説明

微粒子アセンブル構造体とそのアセンブル方法

【課題】
三次元的な凹部内壁を持つ基体の表面に対しても良好に微粒子を配列することが可能な微粒子アセンブル法と、当該微粒子アセンブル法により形成された構造体を提供することを目的とする。
具体的には、数マイクロメートル〜数ナノメートルの凹部を有する基体を用い、当該凹部に微粒子を配列する手法を提供すると共に、およびこの手法を用いて内壁面に微粒子を配列したアセンブル構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】基板10の表面上に形成されたマイクロチャネル101に対し、その内壁101R、101L、101Bに微粒子200を液架橋力を利用して配列させる。この際、既知微粒子濃度の微粒子分散液を、既知面積のマイクロチャネルに対し、所定量でノズルから滴下して充填するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子配列(アセンブル)構造体とそのアセンブル法に関し、特に凹凸基板表面に対する微粒子の配列技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、数ミクロンメーターから数ナノメーター程度の径を有する微粒子(以下、単に「微粒子」という。)を集積化して機能材料を作製することを目的とした、微粒子アセンブル法についての研究が盛んに行われている(例えば特許文献1及び4、非特許文献1)。
前記微粒子を用いた代表的な機能材料としては、平面基板に大規模に粒子を配列した構造が挙げられる。これは、例えばアルミニウム基板を担持体とし、その表面に特定の高分子化合反応を促進させるPt等の貴金属触媒粒子を配設した構成、或いはマトリクス状に配された画素毎に異なる色の蛍光体微粒子を配設するフラットパネルディスプレイを挙げることができる。
【0003】
このような基板表面に微粒子を配設させてなる機能材料を構成するためには、微粒子を一個ずつマニピュレートして集積化する手法(例えば特許文献3)を無数の微粒子の配設に応用することは現実的でないので、自己組織化現象を利用したアセンブル法(例えば特許文献2)が必要不可欠とされている。
具体的に平面基板表面に対し微粒子を二次元的に配列するには、(1)粒子を分散させたコロイド溶液を、液体基板上に滴下して単粒子膜を形成する方法、(2)粒子を分散させたコロイド溶液を、固体体基板上に滴下し溶媒を蒸発させて単粒子膜を形成する方法、(3)粒子を分散させたコロイド溶液を基板と対向した電極基板間に注入し、電場を印加することによって単粒子膜を基板上に形成する方法(電気泳動デポジション法)等が知られている。
【0004】
これらの方法をさらに大面積基板に適用するためには、粒子を分散させたコロイド溶液の基板への供給方法を工夫した移流集積法やテーパードセル法などが知られている(非特許文献2)。
ここで図10は、移流集積法により平面基板上にコロイド結晶を得る手法を模式的に表した図である。コロイド溶液はノズルから毎分数μL程度の流速で基板表面に滴下され、ブレードをコロイド液に接触させつつ後退させることにより、当該コロイド溶液が基板表面に拡散される。これにより、コロイド溶液中のコロイド粒子同士は基板表面において互いに集積し、溶媒が揮発すると整然とコロイド結晶が形成されることとなる。
【0005】
現在では、上記各配設手法をさらに発展させて、担持体表面に多層粒子構造を形成し、フォトニック結晶(屈折率に光の波長と同程度の周期性がある光学材料)等を形成する試みもなされている。
一方、上記のように平面基板に大規模に粒子を配列するのではなく、微粒子数がそれほど多くない場合には、基板上に粒子をパターン状に配列する手法に関する研究も多くなされている。この場合も、一個ずつマニピュレートして集積化する方法は、工業的な生産性を考慮すると実用的ではない。工業的な生産性を考慮した手法としては、(1)ノズルを用いて微粒子を含むガス、或いはコロイド溶液を物理的に基板に吹き付ける方法(例えばガスデポジション法若しくはノズルジェット法)、および(2)外部からの力や粒子と基板間に作用する力を用いた自己組織化現象を利用する方法、の2つが主に提案されている。このうち後者はさらに、基板にあらかじめ形成した微粒子を選択的に引き寄せ、あるいは強く固定する性質を有する電気的パターン、化学的なパターンを利用して粒子をパターニングする手法に分類できる。電気的パターン、化学的なパターンを利用する手法は、それぞれ利用する力などによってさらに細分化できる。
【0006】
ここで、基板表面上に微粒子を二次元的且つ所定のパターン状に配列する手法としては、鋳型を用いる方法が提案されている。これは、パターンを形成したい平面基板上に、凹凸を形成した鋳型をハンコのように密着させ、基板と鋳型との間に形成された間隙に、粒子を分散させたコロイド溶液を毛細管現象による供給し、最後に溶媒を蒸発させることによって、平面基板上に微粒子よりなるパターンを形成する方法である。具体的な手法としては、マイクロテンプレート法であって、ガラスのような親水性平面基板上に厚さが粒子と同等かそれ以下の有機膜によってパターンを形成した後、粒子を分散させたコロイド溶液と一過的に接触させ、パターン部に微粒子を含むコロイド溶液滴を形成し、その後溶媒を蒸発させることで発生する液架橋力によって微粒子をパターン部のみに配列する手法である。当該マイクロテンプレート法は、現在では比較的小さい面積のパターン領域に適用されている。
【特許文献1】WO99/47297号公報
【特許文献2】特開2001-254103号公報
【特許文献3】特開2003-94396号公報
【特許文献4】特開2003−226984号公報
【非特許文献1】「粒子集積化技術の世界」、工業調査会、2001年
【非特許文献2】Orlin D. Velev、 ”Tools for Fast and Controllable Tools for Fast and Controllable Fabrication of Photonic Structures via Fabrication of Photonic Structures via Particle Self Particle Self-assembly”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の微粒子アセンブル法は、二次元的な平面基板上での微粒子配列を主に想定しており、三次元的な凹部内壁を持つ基体表面に対する微粒子配列技術は明確に確立していない状況にある。
すなわち、前述した従来のアセンブル方法はいずれも、平面基板上の全体あるいは特定の領域に粒子を配列する手法に関する研究であり、基板上に形成した凹部の内壁面に粒子を配列する目的には適用することができない。凹部の側壁がなだらか、かつ深さが粒子径と同程度で、凹部の面積が粒子断面積の数倍程度の場合は、基板の凹部の濡れ性を向上しておくことによって、マイクロテンプレート法を応用して凹部の内壁面に粒子を配列することはある程度可能とも考えられるが、特に凹部の側壁が急峻でかつ深さが粒子径の数倍以上の場合、凹部の内壁面に粒子を配列することはできない。
【0008】
以上のように現在では、微粒子アセンブル法の応用技術を一層広げ且つ深めるため、より改善の余地があると考えられる。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、三次元的な凹部内壁を持つ基体の表面に対しても良好に微粒子を配列することが可能な微粒子アセンブル法と、当該微粒子アセンブル法により形成された構造体を提供することを目的とする。
【0009】
具体的には、数十マイクロメートル〜数ナノメートルの凹部を有する基体を用い、当該凹部に微粒子を配列する手法を提供すると共に、およびこの手法を用いて内壁面に微粒子を配列したアセンブル構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明は表面に凹部を有する基体において、前記凹部内壁の塗布対象面に対して微粒子縣濁液を充填する充填工程と、前記充填工程で充填された縣濁液の溶媒を乾燥する乾燥工程とを経ることにより、前記塗布対象面に微粒子アセンブル構造体を形成する微粒子アセンブル法であって、前記充填工程で用いる微粒子縣濁液として、前記前記塗布対象面に配列させたならば当該塗布対象面の略全面にわたり微粒子を密に配列したn層(nは1以上の整数とする。)からなる前記微粒子アセンブル構造体が形成される数量の微粒子を含む微粒子縣濁液を用いるものとした。
【0011】
ここで前記基体は基板であり、前記凹部は、前記基板主面に形成されたチャネルであって、前記充填工程では、最大直径が当該チャネルの深さ及び代表幅に比べて小さい微粒子を用い、前記微粒子縣濁液をノズルを用いて充填することもできる。
なお、ここで言うチャネルは幅と長さが同等のものも含むとして広義に解釈する。従って、上記凹部には、丸形、半円形、矩形状等の各種断面形状を有すると同様に、円形、矩形、多角形などの各種平面形状を有するパターンも含まれる。
【0012】
また前記充填工程では、前記チャネルの内壁面に前記各微粒子の位置を物理的に拘束するための凹凸が形成された基体を用いることもできる。
さらに前記基体は、前記チャネルがその幅と長手方向長とが10以上の比率を有する溝であって、前記充填工程では前記長手方向に沿って、前記微粒子縣濁液をラインジェット法(インクジェット法)で充填することも可能である。
【0013】
なお、前記充填工程に先立ち、前記チャネルの内面を、前記微粒子が有する親水性或いは疎水性の特性と同様の特性を有するように表面処理することもできる。
さらに前記微粒子が親水性粒子であるとき、前記充填工程に先立ち、前記チャネルにおける塗布対象面を親水性処理するとともに、当該チャネルを囲繞する前記基板主面の領域を疎水性処理することもできる。
【0014】
さらに本発明は、前記微粒子縣濁液に複数の種類の微粒子が含まれ、前記充填工程及び乾燥工程により、前記複数の微粒子を混合してなる微粒子アセンブル構造体を形成することもできる。
ここで前記充填工程では、前記基体の所定の領域に前記微粒子縣濁液を段階的に充填する複数の充填サブステップを有し、当該複数の充填サブステップの前後において、当該充填に係る基体内壁の所定の領域以外をマスキングすることが望ましい。
【0015】
さらに前記充填サブステップにより、基体の所定領域毎に種類の異なる微粒子を配列することも可能である。
また、前記充填工程又はこれに加えて前記乾燥工程において、基体に充填した微粒子を外部より基体表面側に押圧することもできる。
さらに前記微粒子の押圧は、外部より、前記凹部に嵌合する凸部を有する押し型を用いて行うこともできる。
【0016】
なお、前記微粒子の押圧は、前記充填した微粒子縣濁液と、基体側にそれぞれ電圧印加することにより、電場による誘電泳動力を利用して微粒子を押圧することもできる。
さらに本発明は、上記列挙した本発明のいずれかの微粒子アセンブル法を用いて基体表面に形成された微粒子アセンブル構造体とした。この前記微粒子アセンブル構造体は、マイクロカラムのマイクロチャネル内部に形成されたカラム充填粒子からなるものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアセンブル法では、基体の凹部内壁における塗布対象面に対し、その塗布対象とする表面領域の総面積に対して単一若しくは複数の層(すなわちn層、nは1以上の整数)が形成できる数量の微粒子を含む微粒子縣濁液を充填する。これにより、塗布対象面への縣濁液の充填工程による充填直後から始まる乾燥工程によって、微粒子と凹部壁面との間で溶媒が揮発減少するのに伴い、微粒子と凹部内壁との間で作用する親和力の発生とともに、隣接する微粒子同士が相互に引っ張り合う液架橋力(メニスカス)による自己組織化(セルフアセンブル)現象が発生する。
【0018】
これにより、凹部内壁の塗布対象面において微粒子が整列しながら凝集し、単一層、又は前記n層からなる微粒子アセンブル構造体が形成されこととなる。すなわち、従来のマイクロテンプレート法、テーパードセル法では平坦な基板平面を主眼として微粒子アセンブル構造体を形成していたため、基体の凹部内壁に微粒子アセンブル構造体を形成することが困難であったが、本願発明ではこのような原理により、平面構造ではない基体の凹部内壁(例えばマイクロチャネルの内壁面)であっても、整然としたn層からなる微粒子アセンブル構造体が形成されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の各実施の形態1〜8について、図面を参照しながら説明する。実施の形態1では本発明の微粒子アセンブル法を用いた構成例を示し、実施の形態2〜8では、実施の形態1の構成を作成する方法例として、本発明の微粒子アセンブル法のバリエーションについて説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の微粒子アセンブル法を適用してなる微粒子構造を持つ構成例である、マイクロカラムアレイの構造を示す模式的な図である。図1(a)はマイクロカラムアレイの斜視図、図1(b)は当該マイクロカラムアレイのxy平面に沿った幅方向断面図を示す。
【0020】
当該マイクロカラム1は、耐有機溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性を有する有機樹脂材料を射出成型してなり、図1(a)に示すように、短冊状の基板10と、当該基板の主面100に積層されるカバー11とで構成される。当該アレイ1のサイズ例としては、y方向長さ35mm × x方向幅12mm × z方向厚み3mm(基板厚み2mm+カバー厚み1mm)である。
【0021】
基板10の主面100には、互いに交差するマイクロチャネル(中空の溝)101として、基板長手方向(y方向)に延伸されたメインカラム部15、基板幅方向(x方向)に延伸されたサブカラム部14が互いに交差部102において交差するように穿設されている。各カラム部14、15には、カバー11を通じて外部と連通するウェル状の上流端101a、102a、下流端101b、102bが形成される。当該カラム部14、15の溝は、図1(b)に示すようにほぼ方形状の断面形状であり、一辺の長さ(溝の深さ、或いは代表幅)を数百μmとすることができる。当該サイズは当然ながら適宜変更可能である。
【0022】
そして前記マイクロチャネル101には、図2(d)に示すように、当該チャネル内壁面101R、101L、101Bに沿って、複数の微粒子200が互いに整然と配列されてなる微粒子アセンブル構造部16が形成されている。微粒子200としては、μHPLC用のカラムとして用いる場合には分離ビーズ、或いは、フューズドシリカの表面を高機能分子からなる配位子によってリガンド修飾された触媒粒子(但し凹部への粒子吸着後にリガンド修飾する)を用いることができる。なお、当然ながら微粒子200の最大直径はマイクロチャネル101の深さ、x方向幅に比べて十分に小さい。
【0023】
基板表面100とカバー11とは、互いに熱溶着や接着により互いに接合される。
当該マイクロカラム1の利用方法としては、その他、生体細胞中に含まれる極微量の核酸(DNA)、中低分子化合物などを分析するといった解析が例示できる。この解析では、大量の塩基配列の異なる核酸断片等を一度に分析することが要求されるが、一般的に、寸法が小さいほど性能が向上し、分析速度を上げることができるし、分析費用も低減されることから、近年ではこのようなマイクロカラム1を利用したマイクロ分析システムがなされている。
【0024】
実際のマイクロカラム1の利用は、まず、サブカラム部14の上端部及び下端部を外部流路に接続し、一定の分子量分布を持つサンプルを当該サブカラム部14内に流出させる。これにより、当該サブカラム部14の有する濃縮機能に基づき、サンプルの濃縮が図られる。このとき、目的の分子量を有する分子が交差部102付近に達するまで分離処理を行うようにする。
【0025】
上記の手順で所定時間、サブカラム部14による濃縮処理が終了したら、次にメインカラム部部15の上端部及び下端部を外部流路に接続し、メインカラム部15を用いて分離処理を行う。これによって、予めサブカラム14により選択されたサンプル部分だけをメインカラム部15にて解析することができることとなる。
ここにおいて、本実施の形態1の特徴は、前記マイクロチャネル101の内壁を塗布対象面とし、これに本発明の微粒子アセンブル方法を用いて前記微粒子200を密に配列した単一層からなる前記微粒子アセンブル構造体16を形成した点にある。当該アセンブル構造体16は、各微粒子200による自己組織化現象(セルフアセンブル)を利用して形成されてたものである。
【0026】
以下、当該構造体16の形成方法について、別の実施の形態として説明する。
<実施の形態2>(ノズルを用いたアセンブル法)
図2は、基板10のマイクロチャネル101周辺の幅方向断面と、本発明のアセンブル法について、ノズルを用いた充填ステップを示す図である。
【0027】
まず、アセンブル法の実施に先立ち、所定のコロイド溶液を準備する準備(調整)工程を行う。当該コロイド溶液としては、揮発性溶媒201に所定濃度でコロイド粒子を混合し、縣濁液として作成する。当該コロイド溶液としては、以下の構成例を挙げることができる。
溶媒例;各種低級アルコール(揮発性がそれほど要求されない場合は水を用いることもできる)
コロイド粒子(微粒子)例;フューズドシリカ粒子、アクリル樹脂粒子、イオン交換樹脂粒子、貴金属触媒粒子
溶液の粘性;1.1センチポイズ程度
溶液温度;室温(25℃)又は50℃
場合に応じて添加できる増粘剤;α-ターピネオール(但し、微粒子による触媒反応に悪影響を及ぼさないもの)
また、充填装置としては以下のものを挙げることができる。
【0028】
*パイロットコーポレーション(株)社製TF100、TF300
上記コロイド溶液の調整が完了したら、これを前記充填装置に接続した所定のタンクに充填する。そして充填工程により、マイクロチャネル101のサイズに合わせた内径を有する極細ノズルを用いて、いわゆるラインジェット法に基づきマイクロチャネル101の長手方向に沿ってノズルを走査しながらコロイド溶液を充填する(図2(a))。ラインジェット法を用いたノズル走査は、マイクロチャネル101のx方向幅に比べてy方向長さが10倍以上の長さを有する場合に、特に効率が良い方法であることが分かっている。
【0029】
ここで本実施の形態2の特徴として、マイクロチャネルに充填するコロイド溶液20の液中に存在するコロイド粒子数(微粒子総数)が、当該微粒子101を単一層として形成させたいマイクロチャネル101の総面積(前記マイクロカラム1に適用する場合は内壁101R、101L、底面101Bの総面積)に要する微粒子数と一致するように調整する。この関係は以下の数1で表すことができる。
【0030】
[数1]
充填に必要なコロイド溶液総量Vs(μl) = 微粒子総数T(個)/ コロイド溶液単位体積辺りの微粒子数V0(個/μl)
具体的に実施の形態1のマイクロチャネル101へアセンブル構造体16を形成する場合は、以下の計算を行うことができる。
【0031】
マイクロチャネル101のx方向幅をw、y方向長さをL、z方向深さをHとするとき、当該マイクロチャネル101の総表面積Stotは
総表面積Stot=(W+2H)×Lで表される。
ここで、微粒子200の径をdとするとき、チャネル幅W、チャネル長Lに充填できるおおよその微粒子数は、それぞれW/d個、L/d個で表されるから、全体として必要な微粒子総数T(個)は、次の数2で表される。
【0032】
[数2]
微粒子総数T(個)=Stot/d2
以上のように、マイクロチャネル101へ充填するコロイド溶液の濃度及び滴下量は、マイクロチャネル101の総表面積Stotに対してStot/d2個のコロイド粒子が定着できるように考えることで設定が可能である。つまり本発明では、コロイド溶液中の微粒子濃度とチャネルへの供給量から決定される供給微粒子数を、チャネルパターン上に配設する微粒子数に概略一致させることを特徴としている。ここで言及する「概略一致」の意味については、理想的な公差範囲を20%以内のずれに収まるものとして設定しておくことができるが、やはり可能な限り一致させることが望ましく、より精密な設定が可能であれば当該公差範囲を10%以内に留めることが望ましい。
【0033】
続いて図2に戻り、マイクロチャネル101への充填後は液表面が表面張力により張り出しているが(図2(a))、当該ノズルより充填した直後から乾燥工程が始まるので溶媒の揮発により次第に体積を失い(図2(b)〜(c))、経時的に壁面101R、101L、101B寄りに微粒子200が集まる。ここで微粒子200同士には、少なくなった溶媒において作用する液架橋力(メニスカス)が作用する自己組織化(セルフアセンブル)現象が発生し、互いに壁面101R、101L、101Bに沿って凝集し、複数の微粒子200が密に配列した単一層からなる微粒子アセンブル構造体16が形成される。従来のマイクロテンプレート法、テーパードセル法では凹凸を有する基体表面に微粒子アセンブル構造体を形成することが困難であったが、本願発明ではこのように、微粒子数を充填面積に対して予め厳密に設定し、これに基づき充填工程を行うことにより、平面ではないマイクロチャネル101の内壁であっても、整然とした単一層が形成されることとなる。
【0034】
溶媒が完全に揮発して消失し、微粒子200が壁面101R、101L、101Bに対して固定されると工程は完了する(図2(d))。
なお、本実施の形態2では、単一層を形成するものとしたが、本発明はこれに限定するものではなく、コロイド溶液中の微粒子濃度を調節することにより、n層(nは1以上の整数)からなる微粒子アセンブル構造体16を形成することができる。但し、nを余り大きくすると、各粒子分子間力が複雑となり過ぎる等の理由により、整然とした層構造が得られにくいと考えられる。
【0035】
また、工業的に本実施の形態2を実施する場合には、前記タンクに大量にコロイド溶液を作成して格納することが想定されるが、本発明ではタンク内で予め一回ごとの充填に係るコロイド溶液量を設定しておく必要はなく、最終的に各基体への充填に対して、前記コロイド溶液の濃度及び供給微粒子数の設定がなされればよい。すなわちこの設定は、前述の通り前記準備工程ですべて行ってもよいし、実際にノズルで充填しつつ、所定のコロイド溶液の供給量に達した時点を判断して充填を終了するように設定してもよい。
【0036】
また、上記図2に記載した方法の他に、例えば目的濃度よりも高濃度のコロイド溶液を充填しておき、後に希釈用の溶媒を調整して添加する(若しくはこの逆)等の手法もとることができるので、実際には前記準備工程と前記充填工程は重複して行われるケースも想定できる。
(充填時の留意点)
コロイド溶液中の微粒子濃度は、予め溶媒量とこれに分散させる微粒子数により決定できる他、前記タンクと前記ノズルとの間にレーザ式(光学式)カウンタを導入することで把握することが可能である。その他の要件としては、コロイド溶液中の微粒子が偏らないように、分散状態をできるだけ保つべく、少なくとも充填前にはタンク内での十分な攪拌を行うことである。
【0037】
さらに、微粒子の種類によっては分子間力、静電力等の凝集力が働き、微粒子(一次粒子)が凝集してなる二次粒子が形成され、正常な充填の障害が発生することが考えられる。この場合、当該二次粒子の発生を、予めコールカウンタ法、空気透過法等で確認できるので、そのときは前記タンク内での攪拌をより積極的に行う等の対策を採ることができる。
【0038】
微粒子の分散状態については、溶液の粘度を調節することで良好に保つことができる。
<実施の形態3>基体表面処理について
前記実施の形態2では、ノズルを用いた微粒子アセンブル法について説明したが、微細なノズルを用いて所定のチャネルにのみコロイド溶液を充填する方法は難しい場合がある。この場合、基体表面を予め微粒子と同等の特性を持つように化学的処理しておくことで、この作業効率を改善することができる。
【0039】
図3は、実施の形態3として、基体表面を所定の領域毎に親水処理及び疎水処理する例について示す図である。ここでは親水性の微粒子200を用いる場合を例に取っており、基板表面100には疎水性処理を施し、マイクロチャネル101の内部の壁面101R、101L、101Bには親水性処理を施している。これらの処理には、親水性高分子(PEGユニットを有するラジカル高分子等)或いは疎水性高分子(フッ素化高分子等)を充填する方法、或いは親水性高分子で基板10を作成し、表面100を疎水性高分子で被覆する方法、若しくは逆に疎水性高分子で基板10を作成した後、壁面101R、101L、101Bを親水性処理する方法等が挙げられる。
【0040】
このような構成を持つ実施の形態3によれば、微粒子200の吸着性をより向上させることができ、効率よくアセンブル構造体16を形成することが可能となる。また、使用中の微粒子200の脱落を防止する効果も望める。
なお、コロイド溶液が疎水性の場合には、当然ながら、上記疎水性処理、親水性処理を逆に行うことで、充填に係る作業効率を同様に改善することができる。また、ここでいう親水、疎水とは相対的な特性を指すものであり、上記疎水性処理又は上記親水性処理の一方のみの処理を行うことももちろん可能である。
【0041】
<実施の形態4>基体表面処理について
本発明では、実施の形態3の化学的処理の他、本発明では物理的処理を基体に施すことで微粒子アセンブル法の作業効率を向上させることができる。
図4は、本実施の形態3として、マイクロチャネル101の内部の壁面101R、101L、101Bの表面に、微細な凹凸処理を施し、マイクロチャネル101内の位置を物理的に拘束して、微粒子200を吸着させる手段を設けた構成を示す。図4(a)はマイクロチャネルの全体的な断面図、図4(b)は底面101Bの領域Aについての部分拡大図、図4(c)は微粒子200と凹凸処理部との位置関係を示す拡大図をそれぞれ示す。また図5(a)、図5(b)は、その他の凹凸形状の詳細をそれぞれ示す。
【0042】
当図4(a)、(b)に示す構成では、マイクロチャネル101の幅方向断面において、三角形状の頂部1011A、底部1011Bを有するように微細な鋸歯状の凹凸処理を施している。凹凸の規模は、配設する微粒子200のサイズに合わせて形成する。このような微細な凹凸形状も、前記有機樹脂材料を用いれば、微細なモールドが損なわれることなく基板10の射出成型時に同時に作成することができる。また、いったん図1に示す通常のマイクロカラム1の基板10を製造し、その後改めてサンドブラスト処理等で加工することも可能である。
【0043】
このような凹凸処理を施せば、図4(c)に示すように、微粒子200は隣り合う二つの稜部1010の間で挟設され、且つ、微粒子200の自重により底部1011B方向に沿って安定した状態で配置されるので、より整然とした微粒子アセンブル法を実施することができる。特に、溶媒がまだ生乾きの状態であっても微粒子200の位置決めがある程度なされるので、その配列が崩れることが効果的に防止される効果も期待できる。
【0044】
なお、前記凹凸の形状は、正三角形の鋸歯状に限定するものではなく、例えば図5(a)、図5b)に示すように、直角三角形状の鋸歯とすることもできる。この直角三角形状の鋸歯は、マイクロチャネルの長手方向に沿って形成し、且つ、長辺部が上流側、短辺部1012Bが下流側を向くように配設する。これにより、使用時において溶出液がチャネル内を流通する際、当該溶出液の圧力に対して微粒子200が短辺部1012Bにサポートされる形となり、微粒子200の脱落を防止できる効果が奏されるので望ましい。さらに前記凹凸の形状は、微粒子と略同等の曲率を有する半球形状や四角錐状等の各種形状とすることももちろん可能である。
【0045】
<実施の形態5>リブを用いた微粒子アセンブル法について
マイクロカラム1のマイクロチャネル101等の凹部内壁を持つ基体に対し、より良好に微粒子アセンブル法を実施するために、図6に示す、外部からマイクロチャネル101に嵌合する凸部を有する押し型であるリブ(障壁)を用いることもできる。
【0046】
ここで、図6に示すリブは、マイクロチャネル101の溝より若干小さめのサイズとして形成されている。当該リブの使用方法としては、基本的には図2に示すノズルを用いたラインジェット法により充填を行い、乾燥工程の進行により溶媒がある程度揮発した後(図2(c))において、当該マイクロチャネル101に挿入する。このとき、微粒子200はまだマイクロチャネル101の内部の壁面101R、101L、101Bの壁面に沿って流動できるので、リブと当接することで配列が規制され(特に、底面101Bのx方向幅両端部での液だまりによる粒子塊の発生が規制され)、確実に単一層を形成することができる。リブ表面には、微粒子200が吸着しにくい表面処理(前記親水性処理或いは疎水性処理)を施すようにしておくことが望ましい。
【0047】
なお、このようなリブの押圧はリブ自体の自重等により行うこともできるが、例えばリブをマイクロチャネル101に嵌合した状態で、これを遠心分離器等を用いて押圧処理することもできる。さらに、このような遠心分離器を減圧チャンバ内で処理できるときは、チャンバ内を減圧することで、より効率的に溶媒を揮発させ、迅速に乾燥工程を行える効果も奏される。
【0048】
<実施の形態6>電気泳動力を利用した微粒子アセンブル法について
次に示す図7は、電気泳動を利用した微粒子のアセンブル法の例について示す図である。微粒子が帯電性粒子(例えば溶液中でイオン化するイオン交換樹脂粒子等)であれば、本実施の形態6による微粒子アセンブル法を適用することもできる。
【0049】
本実施の形態6の実施には、当図に示すように、マイクロチャネル101に充填したコロイド溶液(図2(a)の状態)に対し、電源Eと接続した電極線301、302から一方の電極端子30を浸積し、当該溶液に一定電圧Vを印加する。一方、基板10側は接地状態に置いておく。すると、微粒子が印加電圧により溶媒中を泳動し、マイクロチャネル101の壁面に吸着される。この状態で溶媒を揮発消失させれば(図2(a)〜(d))、微粒子が壁面から脱落することなく良好なアセンブル構造体16を得ることが可能である。
【0050】
また、本実施の形態6によれば、電圧を印加中であれば微粒子が壁面に吸着した状態が持続するので、この状態で余分な溶媒を予めピペット等で吸い出して除去し、早期乾燥を促すことも可能である。
<実施の形態7>異種微粒子を混合して用いる微粒子アセンブル法について
本発明の微粒子アセンブル法は、単一の微粒子を充填する方法に限定するものではなく、異なる複数の種類(大きさ、材質等の各特性の違いによる分類を含む)の微粒子を混合して用いてもよい。
【0051】
次に示す図8は、比較的大型の微粒子200と、比較的小型の微粒子202とを混合してマイクロチャネル101内部に配設した構成を示す。
このような構成も、基本的には実施の形態2と同様の手法により形成することが可能である。
<実施の形態8>異種微粒子を混ぜたアセンブル法(別のバリエーション)について
上記実施の形態7では、マイクロチャネル内に複数の微粒子を混合して充填する構成について示したが、充填形態はこれに限定するものではなく、所定の領域ごとに微粒子の種類を分ける構成としてもよい。
【0052】
ここで図9は、本実施の形態8における微粒子アセンブル法を説明するための図である。
当図9(d)では、例えばマイクロチャネル101において、側面101L、101R、底面101Bの順に、それぞれ粒子径が異なる(順次小さい粒径の)微粒子210、220、230を配列した構成を示す。本発明の微粒子アセンブル構造体としては、このような構成としてもよい。
【0053】
本実施の形態8のアセンブル構造体の具体的な作成手法としては、図9(a)〜(c)に示す通りである。主な特徴として、実施の形態5で前述したリブと類似する形状のリブ(障壁)を用いる。このリブは、マイクロチャネル101の幅よりも、微粒子の径に近い程度のサイズ分だけ薄い幅を有するように形成する。
まず、前記リブをマイクロチャネル101に挿入し、一方の側面(ここでは101R)と底面101Bに密着させるように配設する。この状態で、他方の側面(ここでは101L)とリブとの間に出来た間隙に、第一の種類の微粒子(ここでは微粒子210)を縣濁したコロイド溶液21を流し込む。これにより、微粒子210は側面101R、底面101Bにほとんど着かないで、側面101Lに積極的に充填される(図9(a)))。
【0054】
次に、図9(a)の工程で用いたものより、前記微粒子210の径の分だけさらに薄いリブを用い、これを図9(b)に示すように側面101Rとの間に間隙が出来るようにマイクロチャネル101に挿入する。そして、当該間隙に、第二の種類の微粒子(ここでは微粒子220)を縣濁したコロイド溶液22を流し込む。その後は溶媒221の揮発消失により、微粒子220は側面101L、底面101Bにほとんど着かないで、側面101Rに積極的に充填される(図9(R)))。
【0055】
残る第三の種類の微粒子(ここでは微粒子230)は、底面101Bに対し、例えばノズルを用いて少量ずつ充填することができる。これにより、溶媒23を揮発消失させ、微粒子230を底面101Bに定着させる。
以上のプロセスによって、図9(d)に示す微粒子アセンブル構造体16が形成される。
【0056】
<その他の事項>
上記実施の形態2〜8の各手法は、マイクロチャネル内に微粒子アセンブル構造体を形成するため、チャネル幅に合わせたノズルを用いる例を示したが、このような細幅チャネル以外の基体表面に微粒子アセンブル構造体を形成する場合には、前記ノズル或いは滴下による充填以外、例えばスプレーを用いた充填方法を採用しても良い。この場合であっても、コロイド溶液量と、これに含まれる微粒子量を予め設定しておき、当該設定量に基づいて基体に吹き付け、或いは充填する点は本発明において必須である。
【0057】
細幅チャネル以外の基体とは、立体的な表面形状を有する基体として、例えば細胞培養等に用いられるウェルプレートを挙げることができる。この場合、本発明のアセンブル構造体は、互いに独立した円筒形、矩形のウェルを自由に選択したのち、そのウェル内面に形成することができる。
その他、本発明の微粒子アセンブル構造体としては、凹部として溝、円形、矩形のパターンを基板内に掘り込んだ構造でもよい。さらに、互いに凹部を形成した2枚の基板を張り合わせた構造、或いは凹部を形成した基板と別の基板を張り合わせた構造に、溝あるいは円形、矩形への入口と出口を形成した構造としてもよい。ここで凹部が極めて小さく、且つ多数ある場合は、その総面積を計算するのが困難であるが、例えば水銀圧入法等の体積測定を利用することで、比較的容易に総面積を計算することができると考えられる。
【0058】
これらは、液体クロマトグラフやリアクタなどの分離用カラムや化学反応容器として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の微粒子アセンブル法は、マイクロリアクタ、マイクロセンサ、各種カラム分析に係る研究開発の分野、特に、バイオ、食品、医薬分野での研究開発におけるマイクロカラムシステムに利用できる。或いは、電気化学分野における触媒担持体、フォトニック結晶の作成、高解像度ディスプレイの画素製造工程等への様々な適用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態1におけるマイクロカラムの構成を示す模式図である。
【図2】ノズルを用いた微粒子アセンブル法の一例(実施の形態2)を示す図である。
【図3】疎水処理及び親水処理を利用する微粒子アセンブル法の一例(実施の形態3)を示す図である。
【図4】微粒子配設面の加工処理例(実施の形態4)を示す図である。
【図5】微粒子配設面の加工処理例(実施の形態4のその他の例)を示す図である。
【図6】リブを用いた微粒子アセンブル法の一例(実施の形態5)を示す図である。
【図7】電気泳動力を利用した微粒子アセンブル法の一例(実施の形態6)を示す図である。
【図8】異なる粒径の微粒子を混合して配設する微粒子アセンブル法の一例(実施の形態7)を示す図である。
【図9】異なる粒径の微粒子を領域毎に分けて配設する微粒子アセンブル法の一例(実施の形態8)を示す図である。
【図10】従来のマイクロテンプレート法を説明するための模式的な図である。
【符号の説明】
【0061】
1 マイクロカラム
10 基板
11 カバー
14 サブカラム部
15 メインカラム部
16 微粒子アセンブル構造体
20 コロイド溶液
100 基板表面
100R、100L チャネル側面
100B チャネル底面
200、202、210、220、230 微粒子
201、211、221、231 溶媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部を有する基体において、前記凹部内壁の塗布対象面に対して微粒子縣濁液を充填する充填工程と、前記充填工程で充填された縣濁液の溶媒を乾燥する乾燥工程とを経ることにより、前記塗布対象面に微粒子アセンブル構造体を形成する微粒子アセンブル法であって、
前記充填工程で用いる微粒子縣濁液として、前記前記塗布対象面に配列させたならば当該塗布対象面の略全面にわたり微粒子を密に配列したn層(nは1以上の整数とする。)からなる前記微粒子アセンブル構造体が形成される数量の微粒子を含む微粒子縣濁液を用いる
ことを特徴とする微粒子アセンブル法。
【請求項2】
前記基体は基板であり、前記凹部は、前記基板主面に形成されたチャネルであって、
前記充填工程では、最大直径が当該チャネルの深さ及び代表幅に比べて小さい微粒子を用い、
前記微粒子縣濁液をノズルを用いて充填する
ことを特徴とする請求項1に記載の微粒子アセンブル法。
【請求項3】
前記充填工程では、前記チャネルの内壁面に前記各微粒子の位置を物理的に拘束するための凹凸が形成された基体を用いる
ことを特徴とする請求項2に記載の微粒子アセンブル法。
【請求項4】
前記基体は、前記チャネルがその幅と長手方向長とが10以上の比率を有する溝であって、
前記充填工程では前記長手方向に沿って、前記微粒子縣濁液をラインジェット法で充填する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の微粒子アセンブル法。
【請求項5】
前記充填工程に先立ち、前記チャネルの内面を、前記微粒子が有する親水性或いは疎水性の特性と同様の特性を有するように表面処理する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の微粒子アセンブル法。
【請求項6】
前記微粒子が親水性粒子であるとき、
前記充填工程に先立ち、前記チャネルにおける塗布対象面を親水性処理するとともに、当該チャネルを囲繞する前記基板主面の領域を疎水性処理する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の微粒子アセンブル法。
【請求項7】
前記微粒子縣濁液には、複数の種類の微粒子が含まれ、
前記充填工程及び乾燥工程により、前記複数の微粒子を混合してなる微粒子アセンブル構造体を形成する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の微粒子アセンブル法。
【請求項8】
前記充填工程では、前記基体の所定の領域に前記微粒子縣濁液を段階的に充填する複数の充填サブステップを有し、
当該複数の充填サブステップの前後において、
当該充填に係る基体内壁の所定の領域以外をマスキングする
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の微粒子アセンブル法。
【請求項9】
前記充填サブステップにより、基体の所定領域毎に種類の異なる微粒子を配列する
ことを特徴とする請求項8に記載の微粒子アセンブル法。
【請求項10】
前記充填工程又はこれに加えて前記乾燥工程において、基体に充填した微粒子を外部より基体表面側に押圧する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の微粒子アセンブル法。
【請求項11】
前記微粒子の押圧は、外部より、前記凹部に嵌合する凸部を有する押し型を用いて行う
ことを特徴とする請求項10に記載の微粒子アセンブル法。
【請求項12】
前記微粒子の押圧は、前記充填した微粒子縣濁液と、基体側にそれぞれ電圧印加することにより、電場による誘電泳動力を利用して微粒子を押圧する
ことを特徴とする請求項10に記載の微粒子アセンブル法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の微粒子アセンブル法を用いて基体表面に形成された
ことを特徴とする微粒子アセンブル構造体。
【請求項14】
前記微粒子アセンブル構造体は、マイクロカラムのマイクロチャネル内部に形成されたカラム充填粒子からなる
ことを特徴とする請求項13に記載の微粒子アセンブル構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−291303(P2006−291303A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114795(P2005−114795)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】