説明

急性疼痛及び慢性疼痛の治療におけるテロシノブファギンの鎮痛剤としての使用、テロシノブファギンを含む薬学的組成物及びその使用

本発明は、急性疼痛及び慢性疼痛の治療又は予防のための薬品の製造におけるテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用に関する。本発明はさらに、テロシノブファギンの有効量を含む薬学的組成物に関する。本発明はさらに、急性疼痛及び慢性疼痛に対し鎮痛作用を誘発する方法に関し、該方法は、テロシノブファギンの有効量を人間又は動物に投与することを含む。インビボ試験の結果から、テロシノブファギンはモルヒネよりも強力であり、オピオイドの周知の副作用を示さないことが分かった。加えて、インビボ及びインビトロ試験の結果から、テロシノブファギンが心毒性を示さないことが分かった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛に対する鎮痛及び治療又は予防の分野に関する。
【0002】
本発明は、人間及び動物における疼痛の治療又は予防のための薬品の製造におけるテロシノブファギン(TCB)又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体(derivatives)の使用に関する。本発明はさらに、急性疼痛及び慢性疼痛に対する鎮痛剤としてのテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用に関する。本発明はさらに、テロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、急性疼痛及び慢性疼痛の治療又は予防の方法に関し、該方法は、前記疼痛の治療を必要とする人間又は動物に、テロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の有効量を導入することを含む。
【背景技術】
【0004】
国際疼痛研究学会(IASP)によれば、疼痛は「組織の実質的あるいは潜在的な傷害又はそのような障害を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚又は感情的な経験」(Loeser, J. D., Melzack, R. 1979. Pain: an over view. Lancet 353:1607-1609)と定義される。生理学的に、疼痛は重要な警告として作用し、これにより防御及び予防反応が起こる。
【0005】
疼痛は様々な臨床的障害の兆候であり多く人々に影響を与える。疼痛は医療サービス需要の大きな割合を占めるとともに、心理社会的、行動的及び生理病理学的なプロセスを伴う多要因現象を引き起こす。
【0006】
有害な可能性のある刺激を有することに加えて、疼痛は個別の含蓄を有しかつ疼痛の感覚を減少又は増大させる感情的及び情緒的な行動を含む主観的な経験として表現される(Almeida, R. f. Roizenblatt, S., Tufik, S. 2004. Afferent pain pathways: a neuroanatomical review. Brain Res 1000:40-56)。
【0007】
コミュニケーション及びデータ解釈を容易にするため、IASPは疼痛を5つの主軸に分類する分類学を開発し、これにより疼痛は、痛む部位、疼痛が伴う系、疼痛の時間的特徴、患者が訴える疼痛の強さ及び疼痛の病因によって分類される。
【0008】
上記部位に関して、疼痛の影響を受ける可能性があるのは、頭、顔、口、頸部、肩、上肢、胸部、腹部、腰仙椎、尾骨、下肢、骨盤及び会陰部、肛門及び生殖器である。
【0009】
上記系に関して、疼痛が生じる可能性のある系は、神経系(中枢、末梢及び/又は自律神経系)、心理的及び社会的因子、呼吸器系及び/又は心臓血管系、筋骨格系及び/又は腺組織、胃腸系、尿生殖器系及びその他の臓器又は内臓である。
【0010】
上記時間的特徴に関して、疼痛は、連続的又は変動せずほぼ連続的、連続的に悪化、周期的に再発、不規則に再発、発作的及びそれらの組み合わせである可能性がある。
【0011】
上記強さに関して、患者により報告される疼痛の強さには、穏やか、並及び非常に強い、が含まれる。
【0012】
上記病因に関して、疼痛の原因には、先天性又は遺伝性疾患;外傷、手術又はやけど;伝染性及び/又は寄生性疾患;代謝異常;炎症;自己免疫疾患;腫瘍性疾患;中毒;代謝の変調及び異常;変性状態;機能不全状態;精神的混乱、及び未知の原因が含まれる。
【0013】
疼痛は、これらのカテゴリに加えて、その持続期間又は発展特性、急性か又は慢性か、に基づいて分類される。急性疼痛は生理的性質を有し、組織損傷により生じ、そして警告及び防御の役割を果たす。この疼痛は機械的又は化学的刺激を介する。この疼痛は通常持続時間が短く、2つの種類に分けられ、すなわち末梢の侵害受容性刺激による疼痛は神経系のものであり、もしくは炎症反応による疼痛は炎症である。したがって急性疼痛ははっきりとした因果関係を有し、特徴として、時間が決まっており区切られていること及び病的工程の解消とともに消えることが挙げられる。一方で慢性疼痛は長い時間持続し、場合によっては痛覚の中枢機構の変化を伴うこともあるので徐々に組織の活動能力を奪う。慢性疼痛は実際の障害がなくても存在又は持続することがあり、精神的(感情的)行動を持続的に変化させて、永続的な物理的及び精神的機能障害を引き起こす(Almeida, R. F. Roizenblatt, S., Tufik, S. 2004. Afferent pain pathways: a neuroanatomical review. Brain Res 1000:40-56)。
【0014】
最も一般的な慢性疼痛には、腫瘍に関連するもの、筋筋膜性疼痛症候群に関連するもの、頭痛、線維筋痛、リウマチ性関節炎に関連するもの、幻肢痛、中枢痛症候群及び神経障害性疼痛がある(Ashburn, M. A.; Staats, P. S. 1999. Management of chronic pain. Lancet, v. 353, p. 1865-1869)。
【0015】
神経障害性疼痛は常に慢性的であり、神経障害又は痛みの神経回路の機能不全が原因で生じる。こういった場合、組織の損傷はないものの、痛みの情報を伝える神経経路の異常活性化がみられる。そのような疼痛は、患者によって、焼けつく、ピン又は針で刺される、電気ショックのような感じ又は無感覚として表現される。またそのような疼痛は、皮節に相当する皮膚領域で生じ、オピオイドに対し十分な反応を示さない場合もある。また心因性疼痛は通常慢性疼痛であり、抑うつ性及び/又は逆状態と関連し、上記のメカニズムはあてはまらない。
【0016】
1994年、IASPは、神経障害性疼痛を第一病変又は神経系の機能不全に起因する神経性の疼痛であると定義することを提案した(Merskey H, Bogduk N. 1994. Classification of Chronic Pain, 2nd ed. Seattle:IASP Press, 394)。神経障害性疼痛は、末梢神経、神経根、脊髄、脳幹及び脳の損傷に起因する可能性がある。神経障害性疼痛は実体が複雑かつ異質であり、疼痛のサイン及び症状の強さが時間とともに変化する。神経障害性疼痛は様々な病状(表1)と関連し、その臨床所見もその他の様々な症状と関連する。
【0017】
【表1】

【0018】
神経障害性疼痛は連続的又は刺激的で焼けつくような疼痛として記述され、一般的に異痛症及び/又は痛覚過敏症と関連する。異痛症は通常は疼痛に起因しない(非創傷性)刺激に反応する疼痛として定義され、痛覚過敏症は疼痛を伴う刺激(創傷性)に対する敏感さが増幅したものとして定義される。
【0019】
疼痛は新生組織形成を有する患者に非常に多くみられる症状である。通常新生組織形成を有する患者の50%から70%に疼痛が存在し、病気の段階がより進行した患者の最大90%に疼痛が存在する。新生組織形成に関する疼痛は通常非常に強く、神経、骨及び軟組織の侵潤及び/又は圧迫、管腔臓器の閉塞及び/又は膨張、腫瘍随伴症の神経障害、並びに手術、化学療法又は放射線治療によって生じた中毒性又は炎症性神経障害のなどのメカニズムによって生じる。悪性腫瘍に関する疼痛は三分の二以上のケースが腫瘍への直接的な攻撃が原因で生じ、四分の一のケースは抗腫瘍療法が原因で生じる。そのような疼痛は多面的であり、急性、慢性、侵害受容性、神経障害性又は心因性に分類することができる。
【0020】
侵害受容性疼痛(侵害受容性なる語の由来は「損傷を与える」の意味を持つラテン語のnocereである)は、急性的又は慢性的であり、外傷、炎症又は圧迫による組織の損傷(ヘルニア形成及び腫瘍)が原因で生じる。そのようなプロセスは、神経支配された任意の体部位の自由神経端での生理的刺激を増進する。その強度はレセプターの活性化程度に比例し、通常はオピオイドによって十分に制御される。(ESMO. Management of cancer pain: ESMO Clinical Recommendations. Annals of Oncology. 2007. 18(Suppl 2) : ii92-ii94. Polomano, R. C. Farrar, J. T, 2006. Pain and neuropathy in cancer survivors. Am, J. Nurs., 106 (3 Suppl) : 39-47)。
【0021】
異なる病因により生じる急性疼痛の治療のために、オピオイド及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの種々の有効な薬物がある。神経障害性疼痛の治療に有効な選択肢は効果が低いか又は耐え難い。他の種類の疼痛の治療に有用な化学物質は、その独特な病態生理的メカニズムが原因で神経障害性疼痛の治療での有効性が限られる。
【0022】
例えばモルヒネは、その世界的な有効性、豊富な臨床経験、有意な薬物動態及び薬力学的データ、低コスト及び様々な持続性放出製剤により、深刻な急性疼痛の場合の投与に広く使用されている。しかしながらその治療における使用は、特に副作用の発生及び副作用の重大度、耐性現象(効果持続のために投与量を増やす必要がある)、依存性(身体的及び精神的に使用を必要とする)、吐き気、便秘、かゆみ、眠気及び呼吸抑制妨害などの要因により制限される。
【0023】
特に、オピオイドの有効性は、炎症の疼痛の治療よりも神経性障害の疼痛の治療での方が低い(Bridges, D., Thompson, S. W. N., Rice, A. S. C. 2001. Mechanisms of neuropathic pain. British Journal of Anaesthesia 87 (1): 12-26)(Sindrup S. H., Jensen, T. S. 1999. Efficacy of pharmacological treatments of neuropathic pain: an update effect related to mechanism of drug action. Pain; 83: 389-400)。
【0024】
NSAIDsの部類は急性疼痛並びに穏やか及び並の慢性疼痛の治療に非常に有効である。NSAIDsが鎮痛効果を発揮する主なメカニズムは、特定のプロスタグランジン又はプロスタノイドの合成の抑制である。プロスタノイドの合成には、二つの異なるシクロオキシゲナーゼ酵素(COX)、COX−1及びCOX−2が用いられる。典型的なNSAIDsは両方の酵素を抑制する。さらに、5−リポキシゲナーゼなどのその他の脂質合成酵素も抑制する。NSAIDsは依存性を発生させないが、消化管病変、腎臓毒性及び血小板凝集抑制などの重大な中毒作用を有する。
【0025】
あるいは、現在神経障害の治療の補助に使用されている補助鎮痛剤の主な部類には、特に抗鬱剤、抗けいれん剤、局部麻酔薬、筋弛緩薬及び交感神経遮断薬が含まれる(Max, M. B. 1994. In: Progress in Pain Research and Management (Ed, Fields H. L., Liebskind J. C.) IASP Press, Seatfle, 229)。
【0026】
神経障害性疼痛の治療に使用されるいくつかの抗けいれん剤は、a)カルバマゼピン、これは中枢及び末梢に対する効果を有するが、中枢神経系に関連する副作用(視覚低下、めまい、頭痛、精神混乱、吐き気など)の発生率が高く、また他の薬物と相互作用する可能性も高い;b)オキスカルバゼピン、これはカルバマゼピンよりも安全であるが、腎不全、血漿ナトリウム値の減少、白血球減少症、血小板減少症及び皮膚発疹を有する患者に深刻なダメージを与える可能性がある;c)フェニトイン、これはカルバマゼピンよりも強力であるが、零次反応速度論として知られる現象が原因で薬物代謝に重要な酵素系が血清濃度の増加と共に飽和し、少量の投与量の増加によって薬物血清濃度値を大きく上昇させて望ましくない副作用を引き起こす;d)ガバペンチン、これは薬物力学的な観点から薬物の中でも最も安全であると考えられるが、治療には高投与量を要し通常はコストが実用的でなく、さらに他の薬物と組み合わせる必要がある。
【0027】
しかしながら、現在利用可能な治療は効果が限られており(疼痛が完全に取り除かれるのはまれである)、上記のような衰弱性副作用の発生率が高い。
【0028】
疼痛の生理病理学上の複雑さから、非常に強い急性疼痛及び慢性的な疼痛は単一の作用剤による効果的な治療はほぼ不可能である。異なる薬学的な作用剤を異なる作用メカニズムと関連付けることは臨床診療において一般的に行われる。例えば一つのストラテジーにおいては、低投与量のオピオイド鎮痛剤を一以上の非オピオイド薬物の鎮痛効果のある投与量と組み合わせて使用する。このアプローチは、副作用及びアレルギー発生率が低いより良い鎮痛プロファイルを提供するものの、一以上の治療を含むマルチ治療に関連する危険性を含む。
【0029】
加えて、向神経活性ステロイド、βアドレナリン作用薬、選択的プロスタノイド受容体拮抗薬、NMDA拮抗薬、ニコチン性ニューロン受容体作用薬、カルシウムチャネル拮抗薬、セロトニン5−HT受容体拮抗薬(1B/1D);カンナビノイド作用薬、スーパーオキシドジスムターゼ模倣薬、P38MAPキナーゼ抑制剤、トリプタン、TRPV1作用薬、ケタミン、NK1受容体拮抗薬、カバペンチノイド及びグリシン受容体拮抗薬を含むその他の種々の薬物が疼痛の治療に使用されている。
【0030】
以上のことから、神経障害性疼痛の治療が一般的に困難であってしばしば期待通りの結果とならないことが分かる。したがって、神経障害性疼痛を有する患者が多くの場合に必要とするのは、薬物治療と、それに加えて例えば脳神経外科に関する対策、麻酔剤の妨害、交感神経遮断薬の部分的注入、侵潤、電極を用いる神経刺激、鍼治療、髄腔内薬物注入、並びに疼痛に耐えることを助ける物療医学、心理学及び作業療法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
したがって、疼痛、特に非常に強い急性疼痛及び慢性的な疼痛に関する問題を解決することができるより効果的でかつ安全な治療が実際に必要とされている。これに関し、本発明は、急性疼痛及び慢性疼痛の両方に対する治療又は予防において、テロシノブファギンを効果的かつ安全な鎮痛剤として使用することを記述する。
【0032】
テロシノブファギン(TBC)、化学名(3β、5β)−3,5,14−トリヒドロキシ−ブファ−20,22−ジエノリド、は、ブファジエノリドステロイドの部類に属し、CAS登録番号は472−26−4である。テロシノブファギンの分子式はC24345、分子量は402.52、構造式(化1)は以下のとおりである。
【0033】
【化1】

【0034】
テロシノブファギンは、1949年に他のブファジエノリド(シノブファギン、ブファリン、ブホタリン及びシノブホタリン)とともにMeyerによって最初に記述され、それらは全て、センソから摘出され、かつジギタリス様性質を示す。その組成物は、センソ(中国語でCh’an Su,日本語でセンソ)を含有する調剤である従来のCh’an Su茶から抽出される(Meyer, K. 1949. Cardioactive principles of Ch'an Su (Senso). Pharmaceutica Acta Helvetiae, 24: 222-46 and Cardiac-active toad poisons (bufogenins). II. Constitution of bufalin. Meyer, K. 1949. Helvetica Chimica Acta, 32: 1238-45)。
【0035】
テロシノブファギンの合成は、1974年にPettitによって最初に提示され、Pettitは合成経路の記述をジギトキシゲニンから開始し、ブファリン及びシラレニン(scillarenin)を経てテロシノブファギンに到達した。シラレニンが天然の配糖体プロスシラリジンAから潜在的に入手可能であることから、記述された合成によって、テロシノブファギン及び関連物質へのアクセスがより簡単になった(Pettit, G. R., Kamano, Y. Bufadienolides. 27. 1974. Synthesis of Telocinobufagin. J. Org. Chem., 39 (17): 2632-2634)。
【0036】
ブファジエノリドなる語は両生類の毒及び皮膚並びにいくつかの植物組織抽出物中に生じるステロイドの部類を指す。ブファジエノリドはさらに、野菜、果物及び蛇から摘出される。ブファジエノリドは、六つの要素から成るラクトン群と結合したステロイドリングから構成される。
【0037】
動物において、ブファジエノリドはヒキガエル科の中に広く分散し、これらの組成物の多くがブフォ属(bufo)から摘出され、大部分がステロイド誘導体である。例えばRossiらはパラグアイオオヒキガエルの耳腺のセンソ中にある組成物、即ちシトステロール、Argentinogenin、ブファリン、ブホタリニン、ガマブホタリン、hellebrigenin、hellebrigenol、マリノブホゲニン(marinobufogenin)、レジノブホゲニン(resinobufogenin)及びテロシノブファギンを識別した(Rossi. H., Blumenthal, E. E. A., Jared, C. 1997. Bufodienolides from the venom of Bufo paracnemis (amphibia, anura, bufonidae). Anais Assoc. Bras. Quim, 46(1): 21-26)。
【0038】
ブフォ属の毒性分泌物から抽出された製品の医学薬学的潜在能力は周知である。過去には、乾燥アジアヒキガエルの毒から得られた市販の調剤である永久的Ch’an Su(又はセンソ)を治療に使用することが報告されている。これはおそらく最初でかつ最も古い動物由来の毒の治療における使用である。その応用は非常に多様でかつ皮膚創傷治癒並びに粘膜出血及び風邪の制御を含む。さらにこれは心臓病の治療にも使用されているが、この使用は、ジギタリス組成物を超える利点がないので廃止された(Hong, Z, Chan, K, Yeung, H. W. 1992. Simultaneous determination of Bufadienolides. In: the traditional Chinese medicine preparation, Liu-Shen-wan, by liquid chromatography. J. Pharm. Pharmacol, 44: 1023-1026)。
【0039】
ブホゲニン及びブホトキシンは、ジギタリス抽出物と同様に作用するとともに、毒の中にある濃度において哺乳類に対して心毒性を有する。ブホゲニン及びブホトキシンは、Na+K+アデノシン三リン酸加水分解酵素を抑制するとともに、カエルの皮膚上における水と塩のホメオスタシスに関連する。これらのステロイドは血圧を増大させ、希釈された濃度であっても一部の哺乳類の平滑筋を刺激する(Toledo, de R. C; Jared, C. 1995. Cutaneous granular glands and amphibian venoms. Comp. Biochem. Physiol. 111(1): 1-29)。
【0040】
国際特許出願番号第WO0214343A1号(Novolanら、2002年)には、免疫修飾活性、特に免疫抑制剤及び抗炎症剤並びに/又は心臓に作用しないブファジエノリドの場合は抗増殖作用、を伴う製剤におけるブファジエノリドの使用が記載されている。前記文献は、人間におけるリウマチ性の疼痛の治療のための臨床的プロトコルを示唆しており、リウマチの炎症がある患者に、ブファジエノリド、好ましくはプロスシラリジンA(0.1〜3.0mg)を炎症を起こしている関節又は組織に注射することが記載されている。しかしながら、炎症及び疼痛の減少をサポートする生物学的又は臨床学的試験の結果は示されていない。
【0041】
本発明の目的は、疼痛の治療又は予防のための代替手段を提供することである。そのような意味で、本発明は、急性疼痛及び慢性疼痛の治療又は予防のための効果的かつ安全な鎮痛剤としてテロシノブファギンを使用することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0042】
本発明の一側面によれば、疼痛の治療又は予防のための薬品の製造において、テロシノブファギン(式I)又はその薬学的に許容される誘導体を使用することが記述される。より具体的には、本発明は、人間又は動物における急性疼痛又は慢性疼痛の治療又は予防のためにテロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体を使用することを記述する。
【0043】
本発明の一側面によれば、急性疼痛及び慢性疼痛(炎症、神経障害及びその他の疼痛)を含む疼痛が支配する障害又は状態を治療する薬品の製造のための、(a)テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体及び(b)薬学的に許容される賦形剤を備える薬学的組成物が記述される。
【0044】
本発明の別の側面によれば、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体の有効量を人間又は動物に投与することを含む、急性疼痛及び慢性疼痛の治療又は予防のための方法が提供される。
【0045】
本発明の別の側面によれば、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体の有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を人間又は動物に投与することを含む、急性疼痛及び慢性疼痛を治療する方法が提供される。
【0046】
本発明は、さらに、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体及び薬学的に許容される賦形剤をふくむ薬学的組成物を記述する。
【0047】
本発明に係る薬学的組成物は、以下の投与法にしたがって投与されてもよく、その投与法とは、経口投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、歯肉組織内投与、静脈内投与、筋内投与、関節内投与、皮下投与、吸入投与、経皮投与、局所性及び脊髄投与(くも膜下及び硬膜外)である。特に、経口投与法が好ましい。
【0048】
本発明に使用される「動物」なる語は、家畜、捕らわれた又は捕らわれていない野生動物及び実験用動物を指す。
【0049】
本発明に使用される「有効量」なる語は、各投与法に対して適切な投与量に基づいて投与された時に所望の鎮痛作用を提供するテロシノブファギンの量を指す。
【0050】
本発明に使用される「薬学的に許容される賦形剤」なる語は、他の成分と混合可能でかつ人間又は動物に害を及ぼさない成分を指す。
【0051】
本発明に使用される「薬学的に許容される誘導体」なる語は、エナンチオマー(enantiomers)、多形体、疑似多形体(水和物及び溶媒和物)並びに炭酸塩、カルバミン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、配糖体、硫酸塩、スルホン酸塩、エーテル又はエステルなどのプロドラッグを指す。
【0052】
本発明に使用される「治療する」なる語は、前の状態に戻す、軽減する、抑制する、防止する又は人間又は動物の疼痛に進行を減少させることを指す。また本発明に使用される「治療」なる語は、上記した定義した治療する動作及び予防を指す。本発明に使用される「予防」なる語は防ぐ動作を指し「先制鎮痛」なる語に関係する。この語は、疼痛が生じる前に疼痛を予防する治療を指す。そのような手順は、麻酔が切れた後に疼痛が生じることを医師が知っている場合しばしば術後に用いられる。上記の語は、また、やけど及び腫瘍疾患などの慢性的な状態の場合の治療の中でも使用され、医師は、患者が疼痛を訴える時だけでなく決められた時間に投与される鎮痛剤を処方する。先制鎮痛の目的は、患者に快適さを与えて疼痛の発現を回避するとともに、反射性過剰興奮性の発生及び末梢侵害刺激に対するニューロンの鋭敏化を防ぐ。中枢性感作は、一度生じると抑えることが難しく、神経障害性疼痛の発現を伴うこともある(Woof, C. J. 1983. Evidence for a central component of post-injury pain hypersensitivity. Nature, 686-688; Wall, P.D. 1988. The prevention of postoperative pain. Pain.)。
【0053】
本発明に使用される「急性疼痛及び慢性疼痛を含む疼痛が支配する混乱又は状態を治療する」なる語は、以下の群から選択される状態に起因する疼痛を指す。その群は、先天性又は遺伝性疾患;外傷、手術又はやけど;伝染性及び/又は寄生性疾患;代謝異常;炎症;自己免疫疾患;腫瘍性疾患;中毒;代謝の変調及び異常;変性状態(神経系及び他の系);機能不全状態;精神的混乱から成る。
【0054】
本発明に使用される、急性疼痛及び慢性疼痛を含む疼痛が支配的な障害又は状態は、外傷性骨関節及び筋肉病変などの軟組織及び末梢組織病変;神経根又は延髄病変を含む外傷性神経系病変、放射線、外科手術及び熱的、化学的又は電気的やけどに起因する機械的な病変;体細胞に関する原因(例えば組織損傷)による急性的又は慢性的に発症した腫瘍性又は非腫瘍性の神経障害性又は心因性メカニズムが原因の疼痛;変形性関節症、リウマチ性関節炎;特に外傷を受けた後の筋骨格痛;歯痛などの口腔顔面痛;偏頭痛を含む原発性及び二次性頭痛;異常な疼痛;良性及び悪性の新生組織形成を含む腫瘍が原因の疼痛、例えば癌が原因の疼痛;術後の疼痛;多発性硬化症及び筋萎縮性側索硬化症を含む神経変性疾患が原因の疼痛;糖尿病及び椎間板ヘルニアを含む変性疾患を伴う神経障害が原因の疼痛;糖尿病、甲状腺機能低下又は甲状腺機能亢進症を含む代謝の変調が原因の疼痛;繰り返しの損傷が原因の疼痛;先天性又は遺伝性疾患が原因の疼痛;ハンセン病、帯状疱疹、後天性免疫不全症候群(AIDS)、重金属を含む中毒を含む伝染性又は寄生性疾患が原因の疼痛;求心路遮断痛、中枢性疼痛、幻肢痛、灼熱痛、骨髄障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群、残根痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ヘルペス後神経痛、糖尿病性単神経障害、虚血性神経障害、結節性多発動脈炎、放射線治療後の疼痛、多発性神経障害、多発単神経炎、伝染性及び神経変性骨髄障害、中毒性神経炎、血管炎及び脊髄空洞症からなる群、しかしこれに限定されない、から選択される。
【0055】
本発明のより深い理解及び描写のために、詳細な記載に添付される図面を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】マウスを用いた腹部ねじり試験における経口投与されたテレオシノブファギンの鎮痛作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。
【図2】マウスを用いた腹部ねじり試験におけるテレオシノブファギン(10mg/kg、経口投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(50mg/kg、腹腔内投与)及びリン酸コデイン「COD」(20mg/kg、腹腔内投与)の作用を比較したグラフである。
【図3】マウスを用いた腹部ねじり試験におけるテロシノブファギン(10mg/kg、経口投与)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg、腹腔内投与)の作用を示すグラフである。
【図4】マウスを用いたホルマリン試験の第1段階における、経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。
【図5】マウスを用いた4%ホルマリン試験の第1段階における、テレオシノブファギン(10mg/kg、経口投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(50mg/kg、腹腔内投与)及びリン酸コデイン「COD」(20mg/kg、腹腔内投与)の作用を比較したグラフである。
【図6】ホルマリン試験の第1段階における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示すグラフである。
【図7】ホルマリン試験の第2段階における経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。
【図8】ホルマリン試験の第2段階における、テレオシノブファギン(5mg/kg、経口投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(50mg/kg、腹腔内投与)及びリン酸コデイン「COD」(20mg/kg、腹腔内投与)の作用を比較したグラフである。
【図9】ホルマリン試験の第2段階における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示すグラフである。
【図10】ホットプレート試験における経口投与されたテロシノブファギン(1mg/kg、2.5mg/kg及び5mg/kg)の鎮痛作用を示すグラフである。
【図11】ホットプレート試験におけるテロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示すグラフである。
【図12】テールフリック試験におけるテロシノブファギン(1mg/kg、2.5mg/kg及び5mg/kg)の作用を示すグラフである。
【図13】テールフリック試験におけるテロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示すグラフである。
【図14】痛覚過敏症に対する腹腔内投与されたテロシノブファギンの作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。以下、RPは坐骨神経の外科用結紮糸の前の右足、RP試験は坐骨神経の外科用結紮糸の後の右足を示す。
【図15】痛覚過敏症に対する経口投与されたテロシノブファギンの作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。
【図16】痛覚過敏症に対する腹腔内投与(5mg/kg)された及び経口投与(20mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用を、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、リン酸コデイン「COD」(30mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(300mg/kg、腹腔内投与)、アミトリプチリン塩酸塩(chlorhydrate)「AMT」(30mg/kg)、カルバマゼピン「CBZ」(60mg/kg)及びプレドニゾン「PRED」(10mg/kg)の鎮痛剤と比較したグラフである。
【図17】痛覚過敏症試験における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg、腹腔投与)の作用を示すグラフである。
【図18】痛覚過敏症に対する腹腔内投与(5mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用の持続期間を示すグラフである。
【図19】痛覚過敏症に対する経口投与(20mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用の持続期間を示すグラフである。
【図20】異痛症に対する腹腔内投与されたテロシノブファギンの作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。
【図21】異痛症に対する経口投与されたテロシノブファギンの作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。
【図22】異痛症に対する腹腔内投与(5mg/kg)された及び経口投与(20mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛効果を、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、リン酸コデイン「COD」(30mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(300mg/kg、腹腔内投与)、アミトリプチリン塩酸塩「AMT」(30mg/kg)、カルバマゼピン「CBZ」(60mg/kg)及びプレドニゾン「PRED」(10mg/kg)の鎮痛剤と比較したグラフである。
【図23】異痛症試験における、テロシノブファギン(5mg/kg、腹腔内投与)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg、腹腔内投与)の作用を示すグラフである。
【図24】異痛症に対する腹腔内投与(5mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用の持続期間を示すグラフである。
【図25】異痛症に対する経口投与(20mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用の持続期間を示すグラフである。
【図26】ラットの心収縮力(変力作用)に対する、エタノール(対照)、ブピバカイン及び異なる濃度(10-7〜10-4M)のテロシノブファギンの作用を示すグラフである。
【図27】ラットの左心房内のブピバカインの作用を示すポリグラフトレーシングを示すグラフである。矢印は、ブピバカイン(10-4M)の添加の時点を示す。
【図28】12分間の観測期間中の心収縮力(変力作用)に対するテロシノブファギンの作用を示すグラフであり、濃度10-3Mのテロシノブファギンが使用された。
【図29】ラットの右心房の自発的収縮の周期に対する、エタノール、ブピバカイン及び異なる濃度(10-7〜10-4M)のテロシノブファギンの作用を示すグラフである。
【図30】ラットの右心房内におけるブピバカインの作用を示すポリグラフィックトレーシングを示すグラフである。矢印は、ブピバカイン(10-4M)の添加の時点を示す。BSは基礎。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の特徴は、以下の詳細な記載から明らかとなる。
【0058】
本発明は、疼痛の治療又は予防のための医薬品の製造における、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体の使用に関する。特に、本発明は、人間又は動物における急性疼痛及び慢性疼痛の治療又は予防のためのテロシノブファギンの使用を記述する。
【0059】
本発明の別の側面によれば、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体の有効量を人間又は動物に投与することを含む、急性疼痛及び慢性疼痛の治療又は予防のための方法が提供される。
【0060】
本発明の別の側面によれば、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体の有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を人間又は動物に投与することを含む、急性疼痛及び慢性疼痛を治療する方法が提供される。
【0061】
後述する試験の結果によれば、テロシノブファギンはモルヒネよりも強力であり、このことは両方の物質のモル質量を考量して結果を比較した時に実証されたが、オピオイドの周知の副作用は示されていない。さらに、本発明の結果は、鎮痛作用がオピオイド系には依存しないことを示す。
【0062】
急な及び慢性的な神経障害性疼痛の両方に対する鎮痛に関し得られた結果は、様々な他の従来の薬物、例えば硫酸モルヒネ、リン酸コデイン、ジクロフェナクナトリウム、ジピロンナトリウム、アミトリプチリン塩酸塩及びカルバマゼピンを使用する疼痛の治療と比較され、テロシノブファギンの方が高い効果を示した。
【0063】
本発明の結果はTCBとオピオイドの作用のメカニズムが同じでないことを示し、これは、モルヒネの特定の拮抗薬であるナロキソン及びその誘導体が、その鎮痛作用を取り戻すことができないことによる。したがって、TCBを用いた急性疼痛及び慢性疼痛の治療は、従来のオピオイドを用いた治療において通常観測される副作用、例えば、便秘、身体的及び精神的依存症、呼吸障害、消化管病変、腎臓特性、血小板凝集抑制、中枢神経系に関連する副作用(視覚低下、めまい、頭痛、精神混乱、吐き気など)の発生を生じることなく達成される。
【0064】
同様に、インビボ及びインビトロ試験の結果からも、テロシノブファギンが、隔離された実験用ラットの心房における心毒性の症状を示さないことがわかった。
【0065】
本発明の別の側面は、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体の有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物に関する。本発明に係る薬学的組成物は、テロシノブファギン又はその薬学的に許容される誘導体を0.1%〜99%p/p含む。
【0066】
テロシノブファギンは、天然又は人工のものであってもよく、また、その種々の考えられる薬学的に許容される形態、即ちエナンチオマー、多形体、疑似多形体(水和物及び溶媒和物)並びに炭酸塩、カルバミン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、配糖体、硫酸塩、スルホン酸塩、エーテル又はエステルなどのプロドラッグであってもよい。
【0067】
本発明に適切である誘導体の例は、テレシノブファギンのヒドロキシル基(例:C3−OH,C5−OH又はC14−OH)並びにCn−CO2H及びHO2C−(CH2n−CO2Hアルキル(nは1〜10)及びCH2−CO2H−フェニルなどのカルボン酸の反応から形成されるエステルである。エステルの形成の例は、ヒドロキシル基(例:C3−OH,C5−OH又はC14−OH)並びにハロゲン化アルキル(Cn−X、nは1〜10、XはCl、Br、I、F)及び/又はスルホン酸アルキル若しくはアリールスルホン酸塩の反応である。
【0068】
当業者ならば、テロシノブファギンがキラリティを示す即ち特定の幾何学的及び立体化学的構成を有する原子を含み、これにより構成的異方体及び立体異方体をもたらすことを認識する。全ての異方体及びそれらの混合は、本発明に含まれる。
【0069】
本発明によれば、テレシノブファギン又はテレシノブファギンを含む薬学的組成物の投与は、以下の投与法によって実施されてもよい。その投与法は、経口投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、歯肉組織内投与、静脈内投与、筋内投与、関節内投与、皮下投与、皮膚投与(例えば、パッチ又は経皮パッチ)、吸入投与、経皮投与、局所性投与及び脊髄投与(くも膜下及び硬膜外)であるが、これらに限定されない。特に、経口投与法が好ましい。
【0070】
薬学的に許容される賦形剤は、本発明の組成の最終的な形態に基づいて選択され、経口投与用のカプセル又は錠剤、経鼻投与用の溶液、筋内投与、静脈内投与、皮膚投与又は皮下投与用の注入可能な溶液、局所的投与用のローション、クリーム又は軟膏であってもよい。
【0071】
種々の薬学的組成物の調製方法は周知であり又は薬学分野の当業者にとって本発明を踏まえて認識される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed. (1990)を参照されたい。
【0072】
以下の例は単に説明のための例であり、単に本発明の一定の発展のより良い理解のために使用されるべきであり、記載された目的を限定する意図として用いられるべきではない。
【0073】
急性疼痛のためのインビボ試験:
ねじり試験、ホルマリン試験、ホットプレート試験及びテールフリック試験を含む、急性疼痛のためのインビボ試験が用いられた。
【0074】
異なる試験が、経口TBCの種々の投与量について、各投与量につき6匹以上の動物を用いて実施された。結果の統計的分析は、分散分析(ANOVA)により行われ続いてTUKEY法により行われた(p<0.05)。
【0075】
投与法:テロシノブファギンは経口投与により投与され、ジメチル・スルホキシド(DMSO)濃度40%の水中に溶解された。動物は、実験の前に12時間の絶食期間内に維持された。他の薬物、硫酸モルヒネ、リン酸コデイン、ジクロフェナクナトリウム、ジピロンナトリウム、プレドニゾン、アミトリプチリン塩酸塩及びカルバマゼピンが、腹腔内投与法(i.p.)により投与された。
【0076】
動物:およそ500匹のオスのハツカネズミ(Mus musculus)が使用された。
【0077】
例1−ねじり試験
マウスを用いたねじり試験:中央及び末梢における鎮痛作用の違い。この試験は、漿膜を刺激する物質、例えば酢酸、を腹腔内に投与することで誘発されるマウスの常同行動に基づく。マウスの常同行動は、主に、後足の伸びを伴った腹部を縮める動作によって特徴付けられる。この行為は反映的起源と考えられ、腹膜炎に関連する疼痛に似た内蔵の疼痛を示す。この試験は、特異度は高くないものの感度が非常に良く、新しい鎮痛剤の検査に最もよく用いられる試験である。ねじれ試験により、中央及び末梢レベルの両方において作用する物質の抗侵害受容作用を評価することができ、特定の中央作用試験(例えばホットプレート試験)に関連する場合、特定の薬物の作用レベルが中央及び末梢であるか、又は排他的に末梢であるか又は排他的に中央であるかを実証することができる。対照グループには、試験の1時間前に分析する組成物を希釈するために用いられる同体積の賦形剤(10mL/kg)を経口投与し、一方で治療が行われたグループには、同じ条件下で、試験される物質を次第に投与量を増大させて(crescent doses)与えた。薬物の経口投与の五十五分後、及びその後、0.6%酢酸の腹腔内注入の5分後、動物を、腹部のねじりの数を20分の期間中に累積的に測定することにより、観測した。抗侵害受容作用は、治療が行われた動物のねじりの回数の抑制と対照グループの動物のねじりの回数との比較に基づいて測定された。その結果を図1〜図3に示す。
【0078】
図1は、マウスでの腹部ねじり試験に基づく、経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用(投与量/反応曲線)を示す。この図は、この試験においてテロシノブファギンが顕著な抗侵害受容効果を示し、実に、10mg/kgの投与量において、対照グループ(p<0.001)に比べてねじりのほぼ90%が抑えられたことを実証した。
【0079】
図2は、マウスでの腹部ねじり試験に基づく、テロシノブファギン(10mg/kg、経口投与)の作用と、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(50mg/kg、腹腔内投与)及びリン酸コデイン「COD」(20mg/kg、腹腔内投与)の作用との比較を示すグラフである。この図は、経口投与されたテロシノブファギンのモル対モルの抗侵害受容効果が、腹腔内投与されたモルヒネの効果よりも40%近く高く、また、この試験に用いられたその他の鎮痛剤、腹腔内投与(p<0.05)、の効果よりも大体優れていることを実証した。
【0080】
図3は、マウスを用いた腹部ねじり試験に基づく、テロシノブファギン(10mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示す。この図は、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)で腹腔内投与されたモルヒネの作用は抑制したが、投与量10mg/kgの経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は抑制しなかったことを実証した。
【0081】
例2−ホルマリン試験
神経性及び炎症性の急性疼痛の評価。足底内4%ホルマリン注入試験は、動物の反応において足をなめる動作又は足を縮める動作を誘発する。この試験により、二種類の疼痛を評価することができる。一つは神経性起源のものであり、侵害受容ニューロンへの直接的な刺激の結果であってホルマリンの投与後の最初の5分に観測される。もう一つは炎症性起源のものであり、特徴として炎症性メディエータが放出され、これはホルマリン注入の15分後から30分後に観測され疼痛に対する強直性反応を示す。この試験は室温(24〜25℃)で、末梢血流に影響を及ぼす実験的要因がない環境下で行われ、これは第二段階(遅延)における反応の感度が非常に高いためである。対照グループには、試験の1時間前に分析する組成物を希釈するために用いられる同体積の賦形剤(10mL/kg)を経口投与し、一方で治療が行われたグループには、同じ条件下で、試験される物質を次第に投与量を増大させて与えた。その後、抗侵害受容作用が、治療された動物における足をなめる動作又は足を縮める動作の累積時間の減少を、対照グループの動物における同じ反応と比較することにより測定された。
【0082】
ホルマリン試験の結果を図4〜図9に示す。
【0083】
図4は、マウスでのホルマリン試験の第1段階における、経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用(投与量/反応曲線)を示す。この図は、この試験においてテロシノブファギンが顕著な抗侵害受容作用を示し、実に、10mg/kgの投与量で、対照グループ(p<0.005)に比べてなめる動作の80%近くを抑えたことを示す。
【0084】
図5は、マウスでの4%ホルマリン試験の第1段階における、テロシノブファギン(10mg/kg、経口投与)の作用と、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(50mg/kg、腹腔内投与)及びリン酸コデイン「COD」(20mg/kg、腹腔内投与)の作用との比較を示すグラフである。この図は、経口投与されたテロシノブファギンのモル対モルの抗侵害受容効果が、腹腔内投与されたモルヒネの効果よりも40%近く高く、また、この試験に用いられたその他の鎮痛剤(p<0.05)、の効果よりも大体優れていることを実証した。
【0085】
図6は、ホルマリン試験の第1段階における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示す。この図は、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)のモルヒネの作用は抑制したが、投与量5mg/kgの経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は抑制しなかったことを実証した。
【0086】
図7は、ホルマリン試験の第2段階における、経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用(投与量/反応曲線)を示す。この図は、この試験においてテロシノブファギンが顕著な抗侵害受容作用を示し、実に、10mg/kgの投与量で、対照グループ(p<0.0001)に比べてなめる動作の100%近くを抑えたことを示す。
【0087】
図8は、ホルマリン試験の第2段階における、テロシノブファギン(5mg/kg、経口投与)の作用と、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(50mg/kg、腹腔内投与)及びリン酸コデイン「COD」(20mg/kg、腹腔内投与)の作用との比較を示すグラフである。この図は、経口投与されたテロシノブファギンのモル対モルの抗侵害受容効果が、腹腔内投与されたモルヒネの効果よりも58%近く高く、また、この試験に用いられたその他の鎮痛剤(p<0.05)、の効果よりも大体優れていることを実証した。
【0088】
図9は、ホルマリン試験の第2段階における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示す。この図は、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)で腹腔内投与されたモルヒネの作用は抑制したが、投与量5mg/kgの経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は抑制しなかったことを実証した。
【0089】
例3−ホットプレート試験
中枢性鎮痛作用の測定。この試験では、動物をホットプレート(52±0.5℃)の上に置いて、反応、特に足をなめる又はジャンプをするといった反応を示すまでにどれだけの時間がかかるかを観測する。どちらの反応も、総合的脊柱上(脳に関連する)反応と考えられる。対照グループには、試験の1時間前に分析する組成物を希釈するために用いられる同体積の賦形剤(10mL/kg)を経口投与し、一方で治療が行われたグループには、同じ条件下で、試験される物質を次第に投与量を増大させて与えた。抗侵害受容作用は、治療が行われた動物における、足をなめる動作又はジャンプまでの待ち時間の増大と、対照グループにおける同じ反応と、を比較することにより測定された。その結果を図10及び図11に示す。
【0090】
図10は、ホットプレート試験における、経口投与されたテロシノブファギン(1mg/kg、2.5mg/kg及び5mg/kg)の鎮痛作用の投与量/反応曲線を示す。この図は、この試験においてテロシノブファギンが顕著な抗侵害受容作用を示し、5mg/kgの投与量(経口投与)で、対照グループ(p<0.001)に比べて反応を約450%増加させたことを示す。
【0091】
図11は、ホットプレート試験における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示す。この図は、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)のモルヒネの作用は抑制したが、投与量5mg/kgの経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は抑制しなかったことを示している。
【0092】
例4−テールフリック試験
延髄レベルにおける鎮痛作用の測定。我々は、動物の尻尾の小さな表面に接触した、数秒間で最大70℃に加熱されたフィラメントを介する熱放射の応用に用いられる試験を変形したものを選択した。この熱刺激により、対照動物においてテールフリック反応が生じ、これは脊髄起源の迅速かつ激しい反射運動によるものであり、2から10秒の時間の後に生じる。テールフリック時間の増加は、鎮痛作用として解釈される。対照グループには、試験の1時間前に分析する組成物を希釈するために用いられる同体積の賦形剤(10mL/kg)を経口投与し、一方で治療が行われたグループには、同じ条件下で、試験される物質を次第に投与量を増大させて与えた。抗侵害受容作用は、治療が行われた動物における、テールフリック反応の待ち時間の増加と、対照グループの動物における同じ反応と、を比較することにより測定された。この試験の結果を図12及び図13に示す。
【0093】
図12は、テールフリック試験における、テロシノブファギン(1mg/kg、2.5mg/kg及び5mg/kg)の作用を示す。この図は、この試験において、投与量2.5mg/kg及び5mg/kgのテロシノブファギンが顕著な抗侵害受容作用を示した(p<0.05)ことを示す。
【0094】
図13は、テールフリック試験における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg)の作用を示す。この図は、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)のモルヒネの作用は抑制したが、投与量5mg/kgの経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は抑制しなかったことを示している。
【0095】
慢性疼痛に対するインビボ試験
例5−慢性絞扼性神経損傷(CCI)モデル
【0096】
近年、様々な神経障害性疼痛の動物モデルはラットを用いて発展した。Bennett(Bennett. G. J; Xie, Y.K. 1998. A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain, 33: 87-107)に記載された方法によれば、麻酔中、ラットは前面臥位で位置決めされ、大腿部に沿った皮膚が切開される。骨格筋と大腿二頭筋の間の筋膜が切開され、そして大腿部の中程で右総坐骨神経が露出される。この三分割付近で、神経が約8mmの長さにわたって丁寧に周囲の組織から切開され、この部分で試験が実施される。
【0097】
この神経障害性疼痛の実験モデルにおいて、a)異痛症:非損傷性刺激に対する疼痛及びb)痛覚過敏症:損傷性刺激に対する誇張された疼痛が測定された。Bennet及びXie(1988)に記載された方法によれば、末梢神経障害は坐骨神経の周囲に絞扼性結紮糸を緩く配置することにより作成される(慢性絞扼性神経損傷、CCI)。成体のラットはペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、腹腔内投与)を用いて麻酔をかけられ、ラットの両側の坐骨神経が大腿二頭筋を切開することにより露出される。一方の側において、四つのクロム含有内蔵絞扼性結紮糸(4−0)が、約1mmの間隔をあけて神経の周囲に緩く結ばれた。反対の側において、全ての外科的な工程即ち神経の露出及び処理が実施されたが、絞扼性結紮糸は配置しなかった。技術的な変動を最小限にとどめるために、全ての工程が一人の作業者によって行われた。外科処置の最後において、単一の抗生物質投与量(アンピシリン8,000u/ラット、Sigma, St Louis, MO)が投与された。試験開始の前に約5日間が動物の回復のために与えられた。
【0098】
異痛症の測定。Chaplanにより記述された方法が、Von Frey装置を使用して用いられた(Chaplan, S. R., Bach, F.W., Pogrel, J.W., Chung, J.M., Yaksh, T.L. 1994. Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw. J Neurosci Methods. 53:55-63)。ラットの後足に与えられた触刺激に対する反応時間が測定された。
【0099】
痛覚過敏症の測定。Randall&Selitto’sのラット足加圧試験が用いられた(Randall, L.o., Selitto, J.J. 1957. A method for measurement of analgesic activity on inflamed tissue. Arch Int Pharmacodyn Ther 111: 409-419)。この試験では、足の甲の上に連続的に力を加え(16g/s)、そして取り除いて中断した。慢性絞扼性神経損傷モデルにより実施された試験の結果を図14〜図25に示す。
【0100】
図14及び図15はそれぞれ、痛覚過敏症に対する腹腔内投与及び経口投与されたテロシノブファギンの作用(投与量/反応曲線)を示すグラフである。これらの図は、この試験において、テロシノブファギンが顕著な抗侵害受容作用を示し、実に、腹腔内投与された場合(5mg/kg)(p<0.001)及び経口投与された場合(20mg/kg)(p<0.05)で、それぞれ、対照グループ(RPtest)に比べて、反応が約9倍及び3.9倍増大したことを示す。
【0101】
図16は、痛覚過敏症に対するテロシノブファギン(5mg/kg、腹腔内投与;20mg/kg、経口投与)の鎮痛作用と、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、リン酸コデイン「COD」(30mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(300mg/kg、腹腔内投与)、アミトリプチリン塩酸塩「AMT」(30mg/kg)、カルバマゼピン「CBZ」(60mg/kg)及びプレドニゾン「PRED」(10mg/kg)の鎮痛剤の鎮痛作用と、の比較を示す。この図は、経口投与及び腹腔内投与されたテロシノブファギンのモル対モルの抗侵害受容効果が、腹腔内投与されたモルヒネの効果よりも約900%高く、また、この試験において同じ投与法にて用いられたその他の鎮痛剤(p<0.05)よりも大体優れていることを実証した。経口投与されたTBCの作用は、モル対モルにおいて、腹腔内投与されたモルヒネのものと同様であった。
【0102】
図17は、痛覚過敏症試験における、テロシノブファギン(5mg/kg)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg、腹腔投与)の作用を示す。この図は、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)のモルヒネの作用は抑制したが、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は大きく抑制しなかったことを示す。
【0103】
図18及び図19はそれぞれ、痛覚過敏症に対する腹腔内投与及び経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用の持続期間を示す。これらの図は、痛覚過敏症に対する腹腔内投与(5mg/kg)及び経口投与(20mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用が約6時間持続し、かつ見積もられた半減期が3時間であることを示す(p<0.05)。
【0104】
図20及び図21はそれぞれ、異痛症に対する腹腔内投与及び経口投与されたテロシノブファギンの作用を示す。これらの図は、この試験においてテロシノブファギンが顕著な抗侵害受容効果を示し、実に、5mg/kgの投与量(腹腔内投与)及び20mg/kgの投与量(経口投与)(p<0.05)において、異痛症を完全に抑制したことを示す。
【0105】
図22は、異痛症に対するテロシノブファギン(5mg/kg、腹腔内投与;20mg/kg、経口投与)の鎮痛作用と、ジクロフェナクナトリウム「DICL」(50mg/kg、腹腔内投与)、硫酸モルヒネ「Morph」(10mg/kg、腹腔内投与)、リン酸コデイン「COD」(30mg/kg、腹腔内投与)、ジピロンナトリウム「DIP」(300mg/kg、腹腔内投与)、アミトリプチリン塩酸塩「AMT」(30mg/kg)、カルバマゼピン「CBZ」(60mg/kg)及びプレドニゾン「PRED」(10mg/kg)の鎮痛剤の鎮痛効果と、の比較を示す。この図は、この試験において、経口投与及び腹腔内投与されたテロシノブファギンが、5mg/kgの投与量(腹腔内投与)及び20mg/kgの投与量(経口投与)(p<0.05)において異痛症を完全に抑制した。テロシノブファギンのこれらの投与量は、アミトリプチリン塩酸塩(30mg/kg、腹腔内投与)、カルバマゼピン(60mg/kg、腹腔内投与)(p<0.05)よりも低い投与量である。この結果は、腹腔内投与及び経口投与されたテロシノブファギンの両方が異痛症を完全に元の状態に戻し(RPと比較して)、一方で、腹腔内投与されたモルヒネは異痛症の50%近くしか元の状態に戻さなかった(RPと比較して)ことを示す。
【0106】
図23は、異痛症試験における、テロシノブファギン(5mg/kg、腹腔内投与)の鎮痛作用に対するナロキソン(5mg/kg、腹腔内投与)の作用を示す。投与量5mg/kgの腹腔内投与されたナロキソンが、投与量10mg/kg(p<0.05)のモルヒネの作用は抑制したが、投与量5mg/kgの腹腔内投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用は大きく抑制しなかったことを示す。
【0107】
図24及び図25はそれぞれ、異痛症に対する腹腔内投与及び経口投与されたテロシノブファギンの鎮痛作用の持続期間を示す。これらの図は、異痛症に対する腹腔内投与(5mg/kg)及び経口投与(20mg/kg)されたテロシノブファギンの鎮痛作用が約6時間持続し、かつ見積もられた半減期が3時間であることを示す(p<0.05)。
【0108】
心毒性評価のためのインビボ試験
例6−隔離されたラットの変力作用に対するテロシノブファギンの作用
【0109】
テロシノブファギンの心臓への悪影響の可能性を検証するために、最初に隔離されたラット心房モデルを用いて心収縮力(変力作用)が評価された。ラットの左心房が、変力作用を評価するために用いられた。データは収縮力(張力g)として表わされ、そしてブピバカインを用いて得られた結果と比較された。
【0110】
周波数が120bpmの矩形パルス(5V、5ms、2Hz)を左心房に印加することにより、0.63±0.09gの張力の心収縮力が充分に生成された。過かん流媒体において左心房の状態が維持されている時は収縮性の反応はあまり大きく変化しない。これらの試験の結果を図26〜図28に示す。
【0111】
図26は、濃度が10-7〜10-4Mのテロシノブファギン存在下では、心収縮力は対照に比べて大きく変化しないことを示す。しかし、濃度が3x10-5Mのブピバカインによって心収縮力が0.13±0.06gの張力に大幅に減少し、濃度が10-4M(p<0.05、Dunnettの試験)のブピバカインによって心収縮力がゼロにまで完全に抑制された。データは平均値±SEM(n=6)で表わされた。ANOVA及びとしてのDunnettの事後試験、p<0.005。a vs対照、b vsブピバカイン。
【0112】
図27は、ラットの左心房内のブピバカインの作用を示すポリグラフトレーシングを示す。矢印はブピバカイン(10-4M)を添加した時点を示す。
【0113】
テロシノブファギンの中毒量を測定するために、5分間(図28)の代わりに12分間、10-3Mの濃度を用いた。しかしながら、この濃度においてさえも、テロシノブファギンは、心収縮力を大きく変化させなかった(p<0.05、Dunnettの試験)。
【0114】
例7−隔離されたラットの変時作用(chronotropism)に対するテロシノブファギンの作用
【0115】
テロシノブファギンの心臓への悪影響の可能性を検証するために、最初に隔離されたラット心房モデルを続いて用いて心収縮率(変時作用)が評価された。ラットの右心房が、変時作用を評価するために用いられた。右心房の自発性機械的作用の値は、収縮周期又は一分当たりの拍(bpm)として表わされた。ラットの右心房において心拍数は毎分298±50収縮であった。過かん流媒体における左心房の状態が維持されている時は自発性心臓活動の周期の反応はあまり大きく変化しない。
【0116】
図29は、濃度が10-7〜10-4M(n=6;p>0.05、Dunnettの試験)のテロシノブファギン存在下では、自発性機械的心臓活動は対照に比べて大きく変化しないことを示す。しかし、濃度が3x10-5Mのブピバカインによって自発性心臓活動の周期が9.6±2.4bpmに大幅に減少し、濃度が10-4M(p<0.05、Dunnettの試験)のブピバカインによって心拍数がゼロにまで完全に抑制された。図29は、ラットの右心房の自発性収縮の周期に対するブピバカイン及び異なる濃度(10-7〜10-4M)のテロシノブファギンの作用を実証した。データは平均値±SEM(n=6)で表わされた。ANOVA及びとしてのDunnettの事後試験、p<0.005。a vs対照、b vsブピバカイン。
【0117】
図30は、ラットの右心房に対するブピバカインの作用を示すポリグラフィックトレーシングを示す。矢印はブピバカイン(10-4M)を添加する時点を示す。BSは基礎。
【0118】
心毒性評価のためのインビトロ試験
例8−パッチクランプ試験
【0119】
種々のイオンチャネルにおけるテロシノブファギンのインビトロ作用が、PatchXpress(R)7000A自動平行パッチクランプ装置(モデル7000A、分子素子、Union City,CA)を用いて室温で評価された。従来の手順に従って調査が実施された。
【0120】
試験において、濃度30μMのテロシノブファギンの貯蔵液が、緩衝液(HBPS)中0.3%DMSO中で準備された。試験の評価は、2つの細胞(n≧2)において濃度15μMのテロシノブファギンを用いて行われた。各チャネルの露出時間は5分間だった。テロシノブファギン(純度>95%)は水に不溶で、50%DMSO(水中、v/v)エタノール(100%)及び純粋なクロロフォルムに溶解する。hKvKQT1/hminK及びhCav1.2(hは人間)の各記録は、陽性対照の最大投与量で終了した(それぞれ、300μMクロマノール及び10μMニフェジピン)。この投与量への露出後に残った電流はすべて数字で引き算されて内在性の電流の寄与が取り除かれた。そのため、いくつかの測定において負の結果が得られた。
【0121】
テロシノブファギンについての結果を表2に示す。表3に示された陽性対照は、イオンチャネルの抑制に対する試験装置の感度を裏付ける。有意基準は≧20%の抑制である。
【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
表2に記載された抑制割合平均の結果は、評価された種々のイオンチャネルがテロシノブファギンによって抑制されなかったことを示す。このような結果により、隔離されたラットの心房の変力作用及び変時作用に対するテロシノブファギンの作用の評価のためのインビボ試験が裏付けられ、これによりテロシノブファギンによる心毒性がないことが実証された。
【0125】
作用の非オピオイドメカニズムの評価のためのインビトロ試験
【0126】
採用する方法は、その信頼性及び再現性を最大限にするために科学文献から選択した。参照基準は各試験の不可欠な一部として使用し、これにより得られた結果の有効性を確保した。
【0127】
この試験の目的は、オピオイド受容体に対するテロシノブファギン(純度≧95%)の活動の評価である。これらの受容体は、現時点で三つのグループμ、δ及びkに分類されている。この試験の結果を表4に示す。採用された方法は以下のとおりである。
−オピオイド受容体δ(OP1、DOP)
ソース:ヒト組み換えCHO細胞
リガンド:0.9nM[3H]ナルトリンドール
賦形薬:1%DMSO
インキュベーション時間/温度:2時間、25℃
インキュベーションバッファー:Tris−HCl 50mM,pH7.4,MgCl2 5mM
非特異性リガンド:10μMナロキソン
D:0.49nM*
max:8.6pmole/mg タンパク質
特異性ライゲーション:80%
計量的手法:放射性リガンド結合
−受容体オピオイドk(OP2、KOP)
ソース:ヒト組み換えHEK−293細胞
リガンド:0.6nM[3H]ジプレノルフィン
賦形薬:1%DMSO
インキュベーション時間/温度:60分、25℃
インキュベーションバッファー:Tris−HCl 50mM,pH7.4
非特異性リガンド:10μMナロキソン
D:0.4nM*
max:1.1pmole/mg タンパク質
特異性ライゲーション:90%
計量的手法:放射性リガンド結合
−受容体オピオイドμ(OP3、MOP)
ソース:ヒト組み換えCHO−K1細胞
リガンド:0.6nM[3H]ジプレノルフィン
賦形薬:1%DMSO
インキュベーション時間/温度:60分、25℃
インキュベーションバッファー:Tris−HCl 50mM,pH7.4
非特異性リガンド:10μMナロキソン
D:0.41nM
max:3.8pmole/mg タンパク質
特異性ライゲーション:90%
計量的手法:放射性リガンド結合
【0128】
【表4】

【0129】
表4に記載された抑制割合の結果は、オピオイド受容体μ、δ及びkがテロシノブファギンによって抑制又は刺激されなかったことを示す。このような結果はテロシノブファギンの作用がナロキソンによって元の状態に戻されないことを示したインビボ試験を裏付ける。これらの発見により、テロシノブファギンの作用のメカニズムがオピオイドでなく、したがってこの組成物においては、オピオイドの副作用が取り除かれたと予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物における急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する薬品の製造において使用することを特徴とするテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項2】
先制鎮痛に有用であることを特徴とする請求項1に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項3】
前記急性疼痛が神経性又は炎症性の疼痛であることを特徴とする請求項1に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項4】
前記疼痛は腫瘍が原因である又は腫瘍が原因でない、及び体細胞、神経性又は心因性に関するメカニズムが原因であることを特徴とする請求項1に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項5】
前記慢性疼痛が自然な神経障害性(痛覚過敏症又は異痛症)であることを特徴とする請求項1に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項6】
前記疼痛が、先天性又は遺伝性疾患;外傷、手術又はやけど;伝染性及び/又は寄生性疾患;代謝異常;炎症;自己免疫疾患;中毒;代謝の変調及び異常;神経変性状態及び変性状態;機能不全状態;精神的混乱並びに良性及び悪性腫瘍疾患からなる群から選択される状態又は病変が原因であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項7】
前記急性疼痛又は慢性疼痛が、骨関節、筋肉、神経根又は延髄病変、放射線、外科手術及び熱的、化学的又は電気的やけどに起因する機械的な病変;骨関節炎、リウマチ性関節炎;特に外傷を受けた後の筋骨格痛;歯痛;頭痛、偏頭痛;腹痛;癌に起因する疼痛;術後の疼痛;多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症;椎間板ヘルニア;糖尿病、甲状腺機能低下又は甲状腺機能亢進症;繰り返しの損傷が原因の疼痛;先天性又は遺伝性疾患が原因の疼痛;ハンセン病、帯状疱疹、後天性免疫不全症候群(AIDS)、重金属中毒が原因の疼痛;求心路遮断痛、中枢性疼痛、幻肢痛、灼熱痛、骨髄障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群、疼痛を伴う筋筋膜症候群、線維筋痛症、残根痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ヘルペス後神経痛、糖尿病性単神経障害、虚血性神経障害、結節性多発動脈炎、放射線治療後疼痛、多発性神経障害、多発単神経炎、伝染性及び神経変性骨髄障害、中毒性神経炎、血管炎及び脊髄空洞症からなる群の一以上の状態又は病変から選択されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項8】
前記テロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体が、エナンチオマー、多形体、疑似多形体又はプロドラッグであることを特徴とする請求項1に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項9】
前記疑似多形体は水和物又は溶媒和物であることを特徴とする請求項8に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項10】
前記プロドラッグは、炭酸塩、カルバミン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、配糖体、硫酸塩、スルホン酸塩、エーテル又はエステルであることを特徴とする請求項8に記載のテロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項11】
テロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする鎮痛薬学的組成物。
【請求項12】
前記テロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体を0.1%から99%p/p備えたことを特徴とする請求項11に記載の鎮痛薬学的組成物。
【請求項13】
前記テロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体が、エナンチオマー、多形体、疑似多形体又はプロドラッグであることを特徴とする請求項11に記載の鎮痛薬学的組成物。
【請求項14】
前記疑似多形体は水和物又は溶媒和物であることを特徴とする請求項13に記載の鎮痛薬学的組成物。
【請求項15】
前記プロドラッグは、炭酸塩、カルバミン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、配糖体、硫酸塩、スルホン酸塩、エーテル又はエステルであることを特徴とする請求項13に記載の鎮痛薬学的組成物。
【請求項16】
前記鎮痛薬学的組成物が、経口投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、歯肉組織内投与、静脈内投与、筋内投与、関節内投与、皮下投与、吸入投与、経皮投与、局所くも膜下脊髄又は硬膜外脊髄投与により、人間又は動物に投与されることを特徴とする請求項11に記載の鎮痛薬学的組成物。
【請求項17】
前記鎮痛薬学的組成物が好ましくは経口投与により投与されることを特徴とする請求項16に記載の鎮痛薬学的組成物。
【請求項18】
請求項11に記載された鎮痛薬学的組成物を人間又は動物における急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する薬品の製造において使用することを特徴とする鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項19】
先制鎮痛において有用であることを特徴とする請求項18に記載の鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項20】
前記急性疼痛が神経性又は炎症性の疼痛であることを特徴とする請求項18に記載の鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項21】
前記慢性疼痛が神経障害性(痛覚過敏症又は異痛症)であることを特徴とする請求項18に記載の鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項22】
前記疼痛が、先天性又は遺伝性疾患;外傷、手術又はやけど;伝染性及び/又は寄生性疾患;代謝異常;炎症;自己免疫疾患;中毒;代謝の変調及び異常;神経変性状態及び変性状態;機能不全状態;精神的混乱並びに良性及び悪性腫瘍疾患からなる群から選択される状態又は病変が原因であることを特徴とする請求項18〜21の何れか一項に記載の鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項23】
前記急性疼痛又は慢性疼痛が、骨関節、筋肉、神経根又は延髄病変、放射線、外科手術及び熱的、化学的又は電気的やけどに起因する機械的な病変;骨関節炎、リウマチ性関節炎;特に外傷を受けた後の筋骨格痛;歯痛;頭痛、偏頭痛;腹痛;癌に起因する疼痛;術後の疼痛;多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症;椎間板ヘルニア;糖尿病、甲状腺機能低下又は甲状腺機能亢進症;繰り返しの損傷が原因の疼痛;先天性又は遺伝性疾患が原因の疼痛;ハンセン病、帯状疱疹、後天性免疫不全症候群(AIDS)、重金属中毒が原因の疼痛;求心路遮断痛、中枢性疼痛、幻肢痛、灼熱痛、骨髄障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群、疼痛を伴う筋筋膜症候群、線維筋痛症、残根痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ヘルペス後神経痛、糖尿病性単神経障害、虚血性神経障害、結節性多発動脈炎、放射線治療後疼痛、多発性神経障害、多発単神経炎、伝染性及び神経変性骨髄障害、中毒性神経炎、血管炎及び脊髄空洞症からなる群の一以上の状態又は病変から選択されることを特徴とする請求項18〜22の何れか一項に記載の鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項24】
医学及び獣医学分野において有用であることを特徴とする請求項18に記載の鎮痛薬学的組成物の使用。
【請求項25】
急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法において、前記治療を必要とする人間又は動物に、テロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の有効量を投与することを特徴とする急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項26】
急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法において、前記治療を必要とする人間又は動物に、テロシノブファギン又はテロシノブファギンの薬学的に許容される誘導体の有効量と、薬学的に許容される添加剤とを投与することを特徴とする急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項27】
先制鎮痛に有用であることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項28】
前記急性疼痛が神経性又は炎症性の疼痛であることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項29】
前記疼痛は腫瘍が原因である又は腫瘍が原因でなく、かつ体細胞、神経性又は心因性に関するメカニズムが原因であることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項30】
前記慢性疼痛が自然な神経障害性(痛覚過敏症又は異痛症)であることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項31】
前記疼痛が、先天性又は遺伝性疾患;外傷、手術又はやけど;伝染性及び/又は寄生性疾患;代謝異常;炎症;自己免疫疾患;中毒;代謝の変調及び異常;神経変性状態及び変性状態;機能不全状態;精神的混乱並びに良性及び悪性腫瘍疾患からなる群から選択される状態又は病変が原因であることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項32】
前記急性疼痛又は慢性疼痛が、骨関節、筋肉、神経根又は延髄病変、放射線、外科手術及び熱的、化学的又は電気的やけどに起因する機械的な病変;骨関節炎、リウマチ性関節炎;特に外傷を受けた後の筋骨格痛;歯痛;頭痛、偏頭痛;腹痛;癌に起因する疼痛;術後の疼痛;多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症;椎間板ヘルニア;糖尿病、甲状腺機能低下又は甲状腺機能亢進症;繰り返しの損傷が原因の疼痛;先天性又は遺伝性疾患が原因の疼痛;ハンセン病、帯状疱疹、後天性免疫不全症候群(AIDS)、重金属中毒が原因の疼痛;求心路遮断痛、中枢性疼痛、幻肢痛、灼熱痛、骨髄障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群、疼痛を伴う筋筋膜症候群、線維筋痛症、残根痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ヘルペス後神経痛、糖尿病性単神経障害、虚血性神経障害、結節性多発動脈炎、放射線治療後疼痛、多発性神経障害、多発単神経炎、伝染性及び神経変性骨髄障害、中毒性神経炎、血管炎及び脊髄空洞症からなる群の一以上の状態又は病変から選択されることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項33】
前記投与が、人間又は動物に対する経口投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、歯肉組織内投与、静脈内投与、筋内投与、関節内投与、皮下投与、吸入投与、経皮投与、局所くも膜下脊髄又は硬膜外脊髄投与であることを特徴とする請求項25又は26に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項34】
前記経口投与による投与が好ましいことを特徴とする請求項33に記載の急性疼痛又は慢性疼痛を治療又は予防する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2012−528081(P2012−528081A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512170(P2012−512170)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/BR2010/000169
【国際公開番号】WO2010/135798
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(508075616)クリスタリア プロデュトス キミコス ファーマシューティコス リミターダ (3)
【出願人】(511278464)ジェンファーマ コンサルトリア ファーマシューティカ エ ジェネティカ リミターダ (1)
【Fターム(参考)】