説明

微粒子堆積装置、微粒子堆積方法、及びその装置により形成された微粒子堆積膜

【課題】ターゲット基板上の微粒子の粒径を均一化し、微粒子堆積膜の緻密度を向上させる。
【解決手段】ターゲット基板13への微粒子の着弾と、帯電電荷量調節部32によるターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量のキャンセルとを交互に繰り返す。これにより、ターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜が正の帯電電荷を保持していても、この正の帯電電荷がキャンセルされてから、ターゲット基板13への微粒子の着弾がなされることになり、ターゲット基板13上に微粒子が一様に着弾して、ターゲット基板13上の微粒子の密度が低下せず、微粒子の密度が向上し、微粒子堆積膜の形成が安定化する。また、静電爆発の発生確率が一定に維持されて、微粒子の粒径が均一化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の集合体からなる微粒子堆積膜もしくは構造物を作製するための微粒子堆積装置、微粒子堆積方法、及びその装置により形成された微粒子堆積膜に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の微粒子堆積膜は、ナノ粒子やナノファイバーといった微細構造物の集合体であり、例えば触媒の担持体や濾過膜として用いられ、また断熱材、低屈折率材、低誘電率材としての利用可能性もあって、その用途が幅広く、そのニーズが高まるにつれて、多種多様なものが開発され、普及しつつある。特に、樹脂材料を用いた微粒子堆積膜もしくは構造物は、無機材料を用いたものと比較すると、その製法が容易かつ簡単であって、製造コストが低く、また様々な官能基を付与することによる多機能化が比較的容易なため、各種デバイスに向けて開発が進められている。
【0003】
そのような樹脂を用いた微粒子堆積膜もしくは構造物は、樹脂のナノ粒子やナノファイバーを堆積させることにより作製され、このための幾つかの手法が提供されている。その中でも、エレクトロスピニング法(静電スプレー法)は、非真空中で実施され、簡易な装置構成で安価かつ大量に工業的な生産が可能であることから、各方面で注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、原料液を高圧で噴霧機構に送り込んで、噴霧機構から微粒子の液滴を吹き出し、エレクトロスピニング法に基づく静電爆発により液滴を更に微粒子化して、ナノオーダーの微粒子の生産性を高めるという技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、エレクトロスピニング法によりナノファイバーを形成し、このナノファイバーを回転コレクタに巻き取りながら、巻き取られたナノファイバーを除電して、回転コレクタに巻き取られたナノファイバーの配向性を高めている。詳しくは、図8に示すように、ノズル101と回転コレクタ102間に高電圧を印加し、シリンジ103からノズル101へと樹脂溶液を送り込んで、ノズル101から樹脂のファイバーを噴出し、静電爆発により該ファイバーをナノファイバー105に細化して、ナノファイバー105を回転コレクタ102に巻き取り、静電除去装置104により回転コレクタ102周面のナノファイバー105を除電して、配向を制御されたナノファイバーを作製している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−043944号公報
【特許文献2】特開2008−213187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、エレクトロスピニング法の適用例として、静電爆発により微粒子化されたナノオーダーの微粒子をターゲット基板に着弾堆積させ、ターゲット基板上に微粒子堆積膜を生成するという手法がある。
【0008】
しかしながら、そのような手法では、微粒子及び微粒子堆積膜が樹脂であって絶縁性を有するために、ターゲット基板に着弾した微粒子の帯電電荷が放電されずに保持され、これが原因となって、ターゲット基板周りの電界分布が変化して、微粒子堆積膜の緻密度が低下したり、微粒子の粒径分布がブロード化するという問題があった。このような問題は、ターゲット基板が絶縁体であったり、絶縁性の無機材料をエレクトロスピニング法により微粒子化して堆積させる場合にも生じ得る。
【0009】
また、一般に、エレクトロスピニング法では、微粒子の粒径のサイズ分布が問題になることが多く、微粒子を微細化するほど粒径の均一化が困難になる。
【0010】
ところが、そのような問題を効果的に解決する技術が未だに提案されていないのが現状である。例えば、特許文献1の技術では、微粒子を更に微細化することができても、微粒子の粒径を均一化したり、微粒子堆積膜の緻密度を制御することはできず、そのような問題点を解決することはできない。また、特許文献2の技術では、静電除電装置により回転コレクタ102周面のナノファイバー105を除電して、ナノファイバー105の配向を制御しているが、この除電をノズル101と回転コレクタ102間の高電圧の印加とは相関無く行っている。ナノファイバー105を回転コレクタ102の周面に巻き取る場合は、そのような除電を高電圧の印加と相関無く行うことに差し支えなくても、微粒子をターゲット基板に着弾させる場合は、そのような除電を高電圧の印加と相関無く行うと、微粒子の制御が困難になると考えられる。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、ターゲット基板上の微粒子の粒径を均一化し、微粒子堆積膜の緻密度を向上させることが可能な微粒子堆積装置、微粒子堆積方法、及びその装置により形成された微粒子堆積膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の微粒子堆積装置は、液滴をターゲット基板に向けて吐出する液滴吐出部と、電圧の印加によりターゲット基板と前記液滴吐出部間に電界を形成すると共に液滴吐出部から吐出される液滴に電荷を付与する電圧印加手段とを備え、ターゲット基板に向っている液滴を分裂させて、この分裂により形成された微粒子をターゲット基板に着弾堆積させるエレクトロスピニング法を用いた微粒子堆積装置であって、前記液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節する帯電電荷量調節手段と、前記電圧印加手段及び前記帯電電荷量調節手段を制御する制御手段とを備えている。
【0013】
例えば、前記帯電電荷量調節手段は、ターゲット基板に堆積した微粒子の帯電電荷量を調節している。
【0014】
あるいは、前記帯電電荷量調節手段は、ターゲット基板に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節している。
【0015】
また、前記液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測する帯電電荷量計測手段を備え、前記制御手段は、前記帯電電荷量計測手段の計測結果に基づいて前記帯電電荷量調節手段を制御している。
【0016】
例えば、前記帯電電荷量計測手段は、ターゲット基板に堆積した微粒子の帯電電荷量を計測している。
【0017】
あるいは、前記帯電電荷量計測手段は、ターゲット基板に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測している。
【0018】
また、前記制御手段は、前記電圧印加手段及び前記帯電電荷量調節手段の稼動タイミングを制御している。
【0019】
また、前記液滴は、樹脂のモノマーもしくはポリマーを含有する溶液もしくは融液、樹脂又は無機の粒子を分散させた分散液、樹脂又は無機の粒子を含有するゾルのうちのいずれか1つを主成分とする。
【0020】
また、ターゲット基板を支持する支持部を備え、前記電圧印加手段は、前記支持部と前記液滴吐出部間に電圧を印加して、ターゲット基板と前記液滴吐出部間に電界を形成している。
【0021】
例えば、ターゲット基板が絶縁体であり、前記支持部の少なくとも一部が前記電圧印加手段に接続される導電体である。
【0022】
次に、本発明の微粒子堆積方法は、ターゲット基板と、液滴をターゲット基板に向けて吐出する液滴吐出部と、電圧の印加によりターゲット基板と前記液滴吐出部間に電界を形成すると共に液滴吐出部から吐出される液滴に電荷を付与する電圧印加手段とを用いており、ターゲット基板に向っている液滴を分裂させて、この分裂により形成された微粒子をターゲット基板に着弾堆積させるエレクトロスピニング法を用いた微粒子堆積方法であって、前記液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節制御すると共に前記電圧印加手段による印加電圧を調節制御することにより、ターゲット基板上の微粒子の粒子密度および粒径を操作している。
【0023】
また、本発明の微粒子堆積膜は、上記本発明の微粒子堆積装置によって形成された微粒子堆積膜であって、樹脂又は無機からなる粒径および粒子密度を任意の値に制御しながら堆積させることにより形成されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の微粒子堆積装置では、ターゲット基板と液滴吐出部間に電界を形成すると共に液滴吐出部から吐出される液滴に電荷を付与する電圧印加手段と、液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節する帯電電荷量調節手段と、電圧印加手段及び帯電電荷量調節手段を制御する制御手段とを備えているので、印加電圧の制御と、液滴もしくは微粒子の帯電電荷量の調節とを相関させて行うことができる。これにより、ターゲット基板への微粒子の着弾及びターゲット基板上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷を適切に制御することが可能になり、延いてはターゲット基板周りの電界分布の変化を抑えて、微粒子堆積膜の緻密度を向上させたり、微粒子の粒径を均一化させることができる。
【0025】
例えば、帯電電荷量調節手段は、ターゲット基板に堆積した微粒子の帯電電荷量を調節する。この場合は、微粒子の帯電電荷量の調節が容易である。
【0026】
あるいは、帯電電荷量調節手段は、ターゲット基板に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節する。この場合は、ターゲット基板上で微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量を調節する必要がなくなり、微粒子堆積膜の形成速度を向上させることができる。
【0027】
また、液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測する帯電電荷量計測手段を備え、制御手段は、帯電電荷量計測手段の計測結果に基づいて帯電電荷量調節手段を制御している。これにより、液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を過不足なく調節することが可能になり、更には粒子密度および粒径を操作できる。
【0028】
例えば、帯電電荷量計測手段は、ターゲット基板に堆積した微粒子の帯電電荷量を計測する。あるいは、帯電電荷量計測手段は、ターゲット基板に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測する。これらの測定箇所の選択は、帯電電荷量調節手段による液滴もしくは微粒子の帯電量の調節箇所に応じて行うのが好ましい。
【0029】
例えば、制御手段は、電圧印加手段及び帯電電荷量調節手段の稼動タイミングを制御する。これにより、ターゲット基板上の微粒子の堆積とターゲット基板上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷の調節とを確実に行うことができる。
【0030】
例えば、液滴は、樹脂のモノマーもしくはポリマーを含有する溶液もしくは融液、樹脂又は無機の粒子を分散させた分散液、樹脂又は無機の粒子を含有するゾルのうちのいずれか1つを主成分とするものである。いずれの種類の液滴も、微粒子になった状態で絶縁性を有するならば、ターゲット基板上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷が保持されることから、本発明の適用が有効である。
【0031】
また、ターゲット基板を支持する支持部を設けてもよい。この場合は、支持部と液滴吐出部間に電圧を印加して、ターゲット基板と液滴吐出部間に電界を形成することができる。特に、ターゲット基板が絶縁体であれば、そのような電圧の印加が必要になる。
【0032】
一方、本発明の微粒子堆積方法においても、上記本発明の微粒子堆積装置と同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
また、本発明の微粒子堆積膜は、樹脂又は無機からなる粒径および粒子密度を任意の値に制御しながら堆積させることにより形成されたものであり、安定的な特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】エレクトロスピニング法を実施するための基本構成を示す図である。
【図2】図1におけるターゲット基板上の微粒子及び電気力線を示す図である。
【図3】図1におけるキャピラリから吐出された液滴の帯電電荷量の変化を示す図である。
【図4】図1におけるキャピラリ及びターゲット基板等を等価的に示す等価回路である。
【図5】本発明の微粒子堆積装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明の微粒子堆積装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図7】(a)は従来の装置によりターゲット基板上に堆積された微粒子を拡大して示す図であり、(b)は本発明の装置によりターゲット基板上に堆積された微粒子を拡大して示す図である。
【図8】エレクトロスピニング法を適用した従来の装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
まず、本発明の微粒子堆積装置及び微粒子堆積方法の前提となるエレクトロスピニング法(静電スプレー法)の基本原理について、図1を参照して説明する。
【0037】
図1において、電圧源11は、数kV〜数十kV程度のパルス状高電圧をキャピラリ(液滴吐出部)12とターゲット基板13間に印加して、キャピラリ12とターゲット基板13間に電界を形成し、キャピラリ12を正に帯電させ、ターゲット基板13を負に帯電させる。また、シリンジ14からキャピラリ12へと樹脂溶液15を圧送供給する。この樹脂溶液15は、ポリマー溶液である。
【0038】
キャピラリ12先端の樹脂溶液15は、キャピラリ12と同様に正に帯電し、キャピラリ12とターゲット基板13間の電界によりターゲット基板13側に引き寄せられて液滴16となって噴出する。
【0039】
この液滴16は、キャピラリ12からターゲット基板13へと電界中を飛翔する。この液滴自身が保持し得る電荷の量は、液滴の表面張力と表面電荷同士のCoulomb反発力から求められ、Rayleigh限界(q=8π(εγr3)1/2)で決定される。ここで、qは液滴の帯電電荷量、εは真空誘電率、rは液滴の粒径、γは液滴の粘度である。液滴がターゲット基板13に到達するまでに、液滴の溶媒が蒸発し、液滴の粒径rが小さくなり、液滴がやがてRayleigh限界に達して、液滴に静電爆発が生じ、液滴が分裂して粒子となる。
【0040】
図1のキャピラリ12とターゲット基板13間の領域17においては、そのような液滴もしくは粒子の溶媒蒸発と分裂が繰り返されて、溶液中の樹脂が析出して微粒子化し、この微粒子がターゲット基板13に着弾堆積して、ターゲット基板13上に微粒子堆積膜が形成される。以上がエレクトロスピニング法の基本原理である。
【0041】
ここで、微粒子が絶縁性を有する樹脂からなる場合、ターゲット基板13に着弾した微粒子の帯電電荷が放電されずに保持されるか、あるいは微粒子の帯電電荷が部分的に放電されるだけであって、微粒子の帯電電荷の殆どが保持されて残る。また、微粒子の絶縁性にかかわらず、ターゲット基板13が絶縁性を有する場合も、微粒子の帯電電荷が保持される。
【0042】
このようにターゲット基板13に着弾した微粒子の帯電電荷が残った状態では、この微粒子の帯電電荷によってターゲット基板13表面の帯電電荷が見かけ上キャンセルされる。図2に示すように電圧源11の電圧印加によりターゲット基板13表面が負に帯電していても、ターゲット基板13上の微粒子18に正電荷が残っていることから、この微粒子18の正電荷によりターゲット基板13表面の負電荷が見かけ上キャンセルされる。このターゲット基板13表面の負電荷がキャンセルされた箇所では、キャピラリ12から該箇所へと至る電気力線17が消失するので、この箇所には微粒子18が着弾しなくなる。加えて、ターゲット基板13上の微粒子18自体が正の電荷を保持していることから、この微粒子18近傍に新たに飛来した他の微粒子18がその傍で反発する。この結果、一度微粒子が着弾した箇所付近に別な粒子は着弾し難くなる。
【0043】
このため、ターゲット基板13上では、微粒子18が空間的に粗に着弾し、微粒子の密度が低くなり、微粒子堆積膜の形成が困難になる。
【0044】
また、ターゲット基板13上の微粒子の正電荷によりターゲット基板13表面の負電荷が見かけ上減少することから、キャピラリ12先端の樹脂溶液15表面の正電荷も減少し、液滴表面の正電荷が減少する。このため、静電爆発の発生確率が減少して、微粒子の粒径が大きくなり、微粒子の粒径分布がブロード化する。
【0045】
図3に示すようにキャピラリ12からの液滴吐出の開始初期では、液滴16aが多くの表面電荷を保持しているが、時間の経過に伴い、ターゲット基板13に多数の微粒子18が広い範囲で着弾すると、この広い範囲(静電遮蔽領域)19でターゲット基板13の負電荷が見かけ上キャンセルされるので、キャピラリ12先端の樹脂溶液15表面の正電荷が大幅に減少し、液滴16b表面の正電荷も大幅に減少する。この結果、静電爆発の発生確率が減少して、微粒子の粒径が大きくなり、微粒子の粒径分布がブロード化する。
【0046】
ここで、図4に示すような等価回路を考える。この等価回路では、キャピラリ12及びターゲット基板13をコンデンサの正電極21及び負電極22に置き換え、ターゲット基板13に着弾した多数の微粒子18の層を絶縁層23に置き換えている。この等価回路から明らかなように負電極22の負の帯電電荷量が変わらなくても、絶縁層23の正の帯電電荷量が増えると、正電極21側から見たときの見かけ上の負電極22の負の帯電電荷量が減り、正電極21の正の帯電電荷量が減少する。従って、図3のキャピラリ12先端の樹脂溶液15表面の正電荷が大幅に減少する。このため、液滴16b表面の正電荷も大幅に減少し、静電爆発の発生確率が減少して、微粒子の粒径が大きくなる。
【0047】
すなわち、キャピラリ12からの液滴吐出を開始した初期では、微粒子の粒径が小さくても、時間の経過に伴い、微粒子の粒径が大きくなり、微粒子の粒径分布がブロード化する。
【0048】
そこで、本発明の微粒子堆積装置及び微粒子堆積方法では、ターゲット基板上の微粒子表面の電荷を打ち消したり、微粒子表面に逆極性の電荷を与えて、キャピラリとターゲット基板間の電気力線の消失を防止したり、電気力線を増やしている。あるいは、キャピラリから吐出される液滴表面の電荷の減少を防止したり、液滴表面の電荷を増やしている。これにより、ターゲット基板13上の微粒子の密度の低下を防止したり、微粒子の密度を向上させて、微粒子堆積膜の形成を安定化させることができる。あるいは、静電爆発の発生確率を一定に維持して、微粒子の粒径を均一化させることができる。
【0049】
図5は、本発明の微粒子堆積装置の第1実施形態を示すブロック図である。尚、図5において、図1と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付している。また、ターゲット基板13を拡大して示している。
【0050】
本実施形態の微粒子堆積装置31では、数kV〜数十kV程度のパルス状高電圧をキャピラリ12とターゲット基板13間に印加する電圧源11と、ターゲット基板13近傍に配置された帯電電荷量調節部32と、電圧源11及び帯電電荷量調節部32を制御する制御部33とを備えている。
【0051】
帯電電荷量調節部32は、ターゲット基板13に着弾した微粒子18もしくは微粒子18が堆積してなる微粒子堆積膜の帯電電荷量を調節もしくはキャンセルするためのものであり、ターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜に対する大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオン照射処理などを行って、それらの帯電電荷量を調節もしくはキャンセルする。エレクトロスピニング法は、通常大気圧で行われるが、溶液の粘度や溶媒の沸点を適切に設定すれば低圧で行うこともできる。エレクトロスピニング法を低圧で行う場合には、帯電電荷量調節部32により低圧プラズマ処理を行って、微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量を調節もしくはキャンセルすることが可能となる。
【0052】
この帯電電荷量調節部32による帯電電荷量の調節範囲は、ターゲット基板13全体であるが、ターゲット基板13上で微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量に偏りが生じる場合には、その帯電電荷量が偏る一部を帯電電荷量の調節範囲として設定しても構わない。
【0053】
制御部33は、電圧源11から出力される高電圧のレベル、電圧源11による高電圧の印加タイミング、もしくは印加期間を制御すると同時に、帯電電荷量調節部32の出力レベル、帯電電荷量調節部32による帯電電荷量の調節タイミング、もしくは調節期間を制御することができる。例えば、制御部33は、電圧源11による高電圧の印加と、帯電電荷量調節部32による帯電電荷量の調節を交互に行う。すなわち、ターゲット基板13への微粒子の着弾と、ターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量のキャンセルとを交互に繰り返す。これにより、ターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜が正の帯電電荷を保持していても、この正の帯電電荷がキャンセルされてから、ターゲット基板13への微粒子の着弾が再開されることになる。ターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷がキャンセルされると、キャピラリ12とターゲット基板13間の電気力線が消失せず、キャピラリ11から吐出される液滴表面の電荷が減少せずに済む。そして、この状態でターゲット基板13への微粒子の着弾がなされると、ターゲット基板13上に微粒子が一様に着弾するので、ターゲット基板13上の微粒子の密度が向上し、微粒子堆積膜の形成が安定化する。また、静電爆発の発生確率が一定に維持されて、微粒子の粒径が均一化する。
【0054】
尚、電圧源11による高電圧の印加と、帯電電荷量調節部32による帯電電荷量の調節を完全に切り分ける必要はなく、同時に行われる時間が存在しても構わない。その場合、粒子形成と表面帯電処理が同時に行われるので、堆積膜形成速度が向上するメリットがある。
【0055】
また、帯電電荷量調節部32によりターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の正の帯電電荷をキャンセルするだけではなく、帯電電荷量調節部32により微粒子もしくは微粒子堆積膜に負の帯電電荷を付与しても構わない。この場合は、ターゲット基板13に正に帯電した微粒子が着弾すると同時に、この正に帯電した微粒子がターゲット基板13上の負に帯電した微粒子に引き付けられて密接し、微粒子堆積膜の膜質および密度が高められる。
【0056】
図6は、本発明の微粒子堆積装置の第2実施形態を示すブロック図である。尚、図6において、図1及び図5と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付している。また、ターゲット基板13を拡大して示している。
【0057】
本実施形態の微粒子堆積装置41は、図5の装置に帯電電荷量計側部42を付設したものである。この帯電電荷量計側部42は、ターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量を計測して、この計測結果を制御部33に出力する。この帯電電荷量計側部42としては、ファラデーケージなどが挙げられる。
【0058】
制御部33は、帯電電荷量計側部42の計測結果、すなわちターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量を監視し、この帯電電荷量を適確にキャンセルすることができるように帯電電荷量調節部32の出力レベル、帯電電荷量調節部32による帯電電荷量の調節タイミング、もしくは調節期間を制御する。これにより、微粒子の帯電電荷量を過不足なく調節することが可能になる。
【0059】
帯電電荷量計測部42は、ターゲット基板13上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量を計測する代わりに、ターゲット基板13に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量、つまり飛翔中の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測しても構わない。この場合は、飛翔中の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を様々に変化させ、その度に、ターゲット基板13上の微粒子の密度が向上し、微粒子堆積膜の形成が安定化し、かつ微粒子の粒径が均一化するような、つまり微粒子もしくは微粒子堆積膜が最適化するような帯電電荷量調節部32の出力レベル、帯電電荷量調節部32による帯電電荷の調節タイミング、もしくは調節期間を予め求めておく。そして、帯電電荷量計測部42により飛翔中の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測し、この計測結果に応じて帯電電荷量調節部32による微粒子もしくは微粒子堆積膜の最適化制御を行う。
【0060】
また、帯電電荷量調節部32は、ターゲット基板13上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量を調節する代わりに、ターゲット基板13に着弾する前の飛翔中の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節しても構わない。この場合は、ターゲット基板13上の微粒子の密度が向上し、微粒子堆積膜の形成が安定化し、かつ微粒子の粒径が均一化するような飛翔中の液滴もしくは微粒子の最適な帯電電荷量を予め求めておき、帯電電荷量計測部42により飛翔中の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測しつつ、帯電電荷量調節部32により飛翔中の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を最適化する。これにより、ターゲット基板13に着弾した後で微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量をキャンセルする場合と比較すると、帯電電荷量のキャンセルのためにだけ割り当てられる時間を削減して、微粒子堆積膜の形成速度を向上させることができる。また、液滴の状態で帯電電荷量の制御を行えば、液滴の静電爆発のタイミングを制御することができ、微粒子の粒径及び粒子密度の制御を行うことが可能になる。
【0061】
尚、帯電電荷量調節部32によりターゲット基板13上の微粒子18もしくは微粒子堆積膜の正の帯電電荷をキャンセルするだけではなく、帯電電荷量調節部32により微粒子18もしくは微粒子堆積膜に負の帯電電荷を付与しても構わない。
【0062】
また、上記各実施形態では、ポリマー溶液を例示しているが、ポリマー融液、モノマー溶液あるいは融液や、樹脂又は無機の粒子を含有するゾル(コロイド溶液)でもよい。モノマー溶液の場合は、微粒子堆積膜を形成した後で、微粒子同士を重合させて、それらの界面を接続することができるので、より緻密な微粒子堆積膜を形成することができる。ゾルの場合も、微粒子の形成が可能であり、また微粒子の着弾前あるいは微粒子の着弾堆積後での化学的反応によるゲル化で、ゲル微粒子の堆積膜を作製することができる。
【0063】
更に、溶液や融液に限らず、樹脂材料あるいは無機材料からなる微粒子を作製して、その分散液を用いても良い。前もって微粒子を作製する手法としては、ミリングやレーザー破砕などの粉砕による手法と、化学的に合成する手法とが知られている。特に、化学的に合成する手法は、近年研究が盛んであり、例えば特開2004−292682号公報には、共沈法を用いてφ30nm程度のポリイミド微粒子の分散液を作製する手法が紹介されている。こうした微粒子を溶液中に分散させて用いることで、エレクトロスピニング法のみでは微粒子の微細化が困難であっても、微粒子膜を作製することができる。
【0064】
また、絶縁性を有する無機の粒子を含有するゾルもしくは分散液を用いる場合も、ターゲット基板13上の微粒子の帯電電荷が保持されるので、本発明の適用が有効である。
【0065】
更に、先にも述べたように微粒子の絶縁性にかかわらず、ターゲット基板13が絶縁性を有する場合も、ターゲット基板13上の微粒子の帯電電荷が保持されるので、本発明の適用が有効である。この場合は、図5及び図6において、ターゲット基板13を基板支持体43に搭載して支持し、キャピラリ12と基板支持体43間にパルス状の高電圧を印加して、キャピラリ12と基板支持体43間に電界を形成し、この電界中にターゲット基板13を配置して、電気力線がターゲット基板13を通るようにする。このために、基板支持体43の少なくとも一部を導電性材料で形成する。ターゲット基板13から外れる電気力線が多くなると、ターゲット基板13から逸れて飛散する微粒子が多くなるので、電気力線がターゲット基板13から外れないようにするべく、導電性材料からなる基板支持体43の部分を特定する必要がある。このような構成においても、絶縁性のターゲット基板13上に着弾堆積した微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷が保持されるので、本発明が適用されて、微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量が調節されれば、ターゲット基板13上の微粒子の密度が向上して、微粒子堆積膜の形成が安定化する。また、静電爆発の発生確率が一定に維持されて、微粒子の粒径が均一化する。
【0066】
次に、本発明の発明者等は、本発明を実施し、その実施例について実験を行ったので、この実験結果を説明する。
【0067】
この実施例では、樹脂溶液の吐出用に、カトーテック社製エレクトロスピニング装置NSU−1を適用している。また、ターゲット基板として、□50×t2mmの銅板をアルミ箔で被覆したものを適用している。
【0068】
シリンジ先端のキャピラリを電圧源の正の出力端子に接続し、ターゲット基板を電圧源のアース端子に接続して、キャピラリとターゲット基板間にパルス状の高電圧を印加して、キャピラリとターゲット基板間に電界を形成し、キャピラリからターゲット基板へと正に帯電した液滴を飛翔させ、微粒子をターゲット基板に着弾させた。
【0069】
ここで、シリンジ容量は1ml(内径2.2mm)、液滴吐出速度は0.75ul/min(シリンジの押出速度としては0.05mm/min)、キャピラリ先端の内径は0.5mmである。また、透明ポリイミド樹脂材料は、三菱ガス化学社製ネオプリム(ポリマー)であり、その溶液の溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAC)を用い、その溶液の濃度を7wt%に設定している。また、印加電圧を25kVに設定している。
【0070】
まず、従来の装置と同様に、ターゲット基板上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷をキャンセルしない状態で、5分間連続して、ターゲット基板上に微粒子を堆積させ、このターゲット基板上の微粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。この結果を図7(a)に示す。図7(a)から明らかなように微粒子が形成されてはいるものの、微粒子の粒径が非常にばらついており、粒子同士が密着せず緻密な膜が形成されなかった。微粒子の堆積が長時間継続されても、この傾向が変わらず、緻密な膜が形成されなかった。これは、先に述べたようにターゲット基板上の微粒子の帯電電荷が保持されて周囲の電気力線に影響を及ぼすためである。
【0071】
そこで、ターゲット基板上の微粒子もしくは微粒子堆積膜の帯電電荷量をキャンセルするために、キーエンス社製の除電器SJ−M200(帯電電荷量調節部)を付設した。この除電器SJ−M200は、イオンを放出するマイクロヘッドを有し、このマイクロヘッドからターゲット基板へとイオン照射を行うことができる。
【0072】
そして、1分間の微粒子の堆積と、1〜2分間の微粒子の帯電電荷のキャンセルとを1サイクルとして、このサイクルを5回繰り返した。除電器からのイオン照射のときに、簡易的にターゲット基板上の微粒子の帯電電荷量を計測して、微粒子が正に帯電していることや、その帯電電荷量が減少してほとんど無くなることを確認できた。また、ターゲット基板上の微粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。この結果を図7(b)に示す。図7(b)から明らかなように微粒子の粒径のばらつきが減って、粒径が均一になり、かつ微粒子同士が密に堆積して、緻密な微粒子堆積膜が形成されていることが分かる。これは、ターゲット基板上の微粒子の帯電電荷による周囲の電気力線への影響が軽減されたためである。
【0073】
このような本発明の微粒子堆積膜は、例えば太陽電池のカバーガラス上に堆積形成して、保護膜や反射防止膜として用いるという適用例が考えられる。この場合、微粒子が絶縁性を有していることが想定される。また、微粒子が絶縁性を有していなくても、カバーガラスが絶縁性を有する。このため、カバーガラスに着弾した微粒子の帯電電荷がキャンセルされなければ、微粒子の粒径がばらついて、微粒子同士が密着せず緻密な膜が形成されず、外観上の問題となる。本発明を適用すれば、微粒子の粒径のばらつきが減って、粒径が均一になり、かつ微粒子同士が密に堆積して、緻密な膜が形成されるので、好ましい外観が得られる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、基板や塗布材料の導電性に関わらず、任意の粒径に均一に揃えられた微粒子からなる微粒子堆積膜の形成を可能にする。このため、例えば樹脂光学部材上に、樹脂材料や無機材料からなる微粒子を密度制御しながら堆積させることで、屈折率、散乱、吸収、反射などを調節した光学機能膜を形成することができる。また、非真空で、そのような微粒子堆積膜を形成することができるため、そのような光学部材もしくは工学部材を備えたモジュールを安価に提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
11 電圧源
12 キャピラリ(液滴吐出部)
13 ターゲット基板
14 シリンジ
15 樹脂溶液
16 液滴
18 微粒子
21 正電極
22 負電極
23 絶縁層
31、41 微粒子堆積装置
32 帯電電荷量調節部
33 制御部
42 帯電電荷量計側部
43 基板支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴をターゲット基板に向けて吐出する液滴吐出部と、電圧の印加によりターゲット基板と前記液滴吐出部間に電界を形成すると共に液滴吐出部から吐出される液滴に電荷を付与する電圧印加手段とを備え、ターゲット基板に向っている液滴を分裂させて、この分裂により形成された微粒子をターゲット基板に着弾堆積させるエレクトロスピニング法を用いた微粒子堆積装置であって、
前記液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節する帯電電荷量調節手段と、
前記電圧印加手段及び前記帯電電荷量調節手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微粒子堆積装置であって、
前記帯電電荷量調節手段は、ターゲット基板に堆積した微粒子の帯電電荷量を調節することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項3】
請求項1に記載の微粒子堆積装置であって、
前記帯電電荷量調節手段は、ターゲット基板に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の微粒子堆積装置であって、
前記液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測する帯電電荷量計測手段を備え、
前記制御手段は、前記帯電電荷量計測手段の計測結果に基づいて前記帯電電荷量調節手段を制御することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項5】
請求項4に記載の微粒子堆積装置であって、
前記帯電電荷量計測手段は、ターゲット基板に堆積した微粒子の帯電電荷量を計測することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項6】
請求項4に記載の微粒子堆積装置であって、
前記帯電電荷量計測手段は、ターゲット基板に着弾する前の液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を計測することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか1つに記載の微粒子堆積装置であって、
前記制御手段は、前記電圧印加手段及び前記帯電電荷量調節手段の稼動タイミングを制御することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載の微粒子堆積装置であって、
前記液滴は、樹脂のモノマーもしくはポリマーを含有する溶液もしくは融液、樹脂又は無機の粒子を分散させた分散液、樹脂又は無機の粒子を含有するゾルのうちのいずれか1つを主成分とすることを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載の微粒子堆積装置であって、
ターゲット基板を支持する支持部を備え、
前記電圧印加手段は、前記支持部と前記液滴吐出部間に電圧を印加して、ターゲット基板と前記液滴吐出部間に電界を形成することを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項10】
請求項9に記載の微粒子堆積装置であって、
ターゲット基板が絶縁体であり、前記支持部の少なくとも一部が前記電圧印加手段に接続される導電体であることを特徴とする微粒子堆積装置。
【請求項11】
ターゲット基板と、液滴をターゲット基板に向けて吐出する液滴吐出部と、電圧の印加によりターゲット基板と前記液滴吐出部間に電界を形成すると共に液滴吐出部から吐出される液滴に電荷を付与する電圧印加手段とを用いており、ターゲット基板に向っている液滴を分裂させて、この分裂により形成された微粒子をターゲット基板に着弾堆積させるエレクトロスピニング法を用いた微粒子堆積方法であって、
前記液滴もしくは微粒子の帯電電荷量を調節制御すると共に前記電圧印加手段による印加電圧を調節制御することにより、ターゲット基板上の微粒子の粒子密度および粒径を操作することを特徴とする微粒子堆積方法。
【請求項12】
請求項1乃至10のうちのいずれか1つに記載の微粒子堆積装置によって形成された微粒子堆積膜であって、
樹脂又は無機からなる粒径および粒子密度を任意の値に制御しながら堆積させることにより形成された微粒子堆積膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−248651(P2010−248651A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98057(P2009−98057)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】