説明

弾性被膜形成ポリマーの塗膜を有する吸水性材料の製造方法

本発明は、a)0℃〜1500℃の範囲にある温度の流動層反応器内で吸水性ポリマー粒子に弾性被膜形成ポリマーを吹き付け塗装する工程、およびb)その被覆粒子を50℃を超える温度で熱処理する工程からなる(ただし、工程a)および/または工程bにおいて酸化防止剤が添加される)吸水性材料の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、弾性被膜形成ポリマーの被膜を有する吸収性ポリマーの製造方法に関する。
【0002】
オムツなどの使い捨て吸収性物品の重要な要素の一つが、吸収性ポリマー、例えばヒドロゲル形成吸水性ポリマーを含有する吸収性核構造であり、吸収性ゲル化材料、AGM、または超吸収性ポリマー、またはSAPとよばれている。このポリマー材料は、使用中に多量の体液、例えば尿を吸収して漏出を防ぎ、皮膚の濡れを防ぎ乾燥状態を保つ。
【0003】
特に有用な吸収性ポリマーあるいはSAPは、通常、比較的少量のジ−またはポリ−官能性モノマー、例えば、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、またはトリアリルアミンの存在下で、不飽和カルボン酸またはその誘導体、例えばアクリル酸、アクリル酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウムおよび/またはカリウム)またはアクリル酸のアンモニウム塩、アルキルアクリレート等を重合することにより得られる。このジ−またはポリ−官能性モノマー材料は、ポリマー鎖を軽く架橋させてポリマーを不水溶性ではあるものの吸水性とする役割を持つ。これらの軽く架橋した吸収性ポリマーは、ポリマー骨格に結合した多数のカルボキシル基を有する。一般的に中和したカルボキシル基は、架橋ポリマーネットワークによる体液吸収の浸透駆動力を発生させると考えられている。また、特に乳児用オムツ、成人失禁用具や生理用具の用途での性能を向上させるために、このポリマー粒子の外面には、しばしば表面架橋層が形成される。
【0004】
使い捨てのオムツなどの吸収性部材や用具の吸着剤として有用な吸水性(ヒドロゲル形成)ポリマーは、適度に高い吸収性能と適度に高いゲル強度を持つ必要がある。吸収性能は、その吸収性ポリマーが吸着用具を使用中に接触する多量の水性体液を吸収するのに足るものである必要がある。ゲルの他の性質と同様に、ゲル強度は、膨潤ポリマー粒子の応力下での歪みに抵抗する傾向と関係している。吸収性部材または用具のゲル強度は、十分高くする必要があり、粒子が変形しないか、体液吸収時に毛管状の空隙を可能な限り満たしていわゆるゲルブロッキングを起こす程度でなければならない。このゲルブロッキングは、流体の吸収速度または体液の分配を阻害する。つまり、ゲルブロッキングが起こると、吸着用具内の比較的乾燥した部分や領域への流体の分配を大きく阻害し、吸収性ポリマー粒子が完全に飽和する前に、または流体が「ゲルブロッキング」粒子を超えて吸着用具の他の部分に拡散又浸透する前に、吸着用具からの漏れが発生する。このため、吸収性ポリマーが(吸収性構造または用具に組み込まれた場合)、高い湿時気孔率を維持し、歪みに対する抵抗が大きく、その結果、膨潤ゲル層の流体通過の浸透速度が高いことが重要である。他方、膨潤ゲル層が狭い孔を有し、浸透メカニズムにより効率的な流体分布が行われることが有利である。
【0005】
比較的高い浸透性をもつ吸収性ポリマーは、内部架橋または表面架橋のレベルを増加させることで合成可能である。このような処理は、着用者による圧力などの外部圧力による膨潤ゲルの歪みに対する抵抗を増加させるが、通常ゲルの吸収性性能の低下をもたらすため望ましくない。浸透性を得るのに吸収性性能を犠牲にしなければならないのが、この従来のアプローチの欠点である。吸収性能が低いと衛生用具中に多量の吸収性ポリマーが必要となり、その結果、例えば着用中のオムツの中心の完全性の係わる問題点が発生する。したがって、この問題を解決するには、吸収性ポリマーの使用量の増加によりもたらされるコスト増に加え、特別な技術的課題や高価な対策が必要となる。
【0006】
この吸収性性能と浸透性の間のトレードオフのため、従来法では、以下の経験的関係で表される吸収性性能や浸透性の面で改善された吸収性ポリマーを製造することは非常に困難である。
(1)Log(CS−SFC′/150)≦3.36−0.133×CS−CRC
また、以下の経験的関係で表される吸収性性能や浸透性の面で改善された吸収性ポリマーを製造することはさらに困難である。
(2)Log(CS−SFC′/150)≦2.5−0.095×CS−CRC
したがって、次の関係(3)または(4)、または好ましくは(3)と(4)を満たす吸収性ポリマーを合成することが好ましい。
(3)Log(CS−SFC′/150)>3.36−0.133×CS−CRC
(4)Log(CS−SFC′/150)>2.5−0.095×CS−CRC
上記のいずれの式においても、CS−SFC′=CS−SFC×10であり、150の単位は[cms/g]である。
【0007】
上記の式(1)〜(4)において、次のようにCS−CRCをCCRCで置き換えても、
すべての式は有効である。したがって、以下の式(5)または(6)を満たす吸収性ポリマーを合成することが特に望ましい。
(5)Log(CS−SFC′/150)>3.36−0.133×CCRC
(6)Log(CS−SFC′/150)>2.5−0.095×CCRC
関係(5)と(6)において、CS−SFC′=CS−SFC×10であり、150の単位は、[cms/g]である。Logはbasis10の常用対数である。
【0008】
表面架橋の吸収性ポリマー粒子は、表面架橋シェルに閉じ込められており、水を十分吸し膨潤することができないことが多く、および/または表面架橋シェルは、膨潤または応力に耐えるほどの、あるいは負荷状態における性能に係わる応力に耐えるほどの強度を有しているわけではない。
【0009】
その結果、表面架橋被膜などの吸収性ポリマーの被膜またはシェルは、ポリマーが大きく膨潤したり長期間膨潤状態に放置されると、従来と同じように破裂することとなる。被覆および/または表面架橋された吸収性ポリマーや当業者には公知の超吸収材料は、使用時にかなり変形し、湿潤においてゲル材料が比較的低い気孔率および浸透性を持つようになる。
【0010】
本発明の目的は、この吸収性ポリマーを用いて製造した衛生用具の膨潤の間に、また好ましくはその寿命期間にわたって表面強度が保持できるように、さらに有利な表面の改質の工程を提供することである。
【0011】
EP−A−0703265は、アクリル酸/メタクリル酸分散液などの被膜形成ポリマーでヒドロゲルを処理して耐摩耗性吸着剤を製造する方法を開示している。使用される処理剤には、ポリウレタンが含まれる。しかし、そこで得られた吸収性粒子の不十分な吸収性能、特にCCRC、CS−CRCおよびCS−SFCに関する性能は低い。さらに、この引用文献は、膨潤中および使用中にその機械的特性を十分保持できる均一な被膜の製造方法について言及していいない。
【0012】
過去のPCT出願WO2005/014697、WO2005/014067、US2005/031868、US2005/031872およびUS2005/043474は、流動層反応器内での弾性被膜形成ポリマーを有するヒドロゲルの吹き付け塗装を開示している。しかし、酸化防止剤の添加に関しての開示はない。熱処理工程における最適アニール時間に関する開示はなく、有利な融合助剤(coalescing agent)に関する開示もない。
【0013】
一般に高温では、ヒドロゲルの性能の低下を抑えるため吸水性ポリマー粒子は不活性ガスまたは真空下で取り扱われる。いずれも良好な結果を与える。他の選択肢は、低温での取扱いであるが、この結果、反応時間の延長や生産高の低下がおこる。したがって本発明の目的は、空間的時間的生産性の高い吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、短い熱処理工程を有する方法を提供することである。また本発明の他の目的は、最適の熱処理時間を決定する方法、および最適化された性能をもつ吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することである。
【0014】
したがって本発明の目的は、高いコア・シェル遠心保持性能(CS−CRC)、高いコア・シェル負荷時吸収性(CS−AUL)および高いコア・シェル食塩水流動性(CS−SFC)を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することである。ただし、その吸収性ポリマーは、特に高いコア・シェル食塩水流動性(CS−SFC)を有していなければならない。
【0015】
したがって本発明の目的は、高い円柱遠心保持性能(CCRC)、高いコア・シェル負荷時吸収性(CS−AUL)および高いコア・シェル食塩水流動性(CS−SFC)を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することである。ただし、この吸収性ポリマーは、特に高いコア・シェル食塩水流動性(CS−SFC)を持っている必要がある。
【0016】
発明者らは、次の工程からなる方法で得られる吸水性材料により、でこの目的が達成できることを見出した。
a)0℃〜150℃の範囲の温度の流動層反応器内で吸水性ポリマー粒子を弾性被膜形成ポリマーで吹き付け塗装する工程、および
b)50℃を超える温度で被覆粒子を熱処理する工程、
(ただし、工程a)および/または工程b)において、酸化防止剤が添加される)。
【0017】
我々は、ある実施形態において、次の工程からなる方法で得られる吸水性材料によりこの目的が達成できることを見出した。
a)0℃〜150℃の範囲の温度の流動層反応器内で吸水性ポリマー粒子を弾性被膜形成ポリマーで吹き付け塗装する工程、および
b)50℃を超える温度で被覆粒子を熱処理する工程、
(ただし、工程a)および/または工程b)、好ましくは工程a)において、融合助剤が添加される)。
【0018】
我々は、ある実施形態において、次の工程からなる方法で得られる吸水性材料によりこの目的が達成できることを見出した。
a)0℃〜150℃の範囲の温度の流動層反応器内で吸水性ポリマー粒子を弾性被膜形成ポリマーで吹き付け塗装する工程、
b)50℃を超える温度で被覆粒子を熱処理する工程、
(ただし、工程b)において、得られるポリマー粒子のCS−SFC値が、最適CS−SFC値の少なくとも10%となるように熱処理時間が選択される)。
【0019】
上記および下記の本発明の対象の特徴は、本発明の範囲を外れることなく、明記した特定の組み合わせだけではなく他の組み合わせにおいても利用できるであろう。
【0020】
本明細書の範囲に含まれる不活性ガスは、各反応条件においてガス状で、これらの条件下で反応混合物成分やポリマーに酸化作用を持たない材料、およびこれらのガスの混合物である。有用な不活性ガスとしては、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴンや水蒸気が挙げられるが、窒素が好ましい。
【0021】
基本的には、超吸収性材料に関する文献、例えばModern Superabsorbent Technology,F.L. Buchholz,AT. Graham,Wiley 1998などにより当業者には公知のあらゆる吸水性高分子が、本発明の目的に有用である。これらの超吸収性粒子は、通常逆相懸濁重合で得られるような球状超吸収性粒子、フランクフルトソーセージ状超吸収性粒子、または楕円体状超吸収性粒子が好ましい。これらは、いくらかが凝集して不規則な粗粒子を形成していてもよい。噴射分散重合または他の気相分散重合により得られる円形粒子も、本発明の目的に有用である。しかし特に好ましいのは、以下に例を挙げて具体的に説明する現状の生産工程技術で得られる形状が不規則な市販の粒子である。本発明に有用な吸水性粒子の気孔率は、特に重要ではない。
【0022】
この本発明の方法により被覆されたポリマー粒子は、好ましくは 以下の成分からなるモノマー溶液の重合で得られたポリマー粒子である。
i) 少なくとも一つのエチレン性不飽和酸性官能性モノマー、
ii) 少なくとも一つの架橋剤、
iii) 必要なら、一つ以上の、i)と共重合可能なエチレン性および/またはアリル性の不飽和モノマー、および
iv) 必要なら、一つ以上の、モノマーi)、モノマーii)、および必要ならモノマーiii)が少なくとも部分的にグラフト可能な水溶性高分子、
ただし、このようにして得られたベースポリマーは、乾燥、分級され、
次いで必要なら、乾燥前に、
v) 少なくとも一つの後架橋剤
で処理して、および熱的に後架橋される(即ち、表面架橋)。
【0023】
有用なモノマーi)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよびイタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸や、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類などの誘導体が挙げられる。アクリル酸とメタクリル酸が、特に好ましいモノマーである。アクリル酸が最も好ましい。
【0024】
本発明で使用される吸収性ポリマーは、通常架橋されている。つまり、フリーラジカル的に共重合してポリマーネットワークを与る二つ以上の重合性基をもつ化合物の存在下に、重合が行われている。有用な架橋剤ii)の例としては、EP−A530438に記載されたようなエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン EP−A547847、EP−A559476、EP−A632068、WO93/21237、WO03/104299、WO03/104300、WO03/104301、およびDE−A10331450に記載されたようなジ−およびトリ−アクリレート類、DE−A10331456およびDE−A10355401に記載されたようなアクリレート基とエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート類、およびDE−A19543368、DE−A19646484、WO90/15830、およびWO02/32962に記載されたような架橋剤混合物が挙げられる。
【0025】
有用な架橋剤ii)の例としては、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノ−またはポリ−カルボン酸のポリオールエステル類、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジアクリレートまたはトリアクリレート類、(メタ)アクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、ポリアリルエステル類、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンオキシエタンやリン酸のアリルエステル類などのトリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリル化合物、および、例えばEP−A 343427に記載のビニルホスホン酸誘導体が挙げられる。有用な他の架橋剤ii)の例としては、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル、グリセロールトリアリルエーテル、ソルビトールのポリアリルエーテル、およびこれらのエトキシ化誘導体が挙げられる。本発明の方法では、分子量が300g/モル〜1000g/モルの範囲のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートの使用が好ましい。
【0026】
しかし、特に有利な架橋剤ii)は、合計3〜15重にエトキシ化グリセロールや合計3〜15重にエトキシ化されたトリメチロールプロパンのジ−およびトリ−アクリレート類であり、具体例としては、合計3重にエトキシ化されたグリセロール、合計3重にエトキシ化されたトリメチロールプロパン、3重にプロポシキ化されたグリセロール、3重にプロポシキ化されたトリメチロールプロパン、また合計3重に混合エトキシ化プロポシキ化されたグリセロール、合計3重に混合エトキシ化または、プロポシキ化されたトリメチロールプロパン、合計15重にエトキシ化されたグリセロール、合計15重にエトキシ化されたトリメチロールプロパン、合計少なくとも40重にエトキシ化されたグリセロールおよび合計少なくとも40重にエトキシ化トリメチロールプロパンのジ−およびトリ−アクリレート類が挙げられる。「n重にエトキシ化」とは、nモルのエチレンオキシドが1モルのポリオールに反応していることをいい、nは0以上の整数を表す。
【0027】
架橋剤ii)として使用に特に好ましいのは、例えばWO03/104301に記載の多重にエトキシ化および/またはプロポシキ化グリセロールのジアクリレート、ジメタクリレート、トリアクリレートまたはトリメタクリレートである。3〜10重にエトキシ化グリセロールのジ−および/またはトリ−アクリレートが特に有利である。特に好ましくは、1〜5重にエトキシ化および/またはプロポシキ化されたグリセロールのジ−またはトリ−アクリレートである。3〜5重にエトキシ化および/またはプロポシキ化されたグリセロールのトリアクリレートが最も好ましい。これらは、吸収性ポリマー中への残留レベルが特に少なく(通常、10ppm未満)、これを用いて製造した吸収性ポリマーの水抽出液の表面張力は、同温度の水の表面張力(通常、0.068N/m以上)とほとんど変わらない。
【0028】
モノマーi)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーiii)の例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレートおよびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートが挙げられる。
【0029】
有用な水溶性高分子iv)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアミンまたは ポリアリルアミン、部分加水分解ポリビニルホルムアミドやポリビニルアセトアミドが挙げられ、ポリビニルアルコールとデンプンが好ましい。
【0030】
ベースポリマーが軽く架橋している吸水性ポリマー粒子が好ましい。軽度の架橋はCRC値の上昇や抽出画分の増加につながる。
【0031】
架橋剤は、得られるベースポリマーの粒度が150〜850μmで、16時間抽出物画分が25質量%以下の場合、そのCRC値が20〜60g/gとなるような量で使用されることが好ましい(その分子量と組成による)。このCRC値は、好ましくは30と50g/gの間で、さらに好ましくは33と45g/gの間である。
【0032】
特に好ましくは、16時間抽出物画分が20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、最も好ましくは7質量%以下のベースポリマーであり、そのCRC値が上述の好ましい範囲内にあるものである。
【0033】
好適なベースポリマーの調整法およびさらに有用な親水性エチレン性不飽和モノマーi)の調整法が、DE−A19941423、EP−A686650、WO01/45758およびWO03/14300に記載されている。
この反応は、好ましくは、例えばWO01/38402に記載のようにニーダー中で、あるいは例えばEP−A−955086に記載のようにベルト反応器中で実施される。
【0034】
既知の適当な溶媒を用い、従来から実施されている逆懸濁重合法を使用して行うこともできる。当業者に公知の特定の条件下では、この方法で自己架橋が起こるため、場合によっては、このような逆懸濁重合法において、架橋剤の量を、大幅に削減あるいは完全に除去することが可能である。
【0035】
気相、好ましくは不活性ガス相で微細液滴の懸濁状態をつくり球状または不規則形状の粒子を製造する噴射− または他の気相重合法により、ベースポリマーを調整することも可能である。ここでいう不活性ガスとは、有機溶剤蒸気および水蒸気のことである。
【0036】
得られるベースポリマーの酸基は、通常0〜100モル%、好ましくは25〜100モル%、さらに好ましくは65〜90モル%、最も好ましくは68〜80モル%が中和されている。中和には、既存の中和剤が使用され、その例としては、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはジメチルアミノエタノールアミンなどのアミン、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩または アルカリ金属重炭酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウムとカリウムが特に好ましく、最も好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムおよびこれらの混合物である。通常、中和は、中和剤を水溶液、水分散液、または好ましくは溶融物質または固体材料として混ぜることにより行われる。
【0037】
中和は、重合の後のベースポリマー段階で行われる。しかし、重合前に中和剤の一部をモノマー溶液に添加して酸性基の最大40モル%、好ましくは10〜30モル%、さらに好ましくは15〜25モル%を中和しておき、重合後にのみベースポリマー段階で所望の最終中和度まで持っていくことも可能である。このモノマー溶液に中和剤を添加し所定の値まで前中和し、次いで重合反応中または重合後に最終値まで後中和してもよいし、重合前に中和剤を混合して、モノマー溶液を最終pH値にまで直接調節してもよい。ベースポリマーを機械的に、例えばミートグラインダーで微破砕してもよく、その際、中和剤は噴霧、散布、流込みなどで添加され、注意して混合される。この目的のため、得られるゲル状物を繰り返し切り刻んで均一とすることもできる。
【0038】
中和されたベースポリマーは、ベルト乾燥機、流動層乾燥機、塔型乾燥機またはドラム乾燥機で、EDANA推奨の試験方法No.430.2.−02「水分率」(EDANA。ヨーロッパ不織布協会)により求めた水分率で、残留水分が好ましくは13質量%未満、特に好ましくは8質量%未満、最も好ましくは4質量%未満となるまで乾燥する。乾燥したベースポリマーは、次いで破砕・分級される。有用な粉砕機としては、通常ロールミル、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミルまたはスイングミルが挙げられる。
【0039】
本発明のある形態において、使用する吸収性ポリマーを後架橋してもよい。好ましい後架橋剤v)は、ポリマーのカルボキシル基と共有結合を形成できる基を二個以上持つ化合物である。有用な化合物の例としては、EP−A083022、EP−A543303、EP−A937736に記載のようなアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン類、ポリアミン類、ポリアミドアミン類、ジ−またはポリ−グリシジル化合物、およびDE−C3314019に記載のような多価アルコール類が挙げられる。他の有用な後架橋剤v)の例として、DE−A4020780に記載の環状カーボネート類、DE−A19807502に記載の、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンなどの2−オキサゾリドンおよびその誘導体、DE−A19807992に記載のビス−およびポリ−2−オキサゾリドン類、DE−A19854573に記載の2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体、DE−A19854574に記載のN−アシル−2−オキサゾリドン類、DE−A10204937に記載の環状尿素類、DE−A10334584に記載の二環式のアミドアセタール類、EP−A1199327に記載のオキシエタン類および環状尿素、およびWO03/031482に記載のモルフォリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が挙げられる。
【0040】
後架橋は、通常ベースポリマーまたは乾燥したベースポリマー粒子に、後架橋剤の溶液を吹き付けて行われる。吹き付けの後加熱して乾燥するが、この後架橋反応は、この乾燥の前だけでなく、乾燥中、乾燥後も起こる。
【0041】
好ましい後架橋剤v)は、過去のPCT出願PCT/EP/05011073に記載のアミドアセタール類、カルバミン酸エステル類、ジオールやポリオールなどの多価アルコール類、環状カーボネート類やまたはビスオキサゾリン類が挙げられる(本特許は、ここに本願に引用して援用する)。
【0042】
この少なくとも一つの後架橋剤v)を、水溶液として、通常約1.50質量%以下、好ましくは0.50質量%以下、さらに好ましくは0.30質量%以下、最も好ましくは0.001%〜0.15質量%の範囲で使用する。ただし、この割合は全て、ベースポリマー当たりの量である。上記の中から選択した単一の後架橋剤v)を使用してもよいし、いろいろな後架橋剤の所望の混合物を使用してもよい。
【0043】
この後架橋剤水溶液、および少なくとも一つの後架橋剤v)は、通常、さらに共溶媒を含んでいる。技術的に非常に有用な共溶媒の例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールや2−メチル−1−プロパノールなどのC−Cアルコール類、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールなどのC−Cジオール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのカルボン酸エステル類が挙げられる。
【0044】
ある実施形態では、いずれの共溶媒も使用しない。その場合、上記の少なくとも一つの後架橋剤v)は、凝集防止剤を含むあるいは含まない水溶液として使用される。この凝集防止剤は、当業者に公知であり、例えばDE−A−10239074や過去のPCT出願PCT/EP/05011073に記載されている。(これらの特許は、ここに本願に引用して援用する)。好ましい凝集防止剤は、2−プロピルヘプタノールのエトキシ化およびアルコキシ化誘導体やソルビタンモノエステルなどの界面活性剤である。特に好ましい凝集防止剤は、プランタレン(登録商標)(コグニス)、スパン(登録商標)20、ポリソルビン酸塩(登録商標)20(ツイーン(登録商標)20またはポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレートとも呼ばれる)およびポリエチレングリコール400モノステアレートである。
【0045】
後架橋剤水溶液中の、少なくとも一つの後架橋剤v)の濃度は、後架橋溶液当たり、例えば1%〜50質量%の範囲であり、好ましくは1.5%〜20質量%の範囲、さらに好ましくは2%〜5質量%の範囲である。
【0046】
他の実施形態では、この後架橋剤を、少なくとも一つの有機溶剤に溶解して噴射させる。この場合、溶液の水含量は10質量%未満であり、好ましくは、まったく水が含まれていない後架橋溶液を使用する。
【0047】
しかし、もちろんこのような後架橋剤や必要に応じて共溶媒を含む溶液の水分率が0〜100質量%の範囲のどこにあろうと、最終ポリマー性能に対して比較的表面架橋に影響を与える後架橋剤を、本発明において用いることができる。
【0048】
ベースポリマー当たりの後架橋溶液の総量は、通常0.3%〜15質量%の範囲、好ましくは2%〜6質量%の範囲である。後架橋の実施は、当業者にとって常識であり、例えばDE−A−12239074や過去のPCT出願PCT/EP/05011073に記載されている。
【0049】
後架橋に有用な噴射ノズルに、特に制限はない。好ましいノズルや噴霧システムが、例えば次の文献に記載されている。Zerstauben von Flussigkeiten,Expert−Verlag,voluem 660, Reihe Kontakt & Studium, Thomas Richter (2004)また、Zerstaubungstechnik, Springer−Verlag, VDI−Reihe, Gunter Wozniak (2002).単分散および多分散の吹き付けシステムが使用可能である。好ましい多分散システムとしては、単一材料圧力ノズル(ジェット流または層流の形成)、回転アトマイザー、二材料アトマイザー、超音波アトマイザーや衝撃ノズルが挙げられる。二材料アトマイザーの場合、液相と気相の混合は、内部と外部の両方で起こる。ノズルにより得られる噴射パターンは、特に重要というわけでなく、どのような形状でも、例えば円形ジェット、扁平ジェット、広角円形ジェット、あるいは円環状であってもよい。二材料アトマイザーを使用する場合、不活性ガス流の使用が有利である。このようなノズルに圧力をかけて、液体を噴射させる。この場合、噴射される液体の噴霧化は、液体がある最小速度に達した後にノズル内の液体を減圧することにより行われる。スロットノズルや、旋回あるいは渦流室(完全円錐)ノズル(例えば、デュセン・シュリック社、ドイツ、またはスプレイング・システム・ドイツランド社、ドイツから入手可)などの単一材料ノズルも有用である。このようなノズルはまた、EP−A−0534228やEP−A−1191051に記載されている。単一材料ノズルや二材料ノズルは、場合によっては、単一流体ノズルあるいは二流体ノズルと呼ばれることもある。
【0050】
吹き付けの後の吸水性ポリマー粒子は熱乾燥され、後架橋反応が乾燥の前、乾燥中、乾燥後に進行する。
【0051】
後架橋剤溶液の吹き付けは、可動混合部を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスクミキサー、プラウシェアミキサー、あるいはシャベルミキサーで行うことが好ましい。特に好ましいのは、垂直ミキサーで、さらに特に好ましいのは、プラウシェアミキサーとシャベルミキサーである。有用なミキサーの例としては、ロジゲ(登録商標)ミキサー、ベペックス(登録商標)ミキサー、ナウタ(登録商標)ミキサー、プロセサルト(登録商標)ミキサーやシュギ(登録商標)ミキサーが挙げられる。
【0052】
熱乾燥の装置としては、接触乾燥機が好ましく、シャベル乾燥機がより好ましく、ディスク乾燥機がより好ましい。好ましい乾燥機として、ベペックス乾燥機やナラ(登録商標)乾燥機が挙げられる。流動層乾燥機も使用可能で、その例として、カルマン(登録商標)乾燥機が挙げられる。
【0053】
乾燥は、例えばジャケットを加熱したり高温不活性ガス流を導入したりして、ミキサー内で進行させる。あるいは、トレー乾燥機、回転チューブ炉、連続流動層乾燥機や連続噴流層乾燥機などの下流乾燥機や、加熱スクリューを使用することができる。また、例えば共沸蒸留を乾燥工程として用いることもできる。
【0054】
高速ミキサー、例えばシュギ・フレキソミックス(登録商標)またはターボライザー(登録商標)型の高速ミキサー内で、ベースポリマーにこの後架橋剤溶液を加え、反応乾燥機、例えばナラ・パドル乾燥機またはディスク乾燥機(即ち、トラス円板乾燥機(登録商標)、ホソカワ)内で、このポリマーを加熱して後架橋することが特に好ましい。前段の操作の時から、ベースポリマーの温度は、10〜120℃の範囲でよく、後架橋溶液の温度は、0〜150℃の範囲でよい。特に、粘度を抑えるために、後架橋溶液を加熱してもよい。好ましい後架橋および乾燥の温度範囲は、30〜220℃であり、特に好ましいのは120〜210℃、最も好ましくは145〜190℃である。この温度での反応ミキサー中または乾燥機中での好ましい滞留時間は、好ましくは100分未満、さらに好ましくは70分未満、最も好ましくは40分未満である。
【0055】
連続流動層乾燥機または連続噴流層乾燥機を架橋反応に用いることが特に好ましく、その場合の滞留時間は、好しくは30分未満、さらに好ましくは20分未満、最も好ましくは10分未満である。
【0056】
この後架橋乾燥機または流動層乾燥機を、空気で運転してもよいし、ポリマーから蒸気を効果的に除くため、除湿空気あるいは乾燥空気で運転してもよい。
【0057】
蒸気を除去するためまた空気中の酸素などの酸化性ガスを置換するために、乾燥および後架橋反応中は、後架橋乾燥機を不活性ガスで浄化する。上述の空気の相対湿度に対する制限と同じように、この不活性ガスも通常同じ制限を有する。空気と不活性ガスの混合物を用いてもよい。乾燥工程を効率化するため、乾燥機やその付属部品をよく断熱して理想的に加熱する。後架橋乾燥機の内部は、好ましくは大気圧に維持するか、やや減圧あるいは加圧状態に維持することが好ましい。
【0058】
白色度の高いポリマーを作るために、乾燥機のガス空間内の酸化性ガスはできる限り除くべきで、いずれにしても、このガス空間の酸素の体積分率が、14体積%以下となるようにする。
【0059】
この吸水性ポリマー粒子は、45μm〜4000μmの範囲の粒度分布を持っていてもよい。衛生用途に用いる粒子のサイズは、好ましくは45〜1000μmの範囲、好ましくは45〜850μm、特に好ましくは100μm〜850μmの範囲である。狭い粒度分布、特に100〜850μm、さらに100〜600μmを持つ吸水性ポリマー粒子を覆うことが好ましい。
【0060】
狭い粒度分布とは、80質量%以上の粒子、好ましくは90質量%以上の粒子、最も好ましくは95質量%以上の粒子が、選択された範囲内に収まることをいう。この画分は、EDANA420.2−02「粒度分布」に記載の、通常使用されるふるい法を用いて決めることができる。あるいは、EDANAの認定法で校正されたものなら、光学的な方法も使用可能である。
【0061】
好ましい狭い粒度分布は、粒子径の幅が700μm以下、さらに好ましくは600μm以下、最も好ましくは400μmである。粒子径の幅とは、分布内の粗ふるいと細ふるい間の差をいう。大ふるいは850μmより粗くなく、微粒子は45μmより細かくない。本発明の目的において好ましい粒子径の範囲は、例えば、150〜600μmの画分(幅。450μm)、200〜600μmの画分(幅。400μm)、300〜600μmの画分(幅。300μm)、200〜700μmの画分(幅。500μm)、150〜500μmの画分(幅。350μm)、150〜300μmの画分(幅。150μm)、300〜700μmの画分(幅。400μm)、400〜800μmの画分(幅。400μm)、あるいは100〜800μmの画分(幅。700μm)である。
【0062】
特に好ましい吸水性粒子は、粒度が150μm未満の粒子を、3質量%未満、さらに好ましくは1質量%未満、最も好ましくは0.5質量%未満の量で含む。
【0063】
ふるい効率を挙げるために、粗ふるいと細ふるいの間に、他のふるいをその装置で使用してもよい。ふるい装置および/または吸水性粒子を加熱して、高温でこの吸水性ポリマー粒子を分級してもよい。細ダストの漏れを常に防ぐため、好ましくはふるいは、外の大気に対して陰圧で行う。好ましくはふるいを、除湿または乾燥した雰囲気下で行う。他の好ましい実施形態では、ふるいを、不活性ガス下、必要なら除湿あるいは乾燥した不活性ガス下で行う。通常、ベースポリマーの粉砕後および必要なら表面架橋の後に、ふるいを行う。ふるいは、好ましくは、吸水性ポリマー粒子を被膜形成ポリマーで覆う前に行い、必要なら被覆粒子の熱処理の後に二回目を行う。上記のふるい工程のいずれかで発生する微粒子は、廃棄してもよいし、必要ならば生産工程で再利用してもよい。粗粒子は、廃棄してもよいが、好ましくは生産工程で再利用する。粗粒子は、少なくとも一度以上、粉砕工程を通してから再利用してもよい。
【0064】
逆懸濁重合工程で得られるような単分散吸水性ポリマー粒子が特に好ましい。径の異なる単分散粒子の混合物、例えば小さな径と大きな径をもつ単分散粒子の混合物を、吸水性ポリマー粒子として選ぶこともまた可能である。また、単分散粒子と多分散吸水性ポリマー粒子との混合物を用いることもできる。
【0065】
狭い粒度分布をもち、好ましくは最大粒度が≦600μmであるこのような本発明の吸水性高ポリマー粒子を塗布することで、速やかに膨潤する、したがって特に好ましい吸水性材料を得ることができる。
【0066】
この吸水性粒子は、形状が球状であってもよく、不規則であってもよい。
【0067】
ここでは、ポリマーという用語は、単一ポリマーとポリマーブレンドのいずれをも含んでいる。本発明でコーティングに好ましく使用されるポリマーは、被膜形成とゴム状弾性を有している。被膜形成と弾性をもつポリマーは一般に好ましい。コポリエステル、コポリアミド、シリコーン、スチレンイソプレンブロック共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体、ポリウレタンおよびこれらのポリマーのブレンドなどのポリウレタンおよびポリウレタンブレンドが好ましい。
【0068】
被膜形成とは、それぞれのポリマーが、それが溶解または分散した溶媒を蒸発させることで、容易に層または皮膜となることをいう。このポリマーは、例えば熱可塑性および/または架橋性であってもよい。ゴム状弾性とは、その材料が応力に応じた歪みを与え、その歪みの一部または完全に応力を除くと回復することをいう。
【0069】
ある実施形態によると、ポリマーの湿潤における破断引張応力は、少なくとも1MPa、または少なくとも3MPa、さらに好ましくは少なくとも5MPa、さらに好ましくは少なくとも8MPaである。最も好ましいポリマーの破断引張応力は、少なくとも10MPa、好ましくは少なくとも40MPaである。これは下記の試験方法により決定することができる。
【0070】
ある実施形態によると、ここでの特に好ましいポリマーは、下記の試験方法によって決定される400%伸長時の湿時割線弾性率(SMwet400%)が、少なくとも0.25MPa、好ましくは少なくとも約0.50MPa、さらに好ましくは少なくとも約0.75、または少なくとも2.0MPa、および最も好ましくは少なくとも約3.0MPaであるポリマーである。
【0071】
ある実施形態において、ここでの好ましいポリマーの[400%伸長時の湿時割線弾性率(SMwet400%)]と[400%伸長時の乾時割線弾性率(SMdry400%)]との比は、10以下、好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.0以下であり、より好ましい比は少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.6、または少なくとも0.7である。
【0072】
ある実施形態によると、この被膜形成ポリマーは、(理論相当シェル厚)×(400%伸長時の湿時平均割線弾性率)で定義されるシェル張力が、約5〜200N/m、好ましくは10〜170N/m、さらに好ましくは20〜130N/m、さらに好ましくは40〜110N/mである皮膜の形態で存在する。
【0073】
本発明のある実施形態において吸収性ポリマー粒子が(シェルの形成前あるいはシェルの形成と同時に)後架橋される場合、この吸水性材料のシェル張力は、より好ましくは15N/m〜60N/mの範囲、さらに好ましくは20N/m〜60N/mの範囲、さらに好ましくは40〜60N/mの範囲である。
【0074】
他の実施形態で吸水性ポリマー粒子が後架橋されない場合、吸水性材料のシェル張力は、約60〜110N/mの範囲であることがより好ましい。
【0075】
ある実施形態によると、この被膜形成ポリマーは、(400%伸長時の湿時平均割線弾性率)×(被覆ポリマーの全質量中のシェルポリマーの相対質量)で定義されるシェル衝撃変数が約0.03MPa〜0.6MPa、好ましくは0.07MPa〜0.45MPa、さらに好ましくは約0.1〜0.35MPaである、吸水性材料の表面に形成された塗膜の形状で存在する。この「被覆ポリマーの全質量中のシェルポリマーの相対質量」は、通常0.0〜1.0の少数である。
【0076】
得られる吸水性材料は、CS−CRC試験による吸収性性能とCS−SFC試験による通気性の両方において非常に優れた効果を示す。
【0077】
ある実施形態において好ましいのは、被膜形成ポリマーが特にポリウレタンであることで、このポリマーは、上記吸水性ポリマー粒子とは対照的に、水性流体に接触してもほとんど膨潤しない。このことは実際、この被膜形成ポリマーの、以下に示す方法により求めた水膨潤性が、1g/g未満、または0.5g/g未満、またはさらに0.2g/g未満、またはさらに0.1g/g未満であることが好ましいことを意味する。
【0078】
他の実施形態において好ましいのは、好ましくは、吸水性ポリマー粒子とは対照的に水性流体と接触し、少し膨潤する被膜形成ポリマー、特にポリウレタンである。このことは実際、以下に述べる方法により求められる被膜形成ポリマーの水膨潤性が、少なくとも1g/gより大きく、2g/gより大きく、あるいは3g/gより大きく、好ましくは4〜10g/g、しかし30g/g以下、好ましくは20g/g以下、最も好ましくは12g/g以下であることを意味する。
【0079】
この被膜形成ポリマーを用いれば、通常水膨潤性ポリマー上に塗膜が一旦形成されると、その膜は非水溶性でなく、好ましくは非水分散性でない。
【0080】
ある実施形態によると、このポリマーを用いれば、好ましくは、この水膨潤性ポリマー上に形成される塗膜が、水透過性であるが、水溶性でなく好ましく非水分散性である。このポリマー、特にこのポリウレタンは(特定の厚さのフィルムの形状で測定した場合)、少なくともある程度水透過性 (通気性)、水蒸気透過速度(MVTR)が200g/m2/dayを超える通気性を持つことが好ましく、好ましくは MVTRが800g/m2/dayの通気性、さらに好ましくは1200〜1500g/m2/dayの通気性、さらに好ましくはMVTRが少なくとも1500g/m2/dayで最高2100g/m2/day(合計)の通気性を持つことが好ましく、最も好ましいのは、この塗料または塗料材料の通気性が、MVTRで2100g/m2/day以上と高いことである。
【0081】
この弾性ポリマーに好ましい性質を付与するために、粒子、オイル、溶媒、可塑剤、界面活性剤、分散剤や発泡助剤などの他の充填剤を、必要に応じて、このポリマー、ポリマー溶液、またはポリマー分散液に添加することができる。
【0082】
発泡助剤の例としては、尿素、ベーキングパウダーの成分、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミド、アゾ化合物、二酸化炭素、窒素などの化学添加物があげられるが、これらに限定されるわけではない。これらは、化学反応や物理効果により、例えば高温で、塗布層内でガス泡を発生させてフィルムを制御しながら膨らませる。
【0083】
本発明のある実施形態において、この被膜形成ポリマーで得られる塗膜が、低い水透過性を示すことがある。このような場合には、シェルに欠陥をつくり水膨潤性ポリマーの膨潤を可能とするために、発泡助剤あるいは充填剤を使用することが好ましい。
【0084】
特定の実施形態によると、上述のような機械的特性を持つことが、塗布用の被膜形成ポリマーの特徴であるようである。このポリマーは疎水性であっても親水性であってもよい。ぬれ性の改善のためには、ポリマーは親水性であることが好ましい。
【0085】
この被膜形成ポリマーは、例えば溶液または水溶液から塗布してもよいし、他の実施形態では、分散液または水分散液から塗布する。この溶液は、適当な有機溶剤を使用し、製造する。その例としては、アセトン、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、エタノール、メタノール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0086】
複数のポリマーを、塗布に先立ってそれぞれの溶液または分散液を混合してブレンドしてもよい。あるいは、複数のポリマーを、同時吹き付けあるいは逐次吹き付けでブレンドしてもよい。特に、単独では弾性の要件や通気性の要件を満たさないポリマーは、これらの要件を満たし本発明の塗膜に適したブレンドを与えるポリマーと混合してもよい。溶液から塗布可能な好適な弾性重合体としては、例えばベクター(登録商標)4211(デキシコポリマー、米国)、ベクター4111、セプトン2063(セプトン社、クラレグループ)、セプトン2007、エスタン(登録商標)58245(ノベオン、米国)、エスタン4988、エスタン4986、エスタン(登録商標)X−1007、エスタンT5410、イログランPS370−201(ハンツマンポリウレタン)、イログランVP654/5、ペレタン2103−70A(ダウケミカル社)、およびエラストラン(登録商標)LP9109(エラストグラン)が挙げられる。
【0087】
好ましい実施形態によると、このポリマーは水分散液の状態であり、より好ましい実施形態によると、このポリマーは、ポリウレタンの水分散液である。
【0088】
ポリウレタンの合成およびポリウレタン分散液の製造は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Edition,2000、電子版に、詳細に記述されている。
【0089】
このポリウレタンは、好ましくは親水性で、特に表面親水性であることが好ましい。充填剤、界面活性剤、凝集防止剤、および融合助剤を添加することで、この親水性を付与(増強)することができる。表面親水性は、当業者に公知の方法により決定される。例えば、上記の親水性ポリウレタンは、吸収される液体(0.9%生理食塩水、尿)で湿される材料である。親水性材料は、90度未満の接触角を持つ。接触角は、例えばビデオ系の接触角測定装置クルスG10−G1041(クルス社、独)あるいは他の既知の測定方法により測定できる。
【0090】
好ましい実施形態において、親水性ポリマーブロック、例えばエチレングリコール(CH2CH2O)由来の基、1,4−ブタンジオール(CH2CH2CH2CH2O)由来の基、1,3−プロパンジオール(CH2CH2CH2O)由来の基、1,2−プロパンジオール(−CH(CH3)−CH2O−)由来の基、またはこれらの混合物を有するポリエーテル基を含有するポリウレタンを用いることで、この親水性が付与される。したがって、ポリエーテルポリウレタンが、被膜形成ポリマーとして好ましい。この親水性ブロックを、側鎖の一部または全部が親水性ポリマーのブロックである櫛型ポリマーのように形成してもよい。しかし、この親水性ブロックは、主鎖(即ち、ポリマー骨格)の成分となってもよい。好ましい実施形態では、少なくとも親水性ポリマーのブロックのほとんどを側鎖の形で保有するポリウレタンが使用される。この側鎖は、ポリエチレングリコールでもよいし、ポリ(エチレングリコール)−コ−ポリ(プロピレングリコール)のようなブロック共重合体であってもよい。ポリ(エチレングリコール)−コ−ポリ(プロピレングリコール)コポリマーを使用する場合、そのエチレンオキシド単位の含量は、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも65モル%である。
【0091】
また、イオン性基、好ましくはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはアンモニウム基の比率を上げることによっても、ポリウレタンの親水性を得ることができる。アンモニウム基は、プロトン化されていてもよいし、アルキル化されて第三級または第四級基となっていてもよい。カルボン酸、スルホン酸、およびリン酸は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩であってもよい。好ましいイオン性基およびそれらの前駆体が、例えば、"Ullmann’s Encyclopadie der Technischen Chemie", 4th Edition, Volume 19, p. 311−313、さらに、DE−A1495745、およびWO03/050156に記載されている。
【0092】
好ましいポリウレタンでは、この親水性が、被膜形成ポリマーで覆われた吸水性ポリマー粒子中への水の透過・溶解を促進する。これらの好ましいポリウレタンを用いた本発明の塗膜は、その親水性にもかかわらず、湿った状態でもその機械的特性は大きくは低下しない。
【0093】
好ましい被膜形成ポリマーは、二つ以上のガラス転移温度(Tg)(DSCによる)を持つ。理想的には、この使用するポリマーは、相分離現象を示す。つまり、ポリマー内に低Tgおよび高Tgの二つ以上の異なるブロックを並べて有している(Thermoplastic Elastomers。A Comprehensive Review, Eds. Legge, N.R., Holden,G., Schroeder,H.E., 1987, Chapter 2)。しかし、数個のTgが近接している場合や他の実験上の理由で、実際Tgの測定が非常に難しい場合もある。試験によりTgが明確に測定できなくとしても、そのポリマーが本発明の範囲に該当している可能性がある。
【0094】
特に好ましい相分離ポリマー、および特に好ましいポリウレタンは、質量平均分子量Mwが少なくとも5kg/mol、好ましくは少なくとも10kg/mol以上の一つ以上の相分離ブロック共重合体を含む。
【0095】
ある実施形態において、このようなブロック共重合体は、少なくとも相互に重合した第一の重合ホモポリマーセグメント(ブロック)と第二の重合ホモポリマーセグメント(ブロック)とを有し、好ましくは、その第一の(軟質)セグメントのTg1が、25℃未満、20℃未満、またはさらに0℃未満であり、第二の(硬質)セグメントのTg2が、少なくとも50℃、または55℃以上、好ましくは60℃以上、さらに70℃以上である。
【0096】
他の実施形態において、特にポリウレタンの場合、このようなブロック共重合体は、相互に重合した少なくとも第一の重合ポリマーセグメント(ブロック)と第二の重合ポリマーセグメント(ブロック)を有し、好ましくはその第一の(軟質)セグメントのTg1が25℃未満、または20℃未満、またはさらに0℃未満であり、第二の(硬質)セグメントのTg2が、少なくとも50℃、55℃以上、好ましくは60℃以上、またはさらに70℃以上である。
【0097】
第一(軟質)セグメントの好ましい質量平均分子量(Tg。25℃未満)は、少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、さらに少なくとも2000g/mol、しかし好ましくは8000g/mol未満、好ましくは5000g/mol未満である。
【0098】
しかし、第一(軟質)セグメントの総量は、通常全ブロック共重合体の20%〜95質量%であり、または20%〜85%、さらに好ましくは30%〜75%、さらに好ましくは40%〜70質量%である。さらに、軟質セグメントの総質量レベルが70%を超える場合、個々の軟質セグメントの質量平均分子量が5000g/mol未満であることがより好ましい。
【0099】
「ポリウレタン」が、ジ−またはポリイソシアネートと少なくとも一つのジ−またはポリ官能性「活性水素含有」化合物との反応で得られるポリマーをさす一般名であることは、当業者には、よく知られている。「活性水素含有」とは、ジ−またはポリ官能性化合物が、水酸基、第一級および第二級アミノ基およびメルカプト(SH)基等のイソシアネート基に対して反応性を持つ官能基(反応性基とも呼ばれる)を少なくとも二つ有することを意味する。
【0100】
また、ポリウレタンが、ウレタンや尿素結合以外に、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、オキサゾリジニル、イソシアヌレート、ウレトジオンなどの結合を含むことは、当業者には公知である。
【0101】
ある実施形態において、好ましくはこの有用なブロック共重合体が、ポリエーテルウレタンおよびポリエステルウレタンである。特に好ましいのは、ポリアルキレングリコール単位、特にポリエチレングリコール単位またはポリ(テトラメチレングリコール)単位を有するポリエーテルウレタンである。
【0102】
好ましい実施形態によると、ポリエーテルウレタンに比べて湿潤における機械的特性が優れるため、ポリエステルウレタンが使用される。
【0103】
ここで用いる用語「アルキレングリコール」は、炭素原子が2〜10のアルキレングリコールおよび置換アルキレングリコールを含み、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、スチレングリコールなどが挙げられる。
【0104】
本発明で使用されるポリウレタンは、通常、ポリイソシアネートと二つ以上の応性基をもつ活性水素含有化合物との反応で得られる。その例としては、次のものが挙げられる。
a)分子量が好ましくは300〜100000g/mol、特に好ましくは500〜30000g/molの範囲の高分子量化合物
b)低分子量化合物、および
c)ポリエーテル基を有する化合物、特にポリエチレンオキシド基またはポリテトラヒドロフラン基を有する化合物で、分子量が200〜20000g/molの範囲で、そのポリエーテル基が反応性基を有しないもの。
【0105】
これらの化合物は、混合物として用いることもできる。
【0106】
好適なポリイソシアネートは、平均して約2個以上のイソシアネート基、好ましくは平均して約2〜約4個のイソシアネート基を有しており、脂肪族、環状脂肪族、芳香族脂肪族、および芳香族ポリイソシアネートを単独でまたは二つ以上の混合物として含有する。ジイソシアネートがより好ましい。特に好ましいのは、脂肪族および環状脂肪族ポリイソシアネートであり、特にジイソシアネートである。
【0107】
好適な脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、炭素原子数が5〜20のαω−アルキレンジイソシアネート類、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。炭素原子数が5未満のポリイソシアネートを使用してもよいが、揮発性および毒性が高いためあまり好ましくはない。好ましい脂肪族ポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0108】
好適な環状脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デスモジュール(登録商標)W、バイエル社から市販)、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。好ましい環状脂肪族ジイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
【0109】
好適な芳香族脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。好ましい芳香族脂肪族イソシアネートは、テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
【0110】
好適な芳香族ジイソシアネートの例としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、これらの異性体、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。好ましい芳香族ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネートおよび4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0111】
二個以上の反応性基を有する高分子量化合物a)の例としては、ポリエステルポリオール類およびポリエーテルポリオール類の他に、ポリヒドロキシポリエステルアミド類、ヒドロキシル含有ポリカプロラクトン類、ヒドロキシル含有アクリルコポリマー、ヒドロキシル含有エポキサイド類、ポリヒドロキシポリカーボネート類、ポリヒドロキシポリアセタール類、ポリヒドロキシポリチオエーテル類、ポリシロキサンポリオール類、エトキシ化ポリシロキサンポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、および水素化ポリブタジエンポリオール類、ポリアクリレートポリオール類、ハロゲン化ポリエステル類およびポリエーテル類など、およびこれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、およびエトキシ化ポリシロキサンポリオールが好ましい。特に好ましいのは、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアルキレンエーテルポリオール、およびポリテトラヒドロフランである。上記の高分子量化合物の官能基の数は、好ましくは平均で1.8〜3の範囲、特に好ましくは分子当たり2〜2.2個の官能基の範囲である。
【0112】
このポリエステルポリオールは、通常有機ポリカルボン酸またはその酸無水物と化学量論的に過剰量のジオールとの反応により得られるエステル化物である。ポリエステルポリオールの製造に用いられるジオールの例としては、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−、1,4−、および2,3−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどのアルキレングリビコール類、およびビスフェノール−A、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ダイマー酸ジオール、ヒドロキシル化ビスフェノール、ポリエーテルグリコール、ハロゲン化ジオール他のジオール類など、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、およびネオペンチルグリコールが挙げられる。これらに代えてあるいは共に、相当するメルカプト化合物を用いてもよい。
【0113】
ポリエステルポリオールの製造に好適なカルボン酸の例としては、ジカルボン酸およびトリカルボン酸および酸無水物が挙げられ、その具体例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、フタル酸、フタル酸の異性体、フタル酸無水物、フマル酸、オレイン酸などのダイマー脂肪酸など、およびこれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールの製造に好ましいポリカルボン酸としては、脂肪族と芳香族の二塩基酸が挙げられる。
【0114】
好ましいポリエステルポリオールの例としては、ポリ(グリコールアジペート)、ポリエチレンテレフタレート)ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、オルトフタル酸ポリオール、スルホン化およびホスホン化ポリオールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0115】
好ましいポリエステルポリオールは、ジオールである。好ましいポリエステルジオールとしては、ポリ(ブタンジオールアジペート)、ヘキサンアジペートイソフタレートポリエステルなどのヘキサンジオールアジピン酸およびイソフタル酸ポリエステル、ピオタン67−3000HNA(パノラム・インダストリーズ)およびピオタン67−1000HNAなどのヘキサンジオールネオペンチルグリコールアジピン酸ポリエステルジオール類、およびピオタンSO−1000PMAなどのプロピレングリコール無水マレイン酸アジピン酸ポリエステルジオール、およびピオタン67−SO0HNFなどのヘキサンジオールネオペンチルグリコールフマル酸ポリエステルジオールが挙げられる。他の好ましいポリエステルジオールとしては、ルコフレックス(登録商標)S101.5−3.5、S1040−3.5、およびS−1040−110(バイエル社)が挙げられる。
【0116】
ポリエーテルポリオールは、公知の方法で、水または上述のジオールのような反応性水素原子と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、スチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、オキシエタン、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリン等、あるいはこれらの混合物などのアルキレングリコールまたは環状エーテルとを含む出発化合物の反応により得られる。好ましいポリエーテルとしては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリテトラヒドロフラン、およびコ[ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)]が挙げられる。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールは単独で用いてもよいし、物理的にブレンドして用いてもよい。プロピレンオキシドとエチレンオキシドが共重合される場合、これらのポリプロピレン−コ−ポリエチレンポリマーは、ランダム共重合体として用いてもよいし、ブロック共重合体として用いてもよい。
【0117】
ある実施形態において、ポリエーテルポリオールは、ポリマー骨格の成分である。他の実施形態によると、ポリエステルポリオールが、ポリマー骨格の成分である。好ましい実施形態によると、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールの両方が、ポリマー骨格の成分となる。
【0118】
他の実施形態によると、ポリエーテルオールが、ポリマー骨格の末端基となる。他の実施形態によると、ポリエーテルポリオールが、主鎖に櫛状に結合した側鎖の成分となる。このようなモノマーの例として、テゴマーD−3403(デグサ)が挙げられる。
【0119】
ポリカーボネートの例としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオールあるいはこれらの混合物と、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、またはホスゲンとの反応で得られるものが挙げられる。
【0120】
二個の反応性官能基を有する低分子量化合物b)の例としては、ポリエステルポリオールの製造に関して上述したアルキレングリコールや他のジオールなどのジオール類が挙げられる。ジアミンやポリアミンなどのジアミン類も含まれ、これらは、ポリエステルアミドやポリアミドの製造に有用な好ましい化合物である。好適なジアミンやポリアミンとしては、1,2−ジアミノエタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,12−ジアミノドデカン、2−アミノエタノール、2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタノール、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−プロピレンジアミン、ヒドラジン、尿素、アミノ酸ヒドラジド、セミカルバジドカルボン酸ヒドラジド、ビス−ヒドラジドおよびビス−セミカルバジド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N−トリス−(2−アミノエチル)アミン、N−(2−ピペラジノエチル)−エチレンジアミン、N,N′−ビス−(2−アミノエチル)−ピペラジン、N,N,N′−トリ−(2−アミノエチル)エチレンジアミン、N−[N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]−N′−(2−アミノエチル)−ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N′−(2−ピペラジノエチル)−エチレンジアミン、N,N−ビス−(2−アミノエチル)−N−(2−ピペラジノエチル)アミン、N,N−ビス−(2−ピペラジノエチル)アミン、ポリエチレンイミン、イミノビスプロピルアミン、グアニジン、メラミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3′−ジアミノベンジジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、ポリオキシプロピレンアミン、テトラプロピレンペンタミン、トリプロピレンテトラミン、N,N−ビス−(6−アミノヘキシル)アミン、N,N′−ビス−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、および2,4−ビス−(4′−アミノベンジル)−アニリン等、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいジアミンおよびポリアミンとしては、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。他の好適なジアミンおよびポリアミンは、例えばHuntsman Chemical Companyのジェファミン(登録商標)D−2000およびD−4000(アミン末端ポリプロピレングリコール、分子量のみが異なる)、およびジェファミン(登録商標)XTJ−502、T403、T5000、およびT3000(アミン末端ポリエチレングリコール、アミン末端コ−ポリプロピレン−ポリエチレングリコール、およびプロポシキ化されたグリセロールまたはトリメチロールプロパン由来のトリアミン)が挙げられる。
【0121】
ポリ(アルキレングリコール)は、乾燥質量に基づき、ポリマー骨格の一部であってもよいし、櫛状に側鎖として主鎖に結合していてもよい。
【0122】
好ましい実施形態によると、このポリウレタンが、最終のポリウレタン中のポリ(アルキレングリコール)単位の約10質量%〜90質量%、好ましくは約12質量%〜約80質量%、好ましくは約15質量%〜約60質量%、およびさらに好ましくは約20質量%〜約50質量%の量で、ポリ(アルキレングリコール)側鎖を形成する。ポリ(アルキレングリコール)側鎖単位の少なくとも約50質量%、好ましくは少なくとも約70質量%、およびさらに好ましくは少なくとも約90質量%がポリ(エチレングリコール)であり、残りの側鎖ポリ(アルキレングリコール)単位は、炭素原子数が3〜約10の無置換およびは置換アルキレングリコールであることが好ましい。「最終のポリウレタン」という用語は、吸水性ポリマー粒子の被覆に用いられるポリウレタンを意味する。
【0123】
好ましくは側鎖単位の量は、(i)側鎖単位の分子量が約600g/mol未満の場合少なくとも約30質量%、(ii)側鎖単位の分子量が約600〜約1000g/molの場合少なくとも約15質量%、および(iii)側鎖単位の分子量が約1000g/molを超える場合少なくとも約12質量%である。ポリ(アルキレングリコール)側鎖を持つ活性水素含有化合物の混合物は、このような側鎖を持たない活性水素含有化合物と一緒に用いてもよい。
【0124】
これらの側鎖のポリウレタンへの導入は、上記の高分子量ジオールa)または低分子量化合物b)の一部または全部を、少なくとも二つの反応性官能基と一つのポリエーテル基、好ましくはポリアルキレンエーテル基、さらに好ましくは活性基を有さないポリエチレングリコール基とを有する化合物c)で置き換えることにより行うことができる。
【0125】
例えば、ポリエーテル基、特にポリ(アルキレングリコール)基を有する活性水素含有化合物としては、米国特許3,905,929号に記載のポリ(エチレングリコール)基含有ジオール(その全部を参照することにより本書に組み込まれる)が挙げられる。また、米国特許5,700,867号(その全部を参照することにより本書に組み込まれる)(4欄3.5行〜5欄4.5行)が、ポリ(エチレングリコール)側鎖の導入方法を開示している。ポリ(エチレングリコール)側鎖を持つ好ましい活性水素含有化合物は、トリメチロールプロパンモノ(ポリエチレンオキシドメチルエーテル)であり、デグサ・ゴールドシュミットよりテゴマーD−3403として入手可能である。ポリ(エチレングリコール)を側鎖としてポリマー骨格に導入する他の方法が、DE2730514に記載されている(その全部を参照することにより本書に組み込まれる)。本方法によれば、反応性の異なる二個のイソシアネート基を有するジイソシアネートを、化学量論比(1モル。1モル)のHO単官能性ポリ(エチレンオキシド)と反応させ、次いで第二のイソシアネート基を化学量論比(1モル。1モル)でジアルカノールアミンと反応させ、ジオールを形成する。このようなジオールは、従来の方法で導入可能である。好ましいイソシアン酸エステルは、例えばイソホロンジイソシアネートが挙げられ、好ましいジアルカノールアミンは、ジエタノールアミンである。
【0126】
好ましくは、本発明で使用するポリウレタンは、また、少なくとも一つの、上記側鎖を持たず、分子量が通常広く約50〜約10000g/mol、好ましくは約200〜約6000g/mol、およびさらに好ましくは約300〜約3000g/molである活性水素含有化合物と反応している。好ましい上記側鎖を持たない活性水素含有化合物としては、化合物a)および化合物b)として本書に記載されるアミンおよびポリオールが挙げられる。
【0127】
本発明の一好ましい実施形態によると、この活性水素化合物は、最終ポリウレタンの乾質量当たり、骨格(主鎖)中に約25質量%未満、さらに好ましくは約15質量%未満、最も好ましくは約5質量%未満のポリ(エチレングリコール)単位を提供するように選択される。この主鎖ポリ(エチレングリコール)単位が、水性ポリウレタン分散液中でポリウレタン粒子の膨潤を引き起こし、そのポリウレタン分散液から調整した物品の使用時引張強度の低下をもたらす傾向があるからである。
【0128】
ポリエーテル側鎖を持つポリウレタンの調整は、当業者には公知であり、例えばUS2003/0195293に詳細に記載されている(本文件を参照することにより本書に組み込まれる)。
【0129】
したがって、本発明は、弾性被膜形成ポリウレタンで被覆された吸水性ポリマー粒子からなる吸水性材料を提供し、このポリウレタンは、ポリエチレンオキシド単位を持つ側鎖だけでなく、ポリエチレンオキシド単位を持つ主鎖を含む。
【0130】
本発明の範囲内の有利なポリウレタンは、まずイソシアネートを持つプレポリマーを製造し、次いで連鎖延長工程でこれらのプレポリマーが連結されて得られる。この結合は、水との反応であるかもしれないし、少なくとも一つの架橋性官能基を持つ化合物との反応であるかもしれない。
【0131】
このプレポリマーは、上記のイソシアネート化合物の一つと活性水素化合物との反応により得られる。好ましくは、このプレポリマーは、上述のポリイソシアネート、少なくとも一つの化合物c)、および必要に応じて少なくとも一つの化合物a)および化合物b)から選択される他の活性水素化合物から製造される。
【0132】
実施形態において、プレポリマー形成用の化合物中のイソシアン酸エステルと活性水素との比は、通常約1.3/1〜約2.5/1、好ましくは約1.5/1〜約2.1/1、さらに好ましくは約1.7/1〜約2/1の範囲である。
【0133】
ポリウレタンは、さらに架橋反応を進める官能基や、必要に応じて自己架橋性とする官能基を有していてもよい。
【0134】
少なくとも一つの他の架橋性官能基を持つ化合物としては、カルボン酸基、カルボニル基、アミン基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基など、これらの基の混合物を持つ化合物が挙げられる。このような任意の化合物の通常量は、1グラムの最終ポリウレタンあたり乾燥質量に基づき、通常約1ミリ当量、好ましくは約0.05〜約0.5ミリ当量、およびさらに好ましくは約0.1〜約0.3ミリ当量である。
【0135】
イソシアネートプレポリマーに導入するのに好ましいモノマーとしては、一般式(HO)Q(COOH)でを有するヒドロキシ−カルボン酸が挙げられる。ここで、Qは、炭素原子数1〜12の線状または分岐の炭化水素基を表し、xとyはそれぞれ1〜3である。このようなヒドロキシカルボン酸の例としては、クエン酸、ジメチロールプロパン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシリンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシピバル酸など、およびこれらの混合物が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸類がより好ましく、ジメチロールプロパン酸(DMPA)が最も好ましい。
【0136】
他の好ましい架橋性化合物としては、チオグリコール酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0137】
カルボキシル基を持つプレポリマーを、中和することで、カルボキシル基をカルボキシレートアニオンに変換でき、水分散性増強効果を得ることができる。好ましい中和剤としては、第三級アミン、金属水酸化物、アンモニア、および当業者には公知の他の薬剤が挙げられる。
【0138】
水、無機ポリアミン、平均値約2個以上の第一級および/または第二級アミン基を有する有機ポリアミン、ポリアルコール、尿素、またはこれらの組合わせののうち少なくとも一つを連鎖延長剤として用いることが、本発明の利用に好ましい。連鎖延長剤として使用する好ましい有機アミンとしては、ジエチレントリアミン(DETA)、エチレンジアミン(EDA)、メタ−キシリレンジアミン(MXDA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、2−メチルペンタンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)等、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明での実施が好ましいものとして、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、3,3−ジクロロベンジジン、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン、スルホン化第一級および/または第二級アミンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい無機および有機アミンとしては、ヒドラジン、置換ヒドラジン、およびヒドラジン反応生成品など、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいポリアルコールとしては、炭素原子数が2〜12の、好ましくは炭素原子数が2〜8のポリアルコール類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい尿素としては、尿素およびその誘導体など、およびこれらの混合物が挙げられる。ヒドラジンが好ましく、最も好ましいのはその水溶液である。連鎖延長剤の量は、通常、利用可能なイソシアネートの約0.5〜約0.95当量の範囲である。
【0139】
ポリウレタンのある程度の分岐は有益であるが、高い引張強度の維持や、クリープ耐性(応力緩和と比較)の改善のためには必要はない。
【0140】
この程度の分岐は、プレポリマー工程または延長工程で達成可能である。延長工程での分岐には、連鎖延長剤DETAが好ましいが、平均約2個以上の第一級および/または第二級アミン基を有する他のアミンを用いてもよい。プレポリマー工程での分岐には、トリメチロールプロパン(TMP)および平均2個を超える水酸基を有する他のポリオールを使用することが好ましい。この分岐モノマーは、ポリマー骨格の最大約4質量%まで存在していてもよい。
【0141】
ポリウレタンが、好ましい被膜形成ポリマーである。これらは、溶液または分散液として、特に好ましくは水性分散液として、吸収性ポリマー粒子の被覆に適用できる。
【0142】
好ましい水性ポリウレタン分散液としては、ホータンHD−4638(ホサウェイ社)、ハイドロラー(登録商標)HC269(COIモルム、イタリア)、インプラパーム(登録商標)48180(バイエル・マテリアル・サイエンス社、ドイツ)、ルラプレット(登録商標)DPS(BASF社、ドイツ)、アスタシン(登録商標)フィニッシュLD1603(BASF社、ドイツ)、ペルマックス(登録商標)120、ペルマックス200、およびペルマックス220(ノベオン社、米国)、シンテグラYM2000およびシンテグラYM2100(ダウ社、米国)、ウィトコボンド(登録商標)G−213、ウィトコボンドG−506、ウィトコボンドG−507、ウィトコボンド736(ユニロイヤル・ケミカル、米国)、アスタシンフィニッシュPUMN−TF、アスタシントップ140、アスタシンフィニッシュSUSI(BASF社)、およびインプラニル(登録商標)DLF(陰イオン性の脂肪族ポリエステル−ポリウレタン分散液、バイエル・マテリアル・サイエンス)が挙げられる。
【0143】
特に好ましい弾性被膜形成ポリウレタンが多数、以下の参照文献に記載されており、それらは本明細書の当該物質の一部を構成している。特に親水性熱可塑性ポリウレタンが、ペルマックス120、ペルマックス200およびペルマックス220という商品名で、ノベオン、米国から販売されており、また、"Proceedings International Waterborne High Solids Coatings, UL, 299, 2004"に詳細に記載されており、および米国ニューオーリンズにおける「水性塗料、高固体塗料、および粉体塗料国際シンポジウム」(2004年2月)で公開されている。その製造法は、US2003/0195293に詳細に記載されている。また、US4,190,566、US4,092,286、US2004/0214937、およびWO03/050156に明示されているポリウレタンも、本発明の該当物質に含まれる。
【0144】
さらに特に親水性、水浸透性および機械的特性の改善のために、上述の複数のポリウレタンを、互いに混合して使用することができ、または他の被膜形成ポリマー、充填剤、オイル、発泡助剤、水溶性高分子または可塑剤と混合して用いてもよい。ポリウレタン分散液との混合に適するポリマーは、多くの場合、単一で使用しても、良好な塗布性を示す。
【0145】
特に好ましい実施形態によると、被膜形成ポリマー分散液、最も好ましくはポリウレタン分散液は、例えばポリ−コ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリアセタール、およびアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、(メタ−)アクリレート、イソプレンまたはビニルピロリドンを含むホモ‐およびコポリマーから選択される少なくとも一つの他のポリマー分散液と混合される。(メタ)アクリレートは、メタクリル酸およびアクリル酸、およびこれらの各誘導体、特にこれらのエステル類を意味する。混合比率に制限はないが、その混合比で吸水性ポリマー粒子上に皮膜が形成された場合、被覆された吸水性ポリマー粒子が、非混合被膜形成ポリマーで被覆され得られる性能と同等の性能を示すことが特に好ましい。混合に適した分散液の例としては、レプトン(登録商標)TOP LB(水性ポリアクリレートおよびワックス分散液、BASF社)、エアーフレックスEP17V(水性ビニルアセテート−エチレン−コポリマー分散液、エアプロダクツ社)、エポタル(登録商標)480(水性スチレン−アクリロニトリル−アクリレート分散液、BASF社)、ポリゲン(登録商標)MA(硬質被膜形成水性ポリアクリレート分散液、BASF社)、コリアル(登録商標)バインダーOK(中硬質被膜形成水性ポリアクリレート分散液、BASF社)、コリアルバインダーIF(軟質被膜形成水性ポリアクリレート分散液、BASF社)、コリアルウルトラソフトNT(超軟質被膜形成水性ポリアクリレート分散、BASF社)、およびモウィリス(登録商標)DM799(セラニーズエマルジョン有限責任会社、硬質被膜形成陰イオン安定化アクリレート/メタクリレートポリマー分散液、OH−番号18[b.o.ポリマー]、MFT:〜約90℃、Tg:〜約110℃)が挙げられる。
【0146】
他の特に好ましい実施形態によると、第一の工程において、ある被膜形成ポリマー分散液、最も好ましくはポリウレタン分散液が吸水性粒子表面に塗布され、次いで、少なくとも一つの第二の工程において、異なる被膜形成ポリマー分散液が既に被覆された吸水性粒子上に塗布される。最も好ましくは、この第二の被膜形成ポリマーはポリウレタンではなく、ポリウレタンより粘着性の低いフィルムである。このような好ましい分散液の例は、すでに全項で記載のとおりで、その例としては、レプトンLB、エポタルA480、コリアルバインダーIF、モウィリスDM799、エアーフレックスEP17Vなどが挙げられる。
【0147】
最も好ましい実施形態によると、この第二のフィルムはポリウレタンより親水性が高い。好ましいのは、ポリウレタンよりも親水性フィルムを形成する第二の非ポリウレタン分散液を、上記のポリウレタン分散塗布の直後で続くb)工程の熱処理の前、または熱処理の後に、別途噴霧することである。
【0148】
水性のポリマー分散液を使用する場合、この分散液が自己乳化的であり、多量の界面活性剤の使用の必要のない、あるいは界面活性剤をまったく使用する必要のないことが好ましい。このような性質は、ポリウレタン分散液、いくつかのポリアクリレート及び他のポリマー分散液等では一般に見受けられ、このような樹脂は、しばしばハイドロレジンと呼ばれている。
【0149】
本書に記載の塗布剤は、粘着性低下用の充填剤、例えば市販の樹脂、エスタン58245−047PおよびエスタンX−1007−040P(ノベオン社(米国)より入手可)を含んでいてもよい。
【0150】
あるいは、粘着性の低下のためおよび/または被膜形成ポリマー等の弾性性能の改良のために、このような充填剤を、塗布前に、好ましい弾性重合体分散液または溶液に添加してもよい。典型的な充填剤は、アエロジル(登録商標)(デグサ)、ラバシル(登録商標)(H.C.スターク社)またはウルトラジル(登録商標)(デグサ)であるが、以下に示す他の無機凝集防止剤も使用可能である。例えば、クレー、二酸化チタン、酸化アルミニウム、ホウリン酸塩、リン酸鉄、無機炭酸、リン酸アルミニウム、またはハイブリッドプラチックスク社(米国)の多面体オリゴマーのシルセスキオキサン(POSS(登録商標))などを使用できる。特に好ましい充填剤は、リン酸カルシウム・ナノ粒子である。このような充填剤は、弾性皮膜の粘着性以外の機能も向上させることがあり、例えば、弾性重合体に通常、補強効果を示す。
【0151】
本書において塗布剤としての使用に好ましいポリウレタンは、ひずみ硬化性および/またはひずみ結晶性を示す。ひずみ硬化性は、応力−ひずみ測定の際にひずみの上昇に伴う応力の急速な増加として観測される。一般に、ひずみ硬化は、フィルム中のポリマー鎖の配向により引き起こされるもので、延伸方向への伸張に対して大きな抵抗を示す。
【0152】
塗布剤は、得られる塗膜層の乾燥状態での平均膜圧(厚さ)が0.1μmを超えるように、好ましくは塗布層が平均値膜厚(厚さ)で1ミクロン(μm)〜100ミクロンになるように、好ましくは1ミクロン〜50ミクロン、さらに好ましくは1ミクロン〜20ミクロン、または2〜20ミクロン、またはさらに2〜10ミクロンとなるように、薄く塗布される。
【0153】
実施形態において、この塗膜は、厚さおよび/または形状において実質的に均一となるように行われる。好ましくは、平均膜厚は、厚みの最小対最大比が、1:1〜1:5、好ましくは1:1〜1:3、または1:1〜1:2、またはさらに1:1〜1:1:5となるようにされる。
【0154】
別の実施形態において、塗膜は、若干の欠陥(即ち、空孔)を有していてもよく、このポリマーはそれでも、本発明の良好な性能を示す。さらに別の本発明の実施形態において、この塗膜が、吸水性粒子の周りに繊維状のネットを形成してもよい。
【0155】
ポリマーフィルムは、100質量部の乾燥吸水性ポリマー粒子に対し、被膜形成ポリマー(固形材料として計算)として0.01〜25質量部の量で塗布される。100質量部の吸水性ポリマー粒子あたりの被膜形成ポリマーの使用量は、好ましくは0.1〜25質量部、特に0.1〜15質量部、特に0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜7質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部、および特に好ましくは0.5〜4.5質量部である。
【0156】
特に好ましいのは、100質量部の吸水性ポリマー粒子当たり、<5質量部、好ましくは0.5〜4.5質量部、特に0.5〜4質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部の被膜形成ポリマーを、好ましくは0℃〜<150℃の範囲、好ましくは20℃〜<100℃、さらに好ましくは40℃〜<90℃、および最も好ましくは50℃〜<80℃の範囲の温度で、吸水性ポリマー粒子を塗布し、その被覆粒子を50℃を超える温度で熱処理して得た吸水性材料である。
【0157】
被膜形成ポリマーは、固形材料、ホットメルト、分散液、水性分散液、水溶液、または有機溶液として、吸水性付加ポリマーの粒子に塗布してもよい。被膜形成ポリマー、特にポリウレタンが吸水性ポリマー粒子に塗布される際の形状は、好ましくは溶液状、あるいはさらに好ましくは水性分散液状である。
【0158】
ポリウレタン用の有用な溶媒は、1〜40質量%以上の濃度のポリウレタンをその溶媒または混合物中に溶解することのできる溶媒である。例としては、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミド、およびハロゲン化炭化水素などが挙げられ、その具体例としては、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、およびこれらの混合物が挙げられる。非プロトン性極性溶媒で沸点が100℃未満のものが、特に有利である。
【0159】
フィルム成形性ポリマーの水性分散液を下記の融合助剤と共に用いる場合には、水以外の溶媒で融合助剤として作用することを望まないものは、分散液に添加してはならない。
【0160】
塗布は流動層反応器中で行うことが特に好ましい。反応器の形式に応じて、この吸水性粒子を一般に従来どおり導入し、上記の被膜形成ポリマーを、固体材料として、好ましくはポリマー溶液または分散液として吹き付け被覆させる。この目的のために、被膜形成ポリマーの水性分散液は特に好ましい。
【0161】
吹き付け塗装により塗布されるポリウレタン溶液または分散液は、濃度が非常に高い。このため、このポリウレタン混合物の粘度はあまり高すぎてはならない。さもなければ、ポリウレタン溶液または分散は、もはや吹き付け用に細かく分散されなくなる。好ましいのは、水性ポリマー分散液、特にポリウレタン溶液または分散液で粘度が<500mPa・sのものであり、好ましくは<300mPa・s、さらに好ましくは<100mPa・s、さらに好ましくは<10mPa・s、および最も好ましくは<5mPa・s(通常、回転粘度計を使用して、ポリウレタン分散液の場合、剪断速度>200rpmで測定。好ましい粘度計は具体的に、ハーケ回転粘度計RV20、システムM5、NVである)のものである。上述の粘度は、好ましくは15〜40℃の温度、さらに好ましくは18〜25℃の温度で示されたものである。しかし、もし上記分散液または溶液が高温で吹き付けられる場合は、上述の粘度がそのような高温の塗布温度で示されてもよい。
【0162】
他の被膜形成ポリマーまたはそれらのポリウレタンとの混合物が、ポリマー分散液のブレンドとして用いられる実施形態によると、これらの混合物が塗布されたとき、ポリウレタンとして同じ粘度を示すことが好ましい。
【0163】
ポリウレタン溶液または分散液中のポリウレタンの濃度は、通常1%〜60質量%、好ましくは5%〜40質量%、特に好ましくは10%〜30質量%の範囲である。さらに高希釈も可能であるが、通常、塗布時間の延長につながる。ポリウレタン分散液の特定の長所は、高濃度および高分子量でも、比較的粘度が低いことである。
【0164】
本発明の文書において「流動層」とは、ポリマー粒子が、ガス流により流動状態で上向きに随伴して維持されていること、あるいは密度の低減と好ましい混合により同状態に維持されていることをいう。「連続的」とは、非被覆吸水性ポリマー粒子が連続的にコーターに供給され、被覆吸水性ポリマー粒子が、コーター内のすべての吹き付け区域を経由して、連続的にコーターから排出されることを意味する。
【0165】
有用な流動層反応器としては、例えば製薬業界でよく見られる流動層または懸濁層コーターが挙げられる。特に好ましいのは、"Pharmazeutische Technologie, Georg Thieme Verlag, 2nd edition (1989), pages 412−413"、および"Arzneiformenlehre, Wissenschaftliche Verlagsbuchandlung mbH, Stuttgart 1985, pages 130−132"に記載されている、ウルスター(Wurster)の原理またはグラット・ツェラー(Glatt−Zeller)の原理を用いた反応器である。特に好ましい商業規模での回分式および連続式流動層プロセスが、Drying Technology, 20(2), 419−447 (2002)に記載されている。
【0166】
ウルスタープロセスによれば、吸水性ポリマー粒子は、チューブ中央の上向流の搬送ガスにより、重力に逆らって少なくとも一つの噴射ノズルを超えて運ばれ、同時にそこで、細かく分散されたポリマー溶液または分散液で吹き付けられる。その後、粒子は側壁に沿って基部に落下し、そこで捕集され、チューブ中央を流れる搬送ガス流でもう一度噴射ノズルを超えて運搬される。噴射ノズルは、通常底から流動層内に噴霧するもので、底から流動層内に突出していることもある。
【0167】
グラット・ツェラー・プロセスの場合、吸水性ポリマー粒子は、面壁に沿って上向きに流れる搬送ガスによって運ばれ、中央から壁面に向かって噴射する、通常少なくとも三つの二材料ノズルからなる中央ノズルヘッド上に落下する。側面から吹き付けられた粒子は、ノズルヘッドを超えて底面に落下し、そこでまた搬送ガスで運ばれて、新たなサイクルが開始される。
【0168】
これら二つのプロセスに共通する特徴は、粒子が繰り返し流動層の形で噴射装置内を通過し、非常に薄く、通常極めて均一なシェルは塗布されることである。また、搬送ガスが常に使用されており、粒子の流動を維持するには、搬送ガスを十分に高い速度で供給・移動させる必要がある。その結果、装置内では、分散液のポリマー粒子が被覆される吸収性ポリマー粒子の表面に付着後、低温でも液体が、例えば分散液の溶媒(例えば、水)が速やかに気化する。有用な搬送ガスとしては、上述の不活性ガス、および空気、除湿空気または乾燥空気、またはこれらのガスの混合物が挙げられる。
【0169】
被膜形成ポリマーの溶液または分散液が細かく吹き付けられ(=「噴霧され」)、その溶滴が流動層内で吸収性ポリマー粒子とランダムに衝突し、徐々にかなり均一なシェルが形成され、何度もの衝突の後に均一な膜が形成されるという原理で、好ましい流動層反応器が作動する。液滴の大きさは、吸収性ポリマーの粒度より小さくなければならない。液滴の大きさは、ノズルの形式や、吹き付け条件、すなわち温度、濃度、粘度や圧力により決定される。溶滴大きさは、通常1μm〜400μmの範囲である。ポリマー粒度と溶滴の大きさの比は、通常10以上である。分布の狭い小さな溶滴が好ましい。「霧化された」ポリマー分散液または溶液の液滴は、粒子流と並行の方向で、あるいは側面から粒子流の方向に導入されるが、上面から流動層に噴霧してもよい。この意味で、同じ原理で流動層を形成可能な他の装置や装置変更も、同様の効果を作り出すことに完全に適している。
【0170】
一実施形態は、回分式の円柱状流動層反応器で、この中では、吸収性ポリマー粒子は、装置内の外壁で移動する搬送ガス流で上向きに運ばれ、壁の一箇所以上の位置から被膜形成ポリマーがこの流動層内に噴射され、搬送ガス流がまったくなく粒子が再び落下する装置中央の領域では、三方向攪拌機が作動中で、全体の流動粒子層を再分散している。
【0171】
他の実施形態では、シュッギミキサー、ターボライザー、またはプラウシェアミキサーを単独で用いてもよいし、複数の連続した装置のバッテリーとして用いても好ましい。このようなミキサーを単独で用いる場合、均一に塗布するためには、吸収性ポリマーを装置から何度も供給することが必要となる場合がある。二つ以上の装置を連続装置として設置する場合には、単一パスで十分であることもある。
【0172】
別の実施形態において、テルシグ型の原理を用いた連続噴射ミキサーが使用される。この装置では、飛行中の自由落下粒子が噴霧され、この粒子への噴霧は何度も繰り返される。好ましいミキサーは、Chemie−Technik, 22 (1993), Nr. 4, p. 98ffに記載されている。
【0173】
好ましい実施形態において、連続的な流動層プロセスが用いられ、好ましくは噴射は、上面または底面方式で行われる。特に好ましい実施形態によると、噴射は底面方式で実施され、そのプロセスは連続的である。好ましい装置は、例えばUS5,211,985に記載されている。好適な装置が、例えば、GF(連続流動層)シリーズ装置およびプロセル(登録商標)噴流層装置として、グラット・マシーネン・ウント・アパラテボー社(スイス)から販売されている。噴流層技術は、流動層を形成するのに網状の底板の代わりに単純な溝穴を使用するもので、流動化が難しい材料に特に適している。
【0174】
他の実施形態では、上面噴射モードや底噴射モードを採用することが望ましく、側面や複数の異なる噴射位置の組み合わせから噴射することも望ましいかもしれない。
【0175】
本発明の方法は、従来より後架橋に用いられている上記ノズルを使用する。しかし、二材料ノズルが特に好ましい。
【0176】
流動層反応器が噴射ノズルを備えたウルスターコーター、グラット・ツェラーコーター、または流動層反応器であるプロセスが好ましい。
【0177】
本発明の方法は、好ましくはウルスターコーターを使用する。このうなコーターの例としては、GEAアエロマチック・フィールダー社(スイス)製のプレシジョン・コーターTMがあり、コーティング・プレイス社(Wisconsin米国)より販売されている。
【0178】
流動層ガス流が下方より供給される装置を選ぶことが、装置内で吸水性ポリマー粒子の全量を流動化させるのに有利である。流動層のガス速度は、最小流動化速度(測定方法。Kunii and Levenspiel "Fluidization engineering" 1991)より大きく、吸収性ポリマー粒子の末端速度より小さいことが好ましく、最小流動化速度より10%大きいことがより好ましい。ウルスターチューブのガス速度は、吸収性ポリマー粒子の端末速度より大きく、通常100m/s未満が好ましく、端末速度より10%大きい事がより好ましい。
【0179】
ガス流は、水または溶媒を気化させる作用を持つ。好ましい実施形態によると、ガス流出口での相対湿度または蒸気飽和が、同温の搬送ガス中のそのガスの絶対湿度または、適当ならその絶対飽和蒸気圧の0.10%〜90%の範囲、好ましくは1%〜80%、さらに好ましくは10%〜70%、特に好ましくは30%〜60%の範囲となるように、ガス流や温度などの塗布条件が選択される。
【0180】
この流動層反応器は、ステンレス鋼またはこのような反応器に用いられる他のいかなる典型的な材料で製造してもよく、また、有機溶剤と高温の使用を考えると、製品と接触する部品はステンレス鋼であってもよい。
【0181】
さらに他の実施形態において、流動層反応器の内部表面の少なくとも一部が、25℃での水との接触角が90°を超える材料で塗装されていてもよい。テフロンやポリプロピレンが、このような材料の例である。この装置のすべての生産品と接触する部品がこの材料で塗装されていることが好ましい。しかし、製品の磨耗性が高い場合、この塗布材料は十分に摩損に対して抵抗示さなければならない。
【0182】
しかし、装置の製品と接触する部品用の材料の選択は、これらの材料が使用するポリマー分散液または溶液または塗布されるポリマーに強く接着するかということにも依存する。塗布されるポリマーやポリマー分散液または溶液と接着しない材料を選ぶことが、ケーキングの発生を防ぐために好ましい。
【0183】
本発明によれば、製品および/または搬送ガス温度が0℃〜150℃、好ましくは20〜100℃、特に好ましくは40〜90℃、最も好ましくは50〜80℃の範囲で、塗装が実施される。
【0184】
本発明の実施形態によると、酸化防止剤が、工程a)および/または工程b)、好ましくは工程a)で添加される。
【0185】
防止剤とも呼ばれる酸化防止剤は、酸化性有機材料に加えて使用される有機化合物であり、その自己酸化を抑え、サブストレート内の酸化過程を抑えて、一般的にそのサブストレートの寿命や性能を延長させるものである。この酸化防止剤は、特に塗布後の熱処理工程で被膜形成ポリマーの酸化的なストレスによる劣化を減少または抑止させるとともに、製品の長期間保管の際の劣化を減少または抑止させる試薬である。
【0186】
酸化防止剤として例えば、ヒンダードフェノール類、第二級芳香族アミン類、特定のスルフィドエステル類、三価リン化合物、ヒンダードアミン類、ジチオカルバミン酸金属塩類、およびジチオリン酸金属塩類が挙げられる。
【0187】
酸化防止剤の基としては、例えば、次のものが含まれる。
−アルキル化モノフェノール類、例えば、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール、2−(tert−ブチル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−エチルフェノール、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−(n−ブチル)フェノール、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシメチルフェノール、非分岐ノニルフェノール類または側鎖で分岐したノニルフェノール類例えば、2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデカ−1−イルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデカ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデカ−1−イル)フェノール、およびこれらの混合物、
−アルキルチオメチルフェノール類、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール,2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、および2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、
−ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、例えば、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシフェノール、2,5−ジ(tert−ブチル)ヒドロキノン、2,5−ジ(tert−アミル)ヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ(tert−ブチル)ヒドロキノン、2,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニルステアレート、およびビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)アジペート、
−トコフェロール類、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、およびこれらの混合物(ビタミンE)、酢酸ビタミンE、ビタミンEリン酸、およびクロマノールおよびこれらの誘導体、
−ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2′−チオビス(6−(tert−ブチル)−4−メチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−(tert−ブチル)−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−(tert−ブチル)−2−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(3,6−ジ(sec−アミル)フェノール)、および4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)二硫化物、
−アルキリデンビスフェノール類、例えば、2,2′−メチレンビス(6−(tert−ブチル)−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−(tert−ブチル)−4−エチルフェノール)、2,2′−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)、2,2′−エチリデンビス(6−(tert−ブチル)−4−イソブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2′−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)、4,4’−メチレンビス(6−(tert−ブチル)−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−(tert−ブチル)−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−(n−ドデシルメルカプト)ブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3′−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−6−(tert−ブチル)−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−(n−ドデシルメルカプト)ブタン、および1,1,5,5−テトラ[5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル]ペンタン、
−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ(tert−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシジべンジルエーテル、オクタデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジ(tert−ブチル)ベンジルメルカプトアセテート、トリ(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)アミン、1,3,5−トリ(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ジ(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、ビス(4−(tert−ブチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−(tert−ブチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルべンジル)イソシアヌレート、リン酸3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルジオクタデシルリン酸塩および3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルモノエチルリン酸、カルシウム塩、
−ヒドロキシベンジル化マロネート類、例えば、ジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル2−(3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル2,2−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、およびビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]2,2−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
【0188】
−ヒドロキシベンジル芳香族化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、および2,4,6−トリス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0189】
−トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス[3、5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェノキシ]−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ[3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェノキシ]−1,3.5−トリアジン、1,3,5−トリ(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[4−(tert−ブチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェネチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、および1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
−ベンジルホスホネート類、例えば、ジメチル2,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルホスホネート((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチルホスホン酸ジエチルエステル)、ジオクタデシル3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、および3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩。
【0190】
−アシルアミノフェノール類、例えば、ラウリン酸4−ヒドロキシアニリド、ステアリン酸4−ヒドロキシアニリド、2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン、およびオクチルN−(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)カルバミン酸塩。
【0191】
−β−(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のモノ−または多価アルコール類とのエステル類、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリ(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル類。
【0192】
−β−(5−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオンのモノ−または多価アルコール類とのエステル類、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリ(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル類。
【0193】
−β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のモノ−または多価アルコール類とのエステル類、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル類。
【0194】
−3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル酢酸のモノ−または多価アルコール類とのエステル類、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル類。
【0195】
−β−(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類、例えばN,N′−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N′−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、およびN,N′−ビス[2−(3−[3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(e.g.ナウガード(登録商標)XL−1、ユニロイヤル社)。
【0196】
−アスコルビン酸(ビタミンC)、および
−アミン性酸化防止剤、例えば、N.N′−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(sec−ブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トリルスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ(sec−ブチル)−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシ−ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−(tert−オクチル)フェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン(例えばp,p′−ジ(tert−オクチル)ジフェニルアミン)、4−(n−ブチルアミノ)フェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン[2,6−ジ(tert−ブチル)−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N′,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−およびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−およびジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−およびジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−およびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−およびジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−およびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−およびジアルキル化tert−オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、ジメチルコハク酸と4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとのポリマー[CAS番号。65447−77−0](例えばチヌビン(登録商標)622、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)、および2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘニコサン−21−オンおよびエピクロロヒドリンのポリマー[CAS番号。202483−55−4](例えばホスタビン30、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)。
【0197】
好ましい酸化防止剤は、アルキル化モノフェノール類、ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、トコフェロールおよびその誘導体、クロマノールおよびその誘導体、アスコルビン酸、およびイルガノックス1010である。
【0198】
酸化防止剤は、固形または液体材料、溶液または水性分散、好ましくは被膜形成ポリマー分散液または被膜形成ポリマー溶液に溶解または分散可能な添加剤として使用される。固形材料は、通常搬送ガスにより、微細な粉状で装置内に噴射される。分散は、好ましくは高速攪拌機により、第一の工程で固形材料と水から分散液を調整し、ついで第二の工程でそれを流動層内に好ましくはノズルで高速で導入することで行われる。この液体または溶液は、好ましくはノズルにより塗布される。
【0199】
酸化防止剤は、好ましくはポリウレタン(または他の被膜形成ポリマー)と共に、あるいは別ノズルから別の分散液として、ポリウレタンと同時にあるいはポリウレタンと別のタイミングで塗布できる。
【0200】
特に好ましい実施形態によると、特にポリウレタンを使用する場合、この酸化防止剤は、被膜形成ポリマー分散液または被膜形成ポリマー溶液の調整前、調整中、あるいは調整後に添加される。
【0201】
好ましい実施形態において、酸化防止剤は、被膜形成ポリマーの質量に基づき0〜6.0質量%の範囲、好ましくは3質量%未満、特に0.1%〜2.5質量%の範囲、および最も好ましくは1.0〜1.5質量%の範囲で使用される。
【0202】
本発明の他の実施形態において、吹き付け塗装a)において融合助剤が添加される。
【0203】
融合助剤は、好ましくは少なくとも部分的に水溶性である有機溶剤である。「水溶性」とは、25℃、1気圧下で、融合助剤が水と完全に混合可能であるか、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%の量で水と混合可能であることをいう。水性被膜形成ポリマー分散液または溶液に添加した場合に、被膜形成を加速する有機溶剤は、この分散液または溶液が吸水性ポリマー粒子に塗布された後、好ましく融合助剤として作用する。好ましい実施形態において、水性ポリマー分散液が、工程a)で吹き付け塗装される。
【0204】
融合助剤の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレン炭酸、炭酸プロピレン、グリセロール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、プロピレングリコールブチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブチルアセテートおよびメトキシエタノールなどのアルコール類や、テトラヒドロフランやジオキサンなどの水溶性エーテル類が挙げられるが、これに限定されるわけではない。好ましいのはアルコールであり、特にブタノールである。この融合助剤は、塗装後続く熱処理の間に気化してもよいし、しなくてもよい。
【0205】
融合助剤は、水性被膜形成ポリマー分散液または溶液に混合可能あるいは溶解可能な液体材料として使用される。
【0206】
この融合助剤は、好ましくはポリウレタン(または他の被膜形成ポリマー)および/または酸化防止剤と共に塗布してもよいし、あるいは別ノズルから別の溶液として、被膜形成ポリマーと同時にあるいは被膜形成ポリマーとは別のタイミングで塗布してもよい。
【0207】
好ましい実施形態において、この融合助剤は、被膜形成ポリマーの質量当たり0〜10質量%の範囲、好ましくは8質量%未満、特に0.1〜6質量%の範囲、さらに好ましくは0.5%〜4質量%の範囲、最も好ましくは1.0〜3.0質量%の範囲で使用される。
【0208】
好ましい実施形態において、融合助剤が工程a)で添加され、酸化防止剤が工程a)および/または工程b)で添加される。好ましい実施形態によると、融合助剤と酸化防止剤が工程a)で添加される。
【0209】
他の実施形態によると、工程b)の熱処理でポリウレタンを架橋可能な試薬の少なくとも一つが、限定されるわけではないが例えば、イソシアン酸エステルまたはカルボジイミドが、工程a)で添加される。好ましい実施形態において、融合助剤、酸化防止剤およびポリウレタンの架橋剤が、工程a)で添加される。
【0210】
好ましい実施形態において、熱処理工程の前に、凝集防止剤が、被覆される粒子または好ましくは被覆後の粒子に添加される。凝集防止剤は当業者に公知であり、例えば有機および無機塩類およびこれらの混合物やワックスおよび界面活性剤から選択される微細な不水溶性塩である。ここで、不水溶性塩とは、pHが7で水中への溶解度が5g/l未満、好ましくは3g/l未満、特に2g/l未満、最も好ましくは1g/l未満(25℃および1気圧)である塩をいう。不水溶性塩を使用することで、特に熱処理の間に出現する、被膜形成ポリマー、特にポリウレタンに由来する粘着性を低下することができる。
【0211】
この不水溶性は、固形材料として用いてもよいし、分散液、好ましくは水性分散液として用いてもよい。固形物は、通常搬送ガスにより、微細粒子として装置内に噴射される。分散は、好ましくは高速攪拌機により、第一の工程で固形材料と水から分散液を調整し、ついで第二の工程でそれを流動層内に好ましくはノズルで高速で導入することで行われる。好ましくは両工程が、同一の装置で実施される。水性分散液は、必要なら、ポリウレタン(または他の被膜形成ポリマー)と共に、あるいは別ノズルから別の分散液として、ポリウレタンと同時にあるいはポリウレタンと別のタイミングで塗布できる。被膜形成ポリマーを被覆後で、続く熱処理工程の前に凝集防止剤を塗布することが特に好ましい。必要に応じて、熱処理工程の後に、何回か添加を繰り返してもよい。
【0212】
不水溶性塩の好ましいカチオンの例としては、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Al3+、Sc2+、Y3+、Ln3+(式中、Lnは、ランタノイド元素を表す)、Ti4+、Zr4+、Li、K、Na、およびZn2+が挙げられる。好ましい無機陰イオン性のカウンターイオンとしては、例えば炭酸イオン、硫酸イオン、重炭酸イオン、オルトリン酸イオン、ケイ酸イオン、酸化物イオンまたは水酸化物イオンが挙げられる。塩がいろいろな結晶形を持つ場合、その塩のすべての結晶形が含まれる。この不水溶性無機塩類は、好ましくは、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、フッ化カルシウム、アパタイト、リン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、炭酸リチウム、リン酸リチウム、炭酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、ランタノイド元素の酸化物、水酸化物、炭酸およびリン酸、硫酸ナトリウムランタノイド、硫酸スカンジウム、硫酸イットリウム、硫酸ランタン、水酸化スカンジウム、酸化スカンジウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、およびこれらの混合物から選択される。アパタイトとは、フルオロアパタイト、ヒドロキシアパタイト、クロロアパタイト、炭酸アパタイトおよび炭酸フルオロアパタイトをいう。特に好適なのは、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カルシウム酸化物、酸化マグネシウム、硫酸カルシウムなどのカルシウム塩やマグネシウム塩、およびこれらの混合物である。非晶質性または結晶性の酸化アルミニウム、二酸化チタンおよび二酸化珪素もまた好ましい。少なくとも一つの上記金属カチオンおよび必要に応じて他のいずれかの金属カチオンを含み、ペロブスカイト型またはスピネル型の構造を示す混合金属酸化物も、粉末として白色または黄色を呈するなら好ましい。これらの凝集防止剤は水和した状態でも使用可能である。他の有用な凝集防止剤として、いろいろなクレー、タルカムおよびゼオライトが挙げられる。二酸化珪素は、好ましくは粒度が5〜75nmの範囲である非晶質シリカ、例えばヒュームドシリカである親水性または疎水性のアエロジル(登録商標)であることが好ましい。市販の水性シリカゾルのような粒度が5〜75nmの範囲にある水溶性シリカ、例えばレバジル(登録商標)キーゼルゾル(H.C.スタルク有限責任会社)を選択するのも好ましい。
【0213】
微細不水溶性塩の平均一次粒径は、通常200μm未満、好ましくは100μm未満、特に50μm未満、さらに好ましくは20μm未満、さらに好ましくは10μm未満、最も好ましくは5μm未満の範囲である。ヒュームドシリカは、さらに細かい粒子、例えば50nm未満、好ましくは30nm未満、さらに好ましくは20nm未満の一次粒径で使用される。
【0214】
好ましい実施形態において、この微細不水溶性塩は、吸水性ポリマー粒子の質量に基づき0.001%〜20質量%の範囲、好ましくは10質量%未満、特に0.001%〜5質量%の範囲、さらに好ましくは0.001%〜2質量%の範囲、最も好ましくは0.001〜1質量%の範囲で使用される。
【0215】
上記無機塩類に代えて、あるいは上記無機塩と共に、他の既知の凝集防止剤を使用することも可能で、その例としては、ワックス類、好ましくは超微粉砕化されたまたは好ましくは部分的に酸化されたポリエチレン製ワックス類が挙げられ、これらは、同様に水性分散液の形で使用してもよい。このようなワックス類は、EP0755964に記載されている。なお、本文献を参照することにより本書に組み込まれる。
【0216】
また、凝集防止のために、他の高Tg(>50℃)ポリマーの分散液または溶液で、重ね塗りすることができる。
【0217】
他の有用な凝集防止剤の例としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどのステアレート類、およびさらに、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノラウレート、やポリエチレングリコール400モノステアレートが挙げられる。
【0218】
有用な凝集防止剤も同様に、界面活性剤を含む。界面活性剤は単独で用いてもよく、上述の凝集防止剤のいずれか、好ましくは不水溶性塩と混合して用いてもよい。
【0219】
添加は、被膜形成ポリマーと同時でもよく、被膜形成ポリマーの添加前でもよく、被膜形成ポリマーの添加後でもよい。一般に、好ましくは熱処理の前に添加される。後架橋の操作中に、界面活性剤を塗布してもよい。
【0220】
好ましい実施形態において、凝集防止剤が、好ましくは少なくとも二つの異なる凝集防止剤が、工程a)中および工程b)の後で添加される。
【0221】
他の実施形態において、凝集防止剤は、工程b)の後でのみ添加される。
【0222】
有用な界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性のおよび陽イオン性の界面活性剤およびこれらの混合物が挙げられる。吸水性材料は、好ましくは非イオン性界面活性剤を含有する。有用な非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタンと、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸やオレイン酸などのC〜C18−カルボン酸とのモノ−、ジ−またはトリエステルなどのソルビタンエステル類、ポリソルビン酸塩、アルキル鎖の炭素原子数が8〜22、好ましくは10〜18であり、グルコシド単位中の炭素原子数が1〜20、好ましくは1.1〜5であるアルキルポリグルコシド類、N−アルキルグルカミド類、アルキルアミンアルコキシレート類またはアルキルアミドエトキシレート類、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはオキソアルコールアルコキシレートなどのアルコキシ化C〜C22−アルコール類、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのブロックポリマー、およびC〜C14−アルキル鎖および5〜30molのエチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールエトキシレートが挙げられる。
【0223】
界面活性剤の量は、通常、吸水性材料の質量当たり0.01%〜0.5質量%の範囲、好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満である。
【0224】
本発明によれば、熱処理は、50℃より高い温度で、好ましくは100〜200℃の範囲、120−180℃の範囲で行われる。理論的には、熱処理により、被覆被膜形成ポリマー、好ましくはポリウレタンが、流動してポリマーフィルムを形成し、ポリマー鎖が交互にもつれ合う。熱処理の所要時間は、選択された熱処理温度や被膜形成ポリマーのガラス転移温度や溶融温度により決まる。一般に、30分〜120分の範囲の熱処理で十分であろう。しかし、例えば流動層乾燥機では、30分未満の熱処理でも所望のポリマーフィルムが得られる。熱処理時間を延長してもよいが、高温ではポリマーフィルム、しいては吸水性材料の劣化につながる。
【0225】
特定の所定滞留時間で熱処理乾燥機から取り出した被覆吸水性材料のを試料を採取・分析することにより、吸水性材料の性能を最適化し、特定の温度での熱処理時間を短縮させることができることがわかった。熱処理の初期には、製品のCS−SFC値が徐々に上昇するが、その後減少または、しばらくの間特定のレベルで一定となる。したがって、本発明のある実施形態によると、得られるポリマー粒子のCS−SFC値が、最適CS−SFC値の少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、特に少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは95%となるように工程b)における熱処理時間が決められる。驚くべきことに、最適の熱処理時間が、融合助剤および/または酸化防止剤の添加により影響を受けることが判明した。ポリウレタンの架橋剤の存在もまた、この最適時間に影響を与える。
【0226】
最適なCS−SFC値は、コーティングした吸水性ポリマー粒子のバッチを一定に保った所定の製品温度で撹拌しながら処理し、そのバッチから定期的に少量のサンプルを取り出すことにより容易に決定される。これらのサンプルから吸水性材料特性を決定し、性能データを滞留時間に対して表あるいはグラフにすることによって、使用する特定の装置における最適な熱処理時間を決定することが可能である。一般に、最適/最大の性能が観察される。製品サンプルは、一般的に所定の滞留時間(例えば5〜10分毎)後に取り出す。当該技術の熟達者は、一般的に熱処理の開始時からその後無変化あるいは減少するCS‐SFCデータを示すこのサンプル集団から少なくとも次の2つのサンプルが得られる滞留時間に達するまでに、サンプルをおよそ5つ以上取り出す。最適条件を決定するためには、これらのサンプルについてCS−SFCおよび他のそれぞれの吸収力データを得るために十分な数の製品サンプルを取り出さなければならない。次に、滞留時間に対してデータをプロットして、グラフから最適な滞留時間を決定することができる。あるいは、当該技術の熟達者は、近似アルゴリズムを使用して最適な滞留時間を決定する。さらに、当該処理は好ましくは熱処理製品温度についても最適化するために異なる熱処理温度で繰り返される。最適なCS−SFCは、最大のCS−SFCである。しかしながら、特定の吸水性材料の生成については、最適なCS−SFCの必要部分のみを得るために必要であると同時にそのCCRCまたは他の関連する性能特性を最大限にする滞留時間を決定することが望ましく、これは、これらのパラメーターの両者または全てを滞留時間に対してプロットまたは評価することによって上述と同じ手順を使用して達成することができる。上記の手順に従った場合、当該技術の熟達者は、加熱曲線のような装置特有の影響も明らかにする。
【0227】
好ましい実施例では、当該処理は以下の手順で構成される。
a)0〜150℃の範囲の流動層反応器における弾性被膜形成ポリマーを用いた吸水性ポリマー粒子の吹き付け塗装、および
b)50℃以上の温度でのコーティングした粒子の熱処理、
ただし、手順a)およびまたはb)では酸化防止剤が、あるいは手順b)では融合助剤が添加され、さらに手順b)では、得られたポリマー粒子のCS‐SFC値が最適なCS−SFC値の少なくとも10%である熱処理時間が選択される。
【0228】
特に好ましい実施例では、当該処理は以下の手順で構成される。
a)0〜150℃の範囲の流動層反応器における弾性被膜形成ポリマーを用いた吸水性ポリマー粒子の吹き付け塗装、および
b)コーティングした粒子の50℃以上の温度での熱処理、
ただし、手順a)では酸化防止剤および融合助剤を添加し、手順b)では得られたポリマー粒子のCS−SFC値が最適なCS−SFC値の少なくとも10%である熱処理時間が選ばれる。必要に応じて、手順a)にポリウレタン用の架橋剤を添加してもよい。
【0229】
熱処理は、例えば流動層乾燥器、トンネルドライヤー、トレイドライヤー、タワードライヤー、1本以上の過熱したネジまたはディスクドライヤーまたはNaraドライヤーにおいて実施する。熱処理は強制空気オーブン内のトレーで行うことができる。この場合、コーティングしたポリマーを熱処理前に凝集防止剤で処理することが望ましい。あるいは、トレーに抗付着性コーティングを施し、次にコーティングしたポリマーを一緒に焼結することを回避するためにトレーに単粒子層として載せてもよい。
【0230】
熱処理は、好ましくは流動層反応器において、より好ましくは特に直接ワースターコーター内にある連続的な流動層反応器において実施する。コーティング手順a)および熱処理手順b)が流動層反応器において実施することは特に好ましく、連続的な流動層反応器において実施することはとりわけ特に好ましい。
【0231】
コーティング、熱処理および冷却の処理手順については、不活性ガスを使用することが可能であるが、一般にこれは必要ない。本発明によればこれらの手順の各々において空気、除湿または乾燥した空気をあるいはこれらの処理手順の1つ以上において空気および不活性ガスの混合物を使用することが可能である。好ましい実施例では、熱処理手順におけるガス流の酸素含有量は8体積%未満、好ましくは1体積%未満である。
【0232】
本発明の処理によって得られる吸水性材料は、均質性の薄膜でコーティングされていると思われる。理論に拘束される意図はないが、シェルが膨潤中および膨潤後に維持される限り、また粒子表面上のポリマー薄膜によって膨潤時に発生した物理力が吸収水性粒子にほぼ均一に分布する限り、カプセル封入形態は特に重要ではない。吸収性ポリマー粒子を基準として塗布されたポリマーコーティングの割合および量および実行される適用方法によって、ポリマー薄膜は完全に途切れないことはなく島状の被膜のない領域があると予想される。この実施例も本発明に含まれる。欠陥のある、例えば穴の開いたコーティングは高吸収性ポリマー粒子がコーティングの欠陥にもかかわらずコーティングした吸水性ポリマー粒子の膨潤に本質的に類似した機械的な力が本質的に無傷のコーティングの場合のように生じるようコーティングされている限り不利ではない。ポリマーの親水性は、本実施例によると役割は小さい。例えば分散液への賦形剤またはポリマー添加物の使用によるそのような欠陥の意図的な取り込みは、請求の材料の吸収速度を増大する手段となり、長所として使用される。コーティングした吸水性材料が膨潤中に溶解する水溶性賦形剤をコーティングに含ませることは有利である。ある実施例によると、被膜形成ポリマーは事実上全コーティングした吸水性ポリマー粒子の表面で部分的に穴の空いた薄膜を形成している。
【0233】
物理力の均一な分布は、膨潤した水吸収物質の顕微鏡観察によって見ることができる。
【0234】
個々の粒子は、非常に不規則な吸水性ポリマー粒子から成る場合でも丸みのある形状または球状の形状を示す傾向がある。理論に拘束される意図はないが、所定のバッチのほとんどまたは全ての吸水性ポリマー粒子が一様にコーティングされることが好ましい。コーティングしていない他の粒状の高吸収性ポリマーと任意の比率で混合したそのような吸水性材料を使用することも可能である。
【0235】
欠陥のない粒子と欠陥のある粒子が並んで存在することが一般に観察されるが、これは染色法によって顕微鏡で見ることができる。これは、上述のように吸収性ポリマー粒子が後架橋される場合に有利である。既に後架橋された吸水性ポリマー粒子は、被膜形成ポリマー、特にポリウレタンでコーティングできる。同様に熱処理の前まで後架橋剤が適用されない、すなわち好ましくは流動層において被膜形成ポリマー、特にポリウレタンと同時にまたは被膜形成ポリマーコーティングの後で適用することもできる。処理の後者のバージョンにおいて、これは例えば凝集防止剤の好ましい添加と同時に達成することができる。全ての場合において、熱処理は50〜200℃の範囲の温度で実施するが、最も好ましくは120〜180℃の範囲の温度で実施する。
【0236】
場合によっては、手順b)のような熱処理後に弾性被膜形成ポリマーでコーティングした吸水性粒子の粉体流動性および圧縮性が低下することが観察されている。粒子は、室温まで冷却して、例えば大きな袋内に質量圧の下で長時間保管した場合だけでなく、暖かい状態でも粘着し凝集する傾向がある。最終処理手順において既にコーティングして熱処理した吸水性粒子に凝集防止剤を添加することによって、粘着性を低減・解消することも流動性(すなわち流動度)を有意に改善することもできる。好ましい実施例では、流動層内で凝集防止剤を高温の吸水性粒子に分散液としてスプレーする。この利点はコーティングした粒子を部分的に冷却し、全量を大きな袋に入れることが可能な温度に冷却するために要する時間およびエネルギーを節約できることである。そのような凝集防止剤がこの目的に使用される量は、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜1.0質量%、最も好ましくは0.5〜0.8質量%である。標準的な凝集防止剤については上述のとおりである。
【0237】
熱処理手順が完了後、乾燥した吸水性ポリマー材料を冷却する。そのため、暖かく乾燥したポリマーを、好ましくは下流の冷却器へ連続的に移す。これは、例えばディスク冷却器、Nara 冷却器またはスクリュー冷却器でよい。冷却は適切な冷却剤、例えば暖水または冷水が流れる冷却器の壁および適切な場合には撹拌要素によって行う。水または添加物の水溶液または添加物の分散液は、好ましくは冷却器内でスプレーする。これにより、冷却効率(水の部分的な蒸発)を増大し、最終製品の残留水分は、0〜15質量%の範囲、好ましくは0.01〜6質量%の範囲、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲の値に調整できる。増加した残留水分量は、製品のダスト量を低減し、そのような吸水性材料が水性液と接触した場合に膨潤を促進する。添加物の例は、トリエタノールアミン、界面活性剤、シリカまたは硫酸アルミニウムである。
【0238】
しかしながら、必要に応じて冷却器を冷却のみに使用し、下流のセパレートミキサーに水および添加物を添加することも可能である。冷却は、製品をビニール袋またはサイロトラックに容易に詰めることができる程度までのみ製品温度を下げる。冷却後の製品温度は、一般的に90℃未満であり、好ましくは60℃未満、最も好ましくは40℃未満および好ましくは−20℃以上である。
【0239】
流動層冷却器を使用することが好ましい。
【0240】
コーティングおよび熱処理を流動層で実施する場合、2つの操作は別々の装置または連通室のある1台の装置のいずれかで実施することができる。冷却も流動層冷却器において実施する場合は、別々の装置あるいは必要に応じて他の2つの手順と合わせて第3反応室のあるただ1つの装置で実施することができる。各チェンバーに粒子を次々と連続的に通すことによって吸水性ポリマー粒子が各チェンバー内で被膜形成ポリマーシェルを連続的に形成するように、互いに連続的に連結された複数の反応室におけるコーティング手順のように特定の手順を実行することが望まれる場合、より多くの反応槽が可能である。
【0241】
次の手順からなる吸水性材料生成処理が優先される。
a)流動層反応器において0℃〜150℃の範囲、好ましくは20〜100℃の範囲の温度で弾性被膜形成ポリマーの分散液と吸水性ポリマー粒子をスプレーすること、および
b) a)によって得られた粒子を必要に応じて凝集防止剤でコーティングすること、および続いて
c)コーティングした粒子を、50℃以上、好ましくは100℃以上の温度で熱処理する、および続いて
d)熱処理した粒子を90℃以下に冷却する
ただし、手順a)によると酸化防止剤およびまたは融合助剤が添加されおよびまたは手順b)ではCS−SFC値の決定によって熱処理の滞留時間が最適化され、最適なCS−SFC値に達した場合に終了される。
【0242】
本発明の工程は、良好な時間・空間収量で優れた吸収特性を持つ吸水性ポリマー粒子を生成することで注目に値する。さらに酸素を含むガス流における処理が、特に少なくとも一つの酸化防止剤を使用した場合に可能である。
【0243】
本発明により得られる水膨潤性材料は、好ましくは水を質量の20%未満、または10%未満または8%未満または5%未満含むか、または水を含まない。水膨潤性材料の含水率は、EDANA試験、番号ERT 430.1−99(1999年2月)によって決定することができる。本試験では、水膨潤性材料を105℃で3時間乾燥させ、乾燥後の水膨潤性材料の減量によって水分含有量を決定する。
【0244】
水膨潤性材料が2層以上のコーティング剤(シェル)から成ることは可能であり、これは水膨潤性ポリマーを2回以上コーティングすることにより得られる。これは同一のコーティング剤でも異なるコーティング剤でもよい。しかし、経済的理由から、被膜形成ポリマー、好ましくはポリウレタンの単一コーティングが好ましい。
【0245】
本発明により得られる吸水性材料は、粒子が乾燥している場合は不規則な形をしているが、膨潤過程および使用中の膨潤状態では、膨潤した吸収性物質の核にかかる力が弾性ポリマー外層の反発力によって表面に分配され、弾性ポリマー外層が本質的にその形態特性を保持するため、より完全な丸い形状/形態を示す点で注目に値する。被覆被膜形成ポリマー、特にポリウレタンは生理的食塩水に対して浸透性があり、ポリマー粒子はCS−CRC(Core Shell Centrifuge Retention Capacity)およびCCRC (Cylinder Centrifuge Retention Capacity) 試験で優れた吸収値を示し、またCS−SFC試験でも良好な浸透性を示す。
【0246】
Core Shell Centrifuge Retention Capacity(CS−CRC) 値が少なくとも20g/g、好ましくは本発明による工程によって達成される少なくとも25g/gの吸水性材料が好ましい。
【0247】
同様に、CS−CRCおよびCS‐SFC(Core Shell Saline Flow Capacity)が次の関係を満たす吸水性材料が好ましい。Log (CS−SFC'/150) > 3.36 − 0.133 x CS−CRC、ただしCS−SFC' = CS−SFC x 10 7 および150[cms/g]の大きさが本発明による工程によって達成される。
【0248】
同様に、CS−CRCおよびCS−SFC(Core Shell Saline Flow Capacity)が次の関係を満たす吸水性材料が好ましい。Log (CS−SFC‘/150) > 2.5−0.095 x CS−CRC、CS−SFC = CS−SFC x 107および150[cms/g]の大きさが本発明による工程によって達成される。
【0249】
本発明の工程によって達成されるCylinder Centrifuge Retention Capacity(CCRC)値が少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも25g/gである吸水性材料が好ましい。
【0250】
CCRCおよびCS−SFC (Core Shell Saline Flow Capacity)が次の関係を満たす吸水性材料が好ましい。Log (CS−SF‘/150) > 3.36 − 0.133 x CCRC、ただしCS−SFC = CS−SFC x 107 および150[cms/g]の大きさが本発明による工程によって達成される。
【0251】
同様にCCRCおよびCS−SFC(Core Shell Saline Flow Capacity)が次の関係を満たす吸水性材料が好ましい。Log (CS−SFC‘/150) > 2.5−0.095 x CCRC、ただしCS−SFC = CS−SFC x 107 および150[cms/g]の大きさが本発明による工程によって達成される。
【0252】
結果として生じる吸水性材料のCS−SFCが少なくとも350 x 10-7 cms/gあるいは好ましくは少なくとも400x10-7 cms/g、または少なくとも450の×10-7 cms/gである実施例が好ましい。他の実施例によると、その結果として生じる吸水性材料のCS−SFCが少なくとも540×10-7 cms/g、あるいは好ましくは少なくとも600×10-7 cms/gであることが好ましい。
【0253】
また、本発明の工程によって得られる吸水性材料は、高い吸湿多孔性を有する。すなわち、これは、本発明の水膨潤性材料は、液体を吸収し膨潤すると一般的に特に非コーティング吸水性ポリマー粒子と比較して特定の吸湿多孔性を持っている(ヒドロ)ゲルまたは(ヒドロ)ゲル・ベッドを形成することを意味する。吸湿多孔性は、本願に引用してUS 5,562,646で公開されたPHL試験で測定することができる。吸水性材料および吸水性ポリマー粒子を本試験法の説明とは異なる圧力で試験する場合、本試験で使用される質量はそれに応じて補正しなければならない。
【0254】
また、本発明の工程によって得られる吸水性材料は、ゲル・ベッド内の液体流に対してここで行うCS‐SFCテストセットにより測定可能な浸透性を持つ。
【0255】
吸水性材料(以後ヒドロゲル形成ポリマーとも呼ぶ)は、以下に説明する試験法により試験した。
【0256】
方法:
測定は、特に明記しない限り室温23±2℃および相対湿度50±10%で実施するものとする。吸水性ポリマー粒子は、測定前に十分混合する。以下の方法について、AGMは「吸収性ゲル化材料」を意味し、吸水性ポリマー粒子並びに吸水性材料に関係することもある。それぞれの意味は、以下の例において所定のデータによって明確に定義される。
【0257】
CRC(遠心保持性能)(Centrifuge Retention Capacity)
この方法は、ティーバッグ内のヒドロゲルの自由な膨潤性を決定する。CRCを決定するため、0.2000±0.0050gの乾燥したヒドロゲル(粒径画分106〜850μmまたは以下の例において特に示す通り)をサイズが60×85mmのティーバッグに計量し、密閉する。ティーバッグを、0.9質量%過剰な塩化ナトリウム溶液(少なくとも0.83Lのの塩化ナトリウム溶液/ポリマー粉末1g)に30分間浸ける。次に、ティーバッグを250gで3分間遠心分離する。液体の量は、遠心分離したティーバッグの計量により決定する。この手順は、EDANA(欧州不織布工業会)が推奨する試験法。番号441.2−02 対応する。ティーバッグ材料および遠心分離機および評価も同様にそこで決定される。
【0258】
CS−CRC(コア・シェル遠心保持性能)(Core Shell Centrifuge Retention Capacity)
CS−CRCは、サンプルの膨潤時間が30分から240分に延長する以外は、CRCと全く同様に実施する。
【0259】
CCRC法は以下に説明する。
【0260】
AUL(0.7psiの負荷下の吸収度)
負荷下の吸収度は、各例毎にその例において粒度分布が報告された実際のサンプルが測定される点を除いてEDANA(欧州不織布工業会)が推奨する圧力下吸収試験法。番号441.2−02と同様に決定される。
【0261】
AUL 0.7 psiを決定するためのメジャーリングセルは、内径60mmおよび高さ50mmのプレキシグラス・シリンダである。その下側には、メッシュサイズ36μmのステンレススチールふるいの底が粘着的に付いている。メジャーリングセルはさらに、直径59mmのプラスチック板およびプラスチック板と共にメジャーリングセルに入れることができるおもりが付いている。プラスチック板およびおもりの質量は合わせて1345gである。AUL 0.7psiは、空のプレキシグラス・シリンダおよびプラスチック板の質量を決定し、それをWとして記録することにより決定する。次に0.900±0.005gのヒドロゲル形成ポリマー(粒度分布150〜800μmまたは以下の例において特に報告の通り)をプレキシグラス・シリンダへ計量し、ステンレススチールふるい底に極めて均一に分配する。次に、プラスチック板をプレキシグラス・シリンダに慎重に入れ、全体のユニットを計量し、質量をWとして記録する。次に、プレキシグラス・シリンダ内のプラスチック板におもりを載せる。次に、直径120mm、高さ10mm、空隙率0のセラミック・フィルタ・プレート(Duran、Schott社)を直径200mm、高さ30mmのペトリ皿に入れ、十分な量の0.9質量%の塩化ナトリウム溶液を液面がフィルタプレートの表面を濡らさずにフィルタプレート表面と同じ高さになるまで導入する。次に、直径90mmおよび細孔径20μm未満の円形濾紙(S&S 589 Schwarzband、Schleicher & Schull社)をセラミックプレートに載せる。次に、ヒドロゲル形成ポリマーを保持するプレキシグラス・シリンダをプラスチック板およびおもりと共に濾紙の上に60分間放置する。この期間の終わりに、全ユニットを濾紙のペトリ皿から取り出し、次に、おもりをプレキシグラス・シリンダから取り出す。膨潤したヒドロゲルを保持するプレキシグラス・シリンダをプラスチック板と共に計量し、その質量をWbとして記録する。
【0262】
負荷下の吸収度(AUL)は以下のように計算する。
【0263】
AUL 0.7 psi [g/g] = [Wb−Wa] / [Wa−W]
AUL 0.3psiおよび0.5psiは、同様に適切な低圧力で測定する。
【0264】
CS−AUL(0.7psi未満の負荷下のコア・シェル吸収)
CS−AUL 0.7psiを決定するためのメジャーリングセルは、内径60mm、高さ50mmのプレキシグラス・シリンダである。その下側に粘着的に付けられているのは、メッシュサイズ36μmのステンレススチールふるいの底(Steel 1.4401、ワイヤー直径0.028mm、Weisse & Eschrich社)である。メジャーリングセルにはさらに、直径59mmのプラスチック板およびプラスチック板と共にメジャーリングセルに入れることができるおもりが付いている。プラスチック板およびおもりを合わせた質量は1345gである。AUL 0.7psiは、空のプレキシグラス・シリンダおよびプラスチック板の質量を決定し、それをWとして記録することにより決定される。次に0.900±0.005gのヒドロゲル形成ポリマー(粒度分布150〜800μmまたは以下の例において特に報告の通り)をプレキシグラス・シリンダへ計量し、ステンレススチールふるい底に極めて均一に分配する。次に、プラスチック板をプレキシグラス・シリンダに慎重に入れ、全体のユニットを計量し、質量をWaとして記録する。次に、プレキシグラス・シリンダ内のプラスチック板におもりを載せる。次に、直径90mmの円形濾紙(587番、Schleicher & Schull社)を直径115mm、高さ65mmの500mL結晶皿(Schott社)の中央に置く。次に0.9質量%の塩化ナトリウム溶液を200mL導入し、次にヒドロゲル形成ポリマーを保持すプレキシグラス・シリンダをプラスチック板およびおもりと共に濾紙の上に載せ240分放置する。この期間の終わりに、全ユニットを濾紙のペトリ皿から取り出し、次におもりをプレキシグラス・シリンダから取り出して、粘着液を5秒間排出する。次に、おもりをプレキシグラス・シリンダから取り出す。膨潤したヒドロゲルを保持するプレキシグラス・シリンダをプラスチック板と共に計量し、その質量をWbとして記録する。
【0265】
負荷下の吸収度(AUL)は以下のように計算される。
AUL 0.7 psi [g/g] = [Wb−Wa] / [Wa−W]
AUL 0.3psiおよび0.5psiは、同様に適切な低圧力で測定する。
【0266】
食塩水流動性(Saline Flow Conductivity)(SFC)
膨潤したゲル層の浸透性を決定する方法は、「ゲル層浸透性」として知られている「Saline Flow Conductivity(生理食塩水流誘導性)」であり、EP A 640 330に記載されている。この方法に使用される装置は、以下に述べるように改良されている。図1は、空気アドミタンス用開口管A、補充用栓付開口部B、定静水頭貯留槽C、LabジャッキD、送達チューブE、ストップコックF、リングスタンドサポートG、受水槽H、バランスIおよびSFC装置Lと浸透率測定器セットアップを示す。
【0267】
図2は、金属おもりM、プランジャー・シャフトN、蓋O、センタープランジャーPおよびシリンダQから成るSFC装置Lを示す。
【0268】
シリンダQの内径は6.00cm(面積=28.27 cm)である。シリンダQの底は、装着前に両軸方向に張られたステンレススチール・スクリーン・クロス(メッシュ幅。0.036mm;ワイヤー直径。0.028mm)に面している。プランジャーは、直径21.15mmのプランジャー・シャフトNから成る。直径15.8mmのカラーを形成する上部26.0mmは、やはり張られたステンレススチール・スクリーンでスクリーニングされたセンター・プランジャーP(メッシュ幅。0.036mm; ワイヤー直径。0.028mm)および環状のステンレススチールおもりMである。環状のステンレススチールおもりMの中央には穴が開いており、プランジャー・シャフトに滑り込ませ、カラーの上に載せることができる。センター・プランジャーP、シャフトおよびステンレススチールおもりMの総合質量は596g(±6g)でなければならないが、これはシリンダの全体の0.30PSIに相当する。シリンダの蓋Oには、プランジャー・シャフトNを縦に合わせるための中央開口部および端近くに貯留槽からシリンダQへ液体を導入するための第2の開口部がある。
【0269】
シリンダQ明細詳細は次のとおりである。
シリンダの外径:70.35 mm
シリンダの内径:60.0 mm
シリンダの高さ:60.5 mm
シリンダ蓋Oの仕様の詳細は次のとおりである。
SFC蓋の外径:76.05 mm
SFC蓋の内径:70.5 mm
SFC蓋の外側全高:12.7 mm
カラーを除いたSFC蓋の高さ:6.35 mm
中央に位置づけたプランジャー・シャフトの穴の直径:22.25 mm
SFC蓋の穴の直径:12.7 mm
上記の2つの穴の中央間の距離:23.5 mm
金属おもりMの仕様の詳細は次のとおりである。
金属おもり用プランジャー・シャフトの直径:16.0 mm
金属おもりの直径:50.0 mm
金属おもりの高さ:39.0 mm
図3は、プランジャー・センターPの仕様の詳細を示す。
SFCプランジャー・センターの直径m:59.7 mm
SFCプランジャー・センターの高さn:16.5 mm
47.8mmのボルトサークル上に等間隔に配された14個の直径9.65mmの穴oおよび26.7mmのボルトサークル上に等間隔に配された7個の直径9.65mmの穴p
5/8インチのスレッドq
使用する前に、SFC装置のステンレススチール・スクリーンに目詰まり、穴あるいは過剰な伸展がないか綿密に調べ、必要な場合は交換する。破損したスクリーンを用いたSFC装置は、誤ったSFC結果を出す可能性があり、スクリーンを完全に交換するまで使用してはならない。
【0270】
シリンダの底に付けられたスクリーンから5.00cm(±0.05cm)上の高さを測定し、細い油性マジックでシリンダにはっきり印をつける。これは、分析中に維持される液面の印である。正確で一定の液面(静水圧)の維持は測定精度にとって重要である。
【0271】
定静水頭貯留槽Cは、シリンダにNaCl溶液を送達するためおよび溶液の水位をシリンダの底に付けられたスクリーンの5.0cm上の高さに維持するために使用される。貯留槽空気取入管Aの下端部は、測定値中シリンダ内の液面を必要な高さ5.0cmに維持するように、すなわち空気取入管Aの底のベンチ・トップからの高さが受水槽上のサポートスクリーンに載せた時のシリンダの5.0cmの印のベンチ・トップからの高さと同じになるように位置づける。空気取入管Aとシリンダの5.0cm水位マークの高さを適切に合わせることは分析にとって重要である。適切な貯留槽は次のものを含むジャーから成る。送液用の水平なL字型送達管E、貯留槽内にあり一定の高さで空気を取り入れるための縦の開口管A、および貯留槽補充用栓付開口部B。貯留槽Cの底の近くに位置する送達管Eには、液体の送達を開始/停止するための止め栓Fが付いている。管の排出口は、その末端でシリンダ内の液面の下にして(5cmの高さが達成された後)、開口部を通じてシリンダ蓋Oに挿入できる大きさになっている。空気取入管は、O−リング・カラーにより適所に保持される。貯留槽は、シリンダの高さに対して高さを調整するためにLabジャッキDの上に載せることができる。貯留槽のこの構成部分は、シリンダを必要な高さ(すなわち静水頭)まで速やかに満たし、かつ測定の間この高さを維持すような大きさになっている。貯留槽は、少なくとも10分間3g/秒の最小流量で液体を送達できなければならない。
【0272】
16メッシュの固いステンレススチール・サポートスクリーン(または同等物)を備えたリングスタンドにプランジャー/シリンダ装置を位置づける。このサポート・スクリーンは、十分浸透性があり流体流を妨害しない。また、十分に固くステンレススチール・メッシュクロスの伸展を防ぐ。サポート・スクリーンは、平らにし試験中シリンダ装置を傾けない高さにする。サポート・スクリーンの下にある(支持はしない)採取槽においてスクリーンを通過する液体を収集する。採取槽は、少なくとも0.01gの精度の秤に載せる。秤のデジタル出力は、コンピュータデータ収集システムに接続する。
【0273】
試薬の製造
次の製造は標準1Lの量についてである。1Lより多く製造する場合は、必要に応じて全ての成分を計算しなければならない。
【0274】
Jayco合成尿
1Lのメスフラスコをその容積の80%まで脱イオン水で満たし、撹拌棒を入れて、撹拌プレート上に置く。秤量紙またはビーカーを使用し、化学天秤を使用して次の乾燥成分の量を別々に計量し(±0.01gの精度で)、以下にリストする順序でそれらをメスフラスコに入れる。固体が全て解けるまで混ぜ、次に撹拌棒を取り出して、蒸留水で1Lの容積まで希釈する。再度撹拌棒を入れ、撹拌プレート上でさらに数分間混ぜる。製造した溶液の伝導度は7.6±0.23 mS/cmでなければならない。
【0275】
無水物[水和物]の組成
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(NaSO)2.00g
無水リン酸アンモニウム(NHPO)0.85g
第2リン酸アンモニウム(NH)(2HPO)0.15g
塩化カルシウム(CaCl)0.19g−[塩化カルシウム水和物(2HO)0.25 g]
塩化マグネシウム(MgCl)0.23g−[塩化マグネシウム水和物(6HO)0.50 g]
製造を速くするため、次を追加する前に各塩が完全に溶解するまで待つ。Jaycoは、清潔なガラス容器に2週間保管できる。濁り始めた溶液は使用しない。清潔なプラスチック容器での貯蔵期間は10日である。
【0276】
0.118Mの塩化ナトリウム(NaCl)溶液
秤量紙またはビーカーを使用し、化学天秤を使用して、1Lのメスフラスコに6.90gの塩化ナトリウムを計量し、脱イオン水で満たす。撹拌棒を入れ、固形物が全て溶解するまで撹拌プレート上で混合する。製造した溶液の伝導度は、12.50±0.38 mS/cmでなければならない。
【0277】
試験準備
レファレンス金属円筒(直径40mm、高さ140mm)を使用して、キャリパーゲージ(例えばMitotoyo Digimatic Height Gage)を0に設定する。この操作は、好都合なことに滑らかで水平なベンチ・トップ上で行なえる。AGMのないSFC装置をキャリパーゲージの下に位置づけて、0.01mmの位までの厚さをL1として記録する。
【0278】
一定の静水頭貯留槽に0.118MのNaCl溶液を入れる。測定値中SFCシリンダ内の液体のメニスカスの最上位部を必要な5.0cmの高さ維持するように貯留槽空気取入管Aの底を位置づける。空気取入口管Aをシリンダに付けた5cmの液高マークに高さを適切に合わせることは、分析にとって重要である。
【0279】
8cmのフリットディスク(厚さ7mm;例えばChemglass社 # CG 201−51(粗い空隙率)上に合成尿を過剰に添加することによってディスクを飽和させる。ディスクが飽和するまで繰り返す。飽和したフリットディスクを加湿皿に載せ、ディスクの高さに達するまで合成尿を追加する。液面の高さは、ディスクの高さを越えてはならない。
【0280】
天秤に採取槽を載せて、天秤のデジタル出力をコンピュータ・データ収集システムに接続する。16メッシュの固いステンレススチール・サポート・スクリーンと共にリングスタンドを収集ディッシュの上に置く。この16メッシュスクリーンは、測定値中にSFC装置を支援するのに十分に固くなければならない。サポートスクリーンは平らで水平でなければならない。
【0281】
AGMサンプリング
AGMサンプルは密閉したボトルに入れ、一定の低湿度環境に保存する。粒子径が均一に分布するようにサンプルを混合する。スパチュラを使用して、容器の中央から試験材料の代表サンプルを取り出す。サンプルの粒度分布の均一性を増すために試料分取器の使用が勧められる。
【0282】
SFC手順
化学天秤プレートに計量漏斗を載せ、天秤を0に合わせる。スパチュラを使用して、計量漏斗にAGM 0.9g(±0.05g)を計量する。ベンチにSFCシリンダを載せ、計量漏斗を持ち指で静かに叩いて、スクリーン上に均一に分散するようにAGMをシリンダに移す。AGMを移している間に、分散を促進し、かつ均一に分布するようにシリンダを漸次回転させる。高精度の結果を得るために、スクリーン上の粒子分布が均一であることは重要である。分布の末端でAGM材料がシリンダ壁に付着してはならない。蓋の中央の穴にプランジャー・シャフトを挿入し、次にプランジャー・センターをシリンダに数センチ挿入する。プランジャー・センターをAGMから離したまま、蓋をシリンダに挿入し、2つが揃うまで慎重に回す。蓋と揃うようプランジャーを慎重に回し、次に乾燥したAGMの上に載るように下す。プランジャーロッドにステンレススチールおもりを挿入し、蓋が自由に動くか確認する。蓋が適切な位置にあれば結合を防ぎ、ゲル・ベッド上の質量の均一な分布が確実になる。
【0283】
シリンダ底の薄いスクリーンは容易に引き伸ばされる。伸展を防ぐため、装置のシリンダ部分をつかんだ状態で蓋の直ぐ上のプランジャーロッドに人差し指で横方向の圧力をかける。これは、装置が持ち上げられるようにシリンダの内にプランジャーを「ロックする」。加水ディッシュ内のフリットディスクに装置全体を載せる。ディッシュ内の液面は、フリットディスクの高さを過えてはならない。この手順中に層が液体を失ったり空気を取り込まないように注意する。ディッシュ内の利用可能な液体は、全膨潤期で十分でなければならない。必要ならば、水分補給期中ディッシュに液体を追加して利用可能な合成尿が十分あるようにする。60分後に、SFC装置をキャリパーゲージの下に置き、0.01mmの位までの厚さををL2として記録する。差L2‐L1によって、ゲル層の厚さL0を最近の±0.1mmで計算する。読み値が経時的に変化する場合は、初期値のみを記録する。
【0284】
収集ディッシュの上のサポート・スクリーンへSFC装置を移す。装置を持ち上げる場合には、必ずシリンダ内の適所にプランジャーをロックする。送達管をシリンダ蓋の穴を通して置くように定静水頭貯留槽を位置づける。次のシーケンスの測定を開始する。
a) 定静水頭貯留槽の止め栓を開け、液体が5cmのマークに達すようにする。この液面は止め栓を開てから10秒以内に得られなければならない。
b) 液面が5cmに達したら、直ちにデータ収集プログラムを起動する。
【0285】
天秤に接続されたコンピューターを使用して、20秒間隔で10分間、時間に対してゲル層を通過する液体の量を記録する。10分経過時に、貯留槽の栓を閉める。60秒から実験終了時までのデータを計算に使用する。60秒前に収集したデータは、計算に入れない。各AGMサンプル毎に3回試験を行なう。
【0286】
測定値の評価は、EP−A 640 330と変わらない。通過流は自動的に捕らえられる。
【0287】
Saline Flow Conductivity(SFC)は以下のように計算される。
【0288】
SFC[cms/g]=(Fg(t=0)×L)/(d×A×WP)、
ただし、Fg(t=0)はt=0への外挿によって通過流測定のFg(t)データの線形回帰分析から得られたNaCl溶液の通過流(g/s)、Lはゲル層の厚さ(cm)、dはg/cmでNaCl溶液の濃度、Aはゲル層の面積(cm)、およびWPはゲル層の静水圧(dyn/cm)である。
【0289】
CS−SFC(コア・シェル食塩水流動性)(Core Shell Saline Flow Conductivity)
CS−SFCは、次の変更で、SFCと全く同じように決定される。SFCを修正するため、当該技術の熟達者は、フィードラインの流体力学的抵抗が、実際に評価に用する測定値時間のスタート前にSFC(5cm)の場合と同じ流体力学的圧力が達成されるほど非常に低くなるように、また、評価に用する測定値時間の間一定に保たれるように栓を含むフィードラインを設計する。
− 使用するAGMの質量は、1.50±0.05gである。
− AGMサンプルを予め膨潤する溶液としておよび通過流測定のために0.9質量%の塩化ナトリウム溶液を使用する。
− 測定値のためのサンプルの予備膨潤時間は240分である。
− 予備膨潤のため直径90mmの濾紙(597番、Schleicher & Schull社)を500mLの結晶皿(Schott社、直径=115mm、高さ=65mm)に入れ、0.9質量%の塩化ナトリウム溶液250mLを加え、次にサンプルの入ったSFCメジャーリングセルを濾紙に載せて240分間膨潤させる。
− 通過流データは5秒毎に、合計3分間記録する。
− 10秒および180秒の間に測定したポイントは評価に使用し、Fg(t=0)はNaCl溶液の通過流(g/s)であり、通過流の測定値のFg(t)データの線形回帰分析からt=0への外挿によって得られる。
− 通過流溶液用のSFC測定器の貯留槽ボトルには、およそ5kgの塩化ナトリウム溶液が入っている。
【0290】
コーティング・ポリマーの分析法:
弾性被膜形成ポリマー薄膜の製造
ここに使用する弾性被膜形成ポリマーに吸湿伸長試験を含む以下の試験法を適用するためには、当該ポリマーの薄膜を得る必要がある。
【0291】
ここに,試験法における評価用の(乾燥)薄膜の好ましい平均厚(以下に述べる)は、約60μmである。
【0292】
薄膜を製造する方法は、一般に当該技術の熟達者に知られており、一般的に溶液流延、ホットメルト押し出しまたはメルトブローイング被膜形成から成る。これらの方法によって調された薄膜は、薄膜が引かれる方向で定義される縦方向がある。縦方向に垂直な方向は、横方向と定義される。
【0293】
本発明のために以下の試験法において使用する薄膜は、弾性被膜形成ポリマーを以下に挙げる溶媒のうちいずれかの溶液または分散液にできない場合以外は溶液流延によって形成し、次に以下に述べるホットメルト押し出しによって薄膜を形成する。(後者は、2〜48時間の間室温で溶解または分散を試みた後に物質またはコーティング剤および溶媒の混合物において弾性被膜形成ポリマーの粒状物質がまだ見える場合あるいは溶液または分散液の粘性が高すぎてフィルム・キャスティングができない場合である。)
結果として得られる薄膜は、表面が滑らかで、気泡またはひび割れのような目に見える欠損があってはならない。
【0294】
ここに弾性被膜形成ポリマーから溶液流延フィルムの製造する例
ここに試験を行う薄膜は、以下のように当該材料またはコーティング剤の溶液または分散液から薄膜を流延することによって調整される。溶液または分散液は、水において10質量%で、あるいはこれが可能でない場合、あるいはこれが可能でない場合はTHF(テトラヒドロフラン)において、あるいはこれが可能でない場合はジメチルホルムアミド(DMF)において、あるいはこれが可能でない場合はメチルエチルケトン(MEK)において、あるいはこれが可能でない場合はジクロロメタンにおいて、あるいはこれが可能でない場合はトルエンにおいて、あるいはこれが可能でない場合はシクロヘキサンにおいて弾性被膜形成ポリマーを溶解するか分散させることによって作成される(およびこれが可能でない場合は、以下のホットメルト押し出し工程が薄膜を形成するために使用される。)次に、分散液または溶液をテフロン・ディッシュに注ぎ、ゆっくり蒸発させるためにアルミホイルで覆うと、溶媒または分散媒はポリマーの最低造膜温度より高い温度一般的におよそ25℃で長い時間例えば少なくとも48時間または最長7日間ゆっくり蒸発する。次に、残存する溶媒が確実に除去するよう薄膜を25℃で6時間真空オーブンに入れる。
【0295】
水性分散液から薄膜を形成する工程は以下のとおりである。
【0296】
分散液は、そのまま使用しても、あるいは粘性が薄膜を延伸する(200〜500cps)のに十分であれば水で希釈してもよい。分散液(5〜10mL)をドローダウンテーブルのステージに付いているアルミホイル上に載せる。ポリマー分散液をガードナー測定棒#30または#60を使用して延伸し、乾燥後の厚さが50〜100μの薄膜を延伸する。溶媒または分散媒はポリマーの最低造膜温度より高い温度一般的におよそ25℃で長い時間例えば少なくとも48時間または最長7日間ゆっくり蒸発させる。薄膜を150℃で5分〜2時間真空オーブンで加熱し、次に基材から薄膜を剥がすため5〜10分の温水槽に浸け薄膜をフォイル基材から剥がす。次に、剥がした薄膜をテフロン・シートに載せ、室温条件下で24時間乾燥させる。次に、乾燥フィルムは、試験を行なうことができるまで、ビニール袋に密封する。
【0297】
ここにホットメルト押出白膜を作成する工程は以下のとおりである。
【0298】
溶液流延法が可能でない場合、ここに弾性被膜形成ポリマーの薄膜は、弾性被膜形成ポリマーが流れるのに十分な温度で動作する装置の回転一軸スクリュー押出セットを使用してホットメルト押し出してもよいポリマーが融解温度Tmを持っている場合は、押し出しは位置に少なくとも上記Tmの20 K上で行うべきである。ポリマーがアモルファス(すなわち、Tmを持っていない)の場合は、ポリマーの規則−不規則転移点または粘性が劇的に低下する温度の決定するため安定した剪断ビスコメトリーを行なうことができる。薄膜が押出機から取り出される方向は縦方向と定義され、延伸方向に垂直な方向は横方向と定義される。
【0299】
【表1】

【0300】
薄膜の熱処理
薄膜の熱処理は、以下の試験法のために、弾性被膜形成ポリマーの融解温度がTmであり、熱処理温度が少なくともTmより20 K低い、および好ましくは最も高いTgより(なるべく)20 K高いという前提で、使用する弾性被膜形成ポリマーの最も高いTgよりおよそ20 K高い温度の真空オーブンに薄膜を入れることにより行なう。また、これは真空オーブン内で0.1 Torr未満で2時間行う。Tgに達した場合、薄膜に気泡が生じる原因となる気体放出を回避するため、温度を最も高いTgより高い温度にゆっくり上昇させる。例えば、ハードセグメントTgが70℃の材料は90℃で10分間熱処理し、熱処理温度に達するまで温度を漸増する。
【0301】
弾性被膜形成ポリマーがTmを持っている場合、薄膜(上述のように作成し、以下の方法によって試験する)の上記熱処理が(最も高い)Tgより高く、少なくともTmより20 K低く、最も高いTgより(なるべく)20 K高い温度で行う。例えば、Tmが135℃および最も高いTg(ハードセグメントの)が100℃の吸湿伸長性材料は、115℃で熱処理する。
【0302】
測定可能なTgまたはTmがない場合は、この方法における熱処理温度は吸水性材料を作る工程において使用される温度と同じである。
【0303】
該当する場合薄膜の剥離
乾燥して、必要に応じて熱処理された薄膜が被膜形成基材から剥離することが難しい場合は、基材から薄膜を剥離するために、30秒〜5分間温水槽に入れる。次に、薄膜を25℃で6〜24時間乾燥させる。
【0304】
吸湿伸長試験およびぬれた引張応力試験
この試験法は、平らなサンプルに単軸負荷をかけてサンプルを引き延ばすのに必要な力を測定することによって、ここに使用されるような弾性被膜形成ポリマーの薄膜の破断時の吸湿伸長(=破断時の伸び率)および引張特性を測定するために使用される。適用可能な場合、薄膜サンプルはここに横方向に引張る。
【0305】
試験を行う好ましい装置は、MTS Systems社(14000 Technology Drive, Eden Prairie, MN, USA)が供給する25Nまたは50Nのロードセルが付属するMTS Synergie 100またはMTS Allianceなどの引張試験機である。これは、力の増加と共に引張グリップが等速度で移動し、力測定メカニズムがごく僅かな距離(0.13mm未満)を移動して、定速伸長を測定する。ロードセルは、試験サンプルの測定負荷(例えば力)がロードセルの容量の10〜90%になるように選択する。
【0306】
各サンプルは薄膜から打ち抜き、上に定義したように、薄膜をサンプルに切るためにアンビル液圧プレス型を使用して各サンプルは1×1インチ(2.5×2.5cm)にする(したがって、薄膜の方向づけを導入しない工程によって作る場合は、薄膜はどちらの方向に試験してもよい。)検体(最少3つ)は、気泡、穴、混入物および切れ目など目に見える欠損が本質的にないものを選択する。また、鋭く、本質的に欠損のない縁部がなければならない。
【0307】
各乾燥検体の厚さは、およそ0.1psiの圧力を使用するミツトヨ・キャリパーゲージなどの低圧キャリパーゲージで0.001mmの精度で測定される。サンプルの異なる3個所を測定し平均厚を決定する。各検体の乾燥質量は、標準化学天秤を使用して0.001gの精度で測定し記録する。乾燥検体はそれ以上製造せずにここに使用する乾燥伸長、乾燥割線係数、および乾燥引張応力値の決定のため試験する。
【0308】
吸湿試験については、予め計量した乾燥薄膜検体を食塩水[0.9%(w/w)のNaCl]に室温(23±20℃)で4時間漬ける。薄膜は、サンプルが巻き上がり、付着するのを防ぐため水槽内で120メッシュの耐蝕性金属スクリーンにより保護する。薄膜は水槽から取り出し、バウンティ・タオルなどの吸収性のティッシュペーパーで過剰な溶液あるいは吸収されなかった溶液を除去する。乾燥サンプルと同様に吸湿厚を決定する。湿った検体は、それ以上の製造せずに引張試験に使用する。試験は製造後5分以内に完了する。湿った検体は吸湿伸長、吸湿割線係数および吸湿引張応力を決定するため評価する。
【0309】
本発明において、破断時の伸長は破断時吸湿伸長と呼び、破断時の引張応力は破断時吸湿応力と呼ぶ。(破断時の、破断する伸長%はここに使用されるように破断時の吸湿伸び率である。
【0310】
引張試験は、Testworks 4ソフトウェアとMTS Alliance引張試験機のようなコンピュータ・インタフェースと伸展引張試験機で定速度で行なわれる。ロードセルは、測定した力がセル容量の10〜90%以内になるように選択する。1インチ四方の平らなゴムが表面に付いたグリップが取り付けられたニューマティックジョーを、1インチのゲージ長を示すよう設定する。検体に、目に見える緩みを解消するのに十分であるが0.05N未満の張力を負荷する。検体が完全に破断するまで、検体を10インチ/分の一定のクロスヘッド速度で引き延ばす。検体がグリップ・インターフェースで破断するかまたはグリップ内で滑りが検出される場合はデータを無視し、新しい検体で試験を繰り返し、グリップ圧力を適切に調整する。サンプルは、薄膜の変動性を考慮するために3回試験する。
【0311】
得られた引張力変位データは、初期サンプル寸法の使用応力−歪曲線に変換され、ここに使用する伸長、引張応力および係数が得られる。破断時の引張応力は、検体が破断する時に測定された最大応力で決定され、MPaで報告される。破断点は、応力−歪曲線上の測定された応力がその最大値の90%まで落ちる点として定義される。破断時の伸びは、その破断点での歪みとして定義され、初めのゲージ長に対する割合として報告される。400%伸長の割線係数は、応力−歪曲線と0%および400%歪みで交わる直線の傾きとして定義される。評価する各エラストマーフィルム・コーティング毎に3本の応力−歪曲線が得られる。ここに使用する伸長、引張応力および係数は、各曲線から得られたそれぞれの値の平均である。
【0312】
400%伸長の乾燥割線弾性係数(SMdry 400%)は、上述の方法(しかし0.9%のNaCl溶液には漬けない)によって得られた乾燥塗膜に上述と同一の引張試験を行い、上で行われるように応力−歪曲線と0%および400%で交わる直線の傾きを計算することにより計算される。
【0313】
ガラス転移温度
ガラス転移温度(Tg)は、本発明のために示差走査熱量測定(DSC)によって決定する。熱量計は、少なくとも試験サンプルの予想されるTg、例えば−90〜250℃、を含む温度範囲において20℃/分の加熱/冷却速度が測定できなければならないし、熱量計はおよそ0.2μWの感度がなければならない。TA Instruments Q1000 DSCは、ここに言及するTgの決定に適している。関心材料は、次のような温度プログラムを使用して分析することができる。−90℃で平衡、120℃まで20℃/分の傾き、5分間等温保持、−90℃まで20℃/分の傾き、5分間等温保持、250℃まで20℃/分の傾き。標準の半外挿熱容量温度アルゴリズムによるTgの計算に第2の熱サイクルからのデータ(熱流対温度)を使用する。一般的に、3〜5gのサンプル材料を捲縮蓋の付いたアルミニウムDSCパンに計量(±0.1g)する。
【0314】
ここに使用するように、TgはTgより低温となる。
【0315】
ポリマー分子量
ここに弾性被膜形成ポリマーの分子量を決定するためにゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)を使用してもよい。ここに言及する分子量は、質量平均モル質量(Mw)である。これらの測定に適しているシステムは、DAWN DSPレーザー光度計(Wyatt Technology)、Optilab DSP lnterferometric 屈折率計 (Wyatt Technology)、およびWaters 600Eシステムなどの標準のHPLCポンプから成る。これらは全てASTRAソフトウェア(Wyatt Technology)によって運転される。
【0316】
あらゆるクロマトグラフィー分離と同様、溶媒、カラム、温度、溶出プロフィルおよび条件の選択は、試験する特定のポリマーに依存する。以下の条件は、ここに言及する弾性被膜形成ポリマーに一般に適用可能であることが知られている。溶媒および移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を使用する、直列に繋ぎ40〜450℃に加熱した2本の300×7.5mm、5μm、PLgel、Mixed−C GPCカラム(Polymer Labs)を1 mL/分の流量で通過させる(Optilab屈折率計を同一温度で保持する)、分析のためTHF溶液での0.2%のポリマー溶液100μLを注入する。dn/dc値は、文献から得られるかまたはASTRAユーティリィティで計算する。質量平均モル質量(Mw)は、Zimmフィット法を使用してASTRAソフトウェアで計算する。
【0317】
透湿度法(MVTR方法)
MVTR法は、特定の温度および湿度の下で薄膜を透過した水蒸気の量を測定する。透過した蒸気は、CaCl乾燥剤に吸収され、質量測定で決定する。陽性コントロールとして使用する浸透率が確立された参照薄膜サンプル(例えばExxon Exxaire微孔性材料#XBF−1 10W)と共にサンプルを3回評価する、
この試験はフランジカップ(Delrin(McMaster−Carrカタログ#8572K34)および無水CaCl(和光純薬工業株式会社、バージニア州リッチモンド、カタログ030−00525)から加工)を使用する。カップは、高さ55mm、内径30mm、外径45mmである。カップにシリコーン・ガスケットおよび蝶ネジ用の3つの穴がある蓋を取り付け、カップを完全に密閉する。乾燥剤粒子は、10番のふるいではなく8番のふるいを通過する大きさである。明らかな欠陥がないおよそ1.5インチ×2.5インチ薄膜検体を分析に使用する。薄膜は、0.0007065 mのカップ開口部(A)を完全にカバーしなければならない。
【0318】
カップに上から1cm以内にCaClを満たす。カップをカウンターに軽く10回打ちつけて、CaCl表面を水平にする。CaClの量は、薄膜表面およびCaClの水面の間のヘッドスペースが1.0cmになるまで調節する。薄膜を開口部(30mm)を横切るようにカップに載せ、シリコーン・ガスケット、止め輪および蝶ネジを使用して固定する。適切に取り付けられていれば、検体はしわが寄ったり伸びたりしない。サンプル・アセンブリーを化学天秤を用いて計量し、±0.001gまで記録する。本アセンブリーを、一定温度(40±30℃)および湿度(相対湿度75±3%)のチェンバーに5.0時間±5分間置く。サンプル・アセンブリーを取り出し、サランラップで覆って輪ゴムで止める。サンプルを30分間室温に馴染ませて、ポリエチレンラップを取り、アセンブリーを再計量して、質量を±0.001gまで記録する。吸収された水分Maは、アセンブリーの初めの質量および最後の質量の差である。MVTR(g/m/24時間、g/m/日)を次のように計算する。
MVTR=M/(A×0.208日)
多数の結果を平均し、100g/m/24時間で四捨五入する。例えば、2865g/m/24時間は2900g/m/24時間、275g/m/24時間は300g/m/24時間となる。
【0319】
被膜形成ポリマーの水膨潤能を決定する方法
過剰な脱イオン水に室温(25℃)で3日間漬けた後のポリマー検体の質量をWとする。本ポリマー検体の乾燥前の質量をWとする。次に、以下のように水膨潤能を計算する。
WSC [g/g] = (W − W) / W
水膨潤能は、ポリマー検体の乾燥したポリマー1g当たりの吸水量(g)である。この試験法において、中程度の膨潤ポリマーでは一般的に1.0mmより薄いポリマー検体を作成することが必要である。低膨潤ポリマーについては、3日後に平衡膨潤を得るために、厚さ0.5mm未満のポリマー薄膜を作成することが必要である。当該技術の熟達者は、3日後に平衡膨潤条件を得るように厚さおよび乾燥サンプルの質量を調整する。
【0320】
円柱遠心保持性能(Cylinder Centrifuge Retention Capacity)CCRC(4時間のCCRC)
円柱遠心保持性能(CCRC)法は、加速度が250gの遠心分離後の水膨潤性材料またはポリマー(サンプル)の液体保持能(ここに吸収能と呼ぶ)を決定する。遠心分離を行う前に、サンプルをメッシュ底およびオープン・トップを備えた固いサンプル・シリンダ内の過剰な食塩水に浸け膨潤させる。
【0321】
各試験材料毎に二重のサンプル検体を評価し、平均値を記録する。
【0322】
予め計量した(±0.01g)プレキシガラスサンプル容器(上部は開口し、底部は生理的食塩水を容易にシリンダ内へ流すが評価対象の吸水性粒子はせき止めるステンレススチール・メッシュ(400)で閉じられている)にサンプル材料(1.0±0.001g)を入れることによって室温条件でCCRCを測定することができる。サンプル・シリンダは、高さ寸法67mmで縁の丸い直角プリズムを近似する。底部寸法(78X58 mm OD、67.2×47.2 MM ID)は、ここにシリンダ・スタンドと呼ぶ遠心分離機(Heraeus Megafuge 1.0; Heraeus # 75003491 , VWR # 20300− 016)の長方形のローターバケット(Heraeus # 75002252, VWR # 20300− 084)に入るモジュラーチューブアダプタと正確に一致する。
【0323】
サンプルがメッシュ表面に均一に分布するようロードしたサンプル・シリンダを静かに振り、次に、食塩水の入ったパンに縦に入れる。シリンダを、メッシュ底から生理的食塩水が自由に流れるように位置づける。シリンダは互いにまたはパンの壁に立てかけて置くべきでない。あるいは、パン底で密閉してはならない。サンプルを拘束圧なしで過剰な生理的食塩水中で4時間膨潤させる。
【0324】
4時間後、直ちにシリンダを溶液から取り出す。各シリンダを(メッシュ側を下にして)シリンダ・スタンド上に置く。その結果得られたアセンブリーを、2つのサンプル・アセンブリーが遠心分離機ローターにおいて釣り合うようにローター・バスケットに載せる。
【0325】
ローターがシリンダ・スタンドの底の遠心加速度が250±5gとなるために必要な速度に達したら、サンプルを3分(±10秒)間遠心分離する。シリンダ・スタンドの開口部は、適用された遠心力によって吸水性物質から出た溶液をサンプルからそれを収容するローター・バケットの底まで流れさせる。ローターが停止したら、サンプル・シリンダを取り出し、速やかに0.01gのレベルまで計量する。
【0326】
サンプル材料1g当たりに吸収された食塩水の量(g)として表されたCylinder Centrifuge Retention Capacityは、以下のように各重複測定について計算する。
【0327】
【数1】

ただし、
cs、サンプルの入ったシリンダの遠心分離後の質量[g]
Cb、サンプルの入っていない乾燥シリンダの質量[g]
s、食塩水の入っていないサンプルの質量[g]である。
【0328】
ここに言及するCCRCは、0.01g/gのレベルまで測定した二重サンプルの平均である。
【0329】
水膨潤性材料の理論当量シェル厚を決定する方法
吸水性材料に含まれた被膜形成ポリマーの量が分かっている場合は、以下の定義に従って理論当量平均厚が決定される。この方法は、吸水性材料は、単分散で球状であるという仮定の下で(これは実際には当てはまらない)ここに吸水性材料上のコーティング層またはシェルの平均厚さを計算する、不規則な形の粒子の場合でも、この方法はシェルの平均厚の良好な推定値を示すと考えられる。
【0330】
主要なパラメーター
【表2】

【0331】

(注意。この表記法において。cは全て0〜100%と等価な0〜1の範囲である。)
【数2】

【0332】
計算例:
D_AGM_dry:=0.4mm (400μm); Rho_AGM_intrinsic:=Rho_polymer_shell:=1.5g/cc
【表3】

【0333】
本発明による例
以下の全例および比較例で、特に述べない限り、コーティングに使用するコーティングポリマーおよび凝集防止剤の量は、高吸収性ポリマーの量を基準とした固形分を表す。
【0334】
使用コーティング剤:
Permax(登録商標)200 NOVEON社、水性ポリウレタン分散液
Astacin(登録商標)Finish LD 1603 BASF社、水性ポリウレタン分散液
Levasil(登録商標)50 H. C. STARCK社、シリカの水性コロイド溶液
比較例1‐Permax 200を用いたASAP 510 Z製品のコーティング
以下の特性を持つ市販品ASAP 510 Z(BASF社)から150〜500μmの成分をふるい分け、以下の手順に従ってPermax 200でコーティングした。
ASAP 510 Z(150〜500μmの成分のみの特性):
CCRC = 25.4 g/g
CS−AUL 0.7 psi = 23.9 g/g
CS−SFC = 55x10−7[cms/g]
WursterチューブのないFa. WaldnerのWursterラボラトリコーターを使用し、バッチ当たりの吸水性ポリマー(ASAP 510 Z、この場合150〜500μm)の量は2000gであった。Wurster装置は、下位直径150mm、上部直径150mmで広がる円錐形であり、搬送ガスは温度300℃の窒素、ガス流速度は2 barの圧力で1.4m/sであった。装置の底板は、1.5mmの直径のドリル穴および気流通過量4.2%の実効開断面を有した。
【0335】
コーティング剤(ポリマー分散液。Permax 200、Noveon社、分塊剤。Levasil 50、H. C. Starck社)を、開口部直径1.2mm、窒素温度25℃、ボトムスプレー・モードで運転するFa.Schlick(ドイツ)から2本の窒素駆動材料ノズルを使用して噴霧し、吹き付け塗装した。コーティング剤は、温度が23℃で20質量%の水性分散液でスプレーした。最初に水性ポリマー分散液をスプレーし、その直後に分塊剤の水性分散液をスプレーした。
【0336】
吸水性ポリマーの質量を基準に2.5質量%のPermax 200および0.5質量%のLevasilをコーティングに使用した。スプレー時間は、ポリマー分散液で30分、凝集防止剤で5分であった。
【0337】
続いてコーティングした材料を取り出し、1000gを油加熱ジャケット(油温およそ200℃)で予め加熱したLodigeプローシェアミキサータイプM5Rに移した。材料をおよそ20rpmで静かに撹拌し、20分以内に165℃の製品温度まで加熱した。コーティングした材料を連続的に撹拌し、さらに60分間その温度に保った。この熱処理手順の間、窒素ブランケットを適用した。その後、直ちにステンレススチール・トレーに注ぎ、室温まで冷却した。1000μmスクリーンで粗いふるい分けによってコーティングした材料から塊を除去し、次にコーティングした材料の性能を試験した。
【0338】
例A1−Permax 200および結合剤補助としてn‐ブタノールを用いたASAP 510 Z商品のコーティング
水性Permax 200の固体質量を基準として1質量% n−ブタノール(=0.5g)を除き比較例1と全く同じように本発明による例を実施した。吹き付け塗装に使用する前にその分散液に結合補助剤として分散液を追加した。
【0339】
比較例A2‐Astacin Finish LD 1603を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
ポリマー分散液としてAstacin Finish LD 1603を使用した以外は比較例1と全く同様に比較例を実施した。吸水性ポリマーの質量を基準として1.0質量%のAstacin Finish LD 1603および0.5質量% Levasilをコーティングに使用した。ポリマー分散液のスプレー時間は13分、および凝集防止剤は5分であった。
【0340】
例A2−Astacin Finish LD 1603および結合剤補助としてn‐ブタノールを用いたASAP 510 Z商品のコーティング
水性Astacin Finish LD 1603分散液の固体質量を基準として2.5質量%のn−ブタノール(=0.5g)を吹き付け塗装に使用する前にその分散液に結合補助剤として追加した以外は比較例2と全く同様に本発明による例を実施した。
【0341】
比較例A2‐60% Astacin Finish LD 1603および40% Lepton TOP LBの混合液を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
ポリマー分散液としてAstacin Finish LD 1603およびLepton TOP LBの混合液を使用した以外は比較例1と全く同様に比較例を実施した。吸水性ポリマーの質量を基準として0.6質量%のAstacin Finish LD 1603および0.4質量%のLepton TOP LB、および最後に0.5質量%のLevasilをコーティングに使用した。コーティング前に2つの分散液を混合した。ポリマー分散液混合液のスプレー時間は13分、および凝集防止剤は5分であった。
【0342】
例A3‐60% Astacin Finish LD 1603および40% Lepton TOP LBの混合液および結合剤補助としてn‐ブタノールを用いたASAP 510 Z商品のコーティング
水性Astacin Finish LD 1603分散液の固体質量を基準として2.5質量%のn−ブタノール(=0.5g)を吹き付け塗装に使用する前にその分散液に結合補助剤として追加した以外は比較例3と全く同様に本発明による例を実施した。
【0343】
表:例A1〜A3の実施データ
【表4】

【0344】
表から分かるように、同一の実験条件下で、本発明による例は良好にコーティングされ高いCS‐SFCを示している。
【0345】
比較例A4‐凝集防止剤を使用せずにPermax 200を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
以下の特性を持つ市販品ASAP 510 Z(BASF社)から150〜500μmの成分をふるい分けし、以下の手順に従ってPermax 200でコーティングした。
ASAP 510 Z(150〜500μmの成分のみの特性):
CCRC = 25.4 g/g
CS−AUL 0.7 psi = 23.9 g/g
CS−SFC = 55x10−7[cms/g]
WursterチューブのないFa. WaldnerのWursterラボラトリコーターを使用し、バッチ当たりの吸水性ポリマー(ASAP 510 Z、この場合150〜500μm)の量は900gであったWurster装置は、下位直径150mm、上部直径150mmで広がる円錐形であり、搬送ガスは温度300℃の窒素、ガス流速度は2 barの圧力で1.4m/sであった。装置の底板は、1.5mmの直径のドリル穴および気流通過量4.2%の実効開断面を有した。
【0346】
コーティング剤(ポリマー分散液。Permax 200、Noveon社、分塊剤。Levasil 50、H. C. Starck社)を、開口部直径1.2mm、窒素温度25℃、ボトムスプレー・モードで運転するFa.Schlick(ドイツ)から2本の窒素駆動材料ノズルを使用して噴霧し、吹き付け塗装した。コーティング剤は、温度が23℃で11質量%の水性分散液でスプレーした。吸水性ポリマーの質量を基準にして1.0質量%のPermax 200をコーティングに使用した。続いてコーティングした材料を取り出し、第2の実験室流動層コーターに移して、185℃の窒素流下で45分間それを保持して熱処理した。その後、直ちにステンレススチール・トレーに注ぎ、室温まで冷却した。1000μmスクリーンで粗いふるい分けによってコーティングした材料から塊を除去し、次にコーティングした材料の性能を試験した。
【0347】
例A4−凝集防止剤を使用せずにPermax 200および結合剤補助としてポリエチレングリコール−400を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
水性Permax 200分散液の固体質量を基準として2.5質量%のポリエチレングリコール−400を吹き付け塗装に使用する前にその分散液に結合補助剤として追加した以外は比較例4と全く同様に本発明による例を実施した。
【0348】
比較例A5‐凝集防止剤を使用せずに検査室で製造したポリウレタン分散液1805−40を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
Permax 200を検査室で製造した1質量%のポリウレタン分散液1805−40に代えた以外は、比較例A4と同様に比較例A5を実施した。
【0349】
ポリウレタン分散液1805−40は以下のように製造した。
【0350】
還流冷却器、撹拌機を装備しオイルバスで加熱されたラウンド・ネック・フラスコにおいて、イソフタル酸から調整した800g(0.40mol)のポリエステロール、アジピン酸および56mg/gのOH数を示す1,6−ヘキサンジオール を加え、次に、80.4g(0.60mol)のDMPA(ジメチロールプロピオン酸)および36.0g(0.40mol)の1,4−ブタンジオールを加える。105℃(オイルバス温度)に反応大衆を加熱し、400g(1.80mol)のIPDI(イソホロンジイソシアネート)および160gのアセトンを加える。105℃で4時間撹拌した後、1600gのアセトンで反応質量を希釈する。
【0351】
この溶液のNCO含有率は、1.11%と決定された。
【0352】
本溶液を45℃まで冷却し、68.0g(0.40mol)のIPDA(イソフォロンジアミン)を加える。90分後、50.0g(0.73mol)のアンモニア水(25%水溶液)を加えることにより溶液を中和する。次に、反応質量を3000gの脱イオン水に再度分散させ、真空下でアセトンを除去する。
【0353】
30質量%の固形分を含む透明なポリウレタン分散液を得る。
【0354】
比較例A5‐凝集防止剤を使用せずに検査室で製造したポリウレタン分散液1805−40および結合剤補助としてn‐ブタノールを用いたASAP 510 Z商品のコーティング
水性の1805−40−ポリウレタン分散液の固体質量を基準として2.5質量%のn−ブタノールを吹き付け塗装に使用する前にその分散液に結合補助剤として追加した以外は比較例5と全く同様に本発明による例を実施した。
【0355】
表:例A4〜A5の実施データ
【表5】

【0356】
例A7〜A17−異なる結合剤補助を使用しPermax 200を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
以下の特性を持つ市販品ASAP 510 Z(BASF社)から150〜850μmの成分をふるい分けし、以下の手順に従ってPermax 200でコーティングした。
ASAP 510 Z(150〜850μmの成分のみの特性):
CCRC = 30.7 g/g
CS−AUL 0.7 psi = 24.8 g/g
CS−SFC = 35×10−7[cms/g]
WursterチューブのないFa. WaldnerのWursterラボラトリコーターを使用し、バッチ当たりの吸水性ポリマー(ASAP 510 Z、この場合150〜500μm)の量は500gであったWurster装置は、下位直径150mm、上部直径150mmで広がる円錐形であり、搬送ガスは温度300℃の窒素、ガス流速度は2 barの圧力で1.4m/sであった。装置の底板は、1.5mmの直径のドリル穴および気流通過量4.2%の実効開断面を有した。
【0357】
コーティング剤(ポリマー分散液。Permax 200、Noveon社)を、開口部直径1.2mm、窒素温度25℃、ボトムスプレー・モードで運転するFa.Schlick(ドイツ)から2本の窒素駆動材料ノズルを使用して噴霧し、吹き付け塗装した。コーティング剤は、温度が23℃で11質量%の水性分散液でスプレーした。
【0358】
吸水性ポリマーの質量を基準として2.5質量%のPermax 200をコーティングに使用した。以下の表に示すように結合補助剤を使用したが、Permax分散液に混合するかまたは後からPermax薄膜上に別々にスプレーした。結合補助剤の量は、常にPermax 200固形物の量に基づいて計算した。
【0359】
続いてコーティングした材料を取り出し、テフロン加工したトレー上に移して150℃の真空オーブンで2時間乾燥させた。その後、室温まで冷却した。1000μmスクリーンで粗いふるい分けによってコーティングした材料から塊を除去し、次にコーティングした材料の性能を試験した。
【0360】
比較例A5−凝集防止剤を使用せずにでPermax 200を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
結合補助剤を使用していない点を除いて本発明による例A7〜A17と全く同様に比較例A6を実施した。
表:例A7〜A17の性能データ
【表6】

*) Permax 200固形物を基準とする
混合:吹き付け塗装前にPermaxに結合補助剤を添加した。
分離:結合補助剤は、Permaxコーティング後に別々にスプレーした。
【0361】
例A18‐最適熱処理時間の決定
テフロン加工トレー上でコーティングした材料を乾燥させなかったが、コーターから除去し、185℃の窒素流の下で45分間熱処理する第2の実験室流動層乾燥器へ移した以外は、例A13を再現した。
【0362】
10分毎に少量のサンプルを取り出し、室温まで冷却した。1000μmスクリーンで粗いふるい分けによってコーティングした材料から塊を除去し、次にコーティングした材料の性能を試験した。
【0363】
熱処理時間に対してCS−SFCをプロットして、30分後に明瞭な最大値を見出した。
【0364】
表:例A18の最適熱処理時間の決定
【表7】

【0365】
例A19‐最適熱処理時間の決定
テフロン加工トレー上でコーティングした材料を乾燥させなかったが、コーターから除去し、185℃の窒素流の下で45分間熱処理する第2の実験室流動層乾燥器へ移した以外は、例A15を再現した。
【0366】
10分毎に少量のサンプルを取り出し、室温まで冷却した。1000μmスクリーンで粗いふるい分けによってコーティングした材料から塊を除去し、次にコーティングした材料の性能を試験した。
【0367】
表:例A19の最適熱処理時間の決定
【表8】

【0368】
混合例
例B1〜B13:非ポリウレタン分散液、ポリウレタン分散液および分散液の混合液を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
以下の例において、表に示す量の非ポリウレタン分散液または分散液の混合液を使用したこと以外は比較例1と全く同様に全サンプルを調整した。それぞれの量(質量%)は、使用した吸水性ポリマー粒子の質量を基準とした。
【0369】
混合液は、少なくとも2種類のポリマー分散液を混合して作成した。20質量%の濃縮分散液で2.5質量%のポリマーコーティングを得るために、比較例1と同様にスプレー時間はおよそ30分であった。
【0370】
1.5質量%ではスプレー時間はおよそ20分、1.0質量%ではスプレー時間はおよそ13分であった。
上記の例に使用した市販の分散液。
Airflex EP 17:
Air Products Polymers社、ビニルアセテートエチレンコポリマーをベースとする水性分散液。
Astacin Finish LD 1603:
BASF社、水性ポリウレタン分散液
Lepton TOP LB:
BASF社、ポリアクリラートおよびワックスをベースとする水性分散液
Epotal A 480:
BASF社、陰イオン・スチレン・アクリロニトリル・アクリレートコポリマーをベースとする水性分散液
Corial Binder OK:
BASF社、ポリアクリラートをベースとする水性分散液。中等度の硬度をもつ薄膜を形成することが可能
Corial Binder IF:
BASF社、ポリアクリラートをベースとする水性分散液。柔らかい薄膜を形成することが可能
Corial Ultrasoft NT:
BASF社、ポリアクリラートをベースとする水性分散液。非常に柔らかい薄膜を形成することが可能
表:例B1〜B13の性能データ
【表9】

【0371】
量は全て、吸水性ポリマー粒子を基準として質量%で示した。
【0372】
比較例C1‐酸化防止剤を含むポリウレタン分散液を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
以下の特性を持つ市販品ASAP 510 Z(BASF社)から150〜850μmの成分をふるい分けし、以下の手順に従ってPermax 200でコーティングした。
ASAP 510 Z(150〜850μmの成分のみの特性):
CCRC = 25.4 g/g
CS−AUL 0.7 psi = 23.9 g/g
CS−SFC = 55×10−7[cms/g]
WursterチューブのないFa. WaldnerのWursterラボラトリコーターを使用し、バッチ当たりの吸水性ポリマー(ASAP 510 Z、この場合150〜500μm)の量は2000gであった。Wurster装置は、下位直径150mm、上部直径300mmで広がる円錐形であり、搬送ガスは温度300℃の窒素、ガス流速度は2 barの圧力で1.4m/秒であった。装置の底板は、1.5mmの直径のドリル穴および気流通過量4.2%の実効開断面を有した。
【0373】
コーティング剤(ポリマー分散液。以下に示す1805−40の配合による、凝集防止剤。Levasil 50、H. C. Starck社)を、開口部直径1.2mm、窒素温度25℃、ボトムスプレー・モードで運転するFa.Schlick(ドイツ)から2本の窒素駆動材料ノズルを使用して噴霧し、吹き付け塗装した。コーティング剤は、温度が23℃で20質量%の水性分散液でスプレーした。最初に水性ポリマー分散液をスプレーし、その直後に凝集防止剤の水性分散液をスプレーした。
【0374】
吸水性ポリマーの質量を基準として2.5質量%のポリマー分散液および0.5質量%のLevasilをコーティングに使用した。ポリマー分散液のスプレー時間は30分、および凝集防止剤は5分であった。
【0375】
続いてコーティングした材料を取り出し、200gを実験室流動層乾燥器に移して185℃の気流でそれぞれ10分および20分間乾燥させた。それぞれの時間に、10gの少量のサンプルを取り出して分析した。その後、直ちにステンレススチール・トレー上に注ぎ、室温まで冷却した。1000μmスクリーンで粗いふるい分けによってコーティングした材料から塊を除去し、次にコーティングした材料の性能を試験した。
【0376】
ポリマー分散液の製造
ポリウレタン分散液1805−40を以下のように製造した。
【0377】
還流冷却器、撹拌機を装備しオイルバスで加熱されたラウンド・ネック・フラスコにおいて、イソフタル酸から調整した800g(0.40mol)のポリエステロール、アジピン酸および56mg/gのOH数を示す1,6−ヘキサンジオールを加え、次に、80.4g(0.60mol)のDMPA(ジメチロールプロピオン酸)および36.0g(0.40mol)の1,4−ブタンジオールを加える。105℃(オイルバス温度)に反応質量を加熱し、400g(1.80mol)のIPDI(イソホロンジイソシアネート)および160gのアセトンを加える。105℃で4時間撹拌した後、1600gのアセトンで反応質量を希釈する。
この溶液のNCO含有率は、1.11%と決定された。
【0378】
本溶液を45℃まで冷却し、68.0g(0.40mol)のIPDA(イソフォロンジアミン)を加える。90分後、50.0g(0.73mol)のアンモニア水(25%水溶液)を加えることにより溶液を中和する。次に、反応質量を3000gの脱イオン水に再度分散させ、真空下でアセトンを除去する。
【0379】
30質量%の固形分を含む透明なポリウレタン分散液を得る。
【0380】
比較例C2‐酸化防止剤を含まないポリウレタン分散液を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
熱処理手順で窒素流を使用した以外は、比較例C1と全く同様に本例を実施した。
【0381】
例C1〜C8‐酸化防止剤を含むポリウレタン分散液を用いたASAP 510 Z商品のコーティング
アンモニア水を添加する前にポリウレタン溶液に次の表に示す各酸化防止剤を加えた以外は、比較例C1と全く同様に例C1〜C8を実施した。
【0382】
それぞれの分散液のポリウレタン・ポリマーの含有量を基準として3質量%または4.5質量%の酸化防止剤を含むマスターバッチを調整した。さらに次の表に示すように酸化防止剤を含まない分散液が得られるように製造した同一の分散液でこれらのマスターバッチを希釈した。
【0383】
表:例C1〜C8の性能データ
【表10】

* この混合液において個々の成分の質量による混合率は、クロマノール/ビタミンE/イルガノックス1010=1/6.2/8.6である。
** *)に記載の混合液の総使用量
*** コーティングに使用したポリマー分散液において固形物を基準とする質量%
イルガノックス1010:
CIBA社の製品
ペンタエリトリットテトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩
CAS−番号 006683−19−8
【図面の簡単な説明】
【0384】
【図1】図1は、浸透率測定器セットアップを示す。
【図2】図2は、SFC装置を示す。
【図3】図3は、プランジャー・センターの仕様の詳細を示す。
【符号の説明】
【0385】
A 空気アドミタンス用開口管、 B 補充用栓付開口部、 C 定静水頭貯留槽、 D Labジャッキ、 E 送達チューブ、 F ストップコック、 G リングスタンドサポート、 H 受水槽、 I バランス、 L SFC装置、 M 金属おもり、 N プランジャー・シャフト、 O 蓋、 P センタープランジャー、 Q シリンダ、 m SFCプランジャー・センターの直径、 n SFCプランジャー・センターの高さ、 o 47.8mmのボルトサークル上に等間隔に配された14個の直径9.65mmの穴、 p 26.7mmのボルトサークル上に等間隔に配された7個の直径9.65mmの穴、 q 5/8インチのスレッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0℃から150℃の範囲の温度で流動層反応器において、吸水性ポリマー粒子に弾性被膜形成ポリマーを吹き付け塗装する工程、および
b)被覆されたポリマー粒子を50℃を超える温度で熱処理する工程、
(ただし、工程a)および/または工程b)において、酸化防止剤が添加される)
を含む吸水性材料の製造方法。
【請求項2】
前記吸水性ポリマー粒子が後架橋される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弾性被膜形成ポリマーがポリウレタンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記弾性被膜形成ポリマーが、ポリ−コ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリアセタールおよびアクリロニトリルのホモポリマーおよびコポリマー、ブタジエン、スチレン、(メタ−)アクリレート、イソプレンまたはビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも一つのポリマー分散液とブレンドしたポリウレタン分散液である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記弾性被膜形成ポリマーが、100質量部の乾燥した吸水性ポリマー粒子の質量に対して0.01〜25質量部(固形材料として計算)の量で塗布される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸水性ポリマー粒子が前記弾性被膜形成ポリマーの水性分散液で吹き付け塗装される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性ポリマー分散液の粘度が500mPas未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記流動層反応器が、ウルスターコーター、グラット・ツェラーコーター、または噴射ノズルを備えた流動層反応器である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記流動層反応器が連続流動層反応器である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ウルスターコーター内のガス流が、ガス流出口での相対湿度が0.1%〜90%の範囲になるように選択される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱処理が100〜200℃の範囲の温度で実施される、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
融合助剤が工程a)において添加される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
凝集防止剤が工程b)に先立って添加される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
凝集防止剤が、工程a)においておよび工程b)の後に添加される、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程b)において、得られるポリマー粒子のCS−SFC値が、最適CS−SFC値の少なくとも10%となるように熱処理時間が決められる、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
融合助剤が工程a)において添加され、また工程b)において、得られるポリマー粒子のCS−SFC値が、最適CS−SFC値の少なくとも10%となるように熱処理時間が決められる、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
熱処理が連続流動層において実施される、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
a)0℃〜150℃の範囲の温度で流動層反応器において吸水性ポリマー粒子を弾性被膜形成ポリマーで吹き付け塗装する工程、
b)必要に応じて、工程a)で得られた粒子を凝集防止剤で被覆する工程、
c)上記被覆粒子を50℃を超える温度で熱処理する工程、および
d)上記熱処理粒子を90℃未満に冷却する工程
を含む、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法により得られた吸水性材料。
【請求項20】
弾性被膜形成ポリマーと酸化防止剤とを含む被膜被覆を有する吸水性粒子を含む吸水性材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−528785(P2008−528785A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553614(P2007−553614)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050663
【国際公開番号】WO2006/082241
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.サランラップ
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】