説明

復水圧送装置

【課題】 復水溜空間に溜る復水の放熱を少なくして圧送復水の熱量損失を小さくする。
【解決手段】 作動蒸気導入口11と作動蒸気排出口13と圧送復水流入口16及び圧送復水排出口17が設けられた密閉容器2内の復水溜空間10にフロート3と切替え弁4が配置され、フロート3の昇降に応じて切替え弁4で作動蒸気導入口11と作動蒸気排出口13の開閉を切り換えて、初めに作動蒸気排出口13を開き作動蒸気導入口11を閉じて圧送復水流入口16から復水溜空間10に復水を流入させ、次いで作動蒸気排出口13を閉じ作動蒸気導入口11を開いて復水溜空間10に溜った復水を圧送復水排出口17から圧送する復水圧送装置1において、復水溜空間10の外側に保温室6を設け、保温室6の一端側を作動蒸気排出口13に連通し、保温室6の他端側に第2作動蒸気排出口9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に圧送する復水圧送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の復水圧送装置は、作動蒸気導入口と作動蒸気排出口と圧送復水流入口及び圧送復水排出口が設けられた密閉容器の内部の復水溜空間にフロートと切替え弁が配置され、フロートの昇降に応じて切替え弁で作動蒸気導入口と作動蒸気排出口の開閉を切り換えて、初めに作動蒸気排出口を開き作動蒸気導入口を閉じて圧送復水流入口から復水溜空間に復水を流入させ、次いで作動蒸気排出口を閉じ作動蒸気導入口を開いて復水溜空間に溜った復水を圧送復水排出口から圧送するものである。
【0003】
上記従来の復水圧送装置は、復水溜空間に溜る復水が密閉容器を介して外気に放熱するために、圧送復水の熱量損失が大きいという問題点があった。
【特許文献1】特開平9−53794
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、復水溜空間に溜る復水の放熱を少なくして圧送復水の熱量損失を小さくできる復水圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、作動蒸気導入口と作動蒸気排出口と圧送復水流入口及び圧送復水排出口が設けられた密閉容器内の復水溜空間にフロートと切替え弁が配置され、フロートの昇降に応じて切替え弁で作動蒸気導入口と作動蒸気排出口の開閉を切り換えて、初めに作動蒸気排出口を開き作動蒸気導入口を閉じて圧送復水流入口から復水溜空間に復水を流入させ、次いで作動蒸気排出口を閉じ作動蒸気導入口を開いて復水溜空間に溜った復水を圧送復水排出口から圧送する復水圧送装置において、復水溜空間の外側に保温室を設け、保温室の一端側を作動蒸気排出口に連通し、保温室の他端側に第2作動蒸気排出口を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、復水溜空間に溜る復水を作動蒸気で保温することにより圧送復水の熱量を大きくできるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の復水圧送装置は、復水溜空間の外側に保温室を設け、保温室の一端側を作動蒸気排出口に連通し、保温室の他端側に第2作動蒸気排出口を設けたものであるので、作動蒸気排出口から保温室を通して第2作動蒸気排出口に排出される作動蒸気により復水溜空間が保温され、復水溜空間に溜る復水の放熱を少なくすることができる。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する。図1は本発明の実施例の復水圧送装置の断面図である。本実施例の復水圧送装置1は密閉容器2内の復水溜空間10にフロート3と切替え弁4及びスナップ機構5が配されたものである。密閉容器2は本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に復水溜空間10が形成されたものである。蓋部8には作動蒸気導入口11と作動蒸気排出口13と圧送復水流入口16と圧送復水排出口17及び保温室6の一部が設けられ、本体部7には保温室6の大部分と第2作動蒸気排出口9が設けられている。保温室6は復水溜空間10の外側に設けられ、作動蒸気排出口13は保温室6の上部の一端側に連通し、第2作動蒸気排出口9は保温室6の下部の他端側に設けられている。第2作動蒸気排出口9は絞り弁12を介してピット等に接続する。
【0009】
作動蒸気導入口11の内側に給気弁20が取り付けられ、作動蒸気排出口13の内側に排気弁21が取り付けられている。給気弁20は弁ケース22と弁体23及び昇降棒24によって構成される。弁ケース22は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上端面は弁座25として機能する。弁体23は球状で昇降棒24の上端に一体的に取り付けられている。昇降棒24は弁ケース22の貫通孔を通って密閉容器2側に抜け、連接板27に当接するようになっている。
【0010】
排気弁21は弁ケース29と弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケース29は軸方向に貫通孔を有し、該貫通孔の内部に弁座32があり、弁座32の下から昇降棒31の上端に保持固定された弁体30が当接して開閉を行うものである。昇降棒31の下端は弁軸操作棒28に固定され、弁軸操作棒28に連接板27が固定されている。給気弁20と排気弁21とで切替え弁4が構成され、給気弁20が開くと排気弁21は閉じ、給気弁20が閉じると排気弁21は開く。
【0011】
フロート3はレバー34及び軸35を介してブラケット36によって支持されており、スナップ機構5は第1の軸37を介してブラケット38によって支持されている。ブラケット36及びブラケット38は図示しないネジによって密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。レバー34は板をU字状に曲げ加工して作られたものであり、2枚の板が平行に対向している。そしてレバー34の曲げ加工された部分にフロート3が結合されている。レバー34の他端には軸40が取り付けられている。ブラケット36はL字状をした2枚の板よりなり、軸35,41,42が掛け渡されて連結されたものである。軸35はフロート3の揺動軸を兼ねている。軸41,42はそれぞれフロート3の上下限のストッパを兼ねている。ブラケット38もL字状をした2枚の板よりなり、第1の軸37と軸43が掛け渡されて連結されたものである。第1の軸37は主アーム51の揺動軸を兼ねている。軸43は副アーム52のストッパを兼ねている。
【0012】
スナップ機構5は主アーム51、副アーム52、圧縮状態のコイルバネ53、バネ受け部材54,55からなるものである。主アーム51は平行に対向した2枚の板よりなり、2枚の板の左端部には溝57が設けられている。主アーム51は第1の軸37によって右端部が回転可能に支持されている。また主アーム51の溝57にはレバー34の軸40が嵌合している。そのため主アーム51はフロート3の浮沈に追従し、第1の軸37を中心として上下に揺動する。主アーム51の右端部は下方に脹れ、その下端部には第1の軸37と平行な第2の軸58が掛け渡され、バネ受け部材54が第2の軸58によって回転可能に支持されている。また、第1の軸37に副アーム52の上端部が回転可能に支持されている。副アーム52は、平行に対向した2枚の板よりなり、夫々の板は逆L字状をしている。副アーム52の下端部には第1及び第2の軸37,58と平行な第3の軸59が掛け渡され、バネ受け部材55が第3の軸59によって回転可能に支持されている。そして両バネ受け部材54,55の間に圧縮状態のコイルバネ54が取り付けられている。また副アーム52の上左端部に軸60が掛け渡され、弁軸操作棒28の下端が連結されている。主アーム51には、軸60の動きを妨げないように、窓56が開けられている。
【0013】
次に本実施例の復水圧送装置1の作用について説明する。まず復水圧送装置1の外部配管は作動蒸気導入口11が高圧の蒸気源に接続され、第2作動蒸気排出口9は絞り弁12を介してピット等の廃棄箇所に接続される。また圧送復水流入口16は外部から復水溜空間10に向かって開く逆止弁(図示せず)を介して蒸気使用装置等の負荷で発生した復水が流入するドレンヘッダに接続され、圧送復水排出口17は復水溜空間10から外部に向かって開く逆止弁(図示せず)を介してボイラー等の復水圧送先に接続される。
【0014】
本実施例の復水圧送装置1の復水溜空間10に復水が無い場合は、図1に示す様にフロート3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁20が閉じられ、排気弁21が開かれている。ドレンヘッダの復水は圧送復水流入口16から復水圧送装置1に流下して、復水溜空間10に溜る。復水溜空間10に溜った復水によってフロート3が浮上すると、レバー34が軸35を中心に時計回り方向に回転して軸40が下方へ移動し、主アーム51が第1の軸37を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ53との連結部である第2の軸58が右方に移動して第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線に近付き、コイルバネ53は圧縮変形する。そしてフロート3が更に上昇し、第2の軸58が第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線よりも右方に移動すると、コイルバネ53は急激に変形を回復し、副アーム52が時計回り方向に回転して第3の軸59が左方にスナップ移動する。その結果、副アーム52の軸60に連結された弁軸操作棒28が上側に移動し、給気弁20が開口されると共に排気弁21が閉じられる。作動蒸気導入口11が開放されると、復水溜空間10に高圧蒸気が導入され、内部の圧力が上昇し、復水溜空間10に溜った復水は蒸気圧に押されて圧送復水排出口17から図示しない逆止弁を介して外部のボイラーや廃熱利用装置へ排出される。
【0015】
復水を排出した結果復水溜空間10の水位が低下し、フロート3が降下すると、レバー34が軸35を中心に反時計回り方向に回転して軸40が上方へ移動し、主アーム51が第1の軸37を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ53との連結部である第2の軸58が左方に移動して第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線に近付き、コイルバネ53は圧縮変形する。そしてフロート3が更に降下し、第2の軸58が第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線よりも左方に移動すると、コイルバネ53は急激に変形を回復し、副アーム52が反時計回り方向に回転して第3の軸59が右方にスナップ移動する。その結果、副アーム52の軸60に連結された弁軸操作棒28が下側に移動し、給気弁20が閉じられ、排気弁21が開口される。作動蒸気排出口13が開放されると、作動蒸気が保温室6に導入され、第2作動蒸気排出口9から絞り弁12を介して徐々に排出される。復水溜空間10に溜る復水は保温室6を緩やかに流下する作動蒸気で保温される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例の復水圧送装置の断面図。
【符号の説明】
【0017】
1 復水圧送装置
2 密閉空間
3 フロート
4 切替え弁
5 スナップ機構
7 本体部
8 蓋部
9 第2作動蒸気排出部
10 復水溜空間
11 作動蒸気導入口
12 絞り弁
13 作動蒸気排出口
16 圧送復水流入口
17 圧送復水排出口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動蒸気導入口と作動蒸気排出口と圧送復水流入口及び圧送復水排出口が設けられた密閉容器内の復水溜空間にフロートと切替え弁が配置され、フロートの昇降に応じて切替え弁で作動蒸気導入口と作動蒸気排出口の開閉を切り換えて、初めに作動蒸気排出口を開き作動蒸気導入口を閉じて圧送復水流入口から復水溜空間に復水を流入させ、次いで作動蒸気排出口を閉じ作動蒸気導入口を開いて復水溜空間に溜った復水を圧送復水排出口から圧送する復水圧送装置において、復水溜空間の外側に保温室を設け、保温室の一端側を作動蒸気排出口に連通し、保温室の他端側に第2作動蒸気排出口を設けたことを特徴とする復水圧送装置。


【図1】
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【公開番号】特開2006−226140(P2006−226140A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37770(P2005−37770)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】