説明

微生物分析のための装置

【課題】良好な性能と、より経済的で且つより簡便な、蛍光体物質によってマーキングされた微生物を含むように構成された担体の微生物分析のための装置を提供すること。
【解決手段】上記物質が、所定の吸収波長(λ)において頂部(53’)を有する吸収スペクトル(53)を有する光エネルギーを吸収し、且つ、上記吸収波長(λ)とは異なる所定の発光波長(λ)において頂部(54’)を有する発光スペクトル(54)を有する光を発光することによってそのエネルギーを放出するように構成されている装置は、照射手段を備え、照射手段から到来する光から、上記蛍光体物質によって発光された光を識別するのが容易とされるということにより、照射手段から到来する励起光のスペクトル(55)は、励起波長(λ)と吸収波長(λ)との間の所定の差異を有する所定の励起波長(λ)において頂部(55’)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の有無を検出するためにそれらの微生物を含むことがある担体の微生物分析のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような担体を分析するための1つの方法は、蛍光性又は蛍光体マーカーと称されるものによってマーキングされた後に、微生物によって発光される蛍光の分析によるそれらの微生物の存在の検出から構成される。
【0003】
これらのマーカーは、微生物に含まれる酵素によってそれらが事前に活性化された場合にのみ光を発するという特殊性を有する。
【0004】
これらのマーカーは、一般に、蛍光体群と、蛍光体群の蛍光発光が現れるのを隠す又は防止することができる群とを含む。微生物が存在する場合、その酵素の影響は、第1の群の蛍光が検出されることがあるために、その第2の群を変更することである。
【0005】
したがって、図7のスペクトル53、54によって図示されているように、そのようにマーキングされた微生物が適切な励起光に晒された場合に、蛍光体群は、頂部53’が波長λにおけるものからなる吸収スペクトル53を有する光エネルギーを吸収することができ、且つ、頂部54’がλとは異なる波長λにおけるものからなる特有の蛍光発光スペクトル54の形式でそのエネルギーを放出することができる。
【0006】
そのようなマーカーの存在下で微生物によって発光される蛍光を観察するために、図9において図示されているように、励起光を発光するための照射手段を備え、微生物の存在下でそれがその発光スペクトル54を有する光を発光するために、十分なエネルギーで蛍光体を励起するように波長λと同等に選択された波長λにおいて、ガウス分布形式のスペクトル50が頂部50’を有するような、微生物分析のための(顕微鏡と一体化された)装置が既に知られている。
【0007】
そのような装置には、スペクトル51が図9において図示されている帯域通過フィルタ等の、照射手段と照射する担体との間に配設された入力フィルタが設けられており、このフィルタは、スペクトル50に対応する照射手段の広いスペクトル幅を考慮して、所望のエネルギーで適切に蛍光体を励起するのに有益な波長のみを選択するように波長λを中心とする非常に狭い通過帯域を有する。
【0008】
この装置はまた、分析対象の担体と、担体から到来する光を見るための領域との間に配設されたフィルタを備え、フィルタは、励起光に応じて蛍光体によって発光された、全ての他の無関係の波長がフィルタ処理された光を通過させるのみのために、図9におけるスペクトル52によって図示されている(ここでは、波長λを中心とする狭い通過帯域の帯域通過フィルタ)。
【0009】
そのような構成を有する装置は、例えばUS7,397,602に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,397,602号明細書
【特許文献2】国際公開第02/061405号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、先行技術の装置のように蛍光の検出を果たすが、良好な性能を提供するとともに、より経済的で且つより簡便な装置の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明は、蛍光体物質によってマーキングされた微生物を含むように構成された担体の微生物分析のための装置であって、上記物質が、上記微生物に接触することにより、所定の吸収波長(λ)において頂部を有する吸収スペクトルを有する光エネルギーを吸収し、且つ、上記吸収波長(λ)とは異なる所定の発光波長(λ)において頂部を有する発光スペクトルを有する蛍光を発光することによってそのエネルギーを放出するように構成されており、上記装置が照射手段を備え、それらの照射手段によって発光された励起光に応じて、上記マーキングされた微生物が上記発光スペクトルを有する光を発光するために、上記担体を照射するように構成され、照射手段から到来する光から、上記蛍光体物質によって発光された光を識別するのが容易とされるということにより、上記吸収波長(λ)が、励起波長(λ)と吸収波長(λ)との間に所定の差異を有して上記励起波長(λ)と発光波長(λ)との間に位置付けられるように、照射手段から到来する励起光のスペクトルが、上記蛍光体物質の上記吸収波長(λ)及び発光波長(λ)とは異なる所定の励起波長(λ)において頂部を含むことを特徴とする、装置を提供する。
【0013】
励起スペクトル及びしたがって励起波長λと発光波長λとの間に位置付けられた吸収波長λを有する吸収スペクトルの頂部間のスペクトルのオフセットは、照射手段から到来して分析対象の担体上に反射される光が微生物の存在下で蛍光体物質によって発光される光との大幅な寄生性の干渉を引き起こさず、照射手段から到来する蛍光体物質によって発光された光を識別するのを容易とするために、蛍光発光によって光を発光するように蛍光体を励起して波長λにおいて(及び隣接した波長において)発光スペクトルを有する励起スペクトルの小さい重複を有するように、波長λにおいて非常に高いエネルギーを有する光を得るためにλを超えて位置付けられた励起光のスペクトルの一部を、吸収波長と発光波長とにおけるスペクトル間において、有利に位置付けるのを可能とする。
【0014】
より詳細には、励起スペクトルと発光スペクトルとの間の重複は、したがって、本発明に係る装置のスペクトルオフセットにより小さく、蛍光体の発光スペクトルの頂部は、励起光のスペクトルの頂部からより離れ、(その波長において照射手段によって発光される光に由来する)蛍光体の発光波長における寄生エネルギーと、実際にマーキングされた微生物の蛍光発光に由来するエネルギーとの間の比は、大幅に改善される。
【0015】
したがって、特に肉眼で明瞭に観察可能とされるようにマーキングされた微生物について十分なコントラストを有して当該微生物に対応する輝点を担体上において容易に検出することが可能である。
【0016】
したがって、このスペクトルオフセットは、(図7及び図9におけるスペクトル50、55によって図示されるもの等の)無視できないスペクトル分散を有する照射手段を考慮に入れても、それにもかかわらず、そのような照射手段を、(例えば一般に極めて高価であるレーザ等の)スペクトル分散がより低い他の照射手段と置換する必要なく、従来の装置の入力フィルタを有するのを省略するのを可能とする。
【0017】
入力フィルタ、特に狭い通過帯域を有するフィルタの存在は、必然的に、そのような装置についてかなりのエネルギースループット(及び、したがって照射する担体に到達する光量)の低下をもたらすことから、これは、したがって、光エネルギーの損失を最小化しながら、そのような装置の製造コストをかなり削減するのを可能とする。
【0018】
光エネルギーの損失が本発明に係る装置においてより少ないのにともない、したがって、同じ消費電力について、従来の装置の顕微鏡に対する適用におけるよりも、(例えば微小孔性フィルタ膜の表面等の)より大きな分析対象の担体表面を照射することが可能である。
【0019】
製造及び使用についての簡便さ及び利便性の理由で好ましい特徴によれば:
上記励起波長(λ)は、上記吸収波長(λ)よりも短く、上記吸収波長(λ)自体は、上記発光波長(λ)よりも短く、
励起光の上記スペクトルは、上記励起波長(λ)を中心とする最大光強度のピークを含み、
上記励起波長(λ)と吸収波長(λ)との間の差異は、上記蛍光体物質の上記吸収波長(λ)と発光波長(λ)との間の差異より小さく、
上記装置はまた、最長波長を通過させるように構成され且つその遮断波長が上記吸収波長(λ)と上記発光波長(λ)との間に位置付けられたフィルタが設けられた上記蛍光体物質によって発光された光を見るための窓を備え、
上記照射手段は、少なくとも1つの上記光源の群に取り付けられた少なくとも1つの基部を備え、その群の光源が上記担体についての照射アレイを形成するように互いに規則的に間隔をあけて配置され、
上記照射手段は、装置への上記担体の受け入れのための所定の位置の方向に互いに対して傾けられた2つの上記基部を備え、
上記基部のそれぞれは、上記担体の受け入れのための上記所定の位置に対して40°から50°の角度だけ傾けられており、
上記光源は、発光ダイオードであり、及び/又は、
上記照射手段は、多色光を発光するように構成されたランプと、最小波長を通過させるように構成され且つその遮断波長が上記吸収波長(λ)と上記発光波長(λ)との間に位置付けられたフィルタとを備える。
【0020】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、好ましいが限定されない例として与えられる以下の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る装置の図である。
【図2】装置における分析対象のフィルタユニットが傍に示された装置の斜視図である。
【図3】装置の下方から取られた斜視図である。
【図4】装置の中央対称面において取られた断面立面図である。
【図5】所定の波長でそれぞれ発光する発光ダイオードの2つの群が固定された、装置の2つのプリント基板のうちの1つの斜視図である。
【図6】本発明に係る装置の他の実施形態の斜視図である。
【図7】x軸に沿った波長の普通目盛とy軸に沿った相対光強度の普通目盛とを有する本発明に係る装置の異なる光学部材のスペクトル図と、微生物にマークを付けるために装置によって使用される蛍光体物質のスペクトル図とを示している。
【図8】本発明に係る装置のさらに他の実施形態の一部の図である。
【図9】図7のものと同様であるが上述した従来の技術に係る装置についてのスペクトル図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図7において図示されているスペクトル図を用いて、その動作モードを詳述する前に、図1から図5を用いて本発明に係る装置の好ましい実施形態が記載される。
【0023】
図1から図5において図示されている装置1は、ケーシング2と、2つの照射部材4から形成された照射手段3と、摺動引き出し5と、観察窓7とを備える。
【0024】
ケーシングは、平行六面体の全体的な形状からなり、上壁10と、4つの側壁11から14とを有し、壁14の一部は、装置の内部を示すために意図的に示されていない。
【0025】
観察窓7は、ここでは低域通過フィルタ6(すなわち、それは、最低周波数、したがって最長波長が通過するのを可能とする)によって構成されており、そのフィルタ6を内部に受け入れるように開口9がケーシング2の上壁10に形成されている。
【0026】
以下に示されるように、壁10から14及び30によって範囲が定められるこのケーシング2の内部は、周囲の光から遮断されて分析対象の担体が受け入れられる分析チャンバを形成する。
【0027】
分析対象の担体はフィルタユニット40、ここでは商標Milliflex(R)の下でMillipore社によって市販されているユニットに属する微小孔性膜41である。この膜41は、55mmの直径を有し、フィルタユニットの本体42によって取り囲まれている。
【0028】
ここで使用される膜41は、セルロースエーテルからなり、ほとんどの場合0.10ミクロンから100ミクロンにおいてその存在を検出することが望ましい微生物を保持するのに適している孔サイズを有する。
【0029】
引き出し5は、本体30と、カラー31と、把持つまみ32とを有する。
【0030】
本体30において、フィルタユニット40を受け入れるように設けられた円筒状空洞33が形成されている。
【0031】
照射手段3は、図3から図5を用いてここで記載される。
【0032】
これらの手段3は、2つの別個の照射部材4を備える。
【0033】
各部材4は、台形断面からなる取り付け部20と、ダイオード22、23からなる2つの群27、28が配設されたプリント基板21と、それらのダイオードを被覆するディフューザ24と、基板21の端縁とディフューザ24の端縁との間における2つの黒い間仕切り26とを備える。
【0034】
取り付け部20は、そのケーシングの壁10上のケーシング2の内部に固定されており、その一方で、基板21は、それらの基板が担体41のための受け入れ領域33の方向に互いに向かって傾けられるように、壁10に対向して配設されたそれらから離隔されている、その傾斜面において取り付け部20に固定されている。
【0035】
したがって、各取り付け部20は、壁10と、ユニット40が装置のハウジング33内にある場合(図1)に膜41が占有する所定の位置とに対して各板21が45°の傾きA(図1)を有するように設けられている。
【0036】
基板21の上側端縁25は、互いに100mmに等しい距離を置く一方で、それらの端縁25は、壁10から23mm離れている。
【0037】
発光ダイオード22、23の頂点は、ディフューザ24から15mm離れて配置されている。
【0038】
これらのディフューザ24は、ここでは、一方の面(ダイオードの方に向けられた面)がサンドブラストされたガラス板から作られている。
【0039】
各プリント基板において、図5において図示されているように、ダイオードの第1の群27は、16個のダイオード22によって構成されて配設されており、同様に、ダイオードの第2の群28は、4つのダイオード23によって構成されている。
【0040】
ダイオード22は、互いに規則的に間隔をあけて配置されており、各ダイオード22がそれらに直近のダイオード22から16mm離れて配置されるように、4つのダイオードの4つの等距離の列に配設されている。したがって、この群27は、その所定の位置においてケーシング2内に配設された場合に膜41を一様に照射するのを可能とするダイオードのアレイを形成しており、そのアレイの中心29は、その所定の位置から54.75mmの高さHに位置付けられている(図1)。
【0041】
ダイオード23は、ダイオード22のアレイの中心に組み合わされて正方形の4つの隅部に分散配置されており、各ダイオード23は、それらに隣接した2つのダイオード23から32mm離れて且つその隅部において4つのダイオード22が配置されている正方形の中心に配置されている(図5)。このアレイの中心は、ダイオード22によって構成されるアレイの中心29と一致する。
【0042】
ダイオード22は、参照記号LXHL−PB01の下で商品化され且つ発光スペクトル55が図7において図示されているLUMILED社製のダイオードであり、このガウス分布形式のスペクトルは、470nmの波長λにおいて頂部55’を有し、したがって、青色に発光する。
【0043】
ダイオード23は、参照記号LXHL−PD01の下で商品化された同じ会社製のダイオードであり、その発光スペクトルはまた、図面において図示されていないが、ガウス分布形式からなり、625nmの波長において頂部を有し、したがって、赤色に発光する。
【0044】
これらのダイオードは、25%の相対強度値について140°の放射立体角と、60%の相対強度について90°の放射立体角とを有する。
【0045】
ダイオード23は、ダイオード22よりも個数が4倍少ないように、ダイオード22のものよりも略4倍大きい発光強度を有する。
【0046】
ダイオード22、23のアレイは、光がダイオード22から到来するかダイオード23から到来するかにかかわらず、照射されることになるフィルタユニットにおいてできる限り最も均質な光を得るように組み合わされている(すなわち、互いの範囲内で入れ子にされている)。
【0047】
ダイオードの各群は、異なる所定のタイプの蛍光体の励起することができるように所定の波長を中心とする光スペクトルを形成する。
【0048】
各基板21上の導電性トラック、装置用の指令制御ユニットに対して電気的に接続される(図示せず)。
【0049】
分析対象の試料の準備がここで簡潔に記載される。
【0050】
実際の検出ステップの前に、作業者は、ユニット40の膜41を介した濾過によって分析対象の試料(微生物を含むことがある)を収集する。
【0051】
一旦微生物が濾過されて膜に保持されると、適切な培養媒体と接触させて微生物を培養させる任意のステップが含められてもよい。この培養媒体は、好ましくは、濾過後に膜が置かれるゲル状媒体である。このステップは、任意であるが、最初に濾過された微生物のそれぞれのコロニーが得られるのを可能とし、検出対象の細胞の個数を増加させる。
【0052】
膜及びそれが含む微生物は、その後、微生物の壁を浸透性の状態にするための組成物と接触して設置され、その後、蛍光体マーカーは、検出対象の微生物の内部に入れるために浸透性の状態とする組成物に組み込まれる。
【0053】
ここで、本発明に係る装置に基づいてそのように準備された試料上の微生物の有無の判定の実施について記載される。
【0054】
第1の段階において、引き出し5が引っ張られ、作業者は、その引き出しの空洞33に(場合によっては外部汚染から膜を保護するために図示されない透明カバーによって被覆されてもよい)フィルタユニット40を設置する。その後、照射されるために膜41がケーシング2内におけるその所定の位置に配設されるように、カラー31が壁13に当接するまで引き出し5が押し込まれる。
【0055】
微生物にマークを付けるために使用される蛍光体に応じて、作業者は、次に、膜41の表面全体を一様に照射してマーキングのために供給された蛍光体を正しい波長において励起するために、対応するダイオード22又は23を(図示された例においてはダイオード22を)作動するように(例えば図面において図示されないスイッチを介して)選択する。
【0056】
ディフューザ24は、基板21上のダイオードの空間分布と同様に、どのようなダイオードの群が使用されても、膜41の全面の特に均質な照射を有するのを可能とする。
【0057】
基板21がフィルタ6を受け入れる開口9の各側に配設されるのにともない、肉眼であるいはカメラを介して、フィルタ6を介した膜41の光応答を観察することが可能であるように、ダイオードからの励起光に応じて発光されたフィルタユニット40から到来する光は、図1において図示されているように、そのフィルタを通過する。
【0058】
微生物の存在下で得られる光応答が、図7において図示されている異なるスペクトル図を用いてここで詳細に記載される。
【0059】
図7において、スペクトル55は、ガウス形式からなり、励起光のスペクトル(ここでは、スペクトルはダイオード22によって形成される)に対応し、最大光強度値に対応する頂部55’が470nmと等しい波長λにおけるものからなるピークを有する。
【0060】
スペクトル53、54は、それぞれ、膜上に存在する微生物にマークを付けるためにここで選択された蛍光体の吸収スペクトル及び発光スペクトルに対応する。
【0061】
ここで示される蛍光体は、5−6CFDA(カルボキシフルオレセインジアセテート)である。
【0062】
吸収スペクトル53は、λよりも大きい波長λにおいて頂部53’を有し、発光スペクトル54は、λよりも大きい波長λにおいて頂部54’を有する。
【0063】
図示された例において、λは492nmに等しく、λは517nmに等しく、λとλとの間の差異は、ここではλとλとの間の差異より小さい。
【0064】
励起波長λは、スペクトル55の頂部55’がスペクトル53の頂部53’に対してスペクトル54の反対側にオフセットされるように、λより小さくなるように意図的に選択される。このオフセットは、その光がその励起光に応じて蛍光体によって発光された光と大幅な寄生性の干渉を引き起こすことなく、蛍光体を励起するために十分なエネルギーを有するように照射手段から光が到来するために選択される。
【0065】
スペクトル56は、観察窓のフィルタ6のものであり、その遮断周波数は、基本的に、蛍光体によって発光された光を(スペクトル54)通過させ、且つ、より短い波長における光、特にユニット40における反射後にダイオード22から到来する光を止めるように選択される(ここでは約550nm)。
【0066】
この出力フィルタ(カラーフィルタ)は、十分な光量が一般に明るいシーンを与えているユーザの目に戻るのを可能とするように僅かに選択的であり、したがって、肉眼で観察するのに適しているコントラスとのレベルを確保するとともに、観察するのに快適である。
【0067】
照射手段3から到来する励起光がフィルタユニット40の膜41を照射する場合、蛍光体によってマーキングされた微生物を有するその膜の各位置は、フィルタ6から肉眼で直接観察可能な小サイズ(数百ミクロン)の輝点の形式で視認可能な状態となる。
【0068】
角度A及び高さHの値は、肉眼かカメラを介してかにかかわらず、膜41上の輝点を読み取るのに最適な状態を形成する。
【0069】
これらの値は、制御膜に対して黒色マーク及び蛍光の黄色マークを加え、その角度A及びその高さHの異なる値について、黒色マーク上の寄生性の輝度を最小にするとともに蛍光帯の輝度が最大である配置A、Hを求めることによって決定される。
【0070】
このように、角度Aについての範囲(40°−50°)が、蛍光マークについての最大光強度を与え且つ実際に黒色マークについて寄生性の光がなく、したがって読み取り易さの観点から最適条件に対応することが意外にも証明された。
【0071】
装置を取り付ける際の動きに対して所定の安全マージンを有するように、したがって、それは、ここで選択された45°の平均値である。
【0072】
高さの値Hに関して、これは、照射対象の物体の大きさの関数であり、テストされた異なる構成は、55mmの直径の膜についての且つ40°から50°の角度Aについての値の範囲についてのものが示されており、最良の結果は、39.75mmから69.75mmの高さの範囲について得られた。同様にここでは、それは、この例において選択された54.75mmの平均値である。
【0073】
装置はまた、高さHを調整することにより、他の膜試料タイプを照射するように構成され、一般的に任意の担体は(表面上に又は体積中に)微生物を含むように構成されて蛍光によってその存在が検出されるのが望ましい。
【0074】
この装置の他の実施形態は、図6において示されている。
【0075】
一般的に言えば、100を加えた同じ参照数字が同様の部品について使用される。
【0076】
装置101は、引き出し5がないことと(フィルタユニット40は、ここでは例えばテーブルに直接設置されている)、観察窓107が、ここでは、ケーシング102の壁110に対向して配設された矩形状のスライド108と、それぞれがスライド108の対応する開口内に収容されている4つのフィルタ106から106’’’とから形成されているということを別として、装置1と同じ特徴を有する。
【0077】
各光学フィルタは、低域通過フィルタであり、したがって、低周波数(最長波長)が通過するのを可能とし、その遮断周波数は、他の遮断周波数とは異なる。
【0078】
スライド108は、4つのフィルタ106から106’’’のうちの任意の選択された1つが壁110の開口109と一致して設置されることができるように、その装置のガイドレール(図示せず)に係合されている。
【0079】
したがって、選択された蛍光体及び作動されるダイオードに応じて、4つの使用可能なフィルタから、(例えば最良のコントラストを得るために)最も適合した遮断周波数を有する1つを選択することが可能である。
【0080】
図示されていない1つの実施形態において、フィルタ6は、その通過帯域が波長λを中心とする低域通過フィルタではなく帯域通過フィルタである。
【0081】
図8において概略的に図示されているさらに他の実施形態において、照射手段のスペクトルの頂部は、必ずしも局所的とは限らず、したがって、ダイオードの代わりに、例えば、従来の帯域通過フィルタよりも高価でなく、その遮断波長λが吸収波長λと発光波長λとの間に位置付けられた(図8)、最高周波数、すなわち最短波長が通過することができる適合された高域通過フィルタ234と関連付けられた多色光からなるランプ204を照射手段203として使用することにより、波長のより大きい範囲にわたって延在している。
【0082】
最後に、そのような照射システムはまた、顕微鏡による分析、バイオチップの走査、蛍光による板の読み取り、サイトメトリー、トランスイルミネーター、PCRのリアルタイム読み取り等の多くの他の用途のための異なるバージョンに形成され得るということに留意されたく、次いで、これらの用途のそれぞれについて、装置の幾何構成は、対象となっている用途に特有のバージョンにある。基部21が固定される装置のフレームは、必ずしも図示されたケーシング2のようなケーシングではなく、例えば顕微鏡の光学系を取り囲むフープであってもよい。
【0083】
本発明は、記載されて示された実施形態に限定されるものではなく、そのいかなる変形も含む。
【符号の説明】
【0084】
1、101 装置
2、102 ケーシング
3、203 照射手段
4 照射部材
5 摺動引き出し
6、106、106’、106’’、106’’’ 低域通過フィルタ
7、107 観察窓
9、109 開口
10、110 上壁
11、12、13、14 側壁
20 取り付け部
21 プリント基板
22、23 ダイオード
24 ディフューザ
25 上側端縁
26 間仕切り
27、28 群
29 中心
30 本体
31 カラー
32 把持つまみ
33 円筒状空洞、受け入れ領域、ハウジング
40 フィルタユニット
41 微小孔性膜、担体
42 フィルタユニットの本体
50、51、52、53、54、55、56 スペクトル
50’、53’、54’、55’ 頂部
108 スライド
204 ランプ
234 高域通過フィルタ
A 角度
H 高さ
λ、λ、λ 波長
λ 遮断波長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体物質によってマーキングされた微生物を含むように構成された担体(41)の微生物分析のための装置であって、前記物質が、前記微生物に接触することにより、所定の吸収波長(λ)において頂部(53’)を有する吸収スペクトル(53)を有する光エネルギーを吸収し、且つ、前記吸収波長(λ)とは異なる所定の発光波長(λ)において頂部(54’)を有する発光スペクトル(54)を有する蛍光を発光することによってそのエネルギーを放出するように構成されており、前記装置が照射手段(3、203)を備え、それらの照射手段(3、203)によって発光された励起光に応じて、前記マーキングされた微生物が前記発光スペクトル(54)を有する光を発光するために、前記担体(41)を照射するように構成され、照射手段(3、203)から到来する光から、前記蛍光体物質によって発光された光を識別するのが容易とされるということにより、前記吸収波長(λ)が、励起波長(λ)と吸収波長(λ)との間に所定の差異を有して前記励起波長(λ)と発光波長(λ)との間に位置付けられるように、照射手段(3、203)から到来する励起光のスペクトル(55)が、前記蛍光体物質の前記吸収波長(λ)及び発光波長(λ)とは異なる所定の励起波長(λ)において頂部(55’)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記励起波長(λ)が、前記吸収波長(λ)よりも短く、前記吸収波長(λ)自体が、前記発光波長(λ)よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
励起光の前記スペクトル(55)が、前記励起波長λを中心とする最大光強度のピーク(55’)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記励起波長(λ)と吸収波長(λ)との間の差異が、前記蛍光体物質の前記吸収波長(λ)と発光波長(λ)との間の差異より小さいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
最長波長を通過させるように構成され且つその遮断波長が前記吸収波長(λ)と前記発光波長(λ)との間に位置付けられたフィルタ(6、106)が設けられた前記蛍光体物質によって発光された光を見るための窓(7、107)も備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記照射手段(3)が、少なくとも1つの前記光源(22)の群(27)に取り付けられた少なくとも1つの基部(21)を備え、その群(27)の光源(22)が前記担体(41)についての照射アレイを形成するように互いに規則的に間隔をあけて配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記照射手段(3)が、装置への前記担体(41)の受け入れのための所定の位置の方向に互いに対して傾けられた2つの前記基部(21)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記基部(21)のそれぞれが、前記担体(41)の受け入れのための前記所定の位置に対して40°から50°の角度(A)だけ傾けられていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記光源が、発光ダイオード(22)であることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記照射手段(203)が、多色光を発光するように構成されたランプ(204)と、最小波長を通過させるように構成され且つその遮断波長(λ)が前記吸収波長(λ)と前記発光波長(λ)との間に位置付けられたフィルタ(234)とを備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−78599(P2010−78599A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−212656(P2009−212656)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】