循環型植物栽培施設
【課題】本発明では、無駄に焼却される植物性廃棄物をバイオマス燃料として効率的に利用出来るようにすることが課題である。
【解決手段】植物栽培施設1に隣接して植物性廃棄物を炭化する炭化装置8と炭化物置場9を設けた植物廃棄物処理施設10を設け、植物栽培施設1から植物廃棄物処理施設10へ植物廃棄物を送る廃棄植物輸送コンベヤ5と植物廃棄物処理施設10から植物栽培施設1へ炭化装置8で炭化した植物炭化物を送る炭化物輸送コンベア6で連結して循環型植物栽培施設を構成した。
【解決手段】植物栽培施設1に隣接して植物性廃棄物を炭化する炭化装置8と炭化物置場9を設けた植物廃棄物処理施設10を設け、植物栽培施設1から植物廃棄物処理施設10へ植物廃棄物を送る廃棄植物輸送コンベヤ5と植物廃棄物処理施設10から植物栽培施設1へ炭化装置8で炭化した植物炭化物を送る炭化物輸送コンベア6で連結して循環型植物栽培施設を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜や果実或いは花卉類等の植物栽培施設で発生する植物性廃棄物を燃料として利用する循環型植物栽培施設に関する
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭酸ガスを減らす目的で、燃料として植物を利用することすなわちバイオマス燃料で温暖化防止に役立てようとされている。
例えば、特開2005−126573号公報には、植物性バイオマス資源の高エネルギー密度、高比重化した植物系バイオマス炭を生成するバイオマス炭生成装置が記載されている。
【0003】
このバイオマス炭生成装置で生成されたバイオマス燃料は、火力発電所で石炭に混入されて利用されることが考慮されている。
【特許文献1】特開2005−126573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物栽培施設で発生する植物性廃棄物は、その殆どが焼却処分去れ、その焼却時の煙発生が環境汚染の原因にもなっている。一方、植物栽培施設では、促成栽培のために石油などの化石燃料を燃焼させて施設内を加温している。
【0005】
そこで、本発明では、無駄に焼却される植物性廃棄物をバイオマス燃料として効率的に利用出来るようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、植物栽培施設(1)に隣接して植物性廃棄物を炭化する炭化装置(8)と炭化物置場(9)を設けた植物廃棄物処理施設(10)を設け、植物栽培施設(1)から植物廃棄物処理施設(10)へ植物廃棄物を送る廃棄植物輸送コンベヤ(5)と植物廃棄物処理施設(10)から植物栽培施設(1)へ炭化装置(8)で炭化した植物炭化物を送る炭化物輸送コンベア(6)とを設けた循環型植物栽培施設とした。
【0007】
この構成で、植物栽培施設(1)で生じる茎や剪定枝などの植物廃棄物が廃棄植物輸送コンベヤ(5)で植物廃棄物処理施設(10)に搬入され、炭化装置(8)で炭化された炭化物が炭化物輸送コンベア(6)で植物栽培施設(1)に搬入されて、施設加温の燃料或いは植物育成用炭酸ガス発生材として利用される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、植物栽培施設1で生じる茎や剪定枝などの植物性廃棄物が廃棄植物輸送コンベヤ5で植物廃棄物処理施設10へ送り込まれ、植物廃棄物処理施設10の炭化装置8で直ちに炭化されるので、腐敗による悪臭発生が無く、生じた炭化物が炭化物置場9に置かれ、必要に応じて炭化物輸送コンベア6で植物栽培施設1に送られてボイラーの燃料或いは炭酸ガス発生炉で燃やされて、施設加温或いは植物生育用炭酸ガスとして利用されるので化石燃料の使用を少なくして温暖化防止に効果的である。また、植物栽培施設1で発生する植物性廃棄物が外部へ排出されることが無いので、環境保護にも有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施した循環型植物栽培施設の実施例を、以下に説明する。
図1は、植物栽培施設1の隣に植物廃棄物処理施設10を設置している。
【0010】
ビニールハウス等の温室からなる植物栽培施設1の内部には、トマト等の栽培植物2を条植にして栽培し、その一隅に作業スペース3を設けている。この作業スペース3の片側に植物廃棄物輸送コンベヤ5に繋がる植物受ホッパー12を設け、他側に炭化物輸送コンベア6に繋がるボイラー4を設けている。
【0011】
植物廃棄物処理施設10の内部には、前記廃棄植物輸送コンベヤ5に繋がる植物粉砕機7とこの植物粉砕機7から出た粉砕植物を加熱して炭化する炭化装置8を設け、植物廃棄物処理施設10の中央に炭化装置8から出る炭化物を置く炭化物置場9を設け、廃棄植物輸送コンベヤ5と反対側に設ける炭化物輸送コンベア6に繋がる炭化物供給ホッパ11を設けている。
【0012】
植物栽培施設1では、栽培植物2の育成中には剪定した枝やひこ生え或いは収穫後の刈り取った茎等の廃棄植物を作業スペース3に集めて、植物受ホッパー12へ廃棄植物を投入する。植物受ホッパー12に投入された廃棄植物は、廃棄植物輸送コンベヤ5で植物粉砕機7へ送られて細かく粉砕され、さらに炭化装置8で過熱されて炭化物となる。炭化装置8から出る炭化物は、炭化物置場9に溜められる。
【0013】
栽培植物2の育成中には、炭化物置場9に置かれた炭化物が炭化物供給ホッパ11へ投入されて炭化物輸送コンベア6でボイラー4へ送られて燃やされる。このことによって、植物育成用炭酸ガスの供給や室内温度の加温が行われる。
【0014】
なお、ボイラー4には、炭化物置場9の炭化物が無くなれば、直接石炭や灯油などが供給されるようになっている。
図2、3には、植物栽培施設1内の栽培植物2の育成ベッド15の構造が示されている。この育成ベッド15は、上部の発砲スチロール製植付台16と下部の発砲スチロール製通気台19で構成される。植付台16がロックウール等の充填材を受けるU溝17とそのU溝17の中央に設ける養液溝18を形成した発砲スチロールからなり、U溝17に養液を流して充填材へ植えた栽培植物に肥料や水を供給する。通気台19は植付台16を受けて中央にU溝20を形成し、長手方向の所定間隔でU溝20から両側方へ向けて開口部21を形成している。
【0015】
通気台19のU溝20に温風が送られて、植付台6の底面を暖めると共に開口部21から側方へ温風が吹き出して植物栽培施設1内を均等に暖める。
この育成ベッド15は、架台14に載せたり、盛土21上に置いたりして、作業者が育成作業や収穫作業を行い易い高さにする。
【0016】
図4、5には、育成ベッド15の別実施例が記載されている。図4において、上側の植付台25を鉄板を折り曲げて中央に養液溝23付の樋状に形成し、下側の発砲スチロール製通気台26には、中央のU溝24から側方へ開口する開口部28に調整片27を差し込んで通気量を調整できるようにしている。
【0017】
図5において、上側の植付台40の上に苺等の茎を受ける茎受け面30を形成した受板29を防水シート31を介して載せている。この植付台40は前記と同じように、架台32に通気台39を置き、その上に載せている。
【0018】
図6には、育成ベッド15への送風設備が記載されている。切換弁35を介して設ける冷房機34と暖房機36で吸気筒33から吸い込んだ空気を温度調節してメインダクト37へ送り出し、メインダクト37から分岐ダクト38で各育成ベッド15へ分岐して送気している。
【0019】
図7は、育成ベッド15の養液回収側を示し、養液回収路45と養液排出路46を設け、育成ベッド15の端部から回収受皿41に溜まる養液をホース42で排出口43か回収口44に差し込んで流れを変更するようにしている。排出口43から養液排出路46を流れる養液は施設の外部へ排出され、回収口44から養液回収路45を流れる養液は養液タンク47へ戻されて再度育成ベッド15を流れることになる。このような養液の排出は一部の育成ベッド15で病気が発生した場合にその育成ベッド15を流れる養液を再利用しないためである。なお、養液の流れ変更はホース42の部分に切換バルブを繋ぎ回収か排出かをバルブ操作で行えるようにしても良い。
【0020】
図8は、植物栽培施設1内に設ける電照灯49の移動位置関係を示している。夜間で電照灯49を点ける場合には各育成ベッド15の中間上に位置して栽培植物に万遍なく光が当たるようにし、昼間で剪定や収穫作業を行う場合には育成ベッド15の上に移動して作業の邪魔にならないようにする。この電照灯49の移動は電線48を一緒に横移動するが、適宜に作業時に手動で移動させても時間制御で自動的に移動するようにしても良い。
【0021】
図9、10は、植物栽培施設1の屋根に遮光剤を塗布する遮光剤塗布装置61を示している。植物栽培施設1の山型屋根60に沿った形状のノズル管50を樋59内を回転する車輪58で支持した遮光剤塗布装置61をフック54,55に架けたロープ56,57で屋根の両側から引っ張って移動すべく設ける。各ノズル管50には塗料を圧送するパイプ51を連結し、屋根に向かって開口した複数のノズル52から石灰等の溶解液を吹き付けて透明ガラスを遮光する。
【0022】
図11は、前記遮光剤塗布装置61を載せる山型屋根60の棟を変更するための横移動台62で、作業者が乗り込み可能な支台65の側部に前記遮光剤塗布装置61の車輪58を受け入れて支持する受溝64,64を立設し、支台65の底部にフォークリフト63の爪67を受け入れる爪差込部66を設けている。
【0023】
この横移動台62を使用するには、フォークリフト63で受溝64,64が遮光剤塗布装置61を受け取る位置まで上昇させて山型屋根60から遮光剤塗布装置61の車輪58を受溝64,64へ移動させて受け取り、フォークリフト63を横の棟に移動し、再度、その棟に遮光剤塗布装置61を移動して載せる。なお、横移動台62に遮光剤塗布装置61を載せた際に支台65に搭乗した作業者がノズル52の点検等も行える。
【0024】
図12は、育成ベッド15を流れる養液の殺菌装置70を示している。
ステンレス製の円筒タンク71内にモータ72によってゆっくり回転する回転軸73を設けている。この回転軸73に平面視で網状に組んだ支杆網74を所定間隔で多数取り付けている。また、円筒タンク71内を二段の隔壁75,76で仕切り、各隔壁75,76に通孔77を設けている。支杆網74には、図13に示すオクトクロス80を取り付けた吊り金81を引掛けている。オクトクロス80とは、ナイロン不織布に銀メッキをしたものである。
【0025】
円筒タンク71には、上隅に流入管78が設けられ、下隅に流出管79が設けられ、流入管78から円筒タンク71内へ入った養液がオクトクロス80で掻き混ぜられながら隔壁75の通孔77を通って沈下し、流出管79から取り出される。この間に養液がオクトクロス80の銀イオンによって殺菌される。なお、流出管79の出口位置は液面より少し低い位置として養液が円筒タンク71内をゆっくりと流れるようにしている。
【0026】
図13は、植物栽培施設1内で使用する作業台車81を示している。
この作業台車81は、施設内に敷設したレール82上を車輪83で移動し、作業者が搭乗する作業台85がパンタグラフ状支柱84で昇降すると共に、この作業台85が本体に対して横移動して作業者が作物88に接近でき、身体を横に伸ばさなくとも楽に作業が行えるようにしている。なお、作業台85には囲い枠86を立設し作業者が転落しないようにしている。なお、この実施例では、育成ベッド15を吊り金具87で吊り下げている。
【0027】
図15は、植物栽培施設1内を走行させる防除車90を示している。
この防除車90に立設するノズル管は上部ノズル管91と下部ノズル管92で構成し、上部ノズル管91には殺菌剤を入れた薬剤タンク93からの薬剤を導いて散布し、下部ノズル管92には農薬を入れた薬剤タンク94からの殺虫剤を導いて散布する。このようにすることで、栽培作物の下側に発生し易い病気を防ぎ、栽培作物の上側に発生し易いアブラムシ等の害虫を退治することが効率的に行え、使用薬剤を少なく出来る。
【0028】
図16,17は、栽培作物の花にホルモン剤を自動で散布するホルモン散布車95を示している。
このホルモン散布車95には、ホルモンタンク96とポンプ101と自動制御用パソコン102及び支柱100に対して自動で昇降させるようにしたノズル98とカメラ97を備え、走行しながらカメラ97で発見する作物の花位置にノズル98を移動し、花に向けてホルモン剤を散布する。なお、ノズル98にはホルモン剤が分散しないようにカバー99を設けている。このホルモン剤散布は着果を良くしたり種無しにするために行う。
【0029】
図18は、植物栽培施設1内の炭酸ガス量の制御説明図で、太陽光が多く光合成が活発な時間に合わせて炭酸ガス量を多く供給するよう制御する。
日射量計測センサとタイマ及び温度センサで日射量がが多く昼間の時間で気温が高い場合には光合成が活発なので炭酸ガス供給量を増やす制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明実施例の平面図
【図2】育成ベッドの一部斜視図
【図3】育成ベッドの正面図
【図4】別実施例育成ベッドの一部斜視図
【図5】別実施例育成ベッドの正断面図
【図6】育成ベッドへの送風装置平面図
【図7】育成ベッドの養液回収側説明図
【図8】電照灯の移動位置関係図
【図9】遮光剤塗布装置の正面図
【図10】遮光剤塗布装置の側面図
【図11】遮光剤塗布装置横移動台の正面図
【図12】養液殺菌装置の正断面図
【図13】養液殺菌装置の一部拡大斜視図
【図14】作業台車の側面図
【図15】防除車の説明図
【図16】ホルモン散布車の側面図
【図17】ホルモン散布車の正面図
【図18】炭酸ガス量の制御説明図
【符号の説明】
【0031】
1 植物栽培施設
5 廃棄植物輸送コンベヤ
6 炭化物輸送コンベア
8 炭化装置
9 炭化物置場
10 植物廃棄物処理施設
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜や果実或いは花卉類等の植物栽培施設で発生する植物性廃棄物を燃料として利用する循環型植物栽培施設に関する
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭酸ガスを減らす目的で、燃料として植物を利用することすなわちバイオマス燃料で温暖化防止に役立てようとされている。
例えば、特開2005−126573号公報には、植物性バイオマス資源の高エネルギー密度、高比重化した植物系バイオマス炭を生成するバイオマス炭生成装置が記載されている。
【0003】
このバイオマス炭生成装置で生成されたバイオマス燃料は、火力発電所で石炭に混入されて利用されることが考慮されている。
【特許文献1】特開2005−126573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物栽培施設で発生する植物性廃棄物は、その殆どが焼却処分去れ、その焼却時の煙発生が環境汚染の原因にもなっている。一方、植物栽培施設では、促成栽培のために石油などの化石燃料を燃焼させて施設内を加温している。
【0005】
そこで、本発明では、無駄に焼却される植物性廃棄物をバイオマス燃料として効率的に利用出来るようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、植物栽培施設(1)に隣接して植物性廃棄物を炭化する炭化装置(8)と炭化物置場(9)を設けた植物廃棄物処理施設(10)を設け、植物栽培施設(1)から植物廃棄物処理施設(10)へ植物廃棄物を送る廃棄植物輸送コンベヤ(5)と植物廃棄物処理施設(10)から植物栽培施設(1)へ炭化装置(8)で炭化した植物炭化物を送る炭化物輸送コンベア(6)とを設けた循環型植物栽培施設とした。
【0007】
この構成で、植物栽培施設(1)で生じる茎や剪定枝などの植物廃棄物が廃棄植物輸送コンベヤ(5)で植物廃棄物処理施設(10)に搬入され、炭化装置(8)で炭化された炭化物が炭化物輸送コンベア(6)で植物栽培施設(1)に搬入されて、施設加温の燃料或いは植物育成用炭酸ガス発生材として利用される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、植物栽培施設1で生じる茎や剪定枝などの植物性廃棄物が廃棄植物輸送コンベヤ5で植物廃棄物処理施設10へ送り込まれ、植物廃棄物処理施設10の炭化装置8で直ちに炭化されるので、腐敗による悪臭発生が無く、生じた炭化物が炭化物置場9に置かれ、必要に応じて炭化物輸送コンベア6で植物栽培施設1に送られてボイラーの燃料或いは炭酸ガス発生炉で燃やされて、施設加温或いは植物生育用炭酸ガスとして利用されるので化石燃料の使用を少なくして温暖化防止に効果的である。また、植物栽培施設1で発生する植物性廃棄物が外部へ排出されることが無いので、環境保護にも有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施した循環型植物栽培施設の実施例を、以下に説明する。
図1は、植物栽培施設1の隣に植物廃棄物処理施設10を設置している。
【0010】
ビニールハウス等の温室からなる植物栽培施設1の内部には、トマト等の栽培植物2を条植にして栽培し、その一隅に作業スペース3を設けている。この作業スペース3の片側に植物廃棄物輸送コンベヤ5に繋がる植物受ホッパー12を設け、他側に炭化物輸送コンベア6に繋がるボイラー4を設けている。
【0011】
植物廃棄物処理施設10の内部には、前記廃棄植物輸送コンベヤ5に繋がる植物粉砕機7とこの植物粉砕機7から出た粉砕植物を加熱して炭化する炭化装置8を設け、植物廃棄物処理施設10の中央に炭化装置8から出る炭化物を置く炭化物置場9を設け、廃棄植物輸送コンベヤ5と反対側に設ける炭化物輸送コンベア6に繋がる炭化物供給ホッパ11を設けている。
【0012】
植物栽培施設1では、栽培植物2の育成中には剪定した枝やひこ生え或いは収穫後の刈り取った茎等の廃棄植物を作業スペース3に集めて、植物受ホッパー12へ廃棄植物を投入する。植物受ホッパー12に投入された廃棄植物は、廃棄植物輸送コンベヤ5で植物粉砕機7へ送られて細かく粉砕され、さらに炭化装置8で過熱されて炭化物となる。炭化装置8から出る炭化物は、炭化物置場9に溜められる。
【0013】
栽培植物2の育成中には、炭化物置場9に置かれた炭化物が炭化物供給ホッパ11へ投入されて炭化物輸送コンベア6でボイラー4へ送られて燃やされる。このことによって、植物育成用炭酸ガスの供給や室内温度の加温が行われる。
【0014】
なお、ボイラー4には、炭化物置場9の炭化物が無くなれば、直接石炭や灯油などが供給されるようになっている。
図2、3には、植物栽培施設1内の栽培植物2の育成ベッド15の構造が示されている。この育成ベッド15は、上部の発砲スチロール製植付台16と下部の発砲スチロール製通気台19で構成される。植付台16がロックウール等の充填材を受けるU溝17とそのU溝17の中央に設ける養液溝18を形成した発砲スチロールからなり、U溝17に養液を流して充填材へ植えた栽培植物に肥料や水を供給する。通気台19は植付台16を受けて中央にU溝20を形成し、長手方向の所定間隔でU溝20から両側方へ向けて開口部21を形成している。
【0015】
通気台19のU溝20に温風が送られて、植付台6の底面を暖めると共に開口部21から側方へ温風が吹き出して植物栽培施設1内を均等に暖める。
この育成ベッド15は、架台14に載せたり、盛土21上に置いたりして、作業者が育成作業や収穫作業を行い易い高さにする。
【0016】
図4、5には、育成ベッド15の別実施例が記載されている。図4において、上側の植付台25を鉄板を折り曲げて中央に養液溝23付の樋状に形成し、下側の発砲スチロール製通気台26には、中央のU溝24から側方へ開口する開口部28に調整片27を差し込んで通気量を調整できるようにしている。
【0017】
図5において、上側の植付台40の上に苺等の茎を受ける茎受け面30を形成した受板29を防水シート31を介して載せている。この植付台40は前記と同じように、架台32に通気台39を置き、その上に載せている。
【0018】
図6には、育成ベッド15への送風設備が記載されている。切換弁35を介して設ける冷房機34と暖房機36で吸気筒33から吸い込んだ空気を温度調節してメインダクト37へ送り出し、メインダクト37から分岐ダクト38で各育成ベッド15へ分岐して送気している。
【0019】
図7は、育成ベッド15の養液回収側を示し、養液回収路45と養液排出路46を設け、育成ベッド15の端部から回収受皿41に溜まる養液をホース42で排出口43か回収口44に差し込んで流れを変更するようにしている。排出口43から養液排出路46を流れる養液は施設の外部へ排出され、回収口44から養液回収路45を流れる養液は養液タンク47へ戻されて再度育成ベッド15を流れることになる。このような養液の排出は一部の育成ベッド15で病気が発生した場合にその育成ベッド15を流れる養液を再利用しないためである。なお、養液の流れ変更はホース42の部分に切換バルブを繋ぎ回収か排出かをバルブ操作で行えるようにしても良い。
【0020】
図8は、植物栽培施設1内に設ける電照灯49の移動位置関係を示している。夜間で電照灯49を点ける場合には各育成ベッド15の中間上に位置して栽培植物に万遍なく光が当たるようにし、昼間で剪定や収穫作業を行う場合には育成ベッド15の上に移動して作業の邪魔にならないようにする。この電照灯49の移動は電線48を一緒に横移動するが、適宜に作業時に手動で移動させても時間制御で自動的に移動するようにしても良い。
【0021】
図9、10は、植物栽培施設1の屋根に遮光剤を塗布する遮光剤塗布装置61を示している。植物栽培施設1の山型屋根60に沿った形状のノズル管50を樋59内を回転する車輪58で支持した遮光剤塗布装置61をフック54,55に架けたロープ56,57で屋根の両側から引っ張って移動すべく設ける。各ノズル管50には塗料を圧送するパイプ51を連結し、屋根に向かって開口した複数のノズル52から石灰等の溶解液を吹き付けて透明ガラスを遮光する。
【0022】
図11は、前記遮光剤塗布装置61を載せる山型屋根60の棟を変更するための横移動台62で、作業者が乗り込み可能な支台65の側部に前記遮光剤塗布装置61の車輪58を受け入れて支持する受溝64,64を立設し、支台65の底部にフォークリフト63の爪67を受け入れる爪差込部66を設けている。
【0023】
この横移動台62を使用するには、フォークリフト63で受溝64,64が遮光剤塗布装置61を受け取る位置まで上昇させて山型屋根60から遮光剤塗布装置61の車輪58を受溝64,64へ移動させて受け取り、フォークリフト63を横の棟に移動し、再度、その棟に遮光剤塗布装置61を移動して載せる。なお、横移動台62に遮光剤塗布装置61を載せた際に支台65に搭乗した作業者がノズル52の点検等も行える。
【0024】
図12は、育成ベッド15を流れる養液の殺菌装置70を示している。
ステンレス製の円筒タンク71内にモータ72によってゆっくり回転する回転軸73を設けている。この回転軸73に平面視で網状に組んだ支杆網74を所定間隔で多数取り付けている。また、円筒タンク71内を二段の隔壁75,76で仕切り、各隔壁75,76に通孔77を設けている。支杆網74には、図13に示すオクトクロス80を取り付けた吊り金81を引掛けている。オクトクロス80とは、ナイロン不織布に銀メッキをしたものである。
【0025】
円筒タンク71には、上隅に流入管78が設けられ、下隅に流出管79が設けられ、流入管78から円筒タンク71内へ入った養液がオクトクロス80で掻き混ぜられながら隔壁75の通孔77を通って沈下し、流出管79から取り出される。この間に養液がオクトクロス80の銀イオンによって殺菌される。なお、流出管79の出口位置は液面より少し低い位置として養液が円筒タンク71内をゆっくりと流れるようにしている。
【0026】
図13は、植物栽培施設1内で使用する作業台車81を示している。
この作業台車81は、施設内に敷設したレール82上を車輪83で移動し、作業者が搭乗する作業台85がパンタグラフ状支柱84で昇降すると共に、この作業台85が本体に対して横移動して作業者が作物88に接近でき、身体を横に伸ばさなくとも楽に作業が行えるようにしている。なお、作業台85には囲い枠86を立設し作業者が転落しないようにしている。なお、この実施例では、育成ベッド15を吊り金具87で吊り下げている。
【0027】
図15は、植物栽培施設1内を走行させる防除車90を示している。
この防除車90に立設するノズル管は上部ノズル管91と下部ノズル管92で構成し、上部ノズル管91には殺菌剤を入れた薬剤タンク93からの薬剤を導いて散布し、下部ノズル管92には農薬を入れた薬剤タンク94からの殺虫剤を導いて散布する。このようにすることで、栽培作物の下側に発生し易い病気を防ぎ、栽培作物の上側に発生し易いアブラムシ等の害虫を退治することが効率的に行え、使用薬剤を少なく出来る。
【0028】
図16,17は、栽培作物の花にホルモン剤を自動で散布するホルモン散布車95を示している。
このホルモン散布車95には、ホルモンタンク96とポンプ101と自動制御用パソコン102及び支柱100に対して自動で昇降させるようにしたノズル98とカメラ97を備え、走行しながらカメラ97で発見する作物の花位置にノズル98を移動し、花に向けてホルモン剤を散布する。なお、ノズル98にはホルモン剤が分散しないようにカバー99を設けている。このホルモン剤散布は着果を良くしたり種無しにするために行う。
【0029】
図18は、植物栽培施設1内の炭酸ガス量の制御説明図で、太陽光が多く光合成が活発な時間に合わせて炭酸ガス量を多く供給するよう制御する。
日射量計測センサとタイマ及び温度センサで日射量がが多く昼間の時間で気温が高い場合には光合成が活発なので炭酸ガス供給量を増やす制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明実施例の平面図
【図2】育成ベッドの一部斜視図
【図3】育成ベッドの正面図
【図4】別実施例育成ベッドの一部斜視図
【図5】別実施例育成ベッドの正断面図
【図6】育成ベッドへの送風装置平面図
【図7】育成ベッドの養液回収側説明図
【図8】電照灯の移動位置関係図
【図9】遮光剤塗布装置の正面図
【図10】遮光剤塗布装置の側面図
【図11】遮光剤塗布装置横移動台の正面図
【図12】養液殺菌装置の正断面図
【図13】養液殺菌装置の一部拡大斜視図
【図14】作業台車の側面図
【図15】防除車の説明図
【図16】ホルモン散布車の側面図
【図17】ホルモン散布車の正面図
【図18】炭酸ガス量の制御説明図
【符号の説明】
【0031】
1 植物栽培施設
5 廃棄植物輸送コンベヤ
6 炭化物輸送コンベア
8 炭化装置
9 炭化物置場
10 植物廃棄物処理施設
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培施設(1)に隣接して植物性廃棄物を炭化する炭化装置(8)と炭化物置場(9)を設けた植物廃棄物処理施設(10)を設け、植物栽培施設(1)から植物廃棄物処理施設(10)へ植物廃棄物を送る廃棄植物輸送コンベヤ(5)と植物廃棄物処理施設(10)から植物栽培施設(1)へ炭化装置(8)で炭化した植物炭化物を送る炭化物輸送コンベア(6)とを設けた循環型植物栽培施設。
【請求項1】
植物栽培施設(1)に隣接して植物性廃棄物を炭化する炭化装置(8)と炭化物置場(9)を設けた植物廃棄物処理施設(10)を設け、植物栽培施設(1)から植物廃棄物処理施設(10)へ植物廃棄物を送る廃棄植物輸送コンベヤ(5)と植物廃棄物処理施設(10)から植物栽培施設(1)へ炭化装置(8)で炭化した植物炭化物を送る炭化物輸送コンベア(6)とを設けた循環型植物栽培施設。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−55829(P2009−55829A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225464(P2007−225464)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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