心臓ハーネス送給装置
この装置は、近位側部分および遠位側部分を有した細長い本体を備えている。この本体は、心臓ハーネスを圧縮された状態で収容するために寸法決めされたキャビティと、この本体に対して動くことができる複数の細長いプッシュロッドを有している。心臓ハーネスは、遠位方向におけるプッシュロッドの前進がキャビティの内側で圧縮された状態からキャビティの外側で拡大した状態へとハーネスを動かすように各プッシュロッドに着脱自在に接続されている。この装置はまた、ユーザによって解放部材が操作されるとプッシュロッドとハーネスとの間の接続を解放する解放部材を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、全般的に、患者の心臓上に心臓ハーネスを送給するための装置および方法に関する。
【0002】
[関連技術の説明]
鬱血性心不全(「CHF」)は、組織の代謝性需要、特に酸素需要を満たすために充分な流量の血液をポンプ送りするという心臓機能が故障することによって特徴づけられる。受動的な巻付け、あるいは心臓ハーネスが、鬱血性心疾患によって影響を受けている心臓の効率を高めうる結論付けられてきた。心臓ハーネスの技術は進歩してきたが、患者の心臓上に心臓ハーネスを送給し位置決めするための満足がいく装置および方法は未だに提供されていない。
【0003】
1つの方法においては、患者の心臓へのアクセスが胸部開放手技によって達成されるが、そこにおいては心臓へのアクセスを可能とするために胸骨を分割して分離することになる。それから、手による操作によって心臓ハーネスを心臓上に配置する。そのような胸部開放手技は患者にとって高度に外傷性であり、したがって、心臓ハーネス供給のためには比較的好ましくない選択肢に止まっている。
【0004】
本発明の心臓ハーネス送給装置は、その上には心臓ハーネスを充分に保持せず、かつ心臓ハーネスがこの送給装置から容易に解放されるようにする。例えば、1つの送給装置は、心臓ハーネスを送給装置に固定するために、その外周に配置されたステッチを利用する。そのような構成は、特に心臓の後側面における、心臓ハーネスの送給装置からの解放を困難とする。これは、心臓ハーネスを送給装置から解放するために、ステッチを切断しなければならないからである。そのような構成は、最小限に侵襲性の手技には適していない。ステッチを切断するために追加の器具を挿入しなければならないからである。さらにまた、外周だけに沿わせて心臓ハーネスを送給装置に取り付けることは、心臓ハーネスに局部的な荷重を負荷させがちであり、装置に損傷を生じさせ得る。
【0005】
[発明の要約]
したがって、先行技術の短所を克服する心臓ハーネス送給装置の必要性が存在している。好ましくは、この装置は、遠隔地からの心臓ハーネスの解放を可能とする。したがって、好ましい送給装置は、1つの構成において、患者を比較的小さく切開することによる最小限に侵襲性な心臓ハーネスの供給を可能にするために、圧縮された形状において心臓ハーネスを支持するように形成される。好ましくは、この送給装置は複数のプッシュロッドを有し、かつ心臓ハーネスは、プッシュロッドの長手方向軸に沿った少なくとも2つの離間位置において各プッシュロッドに固定される。したがって、そのような構成により、負荷される荷重は心臓ハーネスの長手方向に沿って拡げられ、それによって供給の間にハーネスが損傷を受ける可能性を減少させる。
【0006】
他の実施例においては、本発明は心臓ハーネスを供給する装置を含み、この装置は支持部材を有する。心臓ハーネスは、この支持部材上に予め組み付けられ、かつラインによってこの支持部材上に取り付けられる。このラインは、相互に連結された一連のループから成り、解放可能なステッチを形成する。
【0007】
本発明の他の実施例は、近位側部分および遠位側部分を具備した細長い本体を有する、心臓ハーネスを送給するための装置を含む。この本体は、圧縮された状態のハーネスを収容するように寸法決めされたキャビティを有している。複数の細長いプッシュロッドは、この本体に対して長手方向に動くことができる。心臓ハーネスは、各プッシュロッドに着脱自在に接続され、プッシュロッドの遠位側方向への前進が、キャビティ内で圧縮されている状態からキャビティの外側でて拡張した状態へとハーネスを変化させる。この装置はまた、ユーザによるその部材の操作に応じて、プッシュロッドとハーネスとの間の接続を解除する部材を有している。
【0008】
本発明のさらに他の実施例は、近位側部分および遠位側部分を具備した細長い本体を有する心臓ハーネス供給装置を含んでいる。この装置もまた、本体に対して縦方向に動くことができる複数のプッシュロッドを有している。心臓ハーネスは、各プッシュロッドに着脱自在に接続され、プッシュロッドの遠位側への動きが患者の心臓上へとハーネスを前進させる。ハーネスは、プッシュロッドから解放可能であり、引き抜き経路に沿って近位側へとプッシュロッドをハーネスから引き抜くと、ハーネスが心臓上に残る。プッシュロッドの遠位側部分は、引き抜きの間にハーネスを押し付ける、内側を向いた表面を有している。この内側を向いた表面は、実質的に非摩擦性の力の成分が基端側に向けられることなしに、ハーネス上の内側表面によって負荷される力に由来する、引き抜き経路に平行な非摩擦性の力の成分が遠位側を向くように形成されている。
【0009】
本発明の他の実施例は、支持部材上に予め組み付けられた心臓ハーネスを送給する段階を含む、心臓ハーネス送給方法を含んでいる。ハーネスは、解放可能なステッチを形成するラインによって支持部材に取り付けられる。この方法は、ハーネスが患者の心臓の一部を取り囲むようにハーネスを配置する段階、およびラインを切断することなしに解放可能なステッチを解放することによって支持部材からハーネスを分離する段階、をさらに備える。
【0010】
本発明の更なる実施例は、患者の心膜を通る通路を作成して心臓ハーネス送給装置の心臓へのアクセスを可能とする装置を含んでいる。この装置は、導入器スリーブおよび拡張器スリーブを有している。導入器スリーブは、近位端および遠位端を画成する外壁を有している。外壁は、遠位端に隣接した縮径部を有している。この縮径部は、第1の外径を有した縮小位置を画成している。拡張器スリーブは、第1の外径よりも大きな第2の直径を有している膨張位置の内側へと縮径部を押動するために、導入器スリーブに挿入できるように寸法決めされかつ形作られている。第2の直径は、この装置がそこを通過するできるようにするのに十分な寸法である。
【0011】
本発明のさらに他の実施例は、複数の細長いプッシュロッドを有した送給装置上への心臓ハーネスの装着を支援する装置を含んでいる。装置は、概ね漏斗状に形作られた部分を画成する外壁を有している。漏斗状に形作られた部分は、複数の細長いプッシュロッドを受け入れるように構成された複数のチャンネルを有している。外壁は、外側に広がる向きにプッシュロッドを支持するように構成されている。
【0012】
本発明の、これらおよび他の特徴、態様および利点は、本発明を例示するがそれには限定されないことが意図されている好ましい実施例の図面を参照することによって記載される。これらの図面は27の図を含んでいる。
【0013】
[好適な実施例の詳細な説明]
図1〜図11は、全般的に参照番号30によって示された心臓ハーネス送給装置の好ましい実施例を示している。好ましい実施例において、この送給装置30は、心臓ハーネスのような心臓補強装置(CRD)を解放可能に支持するとともに、この心臓ハーネスの患者の心臓上への前進を助けるように構成されている。この送給装置30は、心臓ハーネスが心臓上に配置されると、好ましくは心臓ハーネスの心臓に対する不必要な変位を生じさせることなしにハーネスを解放し、かつ引き抜くことができるように構成されている。
【0014】
図示の構成において、この送給装置30は、最小限に侵襲性の方法での心臓ハーネスの送給を可能にする。すなわち、この装置30は、好ましくは、患者の比較的小さい切開を通した心臓ハーネスの正確な送給、位置ぎめおよび解放を可能とする。しかしながら、好ましいあるいは他の実施例において、この送給装置30はまた、胸部開放あるいは他の最小限に侵襲性の手技において心臓ハーネスを送給するために用いることもできる。さらに、ある実施例においては、好ましくは、この装置30の少なくとも一部分の間接的な視覚化を可能とするように構成することができる。例えば、蛍光X線透視法あるいは他の方法によって視覚化して案内するために、装置の部分をX線不透過性とすることができる。
【0015】
図1を具体的に参照すると、図示されている送給装置30は全般的に、中空の細長い軸34の近位端に取り付けられたハンドル32から成る本体部分を備えている。好ましくは、ハウジング36が細長い軸34の遠位端に取り付けられる。図示の送給装置30はまた、制御組立体38および複数の細長いプッシュロッド40から成る可動部分を備えている。制御組立体38および、したがってプッシュロッド40は、軸34に沿って軸線方向にスライド可能である。
【0016】
好ましくは、複数のプッシュロッド40は、制御装置38から遠位方向に延びてハウジング36を通過する。図2も参照すると、心臓ハーネス42は、ハウジング36内に圧縮された状態で、細長いプッシュロッド40の遠位端部分に着脱自在に支持されている。好ましくは、心臓ハーネス42は、心臓の周りに嵌合するとともに心臓上に圧縮力を負荷するように構成された弾性スリーブを備える。図示の実施例では、ハーネス42は、波形の弾性部材が相互に連結されたいくつかの列を備えている。好ましい心臓ハーネスの詳細は、2000年8月8日出願の米国特許出願第09/634043号、2002年9月10日出願の米国特許出願第10/242,016号、2002年10月31日出願の米国特許出願第10/287,723号、および2002年9月5日出願の米国特許出願第60/409,113号に記載されている。それぞれの全体は、この参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。本願明細書において論じる送給装置30のいくつかの態様が、他のタイプの心臓ハーネスと関連して用い得ることは理解されるべきである。
【0017】
本願明細書において用いる用語「心臓ハーネス」は、患者の心臓に装着されて心拍周期の少なくとも一部の間に心臓に圧縮力を負荷する装置を指す、広い意味の用語である。心臓に装着して心臓を補強することが意図されるとともに当該技術分野において「ガードル」、「ソックス」、「ジャケット」、「CRD」等と称される装置は、この「心臓ハーネス」が意味するものに含まれる。
【0018】
制御組立体38および複数のプッシュロッド40は、図1に示されている収納位置から、図3および図4に示されている前進位置あるいは展開位置へと、軸34に対して軸線方向に動くことができる。したがって、この送給装置30は、以下により詳しく説明するように、ハウジング36内で圧縮された状態からハウジング36の外側で展開された状態へと心臓ハーネス42を展開し、それによって心臓ハーネス42を心臓43上に送給するように構成されている(図3および図4)。
【0019】
図示の実施例においては、ハンドル32が軸34に固定されている。しかしながら、他の構成においては、ハンドル32が制御組立体38と共に軸34に対して動き得ることは理解されるべきである。加えて、他の実施例においてはハンドル32を用いないこともできる。さらに、図1を参照すると、好ましくはストッパ39が軸34に設けられている。このストッパ39は、制御組立体38と係合する隆起部分から成り、組立体38は軸34上においてこのストッパ39を越えて遠位側に動くことができない。このように、ハーネス42は心臓43上においてあまり遠くには前進しない。
【0020】
再び図2を参照すると、ハウジング36は、好ましくは比較的に壁が薄い管状部材である。望ましくは、ハウジング36は軸34によって実質的に同軸に支持され、ハウジング36の内側表面と軸34の外側表面との間に内側キャビティ44を画成している。好ましくは、このキャビティ44は、圧縮状態の心臓ハーネス42をその内部に収容するように寸法決めされかつ形作られている。
【0021】
上記のように、この装置30は、好ましくは最小限に侵襲性の手技において心臓ハーネス42を送給するために構成される。したがって、好ましいハウジング36は約2インチ未満、より好ましくは約1.5インチ未満の公称外径を有する。しかしながら、追加として、最小限ではない侵襲性の実施例においては、ハウジング36を上述した値より大きくすることもできる。そのような構成においては、心臓上に配置されたときのハーネス42の形状と実質的に相似な形状で、ハーネス42を装置30によって支持することができる。すなわち、心臓ハーネスは、この装置によって「圧縮された」形状に支持される必要はなく、その弛緩したサイズおよび形状により近い形状で支持することもできる。
【0022】
図1〜図3に示した実施例において、ハウジング36は略円筒状である。他の実施例においてハウジングが楕円であることは理解されるべきである。このように、ハウジングは長軸および短軸を有することができる。この形状は、ハウジングを肋骨の間で前進させるときのように、比較的狭い隙間の身体通路を介してハウジングを前進させるためには特に有利である。
【0023】
引き続いて図2を参照すると、ハウジング36のベース部46は、好ましくはキャビティ44の閉鎖端を画成するとともに軸34に対してハウジング36を支持している。ベース端部46は、機械的な留め具、接着剤、あるいはこの技術分野の当業者にとって自明な他の適切な方法によって軸34に固定することができる。一つの実施例においては、ベース端部46は軸34に対して回動自在である。好ましくは、ハウジングの遠位端は開放していてキャビティ44の開放した遠位端を画成し、心臓ハーネス42がキャビティ44から前進できるようにしている。
【0024】
好ましくは、ハウジング36の外壁48は、ハウジング36の長さ全体にわたって軸線方向に延びる複数のチャンネル(通路)50(図4)を画成している。各チャンネル50は、好ましくは、複数のプッシュロッド40の一つをスライド自在に受け入れるように寸法決めされかつ形作られる。したがって、好ましくは、チャンネル50の数はプッシュロッド40の数に等しい。さらに、各チャンネル50は、好ましくは、その長さの少なくとも一部に沿ってキャビティ44内に開口している。
【0025】
図示の実施例においては、6つのプッシュロッド40およびチャンネル50が設けられており、ハウジング36の外周の周りに実質的に等間隔に配置されている。しかしながら、追加の構成においては、チャンネル50は省略することができ、プッシュロッド40は、単純にハウジング36の側壁48によってその半径方向外側への動きを抑制することができる。プッシュロッド40を案内し、かつ心臓ハーネス42を収納するために、他の適切な構成を用いることもできる。
【0026】
引き続いて図1〜図4を参照すると、この送給装置30は、好ましくは、この送給装置30を心臓43に対して所望の位置に保持するように構成された位置決め構造を有している。図示の実施例において、この位置決め構造は、軸34の遠位端に支持された吸着カップ部材52を有している。チューブ54が軸34を通って延びて吸着カップ部材52に接続されている。チューブ54の遠位端は、吸着カップ部材52により画成された内部空間に開口している。チューブ54の近位端は、注射器あるいは他の負圧供給源のようなポンプ部材へのチューブ54の接続を可能とするコネクタ58を有している。したがって、送給装置が適切に配置されると、チューブ54の内側から空気を引き抜いて吸着カップ部材52の内部空間に負圧状態を発生させ、それによって吸着カップ部材52が患者の心臓をしっかりと保持できるようにする。
【0027】
クリップ56がチューブ54をハンドル32に固定し、チューブ54の近位端が軸34を通り抜けることを防止している。したがって、クリップ56は、吸着カップ部材52を送給装置30に固定するためにも作用する。好ましい実施例においては、チューブ54および吸着カップ部材52は軸34に対して堅固には取り付けられず、軸34はチューブ54および吸着カップ52に対して動くことができる。他の実施例においては、軸34および吸着カップ52の近位端がねじ切りされ、吸着カップを軸上に螺合させることができる。さらに他の実施例においては、吸着カップを軸に対して着脱自在に接続するために他の構造を用いることができる。
【0028】
次に図5を参照すると、好ましくは、心臓ハーネス42は、全般的に参照番号60によって示される着脱可能なステッチにされたラインにより、複数のプッシュロッド40の各遠位端部に固定されている。図5に示したように、このライン60aは、複数のプッシュロッド40の1つと関連付けられ、かつ心臓ハーネス42をプッシュロッド40に固定するように構成された着脱可能なステッチとして整えられている。個別には示していないが、好ましくは、そのような複数のライン60b〜fのそれぞれは、図5に示したライン60aと同様な方法で、残りのプッシュロッド40のうちの対応する一つに心臓ハーネス42を固定している。望ましく、ライン60aは、以下により詳細に説明するような制御組立体38の作動によって解放可能な、相互に連結された一連のループとして整えられる。相互に連結されたループを解放すると、その結果として、心臓ハーネス42がプッシュロッド40から解放される。
【0029】
図示されているプッシュロッド40は、プッシュロッド40の外側に向いた表面40aからプッシュロッド40の内側を向いた表面40bへと延びる、複数の貫通孔あるいは開口62,64a〜iを有している。図示の実施例においては10個の開口62、64a〜iが設けられているが、他のタイプおよび寸法の心臓ハーネスを送給装置30に固定できるように、他の数の開口を設けることもできる。望ましくは、最も遠位側の開口62と開口64aとの間の間隔が、開口64a〜iの間の等しい間隔よりも小さくなるように、開口64a〜iは互いに等間隔に設置される。好ましくは、開口62と64aとの間の間隔は、図示されている心臓ハーネス42の一番上の列66aを形成している個々のワイヤの直径を収容するのに十分なものである。それに加えて、好ましくは、残りの開口64a〜iは、心臓ハーネスの列66b〜hの一つの高さに実質的に等しい間隔を開けて互いに離間している。そのような構成は、心臓ハーネス42の一つの列66b〜hのワイヤの、開口64a〜iの各組の間への配置を可能としている。
【0030】
ライン60aは、図5においては外側を向いた表面40aおよび内側を向いた表面40bの両方から離間するように図示されているが、好ましくは、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bに心臓ハーネス42を直接固定するために、開口62,64a〜iに通された後にタイトに引っ張られる。図5に描かれているライン60aの間隔を開けた配置は、解放可能なステッチの形状を明瞭に図示するためにすぎない。
【0031】
解放可能なステッチの好ましい実施例においては、ライン60aの第1の端部は、プッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側に配置されて第1のループ82aを画成している引き結び80の内側に配置される。引き結び80は、第1のループ82aとともに、ライン60aの短い端部83が作成されるように、望ましくはライン60aの一端の近傍に作成される。ライン60aの残りの部分は、相互に接続されたループとして配置され、以下に説明するような解放可能なステッチを作成する。
【0032】
ライン60aは、最も遠位側の開口62を通ってプッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側へと通過する。好ましくは、ライン60aは、開口64aを通ってプッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側へと通過する前に、心臓ハーネス42の一番上の列66aのワイヤの周りを通過する。したがって、ライン60aは、心臓ハーネス42の列66aをプッシュロッド40の内側を向いた表面40bに保持する固定部分84aを、開口62と64aとの間に作成する。
【0033】
プッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側に来ると、ライン60aは、第1のループ82aを通過するとともに第2のループ82bを形成するように整えられる。好ましくは、第2のループ82bは十分に大きく、隣接している次の開口64bを越えて通過するのに充分な距離だけプッシュロッド40の近位端に向かって延びる。次いで、ライン60aは、第1のループ82aおよび開口64aを通過して、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側に戻る。ライン60aは、心臓ハーネス42の第2の列66bのワイヤをプッシュロッド40に固定するための他の固定部分84bを作成する。
【0034】
好ましくは、これと同様な方法で、相互に接続されたループ82c〜82hが形成される。各ループ82c〜hは、プッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側に配置されているとともに各固定部分84c〜84hに対応し、心臓ハーネス42の各列66c〜hの各ワイヤをプッシュロッド40の内側を向いた表面40bに固定する。好ましくは、ライン60aの各固定部分84a〜hが心臓ハーネス42の一つの列66a〜hをプッシュロッド40に固定するが、他の構成においては、ハーネス42の一列あるいは多くの列を一つの固定部分84a〜hによって固定することができる。さらに、図示の実施例においては、プッシュロッド40の一つの開口64が関連付けられたハーネス42の一つの列66に対応しているが、他の実施例においては、一つの列66が一つあるいはより多くの開口64および一つあるいはより多くの固定部分84に対応し得ることは理解されるべきである。
【0035】
この構成によると、心臓ハーネス42は、長手方向に間隔を開けた少なくとも2つの位置において各プッシュロッド40に固定される。図示の実施例においては、ハーネス42が長手方向に間隔を開けた8つの位置において各プッシュロッド40に固定され、あるいは心臓ハーネス42の8つの列66a〜hがそれぞれ各プッシュロッド40に固定される。
【0036】
好ましくは、最も近位側のあるいは保持のためのループ86aは、残りのループ82a〜hが時期尚早に解けること防止するように配置される。好ましい構成において、保持ループ86aは、上述したようなループ82a〜hの構成と同様に次の遠位側ループ82hを通過する。しかしながら、保持ループ86aは、プッシュロッド40に沿って制御組立体38へと近位方向に延びるのに充分な長さを有している。好ましくは、ループ86aは、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側へと最も低い開口64iを通過し、かつプッシュロッド40に沿って近位方向に延びる。制御組立体38の内側では、ループ86aが(図5に模式的に示した)保持ロッド68の周りで環状となっている。
【0037】
ライン60aの残りの端部100aは、保持ループ86aを形成した後に、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側へとループ82hおよび開口64hを通過する。ライン60aの端部100aもまたプッシュロッド40に沿って近位方向に延び、保持ロッド68上に縛り付けられている。したがって、図示の構成においては、解放可能なステッチの解放は保持ロッド68の周りで環状となっている保持ループ86aと、保持ロッド68上に結ばれているライン60aの端部100との組合せによって防止される。保持ロッド68上に結ばれている状態を示したが、望ましくは、端部100は、以下により詳細に説明するように、保持ロッド68ではなくて制御組立体38の解放可能な部分上に縛り付けられる。
【0038】
他の構成においては、保持ループ86aは保持ロッド68の周りに環状ではなく、代わりの適切な構成によってその解放を防止することができる。例えば、相互に連結されたループ82a〜hの残りの部分とほぼ同じ寸法に保持ループ86aを形成し、かつ隣接するループ82hとプッシュロッド40の外側を向いた表面40aとの間に挟み込むことができることは予想し得る。このように、保持ループ86aは、外側を向いた表面40に対して保持ループ86aを保持する隣接したループ82hの摩擦力により、その解放が防止される。充分な引張力が端部100に負荷されると、保持ループ86aはループ82hおよび外側を向いた表面40aの摩擦力に打ち勝ち、開口64hを通して引き抜かれ、したがって解放可能なステッチの解放を可能とする。
【0039】
次に図6〜図9を参照すると、制御組立体38の好ましい実施例がより詳細に説明されている。上記のように、制御組立体38は、送給装置30の軸34に対して軸線方向に動くことができる。好ましくは、制御組立体38は、例えば摩擦ブレーキ組立体102のような位置保持構造を有する。摩擦ブレーキ組立体102は、軸34に対して制御組立体38を所望の位置に選択的に保持できるように構成されている。好ましくは、摩擦ブレーキ組立体102は、制御組立体38と同時に、装置30のユーザの片方の手によって容易に動かすことができるように構成される。
【0040】
図6および図9を詳細に参照すると、図示されている摩擦ブレーキ組立体102は、ブレーキ要素104と、ばね106のような付勢部材とを有している。このブレーキ要素104は、軸34を取り囲んでいる環状の中央部分104aを有している。互いに対向している端部104b、104cは、中央部分104aから実質的に反対方向へと外側に延びている。第1の端部104bは、好ましくはピン110によって、制御組立体38のチャンネル(通路)108内に保持されている。このピン110は、制御組立体38のキャビティ(図示せず)内において、チャンネル108の各側面上に支持されている。したがって、このブレーキ要素104は、概ねピン110の外側表面の回りに揺動可能である。
【0041】
ばね106は、キャビティ111の内側に保持され、ブレーキ要素104の第2の端部104cを制御組立体38から離間するように付勢するべく配置されている。好ましくは、ばね106は、制御組立体38を軸34に対して所望の位置に固定するべく、中央部分104aの内径を画成している表面が軸34と摩擦接触するようにブレーキ要素104を付勢する。ブレーキ要素104を軸34から分離して制御組立体38と軸34との間の相対運動を可能にするために、制御組立体38に向かって端部104cを押すことにより、ブレーキ要素104を制御組立体38の方へ揺動させることができる。他の実施形態においては、そのような2つのブレーキ要素104が設けられる。しかしながら、各ブレーキ要素は、反対方向へ揺動するようにその向きが定められる。そのように、一方のブレーキ要素が組立体の軸に対する遠位側への移動を良好に防止し、かつ他方のブレーキ要素が組立体の軸に対する近位側への移動を良好に防止する。
【0042】
図6および図8を詳細に参照すると、制御組立体38は、好ましくは、実質的に円柱状の本体部分112を有している。全体として参照符号114によって示されている、複数の通路が、制御組立体38の本体部分112を通って軸線方向に延びている。図示の実施例においては、これらの通路114は、その形状が実質的に円柱状であり、かつ軸34と同軸な円形な構成で等しく分配されている。好ましくは、通路114は、ハウジング36に形成されて対応しているチャンネル50と芯合わせされている。
【0043】
カバー116が本体部分112の近位端に固定されている。このカバー116は、通路114およびキャビティ111の近位端を閉鎖している。ネジ118のような複数の締結具が本体部分112の対応するねじ孔120(図7a)と螺合し、カバー116を本体部分112に固定している。
【0044】
図7aも参照すると、好ましい実施例において、本体部分112は、参照符号114a〜114fによって具体的に示されている6つの通路114を有している。便宜上、これらの通路114a〜114fは、本願明細書においては図7a〜cに示したようなそれらの相対位置によって参照される。このように、通路114aおよび114fは上側の組の通路を構成し、通路114bおよび114eは中央の組の通路を構成し、かつ通路114cおよび114dは下側の組の通路を構成している。通路114aは、図7aおよび図7bにおいて軸34の中心を通過している垂直軸Avの右側に配置されている。残りの通路114b〜114fは、時計回り方向に等しく間隔を開けた関係で分配されている。
【0045】
図7aおよび図8を詳細に参照すると、上述した通路114a〜fのそれぞれは、プッシュロッド40のうちの一つの近位端を受け入れるように構成されている。プッシュロッド40は、プッシュロッド40の開口(図示せず)を通過する軸150によって各通路114a〜f内に固定され、かつ制御組立体38の本体部分112によって支持されている。したがって、上述したように、プッシュロッド40は、制御組立体38に対してその軸線方向の動きが固定されている。
【0046】
図示の実施例において、プッシュロッドは、それらの各内側表面40aが軸34の中心軸の接線方向に配置された通路114a〜fの概ね中心に支持されている。加えて、図10も参照すると、各プッシュロッド40の中心部40cは、内側を向いた表面40aが凹部152を画成するように、その断面形状が略半円形である。好ましくは、凹部152は、図5に関連して上述したように、それぞれライン60a〜fの一つを収容するように構成されている。図10に示したように、ライン60aは、図5に関連して上述した如く、保持ループ86aおよび自由端100aを有している。
【0047】
次に図7a〜cを参照すると、全般的に参照符号122によって示されている複数のチャンネル(通路)が、制御組立体38の本体部分112の基端側の表面によって画成されている。各チャンネル122は、以下により詳細に説明するように、通路114a〜114fのうちの2つを相互に接続し、かつライン60aのような1つ若しくは複数のラインの一部を収容するように構成されている。具体的には、好ましい構成において、第1のチャンネル122aは、垂直軸Avと概ね平行に延び、通路114aと114cを相互に接続する。同様に、第2のチャンネル122bはチャンネル122aと略平行に延び、通路114dと114fを相互に接続する。第3および第4のチャンネル122c、122dは、それぞれ通路114aと114bおよび通路114bと114cを相互に接続する。同様に、第5および第6のチャンネル122e、122fは、それぞれ通路114fと114eおよび通路114eと114dを相互に接続する。
【0048】
好ましくは、各経路122a〜fは、それらが相互接続する通路114の中心と交差するように配置されている。チャンネル122a、122cおよび122dは、垂直軸Avの右側に三角形を形成している。チャンネル122b、122eおよび122fは垂直軸Avの左側に三角形を形成しているが、その形状はチャンネル122a、122cおよび122dによって画成される三角形の鏡像である。
【0049】
追加のチャンネル(通路)134は、図7a〜cに示したように、通路114aおよび114fを相互に接続するとともに、水平軸AHと概ね平行な方向に延びている。チャンネル134は、本体部分112の近位側の表面によって画成されるとともに、好ましくは幅および深さの両方においてチャンネル122a〜fより実質的に大きい。チャンネル134は、通路114a、114fの直径の約半分の幅を有するとともに、その断面形状は半円形である。望ましくは、チャンネル134は、通路114a、114fのほぼ中心を通過する。
【0050】
制御組立体38はまた、好ましくは解放可能なステッチを選択的に解放し、それによって心臓ハーネス42を送給装置30から解放するするように構成された、解放部材136を有している。図9も参照すると、解放部材136の一部は、好ましくは、チャンネル134とは水平軸AHの反対側に配置された、本体部分112のキャビティ137内に受け入れられている。キャビティ137は、カバー116の遠位側の表面の対応する部分と共に(図6を参照)、解放部材136の一部を支持する支持表面138を画成している。
【0051】
望ましくは、図5に模式的に示されている保持ロッド68は、図7a〜cおよび図9に示したように解放部材136の部分である一組のロッド68a,bから構成されている。ロッド68a,bの組は、解放部材136から外側(図7a〜cにおいては垂直に描かれている)に延びるとともに、制御組立体38の本体部分112の内側に形成された対応している内孔139にスライド自在に受け入れられる。好ましくは、内孔139は、垂直軸Avの両側に間隔を開けて配置される。ロッド68a、bは、好ましくは、その遠位端部が経路134を通過するように十分に長い。
【0052】
解放部材136は、本体部分112から離れて外側の方向に延びる引張部分140を画成している。引張部分140は、送給装置30のユーザが、引張部分140によって画成される孔を通って延びる1つ若しくは複数の指によって解放部材136をつかむことができるように、その形状が好ましくは略環状である。装置30のユーザが、解放部材136をつかんで本体部分112から離れる方向に引っ張ることを可能にする、例えば、引張りタブを設けるといった、他の適切な構造もまた用いることができることは理解されるべきである。
【0053】
解放部材136はまた、好ましくは、その内側を向く表面144から内側に延びる台形に形作られたキャビティ142を有している。キャビティ142は、好ましくは、通路114cおよび114dの閉鎖を回避するべく寸法決めされかつ形作られている。
【0054】
解放部材136は、好ましくは、キャビティ142の壁から本体部分112に向かって延びる取付部分146を有する。この取付部分146は、好ましくは、図7bおよび図9に示されている如く、取付部分146と本体部分112の支持表面138との間にスペース147が配設されるように配置される。図9に詳しく示されているように、取付部分146は、好ましくは、解放部材136と同じ厚みではなく、望ましくは、解放部材136の厚みの約1/4あるいはそれ以下である。図9に詳しく示されているように、取付部分146の上側表面149は、好ましくは、本体部分112の支持表面138から隙間147が開いている。
【0055】
図7a〜cおよび図8を再び参照すると、取付部分146は、好ましくは、軸34の縦軸と略平行な方向にそこを貫通して延びる複数の孔148を有している。図示の実施例においては、6つの孔148があり、1つの孔148がそれぞれ通路114a〜fに対応している。
【0056】
図7bを詳細に参照すると、ライン60の自由端100は、好ましくは、取付部分146の対応する孔148に結びつけられている。より具体的な実施例として、ライン60aの自由端100aは、対応するロッド40に沿って下方に延びて(図10を参照)通路114aに入り、そこから経路122aおよびキャビティ142内に向けられる。次いで、自由端100aは、取付部分146の穴148の一つに結び付けられる。このように、ライン60aの自由端100aは解放部材136に取り付けられている。
【0057】
ライン60aの保持ループ86a部分もまた、対応するロッド40(図10を参照)に沿って通路114a内へと下方に延びている。ループ86aは、通路114aからチャンネル134内に向けられ、解放部材136の最も右側のロッド68aの周りに巻きつけられている。ロッド68aの周りに保持ループ86aを巻きつけることはループ86aを固定し、したがってライン60aの解放を防止する。保持ループ86aは、図10に示したように実際にはラインの2つの部分から成っているが、図示における便宜上、図7bにおいては単一のラインとして示されていることに注意されたい。これは、より見やすい図面を提示するためになされている。
【0058】
他の自由端100b〜fおよび保持ループ86b〜fは、装置におけるそれらの位置のためにカスタマイズされてはいるが、好ましくは同様に整えられる。例えば、自由端100bは、通路114bからチャンネル122dを通ってキャビティ142内へと延び、穴148に取り付けられている。自由端100cは、通路114cからキャビティ142内へ直接導かれ、穴148に取り付けられている。自由端100dもまた、通路114bからキャビティ142内へと直接延び、穴148に取り付けられている。自由端100eは、通路114eからチャンネル122fを通ってキャビティ142内へと延び、穴148に取り付けられている。自由端100fは、通路114fからチャンネル122bを通ってキャビティ142内へと延び、穴148に取り付けられている。
【0059】
保持ループ86に関しては、保持ループ86bは、通路114bからチャンネル134を通ってチャンネル122c内に延び、右側のロッド68aの周りに巻きつけられている。ループ86cは、通路114cからチャンネル122aを通ってチャンネル134内へと延びて、右側のロッド68aの周りに巻きつけられている。保持ループ86dは、通路114dからチャンネル122bを通ってチャンネル134内へと延び、左側のロッド68bの周りに巻き付けられている。保持ループ86eは、通路114eを出てチャンネル122eを通りチャンネル134内へと延び、左側のロッド68bの周りに巻き付けられている。保持ループ86fは、通路114fからチャンネル134内へと延びて、左側のロッド68bの周りに巻き付けられている。
【0060】
解放部材136は、作動の際に、ループ86a〜fを解放し、プッシュロッド40からライン60a〜fを解き、それによってプッシュロッド40から心臓ハーネス42を解放するように構成されている。より詳しくは、図7cを参照すると、解放部材136が制御組立体38の本体112から引き抜かれると、保持ループ86a〜fがロッド68a〜bから解放されるように、ロッド68a〜bもまたチャンネル134を通って引っ張られる。同時に、ライン60aの自由端100a〜fが取付部分146の孔148の一つに結ばれていることにより、解放部材136は自由端100a〜fを引っ張る。保持ループ86a〜fがロッド68a〜bから解放されているので、図1a〜図1cに関連して以下により詳細に説明するように、自由端100a〜fを引張るとライン60a〜fが解け、それによってプッシュロッド40から心臓ハーネス42を解放することになる。
【0061】
図11a〜図11cは、ライン60aからなる解放可能なステッチが解ける好ましい順序を図示している。さらに図5を参照すると、上述したように、解放可能なステッチが固定されている状態においては、好ましくは、保持ループ86aは解放部材136のロッド68の周りに巻き付けられて、ステッチが解けることを防止している。しかしながら、保持ループ86aを解放するためにロッド68を引き抜き、かつ自由端100aが解放部材136によって引っ張られると、保持ループ86aは自由端100aによりループ82hを通して引っ張られる。
【0062】
図11aに戻ると、解放部材136が制御組立体38の本体部分112から離れるように引っ張り続けられるので、ループ82hは、上述したのと同様にループ82gを通って引っ張られる。図11bを参照すると、自由端100aが引っ張り続けられるので、連続したループ82g、82f、82e、82d、82c、82b、82aはそれぞれ、その遠位側に隣接するループを通してて引っ張られる。図11bにおいて、ループ82eがループ82dを通して引っ張られている状態で示されている。その後、ループ82dはループ82cを通して引っ張られ、それからループ82bを通して引っ張られる。最終的に、ループ82bは、図12cに示されているように、最初のループ82aを通して最後に引っ張られる。
【0063】
最初のループ82aは、好ましくは引き結び80から成り、好ましくは完全にそれ自身が解けるとともに最も遠位側の開口62を通して引っ張られると、心臓ハーネス42をプッシュロッド40から解放する。これと同様に、ライン60b〜fの残りの部分もまた解放部材136に固定されているので、好ましくは、心臓ハーネス42は複数のプッシュロッド40のそれぞれから解放される。
【0064】
次に図12を参照すると、複数のプッシュロッド40の一つの遠位端が断面で示されている。上述したように、プッシュロッド40は、軸34の中心軸を向いている内側を向いた表面40b、および軸34の中心軸から離れる側を向いている外側を向いた表面40aを有している。したがって、作動の際には、各プッシュロッド40の内側表面40bは、心臓ハーネス42に隣接して、好ましくは接触して配設される。
【0065】
プッシュロッド40の遠位端は、好ましい構成においては、軸34の中心軸から離れてるように外側に傾斜をつけられたチップ部154を有している。したがって、チップ部154の内側表面40bは、プッシュロッド40の残りの部分の内側表面40bから延びている線156に関して角度θを定める。好ましい実施例においては、角度θは5〜60度であり、より好ましくは10〜45度である。最も好ましくは、この角度は約15〜35度である。
【0066】
この分野における当業者によって理解されるように、好ましくは、弛緩した状態においては内側表面40bは概ね平面であるが、プッシュロッド40は、使用の際に患者の心臓の外側表面に追従するように、ハウジング36の遠位端から外側に広がるように偏向可能に構成される。したがって、プッシュロッド40は、その内側表面40bが必然的に平面であるように常に整えられるわけではない。しかしながら、プッシュロッド40が広げられた状態にあるときには、表面40b上の任意の点は、その点よりも近位側にある表面40b上の任意の点に対して、好ましくは軸34の中心軸から垂直方向に等しい距離、あるいはより大きな距離にある。すなわち、好ましくは、内側を向いた表面40bは、プッシュロッド40の近位端から遠位端の方へ移動するときに内側に向かって延びる部分を全く有していない。
【0067】
操作する際に、心臓ハーネス42が患者の心臓上に配置されると、複数のプッシュロッド40もまた心臓ハーネス42から引っ込めるように、制御組立体38は軸34に対して引っ込められる。送給装置30を引き込めると、内側表面40bと心臓ハーネス42との間に相対運動が生じる。すなわち、プッシュロッド40の内側表面40bは、図12中に矢印で示されている引き込み方向WDの引込経路に沿って、心臓ハーネス42に沿って滑動する。
【0068】
好ましくは、心臓ハーネス42に対してプッシュロッド40が滑動するときに、心臓上のその位置から心臓ハーネス42を引きずる傾向がある力が内側表面40bによって負荷されないように、先端部154には角度が付けられている。すなわち、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの構造は、引込経路と平行で内側表面40bによって心臓ハーネス42上に負荷される力に由来する非摩擦性の力の成分が、近位側に向けられる実質的に非摩擦性の力の成分なしに、遠位側あるいは引込め方向WDに向けられるようなものとなっている。有利には、心臓ハーネス42が心臓上に適切に配置されると、プッシュロッド40の後退はハーネス42の位置決めを邪魔しない。
【0069】
次に図13〜図17を参照すると、導入器組立体160は、送給装置30の心臓へのアクセスを可能にするアクセス開口を患者の心臓心膜に作成することを助ける。図示の実施例においては、導入器組立体160は、導入器スリーブ162および拡張器スリーブ164を有している。
【0070】
図13を詳細に参照すると、導入器スリーブ162は、好ましくは壁の薄い、実質的に円形の断面形状を有した管状要素である。スリーブ162の遠位端163は、スリーブ162の軸線Asから外側に付勢された、複数のラッパ状に広がる部分165から構成されている。図示の実施例においては、スリーブ162の一部がいくつかの細長い条片166に分離されている。好ましくは、細長い条片166は互いに間隔を開けられている。好ましい構成においては、導入器スリーブ162の長さの最も遠位側の約2/3は、間隔が開けられた細長い条片166に分離される。好ましくは、6つのそのような条片166が設けられる。しかしながら、他の適切な数の条片もまた用いることができる。
【0071】
続けて図13を参照すると、各条片の遠位端において、ラッパ状に広がる部分165が概ね外側に付勢されることを除いては、好ましくは、条片166がスリーブの軸線と概ね平行に延びる。好ましくは、条片166は、移行部分167において曲がり、条片の概ね真っ直ぐな部分からラッパ状に広がる部分165へと移行する。図示の実施例においては、ラッパ状に広げられた部分165はまた、長手方向の軸線Asをほぼ横切る方向にもある程度は延びている。
【0072】
好ましくは、弾性リング168のような弾性環状部材が、細長い条片166の移行部分167あるいはそこに隣接して、導入器スリーブ162の遠位端163に向けて配置される。望ましくは、この弾性リング168は、以下により詳細に説明するように、導入器スリーブ162の心膜切開部分への挿入を容易にするべく操作可能な縮径部へと、条片166を付勢するように構成される。
【0073】
図14を詳細に参照すると、拡張器スリーブ164は、好ましくは、壁の薄い断面形状が実質的に円形な管状部材である。拡張器スリーブ164の外径は、導入器スリーブ162の内径よりわずかに小さく構成される。したがって、図15に示したように、拡張器スリーブ164は導入器スリーブ162の内側へとスライド自在に挿入することができる。拡張器スリーブ164はまた、その最も近位側の端部上に、導入器スリーブ162の内側への挿入を制限するための大径部分170を有することができる。さらに、拡張器スリーブ164には、導入器スリーブ162に係脱自在に係合できるように係脱自在なロックシステムを設けることができる。
【0074】
図15に示した組立状態においては、スリーブ164は導入器スリーブ162の縮径部の内側表面を押圧し、弾性リング168によって与えられる付勢力に抗して縮径部を外側に押動する。したがって、組立状態においては、導入器スリーブ162の縮径部は拡径され、導入器組立体160は送給装置30のためのアクセス経路をもたらすように構成される。好ましくは、スリーブ164の内径は、スリーブ164を通して装置を前進させることができるように、送給装置30の外径よりもきい。
【0075】
図16は、心膜174の内側に封じ込められた人間の心臓172を示している。心膜174の内側への送給装置30の導入を可能とするために、好ましくは、心臓の頂部に隣接させて小さな切開部分176を心膜174に形成する。次に図17を参照すると、導入器スリーブ162は、収縮した状態で切開部分176を介して導入される。実際には、導入器スリーブ162の遠位端の一方の側を最初に切開部分176に挿入され、次いで残りの側を挿入する。
【0076】
次に図18を参照すると、導入器スリーブ162のラッパ状に広がる部分165がスリット176を通って前進したときに、拡張器スリーブ164が導入器スリーブ162の内側に導入されて、導入器スリーブ162をその拡径形状へと付勢する。この構成においては、ラッパ状に広がる部分165は、導入器スリーブ162の残りの部分の直径より大きく、好ましくは切開部分176の寸法より大きい直径へと拡大される。このように、ラッパ状に広がる部分165は、切開部分176および心膜の周囲の部分を押し開いて、少なくとも心膜の一部と心臓との間にスペースを生じさせる。さらに、ラッパ状に広がる部分165は、導入器が切開部分176の外側に引き出されることを阻止するための係止機構として機能する。したがって、導入器組立体160は、心臓172と心膜174との間の所定位置に効果的に係止される。
【0077】
拡張器スリーブ164が導入器スリーブ162を拡大させるので、送給装置30がそこおよび心膜を通って前進することを可能とするアクセス経路が生成される。送給装置30は、心臓172上へと心臓ハーネス42を供給するためにこの経路を通って前進する。手技が完了すると、送給装置30はアクセス経路を介して引き込められ、かつ導入器組立体160は挿入時とは概ね逆の順序で取り除かれる。
【0078】
上述したように、追加の実施例においては、ハウジング36は略楕円である。さらに他の実施例においては、導入器スリーブ162および拡張器スリーブ164もまた長軸および短軸を有した楕円であることは理解されるべきである。さらに、これらの部品は、それぞれ任意の所望の断面形状を有することができる。このように、これらの部品は、最小限に侵襲性の外科的な挿入経路の所望のタイプあるいは形状に合わせてカスタマイズされた形状を有することができる。
【0079】
図19〜図23は、心臓172上に心臓ハーネス42を送給するために、好ましくは実質的に上述した通りに構成された送給装置30の使用を示している。好ましくは、送給装置30は、心臓172の場所を見つけて掴み、心臓ハーネス42を心臓172上に正確に配置し、かつ心臓ハーネス42の位置を乱すことなく送給装置30を引き出せるように構成されている。
【0080】
図19を参照すると、好ましくは、送給装置30の吸着カップ52は、図19〜図23に模式的に示されている心臓172の頂端部分180と係合する。送給装置30の遠位端は、任意の適切な方法、好ましくは、図16〜図18に関連して説明したような最小限に侵襲性の手技によって心臓172にアクセスすることができる。図19〜図23においては、図示を容易にするために心膜174(図16)が省略されている。
【0081】
注射器182のようなポンプ装置が、コネクタ58を介してホース54に接続される。望ましくは、この注射器182は、そのプランジャ184が圧縮された状態でホース54に接続される。接続されると、このプランジャ184は(図19に矢印185で示したように)引き抜かれ、ホース54の内側、したがって吸引カップ部材52の内面によって画成されているスペース内に負圧状態を生成する。負圧状態により、吸着カップ部材52は、送給装置30に対して所望の位置に心臓172が保持されるように頂部180を掴む。
【0082】
好ましくは、コネクタ58は、注射器からコネクタ58を介してチューブ54へと空気が流れることを防止するように構成された一方向弁59を有している。したがって、負圧状態が生成されると、注射器182をチューブ54から取り除くことができる。その単純さおよび低コストにより、ポンプ部材としては注射器182が好ましいが、当業者が理解するように、チューブ54の内側に負圧を生成するために他の適切なポンプ装置を用いることもできる。
【0083】
次に図20を参照すると、送給装置30が心臓172のベース部180に適切に固定されると、制御組立体38は、図20に矢印186で示したように、心臓172に向けて軸34に対し前進させることができる。複数のプッシュロッド40が制御組立体38と共に心臓172に向けて前進すると、それによって心臓ハーネス42は、図20中に矢印190で示したように、ハウジング36内で圧縮された状態から心臓172上へと頂部180からベース部188の方向に前進する。図示のように、ハーネス42は、好ましくは弾性的に伸張して心臓に外嵌する。しかしながら、実質的に非弾性のハーネスの実施例もまた、この装置および方法によって送給できることは理解されるべきである。
【0084】
図20に示したように、複数のプッシュロッド40は、それらが送給装置30の軸34に対して前進させられると、心臓172の形状に一致するべく外側に広がる。上述したように、好ましくは、先端部154と心臓172との接触を回避し、それによって心臓172の損傷を防止するように、プッシュロッド40の先端部154には、プッシュロッド40の残りの部分に対して外向き角度θの傾斜が付けられている。
【0085】
図21を参照すると、心臓ハーネス42が心臓172上に適切に配置されるまで、制御組立体38は前進し続ける。心臓ハーネス42が適切に配置されると、解放部材136は、矢印192で示したように、制御組立体38の本体部分112から離れるように引っ張られる。したがって、心臓ハーネス42は、好ましくは図11a〜cを参照して上述したのと同様に、複数のプッシュロッド40から解放される。
【0086】
図22を参照すると、心臓ハーネス42が複数のプッシュロッド40から解放されると、概ね弾性的なハーネスは、好ましくは心臓上へと収縮する。次いで、制御組立体38は、心臓172上に残っている心臓ハーネス42から複数のプッシュロッド40を引き抜くために、軸34に対して引っ込められる。上記したように、プッシュロッド40は、好ましくは、プッシュロッド40を引き抜いても心臓172上における所望の位置から心臓ハーネス42を引っ張ることがないように構成されている。具体的には、図示の実施例において、複数のプッシュロッド40の外側に傾斜を付けられた先端部154が、プッシュロッド40の心臓ハーネス42上への引張力の負荷防止を助けている。
【0087】
図23を参照すると、複数のプッシュロッドが心臓ハーネス42および心臓172から完全に引き抜かれると、コネクタ58の一方向弁59を開いてチューブ54内の負圧状態を解放することができる。その結果、吸着カップ部材52がもはや心臓172を掴まないので、図23中に矢印194で示したように、送給装置30を心臓172から取り除くことができる。したがって、送給装置30は、心臓ハーネス42を所定の位置に残したまま心臓から引き抜かれる。
【0088】
上述したように、送給装置30は、間隔を開けたいくつかの位置で心臓ハーネス42を保持する。このように、この装置は分散状態でハーネス42を保持する。分散された保持のために、この装置は、上述したようにハーネス42を前進させるために用いることができるとともに、実質的にハーネス42を変形させることなしにハーネスの位置決めおよび方向の調整に用いることもできる。例えば、所望の位置よりも遠位側にハーネスが前進した場合、心臓に対するハーネスの位置を良好に調整するべく、制御組立体38を近位側に引っ張ることができる。装置30とハーネス42との間の分散された保持のために、ハーネスは、それ自身の上への折り重なりといった実質的な変形なしに、所望通りに近位側に移動する。さらに、他の実施例においては、ハーネスを実質的に変形させることなしに、ハーネスの位置を遠位側および近位側ばかりでなく回転方向にも調整することができる。
【0089】
この送給装置30は、最小限に侵襲性の送給手技に特に適しているが、この装置30はまた、心臓172へのアクセスをもたらすために患者の胸骨を分割する胸部開放手技にも用いることができる。したがって、この送給装置30は、図13〜図18に示した供給構造の有無にかかわらず用いることができる。それに加えて、本願明細書において説明した装置30は、複数のプッシュロッド40を用いるが、心臓上へと前進させるときに心臓ハーネス40を支持するための支持構造として、他の適切な構造もまた用いることができる。例えば、拡張可能なスリーブが支持構造の役割を果たすことができる。さらにまた、心臓ハーネス42は、本願明細書に説明したような解放可能なステッチにより、あるいは同様に解放可能なステッチ構造により、拡張しあるいは実質的に拡張した状態で、様々な支持構造に着脱自在に支持することができることは理解されるべきである。
【0090】
次に図24〜図27を参照すると、心臓ハーネス装着装置200の実施例が図示されている。この装着装置200は、心臓ハーネス42をプッシュロッド40に固定できるように、複数のプッシュロッド40を外側に広がった状態で支持するべく、送給装置30と協働するように構成されている。この装着装置200はまた、送給装置30のハウジング36内に挿入できるようにするために、心臓ハーネス42を拡張しあるいは静止した状態から圧縮された形状へと付勢することを助けるために有用である。
【0091】
図示の装着装置200は、略円筒状の下側部分204から上方へと延びる円錐形の上側部分202を有した、略漏斗状に形作られている。下側部分204は、送給装置30の遠位端、より具体的には吸着カップ部材52を受け入れるように構成されたポケット206を有している。しかしながら、好ましい実施例においては、ハーネスを装着する間には吸着カップが取り除かれ、ハーネスの装着が終了した後に取り付けられる。
【0092】
好ましくは、装着装置200は、薄肉の中空部材であり、図示の実施例においては、一組のピン留めフランジ205a,205bによって互いに接続された一組の鏡像対称な半分200a,200b(図26)から製作されている。すなわち、ピン207は、各フランジ205a,205bの内側で各半分200a、200bを通って延びているキャビティを通って延び、それによって各半分200a,200bを互いに固定している。半分200a,200bは、任意の方法で接続できることは理解されるべきである。追加の実施例においては、この装着装置は単一の部材から構成される。
【0093】
図25および図26を詳細に参照すると、複数のチャンネル(通路)208が、好ましくはポケット206から上方へと延びて、円錐形の上側部分202の開いた上端部に終端している。望ましくは、各チャンネル208は、複数のプッシュロッド40の一つを受け入れるように形作られ、好ましくは、プッシュロッド40の形状に対して略相補的に形作られる。したがって、望ましくは、設けられているチャンネル208の数は、送給装置30におけるプッシュロッド40の数に等しい。したがって、各チャンネル208は、複数のプッシュロッド40の一つを受け入れるとともに、心臓ハーネス42をそれに対して着脱自在に固定できるように、適切に広げた状態に配置するべく構成される。
【0094】
各チャンネル208の下側部分208aは、この装置30の遠位端が装着装置200のポケット206内に配置されたときに、好ましくは送給装置30の中心軸と実質的に平行である。装着装置200の上側部分202に対応している、チャンネル208の上側部分208bは、好ましくは下側部分208aに対して外側方向に広げられる。したがって、チャンネル208の上側部分208bの中に受け入れられると、プッシュロッド40は、好ましくは、プッシュロッド40が心臓の上に配置されたときを想定した状態と同様に広げられた形状へとその向きが定められる。
【0095】
望ましくは、この装着装置200は、チャンネル208の各上側部分208bの細長い部分に対応している複数の切り出し部分210を有している。好ましくは、切り出し部分210は、この装着装置200の外側表面に配設され、チャンネル208の上側部分208b内に配設された(図27を参照)プッシュロッド40の細長い部分を露出させる。加えて、好ましくは、チャンネル208の全体が、装着装置200の内側表面に向かって開いている。望ましくは、切り出し部分210は、プッシュロッド40のうち貫通開口62、64a〜iが設けられている(図5)部分に対応している。このように、装着装置200は、心臓ハーネス42を解放可能なステッチによって各プッシュロッド40に着脱自在に固定することができるように、露出している貫通開口62,64a〜iによってプッシュロッド40を広げられた状態に固定する。
【0096】
図27は、プッシュロッド40と共にかつそれに隣接して装着装置200に配設された心臓ハーネス42を示している。図示した構成においては、ハーネス42はプッシュロッド40への固定の準備ができている。
【0097】
次に図28a〜cを参照すると、ライン60aから解放可能なステッチを作成する好ましい方法が示されている。図28aを参照すると、心臓ハーネス42は、好ましくは、ハーネス42の最も上側の列66aがプッシュロッド40の貫通孔62と64aの間あるいは最も上の2つの貫通孔の間に位置決めされるように、プッシュロッド40に対して位置決めされる。ライン60aは、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bに沿って上方に通されて、ライン60aとプッシュロッド40の表面40bとの間に心臓ハーネス42を位置決めする。ライン60aの上端部は、貫通孔62に通されて、好ましくは、引き結び80に形成され、解放可能なステッチの最初のループ82aを形成する。
【0098】
図28cを参照すると、好ましくは、フックのような器具220がループ82aに通され、心臓ハーネス42の上側の列66aの下方でライン60aの一部を掴んでいる。ライン60aは、貫通穴64aおよび最初のループ82を通して引っ張られ、心臓ハーネス42の上側の列66aをプッシュロッド40固定する。図28cを参照すると、ライン60aはさらにループ82aを通して引っ張られ、第2のループ82bを作成する。この工程は、各列66a〜hが複数のプッシュロッド40のそれぞれに固定されるまで、反復される。再び図5を参照すると、最後のループあるいは保持ループ86aは、好ましくは、前述したように解放部材136のロッド68aによって保持される。加えて、好ましくは、ライン60aの端部100aは、同じく上述したように解放部材136に結びつけられる。
【0099】
再び図27を参照する。心臓ハーネス42が各プッシュロッド40に着脱自在に固定されると、制御組立体38は軸34に対して引込められてプッシュロッド40を引き込み、したがって(図2に示したように)心臓ハーネス42を圧縮された形状で送給装置30のハウジング36内に格納する。上述したように、上側部分202の漏斗状の形状および装着装置200の下側部分204の円筒形状が、心臓ハーネス42の展開された形状から圧縮された形状への押動を助ける。
【0100】
次に図29〜図32を参照すると、制御組立体238および関連するプッシュロッド240の他の実施例が示されている。図示した実施例において、制御組立体238は、本体部分242と、軸34上で軸線方向にスライドするように構成されたハンドル部分244とを有している。
【0101】
図29を詳細に参照すると、本体部分242は、第1および第2の摩擦ブレーキ組立体246、248を有している。好ましくは、各摩擦ブレーキ組立体246、248は、図6〜図9に関連して上述した組立体102と同様に構成される。しかしながら、第1のブレーキ組立体246におけるブレーキ要素104部分の揺動方向および配向は、第2のブレーキ組立体248におけるそのような配向とは反対である。このように、制御組立体238の軸34上における遠位側あるいは近位側の方向の軸線方向運動は、第1あるいは第2のブレーキ組立体246、248を選択的に係合させることによって選択的に阻止することができる。
【0102】
図30〜図32を詳細に参照すると、細長いプッシュロッド240は、それを貫通して延びる複数の貫通孔あるいは開口262、264を有している。プッシュロッド240は、図5に関連して上述し、かつ図33に関連して次述するように、解放可能なステッチを受け入れるように構成されている。好ましくは、プッシュロッドはX線不透性物質から構成される。
【0103】
図31をより詳細に参照すると、プッシュロッド240の遠位側の先端部分249は、概ね円筒形状の非外傷性チップ部260を有している。しかしながら、この非外傷性の先端部分260は、組織に孔をあけ、傷つけ、あるいは外傷を与える可能性を最小化するために、いくつかの異なる方法で形作ることができることは理解されるべきである。
例えば、先端部は、折りたたみ、概ね涙滴形状に形作り、あるいは概ね円柱状とすることができる。
【0104】
次に図30および図32を詳細に参照すると、プッシュロッド240の近位側領域266は、ロッド240の背骨271に取り付けられた複数の肋骨270を有している。肋骨270は、外側に延びて、近位側領域266におけるロッドの剛性を高める機能を果たしている。細長い通路272は、肋骨の間に形成され、そこを通って延びるライン60aを収容するように構成されているライン経路272を画成している。肋骨270は、近位側領域266においてプッシュロッド240の剛性を高めている。このように、プッシュロッド240は、近位側領域266におけるよりも遠位側領域273において柔軟である。その長さに沿ってプッシュロッドの柔軟性をさらに変化させるために、他の実施例において、さらに他の構造あるいは材料を戦略的に用い得ることは理解されるべきである。
【0105】
図示した実施例において、肋骨270は、プッシュロッド240の近位端274へとずっとは延びていない。近位端あるいはその近傍においては、一組の切欠き276がプッシュロッドの両側に形成されている。
【0106】
再び図29および図30を参照すると、一連の通路250が制御組立体238の本体242に形成されている。各通路250は、ロッド部分252およびライン部分254を有している。ロッド部分256は、各プッシュロッド240の近位端274が通路250のロッド部分252に嵌合するように構成されている。ライン部分254は、取り付けられたプッシュロッド240の肋骨210の間においてライン経路272と概ね位置合わせされており、したがって制御組立体238内へと移動するライン60aに通路を提供する。各ロッド通路に対応した一組のピン通路256が制御組立体に形成されている。ピン通路256は、各プッシュロッド240の近位端274にある切欠き276と概ね位置合わせされるように構成されている。制御組立体238の所定位置にプッシュロッド240を支持するために、ロックピン258(図34を参照)がピン通路256におよび切欠き276に挿入されている。
【0107】
次に図33を参照すると、ハーネス42をプッシュロッド40上に着脱自在に保持するための他の構成が示されている。この実施例は、図5に関連して上述した実施例と全く類似している。すなわち、心臓ハーネス42の列66a〜hを係合させかつ固定してプッシュロッド40上にハーネスを固定するために、ライン60aの固定部分84a〜hを作成するべく、相互に連結されたいくつかのループ82a〜hが配置されている。図示した実施例において、最も近位側のループは、フリーループ280と呼ばれ、最も近位側の貫通孔64iの近位側においてプッシュロッド40の外側表面40aに沿って延びている。ライン60aの保持ループ部分282は、プッシュロッド40の内側表面40bから孔64iを通って延びて、フリーループ280の周りに巻き付けられている。保持ループ282からは、ライン60aの端部100aが解放部材68へと延びている。ライン60aにおける張力が所定の場所にフリーループ280を保持し、かつ摩擦力は、解放可能なステッチを解放するためにフリーループ280が保持ループ282を通して引張られることに抵抗している。さらに、この構成においては、ライン60aのみが、ライン経路272を通って制御組立体38あるいは238内へと引っ張られる。
【0108】
引き続いて図33を参照すると、ハーネス42が患者の心臓上の所定位置に達すると、ライン60aを引っ張るために解放部材68を作動させる。このように、保持ループ282が自由なループ280に係合して引っ張る。ループ280,282の間のこの相互作用は摩擦抵抗を作り出す。しかしながら、臨床医が引張り続けると、摩擦抵抗が上回って保持ループ282はフリーループ280から分離され、図11a〜c参照して上述したのと同様に、解放可能なステッチが解放される。
【0109】
図示した実施例において、プッシュロッド40は、図5に示したプッシュロッド40と似ている。たった今議論した実施例は、図30〜図32に示したようなプッシュロッド240あるいは任意の適切なプッシュロッドに関連させて、用い得ることは理解されるべきである。
【0110】
次に図34を参照すると、図29の制御組立体238の内側が示されている。この実施例においては、図33のラインおよびステッチの構成が用いられている。このように、単一のライン100aが各プッシュロッド240から制御組立体238へと延びており、制御組立体238にはループは延びていない。各ライン100a〜fの端部は、解放部材268上に結び付けられている。図34に示したように、チャンネル284a,b、286a、bは、各ライン100a〜fを収容するために、各制御組立体のライン通路部分の間を解放部材268へと延びている。各プッシュロッド240に関連しているライン100a〜fは、関連するチャンネル284a,b,286a、bを通って解放部材268へと延びている。このように、解放部材268が外側に引っ張られると、ライン100a〜fが引っ張られて、プッシュロッド上にハーネス42を保持しているループを解く。
【0111】
本願明細書に開示した実施例において、図示された心臓ハーネス42は、弾性要素のいくつかの列から形成されている。図示したハーネスは、いくつかの隣接するリングに整えられた波形のワイヤーを備えており、それぞれが弾性的な列から構成されている。図示したように、ハーネス42は、これらの列の一部あるいは全ての周りに巻かれたステッチにより、プッシュロッド着脱自在に取り付けられている。もちろん、本発明の各態様を、単なる実施例として含まれている図示のハーネスとは異なる構造を有したハーネスに利用できることは理解されるべきである。例えば、織って作られたあるいは織らずに作られた繊維材料から形成されたハーネス、および/または材料のメッシュ、ハニカムあるいは他のタイプから形成されたハーネスのような、解放可能なステッチを収容することができる1つ若しくは複数の開口を有した任意のハーネスを使用することができる。
【0112】
好ましい実施例との関連で本発明を記載したが、記載した実施例に本発明が限定されることは意図されない。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示された実施例を変更することができる。例えば、様々に適切な解放可能なステッチ、あるいは他の解放機構を用いることができる。本願明細書において議論した実施例の具体的な特徴および態様の様々な組合せあるいはサブコンビネーションをなし得ることもまた考えられる。したがって、本発明の異なる態様を形成するために、開示された実施例の様々な特徴および態様を互いに組み合わせあるいは置き換えることができる。加えて、例示した装置30は、最小限に侵襲性の手技によって心臓ハーネスを供給するために適しているが、例示した装置30、あるいはその他の構成を胸部開放手技にもまた用いることができる。したがって、本発明は、請求項によってのみ定義されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明のいくつかの特徴、態様および利点に従って構成された心臓ハーネス送給装置の斜視図。例示の送給装置は、細長い軸およびハウジングを有した本体部分と、制御組立体および複数の細長いプッシュロッドを有した可動部分とを備えている。心臓ハーネスは、複数のプッシュロッドの遠位端部分に支持されている。
【図2】ハウジングによって画成されているキャビティ内で圧縮された状態の心臓ハーネスを示す、図1の送給装置の遠位側部分の要部破断拡大図。
【図3】可動部分が本体部分に対して前進している、図1の送給装置の斜視図。
【図4】図3中に線4〜4で示されている図1の送給装置の遠位側部分の拡大図。
【図5】図4中の破断線5〜5に沿った複数のプッシュロッドの一つの断面図。解放可能なステッチを形成する、心臓ハーネスをプッシュロッドに固定するためのラインを例示している。
【図6】図3中の線6〜6によって示された、図1の送給装置における制御組立体の拡大側面図。例示された制御組立体は、本体部分、カバーおよび解放部材を有している。
【図7a】図6中の破断線7〜7に沿った図6の制御装置の本体部分の平面図。制御組立体の本体部分によって画成された複数のチャンネルを例示している。チャンネルは、各プッシュロッドに関連付けられたラインの部分を受け入れるように構成されている。
【図7b】制御組立体のチャンネル内におけるラインの部分のルート割当を例示する、図7aの制御組立体の本体部分の拡大図。
【図7c】制御組立体の本体部分から引き抜かれた解放部材を示す、図7bの構造の拡大図。
【図8】図7a中の破断線8〜8に沿った、図6および図7の制御装置の断面図。
【図9】図7a中の破断線9〜9に沿った、図6および図7の制御装置の断面図。
【図10】図8中の破断線10〜10に沿った、複数の細長いプッシュロッドの一つの断面図。
【図11a】プッシュロッドから心臓ハーネスを解放するために解かれた図5の解放可能なステッチを例示する、複数のプッシュロッドの一つの断面図。
【図11b】解放可能なステッチをさらに解いた状態で例示する、図11aのプッシュロッドの断面図。
【図11c】解放可能なステッチを実質的に解いた状態で例示する、図11aのプッシュロッドの断面図。
【図12】図4中の破断線12〜12に沿った、複数の細長いプッシュロッドの一つの遠位先端部の断面図。
【図13】患者の心臓を取り囲んでいる心膜を通しての図1〜図12の送給装置の導入を容易にする、導入器組立体の導入器スリーブ部分の側面図。
【図14】非組立状態および導入器スリーブと拡張器スリーブを含んだ状態で例示する、導入器組立体の側面図。
【図15】拡張器スリーブが導入器スリーブの内側に配設されている、組立状態にある導入器組立体の側面図。
【図16】送給装置が心臓にアクセスできるようにするための小さな切開を心膜に有している心臓の斜視図。
【図17】図14の導入器組立体の導入器スリーブが心膜の切開部分の内側に配置されている、図16の心臓の斜視図。
【図18】組立状態にある導入器組立体により、送給装置を導入するためのアクセス経路を心膜に通して設ける状態を示す、図16の心臓の斜視図。
【図19】送給装置の吸引組立体に取り付けられたポンプ部材、具体的には注射器と共に示す、図1〜図12の送給装置の側面図。吸引組立体は、心臓ハーネスを心臓上で前進させる間に心臓を送給装置にしっかりと保持するように構成された吸着カップ部材を有している。
【図20】心臓ハーネスが部分的に前進した位置にある状態で示す、図19の送給装置の側面図。
【図21】心臓ハーネスが完全に前進した位置にあり、かつ送給装置から心臓ハーネスを解放するために解放部材が作動している状態を示す、図19の送給装置の側面図。
【図22】心臓ハーネスが完全に解放され、かつ複数のプッシュロッドが引き抜かれている状態を示す、図19の送給装置の側面図。
【図23】心臓ハーネスが完全に解放され、かつ送給装置が心臓から引き抜かれた状態を示す、図19の送給装置の側面図。
【図24】送給装置への心臓ハーネスの装着を助けるように構成された装着装置の側面図。
【図25】図24中の破断線25〜25に沿った、図24の装着装置の断面図。
【図26】図24中の破断線26〜26に沿った、図24の装着装置の底面図。
【図27】複数のプッシュロッド上に装着された心臓ハーネスを例示する、図24の装着装置の断面図。
【図28a】心臓ハーネスをプッシュロッドに固定するための着脱可能なステッチから成るラインの最初のループの形成を例示する、複数のプッシュロッドの一つの断面図。
【図28b】第2のループの最初の形成を示す、図28aのプッシュロッドの要部断面図。
【図28c】最初のループに通される第2のループを示す、図28bのプッシュロッドの図。
【図29】制御組立体の他の実施例の斜視図。
【図30】図29の制御組立体における使用のために適合された、プッシュロッドの他の実施例の斜視図。
【図31】破断線31〜31に沿った、図30のプッシュロッドの遠位側部分の拡大図。
【図32】破断線32〜32に沿った、図30のプッシュロッドの断面図。
【図33】心臓ハーネスをプッシュロッドに固定するための着脱可能なステッチを形成するラインの他の実施例および構成を例示する、図5のプッシュロッドを示す図。
【図34】図29の制御組立体の本体部分の平面図。
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、全般的に、患者の心臓上に心臓ハーネスを送給するための装置および方法に関する。
【0002】
[関連技術の説明]
鬱血性心不全(「CHF」)は、組織の代謝性需要、特に酸素需要を満たすために充分な流量の血液をポンプ送りするという心臓機能が故障することによって特徴づけられる。受動的な巻付け、あるいは心臓ハーネスが、鬱血性心疾患によって影響を受けている心臓の効率を高めうる結論付けられてきた。心臓ハーネスの技術は進歩してきたが、患者の心臓上に心臓ハーネスを送給し位置決めするための満足がいく装置および方法は未だに提供されていない。
【0003】
1つの方法においては、患者の心臓へのアクセスが胸部開放手技によって達成されるが、そこにおいては心臓へのアクセスを可能とするために胸骨を分割して分離することになる。それから、手による操作によって心臓ハーネスを心臓上に配置する。そのような胸部開放手技は患者にとって高度に外傷性であり、したがって、心臓ハーネス供給のためには比較的好ましくない選択肢に止まっている。
【0004】
本発明の心臓ハーネス送給装置は、その上には心臓ハーネスを充分に保持せず、かつ心臓ハーネスがこの送給装置から容易に解放されるようにする。例えば、1つの送給装置は、心臓ハーネスを送給装置に固定するために、その外周に配置されたステッチを利用する。そのような構成は、特に心臓の後側面における、心臓ハーネスの送給装置からの解放を困難とする。これは、心臓ハーネスを送給装置から解放するために、ステッチを切断しなければならないからである。そのような構成は、最小限に侵襲性の手技には適していない。ステッチを切断するために追加の器具を挿入しなければならないからである。さらにまた、外周だけに沿わせて心臓ハーネスを送給装置に取り付けることは、心臓ハーネスに局部的な荷重を負荷させがちであり、装置に損傷を生じさせ得る。
【0005】
[発明の要約]
したがって、先行技術の短所を克服する心臓ハーネス送給装置の必要性が存在している。好ましくは、この装置は、遠隔地からの心臓ハーネスの解放を可能とする。したがって、好ましい送給装置は、1つの構成において、患者を比較的小さく切開することによる最小限に侵襲性な心臓ハーネスの供給を可能にするために、圧縮された形状において心臓ハーネスを支持するように形成される。好ましくは、この送給装置は複数のプッシュロッドを有し、かつ心臓ハーネスは、プッシュロッドの長手方向軸に沿った少なくとも2つの離間位置において各プッシュロッドに固定される。したがって、そのような構成により、負荷される荷重は心臓ハーネスの長手方向に沿って拡げられ、それによって供給の間にハーネスが損傷を受ける可能性を減少させる。
【0006】
他の実施例においては、本発明は心臓ハーネスを供給する装置を含み、この装置は支持部材を有する。心臓ハーネスは、この支持部材上に予め組み付けられ、かつラインによってこの支持部材上に取り付けられる。このラインは、相互に連結された一連のループから成り、解放可能なステッチを形成する。
【0007】
本発明の他の実施例は、近位側部分および遠位側部分を具備した細長い本体を有する、心臓ハーネスを送給するための装置を含む。この本体は、圧縮された状態のハーネスを収容するように寸法決めされたキャビティを有している。複数の細長いプッシュロッドは、この本体に対して長手方向に動くことができる。心臓ハーネスは、各プッシュロッドに着脱自在に接続され、プッシュロッドの遠位側方向への前進が、キャビティ内で圧縮されている状態からキャビティの外側でて拡張した状態へとハーネスを変化させる。この装置はまた、ユーザによるその部材の操作に応じて、プッシュロッドとハーネスとの間の接続を解除する部材を有している。
【0008】
本発明のさらに他の実施例は、近位側部分および遠位側部分を具備した細長い本体を有する心臓ハーネス供給装置を含んでいる。この装置もまた、本体に対して縦方向に動くことができる複数のプッシュロッドを有している。心臓ハーネスは、各プッシュロッドに着脱自在に接続され、プッシュロッドの遠位側への動きが患者の心臓上へとハーネスを前進させる。ハーネスは、プッシュロッドから解放可能であり、引き抜き経路に沿って近位側へとプッシュロッドをハーネスから引き抜くと、ハーネスが心臓上に残る。プッシュロッドの遠位側部分は、引き抜きの間にハーネスを押し付ける、内側を向いた表面を有している。この内側を向いた表面は、実質的に非摩擦性の力の成分が基端側に向けられることなしに、ハーネス上の内側表面によって負荷される力に由来する、引き抜き経路に平行な非摩擦性の力の成分が遠位側を向くように形成されている。
【0009】
本発明の他の実施例は、支持部材上に予め組み付けられた心臓ハーネスを送給する段階を含む、心臓ハーネス送給方法を含んでいる。ハーネスは、解放可能なステッチを形成するラインによって支持部材に取り付けられる。この方法は、ハーネスが患者の心臓の一部を取り囲むようにハーネスを配置する段階、およびラインを切断することなしに解放可能なステッチを解放することによって支持部材からハーネスを分離する段階、をさらに備える。
【0010】
本発明の更なる実施例は、患者の心膜を通る通路を作成して心臓ハーネス送給装置の心臓へのアクセスを可能とする装置を含んでいる。この装置は、導入器スリーブおよび拡張器スリーブを有している。導入器スリーブは、近位端および遠位端を画成する外壁を有している。外壁は、遠位端に隣接した縮径部を有している。この縮径部は、第1の外径を有した縮小位置を画成している。拡張器スリーブは、第1の外径よりも大きな第2の直径を有している膨張位置の内側へと縮径部を押動するために、導入器スリーブに挿入できるように寸法決めされかつ形作られている。第2の直径は、この装置がそこを通過するできるようにするのに十分な寸法である。
【0011】
本発明のさらに他の実施例は、複数の細長いプッシュロッドを有した送給装置上への心臓ハーネスの装着を支援する装置を含んでいる。装置は、概ね漏斗状に形作られた部分を画成する外壁を有している。漏斗状に形作られた部分は、複数の細長いプッシュロッドを受け入れるように構成された複数のチャンネルを有している。外壁は、外側に広がる向きにプッシュロッドを支持するように構成されている。
【0012】
本発明の、これらおよび他の特徴、態様および利点は、本発明を例示するがそれには限定されないことが意図されている好ましい実施例の図面を参照することによって記載される。これらの図面は27の図を含んでいる。
【0013】
[好適な実施例の詳細な説明]
図1〜図11は、全般的に参照番号30によって示された心臓ハーネス送給装置の好ましい実施例を示している。好ましい実施例において、この送給装置30は、心臓ハーネスのような心臓補強装置(CRD)を解放可能に支持するとともに、この心臓ハーネスの患者の心臓上への前進を助けるように構成されている。この送給装置30は、心臓ハーネスが心臓上に配置されると、好ましくは心臓ハーネスの心臓に対する不必要な変位を生じさせることなしにハーネスを解放し、かつ引き抜くことができるように構成されている。
【0014】
図示の構成において、この送給装置30は、最小限に侵襲性の方法での心臓ハーネスの送給を可能にする。すなわち、この装置30は、好ましくは、患者の比較的小さい切開を通した心臓ハーネスの正確な送給、位置ぎめおよび解放を可能とする。しかしながら、好ましいあるいは他の実施例において、この送給装置30はまた、胸部開放あるいは他の最小限に侵襲性の手技において心臓ハーネスを送給するために用いることもできる。さらに、ある実施例においては、好ましくは、この装置30の少なくとも一部分の間接的な視覚化を可能とするように構成することができる。例えば、蛍光X線透視法あるいは他の方法によって視覚化して案内するために、装置の部分をX線不透過性とすることができる。
【0015】
図1を具体的に参照すると、図示されている送給装置30は全般的に、中空の細長い軸34の近位端に取り付けられたハンドル32から成る本体部分を備えている。好ましくは、ハウジング36が細長い軸34の遠位端に取り付けられる。図示の送給装置30はまた、制御組立体38および複数の細長いプッシュロッド40から成る可動部分を備えている。制御組立体38および、したがってプッシュロッド40は、軸34に沿って軸線方向にスライド可能である。
【0016】
好ましくは、複数のプッシュロッド40は、制御装置38から遠位方向に延びてハウジング36を通過する。図2も参照すると、心臓ハーネス42は、ハウジング36内に圧縮された状態で、細長いプッシュロッド40の遠位端部分に着脱自在に支持されている。好ましくは、心臓ハーネス42は、心臓の周りに嵌合するとともに心臓上に圧縮力を負荷するように構成された弾性スリーブを備える。図示の実施例では、ハーネス42は、波形の弾性部材が相互に連結されたいくつかの列を備えている。好ましい心臓ハーネスの詳細は、2000年8月8日出願の米国特許出願第09/634043号、2002年9月10日出願の米国特許出願第10/242,016号、2002年10月31日出願の米国特許出願第10/287,723号、および2002年9月5日出願の米国特許出願第60/409,113号に記載されている。それぞれの全体は、この参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。本願明細書において論じる送給装置30のいくつかの態様が、他のタイプの心臓ハーネスと関連して用い得ることは理解されるべきである。
【0017】
本願明細書において用いる用語「心臓ハーネス」は、患者の心臓に装着されて心拍周期の少なくとも一部の間に心臓に圧縮力を負荷する装置を指す、広い意味の用語である。心臓に装着して心臓を補強することが意図されるとともに当該技術分野において「ガードル」、「ソックス」、「ジャケット」、「CRD」等と称される装置は、この「心臓ハーネス」が意味するものに含まれる。
【0018】
制御組立体38および複数のプッシュロッド40は、図1に示されている収納位置から、図3および図4に示されている前進位置あるいは展開位置へと、軸34に対して軸線方向に動くことができる。したがって、この送給装置30は、以下により詳しく説明するように、ハウジング36内で圧縮された状態からハウジング36の外側で展開された状態へと心臓ハーネス42を展開し、それによって心臓ハーネス42を心臓43上に送給するように構成されている(図3および図4)。
【0019】
図示の実施例においては、ハンドル32が軸34に固定されている。しかしながら、他の構成においては、ハンドル32が制御組立体38と共に軸34に対して動き得ることは理解されるべきである。加えて、他の実施例においてはハンドル32を用いないこともできる。さらに、図1を参照すると、好ましくはストッパ39が軸34に設けられている。このストッパ39は、制御組立体38と係合する隆起部分から成り、組立体38は軸34上においてこのストッパ39を越えて遠位側に動くことができない。このように、ハーネス42は心臓43上においてあまり遠くには前進しない。
【0020】
再び図2を参照すると、ハウジング36は、好ましくは比較的に壁が薄い管状部材である。望ましくは、ハウジング36は軸34によって実質的に同軸に支持され、ハウジング36の内側表面と軸34の外側表面との間に内側キャビティ44を画成している。好ましくは、このキャビティ44は、圧縮状態の心臓ハーネス42をその内部に収容するように寸法決めされかつ形作られている。
【0021】
上記のように、この装置30は、好ましくは最小限に侵襲性の手技において心臓ハーネス42を送給するために構成される。したがって、好ましいハウジング36は約2インチ未満、より好ましくは約1.5インチ未満の公称外径を有する。しかしながら、追加として、最小限ではない侵襲性の実施例においては、ハウジング36を上述した値より大きくすることもできる。そのような構成においては、心臓上に配置されたときのハーネス42の形状と実質的に相似な形状で、ハーネス42を装置30によって支持することができる。すなわち、心臓ハーネスは、この装置によって「圧縮された」形状に支持される必要はなく、その弛緩したサイズおよび形状により近い形状で支持することもできる。
【0022】
図1〜図3に示した実施例において、ハウジング36は略円筒状である。他の実施例においてハウジングが楕円であることは理解されるべきである。このように、ハウジングは長軸および短軸を有することができる。この形状は、ハウジングを肋骨の間で前進させるときのように、比較的狭い隙間の身体通路を介してハウジングを前進させるためには特に有利である。
【0023】
引き続いて図2を参照すると、ハウジング36のベース部46は、好ましくはキャビティ44の閉鎖端を画成するとともに軸34に対してハウジング36を支持している。ベース端部46は、機械的な留め具、接着剤、あるいはこの技術分野の当業者にとって自明な他の適切な方法によって軸34に固定することができる。一つの実施例においては、ベース端部46は軸34に対して回動自在である。好ましくは、ハウジングの遠位端は開放していてキャビティ44の開放した遠位端を画成し、心臓ハーネス42がキャビティ44から前進できるようにしている。
【0024】
好ましくは、ハウジング36の外壁48は、ハウジング36の長さ全体にわたって軸線方向に延びる複数のチャンネル(通路)50(図4)を画成している。各チャンネル50は、好ましくは、複数のプッシュロッド40の一つをスライド自在に受け入れるように寸法決めされかつ形作られる。したがって、好ましくは、チャンネル50の数はプッシュロッド40の数に等しい。さらに、各チャンネル50は、好ましくは、その長さの少なくとも一部に沿ってキャビティ44内に開口している。
【0025】
図示の実施例においては、6つのプッシュロッド40およびチャンネル50が設けられており、ハウジング36の外周の周りに実質的に等間隔に配置されている。しかしながら、追加の構成においては、チャンネル50は省略することができ、プッシュロッド40は、単純にハウジング36の側壁48によってその半径方向外側への動きを抑制することができる。プッシュロッド40を案内し、かつ心臓ハーネス42を収納するために、他の適切な構成を用いることもできる。
【0026】
引き続いて図1〜図4を参照すると、この送給装置30は、好ましくは、この送給装置30を心臓43に対して所望の位置に保持するように構成された位置決め構造を有している。図示の実施例において、この位置決め構造は、軸34の遠位端に支持された吸着カップ部材52を有している。チューブ54が軸34を通って延びて吸着カップ部材52に接続されている。チューブ54の遠位端は、吸着カップ部材52により画成された内部空間に開口している。チューブ54の近位端は、注射器あるいは他の負圧供給源のようなポンプ部材へのチューブ54の接続を可能とするコネクタ58を有している。したがって、送給装置が適切に配置されると、チューブ54の内側から空気を引き抜いて吸着カップ部材52の内部空間に負圧状態を発生させ、それによって吸着カップ部材52が患者の心臓をしっかりと保持できるようにする。
【0027】
クリップ56がチューブ54をハンドル32に固定し、チューブ54の近位端が軸34を通り抜けることを防止している。したがって、クリップ56は、吸着カップ部材52を送給装置30に固定するためにも作用する。好ましい実施例においては、チューブ54および吸着カップ部材52は軸34に対して堅固には取り付けられず、軸34はチューブ54および吸着カップ52に対して動くことができる。他の実施例においては、軸34および吸着カップ52の近位端がねじ切りされ、吸着カップを軸上に螺合させることができる。さらに他の実施例においては、吸着カップを軸に対して着脱自在に接続するために他の構造を用いることができる。
【0028】
次に図5を参照すると、好ましくは、心臓ハーネス42は、全般的に参照番号60によって示される着脱可能なステッチにされたラインにより、複数のプッシュロッド40の各遠位端部に固定されている。図5に示したように、このライン60aは、複数のプッシュロッド40の1つと関連付けられ、かつ心臓ハーネス42をプッシュロッド40に固定するように構成された着脱可能なステッチとして整えられている。個別には示していないが、好ましくは、そのような複数のライン60b〜fのそれぞれは、図5に示したライン60aと同様な方法で、残りのプッシュロッド40のうちの対応する一つに心臓ハーネス42を固定している。望ましく、ライン60aは、以下により詳細に説明するような制御組立体38の作動によって解放可能な、相互に連結された一連のループとして整えられる。相互に連結されたループを解放すると、その結果として、心臓ハーネス42がプッシュロッド40から解放される。
【0029】
図示されているプッシュロッド40は、プッシュロッド40の外側に向いた表面40aからプッシュロッド40の内側を向いた表面40bへと延びる、複数の貫通孔あるいは開口62,64a〜iを有している。図示の実施例においては10個の開口62、64a〜iが設けられているが、他のタイプおよび寸法の心臓ハーネスを送給装置30に固定できるように、他の数の開口を設けることもできる。望ましくは、最も遠位側の開口62と開口64aとの間の間隔が、開口64a〜iの間の等しい間隔よりも小さくなるように、開口64a〜iは互いに等間隔に設置される。好ましくは、開口62と64aとの間の間隔は、図示されている心臓ハーネス42の一番上の列66aを形成している個々のワイヤの直径を収容するのに十分なものである。それに加えて、好ましくは、残りの開口64a〜iは、心臓ハーネスの列66b〜hの一つの高さに実質的に等しい間隔を開けて互いに離間している。そのような構成は、心臓ハーネス42の一つの列66b〜hのワイヤの、開口64a〜iの各組の間への配置を可能としている。
【0030】
ライン60aは、図5においては外側を向いた表面40aおよび内側を向いた表面40bの両方から離間するように図示されているが、好ましくは、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bに心臓ハーネス42を直接固定するために、開口62,64a〜iに通された後にタイトに引っ張られる。図5に描かれているライン60aの間隔を開けた配置は、解放可能なステッチの形状を明瞭に図示するためにすぎない。
【0031】
解放可能なステッチの好ましい実施例においては、ライン60aの第1の端部は、プッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側に配置されて第1のループ82aを画成している引き結び80の内側に配置される。引き結び80は、第1のループ82aとともに、ライン60aの短い端部83が作成されるように、望ましくはライン60aの一端の近傍に作成される。ライン60aの残りの部分は、相互に接続されたループとして配置され、以下に説明するような解放可能なステッチを作成する。
【0032】
ライン60aは、最も遠位側の開口62を通ってプッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側へと通過する。好ましくは、ライン60aは、開口64aを通ってプッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側へと通過する前に、心臓ハーネス42の一番上の列66aのワイヤの周りを通過する。したがって、ライン60aは、心臓ハーネス42の列66aをプッシュロッド40の内側を向いた表面40bに保持する固定部分84aを、開口62と64aとの間に作成する。
【0033】
プッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側に来ると、ライン60aは、第1のループ82aを通過するとともに第2のループ82bを形成するように整えられる。好ましくは、第2のループ82bは十分に大きく、隣接している次の開口64bを越えて通過するのに充分な距離だけプッシュロッド40の近位端に向かって延びる。次いで、ライン60aは、第1のループ82aおよび開口64aを通過して、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側に戻る。ライン60aは、心臓ハーネス42の第2の列66bのワイヤをプッシュロッド40に固定するための他の固定部分84bを作成する。
【0034】
好ましくは、これと同様な方法で、相互に接続されたループ82c〜82hが形成される。各ループ82c〜hは、プッシュロッド40の外側を向いた表面40aの側に配置されているとともに各固定部分84c〜84hに対応し、心臓ハーネス42の各列66c〜hの各ワイヤをプッシュロッド40の内側を向いた表面40bに固定する。好ましくは、ライン60aの各固定部分84a〜hが心臓ハーネス42の一つの列66a〜hをプッシュロッド40に固定するが、他の構成においては、ハーネス42の一列あるいは多くの列を一つの固定部分84a〜hによって固定することができる。さらに、図示の実施例においては、プッシュロッド40の一つの開口64が関連付けられたハーネス42の一つの列66に対応しているが、他の実施例においては、一つの列66が一つあるいはより多くの開口64および一つあるいはより多くの固定部分84に対応し得ることは理解されるべきである。
【0035】
この構成によると、心臓ハーネス42は、長手方向に間隔を開けた少なくとも2つの位置において各プッシュロッド40に固定される。図示の実施例においては、ハーネス42が長手方向に間隔を開けた8つの位置において各プッシュロッド40に固定され、あるいは心臓ハーネス42の8つの列66a〜hがそれぞれ各プッシュロッド40に固定される。
【0036】
好ましくは、最も近位側のあるいは保持のためのループ86aは、残りのループ82a〜hが時期尚早に解けること防止するように配置される。好ましい構成において、保持ループ86aは、上述したようなループ82a〜hの構成と同様に次の遠位側ループ82hを通過する。しかしながら、保持ループ86aは、プッシュロッド40に沿って制御組立体38へと近位方向に延びるのに充分な長さを有している。好ましくは、ループ86aは、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側へと最も低い開口64iを通過し、かつプッシュロッド40に沿って近位方向に延びる。制御組立体38の内側では、ループ86aが(図5に模式的に示した)保持ロッド68の周りで環状となっている。
【0037】
ライン60aの残りの端部100aは、保持ループ86aを形成した後に、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの側へとループ82hおよび開口64hを通過する。ライン60aの端部100aもまたプッシュロッド40に沿って近位方向に延び、保持ロッド68上に縛り付けられている。したがって、図示の構成においては、解放可能なステッチの解放は保持ロッド68の周りで環状となっている保持ループ86aと、保持ロッド68上に結ばれているライン60aの端部100との組合せによって防止される。保持ロッド68上に結ばれている状態を示したが、望ましくは、端部100は、以下により詳細に説明するように、保持ロッド68ではなくて制御組立体38の解放可能な部分上に縛り付けられる。
【0038】
他の構成においては、保持ループ86aは保持ロッド68の周りに環状ではなく、代わりの適切な構成によってその解放を防止することができる。例えば、相互に連結されたループ82a〜hの残りの部分とほぼ同じ寸法に保持ループ86aを形成し、かつ隣接するループ82hとプッシュロッド40の外側を向いた表面40aとの間に挟み込むことができることは予想し得る。このように、保持ループ86aは、外側を向いた表面40に対して保持ループ86aを保持する隣接したループ82hの摩擦力により、その解放が防止される。充分な引張力が端部100に負荷されると、保持ループ86aはループ82hおよび外側を向いた表面40aの摩擦力に打ち勝ち、開口64hを通して引き抜かれ、したがって解放可能なステッチの解放を可能とする。
【0039】
次に図6〜図9を参照すると、制御組立体38の好ましい実施例がより詳細に説明されている。上記のように、制御組立体38は、送給装置30の軸34に対して軸線方向に動くことができる。好ましくは、制御組立体38は、例えば摩擦ブレーキ組立体102のような位置保持構造を有する。摩擦ブレーキ組立体102は、軸34に対して制御組立体38を所望の位置に選択的に保持できるように構成されている。好ましくは、摩擦ブレーキ組立体102は、制御組立体38と同時に、装置30のユーザの片方の手によって容易に動かすことができるように構成される。
【0040】
図6および図9を詳細に参照すると、図示されている摩擦ブレーキ組立体102は、ブレーキ要素104と、ばね106のような付勢部材とを有している。このブレーキ要素104は、軸34を取り囲んでいる環状の中央部分104aを有している。互いに対向している端部104b、104cは、中央部分104aから実質的に反対方向へと外側に延びている。第1の端部104bは、好ましくはピン110によって、制御組立体38のチャンネル(通路)108内に保持されている。このピン110は、制御組立体38のキャビティ(図示せず)内において、チャンネル108の各側面上に支持されている。したがって、このブレーキ要素104は、概ねピン110の外側表面の回りに揺動可能である。
【0041】
ばね106は、キャビティ111の内側に保持され、ブレーキ要素104の第2の端部104cを制御組立体38から離間するように付勢するべく配置されている。好ましくは、ばね106は、制御組立体38を軸34に対して所望の位置に固定するべく、中央部分104aの内径を画成している表面が軸34と摩擦接触するようにブレーキ要素104を付勢する。ブレーキ要素104を軸34から分離して制御組立体38と軸34との間の相対運動を可能にするために、制御組立体38に向かって端部104cを押すことにより、ブレーキ要素104を制御組立体38の方へ揺動させることができる。他の実施形態においては、そのような2つのブレーキ要素104が設けられる。しかしながら、各ブレーキ要素は、反対方向へ揺動するようにその向きが定められる。そのように、一方のブレーキ要素が組立体の軸に対する遠位側への移動を良好に防止し、かつ他方のブレーキ要素が組立体の軸に対する近位側への移動を良好に防止する。
【0042】
図6および図8を詳細に参照すると、制御組立体38は、好ましくは、実質的に円柱状の本体部分112を有している。全体として参照符号114によって示されている、複数の通路が、制御組立体38の本体部分112を通って軸線方向に延びている。図示の実施例においては、これらの通路114は、その形状が実質的に円柱状であり、かつ軸34と同軸な円形な構成で等しく分配されている。好ましくは、通路114は、ハウジング36に形成されて対応しているチャンネル50と芯合わせされている。
【0043】
カバー116が本体部分112の近位端に固定されている。このカバー116は、通路114およびキャビティ111の近位端を閉鎖している。ネジ118のような複数の締結具が本体部分112の対応するねじ孔120(図7a)と螺合し、カバー116を本体部分112に固定している。
【0044】
図7aも参照すると、好ましい実施例において、本体部分112は、参照符号114a〜114fによって具体的に示されている6つの通路114を有している。便宜上、これらの通路114a〜114fは、本願明細書においては図7a〜cに示したようなそれらの相対位置によって参照される。このように、通路114aおよび114fは上側の組の通路を構成し、通路114bおよび114eは中央の組の通路を構成し、かつ通路114cおよび114dは下側の組の通路を構成している。通路114aは、図7aおよび図7bにおいて軸34の中心を通過している垂直軸Avの右側に配置されている。残りの通路114b〜114fは、時計回り方向に等しく間隔を開けた関係で分配されている。
【0045】
図7aおよび図8を詳細に参照すると、上述した通路114a〜fのそれぞれは、プッシュロッド40のうちの一つの近位端を受け入れるように構成されている。プッシュロッド40は、プッシュロッド40の開口(図示せず)を通過する軸150によって各通路114a〜f内に固定され、かつ制御組立体38の本体部分112によって支持されている。したがって、上述したように、プッシュロッド40は、制御組立体38に対してその軸線方向の動きが固定されている。
【0046】
図示の実施例において、プッシュロッドは、それらの各内側表面40aが軸34の中心軸の接線方向に配置された通路114a〜fの概ね中心に支持されている。加えて、図10も参照すると、各プッシュロッド40の中心部40cは、内側を向いた表面40aが凹部152を画成するように、その断面形状が略半円形である。好ましくは、凹部152は、図5に関連して上述したように、それぞれライン60a〜fの一つを収容するように構成されている。図10に示したように、ライン60aは、図5に関連して上述した如く、保持ループ86aおよび自由端100aを有している。
【0047】
次に図7a〜cを参照すると、全般的に参照符号122によって示されている複数のチャンネル(通路)が、制御組立体38の本体部分112の基端側の表面によって画成されている。各チャンネル122は、以下により詳細に説明するように、通路114a〜114fのうちの2つを相互に接続し、かつライン60aのような1つ若しくは複数のラインの一部を収容するように構成されている。具体的には、好ましい構成において、第1のチャンネル122aは、垂直軸Avと概ね平行に延び、通路114aと114cを相互に接続する。同様に、第2のチャンネル122bはチャンネル122aと略平行に延び、通路114dと114fを相互に接続する。第3および第4のチャンネル122c、122dは、それぞれ通路114aと114bおよび通路114bと114cを相互に接続する。同様に、第5および第6のチャンネル122e、122fは、それぞれ通路114fと114eおよび通路114eと114dを相互に接続する。
【0048】
好ましくは、各経路122a〜fは、それらが相互接続する通路114の中心と交差するように配置されている。チャンネル122a、122cおよび122dは、垂直軸Avの右側に三角形を形成している。チャンネル122b、122eおよび122fは垂直軸Avの左側に三角形を形成しているが、その形状はチャンネル122a、122cおよび122dによって画成される三角形の鏡像である。
【0049】
追加のチャンネル(通路)134は、図7a〜cに示したように、通路114aおよび114fを相互に接続するとともに、水平軸AHと概ね平行な方向に延びている。チャンネル134は、本体部分112の近位側の表面によって画成されるとともに、好ましくは幅および深さの両方においてチャンネル122a〜fより実質的に大きい。チャンネル134は、通路114a、114fの直径の約半分の幅を有するとともに、その断面形状は半円形である。望ましくは、チャンネル134は、通路114a、114fのほぼ中心を通過する。
【0050】
制御組立体38はまた、好ましくは解放可能なステッチを選択的に解放し、それによって心臓ハーネス42を送給装置30から解放するするように構成された、解放部材136を有している。図9も参照すると、解放部材136の一部は、好ましくは、チャンネル134とは水平軸AHの反対側に配置された、本体部分112のキャビティ137内に受け入れられている。キャビティ137は、カバー116の遠位側の表面の対応する部分と共に(図6を参照)、解放部材136の一部を支持する支持表面138を画成している。
【0051】
望ましくは、図5に模式的に示されている保持ロッド68は、図7a〜cおよび図9に示したように解放部材136の部分である一組のロッド68a,bから構成されている。ロッド68a,bの組は、解放部材136から外側(図7a〜cにおいては垂直に描かれている)に延びるとともに、制御組立体38の本体部分112の内側に形成された対応している内孔139にスライド自在に受け入れられる。好ましくは、内孔139は、垂直軸Avの両側に間隔を開けて配置される。ロッド68a、bは、好ましくは、その遠位端部が経路134を通過するように十分に長い。
【0052】
解放部材136は、本体部分112から離れて外側の方向に延びる引張部分140を画成している。引張部分140は、送給装置30のユーザが、引張部分140によって画成される孔を通って延びる1つ若しくは複数の指によって解放部材136をつかむことができるように、その形状が好ましくは略環状である。装置30のユーザが、解放部材136をつかんで本体部分112から離れる方向に引っ張ることを可能にする、例えば、引張りタブを設けるといった、他の適切な構造もまた用いることができることは理解されるべきである。
【0053】
解放部材136はまた、好ましくは、その内側を向く表面144から内側に延びる台形に形作られたキャビティ142を有している。キャビティ142は、好ましくは、通路114cおよび114dの閉鎖を回避するべく寸法決めされかつ形作られている。
【0054】
解放部材136は、好ましくは、キャビティ142の壁から本体部分112に向かって延びる取付部分146を有する。この取付部分146は、好ましくは、図7bおよび図9に示されている如く、取付部分146と本体部分112の支持表面138との間にスペース147が配設されるように配置される。図9に詳しく示されているように、取付部分146は、好ましくは、解放部材136と同じ厚みではなく、望ましくは、解放部材136の厚みの約1/4あるいはそれ以下である。図9に詳しく示されているように、取付部分146の上側表面149は、好ましくは、本体部分112の支持表面138から隙間147が開いている。
【0055】
図7a〜cおよび図8を再び参照すると、取付部分146は、好ましくは、軸34の縦軸と略平行な方向にそこを貫通して延びる複数の孔148を有している。図示の実施例においては、6つの孔148があり、1つの孔148がそれぞれ通路114a〜fに対応している。
【0056】
図7bを詳細に参照すると、ライン60の自由端100は、好ましくは、取付部分146の対応する孔148に結びつけられている。より具体的な実施例として、ライン60aの自由端100aは、対応するロッド40に沿って下方に延びて(図10を参照)通路114aに入り、そこから経路122aおよびキャビティ142内に向けられる。次いで、自由端100aは、取付部分146の穴148の一つに結び付けられる。このように、ライン60aの自由端100aは解放部材136に取り付けられている。
【0057】
ライン60aの保持ループ86a部分もまた、対応するロッド40(図10を参照)に沿って通路114a内へと下方に延びている。ループ86aは、通路114aからチャンネル134内に向けられ、解放部材136の最も右側のロッド68aの周りに巻きつけられている。ロッド68aの周りに保持ループ86aを巻きつけることはループ86aを固定し、したがってライン60aの解放を防止する。保持ループ86aは、図10に示したように実際にはラインの2つの部分から成っているが、図示における便宜上、図7bにおいては単一のラインとして示されていることに注意されたい。これは、より見やすい図面を提示するためになされている。
【0058】
他の自由端100b〜fおよび保持ループ86b〜fは、装置におけるそれらの位置のためにカスタマイズされてはいるが、好ましくは同様に整えられる。例えば、自由端100bは、通路114bからチャンネル122dを通ってキャビティ142内へと延び、穴148に取り付けられている。自由端100cは、通路114cからキャビティ142内へ直接導かれ、穴148に取り付けられている。自由端100dもまた、通路114bからキャビティ142内へと直接延び、穴148に取り付けられている。自由端100eは、通路114eからチャンネル122fを通ってキャビティ142内へと延び、穴148に取り付けられている。自由端100fは、通路114fからチャンネル122bを通ってキャビティ142内へと延び、穴148に取り付けられている。
【0059】
保持ループ86に関しては、保持ループ86bは、通路114bからチャンネル134を通ってチャンネル122c内に延び、右側のロッド68aの周りに巻きつけられている。ループ86cは、通路114cからチャンネル122aを通ってチャンネル134内へと延びて、右側のロッド68aの周りに巻きつけられている。保持ループ86dは、通路114dからチャンネル122bを通ってチャンネル134内へと延び、左側のロッド68bの周りに巻き付けられている。保持ループ86eは、通路114eを出てチャンネル122eを通りチャンネル134内へと延び、左側のロッド68bの周りに巻き付けられている。保持ループ86fは、通路114fからチャンネル134内へと延びて、左側のロッド68bの周りに巻き付けられている。
【0060】
解放部材136は、作動の際に、ループ86a〜fを解放し、プッシュロッド40からライン60a〜fを解き、それによってプッシュロッド40から心臓ハーネス42を解放するように構成されている。より詳しくは、図7cを参照すると、解放部材136が制御組立体38の本体112から引き抜かれると、保持ループ86a〜fがロッド68a〜bから解放されるように、ロッド68a〜bもまたチャンネル134を通って引っ張られる。同時に、ライン60aの自由端100a〜fが取付部分146の孔148の一つに結ばれていることにより、解放部材136は自由端100a〜fを引っ張る。保持ループ86a〜fがロッド68a〜bから解放されているので、図1a〜図1cに関連して以下により詳細に説明するように、自由端100a〜fを引張るとライン60a〜fが解け、それによってプッシュロッド40から心臓ハーネス42を解放することになる。
【0061】
図11a〜図11cは、ライン60aからなる解放可能なステッチが解ける好ましい順序を図示している。さらに図5を参照すると、上述したように、解放可能なステッチが固定されている状態においては、好ましくは、保持ループ86aは解放部材136のロッド68の周りに巻き付けられて、ステッチが解けることを防止している。しかしながら、保持ループ86aを解放するためにロッド68を引き抜き、かつ自由端100aが解放部材136によって引っ張られると、保持ループ86aは自由端100aによりループ82hを通して引っ張られる。
【0062】
図11aに戻ると、解放部材136が制御組立体38の本体部分112から離れるように引っ張り続けられるので、ループ82hは、上述したのと同様にループ82gを通って引っ張られる。図11bを参照すると、自由端100aが引っ張り続けられるので、連続したループ82g、82f、82e、82d、82c、82b、82aはそれぞれ、その遠位側に隣接するループを通してて引っ張られる。図11bにおいて、ループ82eがループ82dを通して引っ張られている状態で示されている。その後、ループ82dはループ82cを通して引っ張られ、それからループ82bを通して引っ張られる。最終的に、ループ82bは、図12cに示されているように、最初のループ82aを通して最後に引っ張られる。
【0063】
最初のループ82aは、好ましくは引き結び80から成り、好ましくは完全にそれ自身が解けるとともに最も遠位側の開口62を通して引っ張られると、心臓ハーネス42をプッシュロッド40から解放する。これと同様に、ライン60b〜fの残りの部分もまた解放部材136に固定されているので、好ましくは、心臓ハーネス42は複数のプッシュロッド40のそれぞれから解放される。
【0064】
次に図12を参照すると、複数のプッシュロッド40の一つの遠位端が断面で示されている。上述したように、プッシュロッド40は、軸34の中心軸を向いている内側を向いた表面40b、および軸34の中心軸から離れる側を向いている外側を向いた表面40aを有している。したがって、作動の際には、各プッシュロッド40の内側表面40bは、心臓ハーネス42に隣接して、好ましくは接触して配設される。
【0065】
プッシュロッド40の遠位端は、好ましい構成においては、軸34の中心軸から離れてるように外側に傾斜をつけられたチップ部154を有している。したがって、チップ部154の内側表面40bは、プッシュロッド40の残りの部分の内側表面40bから延びている線156に関して角度θを定める。好ましい実施例においては、角度θは5〜60度であり、より好ましくは10〜45度である。最も好ましくは、この角度は約15〜35度である。
【0066】
この分野における当業者によって理解されるように、好ましくは、弛緩した状態においては内側表面40bは概ね平面であるが、プッシュロッド40は、使用の際に患者の心臓の外側表面に追従するように、ハウジング36の遠位端から外側に広がるように偏向可能に構成される。したがって、プッシュロッド40は、その内側表面40bが必然的に平面であるように常に整えられるわけではない。しかしながら、プッシュロッド40が広げられた状態にあるときには、表面40b上の任意の点は、その点よりも近位側にある表面40b上の任意の点に対して、好ましくは軸34の中心軸から垂直方向に等しい距離、あるいはより大きな距離にある。すなわち、好ましくは、内側を向いた表面40bは、プッシュロッド40の近位端から遠位端の方へ移動するときに内側に向かって延びる部分を全く有していない。
【0067】
操作する際に、心臓ハーネス42が患者の心臓上に配置されると、複数のプッシュロッド40もまた心臓ハーネス42から引っ込めるように、制御組立体38は軸34に対して引っ込められる。送給装置30を引き込めると、内側表面40bと心臓ハーネス42との間に相対運動が生じる。すなわち、プッシュロッド40の内側表面40bは、図12中に矢印で示されている引き込み方向WDの引込経路に沿って、心臓ハーネス42に沿って滑動する。
【0068】
好ましくは、心臓ハーネス42に対してプッシュロッド40が滑動するときに、心臓上のその位置から心臓ハーネス42を引きずる傾向がある力が内側表面40bによって負荷されないように、先端部154には角度が付けられている。すなわち、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bの構造は、引込経路と平行で内側表面40bによって心臓ハーネス42上に負荷される力に由来する非摩擦性の力の成分が、近位側に向けられる実質的に非摩擦性の力の成分なしに、遠位側あるいは引込め方向WDに向けられるようなものとなっている。有利には、心臓ハーネス42が心臓上に適切に配置されると、プッシュロッド40の後退はハーネス42の位置決めを邪魔しない。
【0069】
次に図13〜図17を参照すると、導入器組立体160は、送給装置30の心臓へのアクセスを可能にするアクセス開口を患者の心臓心膜に作成することを助ける。図示の実施例においては、導入器組立体160は、導入器スリーブ162および拡張器スリーブ164を有している。
【0070】
図13を詳細に参照すると、導入器スリーブ162は、好ましくは壁の薄い、実質的に円形の断面形状を有した管状要素である。スリーブ162の遠位端163は、スリーブ162の軸線Asから外側に付勢された、複数のラッパ状に広がる部分165から構成されている。図示の実施例においては、スリーブ162の一部がいくつかの細長い条片166に分離されている。好ましくは、細長い条片166は互いに間隔を開けられている。好ましい構成においては、導入器スリーブ162の長さの最も遠位側の約2/3は、間隔が開けられた細長い条片166に分離される。好ましくは、6つのそのような条片166が設けられる。しかしながら、他の適切な数の条片もまた用いることができる。
【0071】
続けて図13を参照すると、各条片の遠位端において、ラッパ状に広がる部分165が概ね外側に付勢されることを除いては、好ましくは、条片166がスリーブの軸線と概ね平行に延びる。好ましくは、条片166は、移行部分167において曲がり、条片の概ね真っ直ぐな部分からラッパ状に広がる部分165へと移行する。図示の実施例においては、ラッパ状に広げられた部分165はまた、長手方向の軸線Asをほぼ横切る方向にもある程度は延びている。
【0072】
好ましくは、弾性リング168のような弾性環状部材が、細長い条片166の移行部分167あるいはそこに隣接して、導入器スリーブ162の遠位端163に向けて配置される。望ましくは、この弾性リング168は、以下により詳細に説明するように、導入器スリーブ162の心膜切開部分への挿入を容易にするべく操作可能な縮径部へと、条片166を付勢するように構成される。
【0073】
図14を詳細に参照すると、拡張器スリーブ164は、好ましくは、壁の薄い断面形状が実質的に円形な管状部材である。拡張器スリーブ164の外径は、導入器スリーブ162の内径よりわずかに小さく構成される。したがって、図15に示したように、拡張器スリーブ164は導入器スリーブ162の内側へとスライド自在に挿入することができる。拡張器スリーブ164はまた、その最も近位側の端部上に、導入器スリーブ162の内側への挿入を制限するための大径部分170を有することができる。さらに、拡張器スリーブ164には、導入器スリーブ162に係脱自在に係合できるように係脱自在なロックシステムを設けることができる。
【0074】
図15に示した組立状態においては、スリーブ164は導入器スリーブ162の縮径部の内側表面を押圧し、弾性リング168によって与えられる付勢力に抗して縮径部を外側に押動する。したがって、組立状態においては、導入器スリーブ162の縮径部は拡径され、導入器組立体160は送給装置30のためのアクセス経路をもたらすように構成される。好ましくは、スリーブ164の内径は、スリーブ164を通して装置を前進させることができるように、送給装置30の外径よりもきい。
【0075】
図16は、心膜174の内側に封じ込められた人間の心臓172を示している。心膜174の内側への送給装置30の導入を可能とするために、好ましくは、心臓の頂部に隣接させて小さな切開部分176を心膜174に形成する。次に図17を参照すると、導入器スリーブ162は、収縮した状態で切開部分176を介して導入される。実際には、導入器スリーブ162の遠位端の一方の側を最初に切開部分176に挿入され、次いで残りの側を挿入する。
【0076】
次に図18を参照すると、導入器スリーブ162のラッパ状に広がる部分165がスリット176を通って前進したときに、拡張器スリーブ164が導入器スリーブ162の内側に導入されて、導入器スリーブ162をその拡径形状へと付勢する。この構成においては、ラッパ状に広がる部分165は、導入器スリーブ162の残りの部分の直径より大きく、好ましくは切開部分176の寸法より大きい直径へと拡大される。このように、ラッパ状に広がる部分165は、切開部分176および心膜の周囲の部分を押し開いて、少なくとも心膜の一部と心臓との間にスペースを生じさせる。さらに、ラッパ状に広がる部分165は、導入器が切開部分176の外側に引き出されることを阻止するための係止機構として機能する。したがって、導入器組立体160は、心臓172と心膜174との間の所定位置に効果的に係止される。
【0077】
拡張器スリーブ164が導入器スリーブ162を拡大させるので、送給装置30がそこおよび心膜を通って前進することを可能とするアクセス経路が生成される。送給装置30は、心臓172上へと心臓ハーネス42を供給するためにこの経路を通って前進する。手技が完了すると、送給装置30はアクセス経路を介して引き込められ、かつ導入器組立体160は挿入時とは概ね逆の順序で取り除かれる。
【0078】
上述したように、追加の実施例においては、ハウジング36は略楕円である。さらに他の実施例においては、導入器スリーブ162および拡張器スリーブ164もまた長軸および短軸を有した楕円であることは理解されるべきである。さらに、これらの部品は、それぞれ任意の所望の断面形状を有することができる。このように、これらの部品は、最小限に侵襲性の外科的な挿入経路の所望のタイプあるいは形状に合わせてカスタマイズされた形状を有することができる。
【0079】
図19〜図23は、心臓172上に心臓ハーネス42を送給するために、好ましくは実質的に上述した通りに構成された送給装置30の使用を示している。好ましくは、送給装置30は、心臓172の場所を見つけて掴み、心臓ハーネス42を心臓172上に正確に配置し、かつ心臓ハーネス42の位置を乱すことなく送給装置30を引き出せるように構成されている。
【0080】
図19を参照すると、好ましくは、送給装置30の吸着カップ52は、図19〜図23に模式的に示されている心臓172の頂端部分180と係合する。送給装置30の遠位端は、任意の適切な方法、好ましくは、図16〜図18に関連して説明したような最小限に侵襲性の手技によって心臓172にアクセスすることができる。図19〜図23においては、図示を容易にするために心膜174(図16)が省略されている。
【0081】
注射器182のようなポンプ装置が、コネクタ58を介してホース54に接続される。望ましくは、この注射器182は、そのプランジャ184が圧縮された状態でホース54に接続される。接続されると、このプランジャ184は(図19に矢印185で示したように)引き抜かれ、ホース54の内側、したがって吸引カップ部材52の内面によって画成されているスペース内に負圧状態を生成する。負圧状態により、吸着カップ部材52は、送給装置30に対して所望の位置に心臓172が保持されるように頂部180を掴む。
【0082】
好ましくは、コネクタ58は、注射器からコネクタ58を介してチューブ54へと空気が流れることを防止するように構成された一方向弁59を有している。したがって、負圧状態が生成されると、注射器182をチューブ54から取り除くことができる。その単純さおよび低コストにより、ポンプ部材としては注射器182が好ましいが、当業者が理解するように、チューブ54の内側に負圧を生成するために他の適切なポンプ装置を用いることもできる。
【0083】
次に図20を参照すると、送給装置30が心臓172のベース部180に適切に固定されると、制御組立体38は、図20に矢印186で示したように、心臓172に向けて軸34に対し前進させることができる。複数のプッシュロッド40が制御組立体38と共に心臓172に向けて前進すると、それによって心臓ハーネス42は、図20中に矢印190で示したように、ハウジング36内で圧縮された状態から心臓172上へと頂部180からベース部188の方向に前進する。図示のように、ハーネス42は、好ましくは弾性的に伸張して心臓に外嵌する。しかしながら、実質的に非弾性のハーネスの実施例もまた、この装置および方法によって送給できることは理解されるべきである。
【0084】
図20に示したように、複数のプッシュロッド40は、それらが送給装置30の軸34に対して前進させられると、心臓172の形状に一致するべく外側に広がる。上述したように、好ましくは、先端部154と心臓172との接触を回避し、それによって心臓172の損傷を防止するように、プッシュロッド40の先端部154には、プッシュロッド40の残りの部分に対して外向き角度θの傾斜が付けられている。
【0085】
図21を参照すると、心臓ハーネス42が心臓172上に適切に配置されるまで、制御組立体38は前進し続ける。心臓ハーネス42が適切に配置されると、解放部材136は、矢印192で示したように、制御組立体38の本体部分112から離れるように引っ張られる。したがって、心臓ハーネス42は、好ましくは図11a〜cを参照して上述したのと同様に、複数のプッシュロッド40から解放される。
【0086】
図22を参照すると、心臓ハーネス42が複数のプッシュロッド40から解放されると、概ね弾性的なハーネスは、好ましくは心臓上へと収縮する。次いで、制御組立体38は、心臓172上に残っている心臓ハーネス42から複数のプッシュロッド40を引き抜くために、軸34に対して引っ込められる。上記したように、プッシュロッド40は、好ましくは、プッシュロッド40を引き抜いても心臓172上における所望の位置から心臓ハーネス42を引っ張ることがないように構成されている。具体的には、図示の実施例において、複数のプッシュロッド40の外側に傾斜を付けられた先端部154が、プッシュロッド40の心臓ハーネス42上への引張力の負荷防止を助けている。
【0087】
図23を参照すると、複数のプッシュロッドが心臓ハーネス42および心臓172から完全に引き抜かれると、コネクタ58の一方向弁59を開いてチューブ54内の負圧状態を解放することができる。その結果、吸着カップ部材52がもはや心臓172を掴まないので、図23中に矢印194で示したように、送給装置30を心臓172から取り除くことができる。したがって、送給装置30は、心臓ハーネス42を所定の位置に残したまま心臓から引き抜かれる。
【0088】
上述したように、送給装置30は、間隔を開けたいくつかの位置で心臓ハーネス42を保持する。このように、この装置は分散状態でハーネス42を保持する。分散された保持のために、この装置は、上述したようにハーネス42を前進させるために用いることができるとともに、実質的にハーネス42を変形させることなしにハーネスの位置決めおよび方向の調整に用いることもできる。例えば、所望の位置よりも遠位側にハーネスが前進した場合、心臓に対するハーネスの位置を良好に調整するべく、制御組立体38を近位側に引っ張ることができる。装置30とハーネス42との間の分散された保持のために、ハーネスは、それ自身の上への折り重なりといった実質的な変形なしに、所望通りに近位側に移動する。さらに、他の実施例においては、ハーネスを実質的に変形させることなしに、ハーネスの位置を遠位側および近位側ばかりでなく回転方向にも調整することができる。
【0089】
この送給装置30は、最小限に侵襲性の送給手技に特に適しているが、この装置30はまた、心臓172へのアクセスをもたらすために患者の胸骨を分割する胸部開放手技にも用いることができる。したがって、この送給装置30は、図13〜図18に示した供給構造の有無にかかわらず用いることができる。それに加えて、本願明細書において説明した装置30は、複数のプッシュロッド40を用いるが、心臓上へと前進させるときに心臓ハーネス40を支持するための支持構造として、他の適切な構造もまた用いることができる。例えば、拡張可能なスリーブが支持構造の役割を果たすことができる。さらにまた、心臓ハーネス42は、本願明細書に説明したような解放可能なステッチにより、あるいは同様に解放可能なステッチ構造により、拡張しあるいは実質的に拡張した状態で、様々な支持構造に着脱自在に支持することができることは理解されるべきである。
【0090】
次に図24〜図27を参照すると、心臓ハーネス装着装置200の実施例が図示されている。この装着装置200は、心臓ハーネス42をプッシュロッド40に固定できるように、複数のプッシュロッド40を外側に広がった状態で支持するべく、送給装置30と協働するように構成されている。この装着装置200はまた、送給装置30のハウジング36内に挿入できるようにするために、心臓ハーネス42を拡張しあるいは静止した状態から圧縮された形状へと付勢することを助けるために有用である。
【0091】
図示の装着装置200は、略円筒状の下側部分204から上方へと延びる円錐形の上側部分202を有した、略漏斗状に形作られている。下側部分204は、送給装置30の遠位端、より具体的には吸着カップ部材52を受け入れるように構成されたポケット206を有している。しかしながら、好ましい実施例においては、ハーネスを装着する間には吸着カップが取り除かれ、ハーネスの装着が終了した後に取り付けられる。
【0092】
好ましくは、装着装置200は、薄肉の中空部材であり、図示の実施例においては、一組のピン留めフランジ205a,205bによって互いに接続された一組の鏡像対称な半分200a,200b(図26)から製作されている。すなわち、ピン207は、各フランジ205a,205bの内側で各半分200a、200bを通って延びているキャビティを通って延び、それによって各半分200a,200bを互いに固定している。半分200a,200bは、任意の方法で接続できることは理解されるべきである。追加の実施例においては、この装着装置は単一の部材から構成される。
【0093】
図25および図26を詳細に参照すると、複数のチャンネル(通路)208が、好ましくはポケット206から上方へと延びて、円錐形の上側部分202の開いた上端部に終端している。望ましくは、各チャンネル208は、複数のプッシュロッド40の一つを受け入れるように形作られ、好ましくは、プッシュロッド40の形状に対して略相補的に形作られる。したがって、望ましくは、設けられているチャンネル208の数は、送給装置30におけるプッシュロッド40の数に等しい。したがって、各チャンネル208は、複数のプッシュロッド40の一つを受け入れるとともに、心臓ハーネス42をそれに対して着脱自在に固定できるように、適切に広げた状態に配置するべく構成される。
【0094】
各チャンネル208の下側部分208aは、この装置30の遠位端が装着装置200のポケット206内に配置されたときに、好ましくは送給装置30の中心軸と実質的に平行である。装着装置200の上側部分202に対応している、チャンネル208の上側部分208bは、好ましくは下側部分208aに対して外側方向に広げられる。したがって、チャンネル208の上側部分208bの中に受け入れられると、プッシュロッド40は、好ましくは、プッシュロッド40が心臓の上に配置されたときを想定した状態と同様に広げられた形状へとその向きが定められる。
【0095】
望ましくは、この装着装置200は、チャンネル208の各上側部分208bの細長い部分に対応している複数の切り出し部分210を有している。好ましくは、切り出し部分210は、この装着装置200の外側表面に配設され、チャンネル208の上側部分208b内に配設された(図27を参照)プッシュロッド40の細長い部分を露出させる。加えて、好ましくは、チャンネル208の全体が、装着装置200の内側表面に向かって開いている。望ましくは、切り出し部分210は、プッシュロッド40のうち貫通開口62、64a〜iが設けられている(図5)部分に対応している。このように、装着装置200は、心臓ハーネス42を解放可能なステッチによって各プッシュロッド40に着脱自在に固定することができるように、露出している貫通開口62,64a〜iによってプッシュロッド40を広げられた状態に固定する。
【0096】
図27は、プッシュロッド40と共にかつそれに隣接して装着装置200に配設された心臓ハーネス42を示している。図示した構成においては、ハーネス42はプッシュロッド40への固定の準備ができている。
【0097】
次に図28a〜cを参照すると、ライン60aから解放可能なステッチを作成する好ましい方法が示されている。図28aを参照すると、心臓ハーネス42は、好ましくは、ハーネス42の最も上側の列66aがプッシュロッド40の貫通孔62と64aの間あるいは最も上の2つの貫通孔の間に位置決めされるように、プッシュロッド40に対して位置決めされる。ライン60aは、プッシュロッド40の内側を向いた表面40bに沿って上方に通されて、ライン60aとプッシュロッド40の表面40bとの間に心臓ハーネス42を位置決めする。ライン60aの上端部は、貫通孔62に通されて、好ましくは、引き結び80に形成され、解放可能なステッチの最初のループ82aを形成する。
【0098】
図28cを参照すると、好ましくは、フックのような器具220がループ82aに通され、心臓ハーネス42の上側の列66aの下方でライン60aの一部を掴んでいる。ライン60aは、貫通穴64aおよび最初のループ82を通して引っ張られ、心臓ハーネス42の上側の列66aをプッシュロッド40固定する。図28cを参照すると、ライン60aはさらにループ82aを通して引っ張られ、第2のループ82bを作成する。この工程は、各列66a〜hが複数のプッシュロッド40のそれぞれに固定されるまで、反復される。再び図5を参照すると、最後のループあるいは保持ループ86aは、好ましくは、前述したように解放部材136のロッド68aによって保持される。加えて、好ましくは、ライン60aの端部100aは、同じく上述したように解放部材136に結びつけられる。
【0099】
再び図27を参照する。心臓ハーネス42が各プッシュロッド40に着脱自在に固定されると、制御組立体38は軸34に対して引込められてプッシュロッド40を引き込み、したがって(図2に示したように)心臓ハーネス42を圧縮された形状で送給装置30のハウジング36内に格納する。上述したように、上側部分202の漏斗状の形状および装着装置200の下側部分204の円筒形状が、心臓ハーネス42の展開された形状から圧縮された形状への押動を助ける。
【0100】
次に図29〜図32を参照すると、制御組立体238および関連するプッシュロッド240の他の実施例が示されている。図示した実施例において、制御組立体238は、本体部分242と、軸34上で軸線方向にスライドするように構成されたハンドル部分244とを有している。
【0101】
図29を詳細に参照すると、本体部分242は、第1および第2の摩擦ブレーキ組立体246、248を有している。好ましくは、各摩擦ブレーキ組立体246、248は、図6〜図9に関連して上述した組立体102と同様に構成される。しかしながら、第1のブレーキ組立体246におけるブレーキ要素104部分の揺動方向および配向は、第2のブレーキ組立体248におけるそのような配向とは反対である。このように、制御組立体238の軸34上における遠位側あるいは近位側の方向の軸線方向運動は、第1あるいは第2のブレーキ組立体246、248を選択的に係合させることによって選択的に阻止することができる。
【0102】
図30〜図32を詳細に参照すると、細長いプッシュロッド240は、それを貫通して延びる複数の貫通孔あるいは開口262、264を有している。プッシュロッド240は、図5に関連して上述し、かつ図33に関連して次述するように、解放可能なステッチを受け入れるように構成されている。好ましくは、プッシュロッドはX線不透性物質から構成される。
【0103】
図31をより詳細に参照すると、プッシュロッド240の遠位側の先端部分249は、概ね円筒形状の非外傷性チップ部260を有している。しかしながら、この非外傷性の先端部分260は、組織に孔をあけ、傷つけ、あるいは外傷を与える可能性を最小化するために、いくつかの異なる方法で形作ることができることは理解されるべきである。
例えば、先端部は、折りたたみ、概ね涙滴形状に形作り、あるいは概ね円柱状とすることができる。
【0104】
次に図30および図32を詳細に参照すると、プッシュロッド240の近位側領域266は、ロッド240の背骨271に取り付けられた複数の肋骨270を有している。肋骨270は、外側に延びて、近位側領域266におけるロッドの剛性を高める機能を果たしている。細長い通路272は、肋骨の間に形成され、そこを通って延びるライン60aを収容するように構成されているライン経路272を画成している。肋骨270は、近位側領域266においてプッシュロッド240の剛性を高めている。このように、プッシュロッド240は、近位側領域266におけるよりも遠位側領域273において柔軟である。その長さに沿ってプッシュロッドの柔軟性をさらに変化させるために、他の実施例において、さらに他の構造あるいは材料を戦略的に用い得ることは理解されるべきである。
【0105】
図示した実施例において、肋骨270は、プッシュロッド240の近位端274へとずっとは延びていない。近位端あるいはその近傍においては、一組の切欠き276がプッシュロッドの両側に形成されている。
【0106】
再び図29および図30を参照すると、一連の通路250が制御組立体238の本体242に形成されている。各通路250は、ロッド部分252およびライン部分254を有している。ロッド部分256は、各プッシュロッド240の近位端274が通路250のロッド部分252に嵌合するように構成されている。ライン部分254は、取り付けられたプッシュロッド240の肋骨210の間においてライン経路272と概ね位置合わせされており、したがって制御組立体238内へと移動するライン60aに通路を提供する。各ロッド通路に対応した一組のピン通路256が制御組立体に形成されている。ピン通路256は、各プッシュロッド240の近位端274にある切欠き276と概ね位置合わせされるように構成されている。制御組立体238の所定位置にプッシュロッド240を支持するために、ロックピン258(図34を参照)がピン通路256におよび切欠き276に挿入されている。
【0107】
次に図33を参照すると、ハーネス42をプッシュロッド40上に着脱自在に保持するための他の構成が示されている。この実施例は、図5に関連して上述した実施例と全く類似している。すなわち、心臓ハーネス42の列66a〜hを係合させかつ固定してプッシュロッド40上にハーネスを固定するために、ライン60aの固定部分84a〜hを作成するべく、相互に連結されたいくつかのループ82a〜hが配置されている。図示した実施例において、最も近位側のループは、フリーループ280と呼ばれ、最も近位側の貫通孔64iの近位側においてプッシュロッド40の外側表面40aに沿って延びている。ライン60aの保持ループ部分282は、プッシュロッド40の内側表面40bから孔64iを通って延びて、フリーループ280の周りに巻き付けられている。保持ループ282からは、ライン60aの端部100aが解放部材68へと延びている。ライン60aにおける張力が所定の場所にフリーループ280を保持し、かつ摩擦力は、解放可能なステッチを解放するためにフリーループ280が保持ループ282を通して引張られることに抵抗している。さらに、この構成においては、ライン60aのみが、ライン経路272を通って制御組立体38あるいは238内へと引っ張られる。
【0108】
引き続いて図33を参照すると、ハーネス42が患者の心臓上の所定位置に達すると、ライン60aを引っ張るために解放部材68を作動させる。このように、保持ループ282が自由なループ280に係合して引っ張る。ループ280,282の間のこの相互作用は摩擦抵抗を作り出す。しかしながら、臨床医が引張り続けると、摩擦抵抗が上回って保持ループ282はフリーループ280から分離され、図11a〜c参照して上述したのと同様に、解放可能なステッチが解放される。
【0109】
図示した実施例において、プッシュロッド40は、図5に示したプッシュロッド40と似ている。たった今議論した実施例は、図30〜図32に示したようなプッシュロッド240あるいは任意の適切なプッシュロッドに関連させて、用い得ることは理解されるべきである。
【0110】
次に図34を参照すると、図29の制御組立体238の内側が示されている。この実施例においては、図33のラインおよびステッチの構成が用いられている。このように、単一のライン100aが各プッシュロッド240から制御組立体238へと延びており、制御組立体238にはループは延びていない。各ライン100a〜fの端部は、解放部材268上に結び付けられている。図34に示したように、チャンネル284a,b、286a、bは、各ライン100a〜fを収容するために、各制御組立体のライン通路部分の間を解放部材268へと延びている。各プッシュロッド240に関連しているライン100a〜fは、関連するチャンネル284a,b,286a、bを通って解放部材268へと延びている。このように、解放部材268が外側に引っ張られると、ライン100a〜fが引っ張られて、プッシュロッド上にハーネス42を保持しているループを解く。
【0111】
本願明細書に開示した実施例において、図示された心臓ハーネス42は、弾性要素のいくつかの列から形成されている。図示したハーネスは、いくつかの隣接するリングに整えられた波形のワイヤーを備えており、それぞれが弾性的な列から構成されている。図示したように、ハーネス42は、これらの列の一部あるいは全ての周りに巻かれたステッチにより、プッシュロッド着脱自在に取り付けられている。もちろん、本発明の各態様を、単なる実施例として含まれている図示のハーネスとは異なる構造を有したハーネスに利用できることは理解されるべきである。例えば、織って作られたあるいは織らずに作られた繊維材料から形成されたハーネス、および/または材料のメッシュ、ハニカムあるいは他のタイプから形成されたハーネスのような、解放可能なステッチを収容することができる1つ若しくは複数の開口を有した任意のハーネスを使用することができる。
【0112】
好ましい実施例との関連で本発明を記載したが、記載した実施例に本発明が限定されることは意図されない。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示された実施例を変更することができる。例えば、様々に適切な解放可能なステッチ、あるいは他の解放機構を用いることができる。本願明細書において議論した実施例の具体的な特徴および態様の様々な組合せあるいはサブコンビネーションをなし得ることもまた考えられる。したがって、本発明の異なる態様を形成するために、開示された実施例の様々な特徴および態様を互いに組み合わせあるいは置き換えることができる。加えて、例示した装置30は、最小限に侵襲性の手技によって心臓ハーネスを供給するために適しているが、例示した装置30、あるいはその他の構成を胸部開放手技にもまた用いることができる。したがって、本発明は、請求項によってのみ定義されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明のいくつかの特徴、態様および利点に従って構成された心臓ハーネス送給装置の斜視図。例示の送給装置は、細長い軸およびハウジングを有した本体部分と、制御組立体および複数の細長いプッシュロッドを有した可動部分とを備えている。心臓ハーネスは、複数のプッシュロッドの遠位端部分に支持されている。
【図2】ハウジングによって画成されているキャビティ内で圧縮された状態の心臓ハーネスを示す、図1の送給装置の遠位側部分の要部破断拡大図。
【図3】可動部分が本体部分に対して前進している、図1の送給装置の斜視図。
【図4】図3中に線4〜4で示されている図1の送給装置の遠位側部分の拡大図。
【図5】図4中の破断線5〜5に沿った複数のプッシュロッドの一つの断面図。解放可能なステッチを形成する、心臓ハーネスをプッシュロッドに固定するためのラインを例示している。
【図6】図3中の線6〜6によって示された、図1の送給装置における制御組立体の拡大側面図。例示された制御組立体は、本体部分、カバーおよび解放部材を有している。
【図7a】図6中の破断線7〜7に沿った図6の制御装置の本体部分の平面図。制御組立体の本体部分によって画成された複数のチャンネルを例示している。チャンネルは、各プッシュロッドに関連付けられたラインの部分を受け入れるように構成されている。
【図7b】制御組立体のチャンネル内におけるラインの部分のルート割当を例示する、図7aの制御組立体の本体部分の拡大図。
【図7c】制御組立体の本体部分から引き抜かれた解放部材を示す、図7bの構造の拡大図。
【図8】図7a中の破断線8〜8に沿った、図6および図7の制御装置の断面図。
【図9】図7a中の破断線9〜9に沿った、図6および図7の制御装置の断面図。
【図10】図8中の破断線10〜10に沿った、複数の細長いプッシュロッドの一つの断面図。
【図11a】プッシュロッドから心臓ハーネスを解放するために解かれた図5の解放可能なステッチを例示する、複数のプッシュロッドの一つの断面図。
【図11b】解放可能なステッチをさらに解いた状態で例示する、図11aのプッシュロッドの断面図。
【図11c】解放可能なステッチを実質的に解いた状態で例示する、図11aのプッシュロッドの断面図。
【図12】図4中の破断線12〜12に沿った、複数の細長いプッシュロッドの一つの遠位先端部の断面図。
【図13】患者の心臓を取り囲んでいる心膜を通しての図1〜図12の送給装置の導入を容易にする、導入器組立体の導入器スリーブ部分の側面図。
【図14】非組立状態および導入器スリーブと拡張器スリーブを含んだ状態で例示する、導入器組立体の側面図。
【図15】拡張器スリーブが導入器スリーブの内側に配設されている、組立状態にある導入器組立体の側面図。
【図16】送給装置が心臓にアクセスできるようにするための小さな切開を心膜に有している心臓の斜視図。
【図17】図14の導入器組立体の導入器スリーブが心膜の切開部分の内側に配置されている、図16の心臓の斜視図。
【図18】組立状態にある導入器組立体により、送給装置を導入するためのアクセス経路を心膜に通して設ける状態を示す、図16の心臓の斜視図。
【図19】送給装置の吸引組立体に取り付けられたポンプ部材、具体的には注射器と共に示す、図1〜図12の送給装置の側面図。吸引組立体は、心臓ハーネスを心臓上で前進させる間に心臓を送給装置にしっかりと保持するように構成された吸着カップ部材を有している。
【図20】心臓ハーネスが部分的に前進した位置にある状態で示す、図19の送給装置の側面図。
【図21】心臓ハーネスが完全に前進した位置にあり、かつ送給装置から心臓ハーネスを解放するために解放部材が作動している状態を示す、図19の送給装置の側面図。
【図22】心臓ハーネスが完全に解放され、かつ複数のプッシュロッドが引き抜かれている状態を示す、図19の送給装置の側面図。
【図23】心臓ハーネスが完全に解放され、かつ送給装置が心臓から引き抜かれた状態を示す、図19の送給装置の側面図。
【図24】送給装置への心臓ハーネスの装着を助けるように構成された装着装置の側面図。
【図25】図24中の破断線25〜25に沿った、図24の装着装置の断面図。
【図26】図24中の破断線26〜26に沿った、図24の装着装置の底面図。
【図27】複数のプッシュロッド上に装着された心臓ハーネスを例示する、図24の装着装置の断面図。
【図28a】心臓ハーネスをプッシュロッドに固定するための着脱可能なステッチから成るラインの最初のループの形成を例示する、複数のプッシュロッドの一つの断面図。
【図28b】第2のループの最初の形成を示す、図28aのプッシュロッドの要部断面図。
【図28c】最初のループに通される第2のループを示す、図28bのプッシュロッドの図。
【図29】制御組立体の他の実施例の斜視図。
【図30】図29の制御組立体における使用のために適合された、プッシュロッドの他の実施例の斜視図。
【図31】破断線31〜31に沿った、図30のプッシュロッドの遠位側部分の拡大図。
【図32】破断線32〜32に沿った、図30のプッシュロッドの断面図。
【図33】心臓ハーネスをプッシュロッドに固定するための着脱可能なステッチを形成するラインの他の実施例および構成を例示する、図5のプッシュロッドを示す図。
【図34】図29の制御組立体の本体部分の平面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ハーネスを供給するための装置であって、
近位側部分および遠位側部分を有するとともに、圧縮された状態の前記ハーネスを収容するように寸法決めされたキャビティを有した細長い本体と、
前記本体に対して長手方向に動くことができる複数の細長いプッシュロッドであり、前記プッシュロッドの遠位方向の前進が、前記キャビティ内において圧縮された状態から前記キャビティの外側で展開された形状へと前記ハーネスを移動させるように、前記心臓ハーネスが前記プッシュロッドのそれぞれに着脱自在に接続されるプッシュロッドと、
を備え、
ユーザが操作すると前記プッシュロッドと前記ハーネスとの間の接続を解放する解放部材をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
長手方向に間隔が開けられている少なくとも第1および第2の位置において、前記心臓ハーネスが前記プッシュロッドのそれぞれに着脱自在に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
心臓に対し所望の位置において前記装置を固定する配置構造を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記配置構造が吸着カップ部材を有していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ハンドルおよび制御組立体をさらに備え、
前記ハンドルが前記細長い本体の近位側部分に取り付けられ、
前記制御組立体が前記複数の細長いプッシュロッドを支持していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
心臓ハーネスを供給するための装置であって、
支持部材を備え、
前記心臓ハーネスは、前記支持部材に予め装着されるとともにラインによって前記支持部材に取り付けられ、
前記ラインは、解放可能なステッチを形成する相互に連結された一連のループから構成されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記ステッチの前記相互に連結されたループの一端が、前記一連のループの解けを防止する固定部材によって保持され、
前記固定部材からの前記ループの解放が前記相互に連結されているループの解けを可能にすることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記固定部材は解放部材と動くように取り付けられ、
前記ラインの端部は前記解放部材に取り付けられ、
前記支持部材から離間する方向における前記解放部材の動きが、前記ループを前記固定部材から解放し、前記相互に連結された一連のループを解くことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
心臓ハーネスを送給するための装置であって、
近位側部分および遠位側部分を有している細長い本体と、
前記本体に対して長手方向に動くことができる複数のプッシュロッドであり、前記プッシュロッドの遠位方向への動きが前記ハーネスを前記心臓上へと前進させるように前記心臓ハーネスは前記プッシュロッドのそれぞれに着脱自在に接続され、前記ハーネスを前記心臓上に残したまま前記プッシュロッドを引き抜き経路に沿って近位側を前記ハーネスから引き抜くことができるように前記ハーネスは前記プッシュロッドから解放可能であり、前記プッシュロッドの前記遠位側部分は前記引き抜きの間に前記ハーネスを押圧する内側を向いた表面を有しており、前記内側を向いた表面は、前記経路と平行で、かつ前記内側を向いた表面によって前記ハーネス上に負荷される力に由来する非摩擦性の力の成分が、近位側に向けられた実質的に非摩擦性の力の成分なしに遠位側に向けられるように構成されているプッシュロッドと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記プッシュロッドの遠位側部分は、前進の間に外側に広がることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プッシュロッドの遠位側部分は、外側に傾けられていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
患者の心膜に通路を作成して心臓ハーネス送給装置の心臓へのアクセスを可能にする装置であって、
近位端および遠位端を画成する外壁を有した導入器スリーブであり、前記外壁が前記遠位端に隣接して縮径部を有し、かつ前記縮径部が第1の直径を有した縮径状態を画成する導入器スリーブと、
前記第1の直径より大きい第2の直径を有した拡径状態へと前記縮径部を押圧するために前記導入器スリーブ内へと挿入できるように寸法決めされかつ形作られており、前記第2の直径はこの装置をそこに挿通するために充分なサイズである拡張器スリーブと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記導入器スリーブの前記外壁を囲む付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記縮径部を前記縮径状態へと付勢するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記導入器スリーブの前記外壁は、前記外壁の長手方向軸と平行に延びる複数の切り出し部分を有しており、
前記切り出し部分は、前記外壁の縮径部分の少なくとも一部を通って延びていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
複数の細長いプッシュロッドを有した送給装置への心臓ハーネスの装着を助ける装置であって、
概ね漏斗形の部分を画成している外壁を備え、
前記漏斗形の部分は、前記複数の細長いプッシュロッドを受け入れるように構成された複数のチャンネルを有しており、
前記外壁は、外側に拡がった配向で前記プッシュロッドを支持するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記複数のチャンネルのそれぞれの一部が、前記外壁の内側を向いた表面および外側を向いた表面の少なくとも一方に開いていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記外壁が、前記漏斗形の部分の下端部から延びている概ね円筒状の部分をさらに有し、
前記円筒状の部分は、前記送給装置の遠位端部を受け入れるように構成されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項1】
心臓ハーネスを供給するための装置であって、
近位側部分および遠位側部分を有するとともに、圧縮された状態の前記ハーネスを収容するように寸法決めされたキャビティを有した細長い本体と、
前記本体に対して長手方向に動くことができる複数の細長いプッシュロッドであり、前記プッシュロッドの遠位方向の前進が、前記キャビティ内において圧縮された状態から前記キャビティの外側で展開された形状へと前記ハーネスを移動させるように、前記心臓ハーネスが前記プッシュロッドのそれぞれに着脱自在に接続されるプッシュロッドと、
を備え、
ユーザが操作すると前記プッシュロッドと前記ハーネスとの間の接続を解放する解放部材をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
長手方向に間隔が開けられている少なくとも第1および第2の位置において、前記心臓ハーネスが前記プッシュロッドのそれぞれに着脱自在に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
心臓に対し所望の位置において前記装置を固定する配置構造を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記配置構造が吸着カップ部材を有していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ハンドルおよび制御組立体をさらに備え、
前記ハンドルが前記細長い本体の近位側部分に取り付けられ、
前記制御組立体が前記複数の細長いプッシュロッドを支持していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
心臓ハーネスを供給するための装置であって、
支持部材を備え、
前記心臓ハーネスは、前記支持部材に予め装着されるとともにラインによって前記支持部材に取り付けられ、
前記ラインは、解放可能なステッチを形成する相互に連結された一連のループから構成されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記ステッチの前記相互に連結されたループの一端が、前記一連のループの解けを防止する固定部材によって保持され、
前記固定部材からの前記ループの解放が前記相互に連結されているループの解けを可能にすることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記固定部材は解放部材と動くように取り付けられ、
前記ラインの端部は前記解放部材に取り付けられ、
前記支持部材から離間する方向における前記解放部材の動きが、前記ループを前記固定部材から解放し、前記相互に連結された一連のループを解くことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
心臓ハーネスを送給するための装置であって、
近位側部分および遠位側部分を有している細長い本体と、
前記本体に対して長手方向に動くことができる複数のプッシュロッドであり、前記プッシュロッドの遠位方向への動きが前記ハーネスを前記心臓上へと前進させるように前記心臓ハーネスは前記プッシュロッドのそれぞれに着脱自在に接続され、前記ハーネスを前記心臓上に残したまま前記プッシュロッドを引き抜き経路に沿って近位側を前記ハーネスから引き抜くことができるように前記ハーネスは前記プッシュロッドから解放可能であり、前記プッシュロッドの前記遠位側部分は前記引き抜きの間に前記ハーネスを押圧する内側を向いた表面を有しており、前記内側を向いた表面は、前記経路と平行で、かつ前記内側を向いた表面によって前記ハーネス上に負荷される力に由来する非摩擦性の力の成分が、近位側に向けられた実質的に非摩擦性の力の成分なしに遠位側に向けられるように構成されているプッシュロッドと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記プッシュロッドの遠位側部分は、前進の間に外側に広がることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プッシュロッドの遠位側部分は、外側に傾けられていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
患者の心膜に通路を作成して心臓ハーネス送給装置の心臓へのアクセスを可能にする装置であって、
近位端および遠位端を画成する外壁を有した導入器スリーブであり、前記外壁が前記遠位端に隣接して縮径部を有し、かつ前記縮径部が第1の直径を有した縮径状態を画成する導入器スリーブと、
前記第1の直径より大きい第2の直径を有した拡径状態へと前記縮径部を押圧するために前記導入器スリーブ内へと挿入できるように寸法決めされかつ形作られており、前記第2の直径はこの装置をそこに挿通するために充分なサイズである拡張器スリーブと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記導入器スリーブの前記外壁を囲む付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記縮径部を前記縮径状態へと付勢するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記導入器スリーブの前記外壁は、前記外壁の長手方向軸と平行に延びる複数の切り出し部分を有しており、
前記切り出し部分は、前記外壁の縮径部分の少なくとも一部を通って延びていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
複数の細長いプッシュロッドを有した送給装置への心臓ハーネスの装着を助ける装置であって、
概ね漏斗形の部分を画成している外壁を備え、
前記漏斗形の部分は、前記複数の細長いプッシュロッドを受け入れるように構成された複数のチャンネルを有しており、
前記外壁は、外側に拡がった配向で前記プッシュロッドを支持するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記複数のチャンネルのそれぞれの一部が、前記外壁の内側を向いた表面および外側を向いた表面の少なくとも一方に開いていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記外壁が、前記漏斗形の部分の下端部から延びている概ね円筒状の部分をさらに有し、
前記円筒状の部分は、前記送給装置の遠位端部を受け入れるように構成されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2006−506183(P2006−506183A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553700(P2004−553700)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036476
【国際公開番号】WO2004/045456
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(502329636)パラコー メディカル インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036476
【国際公開番号】WO2004/045456
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(502329636)パラコー メディカル インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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