忘れ物防止具
【課題】最新の高度な通信技術やソフトウェア技術を必要とせず、電源も不要であり、簡単な構成でありながら、忘れ物防止効果の高い忘れ物防止具を得る。
【解決手段】第1の受け具1と、第2の受け具2と、一つの転移部材3からなり、転移部材3は、第1、第2の受け具1,2のどちらにも装着可能であり、第1の受け具1と第2の受け具2の一方は本居に他方は携行品に取り付けることができる。転移部材3が本拠の受け具に装着されているときは携行品が本居にあることを意味し、転移部材3が携行品の受け具に装着されているときは携行品が本居外に携行されていることを意味する。
【解決手段】第1の受け具1と、第2の受け具2と、一つの転移部材3からなり、転移部材3は、第1、第2の受け具1,2のどちらにも装着可能であり、第1の受け具1と第2の受け具2の一方は本居に他方は携行品に取り付けることができる。転移部材3が本拠の受け具に装着されているときは携行品が本居にあることを意味し、転移部材3が携行品の受け具に装着されているときは携行品が本居外に携行されていることを意味する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外出しようとするときに、携行すべきもの、例えば、携帯電話、財布、キーなどを携行しているかどうかを確認するきっかけを与えて忘れ物をなくすようにした忘れ物防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外出する際に携行すべきものは、携帯電話、財布、キーなど多岐にわたるため、これらの一つあるいはいくつかを携行することなく外出してしまうことがよくある。特に携帯電話は忘れやすく、外出先で必要とするときに手元になくて戸惑うことがよくある。
【0003】
そこで、忘れ物防止のための器具、装置あるいはシステムが各種提案されている。最も手軽なものとしては、忘れ物防止用の指輪がある(例えば、特許文献1参照)。この指輪を指にはめることにより違和感を与え、この指輪を嵌めている意味を常時使用者に認識させて忘れ物をなくそうという発想のもとに考えられたものである。
【0004】
特許文献1記載の発明によれば、構成が単純で、電源も必要としないという利点があるが、忘れ物防止用の指輪を指にはめている間は使用者に違和感を与え、使い勝手がよくないため、好んで使用されるものではない。また、使用者とともに移動し、使用者に常時違和感を与えるものであるから、違和感になれてしまい、外出しようとするときには指輪をはめていることが気にならず、携行すべきものを忘れてしまうことがある。したがって、忘れ物防止効果はあまり期待できない。忘れ物防止用の指輪のような物品を使用することなく、手に直接メモを書き込むことにより忘れ物をなくそうとすることも行われているが、メモに気付かないことも多く、確実な効果は期待できない。
【0005】
そこで、最新の通信技術やソフトウェア技術を用いた忘れ物防止装置あるいはシステムが提案されている。特許文献2記載の忘れ物防止機能付き携帯電話機はその一つで、忘れ物防止アプリケーションで「当日設定モード」が設定された場合、制御部が、ICタグ検出部に対して「小出力」で電波を受信するように指示し、ICタグ検出部が半径約1m以内の狭い範囲に届く電波を発信し、これを受信したICタグからの返信信号に含まれるICタグのIDを読み取り、制御部が、上記IDに基づいて所持品登録テーブルに当日携行することを示す携行フラグをオンに設定するようにしたものである。この特許文献2記載の発明によれば、忘れ物を携帯電話の利用者に報知することによって忘れ物をなくすことができるとともに、所持品の登録および出かける前の携行品の設定を容易に行うことができる。
携帯電話と、ICタグないしはRFIDを用いた携行品チェックシステムは、特許文献3にも記載されている。
【0006】
次に、特許文献4には、手荷物の持ち主が所定の場所を通過する際に忘れ物があるかどうかを判定して、忘れ物を持ち主に知らせることができるようにした忘れ物防止システムが記載されている。特許文献4記載の発明は、無線デバイスと、監視装置と、情報記憶媒体読取装置を備えている。上記無線デバイスは、ID情報が記憶された記憶手段、監視装置からの通信要求電波を受信し応答電波でID情報を送信する無線応答手段を有する。上記監視装置は、通信要求電波を送信し応答電波を受信する送受信手段、ID情報を登録する登録手段、ID情報を受信した際にID情報が登録情報となっている場合に無線デバイスとの通信が可能かどうか判定する判定手段、および警告信号送信手段を有する。上記情報記憶媒体読取装置は、情報記憶媒体からID情報を読み取る読取手段、ID情報を監視装置に送信する手段、監視装置から警告信号を受信した場合に忘れ物があることを知らせる警告手段を有する。情報記憶媒体は、携行すべき物品に付される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−85122号公報
【特許文献2】特開2006−140550号公報
【特許文献3】特開2005−85186号公報
【特許文献4】特開2008−140196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2ないし4に記載されている発明によれば、外出しようとするときに携行すべきものが表示され、あるいは、携行すべきものを持たないで外出しようとすると警告されるため、忘れ物防止効果が高い。しかし、最新の通信技術やソフトウェア技術を使用しているため、構成が複雑で高コストであり、これに加えて、電源を必要とする難点がある。
【0009】
本発明は、以上説明した従来技術の問題点を解消した忘れ物防止具を提供すること、すなわち、最新の高度な通信技術やソフトウェア技術を必要とせず、電源も不要であり、簡単な構成でありながら、忘れ物防止効果の高い忘れ物防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る忘れ物防止具は、第1の受け具と、第2の受け具と、一つの転移部材からなり、上記転移部材は、上記第1、第2の受け具のどちらにも装着可能であり、第1の受け具と第2の受け具の一方は本居に他方は携行品に取り付けることができ、上記転移部材が本拠の受け具に装着されているときは上記携行品が本居にあることを意味し、上記転移部材が携行品の受け具に装着されているときは上記携行品が本居外に携行されていることを意味することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る忘れ物防止具の使用者は、第1、第2の受け具の一方を、本居、例えば自宅のドアの内側に、上記受け具の他方を携行品例えば携帯電話に取り付けておき、外出中は携帯電話側の受け具に転移部材を装着し、帰宅時に上記転移部材を携帯電話側から外して、ドアに取り付けてある受け具に装着する。外出しようとするとき、ドア側の受け具に装着されている転移部材を取り外し、これを携帯電話側の受け具に装着する。受け具をドアに取り付けておけば、外出しようとするとき受け具が目に入るので、この受け具に転移部材が装着されているか否かがわかり、転移部材が装着されているか否かによって携帯電話を所持しているか否かを確認するきっかけになり、携帯電話を忘れたまま外出することが防止される。このように、第1、第2の受け具と転移部材のみによって、電源も必要とせず、高度な最先端の技術も必要としないにもかかわらず、忘れ物を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る忘れ物防止具の実施例を示す模式図である。
【図2】上記実施例の使用例を示すもので、(a)は外出時の態様を、(b)は在宅時の態様を示す模式図である。
【図3】本発明に係る忘れ物防止具の変形実施例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る忘れ物防止具の他の使用例を示す正面図である。
【図5】本発明に係る忘れ物防止具を構成する受け具と転移部材の例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る忘れ物防止具の別の実施例を示す正面図である。
【図7】上記実施例の本居における使用例を示す側面図である
【図8】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す側面図である。
【図9】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す側面図である。
【図10】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る忘れ物防止具の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る忘れ物防止具の実施例を示しており、第1の受け具1、第2の受け具2、転移部材3の3つの部材で構成されている。第1、第2の受け具1、2および転移部材3は凹部または凸部を有するブロック状の部材で、図1に示す例では、第1、第2の受け具1、2が凸部11,21を有し、転移部材3が凹部31を有している。第1、第2の受け具1、2はほぼ同じ形でかつ同じ大きさになっていて、双方の凸部11,21もほぼ同じ大きさで突出寸法もほぼ同じになっている。もっとも、第1、第2の受け具1、2の本体部分の大きさや形は互いに異なっていてもよい。転移部材3の凹部31は、第1、第2の受け具1、2の凸部11,21の大きさとほぼ同じ大きさで、深さは上記凸部11,21の突出寸法と同じかわずかに深くなっている。したがって、上記凹部31を上記凸部11,21に嵌めることができ、もって、第1の受け具1または第2の受け具2に転移部材3を装着して一体化することができるようになっている。
【0015】
次に、上記実施例の使用方法の例を説明する。第1、第2の受け具1、2の一方、例えば第1の受け具1をユーザーの本居例えば自宅のドア6の内側に固着しておき、第2の受け具2をユーザーの携行品、例えば携帯電話から延びているストラップ5に取り付けておく。図2はこの使用例を示している。図2(a)は外出中の態様を示しており、図2(b)は在宅中の態様を示している。図2(a)に示すように、外出中は携帯電話4側の受け具2に転移部材3を装着する。帰宅時に、図2(b)に示すように、転移部材3を携帯電話4側から外してドア6に取り付けてある受け具1に装着する。そして、外出しようとするとき、ドア6側の受け具1に装着されている転移部材3を取り外し、これを携帯電話4側の受け具2に装着する。
【0016】
受け具1のドア6への固着手段は任意である。例えば、両面接着テープによって接着し、あるいは、受け具1の底面に固着されている磁石を、鉄などの磁性体からなるドア6に吸着させてもよい。または、上記磁石を受け具1に内蔵させてドアに吸着させるようにしてもよい。ドアが木製のような非磁性体の場合、磁石をドア6に接着などによって固着し、この磁石に、磁性体からなる受け具1、または磁石を内蔵した受け具1を吸着させるようにしてもよい。
図2において、符号7はドア6を開閉するときのノブを示している。
【0017】
第1、第2の受け具1,2の一方、例えば受け具1をドア6に取り付けておけば、外出しようとするとき受け具1が目に入るので、この受け具1に転移部材3が装着されているか否かがわかる。転移部材3が装着されていれば、携帯電話4が自宅内に存在していることを意味していて、携帯電話を忘れていることに気が付くので、ユーザーは携帯電話4を所持し、ドア6側の受け具2から転移部材3を外し、携帯電話4側の受け具1に移し替えて外出する。このように、外出しようとするとき、ドア6側の受け具1に転移部材3が装着されているか否かによって携帯電話4を所持しているか否かを確認することができると共に、確認を促されることになるため、携帯電話4を忘れたまま外出することが防止される。
このように、上記実施例によれば、第1、第2の受け具1,2と転移部材3のみの簡単な構成によって、忘れ物を有効に防止することができる。電源も必要とせず、高度な最先端の技術も必要としないから、極めて低コストで、手軽に使用することができる。
【0018】
第1、第2の受け具1,2に対して転移部材3は安定的に結合されていて、簡単に脱落することのないようにする必要がある。そこで、第1、第2の受け具1,2の凸部11,21と転移部材3の凹部31との嵌まり合いが、ある程度の摩擦力を持つように、いわゆる圧入関係になるようにするとよい。あるいは、磁気吸引力によって吸着されるように、第1、第2の受け具1,2または転移部材3の少なくとも一方側に磁石を装着し、少なくとも他方側の材質を、磁力によって吸着される磁性体にするとなおよい。あるいは、ねじ込み式、バヨネット式などの機械的な結合構造を採用してもよい。
【0019】
図2に示す使用例では、携帯電話4のストラップ5に受け具2が取り付けられている。そこで、受け具2には、ストラップ5への装着部、例えばストラップ5を通すための孔、フック、ファスナなどを設けておくとよい。あるいは、携帯電話4などの携行品と、受け具2の双方に平面ファスナを固着し、平面ファスナ同士を結合することにより携行品に受け具2を取り付けるようにしてもよい。
【0020】
第1、第2の受け具1,2と転移部材3が備える凸部と凹部の関係は、逆であってもよい。すなわち、第1、第2の受け具1,2に凹部を、転移部材3に上記凹部に嵌まる凸部を設けてもよい。
また、第1、第2の受け具1,2と転移部材3が備える凸部と凹部は、互いに嵌まり合うことができれば形状は任意である。例えば、第1、第2の受け具1,2と転移部材3を横方向または縦方向に横切る直線状の凸部と凹部であってもよい。また、図5に示すように、円柱状の凸部11と、この凸部11を受け入れる円筒形状の凹部31であってもよい。図5では第1の受け具1に凸部11を、転移部材3に凹部31を形成した例を示しているが、第1の受け具1に凹部を、転移部材3に凸部を形成してもよい。第2の受け部は第1の受け具1と同じ形に形成される。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の各種変形例および他の使用例について説明する。
図3に示す例は、携行品、例えば携帯電話4にストラップ5を介して装着する第2の受け具2に、ユーザーが何らかのメッセージを表わすカードを固着した例である。メッセージカードの例としては、お年寄りや、病弱者、身体が不自由な人などが、電車やバスの中で席を譲ってほしい旨の意思を表示するカード8、妊婦であることを表示するカード9などがあり、その他各種の意思を表示するカードが考えられる。
メッセージを伝えるための手段は、上記のようなカードに限らず、メッセージを記録したメモリと、このメモリに記録されている内容を視覚的に表示する小型のディスプレイ、あるいは音で表示するスピーカを備えているものであってもよい。
【実施例3】
【0022】
図2について説明したように、前記実施例に係る忘れ物防止具は、外出しようとするときは、ドア6に固着した受け具1から転移部材3を外して携帯電話などの携行品側の受け具2に装着するものであるが、転移部材3を受け具1から携行品側の受け具2に移し替えることを忘れたまま外出することがあり得る。そこで、ドア6に固着した受け具1に転移部材3を装着したまま外出しようとしてドア6を開けると、ドア6とともに受け具1が揺れることによって受け具1が何らかの音を発するように、受け具1に発音装置を組み込むとよい。発音装置としては、例えば幼児をあやすときに用いるいわゆる「ガラガラ」と同じ原理の装置を組み込むとよい。さらに望ましくは、受け具1に転移部材3が装着されているときにのみドアの開閉による揺れで発音し、転移部材3が装着されていないときは発音が停止するようにするとよい。例えば、受け具1に転移部材3が装着されているときは、転移部材3に組み込まれている発音装置のロックが磁力により解除され、ドアの開閉による揺れで発音し、受け具1から転移部材3が取り外されると上記磁力がなくなって発音装置の動作がロックされて発音が停止するようにする。あるいは、受け具1に転移部材3が装着されると転移部材3のレバーが押されて転移部材3に組み込まれている発音装置のロックが解除され、転移部材3が取り外されると上記レバーが復帰して発音装置の動作がロックされるようにすることもできる。
【0023】
上記のような発音装置を備えているものにおいては、耳の不自由な人にとってはアラームの効果がないので、光によってアラームを発するようにしてもよい。例えば、図8に示すように、本居のドア6の内側には、受け具1のベースとなる部材(以下「基台」という)45が固着され、基台45の前面に第1の受け具1が固着されるようになっている。基台45は電源電池を内蔵すると共に発光素子46、例えばLEDが組み込まれている。受け具1に転移部材3が装着されている状態でドア6が開閉されると、ドア6の動きなどを検知して発光素子46が発光し、携行品の持ち出しを忘れていることを警告する。アラームは、例えば振動モータによる振動を利用してもよい。
【実施例4】
【0024】
本発明の技術思想によれば、第1、第2受け具と転移部材の構成をこれまで説明してきた実施例よりも簡単にすることができる。図6、図7に示す実施例はその一つで、符号43は、十字形の転移部材を示している。転移部材43には、一般に「ナスカン」と称して、一部を開閉可能な開閉リング16が取り付けられている。携行品の例である携帯電話4のストラップ5にリング42が取り付けられていて、このリング42は前記実施例における第2の受け具と同じ役割を果たしている。携帯電話4のユーザーの本居にはドア6の内側に、前記実施例における第1の受け具と同じ役割を果たすフック41が取り付けられている。携帯電話4のユーザーは、本居に戻ると、携帯電話4のリング42から転移部材43を外し、フック41に掛けておく。外出するときはフック41から転移部材43を外し、携帯電話4のリング42に上記開閉リング16を掛け止めて転移部材43を携帯電話4に連結する。携帯電話4の携行を忘れて出かけようとすると、フック41に掛けられている転移部材43が目に入るので、携帯電話4を持ち、転移部材43を携帯電話4に移し替えて外出する。図7に示す例では、ドア6にベル50が吊り下げられている。ドア6の開閉時にドア6の振動によりベル50が鳴るため、外出するに当たって忘れ物がないかどうかの確認を促す効果がある。
【0025】
上記実施例によれば、本発明に係る忘れ物防止具の技術思想を、より簡単な構成で実現することができる。図9も、より簡単な構成で本発明の技術思想を実現することができる実施例を示している。図9(a)に示す例は、先に説明した実施例における転移部材3を、本居のドア6に固着されている平板状の磁石33に吸着させるようにしたものである。したがって、この実施例における磁石33は第1の受け具を構成している。
図9(b)に示す実施例は、転移部材3にループ状の紐34を取り付け、本居のドア6には前記実施例で説明したフック41を取り付け、このフック41に上記紐34を引っ掛けるようにしたものである。したがって、この実施例におけるフック41は第1の受け具を構成している。
【0026】
図4は、本発明に係る忘れ物防止具の別の使用例を示す。携行品は携帯電話に限らず複数あるのが普通であるから、本発明に係る忘れ物防止具を、携行品の数に対応する数だけ使用するとよい。図4はその例で、4つの携行品があるとすれば4つの忘れ物防止具A,B,C,Dを使用する。図4は、4つの忘れ物防止具を構成する前記第1、第2の受け具1,2と転移部材3のうち、第1の受け具1が4個、ユーザーの自宅のドア4に取り付けられている様子を示している。ユーザーは、外出時に、4個の携行品それぞれにつき上記4個の受け具1から転移部材を外してそれぞれに対応する携行品側の受け具に装着することにより、4個の携行品を忘れることなく携行したか否かのチェックを行うことができる。
【0027】
図4に示す使用態様は、家族が複数人いる場合に、家族構成員の在宅状況の表示装置としても使用することができる。例えば家族全員が携帯電話を持っていて、家族全員分の携帯電話につき本発明に係る忘れ物防止具を使用するものとし、それぞれの第1、第2の受け具のうち第1の受け具1を自宅のドア6の内側に取り付けておく。家族の一人一人が帰宅したとき、携帯電話側の受け具から転移部材を外して、これを定められた受け具1に装着する。したがって、受け具1に転移部材が装着されていれば、その受け具1が割り当てられている家族の一人は在宅していることがわかり、すべての受け具1を見ることによって、家族の在宅状況が分かる。また、家族の一人一人は、外出時に、割り当てられている受け具1に転移部材が装着されているか否かを確認することによって、携帯電話の携行を忘れていないか否かを確認することができる。
【実施例5】
【0028】
上記の使用例のように複数人で忘れ物防止具を使用する場合、図10に示す実施例に係る忘れ物防止具を使用すると便利である。図10(a)に示す実施例は、複数の第1の受け具1を取り付けた基台48を有し、上記各受け具1は、例えば家族の一人一人に割り当てて使用するようにし、一人一人が携行品について管理することができるようにしたものである。もっとも、使用方法はユーザーの任意で、一人のユーザーが複数の携行品について管理してもよい。基台48には、基台48が動作中であることを表示し、あるいは受け具1の一つにでも転移部材が装着されていれば点灯してアラームを発する発光素子49が設けられている。
図10(b)に示す実施例は、一つの基台50に対して一つの受け具1を取り付けた例である。基台50には、上記のようなアラームを発する発光素子51が取り付けられている。ユーザーは、この忘れ物防止具を使用する人数が増えた場合、あるいは忘れ物防止の対象になる携行品が増えた場合、忘れ物防止具を増やし、基台50の外に第1の受け具1を取り付ける。
【実施例6】
【0029】
図11は、キーホルダーを兼ねた忘れ物防止具の実施例を示す。図11において、符号44はキーを、55は袋状のキーホルダーを示す。キーホルダー55は、キー44を挿入するとキー44の基部を包み込む袋状の部分を備え、その底部にはキー44の本体部分が突き通る孔が形成され、また、図7で説明したような第1の受け部をなすフック41に掛けることができるループ状の紐56を有している。図11(a)はキーホルダー55にキー44を挿入する前の様子を、図11(b)はキーホルダー55にキー44を挿入した様子を示している。キーホルダー55は、これまで説明してきた転移部材と同じ機能を果たしている。ユーザーは、外出時は図11(b)のようにキーホルダー55にキー44を挿入して携行する。本居に戻ると、キーホルダー55からキー44を抜き出し、キーホルダー55の紐56を、ドアなどに取り付けられているフックに掛けておく。外出しようとするときは、フックからキーホルダー55を外してこれにキー44を挿入し、キーホルダー55とともにキー44を携行する。こうして、キー44の携行を忘れることはなくなる。
【実施例7】
【0030】
本発明に係る忘れ物防止具には、着せ替え人形の発想を採り入れることもできる。すなわち、第1、第2の受け具は、服を着せ替えることができる人形とし、転移部材は上記人形に着せることができる服とする。服は、ユーザーの好みに応じて、季節に応じて、あるいは気分に応じて任意に取り換えることができるようにするとよい。この実施例によれば、趣味の要素を取り入れながら忘れ物をなくすことができる。この着せ替え人形の発想は、ユーザーの趣味などに応じて様々に展開することができる。
【0031】
同じ仕様の忘れ物防止具であれば、例えば友達同士で転移部材3を交換することができ、そのとき転移部材3にメッセージを添付することによりにメッセージの交換をすることもできる。メッセージを添付する媒体は、転移部材3に添付した紙であってもよいし、USBメモリなどでもよい。
【0032】
転移部材3にRFIDのような、電源のいらない識別チップを埋め込んでおき、ユーザーの自宅などの本居に取り付ける受け具に識別チップの読み取り装置および送受信ユニットを組み込んでおけば、個々の携行品を識別して履歴データをコンピュータなどに保存することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る忘れ物防止具は、携帯電話に限らず、あらゆる携行品に使用することができる。例えば、財布、キーホルダー、定期券入れなど、外出時に携行することが必須の持ち物に使用すると、これらの携行を忘れることがなくなって便利であり、かつ、低コストで供給することができるため、多くの需要が見込まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 第1の受け具
2 第2の受け具
3 転移部材
4 携行品
5 ストラップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外出しようとするときに、携行すべきもの、例えば、携帯電話、財布、キーなどを携行しているかどうかを確認するきっかけを与えて忘れ物をなくすようにした忘れ物防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外出する際に携行すべきものは、携帯電話、財布、キーなど多岐にわたるため、これらの一つあるいはいくつかを携行することなく外出してしまうことがよくある。特に携帯電話は忘れやすく、外出先で必要とするときに手元になくて戸惑うことがよくある。
【0003】
そこで、忘れ物防止のための器具、装置あるいはシステムが各種提案されている。最も手軽なものとしては、忘れ物防止用の指輪がある(例えば、特許文献1参照)。この指輪を指にはめることにより違和感を与え、この指輪を嵌めている意味を常時使用者に認識させて忘れ物をなくそうという発想のもとに考えられたものである。
【0004】
特許文献1記載の発明によれば、構成が単純で、電源も必要としないという利点があるが、忘れ物防止用の指輪を指にはめている間は使用者に違和感を与え、使い勝手がよくないため、好んで使用されるものではない。また、使用者とともに移動し、使用者に常時違和感を与えるものであるから、違和感になれてしまい、外出しようとするときには指輪をはめていることが気にならず、携行すべきものを忘れてしまうことがある。したがって、忘れ物防止効果はあまり期待できない。忘れ物防止用の指輪のような物品を使用することなく、手に直接メモを書き込むことにより忘れ物をなくそうとすることも行われているが、メモに気付かないことも多く、確実な効果は期待できない。
【0005】
そこで、最新の通信技術やソフトウェア技術を用いた忘れ物防止装置あるいはシステムが提案されている。特許文献2記載の忘れ物防止機能付き携帯電話機はその一つで、忘れ物防止アプリケーションで「当日設定モード」が設定された場合、制御部が、ICタグ検出部に対して「小出力」で電波を受信するように指示し、ICタグ検出部が半径約1m以内の狭い範囲に届く電波を発信し、これを受信したICタグからの返信信号に含まれるICタグのIDを読み取り、制御部が、上記IDに基づいて所持品登録テーブルに当日携行することを示す携行フラグをオンに設定するようにしたものである。この特許文献2記載の発明によれば、忘れ物を携帯電話の利用者に報知することによって忘れ物をなくすことができるとともに、所持品の登録および出かける前の携行品の設定を容易に行うことができる。
携帯電話と、ICタグないしはRFIDを用いた携行品チェックシステムは、特許文献3にも記載されている。
【0006】
次に、特許文献4には、手荷物の持ち主が所定の場所を通過する際に忘れ物があるかどうかを判定して、忘れ物を持ち主に知らせることができるようにした忘れ物防止システムが記載されている。特許文献4記載の発明は、無線デバイスと、監視装置と、情報記憶媒体読取装置を備えている。上記無線デバイスは、ID情報が記憶された記憶手段、監視装置からの通信要求電波を受信し応答電波でID情報を送信する無線応答手段を有する。上記監視装置は、通信要求電波を送信し応答電波を受信する送受信手段、ID情報を登録する登録手段、ID情報を受信した際にID情報が登録情報となっている場合に無線デバイスとの通信が可能かどうか判定する判定手段、および警告信号送信手段を有する。上記情報記憶媒体読取装置は、情報記憶媒体からID情報を読み取る読取手段、ID情報を監視装置に送信する手段、監視装置から警告信号を受信した場合に忘れ物があることを知らせる警告手段を有する。情報記憶媒体は、携行すべき物品に付される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−85122号公報
【特許文献2】特開2006−140550号公報
【特許文献3】特開2005−85186号公報
【特許文献4】特開2008−140196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2ないし4に記載されている発明によれば、外出しようとするときに携行すべきものが表示され、あるいは、携行すべきものを持たないで外出しようとすると警告されるため、忘れ物防止効果が高い。しかし、最新の通信技術やソフトウェア技術を使用しているため、構成が複雑で高コストであり、これに加えて、電源を必要とする難点がある。
【0009】
本発明は、以上説明した従来技術の問題点を解消した忘れ物防止具を提供すること、すなわち、最新の高度な通信技術やソフトウェア技術を必要とせず、電源も不要であり、簡単な構成でありながら、忘れ物防止効果の高い忘れ物防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る忘れ物防止具は、第1の受け具と、第2の受け具と、一つの転移部材からなり、上記転移部材は、上記第1、第2の受け具のどちらにも装着可能であり、第1の受け具と第2の受け具の一方は本居に他方は携行品に取り付けることができ、上記転移部材が本拠の受け具に装着されているときは上記携行品が本居にあることを意味し、上記転移部材が携行品の受け具に装着されているときは上記携行品が本居外に携行されていることを意味することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る忘れ物防止具の使用者は、第1、第2の受け具の一方を、本居、例えば自宅のドアの内側に、上記受け具の他方を携行品例えば携帯電話に取り付けておき、外出中は携帯電話側の受け具に転移部材を装着し、帰宅時に上記転移部材を携帯電話側から外して、ドアに取り付けてある受け具に装着する。外出しようとするとき、ドア側の受け具に装着されている転移部材を取り外し、これを携帯電話側の受け具に装着する。受け具をドアに取り付けておけば、外出しようとするとき受け具が目に入るので、この受け具に転移部材が装着されているか否かがわかり、転移部材が装着されているか否かによって携帯電話を所持しているか否かを確認するきっかけになり、携帯電話を忘れたまま外出することが防止される。このように、第1、第2の受け具と転移部材のみによって、電源も必要とせず、高度な最先端の技術も必要としないにもかかわらず、忘れ物を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る忘れ物防止具の実施例を示す模式図である。
【図2】上記実施例の使用例を示すもので、(a)は外出時の態様を、(b)は在宅時の態様を示す模式図である。
【図3】本発明に係る忘れ物防止具の変形実施例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る忘れ物防止具の他の使用例を示す正面図である。
【図5】本発明に係る忘れ物防止具を構成する受け具と転移部材の例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る忘れ物防止具の別の実施例を示す正面図である。
【図7】上記実施例の本居における使用例を示す側面図である
【図8】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す側面図である。
【図9】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す側面図である。
【図10】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る忘れ物防止具のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る忘れ物防止具の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る忘れ物防止具の実施例を示しており、第1の受け具1、第2の受け具2、転移部材3の3つの部材で構成されている。第1、第2の受け具1、2および転移部材3は凹部または凸部を有するブロック状の部材で、図1に示す例では、第1、第2の受け具1、2が凸部11,21を有し、転移部材3が凹部31を有している。第1、第2の受け具1、2はほぼ同じ形でかつ同じ大きさになっていて、双方の凸部11,21もほぼ同じ大きさで突出寸法もほぼ同じになっている。もっとも、第1、第2の受け具1、2の本体部分の大きさや形は互いに異なっていてもよい。転移部材3の凹部31は、第1、第2の受け具1、2の凸部11,21の大きさとほぼ同じ大きさで、深さは上記凸部11,21の突出寸法と同じかわずかに深くなっている。したがって、上記凹部31を上記凸部11,21に嵌めることができ、もって、第1の受け具1または第2の受け具2に転移部材3を装着して一体化することができるようになっている。
【0015】
次に、上記実施例の使用方法の例を説明する。第1、第2の受け具1、2の一方、例えば第1の受け具1をユーザーの本居例えば自宅のドア6の内側に固着しておき、第2の受け具2をユーザーの携行品、例えば携帯電話から延びているストラップ5に取り付けておく。図2はこの使用例を示している。図2(a)は外出中の態様を示しており、図2(b)は在宅中の態様を示している。図2(a)に示すように、外出中は携帯電話4側の受け具2に転移部材3を装着する。帰宅時に、図2(b)に示すように、転移部材3を携帯電話4側から外してドア6に取り付けてある受け具1に装着する。そして、外出しようとするとき、ドア6側の受け具1に装着されている転移部材3を取り外し、これを携帯電話4側の受け具2に装着する。
【0016】
受け具1のドア6への固着手段は任意である。例えば、両面接着テープによって接着し、あるいは、受け具1の底面に固着されている磁石を、鉄などの磁性体からなるドア6に吸着させてもよい。または、上記磁石を受け具1に内蔵させてドアに吸着させるようにしてもよい。ドアが木製のような非磁性体の場合、磁石をドア6に接着などによって固着し、この磁石に、磁性体からなる受け具1、または磁石を内蔵した受け具1を吸着させるようにしてもよい。
図2において、符号7はドア6を開閉するときのノブを示している。
【0017】
第1、第2の受け具1,2の一方、例えば受け具1をドア6に取り付けておけば、外出しようとするとき受け具1が目に入るので、この受け具1に転移部材3が装着されているか否かがわかる。転移部材3が装着されていれば、携帯電話4が自宅内に存在していることを意味していて、携帯電話を忘れていることに気が付くので、ユーザーは携帯電話4を所持し、ドア6側の受け具2から転移部材3を外し、携帯電話4側の受け具1に移し替えて外出する。このように、外出しようとするとき、ドア6側の受け具1に転移部材3が装着されているか否かによって携帯電話4を所持しているか否かを確認することができると共に、確認を促されることになるため、携帯電話4を忘れたまま外出することが防止される。
このように、上記実施例によれば、第1、第2の受け具1,2と転移部材3のみの簡単な構成によって、忘れ物を有効に防止することができる。電源も必要とせず、高度な最先端の技術も必要としないから、極めて低コストで、手軽に使用することができる。
【0018】
第1、第2の受け具1,2に対して転移部材3は安定的に結合されていて、簡単に脱落することのないようにする必要がある。そこで、第1、第2の受け具1,2の凸部11,21と転移部材3の凹部31との嵌まり合いが、ある程度の摩擦力を持つように、いわゆる圧入関係になるようにするとよい。あるいは、磁気吸引力によって吸着されるように、第1、第2の受け具1,2または転移部材3の少なくとも一方側に磁石を装着し、少なくとも他方側の材質を、磁力によって吸着される磁性体にするとなおよい。あるいは、ねじ込み式、バヨネット式などの機械的な結合構造を採用してもよい。
【0019】
図2に示す使用例では、携帯電話4のストラップ5に受け具2が取り付けられている。そこで、受け具2には、ストラップ5への装着部、例えばストラップ5を通すための孔、フック、ファスナなどを設けておくとよい。あるいは、携帯電話4などの携行品と、受け具2の双方に平面ファスナを固着し、平面ファスナ同士を結合することにより携行品に受け具2を取り付けるようにしてもよい。
【0020】
第1、第2の受け具1,2と転移部材3が備える凸部と凹部の関係は、逆であってもよい。すなわち、第1、第2の受け具1,2に凹部を、転移部材3に上記凹部に嵌まる凸部を設けてもよい。
また、第1、第2の受け具1,2と転移部材3が備える凸部と凹部は、互いに嵌まり合うことができれば形状は任意である。例えば、第1、第2の受け具1,2と転移部材3を横方向または縦方向に横切る直線状の凸部と凹部であってもよい。また、図5に示すように、円柱状の凸部11と、この凸部11を受け入れる円筒形状の凹部31であってもよい。図5では第1の受け具1に凸部11を、転移部材3に凹部31を形成した例を示しているが、第1の受け具1に凹部を、転移部材3に凸部を形成してもよい。第2の受け部は第1の受け具1と同じ形に形成される。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の各種変形例および他の使用例について説明する。
図3に示す例は、携行品、例えば携帯電話4にストラップ5を介して装着する第2の受け具2に、ユーザーが何らかのメッセージを表わすカードを固着した例である。メッセージカードの例としては、お年寄りや、病弱者、身体が不自由な人などが、電車やバスの中で席を譲ってほしい旨の意思を表示するカード8、妊婦であることを表示するカード9などがあり、その他各種の意思を表示するカードが考えられる。
メッセージを伝えるための手段は、上記のようなカードに限らず、メッセージを記録したメモリと、このメモリに記録されている内容を視覚的に表示する小型のディスプレイ、あるいは音で表示するスピーカを備えているものであってもよい。
【実施例3】
【0022】
図2について説明したように、前記実施例に係る忘れ物防止具は、外出しようとするときは、ドア6に固着した受け具1から転移部材3を外して携帯電話などの携行品側の受け具2に装着するものであるが、転移部材3を受け具1から携行品側の受け具2に移し替えることを忘れたまま外出することがあり得る。そこで、ドア6に固着した受け具1に転移部材3を装着したまま外出しようとしてドア6を開けると、ドア6とともに受け具1が揺れることによって受け具1が何らかの音を発するように、受け具1に発音装置を組み込むとよい。発音装置としては、例えば幼児をあやすときに用いるいわゆる「ガラガラ」と同じ原理の装置を組み込むとよい。さらに望ましくは、受け具1に転移部材3が装着されているときにのみドアの開閉による揺れで発音し、転移部材3が装着されていないときは発音が停止するようにするとよい。例えば、受け具1に転移部材3が装着されているときは、転移部材3に組み込まれている発音装置のロックが磁力により解除され、ドアの開閉による揺れで発音し、受け具1から転移部材3が取り外されると上記磁力がなくなって発音装置の動作がロックされて発音が停止するようにする。あるいは、受け具1に転移部材3が装着されると転移部材3のレバーが押されて転移部材3に組み込まれている発音装置のロックが解除され、転移部材3が取り外されると上記レバーが復帰して発音装置の動作がロックされるようにすることもできる。
【0023】
上記のような発音装置を備えているものにおいては、耳の不自由な人にとってはアラームの効果がないので、光によってアラームを発するようにしてもよい。例えば、図8に示すように、本居のドア6の内側には、受け具1のベースとなる部材(以下「基台」という)45が固着され、基台45の前面に第1の受け具1が固着されるようになっている。基台45は電源電池を内蔵すると共に発光素子46、例えばLEDが組み込まれている。受け具1に転移部材3が装着されている状態でドア6が開閉されると、ドア6の動きなどを検知して発光素子46が発光し、携行品の持ち出しを忘れていることを警告する。アラームは、例えば振動モータによる振動を利用してもよい。
【実施例4】
【0024】
本発明の技術思想によれば、第1、第2受け具と転移部材の構成をこれまで説明してきた実施例よりも簡単にすることができる。図6、図7に示す実施例はその一つで、符号43は、十字形の転移部材を示している。転移部材43には、一般に「ナスカン」と称して、一部を開閉可能な開閉リング16が取り付けられている。携行品の例である携帯電話4のストラップ5にリング42が取り付けられていて、このリング42は前記実施例における第2の受け具と同じ役割を果たしている。携帯電話4のユーザーの本居にはドア6の内側に、前記実施例における第1の受け具と同じ役割を果たすフック41が取り付けられている。携帯電話4のユーザーは、本居に戻ると、携帯電話4のリング42から転移部材43を外し、フック41に掛けておく。外出するときはフック41から転移部材43を外し、携帯電話4のリング42に上記開閉リング16を掛け止めて転移部材43を携帯電話4に連結する。携帯電話4の携行を忘れて出かけようとすると、フック41に掛けられている転移部材43が目に入るので、携帯電話4を持ち、転移部材43を携帯電話4に移し替えて外出する。図7に示す例では、ドア6にベル50が吊り下げられている。ドア6の開閉時にドア6の振動によりベル50が鳴るため、外出するに当たって忘れ物がないかどうかの確認を促す効果がある。
【0025】
上記実施例によれば、本発明に係る忘れ物防止具の技術思想を、より簡単な構成で実現することができる。図9も、より簡単な構成で本発明の技術思想を実現することができる実施例を示している。図9(a)に示す例は、先に説明した実施例における転移部材3を、本居のドア6に固着されている平板状の磁石33に吸着させるようにしたものである。したがって、この実施例における磁石33は第1の受け具を構成している。
図9(b)に示す実施例は、転移部材3にループ状の紐34を取り付け、本居のドア6には前記実施例で説明したフック41を取り付け、このフック41に上記紐34を引っ掛けるようにしたものである。したがって、この実施例におけるフック41は第1の受け具を構成している。
【0026】
図4は、本発明に係る忘れ物防止具の別の使用例を示す。携行品は携帯電話に限らず複数あるのが普通であるから、本発明に係る忘れ物防止具を、携行品の数に対応する数だけ使用するとよい。図4はその例で、4つの携行品があるとすれば4つの忘れ物防止具A,B,C,Dを使用する。図4は、4つの忘れ物防止具を構成する前記第1、第2の受け具1,2と転移部材3のうち、第1の受け具1が4個、ユーザーの自宅のドア4に取り付けられている様子を示している。ユーザーは、外出時に、4個の携行品それぞれにつき上記4個の受け具1から転移部材を外してそれぞれに対応する携行品側の受け具に装着することにより、4個の携行品を忘れることなく携行したか否かのチェックを行うことができる。
【0027】
図4に示す使用態様は、家族が複数人いる場合に、家族構成員の在宅状況の表示装置としても使用することができる。例えば家族全員が携帯電話を持っていて、家族全員分の携帯電話につき本発明に係る忘れ物防止具を使用するものとし、それぞれの第1、第2の受け具のうち第1の受け具1を自宅のドア6の内側に取り付けておく。家族の一人一人が帰宅したとき、携帯電話側の受け具から転移部材を外して、これを定められた受け具1に装着する。したがって、受け具1に転移部材が装着されていれば、その受け具1が割り当てられている家族の一人は在宅していることがわかり、すべての受け具1を見ることによって、家族の在宅状況が分かる。また、家族の一人一人は、外出時に、割り当てられている受け具1に転移部材が装着されているか否かを確認することによって、携帯電話の携行を忘れていないか否かを確認することができる。
【実施例5】
【0028】
上記の使用例のように複数人で忘れ物防止具を使用する場合、図10に示す実施例に係る忘れ物防止具を使用すると便利である。図10(a)に示す実施例は、複数の第1の受け具1を取り付けた基台48を有し、上記各受け具1は、例えば家族の一人一人に割り当てて使用するようにし、一人一人が携行品について管理することができるようにしたものである。もっとも、使用方法はユーザーの任意で、一人のユーザーが複数の携行品について管理してもよい。基台48には、基台48が動作中であることを表示し、あるいは受け具1の一つにでも転移部材が装着されていれば点灯してアラームを発する発光素子49が設けられている。
図10(b)に示す実施例は、一つの基台50に対して一つの受け具1を取り付けた例である。基台50には、上記のようなアラームを発する発光素子51が取り付けられている。ユーザーは、この忘れ物防止具を使用する人数が増えた場合、あるいは忘れ物防止の対象になる携行品が増えた場合、忘れ物防止具を増やし、基台50の外に第1の受け具1を取り付ける。
【実施例6】
【0029】
図11は、キーホルダーを兼ねた忘れ物防止具の実施例を示す。図11において、符号44はキーを、55は袋状のキーホルダーを示す。キーホルダー55は、キー44を挿入するとキー44の基部を包み込む袋状の部分を備え、その底部にはキー44の本体部分が突き通る孔が形成され、また、図7で説明したような第1の受け部をなすフック41に掛けることができるループ状の紐56を有している。図11(a)はキーホルダー55にキー44を挿入する前の様子を、図11(b)はキーホルダー55にキー44を挿入した様子を示している。キーホルダー55は、これまで説明してきた転移部材と同じ機能を果たしている。ユーザーは、外出時は図11(b)のようにキーホルダー55にキー44を挿入して携行する。本居に戻ると、キーホルダー55からキー44を抜き出し、キーホルダー55の紐56を、ドアなどに取り付けられているフックに掛けておく。外出しようとするときは、フックからキーホルダー55を外してこれにキー44を挿入し、キーホルダー55とともにキー44を携行する。こうして、キー44の携行を忘れることはなくなる。
【実施例7】
【0030】
本発明に係る忘れ物防止具には、着せ替え人形の発想を採り入れることもできる。すなわち、第1、第2の受け具は、服を着せ替えることができる人形とし、転移部材は上記人形に着せることができる服とする。服は、ユーザーの好みに応じて、季節に応じて、あるいは気分に応じて任意に取り換えることができるようにするとよい。この実施例によれば、趣味の要素を取り入れながら忘れ物をなくすことができる。この着せ替え人形の発想は、ユーザーの趣味などに応じて様々に展開することができる。
【0031】
同じ仕様の忘れ物防止具であれば、例えば友達同士で転移部材3を交換することができ、そのとき転移部材3にメッセージを添付することによりにメッセージの交換をすることもできる。メッセージを添付する媒体は、転移部材3に添付した紙であってもよいし、USBメモリなどでもよい。
【0032】
転移部材3にRFIDのような、電源のいらない識別チップを埋め込んでおき、ユーザーの自宅などの本居に取り付ける受け具に識別チップの読み取り装置および送受信ユニットを組み込んでおけば、個々の携行品を識別して履歴データをコンピュータなどに保存することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る忘れ物防止具は、携帯電話に限らず、あらゆる携行品に使用することができる。例えば、財布、キーホルダー、定期券入れなど、外出時に携行することが必須の持ち物に使用すると、これらの携行を忘れることがなくなって便利であり、かつ、低コストで供給することができるため、多くの需要が見込まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 第1の受け具
2 第2の受け具
3 転移部材
4 携行品
5 ストラップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の受け具と、第2の受け具と、一つの転移部材からなり、
上記転移部材は、上記第1、第2の受け具のどちらにも装着可能であり、
第1の受け具と第2の受け具の一方は本居に他方は携行品に取り付けることができ、
上記転移部材が本拠の受け具に装着されているときは上記携行品が本居にあることを意味し、上記転移部材が携行品の受け具に装着されているときは上記携行品が本居外に携行されていることを意味する忘れ物防止具。
【請求項2】
第1、第2の受け具と転移部材は、互いに嵌まり合うことができる凹部と凸部を有していて、第1、第2の受け具の凹部または凸部は同じ形状でかつ同じ大きさである請求項1記載の忘れ物防止具。
【請求項3】
第1、第2の受け具と、転移部材との少なくとも一方は、互いに吸着し合う磁石を有する請求項1記載の忘れ物防止具。
【請求項4】
第1、第2の受け具と転移部材は、ねじまたはバヨネットなどの機械的な結合構造を備えている請求項1記載の忘れ物防止具。
【請求項5】
第1、第2の受け具の少なくとも一方には、携行品側に取り付けられているストラップへの取り付け部が設けられている請求項1または2記載の忘れ物防止具。
【請求項6】
第1、第2の受け具または転移部材の少なくとも一方は、他方との間に磁気吸引力を生じる磁石を備えている請求項1、2または3記載の忘れ物防止具。
【請求項7】
第1、第2の受け具の少なくとも一方には、この受け具が揺れることによって発音する発音装置が組み込まれている請求項1乃至4のいずれかに記載の忘れ物防止具。
【請求項8】
発音装置は、転移部材が装着されているとき発音することができ、転移部材が装着されていないときは発音が停止する請求項5記載の忘れ物防止具。
【請求項1】
第1の受け具と、第2の受け具と、一つの転移部材からなり、
上記転移部材は、上記第1、第2の受け具のどちらにも装着可能であり、
第1の受け具と第2の受け具の一方は本居に他方は携行品に取り付けることができ、
上記転移部材が本拠の受け具に装着されているときは上記携行品が本居にあることを意味し、上記転移部材が携行品の受け具に装着されているときは上記携行品が本居外に携行されていることを意味する忘れ物防止具。
【請求項2】
第1、第2の受け具と転移部材は、互いに嵌まり合うことができる凹部と凸部を有していて、第1、第2の受け具の凹部または凸部は同じ形状でかつ同じ大きさである請求項1記載の忘れ物防止具。
【請求項3】
第1、第2の受け具と、転移部材との少なくとも一方は、互いに吸着し合う磁石を有する請求項1記載の忘れ物防止具。
【請求項4】
第1、第2の受け具と転移部材は、ねじまたはバヨネットなどの機械的な結合構造を備えている請求項1記載の忘れ物防止具。
【請求項5】
第1、第2の受け具の少なくとも一方には、携行品側に取り付けられているストラップへの取り付け部が設けられている請求項1または2記載の忘れ物防止具。
【請求項6】
第1、第2の受け具または転移部材の少なくとも一方は、他方との間に磁気吸引力を生じる磁石を備えている請求項1、2または3記載の忘れ物防止具。
【請求項7】
第1、第2の受け具の少なくとも一方には、この受け具が揺れることによって発音する発音装置が組み込まれている請求項1乃至4のいずれかに記載の忘れ物防止具。
【請求項8】
発音装置は、転移部材が装着されているとき発音することができ、転移部材が装着されていないときは発音が停止する請求項5記載の忘れ物防止具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−100310(P2011−100310A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254625(P2009−254625)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(504149317)有限会社 マコト・オリサキ インターワークス研究所 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(504149317)有限会社 マコト・オリサキ インターワークス研究所 (1)
【Fターム(参考)】
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