説明

微細気泡発生方法、微細気泡発生装置、還元水

【課題】 本発明は、電気分解により発生した酸素ガスおよび水素ガスを混合使用し、微細気泡を発生させガスの溶解を促進させるとともに、発生ガスの微細気泡をそのまま利用することで、微細気泡の持つ浮上促進や気液洗浄効果を引き出そうとするものである。
【解決手段】 電解質を含む電解槽1で水を電気分解して水素ガス2と酸素ガス3とを発生させ、該発生した水素ガス2と酸素ガス3とを吸引して水と混合しながら加圧ポンプ4で加圧溶解タンク5に送液し、該加圧溶解タンク5内で加圧して水に対する水素ガス2と酸素ガス3との溶解度を高めた後、該水素ガス2と酸素ガス3とが溶解した圧力水5aを絞り機構6を通して急減圧した後、加圧溶解タンク5内の圧力よりも低圧の受水槽7に圧力を開放することで、該受水槽7内の水に水素ガス2と酸素ガス3とが混合した微細気泡10を発生させる構成としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスおよび酸素ガスを含有した微細気泡発生方法、微細気泡発生装置およびそれにより製造される還元水に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素ガスおよび酸素ガスの微細気泡発生に関する技術ならびに還元水製造に関する技術は従来、水素ガスあるいは酸素ガスの高圧ボンベから吹き込む方法や電解液の電気分解で水素ガスと酸素ガスを分離し個別に利用されている。
【0003】
また、水素ガスを吹き込むことや電解液の電気分解で陰極側に生成される電気分解水を利用した還元水が利用されている。
【0004】
たとえば、特開2007−111605号公報(特許文献1)には、バナジウム含有原料水で高圧水素ガスを使用し加圧溶解するもの、特開2004−230370号公報(特許文献2)には、高圧水素ガスを加圧溶解し常圧に戻した還元水を得るもの、特開2005−296784号公報(特許文献3)には、加圧水素に原水を接触させ、高濃度の水素還元水を得た後、高気密の容器に充填殺菌するもの、特開2007−283280号公報(特許文献4)には、加圧した窒素と水素の混合ガスを水に吹き込み、多孔材から微細気泡を発生するもの、特開2000−161278号公報(特許文献5)には、中間の槽を余剰気体の分離槽としたもの、特開2007−216149号公報(特許文献6)には、キャビテーションを利用した微細気泡発生ノズルとしたもの、特許第4019154号公報(特許文献7)には、渦崩壊による微細気泡発生ノズルとしたものがそれぞれ記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−111605号公報
【特許文献2】特開2004−230370号公報
【特許文献3】特開2005−296784号公報
【特許文献4】特開2007−283280号公報
【特許文献5】特開2000−161278号公報
【特許文献6】特開2007−216149号公報
【特許文献7】特許第4019154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の、水素還元水の製法においては水素の高圧ガスボンベを別途必要とするものや、電気分解による場合には得られるガスのうち水素ガスのみを使用する方法であるために分離が必要である。
【0007】
また、液中に高濃度の水素を溶解させることを主眼にしているため、気泡を積極的に発生させ利用するものではない。
【0008】
特許文献1では高圧ガスボンベを必要とし、加圧下での水素溶解をしたのち電気分解し水素水を作るもので微細気泡を目的としていない。
【0009】
特許文献2では原水を加圧下で平衡になるまで水素を飽和させた後、常圧に戻し水素過飽和の還元水を得るもので微細気泡を目的にしていない。
【0010】
特許文献3では加圧した水素ガスに原水を接触させ高濃度の水素還元水を得た後、高気密の容器に充填殺菌したもので微細気泡を目的としていない。
【0011】
特許文献4では水素ガスと窒素ガスの混合ガスを原水の流れ中に吹き込み多孔質材から噴出させることで加水素水を製造するもので微細気泡を目的としていない。
【0012】
特許文献5では液体を送液するポンプの吸引口で気体を吸込んだのち吐出側に設けた余剰気体の分離槽で余剰気体を分離した後、処理槽に送り込むことで高濃度の気体溶解液を得るもので微細気泡を目的としたものではない。
【0013】
特許文献6、7では微細気泡を発生させるためのノズルの提案であり、気体の発生方法等を目的としたものではない。
【0014】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、電気分解により発生した酸素ガスおよび水素ガスを混合使用し、微細気泡を発生させガスの溶解を促進させるとともに、発生ガスの微細気泡をそのまま利用することで、微細気泡の持つ浮上促進や気液洗浄効果を引き出そうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するための本発明に係る微細気泡発生方法の第1の構成は、電解質を含む電解槽で水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを発生させ、該発生した水素ガスと酸素ガスとを吸引して水と混合しながら加圧ポンプで加圧溶解タンクに送液し、該加圧溶解タンク内で加圧して水に対する前記水素ガスと前記酸素ガスとの溶解度を高めた後、前記水素ガスと前記酸素ガスとが溶解した圧力水を絞り機構を通して急減圧した後、前記加圧溶解タンク内の圧力よりも低圧の容器に圧力を開放することで、前記容器内の水に前記水素ガスと前記酸素ガスとが混合した微細気泡を発生させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る微細気泡発生方法の第2の構成は、前記第1の構成において、前記電解質を含む電解槽において、陽極と陰極との間に隔膜を使用しないことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る微細気泡発生装置の第1の構成は、水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを発生させる電解質を含む電解槽と、前記電解槽から発生した前記水素ガスと前記酸素ガスとを吸引して水と混合しながら送液する加圧ポンプと、前記加圧ポンプからの送液を受水すると共に、加圧して水に対する前記水素ガスと前記酸素ガスとの溶解度を高める加圧溶解タンクと、前記加圧溶解タンク内で前記水素ガスと前記酸素ガスとが溶解した圧力水を急減圧する絞り機構と、前記絞り機構からの送液を受水すると共に、圧力を開放して水に前記水素ガスと前記酸素ガスとが混合した微細気泡を発生させるための前記加圧溶解タンク内の圧力よりも低圧の容器とを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る微細気泡発生装置の第2の構成は、前記第1の構成において、前記電解質を含む電解槽において、陽極と陰極との間に隔膜を使用しないことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る還元水は、前記第1、第2の構成の微細気泡発生方法、或いは前記第1、第2の構成の微細気泡発生装置により前記容器内に製造される還元水であって、酸化還元電位が−100mV以下の前記酸素ガスと前記水素ガスとを含有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電解質溶液を電気分解し、水素ガスおよび酸素ガスを発生させ、混合ガスとして加圧ポンプの吸水側で吸引し、加圧溶解タンクに送液し、該加圧溶解タンク内で加圧溶解したものを急減圧する絞り機構を通して低圧容器側に送り出すことで水素ガスならびに酸素ガスの微細気泡を発生させることが出来る。
【0021】
このような微細気泡の発生により、水素ガスならびに酸素ガスの溶解を伴った還元水の製造が可能となる。
【0022】
また、水素ガスのみの取り出しをするときには電気分解のときに電解槽の陽極と陰極との間に隔膜を必要とするが、水素ガスと酸素ガスの混合ガスとして利用するため前記隔膜を不要とすることができる。
【0023】
また、高圧ガスボンベのような圧力容器が不要となり、電気分解により発生する水素ガスおよび酸素ガスを分離することなくそのまま使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図により本発明に係る微細気泡発生方法及び微細気泡発生装置並びにそれら方法或いは装置により製造された還元水の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る微細気泡発生装置の第1実施形態の構成を示す模式図、図2は本発明に係る微細気泡発生装置の第2実施形態の構成を示す模式図である。
【0025】
先ず、図1を用いて本発明に係る微細気泡発生方法及び微細気泡発生装置並びにそれら方法或いは装置により製造された還元水の第1実施形態について説明する。
【0026】
図1において、1は水を電気分解して水素ガス(H)と酸素ガス(O)とを発生させる電解質を含む電解槽であり、本実施形態では、例えば、DC12V程度の直流電圧が印加される陰極1a側に水素ガス2が発生し、陽極1b側に酸素ガス3が発生する。1cは電解槽1の陰極1aと陽極1bとの間に設けられた隔膜である。電解槽1には給水口1dを介して外部から水、好ましくは蒸留水や脱イオン水が適宜補給される。
【0027】
一方、加圧ポンプ4、加圧溶解タンク5、絞り機構6、容器となる受水槽7が順次直列に配管されて循環水路8を構成しており、電解槽1から発生した水素ガス2と酸素ガス3とは、それぞれ加圧ポンプ4の上流側に接続された吸引管9a,9bを介して加圧ポンプ4により循環水路8内を流通する水の流速により負圧が発生して吸引され、該循環水路8内を流通する水と混合しながら加圧溶解タンク5内に送液される。なお、吸引管9a,9bは個別に循環水路8内に吸引されることに限定するものではなく、吸引管9a,9bを合流させて一つにして循環水路8内に吸引することも可能である。
【0028】
加圧溶解タンク5は、加圧ポンプ4からの送液を受水すると共に、受水した水素ガス2と酸素ガス3とを加圧して水に対する該水素ガス2と酸素ガス3との溶解度を高めるものである。本実施形態では、例えば0.4MPa程度に加圧し、水に水素ガス2と酸素ガス3とを大気圧のときよりも加圧圧力に応じた溶解度に高めた状態に溶け込ませる。
【0029】
加圧溶解タンク5により水に対する水素ガス2と酸素ガス3との溶解度を高められた圧力水5aは、絞り機構6に送液され、該絞り機構6により加圧溶解タンク5内で水素ガス2と酸素ガス3とが溶解した圧力水5aを急減圧する。
【0030】
絞り機構6の一例としては、特許文献6(特開2007−216149号公報)の図2及び図3に記載されたように、管状のノズル本体と、該ノズル本体の一端に隙間をもって取り付けられた円板状の気泡微細化促進拡散部材と、ノズル本体の内部に設けられたオリフィスとを有して構成することが出来る。
【0031】
また、絞り機構6の他の例としては、特許文献7(特許第4019154号公報)の図1及び図2に記載されたように、円柱状の本体の前方を半球状に成形し、該本体の外周面の長手方向に複数の翼をそれらの後方が湾曲するように設け、背面に噴射孔を設けた翼体を有するタービン翼型ノズルを円筒状のパイプ内に収容し、該パイプの先端部にテーパー状に成形した縮流部に管状の渦崩壊部を連接した構成とすることも出来る。
【0032】
絞り機構6の下流側には加圧溶解タンク5内の圧力よりも低圧の容器となる受水槽7が接続されており、該受水槽7は絞り機構6からの送液を受水すると共に、加圧溶解タンク5内で加圧された圧力が絞り機構6で急減圧され、これを更に大気圧に開放して水中に水素ガス2と酸素ガス3とが混合した微細気泡10を発生させるための容器である。なお、図1、図2においては受水槽7を大気圧としたが、加圧容器よりも低圧であれば大気圧に限定するものではない。
【0033】
上記の如く構成された微細気泡発生装置Aにより容器となる受水槽7内に製造される微細気泡10を含有した還元水11は、酸化還元電位(Oxidation-reduction Potential;ORP)が−100mV以下の酸素ガス3と水素ガス2とを含有した還元水11を得ることが出来る。
【0034】
ここで、一般的に「酸化」とは物質が酸素と結合することをいい、「還元」とは酸化物が酸素を失うことをいう。そして、それらの活性(活量)をあらわす尺度を「酸化還元電位」といい、±mV(ミリボルト)という単位を使って表される。「酸化還元電位」において、プラスの値(+mV)が大きいほど酸化力が大きく、マイナスの値(−mV)が大きいほど還元力が大きく且つ活性水素量(マイナイスイオン)が豊富である。
【0035】
例えば、水道水は原水そのものが酸化状態にある上に(様々な化学物質の作用により地球全体が酸化状態にある)、さらに薬品処理しなければ当然飲料水とすることができないため、かなり他の物質を酸化させやすい状態にあるとされる。このような水道水を飲み続けることは、人体内の血液、臓器に負担をかけていることになる。
【0036】
また、食べ物についても同様に、栄養を吸収する腸も還元状態にあり、腸内がそのような状態に保たれていることによって、有用な腸内微生物が活発に働き、人体は健康に保たれる。つまり、還元力の強いものを体内に取り込むようにしていれば良いが、酸化された食品を口にしていると、やはり臓器に負担をかけることになる。なお、酸化還元電位の低い(マイナスの値(−mV)が大きい)水や食品は、体を酸化させる活性酸素・フリーラジカル(遊離活性基;不安定で反応性の高い原子や分子;老化にも影響を与える)を分解、消去する力もあるといわれている。
【0037】
このような還元水11の用途は幅広く、酸化を遅らせる効果等があることから、例えば、美容院での洗顔や洗髪、病院や飲食業等での手洗いに用いれば、優れた洗浄効果が得られ、鉄などが錆び難く、食品や飲料などが腐り難く、工業上の還元性を利用した各種洗浄等に利用が可能である。
【0038】
尚、図1において、7aは受水槽7から還元水11を取り出すための取水口7aであり、8aは該取水口7aから取り出して供された還元水11の量に応じて循環水路8内に水を供給する供給口である。ただし、供給口8aは循環水路8内に取り付けることを限定するものではなく、受水槽7等に設けることも可能である。
【0039】
図1に示す微細気泡発生装置Aにおいて、受水槽7内の水に微細気泡10を発生する方法は、電解質を含む電解槽1で水を電気分解して水素ガス2と酸素ガス3とを発生させ、該発生した水素ガス2と酸素ガス3とを吸引して水と混合しながら加圧ポンプ4で加圧溶解タンク5に送液し、該加圧溶解タンク5内で加圧して水に対する水素ガス2と酸素ガス3との溶解度を高めた後、水素ガス2と酸素ガス3とが溶解した圧力水5aを絞り機構6を通して急減圧した後、加圧溶解タンク5内の圧力よりも低圧の容器となる受水槽7において大気圧力に開放することで、受水槽7内の水に水素ガス2と酸素ガス3とが混合した微細気泡10を発生させることが出来る。
【0040】
即ち、電解質を含む水の電解槽1と、原水を送液する加圧ポンプ4と、送液された水を貯留する加圧溶解タンク5と、該加圧溶解タンク5からの水をより低圧に開放する絞り機構6と、低圧に開放された水を受ける受水槽7を有し、電解槽1で発生した水素ガス2と酸素ガス3を加圧ポンプ4の吸引側に導入し、水素ガス2及び酸素ガス3と、循環水路8を循環する処理水の混合液を加圧しながら加圧溶解タンク5へ送液し、該加圧溶解タンク5の加圧下で処理水に水素ガス2及び酸素ガス3を大気圧のときよりも加圧圧力に応じた溶解度に高めた後、絞り機構6を通して加圧溶解タンク5内の圧力よりも低圧の受水槽7内に放出することで微細気泡10を発生させるとともに還元水11を得ることが出来る。
【0041】
電解槽1には電気分解で発生した水素ガス2及び酸素ガス3に見合う水を給水口1dから補給することとなるが、電解槽1への水の補給は単にバルブを解して人手で補給する方法や自動補給方法等の種々の方法をとることが可能であり、特定するものではない。また、絞り機構6は、上記複雑な機構でなくとも、単にバルブを閉止に近い状態で使用するとか、オリフィスを挿入するとかの単なる流路面積を絞ったものでも良く、特定するものではない。さらに、図1、図2においては絞り機構6は循環水路8中に取り付けているが、循環水路8中に限定するものではなく、循環水路8の受水槽7の出口に取り付けることも可能である。
【0042】
また、本実施形態では、循環水路8を採用した場合の一例について説明したが、加圧ポンプ4の上流側に接続される吸引管8a、その下流側に順次、加圧ポンプ4、加圧溶解タンク5、絞り機構6、受水槽7が接続され、該受水槽7と吸引管8aとの間を不用とする経路で構成することも出来る。
【実施例1】
【0043】
以下に具体的な実施例について説明する。電解槽1内の電解質として水に対する重量%が約3%の苛性ソーダ(NaOH;水酸化ナトリウム)とし、電解槽1の容量が約4リットル、陰極1aと陽極1bとの間に印加する直流電圧12V、電流5A、このとき水素ガス2と酸素ガス3との混合ガス発生量として0.046リットル/分(酸素ガス3と水素ガス2との体積比率は2:1)、加圧ポンプ4の送液量が9リットル/分、加圧溶解タンク5の容積が10リットル、該加圧溶解タンク5内の圧力が0.4MPa、受水槽7の水として脱気水(溶存酸素約0ppm)を使用し、水温18℃、水量約25リットルを循環水路8内で循環処理した。また、絞り機構6としてバルブの閉止に近い状態で使用した。
【0044】
受水槽7内で発生する微細気泡10はデジタルカメラとレンズ系を組み合わせて撮影し、パーソナルコンピュータの画面上で約100倍に拡大し、肉眼で読み取れる範囲の大きさの気泡直径を計測したところ、微細気泡10の直径の平均気泡径が約32μmを得た。
【0045】
図1に示す微細気泡発生装置Aで約30分間の循環処理を行ったところ、酸化還元電位が約−150mV、溶存水素率2ppm、溶存酸素率12ppmであった。ここで、酸化還元電位は、アズワン株式会社製のラコムテスター ORP計を使用して測定し、溶存水素率は、株式会社シロ産業製のデジタル溶存水素濃度計 M687MD−10型を使用して測定し、溶存酸素率は、HACH company製のSension156型 DOプローブを使用して測定した。尚、酸化還元電位が約−150mVとは、酸化還元電位が−100mV以下(−100mVよりも還元力が強い)ことを意味する。
【0046】
更に、同微細気泡発生装置Aで約45分まで循環処理を延長(約15分延長)したところ、酸化還元電位が約−150mV、溶存水素率3ppm、溶存酸素率15ppmであった。
【0047】
循環ポンプ4を止め、受水槽7中の視認できる微細気泡10は数分で消失するが、さらに停止状態で30分放置した後に酸化還元電位を測定したところ、約−100mVであった。このときの溶存水素率は約2ppm、溶存酸素率は約15ppmであった。
【0048】
その後、さらに停止状態で約12時間放置したところ、酸化還元電位は約−30mVとなった。このときの溶存水素率は約1ppm、溶存酸素率は約10ppmであった。
【0049】
従来から気泡を利用した洗浄が種々提案されているが、空気の気泡が主なもので酸化還元電位としては酸化(プラス)側であった。還元(マイナス)側の酸化還元電位の気泡混じりの水が得られたことから、還元力を必要とする洗浄の場合に効果が大きく、かつ気泡を含むことからより大きな洗浄力が期待される。
【0050】
次に、図2を用いて本発明に係る微細気泡発生方法及び微細気泡発生装置並びにそれら方法或いは装置により製造された還元水の第2実施形態について説明する。
【0051】
前記第1実施形態の電解槽1では、図1に示すように、陰極1aと陽極1bとの間に隔膜1cを設けたが、本実施形態では、図2に示すように、電解質を含む電解槽1において、陰極1aと陽極1bとの間の隔膜1cを除去して該隔膜1cを使用しないで電解槽1内で水を電気分解して発生した水素ガス2と酸素ガス3とを該電解槽1内で直接混合し、その混合ガスを吸引管9を介して循環水路8の加圧ポンプ4の上流側に吸引し、該循環水路8内を循環する水と混合しながら加圧溶解タンク5内に送液するように構成したものである。
【0052】
このような構成によれば、電解槽1内で水素ガス2と酸素ガス3とを混合ガスとすることができ、隔膜1cを不要とした上、ガス毎の吸引管9a,9bを別々に設ける必要がなく構成が簡単に出来る。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の活用例として、水素ガスおよび酸素ガスを含有した微細気泡発生方法、微細気泡発生装置およびそれにより製造される還元水に適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る微細気泡発生装置の第1実施形態の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る微細気泡発生装置の第2実施形態の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0055】
A…微細気泡発生装置
1…電解槽
1a…陰極
1b…陽極
1c…隔膜
1d…給水口
2…水素ガス
3…酸素ガス
4…加圧ポンプ
5…加圧溶解タンク
5a…圧力水
6…絞り機構
7…受水槽
7a…取水口
8…循環水路
8a…供給口
9…吸引管
9a,9b…吸引管
10…微細気泡
11…還元水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質を含む電解槽で水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを発生させ、該発生した水素ガスと酸素ガスとを吸引して水と混合しながら加圧ポンプで加圧溶解タンクに送液し、該加圧溶解タンク内で加圧して水に対する前記水素ガスと前記酸素ガスとの溶解度を高めた後、前記水素ガスと前記酸素ガスとが溶解した圧力水を絞り機構を通して急減圧した後、前記加圧溶解タンク内の圧力よりも低圧の容器に圧力を開放することで、前記容器内の水に前記水素ガスと前記酸素ガスとが混合した微細気泡を発生させることを特徴とした微細気泡発生方法。
【請求項2】
前記電解質を含む電解槽において、陽極と陰極との間に隔膜を使用しないことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生方法。
【請求項3】
水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを発生させる電解質を含む電解槽と、
前記電解槽から発生した前記水素ガスと前記酸素ガスとを吸引して水と混合しながら送液する加圧ポンプと、
前記加圧ポンプからの送液を受水すると共に、加圧して水に対する前記水素ガスと前記酸素ガスとの溶解度を高める加圧溶解タンクと、
前記加圧溶解タンク内で前記水素ガスと前記酸素ガスとが溶解した圧力水を急減圧する絞り機構と、
前記絞り機構からの送液を受水すると共に、圧力を開放して水に前記水素ガスと前記酸素ガスとが混合した微細気泡を発生させるための前記加圧溶解タンク内の圧力よりも低圧の容器と、
を有することを特徴とした微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記電解質を含む電解槽において、陽極と陰極との間に隔膜を使用しないことを特徴とする請求項3に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の微細気泡発生方法により前記容器内に製造される還元水であって、酸化還元電位が−100mV以下の前記酸素ガスと前記水素ガスとを含有したことを特徴とする還元水。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の微細気泡発生装置により前記容器内に製造される還元水であって、酸化還元電位が−100mV以下の前記酸素ガスと前記水素ガスとを含有したことを特徴とする還元水。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−115594(P2010−115594A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290732(P2008−290732)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505254913)株式会社NSI (5)
【出願人】(510014814)株式会社ビーエルダイナミクス (2)
【Fターム(参考)】