説明

徐放性ワクチン組成物

1以上の抗原成分;医薬として許容されるその非液体アジュバント;及び場合により非液体ワクチン保護剤を含む非液体ワクチン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクチン組成物、特に徐放性ワクチン組成物、そして特に埋め込み錠(implant)、ペレット、錠剤、エアロゾル、粉末、又は顆粒形態における徐放性組成物に関する。より具体的に、本発明は、一回で様々な適応症の治療を提供する徐放性ワクチン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの慣用されるワクチン組成物は、免疫を提供するために多くの追加ワクチン接種又はブースターワクチン接種を必要とする。一の疾患病原体に対して複数回ワクチン接種する必要性は、家畜動物の場合において、それぞれの動物を初回ワクチン接種及び追加ワクチン接種を受けるように複数回処理せねばならない点で問題となることがある。この動物を複数回処理することは、時間の浪費であり、かつ費用のかかるものである。実際、追加ワクチン接種は、省略されたり又は遅延されたりすることもある。追加免疫接種を受けないと、その個体が疾患病原体に対して免疫力を獲得することができないということをもたらしうる。
【0003】
従来技術において多くの薬剤デリバリー・システムが知られている。
【0004】
例えば、生体中に投与された後に非分解性である疎水性ポリマー物質を担体として使用する制御放出製剤(controlled drug-release preparation)である。かかる製剤からの薬剤の放出を制御する2つの方法が存在する;一つ目は、アルブミンなどの添加剤を使用することであり(特公平07-61959)、そしてもう一つは、疎水性ポリマーのみからなる外層を形成することによる(特公平07-187994)。
【発明の開示】
【0005】
したがって、好ましくは一回の適用又は投与によりワクチン接種された動物において改善された抗体応答率を提供しうるワクチン組成物が提供されるならば、従来技術に対する大幅な進歩となるであろう。
【0006】
さらに、従来技術ではワクチン接種と抗体応答とのあいだに、かなり時間のずれが存在する。より早い免疫の開始並びに長期間にわたる免疫応答の残留を作り出すことが可能であるならば、治療される潜在的な疾患の適応症の性質及び範囲が広がるであろう。
【0007】
したがって、従来技術に関連する1以上の困難性及び欠点を克服するか又は少なくとも軽減することが本発明の目的である。
【0008】
本発明の第一態様において、以下の:
1以上の抗原成分;
非液体のワクチン組成物用の医薬として許容されるアジュバント;及び場合により
非液体のワクチン保護剤
を含む非液体のワクチン組成物が提供される。
【0009】
本発明の好ましい態様において、徐放性ワクチン装置が提供される。当該装置は以下の:
非液体のワクチン組成物であって、以下の:
1以上の抗原成分;
徐放性支持物質;
非液体のワクチン組成物用の医薬として許容されるアジュバント;及び場合により
非液体のワクチン保護剤
を含む組成物を含み、そして使用に際して免疫応答を刺激及び/又は維持するために十分な放出割合を提供する。
【0010】
本明細書に使用される「非液体のワクチン組成物」という用語は、乾燥相形態、例えば固体(自由に流れず、そしてその形を維持できるゲルを含む)、気体、又は混合相で提供されるワクチン組成物を指すか、或いは使用前に乾燥相物質を形成するように変更されるか又は使用前に乾燥相形態から液体形態へと変更される。
【0011】
ワクチン組成物は、埋め込み錠、ペレット、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、微粒子、又はナノ粒子製剤、エアロゾル(つまり、微細な固体粒子の気体状の懸濁剤)、液体(例えば飲料水)中に溶解又は懸濁される粉末などを含む任意の適切な形態で提供されうる。ワクチン組成物は、例えばジェット式注射システム(jet injection system)を介して高速デリバリー(high speed delivery)用に剤形されることもある。例えば、当該ワクチン組成物は、その表面を固める成分を含むこともある。当該ワクチン組成物は、高出力推進力デリバリー(high power propulsion delivery)用の形にされることもある。
【0012】
非液体のワクチン組成物を製造することにより、達成可能な免疫応答を改善することが可能であることを出願人は驚くべきことに発見した。我々は理論により制限されることを望まない一方、我々は、免疫応答の改善が、非液体ワクチン組成物からの抗原成分の定常放出により達成されると仮定した。定常放出は、最初に免疫系を刺激し、続いて免疫系をブーストするように作用しうる。免疫系の第初回及び第二(追加)刺激は、非液体ワクチン組成物の一回の適用後に生じうる。慣用される多くのワクチン組成物は、分離した出来事として初回及び追加ワクチンの投与を必要とする。
【0013】
1の埋め込み錠中に含まれうる抗原の数を増加させ、そうして多抗原製剤を提供することがさらに可能である。
【0014】
より具体的に、従来技術の教示とは反対に、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)などを使用する場合、アジュバントを水性溶媒、ゲル溶媒、又は他の溶媒相中で提供することが必要ではないということを発見した。
【0015】
本発明のさらなる実施態様では、以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩;及び場合により
ワクチン保護剤
を含むワクチン組成物が提供される。
【0016】
好ましい態様では、徐放性ワクチン装置が提供される。当該装置は以下の:
ワクチン組成物であって、以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;
徐放性支持物質;及び場合により
ワクチン保護剤
を含む組成物を含み、そして、使用に際して免疫応答を開始し、及び/又は刺激し、及び/又は維持するために十分な放出割合を提供する。
【0017】
本発明の態様に従ったワクチン組成物は、使用に際して、即座の免疫開始を生じさせ、並びに長期間に渡る免疫応答の維持を生じさせうる。例えば自然の方法により免疫応答が開始された場合、ワクチン組成物は、免疫応答に対する持続性の刺激として作用しうる。こうして、ワクチン組成物は、長期間にわたる免疫応答を維持させる。
【0018】
免疫応答の即座の開始は、動物又はヒトのウイルス、寄生虫、又は細菌感染、例えば炭疽病、狂犬病、口蹄病、ウシ呼吸器疾患の予防的及び感染が生じた際の治療的処置を可能にしうる。様々な癌の同様の処置は特に好ましい。
【0019】
徐放性ワクチン装置は、成長、生殖、及び消化を含む生理プロセスの調節においてさらに利用されうる。
好ましくは、徐放性ワクチン装置は、ほぼ抗原の0次放出(approximately zero order release of antigen)をもたらしうる。
【0020】
好ましくは、徐放性ワクチン装置は、低温流通体系(cold chain)又はかさばる液体組成物を必要とすることなく、慣用される液体ワクチンの効果を一般的に再現するように剤形されうる。したがって、ワクチン装置は、剤形及び取り扱いにおいてかなりの利点を提供しうる。
【0021】
徐放性ワクチン装置は、小型埋め込み錠又はペレットの形態でありうる。好ましくは、組合せにおける徐放性の小型埋め込み錠又はペレットは、選択された適応症について約1〜52週間、好ましくは1〜26週間の長期間のあいだ、予め決められた閾値に少なくとも等しい抗原の血中レベルを提供しうる。
【0022】
本発明に記載される徐放性ワクチン装置の各々は生物適合性であり、そして場合により生物分解性であってもよい。
【0023】
上記されるように、ワクチン組成物は1以上の抗原成分を含む。本発明に記載される抗原成分は、例えば、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、DNA又はRNA断片、ハプテン-担体の組合せ、オリゴ糖、又は多糖、オリゴヌクレオチド、又はポリヌクレオチド、弱毒化生ウイルス及び/又は細菌、他の抗原性化合物、又は上記のいずれかをコードするDNA/RNA配列を含む。例えば、抗原成分は、ウイルス、細菌、寄生虫などの病原性生物に由来することもあるし、そして場合によりこれらの生物に由来する抗原の断片を含むこともあり、或いは抗原成分は合成的に調製され、そして天然抗原決定因子に一致するか、又は当該決定因子に由来することもある。
【0024】
抗原成分は、好ましくは1以上の疾患病原体、例えば、任意の病原性、細菌性、(DNA又はRNA)ウイルス性、原核生物性、マイコプラズマ性、又は寄生虫性疾患に対して活性な成分を含んでもよい。例えば、疾患病原体は、非限定的に
アデノウイルス AIDS
炭疽菌 BCG
クラミジア コレラ
シルコウイルス ブタコレラ(Classical swine fever)
コロナウイルス ジフテリア-破傷風(小児用DT)
ジフテリア-破傷風(成人用tD) ジステンパーウイルス
DTaP DTP
大腸菌(E.coli) アイメリア(コクシジウム症)
脳炎 ネコ免疫不全ウイルス
ネコ白血病ウイルス 口蹄病
ヘモフィルス A、B、C、D、E、F型肝炎
B/Hib型肝炎 ヘルペスウイルス
Hib インフルエンザ
日本脳炎 ライム病
はしか 麻疹-風疹
髄膜炎菌 MMR
おたふく風邪 マイコプラズマ
パラインフルエンザウイルス パルボウイルス
パスツレラ 百日咳
ペスティウイルス ペスト
肺炎菌 ポリオ(IPV)
ポリオ(OPV) シュードラビス(Pseudorabies)
狂犬病 呼吸器合胞体ウイルス
鼻気管炎(Rhinotrachelitis) ロタウイルス
風疹(Rubella) サルモネラ
SARS 破傷風
腸チフス 水痘
ウイルス性下痢ウイルス(Viral diarrhoea virus) 黄熱病
からなる群から選ばれうる。
【0025】
抗原成分は、不活性型パルボウイルス、不活性型鼻気管炎、不活性型ウイルス性下痢ウイルス、破傷風トキソイド抗原、クロストリジウム抗原、又はその組合せを含みうる。
【0026】
ワクチン組成物は、1〜12以上の抗原成分、好ましくは2〜8個の抗原成分、より好ましくは3〜7個の抗原成分を含んでもよい。
【0027】
抗原成分は、任意の適切な量でワクチン組成物中に存在しうる。抗原成分は、ワクチン組成物の総重量に基づき約0.1〜50重量%、好ましくは約0.1〜40重量%、より好ましくは約0.1〜5重量%の量で存在しうる。
【0028】
上に記載されるように、ワクチン組成物はさらに、医薬として許容される好ましくは非液体のアジュバントを含む。当該アジュバントは、任意の適したタイプであってもよい。好ましい非液体アジュバントの使用は、低温流通体系及び/又はかさばる液体組成物の排除を許容し、並びにワクチン製剤にアジュバント付加する工程についての必要性を避けることを許容する。
【0029】
「アジュバント」という用語により、我々は抗原に対する免疫応答を高める任意の物質を意味する。本発明に記載されるワクチン組成物中において有用であるアジュバントは、カルシウム又はアルミニウム塩などのミネラル塩、鉱物油又は非鉱物油、細菌生成物、リポソーム、サポニン、免疫刺激複合体、及び生物分解性微粒子を含むミネラル化合物を含む。
【0030】
本明細書中に使用される「非液体アジュバント」という用語により、我々は、固体形態として提供されるか又はワクチン組成物中に取り込まれる前に固体を形成するように改変されるか、或いはワクチン組成物中に取り込まれる前に固体系体から液体又は溶液形態に改変されるアジュバントを意味する。
【0031】
かかるアジュバントは、当該技術分野においてよく知られており、そしてミネラル塩、サポニン、例えばQuil A、鉱物油、例えばMarcol52、非鉱物油、例えばMontanide103(SEPPIC, Paris)、及びPluronicポリマー、例えばL121(BASF, NJ)を含む。
【0032】
ある実施態様では、ワクチン組成物は、液体形態のアジュバントを含む他のアジュバントを含んでもよい。使用されうる他のアジュバントは、スクアレン及びスクアレン、アジュバント65(ピーナッツ油、モノオレイン酸マンニド、及びモノステアリン酸アルミニウム)、界面活性剤、例えばヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、リソレシチン、ジメチル-ジオクタデシルアンモニウム・ブロミド、N,N-ジオクトラデシル-N,N1-ビス(2-ヒドロキシエチル)-プロパンジアミン、メトキシ-ヘキサデシルグリセロール、及びプルロン酸ポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、例えばピラン、硫酸デキストラン、ポリアクリル酸及びカルボポール、ペプチド及びアミノ酸、例えばムラミル・ジペプチド、デメチルグリセリン、タフトシン及びトレハロース・ジミコレート、Adju-Phos、アルガルグルカン(Algal Glucan)、アルガムリン(Algammulin)、アルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、リン酸アルミニウム (AlPO4)、アルヒドロゲル(Alhydrogel)、抗原製剤、アブリジン(Avridine)、Bay R1005、カルシトリオール、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム・ゲル、コレラ・ホロトキシン(CT)、コレラ・トキシンBサブユニット(CTB)、CRL1005、DDA、DHEA、DMPC、DMPG、DOC/ミョウバン複合体、γイヌリン、ゲルブアジュバント(Gerbu Adjuvant)、GMDP、イミキモド、ImmTher、インターフェロンγ、イスコプレップ(Iscoprep)7.0.3、ロキソリビン(Loxoribine)、LT-OA、又はLT経口アジュバント、MF59、マンナン、モンタニド(MONTANIDE)ISA51、モンタニドISA720、MPL、MTP-PE、MTP-PE、ムラメチド(Murametide)、ムラパルミチン(Murapalmitine)、D-ムラパルミチン、NAGO、非イオン性界面活性剤小胞、プレウラン(Pleuran)、PLGA、PGA及びPLA、プルロニック(Pluronic)L121、PMMA、PODDS、ポリRa:ポリrU、ポリホスファゼン(Polyphosphazene)、ポリソルベート(Polysorbate)80、タンパク質コクレエート(Protein Cochleates)、QS-21、Quil A、レヒドラゲル(Rehydragel)HPA、レヒドラゲルLV、S-28463、SAF-1、スクラボ・ペプチド(Sclavo peptide)、センダイ・プロテオリポソーム(Sendai Proteoliposomes)、センダイ-含有脂質マトリックス、スパン85、スペコール(Specol)、ステアリル・チロシン、セラミド、スレオニル-MDP、及びTy粒子を含む。
【0033】
医薬として許容されるアジュバントは、好ましくはミネラル塩、例えば乾燥カルシウム又はアルミニウム塩、例えばCa3(PO4)2、Al(OH)3、又はAlPO4、及び/又はサポニンを含む。
【0034】
他の実施態様では、ワクチン組成物が、非液体ワクチン組成物以外である場合、非液体アジュバントは、1以上のミネラル塩から選択される。好ましくは、ミネラル塩は、1以上のカルシウム又はアルミニウム塩から選ばれる。より好ましくは、アジュバントは、硫酸カルシウム、リン酸アルミニウム、及び水酸化アルミニウムのうちの1以上から選ばれる。
【0035】
アジュバントは、ワクチン組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜30重量%、好ましくは約0.1重量%〜30重量%、より好ましくは約0.1重量%〜5重量%の量で存在することもある。
【0036】
上に記載されるように、ワクチン組成物は、好ましくはワクチン保護剤を含みうる。
【0037】
ワクチン保護剤は、抗原に「付き添う」ように機能し、そして抗原及び/又はアジュバントの放出割合の制御を許容する。ワクチン保護剤は、非液体形態であり、そしてタンパク質、好ましくは動物タンパク質、例えば全血又はその分画を含むこともある。
【0038】
ワクチン保護剤は、好ましい態様では、さらに疾患適応症に対して受動免疫を提供するか又は高めるように機能するように選ばれうる。
【0039】
イムノグロブリン(モノクローナル抗体を含む)、例えばγ-グロブリン、より好ましくはヒト又は動物γ-グロブリンが使用されてもよい。免疫グロブリンは、特定の疾患に対する特異的抗体を提供するように選択されうる。
【0040】
ワクチン保護剤は、比較的多くの量で存在しうる。ワクチン保護剤は、ワクチン組成物の総重量に基づいて約10〜60重量%、好ましくは約10〜40重量%の量で存在しうる。
【0041】
したがって、本発明の好ましい態様では、非液体ワクチン組成物は、以下の:
複数の抗原成分;
医薬として許容される非液体アジュバント;及び場合により
非液体ワクチン保護剤
を含みうる。
【0042】
抗原成分は、不活性型パルボウイルス、鼻気管炎、ウイルス性下痢ウイルス、破傷風トキソイド抗原、クロストリジウム抗原、又はその組合せから選ばれうる。2〜12、より好ましくは3〜7個の抗原構成要素の組合せが使用されうる。
【0043】
医薬として許容されるアジュバントは、カルシウム又はアルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムを、非液体形態で含みうる。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施態様では、以下の:
複数の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;及び場合により
ワクチン保護剤
を含むワクチン組成物が提供される。
【0045】
ワクチン保護剤は、免疫グロブリン(モノクローナル抗体を含む)、好ましくはγグロブリンであって、特定の疾患に対する受動免疫をもたらし又は高めるように機能しうるものを含んでもよい。
【0046】
ワクチン組成物が、非液体ワクチン組成物以外である場合、非液体ミネラル塩アジュバントは、1以上のカルシウム又はアルミニウム塩、より好ましくは1以上のリン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、及び水酸化アルミニウムから選ばれうる。
【0047】
ワクチン組成物は、医薬として許容される担体をさらに含むことがある。
【0048】
医薬担体は、当該組成物から長期間に渡り抗原成分を放出することを支援するために選ばれうる。
当該担体は、水溶性又は水不溶性物質を含みうる。
【0049】
水溶性物質は、薬剤分散の間隙中への水の浸潤を制御する役割を果たす物質である。水溶性物質に関して、当該物質が、一度剤形されると、投与される動物又はヒトの体温において非液体状態であり、そして生理学的に許容されかつ水溶性であるということ以外に制限するものはない。
【0050】
一の水溶性物質、又は2以上の水溶性物質の組合せが使用されうる。水溶性物質は、合成ポリマー(例えば、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・ポリプロピレン・グリコール)、糖(例えば、スクロース、マンニトール、グルコース、硫酸コンドロイチン・ナトリウム)、多糖(例えば、デキストラン)、アミノ酸(例えば、グリシン及びアラニン)、ミネラル塩(例えば塩化ナトリウム)、有機塩(例えばクエン酸ナトリウム)、及びタンパク質(例えば、ゼラチン及びコラーゲン、並びにそれらの混合物)からなる群の1以上から特異的に選択されうる。
【0051】
さらに、水溶性物質が、有機溶媒及び水の両方に溶解する両親媒性物質である場合、当該物質は、その溶解度を変化させることにより、例えば脂溶性薬剤の放出を制御する効果を有する。両親媒性物質は、非限定的に、ポリエチレン・グリコール又はその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・グリコール又はその誘導体、脂肪酸エステル、及び糖のアルキル硫酸ナトリウム、並びにより具体的に、ポリエチレン・グリコール、ポリオキシ・ステアレート40、ポリオキシエチレン-[196]ポリオキシプロピレン[67]グリコール、ポリオキシエチレン[105]ポリオキシプロピレン[5]グリコール、ポリオキシエチレン[160]ポリオキシプロピレン[30]グリコール、脂肪酸スクロース・エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デソキシコール酸ナトリウム(sodium desoxycholic acid)(又はデオキシコール酸ナトリウム(DCA))であって、その平均分子量が1500超であるものからなる群から選ばれる1以上の物質を含む。
【0052】
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム、又はDCA、又はそれらのうちの2以上の混合物が好ましい。
【0053】
さらに、水溶性物質が、薬剤、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、又はワクチンとして使用される抗原物質からなる群のうちの1以上から選ばれる物質を含みうる。
【0054】
水不溶性担体は、存在する場合、薬剤分散の隙間への水の侵入を制御する役割を果たす物質を含みうる。水不溶性物質に関して、一度剤形されると、投与される動物又はヒトの体温で非液状態であり、そして生理学的に許容されるということ以外に制限がない。1の水不溶性物質又は2以上の水不溶性物質の組合せが使用されてもよい。
【0055】
水不溶性物質は、水不溶性ポリマー、レジン、及びラテックス、例えば水不溶性アクリレート、メタクリレート、及び他のカルボキシ・ポリマー、ワックス、脂質、例えばリン脂質及びリポタンパク質からなる群の1以上から具体的に選ばれうる。
【0056】
医薬担体は、ワクチン組成物の総重量に基づいて、約1重量%〜20重量%、好ましくは約10重量%〜20重量%を構成しうる。
【0057】
ワクチン組成物は、さらに医薬として活性な成分を含みうる。医薬活性成分は、水不溶性の医薬、水溶性の医薬、又はそれらの混合物を含みうる。
【0058】
本発明に記載される徐放性デリバリー装置において有用である水溶性抗原は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、及び核酸などを含む。
【0059】
本発明は、極めて少量でかなり活性であり、そしてその長期間の徐放性投与が模索されている医薬について特に適している。実質的な増加量で使用される場合、かかる医薬は、従来長期間に渡り治療することができなかった疾患適応症に適用されうる。医薬は、サイトカイン(例えば、インターフェロン及びインターロイキン)、造血因子(例えば、コロニー刺激因子及びエリスロポエチン)、ホルモン(例えば、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、カルシトニン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、及びインスリン)、成長因子(例えば、ソマトメジン、神経成長因子)、神経栄養因子、線維芽細胞成長因子、及び肝細胞増殖因子、細胞接着因子;免疫抑制剤;酵素(例えば、アスパラギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、及びプロウロキナーゼ)、血液凝固因子(例えば、血液凝固第VIII因子)、骨代謝に関与するタンパク質(例えば、BMP(骨形成タンパク質))、及び抗体からなる群から選ばれる1以上により例示されうる。成長ホルモン又は成長因子が特に好ましい。
【0060】
インターフェロンは、α、β、γ、又は他の任意のインターフェロン、或いはそれらの任意の組合せを含みうる。同様に、インターロイキンは、IL-1、IL-2、IL-3、又は他の任意のものであってもよく、そしてコロニー刺激因子は、マルチ-CSF(多能性CSF)、GM-CSF(顆粒球-マクロファージCSF)、G-CSF(顆粒球CSF)、M-CSF(マクロファージCSF)、又は他の任意のものであってもよい。
【0061】
本発明に記載されるワクチン組成物中に含まれうる医薬は、さらに、水溶性抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、アルキル化剤、及び免疫抑制剤などの低分子量薬剤によりさらに例示されうる。これらの薬剤の例は、アドリアマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、フルオロウラシル、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、ネオカルチノスタチン、シゾフィラン、エストラムスチン・リン酸ナトリウム、カルボプラチン、βラクタム、テトラサイクリン、アミノ配糖体、及びホスホマイシンを含む。
【0062】
本発明のワクチン組成物は、疾患及び適用方法に依存して2以上の薬剤を含みうる。
【0063】
本発明に記載される徐放性デリバリー装置において使用されうる水不溶性の医薬活性成分は、親油性医薬を含む。
【0064】
疾患又は適用方法に依存して、複数の親油性薬剤が含められてもよい。
【0065】
医薬活性成分は、比較的少量のワクチン組成物中に存在してもよい。医薬活性成分は、ワクチン組成物の総重量に基づいて約1〜25重量%、好ましくは約1〜5重量%の量で存在しうる。
【0066】
徐放性ワクチン装置の各々は、さらに担体又は賦形剤、潤滑剤、充填剤、可塑剤、結合剤、着色剤、及び安定化剤を含んでもよい。
【0067】
適切な充填剤は、タルク、酸化チタン、デンプン、カオリン、セルロース(微結晶又は粉末)、及びそれらの混合物からなる群から選ばれうる。
【0068】
徐放性ワクチン装置は、任意の形であってもよく、そして当該技術分野に知られているワクチン・デリバリー用の任意の方法により投与されてもよい。例えば、当該装置は、非限定的に、埋め込み錠、注射、エアロゾル、高出力推進、例えばジェット式注射などからなる群から選ばれる方法によりデリバリーするために剤形されうる。
【0069】
当該装置は、好ましくは、例えば筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、経皮、静脈内、又は同様の経路を介して適切な部位にワクチンをデリバリーするために剤形されうる。
【0070】
徐放性ワクチン装置は、小型埋め込み錠又はペレットの形態でありうる。小型埋め込み錠又はペレットは、被覆ロッド(covered rod)又はマトリクス型でありうる。押出しロッドが好ましい。被覆押出しロッド様の形態が好ましい。
【0071】
小型埋め込み錠又はペレットの大きさ、数、長さ、直径、及び充填量は、選択される医薬活性成分及び/又は抗原によって変わりうる。
【0072】
大きさ、数、及び充填量の最適な組合せは、簡単な実験を通して達成されうる。
例えば、獣医適用では、本発明に記載される典型的なヒツジ用埋め込み錠は、1.5mmの外径×2cmの長さの寸法を有しうる。
【0073】
好ましくは徐放性デリバリー装置は、ほぼ抗原の0次放出をもたらしうる。
好ましくは、徐放性デリバリー装置は、低温流通体系又はかさばる液体製剤を必要とすることなく、慣用される液体ワクチンの効果を再現するように剤形されうる。
徐放性支持物質は、支持物質又はロッド、好ましくは被覆されたロッド構造の形態をとりうる。徐放性支持物質は、開口末端を有する円柱状のロッドの形態をとりうる。
【0074】
徐放性支持物質は、生分解性又は生物適合性の物質、好ましくは生物適合性疎水性物質から形成されうる。生物適合性物質は、ポリエステル、ポリアミノ酸、シリコーン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれてもよい。好ましくは、徐放性支持物質は、シリコーン製物質である。シリコーン製のロッドが好ましい。シリコーン製物質は、多孔性シリコーン又はバイオシリコーン物質であってもよく、例えば国際特許出願PCT/GB99/01185に記載されている。当該文献の開示全ては、本明細書中に援用される。メソ多孔性、微小孔性、又は多結晶性シリコーン、又はそれらの混合物が使用されてもよい。
【0075】
本発明において使用されうる生分解性のポリマーは、非限定的に、ポリエステル、例えばポリ(乳酸-グリコール酸)共重合体(PLGA)、疎水性ポリアミノ酸、例えばポリアラニン、ポリロイシン、ポリ無水物、ポリ(グリセロール-セバシン酸エステル)(PGS)、バイオポール、プルロン酸ポリオール(ポロキサマー)などにより例示されうる。疎水性ポリアミノ酸は、疎水性アミノ酸から調製されるポリマーを意味する。
【0076】
本発明に置いて使用されうる生物非分解性ポリマーは、非限定的に、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、例えばポリメチルメタクリレートなど、エチレン-ビニル酢酸共重合体などにより例示されうる。
【0077】
より好ましくは、本出願人の国際特許出願PCT/AU02/00865に記載されるシリコーン・エラストマーが使用されうる(当該開示の全ては、本明細書に援用される)。例えば、シリコーン・エラストマーは、補強剤としてヒュームド・シリカを含むメチル-ビニル・シロキサン・ポリマーから形成されうる。徐放性支持物質は、徐放性装置の約30〜85重量%、好ましくは約35〜50重量%を構成し、その残りがワクチン組成物から形成される。
【0078】
適切な結合剤は、ポリビニル・ピロリドン、ヒドロキシプロピル・セルロース、及びヒドロキシプロピル・メチル・セルロース、及びその混合物を含む。
【0079】
本発明に記載される徐放性埋め込み錠は、ロッド様形状を有することもあり、例えば、円柱、角柱、及び楕円円筒から選ばれる。当該デバイスが、注射器型装置を用いて投与される場合、円柱状のデバイスが好ましい。なぜなら、注射器及び注射針は、通常円柱形状を有するからである。
【0080】
本発明に記載される徐放性埋め込み錠は、本出願人の「Preparation of sustained release pharmaceutical composition」という名称の国際特許出願PCT/AU2002/000868にしたがって製造されうる。この文献の開示全てを本明細書に援用する。
【0081】
横断面において観察される本発明の医薬製剤の内部層は、異なる水溶性医薬を含む2以上の層を含みうる。これらの層は、1の重心を有する同心円の形状をとるか、又はそのそれぞれの重心が断面図において異なる点に存在する複数の内部層として現れうる。医薬製剤が1超の内部層を含む場合、内部層には1以上の医薬が存在するであろう。例えば、各層が異なる医薬を含むか、又は1又は全ての内部層中に1超の医薬があるように、医薬が存在する。
【0082】
例えば、注射器型の装置を用いる場合、その形状は円柱上であり、その場合の断面の直径は、好ましくは0.2〜5mm、好ましくは約0.5〜5mm、より好ましくは約1〜2mmである。軸長は、好ましくは約0.2〜40mm、好ましくは0.5〜30mm、より好ましくは1〜20mmである。
【0083】
本発明に従った徐放性埋め込み錠は、好ましくは、長期間の0次放出を達成するために二重層構造を有することもある。
【0084】
二重層構造は、以下の:
抗原含有内部層;及び
水不浸透性の外部層
を含みうる。
【0085】
水不浸透性の外部層は、シリコーン物質から形成されてもよい。より好ましくは水不浸透性の外部層は、液体シロキサン成分を含む液体被覆組成物から形成されうる。
【0086】
二重層構造を有する徐放性埋め込み錠が予期されない放出特性を示すということを、本出願人らは驚くべきことに発見した。予想とは逆に、最大血清レベルは、単に持続性の放出が維持される期間ばかりでなく、埋め込み錠の長さと共に変化する。理論により制限されることを望まない一方、特に低分子について、被覆ロッド埋め込み錠の開口末端からのみ生じるのではなく、水不浸透性外部層を通しても起こるということが仮定される。
【0087】
かかる放出メカニズムは、単に埋め込み錠の長さを変えることにより、放出割合及び放出時間の両方の設計においてかなりの自由度をもたらす。こうして、例えば、様々な大きさの埋め込み錠は、様々な所望の治療計画量をデリバリーするために含められてもよい。
【0088】
二重層構造が使用される場合、医薬を含有する内部層及び水不浸透性の外部層は、別々に又は同時に作成されてもよい。
【0089】
望ましくは、ロッド様埋め込み錠は、外側被覆層を含む。外部層の厚さは、その物性及び所望の放出割合の関数として選択されるべきである。外部層の厚さは、外部層の指定された機能が満たされる限り決定的ではない。外部層の厚さは、好ましくは約0.05mm〜3mm、より好ましくは0.05mm〜0.25mm、そして最も好ましくは0.05mm〜0.1mmである。
【0090】
一の末端でのみ開口末端を有する医薬製剤は、医薬製剤の一の末端を、外部層物質を溶解している溶液中に浸すことにより、又は外部層物質から作成されたキャップで医薬製剤の1の末端をカバーすることにより作成されうる。さらに、医薬製剤の作成は、一の末端で閉口末端を有する外部層のケース中に内部層を挿入し、そして当該ケース内に内部層を形成させることを含む。ここで内部層及び外部層は別々に作成される。
【0091】
本発明のさらに好ましい態様において、徐放性キットであって、以下の:
ワクチン・デリバリー装置;及び
上で記載される徐放性の液体又は非液体ワクチン組成物
を含むキットが提供される。
【0092】
ワクチン・デリバリー装置は、任意の適切なタイプでありうる。任意の適切なデリバリー装置が使用されてもよい。注射装置が好ましい。高速注射装置が好ましい。例えば、獣医適用において、皮下デリバリー用の注射装置は、徐放性デリバリー装置として使用されうる。
【0093】
例えば、複数のペレット又は錠剤が、標準注射装置において使用される1のカートリッジ内に提供されうる。次に当該ペレット又は錠剤は、治療を受ける動物の体内に個々の小型ペレットとして滞留する。
【0094】
本発明のさらに好ましい形態では、複数の徐放性埋め込み錠は、生分解性の鞘の中に提供されうる。生分解性の鞘は、水溶性物質から形成されうる。
【0095】
生分解性の鞘中に使用される水溶性物質は、以下に記載される1以上の水溶性物質から選ばれうる。
【0096】
本発明のさらなる態様では、かかる治療を必要とする動物(ヒトを含む)において適応症の治療又は予防処置のための方法が提供される。当該方法は、哺乳動物に、非液体ワクチン組成物であって以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;及び場合により
非液体ワクチン保護剤及び/又は
医薬として許容される担体
を含む組成物を投与することを含む。
【0097】
好ましい態様において、当該方法は、動物に、徐放性ワクチン装置であって、以下の:
非液体ワクチン組成物であって以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;
徐放性支持物質;及び場合により
非液体ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含む組成物を含む装置を投与し、その結果免疫応答を開始し、及び/又は刺激し、及び/又は維持することを含みうる。
【0098】
徐放性ワクチン組成物は、任意の適切な形態、例えば埋め込み錠、ペレット、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、エアロゾルなどで提供されうる。ワクチン組成物は、例えばジェット式注射システムを介して高速デリバリー用に剤形されうる。例えば、ワクチン装置は、その表面を固める成分含んでもよい。ワクチン装置は、高出力推進デリバリーに用いる形状にされてもよい。
【0099】
上記されるように、ワクチン組成物は、使用に際して高められた免疫応答を提供しうるということが分かった。ワクチン組成物は、さらに迅速な免疫の開始及び長期間にわたる免疫応答の継続をもたらす。一回の治療で、次なる追加ワクチン化をする必要なく、複数の疾患適応症に対する保護が達成されうる。
【0100】
したがって、本発明のこの態様の好ましい実施態様では、非液体ワクチン組成物は、以下の:
複数の抗原成分;
医薬として許容されるその非液体アジュバント;及び
非液体ワクチン保護剤
を含みうる。
【0101】
本発明のさらなる実施態様では、かかる治療を必要とする動物において適応症の治療又は予防処置のための方法であって、以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;及び場合により
ワクチン保護剤及び/又は
医薬として許容される担体
を含むワクチン組成物を動物に投与することを含む、上記方法が提供される。
【0102】
好ましい態様において、当該方法は、免疫応答を開始させ及び/又は刺激し及び/又は維持するように、以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント
徐放性支持物質;及び場合により
非液体ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含むワクチン組成物
を含む徐放性ワクチン装置を、前記動物に投与することを含みうる。
【0103】
本発明の当該態様の好ましい実施態様では、前記液体ワクチン組成物は、以下の:
複数の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;及び場合により
ワクチン保護剤及び/又は
医薬として許容される担体
を含みうる。
【0104】
抗原組成物は、病原体の任意の抗原、例えば、不活性型パルボウイルス、鼻気管炎、ウイルス性下痢ウイルス、破傷風トキソイド抗原、クロストリジウム抗原、又はその組合せから選ばれうる。
【0105】
医薬として許容されるアジュバントは、乾燥カルシウム又はアルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムを含むことがあり、そして医薬保護剤は、特定の疾患に対して受動免疫をもたらし又は高めるように機能しうる免疫グロブリン(モノクローナル抗体を含む)、好ましくはγ-グロブリンを含む。
【0106】
好ましい実施態様では、ワクチン組成物は、複数の疾患、例えば炭疽病、狂犬病、口蹄病、又はウシ呼吸器疾患の予防的及び感染が生じた際の治療的処置において使用されうる。
【0107】
投与法は、例えば埋め込み、注射(例えば、皮下又は筋肉内注射、皮内注射、腹腔内注射)、エアロゾル、高出力推進、眼内挿入、耳内挿入、鼻腔内挿入又は留置、膣内挿入又は留置 (intravaginal or intradwelling)、直腸内挿入若しくは留置、例えば坐薬など、或いは経口投与を利用することを含む、任意の方法でありうる。
【0108】
治療を受ける動物は、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウマ、ラクダ、ブタ、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、有袋動物、水牛、ヤク、霊長類、ヒト、トリ、例えばニワトリ、ガチョウ、アヒル、及びシチメンチョウ、げっ歯類、例えばラット、マウス、魚類、爬虫類などを含む群から選ばれうる。
【0109】
本発明は、以下の実施例及び添付の図面を参照してより十分に記載されよう。しかしながら、以下の記載は例示のみであり、そしていずれにしろ、上記発明の一般性を制限するものとして解釈されるべきではないということが理解されるべきである。
【実施例】
【0110】
実施例1
以下の表1に規定される比率における破傷風トキソイド抗原、サポニン、ヒトγグロブリン及びNaClの混合物が製造される。得られた個体を粉末化し、そして篩にかけた。こうして得られた粉末とSilastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分A及びSilastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分Bを混合して、薬剤分散成分を得た。Silastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分A及びSilastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ74750成分Bを混合して、被覆層成分を得た。こうして得られた薬剤分散成分及び被覆層成分は、押出すことにより成形できる二重押出成形機から押出すことにより成形され、その結果、薬剤分散が同心円状に被覆層で被覆され、そして室温において保存され、円筒状製剤1を得るように切断される(製剤の長さは、1.0又は2cmであり、製剤の外径は1.5mmである)(表2を参照のこと)。シリコーンは、製剤のその他50%を構成した。
【0111】
【表1】

添加物
CR = 被覆ロッド
TET = 破傷風トキソイド抗原
1用量あたり384μgで100用量分=総重量38.4mg
各用量は、6Lf(フロックユニット)の破傷風トキソイドであって、取
り扱いのためのある程度の安定性及び容積を与えるため1用量あたり2 00μgのトレハロースと共に凍結乾燥されたトキソイドを含む。
γ-Glob= ヒトγグロブリン
SAP = サポニンアジュバント
外径(mm)=1.5mm
内径(mm)=1.3mm
【0112】
次に円筒状製剤1は、表2に示されるように様々な長さに切断されて、本発明に記載される徐放性小型ペレットを与える。
【0113】
【表2】

群1- 1cm×2n=6
群2- 2cm×1n=3
群3- 1cm×4n=6
群4- 2cm×2n=2
群5-対照- 1においてGlanvac6
【0114】
試験1:
製剤1をメリノ-メリノ交配ヒツジに皮下投与し、全血を当該動物から頸静脈を介して回収し、次に血漿中の抗体の濃度を抗体滴定により測定した。
動物:メリノ/メリノ交配ヒツジ
識別表示:耳(両耳)のタグによる
埋め込み錠:1個の製剤
破傷風毒素-錠剤1cmあたり384μgの抗原を含む。
37℃で3日間保存
アジュバント-サポニン
:被覆ロッド
用量:2つの用量が試験された-2cmと4cm
大きさ:使用される埋め込み錠は、1.0又は2.0の長さに切断される
部位:頸部 -耳の付け根
血液サンプルを、0、7、14、21、28、42、56、84、91、及び210日目に回収する。
ヒツジを表の要綱に従って、5の治療群に振り分けた。
【0115】
【表3】

【0116】
結果を表4に示す。
【0117】
【表4】

第1群- 1cm×2n=6
第2群- 2cm×1n=3
第3群- 1cm×4n=6
第4群- 2cm×2n=2
第5群- 対照- 1においてGlanvac6
【0118】
結論
1. 本発明の対象である埋め込み錠を用いること(1の大きい埋め込み錠を複数の小さい埋め込み錠へ分割すること)は、より早い時間枠において抗体の高い血清レベルをもたらす(表4を参照のこと)。
2. 第4群、2cm×2の埋め込み錠の組合せで最適結果が達成される。第3群及び第1群の組合せの結果は、ある程度の持続性の免疫応答を示したが、第2群の組合せは、持続性の免疫をもたらすことができなかった。
【0119】
実施例2
以下の表5において定められるワクチン組成物製剤を利用して、実施例1を繰り返した。
以下の表5において定められる抗原及びアジュバント(サポニン)又は水酸化アルミニウムの混合物を作成した。
【0120】
【表5】

【0121】
得られた固体を粉末化し、そして篩にかけた。こうして得られた粉末の一部並びにSilastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分A及びSilatic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分Bを混合して、薬剤分散成分を得た。Silastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分A及びSilatic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分Bを混合して、被覆層成分を得た。こうして得られた薬剤分散成分及び被覆層成分を成形を可能にする二重押出し成形機から押出すことにより成形し、そうして薬剤分散を同心円状に被覆層で被覆し、そして室温において保存し、切断して円筒状の成分を得た(製剤の長さは、1.0又は2cmであり、製剤の直径は1.5mmである)。
【0122】
実施例3
以下の表6に定められる比率のオブアルブミン、γグロブリン、NaCl、及び水酸化アルミニウム、又はサポニンの混合物を製造した。得られた固体を粉末化し、そして篩にかけた。そうして得られた粉末部分及びSilastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分A及びSilastic(登録商標)医療品質ETRエラストマーQ7-4750成分Bを混合して、被覆層成分を与えた。こうして得られた薬剤分散成分及び被覆層成分を、押出しにより成形を可能にする二重押出し成形機から押出すことにより成形し、その結果薬剤分散を同心円状に被覆層で被覆し、そして室温において保存し、切断して円筒状の製品を得た(製剤の長さは10mmであり、製剤の直径は1.5mmである)。
【0123】
【表6】

【0124】
実験方法
1.5mm(直径)×10mm(長さ)の大きさの埋め込み錠をマウスに腹腔内注射した。
埋め込み錠は、以下の3個のカテゴリー:
(a) 空の埋め込み錠-ネガティブ・コントロール
(b) 100μgOVA/Al(OH)3
(c) 100μgOVA/サポニン
に分類される。
【0125】
ワクチン化の10日後にマウスから採血した。
ELISAによりオブアルブミン抗体についてタイターを計測した。
【0126】
動物: Balb/cマウス
識別表示: 耳の穿孔
埋め込み錠:1つの製剤
結果を図1に示す。
【0127】
結論
両方の製剤について、ワクチン化の10日後にかなり高い抗体タイターを得た。製剤中においてサポニン及びAl(OH)3が優れたアジュバントであるということが明らかに示された。
【0128】
実施例4
ウマにおけるサルモネラワクチン
研究の目的
精製されたシデロホア受容体及びポーリンタンパク質を含む細菌抽出物を含む実験用サルモネラ・ニューポート不活性型ワクチンに対するウマの抗体反応を評価することを目的とする。
【0129】
動物
家畜小屋及び牧草地で飼育された4頭の当歳馬(一歳以下)。
ワクチン
外径1.5mm、内径1.3mmのシリコーン被覆ロッドを使用した。各ウマは、実験0日目において2個の2cmの埋め込み錠を、首に皮下注射により接種され(2頭)、又は項靱帯領域に筋肉注射により接種された(2頭)。
1cmの各埋め込み錠は、粉末形態の3%水酸化アルミニウム(Sigma)をアジュバントとして加えた250μgのサルモネラ抗原を含んだ。埋め込み錠はまた、36%のブタγグロブリンを保護剤として含んだ。
【0130】
【表7】

【0131】
サンプル
実験0、8、16、24、及び32日目に、頸静脈から血液サンプルを採取し、そしてELISAにより分析した。
【0132】
部位反応
結果を記録した32日間にわたり、どの時間においても部位反応を観察しなかった。
【0133】
結果/結論
結果を図2に要約した。ELISA SPは陽性に対するシグナル(signal-to-positive)を指す。(未報告研究からえた)陽性ウマサンプルからのELISAアッセイの結果を、陽性対照として用いた。そうして1付近またそれ以上の結果は、優れた免疫応答を示す。
【0134】
4頭のウマ全ては、抗原暴露に対して迅速な免疫を開始したことを示し、抗体の最大レベルは8〜16日目において達成された。この結果により、粉末形態のAl(OH)3が際立って優れたアジュバントであるということが決定的に示された。皮下及び筋肉内部位の両方における埋め込みが、部位反応をおこさず上手くいった。ウマは有害な部位反応を起こしやすくワクチン化が特に難しいので、この事実は重要な発見である。
【0135】
実施例5
ウシにおけるIBRワクチン
研究の目的
ウシ1型及び2型ヘルペス・ウイルスにより引き起こされる疾患の予防の助けとしての不活性型ウシ伝染性鼻気管炎(IBR)ワクチン製剤に対する健康なウシの抗体反応を評価することを目的とする。
【0136】
動物
牧草地で飼育された18頭のアンガス去勢牛、12〜15月齢。
ワクチン
外径1.5mm、内径1.3mmのシリコーン被覆ロッド。一群の5頭のウシは2cmの長さの埋め込み錠を接種され、別の群の6頭のウシは2cmの長さの2個の埋め込み錠を接種され、そして第3群の7頭のウシは、陰性対照としての役割を果たし、そしてワクチン化されなかった。埋め込み錠を耳において皮下投与した。
サンプル
血液サンプルを埋め込み後0、5、7、14、21、28、56、及び84日目に回収した。
【0137】
【表8】

【0138】
部位反応
研究が行われた84日間のあいだ部位反応は観測されなかった。
【0139】
結果/結論
埋め込み後28日目において(ELISAにより計測される)高い抗体タイターが、1×2cm埋め込み錠を植え込まれた5頭のウシのうちの4頭において、2×2cmの埋め込み錠を埋め込まれた6頭のウシのうちの4頭において、そして陰性対照群の7頭のウシのうち0頭において認められた。
【0140】
実施例6
ウシにおける新生子ウシ下痢ワクチン
研究の目的
ウシ・ロタウイルス、ウシ・コロナウイルス、及びK99繊毛接着因子を有するエシェリキア コリ(Escherichia coli)の腸内毒素産生株(entertoxigenic strains)により引き起こされる新生仔牛下痢に対して、(初乳の消費を介した)仔牛の受動母体免疫を助けるため、健康な妊娠ウシの抗体反応性を評価することを目的とする。
【0141】
動物
分娩の6〜8週前にワクチン化された142頭の妊娠乳牛を用いた。
ワクチン
外径3.0mm、内径2.8mmのシリコン被覆ロッドを用いた。各ウシの耳の皮下に2個の2cm埋め込み錠を接種した。
【0142】
【表9】

【0143】
部位反応
142頭すべてのウシにおいて耳に埋め込みした7日後に、埋め込み部位を検査した。
【表10】

【0144】
Al(OH)3粉末アジュバントを含むワクチンAは、かなり反応性の低いワクチン製剤であることが証明された。サポニンをアジュバントとして含むワクチンBは、ワクチン製剤としてすこし反応性が高かった。
【0145】
結果/結論
両方のワクチン製剤は、製剤中の3種の抗原に対する免疫の迅速な開始(埋め込み後、7日後に血清中で得られる)を示し、分娩時に耳内に埋め込み錠を保持した138頭のウシの全ての初乳においてかなり高いタイターが観測された。
【0146】
実施例7
ウシにおける長期間のミルクライフワクチン(Milk Life Vaccine)
研究の目的
室温に保たれた乳汁の細菌腐敗を防ぐために、細菌抗原を含むワクチン製剤に対する泌乳牛の抗体応答を、最大305日の乳牛の泌乳サイクルに渡り評価することを目的とする。
【0147】
動物
20頭の乳牛を分娩4週間前にワクチン化した。
【0148】
ワクチン
外径1.5mm、内径1.3mmのシリコーン被覆ロッドを用いた。それぞれのウシの耳に2個の2cmの埋め込み錠を皮下接種した。
【0149】
【表11】

【0150】
部位反応
20頭のワクチン化されたウシの耳において、部位反応は観測されなかった。
【0151】
結果/結論
泌乳後100日まで観測した際、20頭のウシ全ての乳汁は、室温で2日間、そして冷蔵庫内で最大10日間、細菌成長の有意な阻害を示す抗体を含んだ。
【0152】
明細書において開示され、そして定義される本発明は、文章又は図面で記載されるか又はそれらから明らかである2以上の個々の特徴の、全ての他の組合せに拡張される。これらの異なる組合せの全ては、本発明の様々な態様を構成する。
【0153】
本明細書において使用される「含む(comprise)」という用語は、「含む(include)」という用語と同等であり、そして他の要素又は特徴の存在を排除する物として解釈されるべきではないということが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、実施例3に記載されるオブアルブミン(OVA)抗体のタイターを示すグラフである。
【図2】図2は、実施例4に記載されるサルモネラ抗体のタイターを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;及び場合により
非液体ワクチン保護剤
を含む非液体ワクチン組成物。
【請求項2】
植込み錠、ペレット、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、又はエアロゾルの形態である、請求項1に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項3】
前記組成物が、ジェット式注射システムを介した高速デリバリー用に剤形される、請求項2に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項4】
前記ワクチン組成物が、その表面を固める成分を含み、そして高スピード推進デリバリー用の形状にされる、請求項3に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項5】
前記抗原成分が、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、DNA若しくはRNA断片、ハプテン-抗原の組合せ、オリゴ糖若しくは多糖、オリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド、他の抗原化合物、又は上記のいずれかをコードするDNA/RNA配列から選ばれる、請求項1に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項6】
以下の:
アデノウイルス、AIDS、炭疽菌、BCG、クラミジア、コレラ、シルコウイルス、ブタコレラ、コロナウイルス、ジフテリア-破傷風、ジステンパーウイルス、DTaP、DTP、大腸菌、アイメリア(コクシジウム症)、脳炎、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ白血病ウイルス、口蹄病、ヘモフィルス、A、B、C、D、E、F型肝炎、B/Hib型肝炎、ヘルペスウイルス、Hib、インフルエンザ、日本脳炎、ライム病、はしか、麻疹-風疹、髄膜炎菌、MMR、おたふく風邪、マイコプラズマ、パラインフルエンザウイルス、パルボウイルス、パスツレラ、百日咳、ペスティウイルス、ペスト、肺炎菌、ポリオ(IPV)、ポリオ(OPV)、シュードラビス、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、鼻気管炎、ロタウイルス、風疹、サルモネラ、SARS、破傷風、腸チフス、水痘、ウイルス性下痢ウイルス、黄熱病からなる群から選ばれる1以上の疾患病原体に対して活性である成分を含む、請求項5に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項7】
前記抗原成分が、不活性型パルボウイルス、不活性型鼻気管炎、不活性型ウイルス性下痢ウイルス、サルモネラ抗原、破傷風トキソイド抗原、クロストリジウム抗原、又はそれらの組合せを含む、請求項6に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項8】
3〜7個の抗原成分を含む、請求項5に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項9】
前記抗原成分が、ワクチン組成物の総重量に基づいて約0.1〜5重量%の量で存在する、請求項5に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項10】
前記医薬として許容される非液体アジュバントが、カルシウム又はアルミニウム塩、ミネラル又は非ミネラル・オイル、細菌生成物、リポソーム、サポニン、免疫刺激複合体、及び生物分解性微粒子のうちの1以上から選ばれる、請求項1に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項11】
前記アジュバントが、サポニン、ミネラルオイル、非ミネラルオイル、及び多価ポリマー、スクアレン、アジュバント65、界面活性剤、ポリアニオン、ペプチド及びアミノ酸、Adju-Phos、アルガルグルカン、アルガムリン、アルミニウム塩、アルヒドロゲル、抗原製剤、アブリジン、Bay R1005、カルシトリオール、カルシウム塩、コレラ・ホロトキシン(CT)、コレラ・トキシンBサブユニット(CTB)、CRL1005、DDA、DHEA、DMPC、DMPG、DOC/ミョウバン複合体、γイヌリン、ゲルブアジュバント、GMDP、イミキモド、ImmTher、インターフェロンγ、イスコプレップ7.0.3、ロキソリビン、LT-OA、又はLT経口アジュバント、MF59、モンタニドISA51、モンタニドISA720、MPL、MTP-PE、MTP-PE、ムラメチド、ムラパルミチン、D-ムラパルミチン、NAGO、非イオン性界面活性剤小胞、プレウラン、PLGA、PGA及びPLA、プルロニックL121、PMMA、PODDS、ポリRa:ポリrU、ポリホスファゼン、ポリソルベート80、タンパク質コクレエート、QS-21、Quil A、レヒドラゲルHPA、レヒドラゲルLV、S-28463、SAF-1、スクラボ・ペプチド、センダイ・プロテオリポソーム、センダイ-含有脂質マトリックス、スパン85、スペコール、ステアリル・チロシン、セラミド、スレオニル-MDP、及びTy粒子のうちの1以上から選ばれる、請求項10に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項12】
前記アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、及びサポニンのうちの1以上から選ばれる、請求項10に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項13】
前記アジュバントが、ワクチン組成物の総重量に基づいて、約0.1〜5重量%の量で存在する、請求項10に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項14】
抗原に付き添い、そして抗原及び/又はアジュバントの放出割合を制御することを許容するように機能するワクチン保護剤をさらに含み、そして疾患適応症に対する受動免疫をもたらすか又は高めるように選ばれる抗体を含む、請求項1に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項15】
前記ワクチン保護剤が、ヒト若しくは動物γ-グロブリン又はモノクローナル抗体を含む、請求項14に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項16】
前記ワクチン保護剤が、ワクチン組成物の総重量に基づいて約10〜40重量%の量で存在する、請求項15に記載の非液体組成物。
【請求項17】
以下の:
複数の抗原成分;
医薬として許容される非液体アジュバント;及び場合により
非液体ワクチン保護剤
を含む、非液体ワクチン組成物。
【請求項18】
2〜12の抗原成分を含む、請求項17に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項19】
前記抗原成分が、不活性型パルボウイルス、鼻気管炎ウイルス、ウイルス性下痢ウイルス、サルモネラ抗原、破傷風トキソイド抗原、又はクロストリジウム抗原のうちの1以上を含む、請求項18に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項20】
前記医薬として許容されるアジュバントが、カルシウム又はアルミニウム塩を含む、請求項19に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項21】
長期間にわたり抗原成分の放出を支援するように選ばれる医薬として許容される担体をさらに含む、請求項1に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項22】
前記担体が、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム又はDCA、或いはそれらの2以上の混合物からなる群から選ばれる、請求項21に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項23】
前記担体が、ワクチン組成物の総重量に基づいて、約1〜20重量%の量で存在する、請求項21に記載の非液体ワクチン組成物。
【請求項24】
以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;及び場合により
ワクチン保護剤
を含むワクチン組成物。
【請求項25】
前記アジュバントが、カルシウム又はアルミニウム塩のうちの1以上から選ばれる、請求項24に記載のワクチン組成物。
【請求項26】
前記アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、及び水酸化アルミニウムのうちの1以上から選ばれる、請求項25に記載のワクチン組成物。
【請求項27】
1以上の抗原成分が、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、DNA若しくはRNA断片、ハプテン-担体の組合せ、オリゴ糖若しくは多糖、オリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド、他の抗原性化合物、又は上記のいずれかをコードするDNA/RNA配列から選ばれる、請求項24に記載のワクチン組成物。
【請求項28】
以下の:
アデノウイルス、AIDS、炭疽菌、BCG、クラミジア、コレラ、シルコウイルス、ブタコレラ、コロナウイルス、ジフテリア-破傷風、ジステンパーウイルス、DTaP、DTP、大腸菌、アイメリア(コクシジウム症)、脳炎、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ白血病ウイルス、口蹄病、ヘモフィルス、A、B、C、D、E、F型肝炎、B/Hib型肝炎、ヘルペスウイルス、Hib、インフルエンザ、日本脳炎、ライム病、はしか、麻疹-風疹、髄膜炎菌、MMR、おたふく風邪、マイコプラズマ、パラインフルエンザウイルス、パルボウイルス、パスツレラ、百日咳、ペスティウイルス、ペスト、肺炎菌、ポリオ(IPV)、ポリオ(OPV)、シュードラビス、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、鼻気管炎、ロタウイルス、風疹、サルモネラ、SARS、破傷風、腸チフス、水痘、ウイルス性下痢ウイルス、黄熱病からなる群から選ばれる1以上の疾患病原体に対して活性な成分を含む、請求項27に記載のワクチン組成物。
【請求項29】
前記抗原成分が、不活性型パルボウイルス、不活性型鼻気管炎ウイルス、不活性型ウイルス性下痢ウイルス、サルモネラ抗原、破傷風トキソイド抗原、クロストリジウム抗原、又はそれらの組合せを含む、請求項28に記載のワクチン組成物。
【請求項30】
前記抗原成分が、ワクチン組成物の総重量に基づいて約0.1〜5重量%の量で存在する、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
以下の:
複数の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;及び場合により
ワクチン保護剤
を含むワクチン組成物。
【請求項32】
2〜12個の抗原成分を含む、請求項31に記載のワクチン組成物。
【請求項33】
前記医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバントが、カルシウム又はアルミニウム塩のうちの1以上から選ばれる、請求項32に記載のワクチン組成物。
【請求項34】
前記医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちの1以上から選ばれる、請求項33に記載のワクチン組成物。
【請求項35】
長期間にわたり抗原成分の放出を支援するように選ばれる医薬として許容される担体をさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項36】
前記担体が、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム、又はDCA、或いはそれらの2以上の混合物からなる群から選ばれる、請求項35に記載のワクチン組成物。
【請求項37】
前記担体が、ワクチン組成物の総重量に基づいて重量で約1〜20重量%の量で存在する、請求項35に記載のワクチン組成物。
【請求項38】
徐放性ワクチン装置であって、当該装置が、
以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;
徐放性支持物質;及び場合により
非液体ワクチン保護剤
を含む非液体ワクチン組成物を含み、そして
使用に際して、免疫応答を開始及び/又は刺激及び/又は維持するために十分な放出割合を提供する、前記徐放性ワクチン装置。
【請求項39】
前記ワクチン組成物が、埋め込み錠、ペレット、又は錠剤形態で提供される、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項40】
前記埋め込み錠、ペレット、又は錠剤が、高出力推進デリバリー用の形状にされる、請求項39に記載のワクチン装置。
【請求項41】
前記装置が、使用に際して、ほぼ抗原の0次放出を提供する、請求項38に記載の徐放性ワクチン。
【請求項42】
前記ワクチン組成物が、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、DNA若しくはRNA断片、ハプテン-抗原組合せ、オリゴ糖若しくは多糖、オリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド、他の抗原化合物、又は上記のいずれかをコードするDNA/RNA配列から選ばれる、1〜12個の抗原成分を含む、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項43】
前記抗原成分が、ワクチン組成物の総重量に基づいて、約0.1〜5重量%の量で存在する、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項44】
前記医薬として許容される非液体アジュバントが、ミネラル塩、ミネラル若しくは非ミネラルオイル、細菌生成物、リポソーム、サポニン、免疫刺激複合体、及び生物分解性微粒子のうちの1以上から選ばれる、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項45】
前記アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、及びサポニンのうちの1以上から選ばれる、請求項44に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項46】
疾患適応症に対する受動免疫をもたらすか又は高めるようにさらに選ばれる抗体を含む非液体ワクチン保護剤をさらに含み、そしてヒト又は動物γ-グロブリン又はモノクローナル抗体を含む、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項47】
水溶性又は不溶性の医薬として許容される活性成分、又はその混合物をさらに含む、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項48】
前記医薬として活性な成分が、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、核酸、水溶性抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、アルキル化剤、及び免疫抑制剤から選ばれる、請求項47に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項49】
前記小型埋め込み錠又はペレットが、被覆されていないか若しくは被覆されたロッドから構成されるか、又は分散マトリックス型である、請求項38に記載される。
【請求項50】
前記支持物質が、シリコーンに基づくポリマーから形成される、請求項49に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項51】
前記シリコーンに基づくポリマーが、メチル-ビニル・ポリシロキサン・ポリマーを含む、請求項50に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項52】
長期間にわたり抗原成分の放出を支援するように選択される医薬として許容される担体をさらに含む、請求項38に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項53】
前記担体が、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム、又はDCA、或いはそれらの2以上の混合物からなる群から選ばれる、請求項52に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項54】
前記担体が、ワクチン組成物の総重量に基づいて約1〜20重量%の量で存在する、請求項52に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項55】
徐放性ワクチン装置であって、当該装置が、以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;
徐放性支持物質;及び場合により
ワクチン保護剤
を含むワクチン組成物を含み、そして使用に際して、免疫応答を開始し及び/又は刺激し及び/又は維持するために十分な放出割合を提供する、前記装置。
【請求項56】
前記ワクチン組成物が、埋め込み錠、ペレット、又は錠剤形態で提供される、請求項55に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項57】
前記装置が、使用に際してほぼ抗原の0次放出を提供する、請求項55に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項58】
前記ワクチン組成物が、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、DNA若しくはRNA断片、ハプテン-担体組合せ、オリゴ糖若しくは多糖、オリゴヌクレオチド若しくは多糖、他の抗原性化合物、又は上記のいずれかをコードするDNA/RNA配列から選ばれる1〜12個の抗原成分を含む、請求項55に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項59】
前記アジュバントが、1以上のカルシウム又はアルミニウム塩から選ばれる、請求項55に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項60】
前記アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、及び水酸化アルミニウムのうちの1以上から選ばれる、請求項59に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項61】
ヒト若しくは動物γ-グロブリン又はモノクローナル抗体を含むワクチン保護剤をさらに含む、請求項55に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項62】
長期間にわたり抗原成分の放出を支援するように選択される医薬として許容される担体をさらに含む、請求項55に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項63】
前記担体が、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム又はDCA或いはその2以上の混合物からなる群から選ばれる、請求項62に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項64】
前記担体が、ワクチン組成物の総重量に基づき約1〜20重量%の量で存在する、請求項62に記載の徐放性ワクチン装置。
【請求項65】
徐放性キットであって、以下の:
ワクチンデリバリー装置;並びに
以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;
徐放性支持物質;及び場合により
非液体ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含む非液体ワクチン組成物
を含む、前記キット。
【請求項66】
徐放性キットであって、以下の:
ワクチンデリバリー装置;並びに
以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体のミネラル塩アジュバント
徐放性支持物質;及び場合により
ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含むワクチン組成物
を含む、前記徐放性キット。
【請求項67】
治療を必要とする動物(ヒトを含む)において、適応症を治療的又は予防的処置する方法であって、当該方法が、以下の:
1以上の抗原成分
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;及び場合により
非液体ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含む非液体ワクチン組成物を当該動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項68】
前記動物に、徐放性ワクチン装置を投与することを含み、ここで当該装置が以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体アジュバント;
徐放性支持物質;及び場合により
非液体ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含む非液体ワクチン組成物を含み、その結果免疫応答が開始され、刺激され、及び/又は維持される、請求項57に記載の方法。
【請求項69】
前記装置が、使用に際して、ほぼ抗原の0次放出を提供する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、DNA若しくはRNA断片、ハプテン-担体組合せ、オリゴ糖若しくは多糖、オリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド、他の抗原性化合物、又は上記のいずれかをコードするDNA/RNA配列から選ばれる2〜12の抗原を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記医薬として許容される非液体アジュバントは、ミネラル塩、ミネラル若しくは非ミネラル油、細菌生成物、リポソーム、サポニン、免疫刺激複合体、及び生物分解性微粒子からなる群のうちの1以上から選ばれる、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、及びサポニンのうちの1以上から選ばれる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
疾患適応症に対する受動免疫をさらにもたらすか又は高めるように選ばれる抗体を含むワクチン保護剤をさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記疾患適応症が、1以上の動物若しくはヒトウイルス、寄生虫、又は細菌感染、及び癌のうちの1以上から選ばれる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患適応症が、炭疽病、狂犬病、口蹄病のうちの1以上から選ばれる、請求項68に記載の方法。
【請求項76】
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム若しくはDCA、又はその2以上の混合物からなる群から選ばれる、請求項68に記載の方法。
【請求項77】
かかる治療を必要とする動物(ヒトを含む)における適応症の治療又は予防処置方法であって、当該方法が
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント;及び場合により
ワクチン保護剤;及び/又は
医薬として許容される担体
を含むワクチン組成物を動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項78】
前記方法が、前記動物に徐放性ワクチン装置を投与することを含み、当該装置が、以下の:
1以上の抗原成分;
ワクチン組成物用の医薬として許容される非液体ミネラル塩アジュバント
徐放性支持物質;及び場合により
ワクチン保護剤及び/又は
医薬として許容される担体
を含むワクチン組成物を含み、その結果、免疫応答が開始され、及び/又は刺激され、及び/又は維持される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記装置が、使用に際して、ほぼ抗原の0次放出を提供する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記アジュバントが、1以上のカルシウム塩又はアルミニウム塩から選ばれる、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記アジュバントが、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、及び水酸化アルミニウムのうちの1以上から選ばれる、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記ワクチン組成物が、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレングリコール、スクロース、塩化ナトリウム、又はDCA、或いはそれらの2以上の混合物からなる群から選ばれる担体をさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記ワクチン組成物が、疾患適応症に対する受動免疫をさらにもたらすか又は高めるように選ばれる抗体を含むワクチン保護剤をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記疾患適応症が、動物若しくはヒトウイルス、寄生虫、又は細菌感染及び癌のうちの1以上から選ばれる、請求項78に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502605(P2008−502605A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515739(P2007−515739)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000869
【国際公開番号】WO2005/123120
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(504004142)スマート ドラッグ システムズ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】