説明

恒温恒湿器

【課題】外気温度よりも低い温度の空気が生成可能な恒温恒湿器を提供する。
【解決手段】ヒートパイプ2の一端部に設置された吸熱部3と、ヒートパイプ2の他端部に設置された、ペルチェ素子8を用いて構成された第2放熱部6と、第2放熱部6と吸熱部3との間の中間位置に設置された、フィン7aを有する第1放熱部5とを備える冷却ユニット1を構成し、該冷却ユニット1を断熱壁21及び仕切壁17を貫通させて、吸熱部3が、空調室S1における加熱器15と加湿器16との間の適所に配置され、第1放熱部5が第1熱源調整室S2内に、第2放熱部6が第2熱源調整室S3内にそれぞれ配置されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的とする温湿度の空気を生成する恒温恒湿器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種半導体素子、電子回路等の信頼性評価、スクリーニング等のためにバーンイン処理を行ったり、各種物品や材料の耐熱性、耐湿性等を試験したりするために用いる恒温恒湿器が知られている。下記特許文献1には、この種の恒温恒湿器において、銅管内にアルコールを密封してなるヒートパイプを、熱媒蒸発側が空調室内に、熱媒凝縮側が空調室外に位置するように配置し、熱媒凝縮側の冷却をファンの動作により加減することにより、空調室内の温湿度を目標温湿度に設定する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第2603407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1にあっては、熱媒凝縮側の冷却をファンの動作により加減する、すなわち、外気を用いて熱媒凝縮側を冷却する構成であるため、空調室内の温度を外気温度より下げることはできない。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外気温度よりも低い温度の空気が生成可能な恒温恒湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、試験室と、前記試験室内の空気の温湿度を目標の温湿度に調整するために設けられた空調室と、前記試験室と空調室との間で空気を循環させる送風部と、前記試験室から空調室に流入した空気を加湿するための加湿部と、前記空気を冷却するための冷却部とを備えた恒温恒湿器であって、前記冷却部は、前記空調室内に配置された吸熱部と、前記空調室外に配置された、第1の放熱部及び第2の放熱部を有する放熱部と、封入体内に封入された作動流体にヒートパイプ現象を生じさせて、前記吸熱部から前記放熱部に熱輸送を行うための熱輸送部とを備え、前記吸熱部及び前記第1、第2の放熱部は前記熱輸送部に熱的に接続され、前記第1の放熱部は、外気を冷却媒体として前記熱輸送部の熱を放出させるものであり、前記第2の放熱部は、前記熱輸送部の温度が外気温度よりも低温にまで下がるように前記熱輸送部の熱を放出させるものである。
【0006】
この発明によれば、加湿部及び冷却部をともに作動させた場合、加湿部により前記空調室に流入した空気が加湿され、該空気が冷却部により冷却され、さらに、加熱が必要な場合には加熱され、この空気が前記試験室に供給される。
【0007】
このような構成において、冷却部を、前記空調室内に配置された吸熱部と、前記空調室外に配置された、第1の放熱部及び第2の放熱部を有する放熱部と、封入体内に封入された作動流体にヒートパイプ現象を生じさせて、前記吸熱部から前記放熱部に熱輸送を行うための熱輸送部とを備えて構成し、前記吸熱部及び前記第1、第2の放熱部を前記熱輸送部に熱的に接続するとともに、前記第1の放熱部は、外気を冷却媒体として前記熱輸送部の熱を放出させるものとし、前記第2の放熱部は、前記熱輸送部の温度が外気温度よりも低温にまで下がるように前記熱輸送部の熱を放出させるものとしたので、従来のように第1の放熱部しか設けられていない場合に比して高い冷却性能を備えることができる。
【0008】
すなわち、本発明によれば、試験室内の空気を第1の放熱部により外気を用いて冷却するため、試験室内の空気の温度を外気温度に向けて大きな放熱量で放熱させることができる上、第2の放熱部により、さらに外気温度よりも低い温度に冷却することができる。
【0009】
また、前記第1の放熱部を前記第2の放熱部から離間して配置することで、一方の放熱部の冷熱を他方の放熱部が奪う虞が生じるのを回避することができ、高い冷却効率を得ることができる。なお、前記ヒートパイプ現象とは、吸熱部の位置にある作動流体が該吸熱部により吸収した熱により蒸発し、その作動流体の蒸気が放熱部に移動するとともに、放熱部による放熱作用により、該放熱部の位置に到達した前記蒸気が凝縮する現象をいう。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の恒温恒湿器において、前記第1の放熱部は、前記熱輸送部の熱輸送方向において前記第2の放熱部より前記吸熱部側に設置されているものである。
【0011】
熱輸送部の各部位のうち、吸熱部に相当する部位を除くと、前記蒸気の移動先(到達部位)が最も高い温度となることから、本発明のように、熱輸送部の各部位のうち最も高い温度となる前述の部位に前記第2の放熱部を設置すると、第2の放熱部を熱輸送部の他の部位に設置する場合に比して高い冷却効率を得ることができ、より低い温度に到達させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の恒温恒湿器において、前記試験室内の空気の温湿度を検出する温湿度検出部と、前記温湿度検出部の出力信号に基づいて、前記加湿部及び前記冷却部の動作を制御する制御部とを備えるものである。
【0013】
この発明によれば、温湿度検出部により検出される温湿度に応じて、目標の温湿度を有する空気を生成することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の恒温恒湿器において、前記吸熱部の温度を検出する吸熱部温度検出部を備え、前記制御部は、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度に低下するまでの間のみ、前記第1の放熱部を動作させ、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度まで低下すると、前記第2の放熱部の作動を開始させるものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の恒温恒湿器において、前記吸熱部の温度を検出する吸熱部温度検出部と、前記第1の放熱部に外気を通気させるための外気循環部と、前記第1の放熱部における空気の通気を遮断するための通気遮断部とを備え、前記制御部は、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度に低下するまでの間のみ、前記第1の放熱部を動作させるとともに、前記通気遮断部による通気防止を解除させ、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度まで低下すると、前記第2の放熱部の作動を開始させるものである。
【0016】
請求項4,5に記載の発明によれば、前記試験室内の空気を冷却させるべき期間、常に第2の放熱部を作動させる場合に比して、第2の放熱部の動作時間を可及的に抑制することができる。したがって、第2の放熱部が電力で駆動されるものである場合には、消費電力を可及的に抑制することができる。
【0017】
また、第2の放熱部をペルチェ素子で構成した場合、第1の放熱部によって速やかに外気温度まで冷却された上で、ペルチェ素子によって外気温度よりも低い温度に冷却される。したがって、低い温度からペルチェ素子を作動させるため、前記試験室内の空気が高温の場合に、ペルチェ素子自体が低温化するのに多大なエネルギーを要するという状況が発生するのを回避し、第1の放熱部に比して放熱容量の小さいペルチェ素子でも速やかに試験室内の空気を冷却することができる。
【0018】
なお、前記第1の放熱部における空気の通気を遮断とは、完全に通気を遮断する態様に限られず、若干の空気の流れや空気の漏れが残っている態様も含む。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の恒温恒湿器において、外気温度を検出する外気温度検出部を備え、前記制御部は、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が、前記外気温度検出部により検出される温度より予め定められた第1の温度だけ高い温度まで低下すると、前記第1の放熱部の放熱動作を停止させ、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が、前記外気温度検出部により検出される温度より予め定められた、前記第1の温度より大きい第2の温度だけ高い温度まで低下すると、前記第2の放熱部による放熱動作を開始させるものである。
【0020】
本発明によれば、前記第2の放熱部による放熱動作の開始タイミングを、前記吸熱部温度センサにより検出される温度が、前記外気温度センサにより検出される温度より予め定められた、前記第1の温度より大きい第2の温度だけ高い温度に達したタイミングとしたので、前記第1の放熱部による実質的な放熱動作を停止する前に、第2の放熱部を構成する部品自体の温度を或る温度まで低下させることが可能となる。よって、前述のような一時的な冷却スピードの低下を防止又は抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の恒温恒湿器において、前記第2の放熱部は、ペルチェ素子を用いて構成されているものである。
【0022】
この発明によれば、従来から利用されている部材を利用して、試験室内の空気を外気温度より低い温度まで低下することのできる恒温恒湿器を構成することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の恒温恒湿器において、前記第2の放熱部は、前記第1の放熱部より上方に配置されているものである。
【0024】
この発明によれば、前記熱輸送部内で効率よく作動流体を循環させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、外気温度よりも低い温度の空気が生成可能な恒温恒湿器を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る恒温恒湿器に備えられる冷却ユニットの一実施形態の機械的構成を示す側面図である。
【0027】
図1に示すように、冷却ユニット1は、前記熱輸送部の一例としてのヒートパイプ2と、ヒートパイプ2の一端部に設置された吸熱部3と、ヒートパイプ2の他端側に設置された放熱部4とを備えている。なお、冷却ユニット1は、後述の断熱壁21によって仕切られている。
【0028】
ヒートパイプ2は、当該ヒートパイプ2の前記一端部において前記吸熱部3により吸収された熱を受け取り前記他端側に輸送するものであり、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導性の高い材質で構成されたパイプ状のケース2aと、真空状態の該ケース2aの内部に封入された水やアルコール等の作動流体とを備えて構成されている。
【0029】
吸熱部3は、冷却対象(後述する試験室内の空気)の熱を吸収し、該熱を前記作動流体に伝達するためのものであり、例えば、ケース2aに嵌合する図略の基部と、該基部の外周面適所に複数立設されたフィン3aとを有する。基部及びフィン3aは、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導性の高い材質で構成されている。フィン3aは、試験室内の空気から熱を吸収し、吸収した熱を前記基部に伝達するものである。基部は、ヒートパイプ2に対して熱的に接触し、フィン3aで吸収された熱を、前記ケース2aを介して作動流体に伝達するものである。なお、吸熱部3の構造は前述のものに限られず、例えばフィン3aを省略したものでもよい。ただし、フィン3aは、当該フィン3aが設けられていない場合に比して試験室内の空気と接触する接触面積を増大させ、吸熱部3の吸熱効率を高めるから、フィン3aが省略されたものに比べてフィン3aを有するものの方がより吸熱効率を向上することができる。
【0030】
放熱部4は、ヒートパイプ2の前記一端部において熱を吸収した作動流体(蒸発した作動流体)が当該放熱部4の部位に移動したときに、該作動流体からその熱を放出させる(作動流体を凝縮させる)ためのものであり、第1放熱部5と第2放熱部6とを一定距離だけ離間して配置した構成を有する。第2放熱部6は、ヒートパイプ2の他端部に設置されており、第1放熱部5は、前記第2放熱部6と吸熱部3との間の中間位置に設置されている。
【0031】
第1放熱部5は、ケース2aに嵌合する図略の基部及び該基部の外周面に複数立設されたフィン7aを備えたヒートシンク7を有する。ヒートシンク7は、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導性の高い材質で構成されており、ヒートパイプ2に対して熱的に接触し、作動流体からケース2aを介して伝達された熱をフィン7aに伝達する。フィン7aは、前記基部から熱を吸収し、吸収した熱を外部に放出するものである。なお、吸熱部3の構造は前述の構成に限られるものではなく、例えばフィン7aを省略したものでもよい。ただし、フィン7aは、当該フィン7aが設けられていない場合に比してヒートシンク7が外気と接触する接触面積を増大させ、第1放熱部5の放熱効率を高めるものであるから、フィン7aが省略されたものに比してフィン7aを有するものの方がより放熱効率を向上することができる。また、第1放熱部5は必ずしもヒートシンク7を備える必要はなく、例えば、ヒートシンク7を介在させることなくフィン7aを直接ヒートパイプ2に設置する態様も採用可能である。また、第1放熱部5を構成するものとして、前記ヒートシンク7の他、例えば、外気により温度設定された常温の水を封入したジャケットでもよい。
【0032】
第2放熱部6は、例えばペルチェ素子8を用いて構成されている。ペルチェ素子8は、周知の構成であるので詳細な説明は行わないが、例えば、P型半導体とN型半導体とが交互に並列に並べられ、各半導体の一方の端部を基板(以下、第1の基板という)に接合するとともに、隣接する2つの半導体を1組として、各組ごとに、半導体の他方の端部をそれぞれ前記第1の基板と異なる基板(以下、第2の基板という)に接合した構成を有しており、各半導体及び基板により構成される直列回路に直流電流を供給することにより、前記第1、第2の基板のうち一方の基板が発熱側として、他方の基板が吸熱側としてそれぞれ作用するものである。ペルチェ素子8は、比較的高い熱伝導性を有する金属製の取付部材9を介してケース2aに取り付けられている。なお、第2放熱部6を構成するものとして、前記ペルチェ素子8の他に、前記常温の水より低温の冷却水を冷却媒体とする周知の水冷式冷却器や、周知の蒸気圧縮式冷却器等も採用可能である。
【0033】
ファン10は、ペルチェ素子8の放熱側の基板に向けて送風動作を行うものであり、該基板による放熱効率を高めるためのものである。ファン10は、前記外気循環部の一例である。なお、基板による放熱効率を高めるためのものとしては、前記ファン10だけでなく、ヒートシンクや水冷ジャケットも採用可能である。
【0034】
このような構成を有する冷却ユニット1においては、吸熱部3が設置されたヒートパイプ2の一端側(以下、吸熱側という)に位置する作動流体が、吸熱部3及びヒートパイプ2のケース2aを介して試験室内の空気から熱(潜熱、気化熱)を吸収し、該作動流体が蒸発する。
【0035】
ここで、冷却ユニット1を適切な設置態様で設置することで、吸熱側で吸熱した作動流体の蒸気は放熱側に略音速で移動する。放熱側に移動した作動流体の蒸気は、第1,第2放熱部5,6の作用により熱を放出することにより再び液化し、この液化した作動流体は再び吸熱側に還流する。冷却ユニット1は、このような作動流体の相変化や移動によって熱の移動を行う。
【0036】
次に、このような冷却ユニット1を利用した恒温恒湿器100について説明する。図2は、恒温恒湿器100の構成を示す断面図である。
【0037】
図2に示すように、恒温恒湿器100は、例えば各種物品や材料の耐熱性や耐湿性等の試験を行うための試験室R1と、試験室R1内の空気(雰囲気)の温湿度を目標値に維持するためのスペースとしての空調室S1と、前記空調室S1と区画された第1熱源調整室S2及び第2熱源調整室S3とを有して構成されている。試験室R1及び空調室S1は、断熱壁21で囲まれたスペースの適所に設置された仕切壁13により、上下でそれぞれ連通部11,12を有する態様で仕切られてなる。
【0038】
空調室S1の適所(例えば空調室S1の上部)には、送風動作を行うファン14が設置されており、該ファン14は、断熱壁21で囲まれた試験室R1内及び空調室S1内の空気を所定の方向(図2では、矢印Xの方向)に循環させるためのものである。
【0039】
空調室S1のうち前記ファン14より上流側の適所には、空気を加熱するための加熱器15が設置されており、さらにその上流側には、加湿器16が設置されている。加湿器16は、収容している水を電気ヒータ25を用いて加熱することで蒸発させて、試験室R1から流入してくる空気に対して加湿するものである。これにより、飽和空気を生成することができ、恒温恒湿器100は、この飽和空気を前記加熱器15により加熱することで所望の湿度に調整する。
【0040】
第1、第2熱源調整室S2、S3は、互いに平行に形成されているとともに、断熱壁21の一外壁面21aに沿って空調室S1に隣接した態様で形成されており、前述した冷却ユニット1が、複数本、空調室S1及び第1、第2熱源調整室S2,S3に跨って配設されている。すなわち、図1では、ケース2aが直線状に形成されたものを説明したが、ここでは、ケース2aが第1放熱部5と第2放熱部6との間の適所で曲折成形されており、冷却ユニット1が第1、第2熱源調整室S2、S3の境界に設置された仕切壁17と断熱壁21とを貫通して設置されている。また、吸熱部3が、空調室S1の加熱器15と加湿器16との間の適所に配置されている一方、第1、第2放熱部5,6は一定の距離だけ離間して設けられており、第1放熱部5が第1熱源調整室S2に、第2放熱部6が第2熱源調整室S3にそれぞれ配置されている。第2放熱部6は、第1放熱部5より上方に配置されており、これにより、ケース2a内の作動流体が効率よく循環される。なお、図2では、ケース2aが前記第1放熱部5と第2放熱部6との間の適所で曲折された形態を示しているが、これに限らず、ケース2aが別の部位で曲折されたものでもよいし、曲折個所が複数存在してもよいし、或いは直線状に形成されたものでもよい。また、第1、第2熱源調整室S2、S3は、必ずしも互いに平行に形成されている必要は無い。
【0041】
第1熱源調整室S2は、前記断熱壁21の一外壁面21aと、該外壁面21aに対向する仕切壁17と、該仕切壁17の各端部と断熱壁21の外壁面21aとの間に設置された、複数の孔(図示せず)を有するフィルタ18,19とを備えて構成されており、第1放熱部5は、この第1熱源調整室S2の略中央位置に配置されている。フィルタ18の内側適所には、送風動作を行うファン20が設置されており、このファン20の作動により、第1熱源調整室S2の内部と外部との間で空気が循環する循環構造が構成されている。すなわち、ファン20が作動すると、第1熱源調整室S2内の空気がフィルタ18に形成された孔から外部に排出され、この排出により発生する負圧により、前記フィルタ19を介して第1熱源調整室S2の外部から内部に外気が取り込まれることで、第1熱源調整室S2の内部と外部との間で空気が循環する。ファン20は、前記外気循環部の一例である。
【0042】
また、第1放熱部5の上下適所には、前述のようにしてフィルタ19を介して外部から流入した空気が、第1放熱部5(ヒートシンク7)に当たるのを防止又は大幅に抑制するための通気遮断部の一例としての通気防止板22,23が、回動軸O、Oに回動自在に軸支された状態で設置されている。通気防止板22,23は、フィルタ19を介して外部から流入した空気が第1放熱部5に当たってもよい又は意図的に当てる場合には、実線で示す開放位置に駆動される一方、前記空気が第1放熱部5に当たるのを防止又は抑制する場合には、点線で示す閉鎖位置に駆動される。通気防止板22,23は、閉鎖位置に位置することで、第1放熱部5による放熱動作が実質的に実行されないようにすることを目的として設置されたものである。
【0043】
通気防止板22,23が前記開放位置に位置するとき、フィルタ19を介して外部から流入した空気は、第1放熱部5(ヒートシンク7)を通過するため、第1放熱部5による放熱効率を高める。なお、第1放熱部5の紙面と直交する方向における両側に通気スペースがある場合には、通気防止板22,23が前記閉鎖位置に位置するときに、フィルタ19を介して外部から流入した空気はその通気スペースを通ってフィルタ18から外部に排出される。前記通気スペースは必ずしも設ける必要はない。また、前記通気遮断部は、前記通気防止板22,23に限らず、前記通気防止板22,23が閉鎖位置に位置する時の状態で固定された固定板でもよく、この場合にも、第1放熱部5の紙面と直交する方向における両側に通気スペースを設け、フィルタ19を介して外部から流入した空気はその通気スペースを通ってフィルタ18から外部に排出されるようにしてもよい。要は、第1放熱部5を少なくとも図2の上下方向に空気が流れるのを規制又は大幅に抑制できるものであればよい。
【0044】
第2熱源調整室S3は、前記仕切壁17と、該仕切壁17に対向する対向壁24と、該対向壁24の各端部と前記仕切壁17との間に設置された、複数の孔(図示せず)を有するフィルタ25,26とを備えて構成されており、第2放熱部6は、吸熱部3より上方となる位置に設置されている。
【0045】
第2放熱部6に備えられるファン10の作動により、第2熱源調整室S3の内部と外部との間で空気が循環する循環構造が構成されている。すなわち、ファン10が作動すると、第2熱源調整室S3内の空気が対向壁24に形成された図略の孔から外部に排出され、この排出により発生する負圧により、第2熱源調整室S3の外部から前記フィルタ25,26を介して第2熱源調整室S3の内部に外気が取り込まれることで、第2熱源調整室S3の内部と外部との間で空気が循環する。循環する空気は、ペルチェ素子8の放熱側の基板を通過し、これによりペルチェ素子8による放熱効率を高める。
【0046】
図3は、恒温恒湿器100の電気的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、恒温恒湿器100は、図1に示す冷却ユニット1と、雰囲気温湿度センサ101と、外気温度センサ102と、吸熱部温度センサ103と、ペルチェ温度センサ104と、入力操作部105と、制御部106とを備える。
【0047】
雰囲気温湿度センサ101は、試験室R1内の空気(雰囲気)の温度及び湿度を検出するものであり、例えば、空調室S1から試験室R1に空気が流出する側の連通部11よりやや下流側の位置(図2の点Aで示す位置)に設置される。なお、雰囲気温湿度センサ101の設置位置は、前述の位置に限らず、例えば試験室R1から空調室S1に空気が流出する側の連通部12よりやや上流側の位置(図2の点Bで示す位置)等に設置してもよい。
【0048】
外気温度センサ102は、第1放熱部5による放熱動作で利用する外気の温度を検出するものであり、例えば、フィルタ19よりやや下流側の位置(図2の点Cで示す位置)に設置される。吸熱部温度センサ103は、吸熱部3近傍の位置において空調室S1内の空気の温度を検出するものである。ペルチェ温度センサ104は、ペルチェ素子8の温度を検出するものであり、例えば、ペルチェ素子8の表面温度を検出する熱電対や測温低抗体が採用される。なお、ペルチェ温度センサ104は、前述の熱電対や測温低抗体に限定されず、前記表面温度を非接触方式で検出するものでもよい。ペルチェ温度センサ104の検出温度は、ペルチェ素子8の劣化や故障を防止するため、該ペルチェ素子8の温度が予め定められた温度を超えた場合に該ペルチェ素子8の駆動を停止するために設けられたセンサである。
【0049】
入力操作部105は、恒温恒湿器100の動作を開始又は終了させるための開始/終了ボタンや、試験室R1内の空気の目標温湿度を設定するための設定ボタン等、機械的なボタンやスイッチ、或いはタッチパネルディスプレイで構成される仮想的なボタン等を含むものである。
【0050】
制御部106は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、前記制御プログラムにより、機能的に、第1ファン駆動制御部1061と、第2ファン駆動制御部1062と、ペルチェ駆動制御部1063と、加湿制御部1064と、加熱制御部1065と、通気制御部1066とを有する。
【0051】
第1ファン駆動制御部1061は、空調室S1に設置されたファン14の駆動を制御するものであり、本実施形態においては、試験室R1内の空気の温湿度を調整する必要がある期間は、常時ファン14を作動させる。第2ファン駆動制御部1062は、前記各温度センサ101〜103による検出温湿度と設定温湿度とに基づいて、第1熱源調整室S2に設置されたファン20の駆動を制御するものである。ペルチェ駆動制御部1063は、前記各温度センサ101〜104による検出温湿度と設定温湿度とに基づいて、第2放熱部6を構成するペルチェ素子8の駆動及びファン10の駆動を制御するものである。加湿制御部1064は、前記各温度センサ101〜104による検出温湿度と設定温湿度とに基づいて、加湿器16による加湿動作を制御するものである。加熱制御部1065は、前記各温度センサ101〜104による検出温湿度と設定温湿度とに基づいて、加熱器15による加熱動作を制御するものである。通気制御部1066は、前記各温度センサ101〜104による検出温湿度と設定温湿度とに基づいて、通気防止板22,23の回動位置を制御するものである。
【0052】
第1ファン駆動制御部1061は、空調室S1内のファン14を作動させることで、試験室R1と空調室S1との間で空気を循環させる。雰囲気温湿度センサ101により検出される試験室R1の雰囲気温度が、設定された温度と湿度とにより決定する露点温度(以下、設定露点温度という)より高い場合には、加湿制御部1064は、加湿器16による加湿動作を停止し、第2ファン駆動制御部1062及び通気制御部1066とペルチェ駆動制御部1063とのうち少なくとも一つによって、冷却ユニット1に冷却動作(放熱動作)を行わせる。なお、第2ファン駆動制御部1062、通気制御部1066及びペルチェ駆動制御部1063により行われる制御内容については、後述する。
【0053】
これにより、冷却ユニット1による冷却前の空気に含まれていた水蒸気の量が、冷却後の空気の温度に対応する飽和水蒸気量より多い場合には、その多い分だけ結露して除湿動作が行われることとなり、その結果、冷却ユニット1の吸熱部3を通過前後の空気を比較すると、吸熱部3を通過後の空気は、吸熱部3を通過前の空気に比べて露点温度が低下することとなる。
【0054】
その後、加熱制御部1065は、加熱器15に加熱動作を行わせ、除湿後の空気の温度を上昇させた空気がファン14の作動により試験室R1に供給される。このような空気の循環が行われるうちに、試験室R1内の空気の温湿度が目標温湿度に近づく。
【0055】
図4は、恒温恒湿器100における制御部106の処理を示すフローチャートである。
【0056】
図4に示すように、恒温恒湿器100の図略の電源がONされ(ステップ♯1でYES)、入力操作部105により目標温湿度が設定された後(ステップ♯2でYES)、動作開始指示が入力操作部105により行われると(ステップ♯3でYES)、制御部106は、前記冷却ユニット1、加熱器15及び加湿器16を用いて前記試験室R1の雰囲気について温湿度の制御を実行する(ステップ♯4)。
【0057】
そして、制御部106は、動作停止指示がなされるまで(ステップ♯5でNO)、ステップ♯4の処理を実行し、動作停止指示がなされると(ステップ♯5でYES)、温湿度の制御を停止する(ステップ♯6)。さらに、制御部106は、電源がOFFされたか否かを判断し(ステップ♯7)、電源がOFFされていないと判断した場合には(ステップ♯7でNO)、ステップ♯2に戻り、電源がOFFされたものと判断した場合には(ステップ♯7でYES)、一連の処理を終了する。
【0058】
次に、図4に示すフローチャートのステップ♯4における温湿度の制御について詳細に説明する。図5は、この温湿度制御を示す動作マトリックスを表した図である。図5(a)は、温度を横軸、湿度を縦軸として、目標に設定され得る温湿度の範囲を示したグラフであり、点線で示す範囲が目標に設定され得る温湿度の範囲を示している。また、その範囲を、(1)高温高湿領域、(2)高温低湿領域、(3)中温高湿領域、(4)中温低湿領域及び(5)低温高湿領域の5つの領域に分割したとき、本実施形態では、制御部106(第2ファン駆動制御部1062、通気制御部1066及びペルチェ駆動制御部1063)は、各温湿度領域(1)〜(5)で、通気防止板22,23、ファン20及び第2放熱部6の動作を図5(b)に示すように動作させる。なお、図5(b)において、「中温」とは外気温度よりもやや高い温度であり、「低温」とは外気温度よりも低い温度である。また、試験室R1内の空気の初期温度は外気温度と略同一温度であり、また、初期湿度は、図5(b)における「高湿」と「低湿」との間の湿度であるものとする。
【0059】
また、通気防止板22,23は、閉鎖位置に位置することで、第1放熱部5による放熱動作が実質的に行われないようにすることを目的として設置されたものであるから、制御部106は、第1放熱部5に放熱動作を行わせないときには、ファン20の駆動を停止するとともに通気防止板22,23を閉鎖位置に位置させる。また、第1放熱部5に放熱動作を行わせるときには、制御部106は、ファン20を駆動するとともに通気防止板22,23を開放位置に位置させる。
【0060】
制御部106は、(1)高温高湿領域では、通気防止板22,23を閉鎖位置に位置させるとともに、ファン20及び第2放熱部6の作動を停止させる。これは、目標温湿度が高いため、第1、第2放熱部5,6に冷却動作を行わせる必要がないためである。なお、(1)高温高湿領域では、ペルチェ素子8に供給する電流の向きを逆向きにして、発熱側及び吸熱側として機能する基板が切り替わることにより、第2放熱部6に加熱動作を行わせるようにしてもよい。
【0061】
また、制御部106は、(2)高温低湿領域では、高温高湿領域(1)と同様、通気防止板22,23を閉鎖位置に位置させるとともに、ファン20及び第2放熱部6の作動を停止させる。なお、第2放熱部6に加熱動作を行わせるようにしてもよい。
【0062】
制御部106は、(3)中温高湿領域では、加湿器16で露点温度の飽和空気を生成し、この飽和空気を冷却するため通気防止板22,23を開放位置に位置させるとともにファン20を作動させる一方、第2放熱部6の作動を停止させる。また、制御部106は、(4)中温低湿領域では、通気防止板22,23を開放位置に位置させるとともにファン20を作動させる一方、第2放熱部6の作動を停止させて、第1放熱部5のみに放熱動作を行わせるか、或いは、通気防止板22,23を閉鎖位置に位置させるとともにファン20の作動を停止させる一方、第2放熱部6を作動させて、第1放熱部5のみに放熱動作を行わせる。何れの制御を行うかは、目標温湿度の大小や目標温度と目標湿度との関係に応じて決定される。
【0063】
また、制御部106は、(5)低温高湿領域では、通気防止板22,23を閉鎖位置に位置させるとともにファン20の作動を停止させる一方、試験室R1内の空気の温度を外気温度より低い温度まで下げるため第2放熱部6を作動させる。これは、第2放熱部6による放熱動作と並行して第1放熱部5に実質的な放熱動作を行わせると、第1放熱部5において吸熱(蒸発)作用が発生することとなり、第2放熱部6の冷却性能を十分に活かすことができなくなるため、通気防止板22,23を閉鎖位置に位置させるとともにファン20の作動を停止させている。
【0064】
以上の制御は、試験室R1内の空気の初期温度が外気温度と略同一温度であることを前提としたものであるが、試験室R1内の空気の初期温度が外気温度と異なる温度である場合において、試験室R1内の空気を冷却する必要があるときには、制御部106は、次のような温湿度制御を行うとよい。
【0065】
すなわち、制御部106は、目標温度が外気温度以上の場合と外気温度より低い場合とで異なる制御を行う。具体的には、制御部106は、試験室R1内の空気を外気温度以上の目標温度まで冷却させる場合には、通気防止板22,23を開放位置に位置させるとともに、ファン20を作動させる一方、第2放熱部6の作動を停止させる。これは、第1放熱部5による放熱動作だけで、試験室R1内の空気を速やかに目標温度まで冷却することができるからである。
【0066】
また、制御部106は、試験室R1内の空気を、外気温度を下回る目標温度まで冷却させる場合には、次のように制御する。すなわち、第2ファン駆動制御部1062は、図6に示すように、入力操作部105により冷却開始の指示がなされてから外気温度センサ102により検出された温度(以下、検出外気温度という)より所定温度αだけ高い温度(以下、第1判定温度という)に達するまでの間、ファン20を作動させるとともに通気防止板22,23を開放位置に位置させる。
【0067】
また、ファン20の駆動停止タイミング及び通気防止板22,23の閉鎖位置への設定解除と、ペルチェ素子8との両方を並行して作動させると、吸熱部3と第2放熱部6との温度差が小さくなり、熱輸送量が減少して温度降下に時間がかかる。そこで、本実施形態では、温度降下のスピードが低下する前のタイミング、すなわち、検出吸熱部温度が前記検出外気温度より所定温度αだけ高い温度に達したタイミングでファン20の駆動を停止し、且つ通気防止板22,23の開放位置への設定を解除するようにしている。
【0068】
また、ペルチェ駆動制御部1063は、図6に示すように、ファン20の動作により低下していく、前記吸熱部温度センサ103により検出される温度(以下、検出吸熱部温度という)が前記検出外気温度より所定温度β(β>α)だけ高い温度(以下、第2判定温度という)に達するまでペルチェ素子8の駆動を待機し、前記検出吸熱部温度が前記第2判定温度に達すると、ペルチェ素子8の駆動を行う。
【0069】
ペルチェ素子8の駆動開始タイミングを、検出吸熱部温度が前記検出外気温度より所定温度βだけ高い温度に達したタイミングに設定しているのは、次の理由に因る。すなわち、検出吸熱部温度が前記検出外気温度に達したタイミングに設定すると、ペルチェ素子8の吸熱量が小さく、該ペルチェ素子8をはじめとする第2放熱部6の構成部品自体の温度が、前記検出外気温度まで低下するのに所要の時間がかかる場合があり、この場合、前記所要の時間によって冷却スピードが一時的に低下することとなる。
【0070】
そこで、ペルチェ素子8の駆動開始タイミングを、検出吸熱部温度が前記検出外気温度より所定温度βだけ高い温度に達したタイミングに設定することで、第1放熱部5によって検出吸熱部温度を前記検出外気温度まで低下させるまでの間に、第2放熱部6の構成部品自体の温度を前記検出外気温度まで低下させることができるから、冷却スピードの一時的な低下を防止又は抑制することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、従来のような外気を用いて熱媒凝縮側を冷却する構成(第1放熱部5)だけでなく、前述の第2放熱部6を設けたので、試験室R1内の空気の温度を外気温度まで速やかに冷却することができる上、第2放熱部6によって外気温度よりも低い温度に冷却することができる。
【0072】
また、冷却ユニット1の吸熱部3を露点温度付近に制御することができるため、従来のような圧縮式冷却器等のように試験室R1から流入してきた空気を過度に冷却する(露点温度より大幅に低い温度まで冷却する)ことがない。これにより、冷却ユニット1(吸熱部3)の表面に結露する水の量が少なく、吸熱部3を始めとする冷却ユニット1の構成部品の腐食を抑制することができるとともに、従来に比して生成すべき水蒸気の量を抑制できるから、加湿器16に備える水(加湿用の水)の量を従来に比して低減することができる。
【0073】
また、ケース2aの各部位のうち最も高い温度となる、前記吸熱部3と反対側の端部に第2放熱部6を設置したので、第2放熱部6を熱輸送部の他の部位に設置する場合に比して高い冷却効率を得ることができ、より低い温度に到達させることができる。
【0074】
また、第2放熱部6をペルチェ素子で構成した場合、第1放熱部5によって速やかに外気温度まで冷却された上で、ペルチェ素子8によって外気温度よりも低い温度に冷却されることとなり、低い温度からペルチェ素子8を作動させるため、前記試験室R1内の空気が高温の場合に、ペルチェ素子8自体が低温化するのに多大なエネルギーを要するという状況が発生するのを回避し、第1放熱部5に比して放熱容量の小さいペルチェ素子8でも速やかに試験室R1内の空気を冷却することができる。
【0075】
また、試験室R1内の空気を、外気温度を下回る目標温度まで冷却させる場合に、ファン20の駆動及び通気防止板22,23の開放位置への設定を途中で停止・解除するようにしたので、ファン20の駆動及び通気防止板22,23の開放位置への設定を途中で停止・解除しない場合に比して、第2放熱部6の冷却性能を十分に活かすことできる。
【0076】
なお、本件は、前記実施形態の内容に加えて、またはそれに代えて次の実施形態も採用可能である。
【0077】
(1)ペルチェ素子8への電流供給を停止してもしばらくの間は、第2放熱部6の各構成部品が低温の状態が続くことで、第2放熱部6により作動流体の冷却(吸熱)が行われ、これにより、試験室R1内の空気の温度が目標温度よりさらに低温側に移行することが考えられる。これに鑑みて、試験室R1内の空気が目標温度に達すると、ペルチェ素子8に供給する直流電流の向きを逆向きにして、吸熱側及び放熱側として機能する基板を切り替えることで、試験室R1内の空気の温度が目標温度よりさらに低温側に移行するのを防止又は抑制し、試験室R1内の空気の温度が目標温度に維持されるようにするとよい。また、冷却ユニット1の運転を停止する際にも、前述と同様にペルチェ素子8に逆向きの直流電流を供給して作動流体を外気温度に速やかに戻すようにしても良い。なお、ペルチェ素子8に供給する直流電流の向きの切替えは、自動的に(制御で)行うようにしてもよいし、或いは、操作ボタンを設けて手動で行われるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る恒温恒湿器に備えられる冷却ユニットの一実施形態の機械的構成を示す図である。
【図2】恒温恒湿器の構成を示す断面図である。
【図3】恒温恒湿器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】冷却装置における制御部の処理を示すフローチャートである。
【図5】ファン及びペルチェ素子の動作を示す動作マトリックスを示す図である。
【図6】目標温度が外気温度より低い場合における第1、第2放熱部の作動態様を示すグラフである。
【符号の説明】
【0079】
1 冷却ユニット
2 ヒートパイプ
2a ケース
3 吸熱部
3a,7a フィン
5,6 第1、第2放熱部
7 ヒートシンク
8 ペルチェ素子
10,20 ファン
11,12 連通部
13 仕切壁
14 ファン
15 加熱器
16 加湿器
17 仕切壁
18,19,25,26 フィルタ
21 断熱壁
21a 外壁面
22,23 通気防止板
24 対向壁
100 恒温恒湿器
101 雰囲気温湿度センサ
102 外気温度センサ
103 吸熱部温度センサ
104 ペルチェ温度センサ
105 入力操作部
106 制御部
1061,1062 第1、第2ファン駆動制御部
1063 ペルチェ駆動制御部
1064 加湿制御部
1065 加熱制御部
1066 通気制御部
R1 試験室
S1 空調室
S2,S3 熱源調整室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験室と、前記試験室内の空気の温湿度を目標の温湿度に調整するために設けられた空調室と、前記試験室と空調室との間で空気を循環させる送風部と、前記試験室から空調室に流入した空気を加湿するための加湿部と、前記空気を冷却するための冷却部とを備えた恒温恒湿器であって、
前記冷却部は、
前記空調室内に配置された吸熱部と、
前記空調室外に配置された、第1の放熱部及び第2の放熱部を有する放熱部と、
封入体内に封入された作動流体にヒートパイプ現象を生じさせて、前記吸熱部から前記放熱部に熱輸送を行うための熱輸送部とを備え、
前記吸熱部及び前記第1、第2の放熱部は前記熱輸送部に熱的に接続され、
前記第1の放熱部は、外気を冷却媒体として前記熱輸送部の熱を放出させるものであり、
前記第2の放熱部は、前記熱輸送部の温度が外気温度よりも低温にまで下がるように前記熱輸送部の熱を放出させるものである恒温恒湿器。
【請求項2】
前記第1の放熱部は、前記熱輸送部の熱輸送方向において前記第2の放熱部より前記吸熱部側に設置されている請求項1に記載の恒温恒湿器。
【請求項3】
前記試験室内の空気の温湿度を検出する温湿度検出部と、
前記温湿度検出部の出力信号に基づいて、前記加湿部及び前記冷却部の動作を制御する制御部と
を備える請求項1または2に記載の恒温恒湿器。
【請求項4】
前記吸熱部の温度を検出する吸熱部温度検出部を備え、
前記制御部は、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度に低下するまでの間のみ、前記第1の放熱部を動作させ、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度まで低下すると、前記第2の放熱部の作動を開始させる請求項3に記載の恒温恒湿器。
【請求項5】
前記吸熱部の温度を検出する吸熱部温度検出部と、
前記第1の放熱部に外気を通気させるための外気循環部と、
前記第1の放熱部における空気の通気を遮断するための通気遮断部とを備え、
前記制御部は、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度に低下するまでの間のみ、前記第1の放熱部を動作させるとともに、前記通気遮断部による通気防止を解除させ、前記吸熱部温度検出部により検出される温度が予め定められた温度まで低下すると、前記第2の放熱部の作動を開始させる請求項3に記載の恒温恒湿器。
【請求項6】
外気温度を検出する外気温度検出部を備え、
前記制御部は、
前記吸熱部温度検出部により検出される温度が、前記外気温度検出部により検出される温度より予め定められた第1の温度だけ高い温度まで低下すると、前記第1の放熱部の放熱動作を停止させ、
前記吸熱部温度検出部により検出される温度が、前記外気温度検出部により検出される温度より予め定められた、前記第1の温度より大きい第2の温度だけ高い温度まで低下すると、前記第2の放熱部による放熱動作を開始させる請求項4又は5に記載の恒温恒湿器。
【請求項7】
前記第2の放熱部は、ペルチェ素子を用いて構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の恒温恒湿器。
【請求項8】
前記第2の放熱部は、前記第1の放熱部より上方に配置されている請求項1ないし7のいずれかに記載の恒温恒湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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