説明

微小球感圧接着剤組成物

本開示は、(a)少なくとも一部分が非石油源から誘導されたn−C〜n−C14(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上の重合性モノマーと、(b)反応開始剤と、(c)重合安定剤と、の反応生成物から製造される接着剤であって、前記反応が水中で起こって微小球接着剤を生ずる、接着剤を提供する。微小球接着剤は、テープ、メモ、付箋、イーゼル等のような、貼り替え可能な接着剤コーティング物品を製造するために、紙及びポリマーフィルム等の様々な基材に適用されることができる感圧接着剤組成物中に配合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2008年12月24日出願の米国特許仮出願第61/140,684号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、感圧接着剤組成物に関し、特に、少なくとも一部分が非石油源から誘導される1種以上の重合性モノマーを含む感圧接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
感圧接着剤(PSA)の特定の組成物は、次の性質を有することが知られている:(1)強力かつ恒久的粘着、(2)指圧以下での粘着性、(3)基材上への十分な保持力、及び(4)所望の際に基材からきれいに除去するための十分な貼着力。PSAとして良好に機能することが分かっている材料としては、必須の粘弾性特性を示し、粘着、剥離接着、並びに剪断保持力の所望の調和をもたらすように設計及び処方されたポリマーが挙げられる。PSAは、典型的には、通常、室温(例えば、20℃)で粘着性があることを特徴とする。
【0004】
微小球接着剤は、PSAを有する物品を貼り替え可能にすることができる、即ち、異なる表面に複数回付着及び再付着させることができるので、PSAで使用するのに極めて有用であることが証明されている。したがって、微小球接着剤は、貼り替え可能なノート、貼り替え可能な付箋又は見出しラベル、及び貼り替え可能なイーゼルパッド等であるがこれらに限定されない消耗品において使用されてきた。微小球PSAの重要な特徴には、例えば、コスト、製造容易性、環境影響、毒性、及び、言うまでもなく、上記接着特性が挙げられる。典型的には、このような接着剤は、(a)石油系供給源、例えば、C〜C14のアルキル(メタ)アクリレートから誘導される重合性モノマー、場合によりコモノマーと、(b)反応開始剤と、(c)安定剤と、の反応生成物を含み、前記反応は水中で起こって微小球接着剤を生ずる。このような接着剤の例示的な例は、米国特許第5,571,617号(コオプリダー(Cooprider)ら)及び同第5,714,237号(コオプリダーら)に開示されている。典型的には、このようなモノマーは石油系の供給源から誘導されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能な原材料から調製され、所望の性能を提供する、新しい接着剤組成物及び他の製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非石油源から誘導されるモノマーを使用することにより、非常に望ましい微小球PSAを製造することができることが判明している。PSAで使用される微小球は、この数十年間は石油から誘導されるモノマーに依存してきたが、意外にも非石油から誘導される特定のモノマーで作製される微小球が優れたPSAをもたらすことが見い出された。具体的には、本明細書に記載のような非石油から誘導される微小球、及びこの微小球から作られるPSAは、石油から誘導される微小球に比べて、費用効率が高く、容易に製造することができ、環境に優しく(石油系原料の使用の軽減、及び温室効果ガスの排出削減を可能とする)、紙への経時的な接着性構築が少ない。したがって、本発明の接着剤組成物によってもたらされる利点のいくつかには、石油から誘導される材料の使用の削減、地球温暖化ガスの排出削減、及び改善された接着性能が挙げられる。
【0007】
本発明は、いくつかある構成成分の中でも特に、モノマーの少なくとも一部分が非石油源から誘導される少なくとも1種の重合性モノマーの反応生成物から製造される微小球接着剤を製造するための溶液を提供する。好適な重合性モノマー、例えばn−C〜n−C14(メタ)アクリレートを誘導できる非石油源の例示的な例としては、植物油、例えばココナツ油、パーム核油等の植物脂肪、並びに獣脂及び豚脂等の動物脂肪が挙げられる。微小球PSA組成物を形成するために、微小球接着剤を他の構成要素と混合することができ、続いてこの微小球PSA組成物を、テープ、ラベル、ノート、付箋等のような物品を得るために、様々な基材又は裏材に適用することができる。有利には、本明細書に記載する微小球PSA組成物を含む物品は、再付着性を有する。
【0008】
一態様において、本発明は、
(a)少なくとも一部分が、本明細書に記載する非石油源から誘導された1種以上の重合性モノマーと、
(b)1種以上の反応開始剤と、
(c)1種以上の安定剤と、を含む、又は、から本質的になる、反応生成物から製造される接着剤であって、
該反応が水中で起こり、微小球接着剤である接着剤を提供する。安定剤は、重合安定剤、界面活性剤、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0009】
別の態様において、本発明は、
(a)(メタ)アクリル酸を、非石油源から誘導された1種以上のn−C〜n−C14アルコールと反応させることにより調製された、約92.0〜約99.9重量%の1種以上のn−C〜n−C14(メタ)アクリレートと、
(b)約0.01〜約4.0重量%の重合安定剤と、
(c)約0.01〜4.0重量%の反応開始剤と、の反応生成物を含む、又は、から本質的になる、接着剤であって、
各構成成分の重量%が構成成分(a)〜(c)の総量に基づき、前記反応が水中で起こって微小球接着剤を生ずる、接着剤に関する。
【0010】
更なる別の態様において、本発明は、
(a)(メタ)アクリル酸を、非石油源から誘導された1種以上のn−C〜n−C14アルコールと反応させることにより調製された、約87〜約99.9重量%の1種以上のn−C〜n−C14(メタ)アクリレートと、
(b)約0.01〜5重量%の1種以上の界面活性剤と、
(c)約0.01〜4重量%の1種以上の重合安定剤と、
(d)約0.01〜4重量%の1種以上の反応開始剤と、の反応生成物を含む、又は、から本質的になる、接着剤であって、
各構成成分の重量%が構成成分(a)〜(d)の総量に基づき、また場合により、構成成分(a)の100重量部当たり以下の1つ以上、
(e)最大約75重量部の、約1〜14個の炭素原子を有する1種以上のアルキル(メタ)アクリレートコモノマー、
(f)約5重量部未満の1種以上の極性コモノマー、
(g)最大約10重量部の1種以上のアミドコモノマー、
(h)最大約10重量部の1種以上のポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、
(i)最大約30重量部の1種以上の溶質ポリマー、
(j)最大約0.2重量部の1種以上の連鎖移動剤、
(k)最大約5重量部の1種以上のイオン性モノマー、及び
(l)最大約1重量部の1種以上の架橋剤、
を有し、該反応が水中で起こって微小球接着剤を生ずる、接着剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願において、全ての数字は用語「約」で修飾されているとみなす。終点による数字範囲の詳細説明には、その範囲内に含まれる全ての数が包含される(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「非石油」は、通常、原油又はその誘導体がその根本の原材料(即ち、出発材料)でない化合物を指す。例示的な非石油源には、植物から誘導される源等のバイオ源が挙げられるが、これに限定されない。本明細書で使用するとき、もしも物品が、意図する表示面上に接着剤の残渣を残さずに、及び/又はその表面に損傷を与えずに、表示面に複数回貼り付けられる又はそこから取り外されることができれば、物品は「再配置可能である」。本明細書で使用するとき、用語(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとを含む。
【0013】
重合性モノマーが非石油であると考慮されるように、重合性モノマーがバイオベース含有量を含有しているかどうかを決定するために、ASTM D 6866−06aのStandard Test Methods for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysisを用いることができる。本明細書に記載されるように、このASTMに準拠して測定されたバイオベース炭素含有量が少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約50%、いくつかの実施形態では少なくとも約65%である、本発明の接着剤組成物を製造することができる。「バイオベース炭素含有量」は、石油源から誘導されるアルキル(メタ)アクリレート等の石油源材料から誘導されるものとは対照的に、生物的に生成された原料、例えば、植物の発酵から誘導される又は植物から直接抽出されるモノマー材料の使用に由来する組成物中の全炭素の割合を指す。
【0014】
重合性モノマー
本発明者らは、微小球PSAを非石油源又はバイオ源、例えば植物脂肪又は動物脂肪から製造できること、及びこのような接着剤組成物が驚くべき結果をもたらすことを発見した。
【0015】
本明細書で使用し得る、非石油源から誘導される好適な重合性モノマーの例示的な1つの部類の例には、n−C〜n−C14(メタ)アクリレートが挙げられ、例えばn−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート及びn−テトラデシル(メタ)アクリレートを含むn−C〜n−C14(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸を、それぞれn−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール及びn−テトラデカノールと反応させることにより調製される。そこから本明細書で使用するための重合性モノマーを形成できる植物脂肪の例示的な例には、ココナツ油及びパーム核油が挙げられる。そこから本明細書で使用するための重合性モノマーを形成できる動物脂肪の例示的な例には、獣脂及び豚脂が挙げられる。
【0016】
偶数の炭素鎖長を有するn−C、n−C、n−C10、n−C12及びn−C14アルコールは、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Alcohols,Higher Aliphatic,Survey and Natural Alcohols Manufacture,John Wiley & Sons,Inc.に記載されているように、ココナツ油及びパーム核油等の植物油から誘導することができる。所望であれば、天然に存在する偶数の原材料を、例えばバイオベース脂肪酸の水蒸気分解、オゾン分解等により修飾することにより、本明細書で使用するための奇数の炭素鎖長を有するアルコールを形成することができる。
【0017】
所望であれば、2種以上のそのような重合性モノマーを使用して、本発明の接着剤を調製してもよい。また、本発明の接着剤に使用されるバイオベース重合性モノマー構成成分は、2種以上の非石油源から誘導されてもよい。
【0018】
重合安定剤
微小球接着剤を調製するために、1種以上の重合安定剤を反応混合物中で使用する。有利には、安定剤が存在することにより、界面活性剤の使用量が比較的少量でも微小球を得ることができる。
【0019】
十分に安定した最終重合液滴をもたらすのに効果的であり、懸濁重合プロセス内のアグロメレーションを防ぐようなあらゆる重合安定剤が、本開示において有用である。使用する場合、重合安定剤構成成分は、反応混合物中に、典型的には、重合性モノマー100部当たり総量で0.01〜約4重量部で存在し、いくつかの実施形態では、重合性モノマー100部当たり重量で約0.04〜約1.5重量部の量で存在する。
【0020】
好適な重合安定剤には、重量平均分子量平均が5000より大きいポリアクリル酸の塩(例えば、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、及びカリウム塩)、カルボキシ変性ポリアクリルアミド(例えば、アメリカン・サイアナミド(American Cyanamid)のサイアナマー(CYANAMER)(登録商標)A−370)、アクリル酸とジメチルアミノエチルメタクリレート等のコポリマー、ポリマー第四級アミン(例えば、ジェネラル・アラニン・アンド・フィルム(General Alanine and Film)のガフクァット(GAFQUAT)(登録商標)755、四級化されたポリビニル−ピロリドン(pyrollidone)コポリマー、又はユニオン・カーバイド(Union Carbide)の「JR−400」、四級化されたアミン置換セルロース誘導体)、セルロース誘導体、及びカルボキシ変性セルロース誘導体(例えば、ハーキュレス(Hercules)のナトロゾル(NATROSOL)(登録商標)CMCタイプ7L、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、並びにポリアクリルアミド(例えば、サイテック(Cytek)からのサイアナマー(CYANAMER)(登録商標)N300)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
反応開始剤
微小球接着剤を調製するために1種以上の反応開始剤を反応混合物中で使用する。重合に影響を及ぼす反応開始剤は、通常重合性モノマーのフリーラジカル重合に好適なものである。好適な反応開始剤の例示的な例としては、アゾ化合物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシド等の熱活性化反応開始剤が挙げられるが、それらに限定されない。好適な光開始剤には、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが挙げられるが、これらに限定されない。その他の好適な反応開始剤には、ラウロイルペルオキシド及びビス(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートが挙げられる。
【0022】
反応開始剤は、所定の期間及び温度領域で高いモノマー転化率をもたらすのに十分な触媒効果量で存在する。典型的には、反応開始剤構成成分は、重合性モノマー100重量部当たり、0.01〜約4重量部の範囲の総量で存在する。使用する反応開始剤の濃度に影響を及ぼすパラメータには、反応開始剤の種類、及び関連する特定のモノマーが挙げられる。実施形態によっては、触媒的に効果的な反応開始剤の全濃度は、典型的には、重合性モノマー100部当たり約0.03〜約2重量部の範囲であり、いくつかの実施形態では、約0.05〜約0.50重量部である。
【0023】
界面活性剤
微小球接着剤を調製するために、例えば、所望の粒径を得るのを容易にするために、1種以上の界面活性剤を反応混合物中で使用してもよい。当業者には理解されるように、界面活性剤は、典型的には、重合性モノマー含有量100重量部当たり総量で最大約5重量部、場合によっては最大約3重量部、いくつかの実施形態では、重合性モノマー100重量部当たり0.2〜2重量部の範囲内で、反応混合物中に存在させる。
【0024】
有用な界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性の界面活性剤が挙げられる。有用なアニオン性界面活性剤には、アルキルアリールスルホン酸塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルサルフェートのナトリウム及びアンモニウム塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。有用な非イオン性界面活性剤には、エトキシル化オレオイルアルコール及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。有用なカチオン性界面活性剤には、アルキル鎖が10〜18個の炭素原子を含有する、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用な両性界面活性剤には、スルホベタイン、N−アルキルアミノプロピオン酸、及びN−アルキルベタイン(N-alkybetaines)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
連鎖移動剤
所望の用途に応じて、微小球の溶剤溶性部分(実収率)を調節するために、及び、得られる接着剤組成物の特性を制御するために、1種以上の変性剤を使用してもよい。当業者には理解されるように、使用する場合、このような薬剤は多くの場合10〜98%の範囲内、好ましくは20〜80%の範囲内の溶剤溶性部分をもたらすのに十分な量で反応混合物に添加される。様々な変性剤を使用してよい。使用量は、溶剤溶性部分を有する微小球をもたらすのに十分な量である。
【0026】
特に有用な変性剤は連鎖移動剤である。微小球に形成されるポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用するのが望ましい。多くのハロゲン含有及びイオウ含有有機化合物は、フリーラジカル重合の際の連鎖移動剤として良好に作用する。このような薬剤の非限定例は、四臭化炭素、四塩化炭素、ドデカンチオール、イソオクチルチオグリコレート、ブチルメルカプタン及び三級ドデシルメルカプタンである。これら微小球重合に適した連鎖移動剤の量は、全重合性物質の含有量に基づき計算される。使用する場合、連鎖移動剤は、典型的には、重合性モノマーの量の全部で最大約0.2%、いくつかの実施形態では、全部で最大約0.12%、更に他の実施形態では、全部で最大約0.08%の量で添加される。これらのレベルは微小球中の可溶性ポリマー含有量が最大約98%となるに十分なものである。
【0027】
架橋剤
当業者には理解されるように、所望であれば、得られる接着剤の特性を変更するために1種以上の架橋剤を反応混合物中で使用してもよい。好適な架橋剤の非限定例は、多官能性(メタ)アクリレート、例えば、ブタンジオールジアクリレート若しくはヘキサンジオールジアクリレート、又はジビニルベンゼン及びその混合物等のその他の多官能性架橋剤を挙げることができる。使用する場合、架橋剤は、全反応混合物の最大約1当量パーセント、好ましくは最大約0.5当量パーセントの全濃度で添加されるが、架橋剤と変性剤の濃度の組み合わせは、溶剤溶性部分が微小球の10〜98%となるように選択される。
【0028】
重合性コモノマー
反応混合物は、次のような重合性コモノマーを更に含むことができる:アルキル基が1〜14個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステルモノマー、イオン性モノマー、極性モノマー、アミノ官能性モノマー、アミド官能性モノマー、及びOH官能基を有するモノマー。石油又は非石油源から誘導されるかどうかを問わず、各種重合性コモノマーが更に以下に詳細に記載される。
【0029】
所望の結果に応じて、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大20重量%、いくつかの実施形態では最大50重量%、更に他の実施形態では最大75重量%のアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。好適なアルキル(メタ)アクリレートには、イソオクチルアクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
微小球接着剤を製造するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大0.5重量%、いくつかの実施形態では最大2重量%、いくつかの他の実施形態では最大5重量%の極性コモノマーを使用することができる。極性コモノマーは解離性水素を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。極性コモノマーの非限定例には、3〜約12個の炭素原子を有し、一般に1〜約4個のカルボン酸部分を有する有機カルボン酸、及びヒドロキシル(アルキル)(メタ)アクリレートが挙げられる。このようなコモノマーの非限定例には、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びグリセリン(glyercol)モノ(メタ)アクリレートが挙げられる。極性コモノマーとして(メタ)アクリル酸を使用することができるが、典型的には、反応生成物中に0.5%未満で使用する。0.5%を超える(メタ)アクリル酸を反応混合物中で使用する場合、典型的には、凝固問題が起きる。
【0031】
微小球接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて、最大20重量%のビニル又はビニルエステルコモノマーを使用することができる。ビニルエステルコモノマーの非限定例には、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、デカン酸ビニル、オクタン酸ビニル(vinyl actanoate)、酢酸ビニル、及びその他の1〜14個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状のカルボン酸の単官能性不飽和ビニルエステルが挙げられる。ビニルコモノマーの非限定例には、スチレン及びα−メチルスチレンが挙げられる。
【0032】
微小球接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大1重量%、いくつかの実施形態では最大2重量%、いくつかの他の実施形態では最大5重量%のイオン性コモノマーを使用することができる。イオン性コモノマーの非限定例には、スチレンスルホン酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、トリメチルアミンp−ビニルベンズイミド、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキソ−8−オキサ−デセ−9−エンー1−スルホネート、N,N−ジメチル−N−(β−メタクリルオキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチルアミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミド、いずれかの双性イオン性モノマー等が挙げられる。
【0033】
微小球接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて、最大5重量%のアミノ官能性コモノマーを使用することができる。アミノ官能性コモノマーの非限定例には、N,N−ジメチル−アミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メチル)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
微小球接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大5重量%、いくつかの実施形態では最大8重量%、いくつかの他の実施形態では最大10重量%のアミド官能性コモノマーを使用することができる。アミド官能性コモノマーの非限定例には、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム(caprolactom)、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0035】
微小球接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大5重量%、いくつかの実施形態では最大8重量%、いくつかの他の実施形態では最大10重量%の、次の重合性コモノマーの1つを使用することができる:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート末端ポリ(エチレンオキシド);メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート;ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート;(メタ)アクリレート末端ポリ(エチレングリコール);メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート;ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、及びこれらの組合せ。
【0036】
典型的には、重合性コモノマーが反応混合物中に存在する場合、n−C〜n−C14(メタ)アクリレートモノマーと重合性コモノマーとの重量比は、約99.5/0.5〜25/75の範囲内、好ましくは98/2〜50/50の範囲内である。
【0037】
溶質ポリマー
微小球接着剤を調製するために反応生成物に添加してもよい別の構成成分は、米国特許第5,824,748号(ケスティ(Kesti)ら)に詳細に記載されている1種以上の溶質ポリマーである。
【0038】
溶質ポリマーは本質的に非水溶性であり、重合すると、n−C〜n−C14(メタ)アクリレートモノマーに、又はn−C〜n−C14(メタ)アクリレートモノマーと上述の重合性コモノマーとの混合物に、溶解可能なポリマーとなる、あらゆるモノマー又はモノマーの混合物から構成されてよい。典型的には、溶質ポリマーは少なくとも2000の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0039】
溶質構成成分は種々の部類のポリマーから構成される。例えば、溶質ポリマーは、分岐状又は直鎖状のポリマー鎖であってもよい。溶質ポリマーは、水反応性又は水溶性のモノマー、フリーラジカル重合しないモノマー、及びこれらの組み合わせを使用して調製されてもよい。更に、当業者には周知であり得、かつ、一般に、「Principles of Polymerization」Ordian,3rd ed.,Wiley Interscience等の種々の文献中に見出すことのできる任意の重合法に従って溶質ポリマーを調製してもよい。
【0040】
有用な溶質ポリマーの非限定例としては、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、ゴム(天然及び又は合成)又はスチレン−ブタジエンブロックコポリマー等のエラストマー、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、結晶性及び非晶性のポリマー、例えば、結晶性及び非晶性のポリ−α−オレフィン、結晶性ポリ(メタクリレート)、及び結晶性ポリ(アクリレート)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
有利なことに、本開示は、モノマーの形態で使用した場合に、こうしたモノマーの懸濁重合を行う前に、通常は水相中で反応する部分を取り込むことのできる、複合微小球PSAを提供する。このような水反応性部分からなる溶質ポリマーの非限定例には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン(VDM)、及び2−(イソシアナト)エチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
更に、高水溶性部分、例えば、(メタ)アクリル酸、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ポリ(エチレン)オキシドマクロモノマー、(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1(2−ヒドロキシルプロピル)アミンメタクリルイミド、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミド、及び他の水溶性部分、例えば、N,N−ジメチル−N−(β−メタクリルオキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキソ−8−オキサ−デセ−9−エン−1スルホネート、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、及びマレイン酸無水物もまた、その溶質ポリマーが本質的に水不溶性であれば、複合感圧接着剤微小球の調製に使用される溶質ポリマーに組み込むことができる。
【0043】
懸濁重合プロセス
本開示の微小球接着剤は懸濁重合によって調製される。懸濁重合は、モノマーを、それが溶解しない媒体(通常水性)に分散させて行う方法である。重合は各モノマー液滴内で進行される。モノマー可溶性フリーラジカル反応開始剤が好ましく用いられる。動力学及び機構は、同様の温度及び反応開始剤濃度の条件のもとで行われるこれに相当するバルク重合のものと同じである。
【0044】
重合反応を開始するには、十分な数のフリーラジカルを存在させる。これは熱又は放射線フリーラジカル開始反応等のいくつかの手段により達成されてよい。例えば、熱あるいは放射線を加えて、発熱反応を生ずるモノマーの重合を開始させることができる。但し、反応開始剤の熱分解によって反応を開始するのに十分な数のフリーラジカルが生じるまで熱を加えることが好ましい。これが起こる温度は、使用する反応開始剤に大きく依存して異なる。
【0045】
更に、重合反応混合物を脱酸素することが多くの場合望ましい。反応混合物に溶解している酸素が重合を抑制でき、この溶存酸素を追い出すことが望ましい。不活性ガスを反応容器中に吹き込む、又は反応混合物中に吹き込むことが脱酸素の有効な手段であるが、懸濁重合と両立するその他の脱酸素方法を使用することができる。典型的には、脱酸素には窒素を使用するが、VIIIA(CAS版)属のあらゆる不活性ガスもまた適している。
【0046】
特定の時間及び攪拌速度は、モノマーと反応開始剤に依存するパラメータであるが、反応混合物が、平均モノマー液滴径が約1〜300マイクロメートル、好ましくは20〜75マイクロメートルの間の状態になるまで、反応混合物を予備分散することが望ましい場合がある。反応混合物を更にかつ長く攪拌するにつれ、平均粒径は小さくなる傾向がある。
【0047】
好ましくは、攪拌と窒素パージとを反応時間中維持する。反応混合物を加熱することによって反応が開始する。重合の後、反応混合物を冷却する。
【0048】
一段階過程においては、n−C〜n−C14(メタ)アクリレート、及びあらゆる任意のその他の重合性コモノマーは、両方とも重合開始時に懸濁液中に加えておく。その他の構成成分、例えば、反応開始剤、安定剤、界面活性剤(使用する場合)及び変性剤を反応混合物中に加えておく。
【0049】
重合後、室温で安定な微小球の水性懸濁液が得られる。この懸濁液の非揮発性の固形分含有量は、約10〜約70重量パーセントであってもよい。微小球懸濁液は、特にアグロメレーション又は凝固に対して安定であるので、微小球の水性懸濁液は重合後直ちに使用されてよい。スロット・ダイ・コーティング等の従来のコーティング技術により微小球を水溶液からコーティングして、接着剤コーティングを設けることができる。
【0050】
微小球は、様々なレオロジー調整剤及び/又はラテックス接着剤若しくは「結合剤」と配合されてもよい。典型的には、接着剤コーティングは、乾燥した際に1平方フィート当たり0.2〜約2グラム(0.22〜約2.22g/m)の範囲内の乾燥コーティング重量を有し、接着剤コーティングが高分子微小球、重合安定剤、界面活性剤(surfactant)並びに場合によりレオロジー調整剤及び/又はラテックス結合剤を含む、接着剤被覆シート材を提供する。
【0051】
本開示の微小球PSAの特性は、重合の後に粘着付与樹脂及び/又は可塑剤を添加することによって変えることができる。本明細書で使用するのに好適な粘着付与剤及び/又は可塑剤には、ハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)等から商品名フォラル(FORAL)(登録商標)、レガールレズ(REGALREZ)(登録商標)、及びペンタリン(PENTALYN)(登録商標)で市販の水素添加ロジンエステルが挙げられる。粘着付与樹脂としてはまた、t−ブチルスチレン系のものも挙げられる。有用な可塑剤には、ジオクチルフタレート、2−エチルヘキシルホスフェート、トリクレジルホスフェート、アルキルシトレート等が挙げられるが、これらに限定されない。このような粘着付与剤及び/又は可塑剤を使用する場合、接着剤混合物中での使用量は、このような添加剤の公知の使用のために有効な量である。
【0052】
場合により、レオロジー調整剤、着色剤、充填剤、安定剤、感圧ラテックス結合剤、及び様々な重合体添加物のような変性剤を使用することが可能である。このような変性剤を使用する場合、接着剤混合物中での使用量は、このような変性剤の公知の使用のために有効な量である。
【0053】
基材
本発明で使用する好適な裏材又は基材の材料には、紙、プラスチックフィルム、酢酸セルロース、エチルセルロース、合成又は天然材料で構成される織布又は不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、セラミックシート材料等が挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態において、裏材又は基材の材料の厚さは50〜155マイクロメートルであるが、所望であれば、これより薄い裏材又は基材の材料を使用してもよい。典型的には、微小球PSA組成物は、基材の第1の面の少なくとも一部分に塗布又はコーティングされる。いくつかの実施形態では、通常は微小球PSAが塗布されたのと反対の領域にある基材の第2の面に、剥離コーティングを塗布する。
【0054】
応用例
本発明の微小球接着剤を用いて作られる特に有用な物品としては、貼り替え可能なメモ及び紙製品、貼り替え可能なテープ及びテープ付箋、イーゼルシート、貼り替え可能なスティックのり等の貼り替え可能な接着剤製品が挙げられるが、その他の貼り替え可能でない産業用、商業用、及び医療用の接着剤製品を包含してもよい。
【実施例】
【0055】
本発明を、以下の実施例及び比較例により更に説明する。
【0056】
試験方法
次の試験方法を用いて、実施例1〜4及び比較例1の微小球PSAの性能を評価した。
【0057】
ボンド紙に対する接着力
剥離接着は、特定の角度及び引き離し速度で、コーティングされたシートをボンド紙基材から引き離すのに要する力である。実施例において、この力は、コーティングされたシートの幅1インチ(2.54cm)当たりのグラム数で表わされている。手順は次の通りである。
【0058】
コーティングされたシートの幅1インチ(2.54cm)のストリップ(即ち、試料)を、20ポンド(9.1kg)のボンド紙の水平面に接合する。4.5ポンド(2.0kg)の硬質ゴムローラを使用して、ストリップをボンド紙にしっかりと接合させる。コーティングされたシートの自由端を接着試験機のロードセルに、引き離しの角度が90°となるように取り付ける。次に、毎分12インチ(30.5cm)の一定速度でロードセルからプレートを引き離すことができる引張試験機のジョーに試験プレートを掴持する。ロードセルの読みをコーティングされたシート1インチ当たりのグラムで記録する。試験を繰り返し、3回の実験の平均としてデータを報告する。
【0059】
ボンド紙に対する経時接着力
幅1インチ(2.5cm)のコーティングシートのストリップを、20ポンド(9.1kg)のボンド紙の水平面に接合させる。4.5ポンド(2kg)の硬質ゴムローラを使用して、ストリップをボンド紙にしっかりと接合させる。積層体は、70°F(21℃)、相対湿度80%で72時間経時処理を行った。経時処理後、上記のボンド紙に対する接着力の試験方法に従って、試料の剥離接着を実施した。
【0060】
粘着:
粘着性測定には、テクスチャー・テクノロジーズ・コーポレイション(Texture Technologies Corp.)製のTA−XT2iテクスチャーアナライザーを使用する。試料を接着面を上にして真ちゅうの試験装置で保持する。通常は100gである特定の力に達するまで、7mmのステンレススチールプローブを試料に接触させる。接触時間1秒後、プローブを速度0.5mm/秒で上昇させ、接着力を試料からのプローブの距離の関数として測定した。粘着性はピーク除去力である。
【0061】
実施例1〜4及び比較例C1
実施例1〜4の再生可能微小球接着剤を、水中で懸濁重合プロセスにより調製した。実施例1〜4の再生可能微小球接着剤を調製するために、表1に示される成分を、還流冷却器、温度計、攪拌機、及び窒素ガス入口を備える4つ口フラスコの中に投入した。次に、混合物を、350rpmで30分間混合して、約40〜60μmの所望のモノマー液滴径を得た。モノマー液滴径が光学顕微鏡法で決定した仕様になった時点で、懸濁液を窒素雰囲気下で開始温度45℃に加熱して、重合を開始した。反応は発熱して進行した。重合後、バッチを80℃で5時間硬化させ、次に室温に冷却し、寒冷紗で濾過して、存在する場合、凝塊を除去した。実施例1〜4の粒径は、粒径分析器、Horiba LA910で測定して、それぞれ56μm、53μm、60μm及び61μmであった。実施例1〜4の抽出可能物%(即ち、酢酸エチル溶媒で抽出可能な、微小球接着剤中の可溶性ポリマー%)は、それぞれ30%、38%、28%及び24%であった。比較のために、石油系モノマー、2−エチルヘキシルアクリレート、2EHAも使用して、微小球接着剤(「MSA」)を調製した。比較例C1の2EHA微小球接着剤を調製するために、表1に示した成分と上記の重合プロセスを用いた。得られた比較例C1の微小球接着剤は、46μmの粒径と、42%の抽出可能物%とを有する。
【0062】
【表1】

【0063】
N KエステルM90G:ポリエチレンオキシドメタクリレート、新中村化学工業株式会社及び東和薬品
ペルカドックス(PERKODOX)(登録商標)16:ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、アクゾ・ケミカルス社(Akzo Chemicals Inc.)
LUPEROX(登録商標)A75:過酸化ベンゾイル、オート・フィナ(Auto Fina)
ステパノール(STEPANOL)(登録商標)AMV:ラウリル硫酸アンモニウム、ステパン社(StepanCo.)
ハイテノール(HITENOL)(登録商標)BC−1025:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート、モンテロ社(Montello)
サイアナマー(CYANAMER)(登録商標)N−300:サイテック(Cytek)からのポリアクリルアミド
【0064】
次に、実施例1〜4及び比較例C1の微小球接着剤を、表2に従い、ラテックス結合剤のカーボタック(CARBOTAC)(登録商標)26222、及び増粘剤のケルザン(KELZAN)(登録商標)S及びアクリゾル(ACRYSOL)(登録商標)TT935と配合した。MSA溶液の粘度を、ブルックフィールド粘度計によって30rpmで測定して約1000〜3000cpsになるように、これら増粘剤で調整した。評価するために、配合されたMSAを、1平方フィート当たり0.35グラム(3.8g/m)の被覆重量で、紙の上にコーティングした。
【0065】
【表2】

【0066】
結果:
【表3】


紙上に構築された接着%は、(紙への経時接着−紙への初期接着)/紙への初期接着の%として定義される。計算された数値が0又はマイナスの場合、その接着剤は接着性構築がなかったとみなされる。
【0067】
実施例1〜4及び比較例C1のバイオベース炭素含有量は、ASTM D 6866−06aの、Standard Test Methods for Determining the Biobased Carbon Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysisを用いて測定した。試験結果は、比較例C1の石油系接着剤が0%のバイオベース炭素を含有し、実施例1〜4の再生可能微小球接着剤は67〜75%のバイオベース材料を含有するということを示している。
【0068】
表3の結果に示すように、実施例1〜4の再生可能微小球接着剤の接着性能は、石油系2−エチルヘキシルアクリレートMSAと同様であり、またある場合には、より良好である。特に、比較例C1の接着剤は、時間とともに紙上により高い経時的な接着性構築を有した。多くの用途において、接着性構築の増加は、試料が付着している表面から試料を除去するためにより大きな剥離力を必要とするので、望ましくない。
【0069】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも一部分がパーム油、ココナツ油、獣脂又は豚脂から誘導された少なくとも1種の重合性(メタ)アクリレートモノマーと、(b)反応開始剤と、(c)安定剤と、の反応生成物を含む接着剤であって、前記反応が水中で起こって微小球接着剤を生ずる、接着剤。
【請求項2】
前記重合性(メタ)アクリレートモノマーが、1種以上の(メタ)アクリル酸を、非石油源から誘導された1種以上のn−C、n−C、n−C、n−C、n−C10、n−C11、n−C12、n−C13及びn−C14アルコールと反応させることにより調製されたn−C〜n−C14(メタ)アクリレートからなる群から選択される、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記接着剤が少なくとも約30%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記接着剤が少なくとも約40%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項5】
前記接着剤が少なくとも約50%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項6】
前記接着剤が少なくとも約65%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項7】
前記反応生成物が界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項8】
約92.0〜99.9重量%の構成成分(a)と、約0.01〜4.0重量%の構成成分(b)と、約0.01〜4重量%の構成成分(c)と、を含み、各構成成分の重量%が全構成成分の総重量に基づく、請求項1に記載の接着剤。
【請求項9】
(a)(i)少なくとも一部分がパーム油、ココナツ油、獣脂又は豚脂から誘導された1種以上の重合性モノマーと、(ii)1種以上の反応開始剤と、(iii)1種以上の安定剤と、の反応生成物を含む微小球接着剤であって、前記反応が水中で起こる、微小球接着剤と、
(b)感圧接着結合剤と、
(c)増粘剤と、を含む、感圧接着剤組成物。
【請求項10】
前記重合性(メタ)アクリレートモノマーが、1種以上の(メタ)アクリル酸を、非石油源から誘導された1種以上のn−C、n−C、n−C、n−C、n−C10、n−C11、n−C12、n−C13及びn−C14アルコールと反応させることにより調製されたn−C〜n−C14(メタ)アクリレートからなる群から選択される、請求項9に記載の接着剤。
【請求項11】
約90〜98重量%の構成成分(a)と、約1〜10重量%の構成成分(b)と、約0.1〜3.0重量%の構成成分(c)と、を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
紙、ポリマーフィルム、織布、合成又は天然材料の不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、及びセラミックシートからなる群から選択される裏材の第1の面の少なくとも一部分上に配置された、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a)1種以上の(メタ)アクリル酸を、非石油源から誘導された1種以上のn−C、n−C、n−C、n−C、n−C10、n−C11、n−C12、n−C13及びn−C14アルコールと反応させることにより調製された、約92.0〜99.9重量%の1種以上のn−C〜n−C14(メタ)アクリレートと、
(b)約0.01〜4.0重量%の重合安定剤と、
(c)約0.01〜4.0重量%の反応開始剤と、
の反応生成物を含む接着剤であって、各構成成分の重量%が構成成分(a)〜(c)の総量に基づき、前記反応が水中で起こって微小球接着剤を生ずる、接着剤。
【請求項14】
反応生成物中に、100重量部の前記n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量当たり、以下;
(1)最大約75重量部の、約1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートコモノマー、
(2)最大約30重量部の少なくとも1種の溶質ポリマー、
(3)約5重量部未満の少なくとも1種の極性コモノマー、
(4)最大約10重量部の少なくとも1種のアミドコモノマー、
(5)最大約10重量部の少なくとも1種のポリエチレンオキシド(メタ)アクリレートコモノマー、
(6)最大約5重量部の少なくとも1種のイオン性コモノマー、
(7)最大約1重量部の少なくとも1種の架橋剤、及び
(8)最大0.2重量部の少なくとも1種の連鎖移動剤、並びに
(9)それらの組み合わせ、の1つ以上が使用された、請求項13に記載の接着剤。
【請求項15】
前記n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量に基づいて、約0.2重量%の連鎖移動剤を更に含む、請求項9に記載の接着剤。
【請求項16】
(a)約90〜98重量%の請求項9に記載の微小球接着剤と、
(b)約1〜10重量%の少なくとも1種の結合剤と、
(c)約0.1〜3.0重量%の少なくとも1種の増粘剤と、を含む微小球接着剤組成物。
【請求項17】
紙、ポリマーフィルム、織布、合成又は天然材料の不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、及びセラミックシートからなる群から選択される裏材の第1の面の少なくとも一部分上に配置された請求項9に記載の微小球接着剤を含む、接着剤物品。
【請求項18】
剥離コーティングが前記接着剤組成物の実質的に反対側に位置するように、前記裏材の第2の面の少なくとも一部分上に配置された前記剥離コーティングを更に含む、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
(a)(メタ)アクリル酸と、非石油源から誘導された1種以上のn−C、n−C、n−C、n−C、n−C10、n−C11、n−C12、n−C13及びn−C14アルコールとを反応させることにより調製された、約87〜99.9重量%の1種以上のn−C〜n−C14(メタ)アクリレートと、
(b)約0.01〜5重量%の少なくとも1種の界面活性剤と、
(c)約0.01〜4重量%の少なくとも1種の重合安定剤と、
(d)約0.01〜4.0重量%の少なくとも1種の反応開始剤と、
の反応生成物からなる接着剤であって、各構成成分の重量%が構成成分(a)〜(d)の総量に基づき、また場合により、100重量部の前記n−C〜n−C14(メタ)アクリレート含有量当たり以下:
(e)最大約75重量部の、約1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートコモノマー
(f)約5重量部未満の少なくとも1種の極性コモノマー、
(g)最大約10重量部の少なくとも1種のアミドコモノマー、
(h)最大約10重量部の少なくとも1種のポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、
(i)最大約30重量部の少なくとも1種の溶質ポリマー、及び
(j)最大約0.2重量部の少なくとも1種の連鎖移動剤、
(k)最大約5重量部の少なくとも1種のイオン性モノマー、
(l)最大約1重量部の少なくとも1種の架橋剤、
の1つ以上を有し、前記反応が水中で起こって微小球接着剤を生ずる、接着剤。
【請求項20】
前記アルキル(メタ)アクリレートコモノマーが、イソオクチルアクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルアクリレートヘキシル、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項19に記載の接着剤。
【請求項21】
前記極性コモノマーが、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の接着剤。
【請求項22】
前記アミドコモノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の接着剤。
【請求項23】
(a)約90〜98重量%の請求項15に記載の微小球接着剤と、
(b)約1〜10重量%の少なくとも1種の結合剤と、
(c)約0.1〜3.0重量%の少なくとも1種の増粘剤と、を含む微小球接着剤組成物。
【請求項24】
紙、ポリマーフィルム、織布、合成又は天然材料の不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、及びセラミックシートからなる群から選択される裏材の第1の面の少なくとも一部分上に配置された、請求項23に記載の微小球接着剤を含む、接着剤物品。
【請求項25】
剥離コーティングが前記接着剤組成物の実質的に反対側に位置するように、前記裏材の第2の面の少なくとも一部分上に配置された前記剥離コーティングを更に含む、請求項24に記載の物品。

【公表番号】特表2012−514083(P2012−514083A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543639(P2011−543639)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069200
【国際公開番号】WO2010/075387
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】