説明

微粒子製造装置

【課題】微粒子の生成状態をモニタ可能な構成を備えた微粒子製造装置を提供することを目的としてなされたものである。
【解決手段】該課題を解決するために、本発明は、
(1)粒子製造原料を流通させる微小な流通空間に原料を流通させて微粒子を製造する装置であって、微粒子生成状態をモニタするモニタ手段を備えている微粒子製造装置。
(2)微粒子の光学的特性に基づいてモニタを行う(1)に記載の微粒子製造装置。
(3)微粒子が蛍光体材料であって、モニタは、蛍光検出によって行う(2)に記載の微粒子製造装置。
(4)光を受光素子側に反射させるような反射膜を前記装置は備える(2)又は(3)に記載の微粒子製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子を製造する微粒子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ナノサイズの大きさのナノ粒子を、半導体領域、医療領域、バイオ領域へ適用することが脚光を浴びている。たとえば、半導体領域では、テレビ、プラズマテレビなどに利用される蛍光体への利用、医療領域では、生体吸収性の材料からなるナノ粒子を細胞の微小な足場として利用、バイオ領域では、金ナノ粒子の光学的特性を利用してメタボライトを検出することへの利用などがある。
【0003】
このようなナノ粒子の合成を微小な空間内で、ひいては一つのチップ上にて実現しようとするマイクロリアクタがある。マイクロリアクタは、微小空間内で合成を行うことから、温度制御が正確に行えること、並列処理により大量合成が可能(従来一般のスケールアップ時の合成手法の適切化が容易となる)であることなどの特徴があるとされる。ここで、ナノ粒子といっても金属や、酸化金属等の無機系材料からなるもの、ポリマー材料からなる有機系材料からなるものがあり、その上、その形状も、球状、ロッド状、多孔状、多層構造のものなどの様々なものがある。
【0004】
このように幅広い形態に適合するナノ粒子を適切に合成するには、反応条件の制御が幅広い条件に対応した装置が実現されることが重要である。
【特許文献1】特開2004−243308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更に、ナノ粒子は、材料によって反応空間壁面への凝集・吸着性が異なる。たとえば、金ナノ粒子をステンレス製の反応器内で合成した場合、容器壁面に吸着して回収がうまく行えないか、回収できても回収率が低くなってしまう。また、ナノ粒子合成のおりに塩の析出も大きな問題である。塩が反応空間に残存すると、回収したナノ粒子にこれが混入してしまうことにもなってしまう。更に、粒子の生成状態をモニタし、温度のフィードバック制御や、反応の終了の判断などに反映させる必要もある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされた発明であって、微粒子の生成状態をモニタ可能な構成を備えた微粒子製造装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、
(1)粒子製造原料を流通させる微小な流通空間に原料を流通させて微粒子を製造する装置であって、微粒子生成状態をモニタするモニタ手段を備えている微粒子製造装置。
(2)微粒子の光学的特性に基づいてモニタを行う(1)に記載の微粒子製造装置。
(3)微粒子が蛍光体材料であって、モニタは、蛍光検出によって行う(2)に記載の微粒子製造装置。
(4)光を受光素子側に反射させるような反射膜を前記装置は備える(2)又は(3)に記載の微粒子製造装置。
である。
【発明の効果】
【0008】
上記構造を備えることにより、合成する微粒子の合成状態をモニタすることができ、その結果を、合成を停止するタイミングの制御、合成条件の制御(温度、反応液の供給量など)などにフィードバック制御として利用することができる。この結果、目的の性能を有する微粒子が効率良く生産可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態を説明するが、本発明は、下記に限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
(装置構造)
本微粒子製造装置は、複数の原料投入ポートと、投入された原料を一空間内で合流させて反応を行う反応空間と、該反応空間から反応液・反応生成物を取り出す取り出しポートとを備えている。さらに、反応場の温度を制御する加熱部・冷却部なども備える。本装置構造の特徴的な構成として、合成粒子の蛍光を測定する蛍光測定手段を備えている。この蛍光測定手段は、反応液の一部を分取して一時的に蓄える貯留部と、その液を適宜希釈する希釈液注入手段と、レーザ光を照射するレーザ光照射手段と、発した蛍光を受光する受光手段とからなっている。更に、粒子が発した蛍光を効率的に測定できるよう、貯留部の壁面は、レーザ光および蛍光を透過する透過窓が別々の箇所に形成され、発した光を効果的に集められるように、貯留部の壁面には光反射膜(酸化チタン;TIO)が形成されて
いる。
【0011】
(CdSeの合成)
トリオクチルフォスフィンオキサイドおよびステアリン酸、および酢酸カドミウムを混合、溶解させた溶液とトリオクチルフォスフィンにセレンを溶解させた溶液を混合して原料溶液を作製し、これを反応装置に流通させ、粒子の合成を行った。反応状態を貯留部にて粒子をクロロホルムで希釈して紫外線レーザを照射して発した蛍光を測定し、粒子の形成度合いをモニタした。モニタにおいては、あらかじめ粒子径と蛍光波長との関係を調べた結果に基づいて実施する。たとえば、一例では、吸光スペクトルの測定により、得られた生成物の吸収ピーク位置は500〜600nmであり、それぞれの試料の粒径は2.4〜4.2nmと推算することができる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明にかかる微粒子製造装置は、半導体領域、医療領域、バイオ領域などに適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子製造原料を流通させる微小な流通空間に原料を流通させて微粒子を製造する装置であって、微粒子生成状態をモニタするモニタ手段を備えている微粒子製造装置。
【請求項2】
微粒子の光学的特性に基づいてモニタを行う請求項1に記載の微粒子製造装置。
【請求項3】
微粒子が蛍光体材料であって、モニタは、蛍光検出によって行う請求項2に記載の微粒子製造装置。
【請求項4】
光が、受光素子側に反射させるような反射膜を前記装置は備える請求項2又は3に記載の微粒子製造装置。

【公開番号】特開2006−181444(P2006−181444A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376516(P2004−376516)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(390024442)株式会社ワイエムシィ (22)
【Fターム(参考)】