説明

弾球遊技機

【課題】表示窓の大型化及びセンター役物の奥行寸法の拡大を可能にし、かつ表示装置の再利用を可能にする。
【解決手段】遊技施設に据え付けられる遊技機枠と、遊技機枠に取り付けられ、遊技に係わる識別情報を表示可能な表示装置3と、前面に遊技領域を形成し、かつ遊技機枠に対して表示装置3の前方に着脱可能に取り付けられる遊技盤5と、遊技盤5に取り付けられ、識別情報を視認可能とする表示窓12を有するセンター役物13と、遊技盤5の裏面に固定されるとともに、遊技盤5の裏面から後方へ所定量離間する取付部192を有するセット板19と、セット板19の取付部192に支持され、表示窓12を開放して識別情報を表示窓12から視認可能とする開放状態及び表示窓12の一部または全部を遮蔽して識別情報の一部または全部を表示窓12から視認不能とする遮蔽状態に変位可能な遮蔽装置20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域に遊技球が打ち込まれることにより、所定の遊技が行われるようにした弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機(パチンコ機)においては、遊技盤の後側に、数字や図柄等で構成される識別情報を変動表示可能な表示装置(図柄表示装置)を取り付け、この表示装置に表示される識別情報を、遊技盤のほぼ中央部に設けたセンター役物(大型装飾部材)の表示窓(透視窓部)から視認可能としている。そして、遊技盤における表示窓と表示装置との間には、遊技状態が所定の状態になると、表示窓を遮蔽して識別情報を隠蔽する等して、遊技時の演出効果を高めるようにした遮蔽装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−135885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のような弾球遊技機においては、表示装置及び遮蔽装置が共に、遊技盤の裏面に取り付けられているため、次のような問題点を有する。
a.遊技盤に対する表示装置の取付け関係により、遮蔽装置の大型化が困難であるため、表示窓を大きくすることが出来ない。
b.遊技機の遊技テーマを変更する際、遊技盤の交換に伴って、表示装置の交換も余儀なくされ、表示装置を再利用できない。
c.遮蔽装置がセンター役物の後部に接近するため、センター役物に遊技球を左右、前後に転動させ得るステージを設けたものにあっては、ステージの奥行を小さくしなければならず、遊技球の転動が単調になって、面白味に欠ける。
【0004】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑み、表示窓の大型化及びセンター役物の奥行寸法の拡大を可能にし、かつ表示装置の再利用を可能にした弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)遊技球が遊技領域に打ち込まれることにより、所定の遊技が行われるようにした弾球遊技機において、遊技施設に据え付けられる遊技機枠と、前記遊技機枠に取り付けられ、遊技に係わる識別情報を表示可能な表示装置と、前面に前記遊技領域を形成し、かつ前記遊技機枠に対して前記表示装置の前方に着脱可能に取り付けられる遊技盤と、前記遊技盤に取り付けられ、前記識別情報を視認可能とする表示窓を有するセンター役物と、前記遊技盤の裏面に固定されるとともに、前記遊技盤の裏面から後方へ所定量離間する取付部を有するセット板と、前記セット板の前記取付部に支持され、前記表示窓を開放して前記識別情報を前記表示窓から視認可能とする開放状態及び前記表示窓の一部または全部を遮蔽して前記識別情報の一部または全部を前記表示窓から視認不能とする遮蔽状態に変位可能な遮蔽装置とを備える。
【0006】
(2)上記(1)項において、前記セット板は、前記表示窓に対して後方に重合して前記表示窓からの前記識別情報の視認を妨げることがない開口を有する。
【0007】
(3)上記(1)または(2)項において、前記遮蔽装置は、前記セット板の前記取付部に固定され、かつ前記表示窓に対して後方に重合する開口を有するベースプレートと、正逆回転可能なモータと、前記表示窓の真後ろに配置され、かつ前記モータの動力により前後方向を向く仮想回転軸を中心に回転し得るように、前記ベースプレートに支持される回転板と、前記回転板の回転に同期して、揺動端部が前記回転板の外側に位置して前記表示窓を開放する開放位置から、前記揺動端部が前記仮想回転軸の近傍に位置して前記表示窓の一部または全部を遮蔽する遮蔽位置、及びその逆へ回動し得るように、前記ベースプレートにおける前記回転板の周辺に回転可能に支持される複数の遮蔽板とを備える。
【0008】
(4)上記(3)項のいずれかにおいて、前記モータ、前記回転板及び前記遮蔽板を、前記遊技盤の裏面に対向する前記ベースプレートの前面側に配置する。
【0009】
(5)上記(3)または(4)項において、前記回転板を、透過性の合成樹脂材料により形成する。
【0010】
(6)上記(3)〜(5)項のいずれかにおいて、前記遮蔽装置は、前記回転板が前記仮想回転軸を中心に回転し得るように、前記回転板の外周またはその近傍を支持する支持手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
請求項1記載の発明によると、遊技盤を、遊技機枠に対して表示装置の前方に着脱可能に取り付けたことにより、表示装置の取り付けに影響されることなく、表示窓を大きくすることが出来るとともに、遊技機の遊技テーマを変更する際、表示装置を再利用することができる。また、遮蔽装置を、遊技盤の裏面にセット板を介して取り付けことにより、遊技盤の裏面と遮蔽装置との間に隙間を容易に形成することが出来るため、センター役物の奥行寸法の拡大を図ることが出来る。
【0012】
請求項2記載の発明によると、セット板に遮られることなく、表示窓から演出情報を視認することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によると、複数の遮蔽板を、回転板の外側に位置する開放位置から、回転板の仮想回転軸寄りに位置する遮蔽位置、及びその逆へ、すなわち表示窓の半径にほぼ相当する移動ストローク分だけ回動させることにより、表示窓を開閉することが出来るため、モータ及び遮蔽板にかかる負担を少なくして、表示窓を迅速に開閉することが出来る。
【0014】
請求項4記載の発明によると、遮蔽装置の可動部分である回転板及び遮蔽板が、遊技盤の後方に配置される表示装置に接触することを確実に防止することが出来る。
【0015】
請求項5記載の発明によると、回転板を、透過性の合成樹脂材料により形成したことにより、回転板を透して、表示装置に表示される識別情報を視認することが出来る。
【0016】
請求項6記載の発明によると、回転板を、支持手段により仮想回転軸を中心に回転し得るように確実に支持することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、弾球遊技機の正面図を示す図1における図面手前を「前方または表面」とし、図面奥側を「後方または裏面」とし、左方を「左方」とし、右方を「右方」とする。
【0018】
図1、2に示すように、弾球遊技機1は、遊技店等の遊技施設の遊技島に据え付けられる遊技機枠2と、図柄や数字等で構成される識別情報100(図1のみに示す)を変動表示可能な表示装置3と、前面に後述の遊技領域4を形成し、かつ表示装置3の前方に配置される遊技盤5と、中央部に円形のガラス板61が嵌め込まれ、遊技機枠2の左部に上下方向のヒンジ軸(図示略)により開閉可能に枢着される前扉6とを備え、遊技機枠2の前面右下部に設けられたハンドル7を回転操作することにより、前扉6の下方に設けられた球貯留皿8に貯留されている遊技球が図示略の発射装置から遊技領域4に打ち込まれて、所定の遊技を行うことが出来る。
【0019】
遊技盤5は、ベニヤ合板等の不透明な材料をもって形成され、その盤面(表面)には、ガイドレール9、10によって包囲される円形(楕円形を含む)の遊技領域4が形成されている。遊技領域4のほぼ中央部には、円形の表示窓12が設けられる。この表示窓12は、後述のセンタ役物13によって形成される。
【0020】
遊技領域4には、遊技球の流下方向を変化させるための多数の遊技釘11と、合成樹脂製のセンター役物13と、遊技球が通過または入球可能な普通図柄作動ゲート14と、遊技球が入球可能な複数の入賞口15と、遊技球が入球可能な図柄始動口16と、遊技者にとって不利な第1状態(遊技球が実質的に入賞不能な閉鎖状態)及び遊技者にとって有利な第2状態(遊技球が入賞可能な開放状態)に変位可能な大入賞装置17が配置されている。また、遊技領域4の最下部には、遊技領域4に打ち込まれた遊技球を遊技盤5の後方に排出させるためのアウト口18が設けられ、さらに、遊技領域4におけるセンター役物13の右側には、補助表示窓51が穿設されている。
【0021】
発射装置から発射された遊技球は、ガイドレール9、10により誘導されて遊技領域4に打ち込まれて遊技釘11に当接しつつ流下し、入賞口15または図柄始動口16のいずれかに入球した場合には、所定数の遊技球が賞球として遊技者に付与され、また、いずれにも入球しなかった場合には、アウト口18から遊技盤5の後方に排出される。
【0022】
表示装置3は、前面に液晶画面等により構成される表示部301を有し、この表示部301が遊技盤5の裏面に対向するように遊技機枠2に固定される。表示部301に表示される識別情報100は、遊技領域4に打ち込まれた遊技球が図柄始動口16に入球したことを契機に、所定の確率に基づいて所定時間変動表示した後、停止して確定表示される。確定表示された識別情報100の組み合わせが、予め定められた表示態様、例えば、図1に示すように、同一の数字「7」が3個揃った場合には、特定遊技状態(所謂、大当り状態)を生起させ、大入賞装置17を第1状態から第2状態に変位させ、遊技者に所定の遊技価値を付与する。
【0023】
遊技盤5は、表示装置3の前方に配置されることにより、表示装置3を遊技機枠2に取り付けたまま、遊技機枠2に対して着脱可能である。これにより、遊技盤5及び遊技盤5に取り付けられた各種部品を、遊技機枠2から取り外して新しい遊技盤5に交換することよって、遊技機1の遊技テーマを簡単に変更することが出来るとともに、表示装置3を遊技機枠2に取り付けたまま再利用することが出来る。
【0024】
センター役物13は、遊技盤5に固定される。センター役物13に設けた円形の表示窓12は、遊技機1の前方から表示部301に表示される識別情報100の視認を可能にする。なお、表示窓12の後側には、透明板121が設けられている。
【0025】
センター役物13における表示窓12の下側には、遊技領域4に打ち込まれた遊技球のうち、センター役物13の左側部に設けたワープ入口134に入球した遊技球を左右、前後に転動可能とするステージ131が形成され、また、同じくステージ1301の下方前面には、ステージ131を転動した遊技球のうちステージ131の中央後方に設けた落下口132に進入した遊技球を図柄始動口16の真上に排出する排出口133が設けられている。なお、排出口133から排出された遊技球は、図柄始動口15の真上に排出されるため、図柄始動口16に入球する確率は高い。
【0026】
補助表示窓51は、遊技領域4に打ち込まれた遊技球が流下しない領域で、かつ表示装置3における表示部301の右領域に対向する位置に設けられ、表示部301に表示される補助情報を視認可能としている。なお、補助情報は、識別情報100の表示を補助し、演出効果を高めるものである。これにより、表示窓12に対向する表示部301の中央領域に識別情報100を表示させ、また、補助窓51に対向する表示部301の右領域に補助情報を表示させることによって、単一の表示装置3をもって、表示窓12から演出情報を視認可能とし、また、補助表示窓51から補助情報を視認可能とすることが出来る。
【0027】
図5に示すように、遊技盤5の裏面には、上部セット板19を介して、表示窓12を開放する開放状態(図1、3参照)及び遮蔽する遮蔽状態(図4参照)に変位可能な遮蔽装置20が取り付けられる。
【0028】
上述のように、表示装置3を遊技機枠2側に、また、遮蔽装置20を遊技盤5側にそれぞれ配置したため、従来のように、遊技盤5に対する表示装置3の取り付け関係を考慮する必要性がないため、表示窓12を大きくすることが出来る。
【0029】
上部セット板19の下方には、下部セット板21が取り付けられている。下部セット21には、各入賞口15及び図柄始動口16に入球した遊技球を遊技盤5の後側に排出させるための排出路211が一体的に形成されるとともに、遊技盤5の前面を電飾するためのLEDを実装したプリント基板42が取り付けられている。なお、遮蔽装置20は、必要に応じて、上部セット板19を介さないで、遊技盤5の裏面に直接固定しても良い。
【0030】
上部セット板19は、半透明または透明の合成樹脂製で形成されるとともに、センター役物13の後側周囲を囲むように、遊技盤5の裏面に複数のボルト(図示略)によって固定される。図7に示すように、上部セット板19には、センター役物13の表示窓12に対して後方に重合し、かつ表示窓12からの識別情報100の視認を妨げないようにした開口191と、後方へ所定量突出し、遮蔽装置20を支持するための複数(本実施形態においては4個)の円柱状の取付部192が一体的に設けられている。
【0031】
図6、7に示すように、遮蔽装置20は、金属製のベースプレート23と、モータ24と、モータ24の回転により中継ギヤ25を介して前後方向を向く仮想回転軸Oを中心に所定角度回転可能な回転板26と、ベースプレート23に前後方向を向く支軸27によりそれぞれの位置に枢支される6枚(偶数枚)のセクタギヤ28〜33と、各セクタギヤ28〜33とそれぞれ一体的に回動可能な6枚の遮蔽板34〜39とを備えている。
【0032】
遮蔽装置20が開放状態にある場合は、表示窓12を開放して、表示窓12から識別情報100の視認を可能とし、また、同じく遮蔽状態にある場合は、表示窓12を遮蔽することにより識別情報100を隠蔽して、表示窓12からの識別情報100の視認を不能にする。
【0033】
遮蔽装置20におけるモータ24、中継ギヤ25、回転板26、セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39の全ての可動部品は、遊技盤5の裏面に対向するベースプレート23の前面側に配置される。これにより、全ての可動部品は、固定部品であるベースプレート23よりも後方へ突出しないため、可動部品が表示装置3の表示部301に接触する等して、表示部301を損傷させるような事態を確実に防止することが出来る。
【0034】
なお、本実施形態においては、セクタギヤ28〜33と遮蔽板34〜39とを別体で形成したが、セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39を一体的に形成しても良い。また、モータ24の回転を、中継ギヤ25を介さないで、直接、回転板26に伝達するようにしても良い。
【0035】
ベースプレート23は、中央部に円形の開口231を有し、この開口231がセンター役物13の表示窓12に対して後方にほぼ整合するとともに、その前面と遊技盤5の後面との間に所定の間隙が形成されるように、上部セット板19の取付部192にボルト22により固定される。これにより、ベースプレート23の前面に取り付けられるモータ24、中継ギヤ25、回転板26、セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39が、センター役物13の後部に干渉することはない。この結果、センター役物13におけるステージ131の奥行寸法を拡大させることができ、遊技球の多彩な動きを可能として、遊技の面白味を一層向上させることが出来る。
【0036】
回転板26は、透明なアクリル樹脂板により円板状に形成されるとともに、表示窓12の後方に整合し、かつ表示窓12の中心にほぼ合致する前後方向を向く仮想回転軸Oを中心に回転し得るように、ベースプレート23に支持される。これにより、回転板26を表示窓12に整合するように配置しても、表示窓12からの識別情報100の視認を、回転板26が遮ることはない。
【0037】
回転板26の外周には、各セクタギヤ28〜33がそれぞれ噛合可能な外歯261、及び放射方向へ突出する4個のアーム部262〜265が設けられている。
【0038】
左上部のアーム部262の外周縁には、中継ギヤ25に一体的に設けられた小ギヤ251に噛合する外歯262aが設けられている。
【0039】
左上部のアーム部262の外周縁は、中継ギヤ25をベースプレート23に枢支するための軸43に回転可能に設けられる押さえ部材44により、また、各アーム部263〜265の外周縁は、ベースプレー23に固定された前後方向を向く各軸41に回転可能に設けられる各押さえ部材40により、それぞれ前後方向に挟持されている。これにより、回転板26は、前後方向にがた付かないように、仮想回転軸Oを中心に所定角度回転し得るように、ベースプレート23に支持される。
【0040】
なお、回転板26を仮想回転軸Oを中心に回転し得るように支持するための支持手段は、回転板26の外周の近傍、すなわち各アーム部262〜265の外周縁を挟持することに代えて、回転板26の外周縁を直接挟持するようにしても良い。
【0041】
ベースプレート23における回転板26の周辺には、各セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39をベースプレート23に回転可能に支持するための前後方向を向く6本の支軸27が等間隔で固定されている。
【0042】
各セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39は、一体的に回動可能であって、各支軸27により回転可能に支持されるとともに、回転板26の仮想回転軸Oに対して点対称となるように配置される。
【0043】
セクタギヤ28〜33は、回転板26の外歯262aにそれぞれ噛合して、回転板26の回転に同期して、図8に示す開放位置から図9、10に示す遮蔽位置へ、及びその逆へ枢軸27を中心に同一方向へ一斉に回動する。
【0044】
セクタギヤ28〜33の円弧状の外周縁には、回転板26における外歯261の側面に対して前後方向に互い違いに摺接可能な鍔部28a〜33aがそれぞれ設けられている。具体的には、セクタギヤ28、30、32には、外歯261の後側面に摺接する鍔部28a、30a、32aが設けられ、また、セクタギヤ29、31、33には、外歯261の前側面に摺接する鍔部29a、31a、33aが設けられている。これにより、回転板26の前後方向のがた付きを押さえ、各セクタギヤ28〜33と回転板26の外歯261との噛合を確実なものとすることが出来る。
【0045】
遮蔽板34〜39は、正面視ほぼ弓形をなすとともに、回転板26の回転に同期して、セクタギヤ28〜33と共に、図8に示す開放位置から図9、10に示す遮蔽位置へ、及びその逆へ枢軸27を中心に同一方向へ一斉に回動する。
【0046】
各遮蔽板34〜39は、開放位置にあるとき、表示窓12から見えないように、その揺動端部が回転板26の外側に退避することにより、表示窓12から識別情報100の視認を可能とし、また、遮蔽位置にあるとき、揺動端部が仮想回転軸Oの近傍に位置して、表示窓12をその中心付近のみを残して遮蔽して、表示窓12から識別情報100の視認を不能とする。これにより、各遮蔽板34〜39が、表示窓12及び回転板26の半径にほぼ相当する移動ストロークだけ回動するだけで、表示窓12を開閉することが出来るため、モータ24、各遮蔽板34〜39にかかる負担を少なくして、表示窓12を迅速に開閉することが出来る。
【0047】
また、セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39を、回転板26の仮想回転軸Oに対して点対称になるように配置したことにより、表示窓12の大型化に伴って、各遮蔽板34〜39を大きくしても、小出力の小型のモータ24をもって、各遮蔽板34〜39を、軽い力で素早く各位置に回動させることが出来る。
【0048】
すなわち、セクタギヤ28〜33及び遮蔽板34〜39を、回転板26の仮想回転軸Oに対して点対称になるように配置した場合、点対称位置にある遮蔽板同士には、自重による回転モーメントが互いに逆向きに作用する。これにより、図8に示すように、遮蔽装置20が開放状態にあるとき、例えば、遮蔽板35には、自重による回転モーメントが支軸27を中心に反時計方向(矢印A方向)へ作用し、また、遮蔽板35に対して点対称位置にある遮蔽板38には、自重による回転モーメントが支軸27を中心に時計方向(矢印B方向)へ作用する。そして、遮蔽板35に作用する回転モーメントは、セクタギヤ29を介して、回転板26に対して時計方向(矢印C方向)に作用するように伝達され、また、遮蔽板38に作用する回転モーメントは、セクタギヤ32を介して、回転板26に対して反時計方向(矢印D方向)に作用するように伝達される。この結果、回転板26に伝達される回転モーメントは互いに相殺されるため、小出力の小型のモータ24をもって、回転板26を回転させて、各遮蔽板34〜39を開放位置及び遮蔽位置に軽い力で素早く回動させることが出来る。
【0049】
図7〜図10中、45は、遮蔽板39の開放位置を検出するセンサーである。センサー45が遮蔽板39の開放位置を検出すると、モータ24への給電が停止される。
【0050】
次に、本実施形態における遮蔽装置20の動作について説明する。図8に示すように、遮蔽装置20が開放状態にある場合、各遮蔽板34〜39は、開放位置にあって、図1、3に示すように、表示窓12を開放して、表示窓12から表示部301に表示される識別情報100を視認可能としている。
【0051】
開閉状態からモータ24が正転すると、その回転は、中継ギヤ25を介して回転板26に伝達される。回転板26は、仮想回転軸Oを中心に、図8に示す開放位置から遮蔽方向である時計方向へ所定角度(アーム部262の外歯262aの数に相当する角度)回転する。これに同期して、全ての遮蔽板34〜39は、各セクタギヤ28〜33を介して、開放位置から仮想回転軸Oに向けて一斉に回動して遮蔽位置に停止する。そして、図4に示すように、表示窓12を遮蔽して、表示部21に表示されている識別情報100を表示窓12から視認できないように隠蔽する。
【0052】
また、遮蔽状態からモータ24が逆転すると、その回転は、中継ギヤ25を介して回転板26に伝達される。回転板26は、仮想回転軸Oを中心に、図9に示す遮蔽位置から開方向である反時計方向へ所定開度回転する。これに同期して、全ての遮蔽板34〜39は、各セクタギヤ28〜33を介して、遮蔽位置から回転板26の外周に向けて一斉に回動して開放位置に停止して、表示窓12を開放する。
【0053】
なお、遮蔽装置20を開閉動作させる契機としては、例えば、遊技状態がリーチ状態(2個の識別情報100が同一図柄で確定表示され、残り1個の識別情報100が、前記2個の識別情報100と同一図柄で確定表示されると、大当りの可能性がある状態)とすることができる。このようにした場合には、遊技状態がリーチ状態になると、各遮蔽板34〜39を開放位置から遮蔽位置に移動させて、表示部301に表示されている識別情報100を隠蔽して視認不能とする。そして、所定時間経過後、最後の1個の識別情報100が停止して確定表示されると、各遮蔽板34〜39を遮蔽位置から開放位置に回動させて、それまで隠蔽されていた識別情報100を突然、視認可能とすることによって、リーチ時の演出効果を高めることが出来る。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)各遮蔽板34〜39が遮蔽位置にあるとき、表示窓12の全領域を遮蔽する。
(ii)遮蔽板34〜39の枚数を、適宜変更する。この場合は、偶数枚とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態を適用した弾球遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤を遊技機枠か外した状態の弾球遊技機の斜視図である。
【図3】遮蔽装置が開放状態あるときの遊技盤の正面図である。
【図4】遮蔽装置が遮蔽状態にあるときに遊技盤の正面図である。
【図5】遮蔽装置が遮蔽状態にあるときの遊技盤の裏面図である。
【図6】斜め前方から見た遮蔽装置の分解斜視図である。
【図7】斜め後方から見た遮蔽装置の分解斜視図である。
【図8】開放状態にあるときの遮蔽装置の正面図である。
【図9】遮蔽状態にあるときの遮蔽装置の正面図である。
【図10】遮蔽状態にあるときの遮蔽装置の裏面図である。
【図11】遊技盤の縦断面概略図である。
【図12】図9におけるXII−XII線縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 弾球遊技機
2 遊技機枠
3 表示装置
4 遊技領域
5 遊技盤
6 前扉
7 ハンドル
8 球貯留皿
9、10 ガイドレール
11 遊技釘
12 表示窓
13 センター役物
14 普通図柄作動ゲート
15 入賞口
16 図柄始動口
17 大入賞装置
18 アウト口
19 上部セット板
20 遮蔽装置
21 下部セット板
22 ボルト
23 ベースプレート
24 モータ
25 中継ギヤ
26 回転板
27 支軸
28〜33 セクタギヤ
28a〜33a 鍔部
34〜39 遮蔽板
40 押さえ部材
41 軸
42 プリント基板
43 軸
44 押さえ部材
45 センサー
51 補助表示窓
61 ガラス板
100 識別情報
121 透明板
131 ステージ
132 落下口
133 排出口
134 ワープ入口
191 開口
192 取付部
211 排出路
231 開口
251 小ギヤ
261 外歯
262〜265 アーム部
262a 外歯
301 表示部
O 仮想回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が遊技領域に打ち込まれることにより、所定の遊技が行われるようにした弾球遊技機において、
遊技施設に据え付けられる遊技機枠と、
前記遊技機枠に取り付けられ、遊技に係わる識別情報を表示可能な表示装置と、
前面に前記遊技領域を形成し、かつ前記遊技機枠に対して前記表示装置の前方に着脱可能に取り付けられる遊技盤と、
前記遊技盤に取り付けられ、前記識別情報を視認可能とする表示窓を有するセンター役物と、
前記遊技盤の裏面に固定されるとともに、前記遊技盤の裏面から後方へ所定量離間する取付部を有するセット板と、
前記セット板の前記取付部に支持され、前記表示窓を開放して前記識別情報を前記表示窓から視認可能とする開放状態及び前記表示窓の一部または全部を遮蔽して前記識別情報の一部または全部を前記表示窓から視認不能とする遮蔽状態に変位可能な遮蔽装置とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記セット板は、前記表示窓に対して後方に重合して前記表示窓からの前記識別情報の視認を妨げることがない開口を有することを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記遮蔽装置は、前記セット板の前記取付部に固定され、かつ前記表示窓に対して後方に重合する開口を有するベースプレートと、正逆回転可能なモータと、前記表示窓の真後ろに配置され、かつ前記モータの動力により前後方向を向く仮想回転軸を中心に回転し得るように、前記ベースプレートに支持される回転板と、前記回転板の回転に同期して、揺動端部が前記回転板の外側に位置して前記表示窓を開放する開放位置から、前記揺動端部が前記仮想回転軸の近傍に位置して前記表示窓の一部または全部を遮蔽する遮蔽位置、及びその逆へ回動し得るように、前記ベースプレートにおける前記回転板の周辺に回転可能に支持される複数の遮蔽板とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記モータ、前記回転板及び前記遮蔽板を、前記遊技盤の裏面に対向する前記ベースプレートの前面側に配置したことを特徴とする請求項3記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記回転板を、透過性の合成樹脂材料により形成したことを特徴とする請求項3または4記載の弾球遊技機。
【請求項6】
前記遮蔽装置は、前記回転板が前記仮想回転軸を中心に回転し得るように、前記回転板の外周またはその近傍を支持する支持手段を備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−132259(P2008−132259A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321957(P2006−321957)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】