説明

微生物の分類および/または決定のための方法および組成物

【課題】本発明は、微生物および/または細胞の混合プローブに基づく検出、分析、および/または定量、ならびに微生物および/または細胞の結合パートナーに基づく検出、分析、および/または定量の分野に関する。本発明は、一般的、結合パートナーを使用する微生物または細胞の選択的捕捉と組み合わせた、微生物または細胞の選択的染色のための分子プローブの使用に関係する方法および組成物に関する。
【解決手段】本発明の方法および組成物は、目的の微生物(単数または複数)の分類および/または決定のために使用することができる。分類が選択される場合、分類は、例えば、コードビーズ支持体の使用またはアレイの使用のいずれかによって行われ得る。選択性は、分子認識の2つの極めて異なるレベルで影響を与え得るので、本発明の方法および組成物は、アッセイの識別能力の増大、および/または結果の正確性の増大を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.技術分野)
本発明は、微生物および/または細胞の混合プローブに基づく検出、分析、および/または定量、ならびに微生物および/または細胞の結合パートナーに基づく検出、分析、および/または定量の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.背景技術)
核酸のハイブリダイゼーションは、分子生物学の基本的なプロセスである。プローブに基づくアッセイは、核酸の検出、定量、および/または分析に有用である。核酸プローブは、細菌、真菌、ウイルス、または他の微生物由来の核酸の存在についてサンプルを分析するために長い間使用されており、そしてまた、目的の遺伝に基づく疾患状態または臨床状態の試験に有用でもある。それにもかかわらず、核酸プローブに基づくアッセイは、商業的な成功を達成するには遅れている。この商業的な成功がないことは、少なくとも部分的に、特異性、感受性、および/または信頼性に付随する問題点の結果である。
【0003】
その名称にもかかわらず、ペプチド核酸(PNA)は、ペプチド、核酸のいずれでもなく、酸でもない。ペプチド核酸(PNA)は、配列特異性によって核酸(DNAおよびRNA)にハイブリダイズすることができる天然には存在しないポリアミドである(米国特許第5,539,082号、およびEgholmら、Nature 365:566−568(1993)を参照のこと)。実際には、PNAは核酸アナログよりもむしろ核酸模倣物として一貫して特徴づけられている。なぜなら、これは、核酸またはその相補性ヌクレオチドもしくはヌクレオシドには由来せず、そして独自の特性を含むからである(Nielsen,P.E.、Acc.Chem.Res.32:624−630(1999)を参照のこと)。天然には存在しない分子であるので、未改変のPNAは、ペプチドまたは核酸を分解することが公知である酵素の基質とは考えられない。従って、PNAは、生物学的サンプル中では安定なはずであり、そして長い貯蔵寿命を有する。イオン強度に極めて依存する核酸ハイブリダイゼーションとは異なり、PNAの核酸とのハイブリダイゼーションは、イオン強度とは全く無関係であり、そして核酸に対する核酸のハイブリダイゼーションを強硬に拒否する低イオン強度の条件が好ましい(Egholmら、Nature 567頁)。それらの独自の特性に起因して、PNAが構造または機能のいずれにおいても核酸と同等ではないことは明らかである。結果として、PNAプローブは、能力および最適性について評価される必要性があり、それによって、特定の核酸標的配列を特異的にそして確かに検出するためにそれらを使用することができるかどうか(特に、標的配列が、細胞、組織、または微生物のような複雑なサンプル中に存在する場合に)を確認する。
【0004】
核酸プローブと同様に、抗体は、微生物を決定する目的のためにサンプルを試験するために使用されている。標識された抗体と組み合わせて使用される標識された核酸プローブもまた、フローサイトメトリー分析による細菌の同定に使用されている(Wallnerら、System.Appl.Mircobiol.,19:569−576(1996)を参照のこと)。重要なことに、Wallnerらは、標識した核酸プローブおよび標識した抗体によって染色した細菌を分析したが、粒子、ビーズ、または分析のための他の固体のキャリアに対して細菌を固定しなかった。
【0005】
Luminex(Austin,Texas)は、最近、コードビーズ支持体(coded beaded supports)、およびコードビーズ支持体の決定に適切な機器、ならびにそれに結合させられた1つ以上のレポーター部分を紹介した(Luminex Product Literatureを参照のこと)。コードビーズ支持体は、2つの発蛍光団を用いて同じ大きさのポリスチレンミクロスフェアを内的に染色する、所有権のある正確なプロセスを組込む。同上。2つの蛍光団の正確な比をを使用して、Luminexは100個の異なるコードミクロスフェアのセットを作製した。ここでは、それぞれのセットは、Luminex 100TMを使用してその内部色素の比に基づいて区別される。同上。それぞれのビーズのコードの決定に加えて、Luminex 100TMはまた、より高度に正確な定量でビーズ上のレポーター部分を決定することができる。同上。
【0006】
表面カルボキシル基またはLumavidinTMを有しているコードビーズ支持体を提供することによって、Luminexは、彼らのコードビーズ支持体および機器を、固定したリガンドの性質に依存して、Molecular Biology,Immunoassays、Enzymatic Assays & Reporter Ligand Assaysを含む適用に適応させることができると提案した。同上。重要なことに、Luminexは、アッセイの識別能力または結果の確実性の改善を達成するための手段として、特定の分析物捕捉と特定の分析物の染色との統合を教示も示唆もしていない。そして特に、Luminexは、いずれの種の微生物がそれらのビーズおよび/または機器に対して結合することが可能であり、そしてそれらを使用して決定することができることを、教示も示唆もしていないようである。実際、出願人らは、決定のために固体キャリアへ目的の特異的に染色された微生物を固定するために、特定の結合パートナーを使用するいかなる例についても認識していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
一つの局面において、本発明は、区別される別の微生物からサンプル中の目的の微生物を決定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
このサンプルまたはその一部を少なくとも1つの検出可能な分子プローブで処理する工程であって、ここでこの分子プローブが以下:
(i)検出可能な目的の微生物および区別される検出可能な他の微生物を生じる様式で、この目的の微生物およびこの他の微生物の両方がこの分子プローブと反応するように選択されるか;または
(ii)検出可能な目的の微生物のみを生じる様式で、この目的の微生物のみがこの分子プローブと反応するように選択される、
工程;ならびに
このサンプルまたはその一部を、結合パートナーが固定されている固体キャリアと接触させる、工程であって、(i)を適用する場合には、この結合パートナーが、検出可能なこの目的の微生物とのみ反応し、区別される検出可能なこの他の微生物とは反応しないように選択され;一方、(ii)を適用する場合には、この結合パートナーは、一般的には検出可能なこの目的の微生物と反応し、そしてまた区別されるこの他の微生物とも反応し得るように選択される、工程;ならびに
固体キャリアに対して固定された検出可能な微生物の存在、非存在、位置、または数を決定して、その結果をこのサンプルまたはその一部の中の目的の微生物の存在、非存在、または数と相関させる、工程、
を包含する。
【0008】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、核酸および非核酸からなる群より選択される。
【0009】
別の局面において、上記非核酸はペプチド核酸である。
【0010】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブが検出可能な部分で標識されない。
【0011】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、検出可能な分子プローブ/標的配列複合体に対して特異的に結合する検出可能な抗体を使用して検出される。
【0012】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは未標識のペプチド核酸である。
【0013】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは検出可能な部分で標識される。
【0014】
別の局面において、上記検出可能な部分は、発色団、蛍光団、スピン標識、放射性同位元素、酵素、ハプテン、および化学発光化合物からなる群より選択される。
【0015】
別の局面において、上記結合パートナーは抗体である。
【0016】
別の局面において、上記結合パートナーは、炭水化物、レシチン、ペプチド、レセプター、荷電したポリマー、およびタンパク質からなる群より選択される。
【0017】
別の局面において、上記固体キャリアは、粒子、ビーズ、顕微鏡スライド、マイクロタイタープレート、膜、およびアレイからなる群より選択される。
【0018】
別の局面において、上記分子プローブは、ドメイン、界、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株のすべての微生物を、微生物が上記目的の微生物を示すかどうかにかかわらず、染色し、そして前記結合パートナーが、この目的の微生物であるドメイン、界、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株に対して特異的である。
【0019】
別の局面において、上記分子プローブは、上記目的の微生物である、ドメイン、界、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株のみを染色し、そして上記結合パートナーが、微生物がこの目的の微生物を示すかどうかにはかかわらず、特定のドメイン、界、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株に対して特異的である。
【0020】
別の局面において、上記分子プローブが、上記目的の微生物である、ドメイン、界、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株のみを染色し、そして上記結合パートナーが、この目的の微生物であるドメイン、界、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株のみに対して特異的であり、それによって分子の識別の2つの異なるレベルで確実性を提供するアッセイを提供する。
【0021】
別の局面において、上記サンプルまたはその一部は、上記固体キャリアと接触させられる前に検出可能な上記分子プローブで処理される。
【0022】
別の局面において、上記サンプルまたはその一部は、検出可能な上記分子プローブで処理される前に上記固体キャリアと接触させられる。
【0023】
別の局面において、上記サンプルまたはその一部は、同時に、両方の上記固体キャリアと接触させられ、そして検出可能な上記分子プローブで処理される。
【0024】
一つの局面において、本発明は、サンプル中の目的の微生物を分離および決定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
このサンプルまたはその一部を1つ以上の検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理する工程であって、ここでこの1つ以上の分子プローブが以下:
(i)この検出可能なプローブが、種々の微生物と反応して、同じ染色を有する別の検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように選択されるか;または
(ii)この別々に検出可能なプローブが、種々の微生物と反応して、別々に検出可能な染色を有する種々の別々に検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように選択される、
工程;ならびに
このサンプルまたはその一部を、1つ以上の異なるタイプのコードビーズ支持体と接触させる工程であって、ここで、種々のタイプのこのコードビーズ支持体のそれぞれは、適切な粒子分類機中で別々に決定され得、そしてこのコードビーズ支持体に対しては、検出可能なまたは別々に検出可能な微生物が、特異的結合パートナー相互作用の発生の結果としてこのコードビーズ支持体に選択的に結合させられるようになるように、特定の微生物を選択するように選ばれる1つ以上の結合パートナーが固定されている、工程;
適切な粒子分類機中で種々のタイプのこのコードビーズ支持体を分類する工程;ならびに
種々のタイプのこのコードビーズ支持体のそれぞれに対して固定された、検出可能な微生物の存在、非存在、または数、あるいは別々に検出可能な微生物のそれぞれを決定して、以下:
(iii)その結果を、それぞれの粒子のタイプに対して固定されたこの特定の結合パートナーと相関させ、それによってこのサンプルまたはその一部の中の目的の種々の微生物のそれぞれの存在、非存在、または数を決定する、工程;あるいは
(iv)その結果を、このサンプルまたはその一部が由来するサンプル供給源についてのコードと相関させ、それによって種々のサンプルのそれぞれまたはその一部の中の目的の種々の微生物のそれぞれの存在、非存在、または数を決定する、工程、
を包含する。
【0025】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、核酸および非核酸からなる群より選択される。
【0026】
別の局面において、上記非核酸はペプチド核酸である。
【0027】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは検出可能な部分で標識されない。
【0028】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、検出可能な分子プローブ/標的配列複合体に対して特異的に結合する検出可能な抗体を使用して検出される。
【0029】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは未標識のペプチド核酸である。
【0030】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは検出可能な部分で標識される。
【0031】
別の局面において、上記検出可能な部分は、発色団、蛍光団、スピン標識、放射性同位元素、酵素、ハプテン、および化学発光化合物からなる群より選択される。
【0032】
別の局面において、上記別々に検出可能なプローブは別々に検出可能な蛍光団で標識される。
【0033】
別の局面において、上記特定の結合パートナーは抗体である。
【0034】
別の局面において、上記結合パートナーは、炭水化物、レシチン、ペプチド、レセプター、荷電したポリマー、およびタンパク質からなる群より選択される。
【0035】
別の局面において、上記サンプルまたはその一部は、上記固体キャリアと接触させられる前に上記検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理される。
【0036】
別の局面において、上記サンプルまたはその一部は、上記検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理される前に上記固体キャリアと接触させられる。
【0037】
別の局面において、上記サンプルまたはその一部は、同時に、両方の上記固体キャリアと接触させられ、そして上記検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理される。
【0038】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、同じ染色を用いて種々の微生物の全てを染色し、そして上記結合パートナーは、上記目的の種々の微生物のそれぞれについて特異的であり、その結果、種々のタイプの上記コードビーズ支持体の分類によって、種々の結合パートナーの性質のみに基づいて、このサンプルまたはその一部の中のこの目的の種々の微生物のそれぞれを決定する。
【0039】
別の局面において、上記別々に検出可能な分子プローブは、上記目的の種々の微生物の一部または全てが別々に染色されるという条件で、この目的の微生物の全てを染色し、そして種々のタイプの上記コードビーズ支持体のそれぞれに関係している結合パートナーのそれぞれが、数ある中で同じまたは異なって染色された微生物を選択するように選ばれ、その結果、種々のタイプのこのコードビーズ支持体の分類によって、種々のタイプのこのコードビーズ支持体のそれぞれに対して結合した微生物の染色と組み合わせて考慮した場合に、上記サンプルまたはその一部の中のこの目的の種々の微生物のそれぞれを決定する。
【0040】
別の局面において、上記別々に検出可能な分子プローブは上記目的の微生物を別々に染色し、そして異なるタイプのコードビーズ支持体のそれぞれに関係している結合パートナーのそれぞれは、選択されるアッセイについて一般的であるが、種々のコードビーズ支持体のそれぞれが種々のサンプルをコードし、その結果、種々のコードビーズ支持体のそれぞれについての染色の決定によって、上記サンプルまたはその一部の中の1つ以上のこの目的の微生物のそれぞれを特異的に決定し、そして種々のコードビーズ支持体のそれぞれが、このサンプルまたはその一部の供給源を同定する。
【0041】
一つの局面において、本発明は、サンプル中の目的の種々の微生物を分類および決定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
このサンプルまたはその一部を1つの検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理する工程であって、ここでこの1つ以上の分子プローブが以下:
(i)この検出可能なプローブが、種々の微生物と反応して、同じ染色を有する別の検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように選択されるか;または
(ii)この別々に検出可能なプローブが、種々の微生物と反応して、別々に検出可能な染色を有する種々の別々に検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように選択される、
工程;ならびに
このサンプルまたはその一部を、結合パートナーが特有の同定可能な位置で固定されている固体キャリアアレイと接触させる工程であって、その結果、この検出可能なまたは別々に検出可能な微生物は、特異的結合パートナー相互作用の発生の結果としてこのアレイ上の位置に選択的に結合させられる、工程;ならびに
このアレイの多くの異なる位置で固定されたこの検出可能なまたは別々に検出可能な微生物の存在、非存在、または数を決定して、そしてその結果を、このアレイ上のそれぞれの位置に固定された特異的結合パートナーと相関させ、それによってこのサンプル中の種々のこの目的の微生物の存在、非存在、または数を決定する、工程、
を包含する。
【0042】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、核酸および非核酸からなる群より選択される。
【0043】
別の局面において、上記非核酸はペプチド核酸である。
【0044】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは検出可能な部分で標識されない。
【0045】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、検出可能な分子プローブ/標的配列複合体に対して特異的に結合する検出可能な抗体を使用して検出される。
【0046】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは未標識のペプチド核酸である。
【0047】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは検出可能な部分で標識される。
【0048】
別の局面において、上記検出可能な部分は、発色団、蛍光団、スピン標識、放射性同位元素、酵素、ハプテン、および化学発光化合物からなる群より選択される。
【0049】
別の局面において、上記別々に検出可能なプローブは別々に検出可能な蛍光団で標識される。
【0050】
別の局面において、上記結合パートナーは抗体である。
【0051】
別の局面において、上記結合パートナーは、炭水化物、レシチン、ペプチド、レセプター、荷電したポリマー、およびタンパク質からなる群より選択される。
【0052】
別の局面において、上記サンプルは、上記固体キャリアと接触させられる前に、上記検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理される。
【0053】
別の局面において、上記サンプルは、上記検出可能なまたは別々に上記検出可能な分子プローブで処理される前に固体キャリアと接触させられる。
【0054】
別の局面において、上記サンプルは、同時に、上記固体キャリアと接触させられ、そして上記検出可能なまたは別々に検出可能な分子プローブで処理される。
【0055】
別の局面において、上記検出可能な分子プローブは、同じ染色を用いて種々の微生物の全てを染色し、そして上記結合パートナーが、種々の上記目的の微生物のそれぞれに対して特異的であり、その結果、特有の位置で生じる結合パートナー相互作用によって生じる上記アレイ上での微生物の分類が使用され、それによって、この特有の位置での種々の結合パートナーの性質のみに基づいて、上記サンプルまたはその一部の中の種々のこの目的の微生物のそれぞれを決定する。
【0056】
別の局面において、上記別々に検出可能な分子プローブが、種々の上記目的の微生物の一部または全てが別々に染色されるという条件で、この目的の微生物の全てを染色し、そして上記アレイ上の特有の位置に関係している結合パートナーのそれぞれが、数ある中で同じまたは異なって染色された微生物を選択するように選ばれ、その結果、この特有の位置で生じる結合パートナー相互作用によって生じるこのアレイ上での微生物の分類が、それぞれのこの特有の位置に結合した微生物の染色と組み合わせて考慮した場合に、上記サンプルまたはその一部の中の種々のこの目的の微生物のそれぞれを決定するために使用される。
【0057】
一つの局面において、本発明は、組成物を提供し、この組成物は、以下:
1つ以上の検出可能な分子プローブで染色された、1つ以上の微生物を含有し、
結合パートナーが固定されている固体キャリアであって、ここでは、1つ以上の染色された微生物が、この微生物とその結合パートナーとの相互作用を通じてこの固体キャリアに連結される。
【0058】
別の局面において、上記結合パートナーは抗体であり、そして上記微生物は抗体に対する抗原である。
【0059】
別の局面において、上記固体キャリアは、上記アレイ上の特有の同定可能な位置でそれぞれが固定されている目的の多くの異なる微生物に対する抗体を含有している固体キャリアアレイである。
【0060】
別の局面において、上記固体キャリアはコードビーズ支持体である。
【0061】
別の局面において、上記固体キャリアは顕微鏡スライドである。
【0062】
一つの局面において、本発明は組成物を提供し、この組成物は、以下:
1つ以上の分子プローブで検出可能にまたは別々に染色された目的の2つ以上の異なる微生物;および
2つ以上の異なるタイプのコードビーズ支持体の混合物であって、ここでは、異なるタイプのコードビーズ支持体のそれぞれに対して、目的の特定の微生物を検出するように選択される種々の結合パートナーが固定されており、そして種々のこの検出可能なまたは別々に検出可能な微生物が、この結合パートナーとこの微生物との特異的結合相互作用の発生の結果としてコードビーズ支持体に選択的に結合される、混合物、
を含有する。
【0063】
別の局面において、上記結合パートナーは抗体であり、そして上記微生物は抗体に対する抗原である。
【0064】
一つの局面において、本発明は組成物を提供し、この組成物は、以下:
1つ以上の分子プローブで検出可能にまたは別々に染色される、目的の2つ以上の異なる微生物;および
結合パートナーが特有の同定可能な位置で固定されており、その結果、この検出可能にまたは別々に染色された微生物が、特異的結合パートナー相互作用の発生の結果としてアレイ上の位置に選択的に結合される、固体キャリアアレイ、
を含有する。
【0065】
別の局面において、上記結合パートナーは抗体であり、そして上記微生物は抗体に対する抗原である。
【0066】
(1.要約:)
本発明は、一般的、結合パートナーを使用する微生物または細胞の選択的捕捉と組み合わせた、微生物または細胞の選択的染色のための分子プローブの使用に関係する方法および組成物に関する。本発明の方法および組成物は、目的の微生物(単数または複数)の分類および/または決定のために使用することができる。分類が選択される場合、分類は、例えば、コードビーズ支持体の使用またはアレイの使用のいずれかによって行われ得る。選択性は、分子認識の2つの極めて異なるレベルで影響を与え得るので、本発明の方法および組成物は、アッセイの識別能力の増大、および/または結果の正確性の増大を提供する。
【0067】
本発明の方法および組成物の有用性はさらに、染色プロセスの多重化を助長する、独立して検出可能な分子プローブの使用によって増大させられ得る。方法および組成物の多重化はまた、例えば、異なる目的の微生物の選択的固定のために使用される異なる結合パートナーの使用によって、プロセスの固定化工程で助長させられる。固定化工程でのアッセイの多重化はまた、コードビーズ支持体の使用によって助長させられ得る。ここでは、種々のビーズについての「コード」は、サンプルの供給源または目的の別のパートナーと関係する。従って、本発明の方法および組成物は、先行技術の多数の限界を克服する様式で、分析の広範囲での順応性を助長する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
(2.発明の好ましい実施形態の詳細な説明:)
(I.定義:)
本明細書の解説の目的のために、以下の定義が適用されるべきであり、そして適切である限りは、単数形で使用される用語はまた複数形をも含み、逆もまた同じであるべきである。
【0069】
a.本明細書中で使用される場合は、「核酸塩基」は、天然に存在するもの、ならびに、核酸技術を利用するかまたはペプチ核酸技術を利用する当業者に一般的に公知である天然に存在しない複素環式部分を意味し、それによって核酸に配列特異的に結合することが可能であるポリマーを作製する。
【0070】
b.本明細書中で使用される場合は、「核酸塩基配列」は、核酸塩基を含有しているサブユニットを含むポリマーの任意のセグメントを意味する。適切なポリマーまたはポリマーセグメントの限定的ではない例には、オリゴデオキシヌクレオチド(例えば、DNA)、オリゴリボヌクレオチド(例えば、RNA)、ペプチド核酸(PNA)、核酸アナログ、核酸模倣物、および/またはキメラが含まれる。
【0071】
c.本明細書中で使用される場合は、「標的配列」は、目的の微生物中で見出され、そしてそれに対する分子プローブが、それに配列特異的にハイブリダイズするように設計されている、核酸の核酸塩基配列である。
【0072】
d.本明細書中で使用される場合は、「核酸」は、ヌクレオチドまたはそのアナログによって形成される骨格を有している、核酸塩基配列を含有しているポリマーまたはポリマーセグメントである。
【0073】
e.本明細書中で使用される場合は、「非核酸」は、ヌクレオチドまたはそのアナログではないサブユニットから形成される骨格を有している、核酸塩基配列を含有しているポリマーまたポリマーセグメントである。ペプチド核酸は好ましい非核酸ポリマーである。
【0074】
f.本明細書中で使用される場合は、用語「プローブ」または「分子プローブ」は、目的の微生物の標的分子の標的配列に対して配列特異的にハイブリダイズするように設計されたプローブ核酸塩基配列を有している、核酸または非核酸ポリマー(例えば、DNA、RNA、PNA,核酸アナログ、核酸模倣物、キメラ、または連結ポリマー)を意味する。
【0075】
g.本明細書中で使用される場合には、「検出可能な分子プローブ」は、機器または方法によって検出可能であるプローブまたは分子ポリマーである。不確実性の回避については、「検出可能な分子プローブ」は、検出可能な部分で直接標識される必要はない(未標識の分子プローブの決定の考察についての下記の「Unlabeled Molecular Probes」と題された小節を参照のこと)。
【0076】
h.本明細書中で使用される場合には、用語「抗体」は、抗体/抗原結合相互作用に関与し得る抗体または抗体フラグメントを意味する。
【0077】
i.本明細書中で使用される場合には、用語「検出可能な抗体」は、機器または方法によって検出することができる抗体または抗体フラグメントを意味する。不確実性の回避については、検出可能な抗体は、検出可能な部分で直接識される必要はない。なぜなら、例えば、抗体は、検出可能な部分で標識される二次抗体を使用して検出される得るからである。
【0078】
j.本明細書中で使用される場合には、「染色される」は、個々の微生物が、微生物内の標的配列に対する1つ以上の検出可能な分子プローブの配列特異的ハイブリダイゼーションの結果として、検出可能な部分で直接または間接的にマークされることを意味する。
【0079】
k.本明細書中で使用される場合には、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,718,262号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号、および同第6,107,470号(これらの全てが本明細書中で参考として援用されている)の中でペプチド核酸として言及されているか、またはこれらの中でペプチド核酸として権利を主張されているポリマーのいずれかを含む、2つ以上のPNAサブユニット(残基)を含有している任意のオリゴマー、ポリマー、連結ポリマーまたはキメラオリゴマーを意味する。用語「ペプチド核酸」または「PNA」はまた、以下の刊行物中で記載されている核酸模倣物の2つ以上のサブユニットを含有しているポリマーに対しても適用されるべきである:
【0080】
【化1】

【0081】
およびWO96/04000号に開示されているShahらのPeptide−Based Nucleic Acid Mimics(PENAM)。
【0082】
好ましい実施形態においては、PNAは、以下の式の2つ以上のサブユニットを含有しているポリマーである:
【0083】
【化2】

【0084】
ここでは、Jはそれぞれ同じであるかまたは異なり、そしてH、R、OR、SR、NHR、NR、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される。Kはそれぞれ同じであるかまたは異なり、そしてO、S、NH、およびNRからなる群より選択される。Rはそれぞれ同じであるかまたは異なり、そして必要に応じてヘテロ原子または置換もしくは未置換のアリール基を含み得る、1個から5個の炭素原子を有しているアルキル基である。Aはそれぞれ、単結合、式:−(CJ−の基、および式:−(CJC(O)−の基からなる群より選択される。ここでは、Jは上記で定義されており、そしてsはそれぞれが1個から5個までの自然数である。tはそれぞれ1または2であり、そしてuはそれぞれ1または2である。Lはそれぞれ同じであるかまたは異なり、そしてJ、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、ウリジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードイソシトシン、2−チオウラシル、2−チオチミジン、他の天然に存在している核酸塩基アナログ、他の天然には存在しない核酸塩基、置換および未置換の芳香族部分、ビオチン、フルオレセイン、ならびにダブシル(dabcyl)からなる群より独立して選択される。最も好ましい実施形態においては、PNAサブユニットは、N−[2−(アミノエチル)]グリシン骨格のアザ窒素に対してメチレンカルボニル連結を通じて結合された天然に存在しているかまたは天然には存在しない核酸塩基からなる。
【0085】
l.本明細書中で使用される場合には、用語「標識」および「検出可能な部分」は互換性があり、そして分子プローブ、抗体、または抗体フラグメントに対して結合され得、それによって分子プローブ、抗体、または抗体フラグメントを機器または方法によって検出可能にする部分をいう。
【0086】
m.本明細書中で使用される場合には、用語「キメラ」または「キメラオリゴマー」は、異なるのクラスのサブユニットから選択される2つ以上の連結サブユニットを含有しているポリマーを意味する。例えば、PNA/DNAキメラは、少なくとも1つの2’−デオキシリボ核酸サブユニットに連結された少なくとも2つのPNAサブユニットを含有している(PNA/DNAキメラの調製に関する例示的な方法および組成物については、WO96/40709号を参照のこと)。キメラの例示的な成分サブユニットは、PNAサブユニット、天然に存在するおよび天然には存在しないアミノ酸サブユニット、DNAサブユニット、RNAサブユニット、ならびに核酸のアナログまたは模倣物のサブユニットからなる群より選択される。
【0087】
n.本明細書中で使用される場合には、用語「連結ポリマー」は、リンカーによって連結される2つ以上のポリマーセグメントを含有しているポリマーを意味する。連結ポリマーを形成するように連結されるポリマーセグメントは、オリゴデオキシヌクレオチド(DNA)、オリゴリボヌクレオチド(RNA)、ペプチド、ポリアミド、ペプチド核酸(PNA)、およびキメラからなる群より選択される。
【0088】
o.本明細書中で使用される場合には、用語「結合パートナー」は、特異的な様式で1つ以上の他の分子に結合する分子を意味する。結合パートナーの相互作用は特異的であるので、選択される結合パートナーの性質に依存して達成される選択性には段階が存在する。結合パートナー複合体(成分結合パートナーから形成される)の限定的ではない例としては、抗体/抗原相互作用、核酸/核酸相互作用、酵素/基質相互作用、およびレセプター/リガンド相互作用が挙げられる。リガンドの限定的ではない列挙としては、アビジン(ならびにストレプトアビジンおよびLumavidinTMのようなそのアナログ)、レシチン、炭水化物、ペプチド、およびタンパク質が挙げられる。本発明の実施に使用される結合パートナーの好ましい対は、抗体/抗原である。
【0089】
p.本明細書中で使用される場合には、用語「固体キャリア」は、それに対して微生物を連結させるのに十分に広い範囲である表面を有する物体を意味する。固体キャリアの構築に使用される好ましい材料としては、ガラス、石英、プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリル(polyacrylic)、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびPTFE(テフロン(登録商標)))、ならびに金が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい固体キャリアは、粒子、ビーズ、顕微鏡スライド、マイクロタイタープレート、膜、およびアレイである。
【0090】
q.本明細書中で使用される場合には、「アレイ」は、2つ以上の特有の同定可能な位置がその上に作製される1つ以上の表面を有している、二次元または三次元の物体である。顕微鏡スライドは、アレイを製造するために使用され得る物体の一例である。
【0091】
(II.一般論)
(核酸合成および核酸改変)
核酸オリゴマー(オリゴヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチド)の合成は、慣用的になっている。核酸合成の詳細な説明については、Gait,M.J.,Oligonucleotide Synthesis:a Practical Approach.IRL Press,Oxford Englandを参照のこと。当業者は、標識オリゴヌクレオチドまたは未標識オリゴヌクレオチド(DNA、RNA、およびそれらの合成のアナログ)の両方が容易に入手可能であることを認識している。これらは、市販の機器および試薬を使用して合成され得るか、またはこれらは、注文製造されるオリゴヌクレオチドの商業的な供給業者から購入され得る。核酸の合成および標識のための種々の組成物、支持体、および方法論を議論している特許として、以下が挙げられる:米国第5,476,925号、同第5,453,496号、同第5,446,137号、同第5,419,966号、同第5,391,723号、同第5,391,667号、同第5,380,833号、同第5,348,868号、同第5,281,701号、同第5,278,302号、同第5,262,530号、同第5,243,038号、同第5,218,103号、同第5,204,456号、同第5,204,455号、同第5,198,540号、同第5,175,209号、同第5,164,491号、同第5,112,962号、同第5,071,974号、同第5,047,524号、同第4,980,460号、同第4,923,901号、同第4,786,724号、同第4,725,677号、同第4,659,774号、同第4,500,707号、同第4,458,066号、および同第4,415,732号(これらの全てが本明細書中で参考として援用されている)。
【0092】
(PNA合成)
PNAの化学的なアセンブリのための方法は周知である(米国特許同第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,718,262号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号、および同第6,107,470号(これらの全てが本明細書中で参考として援用されている)(PerSeptive Biosystems Product Literatureをもまた参照のこと)。ペプチド核酸の支持体に結合させた自動的化学的アセンブリのための薬品および機器は、現在は市販されている。標識PNAオリゴマーおよび未標識PNAオリゴマーの両方が同様に、あつらえの(custom)PNAオリゴマーの商業的な販売業者から入手され得る。PNAの化学的アセンブリは、固相ペプチド合成と同様である。ここでは、アセンブリのそれぞれのサイクルで、成長しつつあるポリマーに対して添加される次の合成要素(synthon)と縮合される反応性アルキルアミノ末端を、オリゴマーは有する。標準的なペプチド化学が利用されるので、天然アミノ酸および非天然アミノ酸が、PNAオリゴマー中に慣用的に組み込まれる。PNAはポリアミドであるので、これは、C末端(カルボキシル末端)およびN末端(アミノ末端)を有する。標的配列に対する逆平行の結合(好ましい方向)に適切なハイブリダイゼーションプローブの設計のために、PNAプローブのプローブ核酸塩基配列のN末端は、対応するDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシル末端の等価物である。
【0093】
(PNA標識)
PNAの標識のための好ましい限定的ではない方法は、米国特許第6,110,676号、WO99/22018、WO99/21881、WO99/49293、およびWO99/37670、本明細書の実施例の節に記載されているか、またはそうでなければ、PNA合成およびペプチド合成の分野で周知である。
【0094】
(標識)
本発明の実施において使用される分子プローブ、抗体、または抗体フラグメントの直接的な標識に適切な検出可能な部分(標識)の限定的ではない例には、デキストラン結合体、分岐核酸検出系、発色団、蛍光団、スピン標識、放射性同位元素、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステル、および化学発光化合物が挙げられる。他の適切な標識試薬および好ましい連結方法は、PNA、ペプチド、または核酸合成の当業者によって認識されている。
【0095】
好ましいハプテンには、5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、およびビオチンが挙げられる。
【0096】
好ましい蛍光色素(蛍光団)としては、以下が挙げられる:5(6)−カルボキシフルオレセイン(Flu)、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸(Cou)、5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン(Rox)、シアニン2(Cy2)色素、シアニン3(Cy3)色素、シアニン3.5(Cy3.5)色素、シアニン5(Cy5)色素、シアニン5.5(Cy5.5)色素、シアニン7(Cy7)色素、シアニン9(Cy9)色素(シアニン色素2、3、3.5、5、および5.5は、Amersham,Arlington Heights,ILからNHSエステルとして入手され得る)、JOE、TamaraまたはAlexa色素系列(Molecilar Probes,Eugene,OR)。
【0097】
好ましい酵素としては、ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ、Klenow PNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Sequenase、DNAポリメラーゼ1およびphi29ポリメラーゼ)、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)そして最も好ましくは、ダイズペルオキシダーゼ(SBP)が挙げられる。
【0098】
(検出可能な部分および独立して検出可能な部分/多重分析)
本発明の好ましい実施形態においては、多重ハイブリダイゼーションアッセイが行われる。多重アッセイにおいては、目的の多数の条件が同時にまたは連続して試験される。多重分析は、サンプル成分またはそれに付随するデータを、アッセイが完了するまでの間またはアッセイの完了後に分類する能力による。本発明の好ましい実施形態においては、1つ以上の異なる独立して検出可能な部分が、アッセイで使用される2つ以上の異なる分子プローブを標識するために使用される。独立して検出可能な部分のそれぞれの間を区別および/または定量する能力は、ハイブリダイゼーションアッセイの多重化のための手段を提供する。なぜなら、異なる独立して標識された分子プローブのそれぞれについての特定の標的配列に対するハイブリダイゼーションと相関するデータが、サンプル中で検出されるように探索されるそれぞれの微生物の存在、非存在、または量と相関され得るからである。結果として、本発明の多重アッセイは、同じサンプルおよび同じアッセイ中の2つ以上の微生物の存在、非存在、または量を、同時または連続して検出するために使用され得る。
【0099】
(未標識の分子プローブ)
本発明の実施に使用される分子プローブは、本発明の方法で作動可能な検出可能な部分で標識される必要はない。プローブ/標的配列複合体に結合するように惹起された抗体を使用して、標的配列へのプローブのプローブ核酸塩基配列のハイブリダイゼーションによって形成されるプローブ/標的配列複合体を検出することが、可能である。限定的ではない例として、PNA/核酸複合体は、適切な抗体結合条件下でその複合体と特異的に相互作用する抗体を使用して検出され得る。PNA/核酸複合体に対する適切な抗体、ならびにそれらの調製および使用のための方法は、本明細書中で参考として援用されている、WIPO特許出願番号WO95/17430および米国特許第5,612,458号に記載されている。同様に、DNA/DNAハイブリッドに対する抗体は当該分野で周知であり、そして本明細書中で参考として援用されている米国特許第5,200,313号に記載されているように生成され得そして使用され得る。
【0100】
(自己指示「Beacon」プローブ)
「Beacon」プローブに連結された標識は、少なくとも1つのエネルギー転移ドナー部分および少なくとも1つのエネルギー転移アクセプター部分を有しているエネルギー転移部分のセット(本明細書中では以後、「Beacon Set(単数または複数)」)を含む。典型的には、Beacon Setは、単一のドナー部分および単一のアクセプター部分を含む。それにもかかわらず、Beacon Setは、1つより多くのドナー部分および/または1つより多くのアクセプター部分を含み得る。ドナー部分およびアクセプター部分は、1つ以上のアクセプター部分が1つ以上のドナー部分から転移されるエネルギーを受容するようにか、またはそうでなければ、ドナー部分(単数または複数)からのシグナルを消滅させるように、作動する。先に列挙した蛍光団(適切なスペクトル特性を有する)もまたエネルギー転移アクセプターとして作動し得るが、好ましくは、アクセプター部分はクエンチャー部分である。好ましくは、クエンチャー部分は非蛍光の芳香族またはヘテロ芳香族部分である。好ましいクエンチャー部分は、4−((−4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸(ダブシル)である。
【0101】
「Beacon」プローブのドナー部分とアクセプター部分との間でのエネルギーの転移は、Beacon Set(単数または複数)の密接に関係している部分の衝突を通じて、または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)のような非輻射性プロセスを通じて生じ得る。FRETを生じるためには、Beacon Setのドナー部分とアクセプター部分との間でのエネルギーの転移は、これらの部分が空間において密接していること、およびドナー(単数または複数)の発光スペクトルが、アクセプター(単数または複数)の吸収スペクトルと実質的な重複を有することを必要とする(Yaronら、Analytical Biochemistry,95:228−235(1979)、および特に、232頁1列目から234頁1列目を参照のこと)。あるいは、衝突媒介性(輻射型)エネルギー転移は、ドナー(単数または複数)の発光スペクトルが、アクセプター(単数または複数)の吸収スペクトルと実質的な重複を有するかどうかにはかかわらず、極めて密接に関係しているドナー部分とアクセプター部分との間で生じ得る(Yaronら、Analytical Biochemistry,95:228−235(1979)、および特に、229頁1列目から232頁1列目を参照のこと)。このプロセスは、分子内衝突と言われる。なぜなら、クエンチングは、ドナー部分とアクセプター部分との直接の接触によって生じると考えられるからである(Yaronらを参照のこと)。
【0102】
((i)直鎖型Beacon)
好ましい実施形態においては、自己指示「Beacon」プローブは、本明細書中で参考として援用されている、「Methods,Kits And Compositions Pertaining To Linear Beacons」という発明の名称の同時係属中の共有にかかる特許出願USSN09/179,162(現在は特許化されている)でより完全に記載されているような、直鎖型Beaconである。
【0103】
((ii)PNA分子Beacon)
好ましい実施形態においては、自己指示「Beacon」プローブは、本明細書中で参考として援用されている、「Methods,Kits And Compositions Pertaining To PNA Molecular Beacons」という発明の名称の同時継続中の特許出願USSN09/179,298でより完全に記載されているような、PNA分子Beaconである。
【0104】
((iii)DNA分子Beacon)
好ましい実施形態においては、自己指示「Beacon」プローブは、「Detectably Labeled Dual Conformation Oligonucleotide Probes,Assays and Kits」という発明の名称の、US5,925,517でより完全に記載されているような、核酸分子beaconである。
【0105】
(エネルギー転移の検出)
標的配列との自己指示「Beacon」プローブのハイブリッド形成は、「Beacon」プローブが標的配列の非存在下で存在する場合と比較してハイブリダイゼーション複合体が形成される場合に検出可能に異なる、Beacon Setの少なくとも1つのメンバーの少なくとも1つの物理的特性を測定することによってモニターされ得る。本発明者らは、この現象を、「Beacon」プローブの自己指示特性という。検出可能なシグナルのこの変化は、標的配列に対する「Beacon」プローブのハイブリダイゼーションによって起こるドナーとアクセプターとの間でのエネルギー転移効率の変化から生じる。好ましくは、検出手段には、Beacon Setのドナー蛍光団またはアクセプター蛍光団の蛍光を測定することが含まれる。最も好ましくは、Beacon Setは、ドナー蛍光団の蛍光が標的配列に対するプローブのハイブリダイゼーションを検出、同定、または定量するために使用されるように、少なくとも1つのドナー蛍光団と少なくとも1つのアクセプタークエンチャーを含む。
【0106】
(他の自己指示プローブ)
別の実施形態においては、本発明の自己指示プローブは、WIPO特許出願番号WO97/45539に記載されているタイプである。WO97/45539に記載されている自己指示プローブは、レポーター基が核酸と相互作用しなければならず、それによって検出可能なシグナルを生じるので、クエンチャーまたはアクセプターが必要ではない点で、「Beacon」プローブと比べて異なる。好ましくは、本発明で使用されるようなWO97/45539のプローブは、標的配列に対するハイブリダイゼーションの際に検出可能なシグナルを生じる、適切に標識されたペプチド核酸である。
【0107】
(スペーサー部分/リンカー部分)
一般的には、スペーサーは、大きい標識試薬がプローブのハイブリダイゼーション特性に対して有し得る有害な作用を最小にするために使用される。リンカーは典型的には、プローブに可撓性および無作為性を導入するか、またはそうでなければ、分子プローブの2つ以上の核酸塩基配列を連結する。本発明の核酸塩基ポリマーのための好ましいスペーサー部分/リンカー部分は、1つ以上のアミノアルキルカルボン酸(例えば、アミノカプロン酸)、アミノ酸の側鎖(例えば、リジンまたはオルニチンの側鎖)、中性アミノ酸(例えば、グリシン)、アミノオキシアルキル酸(例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸)、アルキル二塩基酸(例えば、スクシン酸)、アルキルオキシ二塩基酸(例えば、ジグリコール酸)、またはアルキルジアミン(例えば、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン)からなる。スペーサー部分/リンカー部分はまた、分子プローブの水可溶性を改善するように偶然にまたは作為的に構築され得る(例えば、Gildeaら、Tett.Lett.39:7255−7258(1998)を参照のこと)。好ましくは、スペーサー部分/リンカー部分は、式:−Y−(O−(CW−Z−を有している1つ以上の連結化合物を含む。基Yは、単結合、−(CW−、−C(O)(CW−、−C(S)(CW−、および−S(O)(CWからなる群より選択される。基Zは、式NH、NR、S、またはOを有する。各Wは、独立して、H、R、−OR、F、Cl、Br、またはIである;ここでは、各Rは、−CX、−CXCX、−CXCXCX、−CXCX(CX、および−C(CXからなる群より独立して選択される。各Xは、独立して、H,F、Cl、Br、またはIである、各mは独立して、0または1である。各n、o、およびpは独立して、0から10までの整数である。
【0108】
(ハイブリダイゼーション条件/ストリンジェンシー)
核酸ハイブリダイゼーションの当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを課すかまたは制御するために一般的に使用される要因には、ホルムアミド濃度(またな他の化学変性剤)、塩濃度(すなわち、イオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pH、およびカオトロープ(chaotrope)の存在または非存在が含まれることを認識している。分子プローブ/標的配列の組み合わせについての最適なストリンジェンシーは、しばしば、上記のストリンジェンシー要因のいくつかを固定し、次いで単一のストリンジェンシー要因を変化させる影響を決定する、周知の技術によって見出される。同じストリンジェンシー要因は、PNAのハイブリダイゼーションがイオン強度にはほとんど依存しないことを除いて、それによって核酸へのPNAのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御するために調節され得る。アッセイについての最適なストリンジェンシーは、所望される識別の程度が達成されるまで、それぞれのストリンジェンシーの要因の試験により実験的に決定され得る。
【0109】
(適切なハイブリダイゼーション条件)
一般的には、標的配列に対する核酸の混入物を生じるバックグラウンドがより密接に関連するほど、ストリンジェンシーはさらに慎重に制御されなければならない。ブロックプローブ(blocking probe)もまた、ストリンジェンシーの要因の単なる最適化により可能な限界を上回るように識別能力を改善するための手段として使用され得る。従って、適切なハイブリダイゼーション条件は、アッセイが正確であり(そのアッセイについて所望される許容量内で)そして再現性のある結果を生じるように、所望される程度の識別が達成される条件を含む。さらなる慣用的実験および本明細書中で提供される開示を超えないで補助される、当業者は、本明細書中に記載されている方法および組成物を利用してアッセイを行うための適切なハイブリダイゼーション条件を容易に決定することができる。適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件には、インサイチュハイブリダイゼーション手順を実行するために適切な条件が含まれる。従って、適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件は、さらなる慣用実験を伴ってかまたはそれらを伴わずに、本明細書中で提供される開示を使用して当業者に明らかとなる。
【0110】
(適切な抗体結合条件)
適切な抗体結合条件には、その抗原に対する抗体の結合に適切な条件が含まれる。従って、適切な抗体結合条件は、さらなる日常的な実験を伴ってまたはそれらを伴わずに、本明細書中に提供される開示を使用して当業者に明らかとなる。適切な抗体結合条件の決定についての実施者への一般的な指針によると、抗体の調製および使用のための方法は、S.HockfieldらによるMolecular Probes Of The Nervous System、第1巻「Selected Methods For Antibody and Nucleic Acid Probes」、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993を含む多数の参考文献中に見ることができる。
【0111】
(適切なハイブリダイゼーション条件および適切な抗体結合条件の協調)
本発明の方法を使用するかまたは本発明の組成物の産生の場合には、微生物の染色が抗体結合事象と同時にまたはそれに続いて行われるので、ハイブリダイゼーション条件を抗体結合条件と協調させることが重要である場合がある。同じ変数(pH、塩濃度など)の最適化が関係しているので、さらなる日常的な実験による補助を行うことなく、当業者は、抗体結合条件およびアッセイの実行に適切なハイブリダイゼーション条件を容易に協調させることができる。しかし、非核酸(そして好ましくは、PNAプローブ)の使用は、ハイブリダイゼーション条件と抗体結合条件との協調が必要とされる場合に、好ましい。なぜなら、PNAプローブは生理学的な塩条件の下(その条件下では、おそらく抗体は最も効率よく作動する)でより強く結合するからである。
【0112】
(ブロックプローブ(blocking probe))
ブロックプローブは、非標的配列に対する分子プローブのプローブ核酸塩基配列の結合を抑制するために使用することができる、核酸または非核酸プローブである。好ましいブロックプローブはPNAプローブである(本明細書中で参考として援用されているCoullら、第US6,110,676号を参照のこと)。典型的には、ブロックプローブは、プローブ核酸塩基配列に密接に関係しており、そして好ましくはこれらは、アッセイで検出されると考えられる標的配列に対して、相補的であるかまたは実質的に相補的である検出可能な分子プローブと比較して、1つ以上の単一の点変異を含む。ブロックプローブは、非標的配列へのハイブリダイゼーションによって作動し、それによってプローブ核酸塩基配列と非標的配列との間でのハイブリダイゼーションによって形成されるものよりもさらに熱力学的に安定な複合体を形成すると考えられる。より安定でありそして好ましい複合体の形成は、プローブ核酸塩基配列と非標的配列との間での、あまり安定ではない好ましくない複合体の形成をブロックする。従って、ブロックプローブは、本発明の方法および組成物とともに、区別される微生物中に存在する可能性がある非標的配列に対する分子プローブの結合を抑制するか、またはそうでなければアッセイの能力を妨害するために使用することができる。従って、ブロックプローブは、結合パートナーおよび分子プローブの選択性の組み合わせを使用して利用することができる限界を上回るように本発明の方法の忠実度を改善するために使用され得る。ブロックプローブは特に、単一の点変異の分析(例えば、単一のヌクレオチド多形性(SNP)の分析)に有利である。
【0113】
(プローブ核酸塩基配列)
分子プローブのプローブ核酸塩基配列は、構築物の特異的配列認識部分である。従って、プローブ核酸塩基配列は、特異的標的配列に対してハイブリダイズするように設計された核酸塩基配列である。ここでは、標的配列の存在、非存在、または量を、サンプル中の目的の微生物の存在、非存在、または数を直接または間接的に検出するために使用することができる、結果として、選択されたアッセイ形式についての分子プローブの要件の考慮によって、プローブのプローブ核酸塩基配列の長さおよび配列組成は、一般的には、適切なハイブリダイゼーション条件下で安定な複合体が標的配列とともに形成されるように選択される。
【0114】
(プローブ複合体)
なお別の実施形態においては、2つのプローブは、全体として、検出されると考えられる標的配列に対してハイブリダイズし、そしてそれによって検出可能なシグナルを作成する(そこでは、個々の分子プローブのそれぞれの核酸塩基配列は、標的配列の全体の相補性の半分または約半分を含む)プローブ核酸塩基配列を生じるように設計される。限定的ではない例として、2つのプローブの核酸塩基配列は、H.Orumらによる「Method of identifying a nucleic acid using triple helix formation of adjacently annealed probes」と題された欧州特許出願番号第849,363号(第EPA849,363号を参照のこと)に記載されているアッセイを使用して設計され得る。PNAプローブ三重鎖を含む同様の組成物が、本明細書中で参考として援用されている同時係属中でありそして共有にかかる出願第USSN 09/302,238号に記載されている(WO99/55916としても公開されている)。この方法論を使用すると、標的配列にハイブリダイズするプローブは標識される場合があるが、標識されない場合もある。なぜならこれは、直接検出される隣接プローブのアニーリングによって形成されるプローブ複合体であり、そして標的配列には直接結合するプローブではないからである。
【0115】
(目的の微生物)
アッセイの使用者または設計者は、目的の微生物を選択する。本明細書中で使用される場合には、目的の微生物は、微生物(microorganism)、組織、顕微的大きさの細胞である。目的の微生物は、細胞、細菌、ウイルス、酵母、真菌、他の単細胞微生物または多細胞微生物である場合がある。従って、顕微的大きさであることを除いて、目的の微生物には制限はない。
【0116】
目的の微生物は、一般的には、ドメイン、界、門、綱、属、種、類(taxon)、亜綱、亜種、血清型、株によって、または目的の微生物の特徴の任意の他の認識されている手段によって、特徴付けられている微生物であるように選択される。必ずしも必要ではないが、必要に応じて、目的の微生物は、それが密接に関係している微生物(単数または複数)から区別されるように選択される。ここでは、抗体またはプローブに基づくアッセイは、単独では、区別される微生物(単数または複数)から目的の微生物を適切に特徴付けるためには十分ではない。
【0117】
(粒子またはビーズの決定)
本発明の特定の実施形態においては、粒子またはビーズが、アッセイ方法において固体キャリアとして使用される。ここでは、粒子またはビーズに結合させられた微生物が決定される。特定のこれらの実施形態においては、粒子組成物に対して固有である特性が別々に決定されることがさらに必要である。これらのアッセイのためには、コードビーズ支持体が使用される。
【0118】
(コードビーズ支持体) コードビーズ支持体は、粒子に結合させられる構成成分の特性が別々に決定され得る、固有の別々に検出可能な特性を有する粒子またはビーズである。従って、多くの異なるタイプのコードビーズ支持体を別々に検出可能であるようにすることが可能であり、その結果、アッセイを、それぞれの異なる粒子またはビーズのタイプに対して目的のパラメーターを割り当てるように設計することができ、それによって粒子のタイプの決定によるそのパラメーターの決定のための方法を提供するように設計することができる。粒子のタイプに関係し得るパラメーターの限定的ではない例には、サンプル供給源または別の無関係なアッセイパラメーターが挙げられる。
【0119】
コードビーズ支持体を機器の補助なしに決定することができる機器によって、コードビーズ支持体を決定しなければならないとは意図されない。例えば、4個のコードビーズ支持体は、認識可能な赤、青、緑、および黄を含む場合がある。これらのコード支持体は認識できるように着色されているので、これらは、視覚的な分析によって、または所望される場合には、機器分析によって、決定することができる。
【0120】
(粒子分離機および粒子の分離)
本発明の特定の実施形態においては、粒子またはビーズが分類されること、およびその上の構成成分が決定されることが必要とされる。任意のフローサイトメーターは、アッセイがコードビーズ支持体を決定する必要がないという条件で、微粒子またはマイクロビーズの構成成分の特徴の決定に適切である粒子分離機である。アッセイがコードビーズ支持体を決定しなければならない場合は、フローサイトメーターは、決定を視覚的にまたは別の方法で行うことができる限りは、その決定を行うように備えられていなければならない。
【0121】
上記の背景のセクションで議論したように、Luminex 100(登録商標)は、コードビーズ支持体の決定、および上記の粒子に結合した構成成分の特性の決定の両方が可能である機器の典型である。従って、この機器は、多重アッセイのための手段を提供し、その結果、それぞれの異なるタイプのがコードビーズ支持体が、目的のパラメーター(特性)またはサンプル供給源についてコードするように使用される。そしてここでは、粒子またはビーズに結合させられる構成成分(単数または複数)は、個々の特性(単数または複数)について同時にまたは連続して分析される。本発明の状況では、粒子に結合させられる構成成分は、微生物または細胞である。Luminexは、それのコードビーズ支持体および/または機器が上記のコードビーズ支持体に対して固定される微生物または細胞の直接の分析に適切であるという教示または示唆を明確にはしていないことが注目される。
【0122】
(顕微鏡スライド)
本発明の他の好ましい実施形態においては、顕微鏡スライドである固体キャリアが選択される。顕微鏡スライドは、ガラス、石英、プラスチック、または光を透過する他の材料から作成され得る。顕微鏡スライドは有用な固体キャリアである。なぜなら、表面を、結合パートナーを用いて容易に改変することができ、次いで、固体キャリアに固定された染色された微生物を、適切に装備された顕微鏡において見ることができるからである。特定の好ましい実施形態においては、顕微鏡スライドは、それぞれの特有の同定可能な位置での、同じまたは異なる結合パートナーの適用によって、整列するように製造され得る。
【0123】
(アレイ)
本発明の他の好ましい実施形態においては、アレイである固体キャリアが選択される。アレイは、目的の特徴または特性を決定するために使用され得る方法において異なる、固有の同定可能な位置を含む。本発明の状況では、同じまたは異なる結合パートナーが、アレイの固有の同定可能な位置のそれぞれに連結される。好ましい実施形態においては、種々の結合パートナーが、アレイのそれぞれの固有の同定可能な位置に対して目的の種々の微生物を連結させるために選択される。
【0124】
(固体キャリアに対する結合パートナーの固定)
結合パートナーが固定のために連結され得る表面結合官能基を生じる目的のための表面の改変については、多数の表面化学が存在する。さらに、反応性官能基を保有している多数の固体キャリアが商業的に入手可能である。これらには、Luminexから入手可能なコードビーズ支持体(Luminex Product Literatureを参照のこと)、Amersham Pharmaciaのような販売業者から入手することができるクロマトグラフィーパック材料(Amersham Pharmacia Catalogを参照のこと)、およびCorningから入手可能なコートガラススライドが含まれる。そしてこれらは、マイクロアレイを形成するように使用され得る(www.corning,ny.comのCorning MicroArray technologyを参照のこと)。一旦、固体キャリアが利用可能な官能基を保有するように誘導されると、結合パートナーは、表面に結合させられた官能基と容易に反応させられ、それによって結合パートナーの固定を達成する。当業者はさらに、任意の固体キャリアを、所望される固定された結合パートナ(単数または複数)を保有しているあつらえの固体キャリアを形成するように、利用可能な表面化学技術を使用して誘導することができる。従って、本発明は、任意の特定の商業的に入手することができる固体キャリアまたは任意の特定の表面化学の改変によって限定されるようには意図されない。
【0125】
(本発明の利点)
本発明の利点は、捕捉アッセイで使用される結合パートナーの選択性および識別能力が、アッセイでの確実性および/または識別能力の2つの独立したレベルを提供する様式で、株、微生物、組織、または細胞に対して使用される分子プローブの選択性および識別能力と組み合わせられることである。従って、本発明のアッセイおよび組成物は、微生物、組織、および/または細胞を識別するより大きな能力、ならびに/あるいはアッセイの結果に関するより大きな確実性のいずれかあるいは両方を提供する。
【0126】
(III.本発明の好ましい実施形態)
(a.アッセイ方法)
((i)微生物の決定方法)
1つの実施形態においては、本発明は、区別される別の微生物(単数または複数)からサンプル中の目的の微生物を決定する方法に関する。この方法は、サンプルまたはその一部を、少なくとも1つの検出可能な分子プローブで処理する工程を包含する。ここでは、分子プローブ(単数または複数)は、以下のいずれかであるように選択される:(i)目的の微生物および他の微生物(単数または複数)の両方が目的の検出可能な微生物および区別される検出可能な他の微生物(単数または複数)を生じる様式で分子プローブと反応する;または(ii)目的の微生物のみが目的の検出可能な微生物のみを生じる様式で分子プローブと反応する。この方法に従うと、サンプルまたはその一部はまた、それに対して結合パートナーが固定されている固体キャリアと接触させられる。その結果、(i)が適応される場合は、結合パートナーは、目的の検出可能な微生物のみと反応するが、区別される検出可能な他の微生物(単数または複数)とは反応しないように選択される:しかし、(ii)が適用される場合は、結合パートナーは目的の検出可能な微生物と一般的に反応するが、また区別される他の微生物(単数または複数)とも反応し得るように選択される。一旦、微生物が染色されそして固体キャリアに固定されると、この方法は、固体キャリアに固定された検出可能な微生物の存在、非存在、位置、または数を決定すること、および結果を、サンプルまたはその一部の中の目的の微生物の存在、非存在、または数と相関させることを含む。
【0127】
目的の微生物の決定においては、この方法は、固体キャリアに対して固定された検出可能な微生物の存在、非存在、位置、または数との間の相関関係を、サンプルまたはその一部の中の目的の微生物の存在、非存在、または数を用いて作成することを必要とする。この相関関係はまっすぐである。なぜなら、この方法の実施によって決定される微生物は、サンプルまたはその一部に直接由来するからである。
【0128】
この方法の好ましい実施形態においては、分子プローブは、界(domain)、界(kingdom)、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株の全ての微生物を、これが目的の微生物を示すかどうかにはかかわらず、染色する。この好ましい実施形態については、これは、目的の微生物である界(domain)、界(kingdom)、門、綱、属、種、類、亜綱、亜種、血清型、または株について特異的な結合パートナーである。
【0129】
この実施形態の限定的ではない例として、分子プローブは、サンプル中の全ての細菌の染色に適切であるように選択される。ここでは、目的の微生物はSalmonella細菌である。従って、Salmonella細菌に対する抗体である固体キャリアに固定された結合パートナーの使用は、染色されたSalmonella細菌のみの決定、選択的固定を容易にする。他の微生物は固体キャリアに対しては固定されないので、これらは、それらが検出可能に染色される限りは、この方法によっては決定されない。従って、これは、本実施形態の目的の微生物についての最終的な選択性を提供する固体キャリアとの相互作用である。
【0130】
この方法の別の好ましい実施形態においては、分子プローブは、目的の微生物であるドメイン、界、群、綱、属、種、分類群、亜綱、亜種、血清型、または株のみを染色する。この好ましい実施形態については、結合パートナーは、これが目的の微生物を示すかどうかに拘らないが、目的の微生物が結合パートナーの結合能力の範囲内にあるという条件で、特定のドメイン、界、群、綱、属、種、分類群、亜綱、亜種、血清型、または株に結合するように選択される。
【0131】
この実施形態の限定的ではない例として、分子プローブは、Salmonella細菌の染色に特異的であるように選択される。ここでは、Salmonella細菌は、目的の微生物を示す。従って、全ての細菌に対する抗体である固体キャリアに固定された結合パートナーの使用は、全ての細菌の決定、選択的固定を容易にする。他の細菌は固体キャリアによって捕捉され得るが、これらは検出可能には標識されず、従ってこの方法によっては決定されない。従って、この実施形態の目的の微生物について最終的な選択性を提供するのは、染色の存在である。
【0132】
この方法のなお別の好ましい実施形態においては、分子プローブは、目的の微生物である、ドメイン、界、群、綱、属、種、分類群、亜綱、亜種、血清型、または株のみを染色する。この好ましい実施形態については、結合パートナーはまた、目的の微生物であるドメイン、界、群、綱、属、種、分類群、亜綱、亜種、血清型、または株のみに対して特異的である。
【0133】
この実施形態の限定的ではない例として、分子プローブは、Salmonella細菌の染色に特異的であるように選択され得る。ここでは、Salmonella細菌は目的の微生物の典型を示す。さらに、Salmonella細菌に特異的な抗体である固体キャリアに固定された結合パートナーの使用は、Salmonella細菌のみの決定、選択的固定を容易にする。この方法では、特異性は、分子プローブを使用する染色のレベルで、そして再び、抗体を使用する捕捉のレベルの両方で達成される。従って、この実施形態においては、アッセイは分子の識別の2つの異なるレベルで結果の確実性を提供する。
【0134】
分子の識別の2つのレベルでの確実性が非常に有用であることに注目するべきである。なぜなら、結合パートナーおよび分子プローブは選択的であるように設計されるが、これらは全ての微生物に対する交差反応、または他の妨害理由については試験され得ないからである。従って、たとえいくらかのレベルの交差反応が、分子プローブまたは結合パートナーのいずれかを用いてアッセイにおいて生じたとしても、分子の識別のそれぞれの異なるレベルで選択性が実質的に異なるので、特定の交差反応種が識別の両方のレベルで交差反応を示すことはおそらくない。結果として、結果の確実性は、アッセイが分子の識別の2つのレベルで尋問を行う本発明の特定の実施形態のようなポジティブな結果が必要である場合には有意に増大する。
【0135】
((ii)コードビーズ支持体を使用した、微生物を分類および決定する方法)
別の実施形態においては、本発明は、コードビーズ支持体を使用して、サンプル中の目的の微生物を分類および決定する方法に関する。この方法は、1つ以上の検出可能であるまたは独立して検出可能である分子プローブを用いてサンプルまたはその一部を処理する工程を包含する。ここでは、1つ以上の分子プローブが、以下のいずれかになるように選択される:(i)検出可能なプローブが同じ染色を有する異なる検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように種々の微生物と反応するか;あるいは(ii)独立して検出可能なプローブが、独立して検出可能な染色を有する、異なる独立して検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように、種々の微生物と反応する。この方法に従うと、サンプルまたはその一部はまた、1つ以上の異なるタイプのコードビーズ支持体と接触させられる。ここでは、異なるタイプのコードビーズ支持体のそれぞれが、適切な粒子分類機中で独立して決定され得、そしてここでは、異なるタイプのコードビーズ支持体のそれぞれが、特定の微生物を選択するように選ばれる特定の結合パートナーを固定する。その結果、検出可能なまたは独立して検出可能な微生物は、特異的結合パートナーの相互作用の発生の結果として、コードビーズ支持体に選択的に結合するようになる。この方法に従うと、異なるタイプのコードビーズ支持体は、次いで、適切な粒子分類機中で分類される。異なるタイプのコードビーズ支持体のそれぞれに対して固定された検出可能な微生物の存在、非存在、または数、あるいは独立して検出可能な微生物のそれぞれもまた、決定される。この結果に関しては、次いで、以下のいずれかが行われる:(iii)特定の固定された結合パートナーに関係しているコードと相関させられ、それによってサンプルまたはその一部の中の目的の種々の微生物のそれぞれの存在、非存在、または数が決定される;あるいは(iv)サンプルまたはその一部が由来するサンプル供給源についてのコードと相関させられ、それによって異なるサンプルのそれぞれまたはその一部の中の目的の種々の微生物のそれぞれの存在、非存在、または数が決定される。
【0136】
目的の微生物の決定においては、本発明の方法は、コードビーズ支持体に対して固定された検出可能な微生物の存在、非存在、または数との間の相関関係を、サンプルまたはその一部の中の目的の微生物の存在、非存在、または数を用いて作製することを必要とする。この相関関係は直接的である。なぜなら、この方法の実行によって決定される微生物は、サンプルまたはその一部に直接由来するからである。
【0137】
しかし、本発明の方法の特定の実施形態はまた、コードビーズ支持体の「コード」と特定の結合パートナーとの間で相関関係を作製することを必要とする。なぜなら、コードビーズ支持体が製造されるので、それに対して固定される結合パートナーの正体および特性は予め決定されておりそして既知である。繰り返すと、結果として、この相関関係は、直接的である。
【0138】
さらに、本発明の方法の特定の他の実施形態は、ビーズ支持体の「コード」と特定のサンプルの供給源またはその一部との間で相関関係が作製されることを必要とする。この実施形態については、それぞれのサンプルが特定のコード支持体に割り当てられ、そしてそれぞれのサンプルについての「コード」が予め決定されそして既知であるので、得られる相関関係はまた直接的である。
【0139】
本発明の方法の1つの好ましい実施形態においては、検出可能な分子プローブは、同じ染色を用いて目的の微生物を染色する。この実施形態については、コードビーズ支持体のそれぞれの種々のタイプのそれぞれに関係している結合パートナーは、目的の種々の微生物の1つに対して特異的であるように選択され、その結果、種々のタイプのコードビーズ支持体の分類によって、それぞれの特定のコードビーズ支持体に関係しているそれぞれの異なる結合パートナーの正体に基づいて、サンプルまたはその一部の中の目的の種々の微生物のそれぞれを決定する。
【0140】
この実施形態の限定的ではない例として、分子プローブは、サンプルまたはその一部の中の全ての細菌を染色するように選択される。ここでは、コードビーズ支持体の1つについての目的の微生物は、Salmonellaである。従って、Salmonella細菌に特異的な抗体が連結されるコードビーズ支持体(Bead Type 1)の使用は、Bead Type 1に対する染色されたSalmonella細菌のみの選択的な固定を容易にする。このコードビーズ支持体はSalmonella抗体の存在にのみ関係しているので、ビーズのコード(Bead Type 1)の決定は、上記のビーズ上での染色された微生物の決定と組み合わせて、サンプル中のSalmonella細菌の存在、非存在、または数の決定を行うために必要な情報の全てを提供する。
【0141】
同じサンプルがまた、例えば、Pseudomonas aeruginosaのような他の細菌について分析され得ることに注目すべきである。この方法に従うと、Pseudomonas aeruginosa細菌に特異的な抗体が連結される第2のコードビーズ支持体(Bead Type 2)は、Bead Type 2に対する染色されたPseudomonas aeruginosa細菌のみの選択的固定を容易にする。サンプルまたはその一部の細菌全てが同じ色で染色されるので、ビーズ(Bead Type 2)の「コード」の決定は、ビーズ上の染色された微生物の決定と組み合わせて、サンプル中のPseudomonas aeruginosa細菌の存在、非存在、または数の決定を行うために必要な情報の全てを提供する。従って、この方法は、多重分析を提供する。なぜなら、多く異なるコードビーズ支持体が、同じサンプル中に存在し得る目的の多数の異なる微生物の分析に使用され得るからである。
【0142】
さらに、この方法論を使用して同じサンプルから検出され得る目的の異なる微生物の数が、異なるビーズのタイプの利用可能性、および特異的結合パートナー複合体の利用可能性のよってのみ制限されることもまた、当業者に明らかである。それにもかかわらず、これはなお真の限界ではない。なぜなら、抗体はほとんどの抗原に対して惹起され得、そしてコードビーズはあつらえて作製され得るからである。
【0143】
この方法の別の好ましい実施形態においては、独立して検出可能な分子プローブは、目的の異なる微生物のいくつかまたは全てが別々に染色される限りは、目的の微生物の全てを染色する。この実施形態については、異なるタイプのコードビーズ支持体のそれぞれに関係している結合パートナーのそれぞれが、同じまたは異なって染色された微生物の中で選択されるように選ばれ、その結果、異なるタイプのコードビーズ支持体の分類は、それぞれの異なるタイプのコードビーズ支持体に対して結合した微生物の染色と組み合わせて考慮した場合に、サンプルまたはその一部の中の目的の種々の微生物のそれぞれを決定するために使用される。
【0144】
この実施形態の限定的ではない例としては、独立して検出可能な分子プローブのそれぞれが、目的の種々の微生物の染色に特異的であるように選択され、その結果、目的の異なる微生物は、染色された場合には独立して検出可能である。例えば、種々の目的の微生物は、Salmonella細菌、E.coli細菌、およびPseudomonas aeruginosa細菌である。ここでは、細菌は、それぞれ、赤、緑、および青色の蛍光団を有する、適切な蛍光団で標識された分子プローブを使用して染色される。この例については、結合パートナーは、以下であるように選択される:(a)同じコードビーズ支持体に対する細菌の結合に適切である;あるいは、(b)同じまたは異なるコードビーズ支持体への個々の細菌株の結合に適切である。以下に記載される実施例によって明らかであるように、アッセイが利用され、それによって(a)および(b)の両方が適用され得る。従って、(a)または(b)のいずれかを適用することは、本発明のこの実施形態の明確な限界ではない。
【0145】
簡素化のために、Bead 1上の結合パートナーがE.coliに特異的であり、そしてBead 2上の結合パートナーがSalmonella細菌およびPseudomonas aeruginosa細菌の両方に特異的であると仮定する。この方法では、(a)および(b)の両方の条件が一般的には満たされる。固体キャリアに結合させられた微生物の色は、選択性の1つのレベルを提供し、そして異なるコードビーズ支持体に関係している結合パートナーの性質は、選択性の第2のレベルを提供するので、ビーズに対して固定された微生物の色と、その上で色の決定が行われるそれぞれのビーズの「コード」の両方の決定によって、サンプルまたはその一部の中の種々の微生物の存在、非存在、または量を決定するために必要な情報の全てが提供される。
【0146】
より詳細には、状況(a)を適用する場合は、コードビーズ支持体の1つのみのタイプについて検出される赤、緑、または青色の蛍光団の存在、非存在、または量によって、サンプルまたはその一部の中のSalmonella細菌、E.coli細菌、およびPseudomonas aeruginosa細菌の存在、非存在、または数を決定する。結果として、この実施形態については、最終的な選択性は、分子プローブを使用して達成される。しかし、状況(b)を適用する場合には、ビーズは、外側の色について尋問(interrogate)され得る。この実施例においては、Bead 1は、緑色(E.coli)についての分析にだけ必要であり、そしてBead 2は、赤色(Salmonella細菌)および青色(Pseudomonas aeruginosa細菌)についての分析にのみ必要である。従って、多重アッセイのこの実施形態においては、選択性は、分子プローブの相互作用のレベルで、そして再度、それぞれの異なるコードビーズ支持体の性質によって決定されるように結合パートナーのレベルで、両方で達成される。従って、結果の確実性は、状況(b)において改善される。
【0147】
この方法のなお別の実施形態においては、独立して検出可能な分子プローブは、目的の微生物の全てを別々に染色する。この実施形態については、それぞれの異なるタイプのコードビーズ支持体に関係している結合パートナーは同じである。しかし、それぞれの異なるコードビーズ支持体は、異なるサンプルを「コード」し、その結果、それぞれの異なるコードビーズ支持体上の染色の決定によって、サンプルまたはその一部の中の異なる目的の種々の微生物のそれぞれを特異的に決定し、そしてそれぞれの異なるコードビーズ支持体が、サンプルまたはその一部の供給源を同定する。従って、ビーズの「コード」を考慮すると、それぞれのコードビーズ支持体上の微生物の色の決定は、それぞれ、サンプルおよびサンプル供給源中の微生物を決定するために必要な情報の全てを提供する。
【0148】
この実施形態の限定的ではない例として、100個の異なるコードビーズ支持体は全て、目的の5個の異なる微生物の捕捉に適切である抗体を用いて誘導される。試験されるそれぞれのサンプルに対して、存在する場合には、目的の5個の異なる細菌のそれぞれを、青、黄、オレンジ、赤、または緑のいずれか1つに染色する条件下で、5個の異なる蛍光標識分子プローブが添加される。試験される100個の異なるサンプルのそれぞれに対して、100個の異なるコードビーズ支持体の1つが添加され、その結果、100個全てのサンプルが、100個の異なるコードビーズ支持体の異なる1つによって同定され得る。ここでは、それぞれのコードビーズ支持体が異なるサンプルを「コードする」ので、コードビーズ支持体は、同時(混合物中で)または連続して分析され得、それによって多くの異なるサンプルまたはその一部についての結果を得ることができる。結果として、この方法のこの実施形態は、サンプルを多重化すること、および必要に応じてサンプル分析物の分析を多重化することに関する;サンプル分析物(目的の5個の異なる微生物のそれぞれ)が、5個の異なる独立して検出可能な分子プローブを使用して多重化され、そしてそれぞれの異なるサンプル供給源が、独立して決定可能なコードビーズ支持体を使用して多重化されることが注目される。従って、この実施例においては、アッセイの多重化の多数のレベルが実行され、その結果システムのスループットが実質的に改善される。
【0149】
決定され得る目的の種々の微生物の数は、調製され得る種々の独立して検出可能な分子プローブの数によってのみ限定され、そしてサンプルあたりの5個の微生物は、この方法についての限界とは意図されないことに留意すべきである。さらに、コードビーズ支持体の100個の異なるタイプは、この方法の限界とは意図されないことは明らかである。
【0150】
((iii)アレイを使用する微生物の分類および決定方法)
なお別の実施形態においては、本発明は、アレイを使用して、サンプル中の目的の種々の微生物を分類および決定する方法に関する。この方法は、サンプルまたはその一部を、1つ以上の検出可能なまたは独立して検出可能な分子プローブで処理する工程を包含する。ここでは、1つ以上の分子プローブが、以下のいずれかであるように選択される:(i)検出可能なプローブが、同じ染色を有する種々の検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように、種々の微生物と反応するか;あるいは(ii)独立して検出可能なプローブが、独立して検出可能な染色を有している、種々の独立して検出可能な微生物を生じる様式で決定されるように、種々の微生物と反応する。この方法に従うと、サンプルまたはその一部は、結合パートナーが特有の同定可能な位置で固定されている、固体キャリアアレイと接触させられる。その結果、検出可能なまたは独立して検出可能な微生物は、特異的な結合パートナー相互作用の発生の結果としてアレイ上の位置に選択的に結合させられる。次いで、アレイの多くの異なる位置で固定された検出可能であるかまたは独立して検出可能な微生物の存在、非存在、または数が決定され、そして結果が、アレイ上のそれぞれの位置に対して固定された特定の結合パートナーと相関させられ、それによってサンプル中の目的の種々の微生物の存在、非存在、または数が決定される。
【0151】
目的の微生物の決定において、この方法は、固体キャリアに対して固定された検出可能な微生物の存在、非存在、位置または数と、サンプルまたはその一部における目的の微生物の存在、非存在または数との間で、相関させることを必要とする。この相関関係は、直線的である。なぜなら、アレイは、分類を提供するが、この方法の実施によって決定される微生物は、サンプルまたはその一部に直接由来するからである。
【0152】
この方法の1つの実施形態においては、検出可能な分子プローブ(単数または複数)は、同じ染色で、異なる全ての微生物を染色する。この実施形態については、結合パートナーは、目的の異なる微生物の各々について特異的であるように選択され、その結果、固有の位置で生じる結合パートナー相互作用から生じる、そのアレイ上での微生物の分類を使用して、それによって、その固有の位置での異なる結合パートナーの正体にのみ基づいて、サンプルまたはその一部における各々の目的の異なる微生物を決定する。このアレイは、製造されたものであるので、固有の識別可能な位置での各結合パートナーの正体は、予め決定されておりそして既知である。
【0153】
この実施形態の非限定的な例として、分子プローブは、サンプル中の全ての細菌を赤色蛍光団で染色するように選択される。さらに、3個の異なる結合パートナーのアレイが、そのアレイ上の各々の固有の識別可能な位置(「スポット」)で、Salmonella細菌、E.coli細菌およびPseudomonas aeruginosa細菌の各々に対して、その3つの結合パートナーのうちの異なる1つが固定されるように、調製される。従って、このアレイは、Salmonellaスポット、E.coliスポットおよびPseudomonas aeruginosaスポットを含むと言われ得る。結果として、そのアレイ上の1以上の「スポット」での赤色蛍光団の決定は、固有の識別可能な位置で固定された結合パートナーの正体と相関させた場合に、サンプルまたはその一部におけるSalmonella細菌、E.coli細菌およびPseudomonas aeruginosa細菌の各々の存在、非存在または量を決定するために必要な情報を提供する。
【0154】
この方法のなお別の実施形態において、目的の異なる微生物の一部または全てが別々に染色される場合に、独立して検出可能な分子プローブ(単数または複数)が、目的の微生物の全てを染色する。この実施形態については、アレイ上の固有の位置に会合している各々の結合パートナーは、同じ微生物間または異なるように染色された微生物間を選択するように選択され、その結果、固有の位置で生じる結合パートナー相互作用によって生じる、そのアレイ上での微生物の分類を使用して、各々の固有の位置に結合された微生物(単数または複数)の染色と組み合わせて考慮した場合に、サンプルまたはその一部における目的の各々の異なる微生物を決定する。
【0155】
この実施形態の非限定的な例として、2以上の独立して検出可能な分子プローブが、サンプルまたはその一部におけるSalmonella細菌、E.coli細菌およびPseudomonas aeruginosa細菌を、それぞれ、赤色、緑色または青色の蛍光団を用いて染色するように選択される。さらに、2つの異なる結合パートナーのアレイが、そのアレイ上の各々の2つの固有の識別可能な位置(スポット)で、Salmonella細菌およびE.coli細菌がスポット1で結合パートナーに対して結合し、そしてPseudomonas aeruginosa細菌がスポット2で結合パートナーに結合するように、調製される。従って、そのアレイ上の各々の「スポット」での赤色、緑色または青色の蛍光団の決定は、その固有の識別可能な位置で固定された結合パートナーの正体と相関させた場合に、サンプルまたはその一部におけるSalmonella細菌、E.coli細菌およびPseudomonas aeruginosa細菌の各々の存在、非存在または量を決定するために必要な情報を提供する。詳細には、赤色(Salmonella)および/または緑色(E.coli)のシグナルが、スポット1で決定されるはずであり、そして青色(Pseudomonas aeruginosa)のシグナルは、スポット2で決定されるはずである。この方法のこの実施形態においては、アッセイの確実性が増大されることに留意すべきである。なぜなら、これらの微生物のいくつかについての選択性は、分子プローブのレベルおよび選択された結合パートナーのレベルの両方で達成されるからである。従って、これは、本明細書中で記載される本発明の方法を用いて得られ得る、多重化における可撓性のなお別の例である。
【0156】
((iv)上記の方法の一般的特性:)
この方法に従うと、検出可能な分子プローブは、核酸および非核酸オリゴマーからなる群より選択される。好ましい実施形態においては、この非核酸は、ペプチド核酸オリゴマーである。
【0157】
この方法に従うと、検出可能な分子プローブは、検出可能な部分で標識される必要はない。これらの実施形態については、検出可能な分子プローブは、検出可能なプローブ/標的配列複合体に対して特異的に結合する検出可能な抗体を使用して、検出され得る。好ましくは、これらの実施形態について、検出可能な分子プローブは、未標識のペプチド核酸であり、そしてペプチド核酸/標的配列は、適切な検出可能な抗体で検出される。
【0158】
本発明の他の好ましい実施形態においては、検出可能な分子プローブは、検出可能な部分で標識される。本発明の実施に適切である好ましい検出可能な部分には、発色団、蛍光色素、スピン標識、放射性同位元素、酵素、ハプテン、および化学発光化合物が含まれる。
【0159】
任意の上記方法の成功には、分子プローブでの染色は、固体キャリアへの粒子、細胞または組織の固定化の前、その間またはその後に行われるかどうかは、その両方の工程が、微生物(単数または複数)の決定の前に行われる限り、重要ではない。従って、1つの実施形態においては、サンプルまたはその一部を、固体キャリアと接触させる前に、検出可能な分子プローブ(単数または複数)で処理する。別の実施形態においては、サンプルまたはその一部を、検出可能な分子プローブ(単数または複数)で処理する前に、固体キャリアと接触させる。なお別の実施形態においては、サンプルまたはその一部を、同時に、固体キャリアと接触させ、そして検出可能な分子プローブ(単数または複数)で処理する。
【0160】
(b.組成物:)
なお別の実施形態においては、本発明は、1つ以上の検出可能な分子プローブで染色された、1つ以上の微生物、および結合パートナーが固定されている、固体キャリアを含む、組成物に関する。これらの1つ以上の微生物は、その微生物とその結合パートナーとの相互作用を介して、固体キャリアに連結される。この実施形態については、好ましくは、結合パートナーは、抗体であり、そして微生物は、抗体に対する抗原である。他の好ましい実施形態においては、固体キャリアは、目的の多くの異なる微生物に対する抗体を含む、固体キャリアアレイであり、これらの微生物は、そのアレイ上の固有の識別可能な位置で各々固定されている。あるいは、固体キャリアは、コード化されたビーズ支持体、顕微鏡スライドまたは膜である。
【0161】
なお別の実施形態においては、本発明は、1つ以上の分子プローブで検出可能にかまたは独立して染色されている、目的の2以上の異なる微生物、および2つ以上の異なる型のコード化されたビーズ支持体の混合物を含む、組成物に関する。異なる型のコード化されたビーズ支持体の各々に対して、目的の特定の微生物を検出するように選択された、異なる結合パートナーが固定化されており、ここで、その異なる検出可能な微生物または独立して検出可能である微生物が、この結合パートナーとこの微生物との特異的結合相互作用の発生の結果として、そのコード化されたビーズ支持体に選択的に結合される。この実施形態については、好ましくは、結合パートナーは、抗体であり、そして微生物は、抗体に対する抗原である。
【0162】
なお別の実施形態においては、本発明は、1つ以上の分子プローブで検出可能にかまたは独立して染色されている、目的の2以上の異なる微生物、および結合パートナーが固有の識別可能な位置で固定化されている、固体キャリアアレイを含む、組成物に関し、その検出可能にかまたは独立して染色された微生物は、特異的結合パートナー相互作用の発生の結果として、そのアレイ上のその位置で選択的に結合される。この実施形態については、好ましくは、結合パートナーは、抗体であり、そして微生物は、抗体に対する抗原である。
【0163】
本発明の好ましい実施形態が記載されているが、ここでは、本明細書中に記載されている概念を含む他の実施形態が使用され得ることが、当業者に明らかとなる。従って、これらの実施形態および実施例は、開示されている実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されるべきであると考えられる。
【0164】
(発明の実施の形態)
ここで、本発明を、以下の実施例によって例示し、この実施例は、いかようにも限定するものとは意図されない。
【実施例1】
【0165】
(実施例1:)
(分子プローブとしてのPNAオリゴマー:)
PNAオリゴマーを、ここでは、市販の試薬およびApplied Biosystems,Foster City,CAから入手した機器から、周知の方法を使用して調製した。
【0166】
(調製したPNAオリゴマー:)
【0167】
【表1】

【0168】
全てのPNA配列を、アミノ(N)末端からカルボキシル(C)末端方向で記載する。Flu=5(6)−カルボキシフルオレセイン;O=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸。
【0169】
(実験方法:)
(細胞の固定)
Salmonella choleraesuis細胞およびListeria monocytogenes細胞を、10,000rpmで5分間の遠心分離によって10〜20mLの対数増殖中の培養物をペレット化することによって、固定した。培地を除去し、そして細胞ペレットを等量の緩衝液A中に再懸濁した。細胞懸濁物を10,000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。細胞を等量の緩衝液B中に再懸濁し、室温で1時間インキュベートし、10,000rpmでの遠心分離によってペレット化し、そして緩衝液Aで洗浄した、最終的な細胞ペレットを、等量の緩衝液C中に再懸濁し、そして最低30分間、−20℃で保存した。
【0170】
(緩衝溶液)
A 130mM NaCl、7mM NaHPO、7mM NaHPO、pH7.0
B 緩衝液A中の4% パラホルムアルデヒド
C 水中の50% エタノール
D 25mM Tris pH9.0、0.5% SDS、100mM NaCl
E 10mM Tris pH9.0、1mM EDTA。
【0171】
(ハイブリダイゼーション)
ハイブリダイゼーションのために、100μLの固定した細胞を、10,000rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、100μlの緩衝液A中に再懸濁し、上記に記載したようにペレット化し、そして最後に100μLの緩衝液D中に再懸濁した。次いで、フルオレセインで標識したBac Uni PNAプローブを、300pmol/mLの最終濃度になるように添加した。次いで、反応物を55℃で30分間インキュベートした。反応物を上記のようにペレット化し、そしてペレットを、55℃で10分間、500μL緩衝液E中で洗浄し、続いて、10,000rpmで5分間遠心分離した。この洗浄工程を、2回繰り返し、全部で3回の洗浄を行った。最後の細胞ペレットを、100μLの緩衝液E中に再懸濁した。
【0172】
(抗体でコートしたビーズ上への捕捉)
2つの型のコード化されたビーズを、Luminexから入手した。1つは、Salmonella特異的抗体でコートされており(OEM Concepts,Toms River NJ; 「Salmonella beads」)、そして1つは、Listeria特異的抗体でコートされている(OEM Concepts,Toms River NJ; 「Listeria beads」)。各型のコード化されたビーズの25μLのアリコートを、遠心分離によってペレット化し、そして25μLの緩衝液E中に再懸濁した。これらの再懸濁したビーズおよびハイブリダイゼーション反応物を、等量(各5μL)で混合し、そして室温で2時間、振盪させながら、インキュベートした。捕捉反応には、各コード化されたビーズ型に対するS.choleraesuisでの処理、および各ビーズ型に対するL.monocytogenesでの処理を含んだ。反応物を、予め加熱した(約60℃)顕微鏡スライド上に2μLのサンプルを広げることによって分析した。次いで、スライドを約60℃に設定した加熱ブロック上で乾燥させた。次いで、マウンティング媒体(Vector Laboratories)の2μLのアリコートを添加し、そしてカバーガラスを被せた。次いで、全てのスライドを、60×の倍率および二重バンドパスフルター(FITC/Texas Red)を使用して顕微鏡で試験した。
【0173】
(結果:)
図1を参照すると、Salmonellaビーズ(赤色の丸)は、緑色に染色されたS.choleraesuis細胞を効率よく捕捉したが(図1A)、緑色に染色されたL.monocytogenes細胞には結合しなかった(図1B)。顕微鏡試験によると、L.monocytogenesに結合したビーズ(<1%)と比較して、約25%のビーズが、S.choleraesuis細胞に結合された。図2を参照すると、Listeriaビーズ(赤色の丸)は、緑色に染色されたL.monocytogenes細胞を捕捉したが(図2A)、S.choleraesuis細胞もまた、Listeria特異的ビーズによっても捕捉された(図2B)。おそらく、Listeriaビーズを用いて観察されたこの非特異的結合は、その捕捉条件が最適でないことに起因して生じている。あるいは、Listeriaビーズとの特異性の欠如は、ビーズをコートするために使用した抗体の特異性の欠如に起因し得る。従って、この結果は、何故、多重レベルでの分子識別の選択性が、好ましい分析手段であるかを強調する。将来の実験は、何故、その選択された特異性が、Listeriaビーズを用いて達成できなかったのかを、決定するために計画される。
【0174】
図2Aは、CCDカメラを備えた顕微鏡を用いて撮影した、赤色および緑色の画像の複合デジタル画像のプリントである。画像中の赤色の丸は、コード化されたビーズ支持体であり、そして緑色の棒は、ビーズの表面に固定されたSalmonella choleraesuis細菌である。
【0175】
図2Bは、CCDカメラを備えた顕微鏡を用いて撮影した、赤色および緑色の画像の複合デジタル画像のプリントである。画像中の赤色の丸は、コード化されたビーズ支持体であり、そして緑色の棒は、ビーズの表面に固定化されたListeria monocytogenes細菌である。
(配列表)
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1A】図1Aは、CCDカメラを備えた顕微鏡を用いて撮影した、赤色および緑色の画像の複合デジタル画像のプリントである。画像中の赤色の丸は、コード化されたビーズ支持体であり、そして緑色の棒は、ビーズの表面に固定されたSalmonella choleraesuis細菌である。
【図1B】図1Bは、CCDカメラを備えた顕微鏡を用いて撮影した、赤色および緑色の画像の複合デジタル画像のプリントである。画像中の赤色の丸は、コード化されたビーズ支持体であり、そして緑色の棒は、ビーズの表面に結合していない、Listeria monocytogenes細菌である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2009−75128(P2009−75128A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316302(P2008−316302)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【分割の表示】特願2002−546224(P2002−546224)の分割
【原出願日】平成13年11月29日(2001.11.29)
【出願人】(503076995)ボストン プローブス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】