微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム
【課題】排気路内に設置された交換可能な空気フィルタの周囲を液体で湿らせて、空気フィルタ及びその周辺に付着した微粒子が飛散しないように空気フィルタを交換することが可能なシステムを提案する。
【解決手段】微粒子を捕集するためのフィルタ設置箇所を給液により湿潤状態とすることが可能な、排気路のフィルタ交換システムにおいて、排気路Pのうち開口部側の筒状部分で形成した接続ダクトP1と、接続ダクトと残りの排気路部分とを気密ダンパーで遮断可能な遮蔽手段Aと、上記接続ダクトの末端に着脱自在に接続された、微粒子除去用の空気フィルタBと、上記接続ダクト又はその近傍に、接続ダクトと気密ダンパーと空気フィルタとの各内面全体を濡らすことが可能に配置された供給口を含む液体供給手段Cとを具備することを特徴とする。
【解決手段】微粒子を捕集するためのフィルタ設置箇所を給液により湿潤状態とすることが可能な、排気路のフィルタ交換システムにおいて、排気路Pのうち開口部側の筒状部分で形成した接続ダクトP1と、接続ダクトと残りの排気路部分とを気密ダンパーで遮断可能な遮蔽手段Aと、上記接続ダクトの末端に着脱自在に接続された、微粒子除去用の空気フィルタBと、上記接続ダクト又はその近傍に、接続ダクトと気密ダンパーと空気フィルタとの各内面全体を濡らすことが可能に配置された供給口を含む液体供給手段Cとを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高生理活性医薬品や一部のナノ材料等の粉体は、目に見えない微粒子として空中を浮遊し、吸入や接触等により人への曝露があると人体に害を与える可能性が懸念される。そこでこれら粉体を取り扱う施設から外部環境への排出を防ぐために、空調設備の排気口にHEPAやULPAという高性能フィルタを設ける(特許文献1の図1参照)。
【0003】
またこれら粉体を取り扱う作業者に対する曝露リスクを低減させるためや、異なる製品間のクロスコンタミネーションを防止するために、製造装置内部で扱う粉体を周辺作業環境へ漏出させないための対策が必要とされ、その製造装置に付した集塵機にHEPAフィルタなどを設けることが行われている(特許文献2の図3参照)。
【0004】
これらのフィルタは、粉体の捕集量に伴い能力が低下するため、定期的に交換する必要がある。しかし、その交換時に使用済みフィルタを取り外すために、フィルタに捕集された粉体や、フィルタ上流側の流路に堆積・沈着した粉体が飛散し、製造環境を汚染し、また交換作業者が粉体に曝露してしまう危険性がある。
【0005】
この危険を避けるためには、作業衣などを身に着けるだけでは不十分であり、従来では交換するフィルタの周囲を囲い込むようにしていた。例えば有害粒子を含む空気を濾過する装置の通気路のフィルタ設置箇所の傍らに収納袋を内蔵し、使用済のフィルタを外部に露出せずに袋に包んで取り出すことが知られている(特許文献3〜4)。
【0006】
また通常の塵埃対策として屋内駐車場内に横設した排気ダクトのフィルタ設置箇所以外の部分を洗浄してフィルタ交換の頻度を減らす手法が知られている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−272827
【特許文献2】特開2008−082696
【特許文献3】特開昭63−66574号
【特許文献4】特開2007−268495
【特許文献5】特開平06−307067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3〜5は、要するに、粒子を捕集したフィルタを包袋し、又は粒子付着面を洗浄することで“粒子を除去する”という発想に基づいている。しかし、袋で囲った場所或いは洗浄した場所以外に除去し切れなかった粒子が存在し、こうした粒子の人体への影響が懸念される。
【0009】
人体への悪影響が懸念されるという第1の理由は、ナノ粒子や医薬品成分の粒子の許容摂取量が解明されていない部分もあり、少量の曝露でも防ぐことが望まれる。従って排気路中の微粒子の大部分を除去したから安心とは言えない。第2の理由は、これら微粒子の振舞いは目に見えず、また、計測する手段も十分に構築されていないため、無防備に吸引してしまう可能性がある。
【0010】
出願人は、かかる事情を着目し、粒子付着物であるフィルタを交換する前に、主として“微粒子を飛散させないための措置”を講ずるという着想に想到した。
【0011】
本発明の第1の目的は、排気路内に設置された交換可能なエアフィルタの周囲を液体で湿らせて、エアフィルタ及びその周辺に付着した微粒子が飛散しないようにエアフィルタを交換することが可能なシステムを提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は、上記エアフィルタ交換のためのシステムであって、排気路の開口部にエアフィルタを、かつ排気路のうち開口部側の部分である接続ダクトの内部に液体供給口をそれぞれ設置し、その接続ダクトと残りの排気路部分とを遮断可能としたものを提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、上記エアフィルタ交換のためのシステムであって、接続ダクトを下端開口の縦筒状としたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
まず第1の手段は、微粒子を捕集するためのフィルタ設置箇所を給液により湿潤状態とすることが可能な、排気路のフィルタ交換システムにおいて、
排気路のうち開口部側の筒状部分で形成した接続ダクトと、
接続ダクトと残りの排気路部分とを遮蔽ダンパーで密に遮断することが可能な遮蔽手段と、
上記接続ダクトの末端に着脱自在に接続された、微粒子除去用のエアフィルタと、
上記接続ダクト又はその近傍に、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタとの各内面全体を濡らすことが可能に配置された供給口を含む液体供給手段と、
を具備する。
【0015】
本手段では、本願図1の如く、排気路Pのうち交換用フィルタの近傍の接続ダクトP1と残りの排気路部分P2とを気密に遮断可能とし、さらに図2の如く接続ダクトP1内に液体を送り込んで、微粒子が飛散しにくい濡れ状態とすることを提案している。接続ダクトと残りの排気路部分とを遮断する理由は、第1に、接続ダクトの内部を効率的に濡らすこと、第2に、接続ダクト以外の排気路部分から再飛散した微粒子をフィルタ交換のための作業員が吸引しないようにすることである。
【0016】
このシステムは、例えば高生理活性医薬品やナノ材料などの有害な粉体を扱う施設の空調設備の排気ダクト、或いはドラフトチャンバー・安全キャビネット・グローブボックスなどの製造装置の排気設備に設置することに好適なものである。
【0017】
「接続ダクト」は、遮蔽手段とエアフィルタとをつなぐ排気路部分である。「開口部」は図1に示す吸込口E1及び吹出口E2の何れでもよい。「微粒子」のうち、工業・医療などの産業で利用するために意図的に製造された粒子や粉体を主たる対象とする。ナノサイズの粒子を含む。「液体供給手段」は、少なくとも接続ダクトの内面及びエアフィルタを濡らす供給口を有すれば足りる。
【0018】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記接続ダクトを、下端開放で垂直な内面を有する縦筒形とするとともに、
エアフィルタよりも上方の接続ダクト部分に、エアフィルタを外側から包むようにエアフィルタ回収袋の上端部を固定することが可能な固定手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
本手段では、図2に示す如く接続ダクトP1を縦筒状に形成することを提案している。これにより開口部がフィルタ交換口及び供給水の回収口を兼ねることができる。前述の特許文献3〜4のように排気路の側壁にフィルタ交換口を形成すると、交換口の形成箇所に凹凸ができ、塵埃が付着するおそれがあるが、本手段ではそうした不都合を低減できる。エアフィルタ回収袋は供給水の回収袋を兼ねることができる。エアフィルタ回収袋の固定手段として、図5に示す如く接続ダクトに袋取付け縁とこの縁にエアフィルタ回収袋を留めるための留め具を設けることができる。
【0020】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ上記液体供給手段は、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタの各内面全体を濡らすために必要な一定量の液量を供給することが可能に構成している。
【0021】
本手段では、図2に示す如く接続ダクトP1の内部を濡らすための液体供給手段Cを提案している。液体供給手段からの水の供給量を制御する制御部Dを設けることが望ましい。接続ダクトの内部の濡れ面の保水量を超える水は、エアフィルタを透過して、固定手段によって支持されるエアフィルタ回収袋の中に入る。固定手段の支持力は、少なくとも液体供給手段が供給する所定量の水の重量を支えることができるように設けるとよい。
【0022】
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段のいずれかを有し、かつ上記液体供給手段は、供給口から液体をほぼ全方位に噴霧するように構成した。
【発明の効果】
【0023】
第1の手段に係る発明によれば、エアフィルタと遮蔽ダンパーとの間の接続ダクトへ給液するから、接続ダクト内の微粒子を飛散し難い失活状態とすることができる。
【0024】
第2の手段に係る発明によれば、接続ダクトを下向きに設置するとともに、エアフィルタ回収袋を固定するための固定手段を設けたから、接続ダクト内への供給した水の排水路を設ける必要がない。
【0025】
第3の手段に係る発明によれば、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタの各内面全体を濡らすための所定量の水を供給するから、微粒子の飛散を確実に防止できる。
【0026】
第4の手段に係る発明によれば、上記供給口から液体をほぼ全方位に噴霧するように構成したから、接続ダクトの内部をまんべんなく液体で濡らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムを、ナノ材料を取り扱う施設に適用した構成図である。
【図2】図1のシステムを正面方向から見た縦断面図である。
【図3】図1のシステムの側方からの縦断面図である。
【図4】図1のシステムの通風時の正面方向からの縦断面図である。
【図5】図1のシステムの噴水時の正面方向からの縦断面図である。
【図6】図1のシステムのフィルタ取外し時の正面方向からの縦断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムの正面方向からの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1から図6は、本発明の第1の実施形態に係る、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムを示している。図1から図6のうち、図1は、ナノ材料を取り扱う施設に本システムを適用した構成図であり、図2〜図4は、本システムの主たる構成要素の関係を概念的に表す説明図であり、図5〜図6は、本システムの作用の説明図である。
【0029】
図1のうち、R1はナノ材料を取り扱う施設の作業室を表し、R2は機械室を表す。作業室の内部から機械室R2を経て外部へ排気路Pを貫設している。この排気路Pは、開口部として吸込口E1と吹出口E2とを有する。排気路内には送風ファンBLが設置されている。これらの構造は、本発明のシステムを説明するための単なる一例であり、適用対象たる施設はナノ材料を取り扱う施設でなくてもよく、また機械室は省略しても構わない。
【0030】
本発明に係るシステムは、接続ダクトP1と、遮蔽手段Aと、エアフィルタBと、液体供給手段Cと、制御部Dとを有する。
【0031】
接続ダクトP1は、遮蔽手段AとエアフィルタBとの間の排気路部分であり、図示の例では、上記排気路Pのうち吸込口E1側の部分として構成している。排気路Pの吸込口側にエアフィルタを設けた方が排気路P内部の汚れを少なくすることができるからである。しかし、吹出口E2側の排気路の縦筒部分を接続ダクトとしても構わない。この接続ダクトの周壁2は下端開口の縦筒として形成されている。また接続ダクトの内面4は、平滑な垂直面としている。接続ダクトP1は、後述の遮蔽ダンパーで残りの排気路部分P2として区切られているが、通路として区別された構造とする必要はない。接続ダクトP1は、少なくとも遮蔽ダンパーの開閉動作が可能な長さを有し、また吸込口E1から内部の清掃が可能な長さとすることが望ましい。接続ダクトの上部には覗き窓6を形成している。
【0032】
上記接続ダクトP1の外側には、例えばビニールで形成したエアフィルタ回収袋Bgの固定手段8を設ける。図示例の固定手段8は、接続ダクトの周壁2の外面に横設した切欠き縁と、この切欠き縁の近傍に枢着した留め板とで、エアフィルタ回収袋Bgの開口端を挟持可能に構成してなるが、適切な固定力を有すればどのような構造でも構わない。
【0033】
好適な一つの実施例では、上述のエアフィルタ回収袋Bgは、後述の液体供給手段により噴霧した水がエアフィルタBを経て床に零れないように、水を溜める役目を有する。微粒子を含んだ水が床に零れて乾燥すると、乾燥により飛散した微粒子を作業員が吸い込むおそれがあるからである。この場合には、固定手段8は、仮に液体供給手段が噴霧した水が全てエアフィルタ回収袋内に流れ込んでもよいように、一度の噴霧水量の重量を支えられる程度の固定力を有することが好適である。
【0034】
遮蔽手段Aは、図3に示すように、遮蔽ダンパー10と、回動モーター16とを有する。上記遮蔽ダンパー10は、下面12を平坦面とする遮蔽板を、接続ダクトP1の上端部に横設した回動軸14に枢着させてなる。図示例では遮蔽ダンパーを形成する遮蔽板の巾方向中間部に回動軸14を取り付けているが、遮蔽板の端部に回動軸14を取り付けても構わない。
【0035】
遮蔽ダンパー10の役割は、排気路の接続ダクトP1を残りの排気路部分P2から気密かつ液密に遮断することである。接続ダクトの上端部を遮蔽ダンパー10で遮断することで、図5に示す如く、後述の噴霧水が遮蔽ダンパー10の設置個所よりも先に流入しないので、接続ダクトP1内の被噴霧面を満遍なく濡らすことができる。さらに濡れていない排気路部分から微粒子の飛散を避けることである。図示例では吸込口E1側にHEPAフィルタなどのエアフィルタBを設けているが、さまざまな理由で捕集された微粒子が空気中に再び飛散し、排気路内面に付着している可能性がある。例えばエアフィルタを外すときと同程度の外力(例えば地震力)が加わった場合である。
【0036】
エアフィルタBは、接続ダクトP1の開口部(図示例では吸込口E1)内に着脱自在に装着している。このフィルタは、HEPAやULPAなどの高性能フィルタとすることができる。HEPAフィルタは、粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有している。このHEPAフィルタの濾材は、一般的には直径1〜10μm以下のガラス繊維で出来ており、粒子が慣性・衝突・拡散等の原理により繊維に捕集さる仕組みとなっている。しかし捕集された微粒子が、フィルタを外すときなどの衝撃でフィルタの表面から再飛散するおそれがあり、そうしないために、次のように予め水で濡らす方法がある。
【0037】
液体供給手段Cは、給水タンク22と、送水ポンプ24と、給水管26と、供給口である噴霧ノズル28で形成している。好適な図示例では、給水管26は、接続ダクトP1内へ突入し、接続ダクトのほぼ中心部に噴霧ノズル28を位置させている。この噴霧ノズル28の役割は、単に接続ダクト2の内部を濡らすことであり、ダクトの内部を洗浄する場合と比べて水の噴霧量は少なくてよい。しかしながら、少なくともエアフィルタBの上面18に対しては十分に噴霧をするものとし、さらに遮蔽ダンパー10及び接続ダクトP1の隅部にまで噴霧した水が到達するように設ける。また、送水ポンプ24は、一定量の水を送水可能に構成している。
【0038】
液体供給手段Cの供給口は、噴霧口とすることが好適であるが、これに限定されない。例えば接続ダクトの一部又は接続ダクトの近傍から水がしみ出し、接続ダクトの内表面伝いに水が流れるものであっても構わない。
【0039】
制御部Dは、遮蔽手段Aの回動モーター16と液体供給手段Cの送水ポンプ24とを制御する。図示例と異なり、回動モータ用の制御部と送水ポンプ用の制御部とを別々に設けても構わない。制御部Dは、接続ダクトP1の内部を濡らすために必要かつ十分な量の水を噴出するように回動モーター16を制御する。
【0040】
好適な一つの実施例として、遮蔽ダンパーを閉とし、次に水を噴霧するという順序を制御プログラムに組み込むことができる。手動で操作する場合に、人為的ミスにより水の噴霧→遮蔽ダンパー10の閉鎖という順序になってしまったときに、図4の状態で水を噴霧することとなり、遮蔽ダンパーの表面(閉鎖状態の下面)を十分に濡らすことができない可能性があるからである。
【0041】
上記構成において、遮蔽ダンパー10を開とし、排気路P内に設置した送風ファンBLを作動させると、送風中の空気から微粒子が主としてエアフィルタBLに付着する。遮蔽ダンパーを閉とし、固定手段18を利用して、接続ダクトP1の外側にエアフィルタ回収袋Bgを取り付ける。そして送水ポンプを作動させて、一定量の水を供給口28から接続ダクトP1内へ噴霧する。これにより、被噴霧面である接続ダクトP1の内面4と遮蔽ダンパー10の下面12とエアフィルタBの上面18とは、十分に水で濡らされる。なお、水が噴霧されていることを、既述覗き窓6を経て外部から確認することができる。
【0042】
なお、供給水は細かい霧状に噴霧することが好適である。必要最小量の水で内面を濡らすことができ、また勢い良く水を噴射し、水の飛沫がエアフィルタBに衝突して、エアフィルタから空中へ付着した微粒子が再飛散すると望ましくないからである。
【0043】
接続ダクトP1内へ噴霧した水は、上述の被噴霧面に付着するが、付着可能量を超える水が噴霧されると、超過分の水は接続ダクトP1の内面を流れ落ち、エアフィルタBを透過してエアフィルタ回収袋Bg内に保水される。
【0044】
上述のように水で濡れることで、エアフィルタの上面などに付着した微粒子は空気中に飛散しにくい状態となる。この状態で、エアフィルタ回収袋Bgを通して、エアフィルタを下方へ引っ張り、図6に示す如く、接続ダクトP1の吸込口E1から取り外す。このエアフィルタBをエアフィルタ回収袋Bg内に入れたままエアフィルタ回収袋を開口部から外し、この袋の口を閉じて廃棄する。
【0045】
その後、必要により、接続ダクトP1の内部を清掃し、さらにエアフィルタ回収袋を開口部に装着すると、図2の状態に戻る。
【0046】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで解説を省略する。
【0047】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムを示している。この実施形態では、噴霧ノズル28を接続ダクトP1の内面に開口している。第1の実施形態に比べて接続ダクト内へ給水管が突入していないので、給水管に埃や微粒子が付着することがなく、清掃作業が容易となる。図示例では、接続ダクトの周壁2のうち対向する2面に噴霧ノズル28を開口しているが、その配置は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0048】
P…排気路 E1…吸込口(開口部) E2…吹出口(開口部)
P1…接続ダクト 2…周壁 4…内面 6…覗き窓 8…固定手段
P2…(接続ダクト以外の)残りの排気路部分
A…遮蔽手段 10…遮蔽ダンパー 12…(遮蔽ダンパーの)下面
14…回動軸 16…回動モーター
B…エアフィルタ 18…(エアフィルタの)上面
C…液体供給手段 22…給水タンク 24…送水ポンプ 26…給水管
28…噴霧ノズル(供給口)
D…制御部
R1…作業室 R2…機械室 Bg…エアフィルタ回収袋 BL…送風ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高生理活性医薬品や一部のナノ材料等の粉体は、目に見えない微粒子として空中を浮遊し、吸入や接触等により人への曝露があると人体に害を与える可能性が懸念される。そこでこれら粉体を取り扱う施設から外部環境への排出を防ぐために、空調設備の排気口にHEPAやULPAという高性能フィルタを設ける(特許文献1の図1参照)。
【0003】
またこれら粉体を取り扱う作業者に対する曝露リスクを低減させるためや、異なる製品間のクロスコンタミネーションを防止するために、製造装置内部で扱う粉体を周辺作業環境へ漏出させないための対策が必要とされ、その製造装置に付した集塵機にHEPAフィルタなどを設けることが行われている(特許文献2の図3参照)。
【0004】
これらのフィルタは、粉体の捕集量に伴い能力が低下するため、定期的に交換する必要がある。しかし、その交換時に使用済みフィルタを取り外すために、フィルタに捕集された粉体や、フィルタ上流側の流路に堆積・沈着した粉体が飛散し、製造環境を汚染し、また交換作業者が粉体に曝露してしまう危険性がある。
【0005】
この危険を避けるためには、作業衣などを身に着けるだけでは不十分であり、従来では交換するフィルタの周囲を囲い込むようにしていた。例えば有害粒子を含む空気を濾過する装置の通気路のフィルタ設置箇所の傍らに収納袋を内蔵し、使用済のフィルタを外部に露出せずに袋に包んで取り出すことが知られている(特許文献3〜4)。
【0006】
また通常の塵埃対策として屋内駐車場内に横設した排気ダクトのフィルタ設置箇所以外の部分を洗浄してフィルタ交換の頻度を減らす手法が知られている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−272827
【特許文献2】特開2008−082696
【特許文献3】特開昭63−66574号
【特許文献4】特開2007−268495
【特許文献5】特開平06−307067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3〜5は、要するに、粒子を捕集したフィルタを包袋し、又は粒子付着面を洗浄することで“粒子を除去する”という発想に基づいている。しかし、袋で囲った場所或いは洗浄した場所以外に除去し切れなかった粒子が存在し、こうした粒子の人体への影響が懸念される。
【0009】
人体への悪影響が懸念されるという第1の理由は、ナノ粒子や医薬品成分の粒子の許容摂取量が解明されていない部分もあり、少量の曝露でも防ぐことが望まれる。従って排気路中の微粒子の大部分を除去したから安心とは言えない。第2の理由は、これら微粒子の振舞いは目に見えず、また、計測する手段も十分に構築されていないため、無防備に吸引してしまう可能性がある。
【0010】
出願人は、かかる事情を着目し、粒子付着物であるフィルタを交換する前に、主として“微粒子を飛散させないための措置”を講ずるという着想に想到した。
【0011】
本発明の第1の目的は、排気路内に設置された交換可能なエアフィルタの周囲を液体で湿らせて、エアフィルタ及びその周辺に付着した微粒子が飛散しないようにエアフィルタを交換することが可能なシステムを提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は、上記エアフィルタ交換のためのシステムであって、排気路の開口部にエアフィルタを、かつ排気路のうち開口部側の部分である接続ダクトの内部に液体供給口をそれぞれ設置し、その接続ダクトと残りの排気路部分とを遮断可能としたものを提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、上記エアフィルタ交換のためのシステムであって、接続ダクトを下端開口の縦筒状としたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
まず第1の手段は、微粒子を捕集するためのフィルタ設置箇所を給液により湿潤状態とすることが可能な、排気路のフィルタ交換システムにおいて、
排気路のうち開口部側の筒状部分で形成した接続ダクトと、
接続ダクトと残りの排気路部分とを遮蔽ダンパーで密に遮断することが可能な遮蔽手段と、
上記接続ダクトの末端に着脱自在に接続された、微粒子除去用のエアフィルタと、
上記接続ダクト又はその近傍に、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタとの各内面全体を濡らすことが可能に配置された供給口を含む液体供給手段と、
を具備する。
【0015】
本手段では、本願図1の如く、排気路Pのうち交換用フィルタの近傍の接続ダクトP1と残りの排気路部分P2とを気密に遮断可能とし、さらに図2の如く接続ダクトP1内に液体を送り込んで、微粒子が飛散しにくい濡れ状態とすることを提案している。接続ダクトと残りの排気路部分とを遮断する理由は、第1に、接続ダクトの内部を効率的に濡らすこと、第2に、接続ダクト以外の排気路部分から再飛散した微粒子をフィルタ交換のための作業員が吸引しないようにすることである。
【0016】
このシステムは、例えば高生理活性医薬品やナノ材料などの有害な粉体を扱う施設の空調設備の排気ダクト、或いはドラフトチャンバー・安全キャビネット・グローブボックスなどの製造装置の排気設備に設置することに好適なものである。
【0017】
「接続ダクト」は、遮蔽手段とエアフィルタとをつなぐ排気路部分である。「開口部」は図1に示す吸込口E1及び吹出口E2の何れでもよい。「微粒子」のうち、工業・医療などの産業で利用するために意図的に製造された粒子や粉体を主たる対象とする。ナノサイズの粒子を含む。「液体供給手段」は、少なくとも接続ダクトの内面及びエアフィルタを濡らす供給口を有すれば足りる。
【0018】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記接続ダクトを、下端開放で垂直な内面を有する縦筒形とするとともに、
エアフィルタよりも上方の接続ダクト部分に、エアフィルタを外側から包むようにエアフィルタ回収袋の上端部を固定することが可能な固定手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
本手段では、図2に示す如く接続ダクトP1を縦筒状に形成することを提案している。これにより開口部がフィルタ交換口及び供給水の回収口を兼ねることができる。前述の特許文献3〜4のように排気路の側壁にフィルタ交換口を形成すると、交換口の形成箇所に凹凸ができ、塵埃が付着するおそれがあるが、本手段ではそうした不都合を低減できる。エアフィルタ回収袋は供給水の回収袋を兼ねることができる。エアフィルタ回収袋の固定手段として、図5に示す如く接続ダクトに袋取付け縁とこの縁にエアフィルタ回収袋を留めるための留め具を設けることができる。
【0020】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ上記液体供給手段は、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタの各内面全体を濡らすために必要な一定量の液量を供給することが可能に構成している。
【0021】
本手段では、図2に示す如く接続ダクトP1の内部を濡らすための液体供給手段Cを提案している。液体供給手段からの水の供給量を制御する制御部Dを設けることが望ましい。接続ダクトの内部の濡れ面の保水量を超える水は、エアフィルタを透過して、固定手段によって支持されるエアフィルタ回収袋の中に入る。固定手段の支持力は、少なくとも液体供給手段が供給する所定量の水の重量を支えることができるように設けるとよい。
【0022】
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段のいずれかを有し、かつ上記液体供給手段は、供給口から液体をほぼ全方位に噴霧するように構成した。
【発明の効果】
【0023】
第1の手段に係る発明によれば、エアフィルタと遮蔽ダンパーとの間の接続ダクトへ給液するから、接続ダクト内の微粒子を飛散し難い失活状態とすることができる。
【0024】
第2の手段に係る発明によれば、接続ダクトを下向きに設置するとともに、エアフィルタ回収袋を固定するための固定手段を設けたから、接続ダクト内への供給した水の排水路を設ける必要がない。
【0025】
第3の手段に係る発明によれば、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタの各内面全体を濡らすための所定量の水を供給するから、微粒子の飛散を確実に防止できる。
【0026】
第4の手段に係る発明によれば、上記供給口から液体をほぼ全方位に噴霧するように構成したから、接続ダクトの内部をまんべんなく液体で濡らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムを、ナノ材料を取り扱う施設に適用した構成図である。
【図2】図1のシステムを正面方向から見た縦断面図である。
【図3】図1のシステムの側方からの縦断面図である。
【図4】図1のシステムの通風時の正面方向からの縦断面図である。
【図5】図1のシステムの噴水時の正面方向からの縦断面図である。
【図6】図1のシステムのフィルタ取外し時の正面方向からの縦断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムの正面方向からの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1から図6は、本発明の第1の実施形態に係る、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムを示している。図1から図6のうち、図1は、ナノ材料を取り扱う施設に本システムを適用した構成図であり、図2〜図4は、本システムの主たる構成要素の関係を概念的に表す説明図であり、図5〜図6は、本システムの作用の説明図である。
【0029】
図1のうち、R1はナノ材料を取り扱う施設の作業室を表し、R2は機械室を表す。作業室の内部から機械室R2を経て外部へ排気路Pを貫設している。この排気路Pは、開口部として吸込口E1と吹出口E2とを有する。排気路内には送風ファンBLが設置されている。これらの構造は、本発明のシステムを説明するための単なる一例であり、適用対象たる施設はナノ材料を取り扱う施設でなくてもよく、また機械室は省略しても構わない。
【0030】
本発明に係るシステムは、接続ダクトP1と、遮蔽手段Aと、エアフィルタBと、液体供給手段Cと、制御部Dとを有する。
【0031】
接続ダクトP1は、遮蔽手段AとエアフィルタBとの間の排気路部分であり、図示の例では、上記排気路Pのうち吸込口E1側の部分として構成している。排気路Pの吸込口側にエアフィルタを設けた方が排気路P内部の汚れを少なくすることができるからである。しかし、吹出口E2側の排気路の縦筒部分を接続ダクトとしても構わない。この接続ダクトの周壁2は下端開口の縦筒として形成されている。また接続ダクトの内面4は、平滑な垂直面としている。接続ダクトP1は、後述の遮蔽ダンパーで残りの排気路部分P2として区切られているが、通路として区別された構造とする必要はない。接続ダクトP1は、少なくとも遮蔽ダンパーの開閉動作が可能な長さを有し、また吸込口E1から内部の清掃が可能な長さとすることが望ましい。接続ダクトの上部には覗き窓6を形成している。
【0032】
上記接続ダクトP1の外側には、例えばビニールで形成したエアフィルタ回収袋Bgの固定手段8を設ける。図示例の固定手段8は、接続ダクトの周壁2の外面に横設した切欠き縁と、この切欠き縁の近傍に枢着した留め板とで、エアフィルタ回収袋Bgの開口端を挟持可能に構成してなるが、適切な固定力を有すればどのような構造でも構わない。
【0033】
好適な一つの実施例では、上述のエアフィルタ回収袋Bgは、後述の液体供給手段により噴霧した水がエアフィルタBを経て床に零れないように、水を溜める役目を有する。微粒子を含んだ水が床に零れて乾燥すると、乾燥により飛散した微粒子を作業員が吸い込むおそれがあるからである。この場合には、固定手段8は、仮に液体供給手段が噴霧した水が全てエアフィルタ回収袋内に流れ込んでもよいように、一度の噴霧水量の重量を支えられる程度の固定力を有することが好適である。
【0034】
遮蔽手段Aは、図3に示すように、遮蔽ダンパー10と、回動モーター16とを有する。上記遮蔽ダンパー10は、下面12を平坦面とする遮蔽板を、接続ダクトP1の上端部に横設した回動軸14に枢着させてなる。図示例では遮蔽ダンパーを形成する遮蔽板の巾方向中間部に回動軸14を取り付けているが、遮蔽板の端部に回動軸14を取り付けても構わない。
【0035】
遮蔽ダンパー10の役割は、排気路の接続ダクトP1を残りの排気路部分P2から気密かつ液密に遮断することである。接続ダクトの上端部を遮蔽ダンパー10で遮断することで、図5に示す如く、後述の噴霧水が遮蔽ダンパー10の設置個所よりも先に流入しないので、接続ダクトP1内の被噴霧面を満遍なく濡らすことができる。さらに濡れていない排気路部分から微粒子の飛散を避けることである。図示例では吸込口E1側にHEPAフィルタなどのエアフィルタBを設けているが、さまざまな理由で捕集された微粒子が空気中に再び飛散し、排気路内面に付着している可能性がある。例えばエアフィルタを外すときと同程度の外力(例えば地震力)が加わった場合である。
【0036】
エアフィルタBは、接続ダクトP1の開口部(図示例では吸込口E1)内に着脱自在に装着している。このフィルタは、HEPAやULPAなどの高性能フィルタとすることができる。HEPAフィルタは、粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有している。このHEPAフィルタの濾材は、一般的には直径1〜10μm以下のガラス繊維で出来ており、粒子が慣性・衝突・拡散等の原理により繊維に捕集さる仕組みとなっている。しかし捕集された微粒子が、フィルタを外すときなどの衝撃でフィルタの表面から再飛散するおそれがあり、そうしないために、次のように予め水で濡らす方法がある。
【0037】
液体供給手段Cは、給水タンク22と、送水ポンプ24と、給水管26と、供給口である噴霧ノズル28で形成している。好適な図示例では、給水管26は、接続ダクトP1内へ突入し、接続ダクトのほぼ中心部に噴霧ノズル28を位置させている。この噴霧ノズル28の役割は、単に接続ダクト2の内部を濡らすことであり、ダクトの内部を洗浄する場合と比べて水の噴霧量は少なくてよい。しかしながら、少なくともエアフィルタBの上面18に対しては十分に噴霧をするものとし、さらに遮蔽ダンパー10及び接続ダクトP1の隅部にまで噴霧した水が到達するように設ける。また、送水ポンプ24は、一定量の水を送水可能に構成している。
【0038】
液体供給手段Cの供給口は、噴霧口とすることが好適であるが、これに限定されない。例えば接続ダクトの一部又は接続ダクトの近傍から水がしみ出し、接続ダクトの内表面伝いに水が流れるものであっても構わない。
【0039】
制御部Dは、遮蔽手段Aの回動モーター16と液体供給手段Cの送水ポンプ24とを制御する。図示例と異なり、回動モータ用の制御部と送水ポンプ用の制御部とを別々に設けても構わない。制御部Dは、接続ダクトP1の内部を濡らすために必要かつ十分な量の水を噴出するように回動モーター16を制御する。
【0040】
好適な一つの実施例として、遮蔽ダンパーを閉とし、次に水を噴霧するという順序を制御プログラムに組み込むことができる。手動で操作する場合に、人為的ミスにより水の噴霧→遮蔽ダンパー10の閉鎖という順序になってしまったときに、図4の状態で水を噴霧することとなり、遮蔽ダンパーの表面(閉鎖状態の下面)を十分に濡らすことができない可能性があるからである。
【0041】
上記構成において、遮蔽ダンパー10を開とし、排気路P内に設置した送風ファンBLを作動させると、送風中の空気から微粒子が主としてエアフィルタBLに付着する。遮蔽ダンパーを閉とし、固定手段18を利用して、接続ダクトP1の外側にエアフィルタ回収袋Bgを取り付ける。そして送水ポンプを作動させて、一定量の水を供給口28から接続ダクトP1内へ噴霧する。これにより、被噴霧面である接続ダクトP1の内面4と遮蔽ダンパー10の下面12とエアフィルタBの上面18とは、十分に水で濡らされる。なお、水が噴霧されていることを、既述覗き窓6を経て外部から確認することができる。
【0042】
なお、供給水は細かい霧状に噴霧することが好適である。必要最小量の水で内面を濡らすことができ、また勢い良く水を噴射し、水の飛沫がエアフィルタBに衝突して、エアフィルタから空中へ付着した微粒子が再飛散すると望ましくないからである。
【0043】
接続ダクトP1内へ噴霧した水は、上述の被噴霧面に付着するが、付着可能量を超える水が噴霧されると、超過分の水は接続ダクトP1の内面を流れ落ち、エアフィルタBを透過してエアフィルタ回収袋Bg内に保水される。
【0044】
上述のように水で濡れることで、エアフィルタの上面などに付着した微粒子は空気中に飛散しにくい状態となる。この状態で、エアフィルタ回収袋Bgを通して、エアフィルタを下方へ引っ張り、図6に示す如く、接続ダクトP1の吸込口E1から取り外す。このエアフィルタBをエアフィルタ回収袋Bg内に入れたままエアフィルタ回収袋を開口部から外し、この袋の口を閉じて廃棄する。
【0045】
その後、必要により、接続ダクトP1の内部を清掃し、さらにエアフィルタ回収袋を開口部に装着すると、図2の状態に戻る。
【0046】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで解説を省略する。
【0047】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステムを示している。この実施形態では、噴霧ノズル28を接続ダクトP1の内面に開口している。第1の実施形態に比べて接続ダクト内へ給水管が突入していないので、給水管に埃や微粒子が付着することがなく、清掃作業が容易となる。図示例では、接続ダクトの周壁2のうち対向する2面に噴霧ノズル28を開口しているが、その配置は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0048】
P…排気路 E1…吸込口(開口部) E2…吹出口(開口部)
P1…接続ダクト 2…周壁 4…内面 6…覗き窓 8…固定手段
P2…(接続ダクト以外の)残りの排気路部分
A…遮蔽手段 10…遮蔽ダンパー 12…(遮蔽ダンパーの)下面
14…回動軸 16…回動モーター
B…エアフィルタ 18…(エアフィルタの)上面
C…液体供給手段 22…給水タンク 24…送水ポンプ 26…給水管
28…噴霧ノズル(供給口)
D…制御部
R1…作業室 R2…機械室 Bg…エアフィルタ回収袋 BL…送風ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を捕集するためのフィルタ設置箇所を給液により湿潤状態とすることが可能な、排気路のフィルタ交換システムにおいて、
排気路のうち開口部側の筒状部分で形成した接続ダクトと、
接続ダクトと残りの排気路部分とを遮蔽ダンパーで密に遮断することが可能な遮蔽手段と、
上記接続ダクトの末端に着脱自在に接続された、微粒子除去用のエアフィルタと、
上記接続ダクト又はその近傍に、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタとの各内面全体を濡らすことが可能に配置された供給口を含む液体供給手段と、
を具備することを特徴とする、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項2】
上記接続ダクトを、下端開放で垂直な内周面を有する縦筒形とするとともに、
エアフィルタよりも上方の接続ダクト部分に、エアフィルタを外側から包むようにエアフィルタ回収袋の上端部を固定することが可能な固定手段を設けたことを特徴とする、請求項1記載の微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項3】
上記液体供給手段は、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタの各内面全体を濡らすために必要な一定量の液量を供給することが可能に構成していることを特徴とする、請求項2記載の微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項4】
上記液体供給手段は、供給口から液体をほぼ全方位に噴霧するように構成したことを特徴とする、請求項2又は請求項3のいずかに記載の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項1】
微粒子を捕集するためのフィルタ設置箇所を給液により湿潤状態とすることが可能な、排気路のフィルタ交換システムにおいて、
排気路のうち開口部側の筒状部分で形成した接続ダクトと、
接続ダクトと残りの排気路部分とを遮蔽ダンパーで密に遮断することが可能な遮蔽手段と、
上記接続ダクトの末端に着脱自在に接続された、微粒子除去用のエアフィルタと、
上記接続ダクト又はその近傍に、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタとの各内面全体を濡らすことが可能に配置された供給口を含む液体供給手段と、
を具備することを特徴とする、微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項2】
上記接続ダクトを、下端開放で垂直な内周面を有する縦筒形とするとともに、
エアフィルタよりも上方の接続ダクト部分に、エアフィルタを外側から包むようにエアフィルタ回収袋の上端部を固定することが可能な固定手段を設けたことを特徴とする、請求項1記載の微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項3】
上記液体供給手段は、接続ダクトと遮蔽ダンパーとエアフィルタの各内面全体を濡らすために必要な一定量の液量を供給することが可能に構成していることを特徴とする、請求項2記載の微粒子の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【請求項4】
上記液体供給手段は、供給口から液体をほぼ全方位に噴霧するように構成したことを特徴とする、請求項2又は請求項3のいずかに記載の飛散防止機能を備えた、排気路のフィルタ交換のためのシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−127851(P2011−127851A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288027(P2009−288027)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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