説明

弾球遊技機

【課題】釣糸等の糸状体を付けた遊技球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正
入賞行為を効果的に抑止することが可能な構成の弾球遊技機を提供する。
【解決手段】前面側に所定の遊技領域が設けられた遊技盤と、遊技盤を収容保持する枠部
材と、枠部材における遊技盤の下側に設けられ、前面側で遊技球を貯留する球皿と、枠部
材における球皿の背面側に設けられ、球皿に貯留された遊技球を遊技領域に向けて打ち出
す発射機構とを備え、球皿から発射機構へ遊技球を供給する整流器50における球出口7
4の近傍に、整流器50内の球供給通路51に通された糸状体Iを受容して挟むことが可
能な受容部材100が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機に関し、さらに詳しくは、入賞口に入球した遊技
球を不正に操作して連続的に遊技球の入賞を検出させる不正行為を防止するように構成し
た弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機の代表例であるパチンコ機には、前面に遊技領域を形成する遊技盤を立設姿
勢で収容保持した前枠に、前面に遊技球の処理経路を一体に設けるとともに、背面に各種
制御基板が取り付けられる裏セット盤を取り付けて構成され、発射装置により遊技領域上
部に導いた遊技球を落下させる過程で遊技領域内に設けた各種の入賞装置に入賞させる遊
技を行うように構成されている。
【0003】
このようなパチンコ機では、遊技球が一般入賞装置に入球した場合にはそれに対応した
個数の賞球が払い出され、始動入賞装置に入球した場合にはこれに基づいて当り外れや演
出パターンの抽選が行われるとともに所定個数の賞球が払い出されるようになっている。
この抽選に当選して大当たりが発生したときには、遊技者に有利な特別遊技状態に移行し
て、一般にアタッカーと称される大入賞装置の入賞口が複数回連続的に開放し、入球個数
に対応した相当数の賞球が払い出されることとなる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−268566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パチンコ機には、各種入賞装置に対応して通過型センサ等からなる入賞球検出器が設け
られており、この入賞装置に入球する遊技球が入賞球検出器を通過することによって該入
賞装置での遊技球の入賞が検出され、入球個数に応じた賞球の払い出しや当り外れの抽選
等が適時実行されるようになっている。ここで、正常な遊技では原則として遊技球1球に
つき1回のみ入賞球検出器への通過が検出されるものであるが、近年においては、所定長
さの釣糸等の糸状体を付けた遊技球を入賞装置に入球させて、該糸状体を手前に引っ張っ
たり奥側へ送り込んだりする不正な操作をすることで、この遊技球を入賞球検出器に何度
も繰り返し通過させて(遊技球の連続入賞を検出させて)、多数の賞球を払い出させる不
正入賞行為(ゴト行為)が頻発しており、その被害が業界内で問題になってきている。そ
のため、遊技機メーカ各社においても、このような不正入賞行為を効果的に抑止する策を
講じることが課題となっている。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、釣糸等の糸状体を付けた遊技
球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止することが可
能な構成の弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、本発明に係る弾球遊技機は、前面側に所定の遊技領域が設
けられた遊技盤と、前記遊技盤を収容保持する枠部材と、前記枠部材における前記遊技盤
の下側に設けられ、前面側で遊技球を貯留する球皿と、前記枠部材における前記球皿の背
面側に設けられ、前記球皿に貯留された遊技球を前記遊技領域に向けて打ち出す発射機構
とを備え、前記球皿から前記発射機構へ遊技球を流下させる球供給通路における前記球供
給通路の延伸方向が変わる方向転換部の近傍に、前記球供給通路に通された糸状体を受容
して挟むことが可能な受容部材が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不
正入賞行為を効果的に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】第1実施形態に係るパチンコ機の背面図である。
【図3】前枠の正面図である。
【図4】球皿ユニットの背面図である。
【図5】遊技盤の正面図である。
【図6】主制御装置、副制御装置および払出制御装置の制御形態を示すブロック図である。
【図7】球皿ユニットの断面を示す背面斜視図である。
【図8】整流器の外観図である。
【図9】整流器の断面図である。
【図10】整流器の斜視図である。
【図11】整流器の変形例を示す斜視図である。
【図12】第1の変形例に係る遊技球発射装置及び遊技球回収機構が設けられた遊技補助盤を示す正面図である。
【図13】遊技球発射装置及び遊技球回収機構においてハンマーが発射待機位置にある状態を示す正面図である。
【図14】遊技球発射装置及び遊技球回収機構においてハンマーが発射完了位置にある状態を示す正面図である。
【図15】図13における矢印XV−XVに沿って示す要部断面図である。
【図16】図14における矢印XVI−XVIに沿って示す要部断面図である。
【図17】図13の状態において遊技球発射装置及び遊技球回収機構を背面から見た図である。
【図18】図14の状態において遊技球発射装置及び遊技球回収機構を背面から見た図である。
【図19】ファール球の流れを主として示す発射レール部等の正面図である。
【図20】糸付球の流れを主として示す発射レール部等の正面図である。
【図21】遊技盤の変形例を示す正面図である。
【図22】第2の変形例に係る球戻り抑止部材の上面図及び正面図である。
【図23】第2の変形例に係る球戻り抑止部材の分解斜視図である。
【図24】第2の変形例に係る球戻り抑止部材の動作を説明するための図である。
【図25】第2の変形例に係る球戻り抑止部材の作用を説明するための図である。
【図26】第3の変形例に係る球戻り抑止部材の斜視図である。
【図27】第3の変形例に係る球戻り抑止部材の正面図及び断面図である。
【図28】第3の変形例に係る球戻り抑止部材の作用を説明するための図である。
【図29】第4の変形例に係る球戻り抑止部材の正面図及び断面図である。
【図30】第2実施形態に係るパチンコ機を正面側から見た斜視図である。
【図31】第2実施形態に係るパチンコ機のガラス扉および上球皿を開放して示す斜視図である。
【図32】第2実施形態に係るパチンコ機を背面側から見た斜視図である。
【図33】整流器が取り付けられた上球皿を背面側から見た斜視図である。
【図34】整流器の背面斜視図である。
【図35】整流器の背面図である。
【図36】整流器の球抜き部材が球抜き口閉鎖位置に位置する状態を示す正面図である。
【図37】整流器の球抜き部材が球抜き口開放位置に位置する状態を示す正面図である。
【図38】整流器の球送り部材が連絡口閉鎖位置に位置する状態を示す側断面図である。
【図39】整流器の球送り部材が連絡口開放位置に位置する状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係
る弾球遊技機を適用したパチンコ機PMの概要構成を図1〜図6を参照しながら説明する

【0011】
第1実施形態に係るパチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成さ
れた縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成
されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a
,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダ
ブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持さ
れる。
【0012】
前枠2の前面側には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿ユ
ニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉お
よび着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態
に保持される。球皿ユニット6の正面右側下部には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル
8が設けられている。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の上部には、遊技盤10を着脱
可能に収容する方形枠状の収容枠(図示せず)が設けられており、この収容枠に所定のゲ
ージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガ
ラス扉5を通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
【0013】
遊技盤10は、図5に示すように、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の
図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板11を基板として構成される。化粧
板11の前面には、飛送レール12a及び内レール12bが円弧状に固設されて遊技球が
転動可能な略円形の遊技領域PAが区画形成されている。飛送レール12a及び内レール
12bにより遊技球を遊技領域PAに誘導する発射通路12が形成され、この発射通路1
2における遊技球の出口開口12cの近傍位置(内レール12bの先端部)に、発射通路
12を通って出口開口12cから遊技領域PA内に放出された遊技球が再び発射通路12
に逆戻りするのを防止する球戻り防止装置13が設けられている。
【0014】
遊技盤10の遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに、風車や各種の入賞装置14
,15,16,17、遊技の進行状況に応じて各種の演出パターンの画像および図柄を表
示する図柄表示装置18などの遊技構成部品が取り付けられている。また、遊技領域PA
の下端には、各入賞装置に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤10の裏面側へ排出させる
アウト口19が設けられている。
【0015】
図3に示すように、前枠2の前面下部には、球皿ユニット6の背後に位置して遊技盤1
0と上下に整合し得る遊技補助盤20が形成されており、この遊技補助盤20の各部に、
遊技盤10へ向けて遊技球を発射する発射機構21、前枠2の前後に連通して形成された
賞球連絡通路22および溢れ球通路23、遊技領域PAに到達できずに発射通路12を戻
ってくる遊技球(すなわちファール球)を回収する遊技球回収機構24などが設けられて
いる。なお、詳細な図示を省略するが、発射機構21の前方には、この発射機構21の前
面側を覆うカバー部材(図示せず)が着脱自在に取り付けられている。このカバー部材(
図示せず)は、例えばABS樹脂などの樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段で形成さ
れている。
【0016】
常には遊技補助盤20を覆って閉鎖状態に保持される球皿ユニット6の背面側には、図
4に示すように、遊技補助盤20に設けられた各機器に対応した機構装置が装備されてい
る。すなわち、発射機構21に対応して上球皿6aに貯留された遊技球を1球ずつ発射機
構21に送り出す整流器50が設けられ、賞球連絡通路22に位置整合して賞球連絡通路
22から流下する遊技球を上球皿6aに導く上球皿連絡ダクト27が設けられ、溢れ球通
路23に位置整合して溢れ球通路23から流下する遊技球を下球皿6bに導く下球皿連絡
ダクト28が設けられている。なお、球皿ユニット6の内部には、図7に示すように、上
球皿6aから発射機構21(整流器50)へ遊技球を流下させる第1の球供給通路29a
が形成される。また、球皿ユニット6の内部には、第1の球供給通路29aを流下する遊
技球を図示しない球抜き機構により下球皿6bに導く球抜き通路29bが、下球皿連絡ダ
クト28に繋がって形成されている。
【0017】
前枠2の裏面側には、図2に示すように、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの矩形
枠状に形成された裏セット盤30が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤30は、
遊技盤10の背後に位置する上部領域に、前後連通して開口する大型の窓口開口30aを
有する枠状に形成されており、この窓口開口30aの上方に、遊技球を貯留する球貯留タ
ンク31、及び球貯留タンク31と繋がって下方に若干傾斜するタンクレール32が設け
られ、背面視における窓口開口30aの右側に、タンクレール32により前後各1列の整
列状態で導かれた遊技球を遊技盤10における入賞状態に基づいて払い出す球払出装置3
3、球払出装置33から払い出された遊技球を球皿ユニット6の上球皿6aに導く球払出
通路34などの賞球機構が設けられている。
【0018】
このため、球払出装置33によって払い出され球払出通路34から賞球連絡通路22の
後端部に流入した遊技球は、通常では、この賞球連絡通路22を前方に流下し、上球皿連
絡ダクト27内の通路を通って上球皿6aに達する。一方で、上球皿6aが遊技球で満た
されたときには、球払出装置33によって払い出された遊技球は、賞球連絡通路22から
溢れ球誘導口(図示せず)を通過して溢れ球通路23を流下し、下球皿連絡ダクト28内
の通路を通って下球皿6bに達する。
【0019】
また、裏セット盤30の背面には、制御装置、電子部品に電力を供給する電源ユニット
41、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置(メイン制御基板)42、画
像表示、効果照明および効果音等の遊技演出の制御を行う副制御装置(サブ制御基板)4
3、球払出装置33の作動を制御する払出制御装置44等の各種基板や電子部品などが取
り付けられ、これらが図示省略するコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動
可能に構成される。
【0020】
このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、遊技領域PAに発射された遊技球
が各入賞装置に落入したときの遊技球の払い出し処理について、関連する各部の構成をも
う少し詳しく説明する。遊技盤10に設けられる入賞装置には、その外観意匠や入賞時の
動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定に応じてどのような形態の入賞装置を
用いるものであってもよいが、例えば図5に例示した遊技盤10では、一般入賞装置14
、始動入賞装置15、大入賞装置16,17の3種類の入賞装置を設けた例を示している

【0021】
一般入賞装置14は、遊技球が落入可能な入賞口14aを有する固定入賞具であり、こ
の入賞口14aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板11の裏面側に排出さ
れ、該裏面側に設けられた入賞球検出器14s(図6を参照)を通過することによって入
賞が検出されるようになっている。入賞球検出器14sは、遊技球の通過を検出可能な通
過型センサである限り特に限定されず、例えば、磁気センサや光センサ、近接スイッチ等
の非接触動作型でも、マイクロスイッチのような接触動作型でもよい(以下に示す入賞球
検出器15s,16s,17sにおいても同様とする)。
【0022】
始動入賞装置15は、遊技球が落入可能な入賞口15aを有し、図柄の変動開始の条件
を定める入賞具であり、この入賞口15aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化
粧板11の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器15s(図6を参照)
を通過することによって入賞が検出されるようになっている。
【0023】
大入賞装置16,17は、遊技球が落入可能な入賞口16a,17aを有し、いわゆる
アタッカー型の可動入賞装置であり、横長方形状の大入賞口16a,17aを覆う開閉扉
が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の
入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒され
て大入賞口16a,17aが開放される。大入賞口16a,17aに落入したセーフ球は
セーフ球通路を通って化粧板11の裏面側に排出され、該裏面側に領域開口に対応して設
けられた入賞球検出器16s,17s(図6を参照)を通過することによって入賞が検出
されるようになっている。なお、入賞球検出器14s,15s,16s,17sにより検
出された遊技球は、遊技済み球排出通路を流下して遊技施設の遊技島の回収装置に排出さ
れる。
【0024】
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に
固定設置され、前枠2、ガラス扉5、球皿ユニット6等が閉鎖施錠された状態で遊技に供
され、球皿ユニット6の上球皿6aに遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作する
ことにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、上球皿6aに貯留さ
れた遊技球が、球皿ユニット6の裏面側に配設される整流器50によって1球ずつ発射機
構21に送り出され、発射機構21のハンマー21aにより遊技領域PAに打ち出されて
パチンコゲームが展開される。
【0025】
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにおいて、正常な遊技では原則として
遊技球1球につき1回のみ入賞球検出器への通過が検出されるものであるが、近年におい
ては、入賞装置に落入した1個の遊技球を不正な操作によって入賞球検出器の導入口に連
続して通過させて、多数の賞球を払い出させる不正入賞行為(ゴト行為)が頻発している

【0026】
この代表的な手口を概要説明すると、まず、所定長さを有する釣糸等の糸状体の一端側
を遊技球に固着させ、この糸状体の他端側を不正行為者自身が掌で掴み、このような細工
を施した遊技球(以下において「糸付球」と称する)を上球皿6aに貯留された他の遊技
球の間に忍ばせて、他の遊技球とともに上球皿6aから1球ずつ順番に発射機構21へ供
給させて発射機構21により発射通路12を通して遊技領域PA内へ送り込む。糸付球が
遊技領域PAまで達すると、ガラス扉5の外側から強力な磁石を用いてこの遊技球を入賞
装置(1回の賞球数が最も多い一般入賞装置14が狙われ易い傾向にある)まで誘導して
当該入賞装置の入賞口へ落入させる。遊技球が入賞口からセーフ球通路に導かれて入賞球
検出器の導入口を通過すると、主制御装置42により遊技球の入賞が検出されて球払出装
置33により入賞条件に応じた個数の賞球が上球皿6aへ払い出されることになる。不正
行為者は、このように賞球が払い出されたことをもって、糸付球がターゲットである入賞
球検出器へ到達したことを認識し、自身の掌に掴んでいる糸状体の他端側を手前に引っ張
ったり奥側へ送り込んだりする操作をして、糸付球を入賞球検出器の導入口に何度も繰り
返し通過させることで、遊技球の連続入賞を不正に検出させて多数の賞球を獲得している
。これが、最近になって頻発している糸付球を用いた不正入賞行為の全貌である。
【0027】
そこで、このような不正入賞行為を防止すべく、第1実施形態のパチンコ機PMでは、
整流器50に不正防止具(詳細は後述する受容部材100および切断部材110)が設け
られている。以下、図7〜図10の各図を追加参照しながら、整流器50について説明す
る。整流器50は、図7〜図10に示すように、第1ケース部材60と、第2ケース部材
70と、球送り部材80と、ソレノイド90とを有して構成される。
【0028】
第1ケース部材60は、図7および図9に示すように、ポリカーボネート(PC)等の
樹脂材料を用いて、射出成形等の成形手段により板状に形成される。一方、第2ケース部
材70は、図8および図10に示すように、ポリカーボネート(PC)等の樹脂材料を用
いて、射出成形等の成形手段により開口部を有する箱状に形成される。第1ケース部材6
0と第2ケース部材70とは、それぞれの四隅に形成された係合部を互いに係合させるこ
とにより、箱型に組み立てられる。箱型に組み立てられた第1ケース部材60および第2
ケース部材70の内部には、図9に示すように、上球皿6a(第1の球供給通路29a)
から発射機構21へ遊技球を流下させる第2の球供給通路51が形成される。
【0029】
第1ケース部材60の側壁部61の上部には、図9に示すように、第1の球供給通路2
9aの下流部と第2の球供給通路51の上流部51aとを連通させる球入口62が形成さ
れており、第1の球供給通路29aの下流端に達した遊技球がこの球入口62を通過して
第2の球供給通路51を流下するようになっている。また、第1ケース部材60の側壁部
61の中間部には、球送り部材80に形成された揺動ストッパ(図示せず)を挿通させる
揺動規制穴63が形成されている。
【0030】
第2ケース部材70の側壁部71の内側には、図9に示すように、第2の球供給通路5
1の上流部51aを構成する通路床部72や傾斜壁部73等が形成され、通路床部72と
傾斜壁部73との間には、第2の球供給通路51の上流部51aと下流部51bとを連通
させる連通口52が形成される。また、第2ケース部材70の側壁部71には、図8に示
すように、第2の球供給通路51の下流部51bと繋がる球出口74が形成されており、
第2の球供給通路51の下流部51bに達した遊技球がこの球出口74を通過して発射機
構21へ流下するようになっている。また、球出口74の図8における上側および右側の
縁部には、逆L字形のガイド部75が球皿ユニット6の背面側へ突出するように形成され
ている。
【0031】
球送り部材80は、図9に示すように、ポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂材料を
用いて、射出成形等の成形手段により図示する形状に形成され、球受容部81と、球送り
レール部82と、棹部83とを有して構成される。また、球送り部材80は、軸部材85
を用いて、箱型に組み立てられた第1ケース部材60および第2ケース部材70の内部に
揺動自在に取り付けられる。球送り部材80の側部には、第1ケース部材60の揺動規制
穴63に挿通される突起状の揺動ストッパ(図示せず)が形成され、揺動規制穴63の形
状により球送り部材80の揺動範囲が規制されて、球受容部81が連通口52を閉鎖して
球送りレール部82が球出口74を開放する球出口開放位置(図9の実線を参照)と、球
受容部81が連通口52を開放して球送りレール部82が球出口74を閉鎖する球出口閉
鎖位置(図9の二点鎖線を参照)との間で、球送り部材80が揺動可能に構成される。
【0032】
球受容部81は略L字形に形成され、球受容部81の下部に軸部材85が連結される。
そして、球受容部81は、球送り部材80が球出口閉鎖位置に変位すると、球受容部81
の上部が連通口52を開放して、連通口52を通過した遊技球を1球だけ受け入れて保持
し、球送り部材80が球出口開放位置に変位すると、球受容部81の上部が連通口52を
閉鎖して、保持した遊技球を球送りレール部82へ送るようになっている。
【0033】
球送りレール部82は、基端部が球受容部81の下部に繋がるとともに、先端部が第2
ケース部材70の球出口74から球皿ユニット6の背面側へ突出して伸びる板状に形成さ
れる。そして、球送りレール部82は、球送り部材80が球出口閉鎖位置に変位すると、
球出口74を閉鎖し、球送り部材80が球出口開放位置に変位すると、球出口74を開放
して球受容部81から送られた遊技球を発射機構21へ流下させるようになっている。す
なわち、球受容部81および球送りレール部82は、第2の球供給通路51の下流部51
bを構成する。なお、球送りレール部82の上面は、先端部に向けて下傾するだけでなく
、ガイド部75に向けても下傾しており、遊技球がガイド部75に沿って球送りレール部
82上を転がるようになっている。
【0034】
棹部83は、球受容部81の下端部から下方へ伸びる棒状に形成され、球送り部材80
が球出口開放位置に変位すると、ソレノイド90に当接(もしくは隣接)するようになっ
ている。棹部83の内部には、永久磁石86が取り付けられている。
【0035】
ソレノイド90は、図9に示すように、箱型に組み立てられた第1ケース部材60およ
び第2ケース部材70の内部における棹部83の近傍に取り付けられる。ソレノイド90
にはソレノイド制御基板91が電気的に接続されており、ソレノイド制御基板91から出
力された駆動信号によりソレノイド90が駆動される。ソレノイド90がオン作動すると
、ソレノイド90から発生した磁力を受けて、永久磁石86がソレノイド90から離れる
方向へ移動し、永久磁石86が取り付けられた球送り部材80が球出口閉鎖位置に揺動変
位するようになっている。一方、ソレノイド90がオフ作動すると、永久磁石86が重力
の作用により下方へ移動し、永久磁石86が取り付けられた球送り部材80が球出口開放
位置に揺動変位するようになっている。
【0036】
ところで、第2の球供給通路51は、上流部51aから下流部51bにかけて概ね左右
方向に伸びているが、下流部51bにおける球出口74の部分で延伸方向が直角に(前後
方向に)折れ曲がる。このように(第2の)球供給通路51の延伸方向が変わる方向転換
部の近傍に、より具体的には、整流器50における球出口74の近傍に、第1および第2
の球供給通路29a,51に通された糸状体I(図8を参照)を受容して挟むことが可能
な受容部材100と、受容部材100に受容された糸状体Iを切断可能な切断部材110
が設けられる。
【0037】
受容部材100は、図10に示すように、ステンレス鋼等の金属線材を用いて「山」の
字形に曲げ形成され、糸状体導入部101と、糸状体受容部102と、第1取付部103
aと、第2取付部103bとを有して構成される。糸状体導入部101は、受容部材10
0の基端部中央に位置して、受容部材100の基端部から先端側へ向かうにつれて間隔が
狭くなるテーパー状に形成される。糸状体受容部102は、糸状体導入部101と繋がる
受容部材100の先端側に位置して、細長いU字形に形成される。U字形に形成された糸
状体受容部102の間隙部は、所定の糸状体I(例えば、釣糸や凧糸等)よりも若干細い
幅に設定される。第1取付部103aは、受容部材100の一方の側端部に位置して、整
流器50の突起部77aが挿通可能な円環状に形成される。第2取付部103bは、受容
部材100の他方の側端部に位置して、第2取付部103bをネジ固定するためのネジ1
20が挿通可能な円環状に形成される。
【0038】
切断部材110は、図10に示すように、炭素鋼やステンレス鋼等の金属板材を用いて
薄板状に形成され、本体部111と、刃部112とを有して構成される。本体部111に
は、整流器50の突起部77aが挿通可能な第1取付穴113aと、ネジ120が挿通可
能な第2取付穴113bとが形成されている。刃部112は、本体部111の縁部に形成
されて、受容部材100の糸状体受容部102に達した糸状体Iを切断可能に構成される

【0039】
整流器50における第2ケース部材70の側壁部71の外側には、切断部材110の形
状に合わせて形成された凹部76が形成されており、切断部材110がこの凹部76に受
容された状態で整流器50に取り付けられるようになっている。凹部76には、切断部材
110の第1取付穴113aおよび受容部材100の第1取付部103aに挿通される突
起部77aと、ネジ120が螺合されるネジ穴77bとが形成される。なお、突起部77
aの外径に対して、受容部材100の第1取付部103aの内径が若干大きくなるように
形成される。これにより、突起部77aと第1取付部103aとの間の隙間の分だけ、受
容部材100を弾性変形させることができるため、受容部材100の糸状体受容部102
の間隙部よりも太い糸状体Iを受容部材100(糸状体受容部102)で受容して挟むこ
とが可能となる。
【0040】
第2ケース部材70の側壁部71の外側における凹部76の斜め上方には、受容部材1
00の先端部が挿入固定される受容部材固定部78が形成される。また、第2ケース部材
70の側壁部71における凹部76の斜め下方には、凹部76と球出口74(すなわち、
第2の球供給通路51における方向転換部)とに繋がって、受容部材100の糸状体導入
部101および切断部材110の刃部112を露出させるスリット部79が形成される。
このスリット部79は、整流器50に取り付けられた受容部材100(糸状体受容部10
2)の延伸方向に沿って斜め方向へ伸びるように形成される。
【0041】
受容部材100および切断部材110を整流器50に取り付けるには、まず、切断部材
110の第1取付穴113aを整流器50の突起部77aに挿通させて、切断部材110
を整流器50の凹部76に嵌め込む。次に、受容部材100の先端部を受容部材固定部7
8に挿入するとともに、受容部材100の第1取付部103aを整流器50の突起部77
aに挿通させ、ワッシャ121とともにネジ120を受容部材100の第2取付部103
bおよび切断部材110の第2取付穴113bに挿通させて整流器50のネジ穴77bに
螺合させる。これにより、切断部材110が凹部76に受容された状態で整流器50に取
り付けられ、受容部材100が切断部材110に重なった状態で切断部材110とともに
整流器50に取り付けられる。
【0042】
このようにして受容部材100および切断部材110が取り付けられた整流器50にお
いて、上球皿6aに貯留された遊技球は、第1の球供給通路29aを流下して球入口62
を通過し、第2の球供給通路51の上流部51aを流下して球送り部材80の球受容部8
1によって閉鎖された連通口52に達する。この状態で、発射ハンドル8が回動操作され
ると、ソレノイド90がオン作動とオフ作動を繰り返して、第2の球供給通路51の連通
口52に達した遊技球が1球ずつ発射機構21に供給される。
【0043】
このとき、ソレノイド90がオン作動すると、球送り部材80が球出口閉鎖位置に揺動
変位するため、球受容部81の上部で受け止められていた遊技球は連通口52を通過し、
連通口52を開放した球受容部81が連通口52を通過した遊技球を1球だけ受け入れて
保持する。一方、ソレノイド90がオフ作動すると、球送り部材80が球出口開放位置に
揺動変位するため、球受容部81に保持された遊技球は、球送りレール部82に送られて
第2の球供給通路51の下流部51bを流下し、球出口74から発射機構21へ送り出さ
れる。
【0044】
このようにして、第1の球供給通路29aおよび第2の球供給通路51を流下する遊技
球が整流器50により1球ずつ発射機構21に送り出され、発射機構21のハンマー21
aにより遊技領域PAに打ち出される。そして、発射機構21の発射動作ごとにソレノイ
ド90をオン・オフ作動させ、球送り部材80を球出口閉鎖位置と球出口開放位置とに交
互に変位させることで、発射機構21が発射動作を行うごとに、第1の球供給通路29a
および第2の球供給通路51を流下する遊技球が1球ずつ連続的に発射機構21へ供給さ
れる。
【0045】
上球皿6aに貯留された遊技球の中に糸付球が存在すると、当該糸付球は、他の遊技球
とともに上球皿6aから第1の球供給通路29aおよび第2の球供給通路51を流下して
、整流器50により発射機構21に送り出され、発射機構21のハンマー21aにより遊
技領域PAに打ち出される。このとき、糸付球に固着された糸状体Iは、第1の球供給通
路29aおよび第2の球供給通路51に通された状態で、不正行為者に引っ張られると真
直ぐに伸びようとする。本実施形態では、(第2の)球供給通路51の延伸方向が変わる
方向転換部の近傍に、より具体的には、整流器50における球出口74の近傍に、受容部
材100が設けられている。そのため、球出口74の近傍において真直ぐに伸びようとす
る糸状体Iは、球出口74の縁部に形成されたガイド部75を伝ってスリット部79に達
し、図8に示すように、受容部材100の糸状体導入部101から糸状体受容部102の
間隙部に導かれる。
【0046】
ここで、糸状体Iが糸状体受容部102の間隙部よりも太い場合、糸状体Iにより糸状
体受容部102の間隙部が押し広げられて受容部材100(糸状体受容部102)が弾性
変形するので、受容部材100は、受容部材100の弾性力による遊技球の自重よりも強
い力で、受容した糸状体Iを挟むことができる。そのため、糸状体Iが受容部材100に
引っ掛かった状態となり、遊技領域PAに打ち出された糸付球を無理に引き上げることは
できても、下方へ移動させることはできなくなる。また、糸状体Iが強く引っ張られた場
合や、糸状体Iが糸状体受容部102の間隙部と同等の太さかこれよりも細い場合、糸状
体受容部102の間隙部に導かれた糸状体Iは、受容部材100と重なって設けられた切
断部材110の刃部112まで達し、切断部材110が糸状体Iを切断することができる
。このようにして、糸付球を用いた不正入賞行為を抑止することができる。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態によれば、(第2の)球供給通路51の延伸方向が
変わる方向転換部の近傍に、糸状体Iを受容して挟むことが可能な受容部材100が設け
られるため、簡便な構成の受容部材100により、不正行為者に引っ張られる等して真直
ぐに伸びようとする糸状体Iを、(第2の)球供給通路51の延伸方向が変わる方向転換
部において容易に捕捉することができる。そのため、簡便な構成で、糸状体Iおよび糸状
体Iの付いた遊技球の自由な動きを拘束することが可能となり、糸状体Iの付いた遊技球
を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止することができ
る。
【0048】
また、(第2の)球供給通路51の延伸方向が変わる方向転換部の近傍に、受容部材1
00に受容された糸状体Iを切断可能な切断部材110が設けられることで、糸状体Iが
強く引っ張られた場合や、糸状体Iが比較的細い場合に、受容部材100に受容された糸
状体Iを切断することが可能となり、糸状体Iの付いた遊技球を不正に操作して遊技球の
入賞を検出させる不正入賞行為をより効果的に抑止することができる。
【0049】
また、切断部材110が凹部76に受容された状態で整流器50に取り付けられ、受容
部材100が切断部材110とともに整流器50に取り付けられ、整流器50における凹
部76と(第2の)球供給通路51とに繋がって、受容部材100の糸状体導入部101
および切断部材110の刃部112を露出させるスリット部79が形成される。このよう
にすれば、糸状体Iを切断するのに必要な部分だけ露出させることが可能となり、受容部
材100および切断部材110が取り付けられた整流器50を取り扱ったときに、切断部
材110に触れて怪我をするのを防止することができる。
【0050】
なお、上述の第1実施形態において、受容部材100における糸状体受容部102の内
側部分に、ヤスリ目を形成するようにしてもよい。このようにすれば、糸状体Iと糸状体
受容部102との間の摩擦力が増えるので、受容部材100から糸状体Iが抜けるのを防
止することができる。また、受容部材100における糸状体受容部102の内側部分に、
受容部材100の先端側に向けて返しの付いた突起部を形成するようにしてもよい。この
ようにしても、受容部材100から糸状体Iが抜けるのを防止することができる。
【0051】
また、上述の第1実施形態において、受容部材100の糸状体受容部102が細長いU
字形に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、糸状体受容部の間隙部
が迷路状にもしくは渦巻き状に伸びるように糸状体受容部を形成してもよい。このように
すれば、糸状体受容部の間隙部の形状が複雑になるので、受容部材から糸状体Iが抜ける
のを防止することができる。
【0052】
また、上述の第1実施形態において、図11に示すように、切断部材110を設けずに
、受容部材100だけを設けるようにしてもよい。なおこの場合、整流器50における第
2ケース部材70の側壁部71の外側に、凹部76を形成する必要はないが、受容部材1
00を整流器50に取り付けるため、第1実施形態の場合と同様にして、突起部77aと
、ネジ穴77bと、受容部材固定部78と、スリット部79とを形成する。またこの場合
、ニクロム線を用いて受容部材100を形成し、ニクロム線を用いた受容部材100に対
して所定時間ごとに通電させるようにしてもよい。このようにすれば、ニクロム線を用い
た受容部材100が発熱するため、受容部材100が挟んだ樹脂製の糸状体(釣糸等)を
切断することが期待できる。
【0053】
また、上述の第1実施形態において、受容部材100が金属線材を用いて形成されてい
るが、これに限られるものではなく、例えば、金属板材を用いて形成されてもよく、糸状
体Iを受容して挟むことが可能な構成であればよい。
【0054】
また、上述の第1実施形態において、第1の球供給通路29aが直線状に形成されてい
るが、これに限られるものではなく、第1の球供給通路29aの途中がループ形状であっ
てもよい。このようにすれば、第1の球供給通路29aに通された糸状体がループ形状の
部分で巻き付くため、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる
不正入賞行為をより効果的に抑止することができる。
【0055】
また、上述の第1実施形態において、整流器50における球出口74の近傍に、受容部
材100および切断部材110が設けられているが、これに限られるものではなく、第1
の球供給通路29aと第2の球供給通路51との境界部で通路形状が屈曲する球入口62
の近傍に、受容部材および切断部材が設けられてもよい。
【0056】
また、上述の第1実施形態において、整流器50以外にも、不正入賞行為を防止するた
めの不正防止具を設けることが可能である。そこで、第1実施形態に係るパチンコ機PM
の変形例について説明する。
【0057】
第1の変形例では、遊技補助盤に設けられた遊技球発射装置及び遊技球回収機構を主体
として、不正防止構造が構成されている。以下、図12〜図18の各図を追加参照しなが
ら、第1の変形例に係る遊技球発射装置150及び遊技球回収機構200について説明す
る。ここで、図12は、第1の変形例に係る遊技球発射装置150及び遊技球回収機構2
00が設けられた遊技補助盤240を示す正面図、図13は遊技球発射装置150及び遊
技球回収機構200においてハンマーが発射待機位置にある状態の正面図、図14は遊技
球発射装置150及び遊技球回収機構200においてハンマーが発射完了位置にある状態
の正面図、図15は図13における矢印XV−XVに沿って示す要部断面図、図16は図14
における矢印XVI−XVIに沿って示す要部断面図、図17は図13の状態において遊技球発
射装置150及び遊技球回収機構200を背面から見た図、図18は図14の状態におい
て遊技球発射装置150及び遊技球回収機構200を背面から見た図である。
【0058】
遊技球発射装置150は、その構成を大別すると、遊技球の発射操作を行う発射ハンド
ル8、遊技球を発射する発射機構170、発射された遊技球を発射通路12に案内する発
射レール部180、及び発射機構170の作動を制御する払出制御装置44などから構成
される。
【0059】
発射ハンドル8は、上述の第1実施形態における発射ハンドル8と同様の構成であるが
、詳細には、パチンコ機PMの機体から前方に突出するハンドルベース161(図4を参
照)と、このハンドルベース161の前方に回動操作可能に設けられた回動レバー162
(図1を参照)と、ハンドルベース161内に設けられ回動レバー162の回動操作量を
検出するポテンショメータ等の角度検出器163(図6の二点鎖線を参照)と、遊技者が
発射ハンドル8(回動レバー162)に接触しているか否かを検出するタッチ検出器16
4(図6の二点鎖線を参照)などを備えて構成されている。なお、角度検出器163及び
タッチ検出器164の検出信号は払出制御装置44に入力されており、払出制御装置44
はタッチ検出器164からの検出信号から遊技者が発射ハンドル8に触れているか否かを
判定し、角度検出器163からの検出信号から回動レバー162の回動操作量を検知して
、これらの検出信号に基づいて発射機構170の作動を制御する。
【0060】
発射機構170は、遊技補助盤20の前面側に設けられ発射機構170の取り付けベー
スとなる平板状のベースプレート171と、このベースプレート171の前面側に位置し
て遊技盤10の盤面とほぼ平行な面内で揺動可能なように設けられたハンマー172と、
このハンマー172を揺動作動させるロータリソレノイド173(図6の二点鎖線を参照
)とを備えて構成される。
【0061】
ベースプレート171は、例えば薄板状の鋼板を切断及び孔あけ加工し所要の表面処理
を施して形成される。ロータリソレノイド173は、複数のビス174を用いてビス止め
されることでベースプレート171の背面側に取り付けられ、本体部分がベースプレート
171の背面側に突出している。ロータリソレノイド173の駆動軸173aは、ベース
プレート171に形成された駆動軸挿通孔(図示せず)を通過してベースプレート171
の前面側に達するように構成されており、この駆動軸173aをハンマー172の取り付
け孔(図示せず)に挿通させて、駆動軸173a先端のネジ部を固定ナット175で螺着
させることで、この駆動軸173aにハンマー172が一体的に連結されるようになって
いる。このようにして、ハンマー172はベースプレート171の前面側に取り付けられ
、払出制御装置44からの指令に基づいてロータリソレノイド173が作動することによ
り、ベースプレート171の前面側で駆動軸173aを中心として上下に揺動するように
なっている。
【0062】
ハンマー172は、「く」字状に屈曲して細長く延びるハンマーアーム部172aと、
その上方に舌片状に突出する緩衝アーム部172bと、両アーム部が交わる位置に形成さ
れロータリソレノイド173の駆動軸173aに固定される本体部172cとを備えて構
成されており、ハンマーアーム部172aの先端には遊技球を叩打する樹脂製のハンマー
ヘッド172dが嵌着されている。
【0063】
また、ベースプレート171の前面には、ハンマーヘッド172dの打撃位置から下方
に退避させた揺動位置でハンマーアーム部172aを弾性的に受け止める下部ストッパ1
76や、打撃位置をわずかに超えた揺動位置で緩衝アーム部172bを弾性的に受け止め
る上部ストッパ177などが取り付けられている。そのため、ハンマー172は、ロータ
リソレノイド173の駆動軸173aを中心として、ハンマーアーム部172aが下部ス
トッパ176に当接して揺動規制された下方限界位置(これを「発射待機位置」と称する
)と、緩衝アーム部172bが上部ストッパ177に当接して揺動規制された上方限界位
置(これを「発射完了位置」と称する)との間で揺動変位可能である。
【0064】
発射レール部180は、ベースプレート171の前面側に設けられて整流器50から供
給された遊技球B(図12及び図13等を参照)をハンマーヘッド172dの打撃位置に
合わせて一時保持するガイドホルダ181と、このガイドホルダ181から斜め上方に延
びる平断面視凹状の発射レール182とを備えて構成される。
【0065】
発射レール182は、左斜め上方に延びる中央通路壁183と、この中央壁を挟んで左
側及び右側に遊技球の直径よりも幾分大き目の間隔をおいて略平行に立設された左側通路
壁184及び右側通路壁185とを有し、これらの通路壁183,184,185に囲ま
れてハンマー172により打ち出された遊技球が通過可能な球通路186が画形されてい
る。この発射レール182は、ガイドホルダ181の上端位置から飛送レール12aと内
レール12bとの間の発射通路12に向けて(すなわち飛送レール12aの下端近傍のレ
ール面よりも上方に向けて)左斜め上方に延びて設けられる。発射レール182の上端の
発射口182aは、収容枠の支持面よりも上方に延びて遊技盤10前面のアウト口19の
ほぼ左側方にあたる高さ位置で開口している。
【0066】
また、発射レール182における発射口182aの左側には、上方に開口するファール
球回収口191が形成されたファール球回収樋190が設けられており、遊技領域PAに
到達できずに発射通路12を戻ってくる遊技球(すなわちファール球)がファール球回収
口191に落入するようになっている。このファール球回収樋190の内部に形成された
ファール球回収通路192は、下球皿6bに繋がる溢れ球通路243と連通しており、フ
ァール球回収口191に落入したファール球はファール球回収通路192を流下して溢れ
球通路243に導かれ、下球皿連絡ダクト28を経て下球皿6bに至るようになっている

【0067】
一方、遊技球回収機構200は、ベースプレート171の背面側に設けられ発射機構1
70のハンマー172と連結されるアーム部材210と、このアーム部材210を介して
ハンマー172の揺動が伝達されることで発射レール182の球通路186を開閉する開
閉弁部材220と、発射レール182の左側通路壁184に隣接して設けられ発射レール
182の球通路186と連通する遊技球回収樋230とを主体に構成される。
【0068】
アーム部材210は、細長い棒状のアーム本体211と、このアーム本体211の下端
部から屈曲して略水平に延びる基端部212と、アーム本体211の上端部に形成された
略円弧状のロッド支持部213とを備えて構成されており、ハンマー172と開閉弁部材
220との間を連繋して揺動可能に設けられ、ハンマー172の揺動による押圧力を開閉
弁部材220に伝達するようになっている。なお、上記ベースプレート171には緩衝ア
ーム部172bの揺動軌跡及び揺動角度範囲に合わせた円弧状のガイド溝171aが形成
され、緩衝アーム172bから後方に突設される円筒状のガイドピン219がこのガイド
溝171a内に係合されてベースプレート171の背面側に達するように構成されており
、このガイドピン219をアーム部材210の基端部212から下方に向けて平行に突設
された左右一対の突出部214,214の間隙に圧入固定することで、ハンマー172と
アーム部材210とがベースプレート171を間に挟んで連結されている。このようにア
ーム部材210はハンマー172に連結されることで、ハンマー172と一体となって上
下に揺動するようになっている。
【0069】
開閉弁部材220は、発射レール182の左側通路壁184が一部切り欠かれて左右方
向に開口形成された連絡口187内において遊技球回収樋230側(左側方)に偏倚して
設けられている。この開閉弁部材220は、遊技補助盤240の孔部241に挿入される
円筒状の支軸部221と、この支軸部221の前端側に設けられ径方向外方へ延びる帯板
状の弁体222と、支軸部221の後端側に設けられ径方向外方へ延びる正面視において
舌片状の揺動片223とを備えて構成され、前後に貫通するピン挿通孔228に枢結ピン
229が挿入されることにより、遊技補助盤240の背面側に設けられた台板249に垂
直面内で揺動自在に枢支されている。
【0070】
弁体222は、発射レール182における球通路186の開口面域に合わせた矩形平板
状に形成されている。揺動片223には後方に突出する軸状のロッド224が設けられて
おり、このロッド224に対応してアーム部材210のロッド支持部213の上面側には
、このロッド224の揺動範囲よりも幾分広い範囲に亘って上方に開く略円弧状の湾曲支
持面213aが形成されている。開閉弁部材220には、弁体222及び揺動片223な
どの自重によって枢結ピン229を中心として正面視において反時計回りのモーメントが
作用しており、開閉弁部材220はこのモーメントによって反時計回り方向への付勢力を
受けることで、この開閉弁部材220における揺動片223のロッド223aがロッド支
持部213の湾曲支持面213aに常時当接することとなる。そのため、ハンマー172
の揺動作動によってアーム部材210が上下に揺動したときに、このアーム部材210の
揺動に応じてロッド224がロッド支持部213の湾曲支持面213aに押動されながら
この湾曲支持面213aに沿って移動し、この動きに連動して開閉弁部材220が枢結ピ
ン229を中心として時計回りもしくは反時計回り方向に揺動するようになっている。
【0071】
従って、開閉弁部材220は、ハンマー172が発射待機位置から発射完了位置へ向か
って上方に揺動した場合には、このハンマー172に連結されたアーム部材210のロッ
ド支持部212によってロッド224が上方に押動され、このロッド224に一体に繋が
る弁体222が正面視において反時計回り方向に揺動するようになっており、ハンマー1
72が発射完了位置に達したときに弁体222が略鉛直方向に延びた姿勢となり発射レー
ル182の球通路186を開放する。一方、ハンマー172が発射完了位置から発射待機
位置へ向かって下方に揺動した場合には、このハンマー172に連結されたアーム部材2
10が下方に揺動するとともに、開閉弁部材220は自重により生じるモーメントによっ
て正面視において時計回り方向に揺動するようになっており、ハンマー172が発射待機
位置に達したときに弁体222が発射レール182と略直交する方向に延びた姿勢となり
発射レール182の球通路186を閉止する。
【0072】
すなわち、開閉弁部材220は、弁体222が発射レール182の球通路186内に挿
入されて遊技球の通過を阻止する位置(これを「閉止位置」と称する)と、弁体222が
発射レール182の球通路186外に退避されて遊技球の通過を許容する位置(これを「
開放位置」と称する)との間で上下に揺動変位することが可能である。なお、発射レール
182の右側通路壁185には通路内方に向けて突出する突起188が形成されており、
開閉弁部材220が時計回りに揺動して閉止位置に達したときに、弁体222の先端部下
面が突起188の上面に当接(もしくは近接)するようになっている。ここで、球通路1
86の閉止(閉鎖)とは、遊技球の通過を阻止し得るとともに、糸状体(異物)の通過を
も阻止する程度の閉止状態であることが好ましく、上述したように、弁体222を球通路
186の開口面域に合わせた外形形状とすることで、球通路186に糸付球に繋がる糸状
体が進入してきたときに、弁体222の揺動変位によって球通路186をほぼ完全に閉止
(少なくとも弁体222の外周部と球通路186の内壁との間にほとんど隙間が生じない
ように)することで、この弁体222に糸状体を引掛けることができるとともに、弁体2
22と球通路186の内壁との間に糸状体を挟み込むことができる。また、弁体222と
球通路186との間に僅かな隙間が生じる場合でも、球通路186の内壁に突起188を
形成しておくことにより、弁体222と突起188とを当接させることで当該隙間を閉鎖
して、弁体222と突起188との間でも糸状体を挟み込むことが可能である。
【0073】
遊技球回収樋230は、左側通路壁184の連絡口187を介して発射レール182の
球通路186に連通しており、上方に開口する遊技球回収口231が形成されるとともに
、その下側に連絡口187から入球して遊技球回収口231に落入した遊技球を流下させ
る遊技球回収通路232が形成されている。遊技球回収通路232は、ファール球回収通
路192及び溢れ球通路242と遊技補助盤240の背面側で合流し、下球皿連絡ダクト
28を介して下球皿6bに繋がっている。なお、この遊技球回収通路232とファール球
回収通路192とを直接繋いだり、遊技球回収樋230とファール球回収樋190とを一
体的に形成して構成してもよい。
【0074】
次に、このように構成される遊技球発射装置150及び遊技球回収機構200(不正防
止構造)の作用について主として図19及び図20を参照しながら説明する。ここで、図
19はファール球の流れを主として示す遊技球発射装置150及び遊技球回収機構200
の正面図であり、図20は糸付球の流れを主として示す遊技球発射装置150及び遊技球
回収機構200の正面図である。
【0075】
まず、遊技者が発射ハンドル8を操作していない非操作時においては、タッチ検出器1
64の出力信号は遊技者の接触が検出されていない非接触状態であり、払出制御装置44
は遊技者が遊技を行っていない待機状態であると判断し発射機構170の作動をオフする
。つまり、払出制御装置44からの指令によって発射機構170のロータリソレノイド1
73は励磁されていないため、ハンマー172は発射待機位置で停止している。このとき
、開閉弁部材220は発射レール182の球通路186を閉止している。
【0076】
一方、遊技者が発射ハンドル8を把持し回動操作すると、タッチ検出器164の出力信
号は遊技者の接触が検出された接触状態となり、上球皿6aに貯留された遊技球が整流器
50により1球ずつガイドホルダ181の打撃位置に留置されるとともに、この整流器5
0と同期制御されるロータリソレノイド173が励磁されて上方へ揺動作動され、発射ハ
ンドル8の回動操作量(角度検出器163の検出値)に応じた発射強度で遊技球が遊技領
域PAに向けて打ち出される。このときハンマー172が上方に揺動作動した際に、これ
に連結されるアーム部材210もハンマー172と一体となって上方に揺動し、開閉弁部
材220が正面視において反時計回り方向(発射レール182の球通路186を開放させ
る方向)に揺動される。そして、ハンマー172が発射完了位置に達したときに、開閉弁
部材220が発射レール182の球通路186を開放した開放位置に位置することとなる
ため、ハンマー172によって打ち出された遊技球は開閉弁部材220の弁体222に衝
突することもなく発射レール182の球通路186を通過することができる。このように
ハンマー172により遊技球が発射された後は、払出制御装置44からの指令によってロ
ータリソレノイド173が非励磁となり、ハンマー172が自重により下方に揺動して発
射待機位置に復帰する。よって、開閉弁部材220が自重により生じるモーメントによっ
て正面視において時計回り方向に揺動して閉止位置に到達し、開閉弁部材220の弁体2
22によって発射レール182の球通路186は閉止される。
【0077】
ここで、発射ハンドル8の回動操作量に応じて打ち出される遊技球の発射強度が弱い場
合には、遊技領域PAに到達できずに発射通路12を戻ってくるファール球が生じ得るが
、このように落下してくるファール球の大多数はファール球回収口191に落入し、ファ
ール球回収樋190のファール球回収通路192、溢れ球通路243、及び下球皿連絡ダ
クト28などを経て下球皿6bに排出される。
【0078】
その一方で、図19に示すように、ファール球Bの落下ルートが右方にずれて発射レ
ール182に戻ってくることもある。このとき、発射レール182の球通路186は開閉
弁部材220の弁体222によって塞がれているため、発射レール182に戻ってきたフ
ァール球Bは弁体222に接触して球通路186内での落下が制止される。そして、ガ
イドホルダ181に留置された後続の遊技球Bがハンマー172の揺動作動によって発射
されたときに、このハンマー172に連結されたアーム部材210を介して開閉弁部材2
20が正面視において反時計回り方向に揺動し、この開閉弁部材220の弁体222によ
ってファール球Bが左側通路壁184の連絡口187から遊技球回収樋230へ弾き出
され、遊技球回収通路232、溢れ球通路243、及び下球皿連絡ダクト28を経て下球
皿6bに排出される。また、ハンマー172によって打ち出された後続の遊技球Bは、弁
体222に妨げられることなく(更にはファール球Bに衝突することもなく)発射レー
ル182の球通路186を通過し、飛送レール12aに沿って遊技領域PAへ向かう。そ
のため、発射レール182を落下して戻ってくるファール球Bがあった場合でも、この
発射レール182における球通路186内での遊技球同士の衝突を防止することができる

【0079】
なお、開閉弁部材220が閉止位置にある状態では、この開閉弁部材220のロッド2
24がアーム部材210のロッド支持部213に当接して、時計回り方向への揺動が規制
されているものの、時計回り方向(すなわち発射レール182の球通路186を開放する
方向)へは自由に揺動可能な状態であるため、ハンマー172によって遊技球が打ち出さ
れたときに、万が一、開閉弁部材220の動作不良などによって球通路186が弁体22
2によって閉鎖された状態になっていたとしても、発射された遊技球の球圧によって弁体
222は上方に開放され、発射レール182での遊技球の飛翔を妨げるおそれがない。
【0080】
また、ハンマー172が発射待機位置に保持された状態では、発射レール182の球通
路186は開閉弁部材220の弁体222によって閉鎖されているため、遊技盤10の盤
面や発射通路12から落下するゴミ等の異物(遊技球に付着していた異物)はこの弁体2
22によって阻止され、開閉弁部材220の揺動運動に伴って遊技球回収樋230に排出
されるようになっている。そのため、発射レール182の下方に位置する発射機構170
に異物が多量に滞留するおそれもなく、発射機構170の機構部品が異物を噛み込んでそ
の作動不良により遊技球の発射不良を誘発するのを防止できるとともに、異物を除去等す
るための清掃・点検時間が大幅に低減されてメンテナンス性を向上させることが可能にな
る。
【0081】
続いて、糸付球B(糸状体I付きの遊技球)が発射機構170によって発射されたと
きの作用について主に図20を参照して説明する。既述したように不正行為者によって上
球皿6a内に投入された糸付球Bは、整流器50によってガイドホルダ181における
打撃位置に供給される。このようにガイドホルダ181の打撃位置に糸付球Bが留置さ
れた状態では、糸付球Bから延びる糸状体Iは、この糸付球Bの通過経路(上球皿6
a〜整流器50〜ガイドホルダ181)に沿ってパチンコ機PM内部に引き回された状態
となっており、その一方の端部(糸付球Bの接着部とは反対の端部)は不正行為者の手
元まで延びている。
【0082】
この状態において発射ハンドル8が回動操作されると、ガイドホルダ181に留置され
た糸付球Bは発射ハンドル8の回動操作量に応じた発射強度で打ち出される。このとき
ハンマー172が発射待機位置から発射完了位置に揺動作動した際に、これに連結される
アーム部材210もハンマー172と一体となって上方に揺動し、アーム部材210に押
動されて開閉弁部材220が正面視において反時計回り方向(発射レール182の球通路
186を開放する方向)に揺動されて、弁体222が発射レール182の球通路186を
開放した開放位置に達する。これによりハンマー172によって打ち出された糸付球B
は弁体222に妨げられずに発射レール182の球通路186を通過することになるが、
この糸付球Bに繋がる糸状体Iも発射レール182に沿って球通路186内に進入して
いく。
【0083】
このように糸付球Bが発射され、払出制御装置44からの指令によってロータリソレ
ノイド173が非励磁となると、ハンマー172が自重により下方に揺動して発射待機位
置に復帰し、これにより開閉弁部材220が自重により生じるモーメントによって正面視
において時計回り方向に揺動して球通路186の閉止位置に達する。こうして開閉弁部材
220が揺動したときに、糸付球Bから発射レール182の球通路186内に沿って延
びる糸状体Iが開閉弁部材220の弁体222によって引掛けられ、開閉弁部材220が
閉止位置に達したときに弁体222と突起188との間に挟み込まれて繋留された状態と
なる。これにより糸付球Bの飛翔が制止されてその運動エネルギーが減殺され、糸付球
は遊技領域PAに到達することができずに発射レール182へ落下して戻ってくるこ
とになる。このようにして発射レール182に戻ってきた糸付球Bは、前述したファー
ル球Bの回収と同様にして、後続の遊技球Bがハンマー172によって発射されるとき
に、このハンマー172に連結されるアーム部材210を介して開閉弁部材220が反時
計回り方向に揺動されることで、開閉弁部材220の弁体222によって連絡口187側
へ押し出され、この連絡口187を介して発射レール182の球通路186から遊技球回
収樋230へ速やかに排出される。
【0084】
従って、このように糸付球の遊技領域PAへの飛翔を開閉弁部材によって妨げることで
、糸付球がターゲットである入賞球検出器まで到達できなくなるため、糸付球Bを操作
して入賞球検出器に入賞を繰り返し検出させる不正入賞行為を抑止することが可能である

【0085】
一方、これに対して発射レール182の球通路186内で糸状体Iが弁体222と突起
188との間で挟み込まれ繋留された状態において、これに繋がる糸付球Bが糸状体I
の機械的強度(あるいは糸付球Bと糸状体Iとの接着強度)を超える運動エネルギー(
発射強度)で飛翔していたときには、この糸付球Bから糸状体Iが分断されるため、た
とえこの分断された糸付球B(糸状体Iから分離した遊技球の部分)が遊技領域PAに
到達したとしても、糸状体Iを用いて不正な操作を行うことはもはやできない。よって、
このように糸付球Bの操作が不能になるため、この場合にも入賞球検出器に入賞を繰り
返し検出させる不正入賞行為を抑止することが可能である。なお、ここで糸付球Bから
糸状体Iをより確実に分断するために、例えば弁体222の先端部に切断部(カッタ刃な
ど)を備えて、糸状体Iを弁体222の切断部に引掛けたときや、弁体222の切断部と
突起188とによって糸状体Iを挟み込んだときに、この糸状体Iをこの切断部に喰い込
ませて切断する構成としてもよい。
【0086】
以上、第1の変形例では、開閉弁部材220が発射機構170の作動に連動して遊技球
の通過を許容する開放位置と遊技球の通過を阻止する閉止位置との間で揺動変位して発射
レール182の球通路186を開閉することで、球通路186を閉止したときに当該球通
路186内での遊技球の通過と共に異物の通過をも阻止し、発射機構170により発射さ
れた遊技球のうちで遊技領域PAに到達せずに発射レール182を戻ってきた遊技球を、
発射機構170の作動に連動して閉止位置から開放位置に揺動するときに発射レール18
2の途中で連絡口187を介して遊技球回収樋230に導くように構成されている。その
ため、釣糸等の糸状体Iが取り付けられた糸付球Bが発射機構170によって打ち出さ
れた場合、開閉弁部材220が発射機構170に連動して発射レール182の球通路18
6を閉止したときに発射レール182内を球通路186に沿って進入する糸状体I(異物
)を引掛けて若しくは球通路186の内壁との間に挟み込んで当該遊技球の飛翔を制止で
きるため、当該遊技球を遊技領域PAまで到達できないようにしている。従って、糸状体
Iの付いた遊技球を不正に操作して入賞球検出器に連続的な入賞を検出させる不正入賞行
為を効果的に抑止して損害の発生を未然に防止することが可能である。
【0087】
また、発射機構170により打ち出された遊技球のうちで遊技領域PA内に到達せずに
発射レール182を戻ってくるファール球が生じた場合、開閉弁部材220が発射レール
182の球通路186を閉止したときにファール球が発射機構170側に戻るのが防止さ
れるとともに、開閉弁部材220が発射レール182の球通路186を開放するときにフ
ァール球が発射レール182の途中で開閉弁部材220の揺動によって連絡口187を通
って遊技球回収樋230に速やかに導かれる。そのため、発射レール182の球通路18
6上でファール球と後続の遊技球とが衝突するのを防止できるとともに、発射レール18
2の球通路186の下端までファール球が戻ってくることが極めて少ないため、いわゆる
垂直発射と称されるような発射機構を用いて、遊技球を発射通路内に直接発射する構成を
問題なく採用することが可能である。
【0088】
さらに、発射レール182の途中で開閉弁部材220によって球通路186が閉鎖され
ることで、遊技盤10の盤面や発射通路12から落下するゴミ等の異物はこの開閉弁部材
220によって当該球通路186内での通過が阻止されて、開閉弁部材220の揺動運動
に伴って遊技球回収樋230に排出されるようになっている。そのため、発射レール18
2の下方に位置する発射機構170に異物が多量に滞留するおそれもなく、発射機構17
0の機構部品が異物を噛み込んでその作動不良により遊技球の発射不良が発生するのを防
止できるとともに、異物を除去等するための清掃・点検時間が大幅に低減されてメンテナ
ンス性を向上させることが可能になる。
【0089】
従って、第1の変形例によれば、釣糸等の糸状体を付けた遊技球を不正に操作して遊技
球の入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止することができるとともに、遊技盤に
到達できずに戻ってくるファール球を速やかに且つ確実に発射レールの球通路から退避さ
せることができ、更には発射レールの下方に位置する発射機構170に盤面などからのゴ
ミが落下するのを低減させることが可能である。そして、第1実施形態に係るパチンコ機
PMに第1の変形例の構成を組み込むことにより、釣糸等の糸状体を付けた遊技球を不正
に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為をより効果的に抑止することができる

【0090】
また、上述の変形例において、開閉弁部材220が閉止位置に揺動変位して発射レール
182の球通路186を閉止したときに、開閉弁部材220と球通路186の内方へ向か
って突出する突起188とが近接するように構成されることで、釣糸等の糸状体の取り付
けられた遊技球が発射機構170によって打ち出された場合、発射レール182内で球通
路186に沿って進入する糸状体を開閉弁部材220と突起188との間で挟み込んで当
該遊技球の飛翔を確実に制止することができるため、不正入賞行為をより厳重に防止する
ことが可能である。
【0091】
さらに、ハンマー172がロータリソレノイド173によって発射待機位置と発射完了
位置(打撃位置)との間で揺動変位するときに、開閉弁部材220がアーム部材210を
介してハンマー172に連動して閉止位置と開放位置との間で揺動変位する構成とするこ
とで、ロータリ−ソレノイド173以外の他の駆動源を用いずに開閉弁部材220をハン
マー172に連動させて閉止位置と開放位置との間で揺動変位させることができるため、
機構構成を簡明化するとともに小型化及び低廉化することが可能である。さらに、互いに
連動作動するハンマー172の発射待機位置及び発射完了位置(打撃位置)と開閉弁部材
220の閉止位置及び開放位置とを対応付けることで、ハンマー172によって打撃位置
で発射された遊技球を開閉弁部材220によって開放された発射レール182の球通路1
86を確実に通過させることができるとともに、当該発射後にハンマー172が発射待機
位置に復帰した際に発射レール182を戻ってくる遊技球(例えばファール球)があった
場合でも閉止位置にある開閉弁部材220によって球通路186を閉鎖して、この遊技球
が発射レール182下端の発射機構170まで到達して後続の遊技球に衝突するのを防止
できる。
【0092】
また、開閉弁部材220の弁体222が発射レール182の球通路186内において閉
止位置に位置したときに、弁体222が遊技球回収機構230側(左側)に向かって下方
に傾斜する姿勢で保持されるため(図13等を参照)、遊技領域PAに到達できずに発射
レール182に戻ってきた遊技球は弁体222の傾斜に沿って連絡口187へ誘導され易
くなるため、当該遊技球を発射レール182の球通路186から確実に遊技球回収樋23
0に排出することができる。
【0093】
ところで、上述の変形例においては、糸付球を用いた不正入賞行為を防止するとともに
、ファール球を速やかに回収できるという効果を達成しているが、このような効果をより
確実にするため、上述の構成に加えて、例えば図21に示すように、遊技盤10上におけ
る発射通路12の途中(出口開口12cの手前)に、発射通路12に滑らかに繋がるルー
プ状通路300を設けて構成してもよい。このループ状通路300は、発射通路12側に
開いた略円弧状に延びるレール面を有しており、その中心には前後方向に延びる円筒状の
軸部材301が化粧板11の前面側に植設され、この軸部材301の下方(ループ状通路
300の最も低いところ)には遊技球が通過可能な大きさのファール球回収孔302が化
粧板11を表裏貫通して穿設されている。
【0094】
このような構成において、発射機構170によって打ち出された遊技球は、発射レール
182及び発射通路12等を通って、この発射通路12の途中に介装されたループ状通路
300を、遠心力の作用によりレール面に沿って時計回りに円を描くように通過した後、
再び発射通路12に戻って出口開口12cから遊技領域PAに放出されることになる。こ
れに対して発射強度の弱い遊技球(ファール球となるべく遊技球)は、ループ状通路30
0を通過しきれずループ状通路300内で減衰し、このループ状通路300内に設けられ
たファール球回収孔302に落入することになる。そして、このファール球回収孔302
と溢れ球通路243とを遊技盤10の背面側で連通させておけば、このファール球を下球
皿連絡ダクト28を介して下球皿6bに導くことができる。一方、糸付球が発射機構17
0によって打ち出された場合、この糸付球がループ状通路300に沿って弧状のレール面
を通過する際に、この糸付球に繋がる糸状体がループ状通路300中心の軸部材301に
巻き付けられるため、これにより糸付球の移動が制止されて糸付球の操作が不能になる。
従って、遊技盤10の遊技領域PAを狭めることなく、糸付球を用いた不正入賞行為及び
ファール球の回収をより確実に行うことが可能になる。なお、軸部材301の形態として
はロッド状に限定されず、コイルバネ状に形成して糸状体を巻き付き易くさせてもよい。
【0095】
また、上述の変形例において、発射機構170のハンマー172と遊技球回収機構20
0の開閉弁部材220とを連繋するアーム部材210を両者(ハンマー172及び開閉弁
部材220)にリンク結合させる構成でもよく、これによりハンマー172の揺動作動に
対する開閉弁部材の開閉作動の応答性を向上させることができる。
【0096】
また、上述の変形例において、発射機構170におけるハンマー作動手段としてロータ
リソレノイド173が適用されているが、これに限定されるものではなく、パルスモータ
やサーボモータ、ACモータ、DCモータ等の電動アクチュエータを利用するものであっ
てもよい。
【0097】
また、上述の変形例において、遊技球回収樋230と溢れ球通路243とを繋いで、開
閉弁部材220によって球通路186から連絡口187を通って遊技球回収樋230へ送
り出された遊技球を、下球皿連絡ダクト28を介して下球皿6bに排出するように構成し
ているが、これに限定されるものではなく、遊技球回収樋230と賞球連絡通路242と
を繋いで、遊技球回収樋230に落入した遊技球を、賞球連絡通路242及び上球皿連絡
ダクト27を介して上球皿6aに排出させるように構成してもよい。
【0098】
次に、第1実施形態に係るパチンコ機PMの第2〜第4の変形例について説明する。第
2〜第4の変形例では、遊技盤に設けられた球戻り防止装置を主体として、不正防止構造
が構成されている。以下、図22〜図25の各図を追加参照しながら、第2の変形例に係
る球戻り抑止部材351について説明する。
【0099】
この球戻り抑止部材351は、開放端3510側に可動片3511を備え、内レール1
2bの先端部に取付けられた球戻り防止装置350(図24を参照)内に可動的に保持さ
れている。球戻り抑止部材351は、遊技球発射領域RAから遊技領域PAへ向けて発射
される遊技球を遊技球発射領域RAから遊技領域PAへ進入させるとともに、遊技領域P
Aに進入した遊技球が遊技盤面に配置された遊技釘等に衝突して、再び遊技球発射領域R
Aに逆行することを防止する機能を有する部材である。
【0100】
遊技球発射領域RAとは、内レール12bと飛送レール(外レール)12aにより画定
される領域であって、発射機構21から発射される遊技球が流下遊技を実現する遊技領域
PAへ達するまでの遊技球の通路となる領域である。
【0101】
遊技領域PAに発射された遊技球が遊技球発射領域RAに逆行してしまうと、発射機構
21から順次発射される後続の遊技球と遊技球発射領域RA内で衝突して、遊技球発射領
域RA内で球詰まりが発生する。球戻り抑止部材351は、遊技球発射領域RA内での遊
技球同士による球詰まりの不具合を防止するために、遊技球発射領域RAと遊技領域PA
とを画定する位置に配置されている。
【0102】
図22及び図23は、第2の変形例に係る球戻り抑止部材351の構成を示す図であり
、図22(a)は球戻り抑止部材351の上面図、図22(b)は球戻り抑止部材351
の正面図である。図23は、球戻り抑止部材351の分解斜視図である。図示したように
、第2の変形例に係る球戻り抑止部材351は、硬質プラスチック樹脂を成型加工して形
成した球戻り抑止部材351aと、同じく硬質プラスチック樹脂を成型加工して形成した
球戻り抑止部材351bと、ステンレス鋼等の丸棒を切削加工して形成したシャフト35
7と、比重の高い金属を成型加工して形成した錘358と、から構成されている。
【0103】
球戻り抑止部材351aは、板状の可動片3511aと、この可動片3511aの下部
に形成されたシャフト357を支持するためのシャフト支持部3514aと、錘358を
支持するための錘支持部3516aと、を備えている。可動片3511aの上部には、左
上の開放端3510aから右下に向かう斜辺3512aが形成されている。シャフト支持
部3514aには、シャフト357が圧入されるシャフト圧入孔3515aが貫通形成さ
れている。錘支持部3516aには、錘358が圧入される錘圧入孔3517aが貫通形
成されている。
【0104】
球戻り抑止部材351bは、板状の可動片3511bと、この可動片3511bの下部
に形成されたシャフト357を支持するためのシャフト支持部3514bと、錘358を
支持するための錘支持部3516bと、を備えている。更に、可動片3511bの上部に
右上の開放端3510bから左下に向けて形成された斜辺3512bの端部から略垂直に
立設された立設片3518が形成されており、立設片3518の端部から可動片3511
bと反対側に立設片3518から略垂直に立設された立設片3519が形成されている。
つまり、立設片3519は、可動片3511a及び3511bと、可動片3511a及び
3511bの厚み方向に対して平行に設けられている。
【0105】
立設片3519の上部には、右上から左下に向かう斜辺3519aが形成されている。
シャフト支持部3514bには、シャフト357が圧入されるシャフト圧入孔3515b
が貫通形成されている。錘支持部3516bには、錘358が圧入される錘圧入孔351
7bが貫通形成されている。
【0106】
第2の変形例に係る球戻り抑止部材351は、球戻り抑止部材351aの端面351a
1と球戻り抑止部材351bの端面351b1が当接され、球戻り抑止部材351aに貫
通形成されたシャフト圧入孔3515aと球戻り抑止部材351bに貫通形成されたシャ
フト圧入孔3515bにシャフト357が共軸的に圧入され、かつ、球戻り抑止部材35
1aに貫通形成された錘圧入孔3517aと球戻り抑止部材351bに貫通形成された錘
圧入孔3517bに錘358が共軸的に圧入されて構成される。錘358は、取付部とな
るシャフト357に対して球戻り抑止部材351aと球戻り抑止部材351bとを一体的
に回動可能に固定する固定部材である。
【0107】
そして上記のように構成された球戻り抑止部材351は、球戻り抑止部材351aの斜
辺3512aと球戻り抑止部材351bの斜辺3512bにより谷部353が形成される
。谷部353は、後に詳述する糸付球Bを吊り下げ保持する糸状体(吊り糸)I(図2
5参照)を谷部353の底部353aに導く機能を有する部位である。よって、第2の変
形例に係る球戻り抑止部材351として、球戻り抑止部材351aの直線状の斜辺351
2aと球戻り抑止部材351bの直線状の斜辺3512bにより谷部353を形成する構
成を例示したが、斜辺3512a及び斜辺3512bは必ずしも直線状である必要はなく
、可動片3511の開放端3510から下方に向けて可動片3511aと可動片3511
bの間の間隙が漸次狭くなるように谷部353が形成されて、糸付球Bを吊下した糸状
体Iが吊下した糸付球Bの自重により谷部353の底部353aに導かれる形状であれ
ば良い。また、谷部353の底部353aも、図示したように可動片3511の略中央部
に設定する必要はなく、後述する規制部355との連係が良好な位置に任意に設定するこ
とができる。このように間隙(谷部353)を構成することにより、糸状体Iの前後方向
の可動領域を狭めることができる。
【0108】
図22に示されるように、第2の変形例に係る球戻り抑止部材351は、球戻り抑止部
材351aの可動片3511aが球戻り抑止部材351bの可動片3511bと対向する
対向端面3513aと、この対向端面3513aと対向する可動片3511bの対向端面
3513bとの間に幅狭の溝355aが形成されている。また、可動片3511aが可動
片3511bの立設片3519と対向する対向面3511a1と、立設片3519の対向
面3519bとの間にも幅狭の溝355bが形成されている。そして、本変形例において
はこれら溝355aと溝355bは略垂直に屈曲しながら連通しており、これら溝355
aと溝355bにより後述する糸状体(吊り糸)I(図25参照)の動作を規制する規制
部355が形成されている。
【0109】
図24は、第2の変形例に係る球戻り抑止部材351の動作を模式的に示す図である。
球戻り抑止部材351は、可動片3511が回動可能なように、シャフト357が図示し
ない軸受部材に取付けられて、遊技球発射領域RAと遊技領域PAとを画定する位置に配
置される。球戻り抑止部材351は、常時は図24に示されるように錘358の重力によ
り可動片3511が略鉛直方向に直立するような姿勢で保持されている。
【0110】
そして、遊技球発射領域RAから遊技球が遊技領域PAに進入するべく可動片3511
に衝突すると、シャフト357を支軸に可動片3511が矢印C方向に破線で示す位置に
回動して遊技球の遊技領域PAへの進入が許容される。一方、遊技領域PA内に進入した
遊技球が遊技領域PA側から可動片3511に衝突すると、球戻り抑止部材351の錘支
持部3516a及び錘支持部3516b(図22参照)が保持部材380に設けられた動
作規制部381に当接して、矢印Cと逆方向への可動片3511の回動動作が規制され遊
技球発射領域RAへの遊技球の逆行が防止される。
【0111】
図25は、不正器具である糸付球Bが遊技領域PAに進入した場合の第2の変形例に
係る球戻り抑止部材351の作用を説明するための図である。遊技領域PAに進入した糸
付球Bを吊下した糸状体Iは、まず、図25(a)に示されるように開放端3510側
から球戻り抑止部材351の谷部353にて斜辺3512a等に当接する。
【0112】
続いて、図25(b)に示されるように糸付球Bの自重により糸状体Iに作用する張
力によって谷部353の底部353aへ導かれる。そして、図25(c)に示されるよう
に糸状体Iは溝355a及び溝355bからなる規制部355へと導かれる。このとき、
規制部355の溝355a及び溝355bを形成する周囲の部材(対向端面3513a、
対向端面3513b、対向面3511a1、対向面3519b等の角部)と糸状体Iに生
じる摩擦力により糸状体Iの動作が規制される。
【0113】
なお、第2の変形例において糸状体Iの「動作を規制する」とは、規制部355の作用
により糸状体Iの自由な動作、すなわち不正行為者の糸状体Iの操作による当該不正行為
者の意図する動作を規制することを意味する。第2の変形例に係る球戻り抑止部材351
によれば不正行為者の意図する動作を規制することができるので、いわゆる糸吊りゴトと
呼ばれる不正行為を有効に防止することができる。
【0114】
規制部355で動作が規制された糸状体Iには、吊下された糸付球Bの自重による張
力に加えて、順次遊技領域PAに発射される正規の遊技球により球戻り抑止部材351が
繰り返し回動動作することによる張力が加わるので、規制部355における摩擦力が増大
し、糸状体Iが規制部355にて切断されることも十分に期待できる。
【0115】
以上説明したように第2の変形例に係る球戻り抑止部材351によれば、糸状体Iを連
結した遊技球による不正行為を効果的に防止することができる。そして、第1実施形態に
係るパチンコ機PMに第2の変形例の構成を組み込むことにより、釣糸等の糸状体を付け
た遊技球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為(糸吊りゴト)をより
効果的に抑止することができる。なお、上記の変形例に係る球戻り抑止部材351は球戻
り抑止部材351aと球戻り抑止部材351bの2つの部品で球戻り抑止部材351を構
成する例を示したが1つの部品で球戻り抑止部材351を構成しても良い。
【0116】
次に、図26ないし図28を参照して第3の変形例に係る球戻り抑止部材361につい
て説明する。尚、第2の変形例と同様の構成については、第2の変形例と同様の符号を付
し、説明を省略する。
【0117】
図26は、第3の変形例に係る球戻り抑止部材361が配置される位置を説明するため
の部分拡大斜視図である。図26に示されるように、内レール12bと飛送レール12a
の間に画定される遊技球発射領域RAと遊技領域PAとを画定する位置に球戻り抑止部材
361が配置されている。第3の変形例に係る球戻り抑止部材361は板バネ材を型抜き
して形成されており、弾性的に変形可能な可動片362と、この可動片362の開放端3
620に形成された谷部363と、この谷部363の底部363aから連続して細溝状に
形成された規制部365と、を備えている。球戻り抑止部材361は、内レール12bの
先端部に取付部361aをスポット溶接等の手段により固着して取付けられている。
【0118】
図27は第3の変形例に係る球戻り抑止部材361の構成を示す図であり、図27(a
)は球戻り抑止部材361の正面図、図27(b)は図27(a)のA−A線断面図であ
る。図27(a)に示されるように、球戻り抑止部材361は、弾性的に変形可能な可動
片362と、この可動片362の上部の前側開放端3620aと後側開放端3620bか
ら下方に向けて傾斜形成された斜辺3611,3612を備えている。そして、これら斜
辺3611,3612によって下方に向けて漸次幅が狭くなるような谷部363が形成さ
れている。
【0119】
谷部363の底部363aから連続して下方に向かう細溝状の規制部365が形成され
ている。規制部365には、対向する前側可動片362aと後側可動片362bとに刃3
65a,365aが形成されており、この対向する刃365a,365aによって第3の
変形例に係る球戻り抑止部材361における糸状体Iを切断する切断部が形成されている
。球戻り抑止部材361の下部は、球戻り抑止部材361を内レール12bの先端部に固
着して取付けるための取付部361aとなっている。
【0120】
図27(b)は図27(a)のA−A線断面図であり、糸状体Iに吊下された糸付球B
が遊技領域PA内に進入し、糸状体Iが球戻り抑止部材361の規制部365に導かれ
た状態とともに示している。図27(b)に示されるように、球戻り抑止部材361の規
制部365に形成された刃365a,365aによる切断部に導かれた糸状体Iは、糸付
球Bの自重により糸状体Iに張力が作用するため、この刃365a,365aにより形
成された切断部にて切断される。
【0121】
図28は、第3の変形例に係る球戻り抑止部材361の作用を説明するための図である
。糸付球Bに連結された糸状体Iは、遊技球発射領域RAから遊技領域PAに進入する
と、まず、球戻り抑止部材361の開放端3620から谷部363へ進入し谷部363で
斜辺3611,3612のいずれかに当接する(D1)。続いて、糸付球Bの自重によ
り糸状体Iに作用する張力によって谷部363の底部363aへ導かれる(D2)。そし
て、糸状体Iは谷部363の底部363aから連続して下方に形成された規制部365に
導かれ、規制部365の刃365a,365aにより形成された切断部に至る(D3)。
切断部に至った糸状体Iは、糸付球Bの自重により作用する張力によって切断部で切断
される(D4)。
【0122】
なお、第3の変形例に係る球戻り抑止部材361は図26及び図28に示されるように
可動片362が遊技領域PAから遊技球発射領域RAに向かう方向に湾曲成型されており
、常時は可動片362の開放端3620が略鉛直方向又は若干遊技領域PA側に傾けて配
置されている。これにより、遊技球の遊技球発射領域RA側から遊技領域PA側への遊技
球の進入に際しては可動片362の上端側が飛送レール12aから離間する方向に変位し
て遊技球の遊技領域PAへの進入を許容する。一方、遊技領域PA側から遊技球発射領域
RA側へ遊技球が逆行しようとすると、可動片362の上端側が飛送レール12aに近接
する方向に変位して進路を塞ぎ遊技球の逆行が防止される。
【0123】
以上説明したように第3の変形例に係る球戻り抑止部材361によれば、いわゆる糸吊
りゴトと呼ばれる不正行為を有効に防止することができる。そして、第1実施形態に係る
パチンコ機PMに第3の変形例の構成を組み込むことにより、釣糸等の糸状体を付けた遊
技球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為(糸吊りゴト)をより効果
的に抑止することができる。
【0124】
図29は第4の変形例に係る球戻り抑止部材371の構造を示す図である。尚、第2お
よび第3の変形例と同様の構成については、第2および第3の変形例と同様の符号を付し
、説明を省略する。
【0125】
図29(a)は第4の変形例に係る球戻り抑止部材371の正面図、図29(b)は図
29(a)のB−B線断面図を糸状体Iに吊下された糸付球Bが遊技領域PA内に進入
し、糸状体Iが球戻り抑止部材371の規制部375に導かれた状態とともに示している

【0126】
この第4の変形例は、上記第3の変形例における球戻り抑止部材361の規制部365
の変形例を示すものである。第4の変形例に係る球戻り抑止部材371は上記第3の変形
例と同様に板バネ材を型抜きして形成されており、弾性的に変形可能な可動片372と、
この可動片372の上部の前側開放端3720aと後側開放端3720bから下方に向け
て傾斜形成された斜辺3711,3712を備えている。そして、これら斜辺3711,
3712によって下方に向けて漸次幅が狭くなるような谷部373が形成されている。更
に、この谷部373の底部373aから連続して細溝状に形成された規制部375と、を
備えている。
【0127】
第4の変形例に係る球戻り抑止部材371は、可動片372の上部の開放端3720か
ら下方に向けて傾斜形成された斜辺3711,3712を備えており、これら斜辺371
1,3712によって下方に向けて漸次幅が狭くなるような谷部373が形成されている
。谷部373の底部373aから連続して、対向する前側可動片372aと後側可動片3
72bとの間に下方に向かう細溝状の規制部375が形成されている。更に、規制部37
5の底部には刃375aが形成されており、糸状体Iを切断する切断部を形成している。
球戻り抑止部材371の下部は、球戻り抑止部材371を内レール12bの先端部に固着
して取付けるための取付部371aとなっている。
【0128】
図29(b)に示されるように、第4の変形例に係る球戻り抑止部材371を経て糸状
体Iに連結された糸付球Bが遊技球発射領域RAから遊技領域PAへ進入すると、糸付
球Bが連結された糸状体Iは球戻り抑止部材371の開放端3720から進入し谷部3
73を形成する斜辺3711,3712のいずれかに当接して谷部373の底部373a
に導かれる。そして、糸状体Iは、この底部373aから下方に連続して形成された規制
部375により動作を規制されつつ切断部の刃375aに到達し、切断される。
【0129】
第4の変形例に係る球戻り抑止部材371によれば、いわゆる糸吊りゴトと呼ばれる不
正行為を有効に抑止することができる。そして、第1実施形態に係るパチンコ機PMに第
4の変形例の構成を組み込むことにより、釣糸等の糸状体を付けた遊技球を不正に操作し
て遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為(糸吊りゴト)をより効果的に抑止することが
できる。
【0130】
次に、パチンコ機の第2実施形態について説明する。第1実施形態に係るパチンコ機P
Mがいわゆる垂直発射と称される発射機構を備えているのに対し、第2実施形態に係るパ
チンコ機PM2はいわゆる斜め発射と称される発射機構を備えている。第2実施形態に係
るパチンコ機PM2を図30〜図32に示しており、まず、これらの図面を参照しながら
第2実施形態に係るパチンコ機PM2の全体構成について要約説明する。
【0131】
第2実施形態に係るパチンコ機PM2は、図30に示すように、外郭方形枠サイズに構
成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠501の開口前面に、これに合わせた方形枠サイ
ズに構成された開閉搭載用の前枠502が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構5
03a,503bにより前方に横開き開閉及び着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設
けられたダブル錠と称される施錠装置504を利用して常には外枠501と係合連結され
た閉止状態に保持される。
【0132】
前枠502の前面(表面)上部側には、透明アクリル板やガラス板を有したガラス扉5
05が左端部のヒンジ(図示せず)を介して横開きおよび着脱が自在に取り付けられ、施
錠装置504により常には前枠502の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉50
5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤510を着脱自在に収容する収容枠(図示せず
)が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤510がガラス扉5
05を通して視認されるようになっている。また、前枠502の前面上部における左右に
は、スピーカ521がそれぞれ配設されている。
【0133】
遊技盤510は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧
板を基板とし、円弧状のレール511等に囲まれて略円形状の遊技領域PA2が形成され
ている。遊技領域PA2には、多数本の遊技釘や風車(図示せず)とともに各種入賞装置
(図示せず)等の遊技構成部品が取り付けられ、下端部にアウト口512が設けられてい
る。
【0134】
前枠502の前面(表面)における上記ガラス扉505の下側には、上球皿530が左
端のヒンジ機構522(図33を参照)により横開きおよび着脱可能に取り付けられ、常
には右側に設けられたロック機構523(図33を参照)によりガラス扉505の下側に
おいて前枠502の前面を覆った状態で係止保持されている。また、図31に示すように
、上球皿530に前面側が覆われた前枠502の下部領域には遊技補助盤525と称され
る補助機構部が形成されており、この遊技補助盤525には、遊技盤510の遊技領域P
A2内に遊技球を発射する発射機構526や、発射機構526から発射された遊技球を遊
技盤510に案内する発射レール(図示せず)、後述する球払出装置542から払い出さ
れた遊技球(賞球)が排出される通出口527等が設けられている。
【0135】
上球皿530は、遊技補助盤525の前面(表面)を覆うように形成された当て板部5
31と、当て板部531の前方に突出して設けられ、遊技中に払い出された遊技球(賞球
)を受容して貯留する球皿部532とを有して構成され、さらに球皿部532の右側(下
流部)には球抜きレバー533が取り付けられる。当て板部531の裏面側には、図31
に示すように、球皿部532に貯留された遊技球(賞球)を1球ずつ発射機構526(発
射レール)に供給する整流器550が取り付けられている。当て板部531の左上部には
通出口527と位置整合して通出樋534が形成されており、通出口527から排出され
る賞球が通出樋534を通って球皿部532に導かれるように構成されている。なお、図
30に示すように、球皿部532の底部は右方に向かうにつれて下方へ傾斜するように形
成されており、球皿部532に貯留された遊技球が重力の作用により整流器550へ導か
れるようになっている。
【0136】
前枠502の前面(表面)における上球皿530の下側には、図30に示すように、下
球皿507が前方に突出して設けられている。この下球皿507は、上球皿530の球皿
部532に貯留された遊技球(賞球)がオーバーフローしたときや、遊技者が上球皿53
0の球抜きレバー533を操作して上球皿530から遊技球を抜いたときに、前枠502
側に形成された球皿通路528および下球皿出口529を介して送られてくる遊技球を受
容して貯留するようになっている。また、下球皿507の右側には、遊技球の発射操作を
行う発射ハンドル508が取り付けられている。
【0137】
前枠502の背面(裏面)上部には、図32に示すように、外枠501の背面側におけ
る右上部内側の形状に合わせて逆L字形に形成された第1裏セット盤540がヒンジ機構
(図示せず)により横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、常には前枠502の背面
右上部を覆う閉鎖状態に保持される。第1裏セット盤540には、遊技球を貯留するとと
もに貯留した遊技球を整列させて流下させる球貯留タンク541、入賞状態等に基づいて
遊技球を払い出す球払出装置542、球払出装置542から払い出された遊技球を上球皿
530に導く球払出通路543等の遊技球の処理機構が設けられている。
【0138】
前枠502の背面(裏面)下部には、前枠502の背面下部を覆う第2裏セット盤54
5がヒンジ機構(図示せず)により横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、常には前
枠502の背面下部を覆う閉鎖状態に保持される。第2裏セット盤545には、各制御装
置および電子部品等に電力を供給する電源ユニット546や、遊技球の払出作動を制御す
る球払出制御装置547、パチンコ機PM2の作動を統括的に制御する主制御装置(図示
せず)等が取り付けられており、これらが図示しないコネクタケーブルで接続されてパチ
ンコ機PM2が作動可能に構成される。
【0139】
パチンコ機PM2は、ガラス扉505、上球皿530、第1および第2裏セット盤54
0,545等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿530に遊技球を貯留させて
発射ハンドル508を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル508が
回動操作されると、上球皿530に貯留された遊技球は、上球皿530の裏面側に位置す
る発射機構526により1球ずつ遊技領域PA2に打ち出され、パチンコゲームが展開さ
れる。
【0140】
第2実施形態に係るパチンコ機PM2においても、整流器550に不正防止具(詳細は
後述する受容部材100および切断部材110)が設けられている。以下、整流器550
について図33〜図39を追加参照しながら説明する。
【0141】
整流器550は、図36および図37に示すように、開口部を有する箱形のケース部材
560と、ケース部材560の開口部を覆うケース蓋部材570とを主体に構成され、内
部に傾斜通路580が形成される。傾斜通路580は、上球皿530に繋がる上流側から
下流側へ向かうにつれて下方へ連続的に(直線的に)傾斜するように形成され、傾斜通路
580の上流側に設けられ上球皿530に貯留された遊技球を整列して流下させる球供給
通路581と、傾斜通路580の下流側に設けられ球供給通路581の終端部に達した遊
技球を下球皿507(すなわち、パチンコ機PM2の外部)へ導くことが可能な球抜き通
路582とを主体に構成される。
【0142】
球供給通路581の下流側壁部には、球抜き通路582に繋がる球抜き口583が略鉛
直方向に延びて形成されており、この球抜き口583を介して球供給通路581と球抜き
通路582とが連通するようになっている。球供給通路581における球抜き口583の
近傍には連絡口584が形成されており、球供給通路581を流下する遊技球がこの連絡
口584を通過して後述する遊技球供給装置600に導かれるようになっている。また、
球供給通路581における球抜き口583に対向して、通路壁部585が略鉛直方向に延
びるように形成されている。
【0143】
ところで、ケース部材560は、ポリカーボネート(PC)やポリアセタール樹脂(P
OM)等の樹脂材料を用いて、射出成形等の成形手段により前面側に開口部を有する箱形
に一体的に成形され、各通路を構成する壁部等が所定の位置に形成されている。図34お
よび図35に示すように、ケース部材560の中央下部裏面側には球出口561が形成さ
れており、連絡口584を通過した遊技球が遊技球供給装置600によりこの球出口56
1から発射機構526(発射レール)へ送り出されるようになっている。図36および図
37に示すように、ケース部材560の左側部下端には、球抜き通路582の終端部に繋
がる排出口562が形成されており、球抜き通路582の終端部に達した遊技球がこの排
出口562から整流器550の左方に位置する球皿通路528(図33および図34を参
照)へ排出されるようになっている。
【0144】
また、ケース蓋部材570は、図36および図37に示すように、ABS樹脂等の透明
樹脂材料を用いて、射出成形等の成形手段によりケース部材560の開口部に合わせた板
状に一体的に成形され、ネジ552等の固定手段を用いてケース部材560の開口部に取
り付けられる。ケース蓋部材570の右上部には、球供給通路581の上端部に繋がる球
入口571が形成されており、上球皿530の右端に達した遊技球がこの球入口571を
通過して球供給通路581を流下するようになっている。
【0145】
ケース部材560(整流器550)の内部における傾斜通路580の左上方には、球抜
き口583を開閉可能な球抜き部材590が取り付けられている。球抜き部材590は、
ポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂材料を用いて、射出成形等の成形手段により鉤爪
状に一体的に成形され、ケース部材560に対し、球抜き口583を閉鎖する球抜き口閉
鎖位置(図36を参照)と、球抜き口583を開放する球抜き口開放位置(図37を参照
)とに選択的に揺動変位可能に取り付けられる。
【0146】
球抜き部材590の先端には蓋部591が形成されており、図36に示すように、球抜
き部材590が球抜き口閉鎖位置に位置するときに球抜き口583を塞ぎ、通路壁部58
5に対向して略鉛直方向に延びる壁面を形成するようになっている。なお、球抜き通路5
82の始端側天井部には、蓋部591が通過可能な通過口586が形成されている。球抜
き部材590の上側部には、連結アーム部592が上方へ延びるように形成されており、
先端がケース部材560(整流器550)の上方(外方)へ突出するようになっている。
なお、ケース部材560の天井部左側には、連結アーム部592が通過可能なアーム逃げ
部563が左右に延びて形成されている。
【0147】
ケース部材560の内部における連結アーム部592の側部には、ピン形状の第1バネ
取付部(図示せず)が形成されており、第1付勢バネ595の一端が取り付けられるよう
になっている。第1付勢バネ595は、引っ張りコイルバネであり、一端が前述の第1バ
ネ取付部に取り付けられるとともに、他端がケース部材560に形成されたピン形状の第
2バネ取付部564に取り付けられるようになっている。そして、この第1付勢バネ59
5の付勢力により、図36に示すように、球抜き部材590が常には球抜き口閉鎖位置に
付勢されるようになっている。
【0148】
連結アーム部592の先端側にはピン部594が形成されており、上球皿530の当て
板部531に取り付けられたスライド部材555(図34を参照)が当接するようになっ
ている。スライド部材555は、図34に示すように、樹脂材料を用いて左右に延びる角
棒形に形成され、当て板部531の裏面側における整流器550の上方に左右へスライド
移動自在に取り付けられる。スライド部材555の先端側部には板状のアーム当接部55
6が形成されており、スライド部材555が左方(図34における右方)へスライド移動
したときに連結アーム部592のピン部594に当接するようになっている。
【0149】
スライド部材555の中央部近傍にはピン形のアーム係合部557が形成されており、
揺動アーム535の下部に形成された係合穴536に相対回転自在に係合するようになっ
ている。揺動アーム535は、上部が当て板部531の裏面側に枢結されるとともに球抜
きレバー533と連結されるようになっており、球抜きレバー533の押し操作(揺動操
作)に連動して、揺動アーム535の下部が左右方向へ揺動するように構成されている。
そして、揺動アーム535と係合穴536およびアーム係合部557を介して連結された
スライド部材555は、揺動アーム535の下部が左右へ揺動するのに連動して、左右へ
スライド移動するようになっている。なお、当て板部531の裏面側における揺動アーム
535の左方(図34における右方)には、揺動アーム535の左方への揺動を規制する
揺動ストッパ537が形成されている。
【0150】
スライド部材555の基端側にはピン形状の第3バネ取付部558が形成されており、
第2付勢バネ559の一端が取り付けられるようになっている。第2付勢バネ559は、
引っ張りコイルバネであり、一端が前述の第3バネ取付部558に取り付けられるととも
に、他端が当て板部531の裏面側に形成されたフック形状の第4バネ取付部538に取
り付けられるようになっている。そして、この第2付勢バネ559の付勢力により、図3
4に示すように、スライド部材555が常には右方(図34における左方)に付勢される
ようになっている。
【0151】
さて、図36および図37に示すように、ケース部材560(整流器550)の内部に
おける傾斜通路580の右下方には、球供給通路581を流下する遊技球を連絡口584
に通過させて1球ずつ発射機構526(発射レール)に供給する遊技球供給装置600が
配設されている。遊技球供給装置600は、連絡口584の下方に設けられた球送り部材
601と、球送り部材601と連結されたフラッパ610と、フラッパ610を上下に揺
動させるフラッパソレノイド611とを有して構成される。
【0152】
球送り部材601は、ポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂材料を用いて、射出成形
等の成形手段により側面視L字形に一体的に成形され、ケース部材560に対し、連絡口
584を閉鎖する連絡口閉鎖位置(図38を参照)と、連絡口584を開放して球供給通
路581の終端部に達した遊技球を1球ずつ発射機構526へ導く連絡口開放位置(図3
9を参照)とに選択的に揺動変位可能に取り付けられる。球送り部材601の左右側部に
は軸部602が形成されており、ケース部材560の中央下部に形成された球送り部材取
付部565に軸部602が係合した状態で、球送り部材601がこの軸部602を揺動軸
として前後方向へ揺動するようになっている。
【0153】
図35に示すように、球送り部材601の右側部下方(図35における左側部下方)に
は、溝付き突起状のフラッパ連結部603が形成されており、このフラッパ連結部603
にフラッパ610の左端部が係合することで、球送り部材601とフラッパ610とが連
結されるようになっている。
【0154】
球送り部材601の上部には球止め部604が形成されており、図38に示すように、
球送り部材601が連絡口閉鎖位置に位置するときに連絡口584を塞ぐとともに、球供
給通路581の終端部に達した遊技球を球止め部604の上面で受け止めるようになって
いる。また、図36および図37に示すように、球止め部604の上面は、傾斜通路58
0の傾斜方向とほぼ同じ方向に傾斜する平面状に形成されており、さらに、球止め部60
4の上面における下流側端部が球抜き口583の下端に滑らかに繋がるように構成されて
いる。
【0155】
図39に示すように、球送り部材601の下部には球受け部605が形成されており、
球送り部材601が連絡口開放位置に変位したときに連絡口584を通過した遊技球を1
球だけ受け入れて保持し、この状態で、球送り部材601が連絡口開放位置から連絡口閉
鎖位置に変位したときに、保持した遊技球を球出口561から発射機構526(発射レー
ル)へ送り出すようになっている。
【0156】
フラッパ610は、図34に示すように、鉄等の磁性を有する金属材料を用いて板状に
形成されており、球送り部材601の右方(図34における左方)に隣接してケース部材
560に対し上下方向へ揺動自在に取り付けられ、連結された球送り部材601と一体的
に揺動するようになっている。フラッパソレノイド611は、フラッパ610の上方に位
置してケース部材560に取り付けられており、フラッパソレノイド611がオン作動す
ると、磁力によりフラッパ610がフラッパソレノイド611に引き寄せられ、図39に
示すように、フラッパ610とともに球送り部材601(球止め部604)が前方へ揺動
して連絡口開放位置に変位するようになっている。
【0157】
また、球送り部材601の底部後方には金属製の重り部材609が取り付けられており
、フラッパソレノイド611がオフ作動したときに、重力の作用により、図38に示すよ
うに、フラッパ610とともに球送り部材601(球止め部604)が後方へ揺動して連
絡口閉鎖位置に変位するようになっている。これにより、フラッパソレノイド611がオ
ン・オフ作動するのに伴って、球送り部材601が連絡口開放位置と連絡口閉鎖位置とに
選択的に揺動変位するようになっている。なお、図35に示すように、ケース部材560
の底部右側(図35における左側)には、球送り部材601が連絡口開放位置に位置した
ときにフラッパ610の揺動を規制する揺動ストッパ566が形成されている。
【0158】
また、図35〜図37に示すように、ケース部材560の左端にはラッチ取付部569
が形成されており、ナイラッチ551が取り付けられるようになっている。そして、図3
4に示すように、当て板部531の裏面側に形成された整流器取付部539に整流器55
0を位置整合させた状態で、ラッチ取付部569に取り付けられたナイラッチ551を当
て板部531のラッチ係合穴(図示せず)に係合させることで、整流器550が上球皿5
30(当て板部531)の裏面側右方に着脱自在に取り付けられる。
【0159】
ところで、球供給通路581は、球入口571から連絡口584までは概ね左右方向に
伸びているが、連絡口584から球出口561までの部分で延伸方向が直角に(前後方向
に)折れ曲がる。このように球供給通路581の延伸方向が変わる方向転換部の近傍に、
より具体的には、整流器550における球出口561の近傍に、球供給通路581に通さ
れた糸状体I(図35を参照)を受容して挟むことが可能な受容部材700が設けられる

【0160】
受容部材700は、図35に示すように、ステンレス鋼等の金属線材を用いて「山」の
字形に曲げ形成され、第1実施形態の場合と同様に、糸状体導入部701と、糸状体受容
部702と、第1取付部703と、第2取付部(図示せず)とを有して構成される。なお
、図31および図33において、整流器550における受容部材700等の図示を省略し
ている。糸状体導入部701は、受容部材700の基端部中央に位置して、受容部材70
0の基端部から先端側へ向かうにつれて間隔が狭くなるテーパー状に形成される。糸状体
受容部702は、糸状体導入部701と繋がる受容部材700の先端側に位置して、細長
いU字形に形成される。U字形に形成された糸状体受容部702の間隙部は、所定の糸状
体I(例えば、釣糸や凧糸等)よりも若干細い幅に設定される。第1取付部703は、受
容部材700の一方の側端部に位置して、整流器550の突起部761が挿通可能な円環
状に形成される。第2取付部は、詳細な図示を省略するが、第1実施形態の場合と同様に
、受容部材100の他方の側端部に位置して、第2取付部をネジ固定するためのネジ72
0が挿通可能な円環状に形成される。
【0161】
ケース部材560の外壁部における球出口561の上方には、受容部材700の第1取
付部703に挿通される突起部761と、ネジ720が螺合されるネジ穴(図示せず)と
が形成される。なお、突起部761の外径に対して、受容部材700の第1取付部703
の内径が若干大きくなるように形成される。これにより、突起部761と第1取付部70
3との間の隙間の分だけ、受容部材700を弾性変形させることができるため、受容部材
700の糸状体受容部702の間隙部よりも太い糸状体Iを受容部材700(糸状体受容
部702)で受容して挟むことが可能となる。
【0162】
ケース部材560の外壁部における突起部761およびネジ穴(図示せず)の上方には
、受容部材700の先端部が挿入固定される受容部材固定部762が形成される。また、
ケース部材560の外壁部における突起部761とネジ穴(図示せず)との間には、球出
口561(すなわち、球供給通路581における方向転換部)に繋がって、受容部材70
0の糸状体導入部701を露出させるスリット部763が形成される。このスリット部7
63は、整流器550に取り付けられた受容部材700(糸状体受容部702)の延伸方
向に沿って斜め方向へ伸びるように形成される。
【0163】
受容部材700を整流器550に取り付けるには、受容部材700の先端部を受容部材
固定部762に挿入するとともに、受容部材700の第1取付部703を整流器550の
突起部761に挿通させ、ワッシャ721とともにネジ720を受容部材700の第2取
付部(図示せず)に挿通させて整流器550のネジ穴(図示せず)に螺合させる。これに
より、受容部材700が整流器550に取り付けられる。
【0164】
このようにして受容部材700が取り付けられた整流器550において、球抜きレバー
533が操作されない場合、すなわち、通常の場合には、図34に示すように、第2付勢
バネ559の付勢力によりスライド部材555が右方(図34における左方)にスライド
移動するため、図36に示すように、第1付勢バネ595の付勢力により球抜き部材59
0が球抜き口閉鎖位置に(右方に)揺動変位する。また、発射ハンドル508が回動操作
されない場合には、遊技球供給装置600のフラッパソレノイド611がオフ作動してお
り、図36および図38に示すように、球送り部材601が重力の作用で連絡口閉鎖位置
に揺動変位するようになっている。
【0165】
上述のように、発射ハンドル508および球抜きレバー533が操作されない場合、す
なわち、球送り部材601が連絡口閉鎖位置に位置し、かつ球抜き部材590が球抜き口
閉鎖位置に位置するときには、上球皿530に貯留された遊技球は、上球皿530の右端
から球入口571を通過して球供給通路581を流下し、図36および図38に示すよう
に、球供給通路581を流下する遊技球が球抜き部材590により球抜き通路582への
流下が規制されつつ球止め部604の上面で受け止められる。
【0166】
この状態で、発射ハンドル508が回動操作されると、遊技球供給装置600により球
供給通路581を流下する遊技球が連絡口584および球出口561を通過して1球ずつ
発射機構526(発射レール)に供給され、発射機構526が供給された遊技球を1球ず
つ遊技領域PAに向けて打球発射する。遊技球供給装置600により球供給通路581を
流下する遊技球を1球ずつ発射機構526に供給するには、遊技球が球止め部604の上
面で受け止められた状態で、フラッパソレノイド611をオン作動させたのち、所定時間
後に再びフラッパソレノイド611をオフ作動させる。
【0167】
このとき、まず、フラッパソレノイド611のオン作動により、フラッパ610が磁力
によりフラッパソレノイド611に引き寄せられ、連絡口閉鎖位置に位置する球送り部材
601がフラッパ610とともに前方へ揺動して連絡口開放位置に変位するため、図39
に示すように、球止め部604の上面で受け止められていた遊技球は連絡口584を通過
し、球受け部605が連絡口584を通過した遊技球を1球だけ受け入れて保持する。こ
の状態で、フラッパソレノイド611が再びオフ作動すると、球送り部材601が連絡口
開放位置から連絡口閉鎖位置に揺動変位し、図38に示すように、球受け部605に保持
された遊技球が球出口561から発射機構526(発射レール)へ送り出される。
【0168】
このようにして、遊技球供給装置600により球供給通路581を流下する遊技球が1
球ずつ発射機構526に供給される。そして、発射機構526の発射動作毎にフラッパソ
レノイド611をオン・オフ作動させ、球送り部材601を連絡口開放位置と連絡口閉鎖
位置とに交互に変位させることで、発射機構526が発射動作を行う毎に、球供給通路5
81を流下する遊技球が1球ずつ連続的に発射機構526へ供給される。これにより、簡
便な構成で遊技球を1球ずつ発射機構526に供給することができる。
【0169】
なおこのとき、球止め部604の上面で受け止められた遊技球に隣接する(1個前の)
遊技球は、球送り部材601が連絡口開放位置に位置すると、図39に示すように、球受
け部605に保持された遊技球の上方に隣接する形で球供給通路581における連絡口5
84の直前位置に達し、球送り部材601が連絡口閉鎖位置に戻るときに球止め部604
の上面で受け止められるようになっている。
【0170】
上球皿530に貯留された遊技球の中に糸付球が存在すると、当該糸付球は、他の遊技
球とともに上球皿530から整流器550内の球供給通路581を流下して、遊技球供給
装置600により発射機構526に送り出され、発射機構526のハンマーにより遊技領
域PA2に打ち出される。このとき、糸付球に固着された糸状体Iは、球供給通路581
に通された状態で、不正行為者に引っ張られると真直ぐに伸びようとする。本実施形態で
は、球供給通路581の延伸方向が変わる方向転換部の近傍に、より具体的には、整流器
550における球出口561の近傍に、受容部材700が設けられている。そのため、球
出口561の近傍において真直ぐに伸びようとする糸状体Iは、球出口561の縁部を伝
ってスリット部763に達し、図35に示すように、受容部材700の糸状体導入部70
1から糸状体受容部702の間隙部に導かれる。
【0171】
ここで、糸状体Iが糸状体受容部702の間隙部よりも太い場合、糸状体Iにより糸状
体受容部702の間隙部が押し広げられて受容部材700(糸状体受容部702)が弾性
変形するので、受容部材700は、受容部材700の弾性力による遊技球の自重よりも強
い力で、受容した糸状体Iを挟むことができる。そのため、糸状体Iが受容部材700に
引っ掛かった状態となり、遊技領域PA2に打ち出された糸付球を無理に引き上げること
はできても、下方へ移動させることはできなくなる。このようにして、糸付球を用いた不
正入賞行為を抑止することができる。
【0172】
また、第1実施形態の場合と同様にして、受容部材700に受容された糸状体Iを切断
可能な切断部材(図示せず)を整流器550に取り付けるようにしてもよい。これにより
、糸状体Iが強く引っ張られた場合や、糸状体Iが糸状体受容部702の間隙部と同等の
太さかこれよりも細い場合、糸状体受容部702の間隙部に導かれた糸状体Iは、受容部
材700と重なって設けられた切断部材の刃部まで達し、切断部材が糸状体Iを切断する
ことができる。そのため、不正入賞行為をより効果的に抑止することが可能となる。なお
この場合、切断部材は、ケース部材560の外壁部における球出口561の上方に形成さ
れた凹部(図示せず)に受容された状態で、整流器550に取り付けられ、この凹部に前
述の突起部761およびネジ穴(図示せず)が形成されて、受容部材700が切断部材と
ともに整流器550に取り付けられる。また、この凹部と球出口561とに繋がって、受
容部材700の糸状体導入部701および切断部材の刃部を露出させるように、前述のス
リット部763が形成される。このようにすれば、糸状体Iを切断するのに必要な部分だ
け露出させることが可能となり、受容部材700および切断部材が取り付けられた整流器
550を取り扱ったときに、切断部材に触れて怪我をするのを防止することができる。
【0173】
なお、球抜きレバー533を操作して上球皿530に貯留された遊技球を下球皿507
へ抜き出す場合には、球抜きレバー533の押し操作(揺動操作)に伴って揺動アーム5
35の下部が左方(図34における右方)へ揺動し、揺動アーム535と連結されたスラ
イド部材555が第2付勢バネ559の付勢力に抗して左方へスライド移動する。このと
き、スライド部材555のアーム当接部556が球抜き部材590の連結アーム部592
に形成されたピン部594に当接するため、球抜き部材590が第1付勢バネ595の付
勢力に抗して左方へ揺動し、図37に示すように、球抜き部材590が球抜き口開放位置
に揺動変位する。なお、発射ハンドル508が回動操作されない場合には、前述のように
、球送り部材601が連絡口閉鎖位置に揺動変位して、球止め部604が連絡口584を
塞いでいる。
【0174】
上述のように、発射ハンドル508が回動操作されない状態で球抜きレバー533が操
作された場合、すなわち、球送り部材601が連絡口閉鎖位置に位置し、かつ球抜き部材
590が球抜き口開放位置に位置するときには、上球皿530に貯留された遊技球は、上
球皿530の右端から球入口571を通過して球供給通路581を流下し、開放状態にあ
る球抜き口583を通過して球抜き通路582に達する。このとき、上流側から下流側へ
向かうにつれて下方へ連続的に傾斜する傾斜通路580に、傾斜通路580の上流側に位
置して球供給通路581が設けられるとともに、傾斜通路580の下流側に位置して球抜
き通路582が設けられているため、球抜き部材590を球抜き口開放位置に位置させる
ことで球供給通路581の下流側に達した遊技球をスムーズに球抜き通路582へ流下さ
せることができる。そのため、上球皿530に貯留された遊技球を整流器550内に残す
ことなくスムーズに下球皿507(すなわち、パチンコ機PM2の外部)へ抜き出すこと
ができる。
【0175】
またこのとき、球供給通路581の下流側に達した遊技球は球止め部604の上面で受
け止められるが、この球止め部604の上面は、傾斜通路580の傾斜方向とほぼ同じ方
向に傾斜しているため、球供給通路581の終端部に達した遊技球をよりスムーズに球抜
き通路582へ流下させることができる。さらに、球止め部604の上面における下流側
端部が球抜き口583の下端に滑らかに繋がるように構成されているため、球供給通路5
81の終端部に達した遊技球をさらにスムーズに球抜き通路582へ流下させることがで
きる。
【0176】
そして、上述のように球抜き通路582に達した遊技球は、スムーズに球抜き通路58
2を流下して排出口562から球皿通路528に排出され、球皿通路528(図34を参
照)を流下したのち下球皿出口529から下球皿507に排出される。このようにして、
球抜きレバー533を操作することで上球皿530に貯留された遊技球を整流器550内
に残すことなくスムーズに下球皿507(すなわち、パチンコ機PM2の外部)へ抜き出
すことができる。
【0177】
以上説明したように、第2実施形態によれば、球供給通路581の延伸方向が変わる方
向転換部の近傍に、糸状体Iを受容して挟むことが可能な受容部材700が設けられるた
め、簡便な構成の受容部材700により、不正行為者に引っ張られる等して真直ぐに伸び
ようとする糸状体Iを、球供給通路581の延伸方向が変わる方向転換部において容易に
捕捉することができる。そのため、簡便な構成で、糸状体Iおよび糸状体Iの付いた遊技
球の自由な動きを拘束することが可能となり、糸状体Iの付いた遊技球を不正に操作して
遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止することができる。
【0178】
なお、上述の第2実施形態において、受容部材700における糸状体受容部702の内
側部分に、ヤスリ目を形成するようにしてもよい。このようにすれば、糸状体Iと糸状体
受容部702との間の摩擦力が増えるので、受容部材700から糸状体Iが抜けるのを防
止することができる。また、受容部材700における糸状体受容部702の内側部分に、
受容部材700の先端側に向けて返しの付いた突起部を形成するようにしてもよい。この
ようにしても、受容部材700から糸状体Iが抜けるのを防止することができる。
【0179】
また、上述の第2実施形態において、受容部材700の糸状体受容部702が細長いU
字形に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、糸状体受容部の間隙部
が迷路状にもしくは渦巻き状に伸びるように糸状体受容部を形成してもよい。このように
すれば、糸状体受容部の間隙部の形状が複雑になるので、受容部材から糸状体Iが抜ける
のを防止することができる。
【0180】
また、上述の第2実施形態において、ニクロム線を用いて受容部材700を形成し、ニ
クロム線を用いた受容部材700に対して所定時間ごとに通電させるようにしてもよい。
このようにすれば、ニクロム線を用いた受容部材700が発熱するため、受容部材700
が挟んだ樹脂製の糸状体(釣糸等)を切断することが期待できる。
【0181】
また、上述の第2実施形態において、受容部材700が金属線材を用いて形成されてい
るが、これに限られるものではなく、例えば、金属板材を用いて形成されてもよく、糸状
体Iを受容して挟むことが可能な構成であればよい。
【0182】
また、上述の第2実施形態において、上球皿530と整流器550との間にループ状の
球通路を形成してもよい。このようにすれば、ループ状の球通路に通された糸状体がルー
プ形状の部分で巻き付くため、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して遊技球の入賞を検
出させる不正入賞行為をより効果的に抑止することができる。
【0183】
また、上述の第2実施形態において、整流器550における球出口561の近傍に、受
容部材700が設けられているが、これに限られるものではなく、球供給通路581の上
流端部で通路形状が屈曲する球入口571の近傍に、受容部材が設けられてもよい。
【0184】
また、上述の各実施形態では、切断部材が整流器に取り付けられる構成を例示している
が、これに限定されるものではなく、インサートモールドにより切断部材を整流器に配設
する構成であってもよい。また、受容部材における糸状体受容部の内周側に、糸状体を切
断可能な刃部を形成し、受容部材に切断部材としての機能を持たせるようにしてもよい。
【0185】
また、上述の各実施形態では、本発明が適用される弾球遊技機の一例として、パチンコ
機を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、アレンジボール、雀
球遊技機などについても同様に適用し、同様の効果を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0186】
PM パチンコ機(弾球遊技機)
1 外枠
2 前枠(枠部材)
6 球皿ユニット(6a 上球皿、6b 下球皿)
10 遊技盤
21 発射機構
29a 第1の球供給通路
50 整流器
51 第2の球供給通路(51a 上流部、51b 下流部)
60 第1ケース部材
61 側壁部
62 球入口
70 第2ケース部材
71 側壁部
74 球出口
75 ガイド部
76 凹部
79 スリット部
100 受容部材
101 糸状体導入部
102 糸状体受容部
110 切断部材
111 本体部
112 刃部
PM2 パチンコ機(弾球遊技機)
501 外枠
502 前枠(枠部材)
510 遊技盤
526 発射機構
530 上球皿
550 整流器
560 ケース部材
561 球出口
570 ケース蓋部材
571 球入口
581 球供給通路
700 受容部材
701 糸状体導入部
702 糸状体受容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に所定の遊技領域が設けられた遊技盤と、
前記遊技盤を収容保持する枠部材と、
前記枠部材における前記遊技盤の下側に設けられ、前面側で遊技球を貯留する球皿と、
前記枠部材における前記球皿の背面側に設けられ、前記球皿に貯留された遊技球を前記
遊技領域に向けて打ち出す発射機構とを備え、
前記球皿から前記発射機構へ遊技球を流下させる球供給通路における前記球供給通路の
延伸方向が変わる方向転換部の近傍に、前記球供給通路に通された糸状体を受容して挟む
ことが可能な受容部材が設けられることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記球供給通路における前記方向転換部の近傍に、前記受容部材に受容された糸状体を
切断可能な切断部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記受容部材および前記切断部材は、前記球供給通路を流下する遊技球を前記発射機構
に供給する整流器における前記方向転換部の近傍に取り付けられ、
前記整流器は、前記切断部材を受容する凹部を有し、
前記切断部材が前記凹部に受容された状態で前記整流器における前記方向転換部の近傍
に取り付けられ、前記受容部材が前記切断部材とともに前記整流器における前記方向転換
部の近傍に取り付けられ、
前記整流器における前記凹部と前記球供給通路における前記方向転換部とに繋がって、
前記受容部材の糸状体導入部および前記切断部材の刃部を露出させるスリット部が形成さ
れることを特徴とする請求項2に記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2013−94263(P2013−94263A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237575(P2011−237575)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】