説明

弾性物品の製法

ヒドロゲルで被覆した弾性物品(例えば、手袋、コンドーム等)を提供する。このヒドロゲル被覆は、乾燥および/または湿潤時の着用を容易にする。更に、該ヒドロゲルの低い摩擦係数のために、このゲルは、粘着防止粉末を使用すること無しに、浸漬成形した物品の剥取りを可能とする。かくして、本発明者等は、従来「オフライン」(即ち、剥取り後)に行われていた幾つかの処理段階、例えば塩素化および/または潤滑化が、最早必要とされないことを見出した。更に、このような処理を利用した場合においても、これらの処理は、「インライン」(即ち、剥取り前)で行うことができる。幾つかのオフライン処理段階を排除するこの能力は、この成形工程の効率における大幅な改善をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の背景)
弾性グローブ、例えば外科用および実験用手袋は、伝統的に良好な弾性と強度との組合せを与える、天然または合成エラストマーで作られている。天然ゴム手袋を製造するためには、例えば手の形状を持つ浸漬型を、先ず凝集剤組成物中に浸漬し、引続き天然ゴムラテックス浴中に浸漬する。該凝集剤は、該浸漬型上への該ラテックスの堆積を引起こす。該凝集剤組成物は、炭酸カルシウムまたは硝酸カルシウム等の塩を含むことができ、この塩は弾性ポリマーを支持本体に成形することを容易にし、また該浸漬型からの該粘着性ポリマーの除去を助ける。この凝集剤組成物において、界面活性剤を使用することもできる。
【0002】
一旦成形が完了した後、該ラテックス製の支持本体を、様々な処理工程に付して、その諸特性を改善する。例えば、弾性手袋の、手に対するしっかりとした適合性のために、その着用はしばしば困難を伴う。結果として、弾性手袋の着用性を補助するために、様々な技術が開発されている。多くの公知の処理段階は、「オンライン式」手袋製造工程で使用される該浸漬型から、該手袋を剥ぎ取る必要があり、またこれを所定の後処理のための「オフライン」に送る必要がある。例えば、手袋は、しばしばオフラインにおけるタンブラー内で、潤滑化処理される。このようなオフライン処理のために、該手袋を浸漬型から剥ぎ取る目的で、該手袋を剥ぎ取るときにこれ自体が粘着することを防止する粘着防止用粉末、典型的には炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を、該支持本体の外側表面(該浸漬型とは離れた側の表面)に適用する必要がある。例えば、剥ぎ取り前に、該浸漬型を該粘着防止粉末を含むスラリー中に浸漬することができる。不幸なことに、このような粉末の使用は、外科またはクリーンルーム環境において使用される手袋等の、幾つかの種類の手袋を製造するときには、多くの問題がある。例えば、粉末が創傷に入り込み、患者に合併症を引起こす。粉末は、また該患者内に感染性の作用物質を運び込み、またそこにアレルギー反応を引起こす恐れがある。従って、手袋から粘着防止粉末を除去するための幾つかの技術が開発されている。例えば、周知の技術(塩素化処理器の使用)を用いて、「オフライン」の塩素化を行い、該手袋を使用する前に、該粘着防止粉末を除去することが可能である。
従来の手袋製造工程の使用により達成される各種利便性にも拘らず、改善の必要性が、依然として残されている。具体的には、様々な「オフライン」における後処理段階は、時間を要し、経費がかかり、非効率的である。従って、より効率的で、経費を節減できる、手袋の製法に対する需要が依然として残されている。
【0003】
(発明の概要)
本発明の一態様では、弾性手袋の製法を提供する。この方法は、
支持本体製造用の弾性材料を含む少なくとも一つの浴に、手の形状にある浸漬型(former)を浸漬する工程、ここで該支持本体は内側表面と外側表面とを有し、これら表面は手の形状を持つ空洞を画成し、該内側表面は該手の形状にある浸漬型に隣接して配置され、
支持本体の内側表面を手の形状にある浸漬型と隣接した状態に保ったまま、支持本体の外側表面にヒドロゲル被覆を適用する工程、ここでヒドロゲル被覆は、約0.1〜約20μmなる範囲の厚みを持ち、および
その後、粘着防止粉末を使用すること無しに、手の形状にある浸漬型から該手袋を剥ぎ取る工程を含み、ここで該手袋は裏返されて、ヒドロゲル被覆の適用を受けた支持本体の外側表面が、手の形状を持つ空洞に使用者の手が挿入されたときに、この手と面するように形成されている。
【0004】
本発明のもう一つの態様では、弾性物品の製法を開示する。この方法は、
支持本体製造用の弾性材料を含む少なくとも一つの浴に、浸漬型を浸漬する工程、ここで支持本体の弾性材料は天然ゴムラテックスを含み、該支持本体は、空洞を画成する内側表面と外側表面とを有し、該内側表面は該浸漬型と隣接して配置されており、
支持本体の内側表面を浸漬型と隣接した状態に保ったまま、支持本体の該外側表面にヒドロゲル被覆および潤滑性被覆を適用する工程、および
その後、粘着防止粉末を使用すること無しに、浸漬型から弾性物品を剥ぎ取る工程を含み、ここで該弾性物品は裏返されて、ヒドロゲル被覆および潤滑性被覆の適用を受けた支持本体の該外側表面が、該空洞に挿入されたときに使用者の皮膚と面するように形成されている。
【0005】
本発明の更に別の態様では、弾性手袋の製法を開示する。この方法は、
支持本体製造用の弾性材料を含む少なくとも一つの浴に、手の形状にある浸漬型を浸漬する工程、ここで該支持本体は内側表面と外側表面とを有し、これら表面は手の形状を持つ空洞を画成し、内側表面は手の形状にある浸漬型に隣接して配置され、
支持本体の内側表面を手の形状にある浸漬型と隣接した状態に保ったまま、該支持本体の該外側表面に、ヒドロゲル被覆および潤滑性被覆を適用する工程、ここで該ヒドロゲル被覆は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーから作られ、および
その後、粘着防止粉末を使用すること無しに、手の形状にある浸漬型から該手袋を剥ぎ取る工程を含み、ここで該手袋は裏返されて、ヒドロゲル被覆の適用を受けた支持本体の外側表面は、手の形状を持つ空洞に使用者の手が挿入されたときに、この手と面するように形成されている。
【0006】
本発明の他の特徴並びに局面を、以下においてより詳細に論じる。
本発明の最良の態様を含む、当業者に向けられた、本発明の完全な、かつその実施を可能にする開示を、本明細書の残りの部分においてより具体的に示すが、この開示は、添付図面を参照して行われる。
本明細書および添付図面における参照番号の反復的な使用は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すものである。
【0007】
(代表的な態様の詳細な説明)
ここでは、本発明の様々な態様について詳細に言及するが、その1またはそれ以上の例を以下に記載する。各例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。事実、本発明の範囲および精神を逸脱すること無しに、本発明に対して様々な改良並びに変更を行うことが可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、一態様の一部として例示しまたは説明した特長を、他の態様に適用して、更に別の態様を得ることも可能である。従って、本発明は、このような改良並びに変更も、添付した特許請求の範囲およびその等価な範囲に含まれるものとして、これらをもカバーするものである。
【0008】
一般に、本発明は、ヒドロゲルによって被覆された、弾性物品(例えば、手袋、コンドーム等)を意図する。このヒドロゲル被覆は、乾燥および/または湿潤時における着用を容易にする。更に、その低い摩擦係数のために、このヒドロゲルは、粘着防止粉末を使用することなく、浸漬-成形物品を剥取ることを可能とする。このようにして、本発明者等は、従来「オフライン」(例えば、剥取り後)として行われていた、幾つかの処理段階、例えば塩素化および/または潤滑処理が、最早不要であることを見出した。更に、このような処理を利用した場合にも、これらを「オンライン」(例えば、剥取り前)で行うことができる。幾つかのオフライン処理段階を排除する能力は、上記成形工程の効率の大幅な改善をもたらす。
【0009】
例えば、添付図1-2を参照すると、弾性手袋20の一態様が例示されており、これは使用者22の手に被せることができる。この手袋20は、その基本的な形状、例えば手の形状を持つ空洞を画成する内側表面と外側表面とを有する、支持本体24を含む。該支持本体24は、一般にエマルション系弾性材料(例えば、乳化重合により製造したポリマー)から作られる。このエマルション系弾性材料を製造するのに使用できる材料の例は、天然ゴムラテックス、イソプレンポリマー、クロロプレンポリマー、塩化ビニルポリマー、ブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、カルボキシル化スチレン-ブタジエンポリマー、アクリロニトリル-ブタジエンポリマー、カルボキシル化アクリロニトリル-ブタジエンポリマー、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエンポリマー、カルボキシル化アクリロニトリル-スチレン-ブタジエンポリマー、これらの誘導体等を含むが、これらに限定されない。弾性材料の組合わせを、物品の単一の層において、あるいは多層物品等における別々の層において使用しても良い。
【0010】
一態様においては、該支持本体24を、天然ゴムラテックスから製造する。天然ラテックスから該支持本体24を製造するためには、その浸漬型を、先ず凝固剤浴に浸漬して、後の該浸漬型からの該手袋の剥ぎ取りを容易にする。該凝固剤浴は、炭酸カルシウムおよび/または硝酸カルシウムを含むことができる。その後、この凝固剤で被覆した浸漬型を乾燥し、引続き一種またはそれ以上のラテックス浴に浸漬する。次いで、得られるラテックス層を、典型的には水中で滲出処理して、該ラテックスおよび凝固剤中の水溶性不純物の大部分を抽出する。次に、この被覆した浸漬型を乾燥して、該ゴムを硬化(即ち、架橋)する。天然ゴム製の手袋を製造するときに使用する条件、処理法および材料は、当分野において周知であり、本発明の実施にとって重大なことではないものと理解すべきである。
【0011】
該支持本体24を製造するのに使用した特定の材料とは無関係に、該手袋20はヒドロゲル被覆26を含み、これは該支持本体24によって画成される、内側表面28上に存在する。該ヒドロゲル被覆26は、使用者の手が乾燥または湿っている場合に、即ち乾燥および湿潤時着用のときに、該手袋20の着用を容易にする、低い摩擦係数を有する。この低い摩擦係数は、表面の組織を通して、および/または該被ヒドロゲル覆26を製造するのに使用した材料の潤滑性を通して付与することができる。着用の容易さに加えて、該ヒドロゲル被覆26のもう一つの目的は、粘着防止用粉末を使用すること無しに、浸漬型からの該手袋の剥取りを可能にすることにある。具体的には、該ヒドロゲル被覆26は、該粘着性の支持本体24の表面を遮断し、それによって該本体自体の粘着を防止する。結果として、該支持本体24自体のくっ付きの恐れ無しに、該手袋20の、浸漬型からの剥取りを可能とする。
【0012】
一般的に言えば、様々なポリマーの何れかを本発明において使用して、このヒドロゲル被覆26を作ることができる。このようなポリマーは、親水性かつ水溶性の、少なくとも1種のヒドロゲル-形成モノマーから作られる。本発明において、このヒドロゲルポリマーを製造するのに使用できる、多くの公知の親水性かつ水溶性のモノマーが存在する。このようなモノマーの幾つかの例はビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレートまたはメタクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ヒドロキシプロピルアクリレートまたはメタクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、ビニルピリジン、アクリルアミド、ビニルアルコール、エチレンオキシド、これらの誘導体等を含むが、これらに限定されない。適当なモノマーの他の例は、James等の米国特許第4,499,154号等に記載されている。あらゆる目的のために、この文献の内容全体を本発明の参考とする。得られるポリマーは、ホモポリマーまたは共重合体(例えば、コポリマー、ターポリマー等)であり得、またノニオン性、アニオン性、カチオン性、または両性ポリマーであり得る。更に、このポリマーは、一種の型(即ち、均質)または異なるポリマーの混合物(即ち、不均質)何れであっても良い。
【0013】
このヒドロゲル被覆26を製造するために、公知のイオン性または共有結合的架橋技術を包含する、任意の公知の架橋技術を利用して、該ポリマーを架橋する。例えば、幾つかの態様においては、架橋剤を用いて架橋を容易にすることができる。架橋剤の例は、多価アルコール(例えば、グリセロール)、ポリアジリジン化合物(例えば、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3-(1-アジリジン)プロピオネート]またはトリアジリジン)、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物(例えば、エピクロルヒドリン)、アルデヒド化合物(例えば、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、ヒダントイン-ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、マロンアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド、またはジアルデヒド澱粉)、ポリイソシアネート化合物(例えば、2,4-トルエンジイソシアネート)等を含むが、これらに限定されない。架橋は、該支持本体24の表面28に該ポリマーを適用する前に、その間におよび/またはその後に行うことができる。例えば、一態様において、架橋剤とポリマーとを含む水性溶液を、該表面28に適用する。その後、該混合物を、高温にて硬化する。熱的な活性化に加えて、他の周知の技術を利用して、架橋を実施することも可能である。例えば、架橋は、イオン化輻射技術によって引起こすことができ、この輻射は、媒体中に直接または間接的にイオンを生成するのに十分なエネルギーを持つものである。本発明において使用できるイオン化輻射技術の幾つかの適当な例は、電子ビーム輻射、天然または人工放射性同位体輻射線(例えば、α-、β-およびγ-線)、X-線、中性子ビーム、正電荷ビーム、レーザービーム等を含むが、これらに限定されない。電子ビーム輻射は、例えば電子ビームデバイスによる、加速された電子の生成を含む。電子ビームデバイスは、一般に当分野において周知である。例えば、一態様においては、電子ビームデバイスは、マサチューセッツ州、ウォバーンのエナージーサイエンスズ社(Energy Sciences, Inc.)から、「マイクロビーム(Microbeam) LV」として入手できるものを使用することができる。適当な電子ビームデバイスの他の例は、Livesayの米国特許第5,003,178号、Avneryの米国特許第5,962,995号、Avnery等の米国特許第6,407,492号に記載されている。あらゆる目的のために、これら文献の内容全体を本発明の参考とする。
【0014】
使用する技術とは無関係に、架橋によりヒドロゲルが生成し、これは、実質的に水不溶性の3-次元網状構造によって構成される。従って、水に暴露されたときに、このヒドロゲルは溶解されず、その代わりに幾分かの水を吸収することができる。例えば、このヒドロゲルは、約20%〜約90%なる範囲の含水量、また幾つかの態様においては、約35%〜約85%なる範囲の含水量、更に幾つかの態様においては、約50%〜約80%なる範囲の含水量を達成することができる。このヒドロゲルの含水量は、以下のようにして決定される:
含水量(%)=[(湿潤ヒドロゲル重量と乾燥ヒドロゲル重量の差)/
(乾燥ヒドロゲル重量)]×100
着用を簡単化し、かつ粘着防止用粉末の使用無しに、該手袋20の剥取りを可能とすることに加えて、このヒドロゲル被覆26は、更に他の予想外の利便性をもたらす。例えば、水を吸収したときに、このヒドロゲル被覆26は膨潤し、結果として架橋結合同士の領域を増大させ、孔を生成する。例えば、このヒドロゲル被覆26の最大の含水率において、この被覆は、約1nm〜約10μmなる範囲、幾つかの態様においては、約10nm〜約1μmなる範囲、また幾つかの態様においては、約50nm〜約100nmなる範囲の平均径を持つ孔を持つことができる。
【0015】
上記の如き膨潤する能力のために、該ヒドロゲル被覆26内に、活性薬剤を配合し、そこから該薬剤を調節自在に遊離させて、使用者22に対し幾つかの利便性を付与することができる。具体的には、予想される使用状態は、種々の起源の水分、例えば洗浄に起因する使用者の手の上に存在する水、哺乳動物の汗腺から分泌される水分等に対する、このヒドロゲル被覆26の暴露である。例えば、ヒトの汗腺には、2種の型、即ちエクリンおよびアポクリンがある。アポクリン腺は、腋の下および耳、臍、乳頭および肛門性器間領域近傍のみにおいて見られ、臭気腺である。しかし、エクリン腺は、手を含む身体全体に存在し、また体温の調節を司っている。明らかに、このエクリン腺から分泌される流体の量は、体温に依存しているが、寒い日においてさえ、経皮による幾分かの水分の喪失も、同様に生じているであろう。弾性手袋(例えば、外科手術用の手袋)は、しばしば使用者の手にしっかりと適合しており、外気により、容易に手が冷やされないようになっているので、手袋を着用している場合には、使用者の手の温度が増大し易い。この温度増加は、該エクリン腺による更なる流体の分泌を引起こす可能性がある。
【0016】
従って、使用者の皮膚近傍に配置された場合、このヒドロゲル被覆26は、該エクリン腺により分泌される流体、またはある他の源由来の流体に常に暴露されるであろう。この暴露は、該ヒドロゲル被覆26の水和度の増大、および対応する該ヒドロゲル被覆の孔径の増大に導く。この孔径の増大に伴って、該架橋されたヒドロゲル網状構造における活性薬剤が遊離し得る。一旦放出されると、この活性薬剤は、細胞レベルにおいて上皮組織と直接相互作用して、皮膚に対して利便性をもたらす。あるいはまた、この活性薬剤は、皮膚表面またはその近傍において、様々な成分と相互作用して、所定の利便性を与えることができる。
【0017】
該活性薬剤は、該ヒドロゲル被覆26の成形前、その最中および/またはその後に、その内部に配合することができる。例えば、一態様において、該活性薬剤は、架橋前に、上記のヒドロゲル-生成ポリマーおよび架橋剤と混合することができる。架橋した場合に、該活性薬剤は、生成する3-次元網状構造内に保持される。上記の如く、該活性薬剤は、該ヒドロゲルの形成後に適用することも可能である。例えば、該ヒドロゲル被覆26に、該活性薬剤を含有する水性溶液を適用することができる。上記の如く、この水性溶液は、該ヒドロゲル被覆26を水和し、その有孔率の増大を引起こす。この高い有孔率のために、該活性薬剤は、該孔を介して、該架橋されたヒドロゲルの網状構造内に拡散することができる。その後、このヒドロゲル被覆26を乾燥し、その内部に該活性薬剤を保持させる。典型的には、この活性薬剤の粒径は、乾燥時に、該ヒドロゲルの網状構造内に該薬剤が物理的に保持されるように、該ヒドロゲルの孔径よりも小さい。該ヒドロゲル被覆26内での該活性薬剤の物理的保持とは別に、該薬剤は、また例えば共有結合、イオン結合、または水素結合を介して、該ヒドロゲルに化学的に結合することもできる。
【0018】
一般的に言えば、この「活性薬剤(active agent)」は、所定の結果を与えることのできる任意の化合物またはその混合物であり得る。固体状であれ、液体状であれ、該活性薬剤は、典型的には水性系に対して十分に可溶性または混和性であって、該架橋されたヒドロゲル網状構造の孔を通して放出し得るものとなり得る。このような活性薬剤の例は、薬物、スキンコンディショナー、植物性薬剤等を含むが、これらに限定されない。「薬物(drugs)」とは、任意の生理的または薬理的に活性な物質を含み、これらは、動物内で局部的な、または全身的な効果を発生する。放出できるこれら薬剤は、抗-炎症剤、免疫抑制剤、抗-微生物剤、麻酔薬、鎮痛剤、ホルモン剤、抗-ヒスタミン剤等を含むが、これらに限定されない。多数のこのような化合物が当業者には公知であり、例えば治療薬の薬理的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics), Hardman, Limbird, Goodman & Gilman, マグローヒル(McGraw-Hill), N.Y., (1996)並びにNiemiec等の米国特許第6,419,913号、Mantelle等の米国特許第6,562,363号、Rothbard等の米国特許第6,593,292号、Allen, Jr.の米国特許第6,567,693号、およびLavi等の米国特許第6,645,181号に記載されている。あらゆる目的のために、これら文献の内容全体を本発明の参考とする。活性薬剤の幾つかの例をここに記載したが、本発明は、特定の活性薬剤に何等限定されるものではないものと理解すべきである。事実、如何なる使用者に対しても、あらゆる利便性を持つ任意の活性薬剤を、本発明に従って使用できる。
【0019】
この点に関連して、一群の適当な薬物は、抗-炎症剤、例えばグルココルチコイド(アドレノコルチコイドステロイド)を包含する。グルココルチコイドの例は、ヒドロコルチゾン、プレニゾン(prenisone)(デルタゾン(deltasone))およびプレドリソンロン(predrisonlone)(ハイデルタゾール(hydeltasol))を包含する。グルココルチコイドは、炎症性の皮膚疾患、例えば湿疹(例えば、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎およびアレルギー性皮膚炎)、水泡性疾患、膠原病性血管疾患(collagen vascular diseases)、サルコイドーシス、スイート病、壊疽性膿皮症、I型反応性らい病、毛細血管腫、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、ホルモン分泌異常(アクネおよび多毛症を含む)、毒性表皮性壊死、多形紅斑、皮膚T-細胞リンパ腫、紅斑性狼瘡等を治療するのに使用できる。レチノイド類、例えばレチノール、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチナート、アシトレチン、およびアロチノイドを使用することも可能である。レチノイド類を使用して治療できる可能性のある状態は、例えばアクネ、角質化障害、乾癬、皮膚の老化、紅斑性狼瘡、硬化性粘液水腫、イボ状表皮性母斑、角質層下膿疱性皮膚病、ライター症候群、イボ、扁平苔癬、黒色表皮腫、サルコイドーシス、グローバー(Grover's)病、汗孔角化症等を含むが、これらに限定されない。他の適当な抗-炎症性薬物はCOX-2阻害剤、例えばセレコキシブ(celecoxib)、メロキシカム、ロフェコキシブ(rofecoxib)、およびフロスリド(flosulide)である。これらの薬物は、遊走細胞内の前-炎症性刺激によって誘発され、かつ組織に炎症を起こす、該COX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)酵素の生産を阻害する。更に、非-ステロイド系の薬物(NSAIDs)も使用することができる。NSAIDsの例は、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、フェニルブタゾン、ブロムフェナク、スリンダク、ナブメトン、ケトロラク、メフェナム酸、およびナプロキセンを包含するが、これらに限定されない。
【0020】
免疫抑制薬物は、該活性薬剤を選択することのできる、追加の薬物群を構成する。これらの薬物は、分裂過多(hyperproliferative)疾患、例えば乾癬、並びに免疫疾患、例えば水泡性皮膚病、および白血球破砕性(leukocytoclastic)血管炎を治療するために使用できる。このような薬物の例は、代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、アザチオプリン、フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、6-チオカニン(6-thioquanine)、ミコフェノレート、クロラムブシル(chlorambucil)、ビニクリスチン(vinicristine)、ビンブラスチン、およびダクチノマイシン;アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、メクロロエタミン(mechloroethamine)塩酸塩、カルムスチン、タキソール、タクロリムス(tacrolimus)、およびビンブラスチン等を含むが、これらに限定されない。
【0021】
もう一つの適当な薬物群は抗-微生物剤、例えば抗菌薬、抗-真菌薬、抗-ウイルス薬等を包含する。抗菌薬は、アクネ、皮膚感染症等の状態を治療するために有用である。例えば、幾つかの適当な抗-微生物剤は、ビスフェノール類、例えば2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン(triclosan));四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム;p-ヒドロキシ安息香酸のエステル、例えばメチルパラベン;ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドドナー、例えば2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ヒダントイン、ジアゾリジニルウレア、およびイミダゾリジニルウレア;アルキルイソチアゾリノン(alkylisothiazolinones);フェノキシエタノール;クロルヘキシジングルコネート;p-クロロメタキシレノール(PCMX);キトサン、例えばキトサンピロリドンカルボキシレート;これらの組み合わせ等を含むが、これらに限定されない。抗真菌薬も、体幹白癬、足部白癬、爪真菌症、カンジダ症、クロナマズ、爪真菌症等の状態を治療するために有用である。抗真菌薬の例は、アゾール系の抗真菌薬、例えばイトラコナゾール、ミコナゾールおよびフルコナゾールを含むが、これらに限定されない。抗-ウイルス薬の例は、アシクロビル、ファムシクロビルおよびバラシクロビル(valacyclovir)を含むが、これらに限定されない。このような薬剤は、ウイルス性疾患、例えばヘルペスの治療にとって有用である。
【0022】
抗-ヒスタミン薬は、更に別の適当な薬物群である。このような抗-ヒスタミン薬の例は、テルフェナジン、アステミゾール、ロロタジン(lorotadine)、セチリジン、アクリバスチン、テメラスチン、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン等を含む。これらの薬物は、掻痒症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬等の状態の治療にとって有用である。更に、局所麻酔剤は、使用できるもう一つの薬物群を構成する。このような局所麻酔剤の例は、リドカイン、ブピバカイン、ノボカイン(novocaine)、プロカイン、テトラカイン(tetracaine)、ベンゾカイン、メピバカイン、エチドカイン、2-クロロプロカイン塩酸塩等を含むが、これらに限定されない。
【0023】
薬物以外にも、種々の他の活性薬剤を、本発明の手袋から放出することができる。例えば、幾つかの態様においては、該活性薬剤は、スキン-コンディショナーであり得、これは保水性、柔軟性、肌理、および皮膚に係る他の特性を改善できる。このようなスキン-コンディショナーの一例は、エモリエント剤であり、これは乾燥皮膚を、より正常な水分バランスにまで回復させるのに役立つ。具体的には、エモリエント剤は、ブレンドした油脂を皮膚に適用することにより、皮膚に作用して、これを柔軟にし、その角質層における割れおよび亀裂の幾分かを修復し、皮膚内に水分を取込む保護膜を形成する。本発明において使用するのに適したものであり得るエモリエント剤は、ミツロウ、ステアリン酸ブチル、サーマイド(cermides)、パルミチン酸セチル、ユーセライト(eucerit)、イソヘキサデカン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミンクオイル、鉱油、ナッツオイル、オレイルアルコール、石油ゼリーまたはワセリン、グリセラル(glyceral)ステアレート、アボカド油、ホホバ油、ラノリン(またはウールワックス)、ラノリン誘導体、例えばラノリンアルコール、レチニル(retinyl)パルミテート(ビタミンA誘導体)、セテアリル(cetearyl)アルコール、スクアラン、スクアレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ミリスタル(myristal)ミリステート、様々な脂質、デシルオレエートおよびヒマシ油を含むが、これらに限定されない。他の可能なスキン-コンディショナーは、保湿剤であり、これは、空気中から水分を取込み、かつこれを皮膚上に保持することによって、皮膚に水分を供給することができる。本発明において適したものであり得る保湿剤は、アラニン、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヒアルロン酸、天然湿潤性因子(Natural Moisturizing Factor; 皮膚用の天然保湿剤としての、アミノ酸と塩との混合物)、サッカリドイソメラーゼ、乳酸ナトリウム、ソルビトール、尿素等を含むが、これらに限定されない。更に別の適当なスキン-コンディショナーは、酸化防止剤、皮膚の酸化を防止し、もしくはこれを遅らせ、結果的に皮膚をその早期の老化から保護する、一群の物質を包含する。酸化防止剤の例は、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンAパルミテート、ブチル化ヒドロキシトルエン、フェノール、フェノール誘導体、チオジプロピオネートエステル、ヒドロキノン誘導体、アルキル化アリールアミン、これらの組み合わせ等を含むが、これらに限定されない。
【0024】
該活性薬剤は、また潜在的に膨潤、痒み、充血等を軽減することのできる植物性薬剤であっても良い。使用可能な幾つかの植物性薬剤の例は、セイヨウニンジンボク、アロエベラ、ヒレハリソウ、キンセンカ、ドングクアイ(dong quai)、米国東部産キンポウゲ科サラシナショウマ属植物、カミルレ、マツヨイグサ、オトギリソウ(Hypericum perforatum)、カンゾウの根、クロフサスグリ種子油、セントジョーンズ(St. John's)草(オトギリソウ属植物)、茶の抽出物、セイヨウヤマハッカ、トウガラシ、ローズマリー、アレカカテキュ、ヤエナリ、ルリジサ種子油、アメリカマンサク、コロハ、ラベンダー、大豆、アーモンド、カミルレ抽出物(例えば、ビサボロール)、ニワトコ属植物、花蜜、ベニバナ油、およびエラスチンを含むが、これらに限定されない。
【0025】
上記ヒドロゲル被覆26は、任意の適当な方法を用いて、上記支持本体24に適用できる。例えば、本発明においては浸漬、噴霧、パッティング、タンブリング等の技術を使用できる。乾燥時点の、該ヒドロゲル被覆26の厚みは、約0.05〜約50μmなる範囲、幾つかの態様では、約0.1〜約20μmなる範囲、および幾つかの態様では、約1〜約10μmなる範囲であり得る。このような薄い被覆は、該手袋20に対して、高い着用上の利便性をもたらす可能性がある。更に、乾燥されたヒドロゲル被覆26は、1gの上記手袋20につき、約0.0001〜約1gなる範囲、幾つかの態様では、該手袋1g当たり、約0.001〜約0.5gなる範囲、および幾つかの態様では、該手袋1g当たり、約0.01〜約0.2gなる範囲で含まれる。
上に述べたように、潤滑性被覆32も、湿潤時の着用を助けるために、ヒドロゲル被覆26上に設けることができる。この潤滑性被覆32は、該ヒドロゲル被覆26の一部のみを覆うものであっても、あるいはその全表面を覆うものであっても良い。例えば、例示した態様では、この潤滑性被覆32は、該ヒドロゲル被覆26の全表面を覆っており、また使用中に着用者22の身体と接触する、該手袋20の着用者との接触面27を画成する。しかし、これとは別に、該潤滑性被覆32は、該支持本体30の、未だ該ヒドロゲル被覆26によって覆われていない部分のみを覆うことも可能である。
【0026】
任意の、様々な周知の材料を使用して、該潤滑性被覆32を製造することも可能である。例えば、適当な潤滑剤は、Modha等の米国特許出願第2003/0118837に記載されているような、シリコーンエマルションを含む。あらゆる目的のために、この文献の内容全体を本発明の参考とする。このシリコーンエマルションの固形分含有率は、約0.1質量%〜約10質量%なる範囲、幾つかの態様では、約0.25質量%〜約5質量%なる範囲、および幾つかの態様では、約0.3質量%〜約1質量%なる範囲であり得る。市販品として入手できるシリコーンエマルションの固形分含有率を下げるために、例えば追加の量の溶媒を使用することができる。この固形分含有率を変えることによって、該手袋20中のシリコーンの存在を調節することができる。例えば、高度の着用性を持つ手袋を得るために、より高率のシリコーンを、この被覆32の製造中、これに配合するように、このシリコーンエマルションは、比較的高い固形分含有率をもつことができる。該潤滑性被覆32の厚みを変えることも可能である。例えば、この厚みは、約0.001mm〜約0.4mmなる範囲であり得る。もう一つの態様では、この厚みは、約0.01mm〜約0.30mmなる範囲であり得る。更に別の態様では、この厚みは、約0.01mm〜約0.20mmなる範囲であり得る。
【0027】
一特定の態様においては、該潤滑性被覆32を製造するのに使用する該シリコーンエマルションは、DC365であり、これはダウコーニング社(Dow Corning Corporation)(ミシガン州、ミッドランド)から市販品として入手でき、40-70%の水(水性溶媒)、30-60%のメチル-変性ポリジメチルシロキサン(シリコーン)、1-5%のプロピレングリコール(非水性溶媒)、1-5%のポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(ノニオン性界面活性剤)、および1-5%のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(ノニオン性界面活性剤)を含むものと考えられている、予備的に乳化されたシリコーン(固形分含有率:35%)である。もう一つの態様では、このシリコーンエマルションは、SM 2140 (固形分含有率:50%)であり、これはGEシリコーンズ(GE Silicones)社(N.Y.州、ウォーターフォード)から市販品として入手でき、30-60%の水(水性溶媒)、30-60%のアミノ-変性ジメチルポリシロキサン(シリコーン)、1-5%のエトキシル化ノニルフェノール(ノニオン性界面活性剤)、1-5%のトリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキシエタノール(ノニオン性界面活性剤)、および低割合の様々な他の成分を含むものと考えられている、予備的に乳化されたシリコーンである。更に別の態様では、このシリコーンエマルションは、SM 2150 (固形分含有率:50%)であり、これはGEシリコーンズ社(N.Y.州、ウォーターフォード)から市販品として入手でき、30-60%の水(水性溶媒)、30-60%のアミノ-変性ジメチルポリシロキサン(シリコーン)、1-5%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、1-5%のノニオン性界面活性剤、および低割合の様々な他の成分を含むものと考えられている、予備的に乳化されたシリコーンである。所望により、これらの予備的に乳化されたシリコーンを、該潤滑性被覆32において使用する前に、水または他の溶媒で希釈することができる。
【0028】
該潤滑性被覆32は、またカチオン性界面活性剤(例えば、セチルピリジニウムクロリド)、アニオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、またはノニオン性界面活性剤をも含むことができる。例えば、一態様において、該潤滑性被覆32は、四級アンモニウム化合物、例えばバリソフト(Varisoft) BTMS(オハイオ州、ダブリンのゴールドシュミットケミカル社(Goldschmidt Chemical Corp.)から入手できる)およびジェネラルエレクトリックシリコーン(General Electric Silicone)社から入手できるシリコーンエマルション(AF-60)を含む。バリソフトBTMSは、ベヘニルトリメチル硫酸およびセチルアルコールを含み、一方AF-60は、ポリジメチルシロキサン、アセチルアルデヒドおよび低割合の乳化剤を含む。様々な他の適当な潤滑剤は、例えばChenの米国特許第5,742,943号およびWeikel等の同第6,306,514号に記載されている。あらゆる目的のために、これら文献の内容全体を本発明の参考とする。
【0029】
更に、上記層に加えて、本発明の手袋20は、更に所望によって、追加の層を含むことができる。例えば、一態様において、この手袋20の把持表面30は、上に記載した如きシリコーンエマルションを含むことができ、これは表面30の塩素化を阻害することにより、該手袋20の把持特性を改善する。
本発明に従って製造した弾性物品は、一般的に当分野において公知の様々な方法を用いて製造できる。事実、弾性物品を製造し得る任意の方法を、本発明において利用できる。例えば、弾性物品の製造技術は、浸漬、噴霧、塩素化、乾燥、硬化、並びに当分野において公知の任意の他の技術を用いることができる。この点に関連して、天然ゴムラテックスから製造する、手袋の「オンライン」浸漬-製造法の一態様を、以下においてより詳細に説明する。
【0030】
先ず、任意の周知の浸漬型、例えば金属、セラミックス、またはプラスチック製の浸漬型を準備する。ここでは、手袋の形状を持つ浸漬型を説明するが、浸漬型は、任意の他の形状(例えば、コンドーム形の形状)を持つ、浸漬型を本発明に従って使用して、様々な形状を持つ物品を製造することができるものと理解すべきである。この浸漬型を、凝固剤、界面活性剤、水および場合により他の成分、例えばカルシウムイオンを含む塩(例えば、硝酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウム)を含む浴に浸漬して、天然ゴムラテックスエマルションの保護系を破壊する。該塩は、また該浸漬型からの該粘着性ラテックスの除去を容易にすることができ、かくして放出作用物として機能する。該界面活性剤は、良好な湿潤性を与えて、メニスカスの生成を回避し、該型と堆積したラテックスとの間、特に折返し部分に空気を取込む。所望により、該浸漬型を予備加熱し、その余熱で水分をとばして、例えば硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、および界面活性剤を該浸漬型の上に残す。他の適当な凝固剤溶液が、Joungの米国特許第4,310,928号にも記載されている。あらゆる目的のため、この文献の内容全体を本発明の参考とする。
【0031】
該凝固剤組成物に浸漬した後、該浸漬型を取出し、乾燥させる。次いで、この浸漬型を、天然ゴムラテックス浴液を含むタンクに浸漬して、上記支持本体24を形成する。この浴は、例えば天然ゴムラテックス、安定剤、酸化防止剤、硬化活性化剤、有機促進剤、加硫剤等を含む。該安定剤は、例えばホスフェート型の界面活性剤であり得る。該酸化防止剤は、フェノールを基本とする化合物、例えば2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、であり得る。該硬化活性化剤は、酸化亜鉛であり得る。該有機促進剤は、ジチオカルバメートであり得る。該加硫剤は、硫黄または硫黄-含有化合物であり得る。これら物質を使用する場合、該安定剤、酸化防止剤、活性化剤、促進剤および加硫剤は、小片の形成を回避すべく、ボールミルを使用して、水中に分散させることができる。次いで、この分散液を該ラテックスと混合する。該浸漬型の上に所定の厚みを持つラテックス層を堆積させるのに十分な回数に渡り、一種またはそれ以上のラテックス浴に、該浸漬型を浸漬する。一例として、該支持本体24は、約0.1〜約0.3mmなる範囲の厚みを持つことができる。幾つかの態様においては、ビーズロールステーション(bead roll station)を使用して、該手袋20に折返し部分を付与することができる。次に、このラテックスで被覆した浸漬型を、熱水が循環されている滲出タンク内に浸漬して、水溶性の成分、例えば残留硝酸カルシウムおよび天然ラテックス中に含まれるタンパク質を除去する。この滲出工程は、タンク内の水温約49℃にて、約12分間継続することができる。
【0032】
次いで、該被覆浸漬型を、該手袋20のヒドロゲル被覆26を形成するための溶液に、1回またはそれ以上に渡り浸漬することができる。一態様においては、該浸漬型を、水溶性のヒドロゲル生成ポリマーまたはこのようなポリマーの混合物を含む水性溶液中に浸漬する。この水性組成物は、例えば約0.1質量%〜約30質量%なる範囲のヒドロゲル生成ポリマー、幾つかの態様では、約0.5質量%〜約10質量%なる範囲のヒドロゲル生成ポリマー、および幾つかの態様では、約1質量%〜約5質量%なる範囲のヒドロゲル生成ポリマーを含むことができる。該水性溶液は、また約0.01質量%〜約10質量%なる範囲の架橋剤を、幾つかの態様では、約0.1質量%〜約5質量%なる範囲の架橋剤を、および幾つかの態様では、約0.2質量%〜約2質量%なる範囲の架橋剤を含むことができる。水は、典型的に該水性溶液の約70質量%〜約99.9質量%、および幾つかの態様では、約90質量%〜約99質量%を構成する。
【0033】
この水性溶液は、他の成分を含むこともできる。例えば、この溶液は、また該ヒドロゲル被覆26から放出することのできる活性薬剤を含むことができる。使用する該活性薬剤の量は、その型、ヒドロゲルの型等に応じて変動する可能性がある。具体的には、緩慢な放出速度を与えるヒドロゲルは、迅速な放出速度を与えるヒドロゲルよりも、高い活性薬剤含有率を必要とする可能性がある。例えば、該水性溶液は、約0.0001質量%〜約30質量%なる範囲の活性薬剤を含み、幾つかの態様では、約0.001質量%〜約10質量%なる範囲の活性薬剤を含み、および幾つかの態様では、約0.1質量%〜約5質量%なる範囲の活性薬剤を含むことができる。更に、例えば、架橋工程を開始または加速するために、p-トルエンスルホン酸または塩酸等の触媒を使用することができる。Goldstein等の米国特許第6,242,042号に記載されているような、重合開始剤を使用することも可能である。あらゆる目的のために、この文献の内容全体を本発明の参考とする。pH調節剤、例えば酸または塩基を添加して、所定のpHを達成することもできる。
【0034】
一旦被覆したら、該浸漬型を、硬化ステーション(例えば、オーブン)に送り、そこで該天然ゴムを加硫し、かつ該ヒドロゲル形成ポリマーを架橋する。所望により、該硬化ステーションでは、先ずあらゆる残留水を除去し、次いでより高温での加硫および架橋段階に進むこともできる。例えば、該ヒドロゲル形成ポリマーの架橋は、約25〜約200℃、幾つかの態様では、約50〜約150℃、および幾つかの態様では、約70〜約120℃にて、約1分〜約12時間、幾つかの態様では、約5分〜約5時間、および幾つかの態様では、約10分〜約1時間加熱することによって開始することができる。加硫は、該ヒドロゲル形成ポリマーの架橋と同時に起っても、また異なる時点において起ってもよい。所望により、該オーブンを、異なる4つのゾーンに分割し、浸漬型を、徐々に上昇する温度を持つこれらゾーンを介して搬送してもよい。その一例は、4つのゾーンを持ち、その初めの2つのゾーンは、専ら乾燥するためのものであり、かつ残りの2つのゾーンは、主として該ヒドロゲル形成ポリマーの加硫および架橋のためのものであるようなオーブンである。これらゾーン各々は、僅かに高い温度を持つことができ、例えば第一のゾーンは約80℃にあり、第二のゾーンは約95℃にあり、第三のゾーンは約105℃にあり、かつ第四のゾーンは約115℃にある。該浸漬型の滞留時間は、例えば約10分である。
【0035】
該手袋20を製造するのに使用した技術とは無関係に、従来「オフライン」(即ち、剥取り後)に行われていた様々な処理段階は、本発明によれば「オンライン」で行うことができる。例えば、潤滑性被覆32は、該手袋20が、未だ浸漬型上に存在する間に、これに適用することができる。一特定の態様では、先ずシリコーンエマルションを、高剪断ミキサーを用いて、水と十分に混合して、所定の固形分含有率を持つ均一な溶液を得る。その後、得られたエマルションを、様々な方法で、該手袋20を該浸漬型から取外すことなしに、これに適用する。例えば、このシリコーンエマルションは、公知の噴霧ノズルを使用して、該手袋20に吹付けることができる。あるいはまた、該手袋20を、シリコーンエマルションに浸漬して、該潤滑性被覆32を生成し得る。一旦該シリコーンエマルションを適用した後、このシリコーン被覆した手袋を乾燥する。例えば、幾つかの態様においては、該シリコーン被覆した手袋を、約20〜約200℃なる範囲、幾つかの態様においては、約30〜約150℃なる範囲、および幾つかの態様においては、約35〜約115℃なる範囲の温度にて乾燥することができる。所定の乾燥温度は、上記支持本体24を製造するのに使用した上記ポリマーに依存して、広い範囲で変えることができる。
【0036】
該潤滑性被覆32の適用に加えて、該手袋20が依然として浸漬型上に存在する間に、「オンライン」でこれをハロゲン化することができる。例えば、溶解した塩素を含む水性溶液中に、該手袋20を浸漬することによって、その塩素化を行うことができる。塩素濃度を監視し、かつ調節して、塩素化度を制御することができる。この塩素濃度は、典型的に少なくとも約100ppm、幾つかの態様においては、約200〜約3500ppmなる範囲、および幾つかの態様においては、約300〜約600ppmなる範囲、例えば約400ppmである。この塩素化段階の期間を調節して、塩素化度を制御することもでき、これは、例えば約1〜約10分なる範囲、例えば4分間であり得る。該手袋20を、水道水にて、ほぼ室温条件下で洗浄することができる。この洗浄サイクルは、必要ならば繰返しても良い。一旦全ての水を除いた後、該手袋20を乾燥して、過剰量の水分を除去することができる。他の塩素化技術は、Kavalirの米国特許第3,411,982号、Agostinelliの同第3,740,262号、Homsy等の同第3,992,221号、Momoseの同第4,597,108号、およびMomoseの同第4,851,266号、Littleton等の同第5,792,531号に記載されている。あらゆる目的のために、これら文献の内容全体を本発明の参考とする。
【0037】
その後、該手袋20を、該浸漬型から剥取り、裏返すことができる。該ヒドロゲル被覆26は、該粘着性の支持本体24自体がくっ付き合うのを防止する。裏返し、かつ該浸漬型から取外すと、該ヒドロゲル被覆26および随意の潤滑性被覆32は、該手袋20の着用者との接触面27を形成する。時として望ましからぬことであるが、この手袋20は、場合により、様々な「オフライン」処理、例えば塩素化および/または潤滑化処理に掛けることができる。
【実施例】
【0038】
以下の実施例を参照することによって、本発明を更に良く理解することができる。
本発明によって、弾性物品の製造が可能であることを立証した。先ず、手袋の形状にある浸漬型を、凝固剤組成物を含む浸漬タンクに浸した。具体的には、この凝固剤組成物は、15質量%の硝酸カルシウム、6質量%の炭酸カルシウム、0.15%の界面活性剤、および水を、得られる固形分含有率が約21%となるように含んでいた。該浸漬型をこの凝固剤に浸漬した後、該凝固剤組成物から取出し、温度115℃にて乾燥させた。次いで、この浸漬型を、天然ゴムラテックスの配合物に浸漬し、次いで風乾させた。この得られた支持本体を、ビーズ処理し、かつ水で滲出した。得られた該支持本体の厚みは、0.27mmであった。
次に、この手袋を、マレーシア、セランゴール(Selangor)のデルタポリマーシステムズ(Delta Polymer Systems) Sdn. Bhd.から、「アクティブボンドACTIVE BOND」として入手できるポリアルコールを主成分とするプライマー(最低固形分含有率:20%)中に5〜10秒間浸漬した。このプライマーを乾燥した後、該手袋を、水、リン酸、「ビオシルク(BYOSYLK)」、「ビオシルク」パート(Part) B、および「ビオシルク」パートAを含む、周期的に混合した溶液に、5〜10秒間浸漬した。「ビオシルク」は、ポリアクリレートを主成分とし、かつ最低固形分含有率10%を有し、一方「ビオシルク」パートBおよび「ビオシルク」パートAは、ポリアルコールを主成分とし、かつ夫々最低固形分含有率80%および11%を有する。「ビオシルク」、「ビオシルク」パートBおよび「ビオシルク」パートAは、各々マレーシア、セランゴールのデルタポリマーシステムズSdn. Bhd.から入手できる。得られたこのヒドロゲル被覆の厚みは、2〜4μmなる範囲内であった。
【0039】
該ヒドロゲル形成溶液を適用した後、この手袋を第二のビーディング(beading)ステーションに送り、130〜150℃のオーブンに40〜60分間入れ、そこで該ヒドロゲルポリマーおよび該天然ゴムポリマー組成物を硬化させた。この被覆した浸漬型を冷却し、塩素(50〜200ppmなる範囲の濃度)を含む溶液に、5〜10秒間浸漬して、該ヒドロゲルを塩素化した。この被覆した浸漬型を、次に水道水を含むタンクに浸漬し、5〜10秒間0.3〜1.0質量%なる範囲の固形分含有率を持つシリコーンエマルションに浸漬した。この被覆を、引続き100〜120℃にて乾燥し、次いで該浸漬型から剥取った。
以上、本発明を、その特定の態様に関連して詳しく説明してきたが、当業者は、上記説明を理解するに際して、これら態様の種々な代替物、変更、並びに等価物に、容易に思い至るであろう。従って、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲およびこれに等価な範囲にあるものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に従って製造した弾性手袋の一態様に関する斜視図である。
【図2】図1のライン2-2に沿って取った、図1の手袋の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
20・・・手袋
22・・・使用者
24・・・支持本体
26・・・ヒドロゲル被覆
27・・・着用者との接触面
28・・・内側表面
30・・・把持表面
32・・・潤滑性被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性手袋の製法であって、
支持本体製造用の弾性材料を含む少なくとも一つの浴に、手の形状にある浸漬型を浸漬する工程、ここで該支持本体は内側表面と外側表面とを有し、これら表面は手の形状を持つ空洞を画成し、該内側表面は手の形状にある浸漬型に隣接して配置され、
支持本体の内側表面を手の形状にある浸漬型と隣接した状態に保ったまま、支持本体の外側表面にヒドロゲル被覆を適用する工程、ここでヒドロゲル被覆は、約0.1〜約20μmなる範囲の厚みを持ち、および
その後、粘着防止粉末を使用すること無しに、手の形状にある浸漬型から手袋を剥ぎ取る工程を含み、ここで該手袋は裏返されて、ヒドロゲル被覆の適用を受けた支持本体の外側表面が、手の形状を持つ空洞に使用者の手が挿入されたときに、この手と面するように形成されていることを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
更に、潤滑性被覆を、該支持本体の外側表面に適用する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該手袋を、該手の形状にある浸漬型から剥ぎ取る前に、該潤滑性被覆を適用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該ヒドロゲル被覆が、ヒドロゲル-生成ポリマーを架橋して、実質的に水不溶性のヒドロゲル網状構造を形成することにより作られる、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
該ヒドロゲル-生成ポリマーが、親水性かつ水溶性の、少なくとも1種のモノマーから作られたものである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
該モノマーがビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、アクリルアミド、ビニルアルコール、エチレンオキシド、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該モノマーがヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
弾性手袋の製法であって、
支持本体製造用の弾性材料を含む少なくとも一つの浴に、手の形状にある浸漬型を浸漬する工程、ここで該支持本体は内側表面と外側表面とを有し、これら表面は手の形状を持つ空洞を画成し、該内側表面は手の形状にある浸漬型に隣接して配置され、
支持本体の内側表面を手の形状にある浸漬型と隣接した状態に保ったまま、支持本体の外側表面に、ヒドロゲル被覆および潤滑性被覆を適用する工程、ここでヒドロゲル被覆は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーから作られ、および
その後、粘着防止粉末を使用すること無しに、該手の形状にある浸漬型から、該手袋を剥ぎ取る工程を含み、ここで該手袋は裏返されて、該ヒドロゲル被覆の適用を受けた該支持本体の該外側表面が、該手の形状を持つ空洞に使用者の手が挿入されたときに、この手と面するように形成されていることを特徴とする、上記方法。
【請求項9】
支持本体の弾性材料が、エマルション系弾性材料を含む、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
該エマルション系弾性材料が、天然ゴムラテックス、イソプレンポリマー、クロロプレンポリマー、塩化ビニルポリマー、ブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、カルボキシル化スチレン-ブタジエンポリマー、アクリロニトリル-ブタジエンポリマー、カルボキシル化アクリロニトリル-ブタジエンポリマー、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエンポリマー、カルボキシル化アクリロニトリル-スチレン-ブタジエンポリマー、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該支持本体の該弾性材料が、天然ゴムラテックスである請求項9記載の方法。
【請求項12】
弾性物品の製法であって、
支持本体製造用の弾性材料を含む少なくとも一つの浴に、浸漬型を浸漬する工程、ここで該支持本体の弾性材料は天然ゴムラテックスを含み、該支持本体は、空洞を画成する内側表面と外側表面とを有し、該内側表面は該浸漬型と隣接して配置されており、
支持本体の内側表面を浸漬型と隣接した状態に保ったまま、支持本体の外側表面にヒドロゲル被覆および潤滑性被覆を適用する工程、および
その後、粘着防止粉末を使用すること無しに、浸漬型から弾性物品を剥ぎ取る工程を含み、ここで該弾性物品は裏返されて、該ヒドロゲル被覆および該潤滑性被覆の適用を受けた該支持本体の該外側表面が、該空洞に挿入されたときに、使用者の皮膚と面するように形成されていることを特徴とする、上記方法。
【請求項13】
該ヒドロゲル被覆が、ヒドロゲル-生成ポリマーを架橋して、実質的に水不溶性のヒドロゲル網状構造を形成することにより作られ、該ヒドロゲル-生成ポリマーが、親水性かつ水溶性の、少なくとも1種のモノマーから作られたものである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
該モノマーが、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、アクリルアミド、ビニルアルコール、エチレンオキシド、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
該モノマーがヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
該ヒドロゲル被覆が、約0.1〜約20μmなる範囲の厚みを持つ、請求項8〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
該潤滑性被覆が、シリコーンエマルション、界面活性剤、またはこれらの組合せを含む、請求項2〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
該ヒドロゲル被覆が更に、使用者に利便性を与えることが出来る活性薬剤を含む、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
更に、該手の形状にある浸漬型から、該手袋を剥ぎ取る前に、該手袋を塩素化する工程を含む、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
上記請求項の何れか1項に記載の方法により製造した、手袋またはコンドーム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−515565(P2007−515565A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543790(P2006−543790)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021612
【国際公開番号】WO2005/060856
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】