説明

心筋組織への注入深度の制御の装置および方法

心臓の心筋の中へ注入液を送達するための注入器(10)が、カテーテル(20)または手持ち式ユニットとして実装され得る。注入器は、本体と、本体の遠位端に固定される安定器(30)と、本体の遠位端から制御可能に前進させられ得る針(60、260)とを含む。安定器は、心臓が鼓動している間、心筋に対して本体の遠位端を安定させる。針に沿って配置される拡大領域(100、280)は、針が所望の貫入深度を越えて心筋の中へ前進させられることを防止する。注入を行うために、医師は、本体の遠位端を心筋に近接させ、安定器を作動させ、針を心筋の中へ前進させる。針の前進は、拡大領域によって阻止され、それにより、注入のために所望の貫入深度に針先端を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/123,661号(2008年4月10日出願)の利益を主張し、この出願は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、心臓の症状の治療に関し、より具体的には、心筋組織への注入の深度を制御するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
心不全(「HF」)は、概して、典型的な兆候または症状を伴う心臓のポンプ機能の変化として定義される。心不全は、進行性疾患であり、それにより、臨床的に明白な有害事象の欠如にもかかわらず、患者の血行動態および症状の状態が経時的に悪化する。症状の悪化はしばしば、進行性左心室(「LV」)リモデリングを伴う。
【0004】
リモデリングの予防または逆転が、心筋症の治療において望ましいものとして出現している。心筋症は、例えば、虚血性、高血圧性、拡張型、肥大性、浸潤性、拘束性、ウイルス性、分娩後、弁膜、または特発性であり得る、基礎病因にかかわらず、心筋の疾患の一般的用語である。心筋症は、典型的には、心不全をもたらす。
【0005】
心筋梗塞(「MI」)は、心臓の血液供給の一部が突然かつ激しく低減されるか、または断ち切られ、その酸素供給が奪われるため、心筋を死滅させる、医学的緊急事態である。心筋梗塞は、次第に心不全に進展する場合がある。梗塞領域の瘢痕組織形成および動脈瘤菲薄化がしばしば、心筋梗塞を生き延びた患者で発生する。心筋細胞の死は、残っている生存心筋の増加した壁応力につながる、負の左心室(LV)リモデリングをもたらすと考えられる。この過程は、LV拡張につながる、一連の分子、細胞、および生理学的反応をもたらす。負のLVリモデリングは、概して、心不全の進行にとっての独立誘因と見なされる。
【0006】
僧帽弁逆流(「MR」)は、収縮期中に左心室(LV)から右心房の中へ流動を引き起こす、僧帽弁の不全症である。一般的な原因は、僧帽弁脱出、虚血性乳頭筋機能不全、リウマチ熱、およびLV収縮機能障害および拡張に続発する環状拡張を含む。MRは、心不全へと至り得る。
【0007】
現在、末期心不全の患者に対する最も効果的な治療は、心臓移植である。しかしながら、ドナー心臓の慢性的不足を考慮すると、心不全患者の寿命を向上させるために、代替策が必要とされる。また、移植は、より軽症型の疾患の患者にとっては、最も好適な治療選択肢ではない。他の治療アプローチは、血流を通した作用部位への薬剤の送達、および心機能を改善するための虚血性心筋への細胞の注入を含む。心筋内足場で心血管障害を治療するためのアプローチの例は、Leeらの名の下で2005年12月8日に公開され、「Material compositions and related systems and methods for treating cardiac conditions」と題された特許文献1において開示されている。
【0008】
Leeの公開された特許出願で説明されているアプローチのうちの1つは、心筋の中へ心筋内足場を形成する物質を注入するために針を使用する。注入のために使用される針が、心筋の中の適切な深度で配置されることを確実にするように、注意を払うべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公報第2005/0271631号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
医師によって払われる注意にもかかわらず、心筋内注入のために使用される針が、過度に浅く、または過度に深く心筋に貫入するか、あるいは心筋を穿刺さえする場合が起こり得る。従来の注入技法のこの不利点および他の不利点が、本発明によって克服される。付加的な改良および利点が、本開示を検討すると当業者によって認識され得る。
【0011】
本発明の一実施形態は、遠位部分を有する本体と、心筋組織に対して本体遠位部分を安定させるために本体遠位部分に配置される安定器と、針と、注入液を受容するために本体の中に配置される管腔とを備える、患者の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための装置である。本体遠位部分から遠位に制御可能に延長可能である、針は、針先端と、遠位延長中に心筋組織の中への針の貫入を所定の貫入深度に制限するために、針に沿って針先端から所定の距離に配置される拡大領域とを備える。針はさらに、拡大領域の遠位に注入ポートを備え、管腔は、針を通して注入ポートと流体連通している。
【0012】
本発明の別の実施形態は、心筋組織との近接部の中へ本体の遠位部分を前進させるステップと、心筋組織に対して本体遠位部分を安定させるステップと、針に沿ってその先端から所定の距離に配置される拡大領域によって阻止されるまで、安定化した本体遠位部分から心筋組織の中へ針を前進させるステップと、拡大領域の遠位にある針の注入ポートから心筋組織の中へ注入液を投与するステップとを含む、患者の体内の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための方法である。注入液は、心臓の心外膜または心内膜の面から所定の距離における心筋組織に浸透する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、胸腔を通して心筋組織の心外膜面との近接部の中へカテーテル本体の遠位端を前進させるステップと、心筋組織に対してカテーテル本体の遠位端を安定させるステップと、所定の貫入深度を達成するために、針に沿ってその先端から所定の距離に配置される拡大領域によって、心外膜面において阻止されるまで、カテーテル本体の遠位端から心筋組織の中へ針を前進させるステップと、針の先端から心筋組織の中へ注入液を投与するステップとを含む、患者の体内の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための方法である。注入液は、貫入深度で心筋組織に浸透する。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態から、および請求項から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、注入器装置の例示的実装の斜視図である。
【図2A】図2Aは、第1の動作位置における図1の注入器装置の例示的実装の遠位部分の部分断面図である。
【図2B】図2Bは、第2の動作位置における図1の注入器装置の例示的実装の遠位部分の部分断面図である。
【図2C】図2Cは、第3の動作位置における図1の注入器装置の例示的実装の遠位部分の部分断面図である。
【図2D】図2Dは、第4の動作位置における図1の注入器装置の例示的実装の遠位部分の部分断面図である。
【図2E】図2Eは、第5の動作位置における図1の注入器装置の例示的実装の遠位部分の部分断面図である。
【図3A】図3Aは、図1の注入器装置の例示的実装の遠位部分の縦断面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの注入器装置の例示的実装の遠位部分の平面3A−3Aからの平面図である。
【図4】図4は、注入器針および停止部の代替的実装の一部分の側面図である。
【0016】
図は、本発明の説明を容易にするものである。本明細書で説明される種々の実装を形成するように図に示される、部品の番号、位置、関係、および寸法、ならびに、特定の力、重量、強度、流量、および同様の要件に一致する寸法および寸法比率が、本明細書で説明され、または、本特許を読むことにより当業者にとって理解可能である。種々の図で使用される場合、同じ数字が、同じまたは同様の部品を指定する。さらに、「最上部」、「底部」、「右」、「左」、「前方」、「後方」、「第1の」、「第2の」、「内側」、「外側」という用語、および同様の用語が使用される場合、用語は、図面に示される構造の配向を参照して理解され、理解を促進するために利用されるべきである。同様に、「近位」、「遠位」という用語、および同様の位置の用語が使用される時に、用語は、図面に示される構造を参照して理解され、理解を促進するために利用されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
所定の深度で心筋の中へ注入液を安全かつ繰り返し送達するための注入器装置および関連方法を、本明細書において説明する。注入器は、開胸手技において使用するために、カテーテルベースであるか、または手持ち式ユニットで実装され得る。カテーテルベースの注入器装置は、カテーテル本体と、心筋に対してカテーテルの遠位部分を安定させるためにカテーテル本体の遠位端に固定される安定器と、カテーテル本体の遠位端から心筋の中へ制御可能に前進させられ得る針とを含む。安定器は、心臓が収縮期および拡張期の心臓の動きにより運動中である間、心筋に対してカテーテルの遠位部分を安定させるための任意の好適な技法を採用する。針の拡大領域は、針が所望の貫入深度を越えて心筋の中へ前進させられることを防止するように、停止部として機能する。注入を行うために、医師は、任意の好適な技法を使用して、心内膜または心外膜との近接部の中へカテーテルの遠位端を前進させ、心筋に対して遠位端を安定させるように安定器を作動させ、針を心筋の中へ前進させる。心筋の中への針の前進は、拡大領域によって阻止され、それにより、所望の貫入深度において針先端を配置し、心臓の穿刺を回避する。次いで、例示的には、針先端における、および/または拡大領域の遠位にある針の側壁における1つ以上の注入ポートを通して、注入が行われる。注入が完了した後、針およびカテーテルは除去される。
【0018】
注入器装置は、1つ以上の管腔を通過することができる、任意の注入液に対して好適である。好適な注入液の例は、心臓内に治療用壁支持材または組織の工学的足場を提供するように、または血管形成を誘導するように、または細胞を補充するように、またはアポトーシスを予防して心筋修復あるいは再建を促進するように注入され得る、生物学的に適合した単一成分または多成分ポリマー、ポリマーベースのビーズ、およびポリマーヒドロゲルを含む。好適なポリマーは、フィブリン接着剤、コラーゲン、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール(「PEG」)、およびキトサンを含む。ポリマーは、ポリマー材料のみから成ってもよく、または、幹細胞、線維芽細胞、または骨格細胞等の細胞、タンパク質、プラスミド、または遺伝子、タンパク質またはプラスミド形態の成長因子、化学誘引物質、フィブリン因子(または断片)E、RDG結合部位、種々の医薬組成物、新組織、または他の治療的に有益な物質、または先述のものの任意の組み合わせを含み得る。
【0019】
求められる治療効果に応じて、注入は、心筋中の単一の場所、またはパターンになった複数の場所に対するものであり得る。パターン化した多重部位注入は、それを参照することにより、その全体で本明細書に組み込まれる、2008年3月13日公開の米国特許出願公報第2008/0065048号に説明されている。
【0020】
本明細書で参照される図は、概して、注入器装置および注入方法の種々の例示的実装を図示する。これらの図示された実装は、対象範囲を限定するのではなく、むしろ本明細書および請求項で使用される用語の文脈の理解を支援するように意図されている。したがって、図示された実装とは異なる注入器装置および注入方法の変化例が、単独で本発明を定義する添付の請求項によって包含され得る。
【0021】
図1は、カテーテルベースの注入器装置10の実装を破断斜視図によって図示する。注入器装置10は、ハンドル410に固定されるカテーテル本体20を含む。カテーテル本体20は、カテーテル本体の遠位端22およびカテーテル本体の近位端28を画定し、カテーテル本体の近位端28は、ハンドル410に固定される。カテーテル本体の遠位端22は、固定構造30を含む。例示の目的で、固定構造30は、カテーテル本体の遠位端22から前方に延在するものとして示されているが、固定構造30は、カテーテル本体の遠位端22が注入部位500へとナビゲートされるにつれて、カテーテル本体20に引き込まれ得る。好ましくは、カテーテル本体の遠位端22は、種々の身体通路を通して注入部位500(図2C)へとナビゲート可能となるために非外傷性である。
【0022】
図2Cでさらに示されるように、固定構造30は、組織520(図2)に螺入されることによって、概して注入部位500に近接して組織520に付加されるように設計される、螺旋として構成される部分を含み得る。
【0023】
図1の例示的実装では、カテーテル本体の近位端28は、カテーテル本体の遠位端22を注入部位500に方向付けるために医師がカテーテル本体20を操作することを可能にする、ハンドル410に固定される。図示されるように、駆動シャフト40は、ハンドル410に回転可能に固定される、ドライバノブ420に係合してもよい。駆動シャフト40は、固定構造30およびドライバノブ420と協働して、固定深度180までのドライバノブ420の回転によって医師が固定構造30を組織520に螺入することを可能にする。したがって、固定構造30が、駆動シャフト40を介してドライバノブ420と協働してもよいように、本開示を検討して当業者によって認識されるような種々の歯車および他の機械的特徴が、ハンドル410の周囲および/またはカテーテル本体20の周囲に提供され得る。
【0024】
1つ以上のポート430が、ハンドル410、および/または概してカテーテル本体の近位端28に近接するカテーテル本体20の周囲に配置され得る。ポート430は、カテーテル本体20内の種々の管腔と連通して、例えば、ガイドワイヤの導入/引き抜きおよび/または注入液の導入を可能にする。
【0025】
図2A〜2Eは、種々の動作状態でのカテーテル本体の遠位端22における例示的注入器装置10の複数部分を示す。図2Aに図示されるように、カテーテル本体20がカテーテル本体外壁24およびカテーテル本体内壁26を画定し、カテーテル本体管腔25がカテーテル本体内壁26によって画定される。図示されるように、駆動シャフト40が駆動シャフト外壁44および駆動シャフト内壁46を画定し、駆動シャフト管腔45が駆動シャフト内壁46によって画定される。駆動シャフト40は、医師が概して注入部位500に近接する組織520に固定構造30を螺入することを可能にするようにカテーテル本体管腔25内に回転可能に受容される。駆動シャフト40の複数部分が、カテーテル本体内壁26に対して偏向され得、カテーテル本体管腔25内に駆動シャフト40を回転可能に支持するように、支持構造がカテーテル本体管腔25の長さに沿って配置され得、および/または、そうでなければ、駆動シャフト40は、本開示を検討すると当業者によって容易に認識可能な方法で、回転可能となるようにカテーテル本体管腔25内に載置され得る。
【0026】
固定構造30の固定構造近位端38は、駆動シャフト40の駆動シャフト遠位端42に固定される。駆動シャフト遠位端42は、少なくとも第1の固定構造位置137と第2の固定構造位置139との間に固定構造30を位置付けるために、少なくとも駆動シャフトの第1の位置47(図2A)および駆動シャフトの第2の位置49(図2B)との間に位置付けられる。駆動シャフトの第1の位置47では、図2Aに図示されるように、固定構造30は、第1の固定構造位置137にあり、固定構造30は、カテーテル本体の遠位端22が身体通路を通して前進させられることを可能にするために、概してカテーテル本体の遠位端22に近接した外側本体管腔25内に格納される。駆動シャフト40は、種々の実装で、ハンドル410における安定器位置制御部442と協働してもよい。例えば、遠位方向にドライバノブ420を押すことにより、駆動シャフトの遠位端42を駆動シャフトの第2の位置49に位置付け、近位方向にドライバノブ420を引くことにより、駆動シャフトの遠位端42を駆動シャフトの第1の位置47に後退させ、それに対応して、第1の固定構造位置137と第2の固定構造位置139との間に固定構造30を位置付けるように、ドライバノブ420は、安定器位置制御部442として使用され得る。
【0027】
固定構造30は、例示的には、螺旋31を含み、その内部環状表面は、軸39の周囲の内部通路35を画定する。螺旋31を含む固定構造30は、プラチナ・イリジウム合金等の金属を含む、任意の好適な材料で作られ得る。固定構造の近位端38は、任意の所望の方式で駆動シャフトの遠位端42に固定され得る。固定構造30の遠位部分は、例示的には、固定構造先端32を画定する。固定構造先端32は、研ぎすまされ、および/または、固定構造30を組織520に引き込むために固定構造30が回転させられるにつれて、組織520の中に貫入するように別様に構成され得る。固定構造30の反時計回りの回転は、固定構造30を組織520に引き込み、時計回りの回転は、固定構造30を組織520から解放する。他の実装では、時計回りの回転が固定構造30を組織520に引き込み、反時計回りの回転が固定構造30を組織520から解放するように、螺旋31が逆転され得る。
【0028】
図2Aでさらに図示されるように、注入器装置10は、注入器針先端62および注入器針の近位端68を有する、注入器針60を含む。カテーテル本体の遠位端22に対する注入器針60の位置は、少なくとも第1の注入器針の位置67と第2の注入器針の位置69(図2E)との間で変動され得る。固定構造30に対する注入器針60の位置は、注入器針60が第1の注入器針の位置67と第2の注入器針の位置69との間で交代させられるにつれて変動させられる。例えば、注入器針先端62は、第1の注入器針の位置67に注入器針60があると、固定構造先端32の十分近位にあり、第2の注入器針の位置69に注入器針60があると、固定構造先端32の付近(同等または近位あるいは遠位)にあり得る。
【0029】
第1の注入器針の位置67では、注入器針60は、カテーテル本体管腔25内に存在し得、図2Aに図示されるように、カテーテル本体の遠位端22の近位および固定構造先端32の近位で、概してカテーテル本体管腔25内に注入器針先端62を伴う。第1の注入器針の位置67の注入器針60は、図2Aに図示されるように、概してカテーテル本体の遠位端22に近接してもよく、第1の注入器針の位置67の注入器針60は、駆動シャフト管腔45内に位置する。他の実装では、注入器針60の少なくとも一部分が、固定構造30の内部通路35内に存在し得る。
【0030】
注入器針60は、種々の実装において、ハンドル410における注入器針位置制御部444と協働し得る。例えば、注入器針位置制御部444(図1)は、概してハンドル410に沿って近位・遠位の配向で摺動する、ハンドル410上の摺動ボタン446として構成され得る。遠位方向に摺動ボタン446を摺動させることにより、注入器針60を注入器針の第2の位置69に位置付け、近位方向に摺動ボタン446を摺動させることにより、注入器針60を注入器針の第1の位置67に後退させる。注入器針60は、組織520に注入するために、注入器針の近位端68から注入器針先端62に注入液を伝達するために、注入器針の近位端68と注入器針先端62との間で連通している注入器針管腔65(図3A)を有する。注入器針60は、例えば、鋼鉄または他の金属、あるいは金属合金で作られ得る。
【0031】
図2Bは、第2の位置49における駆動シャフトの遠位端42を図示する。固定構造30は、それに対応して、固定構造30の少なくとも一部分がカテーテル本体管腔25から現れる、第2の固定構造の位置139に位置付けられる。図2Cに図示されるように、固定構造先端32が注入部位500に近接する組織520の中に貫入するように、固定構造30は、カテーテル本体管腔25から回転可能に現れる。固定構造先端32は、組織520に対して偏向され得、駆動シャフト40は、固定構造30を回転させて、固定構造30を固定深度180(図2D)まで組織520に螺入するように回転させられ得る。他の実装では、固定構造30は、本開示を検討すると当業者によって認識されるように、他の方法によって第1の固定構造の位置137と第2の固定構造の位置139との間で交代させられ得る。さらに他の実装では、固定構造30は、概して、第2の固定構造の位置139で固定され得る。種々の実装は、駆動シャフト40を省略してもよく、固定構造30は、固定構造30を固定深度180まで組織520に引き込むように、例えば、カテーテル本体20の回転によって回転させられ得る。固定構造30は、本開示を検討すると当業者によって認識されるように、固定深度180まで組織520の中に貫入するために他の方法で回転させられ得る。
【0032】
固定構造30の少なくとも一部分は、注入器装置10を注入部位500に近接する組織520に固着させることに十分な程、固定深度180まで組織520の中に貫入する。固定構造30は、カテーテル本体の遠位端22が組織520に引き込まれ、かつ組織520に対して偏向されるまで組織520の中に貫入し得、または、図2C−2Eに示されるように、固定構造30は、カテーテル本体の遠位端22が組織520から離間したままとなるように、より少ない程度で組織520に貫入し得る。いずれにしても、カテーテル本体の遠位端22は、組織520に対して固定される。
【0033】
図2Dに図示されるように、注入器針60は、概して軸39に沿って位置し、組織520の中への注射器針の貫入を制限するための停止部100を含む。停止部100は、開口43および内部通路35を通過することが可能なサイズの円盤として図示されているが、種々の他の形状およびサイズが停止部100に好適である。カテーテル本体20をカテーテル本体の近位端22に固着するために、固定深度180で注入部位500に近接した組織520内に固定構造30が固定されると、注入器針60は、開口43を通り、固定構造30の螺旋31によって画定される内部通路35の中へ突出するように、注入器針の第1の位置67から遠位に前進させられる。注入器針60は、注入器針が注入器針の第1の位置67から前進させられるにつれて固定構造30に対して移動する。注入器針60は、カテーテル本体の遠位端22に対して、かつ固定構造30に対して、第2の注入器針の位置69(図2E)まで前進させられ、注入器針は、停止部が心外膜/心内膜に係合するまで心筋に貫入する。
【0034】
図2Eは、注入器針先端62に対する停止部100の位置によって調節される貫入深度170まで組織520に貫入するように、第2の注入器針の位置69に位置付けられた注入器針60を図示する。停止部100の遠位面102は、注入器針60の貫入深度170を調節するように心外膜/心内膜540に対して偏向される。カテーテル本体の遠位端22は、(示されるような離間位置で)組織520に対して固定される。注入器針60の貫入深度170は、固定構造30の固定深度180と等しいか、それよりも小さいか、またはそれよりも大きくてもよい。図示されるように、注入器針先端62は、概して、固定構造先端32と同じ深度にあるが、他の実装では、所望に応じて、固定構造先端32の遠位または固定構造先端32の近位にあり得る。注入器針60が組織520に貫入する貫入深度170は、注入器針先端62に対する停止部100の位置によって決定され、固定構造30が組織520に貫入する固定深度180から独立している。
【0035】
図2A−2Eの実装では、注入器針60は、注入器カテーテル80と流体連通している。注入器針60が完全に配備されると、注入器カテーテル80の遠位端および注入器針の近位端68は、駆動シャフトの遠位端42の近位および開口43の近位にある。他の実装では、注入器カテーテルの遠位端82が、概して内部通路35内に位置し得、注入器針の近位端68が、開口43の遠位にあり得、かつ概して螺旋31の内部通路35内に位置し得るように、注入器カテーテル80は、開口43を通って延在してもよい。
【0036】
図2A−2Eの実装では、配備前に、注入器針60および停止部100は、開口43の後ろに引き込まれている。代替として、注入器針60は、カテーテル本体遠位端22の後ろの内部通路35の中に延在し得る。そのような代替的実装では、停止部100は、開口43の後ろまたは前のいずれか一方に存在し得る。停止部100が注入器針60の配備中に開口43を通過する必要がない場合、それでも螺旋31の内部通路35を通過してもよいならば、それは開口43より大きくてもよい。
【0037】
図2A−2Eの例示的実装で使用される安定器は、固定構造、より具体的には、組織520に螺入されることによって、概して注入部位500に近接した組織520に貫入するように設計される螺旋31として構成される部分を含む、固定構造であるが、他の種類の固定構造、より一般的には、他の種類の安定器が使用され得る。機械的なつめまたは吸引パッドが、代替物である。
【0038】
注入器装置10の例示的実装の切断図が図3Aに図示されており、横断平面図が図3Bに図示されている。図3Aに図示されるように、注入器針60の近位端68は、注入器針管腔65が注入器カテーテル管腔85と連通するように、注入器カテーテル80の遠位端82に固定される。注入器針60は、概して、軸39と整列している。停止部100は、固定構造30によって画定される内部通路35を通過するように寸法決定される円盤形の構成を有するものとして図示されている。
【0039】
図3Aでより詳細に示されるように、注入器カテーテル80は、注入器カテーテル管腔85、注入器カテーテルの遠位端82、および注入器カテーテルの近位端(図示せず)を画定する。注入器カテーテルの遠位端82は、注入器針管腔65の中へ注入液を伝達するために、注入器針の近位端68に固定される。注入液が、ポート430を通って注入器カテーテル管腔85の中へ、そこから、注入器針管腔65を通って注入部位500における組織520の中へ伝達され得るように、概して注入器カテーテルの近位端(図1参照)における注入器カテーテル管腔85は、ハンドル410上のポート430と連通し得る。他の実装では、注入器カテーテル管腔85の中へ、そこから注入器針管腔65の中へ注入液を伝達するために、注入器カテーテル管腔85と連通しているカテーテル本体管腔25内に貯留部(図示せず)が位置し得、注入液は、ハンドル410から貯留部に伝達される信号の受信時に送達され得る。さらに別の実装では、貯留部が注入器管腔65と実質的に直接連通し得るように、注入器針の近位端68は、貯留部の付近に位置し得る。注入液が多成分注入液である場合、注入器カテーテル管腔85は、ハンドル410上の各ポートと連通する二重管腔(並んで、または同軸上に配設された2つの管腔)であり得る。成分は、注入器カテーテル管腔85の中へ入る前に混合してもよく、または、注入器針60内の各管腔の中へ入り、その中への注入後に組織520内で混合してもよい。
【0040】
図3Aでさらに示されるように、停止部100は、注入器針60の一部分の周囲に円周方向に延在し、組織520の中への注入器針60の貫入を制限する。図3Aの例示的実装では、停止部100は、遠位面102および近位面108を有する。停止部100は、開口43および内部通路35を通過するように寸法決定される。
【0041】
図3Bに示されるように、注入器針60および停止部100は、駆動シャフト40の駆動シャフトの遠位端42によって画定される開口部43を通過し、螺旋31によって画定され、概して軸39に沿う内部通路35を通過する。注入器針60が注入器針の第2の位置69にあると、停止部100の遠位面102は、貫入深度170を確立するために、および心筋組織520の中への注入器針60のさらなる貫入を防止するために、心外膜/心内膜540に対して偏向される。
【0042】
停止部100は、注入器針先端62に対する特定の場所に、任意の所望の方式で注入器針60に固定され得、場所は、固定または可変であり得る。固定は、例えば、溶接または接着等の任意の方式で達成され得る。また、停止部100は、注入器針自体の肥厚領域によって実装され得る。可変的に位置付け可能な停止部を有する実装では、停止部は、注入器針先端62に対する停止部の場所の調整を可能にするために、例えば、位置決めネジまたは位置決めナット(図示せず)によって注入器針60に固定され得る。
【0043】
図3Bは、停止部100が開口43および内部通路35を通過することを可能にするように、概して軸39と整列した注入器針60を図示する。停止部100は、図示されるように、内部通路35を通過するように寸法決定される。
【0044】
図2A−2Eおよび図3A−3Bにおいては、カテーテルとして示されているが、注入器カテーテル管腔85は、他の方法で実装され得る。例示的な代替実装は、カテーテル本体の中心を通る穴としてであり、注入器針60用の配備機構が駆動シャフトの遠位端42内に提供される。
【0045】
停止部100は、例えば、略円盤形、略球形、略楕円形、略偏球形、または、螺旋31によって封入されることなく内部通路35を通過するために好適であり、組織520の中への注入器針60の貫入を制限するために効果的である任意の他の形状を含む、種々の異なる形状で作られ得る。図4は、停止部280および注入ポート165を含む、注入器針260の代替的な例示的実装を示す。注入ポート165は、注入器針先端262と停止部280との間で、注入器針260に沿って位置する。概して貫入深度170の全体を通して組織520の中へ注入液を分散させるために、注入ポート165を通して、ならびに注入器針先端262を通して、組織520に注入液が導入され得る。停止部280は、図示されるように、螺旋31の複数部分に引っ掛かることなく、内部通路35を通る停止部280の通過を容易にするように略球形を有してもよい。
【0046】
注入器装置10を使用して、心外膜を通して心筋組織520の中へ注入を投与する例示的方法は、以下の通りである。固定構造30がカテーテル本体管腔25内に含有される第1の固定構造位置137にある状態で、カテーテル本体10が胸腔に挿入される。カテーテル本体の遠位端22は、心外膜540上の注入部位500に概して近接するまで、胸腔を通して、かつ心膜嚢の開口部を通してナビゲートされる。カテーテル本体の遠位端22が心外膜540に近接して位置付けられると、固定構造30が第1の固定構造位置137から第2の固定構造位置139に配備される。これは、第1の駆動シャフト位置47から第2の駆動シャフト位置49に駆動シャフト40を位置付けることによって達成され得る。固定構造先端32が心外膜540と係合させられ、次いで、固定構造30が組織520に貫入するように、固定構造30が回転させられる。固定構造30の固定構造の近位端38は、固定構造30が駆動シャフト40の回転によって回転させられるように、駆動シャフト40と係合される。固定構造30は、組織520にカテーテル本体の遠位端22を固定するのに十分な量で固定構造が組織520に貫入するまで、回転させられる。次いで、注入器針60が、注入器針先端62から停止部100まで、貫入深度710まで組織520に貫入するように、注入器針60が第1の注入器針位置67から第2の注入器針位置69まで前進させられる。次いで、注入液が、注入器針60を通して組織520の中へ送達される。
【0047】
注入液の送達後、組織520から注入器針60を引き抜くために、注入器針60が第1の注入器針位置67まで後退させられる。次いで、組織520から固定構造30を引き抜くために固定構造30が回転させられ、次いで、固定構造30が第2の固定構造位置139から第1の固定構造位置137まで後退させられる。次いで、カテーテル本体20が胸腔から引き抜かれる。代替として、別の注入部位500において注入液の注入を送達するために、カテーテル本体の遠位端22が、心外膜540に沿ったその注入部位500に概して近接して再配備され得る。1つ以上の追加注入部位500においてカテーテル本体の遠位端22を再配備するステップの一部として、これらの操作、またはそれらの組み合わせあるいは副次的組み合せが繰り返され得る。いくつかの注入部位500上にカテーテルを繰り返し再配備することにより、心外膜540に沿ったいくつかの注入部位500において注入液のいくつかの注入を送達する。
【0048】
医師が心外膜/心内膜540にカテーテル本体の遠位端22を方向付けるのを支援するために、第1の固定構造位置137と第2の固定構造位置139との間に固定構造30を位置付けるように、第1の注入器針位置167と第2の注入器針位置169との間に注入器針を位置付けるように、および注入器針60を通して注入液を組織520に送達させるように、種々の制御部が、ハンドル410および/または注入器装置10の他の部分の周囲に配設され得る。好適な制御部が、本開示を検討すると当業者に公知となるであろう。
【0049】
本明細書で説明される種々の例示的実装は、本発明を例示するものである。これらの実装の変化および修正が可能であり、実施形態の種々の要素の実用的な代案および同等物が検討される。以下のクレームで説明されるような本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書で開示される実装のこれらおよび他の変化および修正が行われてもよい。
【0050】
(項目1)
患者の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための装置であって、
遠位部分を有する本体と、
該心筋組織に対して該本体遠位部分を安定させるために該本体遠位部分に配置される、安定器と、
該本体遠位部分から遠位に制御可能に延長可能である、針であって、該針は、針先端と、遠位延長中に、該心筋組織の中への該針の貫入を所定の貫入深度に制限するために、該針に沿って該針先端から所定の距離に配置される拡大領域とを備え、該拡大領域の遠位に注入ポートをさらに備えている、針と
該注入液を受容するために該本体の中に配置される、管腔であって、該針を通って該注入ポートと流体連通している、管腔と
を備えている、装置。
(項目2)
前記安定器は、真空パッドを備えている、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記安定器は、つめを備えている、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記安定器は、固定深度まで前記心筋組織の中に螺入されるように適合される螺旋を備え、前記針の前記貫入深度は、該螺旋の該固定深度から独立している、項目1に記載の装置。
(項目5)
前記本体遠位部分内の非外傷性後退位置において前記針先端を制御可能に保持し、該本体遠位部分から遠位に該針先端を延長するための制御機構をさらに備えている、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記拡大領域は、前記針先端からの前記所定の距離を設定するために、前記針に沿って該針先端に対して調整可能に配置される、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記本体は、カテーテル本体であり、前記遠位部分は、該カテーテル本体の遠位端である、項目1に記載の装置。
(項目8)
前記安定器は、前記心筋組織の中へおよびから外へ螺合されるように適合される螺旋を備え、
前記カテーテル本体の近位端に固定されるハンドルと、
該ハンドル上に載置されるドライバノブと、
該カテーテル本体を通って延在し、前記本体遠位部分内の非外傷性後退位置と延長位置との間での該ドライバノブの操作時に該螺旋を制御可能に回転させるために、該ドライバノブに連結される近位端および該螺旋に連結される遠位端を有する、駆動シャフトと
をさらに備えている、項目7に記載の装置。
(項目9)
前記ハンドル上に載置されるスライダと、
前記本体遠位部分内の非外傷性後退位置と延長位置との間に前記針先端を制御可能に位置付けるために、該スライダに連結される近位端および前記針に連結される遠位端を有する、注入器カテーテルと
をさらに備えている、項目8に記載の装置。
(項目10)
前記本体は、手持ち式ユニットであり、前記遠位部分は、前記手持ち式ユニットの突出面である、項目1に記載の装置。
(項目11)
前記注入ポートは、前記針先端に配置される、項目1に記載の装置。
(項目12)
前記注入ポートは、前記針の側壁に配置される、項目1に記載の装置。
(項目13)
前記注入ポートは、前記針先端に配置され、前記拡大領域の遠位にある前記針の側壁に沿って配置される、複数の追加注入ポートをさらに備えている、項目1に記載の装置。
(項目14)
前記注入液は、第1の注射用成分と、第2の注射用成分とを備え、
前記管腔は、該第1の注射用成分を受容するための第1の管腔部材と、該第2の注射用成分を受容するための第2の管腔部材とを備え、
前記注入ポートは、該第1の管腔部材および該第2の管腔部材と流体連通している、項目1に記載の装置。
(項目15)
前記拡大領域の遠位にある追加注入ポートをさらに備え、
前記注入液は、第1の注射用成分と、第2の注射用成分とを備え、
前記管腔は、該第1の注射用成分を受容するための第1の管腔部材と、該第2の注射用成分を受容するための第2の管腔部材とを備え、
前記注入ポートは、該第1の管腔部材と流体連通しており、該追加注入ポートは、該第2の管腔部材と流体連通している、項目1に記載の装置。
(項目16)
患者の体内の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための方法であって、
該心筋組織との近接部の中へ本体の遠位部分を前進させることと、
該心筋組織に対して該本体遠位部分を安定させることと、
針に沿ってその先端から所定の距離に配置される拡大領域によって阻止されるまで、該安定化した本体遠位部分から該心筋組織の中へ針を前進させることと、
該拡大領域の遠位にある該針の注入ポートから該心筋組織の中へ該注入液を投与することであって、該注入液は、該心臓の心外膜または心内膜の面から所定の距離における該心筋組織に浸透する、ことと
を含む、方法。
(項目17)
前記心筋組織から前記針を後退させることと、
該心筋組織に対する前記本体遠位部分の安定化を中止することと、
該心筋組織との近接部から該本体の該遠位部分を引き抜くことと
をさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記心筋組織中の複数の異なる場所について、安定させること、前進させること、投与すること、後退させること、および安定させることを中止することのステップを繰り返すことを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
患者の体内の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための方法であって、
胸腔を通して該心筋組織の心外膜面との近接部の中へカテーテル本体の遠位端を前進させることと、
該心筋組織に対して該カテーテル本体の該遠位端を安定させることと、
所定の貫入深度を達成するために、針に沿ってその先端から所定の距離に配置される拡大領域によって、該心外膜面において阻止されるまで、該カテーテル本体の該安定化した遠位端から該心筋組織の中へ針を前進させることと、
該針の該先端から該心筋組織の中へ該注入液を投与することであって、該注入液は、該貫入深度で該心筋組織に浸透する、ことと
を含む、方法。
(項目20)
前記安定器は、螺旋を備え、
前記作動させるステップは、固定深度まで前記心筋組織に該螺旋を螺入することを含み、前記針の前記貫入深度は、該螺旋の該固定深度から独立している、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記心筋組織から前記針を後退させることと、
該心筋組織から前記螺旋を螺合解除することと、
前記心外膜面との近接部から前記カテーテル本体の前記遠位端を引き抜くことと
をさらに含む、項目20に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための装置であって、
遠位部分を有する本体と、
該心筋組織に対して該本体遠位部分を安定させるために該本体遠位部分に配置される、安定器と、
該本体遠位部分から遠位に制御可能に延長可能である、針であって、該針は、針先端と、遠位延長中に該心筋組織に係合して、該心筋組織の中への該針の貫入を所定の貫入深度に制限するために、該針に沿って該針先端から所定の距離に配置される拡大領域とを備え、該拡大領域の遠位に注入ポートをさらに備えている、針と
該注入液を受容するために該本体の中に配置される、管腔であって、該針を通って該注入ポートと流体連通している、管腔と
を備えている、装置。
【請求項2】
前記安定器は、真空パッドを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記安定器は、つめを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記安定器は、固定深度まで前記心筋組織の中に螺入されるように適合される螺旋を備え、前記針の前記貫入深度は、該螺旋の該固定深度から独立している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記本体遠位部分内の非外傷性後退位置において前記針先端を制御可能に保持し、該本体遠位部分から遠位に該針先端を延長するための制御機構をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記拡大領域は、前記針先端からの前記所定の距離を設定するために、前記針に沿って該針先端に対して調整可能に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記本体は、カテーテル本体であり、前記遠位部分は、該カテーテル本体の遠位端である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記安定器は、前記心筋組織の中へおよびから外へ螺合されるように適合される螺旋を備え、
前記カテーテル本体の近位端に固定されるハンドルと、
該ハンドル上に載置されるドライバノブと、
該カテーテル本体を通って延在し、前記本体遠位部分内の非外傷性後退位置と延長位置との間での該ドライバノブの操作時に該螺旋を制御可能に回転させるために、該ドライバノブに連結される近位端および該螺旋に連結される遠位端を有する、駆動シャフトと
をさらに備えている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ハンドル上に載置されるスライダと、
前記本体遠位部分内の非外傷性後退位置と延長位置との間に前記針先端を制御可能に位置付けるために、該スライダに連結される近位端および前記針に連結される遠位端を有する、注入器カテーテルと
をさらに備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記本体は、手持ち式ユニットであり、前記遠位部分は、前記手持ち式ユニットの突出面である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記注入ポートは、前記針先端に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記注入ポートは、前記針の側壁に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記注入ポートは、前記針先端に配置され、前記拡大領域の遠位にある前記針の側壁に沿って配置される、複数の追加注入ポートをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記注入液は、第1の注射用成分と、第2の注射用成分とを備え、
前記管腔は、該第1の注射用成分を受容するための第1の管腔部材と、該第2の注射用成分を受容するための第2の管腔部材とを備え、
前記注入ポートは、該第1の管腔部材および該第2の管腔部材と流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記拡大領域の遠位にある追加注入ポートをさらに備え、
前記注入液は、第1の注射用成分と、第2の注射用成分とを備え、
前記管腔は、該第1の注射用成分を受容するための第1の管腔部材と、該第2の注射用成分を受容するための第2の管腔部材とを備え、
前記注入ポートは、該第1の管腔部材と流体連通しており、該追加注入ポートは、該第2の管腔部材と流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
患者の体内の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための方法であって、
該心筋組織との近接部の中へ本体の遠位部分を前進させることと、
該心筋組織に対して該本体遠位部分を安定させることと、
針に沿ってその先端から所定の距離に配置される拡大領域によって阻止されるまで、該安定化した本体遠位部分から該心筋組織の中へ針を前進させることと、
該拡大領域の遠位にある該針の注入ポートから該心筋組織の中へ該注入液を投与することであって、該注入液は、該心臓の心外膜または心内膜の面から所定の距離における該心筋組織に浸透する、ことと
を含む、方法。
【請求項17】
前記心筋組織から前記針を後退させることと、
該心筋組織に対する前記本体遠位部分の安定化を中止することと、
該心筋組織との近接部から該本体の該遠位部分を引き抜くことと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記心筋組織中の複数の異なる場所について、安定させること、前進させること、投与すること、後退させること、および安定させることを中止することのステップを繰り返すことを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
患者の体内の心臓の心筋組織の中へ注入液を投与するための方法であって、
胸腔を通して該心筋組織の心外膜面との近接部の中へカテーテル本体の遠位端を前進させることと、
該心筋組織に対して該カテーテル本体の該遠位端を安定させることと、
所定の貫入深度を達成するために、針に沿ってその先端から所定の距離に配置される拡大領域によって、該心外膜面において阻止されるまで、該カテーテル本体の該安定化した遠位端から該心筋組織の中へ針を前進させることと、
該針の該先端から該心筋組織の中へ該注入液を投与することであって、該注入液は、該貫入深度で該心筋組織に浸透する、ことと
を含む、方法。
【請求項20】
前記安定器は、螺旋を備え、
前記作動させるステップは、固定深度まで前記心筋組織に該螺旋を螺入することを含み、前記針の前記貫入深度は、該螺旋の該固定深度から独立している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記心筋組織から前記針を後退させることと、
該心筋組織から前記螺旋を螺合解除することと、
前記心外膜面との近接部から前記カテーテル本体の前記遠位端を引き抜くことと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−516205(P2011−516205A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504014(P2011−504014)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/002269
【国際公開番号】WO2009/126323
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(501092667)ヘンリー フォード ヘルス システム (8)
【Fターム(参考)】