説明

循環腫瘍細胞の検出方法および哺乳類対象における癌の診断方法

哺乳類対象において循環腫瘍細胞を検出する方法が提供される。哺乳類対象において癌を診断する方法が提供される。検出または診断のこの方法は、転移性癌または早期癌の存在を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、哺乳類対象における循環腫瘍細胞を検出する方法および哺乳類対象における癌を診断する方法に関する。これらの検出または診断の方法は、転移癌または初期癌の存在を示す。
【背景技術】
【0002】
循環腫瘍細胞(CTC)が、10から10の末梢血単核細胞中に1個の超低濃度で、上皮由来癌を有する患者の末梢血において観察された。Kraeftら、Clin Cancer Res 10:3020−3028、2004;Kraeftら、Methods MoI Med 75:423−430、2003;Mengら、Clin Cancer Res 10:8152−8162、2004;Witzig ら、Clin Cancer Res 8:1085−1091 2002;Pantelら、Curr Opin Oncol 12:95−101、2000;Gross ら、Proc Natl Acad Sci USA 92:537−541、1995。これらの細胞の数は、サンプル採取時における進行性疾患を有する転移性乳癌患者の群についての結果と相関関係があることが示された。Cristofanilliら、N Engl J Med351:781−91,2004。従って、これらの特徴づけは、これらの細胞がどのように解剖学的に遠い部位に血流を経て運ばれることができて、転移性疾患を形成することができるかについて理解するために、生物医学上非常に興味深いものである。従って、これらの細胞を測定するための器具は、有益な診断用ツールであろう。
【0003】
血行性転移は乳癌の死亡率の主要原因であり、2005年には米国で推定41,000人の死亡の原因である。Jemalら、Cancer J Clin 55:10−30、2005。腫瘍細胞は原発腫瘍腫瘤から血流に放りだされたことを示す証拠がある。Tarin、Cancer Metastasis Rev 1:215−225,1982;Tarinら、Cancer Res 41:3604−3609,1981;Kleinら、Proc Natl Acad Sci USA 96:4494−4499,1999;Liottaら、Cell 64:327−336,1991。血中でのCTCの生存および最終的な転移に関与する因子は、十分には理解されていない。Chambersら、Breast Cancer Res 2:400−407,2000。上皮由来の癌を有する患者の末梢血で観察されるCTCは、サイトケラチン(CK)または他の上皮細胞に特異的なマーカーに対するモノクローナル抗体を介した免疫蛍光検定を使用して同定できる。Moll、Subcell Biochem 31:205−262、1998;Pantelら、J Hematother 3:165−173,1994。前向き臨床治験により、これらのCK+細胞は悪性であり、血中のこれらの存在は多数の研究において転帰不良と低い生存率とに相関していることが確立された。Fehmら、Clin Cancer Res 8:2073−2084,2002。Cristofanilliら、N Engl J Med 351:781−791,2004;Cristofanilliら、J Clin Oncol 23:1420−1430、2005;Piergaら、Clin Cancer Res 10:1392−1400,2004。
【0004】
現在CTC検出のために利用できる最も信頼性が高い方法は、免疫細胞化学的に標識された腫瘍細胞の認識のために画像分析を使用する自動化したデジタル顕微鏡観察(ADM)である。しかしながら、ADMは、800細胞/秒の非常に遅い走査速度により不利である。Kraeftら、Clin Cancer Res 10:3020−8,2004。ADM走査速度は、しばしば視野が限られていることにより、サンプルを多数回に段階処理することに伴う待ち時間によって拘束されている。
【0005】
この速度制約を回避するために、いくつかのCTC富化技術が、走査を必要とする細胞の総数を減らすために開発された。Hagerら、Gynecol Oncol 98:211−6,2005;Rosenbergら、Cytometry 49:150−8,2002;Witzigら、Clin Cancer Res 8:1085−91,2002;Umielら、J Hematother Stem Cell Res 9:895−904,2000;Siewertら、Recent Results Cancer Res 158:51−60,2001。現在まで、これらの富化アプローチで最も良好なものは、免疫磁気富化(IME)である。Smirnovら、Cancer Res 65:4993−7、2005;Allardら、Clin Cancer Res 10:6897−904、2004;Cristofanilliら、N Engl J Med 351:781−91、2004。IMEの大部分の実現例において、小型磁気ビーズに結合されたモノクローナル抗体は、上皮細胞接着分子(EpCAM)を標的とする。ビーズは、次に富化のために磁界で操作される。しかしながら、CTCにおけるEpCAMの発現レベルが、組織内の細胞のレベルから実質的に低下することが知られている。Raoら、Int J Oncol 27:49−57,2005。感度損失がEpCAM発現の低下した細胞の富化において観察されたので、このアプローチはある種のCTCに関して低い感度を有する可能性があろう。Krivacicら、Proc Natl Acad Sci USA 101:10501−4,2004。
【0006】
利用できる技術の限定が動機となって、走査機器が、匹敵する感度を示すADMより500倍早く、特異性が改良され、従って、富化ステップを必要としない速度でCTCの位置を決めることができる光ファイバーアレイ走査技術(FAST)が使用されて、開発された。Krivacicら、Proc Natl Acad Sci USA 101:10501−4,2004。この走査機器は、収集効率の損失なしで非常に大きい視野(50mm)を有する光収集システムを含む。この広い収集開口(ADMより100倍増大)は、蛍光放射物を収集する薄く広い束の光学フィルターで実現される。この視野は、連続走査を可能にして、待ち時間の主要な原因であるサンプルを段階処理する必要を排除するのに十分大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、CTCは、主にCKのような免疫細胞化学的マーカーおよびDAPIによる核染色の使用を通して検出され分析される。これらのアプローチは、CTCを列挙し区別することに成功しているにもかかわらず、これらのアプローチは、診断病理学が依存している標準の形態学的染色との相互関係を省いているので、標準の細胞病理学的なアプローチとならない。Cristofanilliら、N Engl J Med 351:781−791、2004;Fehmら、Cytotherapy 7:171−185,2005。これは、通常の診断法によって得られた他の部位からのCTCを腫瘍細胞と比較する上で困難を引き起こす。CTCを検出する能力は癌の診断および個々の処置および処置の効力を補佐する可能性を有するが、CTCの生物学の知識は標準の細胞病理学的方法を含むことによって向上するであろう。従来の診断病理学染色法および明視野における顕微鏡観察によるCTCの詳細な高分解能画像化を利用して、循環癌腫の標準の細胞病理学的診断を作るために可能性を与えることおよび病院においてCTCを使用する診断の採用を進めることの必要性が当分野で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、一般に、哺乳類の対象における循環腫瘍細胞(CTC)を検出する方法または哺乳類の対象において癌を診断する方法に関する。本発明は、さらに、癌の治療として哺乳類の対象において候補薬化合物を選別する方法を提供する。癌は、転移癌または初期癌であり得る。本発明は、さらに、転移癌または初期癌の配慮時点の患者の選別、監視および管理を提供するために、循環腫瘍細胞を検出する方法において使用するための装置を提供する。
【0009】
癌を有することが疑われる哺乳類の対象において循環腫瘍細胞を検出する方法が提供される。この方法は、細胞集団を含む試験サンプルを哺乳類の対象の血液から得ること、試験サンプルを支持体上に載せること、試験サンプル中の循環腫瘍細胞と選択的に結合する第1のマーカーを検出すること、試験サンプル中の細胞集団または細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーを検出すること、ならびに、第1のマーカーおよび第2マーカーによって検出された細胞集団を分析して、循環腫瘍細胞を同定しおよび特徴づけすること、を含む。この方法の1つの態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類の対象における転移癌の存在を示す。更なる態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類の対象における初期癌の存在を示す、または、試料の中の循環腫瘍細胞の存在または不存在は、哺乳類の対象における疾患がない状態または測定できない疾患状態の存在を示す。更なる態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在は、癌治療または癌回復の間の治療管理を監視する。詳細な態様において、この細胞集団は混合細胞集団である。この支持体は平らな支持体であり得る。
【0010】
この方法の1つの態様において、平らな支持体の上に試験サンプルを載せることは生物学的単層を形成する。第1のマーカーまたは第2のマーカーは、蛍光マーカーであり得る。別の態様において、第1のマーカーは、選択的に上皮細胞と結合する。詳細な態様において、第1のマーカーは、サイトケラチン・マーカーである。第2のマーカーは、形態、寸法または核対細胞質の比によって循環腫瘍細胞を同定する細胞学的染料であり得る。細胞学的な染料は、ライト・ギムザ(Wright−Giemsa)染料であり得る。第1のマーカーまたは第2のマーカーは、細胞特異的なマーカーであり得る。詳細な態様において、細胞特異的なマーカーは、サイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン・レセプター、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、VEGF、EGFRまたはHuRである。試験サンプルは、さらに、第3のマーカーによって分別される細胞集団を含むことができる。この方法の別の態様は、平らな支持体の上に試験サンプルを載せる前に細胞集団を分別することを含む。
【0011】
哺乳類の対象における循環腫瘍細胞を検出するためのこの方法は、さらに、核細目、核輪郭、核小体の存在または不存在、細胞質の品質または細胞質の量によって細胞集団を分析することを含む。この方法は、さらに、高い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、低い核対細胞質比を有する無傷の細胞、初期アポトーシス細胞または後期アポトーシス細胞を測定することによって細胞集団を分析すること、および循環腫瘍細胞を同定することを含むことができる。この方法のもう1つの態様において、第1のマーカーを検出することは、さらに、支持体に細胞を付着させることによって細胞集団を分析すること、光ファイバーアレイによって支持体上の細胞集団を走査すること、および、再配置を用いるデジタル顕微鏡観察によって細胞を画像処理することを含む。この方法において、第2のマーカーを検出することは、デジタル顕微鏡観察によって第1のマーカーにより同定された上皮細胞を再配置することをさらに含む。詳細な態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、限定されないが、リンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、膵臓癌、尿膀胱癌、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌または前立腺癌を含む癌の存在を示す。
【0012】
癌を有することを疑われる哺乳類の対象における癌を診断する方法を提供する。この方法は、細胞集団を含み試験サンプルを対象の血液から得ること、試験サンプルを支持体上に載せること、試験サンプル中の循環腫瘍細胞と選択的に結合する第1のマーカーを検出すること、試験サンプル中の細胞集団または細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーを検出すること、および、第1および第2マーカーによって検出された細胞集団を分析して、循環腫瘍細胞を同定しおよび特徴づけすることを含む。この方法の1つの態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類の対象における転移癌の存在を示す。さらなる態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類の対象における初期癌の存在を示す、または、試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在は、哺乳類の対象における疾患がない状態または測定できない疾患の状態の存在を示す。さらなる態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在は、癌治療または癌回復の間の治療の管理を監視する。詳細な態様において、この細胞集団は混合細胞集団である。この支持体は平らな支持体であり得る。
【0013】
この方法の1つの態様において、支持体の上で試験サンプルを載せることは生物学的単層を形成する。第1のマーカーまたは第2のマーカーは、蛍光マーカーであり得る。更なる態様において、第1のマーカーは、選択的に上皮細胞と結合する。詳細な態様において、第1のマーカーは、サイトケラチン・マーカーである。第2のマーカーは、形態、寸法または核対細胞質の比によって循環腫瘍細胞を同定する細胞学的な染料であり得る。細胞学的な染料は、ライト・ギムザ染料であり得る。第1のマーカーまたは第2のマーカーは、細胞に特異的なマーカーであり得る。詳細な態様において、細胞に特異的なマーカーは、サイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン・レセプター、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、VEGF、EGFRまたはHuRである。試験サンプルは、第3のマーカーによって分別される細胞集団をさらに含むことができる。この方法の別の態様は、試験サンプルを支持体上に載せる前に細胞集団を分別することを含む。細胞集団は、当分野において公知の多数の方法によって、例えば赤血球溶解によってまたは細胞マーカーについて細胞を分別することによって、分別され得る。細胞マーカーについての細胞の分別は、循環腫瘍細胞については陽性選択としてまたは非腫瘍細胞を除去する陰性選択として、行うことができる。
【0014】
哺乳類の対象における癌を診断するこの方法は、核細目、核輪郭、核小体の存在または不存在、細胞質の品質または細胞質の量によって細胞集団を分析することをさらに含む。この方法は、高い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、低い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、初期アポトーシス細胞または後期アポトーシス細胞を測定することによって細胞集団を分析すること、および循環腫瘍細胞を同定することをさらに含むことができる。この方法のもう1つの態様において、第1のマーカーを検出することは、支持体に細胞を付着させることによって細胞集団を分析すること、光ファイバーアレイによって支持体上の細胞集団を走査すること、および、再配置を用いるデジタル顕微鏡観察によって細胞を画像処理することを含む。この方法において、第2のマーカーを検出することは、デジタル顕微鏡観察によって第1のマーカーにより同定される上皮細胞を再配置することをさらに含む。詳細な態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、限定されないが、リンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、膵臓癌、尿膀胱癌、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌または前立腺癌を含めた癌の存在を示す。
【0015】
この方法の1つの態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類対象における癌再発の可能性を示している。この方法の更なる態様において、試料中の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類の対象における癌緩解状態を示している。
【0016】
哺乳類の対象における癌の治療のために候補薬化合物を選別する方法を提供する。この方法は、候補薬化合物の治療的に効果的な量を、癌を有することを疑われる哺乳類の対象に投与すること、循環腫瘍細胞を含有することが疑われる細胞集団を含む試験サンプルを、候補薬化合物による処置前および処置後に、対象の血液から得ること、試験サンプルを支持体上に載せること、試験サンプル中の循環腫瘍細胞と選択的に結合する第1のマーカーを検出すること、試験サンプル中の細胞集団または細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーを検出すること、および第1および第2マーカーによって検出された細胞集団を分析し、試験サンプル中の、候補薬化合物による処置前の循環腫瘍細胞を、候補薬化合物による処置後と比較して、同定することを含む。試料中の処置前の循環腫瘍細胞の数と比較して、試料中の処置後の減少した数の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類の対象における癌の処置における候補薬化合物の効果を示す。この癌は、転移癌または初期癌であり得る。この細胞集団は混合細胞集団であり得る。この支持体は平らな支持体であり得る。
【0017】
この方法の1つの態様において、支持体上に試験サンプルを載せて、生物学的単層を形成する。第1のマーカーまたは第2のマーカーは、蛍光マーカーであり得る。更なる態様において、第1のマーカーは、選択的に上皮細胞と結合する。詳細な態様において、第1のマーカーは、サイトケラチン・マーカーである。第2のマーカーは、形態、寸法または核対細胞質の比によって循環腫瘍細胞を同定するための細胞学的な染料であり得る。細胞学的な染料は、ライト・ギムザ染料であり得る。第1のマーカーまたは第2のマーカーは、細胞に特異的なマーカーであり得る。詳細な態様において、細胞に特異的なマーカーは、サイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン・レセプター、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、VEGF、EGFRまたはHuRである。試験サンプルは、第3のマーカーによって分別される細胞集団をさらに含むことができる。この方法の更なる態様は、試験サンプルを支持体上に載せる前に細胞集団を分別することを含む。細胞集団は、当分野において公知の多数の方法によって、例えば赤血球溶解によってまたは細胞マーカーについて細胞を分別することによって、分別されることができる。細胞マーカーについての細胞の分別は、循環腫瘍細胞については陽性選択としてまたは非腫瘍細胞を除去する陰性選択として、行うことができる。
【0018】
癌の型としては、限定されないが、リンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、膵臓癌、尿膀胱癌、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌または前立腺癌が挙げられる。
【0019】
詳細な説明
本発明は、一般に、哺乳類対象における循環腫瘍細胞(CTC)を検出する方法に関しまたは哺乳類の対象における転移癌または初期癌を診断する方法に関する。本発明は、さらに、転移癌を治療するための哺乳類の対象における候補薬化合物を選別する方法に関する。哺乳類の対象におけるCTCを検出する方法が提供される。この方法は、癌を有することが疑われる哺乳類対象の組織からCTCを含有することが疑われる混合細胞集団を含む血液試料を得ること、この血液細胞血球およびCTCを支持体上に載せて生物学的単層を形成すること、CTCと選択的に結合する第1のマーカーを生物学的単層において検出すること、混合細胞集団または混合細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーを生物学的単層において検出すること、第1のマーカーおよび第2のマーカーによって検出された細胞集団を分析してCTCを同定することを含む。試料のCTCの存在は哺乳類の対象における転移癌または初期癌の存在を示す。試料中のCTCの存在または不存在は、哺乳類の対象における疾患がない状態または測定できない疾患状態の存在を示すことができる。
【0020】
本方法は、癌患者における血中のCTCを検出するための、ファイバーアレイ走査技術(FAST)と組み合わせた、血液サンプル中の、上皮由来の細胞を同定する細胞付着プロトコールを提供する。このプロトコールにおいて、生きている白血球(WBC)(例えばロイコサイト)および血液中の他の細胞を、例えば生物学的単層として、スライド上に単離する。白血球として、Tリンパ球;貪食作用に関係する、単球、好酸球および好中球;炎症反応に関係する好塩基球が挙げられる(これらに限定されない。)。本発明の方法において、WBCおよびCTCは、特別に被覆された接着性スライドとの上に付着させられ、固定化および透過化処理の後、スライド面上にてサイトケラチン(CK)抗体カクテルにて免疫蛍光により標識される。血液および骨髄の正常細胞は起源において間葉系であり、CKタンパク質を発現しなく、播種性上皮細胞を正常な血液細胞から容易に識別可能にする。スライドをFASTによって分析し、各々のスライドの希少細胞の配置を得る。
【0021】
FASTおよび細胞付着プロトコールを利用する方法は、転移性乳癌および肺癌患者のCTC罹患率を調査するのに用いることができる。病理学者の病理学的確認および特徴づけのために、目的の細胞を再配置しおよび試験することを可能にすることがこの方法の追加の長所である。本発明において、このプロトコールは、カバースライドを除去することおよび/またはそれぞれ蛍光で染色されたスライド上で水溶性充填媒体を可溶化することおよび第2の細胞マーカー(例えば標準のライト・ギムザ染色)を用いて同じ細胞を再染色することにより、CTCの形態、寸法および異質性についての追加の洞察を提供することをさらに含む。FASTおよび細胞付着プロトコールによって位置決めをされた公知のCKの個々の希少細胞および希少細胞クラスタを、形態学的に評価することができる。CTCの蛍光イメージはこれらの検証された同定を助成するが、ライト・ギムザ染色は、CTCに関する追加の細胞学的な情報を提供する。本発明の更なる態様において、この方法は、疾患、疾患状態、細胞型または細胞状態のいずれかに特異的である異なる細胞マーカーを評価するために使用できる。
【0022】
CTCを検出および特徴付けする能力により、癌患者の診断および個別的治療を支援できる可能性がある。CTCの希少性のために、CTCを研究するために特別な方法を必要とする。本発明は、乳癌患者から得られる血液中のCTCの詳細な形態学的特徴づけのための標準の細胞病理学的方法の使用を可能にするアプローチを提供しおよびCTCのスペクトルの細胞学的特徴の細目を提供する。全血から回収される有核細胞は、接着性スライドに付着させ、免疫蛍光により標識され、およびCTCの検出のために光ファイバーアレイ走査技術により分析される。これらの技術を通常の染色法に結合させると、光学顕微鏡を使用するCTCの同定および評価が可能になる。細胞を観察するための従来の病理学的方法を使用すると、CTCは、全血標本中で高度の患者間および患者内の多形性を示し、無傷のCTCは、アポトーシスの特徴を示すCTCと共に、高いおよび低い両方の核対細胞質の比にて特定される。形態学的な観察は、原発性および転移性の腫瘍部位にある細胞の全スペクトルが血液中に循環しているのを見られ得ることを示唆し、転移に関係する細胞小集団の性質を研究するための、形態学的分別の可能性ある骨組みをさらに提供する。
【0023】
CTCの検出のための、光ファイバーアレイ走査技術(FAST)と組み合わせて使用される、上皮由来の細胞について間接免疫蛍光法を使用する細胞付着プロトコールは、CTCの特定について正当性が検証された。Krivacicら、Proc Natl Acad Sci USA 101:10501−10504,2004。FASTシステムは、転移性乳癌患者の末梢血中のCTCの検出について、有用性があり得ることが確立された。本発明は、CTCの異質性を研究し、その結果を原発性および転移性の腫瘍組織の分析と比較するための、診断病理学的染色法(例えばギムサ染色または蛍光染色法)および光学顕微鏡の縦系列でのアプローチの結果を提供する。このアプローチは、癌患者から得られる血液から、CTCの高品質な検証を可能にし、CTCのスペクトルの詳細な形態学および細胞学的特徴を提供する画像ギャラリーの作成を促進した。
【0024】
自動化デジタル顕微鏡観察および光ファイバーアレイ
走査技術
癌患者において超低濃度にて末梢血中を循環している上皮由来の腫瘍細胞を検出する方法が提供される。光ファイバーアレイ走査技術(FAST)を利用して循環している希少細胞の迅速で正確な検出ができる機器が開発された。FAST血球計数器は、従来の自動化デジタル顕微鏡観察より500倍速い走査速度でガラス支持体上の免疫蛍光で標識された希少細胞の位置決めをすることができる。これらの高い走査速度は、大きい(50mm)視野でファイバー束を使用して蛍光発光を収集することによって、成し遂げられる。非常に高い走査速度は、富化ステップの必要条件なしで希少事象を検出する能力を可能にする。FAST血球計数器が、乳癌患者の末梢血中のCTCを検出し、画像処理しおよび再画像するために使用された。この技術は、臨床的に有用な治療場所診断のおよび癌臨床医のための予後の道具として役割を果たす可能性を有する。固定された支持体の使用は、細胞の再同定および再染色を可能にし、追加の形態学および生物学的な情報を前に収集されて同定された細胞から得ることを可能にする。
【0025】
FAST技術が、IV期の乳癌患者の末梢血におけるCTCの高速検出のために使用された。FAST走査はADMによりCTCの効率的な画像処理を可能にし、約6000万の白血球を含有する血液10mlを80分で評価できるようになる。この技術改善は、走査時間を75%以上減少させること可能にしよう。高分解能ADM画像が、CTC同定のためにさらに使用される。これらの結果は、治療時点の患者選別、監視および管理のためにこの機器を使用することを支援する。最後に、細胞を再配置する能力は、CTCの形態学的なおよび潜在的に分子的特徴づけを可能にし、従って、転移の研究のために潜在的な価値を示す。
【0026】
光ファイバーアレイ走査技術(FAST)と組み合わせた自動化デジタル顕微鏡観察(ADM)は、血中の癌細胞の検出のための信頼性が高い方法であり、初期段階にある固形腫瘍の診断および監視のための重要な道具である。検出の好ましい方法、ADMは、遅すぎるため大きな支持体面積を走査できない。FASTを使用するアプローチは、レーザー印刷技術を希少細胞検出問題に適用する。FAST血球計算と共に、レーザー印刷レンズが用いられ、1秒につき300,000セルが励起されおよび発光が非常に広い視野で収集される。これは、匹敵する感度および優れた特異性を有しつつADMに対し500倍のスピードアップを可能にする。FAST富化およびADM画像処理の組合せは、血中における初期癌の信頼性が高い検出のために必要とされる性能を有する。Krivacicら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:10501−10504,2004。
【0027】
CTCは10−6と10−7の間の濃度にて循環中に存在すると推定される。PantelおよびOtte、Semin.Cancer Biol.11:327−237,2001。この範囲の下端(10−7)を想定すると、少なくとも1億の造血細胞のサンプルが、高い確率(99.995%)で少なくとも1つのCTCを検出するために必要である。このようなサンプル寸法のADM分析は18時間かかるであろうし、細胞病理検査のために3,000から30,000の観察対象をもたらするであろう。Borgenら、Cytometry 46:215−221,2001;Bauerら、Clin,Cancer Res.6:3552−2559,2000;Kraeftら、Clin.Cancer Res.6:434−442,2000;Mehesら、Cytometry 42:357−362,2000。ADMおよびFASTを使用する性能に基づけば、1億の細胞のFAST事前走査に5分がかかり、およびADMによる引き続く再走査のために1,500の観察対象もたらすであう。この縦系列アプローチの改良された特異性により、ADMによるこの再走査は、300の観察対象のみの引き続く手動試験を必要としよう。この縦系列アプローチにより、1億の造血細胞を選別する作業は、1時間以内で完了されるであろう。
【0028】
自動化デジタル顕微鏡観察
FAST血球計数器によって同定された見込みある細胞の座標は、完全に自動化された走査デジタル顕微鏡観察システムである希少事象の画像処理システム(REIS)に送られた。REISのハードウェア構成要素および所有権がある走査ソフトウェアは、いたる所で記述されている。Krivacicら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:10501−10504,2004;Kraeftら、Clin.Cancer Res.6:434−442,2000;Kraeftら、Clin.Cancer Res.10:3020−3028,2004。
【0029】
光学システム
大きい視野は、非対称末端を有する光ファイバー束によって可能になる。図1に示すように、収集末端は長く(50mm)、狭い(2mm)のに対して、透過末端は円形である(直径11.3mm)。操作中において、アルゴンのイオン・レーザーは収集末端の表面に位置している支持体を走査し、収集された発光は、続いて、円形の開口の後平行にされる。蛍光プローブからの発光は、光電子増倍管での検出の前に標準の二色性フィルターを用いてフィルターにかけられる。サンプルは、レーザー走査方向に対して直角の方向に移動してステージ上のレーザー走査経路を横切る。蛍光を発している細胞の位置は、発光時に走査およびステージ位置により正確に測定される。走査機構は、その後の精査のために、発光位置(100μmよりよく)の正確な決定を可能にする。Krivacicら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA101:10501−10504,2004。
【0030】
レーザーは、検流計回転鏡を用いて1秒につき100の走査で走査されるのに対して、支持体は、それの上を2mm・秒−1で移動し、これにより1cm−1の露光速度が生じる。検流計は、線状角時間応答で25°走査角度を超える上記走査速度で作動することができる。F−シータ(Theta)視野レンズは、0.1%よりよい変換精度で15.2°の実際の鏡屈折を線形置換に変換する。これはソフトウェアで排除されることができる<82μmのフィールドにわたり再現性あるねじれになる。10μm直径集束ビームは、60°入射角によって楕円点寸法(10×20μm)に変換される。掃引方向に垂直である楕円長軸は、一次元に沿ってピクセル解像度を定義する。10m・秒−1の掃引速度は、ピクセルにつき1μ秒の通過時間を定義する。
【0031】
FAST血球計算器の固有の検知閾値は、散乱したレーザー光により励起された、光ファイバーおよび平行化レンズにおけるホウ素ケイ酸塩からの自己蛍光により即時測定される。石英支持体のレーザー力インシデントの50mWのために、この自己蛍光は、全ての他のノイズ源(例えば電子機器のノイズ)の組合せの約15倍であって、約1,000のフルオレスセイン分子からの等価の発光に対応する。しかしながら、OTC検出のためには、血液からの測定された自己蛍光は10倍までこの固有の自己蛍光を上回り、従って、この自己蛍光はこの用途のために効果的な検出閾値を決定する血液からの自己蛍光である。
【0032】
血液自己蛍光の存在下でFASTおよびデジタル顕微鏡観察の間の検出閾値の比較が、2の因子の濃度において異なっている列におけるAlexaフルオロ488染料の希釈シリーズを含む較正スライドを使用することによって、行われた。両方の機器はスライドを走査し、各々の列についての信号強度を、同一の走査条件の下に血液サンプルから来ている自己蛍光の強さと比較した。バックグラウンド自己蛍光の存在下、FASTはデジタル顕微鏡で検出できるより、約8倍暗い細胞蛍光を検出することができる。この違いは、488nmのレーザーによるAlexaフルオロ488プローブのより効率的な励起、および顕微鏡ブロードバンド水銀光源による血液自己蛍光のより効率的な励起の組合せに原因があると考えることができる。この検出利点によって、FASTは、低レベルの蛍光により、従って低レベルの発現標的タンパク質でもって細胞を検出できる。
【0033】
測定
検出蛍光対象は、希少細胞を偽陽性と区別するために、ソフトウェア・フィルタ操作により分析される。細胞はレーザー点解像度(20μm)より一般に小型であるので、第1のフィルターは寸法閾値(20μm)以下である全ての対象を通過させる。第2のフィルターは、免疫蛍光染色の一般の人為産物である均一な染料凝集体を排除するために、異なるチャネルからの蛍光の強度の間の比を分析する。
【0034】
本発明の1つの態様において、哺乳類対象における循環腫瘍細胞を検出する方法または哺乳類の対象における転移癌を診断する方法は、一般に平らな表面を画像処理する装置を利用する。米国特許出願番号第2004/0071330号および第2004/0071332号(これらは全体として参照によりここに組み込まれる。)を参照。別の態様において、この方法は、光ファイバーアレイ走査技術(FAST)を利用する、循環中の希少細胞の迅速で正確な検出ができる映像器装置を利用する。一般に平らな表面を画像処理する映像器装置が開示される。直線的に移動するステージは、表面を第1の方向に直線的に移動する。光ファイバー束は、第1の方向に対して垂直におよび表面と平行に配列された直線入力開口を画定するために配置された平行な第1のファイバー末端の第1の末端を有する。この光ファイバー束は、一般に円形の出力開口を画定する第2の末端をさらに有する。各々の第1のファイバー末端は、一般に円形の出力開口に光学的に通じている。走査放射線源は、入力開口の下の一般に平らな表面に沿って直線的に放射線ビームを走査する。この放射線ビームは、入力開口によって収集されて、表面と相互に作用して、出力開口に光ファイバー束によって伝達される光信号を発生する。光センサーは、一般に円形の出力開口にて光信号を検出するように配置される。ラスター化プロセッサは、映像器ステージおよび走査放射線源と連通し、放射線ビームの走査および表面の線形平行移動を調整して、表面において放射線ビームのラスターを実現する。
【0035】
サンプルは、対象からの血液または血液の部分(これらに限定されない。)を含めた生物学流動体のサンプルを抜き取ることによって、生物学的単層として作製できる。1つの態様において、サンプルは細胞の単層である。流体サンプルは、マーカー染料(これに限定されない。)のような、異なる種類の生体分子(細胞の表面上にまたは細胞内部に存在し得る、タンパク質、核酸または他の分子など)に選択的に結合する蛍光材料で処理される。適切なマーカーは、選択された癌細胞型、胎児細胞または他の適切な考慮されるべき細胞を含む、多数の、臨床目的の異なる細胞型のマーカー付けのために、当分野において知られている。とりわけ、脳細胞、肝細胞、加えて細菌細胞のような、多数の他の細胞のためのマーカーを開発することができる。この材料は、光の選択された波長またはスペクトルによる照射、X線照射、電子ビーム照射などの選択された励起照射に応答する蛍光またはリン光のような特徴的出力を発する。特徴的発光は、一般に特徴的波長または波長のスペクトル範囲を有する。染料が特色あるタグ付けプロセスである場合、量子ドットおよびDNAナノ粒子プローブとして公知のマーカーの使用を含む他の技術が存在する。
【0036】
他の態様において、希少細胞を生物学的単層にて同定するための装置および方法が開示される。例えば米国特許出願番号第2004/0071332号を参照(この全体が参照によりここに組み込まれる。)。生物学的単層上の希少細胞は、励起放射線への暴露に応答して特徴的発光を発する。移動ステージは、生物学的単層を第1および第2の方向に移動させることができる。光ファイバー束は、各々第1の末端と第2の末端を有している複数のファイバーを含む。第1の末端は、長尺が第1の方向に対して垂直である大きなアスペクト比を有する一般に矩形の収集開口を画定するように配列される。第2の末端は、コンパクトな形状を有している出力開口を画定するように配列される。放射線源は、第1の方向に対して垂直な掃引方向で、生物学的単層の第1の部分を横切って、直線的に励起放射線ビームを走らせる。放射線源および生物学的単層の第1の部分の相互作用領域が、収容開口に対応して配置され、相互作用領域にて発生する特徴的発光が収容開口によって収集される。光検出器が配置され、出力開口にて収集された特徴的発光を検出する。コントローラは、励起放射線ビームをラスター化するために、映像器ステージおよび放射線源の生物学的単層の第1の部分を横切る掃引を制御し、ラスター化の間に検出された特徴的発光に基づく生物学的単層の第1の部分における希少細胞が同定される。このコントローラは、移動ステージの移動をさらに制御し、生物学的単層の第2の部分を、放射線源が励起放射線ビームを生物学的単層の第2の部分を横切って第一の方向に垂直な掃引方向にて直線的に走らせる位置に配置される。放射線源および生物学的単層の第2の部分の相互作用領域が、収容開口に配置され、この相互作用領域にて発生する特徴的発光が収容開口によって収集される。光センサーが配置され、第2の部分の出力開口にて収集された特徴的発光を検出する。
【0037】
他の態様において、生物学的単層中で希少細胞、例えば循環腫瘍細胞(CTC)、の位置を得る方法を提供する。例えば米国特許出願番号第2004/0131241号(この全体が参照によりここに組み込まれる。)を参照。少なくとも1つの希少細胞を担持しおよび実質的に直角を形成する位置に配置された網線マークを有するスライドが、第1の画像処理システムのスライド・ホルダーに置かれる。画像処理システムの第1の座標空間が画定され、第1の座標空間における網線マークの座標が指定される。第2の画像処理システムの第2の座標空間が画定され、第2の座標空間の網線マークの座標が指定される。第1の座標空間の網線マークの指定座標を使用して、座標転換パラメータがコンピュータで計算される。その後、第1の座標空間の少なくとも1つの対象の座標が指定され、対象の第1の座標空間の座標は、座標転換パラメータを使用して第2の座標空間において特徴的な座標に変換される。
【0038】
一旦希少細胞またはCTCが配置されると、生物学的単層上のカバーガラスは取り除くことができる、または、水溶性充填媒体を、各々の蛍光で染色されたスライドの上にて可溶化することができる。この同じ細胞は、第2の細胞マーカー、例えばCTCの形態、寸法および異質性に対する洞察を提供する標準のライト・ギムザ染色、を使用して再染色することができる。既知のサイトケラチン陽性(CK)の個々の希少細胞および希少細胞クラスタを位置決めし、形態学的に評価できる。CTCの蛍光イメージがこれらの検証された同定を促進するが、ライト・ギムザ染料は、CTCに関するさらなる情報を提供する。
【0039】
更なる態様において、このプロセスは、疾患、疾患状態または細胞型、細胞状態のいずれかに特異的である異なる細胞マーカーを評価するために使用できる。本発明の方法は、CTCの特徴づけを促進する。この方法は、富化することなく癌患者から得られた血液からCTCの高品質な検証を可能にし、CTCの形態および特徴に対する洞察を提供する。
【0040】
希少転移性CTCの調査により、多くのCTCがアポトーシス性であり、転移を形成することができないことが示唆され、10,000中1つの播種性癌細胞だけが転移を確立し得ることができると推定される。従って、これらの希少細胞の検出、形態学上の分別および分子特徴づけは、新規で管理された治療に向けることができ得、CTCの臨床的重要性を示し得る。
【0041】
本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生体系に限定されるものではなく、当然変形できるものであることを理解されたい。ここで使用された用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであって、限定的であることを意図しないことも理解されたい。本明細書および添付の請求の範囲で使用される場合、単数形の定冠詞および不定冠詞は、内容が明確に指示されないかぎり、複数の指示物も含む。従って、例えば、「細胞」は、2つ以上の細胞の組合せなどを含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、量や一過性期間などのような測定可能な値を参照するとき、用語「約」は、指定された値からの±20%または±10%の変動、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、およびさらにより好ましくは±0.1%の変動を、このような変動が開示された方法を実行するために適切であるように、含むことが意図される。
【0043】
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門的および科学的な用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載されたものに類似のまたは等価のいずれの方法および材料も、本発明の試験を実行するために使用できるが、好ましい材料および方法が、本明細書に記載されている。本発明の説明および特許請求の範囲において、以下の用語を使用する。
【0044】
「生物学的単層」は細胞分離または精製の種々の状態において存在し得る血液サンプルのことをいう。例えば、赤血球の溶解が生じた後、生物学的単層は、部分的に精製され、単核細胞および他の細胞を含有することができる。
【0045】
「支持体上に試験サンプルを載せる前に、細胞集団を分別する」ことは、試験サンプル、例えば血液サンプルから細胞集団の部分集合を除くことを指す。分別することは、細胞の細画分の選択的な細胞溶解および遠心分離によって起こり得る。分別することは、蛍光細胞マーカーおよび蛍光活性化分別を使用しても起こり得る。細胞マーカーについての細胞分別は、循環腫瘍細胞についての陽性選択として、または非腫瘍細胞を取り除くための陰性選択として起こり得る。
【0046】
「支持体(substrate)」は、試験サンプル、例えば検出および分析のために載せられた細胞を含有する血液サンプル、を保持する。1つの態様において、支持体は平らであり得る。別の態様において、支持体はかなりの湾曲を有し得る。支持体は、FASTシステムにより走査されることができ、デジタル顕微鏡観察により循環腫瘍細胞が位置決めされ得ることができる。
【0047】
「対象」、「哺乳類対象」または「患者」は本発明の方法が適用できるあらゆる哺乳類の患者または対象を指す。「哺乳類」または「哺乳類の」は、ヒト患者および非ヒトの霊長類並びにウサギ、ラットおよびマウスのような実験動物および他の動物を指す。本発明の例示的な実施形態において、本発明の方法による治療のための対象患者を特定するために、認められた選別法が、標的とされたもしくは疑わしい疾患または症状(例えば癌)に伴う危機因子を決定するために、または対象における既存の疾患または症状の状態を決定するために、使用される。これらの選別法は、例えば、標的にされたまたは疑わしい疾患または症状を伴う可能性がある危機因子を決定する従来の精密検査を含む。これらおよび他の通常の方法によって、臨床医は本発明の方法および製剤を使用する治療を必要とする患者を選択することができる。
【0048】
「癌」、「悪性」、「固形腫瘍」または「過増殖障害」は、同義の用語として使われ、細胞の調節されていない異常な増殖、局所的にまたは体の他の部分への血流およびリンパ系を通して広がる影響を受けた細胞の能力並びに特徴的な多数の構造および/または分子的特徴のいずれかによって特徴づけられる多数の疾患のいずれかを指す。「癌」または「悪性細胞」または「固形腫瘍細胞」は、特異的な構造的性質を有し、分化が欠如しており、浸潤および転移ができる細胞として理解される。「癌」は、癌腫および肉腫を含む、哺乳類において見られる全ての種類の癌または新生物または悪性腫瘍を指す。例は、乳癌、肺癌、非小型細胞肺癌、胃癌、脳癌、頭および頚の癌、髄芽細胞腫癌、骨癌、肝臓癌、大腸癌、尿生殖器癌、膀胱癌、尿癌、腎臓癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、黒色腫癌、中皮腫癌、肉腫癌である。(DeVitaら(編集)2001、Cancer Principles and Practice of Oncology,6版,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PAを参照(この文献は、全ての目的のために全体が参照によりここに組み込まれる。)。「過増殖疾患」は、細胞が正常組織成長より迅速に増殖するあらゆる疾患または障害を指す。従って、過増殖性の細胞は、正常な細胞より迅速に増殖している細胞である。
【0049】
「癌関連の」は、対象細胞における悪性の発症への、核酸およびその発現もしくはその欠如またはタンパク質およびそのレベルもしくは活性もしくはその欠如の関係を指す。例えば、癌は、正常な健康な細胞において発現されないまたは低レベルで発現される特定の遺伝子の発現と関連し得る。逆に言えば、癌関連の遺伝子は、悪性細胞において(または形質転換を被っている細胞において)発現されないものであり得または正常な健康な細胞で発現されるより低いレベルで悪性細胞で発現されるものであり得る。
【0050】
癌に関連して、用語「形質転換」は、正常細胞が悪性になるにつれて、正常細胞が被る変化を指す。真核細胞においては、用語「形質転換」は、細胞培養中で正常細胞が悪性細胞に転換されることを述べるのに用いることができる。
【0051】
「増殖性の細胞」は、能動的に細胞分裂を受け、指数関数的に成長しているものである。「細胞増殖制御の喪失」は、細胞分裂の正常な適切な制限を確実にする細胞サイクル制御を失った細胞の性質を指す。このような制御を失った細胞は、刺激性信号なしで、正常な速度より高速で増殖し、抑制信号に応答しない。
【0052】
「進行癌」は、原発性腫瘍部位にもはや止まっていない癌、またはthe American Joint Committee on Cancer(AJCC)によりIII期またはIV期である癌を意味する。
【0053】
「十分に耐性の」は、治療の結果として起こり、治療決定に影響を及ぼすであろう、健全な状態とは逆の変化が存在しないことを指す。
【0054】
「転移性の」は、乳房脂肪体および/または免疫欠損したマウスの循環への注射により、免疫欠損したマウスの肺、肝臓、骨または脳で続発性腫瘍病変を確立することが可能である腫瘍細胞(例えばヒト固形腫瘍または尿生殖器悪性)を指す。
【0055】
「初期癌」は、体内で腫瘍の原発性部位起源から他の部位まで広がらなかった腫瘍細胞指しまたは非転移性の腫瘍細胞を指す。
【0056】
「第1のマーカー」および「第2のマーカー」は、細胞学的な染料によってまたは細胞特異的なマーカーによって循環腫瘍細胞を同定する。細胞学的な染料は、ライト・ギムザ染料または当分野で公知の他の細胞学的な染料(これらに限定されない。)を含む。例えば、B.F.Atkinson,Atlas of Diagnostic Cytopathology、第2版、W.B.Saunders Company編、2003を参照(これは全体が参照によりここに組み込まれる。)。細胞特異的なマーカーは、サイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン・レセプター、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、血管内皮の成長因子(VEGF)、上皮成長因子レセプター(EGFR)またはmRNA安定性因子HuRについてのマーカー(これらに限定されない。)を含む。これらのマーカーは、造血性を起源とする細胞、上皮細胞でのサイトケラチン、乳癌細胞、前立腺の癌細胞、CD44、ヒアルロン酸を識別する細胞表面レセプター、CXCRlまたはCXCR4のようなケモカイン・レセプターの細胞を含む種々の細胞型を同定する。
【0057】
本明細書で使用される場合、細胞に関連して「分別する」は、例えば蛍光で活性化された細胞分別装置を使用して達成することができるとおりの細胞の物理的分別を指し、加えて細胞表面マーカーの発現に基づいた細胞の分析、例えば分別の不在下でのFACS分析を指す。
【0058】
「核細目、核輪郭、核小体の存在または不存在、細胞質の品質または細胞質の量によって細胞集団を分析する」こと、「高い核対細胞質の比を有する無傷細胞、低い核対細胞質の比を有する無傷細胞、初期アポトーシス細胞または後期アポトーシス細胞を測定することにより細胞集団を分析して、循環腫瘍細胞を同定する」ことは、B.F.Atkinson,Atlas of Diagnostic Cytopathology、第2版、W.B.Saunders Company編、2003およびB.F.AtkinsonおよびJ.F.Silverman、Atlas of Difficult Diagnoses in Cytopathology、第1版、W.B.Saunders Company;1998(各々は、これらの全体が参照によりここに組み込まれる。)で述べられるような技術および分析法を利用して起こり得る。
【0059】
「癌治療または癌回復の管理」は、癌進行のステージまたは特定の癌治療処置の効果を決定する生体内または生体外診断検査を指す。
【0060】
癌治療
「固形腫瘍」は、肉腫、黒色腫、癌腫または他の充実性腫瘍癌を含むが、これに限定されるものではない。
【0061】
「肉腫」は、胎児結合組織のような物質から作成され、原繊維中にまたは均一な物質中に封埋された密接に詰められた細胞から一般に構成される腫瘍を指す。肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アベメシーの肉腫、脂肪肉腫、脂肪肉腫、蜂窩性軟部肉腫、エナメル芽細胞の肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、コリオ(chorio)癌腫、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維形成肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨性骨肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫および末梢血管拡張の肉腫が挙げられる(これらに限定されない。)。
【0062】
「黒色腫」は、皮膚および他の器官のメラノサイト・システムに起因している腫瘍を指す。「黒色腫」としては、例えば、肢端黒子型黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング−パッシー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、サウウンガル(爪下、subungal)黒色腫および表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0063】
「癌腫」は周囲の組織を浸潤して、転移を生じる傾向がある上皮細胞から新たに育成される悪性腫瘍を指す。典型的な癌腫は、例えば、小葉癌、小葉癌、腺嚢癌腫、腺様嚢胞癌、腺癌、副腎皮質癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支肺胞上皮癌、基底細胞癌、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支癌、大脳様癌、胆管セル肺門癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体部癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円筒状癌、円柱細胞癌、腺管癌、癌デューラム、胎児性癌、髄様癌、エピエルモイド(類表皮、epiermoid)癌、上皮細胞癌アデノイド、外向発育癌、潰瘍性癌、線維癌、膠様癌、コロイド腺癌、巨細胞癌、巨大細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子質の癌、ハイペモフロイド(hypemephroid)癌、小児胎児性癌、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌腫、クロンペシャー(Krompecher)の癌、キルキスキー(Kulchitzky)−細胞癌、大細胞型癌、レンズ状癌、レンチキュラー(lenticulare)癌、脂肪腫様癌、リンパ上皮癌、メデラレ(medullare)癌、髄様癌、黒色癌、モレ(molle)癌、粘液癌、粘液分泌癌、ムコセルラー(mucocellulare)癌、ムコエピデルノイド(mucoepidernoid)癌、粘液癌、粘液性癌、粘液腫様癌、ナスファリンゲル(上咽頭、naspharyngeal)癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨の癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、上皮内癌、有棘細胞癌、軟性癌、腎臓の腎細胞癌、補充細胞癌、サルコマトドス(sarcomatodes)癌、シュネイデリアン(schneiderian)癌、硬癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞型癌、ソラノイド(solanoid)癌、回転楕円面細胞癌腫、紡錘体細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌、有棘細胞癌、ストリング癌、血管拡張癌、毛細血管拡張癌、移行上皮癌、結節癌、結節癌、疣状癌およびビフロスム(viflosum)癌が挙げられる。
【0064】
「白血病」は造血臓器の進行性の悪性疾患を指し、血液と骨髄での白血球とそれらの前駆体の歪んだ増殖および発症によって一般に特徴づけられる。白血病は、(1)この疾患の期間および急性または慢性の性質、(2)関与した細胞の型;骨髄性である(骨髄性)か、リンパ様である(リンパ向性の)か、単球であるか;および(3)血中白血性であるまたは無白血性(亜白血性)である異常細胞の数における増大または非増大らに基づいて、一般に臨床的に分別される。白血病としては、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血球増加性白血症、ロイコ細胞血液白血病、好塩基性白血病、芽球白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、幹細胞性白血病、好酸球性白血病、グロースの白血病、ヘアリーセル白血病、血芽細胞性白血病、血細胞芽細胞性の白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球白血病、白血球減少症白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ性白血病、リンパ性白血病、リンパ肉腫細胞白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球白血病、ミエロブラスト白血病、骨髄性白血病、骨髄性の顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、プラズマ細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー球性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病および未分化細胞白血病が挙げられる。
【0065】
更なる癌は、例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリネマ(macroglobulinernia)、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、悪性膵臓インスラノーマ(insulanoma)、悪性カルチノイド、尿膀胱癌、前悪性の皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性カルシウム過剰血、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌および前立腺癌を含む。
【0066】
検出可能な標識
分析で使用される特定の標識または検出可能な基は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段により検出することができる。標識の特定の型は、その型が分析で使用される細胞または循環腫瘍細胞の上で細胞マーカーと抗体との特異的結合に有意に干渉しない限り、本発明の重要な観点でない。検出可能な基は、検出可能な物理的性質または化学的性質を有するいずれの材料であってもよい。このような検出可能な標識は、分析またはイムノアッセイの分野で十分に開発され、一般に、このような方法に有用なほとんどどんな標識でも本発明に適用できる。従って、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能なあらゆる構成要素である。本発明の有用な標識としては、磁気ビーズ(例えば、ダイナビーズ(商標))、蛍光色素(例えばフルオレッセン・イソチオシアナート、テキサス赤、ローダミンなど)、放射標識(例えば、H、14C、35S、125I、121I、112In、99mTc)、微小な泡(超音波画像診断のために)のような他の画像処理薬剤、18F、11C、15O(ポジトロン発光断層撮影法のために)、99mTC、111In(単一光子発光断層撮影法のために)、酵素(例えばELISAで一般に使用されるワサビ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびその他)、および金コロイドまたは色ガラスまたはプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズのような熱量計標識が挙げられる。このような標識の活用法を記載した特許としては、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;および第4,366,241号が挙げられる(各々は、これらの全体が、全ての目的のために参照によりここに組み込まれる。)。また、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6版,Molecular Probes,Inc.,オレゴン州ユージン(Eugene OR.))を参照。
【0067】
標識は、当分野で周知の技術である方法によって、直接または間接的に、分析法の望ましい構成要素に結合させることができる。上で示されたように、必要な感度に依存する標識の選択、化合物との結合の容易さ、安定性必要条件、利用できる計装および処分規定により、広範な標識が使用できる。
【0068】
非放射性の標識は、しばしば間接的な手段により付けられる。一般に、リガンド分子(例えばビオチン)は、共有結合で分子に結びつけられる。次にリガンドは、検出可能な酵素、蛍光化合物または化学発光の化合物のような、本質的に検出可能であるまたは信号システムに共有結合で結合される抗リガンド(例えばストレプトアビジン)分子に結合される。多数のリガンドおよび抗リガンドが使用できる。リガンドが、例えばビオチン、チロキシンおよびコルチソールのような自然の抗リガンドを有する場合、リガンドは標識された自然に生じている抗リガンドと同時に使用できる。あるいは、ハプテンまたは抗原性化合物のいずれも、抗体と合わせて使用できる。
【0069】
分子は、例えば酵素またはフルオロフォアとの連合(conjugate)により、信号発生化合物に直接連合させることもできる。標識としての目的の酵素は、主に加水分解酵素(特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ)または酸化還元酵素(特にペルオキシダーゼ)である。蛍光化合物は、フルオレッセインおよびこの誘導体、ローダミンおよびこの誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンならびに同様の化合物を含み、化学発光様化合物は、ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロホタルアジンジオン、例えばルミノールを含む。使用できる種々の標識および信号発生システムの総説として、米国特許第4,391,904号を参照し、この全体が全ての目的のために参照によりここに組み込まれる。
【0070】
標識を検出する手段は、当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段として、オートラジオグラフィの場合のように、シンチレーションカウンターまたは写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、これを光の適切な波長で蛍光色素を励起させて、生じた蛍光を検出することによって検出することができる。蛍光は、写真フィルムの手段により電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などのような電子探知器を用いることによって、視覚的に検出され得る。同様に、酵素標識は、適切な支持体を酵素に供給し、生じた反応生成物を検出することによって、検出され得る。最後に、単純な熱量計(calorimetric)標識を、単に標識に伴う色を観察することによって検出できる。従って、さまざまな計量棒分析法では、さまざまな連合されたビーズがビーズの色のように見える一方、連合された金はしばしばピンクに見える。
【0071】
一部の分析フォーマットは、標識された構成要素の使用を必要としない。例えば、凝集反応分析は、標的抗体の存在を検出するために使用できる。この場合、抗原により被覆された粒子を、標的抗体を含むサンプルによって凝集させる。この形式において、構成要素のいずれも、標識される必要はなく、標的抗体の存在は、簡潔な目視検査によって検出される。
【0072】
しばしば、細胞マーカーおよび細胞マーカーに対する抗体は、共有結合でまたは非共有結合でのいずれかで、検出可能な信号を提供する物質を結合させることによって標識される。
【0073】
他の実施態様および使用は、本開示を考慮して当業者にとって明らかになる。
【0074】
例示的な実施態様
【実施例1】
【0075】
FASTシステム、自動化デジタル顕微鏡観察と循環腫瘍細胞の同定
サンプル調製:患者サンプルの細胞付着および免疫蛍光標識化
血液サンプルは、前述したプロトコールの修正された変形を使用して、大きい支持体(9.5×4.5cmの活性領域を有する10.8×7.6cm)の上で処理される。Kraeftら、Methods Mol Med 75:423−30、2003。簡潔に説明すると、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)で血液凝固を阻止された血液を、室温で5分間等張性塩化アンモニウム緩衝液(NHCl155mM、KHCO10mM、0.1mMEDTA、pH7.4)で溶解させる。遠心の後、残留する単核細胞ペレットを洗浄し、リン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁させ、生きている末梢血単核細胞の総数を、あつらえ設計された接着性支持体(Paul Marienfeld GmbH & Co.、KG、バートメルゲントハイム、ドイツ)に付着させる。細胞を、PBSの中37℃40分間温置し、血清タンパク質(10%のウシ胎児血清)を含有する培養培地(45%のダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)45%RPMI)を添加して、付着を促進し、温置をさらに20分間続ける。沈着した細胞を20分間、2%のパラホルムアルデヒド(pH7.2−7.4)中で固定し、PBSで二回洗浄し、さらに、固定し、5分間氷冷メタノールで透過性にし、PBSで洗浄し、37℃にて20分間PBS中で20%ヒトAB血清(ナビ・ダイアグノスティックス(Nabi Diagnostics)、フロリダ州ボカラトン(Boca Raton,FL))により遮断する。次いで、支持体を、ヒトサイトケラチン1、4、5、6、8、10、13、18および19を認識する単一クローン系抗パン・サイトケラチン抗体(H−1388、Sigma、セントルイス、ミズーリ州)と、1時間37℃で温置する。その後、支持体を、PBS中にて洗浄し、Alexaフルオロ488およびAlexaフルオロ555連合ヤギ抗マウス抗体(A−21121およびA−21425、Molecular Probes、オレゴン州ユージン)の混合物と、30分間37℃で温置する。核対比染色を、PBS中の0.5μg/ml 4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPl)(D−21490、Molecular Probes)を用いて20分間室温で行う。支持体を、水性充填剤(20mMトリス(pH8.0)、0.5%のn−プロピル没食子酸塩および90%のグリセロール)中に充填し、充填剤が乾燥するまで一夜暗所に置いた後、先端をマニキュア液で封着する。
【0076】
FASTシステム
FASTスキャナは、98%の感度および10−5の特異性により25M細胞/分の速度にてサンプルを走査する。(Krivacicら、Proc Natl Acad Sci USA 101:10501−10504,2004。走査速度(100本のライン/秒)は、高速レーザーラスタからもたらせられる。10mWアルゴンイオンレーザーは、標識された細胞中の傾向を励起し、大きい(50mm)視野で光が収集される。この視野は、図1に示すように非対称の末端を有する光ファイバー束によって可能になる。ファイバー束は、0.66の開口数を有する。走査システム(12μm)の解像度は、走査レーザーの点寸法で決定される。蛍光プローブからの発光を、光電子増倍管で検出の前に、標準の二色性フィルターを使用してフィルターにかける。l0m/秒のレーザー走査速度は、検流計により制御された走査鏡により達成される。サンプルを、1秒当たり3mmの速度で、顕微鏡ステージ上をレーザー走査経路を直角に横切って移動させる。蛍光で標識された細胞の位置および発光時点でのステージ位置を+/−70μmの精度にて走査により測定する。FAST光学系の発光検知閾値は、FASTにて同定された対象を画像処理するADMに匹敵し、後述される。細胞系モデルサンプルを用いるFAST感度および特異性の決定、ならびにFAST光学システムの細目は、いたるところで記載されている。Kraeftら、Clin Cancer Res 10:3020−8,2004。
【0077】
顕微鏡
自動化デジタル顕微鏡(ADM)は、Nikon(ニューヨーク州メルヴィル)TE2000U蛍光倒立顕微鏡である。20X Plan Fluor(追加の長い作業長(NA=0.45))顕微鏡対物レンズを最初の画像獲得のために使用し、40X Plan Fluor(追加の長い作業長(NA=0.6))対物レンズを細胞分析のために画像を得るために使用する。20Xと40X対物レンズのための作業長は、それぞれ7.4mmおよび2.7−3.7mm(修正カラー)である。これらの対物レンズを通しての視野直径は1.1mmおよび0.55mmであるが、実像寸法は画像処理CCDによって制限される。この顕微鏡は、DAPI、フルオレッセン・イソチオシアナート(FITC)およびテトラメチル・ロダミン・イソチオシアナート(TRITC)(61000V2、Chroma Technology、ロッキンガム、バーモント州)について三重バンドフィルターセットを有する自動化励起および発光フィルタホイール(Lamda 10−2、Sutter Instrument、カリフォルニア州ノバルト(Novalto、CA))を有する。デジタル画像は、Retiga EXi Fast 1394単色デジタル・カメラ(Qimaging、バーナビー、BC、カナダ)によって得られる。このカメラは、6.45μm平方ピクセルの1392×1040を有する。このように20X対物レンズを通して、実際の撮像領域は、448μm×335μmである。このカメラは側面のポートの上に取り付けられ、収集された光の80%を受けとる。アナログ・ビデオ・オートフォーカス・アルゴリズムによるX−Y−Z段階(MS−2000、Applied Scientific Instrumentation、オレゴン州ユージン(Eugene、OR))を使用して、サンプルを所定のX,Y位置の方へ移動させ、ニコン顕微鏡の微細な焦点軸に装着したZ−駆動装置を使用して最高の焦点面を得る。自動焦点調整のフィードバックは、三眼頭部を通してDAPI信号の20%を感知し、コントラスト比較のためにMS−2000コントローラに、信号強度を供給するモノクロ・ビデオ・カメラ(CCD100、DAGE−MTI Inc.、インディアナ州ミシガンシティ(Michigan City,IN))によって可能になる。フィルタ・チェンジャー、シャッターおよびデジタル・カメラの全ては、市販ソフトウェアパッケージ(SimplePCI+AIC、Compix Inc.、ペンシルベニア州クランベリー・タウンシップ(Cranberry Township、PA))によって制御され、ステージが新しい位置の方へ動かされるたびに、自動焦点調整を起動する。
【0078】
CTC同定
CTCは、40X、2つのサイトケラチン(CK)二次抗体およびDAPI核染色法から蛍光を示す3色蛍光画像から同定される。CTC同定は、対象の状態を知らされていない少なくとも1人の病理学者によって独立に行われる。CTC同定判定基準は、DAPI蛍光と組み合わされたAlexa 555およびAlexa 488の両方における適切なCK典型的染色パターンを示すCK陽性蛍光からなる。典型的な形態的特徴としては、拡大円形細胞および核、高い核対細胞質の比ならびに基礎をなす細胞骨格に似ている横紋サイトケラチン蛍光を含む。無傷の、明瞭な細胞だけを、本研究においてCTCとして計算に入れる(図2)。偽陽性は、主に抗体凝集体の結果である。
【0079】
図2は、乳癌患者(20x)の末梢血で見つかった病理学者に同定されたCTCの例である。CTCは、抗CK−AlexaFluor 488(緑)と抗CK−AlexaFluor 555(赤)で染色されている。細胞核は、DAPIで青く染色される。A)複合体画像、B)DAPIのみ、C)抗CK−AlexaFluor 555、D)抗CK−Alexa 488。
【0080】
ライト・ギムザ染色
カバーガラスを蛍光で染色されたスライドから除去し、PBSで洗浄する。このスライドは、次いで3分間ライト・ギムザ染色(Fisher Scientific、ミシガン州カラマズー(Kalamazoo,MI))で浸漬される。リン酸塩緩衝液(pH 6.8)(Fisher Scientific、ミシガン州カラマズー(Kalamazoo,MI))1.5mlを、染料で被覆されたスライドに加え、染料および緩衝液を、1分の間穏やかに揺動させることによって共に混合する。その後、この混合物を、さらに2分間スライド上に置き、次にこのスライドを脱イオン水で洗浄し、空気で乾燥させる。
【実施例2】
【0081】
FAST技術によって循環腫瘍細胞を配置すること
FAST技術は、CTCをIV期乳癌患者からの血液サンプル中にて迅速に位置づけるのに用いられてきた。FAST走査で同定される蛍光観察対象は、次に蛍光顕微鏡の上で自動化段階で再配置されて、デジタルカメラで画像処理される。観察対象の高分解画像を、続いてCTCに関して分析する。FAST位置精度は、+/−70のμmであり、これは、20X顕微鏡での画像化視野(448μm×335μm)における自動再配置についてより、より適切である。FAST同定された観察対象のADM再配置を、完全に自動化する。線列マーク(FASTに見える20μm基準の十字線および明視野顕微鏡観察)を、FAST同定された観察対象位置を顕微鏡座標系に変換するのに用いる。自動焦点調整が、白血球細胞のDAPI染色を独立に使用して各画像に焦点を合わせるのに用いられる。
【0082】
ADMにおける、FASTで同定された観察対象を再配置および画像処理するための時間は、対象当たり約8秒である。これは、暴露およびフィルター交換のための2.5秒、ステージ移動および定着のための1.5秒、オートフォーカスのための3秒、加えて他の中間段階およびネットワーク化された取付ストレージにデータを書き込むための1秒を含む。10−5秒の特異性での、60M−細胞サンプル(これは、通常10mlサンプルである)の分析は、600の観察対象について画像取得を必要とし、約80分かかる。
【0083】
このシステムの繰返し精度を、HT−29結腸直腸細胞系から得た細胞を加えた末梢血モデルサンプルを使用して試験した。3つのサンプルが、10〜21の細胞の範囲のHT−29細胞を含有するように各々調製された。各のサンプルを、FAST血球計数器で10回走査し、全ての観察対象の高分解画像を撮った。それぞれの場合を、FASTは正確に同一位置の同じ細胞を検出した。その後、細胞画像同定ソフトウェアを使用しているFAST位置を使用することなく、サンプルを顕微鏡で走査した。顕微鏡走査は、FAST血球計数器によって検出された細胞の全てを、追加の細胞なしに検出した。
【0084】
方法の文節において記述されたとおり、このシステムを乳癌患者におけるCTCの検出のために用いた。転移性乳癌の31人の女性が、この研究に参加し、50の末梢血試料を提供した。進行性の病気を有する患者は、安定しているまたは治療で好転している人より非常に高いCTC数(p<0.0001)を示した。進行性の疾患を有する患者についてのCTC数の中央値は、8.5であった一方で、安定したまたは好転している疾患を有する患者についてのCTC数の中央値は、1であった(図10)。1年の中間追跡期間で、11名の患者が死亡した。カプラン−マイヤー分析により示されたように、≧5のCTCを有する患者は212日の生存期間の中央値を有した(図11)一方で、0−4のCTCを有する患者の生存期間の中央値は、1年後に達しなかった(p=0.0012)。健常な提供者からの末梢血液サンプルも走査し、15名の健康な提供サンプルのいずれにもCTCは見られなかった。
【0085】
検出感度上へのCK発現レベルの影響を調査するために、CTCの輝度を評価し、偽陽性を、多数のCTCを有する癌患者から得られたサンプル10mlで検出した。図3は、サンプル標本を監視するのに用いられた別々の支持体上の、癌患者およびHT−29細胞についてのFASTによって同定された観察の総強度のプロットである。CTC強度での分布(これは、他のサンプルを象徴する。)を例示するために、通常ではない多量のCTCを有するデータを選択した。CTC強度レベルが2ログにわたる場合、これらの全ては、FASTの、鈍い偽陽性の検出から示される検出限界より少なくとも10倍明るい。これは、CTCが、蛍光レベルのこのような広範囲でさえ検出されるという保証を提供する。別々の支持体上で患者サンプルと共に処理されたHT−29細胞からの蛍光強度が更に示される。HT−29細胞の強度の変動は、CTC強度における変動より実質的に少ない。この差は、CTC中でのCK発現における大きい変動があることを示唆している。
【0086】
CTCの蛍光イメージはこれらの同定の助力となったにもかかわらず、標準のライト・ギムザ病理学染料が、追加の確証およびCTCに関する情報を提供するように実行された。この染色を行うために、プロトコールは、各々の蛍光で染色されたスライド上のカバーガラスを取り除き、ライト・ギムザ染料を使用してこの同じ細胞を再染色することまで拡張された。B.F.Atkinson、Atlas of Diagnostic Cytopathology、第2版、W.B.Saunders Company編、2003。この染色は、形態、寸法および異質性の改善された分析を可能にする。CTC位置が正確に知られているので、図4で例示されるように、個々の希少細胞および希少細胞クラスタを位置決めしおよび形態学の評価のためにADMで再画像化することができる。
【0087】
図4では、乳癌患者(100x油)で見られる典型的なCTCのライト・ギムザ染色(左);抗CK−AlexaFluor 488および抗CK−AlexaFluor 555(赤)で染色した対応するCTCの蛍光イメージ(右)を示す。細胞核は、染色された青色DAPI(20xで撮られ、比較目的のために拡大された画像)である。
【実施例3】
【0088】
循環腫瘍の検出およびFAST画像分析の最適化
自動化デジタル顕微鏡観察画像処理は、FASTによって位置決めされた蛍光対象につき約8秒必要であり、これは、現在の特異性での患者画像取得時間について80分になる。この取得時間は調査には適切であるが、臨床検査室での適用のためにはより早い取得が有益であろう。CTC検出の速度を上昇させるために、データ取得時間を減らすために2つのアプローチを探査し、特異性を改良して、顕微鏡走査時間を減らす。
【0089】
特異性の主要な増大は、改善されたFAST画像分析から生じると予想される。標識比率、蛍光強度および対象寸法を、CTCを偽陽性と区別するのに用いることができる。画像分析を最適化するために、フィルター、真および偽陽性についてのFAST走査特徴のデータベース、を構築する。このデータベースにより、FASTソフトウェアフィルタを、感度を減らすことなく最適化することができる。偽陽性を減少させるために、サンプル調製過程が改善される。このようなプロセス変更は、厳しい試薬調製および保存プロトコールを監視すること、染料凝集体を最小化するために染料濃度を最適化することおよび非特異的結合を最小にするために代替的な遮断処理を行うことを含む。加えて、サンプル調製を自動化することは、蛍光の人為的結果の一貫した減少になると思われる。特異性における2倍以上の改善は、改善されたフィルタリングおよびサンプル調製により予想される。
【0090】
ADM画像取得時間を減らすため、暴露、ステージ移動および自動焦点調整についての時間を減らすために、いくつかの改善がなされる。暴露時間を減らすことの主要な貢献は、ADM感度を増加させることから由来する。このために、顕微鏡対物レンズ開口数が、作業長を減らすことによって増加される(例えば20Xについては、0.45から0.75まで)。特注のフィルタセットは、励起強度および弱い蛍光の伝送を最大にするように設計されており、水銀光源はキセノン灯のようなより明るいものと取り替えられる。再配置精度で、CCDピクセルをビニング(binning)して、暴露時間を減らすことができる。例えば、2×2ビニングは、画像寸法を224×117μm(これは、全てのFAST同定対象を捕捉するのに十分大きい。)に減らす。これらの改善は、2秒から0.5秒まで、暴露時間を4倍に減らすと思われる。
【0091】
自動焦点調整を改善するために、唯一の機械的z運動を、ステージ上で圧電性作動装置で実行される微細規模の運動およびコース規模の機械運動との組合せと交換する。この改善は、サーボモーターを機械的に回転させることを排除することおよび自動焦点調整を開始するステージ運動における待ち時間を減らすことによって、焦点調整時間(約1sから15msまで)を大幅に減らす。これらの改善の全てにより、画像取得時間は、4秒未満まで50%以上減少すると思われ、これらの改善は、特異性の改善と共に、10mlのサンプルにおける平均的ADM画像取得時間を20分未満に下げる。
【0092】
FAST機器は、自動化デジタル顕微鏡観察に匹敵する検出精度を提供する。全体の検出感度および特異性は、先に示された。Krivacicら、Proc Natl Acad Sci USA 101:10501−10504、2004。ここでは、機器はCTC強度における大きな観察変動を検出するのに十分であるより大きい、優れた測定繰返し精度および検知閾値を有することが示された。この強度は、CTCの中のCKの発現レベルの変動に起因した変動である。このような変動は、癌腫における既に報告された低い発現レベルと一致している。Willipinski−Stapelfeldtら、Clin Cancer Res 11:8006−8014、2005。
【0093】
CTCの同定のために、いくつかの判定基準が、乳癌患者だけに存在した細胞集団を同定するために、細胞寸法、核対細胞質の比、蛍光パターンおよび強度の細目を含めた細胞形態学に基づいて使用される。これらの判定基準を使用して、15名の健常な対照で見られる細胞はなかった。進行性疾患を有する患者は、安定したか好転している疾患を有する患者より多くのサンプル当たりのCTCに向かう傾向を示した。
【0094】
しかしながら、限定されたサンプル寸法、限定された追跡、およびこの一連の進行中の方法開発は、この時点におけるFAST検出されたCTCの予言された有意性についての、どんな記載も排除する。さらに、サンプル寸法が小型で、将来を見越して計画されていないので、群間の有意差を示している統計テストは意味がある情報をデータセットに加えず、故意に除外された。
【0095】
ここで報告される転移性乳癌を有する31人の女性で検出されたCTCレベル(0−659のCTC)における大きい変動は、177人の患者の非常に大きい研究についてCristofanilli(0−1000s)によって報告された範囲と類似している。この一連および他のものでのCTC数のこの大きなダイナミックな範囲は、血漿中の、多くの一般に用いられるタンパク質腫瘍マーカーで観察されるのと同じ〜3ログ桁規模にあり、転移性乳癌の生物学的異質性を反映している。しかしながら、CTCは、転移性乳癌を有する患者において、ほとんど普遍的に存在していることが知られており、分析された転移性患者の86%においてこれらが検出された。比較のために、Cristofanilliおよび共同研究者は、進行性転移性乳癌を有する患者の61%において、>2のCTCを報告したのに対して、Allardは、422人の安定および進行性の転移性乳癌患者の群の37%で>2のCTCを見出した。Allardら、Clin Cancer Res 10:6897−904、2004;Cristofanilliら、N Engl J Med 351:781−91、2004。進行性疾患を有する患者がより高い数のCTCを有する傾向が、安定した患者と比較して見出された。この観察は、高いCTC数は、無効な治療にある患者を同定する可能性があり、処置が修正されなければならないように臨床医に示唆するという点で臨床的に関連し得る。現在の臨床診療は、患者が進行性疾患を有する場合、同定する治療点における診断検査として入手不可能である画像化研究の使用に依存している。FAST走査が、処置決定をするためのより安価でより便利な方法として用いられる可能性があるかどうか決定するために、転移性乳癌を有する患者で化学療法の選択を導く画像処理評価の代替物としてのFASTの予期される評価が必要である。影響を受けていない女性における乳癌についての第1次選別、または初期癌もしくは再発の証拠としての非転移性の疾患を有する女性の第2次選別でのFASTの役割は、公知でない。診断時および1次の治療の後のI期およびII期の乳癌患者でのCTCの発生率における追加データが、選別方法論としてCTC検出の値を決定するために必要とされる。
【0096】
FAST走査は、最も未分化の上皮性腫瘍においてさえ保存されている内部サイトケラチンを使用する細胞を同定するので、富化を達成するために、乳癌を有する全ての患者で一様に発現されない変わりやすく発現される表面タンパク質の検出に依存している技術に勝る利点を有し得る。例えば、乳癌患者の小集団は、Ep−CAMを発現する可能性はなく、従って、富化のためにこの方法を使用して検出されない。このようなサブグループは、小葉癌患者である可能性がある。この小集団は、乳癌患者の15%を含み、および免疫組織化学で測定される場合、原発腫瘍試料上でほとんどまたはまったくEp−CAM発現を有しない。Wentら、Human Pathology 35:122−128,2004。さらに、Ep−CAMは、原発腫瘍と比較してCTC中にて減少発現されることが公知である。Raoら、Int J Oncol 27:49−57,2005。FASTによる良好な結果は、今までのところ、異なる数のCTCを有するグループにおける患者結果を比較する予期臨床治験と関連する追加の患者サンプリングならびにFASTおよび患者集団での他の技術の直接比較を正当化する。
【0097】
最後に、患者における癌の臨床診断は、標準の組織学上の染色を使用している悪性細胞の病理学的評価を実行する能力によって、実質的に利益を得る。ライト・ゲムザ染色は臨床末梢血試料の上で最も一般的に用いられる染料であるので、ライト・ギムザ染色は現在の代表的な実施形態において使われている。細胞をFASTにより再訪問および再染色する能力は、この技術を、末梢血液サンプルからの癌の形態学的診断のための可能な機構とする。免疫蛍光の画像に単独で癌の診断をさせることを信頼する臨床医はほとんどいないので、CTCの分析が、検出可能な転移性疾患を有することが他の点ではわかっていない患者集団に適用されることになっている場合、この能力は必須である。補助的評価技術を組み込む病理学者による無傷の細胞の慎重な細胞形態の評価は、限定数の悪性細胞からの癌の診断のための貴重な基準であり続ける。血中の乳癌細胞がこれらの希少性のために形態学的に広範囲に研究されておらず、他の身体部位に比べて異なる形態学上の特徴を有する可能性があるので、乳癌患者の広いアレイからのCTCの画像ギャラリーまたは「地図帳」は、診断進化の一部として獲得される必要がある。FASTは、このような画像の「地図帳」を作成するための理想的な道具である。
【0098】
FAST走査は、末梢血中にて非常に低い濃度で迅速におよび正確にCTCの位置決めをすることができることが示された。機器は、優れた繰返し精度を有し、標的抗原CKの発現レベルで大きい変動で細胞を検出するための適切以上の検知閾値を示した。この走査システムは、ADMと統合された。15人の健常な提供者においてCTCを検出しない一方で、大部分のIV期の乳癌患者でCTCを同定するためにこのシステムを使用し、これは、好都合に他の既に報告された研究に匹敵する。さらにまた、ライト・ギムザ染色を使用した病理学的確認と特徴づけについて、目的の細胞を再配置し、試験することができる。CTCのこの分析は、さらにCTCを特徴づけて、より大きな臨床的重要性を確立するために、付加的な染料および癌細胞生物マーカーを使用して拡張される。
【0099】
このシステムは、CTCの形態学的分別の分子特徴づけの新しい研究並びに癌患者の治療点の選別、監視および管理についての使用を可能にすると約束する。
【実施例4】
【0100】
IV期転移性乳癌患者の小集団におけるCTC計数
CK陽性CTCを、30人超の既知の転移性乳癌を有する患者で試験した。先に述べたように、FAST走査、続いての蛍光顕微鏡観察査法を使用して、細胞を同定した。病理学者による盲検による再検討は、40Xの3色蛍光画像から、これらの患者でのCTCの同定を確認した。蛍光画像からのCTC同定のための判定基準は、DAPI核染色法の上にある、適切なCK典型的染色パターンを示すAlexa 555およびAlexa 488の両方におけるCK陽性蛍光からなる。最初の確証研究で、疾患の変動する程度を有する外来患者III期およびIV期転移性乳癌患者を検査した。一人の転移性の癌患者以外全てにおいて、CTCは1から1000を超えるCTCまで変動して同定された。さらに、CTCが同定されなかった10人の健常な提供者を検査した。
【0101】
6人の代表的な転移性乳癌患者が、患者間および患者内のCTC集団を調査するために、原発腫瘍特徴の様々なタイプで選択された。患者につきCTC6から659の広範なCTCの範囲が、患者AからFにおいて確立された判定基準を使用して同定された。これらの患者に関する臨床データが表1に要約されている。蛍光画像の取得に続いて、この集団からの同定されたCK陽性の個々の希少細胞および希少細胞クラスタの小集団を、ライト・ギムザで染色した後に再配置しおよびさらに評価した(図5)。
【0102】
図5は、i)乳癌患者(60x)の末梢血で見つかった病理学者により同定されたCTCの例を示す。CTCを、抗CK−AlexaFluor 488(緑)と抗CK−AlexaFluor 555(赤)で染色する。細胞核は、DAPIで青く染色される。A)合成画像、B)DAPIのみ、C)抗CK−AlexaFluor 555、D)抗CK−Alexa 488。ii)同じCTC(100x)の対応するライト・ギムザ染色。
【0103】
【表1】

【実施例5】
【0104】
CTCの形態学上特性:4つの認識できるサブタイプ
ライト・ギムザ染色された細胞によって提供される形態学の細目により、形態学の基準が、以前に報告されたことより拡張された。Fehmらによって報告された蛍光分析を補足して、ライト・ギムザ染色、続いて光学顕微鏡分析は、詳細な核と細胞質の情報を生み出し、癌の形態学上の細胞病理学的診断のために必要とされる特徴を強調する。Fehmら、Cytotherapy 7:171−185,2005。加えて、これは、原発性および転移性の腫瘍組織で見られるものに類似する可変の核対細胞質の比によるCTCの同定を可能にし、これらは、CTC集団の一部とみなされることを示唆している。CTCの蛍光および光学顕微鏡分析は、CTCの患者の間およびこの患者の小集団の患者内の両方の全血調製において高度な多形性を示した。下で詳説されるとおり、ライト・ギムザで染色されたCTCの分析は、いくつかの形態学のサブタイプでCTCを分別するのに用いられた。
【0105】
患者のCTCを、以下の4つの形態学上のタイプに分別した:1)高いN/C(核対細胞質)比を示す無傷の細胞、2)低から中等度のN/C比を示す無傷の細胞、3)初期アポトーシスの形態学上の特徴を示す細胞、および、4)後期アポトーシスの形態学上の特徴を示す細胞。これらのカテゴリーのCTC例は図6に示され、この分別を使用する患者AからFに見られるCTCの比率は表2に示される。分別法カテゴリーは、さらに詳細に述べられる。
【0106】
図6は、患者Cから同定されたCTCの例を示す。細胞の対となる画像は、ライト・ギムザ染色の結果および蛍光CK+画像を示す対の細胞画像。左:CTC(100x油)のライト・ギムザ染色。右:抗CK−AlexaFIuor 488(緑)で染色された対応するCTCの蛍光画像。細胞核は、青色DAPIで染色される(20xで撮られた画像、比較目的のために拡大された画像)、1a−c)高いN/C1型細胞、2a−c)低いN/C2型細胞、3a−c)初期アポトーシス3型細胞、4a−c)後期アポトーシス4型細胞、5a−c)塊状CTC。
【0107】
【表2】

【0108】
1型細胞または高いN/C比の細胞は、取り囲んでいる白血球よりわずかにまたは非常に大きく、非常に高い核対細胞質の比を有し、両染性から好酸性の細胞質の乏しい周縁部のみを有する。核は、急激な不規則がなく、時折穏やかに分葉された円形から卵形までである。クロマチンは、目立って、一般に好酸性の核小体の小胞である。これらの細胞は、Fehmにおいて論ぜられているような真の陽性CTCについての認められた判定基準に細胞形態学的並びに不充分に分化した癌細胞に関して細胞病理学的標準判定基準の両方に合致する。Fehmら、Cytotherapy 7:171−185,2005;Atkinson、Atlas of Diagnostic Cytopathology。W.B.Saunders Companyによって編集、2003。
【0109】
2型細胞または低いN/C比の細胞は、詳細な形態学的画像の慎重な検討による転移性癌細胞についての診断特徴であるが、CTCについての現在確立された判定基準の全てを満たしているわけではない。小型寸法または低いN/C比のために、これらは、他の研究者による考慮から離れている。しかし、ライト・ギムザ染色による相互関係の故に、これらを、CTCとして分別できる。これらの細胞は、アポトーシスの変化の形態学的証拠なしに、無傷の核細目を示す。しかし、1型細胞と対照的に、これらの細胞は、低い核対細胞質の比を有する。加えて、これらは、1型細胞よりわずかに小型であり得、隣接した白血球とほぼ等しいまたはそれより場合によっては小さな直径を有し、より目立たない核小体を有する。核は場合により偏心して配置され、細胞は、ライト・ギムザ染色において周密な見掛けのオレンジオフィリック(orangeophilic)な細胞質の中程度の周縁部を有する。細胞のこのカテゴリーは中程度から十分なまでの分化型の癌細胞に対応する。Atkinson,Atlas of Diagnostic Cytopathology。W.B.Saunders Companyによって編集、2003。
【0110】
細胞の、残りの2つのカテゴリーは、アポトーシスの形態学的拠を示しており、同定される形態学的変化の程度によって、「初期アポトーシス」および「後期アポトーシス」に分別される。Atkinson,Atlas of Diagnostic Cytopathology。W.B.Saunders Companyによって編集、2003。これらの2つのカテゴリーを統合することについてのおよびアポトーシスのあらゆる形態学的証拠を示す全ての細胞を1つの大きなカテゴリーの範囲内に含めることについての論議がなされ得るが、これらのカテゴリーは、研究の目的のためにここでは別々にする。形態学的にアポトーシスの細胞の、これら2つのカテゴリーは、IV期患者の群においての検出されたCTCの主要部分を含む。
【0111】
ここで「初期アポトーシス」と称される3型は、初期アポトーシスに伴われている当初の形態学的変化を示す細胞である。これらの細胞は、核物質の凝結および収縮を示し、ライト・ギムザ染色による核細目の損失を伴う、しかし輪郭の全体の損失なしのおよび核分断なしの、高色素性「ガラス質」のように見える核を得る。丸い核輪郭の折々見られる「ニッキング」は、明白に区別できる核の分裂と異なり、「後期」カテゴリーにおいて後で述べられる「初期」アポトーシスに分別される。核の変化の証拠がない細胞質の変化、例えば細胞質の封入体の形成または他の点では無傷の核細目を有する細胞における「小疱形成」は、「初期」に分別される。細胞のこの「初期」カテゴリーは、癌細胞に関して驚くほど小型の寸法であり、死への過程における、観察された細胞の多くのような、循環集団の、ここでの説明におけるおよび他の刊行物の記述における寸法異質性の一部を説明し得る、多数のCTCを含有する。Mehesら、Haematologia(Budap)31:97−109,2001。
【0112】
「後期アポトーシス」と称される4型細胞は、核分断のような、アポトーシスのよく発達した形態学上の特徴を示す。このカテゴリーに含まれるのは、典型的な癌細胞の全体的細胞質の輪郭を有するが、ライト・ギムザ染色により、残っている核断片がわずかばかりの青い小塊だけであり得る範囲まで核物質の損失を有する細胞である。Schmidtら、Int J Biol Markers 19:93−99,2004。当初、これらの細胞の多くは、本蛍光検出システムにおける起こりうる偽陽性と考えられたが、しかし、ライト・ギムザ染色によるこれらの細胞形態および他のCTCによる比較の慎重な検討から、初期から後期まで完全に変性するまでのスペクトラムに当たる変化を示し、これらのCTCは最晩期のアポトーシスの変化を示していることが示唆される。事実、サイトケラチン積載細胞質(周密なオレンジオフィリック細胞質)のライト・ギムザの特徴を有するサイトケラチン陽性封入体のクラスタからなる折々見られる細胞様構造は、アポトーシスの実際の最終的なステージを表すものであろうが、これらの構造内のあらゆる核物質の完全な欠如の故に、これらは、本システムにおいてCTCとして計数されない(図7)。図7は、アポトーシスの最終的なステージを受けているであろうCTCを示す。核物質が存在しないので、このような細胞はCTC計数において使用されない。
【0113】
最後に、他の2つの形態的異型が(これら異型は、別々の形態学的カテゴリーとする値打ちはないようであるが、それでもなお、CTCの生物学的な挙動に関連する情報が得られる可能性がある。)、ある頻度で見られる。これらの第1のものは、二つ組、三つ組および場合により5から9の細胞のクラスタを含むクラスタである(図6。5a−5cを参照)。CTCクラスタは、上に述べた第1の4つのカテゴリーの1つまたはそれ以上から成り立っており、各々の細胞は別個のCTCとして計数される。第2は、単球の核特徴を有する白血球によって能動的にのみ込まれる過程にある小さなアポトーシス(3型または4型)細胞からなる。この現象が細網内皮システムの循環構成要素によるCTCの排除の、頻繁な統制された機構を意味するかどうかは、または、いずれかの非特異的事象であるかどうかは、不明である。
【実施例6】
【0114】
患者Cの事例研究:さまざまな身体部位中の腫瘍細胞の比較
原発腫瘍部位および転移腫瘍部位の間の形態学上の関係ならびにCTCを理解するために、患者Cは、胸部の診断針生検、乳腺腫瘤摘出およびアキシリアリ(axiliary)解剖、続いての陽性骨髄生検(図8)の組織病理学的な検討を含むより詳細に遡及的に研究された。彼女の原発腫瘍は、1.7cmの浸潤の腺管癌であり、20の腋窩リンパ節のうちの4つによるBSR 7/9(尿細管構造3、核等級3、有糸分裂の活性1)が最初の切除時に陽性だった。腫瘍は、ER/PR陽性/陽性およびHer−2/neu陰性である。
【0115】
図8A−8Dは、患者Cの原発性および転移性腫瘍の組織学および細胞学的な特徴を示す。図8Aは、患者Cから得られた原発腫瘍を示し、浸潤の腺管癌を示す。悪性の巣は多形性細胞を示し、あるものは、高いN/C比(矢印a)を有し、あるものは、低いN/C比(矢印b)を有する。図8Bは、転移の範囲内でのN/C比の変動性を示す、患者Cからのリンパ節転移のH&Eで染色された区分を示す。a)高いN/C比を有する転移性腫瘍細胞。b)低いN/C比を有する転移性腫瘍細胞。図8Cは、患者Cから得られたPASで染色された中心の生検切片を示し、骨髄転移における多形性を示す。a)高いN/C比細胞。b)低いN/C比細胞。図8Dは、患者Cから得られたライト・ギムザで染色された骨髄穿刺液単層を示す。a)高いN/C比細胞。(b)低いN/C比細胞。
【0116】
原発性部位における腫瘍細胞および様々な転移部位における腫瘍細胞の間の、細胞形態の比較により、細胞学的な一致が示された。従って、この事例において、転移性乳癌の多くの事例におけるように、転移部位において著しい脱分化の証拠はない。さらにまた、無傷のCTC(表2、1型および2型)を原発性および転移性の腫瘍細胞と比較することにより、全ての部位において高いN/C比細胞と低いN/C比細胞の混合物が示された。この相互関係は、他の部位に対して1つの部位において優勢である特定の形態学的下位カテゴリーの細胞を有しない、すなわち大きな高いN/C比細胞を有しない、様々な異なる部位において患者の腫瘍の固有の多形性が保存されていることを示す。従って、形態学的に異なる細胞のサブクローンの、他の部位と比較しての末梢血への回遊を示唆する証拠はない。
【0117】
図9は、アポトーシスを受けていると形態学的に記述された乳癌癌患者において見られたCTCを示す。対の画像は、サイトケラチン(蛍光CK)および蛍光カスパーゼ−3が陽性である。表現型の分析により、細胞はアポトーシスであることが確認される。
【実施例7】
【0118】
患者からの循環腫瘍細胞の画像は、異なった細胞集団の形態を示す
希少性のために、乳癌CTCは、大規模に形態学的調査され始めたばかりである。本発明のプロトコールおよび技術により、種々の患者から、標準の病理学染料により染色されたCTC画像のギャラリーを作り出すことができ、CTCの形態を新たに利用できる組織区画における異なる細胞集団として記述することが始まる。
【0119】
標準の病理学慣習において使われているように、ライト・ギムザのような染料は、核細目、核輪郭、核小体の存在または不存在、細胞質の品質および細胞質の量に関する情報をもたらし、組織サンプル中の悪性腫瘍細胞と良性のバックグラウンド細胞との間の区別を可能にする。ライト・ギムザ染色の使用は、他の腫瘍部位から回収された腫瘍細胞とCTCとの形態学上の比較を可能にすることへの助けとなった。
【0120】
蛍光およびライト・ギムザ染色を使用するCTCの最新の分別は、一般にCTCの形態学的観察の他の報告と一致するが、循環集団の中のより小型の低いN/C比細胞の亜集団の存在を提案することによって、以前のCTC分別カテゴリーを拡張する。Fehmら、Cytotherapy 7:171−185,2005。さらに、先の研究者によって報告されたように、アポトーシス細胞の存在が形態学的に確認され、この集団は、初期および後期の変化を示す細胞にさらに下位分別された。Larsonら、Cytometry A 62:46−53,2004;Mehesら、Am J Pathol 159:17−20,2001。
【0121】
CTCのクラスタはさらに、ある患者において一般的であり、同様にCTCについての病理的特徴(pathognomic)として以前の文献に記述された。Fehmら、Clin Cancer Res 8:2073−2084,2002。標準の病理学慣習において、他の半固体または液体組織(例えば胸膜または腹水の体液および骨髄穿刺液材料)を評価するとき、クラスタの存在は、上皮分化の、従って上皮細胞が通常見られない部位での悪性腫瘍の強い証拠と認められてきた。
【0122】
乳癌は、元の腫瘍および転移巣の両方において、異質な表現型を示すことが知られている。Kleinら、Lancet 360:683−689,2002;Kuukasjarviら、Cancer Res 57:1597−1604,1997。疑問の一つは、これら2つの位置の間を通過中の細胞が同じような表現型を示すか否かである、または、もし形態学的小集団、例えば極めて未分化な細胞だけならば、高いN/C比細胞は血流中に入るか否かである。CTCのどの画分が転移性腫瘍を形成する生物学的な能力を実際に有するかという疑問が未解決のままであるが、CTCの本形態学的研究は、全てが血中を循環しているので、疑いがあり得ると考えなければならない集団は腫瘍内細胞の全体のスペクトルを含むことを示唆している。この所見は、転移に至っているクローンとして拡大している細胞の選択は、転移の後に起こるという細胞遺伝学的な証拠を示したKleinおよび共同研究者の所見と一致している。Kleinら、Lancet 360:683−689,2002。乳癌患者において見られる一部のCTCが、大きく、丸く、高い核対細胞質の比を有し、CKの中程度から高い発現の有する一方、多くは、これらの特性の1つまたはそれ以上を示さない。患者AからFの間のおよび患者C単独だけの範囲内の細胞の異質性は、患者サンプルの間でのおよびサンプル中でのCTCの多形を説明している。
【0123】
形態学上の広範な相互関係の故に選択された患者Cは、CTCの高い数を有する。患者の原発性腫瘍、腋窩転移、骨髄転移および末梢血における細胞の細胞学的構成は、より多くのアポトーシス形態が末梢血に見られることを除いて、類似している。このように、この患者において、循環中の構成要素は特に低い分化のサブクローンを表しているという形態学的証拠はなく、むしろ循環中の構成要素は原発腫瘍における表現型の異質な腫瘍細胞集団を表しているように見える。
【0124】
FAST走査と縦に並んだ細胞付着プロトコールは、臨床医または病理学者が高感度で特異的な検出方法を続いてのCTC分析と組み合わせることを可能にし、重要なことであるが、細胞形態上の診断を含む更なる研究のために、目的の細胞をこれらの定位置に再配置する方法を提供する。この分析にライト・ギムザ染色を含めることにより、転移性乳癌患者の末梢血において見られるCTCの型の分別における標準的な細胞病理学的方法を含めることを可能にした。患者間および患者内のCTC異質性が示された。この研究は、個人における転移の広がりのパターンを予測し得る既存のおよび新しく開発される細胞生物マーカーにより拡張されよう。また、この研究は、特に癌が診断されなかった個人において、検出された循環上皮細胞の起源の組織を同定することに役立ち得る。追加のタンパク質マーカーを用いてCTCを調べる能力は、末梢血サンプルからの上皮悪性病変の選別および診断を可能にしよう。
【0125】
範囲が、それが分子量のような物質的性質としてまたは化学式のような化学的性質としてここで使われるとき、範囲のすべての組合せおよび下位の組合せならびにこれらにおける特定の実施態様を含むことが意図される。
【0126】
この文書において引用されているまたは述べられている各々の特許、特許出願および刊行物の開示は、これらの全体が参照によってここに組み込まれる。
【0127】
当業者は、本発明の実施態様に多数の変更及び修飾をなすことが可能であることおよびこのような変更および修飾はこの発明の趣旨から逸脱することなく行うことができることを理解する。従って、添付の特許請求の範囲は、全てのこのような均等な変形を、本発明の真の趣旨および範囲に入るように、網羅していることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、光ファイバーアレイ走査技術(FAST)を示す。
【図2】図2は、乳癌患者の末梢血において見い出され、病理学者により同定された循環腫瘍細胞(CTC)例である(20x)。
【図3】図3は、サンプル標品を監視するために用いられた別々の支持体上の、癌患者についてのおよびHT−29細胞についてのFASTによって同定された対象の総強度のプロットを示す。
【図4】図4は、乳癌患者において見られた典型的なCTCのライト・ギムザ染色および蛍光画像を示す。
【図5】図5は、乳癌患者(60x)の末梢血において病理学者により同定されたCTCの例および同じCTC(x100x)の対応するライト・ギムザ染色を示す。
【図6】図6は、患者から同定されたCTCの蛍光およびライト・ギムザ染色のスペクトルを示す。
【図7】図7は、アポトーシスの最終段階を受けているであろうCTCを示す。
【図8】図8は、患者における原発腫瘍および転移性腫瘍の組織学的および細胞学的な特徴を示す。
【図9】図9は、乳癌患者において見いだされた、CKカスパーゼ−3として確証されたアポトーシスCTCを示す。
【図10】図10は、X線撮影で測定されたときの進行性疾患を有する患者の状態およびCTC数を示し、および/または臨床所見ではタンデムFAST−ADMによる末梢血中に検出されたCTCを有する可能性が大きかった。
【図11】図11は、タンデムFAST−ADMのCTC測定に基づく乳癌患者の全体的生存率を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞集団を含む試験サンプルを、対象の血液から得ること、
試験サンプルを支持体上に載せること、
試験サンプル中の、循環腫瘍細胞と選択的に結合する第1のマーカーの存在または不存在を検出すること、
試験サンプル中の、細胞集団または細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーの存在または不存在を検出すること、および
第1のマーカーおよび第2のマーカーによって検出された細胞集団を分析して、循環腫瘍細胞を同定しおよび特徴づけること
を含む、癌を有することが疑われる哺乳類対象において循環腫瘍細胞を検出する方法。
【請求項2】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が哺乳類の対象における転移癌の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が哺乳類の対象における初期癌の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在が、哺乳類の対象における疾患がない状態または測定できない疾患状態の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在が、癌治療または癌回復の間の治療の管理を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
細胞集団が混合細胞集団である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
支持体が平らな支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
試験サンプルを支持体の上に載せることが生物学的単層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1のマーカーまたは第2のマーカーが蛍光マーカーである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1のマーカーが選択的に上皮細胞と結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1のマーカーがサイトケラチン・マーカーである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2のマーカーが形態、寸法または核対細胞質の比によって循環腫瘍細胞を同定するための細胞学的な染料である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
細胞学的な染料がライト・ギムザ(Wright−Giemsa)染料である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1のマーカーまたは第2のマーカーが細胞に特異的なマーカーである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
細胞に特異的なマーカーがサイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン・レセプター、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、VEGF、EGFRまたはHuRである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
試験サンプルが第3のマーカーによって分別された細胞集団をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
試験サンプルを支持体上に載せる前に細胞集団を分別することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
核細目、核輪郭、核小体の存在または不存在、細胞質の品質または細胞質の量によって細胞集団を分析することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
高い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、低い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、初期アポトーシス細胞または後期アポトーシス細胞を測定することによって細胞集団を分析すること、および、循環腫瘍細胞を同定することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1のマーカーを検出することが、支持体に細胞を付着させることにより細胞集団を分析すること、光ファイバーアレイにより支持体上の細胞集団を走査すること、および、再配置を用いるデジタル顕微鏡観察によって細胞を画像処理することをさらに含む、請求項1に記載に記載の方法。
【請求項21】
第2のマーカーを検出することが、デジタル顕微鏡観察により第1のマーカーにより同定された上皮細胞を再配置することをさらに含む、請求項20に記載に記載の方法。
【請求項22】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が、リンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、膵臓癌、尿膀胱癌、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌または前立腺癌の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
細胞集団を含む試験サンプルを、対象の血液から得ること、
試験サンプルを支持体上に載せること、
試験サンプル中の、循環腫瘍細胞と選択的に結合する第1のマーカーの存在または不存在を検出すること、
試験サンプル中の、細胞集団または細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーの存在または不存在を検出すること、および、
第1および第2マーカーによって検出された細胞集団を分析して、循環腫瘍細胞を同定しおよび特徴づけすること
を含む、癌を有することが疑われる哺乳類対象における癌を診断する方法。
【請求項24】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が、哺乳類対象における転移癌の存在を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が、哺乳類対象における初期癌の存在を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在が、哺乳類対象における疾患がない状態または測定できない疾患状態の存在を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
試料中の循環腫瘍細胞の存在または不存在が、癌治療または癌回復の間の治療の管理を監視する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
細胞集団が混合細胞集団である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
支持体が支持体である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
試験サンプルを支持体上に載せることが、生物学的単層を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
第1のマーカーまたは第2のマーカーが蛍光マーカーである、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
第1のマーカーが選択的に上皮細胞と結合する、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
第1のマーカーがサイトケラチン・マーカーである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第2のマーカーが、形態、寸法または核対細胞質の比によって循環腫瘍細胞を同定するための細胞学的な染料である、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
細胞学的な染料がライト・ギムザ(Wright−Giemsa)染料である、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
第1のマーカーまたは第2のマーカーが細胞に特異的なマーカーである、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
細胞に特異的なマーカーがサイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、VEGF、EGFRまたはHuRである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
試験サンプルが第3のマーカーによって分別される細胞集団をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
試験サンプルを支持体上に載せる前に細胞集団を分別することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
核細目、核輪郭、核小体の存在または不存在、細胞質の品質および細胞質の量によって細胞集団を分析することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項41】
高い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、低い核対細胞質の比を有する無傷の細胞、初期アポトーシス細胞または後期アポトーシス細胞を測定することによって細胞集団を分析することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第1のマーカーを検出することが、支持体に細胞を付着させることにより細胞集団を分析すること、光ファイバーアレイによって支持体上の細胞集団を走査すること、および、デジタル顕微鏡観察によって細胞を画像処理することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項43】
第2のマーカーを検出することが、デジタル顕微鏡観察により第1のマーカーにより同定された上皮細胞を再配置することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が、哺乳類の対象における癌再発の可能性を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項45】
試料中の循環腫瘍細胞の存在が、哺乳類対象における癌緩解状態を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項46】
癌が、リンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、膵臓癌、尿膀胱癌、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌または前立腺癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項47】
候補薬化合物の治療的に効果的な量を、癌を有することが疑われる対象に投与すること、
循環腫瘍細胞を有することが疑われる細胞集団を含む試験サンプルを、候補薬化合物による処置前および処置後に、対象の血液から得ること、
試験サンプルを支持体上に載せること、
試験サンプル中の、循環腫瘍細胞と選択的に結合する第1のマーカーの存在または非存在を検出すること、
試験サンプル中の、細胞集団または細胞集団の小集団と結合する第2のマーカーの存在または不存在を検出すること、ならびに
第1のマーカーおよび第2マーカーによって検出された細胞集団を分析し、試験サンプル中の、候補薬化合物による処置前の循環腫瘍細胞を、候補薬化合物による処置後と比較して、同定すること
を含み、
試料中の処置前の循環腫瘍細胞の数と比較して、試料中の処置後の減少した数の循環腫瘍細胞の存在は、哺乳類対象における癌の処置における候補薬化合物の効果を示す、
哺乳類対象における癌の治療のために候補薬化合物を選別する方法。
【請求項48】
癌が転移癌または初期癌である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
細胞集団が混合細胞集団である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
試験サンプルが第3のマーカーによって分別される細胞集団をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
試験サンプルを支持体上に載せる前に細胞集団を分別することをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
支持体が平らな支持体である、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
試験サンプルを支持体上に載せることが生物学的単層を形成する、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
第1のマーカーまたは第2のマーカーが蛍光マーカーである、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
第1のマーカーが選択的に上皮細胞と結合する、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
第1のマーカーがサイトケラチン・マーカーである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
第2のマーカーが形態、寸法または核対細胞質の比によって循環腫瘍細胞を同定するための細胞学的な染料である、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
細胞学的な染料がライト・ギムザ(Wright−Giemsa)染料である、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
第1のマーカーまたは第2のマーカーが細胞に特異的なマーカーである、請求項47に記載の方法。
【請求項60】
細胞に特異的なマーカーが、サイトケラチン、CD45、M30、ケモカイン・レセプター、CXCRl、CXCR4、CD44、CD24、VEGF、EGFRまたはHuRである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
試験サンプルが、第3のマーカーによって分別される細胞集団をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
試験サンプルを支持体上に載せる前に細胞集団を分別することをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
癌が、リンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、小細胞型肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、膵臓癌、尿膀胱癌、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、子宮頸癌、子宮体癌、副腎皮質性の癌または前立腺癌である、請求項47に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2009−525468(P2009−525468A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552513(P2008−552513)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/002798
【国際公開番号】WO2007/089911
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(501318914)ザ・スクリプス・リサーチ・インステイチユート (23)
【Fターム(参考)】