましいであろう。強磁性材料と(非強磁性)SMAとの有望な組合せは多数存在するので、さらに、将来の複合強磁性SMAを形成することができる潜在的に有用と思われるコンポーネントを特定するのに役立つモデルを提供することが望ましいであろう。FSMAコンポーネントの物理的幾何学的形状は、そのコンポーネントの特性に影響を及ぼすので、材料がアクチュエータ内で使用される場合に性能を増強する特定の幾何学的形状を決定することも望ましいであろう。最後に、商業的に価値を有する可能性のあるFSMAを組み込んだアクチュエータの様々な実施形態を開発することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、FSMA複合材料のいくつかの構成に関する。一実施形態は、強磁性層およびSMA層を含む、2層のみを含む。他のそのような実施形態は、FSMA複合材料コンポーネントをアクチュエータに組み込むのに好適な特定の断面形状を有する。断面形状は、高さの2倍の長さの鉄またはFeCoVなどの強磁性材料でできている一般的に矩形形状のコアを持つ。4面のそれぞれの中心に、一般に卵形のくぼみがある。FSMA複合材料のSMA部分はそれらのくぼみを埋める。この矩形のFSMA複合材料は、一般に矩形の強磁性コアを最初に形成することにより作られる。実際、鉄および鉄ベースの強磁性合金は、このような矩形形態のものが市販されている。それらのくぼみを合金のバーストック(bar stock)内に機械加工することができ、または、適切な構成のローラを使用して押し出し成形プロセスの一部としてバーストックをバーストック内に形成されたくぼみとともに押し出すことができる。コアが作られたら、SMAをくぼみの中にスプレーキャスト(spray cast)する。この矩形断面形状は、FSMA複合材料のスプリングベースのアクチュエータで使用するために材料をスプリングに形成するときに特に有用である。
【0012】
本発明の他の態様は、改善されたハイブリッド磁気トリガ(hybrid magnetic trigger)を対象とする。FSMAベースのアクチュエータのトリガシステムにより発生する磁束の形状および向きは重要である。磁束の向きが適切でないと、アクチュエータは機能しないか、または複数のFSMAコンポーネントを含むアクチュエータの場合には、それぞれのFSMAコンポーネント内で所望の相変化が発生せず、アクチュエータが望み通りの性能を発揮しない。注目すべきなのは、磁場を所望の方向に延ばすことで、比較的長い行程を持つ直線運動タイプのアクチュエータを実現することができる。そこで、本発明の一態様は、ハイブリッドトリガメカニズムにフェンス(囲い;fence)、つまり磁束ダイレクタ(flux directors)を追加して、磁束がさらに有益な分布になるようにすることを伴う。このようなフェンスは、電磁石とFSMAコンポーネントとの間のハイブリッド磁気トリガの1つまたは複数面上に配置される。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、モジュール式設計を採用し、かなりの行程距離を達成するスプリングタイプのFSMAベースのアクチュエータを対象とする。単一のFSMAスプリングを作動させる単一ハイブリッド磁気トリガを組み込む代わりに、このアクチュエータでは、スタック(積層、積重ね)状に方向付けられる複数のトリガおよびスプリングを使用する。それぞれのハイブリッド磁気トリガは、一般的に円形の永久磁石、電磁石、および磁束をFSMAスプリングに結合するように構成されたヨークを備える。ハイブリッド磁気トリガは、円盤形であり、断面形状は一般にFSMAスプリングの寸法に対応する。スタックの底は、第1のFSMAスプリングに結合された、第1のハイブリッド磁気トリガである。その後、第1のFSMAスプリングは、第2のハイブリッド磁気トリガに結合され、これは第2のFSMAスプリングに結合される。追加トリガおよびスプリングを追加してゆき、その結果得られるスタックが所望の行程を達成するようにする。これらのスプリングは、均質なFSMAまたはFSMA複合材料を使用して実現される。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、FSMA複合材料ベースのトルクアクチュエータを対象とする。トルクアクチュエータは、容積を定義するケーシング内の中央に配置されたFSMA複合プレートコイルスプリングを備える。ロッドは、容積の中心軸に沿って配置され、FSMAプレートコイルスプリングの第1の端は、そのロッドに取り付けられ、FSMAプレートコイルスプリングの第2の端は、ケーシングに取り付けられる。ケーシングの周囲に配置されるのは、複数のハイブリッド磁気トリガである。それぞれのハイブリッド磁気トリガは、永久磁石および電磁石を備える。ハイブリッド磁気トリガが通電されると、FSMA複合材料プレートコイルスプリングは、ケーシングに引き付けられ(ハイブリッド磁気トリガからの磁束がケーシングを貫通するときに)、ロッドが回転する。ロッドの回転を利用して、負荷を、直接、またはプーリまたはその他の結合手段を介して、移動することができる。FSMA複合材料プレートは、強磁性材料の1つの層に接着されたSMAの1つの層を含むのが好ましい。CuAlMnは、特定の好ましいSMA合金を表し、FeCoVは、特定の好ましい強磁性材料を表す。ハイブリッド磁気トリガが通電されると、トリガも同時に通電されるのが好ましい。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、FSMA複合材料で使用するのに適しているかどうかを判別するため材料を分析するのに有用なモデルを対象とする。モデルは、ベンディングアクチュエータに使用されるFSMAプレート、およびスプリングベースのアクチュエータ用のFSMAスプリングに作用する力の分析結果に基づく。
【0016】
本発明の前述の態様およびその結果の利点の多くは、添付の図面に関して、以下の詳細な説明を参照することにより容易に理解できるため明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、スプリングタイプのアクチュエータで使用されるFSMA複合材料に対する最適化された断面形状、FSMAベースのアクチュエータで使用するための改善されたハイブリッド磁気トリガ、FSMA複合材料ベースのスプリングタイプのアクチュエータ、トリガユニットとFSMAスプリングのスタックを含むFSMAベースのスプリングタイプのアクチュエータ、FSMA複合材料ベースのトルクアクチュエータ、およびトルクアクチュエータおよびスプリングアクチュエータで使用するためのFSMA複合材料の構成要素とみなされる様々な材料を評価するために採用できるモデルを対象とする。
【0018】
単一FSMAコンポーネントスプリングアクチュエータ
本発明は、FSMA複合材料に基づくスプリングアクチュエータを対象とする。FSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータを開発する際に、モデルを使用して、スプリングを製作するために使用される複合材料の最適化された断面形状を求めるとともに、ハイブリッド磁気トリガを改良し、その結果、磁束の優れた分布が得られた。以下でさらに詳しく説明するが、このモデルにより、矩形の各面に形成されたくぼみにSMAが堆積した修正矩形強磁性コアは最適な構成を表しているという結論が得られた。ハイブリッド磁気トリガの改良は、FSMAの相変化を引き起こしアクチュエータをサイクル動作させる磁束分布を改善するために電磁石とFSMAスプリングの間に配置されるフェンス、つまり磁束分配器のいくつかの異なる構成を伴う。
【0019】
スプリングアクチュエータは、控えめな力で大きな軸方向行程を与えるために広く使用されている。図1Aは、幅aおよび高さbの矩形断面を持つ多結晶FePdワイヤスプリング104を使用する従来技術のスプリングアクチュエータ102を例示している。スプリングは、ヨーク106に結合され、これはさらに、ハイブリッド磁気トリガ108、またはドライブユニットに結合されている。ヨークにより、ハイブリッド磁気トリガから出た磁束はスプリング104に到達できる。以下でさらに詳しく説明するが、本発明のいくつかの実施形態では、永久磁石と電磁石の両方を含むハイブリッド磁気トリガを使用する。永久磁石だけでは、FSMA内に所望の変化を引き起こす十分強い磁場を発生しない。永久磁石を含めることにより、小型の電磁石を使って、アクチュエーションを制御できるが、それは、電磁石が通電されたときに永久磁石と電磁石の磁場が組み合わさってFSMA内に相変化が引き起こされるからである。
【0020】
図1AのZ軸は、スプリングとヨークの中心軸に平行である。図1Cは、縮められた位置にあるスプリング104を示している。コイルスプリングの第1の巻きが直接、ヨークに固定されている場合、ピッチδは、zをスプリングの中心軸に沿ったヨークからの距離として、zの関数、つまりδ=f(z)でなければならない。関数f(z)は、zの値が非常に小さい場合にわずかに増加しなければならず、微分df/dz(z=0)は、コイルスプリングをヨークに直接接続するために0でなければならない。
【0021】
図2(A)〜(C)は、スプリングアクチュエータ102の単一のサイクルを例示している。図2(A)では、ハイブリッド磁気トリガ108は、通電されず、スプリング104は完全に延びている。図2(B)では、ハイブリッド磁気トリガ108内の電磁石は通電され、ハイブリッド磁気トリガ108内の電磁石と永久磁石の組み合わされた磁場は、スプリング104の一部110に相変化を引き起こす。最初に、ハイブリッド磁気トリガ108が通電されると、スプリング104の第1の巻き(つまり、ヨーク106に最も近い巻き)はヨークに引き付けられ、ヨークの上面と接触する。次に、第2の巻きは、第1の巻きに引き付けられ、第2の巻きは、第1の巻きと接触する(つまり、スプリングが縮み始める)。この工程は、図2(C)に示されているように、スプリングが完全に縮むまで繰り返され、部分110はスプリング104のすべてを包含する。
【0022】
スプリングの各巻きは、隣接する巻きと完全に接触しているのが好ましい。そのため、スプリングワイヤの断面の矩形形状は、円形の断面よりも優れている。ハイブリッド磁気トリガから出る磁束は、断面が矩形のスプリングコイルのスタック内に比較的貫通しやすい。ヨークに最も近いコイルスプリングの第1の巻きがヨークに接触していない限り、ハイブリッド磁気トリガからの磁束はコイルを縮めず、この場合、アクチュエータは機能しない。ピッチ(δ)は、ヨークの上側部分の周りの図2(B)に示すように部分110に隣接する磁力によりコイルスプリングの第1の巻きの弾性または超弾性変形を引き起こすように決定されるのが好ましい。
【0023】
上述のように、スプリングアクチュエータ102は非常に有望であるが、FePd合金は高価すぎて、FePdベースのアクチュエータを市販しても採算が取れない。この問題から、研究では強磁性材料(鉄など)およびSMAを使用して生産されたFSMA複合材料を使用する必要があった。鉄および銅、マンガン、およびアルミニウムの合金(CuAlMn)を使用して、所望の特性を持つFSMA複合材料を実現できると判断された。図3は、FEの弾性部分のみが示されている、このFSMA複合材料に対する応力と歪みの関係を示すグラフであり、CuAlMn合金の超弾性部分は理想化されている。
【0024】
上記のように、FePdベースのスプリングアクチュエータの研究の結果、一般に矩形の断面(幅が高さよりも長い)は好ましい断面形状を表すと結論された。図4は、高価なFePdの有望な代替えとして調査された従来技術のFSMA複合材料112の概略を例示している。FSMA複合材料112は、SMAの2つの層の間にサンドイッチ状に挟まれた強磁性層114を含む。強磁性層114は、FeまたはFeCoV合金のいずれかを使用して埋め込まれ、層116は、TiNiまたはTiNiCu合金のいずれかを使用して埋め込まれた。FSMA複合材料112は、一般に矩形の断面を持つ。この方式では、良好な機械特性を持つSMA材料を高い磁気特性を持つ材料と組み合わせ、所望のFSMA複合材料を実現できる。このような研究により、実用的、費用効果の高いFSMA複合材料が実際に実現可能であることが示されたが、残念なことに、FSMA複合材料112は、上述の従来技術のFePd複合材料ほど性能が高くない。
【0025】
FeおよびCuAlMn合金がFePdの可能な代替えとして認められた後、さらにモデリングが実施され、スプリングアクチュエータで使用できるように、FeおよびCuAlMn合金から形成されたFSMA複合材料の断面形状が最適化された。図5は、識別され最適化された断面形状を持つFSMA複合材料120を例示している。FSMA複合材料120は、一般に引き延ばされたX字型Feコア122を持ち、CuAlMn合金領域124が周囲に付いている。
【0026】
図6は、FSMA複合材料120の最適化された断面に基づいて計算された力(P)と変位(δ)の関係を示すグラフである。図6の力と変位の関係は、長さ(L)100mm、直径(D)25mm、およびピッチ(p)5mmであり、一般に矩形の断面の幅が4mmであり、一般に矩形の断面の高さが2mmであるスプリングに基づいている。本発明のモデルにより予測される図6の力と変位の関係は、最大の力および行程がそれぞれ60Nおよび30mmである超弾性挙動を明確に示している。
【0027】
最適な断面形状を識別してから、FSMA複合材料を生産する費用効果の高い方法が調査された。所望の断面形状を形成する方法の1つは、バーストックの各面から材料を除去するのに適したサイズの矩形の鉄のバーストックを機械加工することを伴う。さらに効率的な手法として、矩形のバーストックを形成する押し出しローラ成形を修正して、所望の引き延ばされたX字形状を形成する方法がある。押し出し成形工作機械への投資は、より高い資本コストを必要とするが、機械加工(つまり、面の材料除去)と比べて押し出し成形により生産される引き延ばされたX字形状の生産コストは遙かに小さい。所望の引き延ばされたX字形状が得られたら、CuAlMn合金をFeコアの各面上に形成されているくぼみの中にスプレーキャストする。共押し出し工程を使用する単一処理でFSMA複合材料120を最適な断面形状に形成することも、1つの可能性である。図3および6に例示されている関係に関係する計算を以下に示す。
【0028】
ここで図7を参照すると、改善されたFSMA複合材料のスプリングアクチュエータ140は、上述のFe/CuAlMn FSMA複合材料で形成されたスプリング142を含む。スプリング142は、上述の最適化された断面形状を持ち、ヨーク144に取り付けられ、外側フェンス146aおよび内側フェンス146bを含むのが好ましい。これらのフェンスは、磁束分配器として機能し、ハイブリッド磁気トリガ148とスプリング142との間の磁気結合を改善するとともに、スプリング142の下端を適所に留めやすくする。スプリングアクチュエータ140は、中心軸154を持つ。ハイブリッド磁気トリガ148は、複数の電磁石150および複数の永久磁石152を含む。上記のFePd SMAを使用するワーキングモデルは、別の電磁石、および4つの永久磁石で作成されている。もちろん、ハイブリッド磁気トリガでは、使用する永久磁石または電磁石の個数を増減できる。
【0029】
改善されたハイブリッド磁気トリガについて説明する前に、FSMA内に相変態が引き起こされるメカニズムを検討すると有益な場合がある。アクチュエータの材料の変態を引き起こし、アクチュエーション動作を行わせるために使用できるFSMAに関連付けられているメカニズムは、(i)磁場誘起相変態、(ii)マルテンサイト変異型転移(Martensite variant rearrangement)、および(iii)ハイブリッドメカニズムの3つである。ハイブリッドメカニズムは、より大きな変位または行程を発生しやすくする、より大きなマルテンサイトの一因となる、硬いオーステナイトから柔らかいマルテンサイトへの相変態を磁気力および磁気応力が引き起こすように磁場勾配をかけることを含む、順次的事象を伴う。大きな行程を実現できるためには、ハイブリッドメカニズムが好ましい。
【0030】
好ましいスプリング材料(Fe/CuAlMn合金)、最適な断面形状(図5)、および典型的なスプリング寸法(L=100mm、D=25mm、p=5mm、a=4mm、およびb=2mm)が決定された後、有限要素解析法を使用してハイブリッド磁気トリガの最適化が試みられた。有限要素解析ソフトウェアANSYS(登録商標)を使用して、鉄ヨーク144およびフェンス146aおよび146bと組み合わせた、ネオジウム永久磁石および電磁石を含む、ハイブリッド磁気トリガ148(図7)により得られる磁束を分析した。使用したネオジウム永久磁石の相対透磁率μは1.17、保磁力はHc=835,000Amp/mである。従来技術のFePdスプリング104(図1Aを参照)およびFeヨーク144(フェンス146付き−図7を参照)のB−H曲線もデータセットに入力された。フェンス146は、電磁石をオフにしたときに磁束がヨークから「漏れ」てはならないという考えに基づいて組み込まれていることに留意されたい。有限要素解析を実行して、フェンスがFSMAスプリング内のハイブリッド磁石トリガからの磁束の分配をどれだけ効果的に高められるかを調べた。
【0031】
図8は、有限要素解析から得られた磁束ベクトルを例示しており、図9Aは、ハイブリッド磁石システムがオンになったときに有限要素解析から得られた磁束線を例示している。図8および図9Aは、中心軸154に関してスプリングアクチュエータ140の右半分のみを示している(図7を参照)。電磁石がオフの場合に、ヨークから周囲への磁束損失は最小であるのが好ましい。フェンス146は、両方とも、スプリングをヨークの最上部に保持し、さらに、磁束線をスプリング内に導く。電磁石がオンの場合、電磁石と永久磁石の両方から出る磁束は、スプリングの大半を貫通するのが好ましく、ヨークと合わせて閉ループを形成し、より強い磁力を得ることができる。この2次元(2D)シミュレーションでは、スプリングは矩形の断面により近似された。
【0032】
図7、8、および9Aに示されているアクチュエータは、内側フェンスと外側フェンスの両方を備える。図9Bおよび9C(同様にアクチュエータの右半分のみを示している)は、外側フェンスのみ(図9B)、および内側フェンスのみ(図9C)を含むアクチュエータの有限要素解析から得られた磁束線を例示している。すべてのフェンスは、軟鉄でできており、ハイブリッド磁気トリガのヨークの一部として機能し、スプリング要素との磁気結合を増強する。有限要素解析を通じて得られた数値の結果に基づき、図9B(外側フェンスのみ)および9C(内側フェンスのみ)に示されているフェンス構成により、より大きな磁力がハイブリッド磁気トリガに最も近いスプリングのコイルに加えられる。それと対照的に、図9A(内側フェンスと外側フェンスの両方)のフェンス構成では、上側筐体の先端に最も密度の高い磁力が加えられる。スプリングを縮めるために、スプリングはハイブリッド磁気トリガに引き付けられなけれならないため、図9B(外側フェンスのみ)および9C(内側フェンスのみ)の構成が好ましい。さらに、磁束線のより密度の高い分布により磁力が高くなり、大気中への磁束線の分散が少ないことが磁力の漏れが少ないことを示しているので、図9Bの外側フェンスのみの構成が特に好ましい。
【0033】
図10Aは、最も好ましい外側のみの構成を含むスプリングアクチュエータ140aを例示しているが、図10Bは、好ましい内側のみの構成を含むスプリングアクチュエータ140bを例示している。
【0034】
次に、FSMA複合材料をスプリングアクチュエータに関係する計算について説明する。図11に示されているように、強磁性層162およびSMA層164を含む、FSMA複合材料スプリング160の所定の幾何学的形状に関して、トルクTが加わると、半径rとともに直線的に増大する直線剪断歪みγが生じる。2領域スプリング(つまり、強磁性領域とSMA領域)内の剪断歪みの分布は、図12に示されているように、2つの領域の界面で不連続を含むと予想される。
【0035】
矩形の断面を持つ複合材料の機械的挙動をモデル化する際の制約条件は、SMA領域内の剪断応力レベルは十分に高いままであり、マルテンサイト変態を誘起し、その結果、超弾性挙動が生じるが、強磁性コア領域は弾性を維持する。複合材料コイルスプリング160は、一軸外部負荷Pの下で超弾性TiNi合金管(SMA 164)および強磁性コア(強磁性層162)を含む。以下の解析では、スプリングに付随する2つ座標系、つまり、大域的座標系(X,Y,Z)、およびワイヤに付随する局所座標系(x,y,z)が導入される。
【0036】
この場合、モーメントMおよびワイヤの断面に作用する内力Qは、以下のように局所座標で表される。
【0037】
=0、M=PRsinα、M=PRcosα (1)
=0、Q=Pcosα、Q=Psinα (2)
コイルスプリングの特定の長さがa、b、p<<Dである場合、ただし、aおよびbは矩形の高さおよび幅の1/2、pはピッチ、Dはスプリングの直径とすると、以下の応力成分は、無視することができ、応力場は、以下のτzxおよびτzyの剪断応力条件に基づいて解析される。
【0038】
τxy,σ,σ,σ=0 (3)
したがって、等価なミーゼス応力は以下の式により与えられ、
【0039】
【数1】

【0040】
応力誘起マルテンサイト変態(SIM)および逆変態(RT)τおよびτに対する開始剪断応力は以下のようになる。
【0041】
【数2】

【0042】
ただし、σ、σは、一軸通常応力の下でそれぞれSIMおよびRTに対する開始応力であり(図3を参照)、σおよびσは、TiNiの応力ー歪み曲線の上側および下側プラトー内の応力に対応する。その後、スプリング変形は、ワイヤ方向(z軸)に沿って一様であり、以下のように、平面変位uおよびvはzに比例するという仮定を導入する。
【0043】
u=−ωyz、v=−ωxz、w=−ωφ(x,y) (6)
ただし、ωは、ワイヤの単位長さ当たりの捻れ角度であり、関数φ(x,y)は、歪みの均衡方程式および2D適合条件式を満たすサンブナン関数である。矩形の断面のスプリングでは、剪断歪み成分は以下の式で表される。
【0044】
【数3】

【0045】
ただし、
【0046】
【数4】

【0047】
次に、応力分布を解析する。断面に対する超弾性ループの応力(図3を参照)は、位置毎に異なり、TiNi合金層内の任意の位置における数値長弾性ループでは、ミーゼス応力に関して計算される。ワイヤのトルクは以下のとおりであり、
【0048】
【数5】

【0049】
これは、数値積分により求められる。スプリングの機械的挙動は、外部負荷Pと軸変位δとの関係式により表される。変位δは以下の式で与えられる。
【0050】
【数6】

【0051】
ただし、δtorsionおよびδshearは、捻れ=PR/2および直接剪断力=Pによりそれぞれ誘起される変位である。δshearは、dをワイヤの直径としてD/d>>1の場合にδtorsionと比較して無視できるくらい小さい。
【0052】
さらに、図3は、鉄コア領域をカバーする超弾性SMA材料として鉄コアおよびCuAlMn合金を持つ矩形断面のFSMA複合材料スプリングに対する応力−歪み曲線および超弾性係を示す。
【0053】
複数のFSMAスプリングおよびドライブユニットを備えるスプリングアクチュエータ
本発明は、さらに、それぞれが個別のハイブリッド磁気トリガを備える複数の個別のFSMAスプリングを、または駆動ユニットを備えるFSMAベースのスプリングアクチュエータも対象とする。特に長い行程を持つアクチュエータを実現するために、必要な行程が得られるまで追加スプリングおよび駆動ユニットがスタックされる。
【0054】
図13Aおよび13Bは、それぞれがそれぞれのドライブユニット172a〜172cに結合されている3つのFSMAスプリング174a〜174cからなるスタックを含むマルチスプリングアクチュエータ170を示している。図13Aでは、それぞれのハイブリッド磁気トリガ(つまり、それぞれのドライブユニット172a〜172c)は、通電されず、したがって、それぞれのスプリング174a〜174cは縮まない。図13Bでは、それぞれのハイブリッド磁気トリガ(つまり、それぞれのドライブユニット172a〜172c)は、トリガされており、それぞれのスプリングは単一のFSMAスプリングベースのアクチュエータに関して上で説明したように縮む。アクチュエータ170内のそれぞれのスプリングは、均質なFePdなどのFSMA、または上述のFSMA複合材料スプリングのような強磁性層およびSMA層を含むFSMA複合材料である。図13Aおよび13Bは、3つのドライブユニットおよび3つのスプリングのみを示しているが、追加ドライブユニットおよびスプリングを必要に応じて加え(または削除し)、所望の行程を持つアクチュエータを実現できることは明確に理解されるであろう。
【0055】
図14は、電磁石180およびリング形状の永久磁石176aおよび176bを含む、典型的なドライブユニット172の断面の概略を例示している。エネルギー源および電磁石をエネルギー源に結合する導線は、図を簡略化するために省かれているが、当業者であれば、電磁石180(さらに上述の電磁石)は、電池などの電源、または交流線接続を使用して通電される従来の電源により供給される電流で通電しなければならないことを理解するであろう。ヨーク178は、一般に円板形状であり、鉄などの透磁性のある材料で形成される。ドライブユニット172は、電磁石180の上と下の両方に配置される永久磁石を含む。この構成により、ドライブユニット172の上と下の両方に配置されるスプリングに磁束を結合しやすくなる。望むならば、永久磁石176bを省き、磁束が永久磁石176aに隣接して配置されるFSMAスプリング内に向けられるようにできる。通電状態(つまり、オン)および非通電状態(つまり、オフ)にあるこのようなドライブユニットにより供給される磁束は、図14の断面図の一部分182に基づいて、図15A〜15Cに概略が示されている。
【0056】
図15Aおよび15Bでは、ドライブユニット172dの一部分182が示されている。ドライブユニット172dは、図14のドライブユニット172と、下側永久磁石(磁石176b)が含まれていないという点でのみ異なる。図15Aを参照すると、磁束線186aおよび188aは、永久磁石176aにより供給され、ヨーク178内に閉ループを確定する。電磁石180が通電されない場合、永久磁石176aにより供給される磁束では、必要な作動磁力を強磁性体184に結合するのには不十分である。組み立てられたスプリングアクチュエータでは、FSMAスプリングの一端は、永久磁石176aに隣接するヨーク178に結合される。強磁性体184は、説明のみのため、図15A〜15Cのヨーク178から離した間隔で並べられ、電磁石180がオンオフされたときに磁束の差を強調すると理解されるであろう。
【0057】
図15Bでは、電磁石180は通電されており、磁束線は変化している。そこで、磁束線186bおよび188bは、ドライブユニットから磁束を強磁性体内に結合する。強磁性体184がスプリングであった場合、スプリングの第1のコイルは、ヨーク178の上面に引き付けられ、スプリングは、上述のように縮むであろう。
【0058】
図15Cでは、ドライブユニット172の一部分182は、上側永久磁石176aと下側永久磁石176bの両方を含む。電磁石180が通電された場合、磁束線186cは、ドライブユニットから磁束を上側および下側強磁性体(それぞれ、強磁性体184および184a)に結合するが、磁束線188cは磁束を上側強磁性体(強磁性体184)に結合し、磁束線189は、磁束を下側強磁性体(強磁性体184a)に結合する。強磁性体184または強磁性体184aがFSMAスプリングであった場合、そのスプリングの第1のコイルは、ヨーク178のそれぞれの上面または下面に引き付けられ、スプリングは、上述のように縮むであろう。
【0059】
n個のFSMAスプリングとn個のドライブユニットを含むスタックでは、それぞれのドライブユニットを同時に通電するか、またはドライブユニットを順次通電することができる。上述のように複数のドライブユニットおよび複数のFSMAスプリングを備えるアクチュエータには、飛行機および地上車用のコンパクトアクチュエータとしてのアプリケーションがあると予想される。そのようなアクチュエータは、機械的に単純であり、しかも頑丈であって、コンパクトなパッケージで比較的大きな力を発揮する比較的大きな行程を実現できる。開発調査によれば、高さ約8mm、直径約90mm、質量約300g〜600gのドライブユニットは容易に実現可能である。有限要素解析は、3つのドライブユニット/スプリング(図13Aおよび13Bを参照)を備えるアクチュエータは、約20〜30mm(約1インチ)の行程、約57N(約11ポンド)の揚力、20〜30Vで約5Aの電流引き込みを達成することが可能であり、重量は約2.6kg(約6ポンド)であることを示している。ドライブユニット/スプリングの組合せを追加して増やせば、行程を長くすることができる。重量を削減するには、透磁性があるが、鉄と比べて密度が低いヨーク材料を選択する。例えば、上述の3つのドライブユニットアクチュエータ(約90mmのヨーク直径と約8mmのヨーク高さを持つ)は、それぞれのヨークが80%の鉄と20%のポリマーの混合物を使用して実現される場合に約407g軽量化されるが、力は7%しか減少しない(すべての鉄ヨークで、約57Nに比較して約53N)。それぞれのヨークが鉄とポリマーの50/50混合物として実現された場合、アクチュエータは、重量を約1152g減らすことができ、それに対応してアウトプットの力は約19%しか減少しない(すべての鉄ヨークで、約57Nと比較して約45.7N)。
【0060】
所望の形状のヨークを実現するには、鉄粉を鋳造、焼結、または常温圧縮して所望の形状を得ることができる。粉末化された強磁性金属とポリマーの混合物を組み合わせ、その後、焼結または常温圧縮して所望の形状にすることができる。
【0061】
SMAベースのトルクアクチュエータ
本発明は、さらに、FSMA複合材料に基づくトルクアクチュエータを対象とする。Feの棒およびTiNiワイヤに基づくワーキングモデルの実証に成功している。図16Aおよび16Bは、それぞれ、通電が切れた(オフ)状態と通電(オン)状態でのトルクアクチュエータ200を例示している。アクチュエータ200は、複数の個別の鉄棒とTiNiワイヤで形成された中心配置コイルスプリング202を備える(図16Cを参照。これは、鉄棒とTiNi合金ワイヤの組み立て方の例示のため以下で詳しく説明する)。複数のハイブリッド磁気トリガ204(永久磁石および電磁石の両方を含めて、一般に上述のものと一致する)は、外側プレート208のある点207および内側ロッド209に結合される、中心配置コイルスプリング202の周囲あたりに配置される。棒206は、内側ロッド209に結合される。
【0062】
図16Aでは、それぞれの電磁石は、通電が切られ、コイルスプリング202は、複数のハイブリッド磁気トリガ204に引き付けられず、棒206は第1の位置(約4時の位置)にある。図16Bでは、複数のハイブリッド磁気トリガ204内の電磁石は、通電されており、コイルスプリング202は、ハイブリッド磁気トリガ204に引き付けられる。コイルスプリング202が移動すると、ロッド209は回転し、その結果、ロッド208が第2の位置(約2時の位置)に移動する。
【0063】
図16Cは、鉄棒およびTiNiワイヤを組み合わせてコイルスプリング202を実現する方法の概略を例示している。鉄棒201の断面は、丸形でも六角形でもよい。複数の開口部203は、棒内を完全に貫通し、図に示されているように揃えられるように、それぞれの鉄棒の中に形成されている。直径が鉄棒内に形成された開口部の直径と実質的に等しいTiNi合金ワイヤ205が、各棒の開口部内に挿入される。それぞれのTiNi合金ワイヤは、所望の長さのコイルスプリングが得られるまで追加された鉄棒の開口部内に挿入される。TiNi合金ワイヤを冷却すると、TiNi合金ワイヤの直径がわずかに縮み、ワイヤを棒の開口部内に容易に挿入できるようになることに注意されたい。ワイヤが温まると、開口部内にぴったりはまる。鉄棒を熱して、開口部をわずかに膨張させることも、ワイヤを開口部に通すときには有益である。図16Cは、多くの個別TiNi合金ワイヤを使用できることを示しているが、最初の実働する実施形態は、そのようなTiNi合金ワイヤを2本しか含んでいなかった。追加TiNi合金ワイヤがあれば、ワーキングモデルの性能が高まるであろう。
【0064】
ワーキングモデル(つまり、アクチュエータ200)では、FSMA複合材料コイルスプリングは、実際に、ハイブリッド磁気トリガにより作動可能であることを実証した。アクチュエータ200は、控えめなトルク能力(約0.588Nm)を示し、捻れの最大角度は約45度であった。コイルスプリング202の棒およびワイヤの構成は、確かに、最適な構成とはなっておらず、より好ましいFSMA複合材料コイルスプリングを開発するために後述のように追加作業が実施された。
【0065】
好ましいFSMA複合材料コイルスプリングについて説明する前に、従来技術のトルクアクチュエータの動作について復習し、FSMA複合材料コイルスプリングに基づくトルクアクチュエータが従来技術のユニットに比べてより大きなトルクを発生できる理由をはっきりさせると有益であろう。図17Aは、従来技術のトルクモータの一実施例を示しており、ロータ222は永久磁石シェル224により囲まれた電磁石である。ロータ222は、電磁石と永久磁石シェルに含まれる永久磁石との間の引力と反発力により回転する。電磁石(ロータ222)と永久磁石224との間の相対運動は、永久磁石のN極が電磁石のS極に引き付けられる、ベクトル227aにより示されるような、X軸227に沿った滑り運動とみなすことができる。永久磁石は、第1の位置222aと、第2の位置222bに示されている。X軸に沿うこの引力は、引力Fxと呼ばれる。図17Bでは、磁石間の相対運動は、Fxによるものであり、Y軸225に沿った引力はほとんどまたはまったくない。
【0066】
対照的に、図17Cに示されているように、引力Fy(ベクトル225aにより示されているような)は永久磁石と電磁石224aとの間に存在し、永久磁石は位置222cから位置222dに移動する。引力Fyは、トルクモータ220では使用されていないが、それは、永久磁石が位置固定されており、電磁石が永久磁石に相対的にスライド(つまり、回転)することができるのに、永久磁石と電磁石との間の距離226は決して変化することがないからである。一般的に言えば、引力Fyは、引力Fxよりもかなり大きく、特に磁石間の距離226が小さい場合にはそうである。本発明によるトルクアクチュエータは、引力Fyを使用し、そのため、アウトプットのトルクを大きくすることができる。
【0067】
図18Aおよび18Bに示されているように、本発明による好ましいトルクアクチュエータ210は、FSMA複合材料コイルプレート212および複数のハイブリッド磁気トリガ204を含む。トルクアクチュエータを大きくするか、または小さくする場合には、使用するトリガを増やすか、または減らせばよいことは理解されるであろう。図18Aは、オフまたは通電が切られている状態のアクチュエータ210を示しているが、図18Bは、オンまたは通電状態のアクチュエータ210を示している。コイルプレート212は、内側ロッド218に取り付けられた第1の端215と、ハイブリッド磁気トリガ204に隣接して配置されているケーシング/ヨーク219に取り付けられた第2の端217を備える。上述のように、電磁石が通電されると、コイルプレート212は、ケーシング/ヨーク219に引き付けられ、引力Fyへの応答として移動する。コイルプレート212の運動により、次に、内側ロッド218が反時計回りに回転する(内側ロッド218上に含まれる英字「R」の見かけの動きに注意)。内側ロッドの回転運動により、ロッドに直接、またはプーリーもしくはベルトにより(図には別々に示されている)接続されている死荷重のトルクが得られる。このようなアクチュエータは、時計回り、または反時計回りの方向の回転を行えるように構成することができることは理解されるであろう。
【0068】
コイルプレート212は、強磁性材料および超弾性グレードのSMAを含む、FSMA複合材料からできている。コイルスプリング212は、曲げモーメントを受けるが、これは、コイルプレートの曲率が変化するためコイルスプリングの全長にわたって一様でない。機能するFSMA複合材料ベースのトルクアクチュエータは、SMAが少なくとも応力誘起マルテンサイト変態の開始に到達できるようにFSMA複合材料プレートのSMA部分に十分大きな応力を誘起できなければならず、FSMA複合材料プレートの強磁性部分に誘起される応力は、その降伏応力以下のままであるが、電磁石がオンにされたときに生じる強い磁束勾配のため強磁性部分は外側ケーシングの内壁に引き付けられる。
【0069】
以下の節では、図19Aおよび19Bで示されている理想化されたコイルプレートスプリング232に作用する力を決定するために使用されるモデルについて説明する。コイルプレートスプリング232は、第1の端235が点P0で内側ロッド238に接続されている。内側ロッド238の半径はR0である。コイルプレートスプリング232は、第2の端237が点Peで外側ロッド239に接続されている。外側ケーシング239の最も内側の半径はR1である。すると、図19Aに示されているように、コイルプレートスプリング232は、内側ロッド238に一定の力F0を負荷として加える。
【0070】
図19Bに示されているように、磁束240が外側ケーシング239に加えられた場合(上で詳しく説明したものの1つに似たハイブリッド磁気トリガを通電することにより)、長さlのコイルプレートスプリング232の一部分242(つまり、円弧Pe−P2)は外側ケーシング239に引き付けられ、その結果、角度φを通じて内側ロッド238が反時計回りに回転する。この点で、コイルプレートスプリング232は、P1からP’1に移動する接点244とともに内側ロッド238を中心に曲げられる。
【0071】
以下の関係は、初期構成(図19A)と第2の構成(図19B)との間のひずみエネルギーの差を調べるために使用される。歪みエネルギーは、一定の力Fにより行われる仕事に等しいものとみなすことができる。初期構成(図19A)のエネルギー状態をEと定義し、第2の構成(図19B)のエネルギー状態をEと定義すると、一定の重量Fがかかっているエネルギー収支方程式は以下のようになる。
【0072】
ΔE=E−E=Fφ (11)
ただし、lは、一定の負荷Fを伝達できるトルクのレベルである。
【0073】
磁束240が印加されない場合(つまり、ハイブリッド磁気トリガ内の電磁石がオフである)、コイルプレートスプリング232内の各点の半径rは以下のとおりである。
【0074】
【数7】

【0075】
内側ロッドおよび外側ケーシングの両方にくっつかないスプリングの自由長は、以下の式で与えられる。
【0076】
【数8】

【0077】
式(12)からθは以下のように解くことができる。
【0078】
【数9】

【0079】
理想化された弾性コイルプレートスプリング232の内側の歪みは、ε=y/rであり、故に、応力はσ=Ey/rであり、したがって、理想化された弾性コイルプレートスプリング232の弾性エネルギーは以下の式で与えられる。
【0080】
【数10】

【0081】
上記の方程式の中で、bはプレートスプリングの幅である。
【0082】
ここで
【0083】
【数11】

【0084】
とすると、
【0085】
【数12】

【0086】
であり、積分を評価すると、Eは、
【0087】
【数13】

【0088】
として求められる。
【0089】
磁束240が図19Bのように印加されると、スプリングの各点の半径rは、以下の式で与えられる。
【0090】
【数14】

【0091】
図19Bの幾何学的形状から、以下の式が得られる。
【0092】
【数15】

【0093】
内側ロッドおよび外側ケーシングの両方にくっつかないスプリングの自由長は、以下の式で与えられる。
【0094】
【数16】

【0095】
式(17)を使用すると、式(19)は以下のように整理される。
【0096】
【数17】

【0097】
式(20)からθ’は以下のように解かれる。
【0098】
【数18】

【0099】
図19Bの歪みエネルギーEを評価すると、以下の式が得られる。
【0100】
【数19】

【0101】
式(12)の第1項および第3項のrは定数なので、結果は以下のようになる。
【0102】
【数20】

【0103】
以下のように、式(17)を使用して円弧P1’P2に対し初等積分を実行して、第2の項を求める。
【0104】
【数21】

【0105】
したがって、Eは以下のようにして求められる。
【0106】
【数22】

【0107】
式(1)、(6)を使用して式(11)、(16)、および(24)を簡約すると、以下のようになる。
【0108】
【数23】

【0109】
式(25)から、与えられた一定の負荷Fに対する捻れの角度φは以下の式により決定される。
【0110】
【数24】

【0111】
上記のモデルを使用して、様々な異なる太さ(h)、幅(b)、巻き数(n)、および初期負荷(F)を持つ異なるコイルプレートスプリングに対し結果を計算した。図20は、プレートの厚さ(h)のいくつかのケースについて、幅(b)を持つコイルプレートスプリングの予測される結果をグラフで示している。これらの結果は、コイルプレートスプリングの太さを増やすと、捻れφが増大することを示している。プレートの幅は、さらに、アクチュエータの負荷容量にプラスの方向で関わる。プレートスプリングが大きいほど、コイルプレートスプリング内に歪みエネルギーとして蓄えられるエネルギーが増えるため、この結果は妥当である。電磁石が作動すると、プレートスプリングからより大きなエネルギーが解放される。
【0112】
ワーキングモデル(図16Aおよび16B)は、Feの棒および2本のTiNi合金ワイヤからなるコイルスプリングに基づいているが、上述の理論モデル(図19Aおよび19B)は、コイルプレートスプリングに基づく。ワーキングモデルの性能を評価するために、近似的等価コイルプレートスプリングをFe棒とTiNi合金ワイヤで作られたスプリングの代わりに使用しなければならない。Feの棒とTiNi合金ワイヤで作られたスプリングを、FeおよびTiNiを使用して作られたFSMA複合材料コイルプレートスプリングで置き換えることができると判断されたが、ただし、コイルプレートの幅(b)は3.0mm、高さ(h)は1.5mmであり、したがって、コイルプレートスプリングはほぼ同じ性能を持つであろう。ワーキングモデルから得られた測定結果を使用して、以下のデータを収集し、理論モデルに入力した。
【0113】
=10mm、r=25mm、l=80mm、
=7.35 35N、l=59mm、φ=58度 (27)
そしてトルク=F=0.588 588N−m
曲率半径(r)の範囲は、ρ=rからrまで計算され、最大曲げ歪み(ε=ymax/r)は、ymax=0.75mmで、ε=0.03〜0.07である。TiNi合金ワイヤの歪みのこの範囲は、TiNiの応力−歪み曲線の超弾性プラトーに対応する。この結果は、TiNi合金ワイヤが応力誘起マルテンサイト変態を受けるという結論を支持している(つまり、望み通り超弾性プラトーが得られる)。最大曲げ応力の範囲は、ヤング率(E〜E)を掛けたεの範囲により推定できるが、ただし、EおよびEはそれぞれ100%オーステナイト相と100%マルテンサイト相のヤング率であり、以下の式で与えられる。
【0114】
=80GPa、E=50GPa (28)
上述の論理モデルの中の式(16)および(17)の値を使用して、トルク角度φを以下のように計算できる。
【0115】
φ=90〜144度 (29)
理論モデルを使用して得られたφの値では、測定値58度を過大評価するが、論理モデルでは多数の仮定を置いており、実際の結果と理論的結果との差は2倍未満であった。
【0116】
図18A、18B、19A、および19Bのコイルプレートスプリングの変形モードは曲がりである。図21は、SMA層252および強磁性層254を含む好ましいFSMA複合材料プレート250の概略を示している。以下の曲げモデルを採用し、図18Aおよび18Bの好ましいトルクアクチュエータで使用されるそのようなFSMA複合材料プレートに作用する力を評価した。このモデルでは、FSMA複合材料プレートは、純粋な曲げモーメントMを受け、モデル化が容易であるが、プレートスプリングの曲率が異なることから実際のプレートスプリングには様々な曲げモーメントがかかる。図22は、力Mが加わり、その結果曲率pである、厚さhのFSMA複合材料プレート250の純粋な曲げモデルのグラフを例示している。超弾性SMA層242および強磁性層254の応力−歪み曲線(SMAがCuAlMn合金の場合)は、図3にグラフで示されている。
【0117】
トルクアクチュエータ内のコイルスプリングとして使用されるFSMA複合材料プレートの1つの要件は、強磁性プレート(厚さh)がケーシング(ハイブリッド磁気トリガに隣接する、つまり図18Aおよび18Bのケーシング/ヨーク219)の内壁に向かって曲がり、電磁石がオンになりトルクアクチュエータをアクティブ状態にしたときに強磁性プレートはハイブリッド磁気トリガに引き付けられる。適切に機能させるために、強磁性層内の曲げ応力は、降伏応力のすぐ下で弾性でなければならないが、SMA層では、曲げ応力は、応力誘起マルテンサイト相変態のプラトー(安定状態)(つまり、超弾性領域)に到達する。本発明のモデルでは、図23にグラフで例示されているように、超弾性領域260は、加工硬化率を無視して、平坦な矩形のボックスであると仮定されている。
【0118】
FSMA複合材料プレート(図21のプレート250などの)の応力分布は、以下の3つのケースに分類できる。
【0119】
ケース−1:強磁性層内の曲げ応力は、降伏応力に達するだけであるが、SMA層の曲げ応力は、応力誘起マルテンサイト(SIM)の開始(σSIM)以下である。
【0120】
ケース−2:強磁性層内の曲げ応力は、降伏応力に達するだけであるが、SMA層の曲げ応力は、超弾性プラトー(σSIM)の範囲内である。
【0121】
ケース−3:強磁性層内の曲げ応力は、降伏応力に達するだけであるが、SMA層の曲げ応力は、SIM応力レベル(SIM)の開始を超える。
【0122】
複合材料プレート250(図21)内のFSMAのSMA層252を実現するために、CuAlMn合金を選択したが、それは、σSIMの値を180〜250MPaの範囲として、適切な熱処理により超弾性応力歪み曲線をある程度手直しすることができるからである。強磁性層254を実現するために、軟FeおよびFeCoV合金プレートの両方を検討した。前者の降伏応力は、200MPa程度であり、後者の降伏応力は、400MPa程度である。
【0123】
FSMA複合材料プレートの本発明のモデリングの予備的結果を図23および24にグラフで示した。図23は、超弾性挙動がループ部分について平坦な矩形形状260として理想化され、非加工硬化率を持つ、強磁性材料として使用されるFeCoV合金およびSMAとして使用されるCuAlMnの応力−歪み曲線を例示している。
【0124】
図24は、FeCoV合金の層とCuAlMn合金の層を持つ複合材料FSMAプレートを使用して実現できる超弾性曲げ挙動を明確に示しているが、ただし、強磁性層の厚さ(h)と複合材料プレートの厚さ(h)との比は、0.5〜0.7である。
【0125】
このような複合材料FSMAプレートは、CuAlMn合金の層をFeCoV合金に接合することにより得られる。拡散接合、常温圧縮、接着、および焼結などの様々な接合技術を使用して、最適な手法を実現できる。
【0126】
上では本発明を開発するために使用される理論モデルについて説明したが、FSMA複合材料プレートの曲げを解析し、FSMA複合材料コイルスプリングの最適な断面形状を決定するために使用されるモデルについて、以下では詳しく説明する。
【0127】
複合材料プレートの曲げの詳細な解析
曲げタイプのアクチュエーションでは、強磁性層254および超弾性SMA層252を含む積層FSMA複合材料プレート250は、図25Aに示されている。アクチュエータ内で使用した場合、プレート250は、強磁性材料により発生する磁力により誘起される曲げモーメントMを受ける。曲げモーメントMは、さらに、上述のように、図22に示されている。SMA層252の曲げ応力が応力相変態に必要なレベルに達した後(図23に示されている応力−歪み曲線の上側ループ内の超弾性プラトーの開始)、相変態は、図25Bの変態領域300で示されているようにプレート表面から進行する。変態領域内の応力は、SMAの超弾性挙動のせいで一定のままである。このモデル全体を通して(解析を簡略化するために)、SMAの超弾性ループ260(図23を参照)は「平坦」である、つまり、加工硬化タイプの勾配が許されておらず、またオーステナイトのヤング率はマルテンサイトのヤング率と同じであると仮定される。これらの仮定により、本発明の曲げモデルを使用して閉形式の解を求めることができる。このモデルから得られる結果は、正確な結果というよりはむしろ第1近似であることが期待されることに留意されたい。しかし、このような近似は、FSMA複合材料プレート内の強磁性層およびSMA層の好ましい厚さの比を計算するために使用することができる。SMA相252と強磁性層254との間の界面での不連続302に注意されたい。
【0128】
その後、構成材料の応力−歪み曲線を使用して、プレートの曲げモーメントと曲率との関係を理論的に計算する。図22は、曲げモーメントおよびFSMA複合材料プレートの各層の相対的厚さを示している。曲げモーメントMを受ける複合材料プレートの曲率半径はpであり、複合材料プレートの厚さはhであり、強磁性層の厚さはhであり、プレート幅はbである。図23は、強磁性材料および超弾性SMAの理想化された応力−歪み曲線を示しているが、ただし、強磁性材料のヤング率はEであり、SMAのヤング率はESMAであり、強磁性材料の降伏応力はσであり、強磁性材料の弾性部分のみが図に示されている。超弾性SMAの相変態に対する開始応力は、σであり、SMAの超弾性ループ部分での逆変態の開始応力はσである。その結果、曲げモーメントと複合材料プレートの曲率との関係は、複合材料プレートが適切に設計されている場合(つまり、強磁性層およびSMA層の相対的厚さが適切に選択された場合)に超弾性ループを示すことが期待される。FSMA複合材料プレートのこの超弾性ループ応答は非常に望ましいものである。
【0129】
強磁性層内で降伏応力σに達する曲率および超弾性SMA層内で変態応力σに達する曲率は、機械的特性および両方の材料の厚さの影響を強く受ける。
【0130】
上で簡単に説明したように、応力変態分布は、SMA層の変態応力と強磁性層の降伏応力との間に関係があるために以下の3つのケースに分類される。
【0131】
ケース1:強磁性層の応力は、超弾性SMA層内で変態応力σに到達する前に降伏応力σに到達する。載荷および除荷時のこのケースの応力分布は、図26Aに示されているが、ただし、弾性変形による曲げ応力はそれぞれの材料の中で発生する。
【0132】
ケース2:強磁性層の応力は、SMA層がプレート内の変態応力に到達した後に降伏応力に到達する。載荷および除荷時のケース2の応力分布は、図26Bに示されている。曲げモーメントが高い場合、第1の弾性応力分布は、図の部分(a)に示されており、その後、SMA層内の応力は位置(b)のy1の位置までの変態応力σに達する。変態領域がy1=Y1となる領域に進むと、強磁性層は、部分(c)で示されているように、降伏応力σに到達する。除荷時には、部分(d)に示されているように、応力は最初にすべての領域内で非弾性的に減少する。その後、応力は、位置y3までのSMA層の上側部分で一定となり、そこで、応力は、部分(e)で示されているように、逆変態応力σに到達する。位置y3=Y1での応力がσに達すると、部分y<y2の内側の応力は、部分(f)で示されているように、弾性的に減少する。最後に、SMA層全体における応力は、上面のSMA内の応力が、部分(g)で示されているように、σよりも小さくなった場合に弾性的に減少する。
【0133】
ケース3:強磁性層の応力は、超弾性SMA層の領域全体が変態応力σに到達した後に降伏応力に到達する。載荷および除荷時のケース3の応力分布は、図26Cに示されている。載荷の早い段階では、部分(c)で示されているように、強磁性層の応力は、SMA層のすべての領域の応力が変態応力σに到達した後も、降伏応力に達しない。中立軸位置は、負荷の増大とともに変化し、応力は、部分(d)で示されているように、強磁性層内で降伏応力σに達する。除荷応力は、部分(e)〜(h)に例示されている。
【0134】
上述の3つのケースの各応力分布σ(y)について、以下の式が有効である(つまり、力とモーメントの平衡を定義することについて)。
【0135】
【数25】

【0136】
中立軸位置および曲げモーメントと曲率との関係は、これらの方程式を解くことにより求められる。特に上述の第2のケースを参照すると(図26B)、また特に図26Bの部分(b)を参照すると、中立軸位置がζで、変態応力位置がy1であれば、各領域内の応力分布は以下のようになる。
【0137】
強磁性層では(0<y<h):
【0138】
【数26】

【0139】
SMA層では、変態応力σよりも下(h<y<y1):
【0140】
【数27】

【0141】
SMA層の変態領域では(y1<y<h):
σ(y)=−σ (34)
式(32)、(33)、および(34)を式(30)および(31)に代入することにより、未知数ζ2およびy1は以下の式(35)および(36)により解かれる。
【0142】
【数28】

【0143】
さらに、式(32)〜(36)を式(31)に代入することにより、正規化された曲げモーメントと曲率との関係が以下のようにして得られる。
【0144】
【数29】

【0145】
式(37)は、曲率の範囲において有効である、つまり、SMA層の上部(y=h)の変態応力σでの曲率から、強磁性層の底部での降伏応力σ(y=0)までの範囲で有効である。曲率の範囲は、以下の式で与えられる。
【0146】
【数30】

【0147】
同様に、図26A〜26Cの3つのケースの曲げモーメントと曲率との関係を計算できる。ケース1、2、および3の結果については、以下の「曲げモーメントと曲率との関係の詳細な解析」という表題の節で説明する。
【0148】
3つのケースが有効である条件は以下のようにして得られる。
【0149】
ケース1:
【0150】
【数31】

【0151】
ケース2:
【0152】
【数32】

【0153】
ケース3:
【0154】
【数33】

【0155】
これらのケースの最大の正規化された曲率は、以下の式で与えられる。
【0156】
ケース1:
【0157】
【数34】

【0158】
ケース2:
【0159】
【数35】

【0160】
ケース3:
【0161】
【数36】

【0162】
複合材料プレートの最大変形率は、式(43a〜43c)を使用して、与えられた機械的特性の集まりと材料の厚さの比について解析することができる。
【0163】
解析結果と議論
曲げモーメントと曲率との関係は、SMA層と強磁性層を持つ2つの異なるFSMA複合材料プレートについて本発明のモデルにより予測される。第1の複合材料プレートは、Fe/CuAlMn合金であり、第2の複合材料プレートは、FeCoV/CuAlMnである。図27は、FeおよびCuAlMn合金の理想化された応力−歪み曲線を示す。プレート厚さ比h/h=0.5に対する正規化された曲げモーメントと正規化された曲率の予測された関係の結果を図28に示す。SMA層内の応力は超弾性プラトーに達していないため、応力場の状態は、ケース1(図26A)に対応する。そのため、図28から明白なように、超弾性ループは観察されない。したがって、Feの層およびCuAlMn合金の層で形成されたFSMA複合材料プレートは、効果的な曲げアクチュエータ構成要素として使用するのは好ましくないと結論することができる。
【0164】
次に、図29の応力歪み関係に示されている機械的特性データを使用することにより、FeCoV/CuAlMn複合材料プレートを解析した。図30は、プレート厚さ比h/h=0.5について上述のモデルを使用してFeCoV/CuAlMn複合材料プレートを評価して得られた結果を例示している。降伏応力がFeよりも大きい(また、軟磁性特性がFeよりも大きい)FeCoV合金を使用することにより、図30に示されている結果は、CuAlMn層の大半が変態領域になるという点で、ケース3(図26C)が実質的に達成されていることを示している。さらに、最大曲率は、Fe/CuAlMn複合材料プレートについて得られた対応する値よりも、2.22倍大きく、曲げモーメントは1.60倍大きい。したがって、FeCoV/CuAlMn複合材料プレートは、曲げアクチュエータ構成要素として使用する好ましいFSMA複合材料として識別されている。
【0165】
次に、一組のパラメータスタディが実行され、材料パラメータ(σ、E、σ、σ、ESMA)および幾何学的パラメータ(つまり、厚さ比h/h)の影響について調べた。その結果は、図31に示されており、部分(a)〜(f)はそれぞれパラメータの変更に対応する(強磁性材料の降伏応力(σ)、上側プラトー応力(σ)、CuAlMn超弾性ループの下側プラトー応力(σ)、強磁性プレート(h)対SMAプレート(h)の厚さ比(h/h)、強磁性材料のヤング率(E)、およびSMAのヤング率(ESMA)に注意されたい)。
【0166】
強磁性材料の降伏応力が増大すると、図31の部分(a)から、曲げモーメントおよび曲率が両方とも増大することは明らかである。SMAプレートの変態応力σが増大すると、図31の部分(b)から、曲げモーメントが増大し、曲率は減少することがわかる。図31の部分(c)から、超弾性ループの下限は、逆変態応力σが減少する場合に減少することがわかる。強磁性層の厚さが増大すると、図31の部分(d)から、曲げモーメントは増大するが、曲率は減少することは明らかである。逆に、強磁性層の厚さが減少すると超弾性SMA層の厚さが増大するため、超弾性挙動は増大する。したがって、曲げモーメントは減少し、曲率は増大する。図31の部分(e)から、最大曲率は減少するが、強磁性材料のヤング率が増大する場合曲げモーメントは変化しないことがわかる。したがって、強磁性材料のヤング率の増大は、曲げに使用されるFSMA複合材料プレートにとっては望ましくない。図31の部分(f)から、SMAのヤング率が増大する場合曲げモーメントは減少することがわかる。明らかに、性能の高いFSMA複合材料および強磁性形状記憶合金複合材料の設計は、上記モデルをツールとして使用し候補となる構成要素を評価することにより可能である。
【0167】
FSMAスプリングベースのアクチュエータの解析モデル
高速リニアアクチュエータを設計するために、断面が矩形のFSMA複合材料ワイヤから形成されたコイルスプリングの超弾性特性を解析する。図32は、そのようなモデルを定義する際に使用される力およびパラメータを示している。D=スプリングの直径、d=ワイヤの直径、p=1つのコイルのピッチ、n=巻き数(またはコイル数)、L=負荷がかかっていないスプリングの長さ(L=np)、a=xy平面に関するワイヤの傾斜角に注意すること。
【0168】
磁力は、磁場勾配により強磁性材料内に発生し(上述のように、ハイブリッド磁気トリガが通電されたときに発生する)、変位は、上述のハイブリッド変態メカニズムによりスプリング内に発生する。このスプリング力と変位との関係は、以下のモデルで解析される。力Pが、スプリングに加えられると、FSMA複合材料のワイヤはトルクTを受ける。スプリング力PとトルクTとの間の関係は以下の式で与えられる。
【0169】
T=PRcosα (44)
さらに、矩形断面ワイヤの単位長さ当たりの捻れ角度がωであれば、全捻れ角度φは、ワイヤの全長が2nπRsecαなので2nπRωsecαである。したがって、スプリングの変位は以下の式で計算される。
【0170】
【数37】

【0171】
本発明のモデルでは、直接剪断δshearによる変位は無視できるくらい小さいと仮定されている。この仮定は、D対aまたはbの大きな比については正当化される。次に、スプリング力と変位との関係は、単位長さ当たりの捻れ角度ωと矩形断面のワイヤのトルクTの間の関係を明確にすることにより計算することができる。
【0172】
矩形断面を持つFSMA複合材料ワイヤの形状の最適化
ハイブリッドメカニズムにより大きな磁力を発生するには、矩形断面内の強磁性材料の領域を増大し、その一方で、強磁性材料はその降伏応力に達しないという要求条件を満たす必要がある。矩形断面内の応力場は、与えられた捻れ角度に対する矩形断面の剪断−応力分布から計算できる。図32に示されているように、幅2aおよび高さ2bのFSMA複合材料ワイヤの矩形断面を考察する。スプリング変形は、ワイヤ方向(z軸)に沿って一様であり、以下のように、平面変位uおよびvはzに比例すると仮定する。
【0173】
u=−ωyz、v=−ωxz、w=−ωφ(x,y) (46)
ただし、関数φ(x,y)は、歪みの均衡方程式および2D適合条件式を満たすサンブナン関数である。矩形断面のスプリングでは、剪断歪み成分は以下の式で表される。
【0174】
【数38】

【0175】
【数39】

【0176】
したがって、矩形断面に作用する実効剪断ー歪みγは以下の式で計算される。
【0177】
【数40】

【0178】
a=2およびb=1の場合、剪断−歪み成分の等高線分布γzx、γzy、およびωaで割った実効剪断−歪みγは、図33A、33B、および33Cにそれぞれ示されている。γzxはx=−aで0になり、y軸上のy=bで最小値に達し、y軸上のy=−bで最大値に達することに注意されたい。さらに、γzyはx=−2、y=0で最小値に達し、x=2,y=0で最大値に達することにも注意されたい。ωaで除算した正規化された実効剪断歪みγ(γ/ωa)は長い辺の中心で最大値0.930に達し、断面の中心に向かって減少する。
【0179】
強磁性材料内で誘起される実効剪断−応力は、γに強磁性材料の横弾性係数Gを掛けることにより計算される。したがって、矩形断面内の強磁性材料の実効剪断−応力分布は、単位長さ当たりの捻れ角度ω、サイズaおよびbの与えられた集まりについて計算される。その後、強磁性材料の最適な形状を、実効剪断−応力が強磁性材料の剪断τの降伏応力を超えない領域から求めることができる。
【0180】
FeCoV(G=70GPa、τ=231MPa)が強磁性体材料として使用され、またCuAlMn合金が超弾性SMAとして使用される場合、ω=0.003、a=2、およびb=1について、γ/ωa<0.55はGfγ<τとなる要求条件から得られる。図34は、内側コアが要求条件γ/ωa<0.55を満たす場合に、このモデルを使用して決定されるFSMA複合材料ワイヤの矩形断面形状を示す。
【0181】
次に、単位長さ当たりの捻れ角度ωおよび矩形断面の複合材料ワイヤのトルクTとの関係を調べる。トルクは以下の式で計算される。
【0182】
【数41】

【0183】
ここで、FSMA複合材料の載荷を3つの領域に分けることが可能である。
【0184】
領域1:強磁性材料の領域。
【0185】
領域2:実効剪断−応力がSMAの変態の開始応力τよりも小さい領域。
【0186】
領域3:SMAの変態領域。
【0187】
強磁性材料の実効応力は、横弾性係数Gに弾性変形の対応する実効剪断−歪みを掛けて得られる。SMAでは、実効剪断−応力τが変態応力τよりも小さいかどうかを判断する必要がある。実効剪断−応力τは、領域2の実効剪断−応力が変態応力τよりも小さい場合に、横弾性係数GSMAにγを掛けて得られる。領域3では、実効剪断−応力τが変態応力τに達した場合、τは変態応力τになる。
【0188】
それぞれの剪断−応力成分は、それぞれの剪断−歪み成分に修正された横弾性係数G=τ/γを掛けることによりωの増大に比例して増大するため、τがτになるそれぞれの剪断−応力成分が計算される。つまり、式(50)は、式(53)を使用して、領域3に適用可能である。次に、単位長さ当たりの捻れ角度ωに対応するトルクTは、以下の式に従って、それぞれの領域内で修正された横弾性係数を使用することにより式(51)で計算される。
【0189】
領域1:
【0190】
【数42】

【0191】
領域2:
【0192】
【数43】

【0193】
領域3:
【0194】
【数44】

【0195】
ただし、ωは入力データであり、これは、断面形状が最適化された場合に与えられる単位長さ当たりの最大設計捻れ角度である(図34の断面形状についてはω=0.0015)。
【0196】
次に、除荷の場合を考察する。それぞれの領域内の応力は、除荷では減少するが、超弾性が領域3で発生し、実効剪断−応力が先行する載荷時に変態応力に達した場合には、領域3を以下のように3つの部分領域に分割する必要がある。
【0197】
領域3−1:τが逆変態応力τよりも大きい領域。
【0198】
領域3−2:τが逆変態応力τに等しい領域。
【0199】
領域3−3:τが逆変態応力τよりも小さい領域。
【0200】
領域3−1では、実効剪断−応力τは、逆変態応力τよりも大きい。剪断−応力成分τ=τは、式(53)の修正された横弾性係数に剪断歪み成分を掛けることにより計算され、剪断応力は、この応力状態から、領域3のGSMAに比例して弾性的に減少する。つまり、応力成分は、式(55)の修正された横弾性係数に式(54)の実効剪断−歪みの範囲内の剪断−歪み成分を掛けることにより計算される。
【0201】
領域3−1:
【0202】
【数45】

【0203】
領域3−2については、実効剪断−応力τは逆変態応力τに達するので、剪断応力成分は一定のままである、つまり、τ=τである。つまり、剪断−応力成分は、式(57)の修正された横弾性係数に式(56)の実効剪断−歪みの範囲内の剪断−歪み成分を掛けることにより計算される。
【0204】
領域3−2:
【0205】
【数46】

【0206】
領域3−3については、実効剪断−応力τが変態応力τよりも小さいため、超弾性は消える。実効剪断−歪みおよび修正された横弾性係数の範囲は以下の式により与えられる。
【0207】
領域3−3:
【0208】
【数47】

【0209】
G=GSMA (59)
ωに対応するトルクTは、式(51)、(52)、(53)、(55)、(57)、および(59)により定義されているように、それぞれの領域に対応する修正された横弾性係数を使用してそれぞれの領域の実行剪断−歪みを計算することにより式(50)から解析できる。スプリングの力と変位の関係は、式(44)および(45)を使用して計算することができる。
【0210】
上記モデルに基づきトルク−捻れ角度の関係の予測、さらに強磁性FeCoV合金および超弾性CuAlMn合金の理想化された応力−歪み関係に基づくスプリング力(P)と変位(δ)の予測も行い、これは図35に例示されている。
【0211】
図36Aおよび36Bは、寸法がa=2mm(幅は4mm)、b=1mm(高さは2mm)の複合材料プレートワイヤに対し単位長さ当たりの最大捻れ角度ω=0.003の場合の上記のモデルに基づく解析結果を例示している。特に、図36Aは、トルクと正規化された捻れ角度との関係を示しており、これは、トルクは捻れ角度が大きくなるのに比例して大きくなり、SMAの変態はωa=0.0025から始まって、SMAのすべての領域内でωa=0.0042の変態応力に達することを示している。ωaが0.006に達した後、載荷時と除荷時に超弾性ループが示される。
【0212】
図36Bは、長さL=100mm、直径D=25mm、ピッチp=5mm、および巻き数n=20のコイルスプリングのスプリング力と変位との関係を示している。このコイルスプリングの最大変位は、スプリング力78.4Nの場合に59.2mmであった。
【0213】
パラメータスタディを実施して、P−δ関係のそれぞれのパラメータの効果を調べた。図37は、GSMA(部分(a)を参照)、τ(部分(b)を参照)、G(部分(c)を参照)、τ(部分(d)を参照)、およびτ(部分(e)を参照)を含む、様々なパラメータの影響を受けるP−δ関係の解析結果を示している。図37の部分(a)は、超弾性SMAの横弾性係数は、最大変位または最大スプリング力に影響を及ぼさないことを明確に示している。図37の部分(b)から、スプリング力は、変態開始応力τの増大とともに増大すると結論できる。図37の部分(c)は、スプリング力は、強磁性材料の横弾性係数が小さいが、強磁性材料の横弾性係数が小さくなったときに最大変位が増大する場合には変化せず、その結果、スプリングの変位が大きくなることを示している。図37の部分(d)から、強磁性材料の降伏応力が増大するとスプリング力と変位の両方がSMAの超弾性挙動を増大させることがわかる。図37の部分(e)は、超弾性ループの下限が、逆変態応力τが減少する場合に減少することを示している。
【0214】
要約すると、強磁性材料のτが大きく、強磁性材料が軟らかいと、より変位の大きいスプリングアクチュエータを実現できるということである。さらに、スプリングの大きな力を得るために、τが大きいSMAを使用することが望ましい。
【0215】
次に、一般に矩形断面形状のスプリングと一般に正方形断面形状のスプリングの機械的性能(P−δ関係)を比較した。この目的のために、正方形の断面積が上述の矩形断面の面積に等しくなるようにした(図35を参照)。FeCoV/CuAlMn複合材料の最適な正方形断面の解析結果が、図38に示されている。図39では、この正方形断面のFSMAスプリングのP−δ関係は、破線で示されており、矩形断面の結果は、実線で示されている。図38の正方形断面と図34の矩形断面の比較から、正方形断面のFSMA複合材料スプリングは、同じ断面積を持つ矩形断面に比べてより大きな力性能を発揮することがわかる。しかし、正方形断面のスプリングを使用した場合の有効性はまだ確定していない。FSMA複合材料スプリングをアクチュエータで採用し、上述のようなトリガの1つなどのハイブリッド磁気トリガを使用してトリガした場合に、矩形断面形状は、スプリングの一方のコイルから他方のコイルに磁束を分配する際により効果的であることが認識されている。そのため、矩形断面スプリングは、同じ量の磁束で作動させるのは一般的に容易であるが、正方形断面スプリングは、より大きな力を得ることができる。
【0216】
上述のモデル(プレート曲げおよびスプリング力)では、超弾性挙動、および矩形断面を持つFSMA複合材料における類似の超弾性挙動を示す、FSMA複合材料プレートの曲げモーメントと曲率の関係に対する結果を予測した。その結果の超弾性挙動により、高い力および変位能力を持つアクチュエータを実現できる。上述のモデルの結果を効果的に使用し、曲げアプリケーション用の2種類のFSMA複合材料プレート、および捻れアプリケーション用のスプリングの断面幾何学的形状を最適化した。
【0217】
曲げモーメントと曲率との関係の詳細な解析
FSMA複合材料プレートの正規化された曲げモーメントと正規化された曲率の関係は、図40A〜40Cに示されているように、以下の8つのパターンに分類される。
【0218】
図40Aは、パターン1のみで構成される、ケース1を例示している。
【0219】
図40Bは、載荷時にパターン1および2、除荷時にパターン1、4、5、および6で構成される、ケース2を例示している。
【0220】
図40Cは、載荷時にパターン1、2、および3、除荷時にパターン1、4、7、および8で構成される、ケース3を例示している。
【0221】
それぞれのパターンの式は以下のとおりである。
【0222】
パターン1(ケース1、2、および3)。
【0223】
【数48】

【0224】
ただし、ξは中立軸の距離であり、以下の式が成り立つ。
【0225】
【数49】

【0226】
パターン2(ケース2および3)。
【0227】
【数50】

【0228】
ξは、中立軸の距離であり、yは、σ=σとなる位置である。
【0229】
【数51】

【0230】
パターン3(ケース3)。
【0231】
【数52】

【0232】
ただし、ξは中立軸の距離であり、以下の式が成り立つ。
【0233】
【数53】

【0234】
パターン4(ケース2および3)。
【0235】
【数54】

【0236】
パターン5(ケース2)。
【0237】
【数55】

【0238】
ただし、ξは中立軸の距離であり、以下の式が成り立つ。
【0239】
【数56】

【0240】
パターン6(ケース2)。
【0241】
【数57】

【0242】
ただし、ξは中立軸の距離であり、以下の式が成り立つ。
【0243】
【数58】

【0244】
パターン7(ケース3)。
【0245】
【数59】

【0246】
ただし、ξは中立軸の距離であり、以下の式が成り立つ。
【0247】
【数60】

【0248】
パターン8(ケース3)。
【0249】
【数61】

【0250】
ただし、ξは中立軸の距離であり、以下の式が成り立つ。
【0251】
【数62】

【0252】
有用な範囲
それぞれのパターンの有用な範囲は以下のとおりである。
【0253】
ケース1:
パターン1(載荷および除荷)
【0254】
【数63】

【0255】
ケース2
パターン1(載荷)
【0256】
【数64】

【0257】
パターン2(載荷)
【0258】
【数65】

【0259】
パターン1(除荷)
【0260】
【数66】

【0261】
パターン4(除荷)
【0262】
【数67】

【0263】
パターン5(除荷)
【0264】
【数68】

【0265】
ただし、
【0266】
【数69】

【0267】
パターン6(除荷)
【0268】
【数70】

【0269】
ケース3
パターン1(載荷)
【0270】
【数71】

【0271】
パターン2(載荷)
【0272】
【数72】

【0273】
パターン3(載荷)
【0274】
【数73】

【0275】
パターン1(除荷)
【0276】
【数74】

【0277】
パターン4(除荷)
【0278】
【数75】

【0279】
パターン7(除荷)
【0280】
【数76】

【0281】
ただし、
【0282】
【数77】

【0283】
パターン8(除荷)
【0284】
【数78】

【0285】
本発明は、本発明を実施する好ましい形態およびその修正形態に関して説明されているが、当業者であれば、請求項の範囲内で本発明に他の多くの修正を加えられることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、いかなる点でも上の説明により限定されることを意図していないが、その代わりに請求項を参照することで全体が定められる。
【図面の簡単な説明】
【0286】
【図1A】FePd合金で作られた従来技術のスプリングSMAアクチュエータの概略を示す図である。
【図1B】FePd合金で作られた従来技術のスプリングSMAアクチュエータの概略を示す図である。
【図1C】FePd合金で作られた従来技術のスプリングSMAアクチュエータの概略を示す図である。
【図2】図1A〜1Cのスプリングアクチュエータの一連の作動および縮みの概略を示す図である。
【図3】本発明によりアクチュエータに使用される特に好ましいFSMA複合材料の応力と歪みの関係を示すグラフである。
【図4】SMAおよび強磁性コアの2層を含む従来技術のFSMA複合材料の概略を示す図である。
【図5】本発明によるスプリングアクチュエータで使用されるFSMA複合材料の特に好ましい断面形状の概略を示す図である。
【図6】図5に例示されている断面形状を持つ、図3の特に好ましいFSMA複合材料の力および変位量の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の他の態様による、内側および外側フェンスを含むFSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの概略を示す図である。
【図8】図7のFSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの一部分の有限要素解析を使用して決定される磁束ベクトルを視覚的に表す図である。
【図9A】ハイブリッド電磁トリガが通電されたときに、図7のFSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの一部分に存在する磁束線を視覚的に表す図である。
【図9B】ハイブリッド電磁トリガが通電されたときに、図7のものに類似の(ただし、外側フェンスのみを含む)FSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの一部分に存在する磁束線を視覚的に表す図である。
【図9C】ハイブリッド電磁トリガが通電されたときに、図7に例示されているものに類似の(ただし、内側フェンスのみを含む)FSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの一部分に存在する磁束線を視覚的に表す図である。
【図10A】外側フェンスのみを含むFSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの概略を示す図である。
【図10B】内側フェンスのみを含むFSMA複合材料ベースのスプリングアクチュエータの概略を示す図である。
【図11】スプリングベースのアクチュエータのスプリングに作用する力を分析するためのモデルを開発する際に参照される、そのような力を視覚的に表した図である。
【図12】2層からなる界面で直線不連続性を示す、強磁性層およびFSMA複合材料スプリングのSMA層で引き起こされる応力を示すグラフである。
【図13A】ドライブユニットおよびSMAスプリングのスタックを含む、SMAスプリングベースのアクチュエータのさらに他の実施形態の概略を示す図である。
【図13B】ドライブユニットが通電された後達成される、縮んだ構成の図13AのSMAスプリングベースのアクチュエータの概略を示す図である。
【図14】図13AのSMAスプリングベースのアクチュエータで使用する典型的なドライブユニットの断面構成の概略を示す図である。
【図15A】上側永久磁石のみを備え、ドライブユニットが通電されない場合に磁力を視覚的に表す、図14の典型的なドライブユニットに実質的に類似のドライブユニットの一部分を示す拡大図である。
【図15B】ドライブユニットが通電された場合に磁力を視覚的に表す、図15Aのドライブユニットの一部分を示す図である。
【図15C】ドライブユニットが通電された場合に磁力を視覚的に表す、図14の典型的なドライブユニットの一部分を示す拡大図である。
【図16A】トルクアクチュエータのドライブユニットが通電されていない場合、本発明による単純な鉄棒とTiNiワイヤで形成されたコイルを含むFSMA複合材料トルクアクチュエータのワーキングモデルを示す図である。
【図16B】トルクアクチュエータのドライブユニットが通電された後、FSMA複合材料のコイルの動きを示す図16Aのトルクアクチュエータを示す図である。
【図16C】図16Aおよび図16BのトルクアクチュエータのFSMA複合材料コイルの製作方法の概略を示す図である。
【図17A】内側電磁石および永久磁石のリングを持つ従来技術のトルクアクチュエータの概略を示す図である。
【図17B】図17Aの従来技術のトルクアクチュエータに作用する磁力の概略を示す図である。
【図17C】図16Aおよび16Bのトルクアクチュエータに作用する磁力の概略を示す図である。
【図18A】トルクアクチュエータのドライブユニットが通電されていない場合、鉄棒およびTiNiコイルが2層FSMA複合材料プレートにより置き換えられた、FSMA複合材料トルクアクチュエータの好ましい実施形態の概略を示す図である。
【図18B】好ましいトルクアクチュエータのドライブユニットが通電された後、FSMA複合材料プレートの動きを示す図18Aのトルクアクチュエータの概略を示す図である。
【図19A】図18Aおよび18BのトルクアクチュエータのFSMA複合材料プレートに作用する力を分析するためのモデルを開発する際に参照される、そのような力を視覚的に表す図である。
【図19B】図18Aおよび18BのトルクアクチュエータのFSMA複合材料プレートに作用する力を分析するためのモデルを開発する際に参照される、そのような力を視覚的に表す図である。
【図20】図19Aおよび19Bとともに、開発される好ましいトルクアクチュエータに作用する力を分析するためモデルを使用して製作された、図18Aおよび18Bのトルクアクチュエータで使用されるFSMA複合材料プレートのトルク角度とプレート幅の関係を示すグラフである。
【図21】図18Aおよび18Bのトルクアクチュエータで使用するためのFSMA複合材料プレートの好ましい断面形状の概略を示す図である。
【図22】曲げる力を分析するためのモデルの開発の際に参照される、プレートの曲げとしての図21の好ましい断面形状に作用する力を視覚的に表した図である。
【図23】図22とともに、発生する曲げる力を分析するためのモデルを使用して製作された、図18Aおよび18Bのトルクアクチュエータで使用されるFSMA複合材料プレートの応力と歪みの関係を示すグラフである。
【図24】図22とともに、発生する曲げる力を分析するためのモデルを使用して製作された、図18Aおよび18Bのトルクアクチュエータで使用されるFSMA複合材料プレートの曲げる力と曲率の関係を示すグラフである。
【図25A】強磁性層が曲げモーメントをSMA層に加える、強磁性材料の層とSMAの層を含むFSMA複合材料プレートの概略を示す図である。
【図25B】強磁性層とSMA層との間の界面に直線不連続性とともに、SMA層の表面から伝播するSMA相変態の概略を示す図である。
【図26A】3つの潜在的応力領域の第1の領域において図25AのFSMA複合材料プレートが受ける載荷応力および除荷応力の概略を示す図である。
【図26B】3つの潜在的応力領域の第2の領域において図25AのFSMA複合材料プレートが受ける載荷応力および除荷応力の概略を示す図である。
【図26C】3つの潜在的応力領域の第3の領域において図25AのFSMA複合材料プレートが受ける載荷応力および除荷応力の概略を示す図である。
【図27】強磁性層が鉄を使用して実現され、SMA層がCuAlMn合金を使用して実現される場合の図25AのFSMA複合材料プレートの応力−歪み曲線を示すグラフである。
【図28】超弾性プラトーがFe/CuAlMn複合材料により得られないことを示す、強磁性層が鉄を使用して実現され、SMA層がCuAlMn合金を使用して実現される場合の図25AのFSMA複合材料プレートの曲げモーメントと曲率の関係を示すグラフである。
【図29】強磁性層が鉄、コバルト、およびバナジウムの合金を使用して実現され、SMA層がCuAlMn合金を使用して実現される場合の図25AのFSMA複合材料プレートの応力−歪み曲線を示すグラフである。
【図30】超弾性プラトーがFeCoV/CuAlMn複合材料により得られることを示す、強磁性層が鉄、コバルト、およびバナジウムの合金を使用して実現され、SMA層がCuAlMn合金を使用して実現される場合の図25AのFSMA複合材料プレートの曲げモーメントと曲率の関係を示すグラフである。
【図31】図25AのFSMA複合材料プレートの曲げモーメントおよび曲率を記述するモデルを使用して分析される材料パラメータおよび幾何学的パラメータの効果を調べるために実施されるパラメータスタディの結果を示すグラフである。
【図32】スプリングに作用する力、および本発明のさらに他の態様によるスプリングのモデルを開発するために使用されるスプリングパラメータを視覚的に表す、スプリングのモデルによりFSMA複合材料スプリングの挙動が記述される図である。
【図33A】矩形の断面を持つスプリングが受ける剪断歪み成分の等高線分布を示す図である。
【図33B】矩形の断面を持つスプリングが受ける剪断歪み成分の等高線分布を示す図である。
【図33C】矩形の断面を持つスプリングが受ける剪断歪み成分の等高線分布を示す図である。
【図34】図33A〜33Cのスプリングモデルおよび等高線分布を使用して導かれるFSMA複合材料スプリングの好ましい断面形状の概略を示す図である。
【図35】強磁性層が鉄、コバルト、およびバナジウムの合金を使用して実現され、SMA層がCuAlMn合金を使用して実現される場合のFSMA複合材料スプリングの応力−歪み曲線を示すグラフである。
【図36A】定義されている寸法のFSMAスプリングに対するトルクと正規化された捻れ角度との関係、つまりトルクが捻れ角度の増加に比例して上昇することを示すFSMA複合材料スプリングの応力−歪み曲線を示すグラフである。
【図36B】定義されている寸法のFSMAスプリングのスプリング力と変位との関係を示すグラフである。
【図37】図32に基づきスプリングモデルを使用して分析された材料パラメータおよび幾何学的パラメータの効果を調べるために実施されたパラメータスタディの結果を示すグラフである。
【図38】図32に基づきスプリングモデルを使用して図34の好ましい断面形状および図38の正方形の断面の相対的性能を比較できるようにした、FSMA複合材料スプリングの一般に正方形の断面形状の概略を示す図である。
【図39】図34の好ましい断面形状および図38の正方形の断面を持つFSMA複合材料スプリングのスプリング力とスプリング変位との関係を示すグラフである。
【図40A】8つのパターンに分類される、図25AのFSMA複合材料プレートの正規化された曲げモーメントと正規化された曲率との関係を示すグラフである。
【図40B】8つのパターンに分類される、図25AのFSMA複合材料プレートの正規化された曲げモーメントと正規化された曲率との関係を示すグラフである。
【図40C】8つのパターンに分類される、図25AのFSMA複合材料プレートの正規化された曲げモーメントと正規化された曲率との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリングアクチュエータであって、
(a)強磁性形状記憶合金(FSMA)複合材料を含むスプリングであって、前記FSMA複合材料は強磁性材料および形状記憶合金(SMA)材料を含み、前記FSMAは略四辺形の断面を有し、前記強磁性材料は引き延ばされた略X字形状の断面を示し、前記SMA材料は前記略四辺形の断面を中心とする周辺に配置される、スプリングと、
(b)少なくとも1つの永久磁石と少なくとも1つの電磁石とを含むハイブリッド磁気トリガと、
(c)前記ハイブリッド磁気トリガから前記スプリングへの磁束を結合するように構成されたヨークであって、前記ハイブリッド磁気トリガが通電されたときに、前記スプリングが前記ヨークに引き付けられ収縮するように構成されたヨークとを備えることを特徴とするスプリングアクチュエータ。
【請求項2】
前記ヨークは、さらに、磁束を前記ハイブリッド磁気トリガから前記スプリングに導くように構成された複数のフェンスを備えることを特徴とする請求項1に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項3】
前記複数のフェンスは、前記スプリング内に配置された内側フェンスおよび前記スプリングに対して外側にある外側フェンスを含むことを特徴とする請求項2に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項4】
前記複数のフェンスは、前記スプリングに対して外側にある外側フェンスを含むが、前記スプリング内に配置されたフェンスは含まないことを特徴とする請求項2に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項5】
前記強磁性材料は、鉄を含むことを特徴とする請求項1に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項6】
前記SMA材料は、銅、アルミニウム、およびマンガンの合金を含むことを特徴とする請求項1に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項7】
スプリングアクチュエータであって、
(a)強磁性形状記憶合金(FSMA)スプリングおよび、少なくとも1つの永久磁石、少なくとも1つの電磁石、および前記FSMAスプリング内に磁束を誘導するように構成されたヨークを備える対応するドライブユニットを含む第1のスプリングアセンブリと、
(b)少なくとも1つの追加スプリングアセンブリであって、それぞれ、強磁性形状記憶合金(FSMA)スプリングおよび少なくとも1つの永久磁石、少なくとも1つの電磁石、および前記追加スプリングアセンブリ内の前記FSMAスプリング内に磁束を誘導するように構成されたヨークを備える対応するドライブユニットを備える追加スプリングアセンブリとを備え、前記第1のスプリングおよびそれぞれの追加スプリングアセンブリはスタックで構成されることを特徴とするスプリングアクチュエータ。
【請求項8】
前記FSMAスプリングは、均質なFSMA材料から形成されることを特徴とする請求項7に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項9】
前記均質なFSMA材料は、鉄とパラジウムを含む合金であることを特徴とする請求項8に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項10】
前記FSMAスプリングは、FSMA複合材料から形成されることを特徴とする請求項7に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項11】
それぞれのドライブユニットは、実質的に円板形状であることを特徴とする請求項7に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項12】
それぞれのドライブユニット内の前記少なくとも1つの永久磁石はリング形状であることを特徴とする請求項7に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項13】
それぞれのドライブユニット内の前記少なくとも1つの電磁石は2つの永久磁石の間に配置されることを特徴とする請求項7に記載のスプリングアクチュエータ。
【請求項14】
前記ヨークは、鉄およびポリマーを含むことを特徴とする請求項7に記載のスプリングアクチュエータ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図34】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40A】
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【図40B】
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【図40C】
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【公表番号】特表2006−519479(P2006−519479A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501210(P2006−501210)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/006098
【国際公開番号】WO2004/076701
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】