説明

微細気泡発生装置

【課題】簡単な構成で余剰空気量を安定して制御できる微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)である。吸気口(38)を有する空気導入部(31)や、取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、加圧下で空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)、吐出ノズル(8)、空気の流路を開閉する開閉弁(5c)、水位センサ(60)、余剰空気調整部(61)などが設けられている。加圧容器(10)内の水位が所定の範囲内に維持されるよう、水位が所定の下限位置(L)より低下した場合には開閉弁(5c)が閉じ、水位が所定の上限位置(H)より上昇した場合には開閉弁(5c)が開くように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に関し、その中でも特に加圧容器内に溜まる余剰空気の処理機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の微細気泡発生装置はいくつか提案されている(特許文献1等)。例えば、この装置は、水と空気とを混合して空気混合水を形成し、この空気混合水を加圧してその水中に空気を溶解させ、その空気溶解水を一気に浴槽に漬けた吐出ノズルから吐出して浴槽に多量の微細気泡が形成されるように構成されている。このように入浴中に微細気泡の作用を受けると温浴効果等が得られるため、よりリラックスして入浴を楽しむことができるようになる。
【0003】
特許文献1の微細気泡発生装置には、未溶解の気体を分離するための大型のアキュムレータ(加圧容器)が備えられていて、そこに溜まった余剰気体を再利用するために、気体を供給する気体供給管とアキュムレータとに連通する余剰気体戻し管が備えられている。アキュムレータ内は比較的高圧に加圧されているので、そこでは排気量を調整してアキュムレータの内圧が大きく変動しないようにしている。
【特許文献1】特開平5−68700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように加圧された加圧容器内から、内圧が大きく変動しないように余剰気体を排気させるのは容易ではない。たとえば、単純な開閉式の電磁バルブのようなものであれば、バルブを開けたときに、一気に大気開放されて余剰空気が排出されるため内圧変動は避けられないし、異音の発生等の不具合を招くおそれもある。排気口を狭めて徐々に排出するようにしても、排気量を減らせばそれだけ排気に時間がかかり、余剰空気の増加量の方が上回って排気できなくなるおそれもある。
【0005】
したがって、内圧変動を抑制しながら排気するためには、例えば排気量を確保しながら圧力差を徐々に解消できるような機構が必要であり、そのために比較的複雑で大掛かりな装置を組み込まざるを得ないという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的簡単な構成でありながらも、内圧変動を招くことなく加圧容器内の余剰空気量を安定して制御できる微細気泡発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、加圧容器(10)内に溜まる余剰空気を排気せずに、水に対する空気の溶け込み易さを変えることで一定の範囲に制御できるようにした。
【0008】
すなわち、本発明は、水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、上記空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)と、上記空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)と、加圧下で上記空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)と、上記加圧容器(10)に接続されて上記微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)と、を備え、上記空気導入部(31)に空気の流路を開閉する開閉弁(5c)が設けられ、上記加圧容器(10)内の水位が所定の下限値以下になった場合に、所定の上限値以上になるまで上記開閉弁(5c)が閉じられるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
係る構成によれば、加圧容器(10)内の水位が所定の下限値以下になった場合、つまり加圧容器(10)内に溜まる空気が所定量以上に増加すると、加圧容器(10)には水だけが供給されるので、相対的に余剰空気が水に混ざり込み易くなり、余剰空気が徐々に減少していく。そして、余剰空気が減少して水位が所定の上限値以上になれば再度空気が取り込まれて加圧容器(10)に空気の混ざった水が供給されるので、加圧容器(10)の余剰空気量が過度に増えないように所定範囲に維持することができ、排気を行わなくとも余剰空気量を比較的安定して制御することができる。
【0010】
具体的には、上記加圧容器(10)に、これに貯留される上記空気混合水の水位を計測する水位センサ(60)が設けられ、上記水位センサ(60)の計測値に応じて上記開閉弁(5c)を開閉する余剰空気調整手段(61)を有し、上記微細気泡発生装置(1)の作動中において、上記水位が所定の範囲内に維持されるように、上記余剰空気調整手段(61)が、上記水位が所定の下限位置より低下した場合には上記開閉弁(5c)を閉じ、上記水位が所定の上限位置より上昇した場合には上記開閉弁(5c)を開くように設定されているものとすることができる。
【0011】
そうすれば、水位の下限値と上限値との組み合わせによって幅のある制御ができるので、圧力容器(10)内における空気混合水の水面が上下に多少ばらついていてもオンオフ式の制御で余剰空気量を安定して制御することができる。複雑な機構を設けずに済むため、コスト面でも有利である。
【0012】
特に、上記加圧容器(10)が、開口として、上記加圧ポンプ(4)に連通する導入口(14)、及び上記吐出ノズル(8)に連通する導出口(20)のみを有する略密閉容器となっている場合に効果的である。
【0013】
加圧容器(10)に余剰空気を除去する排気経路等が無い分、構造が簡素になり安全性や耐久性等が向上するし、生産コストを抑制することも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、簡単な構成でありながら、加圧容器内の余剰空気量を安定して制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
−微細気泡発生装置の構成−
図1に本発明を適用した微細気泡発生装置(1)の概略構成を示す。この微細気泡発生装置(1)は、人体への温浴効果等を目的として、例えばユニットバス等の浴槽(6)に付設され、浴室に直接設置するのではなく、脱衣所など浴室から少し離れた場所に設置されるように設定されている。
【0017】
この微細気泡発生装置(1)は、浴槽(6)内の水(湯)を循環させる循環流路(30)を備え、その循環流路(30)を循環している水に空気を取り込んで微細な気泡を含有する水(微細気泡含有水ともいう)を生成し、その微細気泡含有水を浴槽(6)内に吐出して浴槽(6)に微細気泡が連続的に形成されるように構成されている。
【0018】
具体的には、微細気泡発生装置(1)には、吸込ノズル(7)や空気導入部(31)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(加圧容器)(10)、吐出ノズル(8)、水位センサ(60)、余剰空気調整部(余剰空気調整手段)(61)などが備えられている。
【0019】
そして、これらのうち、吸込ノズル(7)、空気混合部(3)、加圧ポンプ(4)、溶存水生成器(10)及び吐出ノズル(8)が配管(2)によってこの順に直列状に接続されていて、微細気泡発生装置(1)内に吸込ノズル(7)から取り込まれる浴槽(6)内の水を吐出ノズル(8)から吐出して繰り返し循環させる循環流路(30)が形成されている。
【0020】
(吸込ノズル)
吸込ノズル(7)は、浴槽(6)内の水を取り込むために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吸込ノズル(7)は、その先端に浴槽(6)の水を取り込む吸込口(37)を有し、この吸込口(37)には、水中の異物を除去するフィルタが装着されている。そして、この吸込ノズル(7)は、例えば柔軟なホース等の送水経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は空気混合部(3)に連通している。
【0021】
(空気導入部)
空気導入部(31)は、主として空気を外部から取り込むために設けられていて、吸気量調整弁(5c)や逆止弁(5d)などを有し、これら各装置が吸入管(5b)で接続されている。
【0022】
吸入管(5b)の先端には外部から空気を取り込むための吸気口(38)が大気中に開放されており、この吸気口(38)には、空気中に浮遊する塵埃等を捕捉して装置内への侵入を防ぐ吸気フィルタ(9b)が設けられている。
【0023】
そして、空気導入部(31)の中間部分には、空気混合部(3)へ導入される空気の流量を調整(制限)するための吸気量調整弁(開閉弁)(5c)と、空気混合部(3)内の空気や水が吸入管(5b)の上流側へ逆流するのを防止するための逆止弁(5d)とが上流側からこの順に一列に設けられ、吸入管(5b)の末端は空気混合部(3)に接続されている。
【0024】
吸気量調整弁(5c)は、単位時間当たりの空気の取り込み量が所定量以上にならないように設定されていて、必要に応じて調整可能となっている。更に、本実施形態の吸気量調整弁(5c)は、その空気の流路を開閉して空気の取り込みをオンオフできる機能をも有している。そして、この空気の取り込みのオンオフは余剰空気調整部(61)によって制御されている。
【0025】
(空気混合部)
空気混合部(3)は、浴槽(6)から取り込まれて流れてくる水の中に所定量の空気を導入するために設けられていて、例えば、外観視でY字やT字状の分岐配管等で構成され、二股に分岐した一方の端部が吸込ノズル(7)に連通し、他方の端部が空気導入部(31)に連通している。そして、その一方の端部から浴槽(6)の水が流れ込み、その水流に引き込まれるようにして他方の端部から空気導入部(31)で取り込まれた空気が流れ込んで、概ね所定の割合で空気と水とが混ざった状態の水(空気混合水ともいう)が形成されて加圧ポンプ(4)に吸引されるようになっている。
【0026】
(加圧ポンプ)
加圧ポンプ(4)は、こうして得られる空気混合水を加圧して溶存水生成器(10)に送水し、同時に循環流路(30)内で浴槽(6)の水を循環させるために設けられている。本実施形態の加圧ポンプ(4)には、所謂カスケードポンプ(渦流ポンプ)が用いられていて、例えば、ゲージ圧で2〜3kg/cm2(0.2〜0.3MPa)程度に加圧して送水することができるようになっている。
【0027】
(溶存水生成器)
溶存水生成器(10)は、略密閉状の圧力容器となっていて、加圧ポンプ(4)で加圧された空気混合水を受け入れて、空気が水中に比較的高濃度で溶存した状態の水(この状態の水を空気溶存水ともいう)を生成するために設けられていて、この微細気泡発生装置(1)における主要な装置となっている。
【0028】
すなわち、図2に示すように、加圧状態にあるタンク(11)内に一時的に空気混合水を貯留し、その空気混合水に対してバブリングを行って気液を強制的に接触させ、空気の溶存を促進させて効率よく空気溶存水を生成するように構成されている。
【0029】
詳しくは、上記タンク(11)は、円板状の底部(11a)と、この底部(11a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(11b)と、胴部(11b)の上方の開口部分を閉じる蓋部(11c)とを備えている。なお、蓋部(11c)には水位センサ(60)が液密状に設けられているが、これについては別途後述する。
【0030】
蓋部(11c)の上面中央部には導入口(14)が、胴部(11b)の下部には導出口(20)が、それぞれ開口しており、導入口(14)は導入管(26)を介して、導出口(20)は導出管(27)を介して、それぞれ循環流路(30)を構成する配管(2)に連通している。
【0031】
本実施形態の溶存水生成器(10)は、これら導入口(14)及び導出口(20)のみが開口しているだけの略密閉容器となっており、安全性や耐久性に優れ、水漏れ等が生じ難い構造となっている。
【0032】
タンク(11)には、底部(11a)から上方に向かって延び、且つ、円筒形状の胴部(11b)と同心に形成された円筒状の仕切壁(13)が備えられている。この仕切壁(13)は、その上端部が蓋部(11c)と離間するように形成されていて、仕切壁(13)に囲まれた空間である溶存促進部(15)と、仕切壁(13)と胴部(11b)との間の空間である気液分離部(19)とが、仕切壁(13)の上方に形成される連通路(18)を介して連通している。なお、タンク(11)内の空気溶存水は、その液面高さが仕切壁(13)の上端部よりも上になるように調整されている。
【0033】
タンク(11)の仕切壁(13)の内側には、タンク(11)の蓋体(11c)から下方に向かって延び、且つ、仕切壁(13)と同心に形成された円筒状の案内筒(12)が設けられていて、案内筒(12)と仕切壁(13)との間には案内部(17)が形成されている。案内筒(12)は、その下端部が底部(11a)から離間するように形成されていて、案内筒(12)と底部(11a)との間に、溶存促進部(15)と案内部(17)とに連通する案内通路(16)が形成されている。
【0034】
導入口(14)には、タンク(11)の内方に突出する噴射ノズル(28)が接続されている。この噴射ノズル(28)は、中空の円盤状に形成されていて、その下面には細孔状の複数の噴射口(28a)が形成されている。そして、導入口(14)から噴射ノズル(28)内に導入された空気混合水はこれら噴射口(28a)から溶存促進部(15)へ向かって勢いよく噴射され、溶存促進部(15)では激しい気泡と水の流動が形成されて水中への空気の溶存が促進されるようになっている(バブリング処理)。
【0035】
このように、溶存促進部(15)内に導入されて形成された空気溶存水は、案内通路(16)を介して案内部(17)へ流れ込んだ後、案内部(17)を上方へ流れて、連通路(18)を通って気液分離部(19)へ流入し、下方へ流れて導出口(20)から導出される(図2中の矢印参照)。
【0036】
(吐出ノズル)
吐出ノズル(8)は、空気溶存水中に微細気泡を多量に発生させ、この微細気泡を含有する微細気泡含有水を浴槽(6)内へ吐出するために設けられていて、浴槽(6)内に貯留された水の中に沈めるように浴槽(6)の底部近くに配置される。吐出ノズル(8)は、例えば柔軟なホース等の吐出経路(配管(2)の一部を構成している)の一端に接続されていて、その他端は溶存水生成器(10)に連通している。
【0037】
吐出ノズル(8)の内部に設けられた空気溶存水が流れる通路には、流路断面積が小さくなった絞り部(39)、いわゆるオリフィスが形成されている。これにより、空気溶存水がオリフィスを通過する際に急激に減圧されて微細気泡が多量に発生し、発生した微細気泡が水とともに浴槽(6)内へ吐出されるようになっている。
【0038】
(水位センサ)
水位センサ(60)は、溶存水生成器(10)内に貯留されている空気溶存水の水位を連続的に計測して、余剰空気調整部(61)にその信号を出力するように設けられており、公知の電極等を用いた水位センサの中から仕様に応じて選択されたものが使用される。
【0039】
ここでの水位センサ(60)は、本体部(62)と、この本体部(62)から突出した棒状のセンサ部(63)とを有し、その本体部(62)が蓋部(11c)の外側に位置してセンサ部(63)がタンク(11)内に下向きに突出するように取り付けられている。
【0040】
センサ部(63)は、その先端側に水位の下限位置を検出する下限検出部位(63a)を有し、その基端側に水位の上限位置を検出する上限検出部位(63b)を有している。これら下限検出部位(63a)と上限検出部位(63b)は、上下に所定の間隔を空けて設けられている。そして、そのセンサ部(63)の先端部分、詳しくは下限検出部位(63a)が設けられている部分が仕切壁(13)の上側に位置するように設定されている。センサ部(63)で計測される水位の信号は、本体部(62)から絶えず余剰空気調整部(61)に送信されるように構成されている。
【0041】
(余剰空気調整部)
余剰空気調整部(61)は、この水位センサ(60)の計測値に応じて吸気量調整弁(5c)を制御するために設けられており、CPUやROM等のハードウエアや、これらハードウエアと協働して吸気量調整弁(5c)を制御するようにプログラムされたソフトウエアなどで構成されている。この余剰空気調整部(61)による制御については別途後述する。
【0042】
−微細気泡発生装置の動作−
通常の運転時における動作を説明すると、まず、水が貯留された浴槽(6)内に吸込ノズル(7)と吐出ノズル(8)とが沈められた状態で、加圧ポンプ(4)に呼水を供給して加圧ポンプ(4)や送水経路に水を満たして駆動できるようにして、微細気泡発生装置(1)を作動させる主電源スイッチをオンにする。そうすると、加圧ポンプ(4)が駆動して浴槽(6)内の水が循環流路(30)を循環するようになる。
【0043】
このとき空気混合部(3)では、循環する水の流れによって空気導入部(31)から空気が引き込まれて空気混合水が形成される。そして、その空気混合水が加圧ポンプ(4)で溶存水生成器(10)に圧送され、上述したように加圧下でバブリング処理が行われて水中への空気の溶存が促進されて空気溶存水が形成され、吐出ノズル(8)から微細気泡含有水として浴槽(6)中に吐出される。このような動作が連続的に行われることで、浴槽(6)内ではその水量が変わることなく絶えず微細な気泡が多量に形成されることとなる。
【0044】
そして、運転停止時には、例えば主電源スイッチをオフにすると、加圧ポンプ(4)が停止し、水の循環や空気の取り込みも無くなって溶存水生成器(10)内の圧力も常圧に戻り、加圧ポンプ(4)や溶存水生成器(10)等の内部にあった水が自然に排出される。
【0045】
ところで、この微細気泡発生装置(1)の運転中には、溶存水生成器(10)内に水に溶存できなかった空気が溜まって増加する。
【0046】
そこで、本実施形態の微細気泡発生装置(1)では、この溶存水生成器(10)内に溜まる余剰空気を排気せずに、水に対する空気の溶け込み易さを変えることで一定の範囲に制御できるようにした。
【0047】
すなわち、溶存水生成器(10)内に滞留する空気が所定の上限量以上になった場合に、所定の下限量以下になるまで空気の供給を停止して水のみが溶存水生成器(10)に供給されるように構成されている。
【0048】
具体的には、この余剰空気量の調整制御は水位センサ(60)と、余剰空気調整部(61)と、吸気量調整弁(5c)との協働によって実現されており、図3に、その余剰空気量の調整制御の流れを表したフローチャートを示す。
【0049】
このフローチャート及び図2を用いて説明すると、この制御は装置運転中における余剰空気量を調整するものであるため、まず余剰空気調整部(61)によって微細気泡発生装置(1)が運転中であるか否かが判断される(ステップS1)。
【0050】
そして、微細気泡発生装置(1)が運転中である場合には(ステップS1でYES)、タンク(11)内の空気溶存水あるいは空気混合水(単に空気溶存水ともいう)の水位が所定の下限位置(図2において仮想線Lで示す)以下かどうかが判断される(ステップS2)。具体的には、水位センサ(60)の下限検出部位(63a)が空気溶存水に接して(浸かって)いなければ下限位置(L)以下であると判断するようになっており、水位センサ(60)からその下限検出部位(63a)による検出信号が余剰空気調整部(61)に送信されるため、それによって余剰空気調整部(61)が判断する。
【0051】
そして、その水位が所定の下限位置(L)以下であると判断されると(ステップS2でYES)、余剰空気調整部(61)によって吸気量調整弁(5c)が閉じられ、空気の供給が停止される(ステップS3)。そうすると、タンク(11)内の空気溶存水に含まれる空気の割合が減少していくため、それだけ余剰空気は空気溶存水に溶け込み易くなるので、余剰空気量が減少して空気溶存水の水面は上昇していく。
【0052】
また、水位センサ(60)は、タンク(11)の空気溶存水の水位が所定の上限位置(図2において仮想線Hで示す)以上かどうかも判断している(ステップS4)。具体的には、水位センサ(60)の上限検出部位(63b)が空気溶存水に接して(浸かって)いれば上限位置(H)以上であると判断するようになっており、水位センサ(60)からその上限検出部位(63b)による検出信号が余剰空気調整部(61)に送信されるため、それによって余剰空気調整部(61)が判断する。
【0053】
そして、水位が所定の上限位置(H)以上であると判断されると(ステップS4でYES)、余剰空気調整部(61)によって吸気量調整弁(5c)が開放され、空気の供給が再開される(ステップS5)。そうして、微細気泡発生装置(1)の運転が停止されるまで、この余剰空気量の調整制御が連続的に行われることとなる(ステップS6)。
【0054】
このように、上下に所定の間隔を空けて設けられた所定の下限位置(L)と所定の上限位置(H)とで制御することで、タンク(11)内の空気溶存水の水面が多少大きく上下動していても、比較的安定して制御することができる。また、2つの検出信号による弁の開閉だけで制御することができ、複雑な制御機構を設けずに済む。
【0055】
以上説明したように、本発明の微細気泡発生装置によれば、比較的簡単な構成でありながら、溶存水生成器(10)内の余剰空気量を比較的安定して制御できるようになる。
【0056】
なお、本発明にかかる微細気泡発生装置は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0057】
例えば、上記実施形態では、溶存水生成器(10)に余剰空気を排気する排気弁を設けなかったが、溶存水生成器(10)に排気弁が設けてあってもよい。その場合、通常の運転時には水位センサ(60)等によって余剰空気量を調整し、何らかのトラブル等で調整が追いつかずに急激に余剰空気量が増えた場合などに排気弁で強制排気すればよい。
【0058】
水位センサ(60)も、長さの異なる2本の電極棒を有するタイプや、非接触タイプなどであってもよい。
【0059】
余剰空気量の調整制御は装置の運転中だけでなく、運転開始時から行ってもよい。その場合、運転当初は水だけが供給されることとなるが、溶存水生成器(10)内の水位が上限位置(H)以上になれば空気が供給されるので、次第に微細気泡含有水が生成されるようになる。
【0060】
水位センサを用いた制御以外にも、例えば圧力センサを用いて溶存水生成器(10)の内圧変化を計測し、その変化に応じて制御するようにしてもよい。要は、溶存水生成器(10)内の余剰空気量の変化が計測できればよく、それに応じて空気混合水に含まれる空気量を調整すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の微細気泡発生装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】溶存水生成器の概略断面図である。
【図3】余剰空気量の調整制御の流れを表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 微細気泡発生装置
3 空気混合部
4 加圧ポンプ
5a 排気管
5b 吸入管
5c 吸気量調整弁(開閉弁)
5d 逆止弁
6 浴槽
7 吸込ノズル
8 吐出ノズル
9b 吸気フィルタ
10 溶存水生成器(加圧容器)
11 タンク
14 導入口
20 導出口
30 循環流路
31 空気導入部
37 吸込口
38 吸気口
60 水位センサ
61 余剰空気調整部(余剰空気調整手段)
62 本体部
63 センサ部
63a 下限検出部位
63b 上限検出部位
L 下限位置
H 上限位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と空気とを取り込んで微細な気泡を含有する微細気泡含有水を生成して吐出する微細気泡発生装置(1)であって、
外部から空気を取り込む吸気口(38)を有する空気導入部(31)と、
上記空気導入部(31)で取り込まれる空気と水とを混合して空気混合水を形成する空気混合部(3)と、
上記空気混合水を加圧して送水する加圧ポンプ(4)と、
加圧下で上記空気混合水を一時的に貯留してバブリングを行う加圧容器(10)と、
上記加圧容器(10)に接続されて上記微細気泡含有水を吐出する吐出ノズル(8)と、を備え、
上記空気導入部(31)に空気の流路を開閉する開閉弁(5c)が設けられ、
上記加圧容器(10)内の水位が所定の下限値以下になった場合に、所定の上限値以上になるまで上記開閉弁(5c)が閉じられるように構成されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生装置であって、
上記加圧容器(10)に、これに貯留される上記空気混合水の水位を計測する水位センサ(60)が設けられ、
上記水位センサ(60)の計測値に応じて上記開閉弁(5c)を開閉する余剰空気調整手段(61)を有し、
上記微細気泡発生装置(1)の作動中において、上記水位が所定の範囲内に維持されるように、上記余剰空気調整手段(61)が、上記水位が所定の下限位置(L)より低下した場合には上記開閉弁(5c)を閉じ、上記水位が所定の上限位置(H)より上昇した場合には上記開閉弁(5c)を開くように設定されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微細気泡発生装置であって、
上記加圧容器(10)が、開口として、上記加圧ポンプ(4)に連通する導入口(14)、及び上記吐出ノズル(8)に連通する導出口(20)のみを有する略密閉容器となっていることを特徴とする微細気泡発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−155213(P2010−155213A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334945(P2008−334945)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】