説明

微発泡ポリウレタンエラストマーおよびその製造方法

【解決手段】フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、水酸基価が20ないし150mgKOH/g、酸価が0.4mgKOH/g以下、金属分の含有量が60μg/g以下、COO−C64−COO単位の含有率が2質量%以上65質量%以下の芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られた変性ポリイソシアネートと活性水素化合物により微発泡ポリウレタンエラストマーを得る。
【効果】特に靴底等機械物性に優れ、更にクッション性等が必要とされる分野に好適に使用できるポリウレタンエラストマーが得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変性ポリイソシアネート、該変性ポリイソシアネートから得られる微発泡ポリウレタンエラストマー及びその製造方法に関する。又該微発泡ポリウレタンエラストマーを用いて製造された靴底に関する。
【0002】
【従来の技術】微発泡ポリウレタンエラストマーの主用途である靴底分野においては、履き心地性、及び耐加水分解性、圧縮永久歪み等の耐久性の改善が望まれている。従来、靴底用途の微発泡ポリウレタンエラストマーは、特開昭59−27911号公報に例示されているように機械強度、耐摩耗性の観点から、ポリエステルポリオールを用いた微発泡ポリウレタンエラストマーが用いられている。しかし、該方法によると、靴底を構成している微発泡ポリウレタンエラストマーのポリエステル結合部位が加水分解し易いため、靴底の長期間使用における耐加水分解性が劣ることが欠点として挙げられている。
【0003】本欠点を改良する方法として、耐水性を改良したポリエステルポリオールとして特開昭63−101412号公報には3−メチルー1,5−ペンタンジオールを使用した例が開示されており、また、特開平4−502780号公報にはポリオキシカプロイルジオールを使用した例が開示されているが、耐水性は満足するにいたっていない。また、加水分解をしにくいエーテル系ポリオールの物性改善という観点から、特開平9−3183号公報、及び特開平9−3152号公報において、複金属シアン化物錯体(Double Metal Cyanide Complex;以下、DMCと言う)触媒を使用した低不飽和度のポリエーテルポリオールを使用した靴底用微孔質エラストマーが提案されている。しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記DMC触媒により、製造したポリエーテルポリオールを用いた微発泡ポリウレタンエラストマーは、本発明者らが目的とする大幅な機械強度の向上は図れなかった。
【0004】一方、近年、樹脂のリサイクルが要望され、ポリエチレンテレフタレートなどのケミカルリサイクル技術が必要とされていた。リサイクル方法の1つとして多価アルコールを用いてエステル交換反応によりテレフタレート系ポリオールを製造する方法(特開昭59−105024号、特開昭60−130620号公報)が開示されているが、ポリオールの分子量が低く、硬質ポリウレタン用として濁りや沈殿のないポリオールを製造することにとどまり、芳香族ポリエステルポリオールとして更なる性能の向上が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れた機械強度を発現する靴底用途の微発泡ポリウレタンエラストマー及びその製造方法を提供することにある。また、回収、再生加工されたポリアルキレンテレフタレート、あるいはポリアルキレンテレフタレートの製造工程や加工工程などで発生した廃物をも原料とすることが可能となる芳香族ポリエステルポリオールの製造方法と、有用な利用方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、新規な変性ポリイソシアネート化合物を用いることにより、優れた機械物性を有する微発泡ポリウレタンエラストマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、以下の(1)〜(13)を提供するものである。
(1) 1) フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、2)水酸基価が20ないし150mgKOH/g、3) 酸価が0.4mgKOH/g以下、4) 金属分の含有量が60μg/g以下、5) COO−C64−COO単位の含有率が2質量%以上65質量%以下、の芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られたポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
(2) 前記芳香族ポリエステルポリオールがポリアルキレンフタレート樹脂とグリコール成分とを反応させることにより得られうるポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
(3) 前記芳香族ポリエステルポリオールを製造するにあたり水分含有量が0.3重量%以下のグリコール成分を用いて得られた(2)記載のポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
(4) 前記ポリアルキレンフタレート樹脂が、重量平均分子量が20000ないし80000の範囲にあり、数平均分子量が8000ないし30000の範囲にあり、水分含有量が0.5重量%以下である(2)記載のポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
(5) (1)乃至(4)いずれかに記載の変性ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られた微発泡ポリウレタンエラストマー。
(6) 全密度が100kg/m3以上、900kg/m3以下である(5)記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
(7) 微発泡ポリウレタンエラストマー中心部のセルの平均孔径が1〜100μmである(5)乃至(6)いずれかに記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
(8) 水酸基価(OHV)が10〜100mgKOH/g、総不飽和度(C=C)が0.05meq./g以下、プロピレンオキサイド付加重合によるヘッド−トゥ−テイル(H−T)結合選択率が95モル%以上であり、且つ、W20/W80が1.5以上、3.0未満である低総不飽和度ポリエーテルポリオールを50重量%以上含有するポリオールと(1)乃至(5)いずれかに記載の変性ポリイソシアネートから製造された微発泡ポリウレタンエラストマー。
(9) 前記低総不飽和度ポリエーテルポリオールがP=N結合を有する化合物を触媒として製造されたポリエーテルポリオールである(8)記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
(10) 前記P=N結合を有する化合物がホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、及びホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である(9)記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
(11) (8)乃至(10)のいずれかに記載の微発泡ポリウレタンエラストマーを用いて製造された靴底。
(12) 1) フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、2)水酸基価が20ないし150mgKOH/g、3) 酸価が0.4mgKOH/g以下、4) 金属分の含有量が60μg/g以下、5) COO−C64−COO単位の含有率が2質量%以上65質量%以下、の芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られた変性ポリイソシアネートと、ポリオールを反応させて製造させる微発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法。
(13) 前記ポリオールが水酸基価(OHV)が10〜100mgKOH/g、総不飽和度(C=C)が0.05meq./g以下、プロピレンオキサイド付加重合によるヘッド−トゥ−テイル(H−T)結合選択率が95モル%以上であり、且つ、W20/W80が1.5以上、3.0未満である低総不飽和度ポリエーテルポリオールを50重量%以上含有するポリオールとである(12)に記載の微発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、変性ポリイソシアネート、該変性ポリイソシアネートを用いた微発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法および微発泡ポリウレタンエラストマーについて詳細に説明する。
【0009】[変性ポリイソシアネート]本願発明に用いられるポリウレタン製造用変性ポリイソシアネートとは、1) フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、2)水酸基価が20ないし150mgKOH/g、3) 酸価が0.4mgKOH/g以下、4) 金属分の含有量が100μg/g以下、5) COO−C64−COO単位の含有率が2質量%以上65質量%以下、の芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られものである。
【0010】<芳香族ポリエステルポリオール>本発明のポリイソシアネート成分の変性に用いられる芳香族ポリエステルポリオールとは1) フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、2)水酸基価が20ないし150mgKOH/g、3)酸価が0.4mgKOH/g以下、4)金属含有量が100μg/g以下、5) COO−C64−COO単位の芳香族ポリエステルポリオール中の含有率が2質量%以上65質量%以下、である芳香族エステルポリオールである。本芳香族ポリオールはフタル酸骨格を有するジカルボン酸とグリコール化合物が脱水縮合して得られたエステル骨格を主成分とするものであり、必要に応じてその他の成分をその分子中に含有していてもよい。水酸基価は通常20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、好ましくは25mgKOH/g以上、120mgKOHである。また、酸価は0.4mgKOH/g以下であり、好ましくは0.2mgKOH/g以下である。また、芳香族ポリエステルポリオール中に含有される金属分の濃度は、100μg/g以下であり、好ましくは50μg/g以下である。特に金属分の中でアンチモン、ゲルマニウム少なくとも一方を含有する場合、その含有量は60μg/g以下が好ましく、30μg/g以下が特に好ましい。COO−C64−COO単位の芳香族ポリエステルポリオール中の含有率が2質量%以上65質量%以下、好ましくは10質量%以上60質量%以下である。本発明のCOO−C64−COO単位は実質的に全てエステル結合になっているので、以下芳香族エステル含量と称する。芳香族エステル含量が2質量%以上とすることで機械物性を向上させることができ、65質量%以下とすることで、芳香族ポリエステルポリオールの粘度を低く保つことができ、芳香族ポリエステルポリオールを製造する上で好適であるのみならず、芳香族ポリエステルポリオールを用いたレジンプレミックス等の粘度を低減することができ好ましい。本発明の芳香族ポリエステルポリオールの粘度に特に制約はないが、60℃において測定した粘度が200mPa・s以上50000mPa・s以下の範囲にあることが望ましい。
【0011】<芳香族ポリエステルポリオールの製造方法>本発明の芳香族ポリエステルポリオールはエステル交換反応用触媒の存在下、ポリアルキレンフタレート樹脂をグリコールと反応させることにより製造することができる。前記反応において副生した水やグリコール(即ち原料であるポリアルキレンテレフタレート樹脂を形成していたグリコール)は必要に応じて除去することができる。また、必要に応じてアンチモン、ゲルマニウム等の不純物の除去や精製を実施しても良いことは言うまでもない。
【0012】(ポリアルキレンフタレート樹脂)本発明の方法で原料として用いるポリアルキレンフタレート樹脂としてはフタル酸を用いて製造されたものであればいずれでもよく、本芳香族ポリエステルポリオール製造用に生産されたものであっても、他の目的で製造されたものの転用や使用された後の回収ポリアルキレンフタレート樹脂を用いてもよい。ポリアルキレンフタレートの原料としてはテレフタル酸以外にも、オルソフタル酸、テレフタル酸等のフタル酸の異性体等を単独でまたは2種以上を併用して製造されたものであってもよい。ポリアルキレンフタレート樹脂が、重量平均分子量が20000ないし80000の範囲にあり、数平均分子量が8000ないし30000の範囲にあるものが好ましい。また水分含有量が0.5質量%以下であることが望ましく、0.4質量%以下がより好ましい。このようにして原料ポリアルキレンテレフタレート樹脂の水分量を制御することにより、得られる芳香族ポリエステルポリオールの酸価の上昇を制御することができる。
【0013】以下、入手が最も容易であるポリアルキレンテレフタレートを代表として説明する。バージン樹脂(テレフタル酸とアルキレングリコールから製品として製造され、リサイクルの工程を経ていない樹脂)の他に、ポリアルキレンテレフタレートの製造工程あるいは加工工程で発生した廃物、またはボトルやフィルムなど別の用途ですでに使用された後、回収・再生処理されたものなどを用いることができる。ポリアルキレンテレフタレート廃物または再生処理されたものは、どのような形態であっても良いが、フレーク状またはペレット状のものを用いるのが好適である。特に、ポリエチレンテレフタレートは飲料用ボトルの回収・再生処理システムが確立しており、再生処理品をフレークまたはペレットのかたちで市販品として入手することができる。
【0014】(グリコール)本発明の方法で原料として用いるグリコールとしては下記一般式(1)[化1]
【化1】


[式中、Rは水素または1〜5の炭素原子から構成されるアルキル基を表し、lは0以上の整数、mは1以上の整数を表す]で示されるアルキレングリコールが用いられる。式中のl,mに特に限定はないが好ましくはlは1以上7以下、mは1以上90以下である。具体例として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ヘキサプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジ1.3−プロピレングリコール、トリ1,3−プロピレングリコール、テトラ1,3−プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、3-メチル1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,8−オクタメチレングリコール、およびこれらのグリコールの縮合物である分子量150ないし4000のオリゴマー等が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を含む混合物として用いることができる。原料グリコールの使用量は、芳香族ポリエステルポリオールの粘度、水酸基価およびポリウレタン樹脂に求められる性能に応じて適宜決定することができる。本発明の方法において用いられるこれらの原料グリコールに含まれる水分は通常0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。このようにして原料グリコール中の水分量を制御することにより、得られる芳香族ポリエステルポリオールの酸価を抑制することができる。
(エステル交換反応触媒)本発明の方法においては、ポリアルキレンテレフタレートと原料グリコールのエステル交換反応で用いられる触媒は特に限定されず、エステル交換反応において通常用いられる触媒を用いることができる。例えばルイス酸やアルカリ金属およびアルカリ土類金属のカルボン酸塩、プロトン酸、活性白土、酸性白土、イオン交換樹脂などを挙げることができる。より具体的には、テトラブトキシチタネート、ジブチル錫オキシド、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酸価アンチモン、酸価ゲルマニウム、燐酸、ホウ酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタスルホン酸、アンバーリストE15などが挙げられる。これらの触媒の使用量は、原料ポリアルキレンテレフタレートに対して10ないし5000μg、好ましくは50ないし1000μgである。
(エステル交換反応条件)本発明の方法において、ポリアルキレンテレフタレートと前記原料グリコールとのエステル交換反応を行う際の反応温度は、通常150ないし300℃の範囲で、好ましくは200ないし250℃の範囲である。圧力はいずれでも良いが、通常常圧ないし1MPaである。また、エステル交換反応の反応時間は特に限定されないが,通常、0.5ないし5時間の範囲で行われる。エステル交換反応は、バッチ、セミバッチ、連続いずれの方法で実施しても良い。エステル交換反応で副生したグリコール成分(即ち原料であるポリアルキレンテレフタレート樹脂を形成していたグリコール)は、必要に応じて留去する。このことにより芳香族ポリエステルポリオールの水酸基価、粘度を所定の範囲に制御することができる。このグリコール成分の留去に際して特に限定の条件はないが、通常、加熱減圧下に実施する、また、エステル交換反応反応触媒の存在下に反応させながらグリコール成分を留去しても、反応終了後留去しても良いが反応時のフタル酸成分とグリコール成分の割合を制御することができるので反応時に留去することが好ましい。グリコール留去の温度は通常150ないし300℃の範囲であり、好ましくは200ないし250℃の範囲である。圧力は通常0.5ないし0.0001MPa、好ましくは0.1ないし0.001MPaの範囲で実施される。
【0015】(芳香族ポリエステルポリオールの後処理)得られた芳香族ポリエステルポリオールはそのままポリウレタン樹脂に用いても良いが、金属分等の不純物を除去しても良い。特にアンチモン、ゲルマニウム等の金属分は上記範囲を超えている場合は吸着剤等を用いて処理することが必要である。また、得られた芳香族ポリエステルポリオール中のアンチモン、ゲルマニウム等の金属分が上記範囲内にある場合でも吸着除去を実施しても良いことは言うまでもない。さらに、エステル交換に用いた触媒がポリオール中に残留していると加水分解性や熱安定性が悪化するので、吸着剤で除去を行っても良く、また、テトラブトキシチタネートのような水で加水分解してポリオールに不溶な化合物になるものは、水を添加して触媒を加水分解して沈殿させ、濾別して除去しても良い。
【0016】<ポリイソシアネート化合物>変性ポリイソシアネートに用いられるポリイソシアネート化合物としては、通常、ウレタン製造で用いられるポリイソシアネートであればいずれでも使用できる。具体的には例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、並びに前記ポリイソシアネートをヌレート変成した変成体、前記ポリイソシアネートの混合体等、通常のウレタン樹脂に用いられるものであればいずれでも良い。芳香族イソシアネートとしては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられ、粗TDIやポリメリックMDIを用いても良い。脂肪族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。脂環式イソシアネートとしては、2,5−ジイソシアネートメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ジイソシアネートメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3(4),8(9)−ジ(イソシアネートメチル)トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン(TCDI)等が挙げられる。また、ポリイソシアネートは、本発明を阻害しない範囲において、前記フタル酸とグリコール成分から得られうる芳香族ポリエステルポリオール以外のポリオールと反応させ、末端イソシアナート基を有するプレポリマーとして使用することもできる。
【0017】<ポリイソシアネート化合物の変性方法>本願発明のフタル酸とグリコール成分から得られうる芳香族ポリエステルポリオールはイソシアネート化合物を製造する際の変成剤として使用する。本願発明のフタル酸とグリコール成分から得られうる芳香族ポリエステルポリオールによる変成量は、イソシアネート基の当量100に対して1ないし80水酸基当量であり、好ましくは10ないし60水酸基当量である。製造方法は、ポリイソシアナートと芳香族ポリエステルポリオールを反応させることができれば、バッチ式、連続式等のどのような方法でも良く、温度も、常温ないし130℃、好ましくは40ないし100℃にて反応させて製造する。
【0018】[微発泡ポリウレタンエラストマー]本願発明の微発泡ポリウレタンエラストマーの全密度は、100〜900kg/m3、好ましくは200〜800kg/cm3、更に好ましくは、250〜700kg/cm3である。全密度とは、微発泡ポリウレタンエラストマーの表層部を含めた密度を意味する。全密度を100kg/m3以上とすることで、機械強度の向上、及び、成形後の機械物性の発現性が優れている。
【0019】又、微発泡ポリウレタンエラストマーの中心部(通常発泡が不均一である表層部を除いた部分を意味しコア部とも称する)におけるセルの平均直径は、1〜100μm、好ましくは1〜80μm、更に好ましくは5〜70μmである。セルの平均直径が100μm以下であることにより、触感を良好に保つことができ、より優れた機械物性を保つことができる。セルの平均直径は、微発泡ポリウレタンマイクロセルラーの中央部分を切り出し、例えば市販のマイクロカメラでセルの直径を観察し、それを画像解析装置等により処理することによって測定出来る。本発明の微発泡ポリウレタンエラストマーの機械強度は、その全密度にも依るが、硬さ(AskerC)20〜90、引張強度(TB)5〜20MPa、最大伸び(EB)200〜500%、引裂強度(TR)5〜40kN/m、圧縮永久歪み(CS)3〜20%の範囲である。
【0020】[微発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法]本発明の微発泡ポリウレタンエラストマーは、変性ポリイソシアネート、ポリオール、必要に応じて鎖延長剤、発泡剤、ウレタン化触媒、及び整泡剤等を用いて製造することができる。これらの混合順序等に特に限定は無いが通常、ポリオールと必要に応じて添加する鎖延長剤、発泡剤、ウレタン化触媒、及び整泡剤等を予め、混合した液(以下、レジンプレミックスと言う)とポリイソシアネート化合物を反応させることにより製造することができる。本発明においては前記ポリイソシアネート化合物は本発明の変性ポリイソシアネート又は本発明の変性ポリイソシアネートとその他のポリイソシアネートの混合物である。その他のポリイソシアネートとしては通常のポリウレタンに用いられるものであればいずれでもよい。具体的には前述の変性ポリイソシアネートの原料として用いられるポリイソシアネートが挙げられる。
【0021】ポリイソシアネートとポリオールの反応比率はポリオール中の全活性水素基濃度に対する、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基濃度の当量比(活性水素/NCO比:以下、イソシアネートインデックスと言う)が、0.8〜1.3の範囲でポリイソシアネート化合物とレジンプレミックスを攪拌混合することにより、製造する。イソシアネートインデックスは、0.9〜1.1が好ましい。攪拌混合は、微発泡ポリウレタンエラストマーの成形する大きさにも依るが、通常、低圧、或いは高圧循環発泡機を用い、20〜60℃の範囲で、成形する。5〜20分でモールドから脱型可能となる。全密度100kg/m3〜900kg/m3の微発泡ポリウレタンエラストマーを製造するためには、通常、発泡剤はポリオール100重量部に対して、0.1〜5重量部、整泡剤を0.1〜20重量部、ウレタン化触媒を0.3〜10重量部、及び鎖延長剤を3〜60重量部(全てポリオール100重量部に対する使用量である)使用する。
【0022】以上、詳述した本発明の微発泡ポリウレタンエラストマーは、引張強度、100%モデュラス、最大伸び、引裂強度、及び圧縮永久ひずみ等の機械物性に優れており、且つ、脱型時間が短いため、生産性に優れている。このような特性を有する微発泡ポリウレタンエラストマーで得られた靴底は履き心地、及び耐久性に優れている。従って、本発明の微発泡ポリウレタンエラストマーは靴底、シートマット、足ふきマット、静振材、静音材、及び衝撃吸収材等の用途において、好適に使用し得る材料である。
【0023】<ポリオール>本発明の微発泡ポリウレタンエラストマーの製造において使用するポリオールは、ポリウレタンの製造に用いられるものであればいずれでももちいることができる。例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等が例示できる。ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを用いることが好ましく、ポリエーテルポリオールをもちいることが更に好ましい。
【0024】(多価アルコール)本発明に用いられる多価アルコールは通常のポリウレタンに用いられる物であればいずれでもよいが、通常炭素数1乃至16の水酸基を2以上有する多価アルコール、好ましくは炭素数1乃至10の水酸基を2ないし6有する多価アルコールが挙げられる。より具体的には、2価アルコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール等、3価アルコールとしてグリセリン、トリメチロールプロパン等、4価アルコールとしてペンタエリスリトール、ジグリセリン等、6価アルコールとしてソルビトール等が挙げられる。
【0025】(ポリエステルポリオール)ポリエステルポリオールとしてはジカルボン酸と多価アルコールとの重縮合物が挙げられる。ポリオエステルポリオールに用いられるジカルボン酸としてはアジピン酸、o-フタル酸、m-フタル酸、p-フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、スベリン酸、リシノール酸等が挙げられる。ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0026】(ポリカプロラクトンポリオール)ε-カプロラクトンと多価アルコールより得られる物であり、通常分子量500〜4000、水酸基価30〜240である。多価アルコールとしては汎用ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコール等を用いることができる。
【0027】(ポリエステルポリオール)ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸とグリコールとを反応させるか、環状ラクトンの開環重合により得られる。ポリカルボン酸としては、アジピン酸、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、スベリン酸、リシノール酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。環状ラクトンとしてはε―カプロラクトン等が挙げられる。通常、数平均分子量が500〜4000g/mol、水酸基価が30〜240mgKOH/g程度である。
【0028】(ポリカーボネートポリオール)1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の縮合反応より得られる直鎖脂肪族のジオールであり、通常、水酸基価は60〜200mgKOH/g程度である。
【0029】(ポリマーポリオール)ポリエーテルポリオール中で、アクリロニトリルやスチレン等のエチレン性不飽和基含有モノマーをアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いて、分散重合したビニルポリマー粒子分散ポリオールである。ポリエーテルポリオール中に占めるポリマー濃度は、2〜50重量%程度である。本発明においては、ポリマー濃度が10〜40重量%のポリマーポリオールが好適に使用される。ビニルポリマーとして、スチレンを少なくとも30重量%含有するポリマーポリオールが好ましい。
【0030】<ポリエーテルポリオール>ポリエーテルポリオールとして例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドを通常のアルカリ金属の水酸化物を触媒として使用してアルキレンオキシドを付加して製造したポリエーテルポリオールの他、P=N結合を有する化合物を触媒としてアルキレンオキシドを付加して製造したポリエーテルポリオールが好適に使用できる。ポリエーテルポリオールのOHVは、微発泡ポリウレタンエラストマーの機械物性、及び脱型性の観点から、10〜100mgKOH/gであり、好ましくは20〜80mgKOH/gである。更に好ましくは、20〜60mgKOH/gである。ポリエーテルポリオール製造時に副反応として生成する炭素−炭素2重結合の量はいずれの値でも本発明の効果が発現するが、機械物性の観点から0.05meq/g以下が好適に使用できる。又、プロピレンオキサイド付加重合におけるオキシラン環の開裂様式に起因するヘッド−トウ−テイル(H−T)結合選択率はいずれの値でも本発明の効果が発現するが、機械物性の観点から95モル%以上が好ましい。ポリエーテルポリオールの分子量分布としては、ポリエーテルポリオールのGPC溶出曲線において、ピークの最大高さを100%とした際に、そのピーク高さの20%でのピーク幅をW20、ピーク高さの80%でのピーク幅をW80と定義した時の、W20をW80で割った値、W20/W80が1.5以上、3.0未満であることが好ましい。又、本発明に係わるポリエーテルポリオールは、プロピレンオキサイドを主モノマーとし、エチレンオキサイドを併用することが好ましい。本発明に係わるポリエーテルポリオールにおけるエチレンオキサイドの使用量は2〜30重量%が好ましい。特にポリエーテルポリオールの末端1級水酸基化率が少なくとも50モル%程度のポリエーテルポリオールが好ましい。本発明に係わるポリエーテルポリオールは、例えば、特開平11−106500号記載の方法により製造できる。P=N結合を有する化合物を触媒として使用し、活性水素化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合させて製造される。開始剤、及びアルキレンオキシドは、それぞれ単独、複数併用してもよい。
【0031】(ポリエーテルポリオール製造用触媒)本発明に係わるポリエーテルポリオール製造触媒としては、特に、分子中にP=N結合を含有する化合物が好ましい。そのような化合物としては、ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、及びホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が例示できる。ホスファゼニウム化合物としては、例えば、特開平11−106500号記載の化合物であり、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムtert−ブトキシド等が挙げられる。ホスファゼン化合物としては、例えば、EP−763555号記載の化合物であり、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[ トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ] −2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[ トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ] −2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、または7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5 −ホスファスピロ[ 5,5] ウンデカ−1(6)−エン等が挙げられる。ホスフィンオキシド化合物としては、例えば、特願平11−296610号記載の化合物であり、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、トリス[トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド等が挙げられる。上記P=N結合を有する化合物の中で、好ましくは、ホスファゼニウム化合物、及びホスフィン化合物から選ばれる化合物である。
【0032】(開始剤)ポリエーテルポリオールの製造に際して、開始剤として用いられる活性水素化合物としては、酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物、窒素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物等が挙げられる。活性水素化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの活性水素化合物は2種類以上併用して使用することも出来る。
【0033】(アルキレンオキサイド)本発明に用いられるアルキレンオキサイドは、プロピレンオキサイドを少なくとも50重量%含有するものである。プロピレンオキサイドと併用可能なアルキレンオキシド化合物としては、エチレンオキシド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0034】<発泡剤>本発明に用いる発泡剤としては、公知のハイドロクロロフルオロカーボン類、ハイドロカーボン類、水、炭酸ガスが使用できる。また、これらの混合物を使用しても良い。地球環境保護の観点から水を単独で使用することが好ましい。
【0035】<ウレタン化触媒>触媒としては、通常ウレタン樹脂製造に用いられるアミン類、アジリジン類、第4級アンモニウム化合物、アルカリ金属塩、鉛化合物、錫化合物、アルコラート化合物、フェノラート化合物、金属ハロゲン化合物、金属錯体化合物等が使用でき、これらの混合物を使用しても良い。
【0036】アミン類としてはトリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアゾビシクロウンデセン、1,3,5−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−エチルアジリジン等を挙げることができる。第4級アンモニウム化合物としては、第3級アミンのカルボン酸塩等を挙げることができる。アルカリ金属塩類としては、オクチル酸カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げることができる。鉛化合物としては、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等を挙げることができる。錫化合物としてはジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等を挙げることができる。アルコラート化合物としてはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等を挙げることができる。フェノラート化合物としては、カリウムフェノキシド、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド等を挙げることができる。金属ハロゲン化物としては、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化錫等を挙げることができる。金属錯体化合物としては、アセチルアセトン金属塩等の金属錯体化合物等を挙げることができる。また、助触媒を併用することもできる。助触媒として例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー等のカーボネート化合物やリン酸エステル、亜リン酸エステル等のリン酸化合物を挙げることができる。これらのウレタン化触媒の中で、特に脂肪族アミン触媒が好ましい。これらの触媒は、単独または2種以上併用して用いることができ、その使用量はポリオール100重量部に対して、0.001ないし15.0重量部が適当である。
【0037】<整泡剤>整泡剤としては、従来公知の含珪素有機系の界面活性剤が用いられる。例えば、信越化学工業(株)製のF−327、F−345、F−305、日本ユニカー(株)製のSZ−1127、SZ−1142、SZ−1605、SZ−1642、SZ−1649、SZ−1655、L−580、L−5302、L−5740、L−5402、L−5421等、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSF−2935F、SF−2938F、SF−2940F、SF−2945F、SF−2908、SRX−294A、SH−190、SH−192、SH−193等が挙げられる。
(鎖延長剤)鎖延長剤としては通常ウレタン原料として使用される分子量400g/mol以下の公知の鎖延長剤が使用できる。例えば、低分子グリコール、脂肪族アミン、芳香族アミン等が挙げられる。具体的には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等である。鎖延長剤は2種類以上併用しても良い。好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールである。
【0038】(その他添加剤)上記化合物以外に用いられる添加剤としては、ポリウレタンフォーム製造に用いられるポリエーテルポリシロキサン等の整泡剤が挙げられる。黄変防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、及び着色剤等を必要に応じて添加しても構わない。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下例中において用いる部および%は特記のない限り重量基準を示す。
【0040】[分析方法](芳香族ポリエステルポリオール、ポリオールの分析方法)水酸基価(OHV、単位:mgKOH/g)、総不飽和度(C=C、単位:meq./g)、水分(単位:%)をJIS K−1557記載の方法により測定する。
【0041】(グリコール水分の測定方法)JIS−K1557記載の方法に従って測定を行った。
【0042】(ポリアルキレンテレフタレート水分の測定方法)ポリアルキレンテレフタレートのペレット、または、フレークを、100℃に加熱しながら乾燥窒素を流通させ、カールフィッシャー法にて水分を測定した。
【0043】(ポリアルキレンテレフタレート分子量の測定方法)ポリアルキレンテレフタレート0.05グラムを脱気したテトラヒドロフラン20mlに溶解し、0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過した濾液をサンプルとして、媒体がTHFのゲル浸透クロマトグラフィーにてポリスチレン標準物質として分子量を測定した。
【0044】(芳香族ポリエステルポリオールの金属分の測定方法)ポリオール1グラムをコニカルビーカーに採取し、濃硫酸5mlを加えてホットプレート(あるいは電熱ヒーター)上で加熱分解を行い、硫酸白煙の状態で過酸化水素を加えて有機物を分解した。得られた分解性生物を100mlに定容した後、ICP発光分光分析により金属分濃度を定量した。
【0045】(ヘッド−トゥ−テイル(H−T)結合選択率(単位:モル%))日本電子製400MHz、13C−核磁気共鳴(NMR)装置を用い、重クロロホルムを溶媒として使用し、このポリエーテルポリオールの13C−NMRスペクトルを測定した。ヘッド−トゥ−テイル(Head−to―Tail)結合のオキシプロピレンセグメントのメチル基のシグナル(16.9〜17.4ppm)とヘッド−トゥ−ヘッド(Head−to―Head)結合のオキシプロピレンセグメントのメチル基のシグナル(17.7〜18.5ppm)の比から求めた。尚、各シグナルの帰属はMcromolecules,19.1337〜1343(1986)、F.C.schiling、A.E.Tonelliの報告文に記載された値を参考にした。
(W20/W80(ポリエーテルポリオールの分子量分布の指標値、単位:無次元))ポリエーテルポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)の溶出曲線において、ピークの最大高さを100%とした際に、そのピーク高さの20%でのピーク幅をW20、ピーク高さの80%でのピーク幅をW80と定義した時の、W20をW80で割った値である。以下にGPCの測定条件を示す。
・測定及び解析装置;島津製作所(株)製LC−6Aシステム・検出器;島津製作所(株)製RID−6A示差屈折計・分離カラム;昭和電工(株)製ShodexGPC、KFシリーズ(KF−801、802、802.5、803の4本直列)
・溶離液;液体クロマトグラム用テトラヒドロフラン・液流量;0.8ml/min・カラム温度;40℃(ポリエーテルポリオールの末端オキシエチレン基含有量(単位:wt%))ポリエーテルポリオールを重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRにより、オキシエチレン基含有量を測定した。
【0046】(微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価方法)内寸12.5×150.0×250.0mmのアルミ製の金型モールドで作成したシートから、所定のサイズの打抜き型を用いて、採取した微発泡ポリウレタンエラストマーを物性評価用サンプルとする。
【0047】(全密度(単位:kg/m3))モールドから取りだしたシートの重量をモールドの内容積で割ることにより算出する。
【0048】(微発泡ポリウレタンエラストマーのセルの平均直径(単位:μm))微発泡ポリウレタンエラストマーの中心部分を縦3cm、横1cmの大きさで切り出し、マイクロカメラ(株式会社島津製作所製 MICRO CCD SCOPE/CCD−F2)で、セルの直径を観察し、画像処理解析装置により、セルの平均直径を求める。
(硬さ(単位:なし))JIS K−6301記載の方法により、AskerC硬度計で測定する。
(引張強度(TB、単位:MPa)、100%モデュラス(M100、単位:MPa)、及び最大伸び(EB、単位:%))JIS K−6251記載の方法により、ダンベル状1号型を用いて、サンプルを採取し、測定する。
【0049】(引裂強度(TR、単位:kN/m))JIS K−6252記載の方法により、切り込み無しのアングル型を用いてサンプルを採取し、測定する。
【0050】(圧縮永久ひずみ(CS、単位:%))JIS K−6262記載の方法により、シートから直径29mmの円形型試験片を採取し、測定する。試験温度は55±1℃とし、試験時間は24時間とした。また、試験片の圧縮率は25%とする。
【0051】(芳香族ポリエステルポリオールの製造例)
(芳香族ポリエステルポリオールA−A)攪拌機および蒸留塔、温度計を取り付けた5リットル4つ口丸底フラスコに窒素を流通させ、十分に乾燥した後、再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 1712g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)、トリプロピレングリコール(東京化成工業(株)製 2289g、水分含有量0.27重量%)(以下、TPGと称する)を装入し、−100kPaの減圧下、50℃にて脱水を行った。窒素を流通させながら常圧に戻し、触媒としてテトラ−n−ブトキシチタネート(和光純薬工業(株)製 0.4g)を添加し、230℃で1時間、常圧の窒素雰囲気下でエステル交換反応を行った。この時点でポリエチレンテレフタレートのフレークは完全に消失し、均一な淡黄色液体になった。
【0052】引き続き、温度を230℃に保ちながら反応容器内を−50ないし−100kPaに減圧し、ポリエチレンテレフタレートから副生するエチレングリコールを含む留出分(821g)を留去した。反応混合物を80℃まで冷却し、蒸留水を50g添加し、100℃にて1時間反応を行った。その後、120℃にて−100kPaまで昇温、減圧し、脱水を行った。その後、4μmの穴径を持つフィルターを用いて3MPaの窒素を用いて加圧ろ過することにより、淡黄色で均一な芳香族ポリエステルポリオール(3179g)を得た。計算上の芳香族エステル含量は37.0%であった。
【0053】(芳香族ポリエステルポリオールA−B)芳香族ポリエステルポリオールA−Aの再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 1712g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)、トリプロピレングリコール(東京化成工業(株)製 2289g、水分含有量0.27重量%)(以下、TPGと称する)の代わりに、再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 1979g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)(以下、PETと称する)、トリエチレングリコール(三井化学(株)製 2020g、水分含有量0.20重量%)(以下、TEGと称する)を装入する他は同様にして芳香族ポリエステルポリオールを得た。計算上の芳香族エステル含量は44%であった。
【0054】(芳香族ポリエステルポリオールA−C)芳香族ポリエステルポリオールA−Aの再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 1712g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)、トリプロピレングリコール(東京化成工業(株)製 2289g、水分含有量0.27重量%)(以下、TPGと称する)の代わりに、再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 1838g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)(以下、PETと称する)、TPG(東京化成工業(株)製 1212g、水分含有量0.25重量%)、TEG(三井化学(株)製 948g、水分含有量0.20重量%)を装入する他は同様にして芳香族ポリエステルポリオールを得た。計算上の芳香族エステル含量は40.0%であった。
【0055】
【表1】


【0056】(芳香族ポリエステルポリオールA−D)実施例1に使用した芳香族ポリエステルポリオールに、モノメチルテレフタレートを添加し、酸価を0.55mgKOH/gに調製した。
【0057】(芳香族ポリエステルポリオールA−E)実施例1に使用した芳香族ポリエステルポリオールに、酢酸アンチモンを添加し、金属分を150μg/gに調製した。
【0058】(芳香族ポリエステルポリオールA−F)芳香族ポリエステルポリオールA−Aの再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 1712g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)、トリプロピレングリコール(東京化成工業(株)製 2289g、水分含有量0.27重量%)(以下、TPGと称する)の代わりに、再生ポリエチレンテレフタレート(よのペットボトルリサイクル(株)製フレーク 639g、重量平均分子量55700、数平均分子量18600、水分含有量0.25重量%)、トリプロピレングリコール(三井化学(株)製 3360g、水分含有量0.27重量%)(以下、TPGと称する)を装入する他は同様にして芳香族ポリエステルポリオールを得た。
【0059】(ポリオールの製造例)
ポリオールP−Aポリエーテルポリオールの製造触媒(テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]4+OH-}、以下、P5OHと言う)は、特開平10−77289号公報記載の方法に従って合成した。窒素雰囲気下、グリセリン1モルに対して、0.01molのP5OH(30重量%のトルエン溶液の形態)を加え、100℃で6時間、加熱減圧処理を行った。その後、窒素雰囲気下、該化合物をオートクレーブに装入し、更に、窒素置換を行い、大気圧の状態とした。反応温度80℃、最大反応圧力0.38MPaG(ゲージ圧、以下、同様)以下の条件で、OHVが32.9mgKOH/gとなる量のプロピレンオキサイドを逐次装入した。オートクレーブの圧力に変化が認められなくなるまで反応を継続した後、次いで、反応温度120℃、最大反応圧力が0.5MPaG以下の条件で、OHVが28mgKOH/gとなる量のエチレンオキサイドの付加重合反応を行い、触媒を含有した粗製ポリエーテルポリオールを得た。粗製ポリエーテルポリオールを80℃に昇温後、該粗製ポリオールに対して、3重量%のイオン交換水、及び0.5重量%の固体酸(商品名:KW−700SEL、協和化学工業(株)製)を添加し、80℃で3時間、吸着反応を行った。次いで、減圧脱水操作を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で3時間、乾燥を行った。その後、保持粒径1μmのろ紙を用いた加圧ろ過により、ポリエーテルポリオールを回収した。ポリエーテルポリオールの水酸基数は3であり、OHVは28mgKOH/g、末端オキシエチレン基の含有量は15wt%であり、C=Cは0.014meq./gであった。H−T結合選択率は96.8モル%であり、W20/W80は2.67であった。
【0060】以下、実施例のポリオールについて、水酸基価、水酸基数、末端オキしエチレン木の含有量を[表1]に示した値に変更した以外は、ポリオールP−Aと同様の操作方法により、ポリエーテルポリオールP−B、を製造した。尚、プロピレンオキサイドを主モノマーとして用い、エチレンオキサイドは、ポリエーテルポリオールの末端オキシエチレン基の含有量が、15wt%となる量を使用した。水酸基数2のポリエーテルポリオールを製造する際には、活性水素化合物として、ジプロピレングリコールを用い、また、水酸基価を変更する際には、供給するアルキレンオキシドの量を変更した。得られたポリオールP−A、P−B、の分析結果を[表2]に示す。
【0061】
【表2】


【0062】
【表3】


【0063】(ポリエーテルポリオールの製造例2)
ポリエーテルポリオールP−CポリエーテルポリオールP−Aのグリセリン1モルに対して、0.01molのP5OH(30重量%のトルエン溶液の形態)の代わりに、窒素雰囲気下、グリセリン1モルに対して、0.37モルのKOH(50重量%の水溶液の形態)を加えた他は同様にして、100℃で6時間、加熱減圧脱水を行った。その後、窒素雰囲気下、オートクレーブに該化合物を装入し、反応温度115℃、最大反応圧力0.5MPaG以下の条件で、OHVが32.9mgKOH/gとなる量のプロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなるまで、反応を継続した後、反応温度115℃、最大反応圧力0.5MPaG以下の条件で、OHVが28mgKOH/gとなる量のエチレンオキサイドの付加重合を行い、粗製ポリエーテルポリオールを得た。窒素雰囲気下、80℃に昇温した粗製ポリエーテルポリオールに対して、3重量%のイオン交換水、及び、粗製ポリエーテルポリオール中のKOH1モルに対して、1.02モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を添加し、同温度で2時間反応を行った。その後、粗製ポリエーテルポリオールに対して、0.2重量%の吸着剤(商品名:AD−600NS、吉富製薬(株)製)を添加し、加熱減圧脱水を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で3時間、乾燥を行った。保持粒径1μmのろ紙を用いた加圧ろ過操作により、ポリエーテルポリオールを回収した。得られたポリエーテルポリオールのOHVは、28mgKOH/g、末端オキシエチレン基の含有量は15wt%であり、C=Cは0.085meq./gであった。H−T結合選択率は96.3モル%であり、W20/W80は2.61であった。以下、実施例のポリオールについて、水酸基価、水酸基数、末端オキシエチレン基の含有量を[表1]に示した値に変更した以外は、ポリオールP−Aと同様の操作方法により、ポリエーテルポリオールP−D、P−Eを製造した。尚、プロピレンオキサイドを主モノマーとして用い、エチレンオキサイドは、ポリエーテルポリオールの末端オキシエチレン基の含有量が、15wt%となる量を使用した。水酸基数2のポリエーテルポリオールを製造する際には、活性水素化合物として、ジプロピレングリコールを用い、また、水酸基価を変更する際には、供給するアルキレンオキシドの量を変更した。得られたポリオールP−C、P−D、P−Eの分析結果を[表3]に示す。
【0064】(ポリウレタン樹脂の評価処方)微発泡ポリウレタンエラストマーの評価は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール、発泡剤、ウレタン化触媒、整泡剤、鎖延長剤をあらかじめ混合したレジンプレミックスを混合して反応を行わせることにより微発泡ポリウレタンエラストマーを製造し、評価を行った。
【0065】(イソシアネート化合物に用いる成分)次に、実施例、比較例に用いたポリイソシアネート化合物(以下、イソシアネートと言う)、触媒、鎖延長剤、整泡剤、及び発泡剤について説明する。
【0066】(ポリイソシアネート化合物)窒素雰囲気下、セパラブルフラスコにコスモネートPH(三井化学(株)製、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)676重量部と上記芳香族ポリエステルポリオールA−A、芳香族ポリエステルポリオールA−B、芳香族ポリエステルポリオールA−D、芳香族ポリエステルポリオールA−E、ポリオール、ポリオールP−Eの各ポリオールを秤量し、80℃、2時間の条件で反応させ、イソシアネート基の含有量が20重量%のポリイソシアネート化合物A,B,C,D,E,Fを製造した。
【0067】(レジンプレミックスに用いる成分)レジンプレミックスは、ステンレス製の容器に、以下の原料を秤量し、500r.p.m.の条件で、5分間、攪拌混合して、レジンプレミックスを調製した。ポリオールはポリオールP−AあるいはポリオールP−Cを 40重量部とポリオールP−BあるいはポリオールP−Dを 60重量部、架橋剤は三井化学(株)製 エチレングリコール5重量部、発泡剤としては水0.5重量部、触媒として活剤ケミカル(株)製MINICO0.5重量部、整泡剤として東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 SF−2962を1.0重量部添加混合したものを用いた。
【0068】(実施例1)ポリオールP−C、ポリオールP−Dより調製したレジンプレミックス中の水酸基濃度とイソシアネート中のイソシアネート基濃度の比(イソシアネートインデックス、以下、NCO/OHと言う)が1.0となるように、ポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物を秤量し、レジンプレミックスに添加した。この際、レジンプレミックスとイソシアネートは予め40℃に調整した。ホモミキサーを用いて、1500r.p.m.の回転数で3秒間、攪拌混合した後、直ちに、予め40℃に調整した内寸12.5×150.0×250.0mmのアルミ製のモールドに該混合液を注入し、蓋を閉め、40℃に調整したオーブンにモールドを入れた。500秒後に脱型後、微発泡ポリウレタンエラストマーの物性測定を行った。表3に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0069】(実施例2)実施例1のポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物Aの代わりにポリオールA−Bより製造されたポリイソシアネート化合物を用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表3に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0070】(実施例3)実施例1のポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物Aの代わりにポリオールA−Cより製造されたポリイソシアネート化合物を用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表3に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0071】(実施例4)実施例1のポリオールP−C、ポリオールP−Dより調製したレジンプレミックスの代わりにポリオールP−A、ポリオールP−Bを用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表3に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0072】(比較例1)実施例1のポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物Aの代わりにポリオールP−Eより製造されたポリイソシアネート化合物を用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表4に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0073】(比較例2)実施例1のポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物Aの代わりにポリオールA−Dより製造されたポリイソシアネート化合物を用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表4に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0074】(比較例3)実施例1のポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物Aの代わりにポリオールA−Eより製造されたポリイソシアネート化合物を用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表4に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0075】(比較例4)実施例1のポリオールA−Aより製造されたポリイソシアネート化合物Aの代わりにポリオールA−Fより製造されたポリイソシアネート化合物を用いること以外は同様にして微発泡ポリウレタンエラストマーの物性評価を行った。表4に微発泡ポリウレタンエラストマーの物性を示す。
【0076】
【表4】


【0077】
【発明の効果】新規な変性ポリイソシアネートを製造することができた。また本発明の新規な変性ポリイソシアネートをもちいることにより、引張強度、100%モデュラス、最大伸び、引裂強度、及び圧縮永久ひずみ等の機械物性に優れた微発泡ポリウレタンエラストマーを簡便に得ることができた。制振性、クッション性に優れており、この微発泡ポリウレタンエラストマーは靴底、シートマット、足ふきマット、静振材、静音材、及び衝撃吸収材等の用途において、好適に使用できる。また、微発泡ポリウレタンエラストマーから製造された靴底等は履き心地及び耐久性に優れている。本願発明の変性ポリイソシアネートは、回収・再生されたポリアルキレンフタレートや、製造工程、加工工程で発生した廃物のポリアルキレンフタレートを使用することが出来るため、資源の節約や廃棄物の減量できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】1) フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、2)水酸基価が20ないし150mgKOH/g、3) 酸価が0.4mgKOH/g以下、4) 金属分の含有量が60μg/g以下、5) COO−C64−COO単位の含有率が2質量%以上65質量%以下、の芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られたことを特徴とするポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
【請求項2】前記芳香族ポリエステルポリオールがポリアルキレンフタレート樹脂とグリコール成分とを反応させることにより得られうることを特徴とするポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
【請求項3】前記芳香族ポリエステルポリオールを製造するにあたり水分含有量が0.3重量%以下のグリコール成分を用いて得られたことを特徴とする請求項2記載のポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
【請求項4】前記ポリアルキレンフタレート樹脂が、重量平均分子量が20000ないし80000の範囲にあり、数平均分子量が8000ないし30000の範囲にあり、水分含有量が0.5重量%以下であることを特徴とする請求項2記載のポリウレタン製造用変性ポリイソシアネート。
【請求項5】請求項1乃至4いずれかに記載の変性ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られたことを特徴とする微発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項6】全密度が100kg/m3以上、900kg/m3以下であることを特徴とする請求項5記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項7】微発泡ポリウレタンエラストマー中心部のセルの平均孔径が1〜100μmであることを特徴とする請求項5乃至6いずれかに記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項8】水酸基価(OHV)が10〜100mgKOH/g、総不飽和度(C=C)が0.05meq./g以下、プロピレンオキサイド付加重合によるヘッド−トゥ−テイル(H−T)結合選択率が95モル%以上であり、且つ、W20/W80が1.5以上、3.0未満である低総不飽和度ポリエーテルポリオールを50重量%以上含有するポリオールと請求項1乃至5いずれかに記載の変性ポリイソシアネートから製造されたことを特徴とする微発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項9】前記低総不飽和度ポリエーテルポリオールがP=N結合を有する化合物を触媒として製造されたポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項8記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項10】前記P=N結合を有する化合物がホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、及びホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項9記載の微発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項11】請求項8乃至10のいずれかに記載の微発泡ポリウレタンエラストマーを用いる製造されたことを特徴とする靴底。
【請求項12】1) フタル酸とグリコール成分とから得られうる芳香族カルボン酸エステル構造を有し、2)水酸基価が20ないし150mgKOH/g、3) 酸価が0.4mgKOH/g以下、4) 金属分の含有量が60μg/g以下、5) COO−C64−COO単位の含有率が2質量%以上65質量%以下、の芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られた変性ポリイソシアネートと、ポリオールを反応させて製造させることを特徴とする微発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法。
【請求項13】前記ポリオールが水酸基価(OHV)が10〜100mgKOH/g、総不飽和度(C=C)が0.05meq./g以下、プロピレンオキサイド付加重合によるヘッド−トゥ−テイル(H−T)結合選択率が95モル%以上であり、且つ、W20/W80が1.5以上、3.0未満である低総不飽和度ポリエーテルポリオールを50重量%以上含有するポリオールとであること特徴とする請求項12に記載の微発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法。

【公開番号】特開2002−47331(P2002−47331A)
【公開日】平成14年2月12日(2002.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−232783(P2000−232783)
【出願日】平成12年8月1日(2000.8.1)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】