微細気泡発生装置
【課題】簡素な構成でありながら、水を除いて余剰空気だけを効率よく加圧容器内から排気することができる微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)である。外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)や、空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)、空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)、加圧下で空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)、加圧容器(10)に接続されて微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)などを備える。加圧容器(10)に所定状態になると排気口(45)が開く排気弁(40)が設けられ、空気導入部(31)における吸気口(38)の下流側の部分と、排気口(45)との間に管状の排気経路(5a)が設けられている。
【解決手段】水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)である。外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)や、空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)、空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)、加圧下で空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)、加圧容器(10)に接続されて微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)などを備える。加圧容器(10)に所定状態になると排気口(45)が開く排気弁(40)が設けられ、空気導入部(31)における吸気口(38)の下流側の部分と、排気口(45)との間に管状の排気経路(5a)が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に関し、その中でも特に加圧容器に設けられる排気機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の微細気泡発生装置はいくつか提案されている(特許文献1等)。例えば、この装置は、水と空気とを混合して空気混合水を形成し、この空気混合水を加圧してその水中に空気を溶解させ、その空気溶解水を一気に浴槽に漬けた吐出ノズルから吐出して浴槽に多量の微細気泡が形成されるように構成されている。このように入浴中に微細気泡の作用を受けると温浴効果等が得られるため、よりリラックスして入浴を楽しむことができるようになる。
【0003】
特許文献1の微細気泡発生装置には、未溶解の気体を分離するための大型のアキュムレータ(加圧容器)が備えられていて、そこに溜まった余剰気体を再利用するために、気体を供給する気体供給管とアキュムレータとに連通する余剰気体戻し管が備えられている。
【特許文献1】特開平5−68700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加圧容器内で溶解せずに残った気体をそのまま元に戻して循環させるようにしてあると、水に空気を溶存させる場合には、空気中に含まれる酸素や窒素の水に対する溶解度が異なっているため不具合がある。
【0005】
例えば、図6は空気等の水に対する溶解度を温度別に表したものであるが、窒素は酸素に比べて水に溶け難くいため、加圧容器内に溜まる余剰空気の成分含有比率が変化して窒素含量の多い空気(窒素リッチエア)が残る傾向がある。そのため、このような窒素リッチエアを再度循環させると、加圧容器内に溜まる余剰空気はその窒素含量が多くなって次第に水に溶け難くなり、余剰空気量が増えるおそれがある。
【0006】
したがって、このような場合には加圧容器に排気弁を設け、そこに溜まる余剰空気を循環させずにそのまま排気するのが好ましいが、加圧容器内は比較的高圧に保持されているため、排気弁によっては余剰空気を排出する勢いで水も余剰空気と一緒に排出されてしまい、装置周辺が湿気やすくなるなど、好ましくない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構成でありながら、加圧容器内から、水分を除いて余剰空気を効率よく排気することができる微細気泡発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、上記空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)と、上記空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)と、加圧下で上記空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)と、上記加圧容器(10)に接続されて上記微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)と、を備え、上記加圧容器(10)には所定状態になると排気口(45)が開く排気弁(40)が設けられ、上記空気導入部(31)における上記吸気口(38)の下流側の部分と、上記排気口(45)との間に管状の排気経路(5a)が設けられていることを特徴とする。
【0009】
係る構成によれば、まず、加圧容器(10)に排気弁(40)が設けられているので、加圧容器(10)内に溜まる窒素リッチな余剰空気を排出することができる。更に、その余剰空気を排気口(45)から直に排気すると空気に混じって水分も排出されてしまうおそれがあるが、排気口(45)には管状の排気経路(5a)が接続され、その排気経路(5a)が吸気口(38)の下流側の部分に接続されているので、排気経路(5a)内で空気から水分を除いて吸気口(38)を通じて排気させることができる。そして、除かれた水分は、再度取り込んで加圧容器(10)に戻すことができる。
【0010】
具体的には、上記空気導入部(31)における上記排気経路(5a)の接続部位(50)の下流側に、空気の取り込み量を制限する吸気量調整部(5c)が設けられていて、上記吸気量調整部(5c)の空気取り込み量が、上記排気弁(40)から排気される空気量よりも少なくなるように設定するのが好ましい。
【0011】
そうすれば、排気弁(40)から排気される余剰空気の多くを吸気口(38)から排出させることができ、水に溶け込み難くなった窒素リッチエアが再度取り込まれるのを効果的に抑制することができるので、安定的かつ効率的に空気を水に溶存させることができる。
【0012】
また、上記吸気口(38)は、上記排気経路(5a)の接続部位(50)よりも鉛直方向において上側に位置させておくとよい。
【0013】
そうすれば、水が吸気口(38)側に流れ難くなるので、余剰空気だけをより効率よく排気させることができる。
【0014】
更には、上記吸気口(38)に疎水性のフィルター(9b)が設けられていれば、装置内への異物の混入を防ぐことができるうえ、支障なく空気を出入りさせながら水分が排出されるのを防ぐことができるので、よりいっそう効果的である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、比較的簡素な構成でありながらも、加圧容器内から水分を効率よく取り除いて余剰空気を排気することができるので、装置周辺の雰囲気が湿気易くなる等の不具合を効果的に防ぐことができる。水に混ざり難い窒素リッチエアが効果的に排気されるので、取り込まれる空気の品質が安定し、効率的かつ安定的に微細な気泡を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
−微細気泡発生装置の構成−
図1に本発明を適用した微細気泡発生装置(1)の概略構成を示す。この微細気泡発生装置(1)は、人体への温浴効果等を目的として、例えばユニットバス等の浴槽(6)に付設され、浴室に直接設置するのではなく、脱衣所など浴室から少し離れた場所に設置されるように設定されている。
【0018】
この微細気泡発生装置(1)は、浴槽(6)内の水(湯)を循環させる循環流路(30)を備え、その循環流路(30)を循環している水に空気を取り込んで微細な気泡を含有する水(微細気泡含有水ともいう)を生成し、その微細気泡含有水を浴槽(6)内に吐出して浴槽(6)に微細気泡が連続的に形成されるように構成されている。
【0019】
具体的には、微細気泡発生装置(1)には、吸込ノズル(7)や空気導入部(31)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(加圧容器)(10)、吐出ノズル(8)などが備えられている。
【0020】
そして、これらのうち、吸込ノズル(7)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(10)及び吐出ノズル(8)が配管(2)によってこの順に直列状に接続されていて、微細気泡発生装置(1)内に吸込ノズル(7)から取り込まれる浴槽(6)内の水を吐出ノズル(8)から吐出して繰り返し循環させる循環流路(30)が形成されている。
【0021】
(吸込ノズル)
吸込ノズル(7)は、浴槽(6)内の水を取り込むために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吸込ノズル(7)は、その先端に浴槽(6)の水を取り込む吸込口(37)を有し、この吸込口(37)には、水中の異物を除去するフィルタが装着されている。そして、この吸込ノズル(7)は、例えば柔軟なホース等の送水経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は空気混合部(3)に連通している。
【0022】
(空気導入部)
空気導入部(31)は、主として空気を外部から取り込むために設けられていて、吸気量調整弁(吸気量調整部)(5c)や逆止弁(5d)などを有し、これら各装置が吸入管(5b)で接続されている。
【0023】
吸入管(5b)の先端には外部から空気を取り込むための吸気口(38)が大気中に開放されており、この吸気口(38)には、空気中に浮遊する塵埃等を捕捉して装置内への侵入を防ぐ吸気フィルタ(9b)が設けられている。
【0024】
そして、空気導入部(31)の下流側には、空気混合部(3)へ導入される空気の流量を調整(制限)するための吸気量調整弁(5c)と、空気混合部(3)内の空気や水が吸入管(5b)の上流側へ逆流するのを防止するための逆止弁(5d)とが上流側からこの順に一列に設けられ、吸入管(5b)の末端は空気混合部(3)に接続されている。
【0025】
また、空気導入部(31)には排気管(5a)が接続されているが、これについては別途後述する。
【0026】
(空気混合部)
空気混合部(3)は、浴槽(6)から取り込まれて流れてくる水の中に所定量の空気を導入するために設けられていて、例えば、外観視でY字やT字状の分岐配管等で構成され、二股に分岐した一方の端部が吸込ノズル(7)に連通し、他方の端部が空気導入部(31)に連通している。そして、その一方の端部から浴槽(6)の水が流れ込み、その水流に引き込まれるようにして他方の端部から空気導入部(31)で取り込まれた空気が流れ込んで、概ね所定の割合で空気と水とが混ざった状態の水(空気混合水ともいう)が形成されて加圧ポンプ(4)に吸引されるようになっている。
【0027】
(加圧ポンプ)
加圧ポンプ(4)は、こうして得られる空気混合水を加圧して溶存水生成器(10)に送水し、同時に循環流路(30)内で浴槽(6)の水を循環させるために設けられている。本実施形態の加圧ポンプ(4)には、所謂カスケードポンプ(渦流ポンプ)が用いられていて、例えば、ゲージ圧で2〜3kg/cm2(0.2〜0.3MPa)程度に加圧して送水することができるようになっている。
【0028】
(溶存水生成器)
溶存水生成器(10)は、略密閉状の圧力容器となっていて、加圧ポンプ(4)で加圧された空気混合水を受け入れて、空気が水中に比較的高濃度で溶存した状態の水(この状態の水を空気溶存水ともいう)を生成するために設けられていて、この微細気泡発生装置(1)における主要な装置となっている。
【0029】
すなわち、図2に示すように、加圧状態にあるタンク(11)内に一時的に空気混合水を貯留し、その空気混合水に対してバブリングを行って気液を強制的に接触させ、空気の溶存を促進させて効率よく空気溶存水を生成するように構成されている。
【0030】
詳しくは、上記タンク(11)は、円板状の底部(11a)と、この底部(11a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(11b)と、胴部(11b)の上方の開口部分を閉じる蓋部(11c)とを備えている。尚、蓋部(11c)には排気弁(40)が設けられているが、これについては後述する。
【0031】
蓋部(11c)の上面中央部には導入口(14)が、胴部(11b)の下部には導出口(20)が、それぞれ開口しており、導入口(14)は導入管(26)を介して、導出口(20)は導出管(27)を介して、それぞれ循環流路(30)を構成する配管(2)に連通している。
【0032】
タンク(11)には、底部(11a)から上方に向かって延び、且つ、円筒形状の胴部(11b)と同心に形成された円筒状の仕切壁(13)が備えられている。この仕切壁(13)は、その上端部が蓋部(11c)と離間するように形成されていて、仕切壁(13)に囲まれた空間である溶存促進部(15)と、仕切壁(13)と胴部(11b)との間の空間である気液分離部(19)とが、仕切壁(13)の上方に形成される連通路(18)を介して連通している。なお、タンク(11)内の空気溶存水は、その液面高さが仕切壁(13)の上端部よりも上になるように調整されている。
【0033】
タンク(11)の仕切壁(13)の内側には、タンク(11)の蓋体(11c)から下方に向かって延び、且つ、仕切壁(13)と同心に形成された円筒状の案内筒(12)が設けられていて、案内筒(12)と仕切壁(13)との間には案内部(17)が形成されている。案内筒(12)は、その下端部が底部(11a)から離間するように形成されていて、案内筒(12)と底部(11a)との間に、溶存促進部(15)と案内部(17)とに連通する案内通路(16)が形成されている。
【0034】
導入口(14)には、タンク(11)の内方に突出する噴射ノズル(28)が接続されている。この噴射ノズル(28)は、中空の円盤状に形成されていて、その下面には細孔状の複数の噴射口(28a)が形成されている。そして、導入口(14)から噴射ノズル(28)内に導入された空気混合水はこれら噴射口(28a)から溶存促進部(15)へ向かって勢いよく噴射され、溶存促進部(15)では激しい気泡と水の流動が形成されて水中への空気の溶存が促進されるようになっている(バブリング処理)。
【0035】
このように、溶存促進部(15)内に導入されて形成された空気溶存水は、案内通路(16)を介して案内部(17)へ流れ込んだ後、案内部(17)を上方へ流れて、連通路(18)を通って気液分離部(19)へ流入し、下方へ流れて導出口(20)から導出される(図2中の矢印参照)。
【0036】
(吐出ノズル)
吐出ノズル(8)は、空気溶存水中に微細気泡を多量に発生させ、この微細気泡を含有する微細気泡含有水を浴槽(6)内へ吐出するために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吐出ノズル(8)は、例えば柔軟なホース等の吐出経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は溶存水生成器(10)に連通している。
【0037】
吐出ノズル(8)の内部に設けられた空気溶存水が流れる通路には、流路断面積が小さくなった絞り部(39)、いわゆるオリフィスが形成されている。これにより、空気溶存水がオリフィスを通過する際に急激に減圧されて微細気泡が多量に発生し、発生した微細気泡が水とともに浴槽(6)内へ吐出されるようになっている。
【0038】
−微細気泡発生装置の動作−
通常の運転時における動作を説明すると、まず、水が貯留された浴槽(6)内に吸込ノズル(7)と吐出ノズル(8)とが沈められた状態で、加圧ポンプ(4)に呼水を供給して加圧ポンプ(4)や送水経路に水を満たして駆動できるようにして、微細気泡発生装置(1)を作動させる主電源スイッチをオンにする。そうすると、加圧ポンプ(4)が駆動して浴槽(6)内の水が循環流路(30)を循環するようになる。
【0039】
このとき空気混合部(3)では、循環する水の流れによって空気導入部(31)から空気が引き込まれて空気混合水が形成される。そして、その空気混合水が加圧ポンプ(4)で溶存水生成器(10)に圧送され、上述したように加圧下でバブリング処理が行われて水中への空気の溶存が促進されて空気溶存水が形成され、吐出ノズル(8)から微細気泡含有水として浴槽(6)中に吐出される。このような動作が連続的に行われることで、浴槽(6)内ではその水量が変わることなく絶えず微細な気泡が多量に形成されることとなる。
【0040】
そして、運転停止時には、例えば主電源スイッチをオフにすると、加圧ポンプ(4)が停止し、水の循環や空気の取り込みも無くなって溶存水生成器(10)内の圧力も常圧に戻り、加圧ポンプ(4)や溶存水生成器(10)等の内部にあった水が自然に排出される。
【0041】
微細気泡発生装置(1)の運転中には、溶存水生成器(10)内に水に溶存できなかった空気(上述した窒素リッチエア)が溜まって増加するため、この装置ではその余剰空気を排出するために排気弁(40)が設けられている。
【0042】
(排気弁)
排気弁(40)は、図3に詳しく示すように、ケーシング(41)と、このケーシング(41)内に流入した空気混合水あるいは空気溶存水(単に空気溶存水ともいう)に浮かぶように収容される球状のフロート(43)と、フロート(43)に一端側で接続され、他端に設けられた弁部(42a)がケーシング(41)に形成された排気口(45)を開閉する概略棒状の弁体(42)と、を備えている。
【0043】
フロート(43)は、内部が空洞の球形状であり、空気溶存水に浮かんでその液面高さに応じてケーシング(41)内を上下動するように収容されている。上下動時に傾かないように、フロート(43)にはケーシング(41)の内壁に沿って案内する板状のガイド部(43b)が設けられている。
【0044】
ケーシング(41)には、排気口(45)のケーシング内側に弁体(42)の弁部(42a)が収容される弁部収容空間(47)が区画形成されている。この弁部収容空間(47)のケーシング内側を区画する壁部には、弁体(42)の棒状部分のみの挿通を許す小さな貫通穴が形成されていて、弁体(42)の抜け止め及び位置ずれが防止されている。
【0045】
排気弁(40)の下方には、これと連通する円筒状の排気筒(21)が設けられていて、その上端が排気弁(40)のケーシング(41)に接続され、下端がタンク(11)内に突出して空気溶存水の液面に接触するように設けられている。
【0046】
加圧によって排気筒(21)内に空気溶存水が流入し、その液面は排気弁(40)のケーシング(41)内の高さにまで達している。排気筒(21)内には、表面張力によって空気溶存水の流入が阻害されないようにサイフォンロッド(46)が設けられている。また、排気筒(21)の下方には、フロート(43)が溶存水生成器(10)内の空気溶存水の流動の影響を受けて誤動作しないように、4本の棒状の固定部材(24)で接続された円板状の整流板(25)が設けられている。
【0047】
そして、溶存水生成器(10)内に余剰空気がそれほど溜まっていない場合には、図3に示すように、フロート(43)は上昇していて、弁体(42)が水平状態に近づき、弁部(42a)が排気口(45)に密着して閉状態となっている(閉止位置)。
【0048】
溶存水生成器(10)内に余剰空気が増えてケーシング(41)内の空気溶存水の液面高さが下がると、図4に示すように、フロート(43)が下降する(開放位置)。そうすると、弁体(42)が傾いて弁部(42a)がケーシング(41)の排気口(45)から離れるため、ケーシング(41)内に溜まった余剰空気が一気に外部へ排出される。余剰空気が排出されると、フロート(43)は上昇して閉止位置に戻る。
【0049】
(排気管)
このように、微細気泡発生装置(1)の運転中には、不定期なタイミングで一時的に排気が行われるが、このとき、排出される余剰空気の勢いによって空気溶存水の一部が一緒に排出されたり、高湿度な空気が排出されてしまうおそれがある。
【0050】
微細気泡発生装置(1)が浴室内に設置されているのであれば、特に支障はないかもしれないが、脱衣所等に設置されている場合には水が飛散したり、湿気やすくなるなどの不具合を招くおそれがあるため、できるだけ空気と水とを分離して排気するのが好ましい。
【0051】
そこで、この微細気泡発生装置(1)では、排気口(45)に比較的長い排気管(排気経路)(5a)の一端を接続し、他端を空気導入部(31)における吸気口(38)の下流側であって、吸気量調整弁(5c)の上流側の部分(排気管接続部位(50)ともいう)に接続して、そこを流れる間に水と空気とが分離できるようにした。
【0052】
図5は、この微細気泡発生装置(1)の内部構造を示したものであり、符号51は微細気泡発生装置(1)の筐体であり、符号53はこの筐体(51)に開口する、放熱ファン(52)を備えた排気窓、符号54は筐体(51)に開口する吸気窓であり、上述した各部材については同じ符号を付して示してある。
【0053】
この図に示すように、排気管(5a)は細長いチューブ状の配管で構成されていて、排気口(45)から略水平方向あるいは鉛直方向下向きに傾斜した方向に延びて排気管接続部位(50)に接続されている。
【0054】
空気導入部(31)の吸入管(5b)は、吸気量調整弁(5c)から吸気口(38)に向かうその間の部分で略水平方向から屈曲して略鉛直方向に延びており、その屈曲部分に排気管(5a)が接続されている。したがって、吸気口(38)はその排気管接続部位(50)よりも鉛直方向において十分上側に位置しており、水が外部に漏れ難くなっている。
【0055】
しかも、吸入管(5b)の排気管接続部位(50)から吸気量調整弁(5c)側の部分は排気管(5a)と連なって真っ直ぐ延びるように略直線状に接続されているため、排気管(5a)内で分離された水は吸気量調整弁(5c)側に向かって流れ易くなっており、更に水が外部に漏れ難くなっている。
【0056】
また、排気管(5a)は排気窓(53)の放熱ファン(52)の設置部位近傍を通るように配設されていて、流動する外気との熱交換によって空気と水とが分離し易いようになっている。尚、排気弁(40)での排気は一時的なものであるため排気管(5a)や吸入管(5b)に水が溜まって詰まるおそれはない。
【0057】
また、吸気量調整弁(5c)では、単位時間当たりの空気の取り込み量が所定量以上にならないように設定されているが、この空気取り込み量が、排気弁(40)から排気される余剰空気の空気量よりも十分少なく設定されている。
【0058】
したがって、排気弁(40)から余剰空気が排気されると、排気管(5a)を通る間に水と空気とが分離されて、その大部分が吸気口(38)から外部に排出され、分離された水と一部の空気とが再度吸気量調整弁(5c)から取り込まれることとなるため、窒素成分が比較的多い窒素リッチエアは効果的に水と分離されて外部に排気させることができる。
【0059】
吸気口(38)に設けられている吸気フィルタ(9b)として疎水性のフィルターが用いられていれば、空気を支障なく通過させつつ水分の通過を阻止できるため、よりいっそう効果的である。
【0060】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、簡素な構成でありながら、溶存水生成器(10)から余剰空気だけを効率よく排気できるので、装置周辺の雰囲気が湿気やすくなるなどの不具合を招かずに済む。また、水に混ざり難い窒素リッチエアが効果的に排気されて新規な空気が取り込まれるので、空気の品質が安定して空気溶存水を効率よく生成することができるようになる。
【0061】
なお、本発明にかかる微細気泡発生装置は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0062】
例えば、排気管(5a)を螺旋状にしたり扁平にしたりするなど、十分長くあるいは表面積を大きくして気液分離効率を向上させてあってもよい。また、排気管(5a)の途中に公知のサイクロン式セパレータ(気液分離装置)を設けてあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の微細気泡発生装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】溶存水生成器の概略断面図である。
【図3】排気弁の概略断面図である。
【図4】排気時における排気弁の要部を示す概略断面図である。
【図5】微細気泡発生装置の内部構造を示す概略図である。(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】空気等の水に対する溶解度を温度別に表したグラフである。
【符号の説明】
【0064】
1 微細気泡発生装置
2 配管
3 空気混合部
4 加圧ポンプ
5a 排気管
5b 吸入管
5c 吸気量調整弁(吸気量調整部)
5d 逆止弁
6 浴槽
7 吸込ノズル
8 吐出ノズル
9b 吸気フィルタ
10 溶存水生成器(加圧容器)
11 タンク
30 循環流路
31 空気導入部
37 吸込口
38 吸気口
40 排気弁
45 排気口
50 排気管接続部位
51 筐体
52 放熱ファン
53 排気窓
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に関し、その中でも特に加圧容器に設けられる排気機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の微細気泡発生装置はいくつか提案されている(特許文献1等)。例えば、この装置は、水と空気とを混合して空気混合水を形成し、この空気混合水を加圧してその水中に空気を溶解させ、その空気溶解水を一気に浴槽に漬けた吐出ノズルから吐出して浴槽に多量の微細気泡が形成されるように構成されている。このように入浴中に微細気泡の作用を受けると温浴効果等が得られるため、よりリラックスして入浴を楽しむことができるようになる。
【0003】
特許文献1の微細気泡発生装置には、未溶解の気体を分離するための大型のアキュムレータ(加圧容器)が備えられていて、そこに溜まった余剰気体を再利用するために、気体を供給する気体供給管とアキュムレータとに連通する余剰気体戻し管が備えられている。
【特許文献1】特開平5−68700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加圧容器内で溶解せずに残った気体をそのまま元に戻して循環させるようにしてあると、水に空気を溶存させる場合には、空気中に含まれる酸素や窒素の水に対する溶解度が異なっているため不具合がある。
【0005】
例えば、図6は空気等の水に対する溶解度を温度別に表したものであるが、窒素は酸素に比べて水に溶け難くいため、加圧容器内に溜まる余剰空気の成分含有比率が変化して窒素含量の多い空気(窒素リッチエア)が残る傾向がある。そのため、このような窒素リッチエアを再度循環させると、加圧容器内に溜まる余剰空気はその窒素含量が多くなって次第に水に溶け難くなり、余剰空気量が増えるおそれがある。
【0006】
したがって、このような場合には加圧容器に排気弁を設け、そこに溜まる余剰空気を循環させずにそのまま排気するのが好ましいが、加圧容器内は比較的高圧に保持されているため、排気弁によっては余剰空気を排出する勢いで水も余剰空気と一緒に排出されてしまい、装置周辺が湿気やすくなるなど、好ましくない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構成でありながら、加圧容器内から、水分を除いて余剰空気を効率よく排気することができる微細気泡発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、上記空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)と、上記空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)と、加圧下で上記空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)と、上記加圧容器(10)に接続されて上記微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)と、を備え、上記加圧容器(10)には所定状態になると排気口(45)が開く排気弁(40)が設けられ、上記空気導入部(31)における上記吸気口(38)の下流側の部分と、上記排気口(45)との間に管状の排気経路(5a)が設けられていることを特徴とする。
【0009】
係る構成によれば、まず、加圧容器(10)に排気弁(40)が設けられているので、加圧容器(10)内に溜まる窒素リッチな余剰空気を排出することができる。更に、その余剰空気を排気口(45)から直に排気すると空気に混じって水分も排出されてしまうおそれがあるが、排気口(45)には管状の排気経路(5a)が接続され、その排気経路(5a)が吸気口(38)の下流側の部分に接続されているので、排気経路(5a)内で空気から水分を除いて吸気口(38)を通じて排気させることができる。そして、除かれた水分は、再度取り込んで加圧容器(10)に戻すことができる。
【0010】
具体的には、上記空気導入部(31)における上記排気経路(5a)の接続部位(50)の下流側に、空気の取り込み量を制限する吸気量調整部(5c)が設けられていて、上記吸気量調整部(5c)の空気取り込み量が、上記排気弁(40)から排気される空気量よりも少なくなるように設定するのが好ましい。
【0011】
そうすれば、排気弁(40)から排気される余剰空気の多くを吸気口(38)から排出させることができ、水に溶け込み難くなった窒素リッチエアが再度取り込まれるのを効果的に抑制することができるので、安定的かつ効率的に空気を水に溶存させることができる。
【0012】
また、上記吸気口(38)は、上記排気経路(5a)の接続部位(50)よりも鉛直方向において上側に位置させておくとよい。
【0013】
そうすれば、水が吸気口(38)側に流れ難くなるので、余剰空気だけをより効率よく排気させることができる。
【0014】
更には、上記吸気口(38)に疎水性のフィルター(9b)が設けられていれば、装置内への異物の混入を防ぐことができるうえ、支障なく空気を出入りさせながら水分が排出されるのを防ぐことができるので、よりいっそう効果的である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、比較的簡素な構成でありながらも、加圧容器内から水分を効率よく取り除いて余剰空気を排気することができるので、装置周辺の雰囲気が湿気易くなる等の不具合を効果的に防ぐことができる。水に混ざり難い窒素リッチエアが効果的に排気されるので、取り込まれる空気の品質が安定し、効率的かつ安定的に微細な気泡を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
−微細気泡発生装置の構成−
図1に本発明を適用した微細気泡発生装置(1)の概略構成を示す。この微細気泡発生装置(1)は、人体への温浴効果等を目的として、例えばユニットバス等の浴槽(6)に付設され、浴室に直接設置するのではなく、脱衣所など浴室から少し離れた場所に設置されるように設定されている。
【0018】
この微細気泡発生装置(1)は、浴槽(6)内の水(湯)を循環させる循環流路(30)を備え、その循環流路(30)を循環している水に空気を取り込んで微細な気泡を含有する水(微細気泡含有水ともいう)を生成し、その微細気泡含有水を浴槽(6)内に吐出して浴槽(6)に微細気泡が連続的に形成されるように構成されている。
【0019】
具体的には、微細気泡発生装置(1)には、吸込ノズル(7)や空気導入部(31)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(加圧容器)(10)、吐出ノズル(8)などが備えられている。
【0020】
そして、これらのうち、吸込ノズル(7)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(10)及び吐出ノズル(8)が配管(2)によってこの順に直列状に接続されていて、微細気泡発生装置(1)内に吸込ノズル(7)から取り込まれる浴槽(6)内の水を吐出ノズル(8)から吐出して繰り返し循環させる循環流路(30)が形成されている。
【0021】
(吸込ノズル)
吸込ノズル(7)は、浴槽(6)内の水を取り込むために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吸込ノズル(7)は、その先端に浴槽(6)の水を取り込む吸込口(37)を有し、この吸込口(37)には、水中の異物を除去するフィルタが装着されている。そして、この吸込ノズル(7)は、例えば柔軟なホース等の送水経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は空気混合部(3)に連通している。
【0022】
(空気導入部)
空気導入部(31)は、主として空気を外部から取り込むために設けられていて、吸気量調整弁(吸気量調整部)(5c)や逆止弁(5d)などを有し、これら各装置が吸入管(5b)で接続されている。
【0023】
吸入管(5b)の先端には外部から空気を取り込むための吸気口(38)が大気中に開放されており、この吸気口(38)には、空気中に浮遊する塵埃等を捕捉して装置内への侵入を防ぐ吸気フィルタ(9b)が設けられている。
【0024】
そして、空気導入部(31)の下流側には、空気混合部(3)へ導入される空気の流量を調整(制限)するための吸気量調整弁(5c)と、空気混合部(3)内の空気や水が吸入管(5b)の上流側へ逆流するのを防止するための逆止弁(5d)とが上流側からこの順に一列に設けられ、吸入管(5b)の末端は空気混合部(3)に接続されている。
【0025】
また、空気導入部(31)には排気管(5a)が接続されているが、これについては別途後述する。
【0026】
(空気混合部)
空気混合部(3)は、浴槽(6)から取り込まれて流れてくる水の中に所定量の空気を導入するために設けられていて、例えば、外観視でY字やT字状の分岐配管等で構成され、二股に分岐した一方の端部が吸込ノズル(7)に連通し、他方の端部が空気導入部(31)に連通している。そして、その一方の端部から浴槽(6)の水が流れ込み、その水流に引き込まれるようにして他方の端部から空気導入部(31)で取り込まれた空気が流れ込んで、概ね所定の割合で空気と水とが混ざった状態の水(空気混合水ともいう)が形成されて加圧ポンプ(4)に吸引されるようになっている。
【0027】
(加圧ポンプ)
加圧ポンプ(4)は、こうして得られる空気混合水を加圧して溶存水生成器(10)に送水し、同時に循環流路(30)内で浴槽(6)の水を循環させるために設けられている。本実施形態の加圧ポンプ(4)には、所謂カスケードポンプ(渦流ポンプ)が用いられていて、例えば、ゲージ圧で2〜3kg/cm2(0.2〜0.3MPa)程度に加圧して送水することができるようになっている。
【0028】
(溶存水生成器)
溶存水生成器(10)は、略密閉状の圧力容器となっていて、加圧ポンプ(4)で加圧された空気混合水を受け入れて、空気が水中に比較的高濃度で溶存した状態の水(この状態の水を空気溶存水ともいう)を生成するために設けられていて、この微細気泡発生装置(1)における主要な装置となっている。
【0029】
すなわち、図2に示すように、加圧状態にあるタンク(11)内に一時的に空気混合水を貯留し、その空気混合水に対してバブリングを行って気液を強制的に接触させ、空気の溶存を促進させて効率よく空気溶存水を生成するように構成されている。
【0030】
詳しくは、上記タンク(11)は、円板状の底部(11a)と、この底部(11a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(11b)と、胴部(11b)の上方の開口部分を閉じる蓋部(11c)とを備えている。尚、蓋部(11c)には排気弁(40)が設けられているが、これについては後述する。
【0031】
蓋部(11c)の上面中央部には導入口(14)が、胴部(11b)の下部には導出口(20)が、それぞれ開口しており、導入口(14)は導入管(26)を介して、導出口(20)は導出管(27)を介して、それぞれ循環流路(30)を構成する配管(2)に連通している。
【0032】
タンク(11)には、底部(11a)から上方に向かって延び、且つ、円筒形状の胴部(11b)と同心に形成された円筒状の仕切壁(13)が備えられている。この仕切壁(13)は、その上端部が蓋部(11c)と離間するように形成されていて、仕切壁(13)に囲まれた空間である溶存促進部(15)と、仕切壁(13)と胴部(11b)との間の空間である気液分離部(19)とが、仕切壁(13)の上方に形成される連通路(18)を介して連通している。なお、タンク(11)内の空気溶存水は、その液面高さが仕切壁(13)の上端部よりも上になるように調整されている。
【0033】
タンク(11)の仕切壁(13)の内側には、タンク(11)の蓋体(11c)から下方に向かって延び、且つ、仕切壁(13)と同心に形成された円筒状の案内筒(12)が設けられていて、案内筒(12)と仕切壁(13)との間には案内部(17)が形成されている。案内筒(12)は、その下端部が底部(11a)から離間するように形成されていて、案内筒(12)と底部(11a)との間に、溶存促進部(15)と案内部(17)とに連通する案内通路(16)が形成されている。
【0034】
導入口(14)には、タンク(11)の内方に突出する噴射ノズル(28)が接続されている。この噴射ノズル(28)は、中空の円盤状に形成されていて、その下面には細孔状の複数の噴射口(28a)が形成されている。そして、導入口(14)から噴射ノズル(28)内に導入された空気混合水はこれら噴射口(28a)から溶存促進部(15)へ向かって勢いよく噴射され、溶存促進部(15)では激しい気泡と水の流動が形成されて水中への空気の溶存が促進されるようになっている(バブリング処理)。
【0035】
このように、溶存促進部(15)内に導入されて形成された空気溶存水は、案内通路(16)を介して案内部(17)へ流れ込んだ後、案内部(17)を上方へ流れて、連通路(18)を通って気液分離部(19)へ流入し、下方へ流れて導出口(20)から導出される(図2中の矢印参照)。
【0036】
(吐出ノズル)
吐出ノズル(8)は、空気溶存水中に微細気泡を多量に発生させ、この微細気泡を含有する微細気泡含有水を浴槽(6)内へ吐出するために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吐出ノズル(8)は、例えば柔軟なホース等の吐出経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は溶存水生成器(10)に連通している。
【0037】
吐出ノズル(8)の内部に設けられた空気溶存水が流れる通路には、流路断面積が小さくなった絞り部(39)、いわゆるオリフィスが形成されている。これにより、空気溶存水がオリフィスを通過する際に急激に減圧されて微細気泡が多量に発生し、発生した微細気泡が水とともに浴槽(6)内へ吐出されるようになっている。
【0038】
−微細気泡発生装置の動作−
通常の運転時における動作を説明すると、まず、水が貯留された浴槽(6)内に吸込ノズル(7)と吐出ノズル(8)とが沈められた状態で、加圧ポンプ(4)に呼水を供給して加圧ポンプ(4)や送水経路に水を満たして駆動できるようにして、微細気泡発生装置(1)を作動させる主電源スイッチをオンにする。そうすると、加圧ポンプ(4)が駆動して浴槽(6)内の水が循環流路(30)を循環するようになる。
【0039】
このとき空気混合部(3)では、循環する水の流れによって空気導入部(31)から空気が引き込まれて空気混合水が形成される。そして、その空気混合水が加圧ポンプ(4)で溶存水生成器(10)に圧送され、上述したように加圧下でバブリング処理が行われて水中への空気の溶存が促進されて空気溶存水が形成され、吐出ノズル(8)から微細気泡含有水として浴槽(6)中に吐出される。このような動作が連続的に行われることで、浴槽(6)内ではその水量が変わることなく絶えず微細な気泡が多量に形成されることとなる。
【0040】
そして、運転停止時には、例えば主電源スイッチをオフにすると、加圧ポンプ(4)が停止し、水の循環や空気の取り込みも無くなって溶存水生成器(10)内の圧力も常圧に戻り、加圧ポンプ(4)や溶存水生成器(10)等の内部にあった水が自然に排出される。
【0041】
微細気泡発生装置(1)の運転中には、溶存水生成器(10)内に水に溶存できなかった空気(上述した窒素リッチエア)が溜まって増加するため、この装置ではその余剰空気を排出するために排気弁(40)が設けられている。
【0042】
(排気弁)
排気弁(40)は、図3に詳しく示すように、ケーシング(41)と、このケーシング(41)内に流入した空気混合水あるいは空気溶存水(単に空気溶存水ともいう)に浮かぶように収容される球状のフロート(43)と、フロート(43)に一端側で接続され、他端に設けられた弁部(42a)がケーシング(41)に形成された排気口(45)を開閉する概略棒状の弁体(42)と、を備えている。
【0043】
フロート(43)は、内部が空洞の球形状であり、空気溶存水に浮かんでその液面高さに応じてケーシング(41)内を上下動するように収容されている。上下動時に傾かないように、フロート(43)にはケーシング(41)の内壁に沿って案内する板状のガイド部(43b)が設けられている。
【0044】
ケーシング(41)には、排気口(45)のケーシング内側に弁体(42)の弁部(42a)が収容される弁部収容空間(47)が区画形成されている。この弁部収容空間(47)のケーシング内側を区画する壁部には、弁体(42)の棒状部分のみの挿通を許す小さな貫通穴が形成されていて、弁体(42)の抜け止め及び位置ずれが防止されている。
【0045】
排気弁(40)の下方には、これと連通する円筒状の排気筒(21)が設けられていて、その上端が排気弁(40)のケーシング(41)に接続され、下端がタンク(11)内に突出して空気溶存水の液面に接触するように設けられている。
【0046】
加圧によって排気筒(21)内に空気溶存水が流入し、その液面は排気弁(40)のケーシング(41)内の高さにまで達している。排気筒(21)内には、表面張力によって空気溶存水の流入が阻害されないようにサイフォンロッド(46)が設けられている。また、排気筒(21)の下方には、フロート(43)が溶存水生成器(10)内の空気溶存水の流動の影響を受けて誤動作しないように、4本の棒状の固定部材(24)で接続された円板状の整流板(25)が設けられている。
【0047】
そして、溶存水生成器(10)内に余剰空気がそれほど溜まっていない場合には、図3に示すように、フロート(43)は上昇していて、弁体(42)が水平状態に近づき、弁部(42a)が排気口(45)に密着して閉状態となっている(閉止位置)。
【0048】
溶存水生成器(10)内に余剰空気が増えてケーシング(41)内の空気溶存水の液面高さが下がると、図4に示すように、フロート(43)が下降する(開放位置)。そうすると、弁体(42)が傾いて弁部(42a)がケーシング(41)の排気口(45)から離れるため、ケーシング(41)内に溜まった余剰空気が一気に外部へ排出される。余剰空気が排出されると、フロート(43)は上昇して閉止位置に戻る。
【0049】
(排気管)
このように、微細気泡発生装置(1)の運転中には、不定期なタイミングで一時的に排気が行われるが、このとき、排出される余剰空気の勢いによって空気溶存水の一部が一緒に排出されたり、高湿度な空気が排出されてしまうおそれがある。
【0050】
微細気泡発生装置(1)が浴室内に設置されているのであれば、特に支障はないかもしれないが、脱衣所等に設置されている場合には水が飛散したり、湿気やすくなるなどの不具合を招くおそれがあるため、できるだけ空気と水とを分離して排気するのが好ましい。
【0051】
そこで、この微細気泡発生装置(1)では、排気口(45)に比較的長い排気管(排気経路)(5a)の一端を接続し、他端を空気導入部(31)における吸気口(38)の下流側であって、吸気量調整弁(5c)の上流側の部分(排気管接続部位(50)ともいう)に接続して、そこを流れる間に水と空気とが分離できるようにした。
【0052】
図5は、この微細気泡発生装置(1)の内部構造を示したものであり、符号51は微細気泡発生装置(1)の筐体であり、符号53はこの筐体(51)に開口する、放熱ファン(52)を備えた排気窓、符号54は筐体(51)に開口する吸気窓であり、上述した各部材については同じ符号を付して示してある。
【0053】
この図に示すように、排気管(5a)は細長いチューブ状の配管で構成されていて、排気口(45)から略水平方向あるいは鉛直方向下向きに傾斜した方向に延びて排気管接続部位(50)に接続されている。
【0054】
空気導入部(31)の吸入管(5b)は、吸気量調整弁(5c)から吸気口(38)に向かうその間の部分で略水平方向から屈曲して略鉛直方向に延びており、その屈曲部分に排気管(5a)が接続されている。したがって、吸気口(38)はその排気管接続部位(50)よりも鉛直方向において十分上側に位置しており、水が外部に漏れ難くなっている。
【0055】
しかも、吸入管(5b)の排気管接続部位(50)から吸気量調整弁(5c)側の部分は排気管(5a)と連なって真っ直ぐ延びるように略直線状に接続されているため、排気管(5a)内で分離された水は吸気量調整弁(5c)側に向かって流れ易くなっており、更に水が外部に漏れ難くなっている。
【0056】
また、排気管(5a)は排気窓(53)の放熱ファン(52)の設置部位近傍を通るように配設されていて、流動する外気との熱交換によって空気と水とが分離し易いようになっている。尚、排気弁(40)での排気は一時的なものであるため排気管(5a)や吸入管(5b)に水が溜まって詰まるおそれはない。
【0057】
また、吸気量調整弁(5c)では、単位時間当たりの空気の取り込み量が所定量以上にならないように設定されているが、この空気取り込み量が、排気弁(40)から排気される余剰空気の空気量よりも十分少なく設定されている。
【0058】
したがって、排気弁(40)から余剰空気が排気されると、排気管(5a)を通る間に水と空気とが分離されて、その大部分が吸気口(38)から外部に排出され、分離された水と一部の空気とが再度吸気量調整弁(5c)から取り込まれることとなるため、窒素成分が比較的多い窒素リッチエアは効果的に水と分離されて外部に排気させることができる。
【0059】
吸気口(38)に設けられている吸気フィルタ(9b)として疎水性のフィルターが用いられていれば、空気を支障なく通過させつつ水分の通過を阻止できるため、よりいっそう効果的である。
【0060】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、簡素な構成でありながら、溶存水生成器(10)から余剰空気だけを効率よく排気できるので、装置周辺の雰囲気が湿気やすくなるなどの不具合を招かずに済む。また、水に混ざり難い窒素リッチエアが効果的に排気されて新規な空気が取り込まれるので、空気の品質が安定して空気溶存水を効率よく生成することができるようになる。
【0061】
なお、本発明にかかる微細気泡発生装置は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0062】
例えば、排気管(5a)を螺旋状にしたり扁平にしたりするなど、十分長くあるいは表面積を大きくして気液分離効率を向上させてあってもよい。また、排気管(5a)の途中に公知のサイクロン式セパレータ(気液分離装置)を設けてあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の微細気泡発生装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】溶存水生成器の概略断面図である。
【図3】排気弁の概略断面図である。
【図4】排気時における排気弁の要部を示す概略断面図である。
【図5】微細気泡発生装置の内部構造を示す概略図である。(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】空気等の水に対する溶解度を温度別に表したグラフである。
【符号の説明】
【0064】
1 微細気泡発生装置
2 配管
3 空気混合部
4 加圧ポンプ
5a 排気管
5b 吸入管
5c 吸気量調整弁(吸気量調整部)
5d 逆止弁
6 浴槽
7 吸込ノズル
8 吐出ノズル
9b 吸気フィルタ
10 溶存水生成器(加圧容器)
11 タンク
30 循環流路
31 空気導入部
37 吸込口
38 吸気口
40 排気弁
45 排気口
50 排気管接続部位
51 筐体
52 放熱ファン
53 排気窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、
外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、
上記空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)と、
上記空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)と、
加圧下で上記空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)と、
上記加圧容器(10)に接続されて上記微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)と、を備え、
上記加圧容器(10)には所定状態になると排気口(45)が開く排気弁(40)が設けられ、
上記空気導入部(31)における上記吸気口(38)の下流側の部分と、上記排気口(45)との間に管状の排気経路(5a)が設けられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生装置であって、
上記空気導入部(31)における上記排気経路(5a)の接続部位(50)の下流側に、空気の取り込み量を制限する吸気量調整部(5c)が設けられていて、
上記吸気量調整部(5c)の空気取り込み量が、上記排気弁(40)から排気される空気量よりも少なくなるように設定されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微細気泡発生装置であって、
上記吸気口(38)が、上記排気経路(5a)の接続部位(50)よりも鉛直方向において上側に位置していることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の微細気泡発生装置であって、
上記吸気口(38)に疎水性のフィルター(9b)が設けられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項1】
水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、
外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、
上記空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)と、
上記空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)と、
加圧下で上記空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)と、
上記加圧容器(10)に接続されて上記微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)と、を備え、
上記加圧容器(10)には所定状態になると排気口(45)が開く排気弁(40)が設けられ、
上記空気導入部(31)における上記吸気口(38)の下流側の部分と、上記排気口(45)との間に管状の排気経路(5a)が設けられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生装置であって、
上記空気導入部(31)における上記排気経路(5a)の接続部位(50)の下流側に、空気の取り込み量を制限する吸気量調整部(5c)が設けられていて、
上記吸気量調整部(5c)の空気取り込み量が、上記排気弁(40)から排気される空気量よりも少なくなるように設定されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微細気泡発生装置であって、
上記吸気口(38)が、上記排気経路(5a)の接続部位(50)よりも鉛直方向において上側に位置していることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の微細気泡発生装置であって、
上記吸気口(38)に疎水性のフィルター(9b)が設けられていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−155212(P2010−155212A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334935(P2008−334935)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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