説明

微細気泡発生装置

【課題】比較的簡易な構成でありながら、簡単に呼水を供給してポンプを始動させることができ、ユーザにとって扱い易くて作業性に優れた微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)である。浴槽(6)に配置されてこの水槽(6)内の水を吸い込む吸込ノズル(7)や、吸気口(38)を有する空気導入部(31)、空気導入部(31)から取り込んだ空気と、吸込ノズル(7)から取り込んだ水とを用いて微細気泡含有水を生成して吐出する本体部(70)などを備える。本体部(70)には、空気の混ざった水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)が設けられていて、手動式のポンピング部材(72)等、加圧ポンプ(4)に呼水を供給する呼水供給手段が送水経路(71)に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に関し、その中でも特に装置を始動させるための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の微細気泡発生装置はいくつか提案されている(特許文献1等)。例えば、この装置は、水と空気とを混合して空気混合水を形成し、この空気混合水をポンプで加圧してその水中に空気を溶解させ、その空気溶解水を一気に浴槽に漬けた吐出ノズルから吐出して浴槽に多量の微細気泡が形成されるように構成されている。このように入浴中に微細気泡の作用を受けると温浴効果等が得られるため、よりリラックスして入浴を楽しむことができるようになる。
【特許文献1】特開平5−68700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種の装置では、一般に、始動時に呼水(羽根車が収容されたポンプ室等を満たすための水)を必要とする非自吸式のポンプが用いられていることが多い。そのため、始動に際しては、ホース等を用いてポンプに直接注水したり、送水配管を水道配管に直結して送水したりしているが、いずれも作業性に欠け、ユーザにとって面倒な作業となっていた。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的簡易な構成でありながら、簡単に呼水を供給してポンプを始動させることができ、ユーザにとって扱い易くて作業性に優れた微細気泡発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、任意の水槽(6)に配置されてこの水槽(6)内の水を吸い込む吸込ノズル(7)と、外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、上記空気導入部(31)から取り込んだ空気と、上記吸込ノズル(7)から取り込んだ水とを用いて上記微細気泡含有水を生成して吐出する本体部(70)と、を備え、上記本体部(70)には、空気の混ざった水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)が設けられ、上記吸込ノズル(7)と上記加圧ポンプ(4)との間の送水経路(71)に、上記加圧ポンプ(4)用の呼水を供給する呼水供給手段が設けられていることを特徴とする。
【0006】
係る構成によれば、送水経路(71)に加圧ポンプ(4)を始動するための呼水を供給する呼水供給手段が設けられているので、呼水用に別途配管を取り付けたり、ホース等の備品を準備したりせずに、始動時に加圧ポンプ(4)に呼水を供給することができ、利便性、操作性に優れる。
【0007】
例えば、上記呼水供給手段として、上記吸込ノズル(7)に設けられる手動式のポンピング部材(72)を用いることができる。
【0008】
そうすれば、比較的簡素な構造で済むので、コスト面で有利なうえ、水槽(6)内から直接操作できるため、さらに利便性に優れる。
【0009】
具体的には、上記ポンピング部材(72)が、可逆的に縮小可能なポンプ室(72a)を有するポンプ部(72)を含み、上記ポンプ室(72a)には、水槽(6)側に位置する吸込口(77)と、加圧ポンプ(4)側に位置する吐出口(78)とが設けられ、上記吸込口(77)には、上記ポンプ室(72a)への流入を許し、上記ポンプ室(72a)からの流出を許さない開閉式の第1弁体(77a)が設けられ、上記吐出口(78)には、上記ポンプ室(72a)からの流出を許し、上記ポンプ室(72a)への流入を許さない開閉式の第2弁体(78a)が設けられているものとすることができる。
【0010】
そうすれば、ポンピング部材(72)のポンプ室(72a)を拡縮するだけで、簡単に加圧ポンプ(4)に呼水を供給することができる。
【0011】
また、上記呼水供給手段として始動用ポンプ(79)を用いてもよい。自動的に加圧ポンプ(4)を始動させることができるので、よりいっそう利便性に優れる。
【0012】
例えば、上記始動用ポンプ(79)として、上記吸込ノズル(7)に設けられる遠心ポンプを用いることができる。始動用ポンプ(79)を水中に沈めて作動させるだけで簡単に送水することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、比較的簡易な構成でありながら、簡単に加圧ポンプに呼水を供給して始動させることができるようになり、ユーザにとって扱い易く、作業性に優れた微細気泡発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0015】
(第1実施形態)
−微細気泡発生装置の構成−
図1に本発明を適用した第1実施形態の微細気泡発生装置(1)の概略構成を示す。この微細気泡発生装置(1)は、人体への温浴効果等を目的として、例えばユニットバス等の浴槽(6)に付設され、浴室に直接設置するのではなく、脱衣所など浴室から少し離れた場所に設置されるように設定されている。
【0016】
この微細気泡発生装置(1)は、浴槽(6)内の水(湯)を循環させる循環流路(30)を備え、その循環流路(30)を循環している水に空気を取り込んで微細な気泡を含有する水(微細気泡含有水ともいう)を生成し、その微細気泡含有水を浴槽(6)内に吐出して浴槽(6)に微細気泡が連続的に形成されるように構成されている。
【0017】
具体的には、微細気泡発生装置(1)には、吸込ノズル(7)や空気導入部(31)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(加圧容器)(10)、吐出ノズル(8)などが備えられている。なお、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(10)、及び吐出ノズル(8)を合わせて本体部(70)ともいう。
【0018】
そして、これらのうち、吸込ノズル(7)と、本体部(70)の空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(10)及び吐出ノズル(8)とが配管(2)によってこの順に直列状に接続されていて、微細気泡発生装置(1)内に吸込ノズル(7)から取り込まれる浴槽(6)内の水を吐出ノズル(8)から吐出して繰り返し循環させる循環流路(30)が形成されている。
【0019】
(吸込ノズル)
吸込ノズル(7)は、浴槽(6)内の水を取り込むために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吸込ノズル(7)は、その先端に浴槽(6)の水を取り込む吸込口(37)を有し、例えば柔軟なホース等(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されて送水経路(71)が構成されている。なお、送水経路(71)は溶存水生成器(10)まで延び、空気混合部(3)や加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(10)に連通している。
【0020】
本実施形態の吸込ノズル(7)には、加圧ポンプ(4)を始動するための呼水を供給する呼水供給手段(72)が設けられているが、これについては別途後述する。
【0021】
(空気導入部)
空気導入部(31)は、主として空気を外部から取り込むために設けられていて、吸気量調整弁(5c)や逆止弁(5d)などを有し、これら各装置が吸入管(5b)で接続されている。
【0022】
吸入管(5b)の先端には外部から空気を取り込むための吸気口(38)が大気中に開放されており、この吸気口(38)には、空気中に浮遊する塵埃等を捕捉して装置内への侵入を防ぐ吸気フィルタ(9b)が設けられている。
【0023】
そして、空気導入部(31)の下流側には、空気混合部(3)へ導入される空気の流量を調整(制限)するための吸気量調整弁(開閉弁)(5c)と、空気混合部(3)内の空気や水が吸入管(5b)の上流側へ逆流するのを防止するための逆止弁(5d)とが上流側からこの順に一列に設けられ、吸入管(5b)の末端は空気混合部(3)に接続されている。
【0024】
吸気量調整弁(5c)は、単位時間当たりの空気の取り込み量が所定量以上にならないように設定されていて、必要に応じて調整可能となっている。
【0025】
(空気混合部)
空気混合部(3)は、浴槽(6)から取り込まれて流れてくる水の中に所定量の空気を導入するために設けられていて、例えば、外観視でY字やT字状の分岐配管等で構成され、二股に分岐した一方の端部が吸込ノズル(7)に連通し、他方の端部が空気導入部(31)に連通している。そして、その一方の端部から浴槽(6)の水が流れ込み、その水流に引き込まれるようにして他方の端部から空気導入部(31)で取り込まれた空気が流れ込んで、概ね所定の割合で空気と水とが混ざった状態の水(空気混合水ともいう)が形成されて加圧ポンプ(4)に吸引されるようになっている。
【0026】
(加圧ポンプ)
加圧ポンプ(4)は、こうして得られる空気混合水を加圧して溶存水生成器(10)に送水し、同時に循環流路(30)内で浴槽(6)の水を循環させるために設けられている。本実施形態の加圧ポンプ(4)には、所謂カスケードポンプ(渦流ポンプ)が用いられていて、例えば、ゲージ圧で2〜3kg/cm2(0.2〜0.3MPa)程度に加圧して送水することができるようになっている。また、この加圧ポンプ(4)は、一般によく用いられている非自吸式のポンプであり、始動時には羽根車が収容されたポンプ室等を満たすための水(呼水)が必要となる。
【0027】
(溶存水生成器)
溶存水生成器(10)は、略密閉状の圧力容器となっていて、加圧ポンプ(4)で加圧された空気混合水を受け入れて、空気が水中に比較的高濃度で溶存した状態の水(この状態の水を空気溶存水ともいう)を生成するために設けられていて、この微細気泡発生装置(1)における主要な装置となっている。
【0028】
すなわち、図2に示すように、加圧状態にあるタンク(11)内に一時的に空気混合水を貯留し、その空気混合水に対してバブリングを行って気液を強制的に接触させ、空気の溶存を促進させて効率よく空気溶存水を生成するように構成されている。
【0029】
詳しくは、上記タンク(11)は、円板状の底部(11a)と、この底部(11a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(11b)と、胴部(11b)の上方の開口部分を閉じる蓋部(11c)とを備えている。蓋部(11c)の上面中央部には導入口(14)が、胴部(11b)の下部には導出口(20)が、それぞれ開口しており、導入口(14)は導入管(26)を介して、導出口(20)は導出管(27)を介して、それぞれ循環流路(30)を構成する配管(2)に連通している。
【0030】
タンク(11)には、底部(11a)から上方に向かって延び、且つ、円筒形状の胴部(11b)と同心に形成された円筒状の仕切壁(13)が備えられている。この仕切壁(13)は、その上端部が蓋部(11c)と離間するように形成されていて、仕切壁(13)に囲まれた空間である溶存促進部(15)と、仕切壁(13)と胴部(11b)との間の空間である気液分離部(19)とが、仕切壁(13)の上方に形成される連通路(18)を介して連通している。なお、タンク(11)内の空気混合水あるいは空気溶存水は、その液面高さが仕切壁(13)の上端部よりも上になるように調整されている。
【0031】
タンク(11)の仕切壁(13)の内側には、タンク(11)の蓋体(11c)から下方に向かって延び、且つ、仕切壁(13)と同心に形成された円筒状の案内筒(12)が設けられていて、案内筒(12)と仕切壁(13)との間には案内部(17)が形成されている。案内筒(12)は、その下端部が底部(11a)から離間するように形成されていて、案内筒(12)と底部(11a)との間に、溶存促進部(15)と案内部(17)とに連通する案内通路(16)が形成されている。
【0032】
導入口(14)には、タンク(11)の内方に突出する噴射ノズル(28)が接続されている。この噴射ノズル(28)は、中空の円盤状に形成されていて、その下面には細孔状の複数の噴射口(28a)が形成されている。そして、導入口(14)から噴射ノズル(28)内に導入された空気混合水はこれら噴射口(28a)から溶存促進部(15)へ向かって勢いよく噴射され、溶存促進部(15)では激しい気泡と水の流動が形成されて水中への空気の溶存が促進されるようになっている(バブリング処理)。
【0033】
タンク(11)の蓋部(11c)には、タンク(11)内に滞留する余剰空気を排出するための排気弁(40)が設けられている。
【0034】
すなわち、排気弁(40)は、ケーシング(41)と、このケーシング(41)内に流入した空気溶存水に浮かぶように収容される球状のフロート(43)と、フロート(43)に一端側で接続され、他端に設けられた弁部がケーシング(41)に形成された排気口(45)を開閉する概略棒状の弁体(42)と、を備えている。
【0035】
排気弁(40)の下方には、これと連通する円筒状の排気筒(21)が設けられていて、その上端が排気弁(40)のケーシング(41)に接続され、下端がタンク(11)内に突出して空気溶存水の液面に接触するように設けられている。
【0036】
また、排気筒(21)の下方には、フロート(43)が溶存水生成器(10)内の空気溶存水の流動の影響を受けて誤動作しないように、4本の棒状の固定部材(24)で接続された円板状の整流板(25)が設けられている。
【0037】
加圧によって排気筒(21)内に空気溶存水が流入し、その液面は排気弁(40)のケーシング(41)内の高さにまで達している。そして、溶存水生成器(10)内に余剰空気がそれほど溜まっていない場合には、フロート(43)は上昇していて、弁体(42)が水平状態に近づき、弁部が排気口(45)に密着して閉状態となっている(閉止位置)。
【0038】
溶存水生成器(10)内に余剰空気が増えてケーシング(41)内の空気溶存水の液面高さが下がると、フロート(43)が下降する(開放位置)。そうすると、弁体(42)が傾いて弁部がケーシング(41)の排気口(45)から離れるため、ケーシング(41)内に溜まった余剰空気が排気口(45)から一気に外部へ排出される。余剰空気が排出されると、フロート(43)は上昇して閉止位置に戻る。
【0039】
このように、溶存促進部(15)内に導入されて形成された空気溶存水は、案内通路(16)を介して案内部(17)へ流れ込んだ後、案内部(17)を上方へ流れて、連通路(18)を通って気液分離部(19)へ流入し、下方へ流れて導出口(20)から導出される(図2中の矢印参照)。
【0040】
(吐出ノズル)
吐出ノズル(8)は、空気溶存水から微細気泡を多量に発生させ、この微細気泡を含有する微細気泡含有水を浴槽(6)内へ吐出するために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吐出ノズル(8)は、例えば柔軟なホース等の吐出経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は溶存水生成器(10)に連通している。
【0041】
吐出ノズル(8)の内部に設けられた空気溶存水が流れる通路には、流路断面積が小さくなった絞り部(39)、いわゆるオリフィスが形成されている。これにより、空気溶存水がオリフィスを通過する際に急激に減圧されて微細気泡が多量に発生し、発生した微細気泡が水とともに浴槽(6)内へ吐出されるようになっている。
【0042】
−微細気泡発生装置の動作−
通常の運転時における動作を説明すると、まず、水が貯留された浴槽(6)内に吸込ノズル(7)と吐出ノズル(8)とが沈められた状態で、加圧ポンプ(4)に呼水を供給して加圧ポンプ(4)や送水経路(71)に水を満たして駆動できるようにして、微細気泡発生装置(1)を作動させる主電源スイッチをオンにする。そうすると、加圧ポンプ(4)が駆動して浴槽(6)内の水が循環流路(30)を循環するようになる。
【0043】
このとき空気混合部(3)では、循環する水の流れによって空気導入部(31)から空気が引き込まれて空気混合水が形成される。そして、その空気混合水が加圧ポンプ(4)で溶存水生成器(10)に圧送され、上述したように加圧下でバブリング処理が行われて水中への空気の溶存が促進されて空気溶存水が形成され、吐出ノズル(8)から微細気泡含有水として浴槽(6)中に吐出される。このような動作が連続的に行われることで、浴槽(6)内ではその水量が変わることなく絶えず微細な気泡が多量に形成されることとなる。
【0044】
そして、運転停止時には、例えば主電源スイッチをオフにすると、加圧ポンプ(4)が停止し、水の循環や空気の取り込みも無くなって溶存水生成器(10)内の圧力も常圧に戻り、加圧ポンプ(4)や溶存水生成器(10)等の内部にあった水が自然に排出される。
【0045】
(呼水供給手段)
ところで、上述したように、この微細気泡発生装置(1)では運転を開始する際に加圧ポンプ(4)に呼水を供給する必要があるが、簡単な操作でこの呼水の供給ができるように工夫されている。
【0046】
すなわち、この微細気泡発生装置(1)は、呼水供給手段として、吸込ノズル(7)に手動式のポンプ部(ポンピング部材)(72)が設けられている。
【0047】
図3に、その吸込ノズル(7)の部分を模式的に示す。同図に示すように、この吸込ノズル(7)は、末広がりに開口する吸込口(37)が形成されたノズル本体部(73)と、このノズル本体部(73)と一体に設けられ、吸込口(37)と連通する筒状の連通路が形成されたスロート部(74)と、このスロート部(74)の突端に一体に設けられたポンプ部(72)とを有している。ノズル本体部(73)における吸込口(37)の大径の開口端には、その開口端を覆うように通水性のフィルタ(75)が支持枠(76)によって着脱可能に装着されている。
【0048】
ポンプ部(72)は、合成樹脂等の柔軟性のある素材で形成され、ユーザが掴み易く、しかも形状復元性を有するように中空の俵形状とされており、その内部には厚みの薄い壁体で外部と区画されたポンプ室(72a)が形成されている。このポンプ室(72a)は、ユーザがポンプ部を握ったり離したりすることで可逆的に縮小可能となっており、無負荷の状態では俵形に戻るようになっている。
【0049】
そして、このポンプ部(72)の長手方向の一方の端部(浴槽(6)側)にスロート部(74)に連通するポンプ吸込口(77)が設けられ、他方の端部(加圧ポンプ(4)側)に送水経路(71)に連通するポンプ吐出口(78)が設けられていて、ポンプ吸込口(77)には、ポンプ室(72a)への流入を許し、ポンプ室(72a)からの流出を許さない開閉式の第1弁体(77a)(逆流防止弁)が揺動可能に設けられ、ポンプ吐出口(78)には、ポンプ室(72a)からの流出を許し、ポンプ室(72a)への流入を許さない開閉式の第2弁体(78a)(逆流防止弁)が揺動可能に設けられている。
【0050】
したがって、この微細気泡発生装置(1)を運転開始するためにユーザが加圧ポンプ(4)に呼水を供給するときには、ユーザはポンプ部(72)を握ったり離したりするだけでよい。
【0051】
すなわち、ユーザがポンプ部(72)を握ると、図3の(b)に示すように、ポンプ室(72a)が縮小し、その内部に充満していた水が第2弁体(78a)を押し開けてポンプ吐出口(78)から送水経路(71)、つまりは加圧ポンプ(4)に向かって送水される。
【0052】
そして、ユーザがポンプ室(72a)から手を離すと、図3の(a)に示すように、ポンプ部(72)は元の状態の俵形に復帰し、その際ポンプ室(72a)内が負圧となるため、第1弁体(77a)が引き込まれてポンプ吸込口(77)が開き、吸込口(37)から新たな水がポンプ室(72a)内に取り込まれる。
【0053】
かかる操作を繰り返すことで、浴槽(6)の水を加圧ポンプ(4)の呼水として供給することができる。なお、いったん加圧ポンプ(4)が作動すれば、その吸込み作用で第1弁体(77a)及び第2弁体(78a)はいずれも開き側に揺動してポンプ吸込口(77)及びポンプ吐出口(78)の双方が開いた状態となるため、支障なく浴槽(6)の水を取り込むことができる。
【0054】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態を示したものであり、本実施形態では、第1実施形態の手動式のポンピング部材(72)に換えて自動で呼水を供給できるようにした。なお、第1実施形態と同様の部材については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0055】
すなわち、この微細気泡発生装置(1)では、吸込ノズル(7)の部分に小型の送水ポンプ(始動用ポンプ)(79)が取り付けられている。例えば、この送水ポンプ(79)としては、モータで回転駆動するインペラが備えられ、遠心力を利用して送水する一般的な遠心ポンプが好適に用いることができる。送水ポンプ(79)は浴槽(6)に沈めて用いられるので、呼水の必要はなく、送水ポンプ(79)の電源を入れるだけで簡単に駆動させることができ、加圧ポンプ(4)に呼水を供給することができる。
【0056】
なお、いったん加圧ポンプ(4)が作動すると、送水ポンプ(79)の水取入口(図示せず)から加圧ポンプ(4)の吸引力によって浴槽(6)の水が取り込まれることとなる。
【0057】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、簡単に加圧ポンプ(4)に呼水を供給して始動準備できるので、ユーザにとって扱い易く、作業性に優れる。しかも比較的簡単な構成で実現できるため、コストも抑制でき、すぐにでも実用化できる。
【0058】
なお、本発明にかかる微細気泡発生装置(1)は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0059】
例えば、始動用ポンプ(79)は、必ずしも吸込ノズル(7)の部分に設ける必要はない。吸込ノズル(7)から加圧ポンプ(4)に至る送水経路(71)のいずれかに設けてあってもよい。ただし、その場合には、自吸式のポンプであることが好ましい。また、始動用ポンプ(79)は、吸込ノズル(7)に着脱可能に取り付けられるようにしてあってもよい。そうすれば、始動時にのみ取り付けて、不要な通常の運転時には外しておくことができるので、利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態の微細気泡発生装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】溶存水生成器の概略断面図である。
【図3】吸込ノズル部分の構造を説明するための図である。(a)及び(b)は呼水供給時における異なる動作を表している。
【図4】第2実施形態の微細気泡発生装置の全体構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0061】
1 微細気泡発生装置
3 空気混合部
4 加圧ポンプ
5c 吸気量調整弁
5d 逆止弁
6 浴槽(水槽)
7 吸込ノズル
8 吐出ノズル
9b 吸気フィルタ
10 溶存水生成器(加圧容器)
30 循環流路
31 空気導入部
37 吸込口
38 吸気口
39 絞り部
40 排気弁
70 本体部
71 送水経路
72 ポンプ部(ポンピング部材)
72a ポンプ室
73 ノズル本体部
74 スロート部
75 フィルタ
76 支持枠
77 ポンプ吸込口(吸込口)
77a 第1弁体
78 ポンプ吐出口(吐出口)
78a 第2弁体
79 送水ポンプ(始動用ポンプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、
任意の水槽(6)に配置されてこの水槽(6)内の水を吸い込む吸込ノズル(7)と、
外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、
上記空気導入部(31)から取り込んだ空気と、上記吸込ノズル(7)から取り込んだ水とを用いて上記微細気泡含有水を生成して吐出する本体部(70)と、を備え、
上記本体部(70)には、空気の混ざった水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)が設けられ、
上記吸込ノズル(7)と上記加圧ポンプ(4)との間の送水経路(71)に、上記加圧ポンプ(4)用の呼水を供給する呼水供給手段が設けられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生装置であって、
上記呼水供給手段として、上記吸込ノズル(7)に設けられる手動式のポンピング部材(72)が用いられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の微細気泡発生装置であって、
上記ポンピング部材(72)が、可逆的に縮小可能なポンプ室(72a)を有するポンプ部(72)を含み、
上記ポンプ室(72a)には、水槽(6)側に位置する吸込口(77)と、加圧ポンプ(4)側に位置する吐出口(78)とが設けられ、
上記吸込口(77)には、上記ポンプ室(72a)への流入を許し、上記ポンプ室(72a)からの流出を許さない開閉式の第1弁体(77a)が設けられ、
上記吐出口(78)には、上記ポンプ室(72a)からの流出を許し、上記ポンプ室(72a)への流入を許さない開閉式の第2弁体(78a)が設けられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の微細気泡発生装置であって、
上記呼水供給手段として始動用ポンプ(79)が用いられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の微細気泡発生装置であって、
上記始動用ポンプ(79)として、上記吸込ノズル(7)に設けられる遠心ポンプが用いられていることを特徴とする微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−155210(P2010−155210A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334926(P2008−334926)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】