説明

微生物を同定するための方法およびデバイス

本発明は、サンプル由来の少なくとも一つの微生物および/または微生物種の同定ならびに少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部の測定のための方法およびデバイスに関する。本方法は、二つの異なる蛍光剤および二つの異なる波長の光での励起の使用を含む。サンプルをフローに供する。さらに、本発明は、微生物の同定およびその一部の測定のための上記方法およびデバイスの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル由来の一つまたは複数の微生物および/または微生物種の同定ならびに少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部の測定のための方法およびデバイスならびに上記方法および上記デバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
混合微生物サンプルからの微生物の種特異的同定および計算は、現在使用されている方法では遅く扱いにくい。「混合微生物サンプル」は、本明細書中で、いくつかの微生物および微生物種を含むサンプルを意味するために使用される。混合微生物サンプルの典型的な例には、排泄物および排水が含まれる。例えば、ヒトの排泄物は、300〜400種の異なる細菌が含まれることが見出されており、サンプル中の細菌細胞の細菌密度はサンプル1gあたり1011個である(Human fecal flora: the normal flora 20 Japanese−Hawaiians; W.E.C.Moore and L.V.Holdeman,Applied Microbiology,1974,vol.27,p.961−979)。例えば、混合細菌サンプル由来の細菌種の同定および計算のための現在最も適用されている方法は、蛍光顕微鏡を使用した顕微鏡検査−FISHである(Extensive set of 16S rRNA− based probes for detection of bacteria in human feces; H.J.M.Harmsen et al.,Applied and Environmental Micro− biology,2002,vol.68,p.2982−2990)。略語「FISH」は、用語「蛍光in situハイブリッド形成(Fluorescence In Situ Hybridization)」に由来する。FISHは、配列特異的プローブを同定される細胞の核酸配列に結合(すなわち、ハイブリッド形成させる)させる一般に使用されている分子生物学的技術である。プローブは、細胞に移入された場合にそれ自体に相補的な塩基と結合する塩基の順序が決定された短い核酸配列である。プローブの特異性は、プローブの塩基配列の適合性および相補性塩基配列の適合性に基づく。細菌リボゾームの16S rRNAまたは23S rRNA構造単位の核酸は、微生物学的FISH技術で使用されるプローブの標的配列として機能する。ハイブリッド形成では、プローブは、プローブおよび標的細胞の16S rRNAまたは23S rRNAの配列が形成する塩基が適合する場合のみ標的細胞の配列に結合する。16S rRNAおよび23S rRNA分子をコードする遺伝子領域は、進化過程でほとんど変化しないままである。目的の遺伝子(the genes in question)およびリボゾーム構造は、その進化の歴史を考慮した場合に密接なこれらの細菌種の配列に関して類似している。これによって、16Sまたは23S rRNAに結合するプローブを、互いに関連するいくつかの細菌群の16S rRNAまたは23S rRNA核酸配列とのみ結合するように調製することができる(Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation; R.I.Amann etal.,Microbiological Reviews,1995,vol.59,p.143−169)。したがって、例えば、bifidoacterium属に特異的なプローブを作製することができる。16S rRNAハイブリッド形成では、一つの細菌細胞中に、プローブ配列に適切な16S rRNA分子片が100から数千存在するため、プローブ数が十分である場合、一つの細菌細胞に結合するプローブは数百または数千に及ぶ。
【0003】
FISH技術では、ハイブリッド形成細菌の同定は、プローブへの結合物が蛍光分子(すなわち、蛍光色素)であるという事実に基づく。蛍光色素は、これら特有の吸収スペクトルの波長でエネルギーを吸収した場合に励起する。励起状態を得るためには、蛍光分子の電子がエネルギー量子を吸収し(すなわち、受け取り)、電子殻外に移動することが必要である。励起状態が失活するにつれて電子が放出され(すなわち、エネルギー量子が得られる)、その基底状態に崩壊する。各蛍光色素の吸収スペクトルでは、吸収極大(すなわち、蛍光色素が最も吸収する波長)が存在する。励起状態が失活するにつれて、蛍光色素は励起波長よりも長い波長の光子を発する(すなわち、蛍光を発する)。放射光の波長は、分布も形成する(すなわち、発光スペクトル)。発光スペクトルの発光極大は、蛍光色素が最も発光する波長である。吸収極大と発光極大との間の相違は、ストークスシフトと呼ばれる。FISH法で使用される典型的な蛍光色素はフルオレスカミンであり、その吸収極大は494nmであり、発光極大は520nmであるので、ストークスシフトは26nmである(Handbook of Fluorescent Probes and Research Products,Molecular Probes)。歴史上の理由のために、フルオレスカミンは最も使用されている蛍光色素であり、一般に、基準蛍光色素として使用されている。この使用の欠点には、強度の減少(光退色)が比較的早く、顕微鏡検査−FISH法での細菌の計算が困難となることが含まれる。さらに、フルオレスカミンによって発せられた光の強度のpH感受性により多くの適用で使用が困難であり、試薬作製が遅くなる。フルオレスカミンは発光スペクトルも広く、いくつかの蛍光色素を使用した適用に使用するのは困難である。通常、顕微鏡FISH法では、サンプルを、広い波長スペクトルの光源で照射し、この場合、プローブに結合した標識が励起され、その発光スペクトルの波長に比例して発光する。適切な波長フィルターを介して顕微鏡FISHで使用される蛍光顕微鏡によってサンプルを精査する場合、発光粒子として(すなわち、暗い顕微鏡視野中の明るいドットとして)ハイブリッド形成された細菌のみが視覚可能となる。
【0004】
FISH技術は、一般に、全細菌(すなわち、サンプル中の総細菌数)を計算するためのDNA染色と組み合わせる。天然の混合細菌サンプルは、常に細菌に加えて非細菌起源の物質も含む。これらの例には、排泄物の繊維および排水の非有機物質が含まれる。使用されるDNA色素は、一般に、DNAの二重らせんに挿入される蛍光色素であり、結合の結果として蛍光色素の強度が何倍にもなる。DNA色素の例には、ヨウ化プロピジウムおよびヨウ化エチジウムが含まれる。DNA色素はまた、ハイブリッド形成した細菌に結合する。異なる色でプローブとハイブリッド形成した細菌と全てのDNA染色細菌とを区別することができるように、DNA色素の発光スペクトルがプローブに結合した蛍光色素の発光スペクトルと異ならなければならない。DNA色素の吸収スペクトルはまたしばしばプローブの色の吸収スペクトルと異なる。FISHと組み合わせたDNA染色の使用により、ハイブリッド形成されてDNA染色された標的細菌をDNAが染色されただけの残りの細菌サンプルおよびDNAを含まないDNA非染色粒子と区別することが可能である。
【0005】
顕微鏡検査−FISH法では、ハイブリッド形成された混合細菌サンプルを、蛍光顕微鏡を使用して精査する。この方法では、顕微鏡スライドに結合したサンプルを、広い波長スペクトルの光源で照射し、この場合、サンプル中の蛍光色素がエネルギーを吸収してその発光スペクトルの波長分布にしたがって発光する。サンプルから反射した光の異なる波長をフィルタリングする光学部品によってサンプルを精査する。ハイブリッド形成細菌数を計算するために、プローブの蛍光色素による発光のみを通過するフィルタを使用する。総細菌数を計算するために、DNA色素による発光のみを通過するフィルタを使用する。サンプルの標的細菌数および総細菌数を知ることにより、標的細菌部分を計算することができる。
【0006】
顕微鏡検査−FISH法の欠点は、非特異的ハイブリッド形成に起因する遅さおよび結果の解釈の性質を含む。非特異的ハイブリッド形成では、ハイブリッド形成されるプローブは実際の標的細菌以外の核酸に結合し、さらに、細菌の表面構造に結合する。細菌に非特異的にハイブリッド形成するプローブ数は、通常、実際のハイブリッド形成された標的細菌中のプローブ数よりも少ないが、小数のプローブでさえも細菌をそのバックグラウンドよりも明るく照らす。これにより、顕微鏡検査−FISHにおける解釈が困難になる。この方法に詳しい当業者は、1時間あたり数千までの細菌を計算することができる。混合細菌サンプル中に含まれる大量の細菌から、妥当な時間を使用して非常に小さな部分しか計算することができず、サンプル数は少ないままである(Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation;R.I.Amann et al.,Microbiological Reviews,1995,vol.59,pp.143−169)。これらの理由により、顕微鏡検査−FISH法によって得られた結果の再現性は、しばしば満足できない。
【0007】
顕微鏡検査−FISHに関連する欠点により、これに代わるより迅速且つ信頼できる方法の開発が試みられている。一つの他の解決として、顕微鏡の接眼レンズをビデオまたはデジタルカメラに接続する方法が提供されている。カメラで撮影された画像を、調整した発光限度よりも明るい各画像粒子から同定して試験すべき細菌としてこれらを分類するコンピュータ化画像処理プログラムを使用して分析した(Automatic signal classification in fluorescence in situ hybridization images; B.Lerner et al.,Cytometry,2001,vol.43,p.87−93)。この方法を使用して、被分析物の速度を少し改良することができるが、サンプルの分析速度はずいぶん遅い。手動顕微鏡検査−FISHなどの場合、自動化顕微鏡検査−FISHにおける問題は、同定すべき発光限度の決定および非特異的ハイブリッド形成細菌とハイブリッド形成標的細菌との区別である。自動化顕微鏡検査−FISHの使用は広く受け入れられていない。
【0008】
フローサイトメトリーは、数十年間にわたり使用されている液体中の粒子を迅速に分析および計算することができる方法である。多数の粒子を溶液に懸濁することができる。フローサイトメトリーによって、サンプル粒子由来の数種のパラメータを同時に測定することが可能である。フローサイトメトリーは、種々の臨床および工業用途、特に生体臨床医学で使用されている。フローサイトメトリーは、現在、液体真核細胞サンプルの最も重要な定量的同定法および計算法である。特に、ヒト血液中の白血球は、自動化フローサイトメトリーによって日常的に精査されている。その代わりに、原核細胞(すなわち、細菌)のフローサイトメトリー分析法は広く受け入れられていない。フローサイトメトリー装置の技術レベルおよびフローサイトメトリーのノウハウレベルは、フローサイトメトリーに基づく細菌分析および計算法が一般的になることへの障害となり、真核細胞よりも非常に小さな原核細胞の分析に信頼できるレベルではない。しかし、最近10年間で、フローサイトメトリー装置の開発を機に、フローサイトメトリーを基本とした細菌分析方法が発表された(Flow cytometry and cell sorting of heterogeneous microbial populations:the importance of single−cell analyses;H.M.Davey and D.B.Kell,Microbiological Reviews,1996,vol.60,p.641−696)。現在公知の方法は、日常的使用に適切ではなく、混合微生物サンプルの微生物濃度の計算に使用することができない。また、分析サンプルは、考慮されるその全範囲の種として未知の排泄物と同種の混合微生物サンプルではなかった。本発明の方法は、フローサイトメトリーと蛍光ハイブリッド形成プローブとの同時使用を基本としない(例えば、米国2002/076,743号、米国6,165,740号、ドイツ19608320号、ドイツ19945553号、欧州337189号)。科学論文では、主に、血液中の細菌と白血球との間の相互作用、細菌の代謝過程および成長、ならびに死んだ細菌からの生きた細菌の分離を試験する一つの細菌種を含む純粋培養サンプルの分析に注目している(Analysis of bacterial function by multi−colour fluoresencece flow cytometry and single cell sorting;G.Nebe−von−Caron et.al.,Journal of Microbial methods,2000,vol.42,p.97−114)。細菌に結合する抗体を使用したフローサイトメトリーによる混合細菌サンプルの試験が試みられている(Multiparameter flow cytometry of bacteria:implications for diagnostics and therapeutics;H.M.Shapiro,Cytometry,2001,vol.43,pp.223−226、Detection of plant pathogenic bacterium Xanthomas campestris pv.,Campestris in seed extracts of Brassica sp.applying fluorescent antibodies and flow cytometry;L.G.Chitarra et al.,Cytometry,2002,vol.47.,p.118−126、ならびにD.Vailに付与された米国特許第6225046号およびL.Terstappenに付与された欧州特許第0347039号)。しかし、抗体は細菌種特異的でないので、抗体使用を基本とした方法は、混合細菌サンプルの信頼できる種特異的試験を行うことができていない。抗体は、種または属特異的ではない細菌の表面構造に結合し、種々の種の細菌に結合することができる。種々の異なる細菌で同一の表面構造を見出すことができ、他方では、同一の株の細菌は非常に異なる表面分子を有し得る(What determines arthritogenicity of a bacterial cell wall?;X.Zhang,doctoral thesis,2001 University of Turku)。
【0009】
フローサイトメトリーの主な成分には、加圧サンプル供給システム、レーザ、およびシグナル同定装置が含まれる。フローサイトメーターを使用して得た試験すべき粒子に関するデータを、フローサイトメーターに接続したコンピュータによって分析する。フローサイトメーターの加圧サンプル供給システムは、試験サンプルをサンプル供給ニードルにポンピングする。サンプルをニードル先端の穴からシェルフルイドを含むフローチャンバーに流す。シェルフルイドとして、サンプル溶液とその光学的性質が類似の溶液を使用する。サンプル供給ニードルからのサンプル溶液の狭流周囲のシェルフルイドは、互いに離れたサンプル流中の粒子を推進して均一なラインを形成する。この事象は、流体力学的絞込みと呼ばれる。粒子のラインを、レーザビームが粒子に対して直角にあたるような様式でフローサイトメーター中に含まれるレーザと並べられている。サンプル供給装置およびレーザに加えて、フローサイトメーターの第三の重要なハードウェア成分は、シグナル同定装置である。試験すべきサンプル中の粒子により、レーザビームが散乱する。レーザの入射方向に対して小さなアングルでのレーザの移動方向でのレーザビームの散乱を、光ダイオードによって同定する。散乱角のサイズを、前方散乱パラメータ(FSC)として測定する。光電子増幅管によってその移動方向がより大きな角度のレーザの散乱を、側方散乱パラメータ(SSC)として測定する。レーザビームに接した大きな粒子が小さな粒子より大きなレーザビームを散乱する様式で、FSCはおおよそ同定される粒子のサイズに相関する。SSCパラメータは、粒子の形状および粒状性と相関する。SSCおよびFSC検出器に加えて、シグナル同定装置は、サンプルからの蛍光を同定するための光電子増幅管を含む。レーザの高エネルギー光子が、試験される粒子中の蛍光色素などの蛍光剤を励起する。蛍光色素の励起状態が失活するにつれて、その発光スペクトルにしたがって蛍光を発光する。適切な波長を同定する光電子増幅管によって蛍光を測定する。一般にレーザに関してSSC検出器と同一の方向に蛍光検出器を配置する。レーザの入射方向および流動物の流れに対して直角の適切な波長を同定するための光電子増幅管によって発光を記録する。最も一般的なフローサイトメーターでは、4つの光電子増幅管(したがって、その略称は、FL1、FL2、FL3、およびFL4)によって蛍光を同定する。FL検出器の照射列上に配置した波長フィルターを、所定の波長領域のみを同定するためにそれぞれ使用する。試験すべき粒子と装置のバックグラウンドノイズおよびサンプル溶液の不純物とを区別するために、一つまたは複数の散乱または蛍光チャネルの閾値を決定することが可能である。目的のチャネル(the channel in question)上の粒子が閾値を超えるシグナルを発する場合、フローサイトメーターの電子機器が目的の粒子(the particle in question)のパラメータを測定する。閾値チャネル上の粒子によって生じたシグナルが閾値未満の場合、粒子のパラメータは測定されないままである。試験すべき粒子が測定されないままとならないように(すなわち、分析すべきサンプルが典型的であり、且つ誤認識されないように)閾値を設定すべきである。フローサイトメーターの異なる検出器から集められた測定シグナルをシグナル処理装置に導入し、コンピューターソフトウェアプログラムによって得られたデータを分析する。一般に、試験すべきサンプル中に含まれる粒子を、両軸上に同定パラメータ(FSC、SSC)の一つまたは蛍光チャネルの一つが存在する二次元点図表に示す。同型の粒子がドット群(すなわち、集団)を形成する場合、同定された粒子を図中にドットとして示す。点図表を使用する場合、サンプルから一度にたった二種の変数しか分析できない。二つを超える変数に基づいて集団を分取することを所望する場合、一つを超える点図表で分析しなければならない。
【0010】
顕微鏡検査に基づいたFISH適用とフローサイトメトリーとの間の大きな相違は、サンプル中の蛍光色素などの蛍光剤の励起のために使用する光源の相違である。顕微鏡検査−FISHでは、サンプルに種々の励起波長を有する蛍光色素を励起することができる広範なスペクトルの光同時に照射する。波長フィルターの変化により、同一のサンプルから所望の蛍光色素を含む微生物集団を一度に計算することが可能である。フローサイトメトリーでは、蛍光色素は、しばしば一つの波長を含むレーザで励起させる。一つまたは複数の蛍光色素を同時に試験するために一つのレーザを具備したフローサイトメーターを使用する場合、同一の波長で励起されるように蛍光色素を使用しなければならないが、その発光は、各集団をそのFL検出器によって同定することができるように互いに異なる。このような蛍光色素の組み合わせの使用は、真核細胞サンプルの分析で一般的であるが、FISH技術に適切な蛍光色素の組み合わせは知られていない(Handbook of Fluorescent Probes and Research Products,Molecular Probes)。実際、これは、フローサイトメトリー−FISHを使用して、プローブとハイブリッド形成した標的集団とサンプルの他の微生物を含むDNA染色集団のみ由来の染色DNAならびに非微生物起源の粒子から形成されたバックグラウンド集団を同一の分析で区別して計算することは不可能であることを意味している。
【0011】
研究での使用のみで適用可能な以前のフローサイトメトリー−FISH法では、サンプルの16S rRNAハイブリッド形成標的集団の残りの細菌およびバックグラウンド集団との区別は、いくつかの個別の分析および蛍光パラメータ以外のパラメータの使用に基づいていた。サンプル中に含まれる微生物細胞数およびハイブリッド形成微生物部分を同一の分析で計算することは不可能であった。蛍光の相違を増大させるために、これまでの最良のフローサイトメトリー−FISH法では、標的細菌を二つの異なるプローブとハイブリッド形成させていた(Quantification of uncultured Ruminococcus obeum−like bacteria in human fecal samples with fluorescent in situ hybridization and flow cytometry using 16S rRNA targeted probes,E.G.Zoetendal et al.,in the doctoral thesis Molecular characterization of bacterial communities in the human gastrointestinal tract,2001,E.G.Zoetendal,University of Wageningen,Holland)。プローブを、異なる蛍光チャネルで見出される異なる蛍光色素で標識する。したがって、プローブの蛍光色素の励起および発光波長スペクトルは互いに異なるので、たった一つのレーザを使用した蛍光色素の励起は成功せず、代わりに異なる波長を有する二つのレーザを使用しなければならず、そのビームは異なる時間でサンプル粒子に当たる。この方法では、サンプルの標的集団と残りの細菌とを区別するために両方のレーザを使用しなければならない。同一の様式では、サンプルの標的集団と残りの細菌を区別するために点図表の両軸を使用し、全細菌集団とバックグラウンド集団とを同時に区別することは不可能である。総細菌数を計算するために、サンプルとハイブリッド形成されないがDNAのみが染色される別の分析を行わなければならない。Zoetendalの方法では、例えば、この方法で使用される蛍光色素の強度が弱いことおよびバックグラウンドが大きいことにより標的集団と残りの細菌との区別も不十分なままである。
【0012】
使用における別の実施形態では、標的集団が一つの蛍光色素を有する一つのプローブとハイブリッド形成されている(Flow cytometric analysis of activated sludge with rRNA−targeted probes;G.Wallner et al.,Applied and Environmental Microbiology,1995,vol.61,p.1859−1866)。DNAを含む粒子とDNAを含まない粒子とを区別するために、ハイブリッド形成サンプルを、プローブの蛍光色素と同一のレーザで励起することができないDNA色素で染色し、それによりこの方法では二つのレーザが使用される。ここでのWallnerの目的は、サンプル中に含まれる標的細菌集団、残りの細菌、および同一の図中のバックグラウンド集団との同時検出であった。DNA色素として、Wallnerは、紫外線波長領域の光を吸収および発光する蛍光色素(Hoechst Blue,Molecular Probes)を選択し、プローブに結合した蛍光色素は青緑色の波長領域のフルオレサミンであった。この方法では、数百ミリワットの強度を有する非常に強力で高価な水冷式レーザをしているにもかかわらず、使用した蛍光色素の強度は弱いままであり、一つの分析で集団を互いに満足に区別することができない。DNA染色粒子とDNA非染色粒子とを区別するために、Wallerは、非染色粒子を完全に分析外に遊離するさらなるアプリケーションプログラムを使用しなければならず、DNA染色粒子およびDNA非染色粒子を同一の点図表に記載することができない。これにより方法の信頼性は低下させる。Wallnerは、単位体積あたりの細菌濃度を計算する代わりに細菌種の集団のみを計算している。
【0013】
16S rRNAハイブリッド形成混合細胞サンプルの分析のためのについて科学論文に記載の第三のフローサイトメトリー法は、一つのレーザおよびそれに適切なDNA色素ならびにプローブに結合する蛍光色素の使用に基づく(Combination of 16S rRNA−targeted oligonucleotide probes with flow cytometry for analyzing mixed microbial populations;R.Amann et al.,Applied and Environmental Microbiology,1990,vol.56,pp.1919−1925)。この方法ではまた、プローブで使用した低蛍光強度の蛍光色素により、サンプル中に含まれる標的細菌(すなわち、分析すべき細菌)と残りの細菌とを区別することができない。使用したDNA色素の吸収極大は、プローブの蛍光色素の発光極大と同一の波長である。サンプル中の標的細菌と残りの細菌との区別に使用したプローブの蛍光色素は、DNA色素を励起するためにその発光エネルギーを使用し、標的細菌の蛍光はサンプル中の残りの細菌のその信頼できる区別に十分ではない。DNA色素および蛍光色素で標識したプローブを互いに十分に近づけて結合させた場合、光子を含まない分子間のエネルギー移動として(例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)現象として)これらの間のエネルギー移動も起こり得る(Use of phycoerythrin and allophycocyanin for fluorescence resonance energy transfer analyzed by flow cytometry:Advantages and limitations;P.Batard Cytometry,2002,vol.48,pp.97−105)。サンプル中の標的細菌集団および残りの細菌によって形成された集団は点図表で重複し、総細菌数から細菌細胞数および標的細菌集団数を計算することが不可能である。
【0014】
上記のように、Zoetendal、Wallner、およびAmmanの方法では、以下の三つの集団:サンプル中の標的細菌、残りの細菌、およびDNA非染色粒子の全てを信頼できるように区別することができない。サンプル中の細菌の濃度および標的細菌の比率を信頼できるように算出することができない。したがって、これらの方法は、排泄物などの複雑に混合した細菌サンプル中に含まれる細菌濃度の計算ならびに個別の細菌種の特異的且つ信頼できる同定および計算に適用することができない。この結果として、混合細菌のフローサイトメトリー分析は信頼できず、顕微鏡検査−FISHは依然として混合細菌サンプル中に含まれる細菌の種特異的同定および計算を評価する唯一の方法である。
【特許文献1】米国出願番号 2002/076,743号
【特許文献2】米国特許第6,165,740号
【特許文献3】ドイツ特第許19608320号
【特許文献4】ドイツ特許第19945553号
【特許文献5】欧州特許第337189号
【特許文献6】米国特許第6225046号
【特許文献7】欧州特許第0347039号
【非特許文献1】Human fecal flora: the normal flora 20 Japanese−Hawaiians; W.E.C.Moore and L.V.Holdeman,Applied Microbiology,1974,vol.27,p.961−979
【非特許文献2】Extensive set of 16S rRNA− based probes for detection of bacteria in human feces; H.J.M.Harmsen et al.,Applied and Environmental Micro− biology,2002,vol.68,p.2982−2990
【非特許文献3】Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation; R.I.Amann et al.,Microbiological Reviews,1995,vol.59,p.143−169
【非特許文献4】Handbook of Fluorescent Probes and Research Products,Molecular Probes
【非特許文献5】Automatic signal classification in fluorescence in situ hybridization images; B.Lerner et al.,Cytometry,2001,vol.43,p.87−93
【非特許文献6】Flow cytometry and cell sorting of heterogeneous microbial populations:the importance of single−cell analyses;H.M.Davey and D.B.Kell,Microbiological Reviews,1996,vol.60,p.641−696
【非特許文献7】Analysis of bacterial function by multi−colour fluoresencece flow cytometry and single cell sorting;G.Nebe−von−Caron et.al.,Journal of Microbial methods,2000,vol.42,p.97−114
【非特許文献8】Multiparameter flow cytometry of bacteria:implications for diagnostics and therapeutics;H.M.Shapiro,Cytometry,2001,vol.43,pp.223−226、
【非特許文献9】Detection of plant pathogenic bacterium Xanthomas campestris pv.,Campestris in seed extracts of Brassica sp.applying fluorescent antibodies and flow cytometry;L.G.Chitarra et al.,Cytometry,2002,vol.47.,p.118−126
【非特許文献10】What determines arthritogenicity of a bacterial cell wall?;X.Zhang,doctoral thesis,2001 University of Turku
【非特許文献11】Quantification of uncultured Ruminococcus obeum−like bacteria in human fecal samples with fluorescent in situ hybridization and flow cytometry using 16S rRNA targeted probes,E.G.Zoetendal et al.,in the doctoral thesis Molecular characterization of bacterial communities in the human gastrointestinal tract,2001,E.G.Zoetendal,University of Wageningen,Holland
【非特許文献12】Flow cytometric analysis of activated sludge with rRNA−targeted probes;G.Wallner et al.,Applied and Environmental Microbiology,1995,vol.61,p.1859−1866
【非特許文献13】Combination of 16S rRNA−targeted oligonucleotide probes with flow cytometry for analyzing mixed microbial populations;R.Amann et al.,Applied and Environmental Microbiology,1990,vol.56,pp.1919−1925
【非特許文献14】Use of phycoerythrin and allophycocyanin for fluorescence resonance energy transfer analyzed by flow cytometry:Advantages and limitations;P.Batard Cytometry,2002,vol.48,pp.97−105
【非特許文献15】allergies and rheumatoid arthritis;R.Peltonen,doctoral thesis,1994,University of Turku
【非特許文献16】the Role of gut microflora in the hygiene hypothesis of allergy;M.Kalliomaki,doctoral thesis,2001,University of Turku
【非特許文献17】Quantitative fluorescence in situ hybridization of Bifidobacterium spp.with genus−specific 16S rRNA targeted probes and its application in fecal samples;P.S.Langendijk et al.,Applied and Environmental Microbiology,1995,vol.61,p.3069−3075
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、混合微生物サンプルを分析し、サンプル中に含まれる微生物および/または微生物種を同定し、サンプル中のその集団を測定することが可能な方法およびデバイスを達成することである。本発明の別の目的は、サンプル中の微生物および/または微生物種の濃度も測定することが可能な方法およびデバイスを達成することである。本発明のさらに他の目的は、迅速、安価、且つ信頼のおけるこの種の方法を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、本発明の方法およびデバイスによって達成された。
【0017】
本発明は、一つまたは複数の微生物および/または微生物種の同定ならびにサンプル由来の少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部の測定のための方法およびデバイスに関する。本発明はまた、微生物の同定およびその一部の測定のための本発明の方法およびデバイスの使用に関する。
【0018】
サンプルは、例えば、哺乳動物から採取したサンプル、排水サンプル、または一つまたは複数の微生物または微生物種および/または非微生物起源の物質などの粒子を含む任意の他のサンプルであり得る。非微生物起源の物質の例には、繊維、非有機物質、不純物、および散乱光および/または蛍光を発する光の他の単位が含まれる。微生物は、例えば、細菌、原生動物、真菌、またはウイルスであり得る。本発明の特徴は添付の特許請求の範囲に記載されているものである。
【0019】
本発明の方法では、
a)少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に第一の波長領域の光を吸収する第一の蛍光剤を結合させる工程と、
b)全ての微生物に特有の構造に第二の波長領域の光を吸収する第二の蛍光剤を結合させる工程と、
c)サンプルを流れに供する工程と、
d)第一の波長領域に配置された単色光を使用して前記流れ中の前記第一の蛍光剤を励起する工程と、
e)第二の波長領域に配置された単色光を使用して前記流れ中の前記第二の蛍光剤を励起する工程と、
f)前記サンプルの粒子に結合した前記蛍光剤の蛍光の分析によって標的微生物を同定する工程とを特徴とし、且つ
前記蛍光剤および前記単色光の波長を、前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なるような様式で選択することを特徴とする。
【0020】
本発明のデバイスは、
a)サンプルを含む分析溶液(6)が導入され、少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に第一の波長領域で光を吸収する第一の蛍光剤が結合し、全微生物に特有の構造に第二の波長領域で光を吸収する第二の蛍光剤が結合する、フローチャンバー(5)と、
b)異なる波長の単色光を発生するための光源(1、3)と、
c)前記標的微生物を同定するための前記蛍光剤を形成するシグナルを測定するための一つまたは複数の検出器(14、15、16、17)とを含み、
、且つ
前記デバイス中で、前記サンプルの蛍光剤および前記単色光の波長を、前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なるような様式で選択されていることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の方法およびデバイスは、全量のサンプルから同定した微生物の一部を計算するための工程および相当する手段を含み得る。
【0022】
本発明の方法およびデバイスによって達成すべき強度の測定可能な相違は、例えば、少なくとも対数尺で約2倍および有利には対数尺で約4倍であり得る。
【0023】
本発明の一つの実施形態では、例えば、蛍光色素などの第一の蛍光剤を、少なくとも一つの微生物種または微生物群を同定および区別することができる構造に結合されたプローブに結合される。目的の構造(the structure in question)は、他の微生物由来の前記種または群を同定することが可能な一定の微生物種または微生物群に固有の任意の単位であり得る。特徴的構造は、例えば、DNAもしくはRNAの一部および/または一定の微生物種または微生物群に固有のいくつかの他の構造であり得る。特徴的な構造は、有利には、16SリボゾームRNA分子および/または23SリボゾームRNA分子である。
【0024】
本発明の上記実施形態では、例えば、蛍光色素などの第二の蛍光剤を、全微生物に固有の構造に結合させる。全微生物に固有の構造は、サンプル中の微生物を区別することができるそれらに典型的な任意の構造であり得る。特徴的な構造は、有利には、DNAである。
【0025】
本発明のデバイスは、サンプル中の粒子を同定することができ、且つその一部を測定することができる任意のデバイスであり得る。本発明の一つの実施形態によれば、デバイスはフローサイトメーターである。
【0026】
本発明の方法およびデバイスにより、上記の問題を解決することができる。微生物の種特異的同定および混合微生物サンプル由来のその一部の測定のための本発明の方法は、サンプル中の標的微生物、残りの微生物、およびバックグラウンド集団との区別ならびにサンプル中に含まれる微生物細胞数および標的微生物部分の数の正確な計算が一つの分析を使用して可能であるという点で前に記載の方法と非常に異なる。
【0027】
二つのレーザを使用するZoetendalの方法との実質的相違は、Zoetendalの方法では、蛍光色素を励起するために(すなわち、サンプル中の標的細菌と残りの細菌とを区別するために)両レーザを使用し、同一の分析においてDNA染色された総細菌集団をバックグラウンド集団と区別することができないという点である。Zoetendalの方法では、分析されるべき粒子の閾値をFSCパラメータについて調整していた。微生物細胞の大部分が調整した閾値未満のFSC値を有するので、これによりサンプルが誤認識された。Zoetendalの論文の図では、弱いサンプルが認められた。二つの異なる分析およびサンプルの使用により、実質的に結果の信頼性が低下する。二つのプローブの使用にはコストが加算され、その一部については、プローブが必ずしも同一の細菌種とハイブリッド形成しないので、方法の信頼性も低下する。Zoetendalの方法では、DNA染色し、且つハイブリッド形成した粒子を異なるサンプルに基づいて試験するので、プローブが実際にDNAを含む粒子に結合することも示すことができない。
【0028】
Wallnerの方法と比較した実質的な相違は、例えば、Wallnerは、DNA色素としてUV波長領域の蛍光色素を使用し、ハイブリッド形成プローブでは青緑色の波長流域の蛍光色素を使用するという点である。Wallnerによって使用された蛍光色素は、異なるサンプル集団を信頼できるように区別することができないような低強度である。Wallnerは、閾値としてサンプルを誤認識するSSCパラメータを使用する。Wallnerは、コンピュータソフトウェアプログラムによって被分析物からDNA非染色粒子を消去し、これによりサンプルがさらに誤認識される。この方法に関する彼の配置により、Wallnerは何百ミリワットもの高強度且つ高価な水冷式アルゴンイオンレーザを使用するが、決して標的細菌をサンプルの残りの細菌と区別することができなかった。Wallnerの論文では、混合細菌サンプルとして、浄水で使用される活性汚泥を使用しているが、活性汚泥は、人工的な混合細菌サンプルである。活性汚泥中に含まれる細菌は、天然状態の細菌よりもrRNAを多く含むので、Wallnerによって使用されたサンプルを、腸内細菌叢などの複雑な生態系と比較することができない。Wallner自身は、彼の論文に、彼の方法は活性汚泥よりも複雑な混合細菌サンプル(排泄物など)の試験で機能しないと記載している。
【0029】
Amannの方法では、サンプルは、培養細菌から作製した人工的混合物である。ハイブリッド形成標的細菌集団、全細菌集団、およびバックグラウンド集団を同一の分析で区別することができず、Amannの方法はまた、本発明の方法と比較して基本的に異なる。さらに、Amannは彼の方法で高出力の高価なレーザを必要としている。
【0030】
以下の三つの集団:サンプル中の標的微生物集団、残りの微生物によって形成された集団、およびバックグラウンド集団の全てを信頼できるように同時に区別することができるという点で、本願の方法およびデバイスによる重要な利点が得られる。これにより、サンプルがより迅速に分析され、混合細菌サンプル中に含まれる微生物を以前より信頼できる容易種特異的に同定および計算され、サンプル中の微生物濃縮物を迅速に明澄化することができる。
【0031】
本発明の方法では、ハイブリッド形成粒子を同一の分析および点図表において染色DNAとして検出することができるので、ハイブリッド形成プローブは、微生物中に存在し、例えばバックグラウンド集団の粒子中に存在しないことを容易に証明することができる。結合蛍光色素、赤色波長領域の光を十分に吸収して発光する蛍光色素、および試験される全微生物に結合する蛍光色素(例えば、DNA色素)、橙色またはより短い波長領域の光を十部に吸収して発光する蛍光色素としての使用(例えば、ハイブリッド形成プローブによる)により、蛍光色素間にエネルギー移動の妨害は無い。ハイブリッド形成プローブにより短い波長領域の光を吸収して発光する蛍光色素を結合する様式で蛍光色素を使用する場合およびDNA色素としてより長い波長領域の光を吸収して発光する蛍光色素を使用する場合、サンプル中の標的微生物と残りの微生物との区別を妨害する蛍光色素間のエネルギー移動が存在し得る。
【0032】
方法が迅速且つ自動であり、自動化することができるので、本発明のFISH技術を使用したハイブリッド形成微生物の分析は、複雑に混合した細菌微生物サンプルの種特異的試験および計算のための顕微鏡検査−FISHよりも非常により良好な方法である。本発明のデバイスは、一秒あたり何千もの粒子を信頼できるように同定することができる。したがって、単位時間では、同定微生物数は、顕微鏡検査と比較して何倍にもなる。デバイスによって正確に得ることができる情報は明白であり、人的要因によって生じるエラーが減少する。本発明の方法はまた、他の方法よりも正確且つ迅速にサンプル中に含まれる微生物を計数することができる。
【0033】
「微生物および/または微生物種の一部の測定」は、比例または絶対的部分の測定を意味するために使用される。平均蛍光強度を、計算または幾何学的様式のいずれかで計算する。有利には、相乗平均値を使用する。分布の場合、実質的にガウス曲線に従い、両方の方法で同一の結果が得られるが、これが真ではないならば、相乗平均を使用して、より代表的な結果が得られることが当業者に自明である。
【0034】
上記のように、本発明の一つの実施形態では、例えば、蛍光色素などの第一の蛍光剤を個別に同定することができる構造に結合させたプローブに結合させる。「プローブの結合」を、過剰なプローブをサンプルに添加し、これがRNA分子(rRNA分子)などの個別に同定することができる構造のみに結合するという事実を意味する(結合することを意味する)ために使用する。この方法では、特に有利には、例えば、いくつかが公知の蛍光色素などの特異的プローブおよび蛍光剤を使用する。例えば、論文Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation;R.I.Amann et al.,Microbiological Reviews,1995,vol.59,p.143−169にプローブの例を示し、例えば、刊行物Hand book of Fluorescent Probes and Research Products,Molecular Probesに蛍光色素の例を示す。蛍光強度および蛍光からの散乱が結果の解釈の妨害に十分に高くないので、過剰なプローブを、サンプルから洗浄するか、サンプル中に残すことができる。
【0035】
微生物の個別の同定が可能な蛍光剤を、通常、構造(例えば、rRNA分子など)へのプローブの結合前に予めプローブに結合させる。プローブの購入と同時に蛍光色素をプローブに結合させることができるか、本発明の処理の開始前に結合させることができる。
【0036】
本発明の一つの実施形態によれば、方法の工程d)で、流れに供するサンプル中に、その散乱特性および/または蛍光特性によって区別される微粒子もさらに存在する。さらに、本発明の方法およびデバイスでは、標準量のサンプルを分注する供給デバイス、フローメーター、または分析サンプルの量を測定することができる当業者に公知のいくつかの他のデバイスを使用することができる。この方法では、サンプル中の分析すべき微生物および微生物種の濃度を決定することが可能である。したがって、分析すべきサンプル中に含まれる正確な微生物細胞数(微生物および標的微生物部分の濃度)を計算するために、例えば、標準量のサンプルを分注する蛍光発光微粒子または供給デバイスを使用することが可能である。
【0037】
したがって、微生物片の数を、既知の微粒子数を含む市販のサンプルチューブ(例えば、TruCount(商標)、Becton Dickinson製)を使用して決定することができる。微粒子を、その散乱特性および蛍光特性に基づいて、混合細菌サンプルの残りの粒子と信頼できるように区別することができる。サンプルチューブは、既知の量の微粒子を含み、試験すべき既知の量のサンプルをサンプルチューブに分注する。サンプル中に均一に分布した微粒子の一部を認識する。チューブ中の全微粒子由来の同定された微粒子部分は、サンプル中の全微生物由来の同時に同定された微生物部分に正比例する。したがって、これにより、サンプル中の微生物濃度を容易に計算することができる。サンプル中に含まれる微生物数の別の計算方法は、標準量のサンプルを分注する供給デバイス(例えば、Particle Analysing System PAS,Partec)を使用することである。供給デバイスは、既知の体積のサンプルを分注する。全サンプル体積から投入した体積部分は、サンプル中の全微生物数由来の同定された微生物部分に正比例する。
【0038】
上記微粒子(したがって、サンプルの粒子とその散乱および/または蛍光特性が異なる粒子)を使用した場合、これらの微粒子を、工程a)〜c)(またはその逆)にしたがって処理したサンプルに添加することができる。同一の様式では、工程d)の前(例えば、フローサイトメーターへの供給前)の任意の工程(すなわち、流れにサンプルを供する工程)でサンプルに上記粒子を添加することも可能である。特に有利には、所定数の微粒子が存在する既製品のサンプルチューブを使用する。この種のチューブは、例えば、Becton Dickinson社によって製造されている。
【0039】
第一および第二の波長領域に配置された上記単色光を、一つ、二つ、三つ、またはそれ以上の光源によって得ることができる。上記光が一つを超える光源によって得られる場合、これらから得られた光線をデバイス中の一つ、二つ、またはそれ以上の点に向かうような様式でこれらの光源を配置することができる。光源が一つを超える点に向かう場合、本方法で第一の光源および任意選択的にその後の光源によって得られたシグナルの測定を遅延させるためのシグナル遅延装置を使用することが好ましい。
【0040】
本発明の一つの実施形態によれば、第一の波長領域は600〜650nmであり、第二の波長領域は350〜600nmである。上記の第一および第二の波長領域は、好ましくは、異なる波長領域である;信頼できる結果を得ることができるために、条件「単色光の蛍光剤および波長領域を、蛍光剤の蛍光の間の強度が測定可能に異なるような様式で選択する」を満たすという事実が重要である。光源が一つを超える点に向かう場合、サンプルが最初に遭遇する光線の波長領域の波長は、サンプルがその後遭遇する波長領域の波長よりも高くても低くてもよい。使用した蛍光剤(例えば、蛍光色素)が非常に異なる蛍光特性を有する場合、波長もまた類似し得る。「相当な相違」は、本明細書中で、上記条件を満たす相違を意味するために使用される。上記相違は、例えば、対数尺で2倍、有利には対数尺で4倍であり得る。二つの迅速な試験により、どの波長を使用すべきかということを見出すことが可能となることが当業者に自明である。
【0041】
以後、実験部で、波長領域の選択例を示す。
【0042】
本発明の一つの特定の実施形態によれば、635nmのダイオードレーザおよび488nmのアルゴンイオンレーザからなる群から光源を選択した。
【0043】
本発明の一つの実施形態によれば、試験すべきサンプルは、哺乳動物の消化器系由来のサンプルである。この種のサンプルは、例えば、ヒトまたは動物の排泄物であり得る。本発明の別の実施形態によれば、試験すべきサンプルは、排水サンプルである。さらに、本発明の方法およびデバイスにより、その起源となる組成は固体であるが、分析のために液体中に懸濁されている微生物サンプルを試験することができる。
【0044】
本発明の有利な実施形態の方法は、分析されるサンプルの流れおよびこれらに適切な蛍光色素などの蛍光剤の流れの方向に関して連続的に配置された異なる波長の二つのレーザの同時使用に基づく。これらのレーザのうちの一つは、赤色波長領域(600〜650nm)のレーザであり、他のレーザは橙色またはより短い波長領域(450〜600nm)のレーザである。本方法で使用される蛍光色素などの蛍光剤の一つを、ハイブリッド形成プローブに結合させ、他の者はDNA色素である。ハイブリッド形成プローブで使用した蛍光色素の吸収スペクトルは、より長い波長のレーザに適切であり、したがってDNA色素の吸収スペクトルはより短い波長のレーザに適切である。試験すべき種の微生物を区別するために、標的微生物の核酸とハイブリッド形成したプローブの蛍光色素を、赤色波長領域のレーザで励起する。DNAを含む粒子とDNAを含まない粒子とを区別するために、DNAを含むサンプル中の粒子に結合するDNA色素を、橙色またはより短い波長領域のレーザで励起する。
【0045】
サンプル中に含まれる微生物細胞および全微生物由来の標的微生物部分の正確な数を、サンプル中に均一に懸濁した蛍光微粒子を使用して計算する。以後の実施例で示されるように、本方法の機能性を、ヒト排泄物サンプル中のBifidobacterium属の細菌数の計算およびヒト排泄物中の総微生物数の同一の分析由来の計算ならびに排泄物サンプル中に含まれる全細菌由来のBifidobacterium属の細菌部分の計算によって試験した。比較方法として、広範に使用される混合細菌サンプルの分析方法(すなわち、顕微鏡検査−FISH)のみを使用した。特に注意して正確に骨の折れる顕微鏡検査−FISHを行った。本方法により同一の結果が得られ、上記の本発明の方法の機能性が証明された。従って、本明細書中に記載の例は、本発明の方法の例である。
【0046】
さらに、本発明は、微生物(例えば、細菌株)の同定およびその一部の測定のための本方法およびデバイスの使用に関する。本発明の一つの実施形態によれば、上記微生物は、プロバイオティック細菌株である。本発明を使用して任意の他の微生物株を同定することができ、同定すべき微生物株には、本方法に適切なプローブおよび蛍光色素などの蛍光剤を得ることができることが必要であることが当業者に自明である。本発明の方法を使用して、プレバイオティクス(prebiotes)を試験することができる。
【0047】
従って、産業および科学的適用において、本発明は、例えば、食料および飼料産業ならびに医学的診断で適用される。しかし、医学的診断では、本方法を使用して、結果の解釈の代わりに、疾患を診断することが可能であることに基づいてこのような結果は直接得られず、医学を習熟した者が必要である。機能食品の製造は、腸内の細菌株およびその所定量に対する食品の可能な効果を記載することが可能であるために、混合細菌サンプルの信頼でき且つ迅速な分析が必要である。飼料産業は、動物の腸内の非悪性細菌の成長を好むこのような飼料の開発によって例えば家禽類のサルモネラ感染に対抗するように努力している。これにより、動物の繁殖における抗生物質使用の必要性が減少し、抗生物質耐性細菌種の産生が減少する。医学研究および臨床診断における混合細菌サンプルの新規の種特異的分析および計算方法の需要が増大している。
【0048】
ヒト腸内細菌叢は、ヒト中に存在するヒト自身の真核細胞よりも多く細菌細胞を含むことが公知であるので、微生物と宿主生物との間の相互作用は広範であり、ほとんど知られていない(Human fecal flora:the normal flora of 20 Japanese−Hawaiians;W.E.C.Moore and L.V.Holdeman,Applied Microbiology,1974,vol.27,pp.961−979)。生物における微生物のコロニー化は、その原因が依然として知られていないいくつかの疾患の理由であると考えられている。この種の疾患の例には、allergies and rheumatoid arthritis;R.Peltonen,doctoral thesis,1994,University of Turkuおよびthe Role of gut microflora in the hygiene hypothesis of allergy;M.Kalliomaki,doctoral thesis,2001,University of Turkuが含まれる。
【0049】
以下の節では、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図面は、以下の図からなる。
【0051】
図1は、この例でフローサイトメーターである、本発明のデバイスの略図である。図1では、レーザ1およびこれらから照射されるレーザビーム2を示す。さらに、図では、レーザ3を示し、これから照射されるレーザビーム4の波長は、レーザビーム2の波長より短い。さらに、標準量のサンプルを投入することができる供給デバイスを使用することが可能である。さらに、図では、サンプル溶液6およびその周囲のシェルフルイド7が矢印8の方向に流れるフローチャンバー5を示す。サンプル溶液6は、サンプル供給ニードル9によってシェルフルイド7に供給される。サンプル溶液6では、例えば、ハイブリッド形成微生物およびDNA染色微生物(例えば、細菌)、非ハイブリッド形成DNA染色微生物(例えば、細菌)、DNAを含まないDNA非染色粒子、または微生物数の計算で使用した微粒子であり得る分析粒子10が存在する。サンプル溶液6は、サンプル溶液中に含まれる粒子が粒子ライン11を形成するほど非常に細いので、レーザビーム2および4を通過して流れる。粒子ライン11とレーザビーム2および4との交差点を、それぞれ符号12および13で示した。
【0052】
デバイス中、FSC検出器として機能する光ダイオード14、FL2検出器として機能する光電子増幅管15、およびSSC検出器として機能する光電子増幅管17がさらに存在する。さらに、デバイス中に、粒子から散乱した一定の波長の蛍光をフィルタリングして検出器14、15、16、および17に送るフローサイトメーターの光学系中に含まれる光フィルターおよびミラー18が存在する。デバイス中に分析後にサンプルが導入される廃棄物コンテナ19もまた存在し得る。図を簡単にする目的で、FL1およびFL3検出器は本明細書中に示していない。さらに、デバイスは、全サンプル量から同定した微生物部分を計算するための計算手段を含み得る。
【0053】
図2は、図1に示した装置の断面図を示す。この図では、符号20は粒子が散乱して蛍光を発するレーザビームとサンプル溶液との交差点に配置した粒子を示す。散乱して蛍光を発する光を、ライン21によって概略的に示す。
【0054】
図3a、3b、および3cは、シグナル形成の原理を示す。図3aでは、粒子22がレーザビーム23と出会うために下から上に進行する流動物の流れに沿って移動する工程1を示す。レーザビーム23は、粒子22から散乱し、蛍光が励起してその発光スペクトルに従って発光する。x軸に時間を示し、y軸に電圧を示す座標に示すように、フローサイトメーターの光ダイオードおよび光電子増幅管ならびにフローサイトメーターの残りの電子機器により、光シグナルが類似の電圧パルスに変化する。粒子が完全にレーザビーム23内に存在する場合、電圧パルスのピーク電圧が図3bに示す工程2で達成される。レーザビーム23の散乱および蛍光発光数は、この瞬間に最大となる。図3cに示す工程3で、粒子22がレーザビーム23から離れるにつれて、電圧は相応して減少し始める。電圧パルス形成の消費時間は、粒子22のサイズおよび流速に依存し、実際は数μ秒である。
【0055】
図4は、本発明の二つのデバイスを使用したデバイス中のシグナル遅延の原理を概略的に示す。図は、図1の同一溶液の粒子ラインを形成する粒子10および第一のレーザビームと粒子ラインとの交差点13を示す。さらに、x軸上に電圧パルスを示す。粒子10として得られる第一の電圧パルスは、第一のレーザ(すなわち、ビームの交差点12でより長い波長を有するもの)と遭遇し、符号24で示す。この例では、粒子10中のより長い波長を有するレーザによって生じる蛍光を、FL4検出器で検出する(すなわち、電圧パルス24はFL4光電子増幅管によって得られる)。
【0056】
符号25は、粒子10が後の交差点で第二のレーザ(すなわち、レーザの交差点13でより短い波長を有するレーザ)に遭遇した場合に得られる電圧パルスを示す。この例では、粒子10中でより短い波長を有するレーザによって生じた蛍光を、FL2検出器によって検出し、小角でのレーザビームの散乱をFSC検出器によって検出し、より大きな角度でのレーザビームの散乱をSSC検出器によって検出する。x軸上の第一および第二の電圧パルスの生成の間の時間tは、粒子10が第一および第二のレーザの間の距離の移動時間である。異なる時間および異なる状態で粒子10によって得られたシグナルの測定が同一の粒子に由来することを同定するために、第一の電圧パルスが、回路26中で時間tだけ遅延しなければならない。遅延電圧パルスを、符号27で示す。レーザによって同一の粒子10から得られたパラメータが同一の粒子10に由来することを説明するために、シグナル遅延を使用した異なる時点で同一の粒子10中のレーザによって得られた蛍光および散乱シグナルを同一の時点に一致させる。
【0057】
図5は、微粒子を含むサンプルチューブ中での16S rRNA技術を使用してハイブリッド形成した、DNA染色して均一化した排泄物サンプルのフローサイトメーター分析によって得られた点図表を示す。図表中の各ドットは、一つの測定粒子に対応する。x軸の対数尺を使用してプローブに結合した蛍光色素の相対蛍光強度を測定し(チャネルFL4による)、y軸を使用してDNA色素の相対蛍光強度を測定する(チャネルFL2による)。図表のx軸は電圧パルスの高さを示し(FL4 H(Hは高さを示す))、同一の様式で、y軸は電圧パルスの高さを示す。図表を使用して、電圧パルスの幅または領域を示すこともできる。点図表において以下の4つの異なる集団を区別することが可能である。
【0058】
1.DNA色素のみを含む粒子(すなわち、符号28で示す標的細菌以外のサンプルの細菌)、
2.両蛍光パラメータで蛍光の発生が弱い粒子(すなわち、符号29で示すバックグラウンド集団)、
3.プローブおよびDNA色素の両方を含む粒子(すなわち、符号30で示す標的細菌)、および
4.符号31で示す両蛍光チャネルで強く示された微粒子。
【0059】
集団1.および3.は、共にサンプル中の全細菌集団を形成する。排泄物サンプルでは、バックグラウンド集団は、主に、消化管で消化されない繊維物質から構成される。この例では、どのようにして図表を達成するかをより詳細に説明している。
【0060】
(実施例)
本発明の方法およびデバイスを使用して、16S rRNA技術およびDNA染色を使用したこれらのハイブリッド形成によってヒト排泄物サンプル中に含まれる細菌を試験した(Quantitative fluorescence in situ hybridization of Bifidobacterium spp.with genus−specific 16S rRNA targeted probes and its application in fecal samples;P.S.Langendijk et al.,Applied and Environmental Microbiology,1995,vol.61,p.3069−3075に開示)。プローブとして、赤色波長領域のCy5標識(Eurogentec製)(Cy5標識の吸収極大は約643nmであり、発光極大は約667nmであるので、FL4検出器で同定することができる)で標識したbifidobacterium特異的プローブを使用した。DNA色素として、橙色波長領域のSYTOX(登録商標)Orange色素(その吸収極大は約547nmであり、発光極大は約570nmであるので、FL2検出器で同定される)を使用した。SYTOX(登録商標)Orangeの吸収極大は、488nmのレーザ光での励起に十分に広い。ハイブリッド形成排泄物サンプルを、Tru−Count(登録商標)微粒子を含むサンプルチューブ(Becton Dickinson社製)で均一にした。流動物の流れに沿って行うので、サンプルのハイブリッド形成bifidobacteriumは、635nmの波長を有する赤色ダイオードレーザ集光ビームと粒子の流体力学的絞込みラインとの交差点に到達する。細菌とハイブリッド形成したプローブ中のCy5蛍光色素は、レーザビームおよび蛍光由来のエネルギーを吸収し(すなわち、これらによって吸収されたエネルギーをその励起波長よりも長い波長の光(光は、FL4光電子増幅管によって同定される)として発する)、図3aに示すように電圧パルスが生成され始めた。細菌が第一のレーザビーム中にのみ部分的に配置されるので、細菌中に含まれる少量のプローブの蛍光色素のみがエネルギーを吸収して発光し、それによりFL4光電子増幅管による電圧パルスがそのピークに達しなかった。粒子がビームの集光点の交差点の中心に配置された場合にレーザビームの蛍光色素の励起効果は極大となり、電圧パルスがそのピーク値に達した(図3bに示す)。細菌がレーザビームから離れるにつれて、プローブに結合する蛍光色素数ならびに吸収エネルギーおよび発光が減少するので、電圧パルスが減少した(図3c)。得られた電圧パルスは、22±1μ秒間回路中で遅延した。遅延中、細菌は、488nmの波長のアルゴンイオンレーザビームと粒子ラインとの交差点に達した。488nmのレーザ光によりDNAに結合した細菌のDNA色素が励起し、DNA色素による蛍光および蛍光を発するその励起波長よりも長い波長を有する光を、FL2光電子増幅管によって同定した。この方法では、第二の電圧パルスが生成された。確実に細菌と分類すべき粒子が本当に細菌であるために、本方法で二つの閾値を使用した。十分な範囲のサンプルを確認するために、SSCパラメータの閾値を全細菌が同定されるほど低く設定した。しかし、サンプル中に、細菌以外の粒子も存在し、そのSSCシグナルは閾値を超えていた。この問題を解決するために、FL2チャネル(すなわち、DNA色素を同定するチャネル)のために設定した第二の閾値を使用した。測定前に、SSC閾値を超える粒子は、FL2値も超えなければならないので、二つの閾値の使用により、細菌を、サンプル中に含まれる残りの粒子と信頼できるように区別することができた。電圧パルスをフローサイトメーターに接続したコンピュータの支援によってデジタル化および分析する対数増幅器によって増幅させた。電圧パルスの最大の高さは、細菌中に含まれる蛍光色素の蛍光強度に比例する。FL2およびFL4チャネルによる細菌によって得られたシグナルの測定を、コンピュータによって処理し、これを点図表に記載する(図5)。細菌が上記の様式でハイブリッド形成されたbifidobacteriumである場合、標的細菌集団中に含まれるように記載した(図5中の符号30)。細菌がいくつかの非ハイブリッド形成細菌である場合、サンプル中に含まれる残りの細菌集団中に含まれるようにこれを記載した(図5中の符号28)。DNA非染色粒子を、バックグラウンド集団中に含まれるように記載し(図5中の符号29)、正確な細菌細胞数を計算するために使用した蛍光微粒子は、それ自体の集団を形成した(図5中の符号31)。
【0061】
表1は、5人のボランティア被験体由来の三週間間隔で採取した三つの排泄物サンプルの分析結果を示す。排泄物サンプルを一般的に公知の結合方法(attachment method)にしたがって処理し、bifidobacterium特異的プローブとハイブリッド形成させ、DNAを染色した(論文Quantitative fluorescence in situ hybridization of Bifidobacterium spp.with genus−specific 16S rRNA−targeted probes and its application in fecal samples;P.S.Langendijk et al.,Applied and Environmental Microbiology,1995,vol.61,p.3069−3075に開示)。サンプル中に含まれる総細菌数およびサンプル中に含まれる全細菌由来のハイブリッド形成bifidobacteria部分の数および比率を、本発明のフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡検査の両方によって計算した。本発明の方法を使用してフローサイトメトリー分析を行い、Langendijkの論文に従って蛍光顕微鏡分析を行った。表1で認められるように、これらの方法によって、bifidobacteria部分および総細菌数の両方を考慮した非常に類似の結果が得られる。フローサイトメーターによって行った計算では、各サンプルから約20000個の細菌が計算され、1サンプルの分析時間は約30秒である。蛍光顕微鏡検査によって行った計算では、サンプルあたり約2000個の細菌が計数され、1サンプルの分析時間は約1時間かかった。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の方法で使用される本発明のフローサイトメーターの略図である。
【図2】図1に示したフローサイトメーターの断面略図である。
【図3a】本発明の方法におけるシグナル形成の原理の略図である。
【図3b】本発明の方法におけるシグナル形成の原理の略図である。
【図3c】本発明の方法におけるシグナル形成の原理の略図である。
【図4】シグナル遅延装置の操作原理の略図である。
【図5】例の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル由来の一つまたは複数の微生物および/または微生物種を同定するためならびに少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部を測定するための方法において、
a)少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に第一の波長領域の光を吸収する第一の蛍光剤を結合させる工程と、
b)全ての微生物に特有の構造に第二の波長領域の光を吸収する第二の蛍光剤を結合させる工程と、
c)サンプルを流れに供する工程と、
d)第一の波長領域に配置された単色光を使用して前記流れ中の前記第一の蛍光剤を励起する工程と、
e)第二の波長領域に配置された単色光を使用して前記流れ中の前記第二の蛍光剤を励起する工程と、
f)前記サンプルの粒子に結合した前記蛍光剤の蛍光の分析によって標的微生物を同定する工程とを特徴とし、且つ
前記蛍光剤および前記単色光の波長を、前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なるような様式で選択することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記同定された標的微生物の一部を全量のサンプルから計算する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蛍光剤および前記単色光の波長を、前記蛍光剤の平均蛍光強度間の相違が対数尺で少なくとも2倍となるような様式で選択することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の波長領域中の前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルをフローサイトメーターに導入することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の蛍光剤を、サンプル中の少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に結合したプローブに結合させることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
一つの生物種または生物群を区別して同定することができる構造がリボゾームRNA分子であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
全微生物に特有の構造がDNAであることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各パラメータについて特異的に各微生物の閾値を設定し、前記微生物がその閾値に基づいて分類されることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光剤が蛍光色素であることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物が細菌および/または細菌種であることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記リボゾームRNA分子が16SリボゾームRNA分子および23SリボゾームRNA分子からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルの粒子からの光散乱を検出することを特徴とする、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記微粒子を、その散乱および/または蛍光の特性に基づいて前記サンプルからさらに分離することを特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の波長領域が600〜650nmであることを特徴とする、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の波長領域が350〜600nmであることを特徴とする、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一および第二の波長領域に配置された前記単色光が一つの光源によって形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第一および第二の波長領域に配置された前記単色光が少なくとも二つの光源によって形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも二つの光源の少なくとも二つが互いに一定の距離をおいて配置され、前記方法において、シグナル遅延装置を使用して第一および任意選択的にその後の光源によって得られたシグナルの測定を遅延させることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルが哺乳動物の体液由来のサンプルであることを特徴とする、請求項1〜請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルが、哺乳動物の消化器系由来のサンプルであることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプルが排水サンプルであることを特徴とする、請求項1〜請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
サンプル由来の一つまたは複数の微生物および/または微生物種を同定するためならびに少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部を測定するためのデバイスにおいて、前記デバイスが、
a)サンプルを含む分析溶液(6)が導入され、少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に第一の波長領域で光を吸収する第一の蛍光剤が結合し、全微生物に特有の構造に第二の波長領域で光を吸収する第二の蛍光剤が結合する、フローチャンバー(5)と、
b)異なる波長の単色光を発生するための光源(1、3)と、
c)前記標的微生物を同定するための前記蛍光剤を形成するシグナルを測定するための一つまたは複数の検出器(14、15、16、17)とを含み、
、且つ
前記デバイス中で、前記サンプルの蛍光剤および前記単色光の波長を、前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なるような様式で選択することを特徴とする、デバイス。
【請求項24】
前記デバイスが、全量のサンプルから同定した微生物の一部を計算するための計算手段をさらに含むことを特徴とする、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記蛍光剤および前記単色光の波長領域を、前記蛍光剤の平均蛍光強度間の相違が対数尺で少なくとも2倍となるような様式で選択することを特徴とする、請求項23または請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第一の波長領域中の前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なることを特徴とする、請求項23〜請求項25のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記デバイスがフローサイトメーターであることを特徴とする、請求項23〜請求項26のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記検出器(14、15、16、17)を使用して、サンプル中の粒子由来の光散乱を検出することを特徴とする、請求項23〜請求項27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスが、標準量のサンプルを投入するための供給デバイスをさらに含むことを特徴とする、請求項23〜請求項28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記光源(1、3)が、前記第一および第二の波長領域に配置した前記単色光を発生するための少なくとも二つの光源を含むことを特徴とする、請求項23〜請求項29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記少なくとも二つの光源の少なくとも二つが互いに一定の距離をおいて配置され、且つデバイスが、第一および任意選択的にその後の光源によって得られたシグナルの測定を遅延させるためのシグナル遅延装置をさらに含むことを特徴とする、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
前記光源(1、3)が、635nmのダイオードレーザおよび488nmのアルゴンイオンレーザからなる群から選択されることを特徴とする、請求項23〜請求項31のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項33】
微生物の同定およびその一部の測定のための、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項34】
前記微生物がプロバイオティック細菌株であることを特徴とする、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
微生物の同定およびその一部の測定のための、請求項23〜請求項32のいずれか1項に記載のデバイスの使用。
【請求項36】
前記微生物がプロバイオティック細菌株であることを特徴とする、請求項35に記載の使用。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル由来の一つまたは複数の微生物および/または微生物種を同定するためならびに少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部を測定するための方法において、
a)少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に第一の波長領域の光を吸収する第一の蛍光剤を結合させる工程と、
b)全ての微生物に特有の構造に第二の波長領域の光を吸収する第二の蛍光剤を結合させる工程と、
c)サンプルを流れに供する工程と、
d)第一の波長領域に配置された単色光を使用して前記流れ中の前記第一の蛍光剤を励起する工程と、
e)第二の波長領域に配置された単色光を使用して前記流れ中の前記第二の蛍光剤を励起する工程と、
f)前記サンプルの粒子に結合した前記蛍光剤の蛍光の分析によって標的微生物を同定する工程とを特徴とし、且つ
前記蛍光剤および前記単色光の波長領域を、前記蛍光剤の平均蛍光強度が対数尺で少なくとも約2倍異なるような様式で選択することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記同定された標的微生物の一部を全量のサンプルから計算する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の波長領域中の前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルをフローサイトメーターに導入することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の蛍光剤を、サンプル中の少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に結合したプローブに結合させることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
一つの生物種または生物群を区別して同定することができる構造がリボゾームRNA分子であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
全微生物に特有の構造がDNAであることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
各パラメータについて特異的に各微生物の閾値を設定し、前記微生物がその閾値に基づいて分類されることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記蛍光剤が蛍光色素であることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記微生物が細菌および/または細菌種であることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記リボゾームRNA分子が16SリボゾームRNA分子および23SリボゾームRNA分子からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルの粒子からの光散乱を検出することを特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記微粒子を、その散乱および/または蛍光の特性に基づいて前記サンプルからさらに分離することを特徴とする、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の波長領域が600〜650nmであることを特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の波長領域が350〜600nmであることを特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第一および第二の波長領域に配置された前記単色光が一つの光源によって形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一および第二の波長領域に配置された前記単色光が少なくとも二つの光源によって形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも二つの光源の少なくとも二つが互いに一定の距離をおいて配置され、前記方法において、シグナル遅延装置を使用して第一および任意選択的にその後の光源によって得られたシグナルの測定を遅延させることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルが哺乳動物の体液由来のサンプルであることを特徴とする、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルが、哺乳動物の消化器系由来のサンプルであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルが排水サンプルであることを特徴とする、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
サンプル由来の一つまたは複数の微生物および/または微生物種を同定するためならびに少なくとも一つの微生物および/または微生物種の一部を測定するためのデバイスにおいて、前記デバイスが、
a)サンプルを含む分析溶液(6)が導入され、少なくとも一つの微生物種または微生物群を区別して同定することができる構造に第一の波長領域で光を吸収する第一の蛍光剤が結合し、全微生物に特有の構造に第二の波長領域で光を吸収する第二の蛍光剤が結合する、フローチャンバー(5)と、
b)異なる波長の単色光を発生するための光源(1、3)と、
c)前記標的微生物を同定するための前記蛍光剤を形成するシグナルを測定するための一つまたは複数の検出器(14、15、16、17)とを含み、
、且つ
前記デバイス中で、前記サンプルの蛍光剤および前記単色光の波長を、前記蛍光剤の平均蛍光間の強度が対数尺で少なくとも2倍異なるような様式で選択することを特徴とする、デバイス。
【請求項23】
前記デバイスが、全量のサンプルから同定した微生物の一部を計算するための計算手段をさらに含むことを特徴とする、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第一の波長領域中の前記蛍光剤の蛍光間の強度が測定可能に異なることを特徴とする、請求項22または請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記デバイスがフローサイトメーターであることを特徴とする、請求項22〜請求項24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記検出器(14、15、16、17)を使用して、サンプル中の粒子由来の光散乱を検出することを特徴とする、請求項22〜請求項25のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記デバイスが、標準量のサンプルを投入するための供給デバイスをさらに含むことを特徴とする、請求項22〜請求項26のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記光源(1、3)が、前記第一および第二の波長領域に配置した前記単色光を発生するための少なくとも二つの光源を含むことを特徴とする、請求項22〜請求項27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記少なくとも二つの光源の少なくとも二つが互いに一定の距離をおいて配置され、且つデバイスが、第一および任意選択的にその後の光源によって得られたシグナルの測定を遅延させるためのシグナル遅延装置をさらに含むことを特徴とする、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記光源(1、3)が、635nmのダイオードレーザおよび488nmのアルゴンイオンレーザからなる群から選択されることを特徴とする、請求項22〜請求項29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
微生物の同定およびその一部の測定のための、請求項1〜請求項21のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項32】
前記微生物がプロバイオティック細菌株であることを特徴とする、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
微生物の同定およびその一部の測定のための、請求項22〜請求項30のいずれか1項に記載のデバイスの使用。
【請求項34】
前記微生物がプロバイオティック細菌株であることを特徴とする、請求項33に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−512055(P2006−512055A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526935(P2004−526935)
【出願日】平成15年8月7日(2003.8.7)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000596
【国際公開番号】WO2004/015421
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(505033765)
【Fターム(参考)】