説明

心臓マッサージ訓練用器具

【課題】従来に比して簡易な構成として準備や収納時の作業性を向上させるとともに破損しにくい心臓マッサージ訓練用器具を提供する。
【解決手段】人体の心臓部を含む胸部に相当する部材であって、その上面からの圧迫によって圧縮可能な模擬胸部材20と、前記模擬胸部材20の下部に配置され、該模擬胸部材20の心臓部21直下に相当する位置の上面に浅溝部31と深溝部32が直交状に形成された基盤部材30と、前記基盤部材30の浅溝部31と深溝部32のいずれかに選択的に収容され前記模擬胸部材20上面からの十分な圧迫による該模擬胸部材20の圧縮力により音を発する発音部材40とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓マッサージの練習を行うための心臓マッサージ訓練用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心臓マッサージの練習を行う際には、等身大の人体模型の胸部に圧迫を感知するセンサを有する弾性部材が設けられた心臓マッサージ訓練用器具が用いられる。しかるに、等身大人体模型の訓練用器具は、巨大でかさばるため収納や持ち運びに不便である。しかも、センサ等の精密機器を備えるため、高価である。
【0003】
そこで、近年では、上半身形状の人体模型からなる訓練用器具や、発泡合成樹脂により胸部を模式的に形成した訓練用器具等の小型で安価な訓練用器具が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
上半身形状の人体模型訓練用器具は、空気等の気体により膨張可能な上半身本体に、圧迫力が所定レベルを超えた時に音が発せられるインジケータを有する胸部プレートが取り付けられてなる。しかしながら、この訓練用器具では、使用前には本体を膨張させ、使用後には本体から空気を抜いて萎ませるという、繁雑な作業を必要とするものであった。
【0005】
一方、胸部を模式的に形成した訓練用器具は、心臓マッサージに要する胸部沈下深さに相当する厚さより厚みのある発泡合成樹脂の胸部本体の中央部に形成された手のひら大の貫通孔に、上下方向に収縮及び復帰する空気室を有する独立気泡の合成樹脂発泡体を透明な軟質塩化ビニールフィルムで被覆し該フィルムに空気室への空気出入用及び検知用の弁を設けた押圧部を配設し、弁による空気出入を検知した際に笛等の音が発せられるものである。しかしながら、押圧部は心臓マッサージの訓練のために繰り返し圧迫されるため、合成樹脂発泡体を被覆している軟質塩化ビニールフィルムが簡単に変形したり破損したりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4610551号
【特許文献1】国際公開第2010/147129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、従来に比して簡易な構成として準備や収納時の作業性を向上させるとともに破損しにくい心臓マッサージ訓練用器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、人体の心臓部を含む胸部に相当する部材であって、その上面からの圧迫によって圧縮可能な模擬胸部材と、前記模擬胸部材の下部に配置され、該模擬胸部材の心臓部直下に相当する位置の上面に浅溝部と深溝部が直交状に形成された基盤部材と、前記基盤部材の浅溝部と深溝部のいずれかに選択的に収容され前記模擬胸部材上面からの十分な圧迫による該模擬胸部材の圧縮力により音を発する発音部材とを含むことを特徴とする心臓マッサージ訓練用器具に係る。
【0009】
請求項2の発明は、前記発音部材が幅方向に湾曲した板ばね部材よりなる請求項1に記載の心臓マッサージ訓練用器具に係る。
【0010】
請求項3の発明は、前記模擬胸部材が合成樹脂発泡体よりなる請求項1又は2に記載の心臓マッサージ訓練用器具に係る。
【0011】
請求項4の発明は、前記模擬胸部材が硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体よりなる請求項3に記載の心臓マッサージ訓練用器具に係る。
【0012】
請求項5の発明は、前記模擬胸部材が硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体の配置の相違により圧縮力が変化する請求項4に記載の心臓マッサージ訓練用器具に係る。
【0013】
請求項6の発明は、前記浅溝部及び前記深溝部が人体の中心線に相当する前記模擬胸部材の中心線に対して斜め方向に配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の心臓マッサージ訓練用器具に係る。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係る心臓マッサージ訓練用器具は、人体の心臓部を含む胸部に相当する部材であって、その上面からの圧迫によって圧縮可能な模擬胸部材と、前記模擬胸部材の下部に配置され、該模擬胸部材の心臓部直下に相当する位置の上面に浅溝部と深溝部が直交状に形成された基盤部材と、前記基盤部材の浅溝部と深溝部のいずれかに選択的に収容され前記模擬胸部材上面からの十分な圧迫による該模擬胸部材の圧縮力により音を発する発音部材とを含むため、構成が極めて簡易で準備や収納に繁雑な作業が不要となるとともに、繰り返しの使用にも耐え得る破損しにくい訓練用器具を提供することができる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、前記発音部材が幅方向に湾曲した板ばね部材よりなるため、複雑で高価な装置を用いることなく安価かつ簡易な構成で発音させることができ、繰り返し圧迫されても破損する恐れがない。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記模擬胸部材が合成樹脂発泡体よりなるため、成形が容易で製造コストを抑制することができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3において、前記模擬胸部材が硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体よりなるため、対象に応じた訓練を容易に実施することができる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4において、前記模擬胸部材が硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体の配置の相違により圧縮力が変化するため、必要な圧縮力をより多様に変化させることができる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし5において、前記浅溝部及び前記深溝部が人体の中心線に相当する前記模擬胸部材の中心線に対して斜め方向に配置されているため、訓練者による圧迫位置がずれることがなく、均等に圧迫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る心臓マッサージ訓練用器具の斜視図である。
【図2】図1の心臓マッサージ訓練用器具を用いた訓練の模式図である。
【図3】図1の心臓マッサージ訓練用器具の要部分解斜視図である。
【図4】模擬胸部材の様々なバリエーションを表した側面図である。
【図5】分割可能な模擬胸部材の組み合わせを表した断面図である。
【図6】基盤部材の平面図である。
【図7】基盤部材の要部断面図である。
【図8】基盤部材の浅溝部に発音部材が収容された状態の斜視図である。
【図9】基盤部材の深溝部に発音部材が収容された状態の斜視図である。
【図10】発音部材の斜視図である。
【図11】訓練者と模擬胸部材の位置関係を表した模式図である。
【図12】浅溝部に発音部材を配置した場合の発音部材近傍の要部断面図である。
【図13】深溝部に発音部材を配置した場合の発音部材近傍の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図3に示す本発明の一実施例に係る心臓マッサージ訓練用器具10は、小型化及び実寸での心臓マッサージ訓練を可能とするために、等身大の人体の頭部及び胸部を含む上半身に相当する大きさからなり、模擬胸部材20と、基盤部材30と、発音部材40とを含み、訓練者Tが模擬胸部材20を介して圧迫することによって発音部材40を発音させるものである。図1,2において、符号11は各部材20,30,40を収納するための箱本体、12は箱本体11に一体に形成された蓋体、13は蓋体12の内面部12Aに設けられた人体の頭部等をかたどった絵や模型等からなる人体模型部を表す。
【0022】
模擬胸部材20は、人体の心臓部を含む胸部に相当する部材であって、その上面からの圧迫によって圧縮可能に構成される。この模擬胸部材20は、訓練者Tが心臓マッサージの訓練を行う際に圧迫する部分であり、心臓マッサージが有効となる十分な圧迫力を加えることによって、後述する発音部材40を発音させることができる。実施例の模擬胸部材20は、図1〜図3に示すように、直方体形状に形成され、必要に応じて表面の心臓部に相当する位置21に心臓あるいはハートマーク等のイラスト等を印刷して、訓練者Tに圧迫位置を認識させやすくしておくとよい。なお、図の符号Lはが人体の中心線に相当する前記模擬胸部材の中心線である。
【0023】
模擬胸部材20の材質としては、人体を圧迫した場合に相当する弾力を備えるとともに、繰り返し圧迫を行った場合でも破損しにくい適宜の合成樹脂発泡体よりなり、例えばウレタンやポリエチレン等が好適に使用される。この模擬胸部材20は、単一の合成樹脂発泡体、あるいは、硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体によって形成することができる。図4は、模擬胸部材20の様々なバリエーションを表したものである。
【0024】
図4(a)に示す模擬胸部材20Aは、単一の合成樹脂発泡体により硬度を統一して形成した例である。この模擬胸部材20Aでは、成形が容易で製造コストを抑制することができる。
【0025】
図4(b)に示す模擬胸部材20Bは、硬度の異なる2つの合成樹脂発泡体によって形成した例であり、厚みがほぼ等しい立方体形状の軟質模擬胸部材22と硬質模擬胸部材23とを積層して構成される。この模擬胸部材20Bでは、軟質模擬胸部材22と硬質模擬胸部材23のいずれを上側に配置するかによって必要な圧迫力を異ならせるようにすることができる。すなわち、軟質模擬胸部材22を上側にした場合は、硬質模擬胸部材23を上側にした場合と比較して弱い圧迫力で後述する発音部材40を発音させるのに十分な圧縮力を発生させることが可能となる。このように、硬度の異なる合成樹脂発泡体によって形成すれば、心臓マッサージの対象に子供を想定した場合に軟質模擬胸部材22を上側に配置したり、成人を想定した場合に硬質模擬胸部材23を上側に配置したりする等、配置の相違により対象に応じた訓練を容易に実施することができる。なお、硬度の異なる合成樹脂発泡体は、それぞれ異なる素材で構成してもよいし、同一の素材で硬度のみを異ならせるように構成してもよい。
【0026】
図4(c)に示す模擬胸部材20Cは、硬度の異なる2つの合成樹脂発泡体により、境界部分を波状に形成した軟質模擬胸部材24と硬質模擬胸部材25とを積層した例である。この模擬胸部材20Cにおいても、前記模擬胸部材20Bと同様に、対象に応じた訓練を容易に実施することができる。
【0027】
図4(d)に示す模擬胸部材20Dは、左右に分割可能な半胸部材26,27からなり、各半胸部材26,27が硬度の異なる2つの合成樹脂発泡体により形成された側面視直角三角形状の軟質模擬胸部材28と硬質模擬胸部材29とで直方体形状に形成された例である。この模擬胸部材20Dは、図5に示すように、各半胸部材26,27の配置を組み替えることによって、硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体の配置の相違により圧縮力を変化させるように構成することが可能となるので、必要な圧縮力をより多様に変化させることができる。
【0028】
図5(a)は各半胸部材26,27の軟質模擬胸部材28,28を上面側かつ互いに当接させて配置した例、図5(b)は各半胸部材26,27の硬質模擬胸部材29,29を上面側とするとともに軟質模擬胸部材28,28を互いに当接させて配置した例、図5(c)は各半胸部材26,27の軟質模擬胸部材28,28を上面側とするとともに硬質模擬胸部材29,29を互いに当接させて配置した例、図5(d)は各半胸部材26,27の硬質模擬胸部材29,29を上面側かつ互いに当接させて配置した例である。なお、半胸部材26の軟質模擬胸部材28または硬質模擬胸部材29と、半胸部材27の軟質模擬胸部材28または硬質模擬胸部材29とは、それぞれ同一の素材及び硬度とすることが好ましい。
【0029】
基盤部材30は、図3,6〜9に示すように、模擬胸部材20の下部に配置され、該模擬胸部材20の心臓部21直下に相当する位置の上面に浅溝部31と深溝部32が直交状に形成される。この基盤部材30の材質は特に限定されないが、重量、耐久性、取り扱いの容易性、製造コスト等の観点から、模擬胸部材20と同様の合成樹脂発泡体でが使用される。なお、図において、符号33は模擬胸部材20の心臓部21直下に相当する位置に形成された貫通孔である。
【0030】
基板部材30の浅溝部31と深溝部32は、図7に示すように、模擬胸部材20の下面と後述する発音部材40との距離(d1,d2)を調整するためのものである。浅溝部31は、基板部材30上面からの溝深さが浅く、模擬胸部材20の下面と発音部材40とを接近(d1)させて配置することができる。一方、深溝部32は、基板部材30上面からの溝深さが浅溝部31より深く、模擬胸部材20の下面と発音部材40とを離隔(d2)させて配置可能とするものである。また、この基盤部材30では、図6に示すように、浅溝部31及び深溝部32が人体の中心線に相当する模擬胸部材20の中心線Lに対して斜め方向に配置されている。実施例では、浅溝部31及び深溝部32が中心線Lに対して約45度の角度で配置されている。
【0031】
発音部材40は、図7〜図9に示すように、基盤部材30の浅溝部31と深溝部32のいずれかに選択的に収容され模擬胸部材20上面からの十分な圧迫による該模擬胸部材20の圧縮力により音を発するものである。発音部材40としては、訓練者Tが模擬胸部材20を介して圧迫した際に発音するとともに、繰り返し圧迫を行った場合でも破損しにくい構成であれば特に限定されるものではない。実施例では、図10に示すように、幅方向に湾曲した板ばね部材41が使用される。この板ばね部材41は、湾曲部42を上側として配置され、模擬胸部材20の圧縮力が作用することにより湾曲部42が押圧変形されて発音し、圧縮力が作用しなくなるとばねの復元作用により元に戻るものである。このように、発音部材40として板ばね部材41を用いることにより、複雑で高価な装置を用いることなく、安価かつ簡易な構成で発音させることができ、圧迫により繰り返し押圧変形されても破損する恐れがない。
【0032】
また、発音部材40は、図7,8に示すように、基盤部材30の浅溝部31に収容して模擬胸部材20の下面側に近接させることにより、小さい圧縮力でも発音させることが可能となる。一方、図7,9に示すように、基盤部材30の深溝部32に模擬胸部材20の下面側から離隔させることにより、発音させるために大きな圧縮力を必要とするように構成することが可能となる。すなわち、発音部材40の収容位置を浅溝部31と深溝部32のいずれかに選択することにより、発音させるために必要な圧縮力を容易に変化させることができる。これにより、模擬胸部材20の合成樹脂発泡体の硬度や配置の相違による圧縮力の変化と適宜組み合わせれば、容易に圧縮力の多様化を図ることができる。
【0033】
次に、当該心臓マッサージ訓練用器具10の使用方法について説明する。以下の説明では、模擬胸部材20として、図5に示す模擬胸部材20Dを使用し、発音部材40として、図10に示す板ばね部材41を使用するものとする。
【0034】
まず、各部材20,30,40が収納された箱本体11を床等に載置し、図1に示すように、蓋体12を開放させる。ここで、心臓マッサージの対象として子供等を想定して訓練する場合、図8及び図12(a)に示すように、基盤部材30の浅溝部31に板ばね部材41を収容して、各半胸部材26,27の軟質模擬胸部材28,28を上面側かつ互いに当接させて配置した模擬胸部材20Dを基盤部材30の上面に設置する。
【0035】
次に、訓練者Tは、図2,11に示すように、当該訓練用器具10の左右いずれかの側方の位置に着き、模擬胸部材20上面の略中心位置である心臓部21に両手を乗せて、該心臓部21の圧迫を行う。その際、訓練者Tが心臓部21へ十分な圧迫を加えると、図12(b)に示すように、模擬胸部材20D(軟質模擬胸部材28及び硬質模擬胸部材29)が下方に圧縮されて、模擬胸部材20D下面が板ばね部材41を押圧変形させる。これにより、板ばね部材41は1回音を発し、訓練者Tが圧迫をやめて模擬胸部材20Dの圧縮が解除されると、図12(a)に示すように、板ばね部材41の復元作用により元に戻される。以後、訓練者Tにより圧迫が繰り返し行われて十分な圧迫が加えられるたびに、板ばね部材41が音を発して正常に心臓マッサージが行われていることを確認することができる。
【0036】
一方、想定した対象を子供等から成人等に変更して訓練する場合、図9及び図13(a)に示すように、基盤部材30の深溝部32に板ばね部材41を収容して、各半胸部材26,27の軟質模擬胸部材28,28を上面側かつ互いに当接させて配置した模擬胸部材20Dを基盤部材30の上面に設置する。次に、図2,11に示すように、対象に子供等を想定した場合と同様に、訓練者Tは、当該訓練用器具10の左右いずれかの側方の位置に着き、模擬胸部材20上面の略中心位置である心臓部21に両手を乗せて、該心臓部21の圧迫を行う。
【0037】
ここで、板ばね部材41は、深溝部32に収容されて浅溝部31に収容された場合より模擬胸部材20下面との距離が離れている。そのため、訓練者Tが浅溝部31に収容された場合より大きな圧迫力を心臓部21へ加えることによって、図13(b)に示すように、模擬胸部材20D(軟質模擬胸部材28及び硬質模擬胸部材29)を介して板ばね部材41を押圧変形させて発音させることができる。そして、訓練者Tが圧迫をやめると、図13(a)に示すように、板ばね部材41の復元作用により元に戻され、以後、訓練者Tにより圧迫が繰り返し行われて十分な圧迫が加えられるたびに、板ばね部材41が音を発して正常に心臓マッサージが行われていることを確認することができる。
【0038】
また、この訓練用器具10では、図6,11に示すように、浅溝部31及び深溝部32が模擬胸部材20の中心線Lに対して斜め方向に配置されていることから、浅溝部31及び深溝部32が当該訓練用器具10の側方から圧迫する訓練者Tに対して斜め方向に配置された位置関係となる。従って、発音部材40を浅溝部31と深溝部32のいずれに収容した場合であっても、訓練者Tによる圧迫位置がずれることがなく、均等に圧迫することができる。
【0039】
なお、訓練を終了する際には、当該訓練用器具10を使用した状態のまま、蓋体12を閉じるだけでよい。
【0040】
以上図示し説明したように、本発明の心臓マッサージ訓練用器具10は、基盤部材30の浅溝部31と深溝部32のいずれかに発音部材40を選択的に収容して基盤部材30の上面に模擬胸部材20を設置するだけで訓練を実施することが可能であるため、構成が極めて簡易で準備や収納に繁雑な作業が不要となる。
【0041】
また、この訓練用器具10では、従来のように訓練者Tが圧迫を加える部位に破損しやすい軟質塩化ビニールフィルム等の部材を使用する必要がなく、人体の心臓部を含む胸部に相当する部材である模擬胸部材20を上面から圧迫するだけで訓練が可能であるため、繰り返しの使用にも耐え得る破損しにくい訓練用器具を提供することができる。
【0042】
なお、本発明の心臓マッサージ訓練用器具は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、実施例では、模擬胸部材を硬度の異なる2つの合成樹脂発泡体によって形成したが、必要に応じて硬度の異なる3つ以上の合成樹脂発泡体によって形成することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 心臓マッサージ訓練用器具
20 模擬胸部材
21 心臓部
30 基盤部材
31 浅溝部
32 深溝部
40 発音部材
41 板ばね部材
L 模擬胸部材の中心線
T 訓練者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の心臓部を含む胸部に相当する部材であって、その上面からの圧迫によって圧縮可能な模擬胸部材と、
前記模擬胸部材の下部に配置され、該模擬胸部材の心臓部直下に相当する位置の上面に浅溝部と深溝部が直交状に形成された基盤部材と、
前記基盤部材の浅溝部と深溝部のいずれかに選択的に収容され前記模擬胸部材上面からの十分な圧迫による該模擬胸部材の圧縮力により音を発する発音部材とを含む
ことを特徴とする心臓マッサージ訓練用器具。
【請求項2】
前記発音部材が幅方向に湾曲した板ばね部材よりなる請求項1に記載の心臓マッサージ訓練用器具。
【請求項3】
前記模擬胸部材が合成樹脂発泡体よりなる請求項1又は2に記載の心臓マッサージ訓練用器具。
【請求項4】
前記模擬胸部材が硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体よりなる請求項3に記載の心臓マッサージ訓練用器具。
【請求項5】
前記模擬胸部材が硬度の異なる複数の合成樹脂発泡体の配置の相違により圧縮力が変化する請求項4に記載の心臓マッサージ訓練用器具。
【請求項6】
前記浅溝部及び前記深溝部が人体の中心線に相当する前記模擬胸部材の中心線に対して斜め方向に配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の心臓マッサージ訓練用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−97180(P2013−97180A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240176(P2011−240176)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(593215829)アテナ工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】