説明

後方散乱分光法の方法及び装置

媒質内の物質の濃度などの、媒質の物理的特性を決定するための方法及びデバイスが開示される。デバイスは、光源2と、少なくとも第1及び第2の光ファイバ5、6が互いに平行に配置され、前記第1の光ファイバ5は光源からサンプル1に放射線を送出し、前記サンプルから第1の後方散乱放射線を集めるように配列され、前記第2の光ファイバ6は第2の後方散乱放射線を集めるように配列されたプローブと、第1及び第2の後方散乱放射線を発生する分光計7、前記第1及び第2の後方散乱放射線に基づき第1及び第2の信号発生するための分光計7と、前記第1の及び第2の信号から微分後方散乱信号を決定し、前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと前記物理的特性を計算するように適合されたプロセッサ9とを備える。光ファイバの口径がサンプル中の光子の平均自由行程よりも短いか長いかに応じて、異なる後方散乱関数が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒質の物理的特徴を決定する方法に関するものであり、
−光源により放射線を発生すること、
−前記媒質のサンプル上に、第1の口径を有する第1の光ファイバ及び第2の口径を有する少なくとも1つの第2の光ファイバを備えるプローブを置くこと、
−光源から発せられた光を第1の光ファイバを通して送ること、
−第1の光ファイバを通して第1の後方散乱放射線を、第2の光ファイバを通して第2の後方散乱放射線を集めること、
−第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号を、第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号を発生すること、
−第1及び第2の信号を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長の関数として決定することを含む。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、Amelink他[1]から知られる。その文献では、表層内の粒子サイズを決定するために特別なデバイスが使用されている。このデバイスは、例えばポリスチレン球を有する水性懸濁液中の粒子サイズを測定するのに好適であるが、生体組織中の粒子サイズを正確に測定するのには適しない。そのため、生体組織中の粒子サイズを測定することにより、生体組織が正常であるか、前癌状態であるかを判定することは、あまり有望ではない。
【0003】
Doornbos他[2]では、ヒト組織の光学特性は、10本の光ファイバを備えた分光分析装置配列を使用して生体内で測定される。これらのファイバのうちの1本を使用して、サンプルを照射し、残り9本のファイバで、反射光を集める。複数のファイバを使用して反射光を集めることにより、サンプルの散乱及び吸光係数を計算することが可能である。しかし、この方法は、組織の光学特性を局所的に測定するのには適しない。特に、サンプルの比較的大きな部分の吸光係数の平均値しか決定できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、媒質内の物質の濃度などの物理的特徴を局所的に測定することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、上述の方法により達成され、これは、前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと物理的特徴を計算することを特徴とし、ただし、後方散乱関数は、検出された散乱光子が進む平均行程長の関数であり、平均行程長は、媒質の吸光係数及び媒質の散乱係数とは無関係である。Doornbos他[2]などの散乱され散在する光子を使用する方法とは反対に、本発明の方法では、サンプルの局所吸光係数は、局所散乱及び吸光係数の大きさとは無関係に、絶対的な方法で測定される。このため、サンプル中の吸光分子の絶対濃度の測定がしやすくなり、しかも、媒質の散乱及び吸光係数の大きさを事前に知っている必要はない。
【0006】
一実施例では、平均行程長は、第1の光ファイバ口径に比例する。これは、微分後方散乱信号に寄与する光子のサンプルの中への微分平均行程長、したがって、平均侵入度を、ファイバ口径を選択することにより制御できるという他の利点を有する。その結果、サンプリング・ボリュームは、ファイバ口径を調整することにより制御することができる。したがって、調査対象の媒質の関連する寸法にマッチするように光ファイバ・プローブを設計することができる。
【0007】
特定の一実施例では、物理的特徴は、媒質内の少なくとも1つの物質の濃度である。
【0008】
本発明は、さらに、媒質の物理的特徴を決定するデバイスにも関し、
−放射線を発生するための光源と、
−少なくとも第1及び第2の光ファイバを備え、第1の光ファイバは第1の口径を有し、前記媒質のサンプル上で放射線を送出するように、また前記サンプルから第1の後方散乱放射線を集めるように配列され、第2の光ファイバは第2の口径を有し、第2の後方散乱放射線を集めるように配列され、第2の光ファイバは第1の光ファイバに平行に配置される、プローブと、
−第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号を発生し、第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号を発生するための分光計と、
−第1及び第2の信号を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長の関数として決定するように配列されたプロセッサとを備え、前記プロセッサは、測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数をへと物理的特徴を計算するように配列され、後方散乱関数は、検出された散乱光子が進む平均行程長の関数であり、平均行程長は、媒質の吸光係数及び媒質の散乱係数とは無関係であることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、請求項8に記載のコンピュータ・プログラム及び請求項9に記載のデータ記憶媒体に関する。
【0010】
本発明の他の態様では、本発明は、媒質の物理的特徴を決定する方法に関するものであり、
−光源により放射線を発生すること、
−媒質のサンプル上に、第1の口径を有する第1の光ファイバ及び第2の口径を有する少なくとも1つの第2の光ファイバを備えるプローブを置くこと、
−光源から発せられた光を第1の光ファイバを通して送ること、
−第1の光ファイバを通して第1の後方散乱放射線を、第2の光ファイバを通して第2の後方散乱放射線を集めること、
−第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号を、第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号を発生すること、
−第1及び第2の信号を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長の関数として決定することを含み、
−測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと物理的特徴を計算し、後方散乱関数は光子の平均自由行程の関数であることを特徴とする。この方法では、単一散乱光子のみが微分後方散乱信号に寄与すると仮定され、したがって、後方散乱関数を解析的に容易に導くことができる。
【0011】
一実施例では、物理的特徴は、媒質内の少なくとも1つの物質の濃度である。
【0012】
本発明は、さらに、請求項13に記載のデバイスにも関係する。
【0013】
さらに、本発明は、請求項14に記載のコンピュータ・プログラム及び請求項15に記載のデータ記憶媒体に関する。
【0014】
最後に、本発明は、請求項16に記載の方法に関する。
【0015】
本発明は、実施例及び付属の概略図面を参照しつつ説明される。
【実施例】
【0016】
本発明による好ましい一実施例の概略図が図1に示されている。このセットアップは、調査対象のサンプル1との間で光の送出及び集光を行うための光ファイバの集合体からなる。光源2、例えば、タングステン・ハロゲン・ランプ(Avantes HL−2000−FHSA)から出た光は、二股光ファイバの第1のアーム3に導かれる。二股光ファイバは、図には示されていない、臨床内視鏡の作業用チャネルを通り抜けられるだけ十分に小さい送出/集光ファイバ5(以下ではdcファイバ5と呼ばれる)の第1の遠位端に結合された遠位端4にある。送出/集光ファイバ5の第2の遠位端は、サンプル1に接触する。サンプル1により反射され光を集めるために、dcファイバ5と平行に集光ファイバ6が配列されている。集光ファイバ6(cファイバ6と呼ばれる)は、例えば、デュアル・チャネル分光計7、Avantes SD2000のスレーブ・チャネルに接続されている。dcファイバ5は、正反射を低減するため小さい角度で研磨されるのが好ましい。
【0017】
サンプル1から反射されcファイバ6内に戻った光は、デュアル・チャネル分光計7のスレーブ・チャネル内に直接導かれる。二股光ファイバの第2のアーム8は、デュアル・チャネル分光計7のマスタ・チャネルに接続される。dcファイバ5内に反射された光は、二股光ファイバ内に戻るように結合され、二股光ファイバの第2のアーム8を介してデュアル・チャンネル分光計7に到達する。分光計7の出力は、分光計7からの信号を解析するように配列されたプロセッサ9の入力に接続されている。
【0018】
サンプル1との間で光の送出及び集光を行うためにdcファイバ5のみが使用される場合、集められた光の大部分は、小さなサンプル深さからの単一後方散乱によるものであり、これについては[1]を参照のこと。単一と多重との散乱比は、サンプル1の散乱係数及び位相関数、並びにdcファイバ5の口径に左右される。多重散乱光のdcファイバ5の信号への寄与は、dcファイバ5の信号と追加ファイバ、つまり、上述のcファイバ6から来る信号との組合せによりおおよそ決定することができる。
【0019】
[4]において、波長λの関数としての微分後方散乱信号Rbsは、以下の公式を使用して決定される。
【0020】
【数1】


ただし、I(λ)は、サンプル1と接触するdcファイバ5からの信号であり、I(λ)は、適切な屈折率を有する流体内に沈められたdcファイバ5からの信号であり(組織であれば、水が適切であろう)、Iwhite(λ)は、大きな、好ましくは波長に関係しない反射係数を有する拡散反射基準材料(白色スペクトラロン)から特定の距離のところにプローブ先端を有するdcファイバ5からの信号であり、Iblack(λ)は、小さな、好ましくは波長に関係しない反射係数を有する拡散反射基準材料(黒色スペクトラロン)からその同じ特定の距離のところにプローブ先端を有するdcファイバ5からの信号である。さらに、J(λ)は、サンプル1と接触しているcファイバ6からの信号であり、Jwhite/black(λ)は、白色/黒色スペクトラロンから前述の特定の距離のところにプローブ先端を有するcファイバ6からの信号である。最後に、cは、プローブ先端と基準材料との間の距離に依存する較正定数である。
【0021】
本発明によれば、プロセッサ9は、定義済み数学的モデル、微分後方散乱信号(Rbs)、及び曲線当てはめメカニズムを使用して物理的特徴を計算するように配列される。一実施例では、ファイバ5、6の口径は、サンプル1内に送られる光子の平均自由行程(mfp)に応じて選択される。ファイバ口径を選択する前に平均自由行程を推定できない場合、最初に2つの任意のファイバ口径を選択できることに留意されたい。2つの異なる数学的モデルを使用して測定結果の曲線当てはめを行った後、どのモデルを適用するかがわかる。
【0022】
図2a及び2bは、dcファイバ5から出て来る光子の平均自由行程(mfp)がファイバ5、6の口径dfiberよりもかなり大きい状況におけるdcファイバ5及びcファイバ6のファイバ先端を示している。一実施例では、両方のファイバ5、6の口径はサイズが等しいが、他の選択も可能であることは理解されるであろう。図2aにおいて、直線21及び22は、検出可能な単一散乱光子が進む経路の一実施例を示している。図2bでは、直線23、24、25、及び直線23、24、26は、検出可能な多重散乱光子の2つの可能な経路を示している。すべての多重散乱事象は、ファイバ5、6のファイバ先端からのそのような大きな距離のところで発生し、多重散乱光子の検出の確率は、dcファイバ5及びcファイバ6についてほぼ等しい。そこで、微分後方散乱信号Rbs(λ)は、単一散乱光子により純粋に決定される。
【0023】
一実施例では、ファイバ5、6の口径は、mfp>dfiberとなるように選択される。この実施例の再定義された数学的モデルでは、微分後方散乱信号Rbs(λ)は、平均自由行程の2倍の指数関数である。以下では、このモデルの説明を行う。
【0024】
吸光材がない場合、微分後方散乱信号Rbs(λ)は、以下のように、局所的な、表面散乱係数μ(λ)=Qsca(λ)・ρ・Asに比例する。
【0025】
【数2】


ただし、Csppは、とりわけプローブ先端と基準材料(黒色及び白色スペクトラロン)との間の距離に依存する装置定数であり、p(λ,Ω)は、Ωが散乱角度である位相関数と呼ばれる関数であり、Qsca(λ)は、散乱効率であり、σは、サンプル1に存在する物質の濃度であり、Asは、散乱粒子の面積である。例えば、開口数NA=0.22の石英ガラス・ファイバを使用すると、微分後方散乱信号Rbs(λ)は、以下の式で近似できる。
【0026】
【数3】


ただし、φは、方位角であり、θは、極角である。
【0027】
図3は、式(3)による計算(曲線32を参照)とともに0.2μmのポリスチレン球の希釈懸濁液の測定結果(ドットを参照)の微分後方散乱信号Rbs(λ)を示している。図3では、Rbs(λ)は、任意の単位(a.u.)を使用して示されている。また、Qradar=4π・p(λ,180)・Qsca(λ)であるQradarの値も図に示されている。図3は、測定結果(つまり、ドット)と計算との優れた呼応を示しており、これは、mfp>dfiberであれば、単一散乱は、実際に、式(1)で定義されているように微分後方散乱信号Rbs(λ)への主要な寄与因子であることを表している。
【0028】
単一散乱光子は、まず、dcファイバ5の先端から粒子へと進み、その後(同じ距離だけ)粒子からdcファイバ5の先端(又はcファイバ6の先端)に戻るが、これについては図2aも参照のこと。したがって、測定単一散乱光子が進む平均行程長τ(λ)は、平均自由行程mfp(λ)の2倍に等しい、つまり、
τ(λ)=2・mfp(λ) (4)
である。比吸光係数uspec,i(λ)を有するn個の吸光種が存在する場合、微分後方散乱信号は以下の通りである。
【0029】
【数4】


ただし、Capp’は、装置定数であり、p(λ,180)は、位相関数であり、μ(λ)は、媒質の散乱係数であり、λは、第1及び第2の後方散乱放射線の波長であり、mfp(λ)は、波長の関数としての平均自由行程であり、nは、サンプル1内の物質の数であり、ρは、サンプル1の検出体積内に存在する吸光材iの濃度であり、μspec,i(λ)は、波長の関数としての吸光材iの吸光係数である。
【0030】
式(5)では、吸光材は均一に分布し、互いに影響を及ぼし合わないことに留意されたい。式(5)は、吸光材の不均一分布などの非線形現象に関して補正できるが、これについては、例えば、[8]を参照されたい。
【0031】
一実施例によれば、吸光材の比吸光係数、散乱係数μの波長依存性、及び位相関数pは、式(5)とともに、サンプル1の検出体積内に存在するすべての吸光物質の濃度を計算するために使用される。検出体積は、通常、本発明では非常に小さいため、抽出された濃度は、空間解像度が高い。これは、拡散反射率に基づく知られている方法では可能でなく、その場合、得られる濃度は、大きなサンプル体積上の平均であるが、例えば、[2]を参照のこと。
【0032】
装置定数Capp’(式3)は、dcファイバ5の先端と基準材料(黒色及び白色スペクトラロン)との間の特定の距離について決定することができる。知られているサイズ及び濃度の単分散ポリスチレン球の懸濁液に関して、散乱係数μ及び移相関数p(180)は、Mie理論[4]を使用して計算することができる。装置定数Capp’は、式(3)から単純に出る。懸濁液の体積分率f、球の半径a、及びレーダー効率係数Qradar(λ)=4π・p(λ,180)・Qcsa(λ)に関して、装置定数は以下の式により決定される。
【0033】
【数5】

【0034】
他の実施例によれば、選択された口径dfiberは、平均自由行程がdfiberよりも小さくなるように選択される。この実施例では、微分後方散乱信号Rbsは、ファイバ口径dfiberの関数である。これについて、以下で詳述する。
【0035】
光子の平均自由行程が選択されたファイバ口径よりも小さい(つまり、mpf(λ)<dfiber)場合、単一dcファイバ5の微分後方散乱信号Rbs(λ)への多重散乱光の寄与は、式(1)を使用して完全に取り除くことはできない。この場合、信号Rbs(λ)に寄与する光子の平均行程長は、サンプル1の光学特性とほぼ無関係であるように見える。この状況では、多重散乱事象は、すでに、dcファイバ5の先端からわずかの距離のところで生じている。後方散乱信号Rbs(λ)の解析的表現は、この状況では使用できず、モンテカルロ・シミュレーションを使用して、Rbs(λ)の挙動をファイバ5、6の口径及びサンプル1の光学特性の関数としてモデル化した。図4は、異方性値g=0.9の均質媒質に対するWang他[6,7]のMCML符号(多層媒質用のモンテカルロ)を使用するモンテカルロ・シミュレーションの結果を示している。口径dfiberを有する平坦な円形入射ビームは、サンプル1に当てられ、微分後方散乱信号Rbsは、cファイバ6(入射ビームの中心から距離dfiberのところに配置された口径dfiber及び中心を有する)における全反射率をdcファイバ5(入射ビームと重なる口径dfiberを有する)における全反射率を差し引くことにより計算される。シミュレーションは、4つの異なる散乱係数(μ=15、25、50、及び80mm−1)、4つの異なるファイバ口径(dfiber=200、400、600、及び800μm)、及び5つの異なる吸光係数(μ=0、0.2、0.4、0.6、及び0.8mm−1)の集合について実行された。
【0036】
図4は、吸光係数μの関数としてRbsを示しているが、ただし、白丸/破線はdfiber=200μmに対応し、黒丸/点線はdfiber=400μmに対応し、白四角/実線はdfiber=600μmに対応し、黒四角/一点破線はdfiber=800μmに対応している。それぞれの散乱係数μに対する微分後方散乱信号Rbsは、(dfiber=200μm、μa=0mm−1)の場合に合わせて正規化されている。図4は、吸光がない、つまりμ=0の場合、微分後方散乱信号Rbsは、散乱係数μに直線的に依存する。さらに、直線の勾配(Rbsとμとの間の関係を示す)は、ファイバ口径にのみ依存し、散乱係数μとは無関係である。後者は、図5にさらに明確に示されており、微分後方散乱信号Rbsは、すべての散乱係数μについてゼロ吸光において1に正規化される。白丸は、dfiber=200μmに対応し、黒四角は、dfiber=800μmに対応する。したがって、これらのモンテカルロ・シミュレーションは、mfp<dfiberという状況で、ファイバ5、6の口径が測定された光子の平均行程長τを決定することを示唆している。そのため、パラメータのこの範囲に対する後方散乱信号Rbsは、
bs(λ)=C・μ・exp(−τ・μ)=C・μ・exp(−C・dfiber・μ) (7)
と書くことができるが、ただし、C及びCは、定数であり、τは、平均行程長であり、μは、吸光係数であり、μは、散乱係数であり、dfiberは、ファイバ5、6のファイバ口径である。
【0037】
bs(λ)の正確な解析的表現は、信号に対する複数の散乱事象の寄与が大きいため使用できない。以下の公式を使用して、400〜900nmのλの範囲について全積分後方散乱信号Rtotを決定するために測定が行われた。
【0038】
【数6】


図6は、全積分後方散乱信号Rtot(μ)が10〜100mm−1のμの関連する範囲内においてμ(λ)に比例することを示している。したがって、吸光材がない場合、
bs(λ)=Capp’μ(λ) (9)
が得られ、これは、モンテカルロ・シミュレーションに呼応している。
【0039】
比吸光係数uspec,i(λ)を有するn個の吸光種が懸濁液中に存在する場合、微分後方散乱信号は以下の通りである。
【0040】
【数7】


ただし、τは、検出された後方散乱光子の平均行程長であり、ρは、物質iの濃度である。
【0041】
吸光材の不均一分布などの非線形現象は、式(10)の中に組み込まれないが、当業者であれば、それを追加することができ、これについては、例えば、[8]を参照されたい。
【0042】
図7は、測定された、及び計算された、平均行程長τを、dfiber=0.4mm、及びλ=600mmにおける吸光係数μ(λ)=2.0mm−1に対する平均散乱係数<μ(λ)>(500nm<λ<700nm)の関数として示している。図7では、測定結果は、点で示され、τ=2・mfpの曲線は、線71で示され、モンテカルロ・シミュレーションは、破線で示される。600nmにおいてμ=1.0mm−1の吸光係数を有する懸濁液について同一の結果が得られた。平均行程長τは、異なるサイズ及び濃度を有するポリスチレン球の懸濁液を使用して散乱係数μ(λ)を変化させて決定した。これらの懸濁液の異方性gは、0.8〜0.9の範囲内であった。エバンス・ブルー色素が吸光材として添加され、平均行程長τは、式(9)及び式(10)から、またエバンス・ブルーの濃度及び比吸光係数を知って、計算されたが、これは当業者には知られている。
【0043】
図7の測定された平均行程長を見ると、大きな散乱係数(μ=10〜100mm−1、組織に関連する範囲)の場合、平均行程長τは、10%内で散乱係数μと無関係であり、ファイバ口径の半分におおよそ等しいが(τ≒0.24mmであるが、dfiber=0.40mmである)、これはモンテカルロ・シミュレーションに呼応していることが明確にわかる(破線は、dfiber=0.2、0.4、0.6、及び0.8mmに対するモンテカルロ計算に対応する)。小さな散乱係数(例えば、μ<5mm−1)では、平均行程長τは、式(4)により、τ=2・mfpにより適切に記述されるが、これについては線71を参照のこと。図7は、さらに、「単一散乱領域」から「一定行程長領域」への遷移は、ファイバ口径のオーダーの平均自由行程について生じることも明確に示している。したがって、400μmよりも小さいファイバ口径については、単一散乱はより大きな範囲の散乱係数に勝ることが予想される。
【0044】
以下では、平均行程長τに対する吸光の影響についてさらに詳しく調べる。さまざまな濃度のエバンス・ブルー色素を、35mm−1の散乱係数μを有するポリスチレン球の懸濁液に添加した。エバンス・ブルー(EB)色素の濃度を、600nmにおける吸光係数μが0から2mm−1の範囲内にあるように変化させた。3つの異なる吸光係数μに対する微分後方散乱信号Rbsの典型的な結果が図8に示されている。dcファイバ5の信号Iは、cファイバ6の信号J及び微分後方散乱信号Rbsと異なる縦軸目盛上にプロットされていることに留意されたい。エバンス・ブルーが懸濁液中に存在するスペクトルREBを、エバンス・ブルーが存在しないスペクトルRで除算し、比REB/Rの負の自然対数を以下のように求めた。
A=−ln(REB/R)=τ・ρ・μspec,EB (11)
ただし、ρは、エバンス・ブルーの濃度であり、μspec,EBは、エバンス・ブルーの比吸光係数である。
【0045】
図9は、エバンス・ブルー色素の比吸光係数μspec,EBを伴う吸光曲線92の典型的スペクトルを示し、これについては曲線94を参照のこと。
【0046】
すべての濃度について、吸光曲線92の下の面積A*は、500から650nmの波長範囲λにおいて決定された。式(11)から、平均行程長τが吸光係数μspecと無関係であれば、面積Aは、懸濁液中の化学種の濃度ρに直線的に依存しなければならないということが得られる。
【0047】
図10は、600nmにおける吸光係数μの関数として、測定されたAを示している。曲線当てはめが実行され、その結果、μ(λ)=35mm−1に対して直線104が得られる。図10は、平均行程長τが範囲0〜2mm−1内の吸光係数μと実際に無関係であることを示している。
【0048】
図4から10の前の結果から、mfp<dfiberについて、微分後方散乱信号Rbsは、C≒0.6として式(7)により記述されることがわかる。図11は、エバンス・ブルー色素を有する場合と有しない場合の1.0μmポリスチレン球の懸濁液中で測定された典型的スペクトルを示している(それぞれ、600nmでμ=2及び0mm−1)。式(7)及び図7から、吸光材を有する場合と有しない場合の微分後方散乱信号同士の関係は以下の式で与えられる。
bs(λ,μ)=Rbs(λ,0)・exp(−0.24・μ) (12)
【0049】
式(12)に従って計算されたスペクトルは、図11において破線110としてプロットされ、測定されたRbs(λ,μ)と優れた呼応性を示しているが、これについては、線111を参照のこと。図11では、線112はRbs(λ,0)を示している。
【0050】
つまり、式(1)を使用してcファイバ6の信号をdcファイバ5から差し引いたときに測定される光子の平均行程長は、サンプル1の光学特性に無関係であり、ファイバ口径がmfpよりも大きい限り、使用されるファイバ5、6の口径の半分にほぼ等しい。
【0051】
特定の実施例において、本発明によるデバイスは、組織中の酸素化血液の濃度を決定するように配列される。組織の散乱係数μtissueは、10〜100mm−1の範囲内にあるので、組織中の主として単一散乱を測定するために、ファイバ口径は、ある最大口径dmaxよりも小さくなければならず、dmaxは10から100μmの範囲であり、例えば、50nm未満である。この場合、式(5)が成り立つ。かなり大きな口径(例えば、200又は400μm)を有するファイバ5、6では、微分後方散乱信号Rbs(λ)は、τ≒0.6・dfiberとして式(10)により記述される。
【0052】
現在、組織中の散乱係数μtissueの波長依存性は、経験的指数法則関数により適切に記述することができることが知られているが、これについて、[3]、[4]、[5]も参照のこと。
μtissue(λ)=a・λ−b (13)
ただし、a及びb定数は検出体積内に存在する散乱体(つまり、物質)のサイズ、濃度、及び相対屈折率に依存する。可視光波長域の組織中の主要吸光材は、酸素化及び非酸素化血液である。したがって、組織中では、式(10)は以下のようになる。
bs(λ)=Capp・aλ−b・exp(−0.6・dfiber・ρblood・(SO2・μspec,ox+(1−SO2)・μspec,deox))
=C’app・λ−b・exp(−0.6・dfiber・ρblood・(SO2・μspec,ox+(1−SO2)・μspec,deox)) (14)
ただし、ρbloodは血液の濃度、SO2はある検出体積中の血液酸素化(酸素飽和率)、Cappは較正定数cに依存する定数、C’appはCapp・a、λは波長、bは式13で定義されている散乱係数の勾配、μspec,oxは完全酸素化血液の比吸光係数、μspec,deoxは完全非酸素化血液の比吸光係数である。
【0053】
吸光材の不均一分布などの非線形現象は、式(14)の中に組み込まれないが、当業者であれば、それを追加することができ、これについては、例えば、[8]を参照されたい。
【0054】
完全酸素化(μspec,ox)血液及び完全非酸素化(μspec,deox)血液の比吸光係数は、図12に示されているように、よく知られているので、式(14)を測定データに当てはめて、散乱係数μtissueの勾配b、濃度ρblood、及び検出体積中に存在する血液の酸素飽和度SO2を求めることができる。血管内の血液の不均一分布に対する補正を行う場合、血管口径Dも決定できる。平均検出深さが小さい(例えば、0.1mm)場合、非侵襲的測定時に検出体積中に存在する血液は、毛細血管内に位置している。
【0055】
図13では、式(14)を使用した当てはめとともに人間の気管内の後方散乱の生体内測定が示されている。この測定は、400μmのファイバ口径を使用して実行される。ドットは、測定結果を示し、曲線130は、当てはめ曲線である。図13では、b=−0.94であり、酸素化SO2=95%である。
【0056】
本発明は、腫瘍検出に使用することができる。腫瘍増殖は、その過剰な酸素消費量のため、低毛細血管酸素飽和を伴うことがあり、これは、非常に局所的な測定を使用しないと判定できない。(前)癌組織は、一般に、正常組織よりも異質であるため、(前)癌組織に対する複数の測定結果の標準偏差は、正常組織の場合に比べて大きくなる可能性が高い。測定結果の標準偏差は、酸素飽和、血液濃度、血管口径、及び散乱係数μtissueの勾配bに関して計算することができる。本発明は、物質の濃度を物理的特徴として決定することに制約されることは決してないことに留意されたい。前の言い回しで述べた特徴はすべて、物理的特徴とみなせる。
【0057】
肺腫瘍の測定の一実施例が表14に示されている。この図の500〜600nmの波長範囲のディップの形状は、酸素消費量が過剰であるためこの腫瘍の毛細血管から酸素が減少することを示している。
【0058】
針状プローブを使用する場合、局所的酸素化及び散乱係数μtissueを非侵襲的に測定できる。これは、例えば、乳房の腫瘍の切除の際にリアルタイムで手術中に腫瘍辺縁を決定するのに役立つと考えられる。
【0059】
一実施例によれば、このデバイスは、サンプル1のさまざまな箇所で複数の同時測定を行うため複数のプローブ及びマルチチャネル分光計を備える。このデバイスを使用することで、例えば疑わしい病変のさまざまな箇所に対し複数の測定を同時に実行することができる。
【0060】
さらに他の実施例では、このデバイスは、異なるファイバ口径を有する、少なくとも2つのファイバ対を備える。例えば、100μmのファイバの対、口径200μmのファイバの対、及び口径400μmのファイバの対を使用する場合、平均行程長がファイバ口径の増大とともに長くなるにつれサンプル1内の異なる深さからの情報を取得することができる。
【0061】
本発明による方法及び装置は、さらに、局所的薬物濃度を分析するためにも使用できる。式(10)から、ある薬物の特定の吸光係数が知られている場合、その物質の局所濃度ρは、本発明を使用して決定することができる。
【0062】
本発明の他の可能性として、グルコース濃度の監視がある。散乱係数μtissueは、周辺媒質(組織中では細胞質)に関して散乱体の相対屈折率にとりわけ依存する。周辺細胞質の屈折率は、グルコースの濃度に依存する可能性が高い。グルコース濃度の変化は、したがって、散乱係数μtissueの勾配bに影響を及ぼす可能性が高く、これについては、式(13)を参照のこと。
【0063】
これまで本発明の特定の実施例を説明してきたが、本発明は説明した以外の方法でも実施することができることは理解されるであろう。例えば汚染された水の中の物質の濃度を計算することができる。この説明は、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】好ましい一実施例による測定デバイスの概略図である。
【図2a】光子の平均自由行程がファイバの口径よりもかなり大きい状況におけるサンプル及び2つのファイバ先端の断面を示す図である。
【図2b】光子の平均自由行程がファイバの口径よりもかなり大きい状況におけるサンプル及び2つのファイバ先端の断面を示す図である。
【図3】均質媒質に対するモンテカルロ・シミュレーションの結果を示す図である。
【図4】複数の散乱係数についてゼロ吸光で正規化された微分後方散乱信号の図である。
【図5】0.2μmのポリスチレン球の希釈懸濁液の微分後方散乱信号を示す図である。
【図6】全微分後方散乱信号を10〜100mm−1の範囲の反射係数μ(λ)の関数として示す図である。
【図7】測定された、及び計算された、平均行程長τを平均散乱係数の関数として示す図である。
【図8】波長の関数としてdcファイバ信号I、cファイバ信号J、及び微分後方散乱信号Rbsを示す3つの異なる吸光係数μに対する測定結果のグラフである。
【図9】エバンス・ブルー色素の比吸光係数を伴う吸光曲線Aの典型的スペクトルを示す図である。
【図10】λ=600nmにおける吸光係数μの関数として測定されたAを示す図である。
【図11】エバンス・ブルー色素を有する場合と有しない場合の1.0μmポリスチレン球の懸濁液中で測定された典型的スペクトルを示す図である。
【図12】波長の関数としてモル吸光係数を示すグラフである。
【図13】口径400μmのファイバを使用して実現される人間の気管内の生体中測定結果及び微分後方散乱信号Rbsの当てはめを示す図である。
【図14】肺腫瘍であることを表す非常に低い酸素化を示す人間の気管内の生体中測定結果及び微分後方散乱信号Rbsの当てはめを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒質の物理的特徴を決定する方法であって、
光源(2)により放射線を発生することと、
前記媒質のサンプル(1)上に、第1の口径を有する第1の光ファイバ(5)及び第2の口径を有する少なくとも1つの第2の光ファイバ(6)を備えるプローブを置くことと、
前記光源から発せられた光を前記第1の光ファイバを通して送ることと、
前記第1の光ファイバを通して第1の後方散乱放射線を、前記第2の光ファイバを通して第2の後方散乱放射線を集めることと、
前記第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号(I)を、前記第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号(J)を発生することと、
前記第1及び第2の信号(I,J)を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長の関数として決定することとを含み、
前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと前記物理的特徴を計算し、前記後方散乱関数は、検出された散乱光子が進む平均行程長(τ)の関数であり、前記平均行程長(τ)は、前記媒質の吸光係数(μ)及び前記媒質の散乱係数(μ)とは無関係であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記平均行程長(τ)は、さらに、前記第1及び第2の後方散乱放射線の波長(λ)とは無関係である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記行程長(τ)は、前記第1のファイバ口径に比例する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記後方散乱関数は、
bs=C1・μ・exp(−τ・μ
ただし、τ=C2・dfiber
により与えられ、C1及びC2は、定数であり、μ=前記媒質の前記吸光係数、μ=前記媒質の前記散乱係数、及びdfiber=前記第1のファイバ口径、である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
C2は、約0.6である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物理的特徴は、前記媒質内の少なくとも1つの物質の濃度である請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
媒質の物理的特徴を決定するデバイスであって、
放射線を発生するための光源(2)と、
少なくとも第1及び第2の光ファイバ(5、6)を備え、前記第1の光ファイバ(5)は第1の口径を有し、前記媒質のサンプル(1)上で前記放射線を送出するように、また前記サンプル(1)から第1の後方散乱放射線を集めるように配列され、前記第2の光ファイバ(6)は第2の口径を有し、第2の後方散乱放射線を集めるように配列され、前記第2の光ファイバ(6)は前記第1の光ファイバ(5)に平行に配置される、プローブと、
前記第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号(I)を発生し、前記第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号(J)を発生するための分光計(7)と、
前記第1及び第2の信号(I,J)を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長(λ)の関数として決定するように配列されたプロセッサ(9)とを備え、前記プロセッサは、前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数(Rbs)へと前記物理的特徴を計算するように配列され、前記後方散乱関数は、検出された散乱光子が進む平均行程長(τ)の関数であり、前記平均行程長(τ)は、前記媒質の吸光係数(μ)及び前記媒質の散乱係数(μ)とは無関係であることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
コンピュータによりロードされるコンピュータ・プログラム製品であって、ロード後、前記コンピュータに、
第1のファイバ(5)から受信された、集められた放射線を示す第1の信号(I)及び第2のファイバ(6)から受信された、集められた放射線を示す第2の信号(J)を受信する能力と、
前記第1及び第2の信号(I,J)を使用して、測定された微分後方散乱信号(Rbs)を前記集めた放射線の波長の関数として決定する能力とを与え、
前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと物理的特徴を計算する能力であって、前記後方散乱関数は、検出された散乱光子が進む平均行程長(τ)の関数であり、前記平均行程長(τ)は、前記媒質の吸光係数(μ)及び前記媒質の散乱係数(μ)とは無関係である、計算する能力を特徴とする前記コンピュータ・プログラム製品。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータ・プログラム製品を備えるデータ記憶媒体。
【請求項10】
媒質の物理的特徴を決定する方法であって、
光源(2)により放射線を発生することと、
前記媒質のサンプル(1)上に、第1の口径を有する第1の光ファイバ(5)及び第2の口径を有する少なくとも1つの第2の光ファイバ(6)を備えるプローブを置くことと、
前記光源から発せられた光を前記第1の光ファイバを通して送ることと、
前記第1の光ファイバを通して第1の後方散乱放射線を、前記第2の光ファイバを通して第2の後方散乱放射線を集めることと、
前記第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号(I)を、前記第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号(J)を発生することと、
前記第1及び第2の信号(I,J)を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長の関数として決定することとを含み、
前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと前記物理的特徴を計算し、前記後方散乱関数は光子の平均自由行程の関数であることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記後方散乱関数(Rbs)は、
【数1】


により定義され、Capp’は、装置定数であり、p(λ,180)は、位相関数であり、μ(λ)は、前記媒質の散乱係数であり、λは、前記第1及び第2の後方散乱放射線の波長であり、mfp(λ)は、前記波長の関数としての前記平均自由行程であり、nは、前記媒質内の物質の数であり、ρは、前記サンプル(1)の検出体積内に存在する吸光材iの濃度であり、μspec,i(λ)は、前記波長の関数としての物質iの吸光係数である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記物理的特徴は、前記媒質内の少なくとも1つの物質の濃度である請求項10から11までのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
媒質の物理的特徴を決定するデバイスであって、
放射線を発生するための光源(2)と、
少なくとも第1及び第2の光ファイバ(5、6)を備え、前記第1の光ファイバ(5)は第1の口径を有し、前記媒質のサンプル(1)上で前記放射線を送出するように、また前記サンプル(1)から第1の後方散乱放射線を集めるように配列され、前記第2の光ファイバ(6)は第2の口径を有し、第2の後方散乱放射線を集めるように配列され、前記第2の光ファイバ(6)は前記第1の光ファイバ(5)に平行に配置される、プローブと、
前記第1の後方散乱放射線に基づき第1の信号(I)を発生し、前記第2の後方散乱放射線に基づき第2の信号(J)を発生するための分光計(7)と、
前記第1及び第2の信号(I,J)を使用して、測定された微分後方散乱信号を波長(λ)の関数として決定するように配列されたプロセッサ(9)とを備え、
前記プロセッサは、前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数(Rbs)へと前記物理的特徴を計算し、前記後方散乱関数は光子の平均自由行程の関数であることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
コンピュータによりロードされるコンピュータ・プログラム製品であって、ロード後、前記コンピュータに、
第1のファイバ(5)から受信された、集められた放射線を示す第1の信号(I)及び第2のファイバ(6)から受信された、集められた放射線を示す第2の信号(J)を受信する能力と、
前記第1及び第2の信号(I,J)を使用して、測定された微分後方散乱信号(Rbs)を前記集めた放射線の波長の関数として決定する能力とを与え、
前記測定された微分後方散乱信号の曲線当てはめにより後方散乱関数へと物理的特徴を計算する能力であって、前記後方散乱関数は光子の平均自由行程の関数である、計算する能力を特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータ・プログラム製品を備えるデータ記憶媒体。
【請求項16】
前記方法は、
前記サンプル(1)のさまざまな配置で後方散乱放射線を同時に測定することと、
前記異なる位置について物理的特徴を決定することと、
前記物理的特徴の標準偏差を計算することとを含む請求項1から6まで、10から12までのいずれかによる方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−506114(P2007−506114A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527929(P2006−527929)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000657
【国際公開番号】WO2005/029051
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(502296763)
【Fターム(参考)】