説明

微小対象物放出光検出装置

【課題】 レーザの代わりに励起波長の選択自由度の高いLEDを用いて、各種バイオ化学分析で用いる色素を効果的に励起することができ、なおかつ高感度であって、また、最終的にはラボ・オン・チップを実現し得る原理構造をも提案する蛍光検出装置を提供せんとするものである。
【解決手段】 励起光源の発する励起光の照射を受けて微小対象物が蛍光または燐光という形で放出する放出光を半導体光検出素子により検出する微小対象物放出光検出装置であって、励起光源がLEDであり、その両端に一対のミラーからなるマイクロ共振器を有し、LED光の指向性を高め、発光波長分布を離散化させた後、励起光を収束するマイクロ収束レンズを有することを特徴とする微小対象物放出光検出装置を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の自然放出光を励起光として照射することで蛍光ないし燐光という形で微小対象物から放出される当該放出光を高感度に検出する装置に関し、特に当該微小対象物がバイオ化学分析における色素や半導体量子ドット、ないしは色素あるいは半導体量子ドットで標識された微小サンプルであるような場合に好適な微小対象物放出光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば核酸、アミノ酸、蛋白質等、種々なバイオ化学分析において採られる分析手法の一つに、電気泳動法がある。最近では特に、ナノリッタからピコリッタにも及ぶような微小量の溶液サンプルを用いれば足り、これを適当な色素で標識し、コンパクトな電気泳動チップ上で当該サンプルに励起光を照射し、これにより色素の発生する蛍光を分析処理する装置が提案された(下記特許文献1,2及び非特許文献1参照)。
【0003】
図4(A)、(B)には、特許文献1、非特許文献1により本発明者等が開示した従来装置の一例が示されているので、これに基づき説明を始める。まず、図4(A)に示すように、分析用サンプルを収容、載持するチップ10があり、このチップ10には互いに平面的に交差する微細幅のチャネル(溝)15,16が設けられている。一方の溝15は、注入チャネル15と呼ばれ、その一端に溶液状のサンプルを入れる井戸状の液溜めであるサンプルリザーバ11が、他端には、注入チャネル15を介して流れ出てきたサンプルを受け止める液溜めであるウエイスト(waste)リザーバ12が設けられている。この注入チャネルと交差するもう一方の溝16は、分離チャネル16と呼ばれ、その一端側には後述のように電圧を印加する関係で陰極リザーバ13と呼ばれる液溜め13が、他端には、陽極リザーバ14と呼ばれる液溜め14が設けられている。各リザーバ11〜14には、それぞれ後述のタイミングで予め決められた電圧を印加するために、図示していないが、例えば薄膜状の電極が設けられているか、あるいは針状等の電極が挿入される。なお、溝15,16は、一般には図示のように互いに直交し、平面的に見るとそれらの溝15,16により十字形状が形成される。
【0004】
しかるに、サンプルリザーバ11にサンプルを注入した後、サンプルリザーバ11とウエイストリザーバ12の間に適当な電圧を印加すると、当該サンプルは注入チャンネル15内を泳動して行く。この時、陰極リザーバ13、陽極リザーバ14は、電位的にフローティングにするか、それらの間に適当なバイアス電圧を印加しておく。適当な時間が経過した後に(通常は10〜60秒程度)電圧を切り替え、陰極リザーバ13と陽極リザーバ14との間に適当なる電圧を印加すると、丁度その時に分離チャンネル16との交差点に至っていたサンプルの一部分(サンプルプラグと呼ばれる)が切り出され、当該分離チャネル16内において電気泳動を開始する。なお、この際には、注入チャンネル15に残ったサンプルが分離チャンネル16に流入しないように、サンプルリザーバ11とウエイストリザーバ12の間に適当なバイアス電圧を印加する。
【0005】
最近の半導体微細加工技術を利用すると、各チャネル15,16は、精度良く極めて微細な幅に加工でき、従って当該チャネル幅(一般に数十μm〜100μm)に相当する短いサンプルプラグを生成することができる。チップ10は、少なくとも励起光や蛍光の波長に対して極力高い光透過性を有し、かつ、電気泳動に好適な絶縁性も有する必要があるため、実際には二枚のガラス板の貼り合せで作られることが多い。一枚のガラス板10aに各チャネル15,16をリソグラフィ形成(場合により機械的に形成されることもある)した後に、チャネル15,16を上から塞ぎ、かつ、各リザーバ11〜14を形成する縦穴の穿たれたもう一枚のガラス板10bを熱溶着等により接着する。ガラス基板に代えてプラスチック材料が用いられることもあり、熱溶着、超音波接着、接着剤の援用等により二枚の板部材の結合が図られる。分析に適当なる構造のものであれば良く、もちろん、既存のもので構わない。
【0006】
いずれにしても、既存の製造技術でも既に極く短いサンプルプラグを得ることはできるので、最近では短いチャネル長で高い理論段数の電気泳動分離が可能となっているとは言える。分離チャネル16内を泳動するサンプルは、既述したように適当な色素で予め標識されているので、励起光Leにより光照射されると、それとは波長の異なる光、一般的には、蛍光を放出する。そのため、標識されたサンプルプラグが分離チャンネル16中を泳動する中に、大きさや電荷等の違いによって分離されて検出領域Poに到達し、そこで励起光Leの照射を受けた結果として放出した蛍光の強度を、当該サンプルプラグが当該検出領域Poにまで到達するに要した時間に対してプロットすると、各サンプルプラグごとに固有の、いわゆる電気泳動データ(Electropherogram)が得られる。
【0007】
図4(B)には、こうした蛍光を検出する、励起光源30と一体化された蛍光検出部40の従来構造例が示されている。まず、蛍光を検出する半導体光検出素子20がある。これは図示の断面でみると左右一対あるように見える。しかし、実際には例えば平面的に見るとドーナッツ状をなしている。望ましくは縦型共振器構造を有する面発光レーザ30からの励起光Leを、真ん中の透孔41(一般にピンホール状)を介し、光透過性のチップ10に入射する。図4(A)に示した検出領域Poにおいて分離チャネル16内のサンプルを照射すると、当該サンプルから蛍光Lfが発せられる。そして、この蛍光Lfが、蛍光収集用のマイクロレンズ61により望ましくは略々平行化された後、半導体光検出素子20の入射面側に設けられている光学フィルタ50に入射する。光学フィルタ50は半導体検出素子20にモノリシックに集積化されており、散乱されて来る励起光Leをできるだけ除去し、蛍光Lfのみを半導体光検出素子20に入射させるために、蛍光Lfの選択透過性を持つ。蛍光収集用マイクロレンズ61は、鋳型成型等によりチップ10と一体に成型することもできるし、あるいは一部仮想線で示すように、専用の基板61’に形成し、これをチップ10の裏面に貼着することで設けることもできる。
【0008】
光学干渉フィルタ50、半導体光検出素子20、励起光源30の具体的構造例は既存構造のものであって良く、後に本発明の実施形態に即して説明する所を援用する(換言すれば、本発明はそうした部材50,20、30の基本的な構造自体には改変を施すものではない)が、半導体光検出素子20は、上記した特許文献1,非特許文献1に開示されているように、望ましくは水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を用いて作製されたフォトダイオードとされる。電気泳動法を援用する場合に限らずとも、a-Si:Hフォトダイオードは下記に列挙するように、種々望ましい特徴を備えているからである。
【0009】
1)バイオ化学分析に有用な色素(例えばFluorescein、Green Fluorescence Protein、TOTO、Ethidium Bromide)の蛍光帯は、可視光領域にあり、この領域でa-Si:Hの吸収係数が高い。
2)暗電流が結晶シリコンに比べて数桁低いため、冷却の必要がなく、小型化に有利である。
3)半導体微細加工技術によるパターン形成が可能であって、容易に検出器アレイが作製できる。
4)要すればプラズマ化学気相成長法により安価なガラスやプラスチック基板上に直接形成できるため、大量生産性に優れ、低コスト化が容易である。
【0010】
集積型a-Si:Hフォトダイオードを作製し、励起光源として市販の半導体レーザ(Coherent社Sapphire:488nm)を用いて実験を行った所、その検出限界は、Fluorescein濃度で7nMであった(非特許文献1において開示した時点においては、17nMであった。)。これは、これまで報告されていた数例のこの種蛍光検出装置の中で最も優れた検出感度を示すもので、現にマイクロ流体DNA断片解析、アミノ酸鏡像異性体解析等に成功している。
【0011】
ここで少し一般的な話に戻ると、こうした蛍光検出装置で達成すべき最終目標は、いわゆるラボ・オン・チップ、ないしMicro Total Analysis System (=μTAS)の実現である。すなわち、全ての分析プロセスに必要な素子、装置系を単一のチップ上に搭載させ、しかも、そのチップを小型化することで、“現場(point-of-care)”分析を可能にすることである。上記特許文献1や非特許文献1が開示される以前の実情でも、確かに蛍光検出分析方法の概念は確立したものがあり、実際にもマイクロ流体電気泳動の場合、96から384チャネルを用いた高速遺伝子判別が行われていた。また、マイクロ流体バルブやポンプが提案され、微小流体の大規模な並列操作が可能になってきてもいたし、このようなマイクロ流体バルブやポンプを用いた、マイクロ流体細胞ソータ(Sorter)や大規模集積された微小チャンバの中で、蛋白質結晶化の条件がコンビナトリアル最適化できるようにもなってきていた。
【0012】
しかし、電気泳動等における分析プロセスやサンプル前処理プロセスがマイクロチップ上に集積化、小型化され、さらに部分的には大規模集化されるようになってきていたにも拘わらず、マイクロ流体ラボ・オン・チップの高感度分析には、光電子増倍管、CCD、光学干渉フィルタ、レーザ等から構成されるレーザ誘起蛍光検出システムが使われることが殆どであって、到底、持ち運びの自由な“現場”分析に適当な装置とは言い難かった。その点、本発明者等が提案した上述の装置系によれば、“現場”で、低サンプル消費、かつ、高速なバイオ化学分析が可能となる礎が築かれた。従って、これを発展させて、ラボ・オン・チップを構築、実現できれば、いわゆるバイオテロを蒙ったときの病原菌の検出や同定、遺伝病の判定、ストレス・モニタ等を即時性を持って行うに十分有用であり、大きな産業的インパクトを見込むことができる。
【特許文献1】特表2005−535871号公報
【特許文献2】特開2005−283568号公報
【特許文献3】特開2005−108880号公報
【非特許文献1】T. Kamei他,“Integrated Hydrogenated Amorphous Si Photodiode Detector forMicrofluidic Bioanalytical Devices”,Anal. Chem., Vol.75, No.20(Oct.15,2003)pp.5300-5305.
【非特許文献2】E. F. Schubert他、”Resonant Cavity light-emitting diode”,Appl. Phys. Lett. Vol60, No.8 (Feb. 24, 1992) pp.921-923.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、問題になってきたのが、500nm前後の青緑色半導体レーザ光源の選択自由度の乏しさである。例えば既述の通り、上記非特許文献1ではアルゴンイオンレーザを用いていたが、これでは究極的な検出系の一体化、小型化は望めない。ただ、これを例えば、既に市販されているSHG(Second Harmonic Generation)素子を用いた青緑光半導体レーザ(例えばNovalux社Protera488、Coherent社Sapphire等)に置き換えれば、光源まで含めてのある程度の小型化が可能ではある。実際、これで十分な用途も多い。
【0014】
しかし、上記の市販青緑色半導体レーザは、依然として高価であるし、例えば、Sapphireの場合、レーザーヘッドだけでも3.4cm×7cm×12.5cmあり、非常に小型というわけではなく、“現場”マイクロ流体ラボ・オン・チップに必要なコンパクトな蛍光検出システムを実現するためには、更に小型の励起光源が必要である。このような観点から上記特許文献1でもレーザの代わりに、LEDを用いる利点に関して記述している。LEDであれば、青色、緑色、赤色と波長選択の自由度がレーザに比べてずっと大きいし、レーザに比べてずっと小型化・低コスト化できる。また、多重度の高いバイオ分析を実現するためのアレイ化も容易であるし、生産性にも優れている。
【0015】
LEDの問題点は、光の指向性が低く、光を絞って小さなスポット径にするのが難しい点である。集積型蛍光光検出素子を用いた場合、励起光の散乱によるバックグランド光電流が高く、そのノイズレベルが検出限界を決めており、特に、100μm程度の幅のチャンネル16を励起する時、スポット径がマイクロチャンネルと同程度以上だと、チャンネル界面での光散乱が大きくなり、集積型蛍光検出素子の検出限界を高く(悪く)するという問題が生じる。非特許文献1においては、レーザ光を凸レンズで集光し、チャンネルでのビームスポットを〜60μm程度に絞っているのはこのような理由からである。指向性が高いレーザ光の場合、単純に光路にレンズを挿入するだけで簡単にレーザ光の波長レベルのスポット径まで絞ることができるので問題ない。LEDの場合も凸レンズや屈折率分布型レンズを用いて集光することはできるが、一般に発光面のサイズ以下に光を絞ることは難しい。Heptagon社は回折光学素子を用いてLEDを集光しているが、LEDには大きな波長分布があるので、ビーム径を絞るのは同様に難しい。
【0016】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたもので、レーザの代わりに励起波長の選択自由度の高いLEDを用いて、各種バイオ化学分析で用いる色素を効果的に励起することができ、なおかつ高感度であって、また、最終的にはラボ・オン・チップを実現し得る原理構造をも提案する蛍光検出装置を提供せんとするものである。
【0017】
なお、上記では色素から放出される蛍光の検出に関して説明してきたが、最近では有機分子である色素に代わるバイオ化学分析の蛍光標識として、吸収スペクトルが波長的にブロードで励起光源の選択自由度がありながら、蛍光スペクトルは波長的にシャープで波長多重分析に好適であり、光劣化(Photobleaching)が小さい等の観点から半導体量子ドットも注目されている。そこで、本書冒頭において述べているように、本発明はこのような新しい蛍光標識にも対応できる装置の提供をも目標とする。さらに蛍光検出だけでなく、一般に蛍光よりも長波長側にピーク波長が位置する燐光の検出にも好適な装置を提供せんとする。従って、励起光照射により微小対象物から放出される蛍光、燐光は、総称して微小対象物からの放出光と概念する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は上記目的を達成するため、まず第一の発明として、励起光源の発する励起光の照射を受けて微小対象物が蛍光または燐光という形で放出する放出光を半導体光検出素子により検出する微小対象物放出光検出装置であって;励起光源がLEDであって、その両端に一対のミラーからなるマイクロ共振器を有し、LED光の指向性を高め、発光波長分布を離散化させた後、励起光を収束するマイクロ収束レンズを有すること;を特徴とする微小対象物放出光検出装置を提案する。
【0019】
ここにおいて、マイクロ共振器を構成する一対のミラーは、代表的には分布ブラッグ反射ミラー(半導体材料より形成)、誘電多層膜、金属であって良く、また、励起光を収束するマイクロ収束レンズは回折光学素子、屈折率分布レンズ、凸レンズであってよい(特許文献3、非特許文献2参照)。
【0020】
励起光源の発する励起光の照射を受けて微小対象物が蛍光または燐光という形で放出する放出光を半導体光検出素子により検出する微小対象物放出光検出装置であって;励起光源のサイズが励起対象となるマイクロチャンネルの幅と同等もしくはそれ以下のLEDであって、励起光を収束するマイクロ収束レンズを有すること;を特徴とする微小対象物放出光検出装置も提案する。
【0021】
ここにおいて、励起光を収束するマイクロ収束レンズは、屈折率分布レンズ、凸レンズであってよい。
【0022】
また、微小対象物の放出する放出光は、当該放出光に対して選択透過性を有する光学フィルタを介して半導体光検出素子に入射させるのが良い。その上で、望ましくは、光学フィルタ及び半導体光検出素子の側壁にあって少なくとも励起光の散乱光が入射する可能性のある側壁部分は遮蔽膜により覆う。
【0023】
構造的には、半導体光検出素子と上記の光学フィルタとを有する放出光検出部が平面的に見て円形またはnを整数3以上の数としてn角形形状の立体形状(n角柱)をなし、この立体形状の一部に円形もしくはn角形形状の透孔が開いていて(角柱の上面から底面に至る透孔)、励起光はこの透孔内を通過するように構成するのが望ましい。この場合、やはり最も一般的なのは、放出光検出部を平面的に見て円形、透孔も円形、すなわち全体として見てドーナッツ形状にすることである。
【0024】
さらに、マイクロ収束レンズは、励起光源に設けることも、半導体光検出素子の構築されている基板に設けることも、微小対象物を載持する光透過性のチップに設けることもできる。
【0025】
構造簡易化という点では、半導体光検出素子を微小対象物が載持される光透過性のチップに一体的に形成するのが良く、全体の並列化という点では、励起光源と半導体光検出素子を同一の基板上に形成するのが望ましい。もちろん、マイクロ収束レンズもこの基板上に一体化できる場合がある。
【0026】
この際、半導体光検出素子は、a-Si:H材料を用いて作製されたフォトダイオードまたは光伝導体とすることが有利である。
【0027】
さらに進めて、半導体光検出素子と励起光源との組み合わせを一つのモジュールとして見た場合、このモジュールを複数個、一次元または二次元的に並設してモジュールアレイを構成させた装置も有用であり、さらに、このモジュールまたはモジュールアレイを一次元方向または二次元方向、あるいは三次元方向に走査する走査機構を設けることも可能である。
【0028】
また、半導体光検出素子を複数に分割し、微小対象物の放出する放出光がそれぞれ異なる分光特性を持つ光学フィルタを介してこの半導体光検出素子の分割部分の各々に入射するように図ると、波長多重分析も可能になる。
【0029】
さらに、本発明の特定の態様に従い、微小対象物の発する放出光を、当該放出光に対して選択透過性を有する光学フィルタを介して半導体光検出素子に入射させるようにした場合、この光学フィルタ及び半導体光検出素子の側壁にあって少なくとも励起光の散乱光が入射する可能性のある側壁部分は遮蔽膜により覆うようにすると、さらに低ノイズ化が図れ、これによっても感度を十分に向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、実質的に用いる励起光源の選択自由度が増し、低コスト化でき、かつ材料の相性の組み合わせも解決できて、光検出素子と集積化することも容易にできるようになるということから、ラボ・オン・チップの実現に大いに近づくことができる。特に、本発明の特定の態様に従う共振器LED一体型a-Si:H放出光検出モジュールは生産性に優れ、低コスト化が可能であり、多重度の高い並列バイオ化学分析に大きな役割を果たすものと思われる。
【0031】
本発明はまた、上記のような構造原理であるので、電気泳動法を用いての分析にのみに限ることなく、大幅に低コスト化されることから、広範なバイオ分析に応用可能であって、大概すれば、蛍光検出ベースのあらゆるタイプのマイクロ流体ラボ・オン・チップの実現に極めて有効な手段を与え、DNAチップ(DNA microarray)、プロテイン・チップ等の蛍光検出システムにも有利に適用できる。例えばDNAフラグメント解析、DNAシークエンシング、ポロニー・シークエンシング、RNA解析、たんぱく質分離、アミノ酸解析、細胞ソーティング、ドラッグ・スクーリング等に関しての応用も考えられるし、さらにはPCRと電気泳動を集積・結合したデバイスと組み合わせることで、“現場”病原菌検出、同定、石油分解等の有用菌の検出、同定等にも有効と思われる。
【0032】
特に、色素に代えて半導体量子ドットを用いた場合、その重量の大きさがあまり障害にならないDNAチップ分析等においては、蛍光検出や燐光を検出する場合に効果的な場合がある。
【0033】
さらに、本発明の特定の態様に従い、励起光源と半導体光検出素子のセットをモジュールとして一次元または二次元にアレイ化した場合、さらに応用使途は広がる。また、単一のモジュールまたはモジュールアレイを一次元ないし二次元、あるいはまた、さらに三次元に走査可能とすると、より応用範囲は広がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1に本発明の望ましい実施形態の一つが示されている。なお、既に図4(A),(B)に即して述べた従来例の各構成要素に付した符号を始め、他の図面中にて用いる符号も、同一の符号は同一ないし同様で良い構成要素を示し、従って各構成要素に関しどこかで説明した内容は特に断らない限り、他においても援用でき、繰り返しての説明は避けることがある。
【0035】
さて、この図1に示す本発明実施形態は、既に述べた電気泳動法を用いてのサンプル分析に適用するように構成されたものであることを想定しており、従って励起光Leの照射を受けることで放出光としてこの場合蛍光を発する微小対象物は、既述のようにガラスないしプラスチック基板から構成されたチップ10内の分離チャネル16を通る色素標識されたサンプルプラグ(これ自体は図示せず)である。
【0036】
励起光Leは、この実施形態においては励起光源30として選ばれた共振器型LED30により発振された光であるが、便宜上、当該共振器型LED30についての説明は後に回し、励起光Leの照射を受けて発せられた蛍光Lfが、既に従来例に即して説明した蛍光収集用マイクロレンズ61を介して平行化された後に入射する蛍光(放出光)検出部40の側から説明する。蛍光検出部40内に備えられる半導体光検出素子20として望ましいのは、a-Si:H材料により構成されたa-Si:Hフォトダイオード20である。一般にa-Si:H膜は、SiH4ガスまたは水素希釈されたSiH4ガスをプラズマで分解し、生成した活性種を基板に導くことで(プラズマ化学気相成長法)、200℃程度の低温でも高品質に作製可能である。不純物ドーピングは、この原料ガスに、不純物ガスB2H6あるいはPH3を添加するだけであり、それぞれP型、N型のa-Si:Hが得られる。このように低温プロセスで済むお陰で、a-Si:Hフォトダイオードはガラスやプラスチックなどの安価な基板に直接形成することができる。図示する実施形態においてもそうした場合が想定されている。ただし、本発明ではこのa-Si:Hフォトダイオード20の構造それ自体を特に規定するものではなく、公知既存の構造のものを援用できるが、ここで簡単に図示されているフォトダイオードの作製手順につき述べておく。
【0037】
まず透明基板28、例えばガラス基板28上にスパッタ等によりクロム等、適当なる導電材料の裏面電極27を形成する。その上にN型a-Si:H膜26、真性a-Si:H膜25、P型a-Si:H膜24を順次積層形成した後、例えばITO等により受光側の透明導電膜23を形成する。電極も含めたa-Siフォトダイオード20のパターン形成は、フォトリソグラフィにより適時行い、中心に透孔(ピンホール)41を有するドーナッツ形状とする。こうした構造で裏面電極27に開けられたピンホールは、励起光Leに対してアパーチャとして働く。
【0038】
上述のように、この場合はPIN型として構成されたフォトダイオード20の側壁は、SiN等による適当な絶縁膜22で覆い、その上にアルミ等、適当な金属21で被覆し、この金属膜21を受光側透明導電膜23と電気的に接触させることで、裏面電極に対向するもう一方の電極としている。このa-Si:Hフォトダイオード20上に、SiNあるいはSiO等による絶縁膜53を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を援用してその表面を平坦化した後、その上に光学フィルタ50を形成する。光学フィルタ50は光学干渉フィルタとして構成するのが普通であり、例えばSiO2/Ta2O5等の光学干渉フィルタ50を形成する。蛍光Lfに対する選択透過性(励起光Leの遮断性)を有するこうした光学干渉フィルタ50の作製についてはよく知られており、本発明でも任意に適用可能なため、ここではその詳細は記述しない。
【0039】
ただ、本発明の一形態に従い、特徴的なことに、光学干渉フィルタ50の側壁は遮光膜52により覆われている。この遮光膜52は励起光波長を極力通し難いものであればその材質は任意であって、光遮断性を持つ塗膜等であっても良いが、金属膜でも良いので、フォトダイオード20の電極材質として用いたと同じアルミを選ぶと、製造工程上、便利である。こうした遮光膜52を設けると、フォトダイオード20の側壁を覆う金属電極21と相俟って、特にピンホール41に向いている光フィルタの側壁を介し、散乱して来た励起光がフォトダイオード20に入射するのを妨げることができ、これがSN比を向上する上で大きな効果を発揮する。
【0040】
フォトダイオード20の構築されている基板28の裏面側(図中、下側)には、望ましいことに共振器型LED30(Resonant Cavity Light−Emitting Diode:RCLED)が一体に形成されている。もっとも、用いる共振器型30の構造自体は任意公知のものを採用することができる。図示の場合に即し、一般的な構成例について言えば、構築基板39上における積層構造として、分布ブラッグ反射 (Distributed Bragg Reflection:DBR) ミラー38、n型層36、量子井戸を有する活性層35、p型層34、ホールを面内拡散させるための電極33、誘電多層膜ミラー(分布ブラッグ反射ミラー)31、そして電極32、37があり、これらは有機金属気相成長法(MOCVD)や分子線ビームエピタキシ法により作製されている。一対の電極32,37からP型層、およびN型層を介してキャリアが注入され、活性層35において再結合し、発光する。この時、ミラーは共振器を形成するので、図1に模式的に示されているように、出力光の指向性が増し、発光波長は離散化する。共振器型LED30では共振器長を十分に短くできるので、離散化した発光波長の間隔を大きくすることができる。この時、誘電多層膜ミラーの反射帯幅を狭くすれば、発光波長をレーザに近い、単色化が可能になる。さらに、必ずしも必要ではないが、バンドパスフィルターにより離散化した発光波長の中で、必要なものだけを取り出すこともできる。その後、マイクロ収束レンズ62により効率的にビーム系を絞ることが出来る。通常の凸レンズや屈折率分布型レンズで集光することも可能であるが、このように励起光波長分布が狭い場合には、回折光学素子が特に有効である。活性層35は、InGa N/GaN量子井戸構造とすることができる。
【0041】
本発明による特徴的な構成は、励起光の光路途中に設けられている励起光収束用の回折光学素子62と励起光源30のマイクロ共振器の存在に認められる。マイクロ共振器により、LED光の指向性が高められ、必要であれば、バンドパスフィルターとの組み合わせにより、LED光を単色化できる。特定の波長に対しては、回折光学素子62を用いて、分離チャネル16内のサンプルプラグより小さいスポット径まで集光することが可能になる。光の散乱はチャンネルの両端で起こるので、レーザ光を使った場合と同程度まで光散乱を低減でき、結果として、同程度の感度をレーザを使った場合と比べて低コストで実現できる。当該マイクロ収束レンズ62は、励起光源30の光路上にあればどこにあってもよく、フォトダイオード20を支持するガラス基板28に一体に設けることもできる。これは、基板材質が上記のようにガラスの場合には鋳型形成により簡単に作製できるからである。もっとも、最近ではフォトレジストのリフロー等を利用した半導体微細加工技術により、半導体やガラス材料の回折光学素子も任意に形成できるので、選択した基板材質の如何により、それぞれに便利な手法で作製すれば良い。もちろん、プラスチック基板を用いる場合にも鋳型成型その他、便利な手法が存在する。
【0042】
図2に示すように、共振器を有さない通常のLEDであっても、発光面が分離チャンネル16の幅より小さければ、凸レンズや屈折率分布型レンズのようなマイクロ集束レンズ62による、分離チャンネル16より小さいスポット径まで集束することは可能である。この場合、LED光源20からの発光の特定の波長成分のみを透過させるバンドパスフィルターはほとんどの場合、必要となる。
【0043】
いずれにしても、本発明に従い、こうしたマイクロ収束レンズ62が設けられていると、励起光源30により放出された、例えば中心波長が480nm程度であって良い励起光Leも、マイクロ集束レンズ62により集光されて分離チャンネル16内を泳動するサンプルプラグを分離チャンネル幅よりも小さいビーム径に集光して照射することができ、レーザと同じように散乱光を低減することが出来る。発生した蛍光は、蛍光収集用マイクロレンズ61により収集してほぼ平行化させ、光学干渉フィルタ50にほぼ垂直に入射させて励起光成分を除去し、a-Si:Hフォトダイオード20に入射させて光電変換させる。なお、一般に、キャリア収集効率を最適化するために、a-Si:Hフォトダイオード20には数ボルト程度の逆バイアス電圧を印加しておくのが普通である。
【0044】
まして、本実施形態におけるように、フォトダイオード20や光学干渉フィルタ50の側壁を遮光膜51や電極21で遮光した構造にすれば、SN比はさらに向上し、実際上、これによってもまた、大きな感度向上が認められる。なお、図示していないが、チップ10、マイクロレンズ61,62、ガラス基板28、共振器LED30等の表面に、適宜、反射防止膜を施すことも、励起光散乱によるバックグランド光電流を低減する上で効果的である。
【0045】
遮光のための構造51,21は、実質的には励起光Leの通る光路に向いた面だけであっても良い場合もある。すなわち、一般化して言えば、少なくとも励起光Leの散乱光が入射する可能性のある側壁部分に遮蔽膜51を設けたり電極21で被覆したりすれば良く、例えば、図示の場合、電極21の外周部は外部との電気接触のため必要であるが、遮蔽膜51の外周部は不要であり、ピンホール41に向いた内側壁部分にのみ施しても良い。ただ、制作上はフォトダイオード20や光学干渉フィルタ50の内外両側壁に一連に設けても、手間は同じでありながら、より完全な遮光性が得られる。また、図示実施形態では蛍光検出部が幾何的形状としてはドーナッツ形状に構成され、その中央部分の透孔ないしピンホール41を介して励起光Leが通過する構造になっているが、本発明はこうした構造にのみ限定的な応用を絞られるものではない。共振器型LED30と蛍光受光素子20とが例えば単に並設されているような場合でも、回折光学素子62の組み込みはもとより可能である。この点は、以下に触れる本発明の他の実施形態でも同様である。さらにドーナッツ形状も円形形状に限らない。透孔を囲む立体形状として蛍光検出部40が構成されていれば良くて、平面的に見て四角形その他のn(n≧3)角形形状の蛍光検出部40の一部(一般には中央)に円形もしくはn角形形状の透孔41が開いていて、そこを励起光Leが通過するようになっていても構わない。
【0046】
本発明によるLED光による色素励起の効用、すなわち、低コスト化とレーザを用いたのと同じ程度の光検出素子40の感度の実現は図3に示すような構造的工夫により、さらに低コストなデバイスとして本発明蛍光検出装置を提供することもできる。
【0047】
例えば微小対象物がやはり電気泳動法におけるサンプルプラグである場合、既に説明してきたように、それはガラスないしプラスチック製のチップ10を有するので、半導体光検出素子としてa-Si:Hフォトダイオード20を用いるならば、そのチップ10を蛍光検出部の構築基板として流用することができる。図示の場合、まず、チップ10の裏面に光学フィルタ50が設けられ、以降、通常の作製手法に従い、絶縁膜53を介した後に透明電極23の上にこれまで説明したと同様で良い構造のフォトダイオード20が形成されている。図1の実施形態では裏面電極とされていた電極27に相当する電極27が、この実施形態ではフォトダイオード20の側壁をも覆う遮光構造21の一部をなしている。同様に、望ましくは光学フィルタ50の少なくともピンホール41に向いた内側壁、一般には外側壁をも含めて、そこにも遮光膜51が形成されていることも、図1に示した実施形態と同様であり、全体形状もまた、ドーナッツ形状を想定している。ただ、この実施形態では、透明導電膜23との電気的接触を図る必要から、遮光膜51には金属等、導電性を有するものが求められる。この遮光膜51が、フォトダイオード20の一方の電極の一部を構成する訳である。
【0048】
便利なことに、この実施形態では、励起光Leを収束するマイクロ収束レンズ62も、ピンホール41内の位置でチップ10の裏面を加工することで得られている。製法上、有利なことは顕かである。同様に、図中においてチップ10の上部にマイクロ収束レンズ62を形成し、励起光Leをチップ10を挟んで半導体光検出素子20に対向する側から入射させることも可能である。ただ、いずれの構造の場合にも、光学フィルタ50はa-Si:Hの製膜温度200℃に耐性のある材料、例えばSiO/TiO等の材料を使う必要はある。さらに、この図3に示される実施形態では、図1の実施形態では用いられていた蛍光収集用のマイクロレンズ61は必要とされていない。チップ10の分離チャネル16より下の部分の厚みを十分薄くすると、半導体光検出素子20の受光面が小さい場合でも十分な光を収集することが可能となり、別途な部材としてのレンズを用いている訳ではないが、近接効果レンズと呼ばれる構造が組み込まれていることになるからである。こうした構造も、集積度を上げるための重要な一構造例となり得る。
【0049】
さらに、平面形状の屈折率分布型レンズ(セルフォックレンズ)を用いることも可能であるし、近接効果レンズを用いる場合、光学フィルタ50に入射するレーザ散乱光や蛍光に入射角度分布があるので、当該光学フィルタ50としては光学干渉フィルタに代え、色ガラスフィルタ等の光学吸収フィルタを使用したり、あるいは光学干渉フィルタとそれを併用したりすることが望ましい場合もある。また、多チャンネルを並列に分析する際はスキャナ等を用いることになる。
【0050】
ところでa-Si:H薄膜の製膜プロセスは200℃程度の低温であること、及びアモルファス構造であることから、格子整合性が問われないため、200℃以上の熱耐熱性のあるほとんどあらゆる基板に製膜することができる。そこで、同一の基板39、例えばサファイア基板36上に、励起光源30も半導体光検出素子20もモノリシックに集積形成することができる。各素子の内部構造等はこれまで説明して来た所と同様で良いので、再度の説明は控える。他の実施形態における図面中に付したと同一の符号は同一ないし類似の構成要素を示すことは既に述べた通りである。サファイア基板39は、可視光を透過させることもできるので、サファイア基板36を挟んで共振器型LED30をa-Si:Hフォトダイオード20の裏側にモノリシックに集積することもできる。いずれにしても、共振器型LED30とフォトダイオード20のモノリシック集積構造は、より生産性に優れており、低コスト化が可能である。
【0051】
なお、着目したいのは、図2、図3に示された実施形態におけるそれぞれ重要な構成要素の全ては同軸に配置されており、容易に並列化できるデザインであることである。共振器型LED30と蛍光検出部40を中心とする一体集積化構造を一つのモジュールとした場合、このモジュールを一次元ないしは二次元にアレイ化した構造に展開できる。このような場合の応用上の利点は、特許文献1、2において詳述しているのでここでは繰り返さない。
【0052】
以上、本発明の望ましい実施形態に就き説明したが、本発明要旨構成に即する限り、任意の改変、応用は自由である。また、さらなる改変例も種々考えられ、例えばa-Si:Hフォトダイオード20を複数に分割し、その各々に異なる分光特性を持つ光学フィルタを集積化すると、波長多重分析も可能になる。例えば、アデニン、グアニン、チミン、シトシンをそれぞれに異なる波長の蛍光を放出する色素で標識することで、DNAシークエンシングのような分析も可能となる。既に述べた通り、放出光として蛍光を検出するにしても、それは半導体量子ドットないしそれにより標識された微小対象物からの蛍光である場合にも本発明は全く同様に有利に適用可能であることは明らかであるし、蛍光のみならず、燐光の検出に好適なことも明らかである。
【0053】
なお、半導体光検出素子としてはこれまで述べてきたフォトダイオードに代えて、いわゆる光伝導体も用いることができる。この光伝導体を用いた素子も、それ自体は極めて周知であるので、これまで説明してきた半導体光検出素子に代えて組み込むことは当業者にとって何の困難性もない。また、フォトダイオードにしても、その材料は上述して来たようにa-Si:Hが望ましいものの、これに限定されるものではない。原料ガスを変えるだけで同様な方法で容易に作製可能な合金材料、例えば、水素化アモルファス・シリコン・ゲルマニウム合金、水素化アモルファス・シリコン・カーバイド合金等も含む。これらの合金はa-Si:Hに比べ、それぞれ長波長、短波長光に対する感度が高い。また、水素希釈率等の作製条件を変えるだけで、同様な方法で容易に作製できる微結晶シリコンやその合金材料も利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態としての共振器型LED一体型蛍光検出装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としてのLED一体型蛍光検出装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第三の実施形態としての蛍光検出装置の概略構成図である。
【図4】従来の蛍光検出装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0055】
10 光透過性のチップ
11 サンプルリザーバ
12 ウエイストリザーバ
13 陰極リザーバ
14 陽極リザーバ
15 注入チャネル
16 分離チャネル
20 半導体光検出素子
30 励起光源
40 蛍光検出部
41 透孔(ピンホール)
50 蛍光光学フィルタ
51 励起光光学フィルタ
61 蛍光収集用マイクロレンズ
62 励起光収束用マイクロ収束レンズ
Le 励起光
Lf 蛍光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光源の発する励起光の照射を受けて微小対象物が放出する蛍光又は燐光を検出する微小対象物放出光検出装置であって、該励起光源は、マイクロ共振器型発光ダイオードであり、該検出器は、半導体光検出素子であり、該励起光源と該対象物の間には、該励起光を収束するマイクロ収束レンズが備えられていることを特徴とする微小対象物放出光検出装置。
【請求項2】
励起光源の発する励起光の照射を受けて微小対象物が放出する蛍光又は燐光を検出する微小対象物放出光検出装置であって、該励起光源の発光面は、微小対象物の幅以下の発光ダイオードであり、該検出器は、半導体光検出素子であり、該励起光源と該対象物の間には、該励起光を収束するマイクロ収束レンズが備えられていることを特徴とする微小対象物放出光検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の微小対象物放出光検出装置であって、上記マイクロ収束レンズは、回折光学素子であることを特徴とする微小対象物放出光検出装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の微小対象物放出光検出装置であって、励起光源の光路上に励起光用バンドパスフィルターが設けられていることを特徴とする微小対象物放出光検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−39655(P2008−39655A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216385(P2006−216385)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】