説明

微酸化セルロースのナノ粒子

本発明は、新規なナノスケールセルロース粒子を提供し、そしてその製造方法をも提供する。得られるセルロース系粒子は、体積平均粒子サイズ300nm未満を有する。これらのナノ粒子は、微酸化されたセルロースから、そして分散の後または間の水含有媒体中へのエネルギーの入力によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なナノスケールセルロース粒子に関し、そしてその製造方法および使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術およびバイオテクノロジーと並び、ナノテクノロジーは今や主要な技術開発と考えられている。一般的に、ナノテクノロジーは、数百ナノメートル(nm)以下の大きさの構造物の構造、特性および効果/活性に関係する。用途は日常生活における殆ど全ての領域、例えばエネルギー技術、環境技術、情報技術ならびに薬剤および医療の分野において生まれている。
【0003】
セルロースは地球上で最も一般的に産生するバイオポリマーであり、従って、世界的に最も重要な再生可能原料である。植物における骨格物質の主構成成分として、セルロースは傑出した分子特性を有する。その天然状態においても、これは、ナノ粒子の典型的な寸法(3〜10nm幅および100nm以下の長さ)を有する秩序領域(晶子)を含有する。しかし、これらの領域は、互いに非結晶高分子を介して、および二次原子価結合(水素結合)も介して接続している。
【0004】
上部構造を大部分で有さないセルロース系ナノ粒子を製造するための種々の取組みがこれまでに進められてきた。その一般的な思想は、セルロースのそれぞれの粒子を互いに分離し、安定化させて、固い不可逆の凝集により一緒に結合していない一次粒子を達成するためのものである。
【0005】
これは典型的には機械的および/または化学的な操作を含む(De Souza Lima,Borsali,Macromol.Rapid Commun.25(2004)771,Ono,Shimaya,Hongo,Yamane,Transactions of the Materials Research Society of Japan 26(2001)569,Ioelovich,Leykin,Cellulose Chem.Technol.40(2006)313,Zhang,Elder,Pu,Ragauskas,Carbohydr.Polym.69(2007)607,US−A2005 0239744号,WO2006/034837A2号,EP1582551A1号,DE3047351C2号)。
【0006】
CN1470552号は、約50〜200nmのサイズのセルロース粒子の製造を開示し、ここでセルロースはまず好適な溶媒中に溶解させ、そして続いて激しい撹拌により沈降溶液中に分散させる。粒子(これはプロセスにおいて形成する)を安定化させることは、外部乳化剤,例えば脂肪酸塩またはアルキルベンゼンスルホネートの添加を必要とする。このプロセスは、セルロース量0.5質量%未満の極めて希薄な分散体を提供するのみである。
【0007】
CN1749278A号は、植物繊維(これはアルカリ消化に供される)から、酸化的な漂白および分解(水酸化ナトリウムの水性溶液および塩素ガスで)、ならびにまた続いて激しい超音波処理で、10〜20nmサイズのセルロースの球状粒子を含有するゲルを得ることに進んでいる。このプロセスは、ポリマー鎖の相当程度の分解をもたらす可能性がある。この文献には、この鎖分解の度合いまたはこのプロセス後に評価されるセルロースの任意の酸化の性質および度合いについて、データは記録されていない。
【0008】
種々の酸化度を有する酸化されたセルロースが、Montanariら.(Macromolecules 38(2005)1665)によって、カルボキシル化セルロースミクロフィブリルの製造のために用いられる。酸化は、一般的に、次亜塩素酸ナトリウム、臭化ナトリウム、および2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO)との反応を含み、そして大部分が無水グルコース単位(AGU)のC6位で起こる。酸化されたセルロースは、酸加水分解に供し、そして次いで機械的に分散させる。安定分散体が最後に得られる。TEM顕微鏡写真は、全てのサンプルがなおセルロースのフィブリル状構造(フィブリル長が明確に200nm超)を示すことの証拠を示す。
【0009】
酸化されたセルロースを得る更なる手法としては、過ヨウ素酸塩(AGUの主に2,3−位における酸化)、リン酸および亜硝酸ナトリウム(AGUの主に6位での酸化)での酸化が挙げられる(Klemm,Philipp,T.Heinze,U.Heinze,Wagenknecht“Comprehensive Cellulose Chemistry”,Wiley−VCH Weinheim 1998,Vol.2,pp.304−309にて)。
【0010】
しかし、これらの方法の結果は、微細さおよび利便性に関して満足いくものではない。これは、文献に記載される多くのプロセスがフィブリル状粒子(これは断面のみにおいてナノスケールであり、そして繊維長が明確に200nm超である)を招来するからである。これまで、1つのプロセスのみが、ナノ粒状セルロースを酸化的分解条件下で製造するために公知であり(すなわち、CN1749278号に記載されるもの)、そしてこれは、かなりのコストおよび不便さを含み、そして高い環境への影響を有する。更に、外部安定剤(これは粒子に共有結合していない)の添加は望ましくない。これらの安定剤は洗い流されるか、多くの用途(例えば薬剤処方の分野において)を妨害する可能性があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、一次粒子に分散可能であり、技術的に比較的簡便なプロセスで、酸加水分解によるセルロースの分解の追加のステップなしで得ることができ、そして粒子形成のために外部の乳化剤を必須には必要としない、新規なセルロース系ナノ粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
我々は、この目的が、特定の微酸化されたセルロースの剪断または超音波の分散によって実現されることを見出した。
【0013】
本発明は従って、動的レーザー光散乱によって測定したときの体積平均粒子サイズ(D50値)が300nm未満、好ましくは200nm未満、およびより好ましくは100nm未満である微酸化されたセルロースの粒子を提供する。
【0014】
本発明は、更に、動的レーザー光散乱によって測定したときの体積平均粒子サイズ(D50値)が300nm未満、好ましくは200nm未満、およびより好ましくは100nm未満である微酸化されたセルロースの粒子を含有する分散体の製造方法を提供し、該方法は、
a)微酸化されたセルロース、好ましくは微酸化された非ナノスケールセルロースを、水性の、好ましくは強酸性ではない媒体中に導入すること、および
b)同時にまたは続いて、エネルギーの入力によってその中に分散させること
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、例1に従って製造したナノカルボキシセルロース分散体(1質量%)の動的レーザー光散乱測定を示す。
【図2】図2は、例2に従って製造したナノカルボキシセルロース分散体(1質量%)の動的レーザー光散乱測定を示す。
【図3】図3は、例3に従って製造したナノカルボキシセルロース分散体(1質量%)の動的レーザー光散乱測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい態様において、アモルファスセルロース粒子のD90値(およびより好ましくはD95値も)は、300nm未満、好ましくは200nm未満、およびより好ましくは100nm未満であり、粒子は好ましくは凝集体を有さずに存在する(すなわち一次粒子に分散している)。
【0017】
本発明に係る上記方法におけるステップa)のために好適な微酸化されたセルロース、好ましくは微酸化された非ナノスケールセルロースは、全ての市販パルプ,例えば、化学パルプ、紙グレードパルプ、微結晶セルロースまたはリンターセルロースから得ることができる。
【0018】
「非ナノスケールセルロース」は、体積平均粒子サイズ(D50値)が少なくとも300nm、好ましくは少なくとも200nmおよびより好ましくは少なくとも100nm(動的レーザー光散乱で測定したとき)であるセルロースを意味する。
【0019】
「微酸化された(slightly oxidized)セルロース」は、最小限に(minimally)酸化されたセルロースを意味する。必要条件である最小限の酸化は、文献において公知のプロセス、例えば過ヨウ素酸塩、リン酸/亜硝酸ナトリウム、または次亜塩素酸ナトリウム(TEMPO触媒下)による酸化により行なうことができ、中でもTEMPO触媒の次亜塩素酸ナトリウム酸化が好ましい。過ヨウ素酸塩による酸化は、主に、グルコース単位のC2−およびC3−位の間の酸化的な環開裂をもたらし、各々の場合において、2つのOH基は2つのアルデヒド基に酸化される。これに対し、リン酸/亜硝酸ナトリウムまたはTEMPO触媒の次亜塩素酸ナトリウムによる酸化は、主に、C6位での1級OH基のカルボキシル基への酸化を招来する。
【0020】
本発明に係る方法において使用する微酸化されたセルロースは、典型的には、平均重合度(DPcuen)が100〜3000の範囲、好ましくは200〜2500の範囲、およびより好ましくは250〜2000の範囲、および更により好ましくは300〜1500の範囲(SCAN−C15:62(“Viscosity of Cellulose in Cupriethylenediamine(CED)”,Scandinavian Pulp,Paper and Boards Testing Cormitee,October 1962にて)に記載される方法に従って評価したとき)である。特に短い鎖の微酸化されたセルロースの使用(例えば先の酸加水分解によって)は必要ではない。
【0021】
本発明に係る方法において、ステップa)において使用する微酸化されたセルロースのカルボキシルまたはカルボニルの量は、典型的には、微酸化されたセルロースに関し、200〜1500mmol/kgの範囲、好ましくは300〜1200mmol/kgの範囲、およびより好ましくは400〜900mmol/kgの範囲である。
【0022】
水は、好ましくは、粒子を分散させるための媒体として使用する。水性媒体(強酸性ではないもの)のpHは、好ましくは、5超、より好ましくは6超、更により好ましくは6〜10の範囲、および更により好ましくは6.5〜8の範囲である。
【0023】
本発明に係る方法において、ステップb)におけるエネルギー入力は、好ましくは少なくとも2000kWh/t、より好ましくは少なくとも5000kWh/tおよび更により好ましくは少なくとも10000kWh/t(微酸化されたセルロースの質量に関して)である。
【0024】
エネルギーは、ステップb)の中に、原則的には当業者に公知の任意の装置および技術を用いて入力できる。好ましくは、ステップb)におけるエネルギーの入力は、超音波機、高速撹拌機、ローター−ステーター原理に基づく分散装置(例えばUltra−Turrax(登録商標)ユニット)、ジェット分散機およびmicrofluidizer(登録商標)型の分散装置を介して行なう。
【0025】
ローター−ステーター原理に基づく分散装置(例えばUltra−Turrax(登録商標)ユニット(IKAから入手可能))は、流動性媒体の乳化、ホモジナイズおよび懸濁のための分散装置である。効果的な周波数は、調整可能であり、加工される物質または物質の混合物に適合可能である。
【0026】
microfluidizer(登録商標)(Microfluidicsから入手可能)の原理は以下のように説明できる。加工される物質は、相互作用チャンバーを介して高圧下に導く。サンプルは、1つまたは2つの狭い通路を通って流れ、そして線速度最大1000m/sまたは更にそれ以上(器具の型に左右される)に達する。これは極めて大きい剪断力を作る。チャンバー内に動く部品はなく、狭い粒子および液滴の分布を確保する。
【0027】
「microfluidizer(登録商標)型の分散装置」は、以下の特徴および機能を含む任意の分散装置を意味する:
−物質(例えば水性媒体中のセルロースまたはセルロース誘導体)を相互作用チャンバーに導くための1つ以上のチャンネル、
−1つ以上の設備(例えば1つ以上のリフトまたはノズル)を含む相互作用チャンバー、
−物質が、高圧下、好ましくは少なくとも20.000MPa、より好ましくは30.000〜300.000MPaで相互作用チャンバーに導かれること、
−高圧との組合せの設備によって相互作用チャンバー内で、導入された物質の速度が(好ましくは少なくとも200m/s、より好ましくは少なくとも500m/s、および更により好ましくは少なくとも1000m/sに)増大すること、ならびに
−相互作用チャンバーを通過した物質流に対して効果的に圧力降下をさせる構造手段。
【0028】
ステージb)におけるエネルギー入力は、原則的に1つ以上の段階で行なうことができるが、可変エネルギー入力を用いて連続的に行なうこともできる。
【0029】
本発明の方法の好ましい態様において、ステップb)におけるエネルギーの入力は、第1段階におけるローター−ステーター原理に基づく分散装置を介したエネルギーの入力、続いて第2段階におけるmicrofluidizer(登録商標)型の分散装置を介したエネルギーの入力、を含む少なくとも2つの段階で行なう。第1段階においては、セルロース粒子の主に繊維構造が崩壊し、一方microfluidizer段階では主に、セルロース分子の鎖長の低下によるナノスケールレンジの粉砕が起こると考えられる。
【0030】
ステップb)において得られる分散体は、微酸化されたセルロースに関しての固形分濃度が、好ましくは0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜3.5質量%、および最も好ましくは0.75質量%〜2.5質量%である。
【0031】
ステップb)において行なう分散(特に、エネルギーの入力による)は、微酸化されたセルロースの重合度の低減の効果を有することができる。重合度における5〜50%の低減が可能である。従って、ステップb)において得られる微酸化されたセルロースは、平均重合度が50〜2900の範囲、および好ましくは100〜2400の範囲であることができる。
【0032】
セルロース分散体を安定化するための分散剤または乳化剤の添加は、本発明の方法において必要ではない。本発明の好ましい態様においては、従って、分散剤または乳化剤、好ましくは脂肪酸塩またはアルキルベンゼンスルホネートを、分散ステップb)の前、間または後に添加しない。そうは言っても、更なる安定化をこのような剤の添加によって実現できる。
【0033】
本発明の方法は、特にステップb)において、好ましくは温度10〜100℃、およびより好ましくは20〜80℃で行なう。
【0034】
上記方法に従い、本発明はまた、微酸化されたセルロースの粒子を含有する分散体を提供し、ここで該粒子のD50値および好ましくはD90値は300nm未満、好ましくは200nm未満、およびより好ましくは100nm未満(動的レーザー光散乱により評価したとき)であり、そして分散体中の微酸化されたセルロースの固形分濃度は、0.1質量%〜10質量%の範囲、好ましくは0.5質量%〜3.5質量%の範囲、および最も好ましくは0.75質量%〜2.5質量%の範囲である。
【0035】
好ましくは、本発明に係る分散体の微酸化されたセルロースは、化学パルプ、紙グレードパルプ、微結晶セルロースまたはリンターセルロースに由来する。
【0036】
上記のように、本発明の方法のステップb)において行なう分散(特にエネルギーの入力によるもの)は、微酸化されたセルロースの重合度の低減の効果を有することができる。重合度の5〜50%の低減が可能である。従って、前記のステップb)において得られる本発明に係る分散体の微酸化されたセルロースは、平均重合度DPcuenが、50〜2900の範囲、および好ましくは100〜2400の範囲(SCAN−C15:62に記載されるように評価したとき)であることができる。
【0037】
例:
例において用いた酸化されたセルロースは、次亜塩素酸ナトリウムおよびTEMPOとの反応(Montanariら,Macromolecules 38(2005)1665)によって製造した。セルロース誘導体は、ローター−ステーター原理に従って動作する高速撹拌機(Ultra Turrax(登録商標)T25 ベーシック,IKA,回転速度20000分-1)を用いて水中に分散させた。直列に接続している2つの相互作用チャンバー(H210Z 200μmおよびJR20Z 50μm)を有する、タイプ110Fのmicrofluidizer(登録商標)(Microfluidics,Newton MA USA)を更なるホモジナイズ用に用いた。
【0038】
カルボキシル量は、TAPPI基準T237cm−98(パルプのカルボキシル量)に従って評価した。
【0039】
動的レーザー光散乱測定は、測定範囲1nm〜6μmを有するHoriba LB 550(USA)を用いて行なった。この目的を達成するために、懸濁粒子の拡散率を、これらによって散乱されるレーザー光の周波数のドップラー偏移で測定する。周波数偏移は、検出器によって散乱光における強度変動としてとらえられる。D50値(粒子の50%が記載寸法よりも小さい)のみでなく、D90値(粒子の90%が記載寸法よりも小さい)も評価する。
【0040】
平均重合度DPcuenを、SCAN−C15:62(“Viscosity of Cellulose in Cupriethylenediamine(CED)”Scandinavian Pulp,Paper and Boards Testing Commitee,October 1962にて)に記載される方法に従って評価した。
【0041】
例1
酸化されたセルロース(カルボキシル量600mmol/kgおよびDPcuen(銅(II)エチレンジアミン溶液)=858、のもの)の1質量%(w/w)懸濁液(水中)を、まず1時間Ultra−Turrax(登録商標)で叩き、次いでmicrofluidizer(登録商標)で1時間600bar、更に2時間1100barでホモジナイズした。
【0042】
図1は、例1に従って製造したナノカルボキシセルロース分散体(1質量%)の動的レーザー光散乱測定を示す。
【0043】
このサンプルの動的レーザー光散乱測定は、D50値76nm、およびまたD90値107nmを与える。
【0044】
例2
酸化されたセルロース(カルボキシル量453mmol/kgおよびDPcuen=1479、のもの)の1質量%(w/w)懸濁液(水中)を、まず1時間Ultra−Turrax(登録商標)で叩き、次いでmicrofluidizer(登録商標)で1時間600bar、更に2時間1100barでホモジナイズした。
【0045】
図2は、例2に従って製造したナノカルボキシセルロース分散体(1質量%)の動的レーザー光散乱測定を示す。
【0046】
このサンプルの動的レーザー光散乱測定は、D50値72nm、およびまたD90値100nmを与える。
【0047】
例3
酸化されたセルロース(カルボキシル量550mmol/kgおよびDPcuen=1322、のもの)の1質量%(w/w)懸濁液(水中)を、まず1時間Ultra−Turrax(登録商標)で叩き、次いでmicrofluidizer(登録商標)で1時間600bar、更に2時間1100barでホモジナイズした。
【0048】
図3は、例3に従って製造したナノカルボキシセルロース分散体(1質量%)の動的レーザー光散乱測定を示す。
【0049】
このサンプルの動的レーザー光散乱測定は、D50値34nm、およびまたD90値47nmを与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微酸化されたセルロースの粒子を含有する分散体の製造方法であって、
a)微酸化されたセルロースを、水性媒体中に導入すること、および
b)同時にまたは続いて、エネルギーの入力によってその中に分散させること
を含み、動的レーザー光散乱により測定したときの該粒子の体積平均粒子サイズ(D50値)が300nm未満であり、そして、使用する微酸化されたセルロースが、過ヨウ素酸塩酸化、リン酸/亜硝酸ナトリウム酸化またはTEMPO触媒次亜塩素酸ナトリウム酸化によって得られる、方法。
【請求項2】
分散した粒子のD90値が、300nm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用する微酸化されたセルロースが、化学パルプ、紙グレードパルプ、微結晶セルロースまたはリンターセルロースから得られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用する微酸化されたセルロースの平均重合度DPcuenが、100〜3000の範囲である、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
使用する微酸化されたセルロースのカルボキシルまたはカルボニルの量が、微酸化されたセルロースに関して200〜1500mmol/kgである、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップb)におけるエネルギー入力が、微酸化されたセルロースの質量に関して少なくとも2000kWh/tである、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップb)におけるエネルギーの入力を、超音波機、高速撹拌機、ローター−ステーター原理に基づく分散装置、ジェット分散機またはmicrofluidizer(登録商標)型の分散装置を介して行なう、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ステップb)におけるエネルギーの入力を、第1段階におけるローター−ステーター原理に基づく分散装置を介したエネルギーの入力、続いて第2段階におけるmicrofluidizer(登録商標)型の分散装置を介したエネルギーの入力、を含む少なくとも2つの段階で行なう、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ステップb)において得られる分散体が、微酸化されたセルロースに関する固形分濃度0.1質量%〜10質量%の範囲を有する、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
分散剤を、分散ステップb)の前、間または後に添加しない、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップb)を、温度10〜100℃で行なう、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
微酸化されたセルロースの粒子を含有する分散体であって、動的レーザー光散乱により測定したときの該粒子のD50値が300nm未満であり、そして分散体中の微酸化されたセルロースの固形分濃度が、0.1質量%〜10質量%の範囲である、分散体。
【請求項13】
微酸化されたセルロースが、化学パルプ、紙グレードパルプ、微結晶セルロースまたはリンターセルロースに由来する、請求項12に記載の分散体。
【請求項14】
微酸化されたセルロースの平均重合度DPcuenが、50〜2900の範囲である、請求項12または13に記載の分散体。
【請求項15】
分散体中の微酸化されたセルロースの固形分濃度が、0.5質量%〜3.5質量%の範囲である、請求項12〜14のいずれかに記載の分散体。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法により得られる、分散体。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれかに記載の分散体の中に存在するものとしての、微酸化されたセルロースの粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−535869(P2010−535869A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519386(P2010−519386)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006548
【国際公開番号】WO2009/021688
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】