心拍変動を使用する電気的刺激の制御
【課題】患者の必要性と状態の変化に基づいて心臓電気的治療の投与を調整する。
【解決手段】心臓律動管理システムが、心拍変動(HRV)に基づいてペーシングおよび/または自律神経刺激パルスの投与を調整する。HRVの測定値であるHRVパラメータが、患者の心臓状態を示すために作成され、それに基づいてペーシング及び/又は自律神経刺激パルスの投与が、開始、停止、調節又は最適化される。一実施形態では、HRVパラメータが近似的に最適なパラメータ値を選択するために複数のパラメータ値を評価するために使用される。別の実施形態では、HRVパラメータが心房トラッキング・ペーシング・モード内の最大トラッキング・レートを調節するために使用される。別の実施形態では、HRVパラメータが治療を継続することが潜在的に有害であると考えられるときに電気的治療を停止するために安全性チェックとして使用される。
【解決手段】心臓律動管理システムが、心拍変動(HRV)に基づいてペーシングおよび/または自律神経刺激パルスの投与を調整する。HRVの測定値であるHRVパラメータが、患者の心臓状態を示すために作成され、それに基づいてペーシング及び/又は自律神経刺激パルスの投与が、開始、停止、調節又は最適化される。一実施形態では、HRVパラメータが近似的に最適なパラメータ値を選択するために複数のパラメータ値を評価するために使用される。別の実施形態では、HRVパラメータが心房トラッキング・ペーシング・モード内の最大トラッキング・レートを調節するために使用される。別の実施形態では、HRVパラメータが治療を継続することが潜在的に有害であると考えられるときに電気的治療を停止するために安全性チェックとして使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は一般に、心臓律動管理システム(CRM)、および特に、限定されるものではないが、電気的刺激パルスの投与を制御するために心拍変動(HRV)を使用するこのようなシステムに関する。
【0002】
(優先権主張)
2005年1月18日に提出された、米国特許出願番号第11/037,308号、2005年1月18日に提出された、米国特許出願番号第11/037,723号、2005年1月18日に提出された、米国特許出願番号第11/037,039号に対して、優先権が請求され、これらの出願が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
(関連出願の相互引用)
本出願は、同時係属中の、同一出願人による2003年12月2日に提出された、「CARDIAC RHYTHM MANAGEMENT SYSTEM USING TIME−DOMAIN HEART RATE VARIABILITY INDICIA」という題名の、米国特許出願第10/726,062号に関連し、この出願がその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
心臓は、人の循環系の中心である。心臓は、2つの主要なポンピング機能を行う電気機械的システムを含む。心臓の左側部分は、酸素を豊富に含んだ血液を肺から引き出し、それを酸素に対する代謝の必要性を有する組織に供給するために体の組織へ送り出す。心臓の右側部分は、酸素の少ない血液を体の器官から引き戻し、それを血液に酸素を与る肺へ送り出す。これらのポンピング機能は、心筋(心臓筋肉)の周期的な収縮によって達成される。正常な心臓では、洞結節が、正常な洞心拍数で活動電位と呼ばれる電気信号を発生させる。電気インパルスは、電気伝導系を通って心臓の様々な領域へ伝播して、これらの領域の心筋組織を励起させる。正常な電気伝導系内の活動電位の伝播の調整された遅延が、心臓の様々な部分を同調して収縮させ、正常な血行動態性能によって示される効果的なポンピング機能を結果として生じさせる。遮断された、またはそうでない場合の異常な電気伝導および/または劣化した心筋組織は、心臓の同調しない収縮を生じさせ、心臓と体の残りの部分への血液供給の減少を含む、貧しい血行動態性能を結果として生じさせる。心臓が、体の代謝の必要性に適合するために十分な血液を送り出すことができない状態は、心不全として公知である。
【0005】
電気的刺激治療が、電気伝導系の機能を回復させ、かつ心筋組織の劣化を減少させるために使用されている。これらの潜在的な患者への利益は、このような治療が、両方とも長期にわたって変化する、患者の心臓状態と代謝の要求に対して順応性があるときに、達成または最大化される。ある例では、比較的高い心拍数でペーシング・パルスを投与することが、強い物理的活動に参加するための患者の一時的な代謝の要求を満足させるが、心筋組織のさらなる劣化を結果として生じさせる。別の例では、心筋組織のさらなる劣化を防止する電気的治療が、治療が行われているときの患者の運動能力をかなり制限するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらおよびその他の理由のため、患者の必要性と状態の変化に基づいて、心臓電気的治療の投与を調整する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
CRMシステムは、所定の時間にわたる心臓周期の長さの変動である、HRVに基づいて、ペーシングおよび/または自律神経刺激パルスの投与を調整する。ペーシングおよび/または自律神経刺激パルスの投与がそれに基づいて開始、停止、調節、または最適化される患者の心臓状態を示すためにHRVの測定値であるHRVパラメータが作成される。
【0008】
一実施態様では、CRMシステムが、パルス出力回路、感知回路、HRV測定回路、刺激制御回路を備える。パルス出力回路は、電気的刺激パルスを投与する。感知回路は、心臓信号を感知する。HRV測定回路は、HRVパラメータを作成するために、HRVを測定する。刺激制御回路は、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節する刺激パラメータ最適化モジュールを備える。刺激パラメータ最適化モジュールは、刺激パラメータ発生器、パルス出力コントローラ、刺激パラメータ・セレクタを備える。刺激パラメータ発生器は、刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成する。パルス出力コントローラは、刺激パラメータ最適化期間中、前記複数のパラメータ値を使用して前記電気的刺激パルスの投与を制御する。刺激パラメータ・セレクタは、前記複数のパラメータ値から前記刺激パラメータに対して近似的に最適なパラメータ値を選択する。前記近似的に最適なパラメータ値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定されたHRVパラメータの最大値に対応している。
【0009】
一実施態様では、HRVベースの刺激パラメータ最適化方法が提供される。刺激パラメータ最適化期間が開始される。心臓信号が感知される。少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値が作成される。前記刺激パラメータ最適化期間中、前記複数のパラメータ値を使用して電気的刺激パルスが投与される。前記刺激パラメータ最適化期間中、感知された前記心臓信号に基づいて少なくとも1つのHRVパラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動が測定される。前記複数のパラメータ値からの前記刺激パラメータに対して近似的に最適な値が選択される。前記近似的に最適な値が、刺激パラメータ最適化期間中に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する。
【0010】
一実施態様では、CRMシステムが、ペーシング出力回路、感知回路、HRV測定回路、ペーシング制御回路を備える。ペーシング出力回路はペーシング・パルスを投与する。感知回路は心臓信号を感知する。HRV測定回路は、HRVパラメータを作成するためにHRVを測定する。ペーシング制御回路が、ペーシング・アルゴリズム実行モジュールと最大トラッキング・レート(MTR)調節モジュールを備える。ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、MTRを含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの投与を制御する。MTR調節モジュールは、前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節する。
【0011】
一実施態様では、心臓ペースメーカーを動作させるための方法が提供される。心臓信号が感知される。HRVパラメータを作成するために感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動が測定される。心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムが、ペーシング・パルスの投与を制御するために実行される。心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムは、MTRを含むペーシング・パラメータを使用する。前記HRVパラメータに基づいて前記MTRが調節される。
【0012】
一実施態様では、CRMシステムが、感知回路、HRV測定回路、パルス出力回路、刺激制御回路を備える。感知回路が心臓信号を感知する。HRV測定回路がHRVパラメータを作成するためにHRVを測定する。パルス出力回路が電気的刺激パルスを投与する。刺激制御回路が、刺激アルゴリズム実行モジュールと安全性チェック・モジュールを備える。刺激アルゴリズム実行モジュールが少なくとも1つの刺激アルゴリズムを実行することによって、前記電気的刺激パルスの投与を制御する。安全性チェック・モジュールが、前記HRVパラメータに基づいて前記刺激アルゴリズムの実行を停止する。
【0013】
一実施態様では、電気的刺激のためのHRVベースの安全性保証方法が提供される。心臓信号が感知される。HRVパラメータを作成するために前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動が測定される。少なくとも1つの刺激アルゴリズムを実行することによって電気的刺激パルスが投与される。前記HRVパラメータが安全性ウィンドウの外にあるとき、刺激アルゴリズムの実行が停止される。
【0014】
この概要は、本出願の教示のいくつかの概観であり、本主題の排他的または網羅的な処置を意図されたものではない。本主題についてのさらなる詳細が、詳細な説明と添付の特許請求の範囲で見出される。本発明の他の態様は、そのそれぞれが限定的な意味で取られるべきではない、以下の詳細な説明を読みかつ理解し、かつその一部を形成する図面を見れば、当業者なら明らかであろう。本発明の範囲が、頭記の特許請求の範囲とその均等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】CRMシステムの実施形態およびCRMシステムがその中で使用される環境の一部分を示す図である。
【図2】CRMシステムの一部分である刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】CRMシステムの一部分であるペーシング・システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図4】CRMシステムの一部分である神経刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図5】HRVベースのMTR調節システムを含むペーシング・システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図6】HRVパラメータを使用してMTRを調節するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【図7】HRVベースの刺激パラメータ最適化モジュールを備える刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図8】刺激パラメータ最適化モジュールの一実施形態を示すブロック図である。
【図9】刺激パラメータ最適化モジュールの別の実施形態を示すブロック図である。
【図10】HRVパラメータを使用する刺激パラメータ最適化のための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【図11】HRV従動治療切替システムを備える刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図12】HRVパラメータを使用して治療を開始および停止するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【0016】
必ずしも同一縮尺で描かれてはいない図面では、類似の符号が、いくつかの図全体を通して類似の構成要素を表す。図面は一般に、本文書で議論される様々な実施態様を一例として示しているが、それに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部分を形成し、その中で本発明を実行することができる特定の実施形態が一例としてその中で示されている、添付の図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分詳細に説明され、かつ実施形態が組み合わされてもよいこと、または他の実施形態が使用されてもよいこと、ならびに構造的、論理的、電気的な変更が、本発明の精神と範囲から逸脱することなく行われてもよいことを理解されたい。以下の詳細な説明は例を提供し、かつ本発明の範囲が、頭記の特許請求の範囲とそれらの均等物によって定義される。
【0018】
本開示での「ある」、「1つの」、または「様々な」実施形態は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、このような参照は2つ以上の実施形態を企図していることに注意すべきである。
【0019】
本文書は、特に、患者のHRVに基づいて心臓治療を制御するために閉ループ・システムを使用するCRMシステムを議論する。HRVは、副交感神経系と交感神経系の出力の間の自律的なバランスを示し、それによって患者の心臓状態を示すものとして知られている。一般に、患者の心臓状態は、HRVが増加するとき改善され、かつHRVが減少するとき悪化する。患者が左心室の機能障害を被った場合、自律的なバランスが、交感神経系の方へ移動し、かつHRVが減少する。このため、閉ループ・システムが、患者のHRVを増加または最大化させるように、心臓治療を調整する。
【0020】
HRVは、ある時間にわたる心臓周期長における拍間変動である。本文書で使用されるような「HRVパラメータ」は、ある時間にわたる心臓周期の長さにおける拍間変動のいずれかの量的表現を含む、HRVの測定値であるいずれかのパラメータを含む。一実施形態では、HRVパラメータは、所定の時間にわたって平均された、連続する心臓周期の長さの間の時間差である。ある特定の実施形態では、心臓周期の長さは、心室周期の長さ、すなわちV−V間隔、またはR−R間隔であり、これらは連続する心室の脱分極化(R波)の間の時間間隔である。代替となる特定の実施形態では、心臓周期の長さは、心房周期の長さ、すなわちA−A間隔、またはP−P間隔であり、これらは連続する心房の脱分極化(P波)の間の時間間隔である。様々な特定の実施形態では、HRVパラメータは、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数(LF)HRV対高周波数(HF)HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)を含むが、それに限定されない。
【0021】
正常−正常間隔標準偏差(SDNN)。正常−正常間隔は、正常な洞律動の間のR−R間隔を称する。SDNNは、所定の時間にわたって測定されたR―R間隔の標準偏差である。
【0022】
正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)。正常−正常間隔は、正常な洞律動の間のR−R間隔を称する。SDANNを数値計算するために、R−R間隔が、第1の時間期間にわたって測定され、平均化される。平均化されたR−R間隔の標準偏差が、複数の第1の時間期間を含む第2の時間期間の間、数値計算される。一実施形態では、測定されたR−R間隔が、24時間の間5分周期にわたって(すなわち、288個の5分周期)平均化される。SDANNは、24時間に対して計算された5分間平均R−R間隔の標準偏差である。
【0023】
LF HRV対HF HRV比(LF/HF比)。LF HRVは、約0.04Hzから0.15Hzの間の周波数を有するHRVの成分を含む。HF HRVは、約0.15Hzから0.40Hzの間の周波数を有するHRVの成分を含む。LF/HF比は、自律神経のバランスの変動の傾向を追尾するために使用される。LF/HF比の実質上の変化は、交感神経系が過刺激されている程度を示す全身的なストレス変化を示す。
【0024】
HRVフットプリント。HRVフットプリントは、心拍数に対してプロットされたHRVのヒストグラムを称する。連続するR−R間隔の間の時間差が、ある時間期間に対して決定され、その時間期間にわたって測定された心拍数に対してプロットされる。
【0025】
連続差平方二乗平均(RMSSD)。ある時間期間に対して決定された連続するR−R間隔の間の時間差に対してそれぞれ、平方二乗平均値が計算される。
【0026】
上記で議論されたHRVパラメータは、患者のHRVを増加または最大化させるように心臓治療を調整する閉ループ・システムで使用されるHRVパラメータの例である。HRVを表すまたは示すことが可能なその他のパラメータが、本主題に従って、HRVとして使用されることができることは、本文書を読みかつ理解すれば当業者なら理解されよう。
【0027】
いくつかのHRVパラメータは、比較的短期間のHRVの測定値を与える。他のHRVパラメータは、比較的長期間のHRVの測定値を与える。あるHRVパラメータは、短期間と長期間の両方のHRVの測定値を、妥当な精度で与えることができる。ある例示的な実施形態では、1つまたは複数の治療パラメータの効果を評価するために、1つまたは複数の治療パラメータの異なる所定の値で、患者に治療が施される。HRVパラメータが、評価中に測定される。最も望ましいHRVをもたらす1つまたは複数の治療パラメータの値が、患者にとっての最適値として選択される。妥当な継続時間に評価を限定するために、適切なHRVパラメータが、患者のHRVの短期間測定値として使用されるとき、妥当な精度を与える。別の例示的な実施形態では、24時間などの比較的長期間にわたって動的に調節される1つまたは複数の治療パラメータで、治療が患者に施される。HRVパラメータが測定され記録され、1つまたは複数の治療パラメータの値が、その時間期間の間に適用される。このことは、患者に対して最適な治療パラメータの値を決定するための基礎を提供する、1つまたは複数の治療パラメータの値に対するHRVパラメータに関するマップを結果としてもたらす。このような実施形態では、適切なHRVパラメータが、患者のHRVの長期間測定値として使用されるとき、妥当な精度を提供する。一般に、1つまたは複数の特定のHRVパラメータの選択が、HRVに基づいて心臓治療を調整するための方法とシステムの全体的な設計に依存することは、本文書を読みかつ理解すれば当業者なら理解されよう。
【0028】
図1は、CRMシステム100、およびCRMシステム100が使用される環境の一部の実施形態の図である。システム100は、埋込み可能なシステム105と外部システム185を備え、さらに埋込み可能なシステム105と外部システム185の間の通信を可能にする遠隔通信リンク180を備える。
【0029】
埋込み可能なシステム105は、特に、埋込み可能な医療装置110と導線システム108を備える。様々な実施形態では、埋込み可能な医療装置110は、ペースメーカー、電気的除細動器/除細動器、心臓再同調治療(CRT)装置、心臓リモデリング制御治療(RCT)装置、神経刺激器、薬剤投与装置または薬剤投与コントローラ、生物学的治療装置のうちの1つまたは複数を含む、埋込み可能なCRM装置である。図1に示されているように、埋込み可能な医療装置110は、体102の中に埋め込まれている。様々な実施形態では、導線システム108は、生理学的信号を感知するため、およびペーシング・パルス、電気的除細動/除細動ショック、神経刺激パルス、および/または薬剤などの物質を投与するための導線を備える。一実施形態では、導線システム108は、心電図を感知するため、および/またはペーシング・パルスを投与するために心臓101内または心臓101上に配置された少なくとも1つの電極をそれぞれ備える、1つまたは複数のペーシング・感知導線を備える。別の実施形態では、導線システム108は、神経信号を感知するため、および神経刺激パルスを投与するために自律神経系の神経上に配置された少なくとも1つの電極をそれぞれ備える、1つまたは複数の神経刺激・感知導線を備える。別の実施形態では、神経刺激を心臓101の固有の活動および/またはペーシングと同調させるための、1つまたは複数のペーシング・感知導線および1つまたは複数の神経刺激・感知導線を備える。
【0030】
一実施形態では、外部システム185は、外部装置190、ネットワーク192、遠隔装置194を備える患者管理システムである。外部システム190は、埋込み可能な医療装置110の近傍にあり、かつ遠隔通信リンク180を介して埋込み可能な医療装置110と双方向に通信する。遠隔装置194は、離れた位置にあり、ネットワーク192を介して外部装置190と双方向に通信する。このようにして使用者は離れた位置から患者を監視し治療することができる。別の実施形態では、外部システム185は遠隔通信リンク180を介して埋め込み可能な医療装置110と双方向に通信するプログラマを備える。
【0031】
システム100は、刺激パルス投与の閉ループ制御のためにHRVパラメータを使用する刺激システム115を備える。一実施形態では、埋込み可能な装置110は、HRVを最大化するためにペーシング・パルスを心臓101に投与するペースメーカーを備える。別の実施形態では、埋込み可能な医療装置110は、HRVを最大化するために神経刺激パルスを自律神経系に投与する神経刺激器を備える。別の実施形態では、埋込み可能な医療装置は、HRVを最大化するために心臓ペーシングと自律神経の神経刺激とを組み合わせて投与するためのペースメーカーおよび神経刺激器を備える。システム100内での刺激システム115の分布は、各システム構成要素のサイズと電力消費、および様々な位置から様々な設定で患者を監視する可能性などの、設計や患者管理の考慮に依存する。一実施形態では、図1に示されているように、埋込み可能な医療装置110は、全体システム115を備える。このことは、埋込み可能なシステム105が、外部システム185と通信することなくHRVパラメータの変化に応答して刺激パラメータを調節することを可能にする。別の実施形態では、埋込み可能な医療装置110と外部システム185がそれぞれ、システム115の一部分を備える。埋込み可能な医療装置110と外部システム185が遠隔通信リンク180を介して通信可能に結合されているとき、刺激パラメータが、HRVパラメータに基づいて調節される。
【0032】
図2は、刺激システム115の一実施形態を示すブロック図である。刺激システム115は、感知回路212、パルス出力回路214、HRV測定回路220、刺激制御回路230を備える。
【0033】
感知回路212は、HRVの測定を可能にする少なくとも1つの心臓信号を感知する。一実施形態では、感知回路212が、導線システム108の1つまたは複数の電極を通して心臓および/または自律神経系から、1つまたは複数の心臓機能をそれぞれ示す1つまたは複数の追加の信号を感知する。パルス出力回路214が、導線システム108の1つまたは複数の電極を通して心臓および/または自律神経系へ電気的刺激パルスを投与する。HRV測定回路220が、HRVを測定し、かつ感知回路212によって感知された信号に基づいて、少なくとも1つのHRVパラメータを作成する。様々な実施形態では、HRV測定回路220は、SDNNを作成するためのSDNN発生器、SDANNを作成するためのSDANN発生器、LF/HF比を作成するためのLF/HF比発生器、HRVフットプリントを作成するためのHRVフットプリント発生器、RMSSDを作成するためのRMSSD発生器のうちの1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。一実施形態では、HRV測定回路220が、交感神経活動と副交感神経活動との間のバランスを示すHRVパラメータを監視するための自律神経バランス・モニタを備える。ある特定の例では、自律神経バランス・モニタは、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すHRVパラメータとしてのLF/HF比を作成するためのLF/HF比発生器を備える。刺激制御回路230が、HRVパラメータに基づいて調節または最適化された1つまたは複数の刺激パラメータを使用して、パルス出力回路214からの電気的刺激パルスの投与を制御する。一実施形態では、刺激制御回路230が、HRVに影響を与える調節可能なパラメータのそれぞれに対して、近似的に最適な値を決定する。
【0034】
図3は、刺激システム115の特定の実施形態であるペーシング・システム315の一実施形態を示すブロック図である。ペーシング・システム315は、感知回路312、ペーシング出力回路314、HRV測定回路220、ペーシング制御回路330を備える。
【0035】
感知回路312は、感知回路212の特定の実施形態であり、かつ心電図感知回路を備える。心電図感知回路は、1つまたは複数の心房および/または心室心電図を感知する。ペーシング出力回路314は、パルス出力回路214の特定の実施形態であり、かつ1つまたは複数の心房および/または心室部位へペーシング・パルスを投与する。ペーシング制御回路330は、刺激制御回路230の特定の実施形態であり、かつHRVパラメータに基づいて調節または最適化された1つまたは複数の刺激パラメータを使用してペーシング出力回路314からのペーシング・パルスの投与を制御する。一実施形態では、ペーシング制御回路330が、HRVに影響を与える調節可能なペーシング・パラメータのそれぞれに対して、近似的に最適な値を決定する。このような調節可能なペーシング・パラメータの例は、房室遅延(AVD)、心室内遅延(IVD)、ペーシング部位(ペーシング・パルスが投与される部位)を含むが、それらに限定されない。
【0036】
図4は、刺激システム115の別の特定の実施形態である神経刺激回路415の一実施形態を示すブロック図である。神経刺激システム415は、感知回路412、神経刺激出力回路414、HRV測定回路220、神経刺激制御回路430を備える。
【0037】
感知回路412は、感知回路212の特定の実施形態であり、かつ心電図感知回路に加えて神経信号感知回路を備える。神経感知回路は、交感神経と副交感神経を含む自律神経系から1つまたは複数の神経信号を感知する。心電図感知回路は、HRVの測定を可能にするために、1つまたは複数の心房および/または心室心電図を感知する。一実施形態では、1つまたは複数の心房および/または心室心電図がまた、1つまたは複数の心電図から検知することができる心臓活動と同調された神経刺激の投与を可能にする。神経刺激出力回路414は、パルス出力回路214の特定の実施形態であり、かつ自律神経系の1つまたは複数の神経に神経刺激パルスを投与する。神経刺激制御回路430は、刺激制御回路230の特定の実施形態であり、かつHRVパラメータに基づいて調節または最適化された1つまたは複数の神経刺激パラメータを使用して神経刺激出力回路414からの神経刺激パルスの投与を制御する。一実施形態では、神経刺激制御回路430が、HRVに影響を与える各調節可能なペーシング・パラメータに対して近似的に最適な値を決定する。このような調節可能な神経刺激パラメータの例は、刺激周波数、刺激振幅、刺激部位(神経刺激がそれに対して投与される部位)を含むが、それらに限定されない。
【0038】
別の特定の実施形態では、刺激システム115は、ペーシング・システム315と神経刺激システム415の組合せであり、かつ埋込み可能な医療装置110は、埋込み可能なペースメーカー神経刺激器である。この実施形態では、感知回路212が感知回路312と感知回路412の組合せ、パルス出力回路214がペーシング出力回路314と神経刺激回路414の組合せであり、刺激制御回路230がペーシング制御回路330と神経刺激回路430の組合せである。一実施形態では、刺激システム115が、HRVパラメータを改善または最適化するために時間的に調整された方式で、ペーシングと神経刺激パルスを投与する。
【0039】
以下の例では、ペーシング・システム315、神経刺激システム415、それらの組合せを備える刺激システム115の特定の実施形態が、本主題による刺激制御のためのHRVパラメータの使用を例示するために議論されるが、それに限定されない。
【0040】
例1:HRVベースの最大トラッキング・レート(MTR)調節
減少したHRVは、患者が悪化した、または悪化中の心臓状態を有し、したがって運動強度を制限すべきであることを示す。マルチ・チャンネル(デュアル・チャンネルを含む)ペースメーカーが、心房トラッキング・モードでペーシングしている際、心室ペーシング心拍数(VDDまたはDDDモードなど)が、プログラムされた最大トラッキング・レート(MTR)まで心房心拍数を追従する。MTRは、例えば、心房性頻脈または心房細動が生じたとき、潜在的に有害な心拍数まで心室がペーシングされることを防止する。患者が運動するとき、洞心拍数が増加し、かつ心房トラッキング・モード・ペーシングが、心室心拍数を、MTRによって設定された限界内の洞心拍数とともに増加させるようにする。心室心拍数の増加は、患者の酸素に対する代謝の必要性の増加に対処するために、体への血流の増加を結果として生じさせる。MTRの設定が高すぎた場合、患者の運動強度があるレベルに到達したとき、ペーシングが、そうすることが患者の心臓を危険な状態にするときでさえも、患者が運動を継続するまたは運動強度をさらに増加させることを許す可能性がある。MTRが適切に設定された場合、心室心拍数が、心臓によって耐えることができる運動強度で増加を停止し、患者は、運動を止めるか、運動強度を増加させることを止めるかのいずれかの必要性を感じる。このようにして、適切に設定されたMTRは、ペーシングが、潜在的に有害なレベルである運動能力を患者に与えることを防止する。患者の心臓状態が長期間にわたる運動変化に対する耐性を備えるため、患者のHRVに基づいて調節されたMTRが、心臓に有害な影響を生じさせることなくペーシングの利益を最大化することが可能である。
【0041】
図5は、HRVベースのMTR調節システムを備えるペーシング・システム515の一実施形態を示すブロック図である。ペーシング・システム515は、ペーシング・システム315の特定の実施形態であり、かつ感知回路312、ペーシング出力回路314、HRV測定回路220、ペーシング制御回路530を備える。
【0042】
ペーシング制御回路530は、MTR調節モジュール532とペーシング・アルゴリズム実行モジュール534を備える。MTR調節モジュール532は、HRVパラメータに基づいてMTRを調節する。一実施形態では、図5に示されているように、MTR調節モジュール532が、HRV測定回路220によって作成されたHRVパラメータに基づいて複数の所定の値からMTRに対する値を選択するためのMTRセレクタ536を備える。一実施形態では、MTRに対する高値と低値ならびに閾値HRVレベルが、患者の心臓状態に基づいて患者に対して決定される。MTR調節モジュール532が、HRV測定回路220からHRVパラメータを受信し、かつHRVパラメータを閾値HRVレベルと比較する。MTRセレクタ536は、HRVパラメータが閾値HRVレベルを超える場合、MTRを高値に設定し、HRVパラメータが閾値HRVレベルを超えない場合、MTRを低値に設定する。別の実施形態では、3つのより多くのMTRに対する実質上異なる値と、2つ以上の閾値HRVレベルとが、HRVパラメータに基づいたMTRのより精細な制御を提供するために患者に対して決定される。さらなる実施形態では、MTR調節モジュール532が、患者の活動レベルの標示、算定または予想に基づいて閾値HRVレベルを動的に調節するためのHRV閾値発生器を備える。ある特定の実施形態では、HRV閾値発生器が、患者の心拍数に基づいて1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節する。別の実施形態では、HRV閾値発生器が、各日の特定の時間の間患者の予想された活動レベルに基づいて1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節する。
【0043】
ペーシング・アルゴリズム実行モジュール534が、MTRを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズム実行することによって、ペーシング出力回路からのペーシング・パルスの投与を制御する。ペーシング・アルゴリズム実行モジュール534は、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備えるが、それらに限定されない。このようなペーシング・アルゴリズム実行モジュールの1つが、ペーシング・アルゴリズムのうちの1つを同時に実行するために活動化される。一実施形態では、CRTペーシングは、近似的に最適な血行動態性能を提供し、かつRCTペーシングは、MI後リモデリングの程度を減少させる。一実施形態では、CRTペーシング・アルゴリズムが、例えば、心不全の患者に対する生活の質を改善する治療として、血行動態性能の測定値を最大化させるように近似的に最適化された1つまたは複数のペーシング・パラメータで実行される。RCTペーシング・アルゴリズムが、例えば、心筋梗塞(MI)後治療として、LV壁への負荷またはストレスを再分配することによってリモデリングの程度を減少させるために実行される。
【0044】
図6は、HRVパラメータを使用してMTRを調節するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。一実施形態では、方法が、ペーシング・システム515によって実行される。
【0045】
600で、心臓信号が感知される。心臓信号は、心臓の脱分極化を示し、かつHRVの測定を可能にする。一実施形態では、心臓信号は、心房心電図または心室心電図を含む。
【0046】
610で、HRVが、感知された心臓信号に基づいて測定され、かつ少なくとも1つのHRVパラメータが、HRV測定値に基づいて作成される。一実施形態では、心房の脱分極化が心房心電図から検知される。連続する心房の脱分極化の間の心房間隔が測定される。HRVパラメータが心房間隔に基づいて計算される。別の実施形態では、心室の脱分極化が心室心電図から検知される。連続する心室の脱分極化の間の心室間隔が測定される。HRVパラメータが心室間隔に基づいて計算される。
【0047】
620で、心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムが、ペーシング・パルスの投与を制御するために実行される。心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムの例としては、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、RCTペーシング・アルゴリズムなどがある。
【0048】
630で、MTRが、HRVパラメータに基づいて調節される。一実施形態では、MTRが、HRVパラメータに基づいて複数の所定の値の1つに対して設定される。ある特定の実施形態では、HRVパラメータが、閾値HRVレベルと比較される。MTRは、HRVパラメータが所定の閾値HRVレベルを超える場合は第1の値に、HRVパラメータが所定の閾値HRVレベルを超えない場合は第2の値に、設定される。第1の値は、HRVがより高いとき、より高い運動強度を可能にするために、第2の値よりもかなり高い。一実施形態では、患者の活動レベルの標示、算定または予想に基づいて、閾値HRVレベルが動的に調節される。ある特定の実施形態では、閾値HRVレベルが、患者の心拍数に基づいて調節される。別の実施形態では、閾値HRVレベルが、各日の特定の時間の間、患者の予想された活動レベルに基づいて調節される。
【0049】
例2:HRVベースの治療パラメータ最適化
HRVが患者の心臓状態を示すため、HRVパラメータは、ペーシング治療の効果、自律神経刺激治療の効果、ペーシングと自律神経刺激治療の組合せを含む電気的刺激治療の効果を示すことを可能にする。治療の利益を最大化するために、治療パラメータが、患者の心臓および/または自律神経系に電気的刺激パルスを投与することによって、実用上達成可能な最大のHRVに対して調節される。
【0050】
図7は、HRVベースの刺激パラメータ最適化モジュールを備える刺激システム715の一実施形態を示すブロック図である。刺激システム715は、刺激システム115の特定の実施形態であり、感知回路212、パルス出力回路214、HRV測定回路220、刺激制御回路730を備える。
【0051】
刺激制御回路730が、HRV測定回路220によって作成された少なくとも1つのHRVパラメータに基づく近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節する、刺激パラメータ最適化モジュール731を備える。
【0052】
一実施形態では、刺激制御回路730が、HRVパラメータに基づく近似的に最適な値に少なくとも1つのペーシング・パラメータを調節するためのペーシング・パラメータ最適化モジュールを備えるペーシング制御回路を備える。ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、AVDを最適化するためのAVD最適化モジュール、IVDを最適化するためのIVD最適化モジュールと、心臓ペーシング・パルスが投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するためのペーシング部位モジュールとの1つまたは複数を備えるが、それらに限定されない。一般に、ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、HRVパラメータによって示される最大HRVに対してそのパラメータを調節することによって、その値がHRVに影響を与えるいずれかのペーシング・パラメータの最適化を可能にする。別の実施形態では、刺激制御回路730が、HRVパラメータに基づく近似的に最適な値に少なくとも1つの神経刺激パラメータを調節するための神経刺激パラメータ最適化モジュールを備える神経刺激制御回路を備える。神経刺激パラメータ最適化モジュールは、刺激パルス周波数最適化モジュールと、神経刺激パルスがそれに対して投与される1つまたは複数部位の選択を最適化するための刺激部位最適化モジュールのうちの1つまたは複数を備えるが、それらに限定されない。一般に、神経刺激パラメータ最適化モジュールは、HRVパラメータによって示される最大のHRVに対してそのパラメータを調節することによって、その値がHRVに影響を与える、いずれかの神経刺激パラメータの最適化を可能にする。
【0053】
一実施形態では、HRV測定回路220が、患者の心臓状態の変化を反映するためのHRVパラメータを連続的に更新し、かつ刺激パラメータ最適化モジュール731が、連続的にHRVパラメータに基づく近似的に最適な値に刺激パラメータを調節する。別の実施形態では、刺激パラメータ最適化モジュール731が、刺激パラメータ最適化期間中、HRVパラメータに基づいて刺激パラメータに対して近似的に最適な値を決定する。この周期は、周期的なベースなどでプログラムされた所定のスケジュールに従って開始されるか、または、医師などの治療提供者によって入力された命令などの命令に応答して開始される。刺激パラメータ最適化モジュール731は、刺激パラメータ発生器738、パルス出力コントローラ740、刺激パラメータ・セレクタ742を備える。刺激パラメータ発生器738が、最適化される予定である刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成する。パルス出力コントローラ740が、刺激パラメータ最適化期間中、複数のパラメータ値を使用して電気的刺激パルスの投与を制御する。刺激パラメータ・セレクタ742が、複数のパラメータ値から刺激パラメータに対して近似的に最適な値を選択する。近似的に最適な値は、複数のパラメータ値を使用するペーシングによって得られるHRVパラメータの最大値に対応する値である。刺激パラメータ最適化期間中に少なくとも1つの刺激パラメータを最適化する刺激パラメータ最適化モジュール731の特定の例が、図8および9を参照して以下で議論される。
【0054】
図8は、刺激パラメータ最適化モジュール731の一実施形態である、刺激パラメータ最適化モジュール831の一実施形態を示すブロック図である。刺激パラメータ最適化モジュール831は、最適化タイマ846、刺激パラメータ発生器838、パルス出力コントローラ840、刺激パラメータ・セレクタ842を備える。刺激パラメータ最適化モジュール831は、HRVを測定しながら刺激パラメータに対する複数の所定の値を使用してテスト刺激パルスを投与することによって、少なくとも1つの刺激パラメータに対する近似的に最適な値を決定し、かつHRVパラメータの最大値に対応する刺激パラメータに対する値を選択する。刺激パラメータ最適化モジュール731の一実施形態として、刺激パラメータ最適化モジュール831は、ペーシング・パラメータ、神経刺激パラメータ、または両方の最適化のために適用可能である。
【0055】
最適化タイマ846が、その間にテスト刺激パルスが投与され、かつ刺激パラメータに対する近似的に最適な値が決定される、刺激パラメータ最適化期間を開始する。一実施形態では、最適化タイマ846が、周期的なベースなどで所定のスケジュールに従って刺激パラメータ最適化期間を開始する。一実施形態では、最適化タイマ846が、睡眠時間中など患者が休止しているとき、刺激パラメータ最適化期間を開始するようにプログラムされている。別の実施形態では、最適化タイマ846が、医師、その他の治療提供者、または患者などの人によって要求されたとき、刺激パラメータ最適化期間を開始する。刺激パラメータに対する近似的に最適な値が選択されたとき、刺激パラメータ最適化期間が終了する。
【0056】
刺激パラメータ発生器838が、刺激パラメータ発生器のための複数の値を作成する。一実施形態では、図8に示されているように、刺激パラメータ発生器838は、患者の心臓状態に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する生理学的パラメータ測定モジュール844を備える。生理学的パラメータの例は、心拍数を含み、かつ2つの検知可能な電気的および/または機械的事象の間の時間間隔を含む。刺激パラメータ発生器838は、測定された生理学的パラメータに基づいて、刺激パラメータ発生器のための複数の値を作成する。
【0057】
パルス出力コントローラ840が、刺激パラメータ最適化期間の間に刺激パラメータのために作成された複数の値を使用して、刺激パルスの投与を制御する。パルス出力コントローラ840は、刺激パラメータを使用して刺激アルゴリズムを実行することによって刺激パルスの投与を制御するための刺激アルゴリズム実行モジュールを備える。刺激アルゴリズムは、複数の刺激パルス列の投与を制御するために実行される。各刺激パルス列は、刺激パラメータに対して作成された複数の値のうちの1つを使用して投与される予定の複数の刺激パルスを備える。一実施形態では、各刺激パルス列が、その刺激パルス列のための刺激の効果が実質上隔離されるように、ベースラインHRVを確立するために非刺激周期によって先行される。様々な実施形態では、刺激アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、自律神経刺激アルゴリズム実行モジュール、組み合わされたペーシング・自律神経刺激アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備える。このようなアルゴリズム実行モジュールのうちの1つが、同時に活動化される。
【0058】
刺激パラメータ・セレクタ842が、複数のパラメータ値から刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。HRV測定回路220が、刺激パラメータ最適化期間の間、HRVパラメータを作成する。刺激パラメータに対して作成されテストされた各値が、HRVパラメータの1つまたは複数の値に関連付けられる。刺激パラメータ・セレクタ842が、刺激パラメータ最適化期間に対して作成されたHRVパラメータの最大値に対応する値として、刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。
【0059】
ある例示的な特定の実施形態では、生理学的パラメータ測定モジュール844が、心房の脱分極化とそれに続く心室の脱分極化の間の固有の時間間隔としてのAVIを測定するための房室間隔(AVI)測定モジュールを備える。刺激パラメータ発生器838が、AVIに基づいて複数のAVDの値を作成する。パルス出力コントローラ840が、ペーシング・パルスの複数の列の投与を制御するためのペーシング出力コントローラを備え、AVDのために作成される各値が、ペーシング・パルスの複数の列のうちの1つまたは複数の列のために使用される。刺激パラメータ・セレクタ842が、AVDのために作成された複数の値から近似的に最適な値を選択するペーシング・パラメータ・セレクタを備える。近似的に最適な値は、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されるHRVパラメータの最大値に対応する値である。
【0060】
2つ以上の刺激パラメータが最適化される予定であるとき、刺激パラメータ発生器838が、各刺激パラメータのために複数の値を作成する。パルス出力コントローラ840が、刺激パルスの複数の列の投与を制御する。刺激パルスの各列は、最適化される予定のすべての刺激パラメータに対して作成される値の組合せを使用して投与される。刺激パラメータ・セレクタ842が、最適化される予定のすべての刺激パラメータに対して近似的に最適な値の組合せを選択する。近似的に最適な値の組合せは、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する値の組合せである。
【0061】
図9は、刺激パラメータ最適化モジュール731の別の実施形態である、刺激パラメータ最適化モジュール931の別の実施形態のブロック図である。刺激パラメータ最適化モジュール931は、最適化タイマ946、刺激パラメータ発生器938、パルス出力コントローラ940、刺激パラメータ・セレクタ942を備える。刺激パラメータ最適化モジュール931は、HRVを測定している間に動的刺激パラメータに対して動的に作成された値を使用して刺激パルスを投与することによって少なくとも1つの動的刺激パラメータに対して近似的に最適な値を決定し、選択する。動的刺激パラメータの動的に作成された値が、HRVパラメータへのそれらの影響によって評価される。刺激パラメータ最適化モジュール731の一実施形態として、刺激パラメータ最適化モジュール931が、ペーシング・パラメータ、神経刺激パラメータ、またはその両方の最適化に対して適用可能である。
【0062】
最適化タイマ946が、動的刺激パラメータに対する値が動的に作成され、評価され、かつ刺激パラメータに対する近似的に最適な値が決定される間に刺激パラメータ最適化期間を開始する。一実施形態では、最適化タイマ946が、周期的なベースなどで、所定のスケジュールに従って刺激パラメータ最適化期間を開始する。別の実施形態では、最適化タイマ946が、医師、その他の治療提供者、または患者などの人によって要求されたとき、刺激パラメータ最適化期間が開始する。最適化タイマ946が、所定の時間期間の後、刺激パラメータ最適化期間が停止する。刺激パラメータ最適化期間の終わりで、刺激パラメータに対する近似的に最適値が選択される。一実施形態では、刺激パラメータ最適化期間は、24時間期間など、多種多様な活動が患者に対して予想される周期をカバーする。
【0063】
刺激パラメータ発生器938が、動的刺激パラメータのための値を動的に作成する。一実施形態では、図9に示されているように、刺激パラメータ発生器938は、生理学的パラメータ測定モジュール944と動的刺激パラメータ発生器948を備える。生理学的パラメータ測定モジュール944は、患者の心臓状態に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する。動的刺激パラメータ発生器948は、生理学的パラメータに基づいて、動的刺激パラメータの値を動的に作成する。
【0064】
パルス出力コントローラ940が、動的刺激パラメータの動的に作成された値を使用して、刺激パルスの投与を制御する。パルス出力コントローラ940は、動的に作成された値が使用中の値と異なるときその値が毎回更新される動的刺激パラメータを使用して刺激アルゴリズムを実行することによって刺激パルスの投与を制御するための、刺激アルゴリズム実行モジュールを備える。様々な実施形態では、刺激アルゴリズム実行モジュールは、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、自律神経刺激アルゴリズム実行モジュール、組み合わされたペーシング・自律神経刺激アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備える。このようなアルゴリズム実行モジュールの1つが瞬時に活動化される。
【0065】
刺激パラメータ・セレクタ942が、動的に作成された値から刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。HRV測定回路220が、刺激パラメータ最適化期間の間にHRVパラメータを作成する。刺激パラメータに対してそれぞれ動的に作成された値が、HRVパラメータの1つまたは複数の値に関連付けられる。刺激パラメータ・セレクタ942が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する値として、刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。
【0066】
ある例示的な特定の実施形態では、生理学的パラメータ測定モジュール944が、刺激パラメータ最適化期間の間、患者の心拍数を監視する心拍数モニタを備える。動的刺激パラメータ発生器948が、心拍数の関数としての動的AVDの値を動的に作成するための動的AVD発生器を備える。パルス出力コントローラ940が、刺激パラメータ最適化期間中、動的AVDを使用してペーシング・パルスの投与を制御するためのペーシング出力コントローラを備える。刺激パラメータ・セレクタ942が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する動的AVDの値である近似的に最適なAVDの値を選択するペーシング・パラメータ・セレクタを備える。
【0067】
2つ以上の動的刺激パラメータが最適化される予定であるとき、刺激パラメータ発生器938が、これらすべての動的刺激パラメータに対する値を動的に作成する。パルス出力コントローラ940が、すべての動的刺激パラメータに対して動的に作成された値の組合せを使用して刺激パルスの投与を制御する。刺激パラメータのために動的に作成された値のそれぞれ独自の組合せは、HRVパラメータの1つまたは複数の値に関連する。刺激パラメータ・セレクタ942が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する独自の組合せとして、刺激パラメータに対する近似的に最適な値の組合せを選択する。
【0068】
図10は、HRVパラメータを使用する刺激パラメータ最適化のための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。一実施形態では、方法は、刺激システム715によって実行される。
【0069】
1000で、刺激パラメータ最適化期間が開始される。このことは、図10に示されているように、少なくとも1つの刺激パラメータを最適化するプロセスを開始する。刺激パラメータ最適化期間は、プロセスが完了されるまで続く。刺激パラメータは、AVD、IVD、ペーシング部位、神経刺激パルス周波数、神経刺激部位を含むが、それに限定されない。
【0070】
1010で、心臓機能を示す信号が感知される。信号が、心房心電図、心室心電図、交感神経活動を示す神経信号、副交感神経活動を示す神経信号のうちの1つまたは複数を含む。HRVパラメータの測定を可能にする少なくとも1つの心臓信号が感知される。
【0071】
1020で、刺激パラメータに対する複数のパラメータ値が作成される。一実施形態では、患者の心臓状態に関する生理学的パラメータが、刺激パラメータ最適化期間の最初に測定される。複数のパラメータ値が、生理学的パラメータに基づいて計算される。別の実施形態では、患者の心臓状態に関する生理学的パラメータが、刺激パラメータ最適化期間全体を通して監視される。刺激パラメータ最適化期間中に動的に変化する刺激パラメータに対する値が、生理学的パラメータの関数として動的に計算される。
【0072】
1030で、電気的刺激パルスが、複数のパラメータ値を使用して投与される。一実施形態では、ペーシング・パルスが投与される。別の実施形態では、神経刺激パルスが投与される。別の実施形態では、ペーシングと神経刺激パルスが、一時的に調整された方式で投与される。電気的刺激パルスは、刺激パラメータ最適化期間中、刺激アルゴリズムを実行することによって投与される。刺激アルゴリズムは、最適化される予定の刺激パラメータを使用する。刺激アルゴリズムの例は、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、RCTペーシング・アルゴリズム、自律神経刺激アルゴリズム、組み合わされたペーシング・神経刺激アルゴリズムを含むが、それに限定されない。
【0073】
1040で、感知された心臓信号に基づいてHRVが測定され、かつ少なくとも1つのHRVパラメータが、HRV測定値に基づいて作成される。一実施形態では、感知された心臓信号が心房心電図であり、かつHRVパラメータが、心房心電図から測定された心房間隔に基づいて作成される。別の実施形態では、感知された心臓信号が心室心電図であり、かつHRVパラメータが、心室心電図から測定された心室間隔に基づいて作成される。
【0074】
1050で、刺激パラメータのための近似的に最適なパラメータ値が、刺激パラメータ最適化期間中に作成された、複数のパラメータ値から選択される。HRVパラメータの最大値に対応する近似的に最適なパラメータ値が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成された。
【0075】
例3:HRV従動治療オン/オフ・スイッチ
電気的刺激治療の利益は、両方とも長期にわたって変化する、患者の心臓状態と物理的活動レベルに依存する。患者への利益を最大化するために、治療は、患者の状態および要求に対して適応可能である必要がある。ある患者は、同時に投与されることができない、または投与されるべきではない2つ以上の治療を受ける。HRVは、治療の開始、停止、および/または調節をトリガ起動する信号を供給する。一実施形態では、HRVパラメータが、治療の投与に対する安全性チェックとして使用される。HRVパラメータが、治療の継続投与が患者に対して潜在的に有害であることを示したとき、治療の投与が一時停止される。別の実施形態では、患者の状態の変化に応答してある治療から別の治療に切り替える必要性を示す信号としてHRVパラメータが監視される。
【0076】
例えば、MIを被っている患者は、血行動態性能の減少を有し、不利な心臓リモデリング・プロセスを経験する。一実施形態では、MI後患者の血行動態性能を改善するためにCRTが投与され、かつMI後リモデリングを減少させるためにRCTが投与される。一般に、CRTとRCTは、それらの影響の間の衝突のため、同時に行うことができない。RCTは、梗塞領域内の先行負荷を減少させることにより、MI後リモデリングの進行を制御することによってMI後患者を治療する。ペーシング・パルスが、収縮の前にこの領域へのストレスを減少させるために短いAVDで投与される。しかし、短いAVDでのペーシングは、血行動態性能の減少を結果として生じさせるかもしれない。例えば、短いAVDでペーシングされている心臓が正常な心室伝導(プルキンエ)システムを有する場合、ペーシングは、血行動態性能の測定値である心室同調と心臓出力の程度を低下させる。1つの結果としての問題点は、MI後患者が活動状態になるとき、短いAVDでのペーシングが、心臓出力を制限し、したがって患者の代謝の必要性に対処するために心臓が十分な血液を送り出すことを防止する。1つの解決法は、代謝の必要性が高いとき最適な血行動態性能を、代謝の必要性が低いときMI後リモデリング制御をペーシングが提供するように、MI後患者の瞬時の代謝の必要性に応じて、CRTとRCTを交番するように実施することである。一実施形態では、HRVパラメータが、CRTとRCTの間の切替のタイミングを制御するために使用される。ある特定の実施形態では、HRVパラメータが閾値以下に下がったとき、患者がRCTを受けることを停止し、CRTを受けることを開始する。ある特定の実施形態では、HRVパラメータが、CRTとRCTの間の切替のタイミングを制御するために、物理的活動レベル・パラメータなどの別の1つまたは複数のパラメータと組み合わせて使用される。別の実施形態では、RV徐脈ペーシングが、MI後患者の血行動態性能を改善するために投与され、かつRCTが、MI後リモデングの程度を減少させるために行われる。HRVパラメータが、CRTがRV徐脈ペーシングに置き換えられて、上記で議論したのと実質的に同じようにしてRV徐脈ペーシングとRCTの間の切替のタイミングを制御するために使用される。
【0077】
図11は、HRV従動治療切替システムを備える刺激システム1115の一実施形態を示すブロック図である。刺激システム1115は、刺激システム115の特定の実施形態であり、かつ感知回路212、パルス出力回路214、HRV測定回路220、刺激制御回路1130を備える。
【0078】
刺激制御回路1130が、刺激アルゴリズム実行モジュール1150と安全性チェック・モジュール1152を備える。刺激アルゴリズム実行モジュール1150が、少なくとも1つの刺激アルゴリズムを実行することによって電気的刺激パルスの投与を制御する。刺激システム115の特定の実施形態として、刺激システム1115は、ペーシング・システムと神経刺激システムの一方または両方を備える。刺激アルゴリズム実行モジュール1150は、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、神経刺激アルゴリズム実行モジュール、組み合わされたペーシング神経刺激アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備える。このようなアルゴリズム実行モジュールのうちの1つが、瞬時に活動化される。
【0079】
安全性チェック・モジュール1152が、HRV測定回路220によって作成されたHRVパラメータに基づいて刺激アルゴリズムの実行を停止する。一実施形態では、図11に示されているように、安全性チェック・モジュール1152が、比較器1154と切替回路1156を備える。比較器1154が、HRV測定回路220からHRVパラメータを受信し、かつHRVパラメータを安全性閾値と比較する。HRVパラメータが安全性閾値以下に下がったとき、切替回路1156が刺激アルゴリズムの実行を停止する。さらなる実施形態では、HRVパラメータが別の安全性閾値を超えたとき、切替回路1156が刺激アルゴリズムの実行を再開する。2つの安全性閾値の値は、心臓状態管理の特定の考慮に基づいて決定され、かつ等しくても異なってもよい。ある例示的な特定の実施形態では、刺激アルゴリズムがRCTペーシング・アルゴリズムである。患者のHRVが血行動態性能の悪化を示したまたは示唆したとき、安全性チェック・モジュール1152がRCTアルゴリズムの実行を停止する。別の例示的な特定の実施形態では、刺激アルゴリズムが、徐脈ペーシング・アルゴリズムである。患者のHRVがペーシングが患者の心臓状態に悪い影響を与えることを示したまたは示唆したとき、安全性チェック・モジュール1152が徐脈ペーシング・アルゴリズムの実行を停止する。
【0080】
別の実施形態では、切替回路1156が、HRVパラメータが第1の安全性閾値未満に下がったとき、第1の刺激アルゴリズムの実行を停止し、かつ第2の刺激アルゴリズムの実行を開始し、かつHRVパラメータが第2の安全性閾値を超えたとき、第2の刺激アルゴリズムの実行を停止し、第1の刺激アルゴリズムの実行を開始する。特定の心臓状態管理の考慮に応じて、第1の安全性閾値が、第2の安全性閾値よりも大きくても、等しくても、または小さくてもよい。ある例示的な特定の実施形態では、第1の刺激アルゴリズムがRCTペーシング・アルゴリズムであり、かつ第2の刺激アルゴリズムがCRTペーシング・アルゴリズムである。別の例示的な特定の実施形態では、第1の刺激アルゴリズムがRCTペーシング・アルゴリズムであり、かつ第2の刺激アルゴリズムが徐脈ペーシング・アルゴリズムである。
【0081】
一実施形態では、安全性チェック・モジュール1152が、患者の活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて安全性閾値を動的に調節するための安全性閾値発生器を備えている。ある特定の実施形態では、安全性閾値発生器が、患者の心拍数に基づいて1つまたは複数の安全性閾値を調節する。別の実施形態では、安全性閾値発生器が、毎日の特定の時間の間の患者の予想される活動レベルに基づいて1つまたは複数の安全性閾値を調節する。
【0082】
図12は、HRVパラメータを使用して治療を開始し停止するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。一実施形態では、方法は、刺激システム1115によって行われる。
【0083】
1200で、心臓機能を示す信号が感知される。信号は、心房心電図、心室心電図、交感神経活動を示す神経信号、副交感神経活動を示す信号のうちの1つまたは複数を含む。HRVパラメータの測定を可能にする少なくとも1つの心臓信号が感知される。
【0084】
1210で、HRVが、感知された心臓信号に基づいて測定され、少なくとも1つのHRVパラメータが、HRV測定値に基づいて作成される。一実施形態では、感知された心臓信号が心房心電図であり、かつHRVパラメータが、心房心電図から測定された心房間隔に基づいて作成される。別の実施形態では、感知された心臓信号が心室心電図であり、かつHRVパラメータが、心室心電図から測定された心室間隔に基づいて作成される。
【0085】
1220で、電気的刺激パルスが、刺激アルゴリズムを実行することによって投与される。刺激アルゴリズムの例は、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、RCTペーシング・アルゴリズム、神経刺激アルゴリズム、組み合わされたペーシング・神経刺激アルゴリズムを含む。
【0086】
1230で、HRVパラメータが安全性ウィンドウの外にあるとき、刺激アルゴリズムの実行が停止される。一実施形態では、HRVパラメータが安全性閾値と比較される。HRVパラメータが安全性閾値未満に下がったとき、第1の刺激アルゴリズムの実行が停止される。さらなる実施形態では、HRVパラメータが別の安全性閾値を超えたとき、刺激アルゴリズムの実行が再開される。別の実施形態では、HRVパラメータが第1の安全性閾値未満に下がったとき、第1の刺激アルゴリズムの実行が停止され、かつ第2の刺激アルゴリズムの実行が開始される。HRVパラメータが第2の安全性閾値を超えたとき、かつ第1の刺激アルゴリズムの実行が開始され、第2の刺激アルゴリズムの実行が停止される。
【0087】
一実施形態では、安全性ウィンドウが、患者の活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて動的に調節される。ある特定の実施形態では、安全性ウィンドウが、患者の心拍数に基づいて調節される。別の実施形態では、安全性ウィンドウが、毎日の特定の時間の間の患者の予想される活動レベルに基づいて調節される。
【0088】
実施例1〜3を含む上記の詳細な説明が、限定的でなく、例示的であることを意図されていることを理解されたい。本文書で議論されたシステム構成要素のいずれかの考えられる置換を含む他の実施形態は、上記の説明を読みかつ理解すれば当業者なら明白であろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照にして決定されるべきである。
【0089】
以下に本発明の実施形態を記載する。
〔実施形態1〕電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記パルス出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合された刺激制御回路であって、前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節するように構成された刺激パラメータ最適化モジュールを備え、前記刺激パラメータ最適化モジュールが、
前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成するように構成された刺激パラメータ発生器と、
刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値を使用して前記電気的刺激パルスの投与を制御するように構成されたパルス出力コントローラと、
前記複数のパラメータ値から前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して近似的に最適なパラメータ値を選択するように構成され、前記近似的に最適なパラメータ値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する、刺激パラメータ・セレクタと
を備える刺激制御回路とを備える心臓律動管理システム。
〔実施形態2〕前記刺激パラメータ最適化モジュールが、前記刺激パラメータ最適化期間を開始する最適化タイマを備える実施形態1に記載のシステム。
〔実施形態3〕前記最適化タイマが、周期的なベースで、前記刺激パラメータ最適化期間を開始するようにプログラムされている実施形態2に記載のシステム。
〔実施形態4〕前記最適化タイマが、前記刺激パラメータ最適化期間を停止するようにさらに構成されている実施形態2または3に記載のシステム。
〔実施形態5〕前記刺激パラメータ発生器が、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された生理学的パラメータ測定モジュールを備え、かつ前記刺激パラメータ発生器が、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するように構成され、かつ前記パルス出力コントローラが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値のうちの1つのパラメータ値を使用して、投与される予定の複数の電気的刺激パルスをそれぞれ含む前記複数の電気的パルス列の投与を制御するように構成されている前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態6〕前記刺激パラメータ発生器が、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する生理学的パラメータ測定モジュールと、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて少なくとも1つの動的刺激パラメータのパラメータ値を動的に作成する動的刺激パラメータ発生器とを備え、前記パルス出力コントローラが、前記少なくとも1つの動的刺激パラメータの前記動的に作成されたパラメータ値を使用して電気的刺激パルスの投与を制御するように構成され、かつ前記刺激パラメータ・セレクタが、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定された前記HRVパラメータの最大値に対応する前記動的刺激パラメータの値である近似的に最適な値を識別するように構成されている実施形態1から4のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態7〕前記パルス出力コントローラが、前記刺激パラメータ最適化期間中に刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールを備える前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態8〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7に記載のシステム。
〔実施形態9〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7および8のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態10〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7から9のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態11〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、自律神経刺激アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7から10のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態12〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、組み合わされたペーシングと神経刺激アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7に記載のシステム。
〔実施形態13〕前記パルス出力回路が、心臓ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備え、かつ前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つのペーシング・パラメータを調節するペーシング・パラメータ最適化モジュールを備えるペーシング制御回路を備える前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態14〕前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、1つまたは複数のAVDを最適化するように構成された房室遅延(AVD)最適化モジュールを備える実施形態13に記載のシステム。
〔実施形態15〕前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、1つまたは複数のIVDを最適化するように構成された心室内遅延(IVD)最適化モジュールを備える実施形態13および14のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態16〕前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、前記心臓ペーシング・パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成されたペーシング部位最適化モジュールを備える実施形態13から15のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態17〕前記パルス出力回路が、神経刺激パルスを投与する神経刺激回路を備え、かつ前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの神経刺激パラメータを調節する神経刺激パラメータ最適化モジュールを備える神経刺激制御回路を備える前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態18〕前記神経刺激パラメータ最適化モジュールが、1つまたは複数の刺激パルス周波数を最適化するように構成された刺激パルス周波数最適化モジュールを備える実施形態17に記載のシステム。
〔実施形態19〕前記神経刺激パラメータ最適化モジュールが、前記神経刺激パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成された刺激部位最適化モジュールを備える実施形態17および18のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態20〕前記HRV測定回路が、SDNNを作成する正常−正常間隔標準偏差(SDNN)発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含む前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態21〕前記HRV測定システムが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを監視する自律神経バランス・モニタを備える実施形態1から19のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態22〕前記自律神経バランス・モニタが、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備える実施形態21に記載のシステム。
【0090】
〔実施形態23〕刺激パラメータ最適化期間を開始するステップと、
心臓信号を感知するステップと、
少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成するステップと、 前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して前記複数のパラメータ値を使用して電気的刺激パルスを投与するステップと、
前記刺激パラメータ最適化期間中に、感知された前記心臓信号に基づいて少なくとも1つの心拍変動(HRV)パラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動を測定するステップと、
前記複数のパラメータ値からの前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して、刺激パラメータ最適化期間中に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する近似的に最適な値を選択するステップとを含む方法。
〔実施形態24〕前記刺激パラメータ最適化期間を開始するステップが、周期的なベースで前記刺激パラメータ最適化期間を開始するステップを含む実施形態23に記載の方法。
〔実施形態25〕低い物理的活動レベルに関連する周期に対する前記刺激パラメータ最適化期間をプログラムするステップをさらに含む実施形態23および24のいずれかに記載の方法。
〔実施形態26〕生理学的パラメータを測定するステップをさらに含み、かつ前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するステップが、前記測定された生理学的パラメータに基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するステップを含み、かつ前記電気的刺激パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値のうちの1つのパラメータ値を使用して投与される予定の複数の刺激パルスをそれぞれ含む複数の刺激パルス列を投与するステップを含む実施形態23から25のいずれかに記載の方法。
〔実施形態27〕動的に変化する生理学的パラメータを測定するステップをさらに含み、かつ前記複数のパラメータ値を作成するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、動的に変化する生理学的パラメータに基づいて動的刺激パラメータの値を動的に作成するステップを含み、前記電気的刺激パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に動的刺激パラメータを使用して刺激パルスを投与するステップを含み、かつ前記少なくとも1つのパラメータに対して前記近似的に最適な値を選択するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、作成された前記動的刺激パラメータの値から前記近似的に最適な値を選択するステップを含み、前記近似的に最適な値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定された前記HRVパラメータの最大値に対応する実施形態23から25のいずれかに記載の方法。
〔実施形態28〕電気的刺激パルスを投与するステップが、ペーシング・パルスを投与するステップを含む実施形態23から27のいずれかに記載の方法。
〔実施形態29〕ペーシング・パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、ペーシング・アルゴリズムを実行することによって前記ペーシング・パルスを投与するステップを含み、前記ペーシング・アルゴリズムが少なくとも1つの刺激パラメータを使用する実施形態28に記載の方法。
〔実施形態30〕前記ペーシング・アルゴリズムを実行するステップが、徐脈ペーシング・アルゴリズム、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムのうちの少なくとも1つを実行するステップを含む実施形態29に記載の方法。
〔実施形態31〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが房室遅延(AVD)を含む実施形態28から30のいずれかに記載の方法。
〔実施形態32〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが心室内遅延(IVD)を含む実施形態28から31のいずれかに記載の方法。
〔実施形態33〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが、前記ペーシング・パルスがそれに対して投与される部位を識別するペーシング部位パラメータを含む実施形態28から32のいずれかに記載の方法。
〔実施形態34〕前記電気的刺激パルスを投与するステップが神経刺激パルスを投与するステップを含む実施形態23から33のいずれかに記載の方法。
〔実施形態35〕神経刺激パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、神経刺激アルゴリズムを実行することによって前記神経刺激パルスを投与するステップを含み、前記神経刺激アルゴリズムが前記少なくとも1つの刺激パラメータを使用する実施形態34に記載の方法。
〔実施形態36〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが刺激周波数を含む実施形態34および35のいずれかに記載の方法。
〔実施形態37〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが、前記神経刺激パルスがそれに対して投与される部位を識別する刺激部位パラメータを含む実施形態34から36のいずれかに記載の方法。
〔実施形態38〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)のうちの1つまたは複数を作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態23から37のいずれかに記載の方法。
〔実施形態39〕前記HRVを作成するためにHRVを測定するステップが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態23から37のいずれかに記載の方法。
〔実施形態40〕交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示す前記パラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成するステップを含む実施形態39に記載の方法。
【0091】
〔実施形態41〕ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記ペーシング出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合されたペーシング制御回路であって、前記ペーシング制御回路が、
最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの前記投与を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRV測定回路と前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールに結合されたMTR調節モジュールであって、前記MTR調節回路が前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節するように構成されているMTR調節モジュールと
を備えるペーシング制御回路とを備える心臓律動管理システム。
〔実施形態42〕前記心臓信号が心電図を含む実施形態41に記載のシステム。
〔実施形態43〕前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態41および42のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態44〕前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態41から43のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態45〕前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態41から44のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態46〕前記MTR調節モジュールが、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値から前記MTRの値を選択するように構成されたMTRセレクタを備える実施形態41から45のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態47〕前記MTRセレクタが、前記HRVパラメータを閾値HRVレベルと比較する比較器を備え、かつ前記MTRセレクタが、HRVパラメータが所定の閾値を超える場合は所定の第1の値に、およびHRVパラメータが所定の閾値HRVレベルを超えない場合は所定の第2の値に設定するように構成されている実施形態46に記載のシステム。
〔実施形態48〕前記MTR調節モジュールが、活動レベルに基づいて閾値HRVレベルを動的に調節するHRV閾値発生器をさらに備える実施形態47に記載のシステム。
〔実施形態49〕前記HRV測定回路が、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含む実施形態41から48のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態50〕前記HRV測定回路が、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを監視する自律神経バランス・モニタを備える実施形態41から48のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態51〕前記自律神経バランス・モニタが、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備える実施形態50に記載のシステム。
【0092】
〔実施形態52〕心臓信号を感知するステップと、
前記感知された心臓信号に基づいて心拍変動(HRV)パラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動を測定するステップと、
ペーシング・パルスの投与を制御する心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行するステップであって、前記心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムが、最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用するステップと、 前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節するステップと
を含む心臓ペースメーカーを動作させるための方法。
〔実施形態53〕心臓信号を感知するステップが心電図を感知するステップを含む実施形態52に記載の方法。
〔実施形態54〕心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行するステップが、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、MI後RCTペーシング・アルゴリズムのうちの1つを実行するステップを含む実施形態52および53のいずれかに記載の方法。
〔実施形態55〕前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節するステップが、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値のうちの1つに前記MTRを設定するステップを含む実施形態52から54のいずれかに記載の方法。
〔実施形態56〕前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値のうちの1つに前記MTRを設定するステップが、
前記HRVパラメータを閾値HRVレベルと比較するステップと、
前記HRVパラメータが前記閾値HRVレベルを超える場合は第1の値に、および前記HRVパラメータが前記閾値HRVレベルを超えない場合は第2の値に前記MTRを設定するステップとを含む実施形態55に記載の方法。
〔実施形態57〕心拍数に基づいて前記閾値HRVレベルを動的に調節するステップをさらに含む実施形態56に記載の方法。
〔実施形態58〕活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて前記閾値HRVレベルを動的に調節するステップをさらに含む実施形態56および57のいずれかに記載の方法。
〔実施形態59〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)のうちの1つまたは複数を作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態52から58のいずれかに記載の方法。
〔実施形態60〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態52から58のいずれかに記載の方法。
〔実施形態61〕交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成するステップを含む実施形態60に記載の方法。
【0093】
〔実施形態62〕心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路に結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
前記感知回路、前記HRV測定回路、前記パルス出力回路に結合された刺激制御回路であって、前記刺激制御回路が、
少なくとも第1の刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRVパラメータに基づいて前記第1の刺激アルゴリズムの実行を停止する安全性チェック・モジュールとを備える刺激制御回路とを備える心臓律動管理システム。
〔実施形態63〕前記感知回路が、1つまたは複数の心電図を感知する心電図感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路が、ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備える実施形態62に記載のシステム。
〔実施形態64〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを実行することによって前記ペーシング・パルスの投与を制御する徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態63に記載のシステム。
〔実施形態65〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、CRTペーシング・アルゴリズムを実行することによって前記ペーシング・パルスの投与を制御する心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態63および64のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態66〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、RCTペーシング・アルゴリズムを実行することによってぺーシング・パルスの投与を制御するリモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態63から65のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態67〕前記感知回路が、1つまたは複数の自律神経信号を感知する神経信号感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路が、神経刺激パルスを投与する神経刺激出力回路を備える実施形態62から66のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態68〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、第1の刺激アルゴリズムを実行することによって神経刺激パルスの投与を制御する神経刺激アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態67に記載のシステム。
〔実施形態69〕前記安全性チェック・モジュールが、
前記HRVパラメータを第1の安全性閾値と比較する比較器と、
前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するように構成された切替回路と
を備える実施形態62から68のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態70〕前記安全性チェック・モジュールが、活動レベルに基づいて第1の安全性閾値を動的に調節する安全性閾値発生器をさらに備える実施形態69に記載のシステム。
〔実施形態71〕前記比較器が、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路が、前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第1の刺激アルゴリズムの実行を再開するように構成されている実施形態69に記載のシステム。
〔実施形態72〕前記切替回路が、前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止しかつ第2の刺激アルゴリズムの実行を開始するように構成されている実施形態71に記載のシステム。
〔実施形態73〕前記比較器が、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路が、前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第2の刺激アルゴリズムの前記実行を停止し、かつ前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を開始するように構成されている実施形態72に記載のシステム。
〔実施形態74〕前記HRV測定回路が、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含む実施形態62から73のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態75〕前記HRV測定回路が、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを監視する自律神経バランス・モニタを備える実施形態62から73のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態76〕前記自律神経バランス・モニタが、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備える実施形態75に記載のシステム。
〔実施形態77〕心臓信号を感知するステップと、
前記感知された前記心臓信号に基づいてHRVパラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動を測定するステップと、
少なくとも第1の刺激アルゴリズムを実行することによって電気的刺激パルスを投与するステップと、
前記HRVパラメータが安全性ウィンドウの外にあるとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップとを含む方法。
〔実施形態78〕前記心臓信号を感知するステップが、1つまたは複数の心電図を感知するステップを含み、かつ前記電気的刺激パルスを投与するステップが、ペーシング・パルスを投与するステップを含む実施形態77に記載の方法。
〔実施形態79〕1つまたは複数の神経信号を感知するステップをさらに含み、かつ前記電気的刺激パルスを投与するステップが、神経刺激パルスを投与するステップを含む実施形態77および78のいずれかに記載の方法。
〔実施形態80〕心拍数に基づいて前記安全性ウィンドウを動的に調節するステップをさらに含む実施形態77から79のいずれかに記載の方法。
〔実施形態81〕活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて前記安全性ウィンドウを動的に調節するステップをさらに含む実施形態77から80のいずれかに記載の方法。
〔実施形態82〕前記HRVパラメータが前記安全性ウィンドウの外にあるとき前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップが、
前記HRVパラメータを第1の安全性閾値と比較するステップと、
前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップと
を含む実施形態77から81のいずれかに記載の方法。
〔実施形態83〕前記第1の刺激アルゴリズムが、徐脈ペーシング・アルゴリズムを含む実施形態77から82のいずれかに記載の方法。
〔実施形態84〕前記第1の刺激アルゴリズムが、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムを含む実施形態77から83のいずれかに記載の方法。
〔実施形態85〕前記HRVパラメータを第2の安全性閾値と比較するステップと
前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を再開するステップとをさらに備える実施形態82に記載の方法。
〔実施形態86〕前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、第2の刺激アルゴリズムの実行を開始するステップをさらに備える実施形態85に記載の方法。
〔実施形態87〕前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第2の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップをさらに備える実施形態86に記載の方法。
〔実施形態88〕前記第1の刺激アルゴリズムがリモデリング制御(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムが心臓再同調(CRT)ペーシング・アルゴリズムである実施形態87に記載の方法。
〔実施形態89〕前記第1の刺激アルゴリズムがリモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムが徐脈ペーシング・アルゴリズムである実施形態87に記載の方法。
〔実施形態90〕前記第1の刺激アルゴリズムが副交感神経刺激アルゴリズムであり、かつ前記第2の治療が交感神経刺激アルゴリズムである実施形態87に記載の方法。
〔実施形態91〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)のうちの1つまたは複数を作成するためにHRVを測定するステップをさらに含む実施形態77から90のいずれかに記載の方法。
〔実施形態92〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態77から90のいずれかに記載の方法。
〔実施形態93〕交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示す前記パラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成するステップを含む実施形態92に記載の方法。
【0094】
以下に、本発明の更なる実施形態を記載する。
<実施形態1>電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記パルス出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合された刺激制御回路とを備え、前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節するように構成された刺激パラメータ最適化モジュールを備え、
前記刺激パラメータ最適化モジュールは、
前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成するように構成された刺激パラメータ発生器と、
刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値を使用して前記電気的刺激パルスの投与を制御するように構成されたパルス出力コントローラと、
前記複数のパラメータ値から前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して近似的に最適なパラメータ値を選択するように構成され、前記近似的に最適なパラメータ値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する刺激パラメータ・セレクタと、
前記刺激パラメータ最適化期間を開始および停止する最適化タイマと、
を備えることを特徴とする心臓律動管理システム。
<実施形態2>前記最適化タイマは、周期的なベースで、前記刺激パラメータ最適化期間を開始するようにプログラムされていることを特徴とする実施形態1に記載のシステム。
<実施形態3>前記刺激パラメータ発生器は、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された生理学的パラメータ測定モジュールを備え、かつ前記刺激パラメータ発生器は、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するように構成され、かつ前記パルス出力コントローラは、前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値のうちの1つのパラメータ値を使用して、投与される予定の複数の電気的刺激パルスをそれぞれ含む前記複数の電気的パルス列の投与を制御するように構成されていることを特徴とする実施形態1および2いずれかに記載のシステム。
<実施形態4>前記刺激パラメータ発生器は、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する生理学的パラメータ測定モジュールと、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて少なくとも1つの動的刺激パラメータのパラメータ値を動的に作成する動的刺激パラメータ発生器とを備え、前記パルス出力コントローラは、前記少なくとも1つの動的刺激パラメータの前記動的に作成されたパラメータ値を使用して電気的刺激パルスの投与を制御するように構成され、かつ前記刺激パラメータ・セレクタは、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定された前記HRVパラメータの最大値に対応する前記動的刺激パラメータの値である近似的に最適な値を識別するように構成されていることを特徴とする実施形態1および2のいずれかに記載のシステム。
<実施形態5>前記パルス出力コントローラは、前記刺激パラメータ最適化期間中に刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態1乃至4いずれかに記載のシステム。
<実施形態6>前記パルス出力回路は、心臓ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備え、かつ前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つのペーシング・パラメータを調節するペーシング・パラメータ最適化モジュールを有するペーシング制御回路を備えることを特徴とする実施形態1乃至5いずれかに記載のシステム。
<実施形態7>前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、1つまたは複数のAVDを最適化するように構成された房室遅延(AVD)最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態6に記載のシステム。
<実施形態8>前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、1つまたは複数のIVDを最適化するように構成された心室内遅延(IVD)最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態6および7のいずれかに記載のシステム。
<実施形態9>前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、前記心臓ペーシング・パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成されたペーシング部位最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態6乃至8のいずれかに記載のシステム。
<実施形態10>前記パルス出力回路は、神経刺激パルスを投与する神経刺激回路を備え、かつ前記刺激制御回路は、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの神経刺激パラメータを調節する神経刺激パラメータ最適化モジュールを備える神経刺激制御回路を備えることを特徴とする前記実施形態1乃至9のいずれかに記載のシステム。
<実施形態11>前記神経刺激パラメータ最適化モジュールは、1つまたは複数の刺激パルス周波数を最適化するように構成された刺激パルス周波数最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態10に記載のシステム。
<実施形態12>前記神経刺激パラメータ最適化モジュールは、前記神経刺激パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成された刺激部位最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態10および11のいずれかに記載のシステム。
<実施形態13>前記HRV測定回路は、SDNNを作成する正常−正常間隔標準偏差(SDNN)発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする前記実施形態1乃至12のいずれかに記載のシステム。
<実施形態14>前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする実施形態1乃至13に記載のシステム。
<実施形態15>ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記ペーシング出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合されたペーシング制御回路と、
を備え、前記ペーシング制御回路は、
最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの前記投与を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRV測定回路と前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールに結合されたMTR調節モジュールと、
を備え、前記MTR調節モジュールは、活動レベルを用いて動的に1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節し、前記1つまたは複数の閾値HRVレベルに前記HRVパラメータを比較した結果に基づいて前記MTRを調節することを特徴とする心臓律動管理システム。
<実施形態16>前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態15に記載のシステム。
<実施形態17>前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態15および16のいずれかに記載のシステム。
<実施形態18>前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態15乃至17のいずれかに記載のシステム。
<実施形態19>前記MTR調節モジュールは、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値から前記MTRの値を選択するように構成されたMTRセレクタを備えることを特徴とする実施形態15乃至18のいずれかに記載のシステム。
<実施形態20>前記MTRセレクタは、前記HRVパラメータを前記1つまたは複数の閾値のうち第1の閾値HRVレベルと比較する比較器を備え、かつ前記MTRセレクタは、HRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超える場合は所定の第1の値に、およびHRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超えない場合は所定の第2の値に設定するように構成されていることを特徴とする実施形態19に記載のシステム。
<実施形態21>前記MTR調節モジュールは、心拍変動に基づいて前記1つまたは複数の閾値HRVレベルを動的に調節するように構成されていることを特徴とする実施形態15乃至20のいずれかに記載のシステム。
<実施形態22>前記HRV測定回路は、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする実施形態15乃至21のいずれかに記載のシステム。
<実施形態23>前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする実施形態15乃至21のいずれかに記載のシステム。
【0095】
<実施形態24>心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路に結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
前記感知回路、前記HRV測定回路、前記パルス出力回路に結合された刺激制御回路と、
を備え、前記刺激制御回路は、
少なくとも第1の刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールと、
前記活動レベルの表示、見積、予測に基づいて前記第1の安全性閾値を動的に調整するように構成された安全性チェック・モジュールと、を備え、
前記安全性チェック・モジュールは、
前記HRVパラメータを前記第1の安全性閾値と比較する比較器と、
前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するように構成された切替回路と、
を備えることを特徴とする心臓律動管理システム。
<実施形態25>前記感知回路は1つまたは複数の心電図を感知する心電図感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路は、ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備えることを特徴とする実施形態24に記載のシステム。
<実施形態26>前記感知回路は、1つまたは複数の自律神経信号を感知する神経信号感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路は、神経刺激パルスを投与する神経刺激出力回路を備えることを特徴とする実施形態24および25のいずれかに記載のシステム。
<実施形態27>前記安全性チェック・モジュールは、心拍変動に基づいて前記第1の安全性閾値を動的に調整するように構成されていることを特徴とする実施形態24乃至26のいずれかに記載のシステム。
<実施形態28>前記比較器は、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路は前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第1の刺激アルゴリズムの実行を再開するように構成されていることを特徴とする実施形態24乃至27のいずれかに記載のシステム。
<実施形態29>前記切替回路は、前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止し、かつ第2の刺激アルゴリズムの実行を開始するように構成されていることを特徴とする実施形態24乃至27のいずれかに記載のシステム。
<実施形態30>前記比較器は、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路は前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第2の刺激アルゴリズムの前記実行を停止し、かつ前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を開始するように構成されていることを特徴とする実施形態29に記載のシステム。
<実施形態31>前記第1の刺激アルゴリズムはリモデリング制御(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムは心臓再同調(CRT)ペーシング・アルゴリズムであることを特徴とする実施形態29および30のいずれかに記載の方法。
<実施形態32>前記第1の刺激アルゴリズムはリモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムは徐脈ペーシング・アルゴリズムであることを特徴とする実施形態29および30のいずれかに記載の方法。
<実施形態33>前記第1の刺激アルゴリズムは副交感神経刺激アルゴリズムであり、かつ前記第2の治療は交感神経刺激アルゴリズムであることを特徴とする実施形態29および30のいずれかに記載の方法。
<実施形態34>前記HRV測定回路は、SDNNを作成する正常−正常間隔標準偏差(SDNN)発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする前記実施形態24乃至33のいずれかに記載のシステム。
<実施形態35>前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする実施形態24乃至33のいずれかに記載のシステム。
【技術分野】
【0001】
本文書は一般に、心臓律動管理システム(CRM)、および特に、限定されるものではないが、電気的刺激パルスの投与を制御するために心拍変動(HRV)を使用するこのようなシステムに関する。
【0002】
(優先権主張)
2005年1月18日に提出された、米国特許出願番号第11/037,308号、2005年1月18日に提出された、米国特許出願番号第11/037,723号、2005年1月18日に提出された、米国特許出願番号第11/037,039号に対して、優先権が請求され、これらの出願が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
(関連出願の相互引用)
本出願は、同時係属中の、同一出願人による2003年12月2日に提出された、「CARDIAC RHYTHM MANAGEMENT SYSTEM USING TIME−DOMAIN HEART RATE VARIABILITY INDICIA」という題名の、米国特許出願第10/726,062号に関連し、この出願がその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
心臓は、人の循環系の中心である。心臓は、2つの主要なポンピング機能を行う電気機械的システムを含む。心臓の左側部分は、酸素を豊富に含んだ血液を肺から引き出し、それを酸素に対する代謝の必要性を有する組織に供給するために体の組織へ送り出す。心臓の右側部分は、酸素の少ない血液を体の器官から引き戻し、それを血液に酸素を与る肺へ送り出す。これらのポンピング機能は、心筋(心臓筋肉)の周期的な収縮によって達成される。正常な心臓では、洞結節が、正常な洞心拍数で活動電位と呼ばれる電気信号を発生させる。電気インパルスは、電気伝導系を通って心臓の様々な領域へ伝播して、これらの領域の心筋組織を励起させる。正常な電気伝導系内の活動電位の伝播の調整された遅延が、心臓の様々な部分を同調して収縮させ、正常な血行動態性能によって示される効果的なポンピング機能を結果として生じさせる。遮断された、またはそうでない場合の異常な電気伝導および/または劣化した心筋組織は、心臓の同調しない収縮を生じさせ、心臓と体の残りの部分への血液供給の減少を含む、貧しい血行動態性能を結果として生じさせる。心臓が、体の代謝の必要性に適合するために十分な血液を送り出すことができない状態は、心不全として公知である。
【0005】
電気的刺激治療が、電気伝導系の機能を回復させ、かつ心筋組織の劣化を減少させるために使用されている。これらの潜在的な患者への利益は、このような治療が、両方とも長期にわたって変化する、患者の心臓状態と代謝の要求に対して順応性があるときに、達成または最大化される。ある例では、比較的高い心拍数でペーシング・パルスを投与することが、強い物理的活動に参加するための患者の一時的な代謝の要求を満足させるが、心筋組織のさらなる劣化を結果として生じさせる。別の例では、心筋組織のさらなる劣化を防止する電気的治療が、治療が行われているときの患者の運動能力をかなり制限するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらおよびその他の理由のため、患者の必要性と状態の変化に基づいて、心臓電気的治療の投与を調整する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
CRMシステムは、所定の時間にわたる心臓周期の長さの変動である、HRVに基づいて、ペーシングおよび/または自律神経刺激パルスの投与を調整する。ペーシングおよび/または自律神経刺激パルスの投与がそれに基づいて開始、停止、調節、または最適化される患者の心臓状態を示すためにHRVの測定値であるHRVパラメータが作成される。
【0008】
一実施態様では、CRMシステムが、パルス出力回路、感知回路、HRV測定回路、刺激制御回路を備える。パルス出力回路は、電気的刺激パルスを投与する。感知回路は、心臓信号を感知する。HRV測定回路は、HRVパラメータを作成するために、HRVを測定する。刺激制御回路は、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節する刺激パラメータ最適化モジュールを備える。刺激パラメータ最適化モジュールは、刺激パラメータ発生器、パルス出力コントローラ、刺激パラメータ・セレクタを備える。刺激パラメータ発生器は、刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成する。パルス出力コントローラは、刺激パラメータ最適化期間中、前記複数のパラメータ値を使用して前記電気的刺激パルスの投与を制御する。刺激パラメータ・セレクタは、前記複数のパラメータ値から前記刺激パラメータに対して近似的に最適なパラメータ値を選択する。前記近似的に最適なパラメータ値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定されたHRVパラメータの最大値に対応している。
【0009】
一実施態様では、HRVベースの刺激パラメータ最適化方法が提供される。刺激パラメータ最適化期間が開始される。心臓信号が感知される。少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値が作成される。前記刺激パラメータ最適化期間中、前記複数のパラメータ値を使用して電気的刺激パルスが投与される。前記刺激パラメータ最適化期間中、感知された前記心臓信号に基づいて少なくとも1つのHRVパラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動が測定される。前記複数のパラメータ値からの前記刺激パラメータに対して近似的に最適な値が選択される。前記近似的に最適な値が、刺激パラメータ最適化期間中に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する。
【0010】
一実施態様では、CRMシステムが、ペーシング出力回路、感知回路、HRV測定回路、ペーシング制御回路を備える。ペーシング出力回路はペーシング・パルスを投与する。感知回路は心臓信号を感知する。HRV測定回路は、HRVパラメータを作成するためにHRVを測定する。ペーシング制御回路が、ペーシング・アルゴリズム実行モジュールと最大トラッキング・レート(MTR)調節モジュールを備える。ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、MTRを含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの投与を制御する。MTR調節モジュールは、前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節する。
【0011】
一実施態様では、心臓ペースメーカーを動作させるための方法が提供される。心臓信号が感知される。HRVパラメータを作成するために感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動が測定される。心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムが、ペーシング・パルスの投与を制御するために実行される。心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムは、MTRを含むペーシング・パラメータを使用する。前記HRVパラメータに基づいて前記MTRが調節される。
【0012】
一実施態様では、CRMシステムが、感知回路、HRV測定回路、パルス出力回路、刺激制御回路を備える。感知回路が心臓信号を感知する。HRV測定回路がHRVパラメータを作成するためにHRVを測定する。パルス出力回路が電気的刺激パルスを投与する。刺激制御回路が、刺激アルゴリズム実行モジュールと安全性チェック・モジュールを備える。刺激アルゴリズム実行モジュールが少なくとも1つの刺激アルゴリズムを実行することによって、前記電気的刺激パルスの投与を制御する。安全性チェック・モジュールが、前記HRVパラメータに基づいて前記刺激アルゴリズムの実行を停止する。
【0013】
一実施態様では、電気的刺激のためのHRVベースの安全性保証方法が提供される。心臓信号が感知される。HRVパラメータを作成するために前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動が測定される。少なくとも1つの刺激アルゴリズムを実行することによって電気的刺激パルスが投与される。前記HRVパラメータが安全性ウィンドウの外にあるとき、刺激アルゴリズムの実行が停止される。
【0014】
この概要は、本出願の教示のいくつかの概観であり、本主題の排他的または網羅的な処置を意図されたものではない。本主題についてのさらなる詳細が、詳細な説明と添付の特許請求の範囲で見出される。本発明の他の態様は、そのそれぞれが限定的な意味で取られるべきではない、以下の詳細な説明を読みかつ理解し、かつその一部を形成する図面を見れば、当業者なら明らかであろう。本発明の範囲が、頭記の特許請求の範囲とその均等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】CRMシステムの実施形態およびCRMシステムがその中で使用される環境の一部分を示す図である。
【図2】CRMシステムの一部分である刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】CRMシステムの一部分であるペーシング・システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図4】CRMシステムの一部分である神経刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図5】HRVベースのMTR調節システムを含むペーシング・システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図6】HRVパラメータを使用してMTRを調節するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【図7】HRVベースの刺激パラメータ最適化モジュールを備える刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図8】刺激パラメータ最適化モジュールの一実施形態を示すブロック図である。
【図9】刺激パラメータ最適化モジュールの別の実施形態を示すブロック図である。
【図10】HRVパラメータを使用する刺激パラメータ最適化のための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【図11】HRV従動治療切替システムを備える刺激システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図12】HRVパラメータを使用して治療を開始および停止するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。
【0016】
必ずしも同一縮尺で描かれてはいない図面では、類似の符号が、いくつかの図全体を通して類似の構成要素を表す。図面は一般に、本文書で議論される様々な実施態様を一例として示しているが、それに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部分を形成し、その中で本発明を実行することができる特定の実施形態が一例としてその中で示されている、添付の図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分詳細に説明され、かつ実施形態が組み合わされてもよいこと、または他の実施形態が使用されてもよいこと、ならびに構造的、論理的、電気的な変更が、本発明の精神と範囲から逸脱することなく行われてもよいことを理解されたい。以下の詳細な説明は例を提供し、かつ本発明の範囲が、頭記の特許請求の範囲とそれらの均等物によって定義される。
【0018】
本開示での「ある」、「1つの」、または「様々な」実施形態は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、このような参照は2つ以上の実施形態を企図していることに注意すべきである。
【0019】
本文書は、特に、患者のHRVに基づいて心臓治療を制御するために閉ループ・システムを使用するCRMシステムを議論する。HRVは、副交感神経系と交感神経系の出力の間の自律的なバランスを示し、それによって患者の心臓状態を示すものとして知られている。一般に、患者の心臓状態は、HRVが増加するとき改善され、かつHRVが減少するとき悪化する。患者が左心室の機能障害を被った場合、自律的なバランスが、交感神経系の方へ移動し、かつHRVが減少する。このため、閉ループ・システムが、患者のHRVを増加または最大化させるように、心臓治療を調整する。
【0020】
HRVは、ある時間にわたる心臓周期長における拍間変動である。本文書で使用されるような「HRVパラメータ」は、ある時間にわたる心臓周期の長さにおける拍間変動のいずれかの量的表現を含む、HRVの測定値であるいずれかのパラメータを含む。一実施形態では、HRVパラメータは、所定の時間にわたって平均された、連続する心臓周期の長さの間の時間差である。ある特定の実施形態では、心臓周期の長さは、心室周期の長さ、すなわちV−V間隔、またはR−R間隔であり、これらは連続する心室の脱分極化(R波)の間の時間間隔である。代替となる特定の実施形態では、心臓周期の長さは、心房周期の長さ、すなわちA−A間隔、またはP−P間隔であり、これらは連続する心房の脱分極化(P波)の間の時間間隔である。様々な特定の実施形態では、HRVパラメータは、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数(LF)HRV対高周波数(HF)HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)を含むが、それに限定されない。
【0021】
正常−正常間隔標準偏差(SDNN)。正常−正常間隔は、正常な洞律動の間のR−R間隔を称する。SDNNは、所定の時間にわたって測定されたR―R間隔の標準偏差である。
【0022】
正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)。正常−正常間隔は、正常な洞律動の間のR−R間隔を称する。SDANNを数値計算するために、R−R間隔が、第1の時間期間にわたって測定され、平均化される。平均化されたR−R間隔の標準偏差が、複数の第1の時間期間を含む第2の時間期間の間、数値計算される。一実施形態では、測定されたR−R間隔が、24時間の間5分周期にわたって(すなわち、288個の5分周期)平均化される。SDANNは、24時間に対して計算された5分間平均R−R間隔の標準偏差である。
【0023】
LF HRV対HF HRV比(LF/HF比)。LF HRVは、約0.04Hzから0.15Hzの間の周波数を有するHRVの成分を含む。HF HRVは、約0.15Hzから0.40Hzの間の周波数を有するHRVの成分を含む。LF/HF比は、自律神経のバランスの変動の傾向を追尾するために使用される。LF/HF比の実質上の変化は、交感神経系が過刺激されている程度を示す全身的なストレス変化を示す。
【0024】
HRVフットプリント。HRVフットプリントは、心拍数に対してプロットされたHRVのヒストグラムを称する。連続するR−R間隔の間の時間差が、ある時間期間に対して決定され、その時間期間にわたって測定された心拍数に対してプロットされる。
【0025】
連続差平方二乗平均(RMSSD)。ある時間期間に対して決定された連続するR−R間隔の間の時間差に対してそれぞれ、平方二乗平均値が計算される。
【0026】
上記で議論されたHRVパラメータは、患者のHRVを増加または最大化させるように心臓治療を調整する閉ループ・システムで使用されるHRVパラメータの例である。HRVを表すまたは示すことが可能なその他のパラメータが、本主題に従って、HRVとして使用されることができることは、本文書を読みかつ理解すれば当業者なら理解されよう。
【0027】
いくつかのHRVパラメータは、比較的短期間のHRVの測定値を与える。他のHRVパラメータは、比較的長期間のHRVの測定値を与える。あるHRVパラメータは、短期間と長期間の両方のHRVの測定値を、妥当な精度で与えることができる。ある例示的な実施形態では、1つまたは複数の治療パラメータの効果を評価するために、1つまたは複数の治療パラメータの異なる所定の値で、患者に治療が施される。HRVパラメータが、評価中に測定される。最も望ましいHRVをもたらす1つまたは複数の治療パラメータの値が、患者にとっての最適値として選択される。妥当な継続時間に評価を限定するために、適切なHRVパラメータが、患者のHRVの短期間測定値として使用されるとき、妥当な精度を与える。別の例示的な実施形態では、24時間などの比較的長期間にわたって動的に調節される1つまたは複数の治療パラメータで、治療が患者に施される。HRVパラメータが測定され記録され、1つまたは複数の治療パラメータの値が、その時間期間の間に適用される。このことは、患者に対して最適な治療パラメータの値を決定するための基礎を提供する、1つまたは複数の治療パラメータの値に対するHRVパラメータに関するマップを結果としてもたらす。このような実施形態では、適切なHRVパラメータが、患者のHRVの長期間測定値として使用されるとき、妥当な精度を提供する。一般に、1つまたは複数の特定のHRVパラメータの選択が、HRVに基づいて心臓治療を調整するための方法とシステムの全体的な設計に依存することは、本文書を読みかつ理解すれば当業者なら理解されよう。
【0028】
図1は、CRMシステム100、およびCRMシステム100が使用される環境の一部の実施形態の図である。システム100は、埋込み可能なシステム105と外部システム185を備え、さらに埋込み可能なシステム105と外部システム185の間の通信を可能にする遠隔通信リンク180を備える。
【0029】
埋込み可能なシステム105は、特に、埋込み可能な医療装置110と導線システム108を備える。様々な実施形態では、埋込み可能な医療装置110は、ペースメーカー、電気的除細動器/除細動器、心臓再同調治療(CRT)装置、心臓リモデリング制御治療(RCT)装置、神経刺激器、薬剤投与装置または薬剤投与コントローラ、生物学的治療装置のうちの1つまたは複数を含む、埋込み可能なCRM装置である。図1に示されているように、埋込み可能な医療装置110は、体102の中に埋め込まれている。様々な実施形態では、導線システム108は、生理学的信号を感知するため、およびペーシング・パルス、電気的除細動/除細動ショック、神経刺激パルス、および/または薬剤などの物質を投与するための導線を備える。一実施形態では、導線システム108は、心電図を感知するため、および/またはペーシング・パルスを投与するために心臓101内または心臓101上に配置された少なくとも1つの電極をそれぞれ備える、1つまたは複数のペーシング・感知導線を備える。別の実施形態では、導線システム108は、神経信号を感知するため、および神経刺激パルスを投与するために自律神経系の神経上に配置された少なくとも1つの電極をそれぞれ備える、1つまたは複数の神経刺激・感知導線を備える。別の実施形態では、神経刺激を心臓101の固有の活動および/またはペーシングと同調させるための、1つまたは複数のペーシング・感知導線および1つまたは複数の神経刺激・感知導線を備える。
【0030】
一実施形態では、外部システム185は、外部装置190、ネットワーク192、遠隔装置194を備える患者管理システムである。外部システム190は、埋込み可能な医療装置110の近傍にあり、かつ遠隔通信リンク180を介して埋込み可能な医療装置110と双方向に通信する。遠隔装置194は、離れた位置にあり、ネットワーク192を介して外部装置190と双方向に通信する。このようにして使用者は離れた位置から患者を監視し治療することができる。別の実施形態では、外部システム185は遠隔通信リンク180を介して埋め込み可能な医療装置110と双方向に通信するプログラマを備える。
【0031】
システム100は、刺激パルス投与の閉ループ制御のためにHRVパラメータを使用する刺激システム115を備える。一実施形態では、埋込み可能な装置110は、HRVを最大化するためにペーシング・パルスを心臓101に投与するペースメーカーを備える。別の実施形態では、埋込み可能な医療装置110は、HRVを最大化するために神経刺激パルスを自律神経系に投与する神経刺激器を備える。別の実施形態では、埋込み可能な医療装置は、HRVを最大化するために心臓ペーシングと自律神経の神経刺激とを組み合わせて投与するためのペースメーカーおよび神経刺激器を備える。システム100内での刺激システム115の分布は、各システム構成要素のサイズと電力消費、および様々な位置から様々な設定で患者を監視する可能性などの、設計や患者管理の考慮に依存する。一実施形態では、図1に示されているように、埋込み可能な医療装置110は、全体システム115を備える。このことは、埋込み可能なシステム105が、外部システム185と通信することなくHRVパラメータの変化に応答して刺激パラメータを調節することを可能にする。別の実施形態では、埋込み可能な医療装置110と外部システム185がそれぞれ、システム115の一部分を備える。埋込み可能な医療装置110と外部システム185が遠隔通信リンク180を介して通信可能に結合されているとき、刺激パラメータが、HRVパラメータに基づいて調節される。
【0032】
図2は、刺激システム115の一実施形態を示すブロック図である。刺激システム115は、感知回路212、パルス出力回路214、HRV測定回路220、刺激制御回路230を備える。
【0033】
感知回路212は、HRVの測定を可能にする少なくとも1つの心臓信号を感知する。一実施形態では、感知回路212が、導線システム108の1つまたは複数の電極を通して心臓および/または自律神経系から、1つまたは複数の心臓機能をそれぞれ示す1つまたは複数の追加の信号を感知する。パルス出力回路214が、導線システム108の1つまたは複数の電極を通して心臓および/または自律神経系へ電気的刺激パルスを投与する。HRV測定回路220が、HRVを測定し、かつ感知回路212によって感知された信号に基づいて、少なくとも1つのHRVパラメータを作成する。様々な実施形態では、HRV測定回路220は、SDNNを作成するためのSDNN発生器、SDANNを作成するためのSDANN発生器、LF/HF比を作成するためのLF/HF比発生器、HRVフットプリントを作成するためのHRVフットプリント発生器、RMSSDを作成するためのRMSSD発生器のうちの1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。一実施形態では、HRV測定回路220が、交感神経活動と副交感神経活動との間のバランスを示すHRVパラメータを監視するための自律神経バランス・モニタを備える。ある特定の例では、自律神経バランス・モニタは、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すHRVパラメータとしてのLF/HF比を作成するためのLF/HF比発生器を備える。刺激制御回路230が、HRVパラメータに基づいて調節または最適化された1つまたは複数の刺激パラメータを使用して、パルス出力回路214からの電気的刺激パルスの投与を制御する。一実施形態では、刺激制御回路230が、HRVに影響を与える調節可能なパラメータのそれぞれに対して、近似的に最適な値を決定する。
【0034】
図3は、刺激システム115の特定の実施形態であるペーシング・システム315の一実施形態を示すブロック図である。ペーシング・システム315は、感知回路312、ペーシング出力回路314、HRV測定回路220、ペーシング制御回路330を備える。
【0035】
感知回路312は、感知回路212の特定の実施形態であり、かつ心電図感知回路を備える。心電図感知回路は、1つまたは複数の心房および/または心室心電図を感知する。ペーシング出力回路314は、パルス出力回路214の特定の実施形態であり、かつ1つまたは複数の心房および/または心室部位へペーシング・パルスを投与する。ペーシング制御回路330は、刺激制御回路230の特定の実施形態であり、かつHRVパラメータに基づいて調節または最適化された1つまたは複数の刺激パラメータを使用してペーシング出力回路314からのペーシング・パルスの投与を制御する。一実施形態では、ペーシング制御回路330が、HRVに影響を与える調節可能なペーシング・パラメータのそれぞれに対して、近似的に最適な値を決定する。このような調節可能なペーシング・パラメータの例は、房室遅延(AVD)、心室内遅延(IVD)、ペーシング部位(ペーシング・パルスが投与される部位)を含むが、それらに限定されない。
【0036】
図4は、刺激システム115の別の特定の実施形態である神経刺激回路415の一実施形態を示すブロック図である。神経刺激システム415は、感知回路412、神経刺激出力回路414、HRV測定回路220、神経刺激制御回路430を備える。
【0037】
感知回路412は、感知回路212の特定の実施形態であり、かつ心電図感知回路に加えて神経信号感知回路を備える。神経感知回路は、交感神経と副交感神経を含む自律神経系から1つまたは複数の神経信号を感知する。心電図感知回路は、HRVの測定を可能にするために、1つまたは複数の心房および/または心室心電図を感知する。一実施形態では、1つまたは複数の心房および/または心室心電図がまた、1つまたは複数の心電図から検知することができる心臓活動と同調された神経刺激の投与を可能にする。神経刺激出力回路414は、パルス出力回路214の特定の実施形態であり、かつ自律神経系の1つまたは複数の神経に神経刺激パルスを投与する。神経刺激制御回路430は、刺激制御回路230の特定の実施形態であり、かつHRVパラメータに基づいて調節または最適化された1つまたは複数の神経刺激パラメータを使用して神経刺激出力回路414からの神経刺激パルスの投与を制御する。一実施形態では、神経刺激制御回路430が、HRVに影響を与える各調節可能なペーシング・パラメータに対して近似的に最適な値を決定する。このような調節可能な神経刺激パラメータの例は、刺激周波数、刺激振幅、刺激部位(神経刺激がそれに対して投与される部位)を含むが、それらに限定されない。
【0038】
別の特定の実施形態では、刺激システム115は、ペーシング・システム315と神経刺激システム415の組合せであり、かつ埋込み可能な医療装置110は、埋込み可能なペースメーカー神経刺激器である。この実施形態では、感知回路212が感知回路312と感知回路412の組合せ、パルス出力回路214がペーシング出力回路314と神経刺激回路414の組合せであり、刺激制御回路230がペーシング制御回路330と神経刺激回路430の組合せである。一実施形態では、刺激システム115が、HRVパラメータを改善または最適化するために時間的に調整された方式で、ペーシングと神経刺激パルスを投与する。
【0039】
以下の例では、ペーシング・システム315、神経刺激システム415、それらの組合せを備える刺激システム115の特定の実施形態が、本主題による刺激制御のためのHRVパラメータの使用を例示するために議論されるが、それに限定されない。
【0040】
例1:HRVベースの最大トラッキング・レート(MTR)調節
減少したHRVは、患者が悪化した、または悪化中の心臓状態を有し、したがって運動強度を制限すべきであることを示す。マルチ・チャンネル(デュアル・チャンネルを含む)ペースメーカーが、心房トラッキング・モードでペーシングしている際、心室ペーシング心拍数(VDDまたはDDDモードなど)が、プログラムされた最大トラッキング・レート(MTR)まで心房心拍数を追従する。MTRは、例えば、心房性頻脈または心房細動が生じたとき、潜在的に有害な心拍数まで心室がペーシングされることを防止する。患者が運動するとき、洞心拍数が増加し、かつ心房トラッキング・モード・ペーシングが、心室心拍数を、MTRによって設定された限界内の洞心拍数とともに増加させるようにする。心室心拍数の増加は、患者の酸素に対する代謝の必要性の増加に対処するために、体への血流の増加を結果として生じさせる。MTRの設定が高すぎた場合、患者の運動強度があるレベルに到達したとき、ペーシングが、そうすることが患者の心臓を危険な状態にするときでさえも、患者が運動を継続するまたは運動強度をさらに増加させることを許す可能性がある。MTRが適切に設定された場合、心室心拍数が、心臓によって耐えることができる運動強度で増加を停止し、患者は、運動を止めるか、運動強度を増加させることを止めるかのいずれかの必要性を感じる。このようにして、適切に設定されたMTRは、ペーシングが、潜在的に有害なレベルである運動能力を患者に与えることを防止する。患者の心臓状態が長期間にわたる運動変化に対する耐性を備えるため、患者のHRVに基づいて調節されたMTRが、心臓に有害な影響を生じさせることなくペーシングの利益を最大化することが可能である。
【0041】
図5は、HRVベースのMTR調節システムを備えるペーシング・システム515の一実施形態を示すブロック図である。ペーシング・システム515は、ペーシング・システム315の特定の実施形態であり、かつ感知回路312、ペーシング出力回路314、HRV測定回路220、ペーシング制御回路530を備える。
【0042】
ペーシング制御回路530は、MTR調節モジュール532とペーシング・アルゴリズム実行モジュール534を備える。MTR調節モジュール532は、HRVパラメータに基づいてMTRを調節する。一実施形態では、図5に示されているように、MTR調節モジュール532が、HRV測定回路220によって作成されたHRVパラメータに基づいて複数の所定の値からMTRに対する値を選択するためのMTRセレクタ536を備える。一実施形態では、MTRに対する高値と低値ならびに閾値HRVレベルが、患者の心臓状態に基づいて患者に対して決定される。MTR調節モジュール532が、HRV測定回路220からHRVパラメータを受信し、かつHRVパラメータを閾値HRVレベルと比較する。MTRセレクタ536は、HRVパラメータが閾値HRVレベルを超える場合、MTRを高値に設定し、HRVパラメータが閾値HRVレベルを超えない場合、MTRを低値に設定する。別の実施形態では、3つのより多くのMTRに対する実質上異なる値と、2つ以上の閾値HRVレベルとが、HRVパラメータに基づいたMTRのより精細な制御を提供するために患者に対して決定される。さらなる実施形態では、MTR調節モジュール532が、患者の活動レベルの標示、算定または予想に基づいて閾値HRVレベルを動的に調節するためのHRV閾値発生器を備える。ある特定の実施形態では、HRV閾値発生器が、患者の心拍数に基づいて1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節する。別の実施形態では、HRV閾値発生器が、各日の特定の時間の間患者の予想された活動レベルに基づいて1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節する。
【0043】
ペーシング・アルゴリズム実行モジュール534が、MTRを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズム実行することによって、ペーシング出力回路からのペーシング・パルスの投与を制御する。ペーシング・アルゴリズム実行モジュール534は、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備えるが、それらに限定されない。このようなペーシング・アルゴリズム実行モジュールの1つが、ペーシング・アルゴリズムのうちの1つを同時に実行するために活動化される。一実施形態では、CRTペーシングは、近似的に最適な血行動態性能を提供し、かつRCTペーシングは、MI後リモデリングの程度を減少させる。一実施形態では、CRTペーシング・アルゴリズムが、例えば、心不全の患者に対する生活の質を改善する治療として、血行動態性能の測定値を最大化させるように近似的に最適化された1つまたは複数のペーシング・パラメータで実行される。RCTペーシング・アルゴリズムが、例えば、心筋梗塞(MI)後治療として、LV壁への負荷またはストレスを再分配することによってリモデリングの程度を減少させるために実行される。
【0044】
図6は、HRVパラメータを使用してMTRを調節するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。一実施形態では、方法が、ペーシング・システム515によって実行される。
【0045】
600で、心臓信号が感知される。心臓信号は、心臓の脱分極化を示し、かつHRVの測定を可能にする。一実施形態では、心臓信号は、心房心電図または心室心電図を含む。
【0046】
610で、HRVが、感知された心臓信号に基づいて測定され、かつ少なくとも1つのHRVパラメータが、HRV測定値に基づいて作成される。一実施形態では、心房の脱分極化が心房心電図から検知される。連続する心房の脱分極化の間の心房間隔が測定される。HRVパラメータが心房間隔に基づいて計算される。別の実施形態では、心室の脱分極化が心室心電図から検知される。連続する心室の脱分極化の間の心室間隔が測定される。HRVパラメータが心室間隔に基づいて計算される。
【0047】
620で、心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムが、ペーシング・パルスの投与を制御するために実行される。心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムの例としては、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、RCTペーシング・アルゴリズムなどがある。
【0048】
630で、MTRが、HRVパラメータに基づいて調節される。一実施形態では、MTRが、HRVパラメータに基づいて複数の所定の値の1つに対して設定される。ある特定の実施形態では、HRVパラメータが、閾値HRVレベルと比較される。MTRは、HRVパラメータが所定の閾値HRVレベルを超える場合は第1の値に、HRVパラメータが所定の閾値HRVレベルを超えない場合は第2の値に、設定される。第1の値は、HRVがより高いとき、より高い運動強度を可能にするために、第2の値よりもかなり高い。一実施形態では、患者の活動レベルの標示、算定または予想に基づいて、閾値HRVレベルが動的に調節される。ある特定の実施形態では、閾値HRVレベルが、患者の心拍数に基づいて調節される。別の実施形態では、閾値HRVレベルが、各日の特定の時間の間、患者の予想された活動レベルに基づいて調節される。
【0049】
例2:HRVベースの治療パラメータ最適化
HRVが患者の心臓状態を示すため、HRVパラメータは、ペーシング治療の効果、自律神経刺激治療の効果、ペーシングと自律神経刺激治療の組合せを含む電気的刺激治療の効果を示すことを可能にする。治療の利益を最大化するために、治療パラメータが、患者の心臓および/または自律神経系に電気的刺激パルスを投与することによって、実用上達成可能な最大のHRVに対して調節される。
【0050】
図7は、HRVベースの刺激パラメータ最適化モジュールを備える刺激システム715の一実施形態を示すブロック図である。刺激システム715は、刺激システム115の特定の実施形態であり、感知回路212、パルス出力回路214、HRV測定回路220、刺激制御回路730を備える。
【0051】
刺激制御回路730が、HRV測定回路220によって作成された少なくとも1つのHRVパラメータに基づく近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節する、刺激パラメータ最適化モジュール731を備える。
【0052】
一実施形態では、刺激制御回路730が、HRVパラメータに基づく近似的に最適な値に少なくとも1つのペーシング・パラメータを調節するためのペーシング・パラメータ最適化モジュールを備えるペーシング制御回路を備える。ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、AVDを最適化するためのAVD最適化モジュール、IVDを最適化するためのIVD最適化モジュールと、心臓ペーシング・パルスが投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するためのペーシング部位モジュールとの1つまたは複数を備えるが、それらに限定されない。一般に、ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、HRVパラメータによって示される最大HRVに対してそのパラメータを調節することによって、その値がHRVに影響を与えるいずれかのペーシング・パラメータの最適化を可能にする。別の実施形態では、刺激制御回路730が、HRVパラメータに基づく近似的に最適な値に少なくとも1つの神経刺激パラメータを調節するための神経刺激パラメータ最適化モジュールを備える神経刺激制御回路を備える。神経刺激パラメータ最適化モジュールは、刺激パルス周波数最適化モジュールと、神経刺激パルスがそれに対して投与される1つまたは複数部位の選択を最適化するための刺激部位最適化モジュールのうちの1つまたは複数を備えるが、それらに限定されない。一般に、神経刺激パラメータ最適化モジュールは、HRVパラメータによって示される最大のHRVに対してそのパラメータを調節することによって、その値がHRVに影響を与える、いずれかの神経刺激パラメータの最適化を可能にする。
【0053】
一実施形態では、HRV測定回路220が、患者の心臓状態の変化を反映するためのHRVパラメータを連続的に更新し、かつ刺激パラメータ最適化モジュール731が、連続的にHRVパラメータに基づく近似的に最適な値に刺激パラメータを調節する。別の実施形態では、刺激パラメータ最適化モジュール731が、刺激パラメータ最適化期間中、HRVパラメータに基づいて刺激パラメータに対して近似的に最適な値を決定する。この周期は、周期的なベースなどでプログラムされた所定のスケジュールに従って開始されるか、または、医師などの治療提供者によって入力された命令などの命令に応答して開始される。刺激パラメータ最適化モジュール731は、刺激パラメータ発生器738、パルス出力コントローラ740、刺激パラメータ・セレクタ742を備える。刺激パラメータ発生器738が、最適化される予定である刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成する。パルス出力コントローラ740が、刺激パラメータ最適化期間中、複数のパラメータ値を使用して電気的刺激パルスの投与を制御する。刺激パラメータ・セレクタ742が、複数のパラメータ値から刺激パラメータに対して近似的に最適な値を選択する。近似的に最適な値は、複数のパラメータ値を使用するペーシングによって得られるHRVパラメータの最大値に対応する値である。刺激パラメータ最適化期間中に少なくとも1つの刺激パラメータを最適化する刺激パラメータ最適化モジュール731の特定の例が、図8および9を参照して以下で議論される。
【0054】
図8は、刺激パラメータ最適化モジュール731の一実施形態である、刺激パラメータ最適化モジュール831の一実施形態を示すブロック図である。刺激パラメータ最適化モジュール831は、最適化タイマ846、刺激パラメータ発生器838、パルス出力コントローラ840、刺激パラメータ・セレクタ842を備える。刺激パラメータ最適化モジュール831は、HRVを測定しながら刺激パラメータに対する複数の所定の値を使用してテスト刺激パルスを投与することによって、少なくとも1つの刺激パラメータに対する近似的に最適な値を決定し、かつHRVパラメータの最大値に対応する刺激パラメータに対する値を選択する。刺激パラメータ最適化モジュール731の一実施形態として、刺激パラメータ最適化モジュール831は、ペーシング・パラメータ、神経刺激パラメータ、または両方の最適化のために適用可能である。
【0055】
最適化タイマ846が、その間にテスト刺激パルスが投与され、かつ刺激パラメータに対する近似的に最適な値が決定される、刺激パラメータ最適化期間を開始する。一実施形態では、最適化タイマ846が、周期的なベースなどで所定のスケジュールに従って刺激パラメータ最適化期間を開始する。一実施形態では、最適化タイマ846が、睡眠時間中など患者が休止しているとき、刺激パラメータ最適化期間を開始するようにプログラムされている。別の実施形態では、最適化タイマ846が、医師、その他の治療提供者、または患者などの人によって要求されたとき、刺激パラメータ最適化期間を開始する。刺激パラメータに対する近似的に最適な値が選択されたとき、刺激パラメータ最適化期間が終了する。
【0056】
刺激パラメータ発生器838が、刺激パラメータ発生器のための複数の値を作成する。一実施形態では、図8に示されているように、刺激パラメータ発生器838は、患者の心臓状態に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する生理学的パラメータ測定モジュール844を備える。生理学的パラメータの例は、心拍数を含み、かつ2つの検知可能な電気的および/または機械的事象の間の時間間隔を含む。刺激パラメータ発生器838は、測定された生理学的パラメータに基づいて、刺激パラメータ発生器のための複数の値を作成する。
【0057】
パルス出力コントローラ840が、刺激パラメータ最適化期間の間に刺激パラメータのために作成された複数の値を使用して、刺激パルスの投与を制御する。パルス出力コントローラ840は、刺激パラメータを使用して刺激アルゴリズムを実行することによって刺激パルスの投与を制御するための刺激アルゴリズム実行モジュールを備える。刺激アルゴリズムは、複数の刺激パルス列の投与を制御するために実行される。各刺激パルス列は、刺激パラメータに対して作成された複数の値のうちの1つを使用して投与される予定の複数の刺激パルスを備える。一実施形態では、各刺激パルス列が、その刺激パルス列のための刺激の効果が実質上隔離されるように、ベースラインHRVを確立するために非刺激周期によって先行される。様々な実施形態では、刺激アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、自律神経刺激アルゴリズム実行モジュール、組み合わされたペーシング・自律神経刺激アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備える。このようなアルゴリズム実行モジュールのうちの1つが、同時に活動化される。
【0058】
刺激パラメータ・セレクタ842が、複数のパラメータ値から刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。HRV測定回路220が、刺激パラメータ最適化期間の間、HRVパラメータを作成する。刺激パラメータに対して作成されテストされた各値が、HRVパラメータの1つまたは複数の値に関連付けられる。刺激パラメータ・セレクタ842が、刺激パラメータ最適化期間に対して作成されたHRVパラメータの最大値に対応する値として、刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。
【0059】
ある例示的な特定の実施形態では、生理学的パラメータ測定モジュール844が、心房の脱分極化とそれに続く心室の脱分極化の間の固有の時間間隔としてのAVIを測定するための房室間隔(AVI)測定モジュールを備える。刺激パラメータ発生器838が、AVIに基づいて複数のAVDの値を作成する。パルス出力コントローラ840が、ペーシング・パルスの複数の列の投与を制御するためのペーシング出力コントローラを備え、AVDのために作成される各値が、ペーシング・パルスの複数の列のうちの1つまたは複数の列のために使用される。刺激パラメータ・セレクタ842が、AVDのために作成された複数の値から近似的に最適な値を選択するペーシング・パラメータ・セレクタを備える。近似的に最適な値は、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されるHRVパラメータの最大値に対応する値である。
【0060】
2つ以上の刺激パラメータが最適化される予定であるとき、刺激パラメータ発生器838が、各刺激パラメータのために複数の値を作成する。パルス出力コントローラ840が、刺激パルスの複数の列の投与を制御する。刺激パルスの各列は、最適化される予定のすべての刺激パラメータに対して作成される値の組合せを使用して投与される。刺激パラメータ・セレクタ842が、最適化される予定のすべての刺激パラメータに対して近似的に最適な値の組合せを選択する。近似的に最適な値の組合せは、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する値の組合せである。
【0061】
図9は、刺激パラメータ最適化モジュール731の別の実施形態である、刺激パラメータ最適化モジュール931の別の実施形態のブロック図である。刺激パラメータ最適化モジュール931は、最適化タイマ946、刺激パラメータ発生器938、パルス出力コントローラ940、刺激パラメータ・セレクタ942を備える。刺激パラメータ最適化モジュール931は、HRVを測定している間に動的刺激パラメータに対して動的に作成された値を使用して刺激パルスを投与することによって少なくとも1つの動的刺激パラメータに対して近似的に最適な値を決定し、選択する。動的刺激パラメータの動的に作成された値が、HRVパラメータへのそれらの影響によって評価される。刺激パラメータ最適化モジュール731の一実施形態として、刺激パラメータ最適化モジュール931が、ペーシング・パラメータ、神経刺激パラメータ、またはその両方の最適化に対して適用可能である。
【0062】
最適化タイマ946が、動的刺激パラメータに対する値が動的に作成され、評価され、かつ刺激パラメータに対する近似的に最適な値が決定される間に刺激パラメータ最適化期間を開始する。一実施形態では、最適化タイマ946が、周期的なベースなどで、所定のスケジュールに従って刺激パラメータ最適化期間を開始する。別の実施形態では、最適化タイマ946が、医師、その他の治療提供者、または患者などの人によって要求されたとき、刺激パラメータ最適化期間が開始する。最適化タイマ946が、所定の時間期間の後、刺激パラメータ最適化期間が停止する。刺激パラメータ最適化期間の終わりで、刺激パラメータに対する近似的に最適値が選択される。一実施形態では、刺激パラメータ最適化期間は、24時間期間など、多種多様な活動が患者に対して予想される周期をカバーする。
【0063】
刺激パラメータ発生器938が、動的刺激パラメータのための値を動的に作成する。一実施形態では、図9に示されているように、刺激パラメータ発生器938は、生理学的パラメータ測定モジュール944と動的刺激パラメータ発生器948を備える。生理学的パラメータ測定モジュール944は、患者の心臓状態に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する。動的刺激パラメータ発生器948は、生理学的パラメータに基づいて、動的刺激パラメータの値を動的に作成する。
【0064】
パルス出力コントローラ940が、動的刺激パラメータの動的に作成された値を使用して、刺激パルスの投与を制御する。パルス出力コントローラ940は、動的に作成された値が使用中の値と異なるときその値が毎回更新される動的刺激パラメータを使用して刺激アルゴリズムを実行することによって刺激パルスの投与を制御するための、刺激アルゴリズム実行モジュールを備える。様々な実施形態では、刺激アルゴリズム実行モジュールは、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、自律神経刺激アルゴリズム実行モジュール、組み合わされたペーシング・自律神経刺激アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備える。このようなアルゴリズム実行モジュールの1つが瞬時に活動化される。
【0065】
刺激パラメータ・セレクタ942が、動的に作成された値から刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。HRV測定回路220が、刺激パラメータ最適化期間の間にHRVパラメータを作成する。刺激パラメータに対してそれぞれ動的に作成された値が、HRVパラメータの1つまたは複数の値に関連付けられる。刺激パラメータ・セレクタ942が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する値として、刺激パラメータに対する近似的に最適な値を選択する。
【0066】
ある例示的な特定の実施形態では、生理学的パラメータ測定モジュール944が、刺激パラメータ最適化期間の間、患者の心拍数を監視する心拍数モニタを備える。動的刺激パラメータ発生器948が、心拍数の関数としての動的AVDの値を動的に作成するための動的AVD発生器を備える。パルス出力コントローラ940が、刺激パラメータ最適化期間中、動的AVDを使用してペーシング・パルスの投与を制御するためのペーシング出力コントローラを備える。刺激パラメータ・セレクタ942が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する動的AVDの値である近似的に最適なAVDの値を選択するペーシング・パラメータ・セレクタを備える。
【0067】
2つ以上の動的刺激パラメータが最適化される予定であるとき、刺激パラメータ発生器938が、これらすべての動的刺激パラメータに対する値を動的に作成する。パルス出力コントローラ940が、すべての動的刺激パラメータに対して動的に作成された値の組合せを使用して刺激パルスの投与を制御する。刺激パラメータのために動的に作成された値のそれぞれ独自の組合せは、HRVパラメータの1つまたは複数の値に関連する。刺激パラメータ・セレクタ942が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成されたHRVパラメータの最大値に対応する独自の組合せとして、刺激パラメータに対する近似的に最適な値の組合せを選択する。
【0068】
図10は、HRVパラメータを使用する刺激パラメータ最適化のための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。一実施形態では、方法は、刺激システム715によって実行される。
【0069】
1000で、刺激パラメータ最適化期間が開始される。このことは、図10に示されているように、少なくとも1つの刺激パラメータを最適化するプロセスを開始する。刺激パラメータ最適化期間は、プロセスが完了されるまで続く。刺激パラメータは、AVD、IVD、ペーシング部位、神経刺激パルス周波数、神経刺激部位を含むが、それに限定されない。
【0070】
1010で、心臓機能を示す信号が感知される。信号が、心房心電図、心室心電図、交感神経活動を示す神経信号、副交感神経活動を示す神経信号のうちの1つまたは複数を含む。HRVパラメータの測定を可能にする少なくとも1つの心臓信号が感知される。
【0071】
1020で、刺激パラメータに対する複数のパラメータ値が作成される。一実施形態では、患者の心臓状態に関する生理学的パラメータが、刺激パラメータ最適化期間の最初に測定される。複数のパラメータ値が、生理学的パラメータに基づいて計算される。別の実施形態では、患者の心臓状態に関する生理学的パラメータが、刺激パラメータ最適化期間全体を通して監視される。刺激パラメータ最適化期間中に動的に変化する刺激パラメータに対する値が、生理学的パラメータの関数として動的に計算される。
【0072】
1030で、電気的刺激パルスが、複数のパラメータ値を使用して投与される。一実施形態では、ペーシング・パルスが投与される。別の実施形態では、神経刺激パルスが投与される。別の実施形態では、ペーシングと神経刺激パルスが、一時的に調整された方式で投与される。電気的刺激パルスは、刺激パラメータ最適化期間中、刺激アルゴリズムを実行することによって投与される。刺激アルゴリズムは、最適化される予定の刺激パラメータを使用する。刺激アルゴリズムの例は、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、RCTペーシング・アルゴリズム、自律神経刺激アルゴリズム、組み合わされたペーシング・神経刺激アルゴリズムを含むが、それに限定されない。
【0073】
1040で、感知された心臓信号に基づいてHRVが測定され、かつ少なくとも1つのHRVパラメータが、HRV測定値に基づいて作成される。一実施形態では、感知された心臓信号が心房心電図であり、かつHRVパラメータが、心房心電図から測定された心房間隔に基づいて作成される。別の実施形態では、感知された心臓信号が心室心電図であり、かつHRVパラメータが、心室心電図から測定された心室間隔に基づいて作成される。
【0074】
1050で、刺激パラメータのための近似的に最適なパラメータ値が、刺激パラメータ最適化期間中に作成された、複数のパラメータ値から選択される。HRVパラメータの最大値に対応する近似的に最適なパラメータ値が、刺激パラメータ最適化期間の間に作成された。
【0075】
例3:HRV従動治療オン/オフ・スイッチ
電気的刺激治療の利益は、両方とも長期にわたって変化する、患者の心臓状態と物理的活動レベルに依存する。患者への利益を最大化するために、治療は、患者の状態および要求に対して適応可能である必要がある。ある患者は、同時に投与されることができない、または投与されるべきではない2つ以上の治療を受ける。HRVは、治療の開始、停止、および/または調節をトリガ起動する信号を供給する。一実施形態では、HRVパラメータが、治療の投与に対する安全性チェックとして使用される。HRVパラメータが、治療の継続投与が患者に対して潜在的に有害であることを示したとき、治療の投与が一時停止される。別の実施形態では、患者の状態の変化に応答してある治療から別の治療に切り替える必要性を示す信号としてHRVパラメータが監視される。
【0076】
例えば、MIを被っている患者は、血行動態性能の減少を有し、不利な心臓リモデリング・プロセスを経験する。一実施形態では、MI後患者の血行動態性能を改善するためにCRTが投与され、かつMI後リモデリングを減少させるためにRCTが投与される。一般に、CRTとRCTは、それらの影響の間の衝突のため、同時に行うことができない。RCTは、梗塞領域内の先行負荷を減少させることにより、MI後リモデリングの進行を制御することによってMI後患者を治療する。ペーシング・パルスが、収縮の前にこの領域へのストレスを減少させるために短いAVDで投与される。しかし、短いAVDでのペーシングは、血行動態性能の減少を結果として生じさせるかもしれない。例えば、短いAVDでペーシングされている心臓が正常な心室伝導(プルキンエ)システムを有する場合、ペーシングは、血行動態性能の測定値である心室同調と心臓出力の程度を低下させる。1つの結果としての問題点は、MI後患者が活動状態になるとき、短いAVDでのペーシングが、心臓出力を制限し、したがって患者の代謝の必要性に対処するために心臓が十分な血液を送り出すことを防止する。1つの解決法は、代謝の必要性が高いとき最適な血行動態性能を、代謝の必要性が低いときMI後リモデリング制御をペーシングが提供するように、MI後患者の瞬時の代謝の必要性に応じて、CRTとRCTを交番するように実施することである。一実施形態では、HRVパラメータが、CRTとRCTの間の切替のタイミングを制御するために使用される。ある特定の実施形態では、HRVパラメータが閾値以下に下がったとき、患者がRCTを受けることを停止し、CRTを受けることを開始する。ある特定の実施形態では、HRVパラメータが、CRTとRCTの間の切替のタイミングを制御するために、物理的活動レベル・パラメータなどの別の1つまたは複数のパラメータと組み合わせて使用される。別の実施形態では、RV徐脈ペーシングが、MI後患者の血行動態性能を改善するために投与され、かつRCTが、MI後リモデングの程度を減少させるために行われる。HRVパラメータが、CRTがRV徐脈ペーシングに置き換えられて、上記で議論したのと実質的に同じようにしてRV徐脈ペーシングとRCTの間の切替のタイミングを制御するために使用される。
【0077】
図11は、HRV従動治療切替システムを備える刺激システム1115の一実施形態を示すブロック図である。刺激システム1115は、刺激システム115の特定の実施形態であり、かつ感知回路212、パルス出力回路214、HRV測定回路220、刺激制御回路1130を備える。
【0078】
刺激制御回路1130が、刺激アルゴリズム実行モジュール1150と安全性チェック・モジュール1152を備える。刺激アルゴリズム実行モジュール1150が、少なくとも1つの刺激アルゴリズムを実行することによって電気的刺激パルスの投与を制御する。刺激システム115の特定の実施形態として、刺激システム1115は、ペーシング・システムと神経刺激システムの一方または両方を備える。刺激アルゴリズム実行モジュール1150は、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュール、CRTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、RCTペーシング・アルゴリズム実行モジュール、神経刺激アルゴリズム実行モジュール、組み合わされたペーシング神経刺激アルゴリズム実行モジュールのうちの1つまたは複数を備える。このようなアルゴリズム実行モジュールのうちの1つが、瞬時に活動化される。
【0079】
安全性チェック・モジュール1152が、HRV測定回路220によって作成されたHRVパラメータに基づいて刺激アルゴリズムの実行を停止する。一実施形態では、図11に示されているように、安全性チェック・モジュール1152が、比較器1154と切替回路1156を備える。比較器1154が、HRV測定回路220からHRVパラメータを受信し、かつHRVパラメータを安全性閾値と比較する。HRVパラメータが安全性閾値以下に下がったとき、切替回路1156が刺激アルゴリズムの実行を停止する。さらなる実施形態では、HRVパラメータが別の安全性閾値を超えたとき、切替回路1156が刺激アルゴリズムの実行を再開する。2つの安全性閾値の値は、心臓状態管理の特定の考慮に基づいて決定され、かつ等しくても異なってもよい。ある例示的な特定の実施形態では、刺激アルゴリズムがRCTペーシング・アルゴリズムである。患者のHRVが血行動態性能の悪化を示したまたは示唆したとき、安全性チェック・モジュール1152がRCTアルゴリズムの実行を停止する。別の例示的な特定の実施形態では、刺激アルゴリズムが、徐脈ペーシング・アルゴリズムである。患者のHRVがペーシングが患者の心臓状態に悪い影響を与えることを示したまたは示唆したとき、安全性チェック・モジュール1152が徐脈ペーシング・アルゴリズムの実行を停止する。
【0080】
別の実施形態では、切替回路1156が、HRVパラメータが第1の安全性閾値未満に下がったとき、第1の刺激アルゴリズムの実行を停止し、かつ第2の刺激アルゴリズムの実行を開始し、かつHRVパラメータが第2の安全性閾値を超えたとき、第2の刺激アルゴリズムの実行を停止し、第1の刺激アルゴリズムの実行を開始する。特定の心臓状態管理の考慮に応じて、第1の安全性閾値が、第2の安全性閾値よりも大きくても、等しくても、または小さくてもよい。ある例示的な特定の実施形態では、第1の刺激アルゴリズムがRCTペーシング・アルゴリズムであり、かつ第2の刺激アルゴリズムがCRTペーシング・アルゴリズムである。別の例示的な特定の実施形態では、第1の刺激アルゴリズムがRCTペーシング・アルゴリズムであり、かつ第2の刺激アルゴリズムが徐脈ペーシング・アルゴリズムである。
【0081】
一実施形態では、安全性チェック・モジュール1152が、患者の活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて安全性閾値を動的に調節するための安全性閾値発生器を備えている。ある特定の実施形態では、安全性閾値発生器が、患者の心拍数に基づいて1つまたは複数の安全性閾値を調節する。別の実施形態では、安全性閾値発生器が、毎日の特定の時間の間の患者の予想される活動レベルに基づいて1つまたは複数の安全性閾値を調節する。
【0082】
図12は、HRVパラメータを使用して治療を開始し停止するための方法の一実施形態を示すフロー・チャートである。一実施形態では、方法は、刺激システム1115によって行われる。
【0083】
1200で、心臓機能を示す信号が感知される。信号は、心房心電図、心室心電図、交感神経活動を示す神経信号、副交感神経活動を示す信号のうちの1つまたは複数を含む。HRVパラメータの測定を可能にする少なくとも1つの心臓信号が感知される。
【0084】
1210で、HRVが、感知された心臓信号に基づいて測定され、少なくとも1つのHRVパラメータが、HRV測定値に基づいて作成される。一実施形態では、感知された心臓信号が心房心電図であり、かつHRVパラメータが、心房心電図から測定された心房間隔に基づいて作成される。別の実施形態では、感知された心臓信号が心室心電図であり、かつHRVパラメータが、心室心電図から測定された心室間隔に基づいて作成される。
【0085】
1220で、電気的刺激パルスが、刺激アルゴリズムを実行することによって投与される。刺激アルゴリズムの例は、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、RCTペーシング・アルゴリズム、神経刺激アルゴリズム、組み合わされたペーシング・神経刺激アルゴリズムを含む。
【0086】
1230で、HRVパラメータが安全性ウィンドウの外にあるとき、刺激アルゴリズムの実行が停止される。一実施形態では、HRVパラメータが安全性閾値と比較される。HRVパラメータが安全性閾値未満に下がったとき、第1の刺激アルゴリズムの実行が停止される。さらなる実施形態では、HRVパラメータが別の安全性閾値を超えたとき、刺激アルゴリズムの実行が再開される。別の実施形態では、HRVパラメータが第1の安全性閾値未満に下がったとき、第1の刺激アルゴリズムの実行が停止され、かつ第2の刺激アルゴリズムの実行が開始される。HRVパラメータが第2の安全性閾値を超えたとき、かつ第1の刺激アルゴリズムの実行が開始され、第2の刺激アルゴリズムの実行が停止される。
【0087】
一実施形態では、安全性ウィンドウが、患者の活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて動的に調節される。ある特定の実施形態では、安全性ウィンドウが、患者の心拍数に基づいて調節される。別の実施形態では、安全性ウィンドウが、毎日の特定の時間の間の患者の予想される活動レベルに基づいて調節される。
【0088】
実施例1〜3を含む上記の詳細な説明が、限定的でなく、例示的であることを意図されていることを理解されたい。本文書で議論されたシステム構成要素のいずれかの考えられる置換を含む他の実施形態は、上記の説明を読みかつ理解すれば当業者なら明白であろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照にして決定されるべきである。
【0089】
以下に本発明の実施形態を記載する。
〔実施形態1〕電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記パルス出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合された刺激制御回路であって、前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節するように構成された刺激パラメータ最適化モジュールを備え、前記刺激パラメータ最適化モジュールが、
前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成するように構成された刺激パラメータ発生器と、
刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値を使用して前記電気的刺激パルスの投与を制御するように構成されたパルス出力コントローラと、
前記複数のパラメータ値から前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して近似的に最適なパラメータ値を選択するように構成され、前記近似的に最適なパラメータ値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する、刺激パラメータ・セレクタと
を備える刺激制御回路とを備える心臓律動管理システム。
〔実施形態2〕前記刺激パラメータ最適化モジュールが、前記刺激パラメータ最適化期間を開始する最適化タイマを備える実施形態1に記載のシステム。
〔実施形態3〕前記最適化タイマが、周期的なベースで、前記刺激パラメータ最適化期間を開始するようにプログラムされている実施形態2に記載のシステム。
〔実施形態4〕前記最適化タイマが、前記刺激パラメータ最適化期間を停止するようにさらに構成されている実施形態2または3に記載のシステム。
〔実施形態5〕前記刺激パラメータ発生器が、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された生理学的パラメータ測定モジュールを備え、かつ前記刺激パラメータ発生器が、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するように構成され、かつ前記パルス出力コントローラが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値のうちの1つのパラメータ値を使用して、投与される予定の複数の電気的刺激パルスをそれぞれ含む前記複数の電気的パルス列の投与を制御するように構成されている前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態6〕前記刺激パラメータ発生器が、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する生理学的パラメータ測定モジュールと、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて少なくとも1つの動的刺激パラメータのパラメータ値を動的に作成する動的刺激パラメータ発生器とを備え、前記パルス出力コントローラが、前記少なくとも1つの動的刺激パラメータの前記動的に作成されたパラメータ値を使用して電気的刺激パルスの投与を制御するように構成され、かつ前記刺激パラメータ・セレクタが、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定された前記HRVパラメータの最大値に対応する前記動的刺激パラメータの値である近似的に最適な値を識別するように構成されている実施形態1から4のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態7〕前記パルス出力コントローラが、前記刺激パラメータ最適化期間中に刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールを備える前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態8〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7に記載のシステム。
〔実施形態9〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7および8のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態10〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7から9のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態11〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、自律神経刺激アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7から10のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態12〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、組み合わされたペーシングと神経刺激アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態7に記載のシステム。
〔実施形態13〕前記パルス出力回路が、心臓ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備え、かつ前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つのペーシング・パラメータを調節するペーシング・パラメータ最適化モジュールを備えるペーシング制御回路を備える前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態14〕前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、1つまたは複数のAVDを最適化するように構成された房室遅延(AVD)最適化モジュールを備える実施形態13に記載のシステム。
〔実施形態15〕前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、1つまたは複数のIVDを最適化するように構成された心室内遅延(IVD)最適化モジュールを備える実施形態13および14のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態16〕前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールが、前記心臓ペーシング・パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成されたペーシング部位最適化モジュールを備える実施形態13から15のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態17〕前記パルス出力回路が、神経刺激パルスを投与する神経刺激回路を備え、かつ前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの神経刺激パラメータを調節する神経刺激パラメータ最適化モジュールを備える神経刺激制御回路を備える前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態18〕前記神経刺激パラメータ最適化モジュールが、1つまたは複数の刺激パルス周波数を最適化するように構成された刺激パルス周波数最適化モジュールを備える実施形態17に記載のシステム。
〔実施形態19〕前記神経刺激パラメータ最適化モジュールが、前記神経刺激パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成された刺激部位最適化モジュールを備える実施形態17および18のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態20〕前記HRV測定回路が、SDNNを作成する正常−正常間隔標準偏差(SDNN)発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含む前記先行する実施形態のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態21〕前記HRV測定システムが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを監視する自律神経バランス・モニタを備える実施形態1から19のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態22〕前記自律神経バランス・モニタが、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備える実施形態21に記載のシステム。
【0090】
〔実施形態23〕刺激パラメータ最適化期間を開始するステップと、
心臓信号を感知するステップと、
少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成するステップと、 前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して前記複数のパラメータ値を使用して電気的刺激パルスを投与するステップと、
前記刺激パラメータ最適化期間中に、感知された前記心臓信号に基づいて少なくとも1つの心拍変動(HRV)パラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動を測定するステップと、
前記複数のパラメータ値からの前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して、刺激パラメータ最適化期間中に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する近似的に最適な値を選択するステップとを含む方法。
〔実施形態24〕前記刺激パラメータ最適化期間を開始するステップが、周期的なベースで前記刺激パラメータ最適化期間を開始するステップを含む実施形態23に記載の方法。
〔実施形態25〕低い物理的活動レベルに関連する周期に対する前記刺激パラメータ最適化期間をプログラムするステップをさらに含む実施形態23および24のいずれかに記載の方法。
〔実施形態26〕生理学的パラメータを測定するステップをさらに含み、かつ前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するステップが、前記測定された生理学的パラメータに基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するステップを含み、かつ前記電気的刺激パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値のうちの1つのパラメータ値を使用して投与される予定の複数の刺激パルスをそれぞれ含む複数の刺激パルス列を投与するステップを含む実施形態23から25のいずれかに記載の方法。
〔実施形態27〕動的に変化する生理学的パラメータを測定するステップをさらに含み、かつ前記複数のパラメータ値を作成するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、動的に変化する生理学的パラメータに基づいて動的刺激パラメータの値を動的に作成するステップを含み、前記電気的刺激パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に動的刺激パラメータを使用して刺激パルスを投与するステップを含み、かつ前記少なくとも1つのパラメータに対して前記近似的に最適な値を選択するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、作成された前記動的刺激パラメータの値から前記近似的に最適な値を選択するステップを含み、前記近似的に最適な値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定された前記HRVパラメータの最大値に対応する実施形態23から25のいずれかに記載の方法。
〔実施形態28〕電気的刺激パルスを投与するステップが、ペーシング・パルスを投与するステップを含む実施形態23から27のいずれかに記載の方法。
〔実施形態29〕ペーシング・パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、ペーシング・アルゴリズムを実行することによって前記ペーシング・パルスを投与するステップを含み、前記ペーシング・アルゴリズムが少なくとも1つの刺激パラメータを使用する実施形態28に記載の方法。
〔実施形態30〕前記ペーシング・アルゴリズムを実行するステップが、徐脈ペーシング・アルゴリズム、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムのうちの少なくとも1つを実行するステップを含む実施形態29に記載の方法。
〔実施形態31〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが房室遅延(AVD)を含む実施形態28から30のいずれかに記載の方法。
〔実施形態32〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが心室内遅延(IVD)を含む実施形態28から31のいずれかに記載の方法。
〔実施形態33〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが、前記ペーシング・パルスがそれに対して投与される部位を識別するペーシング部位パラメータを含む実施形態28から32のいずれかに記載の方法。
〔実施形態34〕前記電気的刺激パルスを投与するステップが神経刺激パルスを投与するステップを含む実施形態23から33のいずれかに記載の方法。
〔実施形態35〕神経刺激パルスを投与するステップが、前記刺激パラメータ最適化期間中に、神経刺激アルゴリズムを実行することによって前記神経刺激パルスを投与するステップを含み、前記神経刺激アルゴリズムが前記少なくとも1つの刺激パラメータを使用する実施形態34に記載の方法。
〔実施形態36〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが刺激周波数を含む実施形態34および35のいずれかに記載の方法。
〔実施形態37〕前記少なくとも1つの刺激パラメータが、前記神経刺激パルスがそれに対して投与される部位を識別する刺激部位パラメータを含む実施形態34から36のいずれかに記載の方法。
〔実施形態38〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)のうちの1つまたは複数を作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態23から37のいずれかに記載の方法。
〔実施形態39〕前記HRVを作成するためにHRVを測定するステップが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態23から37のいずれかに記載の方法。
〔実施形態40〕交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示す前記パラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成するステップを含む実施形態39に記載の方法。
【0091】
〔実施形態41〕ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記ペーシング出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合されたペーシング制御回路であって、前記ペーシング制御回路が、
最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの前記投与を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRV測定回路と前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールに結合されたMTR調節モジュールであって、前記MTR調節回路が前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節するように構成されているMTR調節モジュールと
を備えるペーシング制御回路とを備える心臓律動管理システム。
〔実施形態42〕前記心臓信号が心電図を含む実施形態41に記載のシステム。
〔実施形態43〕前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態41および42のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態44〕前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態41から43のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態45〕前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールが、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態41から44のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態46〕前記MTR調節モジュールが、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値から前記MTRの値を選択するように構成されたMTRセレクタを備える実施形態41から45のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態47〕前記MTRセレクタが、前記HRVパラメータを閾値HRVレベルと比較する比較器を備え、かつ前記MTRセレクタが、HRVパラメータが所定の閾値を超える場合は所定の第1の値に、およびHRVパラメータが所定の閾値HRVレベルを超えない場合は所定の第2の値に設定するように構成されている実施形態46に記載のシステム。
〔実施形態48〕前記MTR調節モジュールが、活動レベルに基づいて閾値HRVレベルを動的に調節するHRV閾値発生器をさらに備える実施形態47に記載のシステム。
〔実施形態49〕前記HRV測定回路が、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含む実施形態41から48のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態50〕前記HRV測定回路が、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを監視する自律神経バランス・モニタを備える実施形態41から48のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態51〕前記自律神経バランス・モニタが、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備える実施形態50に記載のシステム。
【0092】
〔実施形態52〕心臓信号を感知するステップと、
前記感知された心臓信号に基づいて心拍変動(HRV)パラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動を測定するステップと、
ペーシング・パルスの投与を制御する心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行するステップであって、前記心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムが、最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用するステップと、 前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節するステップと
を含む心臓ペースメーカーを動作させるための方法。
〔実施形態53〕心臓信号を感知するステップが心電図を感知するステップを含む実施形態52に記載の方法。
〔実施形態54〕心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行するステップが、徐脈ペーシング・アルゴリズム、CRTペーシング・アルゴリズム、MI後RCTペーシング・アルゴリズムのうちの1つを実行するステップを含む実施形態52および53のいずれかに記載の方法。
〔実施形態55〕前記HRVパラメータに基づいて前記MTRを調節するステップが、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値のうちの1つに前記MTRを設定するステップを含む実施形態52から54のいずれかに記載の方法。
〔実施形態56〕前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値のうちの1つに前記MTRを設定するステップが、
前記HRVパラメータを閾値HRVレベルと比較するステップと、
前記HRVパラメータが前記閾値HRVレベルを超える場合は第1の値に、および前記HRVパラメータが前記閾値HRVレベルを超えない場合は第2の値に前記MTRを設定するステップとを含む実施形態55に記載の方法。
〔実施形態57〕心拍数に基づいて前記閾値HRVレベルを動的に調節するステップをさらに含む実施形態56に記載の方法。
〔実施形態58〕活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて前記閾値HRVレベルを動的に調節するステップをさらに含む実施形態56および57のいずれかに記載の方法。
〔実施形態59〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)のうちの1つまたは複数を作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態52から58のいずれかに記載の方法。
〔実施形態60〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態52から58のいずれかに記載の方法。
〔実施形態61〕交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成するステップを含む実施形態60に記載の方法。
【0093】
〔実施形態62〕心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路に結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
前記感知回路、前記HRV測定回路、前記パルス出力回路に結合された刺激制御回路であって、前記刺激制御回路が、
少なくとも第1の刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRVパラメータに基づいて前記第1の刺激アルゴリズムの実行を停止する安全性チェック・モジュールとを備える刺激制御回路とを備える心臓律動管理システム。
〔実施形態63〕前記感知回路が、1つまたは複数の心電図を感知する心電図感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路が、ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備える実施形態62に記載のシステム。
〔実施形態64〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを実行することによって前記ペーシング・パルスの投与を制御する徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態63に記載のシステム。
〔実施形態65〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、CRTペーシング・アルゴリズムを実行することによって前記ペーシング・パルスの投与を制御する心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態63および64のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態66〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、RCTペーシング・アルゴリズムを実行することによってぺーシング・パルスの投与を制御するリモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態63から65のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態67〕前記感知回路が、1つまたは複数の自律神経信号を感知する神経信号感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路が、神経刺激パルスを投与する神経刺激出力回路を備える実施形態62から66のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態68〕前記刺激アルゴリズム実行モジュールが、第1の刺激アルゴリズムを実行することによって神経刺激パルスの投与を制御する神経刺激アルゴリズム実行モジュールを備える実施形態67に記載のシステム。
〔実施形態69〕前記安全性チェック・モジュールが、
前記HRVパラメータを第1の安全性閾値と比較する比較器と、
前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するように構成された切替回路と
を備える実施形態62から68のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態70〕前記安全性チェック・モジュールが、活動レベルに基づいて第1の安全性閾値を動的に調節する安全性閾値発生器をさらに備える実施形態69に記載のシステム。
〔実施形態71〕前記比較器が、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路が、前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第1の刺激アルゴリズムの実行を再開するように構成されている実施形態69に記載のシステム。
〔実施形態72〕前記切替回路が、前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止しかつ第2の刺激アルゴリズムの実行を開始するように構成されている実施形態71に記載のシステム。
〔実施形態73〕前記比較器が、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路が、前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第2の刺激アルゴリズムの前記実行を停止し、かつ前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を開始するように構成されている実施形態72に記載のシステム。
〔実施形態74〕前記HRV測定回路が、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含む実施形態62から73のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態75〕前記HRV測定回路が、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを監視する自律神経バランス・モニタを備える実施形態62から73のいずれかに記載のシステム。
〔実施形態76〕前記自律神経バランス・モニタが、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備える実施形態75に記載のシステム。
〔実施形態77〕心臓信号を感知するステップと、
前記感知された前記心臓信号に基づいてHRVパラメータを作成するために所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動を測定するステップと、
少なくとも第1の刺激アルゴリズムを実行することによって電気的刺激パルスを投与するステップと、
前記HRVパラメータが安全性ウィンドウの外にあるとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップとを含む方法。
〔実施形態78〕前記心臓信号を感知するステップが、1つまたは複数の心電図を感知するステップを含み、かつ前記電気的刺激パルスを投与するステップが、ペーシング・パルスを投与するステップを含む実施形態77に記載の方法。
〔実施形態79〕1つまたは複数の神経信号を感知するステップをさらに含み、かつ前記電気的刺激パルスを投与するステップが、神経刺激パルスを投与するステップを含む実施形態77および78のいずれかに記載の方法。
〔実施形態80〕心拍数に基づいて前記安全性ウィンドウを動的に調節するステップをさらに含む実施形態77から79のいずれかに記載の方法。
〔実施形態81〕活動レベルの標示、算定、または予想に基づいて前記安全性ウィンドウを動的に調節するステップをさらに含む実施形態77から80のいずれかに記載の方法。
〔実施形態82〕前記HRVパラメータが前記安全性ウィンドウの外にあるとき前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップが、
前記HRVパラメータを第1の安全性閾値と比較するステップと、
前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップと
を含む実施形態77から81のいずれかに記載の方法。
〔実施形態83〕前記第1の刺激アルゴリズムが、徐脈ペーシング・アルゴリズムを含む実施形態77から82のいずれかに記載の方法。
〔実施形態84〕前記第1の刺激アルゴリズムが、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムを含む実施形態77から83のいずれかに記載の方法。
〔実施形態85〕前記HRVパラメータを第2の安全性閾値と比較するステップと
前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を再開するステップとをさらに備える実施形態82に記載の方法。
〔実施形態86〕前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、第2の刺激アルゴリズムの実行を開始するステップをさらに備える実施形態85に記載の方法。
〔実施形態87〕前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第2の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するステップをさらに備える実施形態86に記載の方法。
〔実施形態88〕前記第1の刺激アルゴリズムがリモデリング制御(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムが心臓再同調(CRT)ペーシング・アルゴリズムである実施形態87に記載の方法。
〔実施形態89〕前記第1の刺激アルゴリズムがリモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムが徐脈ペーシング・アルゴリズムである実施形態87に記載の方法。
〔実施形態90〕前記第1の刺激アルゴリズムが副交感神経刺激アルゴリズムであり、かつ前記第2の治療が交感神経刺激アルゴリズムである実施形態87に記載の方法。
〔実施形態91〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)、HRVフットプリント、連続差平方二乗平均(RMSSD)のうちの1つまたは複数を作成するためにHRVを測定するステップをさらに含む実施形態77から90のいずれかに記載の方法。
〔実施形態92〕前記HRVパラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示すパラメータを作成するためにHRVを測定するステップを含む実施形態77から90のいずれかに記載の方法。
〔実施形態93〕交感神経活動と副交感神経活動の間のバランスを示す前記パラメータを作成するためにHRVを測定するステップが、低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)を作成するステップを含む実施形態92に記載の方法。
【0094】
以下に、本発明の更なる実施形態を記載する。
<実施形態1>電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記パルス出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合された刺激制御回路とを備え、前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの刺激パラメータを調節するように構成された刺激パラメータ最適化モジュールを備え、
前記刺激パラメータ最適化モジュールは、
前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して複数のパラメータ値を作成するように構成された刺激パラメータ発生器と、
刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値を使用して前記電気的刺激パルスの投与を制御するように構成されたパルス出力コントローラと、
前記複数のパラメータ値から前記少なくとも1つの刺激パラメータに対して近似的に最適なパラメータ値を選択するように構成され、前記近似的に最適なパラメータ値が、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定されたHRVパラメータの最大値に対応する刺激パラメータ・セレクタと、
前記刺激パラメータ最適化期間を開始および停止する最適化タイマと、
を備えることを特徴とする心臓律動管理システム。
<実施形態2>前記最適化タイマは、周期的なベースで、前記刺激パラメータ最適化期間を開始するようにプログラムされていることを特徴とする実施形態1に記載のシステム。
<実施形態3>前記刺激パラメータ発生器は、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された生理学的パラメータ測定モジュールを備え、かつ前記刺激パラメータ発生器は、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータに対する前記複数のパラメータ値を作成するように構成され、かつ前記パルス出力コントローラは、前記刺激パラメータ最適化期間中に、前記複数のパラメータ値のうちの1つのパラメータ値を使用して、投与される予定の複数の電気的刺激パルスをそれぞれ含む前記複数の電気的パルス列の投与を制御するように構成されていることを特徴とする実施形態1および2いずれかに記載のシステム。
<実施形態4>前記刺激パラメータ発生器は、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する生理学的パラメータ測定モジュールと、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて少なくとも1つの動的刺激パラメータのパラメータ値を動的に作成する動的刺激パラメータ発生器とを備え、前記パルス出力コントローラは、前記少なくとも1つの動的刺激パラメータの前記動的に作成されたパラメータ値を使用して電気的刺激パルスの投与を制御するように構成され、かつ前記刺激パラメータ・セレクタは、前記刺激パラメータ最適化期間の間に測定された前記HRVパラメータの最大値に対応する前記動的刺激パラメータの値である近似的に最適な値を識別するように構成されていることを特徴とする実施形態1および2のいずれかに記載のシステム。
<実施形態5>前記パルス出力コントローラは、前記刺激パラメータ最適化期間中に刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態1乃至4いずれかに記載のシステム。
<実施形態6>前記パルス出力回路は、心臓ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備え、かつ前記刺激制御回路が、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つのペーシング・パラメータを調節するペーシング・パラメータ最適化モジュールを有するペーシング制御回路を備えることを特徴とする実施形態1乃至5いずれかに記載のシステム。
<実施形態7>前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、1つまたは複数のAVDを最適化するように構成された房室遅延(AVD)最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態6に記載のシステム。
<実施形態8>前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、1つまたは複数のIVDを最適化するように構成された心室内遅延(IVD)最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態6および7のいずれかに記載のシステム。
<実施形態9>前記ペーシング・パラメータ最適化モジュールは、前記心臓ペーシング・パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成されたペーシング部位最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態6乃至8のいずれかに記載のシステム。
<実施形態10>前記パルス出力回路は、神経刺激パルスを投与する神経刺激回路を備え、かつ前記刺激制御回路は、前記HRVパラメータに基づいて近似的に最適な値に少なくとも1つの神経刺激パラメータを調節する神経刺激パラメータ最適化モジュールを備える神経刺激制御回路を備えることを特徴とする前記実施形態1乃至9のいずれかに記載のシステム。
<実施形態11>前記神経刺激パラメータ最適化モジュールは、1つまたは複数の刺激パルス周波数を最適化するように構成された刺激パルス周波数最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態10に記載のシステム。
<実施形態12>前記神経刺激パラメータ最適化モジュールは、前記神経刺激パルスがそれに対して投与される1つまたは複数の部位の選択を最適化するように構成された刺激部位最適化モジュールを備えることを特徴とする実施形態10および11のいずれかに記載のシステム。
<実施形態13>前記HRV測定回路は、SDNNを作成する正常−正常間隔標準偏差(SDNN)発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする前記実施形態1乃至12のいずれかに記載のシステム。
<実施形態14>前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする実施形態1乃至13に記載のシステム。
<実施形態15>ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記ペーシング出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合されたペーシング制御回路と、
を備え、前記ペーシング制御回路は、
最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの前記投与を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRV測定回路と前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールに結合されたMTR調節モジュールと、
を備え、前記MTR調節モジュールは、活動レベルを用いて動的に1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節し、前記1つまたは複数の閾値HRVレベルに前記HRVパラメータを比較した結果に基づいて前記MTRを調節することを特徴とする心臓律動管理システム。
<実施形態16>前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態15に記載のシステム。
<実施形態17>前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態15および16のいずれかに記載のシステム。
<実施形態18>前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする実施形態15乃至17のいずれかに記載のシステム。
<実施形態19>前記MTR調節モジュールは、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値から前記MTRの値を選択するように構成されたMTRセレクタを備えることを特徴とする実施形態15乃至18のいずれかに記載のシステム。
<実施形態20>前記MTRセレクタは、前記HRVパラメータを前記1つまたは複数の閾値のうち第1の閾値HRVレベルと比較する比較器を備え、かつ前記MTRセレクタは、HRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超える場合は所定の第1の値に、およびHRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超えない場合は所定の第2の値に設定するように構成されていることを特徴とする実施形態19に記載のシステム。
<実施形態21>前記MTR調節モジュールは、心拍変動に基づいて前記1つまたは複数の閾値HRVレベルを動的に調節するように構成されていることを特徴とする実施形態15乃至20のいずれかに記載のシステム。
<実施形態22>前記HRV測定回路は、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする実施形態15乃至21のいずれかに記載のシステム。
<実施形態23>前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする実施形態15乃至21のいずれかに記載のシステム。
【0095】
<実施形態24>心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路に結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
電気的刺激パルスを投与するパルス出力回路と、
前記感知回路、前記HRV測定回路、前記パルス出力回路に結合された刺激制御回路と、
を備え、前記刺激制御回路は、
少なくとも第1の刺激アルゴリズムを実行することによって前記電気的刺激パルスの投与を制御する刺激アルゴリズム実行モジュールと、
前記活動レベルの表示、見積、予測に基づいて前記第1の安全性閾値を動的に調整するように構成された安全性チェック・モジュールと、を備え、
前記安全性チェック・モジュールは、
前記HRVパラメータを前記第1の安全性閾値と比較する比較器と、
前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止するように構成された切替回路と、
を備えることを特徴とする心臓律動管理システム。
<実施形態25>前記感知回路は1つまたは複数の心電図を感知する心電図感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路は、ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路を備えることを特徴とする実施形態24に記載のシステム。
<実施形態26>前記感知回路は、1つまたは複数の自律神経信号を感知する神経信号感知回路を備え、かつ前記パルス出力回路は、神経刺激パルスを投与する神経刺激出力回路を備えることを特徴とする実施形態24および25のいずれかに記載のシステム。
<実施形態27>前記安全性チェック・モジュールは、心拍変動に基づいて前記第1の安全性閾値を動的に調整するように構成されていることを特徴とする実施形態24乃至26のいずれかに記載のシステム。
<実施形態28>前記比較器は、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路は前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第1の刺激アルゴリズムの実行を再開するように構成されていることを特徴とする実施形態24乃至27のいずれかに記載のシステム。
<実施形態29>前記切替回路は、前記HRVパラメータが前記第1の安全性閾値以下に下がったとき、前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を停止し、かつ第2の刺激アルゴリズムの実行を開始するように構成されていることを特徴とする実施形態24乃至27のいずれかに記載のシステム。
<実施形態30>前記比較器は、前記HRVパラメータを前記第1および第2の安全性閾値と比較するように構成され、かつ前記切替回路は前記HRVパラメータが前記第2の安全性閾値を超えたとき、前記第2の刺激アルゴリズムの前記実行を停止し、かつ前記第1の刺激アルゴリズムの前記実行を開始するように構成されていることを特徴とする実施形態29に記載のシステム。
<実施形態31>前記第1の刺激アルゴリズムはリモデリング制御(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムは心臓再同調(CRT)ペーシング・アルゴリズムであることを特徴とする実施形態29および30のいずれかに記載の方法。
<実施形態32>前記第1の刺激アルゴリズムはリモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズムであり、かつ前記第2の刺激アルゴリズムは徐脈ペーシング・アルゴリズムであることを特徴とする実施形態29および30のいずれかに記載の方法。
<実施形態33>前記第1の刺激アルゴリズムは副交感神経刺激アルゴリズムであり、かつ前記第2の治療は交感神経刺激アルゴリズムであることを特徴とする実施形態29および30のいずれかに記載の方法。
<実施形態34>前記HRV測定回路は、SDNNを作成する正常−正常間隔標準偏差(SDNN)発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする前記実施形態24乃至33のいずれかに記載のシステム。
<実施形態35>前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする実施形態24乃至33のいずれかに記載のシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記ペーシング出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合されたペーシング制御回路と、を備え、
前記ペーシング制御回路は、
最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの前記投与を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRV測定回路と前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールに結合されたMTR調節モジュールと、を備え、
前記MTR調節モジュールは、活動レベルを用いて動的に1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節し、前記1つまたは複数の閾値HRVレベルに前記HRVパラメータを比較した結果に基づいて前記MTRを調節することを特徴とする心臓律動管理システム。
【請求項2】
前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記MTR調節モジュールは、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値から前記MTRの値を選択するように構成されたMTRセレクタを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記MTRセレクタは、前記HRVパラメータを前記1つまたは複数の閾値のうち第1の閾値HRVレベルと比較する比較器を備え、かつ前記MTRセレクタは、HRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超える場合は所定の第1の値に、およびHRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超えない場合は所定の第2の値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記MTR調節モジュールは、心拍変動に基づいて前記1つまたは複数の閾値HRVレベルを動的に調節するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記HRV測定回路は、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項1】
ペーシング・パルスを投与するペーシング出力回路と、
心臓信号を感知する感知回路と、
前記感知された心臓信号に基づいて所定の時間にわたって心臓周期の長さの変動であるHRVを測定するため、および前記HRV測定値に基づいてHRVパラメータを作成するために、前記感知回路と結合された心拍変動(HRV)測定回路と、
前記ペーシング出力回路、前記感知回路、前記HRV測定回路に結合されたペーシング制御回路と、を備え、
前記ペーシング制御回路は、
最大トラッキング・レート(MTR)を含むペーシング・パラメータを使用して心房トラッキング・ペーシング・アルゴリズムを実行することによって、前記ペーシング・パルスの前記投与を制御するペーシング・アルゴリズム実行モジュールと、
前記HRV測定回路と前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールに結合されたMTR調節モジュールと、を備え、
前記MTR調節モジュールは、活動レベルを用いて動的に1つまたは複数の閾値HRVレベルを調節し、前記1つまたは複数の閾値HRVレベルに前記HRVパラメータを比較した結果に基づいて前記MTRを調節することを特徴とする心臓律動管理システム。
【請求項2】
前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、徐脈ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、心臓再同調治療(CRT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ペーシング・アルゴリズム実行モジュールは、リモデリング制御治療(RCT)ペーシング・アルゴリズム実行モジュールを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記MTR調節モジュールは、前記HRVパラメータに基づく複数の所定の値から前記MTRの値を選択するように構成されたMTRセレクタを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記MTRセレクタは、前記HRVパラメータを前記1つまたは複数の閾値のうち第1の閾値HRVレベルと比較する比較器を備え、かつ前記MTRセレクタは、HRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超える場合は所定の第1の値に、およびHRVパラメータが前記第1の閾値HRVレベルを超えない場合は所定の第2の値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記MTR調節モジュールは、心拍変動に基づいて前記1つまたは複数の閾値HRVレベルを動的に調節するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記HRV測定回路は、正常−正常間隔標準偏差(SDNN)を作成する正常−正常間隔標準偏差発生器、正常−正常間隔平均値標準偏差(SDANN)を作成する正常−正常間隔平均値標準偏差発生器、HRVフットプリントを作成するHRVフットプリント発生器、連続差平方二乗平均(RMSSD)を作成する連続差平方二乗平均発生器のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記HRV測定回路は、LF/HF比を作成する低周波数HRV対高周波数HRVの比(LF/HF比)発生器を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−71206(P2012−71206A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9614(P2012−9614)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−552170(P2007−552170)の分割
【原出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−552170(P2007−552170)の分割
【原出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
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