説明

弾球遊技機

【課題】ファール球が発生しても発射レールの終端面には衝突させないようにして常に安定した飛走状態が得られるようにした弾球遊技機を提供する。
【解決手段】発射通路32に沿って設けられる発射レール33と、発射通路32の発射位置35にある弾球B1を発射させる打球発射装置36と、遊技盤3面に遊技部3aを区画形成する内・外レール5a,5bと、外レール5bの始端位置S1と発射レール33の終端位置Eとの間のファール球回収口44aとを備えてなり、発射通路32の上方に球走行面33aを下向きにして発射レール33を配置すると共に該発射レール33の上側に磁石片34を配設し、発射位置35に供給された弾球B1を発射レール33下面の球走行面33aに吸着させ、この状態で弾球B1を発射レール33の球走行面33aに沿って発射させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射レールの発射位置に供給された弾球を該発射レールの球走行面に沿って発射させて遊技盤面の遊技部に打ち込むようにした弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種弾球遊技機にはその代表的なものとしてパチンコ遊技機がある。該パチンコ遊技機は、機枠の前面に装着される本体枠に遊技盤が設置され、該遊技盤の下方であり本体枠の前面に発射通路に沿って設けられる発射レールと打球発射装置とが配置される。また、遊技盤の前面に内レール及び外レールにより遊技部が区画形成され、外レールの始端位置と前記発射レールの終端位置との間にファール球回収樋が形成されている。そして、弾球遊技機前面の下部一側に設けられた打球力調整ハンドルを回動させることにより、前記発射通路の発射位置であって発射レール上面の球走行面に乗るパチンコ球が該発射レールの球走行面に沿って発射される。この発射されたパチンコ球は、ファール球回収口を飛び越えて外レールの始端位置側の上面に着地すると共に外レールと内レールとの間を飛走して遊技盤面の遊技部に打ち込まれる。一方、発射位置から発射されたパチンコ球であっても、その発射力が弱く遊技部に打ち込まれずに外レールと内レールとの間の途中で発射位置側へ戻ってしまうパチンコ球は、ファール球回収口に落下して遊技者に戻されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−252362号公報(第3−5頁、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に係るパチンコ遊技機にあっては、発射レールが発射通路の下方に設けられ、しかも、発射レールの終端位置がファール球回収口に臨んでいる。また、外レールの始端位置は発射レールのほぼ延長上に位置し、外レールの始端位置と発射レールの終端位置との間のファール球回収口の幅は比較的狭い。このため、例えば発射通路の発射位置から発射されたパチンコ球であっても、その発射力が弱かったがために、遊技盤面の遊技部に打ち込まれずに外レールと内レールとの間を発射位置側へ逆戻りすると、その勢いの余りファール球回収口を掠めて発射レールの終端面に直接衝突し、それからファール球回収樋内に落下するという事態がしばしば生じている。
【0005】
ところで、発射レールの上面である球走行面の終端は、発射されるパチンコ球の方向性を定めるに最も重要な箇所であって、これは球飛び状態に密接に関係している。例えば、発射レールの終端面に幾度となくファール球が衝突して球走行面の終端部が上方へ反り返ってしまうと、発射され発射レールの終端位置から飛んだパチンコ球の外レール上面での着地位置にバラツキが生じ、外レールと内レールとの間の球飛び状態が不安定になる。このように、球飛び状態が不安定になると、遊技部の一定個所に狙ってパチンコ球を打ち込むことが難しくなり、遊技しずらくなるという遊技上致命的な欠点を生ずることになる。
【0006】
この対応策として、ファール球が終端面に衝突するのを避けるべく、例えば発射レールを球走行面が上向きのままで発射通路の上方へ平行に移動させることが考えられる。しかし、このように発射レールを上方へ移動させると、その終端面にファール球が衝突することを防止するのに効果的ではあるが、発射レールからパチンコ球の飛び出す位置が高くなる関係より、該パチンコ球が外レールの上面に着地したときの該パチンコ球の外レール上面に対する入射角が大きくなって、その分パチンコ球が高くバウンドすることになる。これでは、前記した内・外レール間を飛走するパチンコ球の球飛び状態が不安定になるという致命的な課題が再び浮上してしまうといった課題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、良好な球飛び状態を維持したまま、ファール球が発生しても発射レールの終端面には衝突させないようにした弾球遊技機を提供とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の弾球遊技機は、発射通路に沿って設けられる発射レールと、前記発射通路の発射位置に供給された磁性体からなる弾球を発射させる打球発射装置と、遊技盤面に遊技部を区画形成する内レール及び外レールと、前記外レールの始端位置と前記発射レールの終端位置との間に形成されるファール球回収樋とを備え、前記打球発射装置により前記発射レールの球走行面に沿って発射された弾球が前記ファール球回収樋を飛び越え前記内レール及び外レールとの間を飛走して前記遊技盤面の遊技部に打ち込まれるようにした弾球遊技機であって、前記発射通路の上方に前記球走行面を下向きにして前記発射レールを配置すると共に該発射レールの上側に磁石片を配設し、前記発射位置に供給された弾球を前記発射レール下面の球走行面に吸着させ、この状態で前記吸着された弾球を前記発射レールの球走行面に沿って発射させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、この際、前記発射レールにおける前記発射位置の下方に上面が該発射位置側へ下傾し打球供給装置から供給される弾球を受け止めて該発射位置へ導く球受部材を配置し、前記発射レールの前記終端位置の下方に前記内・外レール間を前記発射位置側へ戻るファール球を衝突させて前記ファール球回収樋へ落下させる球止部材を配置し、前記球受部材と前記球止部材との間には1個のパチンコ球が通過できる球抜樋を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る弾球遊技機は、発射通路の上方に球走行面を下向きにして発射レールを配置すると共に該発射レールの上側に磁石片を配設し、発射位置に供給された弾球を発射レール下面の球走行面に吸着させ、この状態で吸着された弾球を発射レールの球走行面に沿って発射させるようにしたので、弾球の飛走軌道を基準とし該飛走軌道に対して直交する方向で外レールの始端位置より発射レールにおける球走行面の終端位置がほぼ弾球の直径寸法分上方へずれることになる。これにより、発射位置から発射される弾球は、発射レールの球走行面の下側を該球走行面に沿って吸着された状態で飛走することになり、パチンコ球が飛び出す位置が高くなることはなく、良好な球飛び状態を維持できる。しかも、外レールと内レールとの間を戻るファール球が外レールの始端位置からファール球回収口を掠めて発射位置側に戻ろうとしても、発射通路の上方に球走行面を下向きにして発射レールを配置したので該ファール球は発射レールの終端面に衝突することがなくなり、発射レールにおける球走行面の終端部が反り返るようなこともなくなる。よって、常に安定した球飛び状態が維持できると同時に、発射レールの変形が防止できるという効果を有する。更には、変形により発射レールを早々と交換する必要もなく経済的であるという効果を有する。
【0011】
また、本発明は、発射レールにおける発射位置の下方に上面が該発射位置側へ下傾し打球供給装置から供給される弾球を受け止めて該発射位置へ導く球受部材を配置し、発射レールの終端位置の下方に内・外レール間を発射位置側へ戻るファール球を衝突させてファール球回収樋へ落下させる球止部材を配置し、球受部材と球止部材との間には1個のパチンコ球が通過できる球抜樋を形成する。これにより、仮に球受部材の上面に発射位置を含めて2個または3個のパチンコ球が滞留している場合、発射位置にあるパチンコ球を弱く発射させるだけでも他のパチンコ球を球抜樋へ排出できるので、発射レール部位に複数のパチンコ球が滞留するのを容易に解消できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の正面図。
【図2】同透明板保持枠及び前板を開いた状態の正面図。
【図3】打球発射機構の拡大斜視図。
【図4】打球発射機構部位の拡大正面図。
【図5】同拡大平面断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る弾球遊技機の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機等の弾球遊技機に適用できるが、このうち、パチンコ遊技機に適用される場合について説明する。
【0014】
図1は本発明に係るパチンコ遊技機の正面図、図2は同透明板保持枠及び前板を開いた状態の正面図である。パチンコ遊技機Pは縦長長方形状の機枠1を有し、該機枠1の前側に本体枠2が開閉自在に装着される。該本体枠2には、その前側から遊技盤3が着脱自在に装着される。また、遊技盤3の下方であって本体枠2の前面に、打球発射機構4が配置される。
【0015】
前記遊技盤3の前面に、渦巻き状に敷設された内・外レール5a,5bにより囲われるようにして遊技部3aが形成される。該遊技部3aには、中央上部に文字、数字等の図柄を変動表示する電子ディスプレー6を備えた大型の変動表示装置7が装着される。また、その下方に、第一・第二始動入賞口8a,8bがそれぞれ上下に位置して配設される。第一始動入賞口8aは、遊技部3aに打ち込まれた弾球としての磁性体からなるパチンコ球が入賞することにより該パチンコ球を電気的に検出する。また、第二始動入賞口8bは、左右に起立または逆ハの字状に傾動する一対の開閉翼9,9を有し、同じく遊技部3aに打ち込まれた遊技球が変動表示装置7の一側に配置される通過チャッカー10を通過して検出されかつその検出によって発生するくじに当たると、一対の開閉翼9,9が短い時間1回開くようになっており、その間にパチンコ球が入賞すると該パチンコ球を電気的に検出する。そして、これら第一・第二始動入賞口8a,8bに入賞したパチンコ球が電気的に検出されると、前記電子ディスプレー6の図柄が変動を開始する。
【0016】
前記第一・第二始動入賞口8a,8bの下方に、開閉扉11aが前側へ傾動して一度に多くの入賞球を発生させる大型の大入賞口11が配設される。なお、前記第一・第二始動入賞口8a,8bに入賞して検出されかつその検出によって発生するくじに当たると、前記電子ディスプレー6に特定の当り図柄が表示されて大当りが発生し、前記開閉扉11aが所定時間(例えば約30秒または大入賞口11が10個の入賞球を検出するまで)開放し、これが連続して所定回数(例えば15回)繰り返される。内レール5aの下部内側であって大入賞口11の両側に、内レール5aに沿ってレール飾り12a,12bが配置される。これらレール飾り12a,12bには、適宜位置に普通入賞口13が設けられている。14は、内レール5aの中央下部に設けられ遊技部3aに打ち込まれるも、入賞球となりえなかったパチンコ球をパチンコ遊技機Pの外部へ排出するためのアウト球口である。
【0017】
遊技盤3を正面から見て左側は内レール5aと外レール5bが一部重なり、その間にパチンコ球を遊技部3aに飛走して打ち込むための誘導通路15が形成される。該誘導通路15は、上端の球放出口15aを介して遊技部3aに連なっている。また、その下端は開放され、その開放部に打球発射機構4に備えられた後記する発射レール33の終端位置Eが臨んでいる。そこで、打球発射機構4から発射されたパチンコ球は外レール5bの始端位置S1側の上面に着地し、該誘導通路15に誘導されて遊技部3aに打ち込まれることになる。この始端位置S1は、外レール5bの下端部であってその湾曲する上面とその下方の鉛直面との交差部である。換言すれば、始端位置S1とは、発射レール33から発射されたパチンコ球が外レール5bの上面に沿って上るか跳ね返されてファール球回収口44aに落下するかの境界となる接地点をいい、外レール5bの下端を意味するものではない。なお、打球発射機構4については後で説明する。
【0018】
本体枠2の前面に、その上部に遊技盤3の遊技部3aが臨む透窓16が開設された透明板保持枠17が開閉自在に軸着される。該透明板保持枠17はその横幅が本体枠2の横幅と同じ寸法を有し、透窓16にはガラス板または合成樹脂板からなる透明板18が装着される。また、透明板保持枠17の下方に、前記打球発射機構4の前側を覆うようにして前板19が開閉自在に軸着される。該前板19の前面には、打球発射機構4に供給するパチンコ球を貯留する上球受皿20が装着される。また、上球受皿20の下方であって前板19の前面に、該上球受皿20から溢れるパチンコ球を貯留するための下球受皿21が装着されている。その一側で本体枠2の前面に、打球発射機構4から発射されるパチンコ球の打球力を調節するための打球力調整ハンドル22が設けられる。
【0019】
本体枠2の前面であって打球力調整ハンドル22の少し上方に、鍵穴23aが前面に露出する錠23が設置され、また、同じ側の本体枠2に透明板保持枠17を施錠するための施錠装置(図示せず。)が設けられている。常には、透明板保持枠17は閉じて施錠装置により施錠されている。そして、錠23の鍵穴23aに鍵を入れて一方向へ回動させることにより施錠が解除されて透明板保持枠17が開放でき、この状態で前板19が手動で開放できるようになっている。
【0020】
前板19の後面には、その一側に該前板19が閉められたとき、本体枠2の下部前面に開設された球排出口24に接続される球受口25が設けられる。該球受口25は上球受皿20と連通しており、貸し球や入賞球の払い出しの要求があったとき、球排出口24及び球受口25を介し上球受皿20に貸し球や入賞球としてのパチンコ球が払い出される。また、前板19の後面他側に、上球受皿20から流入する打ち球としてのパチンコ球を前記打球発射機構4に供給するための打球供給装置26が配置される。
【0021】
前記打球供給装置26は、図5に示すようにその前面に上球受皿20の球整流通路20aの流下端と連なる球入口27aが開設される。また、打球供給装置26の内部に、上流端が該球入口27aと連通し、かつ、下流端が後面に開設され打球発射機構4の後記する球受部材39に対応して位置させた球出口27bと連通する球送通路28が形成される。そして、該球送通路28の一側に、球整流通路20aから流入するパチンコ球をソレノイド(図示せず。)などの電気的駆動手段により水平面内で往復回動させ球出口27bを介してパチンコ球を1個ずつ発射位置35へ供給する球送り部材29が軸着されている。
【0022】
次に、図3、図4に基づき本発明に係る打球発射機構4について詳しく説明する。打球発射機構4は本体枠2の下部前面2aに当接される取付基板30を有し、該取付基板30はビス31により所定の位置に固着される。該取付基板30には、その前面に外レール5bの始端位置S1から下方へ斜めに延びる接線に沿うようにして発射通路32が形成される。そして、該発射通路32の上方に該発射通路32に沿うようにして発射レール33が配置される。
【0023】
該発射レール33は非磁性体であるステンレス板を屈曲させて形成され、長手方向に対し直交する断面が逆M字状をなし、その断面逆V型に窪んだ面を球走行面33aとしている。しかも、該発射レール33は球走行面33aを下向きにして配置される。この場合、パチンコ球の飛走軌道を基準とし該飛走軌道に対して直交する方向で外レール5bの始端位置S1より発射レール33における球走行面33aの終端位置Eがほぼパチンコ球の直径寸法分上方へずれることになる。また、発射レール33の上側でありかつ該発射レール33の上面に沿って重なるようにして発射レール33と同じ長さ寸法の磁石片34が配設される。更に、その上面であって磁石片34が配置される発射レール33内に、合成樹脂製の保持部材48が重なるようにして介装される。発射レール33と保持部材48にはそれぞれ側面に対応してビス挿通孔49,50が貫設され、これらビス挿通孔49,50にビス51を挿通すると共に取付基板30に対応して設けられたビス孔(図示せず。)に螺子締めすることにより発射レール33が取付基板30に取着される。磁石片34の磁力の強さは、該発射レール33の球走行面33aに吸着した状態でパチンコ球を下にして吊るしても落ちない範囲であり、かつ、発射レール33から離れた状態ではパチンコ球内の残留磁気がほとんど消える範囲で設定される。残留磁気が時間的に長く残ると、遊技上好ましくないからである。このため、前記発射レール33の材質も非磁性体が使用される。
【0024】
発射通路32における発射レール33の始端位置Sに対応する位置が発射位置35となり、該発射位置35の斜め下方にソレノイドを備えた打球発射装置36が配設される。該打球発射装置36は箱枠状に形成され、その箱枠36aの4隅部をビス37止めすることにより取付基板30に固着される。また、打球発射装置36の内部には高速で進退動するプランジャー38が配設され、該プランジャー38の先端が箱枠36aの側壁からその前方へ突出し、その先端に発射位置35に位置するパチンコ球を発射レール33の球走行面33aに沿って打ち出すため樹脂材からなる円錐台形状の打球部38aが取着されている。
【0025】
一方、発射通路32における発射位置35の下方には、パチンコ球を発射位置35で安定して停止させておくための球受部材39がビス40により取付基板30の前面に固着される。該球受部材39の上面に、発射位置35に向かって僅かに下傾する球受面41aと該球受面41aの下流端に下傾する角度が球受面41aよりも更に大きくなる停止面41bとが形成される。そして、球受部材39の上面の下端すなわち停止面41bの流下端と発射レール33における球走行面33aの始端位置Sとの間に、パチンコ球の直径寸法よりも狭い隙間42が形成され、該隙間42を介してその内側の発射位置35に前記プランジャー38の打球部38aが介入できるようになっている。このように、球受面41aの水平面に対する傾斜角度を発射レール33の水平面に対する傾斜角度よりも小さくすることで前記球受部材39の上面である球受面41aの上端41cと発射レール33の球走行面33aとの間の上下方向の寸法は、その間に2個又は3個のパチンコ球が上下方向に積み重ねられる程度の距離に設定されている。
【0026】
打球供給装置26の球出口27bから排出されるパチンコ球は、球受部材39の上面である球受面41aに乗って発射通路32の発射位置35側へ転動し、最終的に停止面41bで発射レール32との間に挟まれる。しかも、磁石片34により球走行面33aに吸着された状態で停止する。
【0027】
発射レール33の終端位置E側の下方に、上面43aが発射レール33の球走行面33aと平行をなし、かつ、その間がパチンコ球の直径寸法より少し広く設定された球止部材43がビス40止めして取付基板30に固着される。該球止部材43は内・外レール5a,5b間の誘導通路15を発射位置35側へ戻るファール球を衝突させ、隣接するファール球回収口44a下方のファール球回収樋44に落下させるためのものである。このため、球止部材43におけるファール球回収樋44に接する側面43bは、ほぼ鉛直面状に形成される。
【0028】
前記球受部材39と球止部材43との間に、1個のパチンコ球が通過できる程度の球抜樋45が形成される。これは、例えば発射位置35において球受部材39の停止面41bにパチンコ球が位置する状態でこれから発射されようとしているとき、その前に既に発射されたパチンコ球が遊技部3aに打ち込まれずに発射位置35、すなわち、球受面41aに戻ってくると発射動作の邪魔になる。そこで、発射位置35に位置するパチンコ球を発射させることにより、その戻っていたパチンコ球を球抜樋45に落下させて発射位置35から取り除くためである。このため、球止部材43の球抜樋45側には、発射位置35側へ傾斜して、前記球受部材39の球受面41aからほぼ水平方向へ弾き飛ばされたパチンコ球を効率良く球抜樋45に落下させるため、球抜樋45の上端入口45aの上方に衝突したパチンコ球を球抜樋45へ誘導する誘導傾斜面43cが設けられている。
【0029】
前記ファール球回収樋44は、取付基板30の前面から前方へ突出する囲い枠46により仕切られ、該囲い枠46の下端に球落口52が設けられている。これら球落口52と球抜樋45の下端出口45bの下方に、囲い枠46や球抜樋45から下方へ排出されるパチンコ球を受け入れる球回収樋47が配設される。該球回収樋47は、上端面が開放すると共に下端の前面に球通孔53が開設されている。該球通孔53は前記前板19が閉じたとき、該前板19に開設され下球受皿21に連通する導入孔54に連通するようになっており、球回収樋47に落下したパチンコ球は総て下球受皿21に貯留されることになる。
【0030】
本発明に係るパチンコ遊技機Pは上記構成からなり、次に作用について説明する。上球受皿20に貯留されるパチンコ球は、図5に示すように前板19の後面に配置される打球供給装置26の球送通路28に流入し、球送り部材29により1個ずつ送られると共に球出口27bから球受部材39の球受面41aに排出され、発射通路32の発射位置35に供給される。発射位置35に供給されたパチンコ球B1は、図4に示すように停止面41bに達する。そして、発射レール33の球走行面33aとの間に挟まれると共に磁石片34により発射レール33の球走行面33aに吸着されて停止する。このように、発射位置35では、パチンコ球B1が球受面41aよりも一層傾斜角度の大きい停止面41bに位置し、かつ磁石片34に吸着されるので、発射位置35に供給されるパチンコ球B1が踊るようなことはなく安定し発射動作が行ない易い。
【0031】
この状態で、打球発射装置36が電気的に作動してプランジャー38が高速で進退動し、その先端の打球部38aが発射位置35内に突入してその位置にあるパチンコ球B1を打球する。これにより、打球されたパチンコ球B1は発射レール33における断面逆V型の球走行面33aに沿って発射レール33を介し磁石片34に吸着された状態で飛走し、その終端位置Eからファール球回収口44aを飛び越えて外レール5bの上面に着地する。そして、今度は内レール5aと外レール5bとの間の誘導通路15に沿って飛走し、上端の球放出口15aから遊技部3aに打ち込まれることになる。
【0032】
そこで、図4に示すように、例えば発射位置35から発射されてもその勢いが足りず遊技部3aに達することができないパチンコ球B2は、誘導通路15を発射位置35側へ戻ることになる。このうち、勢いが弱くて外レール5bの始端位置S1から自重でファール球回収口44a内に落下するパチンコ球B2は、ほぼ球止部材43の側面43bに衝突してファール球回収樋44を流下し球回収樋47に落下する。そして、落下したパチンコ球B2は、球回収樋47を流下し球通孔53を介して下球受皿21に排出される。一方、勢いが強くファール球回収口44aを掠めて斜めに落下し球止部材43と発射レール33との間に入ったパチンコ球B3は、球受部材39の球受面41aに乗る。このとき、発射位置35に発射されるパチンコ球B1がある場合は、該パチンコ球B1が発射されることによって戻ってきたパチンコ球B3は、ほぼ水平方向へ跳ね飛ばされる。跳ね飛ばされたパチンコ球B3は球止部材43の誘導傾斜面43cに衝突して球抜樋45に入り、続いて球回収樋47に落下する。発射位置35から打ち出されそのパチンコ球B3に衝突したパチンコ球B1は、衝突したことにより勢いが弱くなっているので、発射レール33から打ち出されたとしても、途中で発射位置35側に戻り、ファール球回収口44aからファール球回収樋44に落下すると共に球回収樋47に落下する。このパチンコ球B3も、球回収樋47を流下して下球受皿21に排出される。
【0033】
このように、本発明は発射通路32の上方に球走行面33aを下向きにして発射レール33を配置すると共に該発射レール33の上側に磁石片34を配設し、発射位置35に供給されたパチンコ球を発射レール33下面の球走行面33aに吸着させ、この状態で吸着されたパチンコ球を発射レール33の球走行面33aに沿って発射させるようにしている。よって、パチンコ球の飛走軌道を基準とし該飛走軌道に対して直交する方向で外レール5bの始端位置S1より発射レール33における球走行面33aの終端位置Eがほぼパチンコ球の直径寸法分上方へずれることになる。これにより、発射位置35から発射されるパチンコ球は、発射レール33の球走行面33aの下側を該球走行面33aに沿って吸着された状態で飛走することになり、パチンコ球が飛び出す位置が高くなることはなく、発射レール33から発射されるパチンコ球の良好な球飛び状態が維持できる。しかも、外レール5bと内レール5aとの間を戻るファール球が外レール5bの始端位置S1からファール球回収口44aを掠めて発射位置35側に戻ろうとしても、該ファール球は発射レール33の終端面Fに衝突するようなことがなく、発射レール33における球走行面33aの終端部が反り返るようなこともなくなる。
【0034】
発射レール33を発射通路32の上方へ配置したということは、発射位置35から発射されるパチンコ球の理想の軌道と外レール5bを発射位置35側へ戻ってくるファール球の理想の軌道との間に発射レール33の球走行面33aが存在しないことを意味する。これにより、外レール5bに沿って下方へ飛走してきたファール球は始端位置S1を通過した後は、その自重により自然と放物線を描きながら落下し球止部材43に衝突してファール球回収樋44に回収される。よって、ファール球が、発射レール33の終端位置Eに衝突することが無くなる。ここで、発射されるパチンコ球の理想の軌道とは、遊技部3aに到達し得る打球力で打ち出されたパチンコ球の通る軌道をいう。また、ファール球の理想の軌道とは、ファール球が内・外レール5a,5b間の誘導通路15内を暴れずに外レール5bに沿った状態で戻る軌道をいう。
【0035】
また、本発明は、発射レール33における発射位置35の下方に上面が該発射位置35側へ下傾し打球供給装置26から供給されるパチンコ球を受け止めて該発射位置35へ導く球受部材39を配置し、発射レール33の終端位置Eの下方に内・外レール5a,5b間を発射位置35側へ戻るファール球を衝突させてファール球回収樋44へ落下させる球止部材43を配置し、球受部材39と球止部材43との間には1個のパチンコ球が通過できる球抜樋45を形成するようにしている。よって、仮に、球受部材39の上面に発射位置35を含めて2個または3個のパチンコ球が滞留している場合、発射位置35にあるパチンコ球を弱く発射させるだけでも他のパチンコ球を球抜樋45へ排出できるので、発射レール33部位に複数のパチンコ球が滞留するのを容易に解消できる。
【0036】
本発明にあっては、発射通路32の発射位置35の下方に遊技盤3面と平行な面内で発射レール33と同一面内に球受部材39を配置するようにしたが、磁石片34が発射レール33の始端位置Sから終端位置Eまで配設されている。よって、その磁石片34の磁力を調節ししかも打球供給装置26の球出口27bを発射位置35に接近させてやれば、球出口27から排出されるパチンコ球は磁石片34の吸着力により直接球走行面33aに吸着される。よって、この場合、球受部材39は必ずしも必要ではない。ただ、図4に示すように発射レール33の始端位置S部位にあっては、磁石片34が配設されるのがその始端位置Sから長手方向に沿ってパチンコ球の直径寸法分短い位置D1まででも良い。これに対し、発射レール33の終端位置E部位にあっては、磁石片34の配設されるのが前記終端位置Eから発射レール33の球走行面33aに対して直交しかつ前記球止部材43の上端を通る面が該球走行面33aと交差する位置D2まで短くても良い。結局、磁石片34の長さが少なくとも前記発射レール33における位置D1〜D2の間を含んでそれ以上の長さあれば、本発明の目的は達成し得る。ただし、磁石片34の長さが前記位置D1〜D2間での長さのときに、前記球受部材39が必要になる。
【0037】
また、本発明にあっては、磁石片34が図3に示すようにへの字状に一体に形成されているが、この形状に限定されるものではない。例えば、長手方向に沿って中央で2分割して一対の平板状のものを使用しても良く、これらを更にその短手方向に沿って2又は3分割するようにしても良い。
【0038】
また、本発明は、発射レール33を発射通路32の上方に設けるようにしたことから、その下方に有効なスペースが確保でき、これにより球受部材39や球止部材43の位置・形状の選定が容易となり、その設計の自由度が増す。
【符号の説明】
【0039】
3 遊技盤
3a 遊技部
5a 内レール
5b 外レール
32 発射通路
33 発射レール
33a 球走行面
34 磁石片
35 発射位置
36 打球発射装置
39 球受部材
43 球止部材
44a ファール球回収口
45 球抜樋
B1〜B3 弾球(パチンコ球)
E 終端位置
P 弾球遊技機(パチンコ遊技機)
S 始端位置
S1 始端位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射通路に沿って設けられる発射レールと、前記発射通路の発射位置に供給された磁性体からなる弾球を発射させる打球発射装置と、遊技盤面に遊技部を区画形成する内レール及び外レールと、前記外レールの始端位置と前記発射レールの終端位置との間に形成されるファール球回収樋とを備え、
前記打球発射装置により前記発射レールの球走行面に沿って発射された弾球が前記ファール球回収樋を飛び越え前記内レール及び外レールとの間を飛走して前記遊技盤面の遊技部に打ち込まれるようにした弾球遊技機であって、
前記発射通路の上方に前記球走行面を下向きにして前記発射レールを配置すると共に該発射レールの上側に磁石片を配設し、前記発射位置に供給された弾球を前記発射レール下面の球走行面に吸着させ、この状態で前記吸着された弾球を前記発射レールの球走行面に沿って発射させるようにしたことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−158481(P2010−158481A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3975(P2009−3975)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(591044614)株式会社足立ライト工業所 (114)
【Fターム(参考)】