説明

復調回路及び光ディスク装置

【課題】クロストークによる位相ずれによらず光ディスクのウォブル信号を正確に復調する。
【解決手段】光ディスクから再生されたウォブル信号はA/D変換器60でA/D変換され、ゼロクロス検出回路62に供給される。ゼロクロス検出回路62は、ウォブル信号のゼロクロス点を検出する。正弦波発生回路66は、ゼロクロス点の時間間隔を周期とする正弦波要素を順次連結して正弦波を生成する。乗算器68は、元のウォブル信号と正弦波信号との乗算を行う。スライサ74でウォブル信号のHMW変調部を検出し、スライサ78でウォブル信号のMSK変調部を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は復調回路及び光ディスク装置、特にウォブル信号の再生に関する。
【背景技術】
【0002】
記録可能型の光ディスクには、記録トラックをウォブルさせており、このウォブルの周波数に基づいて記録用クロック信号が生成される。また、ディスク上のアドレス情報は、ウォブル内にウォブルを種々に変調させることで埋め込まれている。したがって、ウォブル信号の再生は記録を行うのに不可欠で、ウォブル信号の品質は、記録品質に大きな影響を与えることになる。
【0003】
一方、CD、DVD、Blu−rayと光ディスクの容量が増すにつれ、ディスク上に合焦した光スポット径に比してトラックピッチが狭くなり、当該トラックのウォブル信号が隣接トラックのウォブル信号から受けるクロストークが増大する傾向にある。具体的には、記録再生中であるトラックの内周側あるいは外周側隣接トラックのウォブル信号からのクロストークの影響で、記録再生中であるトラックのウォブル信号の位相が乱れ、変動することによりウォブルジッタが増大し、アドレス復調エラーの増大を引き起こす。例えば、Blu−rayでは、ウォブル信号と、ウォブル信号をPLL回路に供給することで生成されたクロック信号とを乗算してMSK復調及びHMW復調を行うが、ウォブル信号の位相乱れに対してPLLクロックが追従できないためクロストークは復調誤りの大きな要因となる。
【0004】
図6に、ウォブル信号のクロストーク発生のメカニズムを示す。通常、光ディスクのトラックNにオントラックしている場合、レーザ光スポットはトラックNのみならず隣接するトラックN−1、N+1にもかかっており、再生信号にはこれらトラックN−1、N+1のウォブル信号も重畳される。ところが、トラックN、N−1、N+1各々のウォブル信号はその位相関係が随時変動し、また、各々のウォブル信号成分にMSK、HMW等の変調も加えられているので、トラックN、N−1のウォブル信号からクロストークを受けたトラックNのウォブル信号は予測困難な位相変動を有することになる。
【0005】
Blu−ray規格のウォブル信号はMSK、HMW両方式の併用であり、復調方式としてはヘテロダイン方式が採用されている。これは、ウォブル信号と、ウォブル信号をPLL回路に供給して得られたクロック信号とを乗算して変調部を検出する方式である。PLL回路は、ループフィルタの時定数により平均的ウォブル周波数と平均的位相に合わせて動作するため、PLL回路で生成されたクロックは、上記のクロストーク成分変動によるジッタには追従することができない。
【0006】
図7に、クロストークの有無によるヘテロダイン動作を示す。図7(A)は、クロストークのないMSK変調部のヘテロダイン乗算の様子である。乗算後の信号波形を積分することで、MSK変調部を検出することができる。図7(B)は、クロストークによりウォブル信号と乗算用クロック信号が位相ずれを生じた場合のMSK変調部におけるヘテロダイン乗算の様子である。図7(A)に比べ、乗算後波形のエンベロープが波打っており、MSK変調部を正確に検出することが困難である。図7(C)は、クロストークのないHMW変調部のヘテロダイン乗算の様子であり、図7(D)は、クロストークによりウォブル信号と乗算用クロック信号が位相ずれを生じた場合のHMW変調部におけるヘテロダイン乗算の様子を示す。これらの図より、HMW変調部もMSK変調部と同様に、クロストークによる位相ずれにより乗算後波形にエンベロープ乱れが生じて検出が困難となることが分かる。
【0007】
従来技術においては、上記の問題を解決すべく、最適位相のクロックを選択するために、位相の異なる多数のクロックを準備することが開示されている。例えば、下記の特許文献1には、復調装置においてサンプリング周波数を上げなくとも、より精密な位相調整ができるようにして安定した復調動作が実現されるようにすることを目的とした復調装置が開示されている。入力される変調信号波に内部基準波を演算することによって復調を行なう回路において、内部基準波のテーブルとして位相を変えたテーブルを複数備え、複数のテーブルのうちで1つを選択できる構成をとることにより、内部基準波を生成するクロックと入力される変調信号の位相に差がある場合でも、その位相差を解消するように内部基準波の位相を調整し、位相のそろった波形で復調のための演算を行うことができる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−216394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このように位相の異なる多数のクロックを準備するのは構成が複雑化し、コストも増大する。
【0010】
本発明の目的は、簡易な構成でありながらクロストークの影響を排除し、高精度にウォブル信号を復調することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、HMW変調されたウォブル信号を復調する復調回路であって、前記ウォブル信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出手段と、前記ゼロクロス点に基づき、前記ゼロクロス点の時間間隔を周期とする1周期分の正弦波要素を順次連結して正弦波信号を生成する正弦波生成手段と、前記ウォブル信号と前記正弦波信号とを乗算する演算手段と、乗算して得られた信号から前記HMW変調部分を検出するHMW変調部検出手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の復調回路を備える光ディスク装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クロストークの影響を排除して高精度にウォブル信号を復調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の光ディスク装置の全体構成図である。
【図2】実施形態の原理説明図であり、正弦波要素及びこれらを連結してなる正弦波信号の説明図である。
【図3】実施形態のウォブル信号復調回路の構成図である。
【図4】実施形態のフィルタ帯域制御回路の構成図である。
【図5】図3における各部の信号波形説明図である。
【図6】クロストーク発生説明図である。
【図7】従来のMSK変調部及びHMW変調部の検出方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1に、本実施形態における光ディスク装置の全体構成を示す。CDやDVD、Blu−ray等の光ディスク10はスピンドルモータ(SPM)12により駆動される。スピンドルモータSPM12は、ドライバ14で駆動され、ドライバ14はサーボプロセッサ30により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。
【0017】
光ピックアップ16は、レーザ光を光ディスク10に照射するための半導体レーザ素子であるレーザダイオード(LD)や光ディスク10からの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスク10に対向配置される。光ピックアップ16はステッピングモータで構成されるスレッドモータ18により光ディスク10の半径方向に駆動され、スレッドモータ18はドライバ20で駆動される。ドライバ20は、ドライバ14と同様にサーボプロセッサ30によりサーボ制御される。また、光ピックアップ16の半導体レーザ素子はドライバ22により駆動され、ドライバ22は、オートパワーコントロール回路(APC)24により、駆動電流が所望の値となるように制御される。APC24及びドライバ22は、システムコントローラ32からの指令により半導体レーザ素子の発光量を制御する。図1ではドライバ22は光ピックアップ16と別個に設けられているが、ドライバ22を光ピックアップ16に搭載してもよい。
【0018】
光ディスク10に対する記録再生動作は以下のとおりである。光ディスク10に記録されたデータを再生する際には、光ピックアップ16の半導体レーザ素子から再生パワーのレーザ光が照射され、その反射光がPDで電気信号に変換されて出力される。光ピックアップ16からの再生信号はRF回路26に供給される。RF回路26は、再生信号からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、サーボプロセッサ30に供給する。サーボプロセッサ30は、これらのエラー信号に基づいて光ピックアップ16をサーボ制御し、光ピックアップ16をオンフォーカス状態及びオントラック状態に維持する。また、RF回路26は、再生信号に含まれるアドレス信号をアドレスデコード回路28に供給する。アドレスデコード回路28はアドレス信号から光ディスク10のアドレスデータを復調し、サーボプロセッサ30やシステムコントローラ32に供給する。また、RF回路26は、再生RF信号を2値化回路34に供給する。2値化回路34は、再生信号を2値化し、得られた信号をエンコード/デコード回路36に供給する。エンコード/デコード回路36では、2値化信号を復調及びエラー訂正して再生データを得、当該再生データをインタフェースI/F40を介してパーソナルコンピュータなどのホスト装置に出力する。なお、再生データをホスト装置に出力する際には、エンコード/デコード回路36はバッファメモリ38に再生データを一旦蓄積した後に出力する。
【0019】
光ディスク10にデータを記録する際には、ホスト装置からの記録すべきデータはインタフェースI/F40を介してエンコード/デコード回路36に供給される。エンコード/デコード回路36は、記録すべきデータをバッファメモリ38に格納し、当該記録すべきデータをエンコードして変調データとしてライトストラテジ回路42に供給する。ライトストラテジ回路42は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルス(パルストレーン)等に変換し、記録パルスとしてドライバ22に供給する。記録ストラテジは記録品質に影響することから、データ記録に先立って最適化が行われる。記録パルスによりパワー変調されたレーザ光は光ピックアップ16の半導体レーザ素子から照射されて光ディスク10にデータが記録される。データ記録時の記録パワーは、OPC(Optimum Power Control)により光ディスク10の内周側に形成されたPCA(Power Calibration Area:パワー較正領域)を用いてテストデータを試し書きすることで最適化される。データを記録した後、光ピックアップ16は再生パワーのレーザ光を照射して当該記録データを再生し、RF回路26に供給する。RF回路26は再生信号を2値化回路34に供給し、2値化されたデータはエンコード/デコード回路36に供給される。エンコード/デコード回路36は、変調データをデコードし、バッファメモリ38に格納されている記録データと照合する。ベリファイの結果はシステムコントローラ32に供給される。システムコントローラ32はベリファイの結果に応じて引き続きデータを記録するか、あるいは交替処理を実行するかを決定する。システムコントローラ32は、システム全体の動作を制御し、サーボプロセッサ30を介してスレッドモータ18を駆動し、光ピックアップ16の位置を制御する。
【0020】
このような全体構成において、RF回路26は再生RF信号に含まれるウォブル信号を復調するが、従来のようにウォブル信号と、ウォブル信号をPLL回路に供給して得られるクロック信号との乗算を行うのではなく、ウォブル信号と、ウォブル信号のゼロクロス点から演算して得られた正弦波との乗算を行うことで、クロストークによる位相ずれに対応してウォブル信号のMSK変調部とHMW変調部を復調する。ここで、MSK変調及びHMW変調は公知であるが、MSK(Minimum Shift Keying)変調方式では、ウォブル信号の基本周波数信号(基準キャリア信号)の一部を1.5倍の周波数の信号に置換し、この周波数変調部を検出することでアドレッシングを行う。HMW(Harmonic Wave)変調方式では、基準キャリア信号に一部その2倍の周波数の信号を重畳してウォブル信号を鋸歯状とするもので、重畳信号の位相を検出することでアドレッシングを行う。MSK変調部とHMW変調部はそれぞれブロック内の異なる位置に配置され、MSK変調部とHMW変調部との間には1周期以上の基準キャリア信号が配置される。MSK変調方式は、比較的傷やクロストークに弱く、HMW変調方式はチルトに対して敏感である特性を有しており、両者を併用して相補うことによりアドレッシングの信頼性を向上させている。
【0021】
図2に、本実施形態によるウォブル信号復調の原理を示す。再生されたウォブル信号100は適当なHPF(ハイパスフィルタ)と適当なLPF(ローパスフィルタ)でDC成分と高周波ノイズが除去された後、A/D変換される。
【0022】
次に、ウォブル信号100がゼロクロスする直前及び直後の時刻とA/D値、すなわち図2に示す(t0,x0)〜(t3,x3)からゼロクロス時刻を演算する。このとき、(t0,x0)−(t1,x1)間や(t2,x2)−(t3,x3)間は例えば直線補間される。これにより、ウォブル信号100のゼロクロス時刻tz0、tz1、tz2、tz3、tz4、tz5、tz6を得ることができる。
【0023】
次に、tz0−tz1間の時間T01、tz1−tz2間の時間T12、tz2−tz3間の時間T23等を演算し、時刻tz0を0°として周期T01、所定振幅の正弦波1周期分(正弦波要素200a)、時刻tz1を0°として周期T12、所定振幅の正弦波1周期分(正弦波要素200b)、時刻tz2を0°として周期T23、所定振幅の正弦波1周期分(正弦波要素200c)等を作成し、これらの正弦波要素200a、200b、200c、・・を順次連結することで一つの正弦波信号200を作成する。そして、正弦波要素200a、200b、200c、・・を連結して作成される正弦波信号200をウォブル信号と乗算することでヘテロダイン演算を行う。
【0024】
図3に、本実施形態におけるウォブル信号復調回路の構成を示す。ウォブル信号復調回路はRF回路26内に設けられていてもよく、RF回路26とは別個に設けられていてもよい。
【0025】
HPF(ハイパスフィルタ)50は、アナログウォブル信号が入力され、アナログウォブル信号のDC成分を除去してLPF(ローパスフィルタ)52に出力する。HPF50は、例えばウォブル周波数の1/100程度の帯域を有する。
【0026】
LPF(ローパスフィルタ)52は、アナログウォブル信号の高周波ノイズを除去してA/D変換器60に出力する。高周波ノイズを除去するのは、ウォブル信号のゼロクロス点検出を正確に行うためである。LPF52は、例えばウォブル周波数の3倍程度の帯域を有する。
【0027】
A/D変換器60は、ウォブル信号をA/D変換してゼロクロス検出器62と乗算器68に出力する。ゼロクロス点検出を正確に行うためにはA/D変換のサンプリングレートは高い方が好適であり、少なくともウォブル周波数の10倍程度が好適である。
【0028】
ゼロクロス検出器62は、図2に示すように直線補間でウォブル信号のゼロクロス時刻tz0、tz1、tz2、tz3、tz4、tz5、tz6、・・・を検出して正弦波発生回路66に出力するとともに、PLL回路64に出力する。
【0029】
PLL回路64は、ゼロクロス信号を用いてクロック信号を生成して記録クロック信号とするとともに、復調用クロック信号としてアドレスデコーダ28に出力する。
【0030】
正弦波発生回路66は、上記のようにtz0−tz1間の時間T01、tz1−tz2間の時間T12、tz2−tz3間の時間T23等を演算し、時刻tz0を0°として周期T01の正弦波1波、時刻tz1を0°として周期T12の正弦波1波、時刻tz2を0°として周期T23の正弦波1波を順次作成することで正弦波を生成する。正弦波発生回路66は、生成した正弦波を乗算器68に出力する。
【0031】
乗算器68は、A/D変換器60からのウォブル信号と、正弦波発生回路66からの正弦波との乗算を行い(ヘテロダイン乗算)、乗算結果をLPF70に出力する。
【0032】
LPF70は、FIRフィルタであり、高周波ノイズを除去してLPF72及びHPF76に出力する。LPF70の帯域はウォブル周波数の1/2である。LPF72は、LPF70と同様にFIRフィルタであり、さらに高周波成分を除去してスライサ74に出力する。LPF72の帯域はウォブル周波数の1/4である。HPF76は、低周波ノイズを除去してスライサ78に出力する。HPF76の帯域はLPF72と同様にウォブル周波数の1/4である。
【0033】
スライサ74は、所定のスライスレベルE1、E2を用いて乗算結果の信号からHMWの0、1を判別し、判別結果をアドレスデコーダ28に出力する。
【0034】
スライサ78は、所定のスライスレベルF1、F2を用いて乗算結果の信号からモノトーンかMSK変調部かを判別し、判別結果をアドレスデコーダ28に出力する。
【0035】
アドレスデコーダ28は、入力されたHMW0、HMW1、モノトーン、MSK変調部の判別結果よりアドレスを復調する。
【0036】
図4に、各LPF及びHPFの帯域を制御する制御回路の構成を示す。帯域制御回路は、図3に示すウォブル信号復調回路の一部である。通常、ウォブル信号再生系のフィルタの帯域は固定値か、あるいはCAV(角速度一定)対応の場合は各フィルタはスイッチドキャパシタ型等入力クロックにより帯域可変なフィルタとして、ウォブル信号のPLLで作成されたクロック信号により制御する。しかしながら、本実施形態では、フィルタの影響が相対的に大きく、シーク時等SPMが加速あるいは減速中で、SPM回転数が目標回転数に達していない場合には、再生ウォブル信号に対してフィルタ帯域が必ずしも最適とはならないため、アドレス復調に支障が生じるおそれもある。そこで、本実施形態では、図4に示すように、SPMのFGパルス(出力信号)を用いて各フィルタの帯域を制限する。
【0037】
すなわち、PLL逓倍回路58は、CPU54(あるいはシステムコントローラ32)からの光ピックアップ(PU)位置情報に基づいて、SPMのFG発生器56からのFGパルスを逓倍し、スイッチ59の一方の端子に出力する。スイッチ59の他方の入力端子には、PLL64で生成されたクロック信号が供給される。CPU54はスイッチ59を切り替えることで、クロック信号かFGパルスを逓倍した信号のいずれかを帯域制限信号として各フィルタ52、70、74、50、76に供給する。具体的には、シーク時等のようにSPMが加速あるいは減速中で、SPM回転数が目標回転数に達していない場合にはFGパルスを光ピックアップ(PU)位置に応じて逓倍した信号を帯域制限信号として供給し、それ以外の場合にはクロック信号を帯域制限信号として供給する。もちろん、SPM回転数が目標回転数に達した後であってもFGパルスを逓倍した信号を帯域制限信号として供給してもよい。光ピックアップ位置は常に変動するためCPU54でこれを制御するのは煩雑であるので、ウォブル信号のPLLで作成したクロック信号に切り替えて帯域制限するのが好適である。
【0038】
図5に、図3の各部における信号波形を示す。図5(a)は、A/D変換器60からの信号Aであり、ウォブル信号波形である。図5(b)は、正弦波発生回路66からの正弦波Bである。本実施形態では、上記のようにtz0−tz1間の時間T01、tz1−tz2間の時間T12、tz2−tz3間の時間T23等を演算し、時刻tz0を0°として周期T01の正弦波1波、時刻tz1を0°として周期T12の正弦波1波、時刻tz2を0°として周期T23の正弦波1波を順次作成することで正弦波を生成するため、この正弦波はウォブル信号の2倍の周波数を有する。したがって、MSK変調部ではモノトーン部の1.5倍となる。図5(c)は、信号Aと信号Bの乗算結果であり、乗算器68からの信号Cである。図5(d)は、LPF70からの信号Dであり、エリアシングの影響でMSK変調部の周波数が強調される。図5(e)は、LPF72からの信号Eであり、スライサ74ではこの信号EとスライスレベルE1、E2とを比較する。E1>E2である。入力信号がスライスレベルE1より大きい場合にHMWの1、入力信号がスライスレベルE2より小さい場合にHMWの0と判別する。図5(f)は、HPF76からの信号Fであり、スライサ78ではこの信号FとスライスレベルF1、F2とを比較する。F1>F2である。入力信号がスライスレベルF1より大きい場合、あるいはスライスレベルF2より小さい場合をMSK変調部と判別し、それ以外をモノトーン部と判別する。
【0039】
このように、本実施形態では、ウォブル信号のゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点の間隔から正弦波を生成してヘテロダイン乗算を行うことで、クロストークによるウォブル信号の位相ずれの影響を排除できる。
【0040】
本実施形態では、スライサ74によりHMWの0、1を判別するとともにスライサ78でMSK変調部とモノトーン部を判別しているが、スライサ74によりHMWの0、1を判別してMSK変調部は従来の構成により判別してもよく、あるいはスライサ78によりMSK変調部とモノトーン部を判別し、HMWは従来の構成により判別してもよい。クロストークの影響は特にMSK変調部に顕著に現れるものと考えられるので、少なくとも本実施形態のスライサ78によりMSK変調部とモノトーン部との判別を行うことが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
10 光ディスク、26 RF回路、32 システムコントローラ、100 ウォブル信号、200 正弦波信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMW変調されたウォブル信号を復調する復調回路であって、
前記ウォブル信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出手段と、
前記ゼロクロス点に基づき、前記ゼロクロス点の時間間隔を周期とする1周期分の正弦波要素を順次連結して正弦波信号を生成する正弦波生成手段と、
前記ウォブル信号と前記正弦波信号とを乗算する演算手段と、
乗算して得られた信号から前記HMW変調部分を検出するHMW変調部検出手段と、
を有することを特徴とする復調回路。
【請求項2】
請求項1に記載の復調回路を備える光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−18754(P2012−18754A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205556(P2011−205556)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【分割の表示】特願2007−81968(P2007−81968)の分割
【原出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】