説明

患者の体位交換および四肢取扱システム

【課題】患者または患者の四肢のような患者の一部を体位交換するのに用いられる装置、方法、およびシステムを提供する。
【解決手段】四肢取扱および患者の体位交換(LMPR)システム100は、構造支持システム、または支持面またはヘッドエンド252、フットエンド254、左側256、および右側258を有するベッド250上に延在する枠組200に取り付け可能である。システムは横および縦に平行移動可能であり、ベッド上の複数の位置の一に配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2007年2月8日出願の米国仮出願No.60/888,824および2008年1月29日出願の米国仮出願No.12/021,876の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、患者または患者の四肢のような患者の一部を体位交換するのに用いられる装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
長期間ベッドに拘束される患者その他の人は、しばしばベッド内で体位交換、またはあるベッドから他のベッドや支持面への移動の際に補助を必要とする。実施される体位交換のタイプにより、介護人は、吊上金具や、体位交換シートまたはロールシートのような装置を用いる必要がある。人(または四肢などの人の一部)が頭上の吊上装置を用いてベッドの外へ吊上げられる場合には吊上金具が用いられ、ベッド内で人を体位交換したり、巻いたりするのに、体位交換シートが用いられる場合もある。
【0004】
既存のシステムにおいて、携帯型の吊上ホイストは、患者の体位交換を支援、または患者の四肢を動かすのを補助するよう、患者の方へ配置または移動させる必要がある。このことは、介護人にとって相当な時間を要する。別の既存のシステムにおいて、ホイストを天井の軌道のような常設のオーバーヘッドシステムに取り付けて、患者を体位交換してもよい。このようなシステムは、設置にかなりの費用を要し、別の配置やベッドへ持ち運び可能ではない。さらに患者は、ベッドに出入りする際に、時に介護人の補助を必要とする。しかしながら、オーバーヘッド支持具またはハンドルを利用することができれば、患者は介護人の補助なしでベッドに出入りできる場合がある。ホイストの配置が困難か、利用できない場合、介護人はホイストの補助なしで患者や患者の一部を吊上げたりすることが必要となる。このような動作は、介護人の過労やけがの原因となりうる。
【0005】
したがって、既存の装置にあるこれらの欠点を克服する、患者の体位交換および四肢取扱システムの提供が望まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な実施例は、人を体位交換するためのシステムを具える。特定の例示的な実施例において、前記システムは、第1の横支持部材および当該第1の横支持部材に連結される第2の横支持部材を具え、前記第2の横支持部材は前記第1の横支持部材に対して平行移動するよう構成される。例示的な実施例はまた、前記第1の横支持部材の第1の端部に連結される第1の縦部材と、前記第2の横支持部材の第2の端部に連結される第2の縦部材とを具えてもよい。例示的な実施例において、前記第1および第2の縦部材は、第1および第2の縦支持部材を具えるベッド枠組に係合するよう構成される。
【0007】
特定の例示的な実施例において、前記第2の横支持部材の第1の端部は、前記システムが第1の位置にある場合、前記第1の縦部材を越えて延在するよう構成され、前記第2の横支持部材の第2の端部は、前記システムが第2の位置にある場合、前記第2の縦部材を越えて延在するよう構成される。
【0008】
例示的な実施例はまた、前記第2の横支持部材が、前記第1の横支持部材に対して平行移動しないように、前記第2の横支持部材を固定するよう構成される第1のロック部材を具えてもよい。例示的な実施例はさらに、前記第1および第2の縦部材が、使用中に、前記第1および第2の縦支持部材に対して動かないように、前記第1または第2の縦部材を固定するよう構成される第2のロック部材を具えてもよい。別の例示的な実施例はまた、ヘッドエンド、フットエンド、右側、および左側を有するベッドまたは別の支持面上に延在する構造支持システムを具えてもよい。例示的な実施例において、前記システムは、前記ヘッドエンド、前記フットエンド、前記右側、および前記左側間の複数の位置の一に配置されるよう構成される。
【0009】
例示的な実施例はまた、前記第1または第2の横支持部材の一方に連結されるハンドルおよび/またはホイストを具えてもよい。例示的な実施例において、スリングが前記ホイストに連結されてもよい。体位交換シートはまた、例示的な実施例において、スプレッダバーを介して前記ホイストに連結されてもよい。
【0010】
例示的な実施例において、前記第1および第2の横支持部材が、粉体塗布された鉄、粉体塗布されたアルミニウム、および硬質の陽極処理アルミニウムの一以上からなる。前記第1および第2の縦部材はそれぞれ、例示的な実施例において、低摩擦インサートを具えてもよい。
【0011】
例示的な実施例はさらに、第1のスライド部材であって、平行移動の係合で前記第1の横支持部材に連結され、非平行移動の係合で前記第2の横支持部材に連結される第1のスライド部材を具えてもよい。別の例示的な実施例がさらに、平行移動の係合で、前記第2の横支持部材に連結される第2のスライド部材を具えてもよい。例示的な実施例がさらに、前記第1のスライド部材を前記第2の横部材に連結する連結部材を具え、前記第2のスライド部材が、前記連結部材を越えて平行移動するよう構成されてもよい。
【0012】
例示的な実施例はまた、ベッドと、前記ベッドに連結され、前記ベッド上に延在する枠組であって、第1の縦支持部材および第2の縦支持部材を具える枠組とを具えてもよい。例示的な実施例はまた、第1の端部および第2の端部を有する横支持部材と、前記第1の横支持部材の第1の端部に連結される第1の縦部材と、前記第2の横支持部材の第2の端部に連結される第2の縦部材とを具えてもよい。例示的な実施例はまた、前記横支持部材に連結される吊り装置であって、前記横支持部材の第1の端部および第2の端部間を動くよう構成される吊り装置を具えてもよい。例示的な実施例において、前記吊り装置はホイストである。例示的な実施例において、前記ホイストは電気ホイストまたは機械ホイストである。例示的な実施例において、前記吊り装置はまた、前記横支持部材に接する回動部材を具えてもよい。
【0013】
例示的な実施例はまた、ベッドと、前記ベッドに連結され、前記ベッド上に延在する枠組であって、第1の縦支持部材、第2の縦支持部材、ヘッドエンド横部材、およびフットエンド横部材を具える枠組とを具えてもよい。例示的な実施例はまた、前記枠組に取り付けられる吊り装置であって、前記枠組から外れることなく、前記ヘッドエンド横部材、前記第1の縦支持部材、前記フットエンド横部材、および前記第2の縦支持部材間を移動し、前記ヘッドエンド横部材へと戻るよう構成される吊り装置を具えてもよい。例示的な実施例において、前記枠組はさらに、前記ヘッドエンド横部材、前記第1の縦支持部材、前記フットエンド横部材、および前記第2の縦支持部材間に複数の湾曲部を具えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本願発明の実施例が以下に詳細に記載されるが、これは当業者であれば、本発明の範囲から外れることなく変更や修正を行えることは明白である。したがって、以下の記載および添付図面は説明のためにのみ提示されるのであって限定ではない。本発明の実際の範囲は、以下のクレームとともに、これらのクレームに権利が与えられる均等物の全範囲により規定されるべきである。
【0015】
さらに当業者は、本開示を読んだり、理解したりするにあたり、本書記載の発明の別のバリエーションが本発明の範囲に含まれることを認識するであろう。例えば、構成の異なる材料が四肢の取扱や患者の体位交換システムの要素に用いられてもよい。さらに個々の要素の形状は変更されてもよい。
【0016】
以下の例示的な実施例の詳細な説明では、様々な特徴が、本開示を簡素化する目的で、いくつかの実施例にグループ化されている。この開示方法は、本発明の実施例が、各クレームに明確に記載されるよりも多くの特徴を必要とする意図を反映するものとして解釈されるべきものではない。むしろ、以下のクレームが示すように、発明の主題は、単一の開示された実施例のすべての特徴よりも少ない。このように、以下のクレームは、各クレームがそれ自体に基づく別個の実施例として、例示的な実施例の詳細な説明に組み込まれている。
【0017】
本発明の範囲は、いかなる特定の実施例よりもはるかに広いが、好適な実施例の詳細な説明が、説明図とともに示され、ここで同じ符号は同じ要素を示す。
【図1】図1は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第1の例示的な実施例の分解図を示す。
【図2】図2は、図1の例示的な実施例の組立図を示す。
【図3】図3は、枠組に取り付けられた図1の例示的な実施例の斜視図を示す。
【図4】図4は、延在位置での図1の例示的な実施例の斜視図を示す。
【図5】図5は、枠組に取り付けられる延在位置での図1の例示的な実施例の斜視図を示す。
【図6】図6は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第2の例示的な実施例を図示する。
【図7】図7は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第3の例示的な実施例を図示する。
【図8】図8は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第4の例示的な実施例を図示する。
【図9】図9は、後退位置での図8の例示的な実施例を図示する。
【図10】図10は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第5の例示的な実施例を図示する。
【図11】図11は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第6の例示的な実施例を図示する。
【図12】図12は、後退位置での図11の例示的な実施例を図示する。
【図13】図13は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第7の例示的な実施例を図示する。
【図14】図14は、後退位置での図13の例示的な実施例を図示する。
【図15】図15は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第8の例示的な実施例を図示する。
【図16】図16は、図15の例示的な実施例の一部の詳細図を示す。
【図17】図17は、患者の体位交換および四肢取扱システムの第9の例示的な実施例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1−5を参照すると、四肢取扱および患者の体位交換(LMPR)システム100の一実施例が分解組立図に示されている。明確さの目的のために、全ての要素または特徴が図の各々に示されたり、付されているわけではない。この実施例において、LMPRシステム100は、上部横支持部材110および下部横支持部材120を具える。実施例は、スライドまたは平行移動で、上部横支持部材110に取り付けられる一対の上部横スライド部材115、およびスライドまたは平行移動で、下部横支持部材120に取り付けられる一対の下部横スライド部材125を具える。この実施例において、上部および下部横スライド部材115および125は、ケーシング117および127によって囲まれる一対の低摩擦インサート116および126を具える。別の実施例において、上部および下部横スライド部材は、一以上のローラやホイール(図示せず)のようなスライドまたは平行移動の動きが可能である別の要素を具えてもよい。
【0019】
図1−5の例示的な実施例において、各一対の上部横スライド部材115が、1組の連結部材119に連結されており(図1では部分的にしか見えない)、それらはさらに、孔121で下部横支持部材120に連結される。リンク部材128が、下部横スライド部材125の各ケーシング127に連結されている。この実施例において、左縦部材140は、上部横支持部材110の一端に連結され、右縦部材150は、上部横支持部材110の反対側の端部に連結される。図示される実施例において、左右の縦部材140および150は、ケーシング142,152によって囲まれる低摩擦インサート141,151をそれぞれ有する。図3でより詳細に後述されるように、左縦部材140は、スライドまたは平行移動で、左縦支持部材216に係合され、右縦部材150は、同様に、右縦支持部材218に係合される。
【0020】
図1に示されるように、下部横スライド部材125の各ケーシング127は、スロット129、およびスロット124を有する各低摩擦インサート126を具える。LMPRシステム100が組み立てられると、スロット124および129により、下部横スライド部材125が、連結部材119を過ぎてスライド可能となる。この実施例において、左右の縦部材140,150はそれぞれ、LMPRシステム100が左右の縦部材216,218に沿ってスライドしないよう調整された一対のロック部材175を具えてもよい。このロック部材175は、LMPRシステム100が(図3に示される枠組200のような)枠組や他の構造支持システムから取り外し可能なように、左右の縦部材140,150に連結されてもよい。
【0021】
図2に示されるように、上部および下部横スライド部材115,125は、保持機構171で保持されるピン170によって係止される。ピン170は、上部横支持部材110および下部横支持部材120の孔172に係止する。この形態において、上部および下部横スライド部材115,125は、上部および下部横支持部材110,120に沿ってスライド可能であり、ピン170および孔172を確実に係止することにより、適所に保持される。図1−5の例示的な実施例では保持機構を有するピンが記載されているが、別の実施例では、バネ付のピン、ハンドルを有するねじ切りロッド、またはロック目的の確実な係止を提供する別の構成であってもよい。さらに、左右の縦部材216および218が、これらの上部および下部横スライド部材115,125のような孔および同様のロック機構を具えてもよい。
【0022】
図3に示されるように、LMPRシステム100は、構造支持システム、または支持面またはヘッドエンド252、フットエンド254、左側256、および右側258を有するベッド250上に延在する枠組200に取り付け可能である。この例示的な実施例において、枠組200は、左縦支持部材216、右縦支持部材218、フットエンド横部材220、およびヘッドエンド横部材222を支持する1セット4本の縦部材214を有する。図1−5に示される例示的な実施例において、左右の縦部材140および150は、スライドまたは平行移動で、左右の縦部材216および218に係合される。これにより、LMPRシステム100が、ヘッドエンド横部材222(およびベッド250のヘッドエンド252上)近傍部とフットエンド横部材220(およびベッド250のフットエンド254上)近傍部の間で移動可能となる。さらに、上部横スライド部材115は、上部横支持部材110上をスライドしてもよく、下部横スライド部材125は、下部横支持部材120上をスライドしてもよい。結果として、LMPRシステム100は、下部横支持部材120の一部が、左縦支持部材216または右縦支持部材218を越えて延在するよう操作または配置が可能である。例えば、上部横スライド部材115が左縦部材140近傍に配置され、下部横スライド部材125が下部横支持部材120の端部114近傍に配置されると、下部横支持部材端部120の端部114は左縦部材140を越えて延在する。このような構成により、下部横スライド部材125およびリンク部材128が左縦部材140を越えて延在することが可能となる。したがって、LMPRシステム100が枠組200に取り付けられると、端部114およびリンク部材128は、左縦支持部材216を越えて延在するよう配置することができる。
【0023】
同様に、上部横スライド部材115が右縦部材150近傍に配置され、下部横スライド部材125が下部横支持部材120の端部112近傍に配置されると、下部横支持部材端部112は平行移動し、右縦部材150(図4に示されるように)を越えて延在することとなる。このような構成は、下部横スライド部材125およびリンク部材128が右縦部材150を越えて延在することが可能となる。したがって、LMPRシステム100が枠組200に取り付けられると、端部112およびリンク128は、図5に示されるように、右縦支持部材218を越えて延在することができる。
【0024】
LMPRシステム100および枠組200の構成により、リンク部材128が、ヘッドエンド252上の範囲からベッド250のフットエンド254上の範囲までの複数の位置に配置可能となる。この構成はまた、リンク部材128を、上記範囲から左側256の左までと、上記範囲から右側258の右までの複数の位置に配置可能にする。また、ベッド250または他の支持面によって支持される患者または他の人を補助するためのリンク部材128に追加部材を結合してもよい。
【0025】
図6を参照すると、例えば、ホイスト410およびストラップまたはスリング420を具える吊りシステム400は、リンク部材128または下部横スライド部材125に連結されてもよい。図6に示される例示的な実施例において、LMPRシステム100は、治療ベッド500上に延在する枠組200に取り付けられている。この例示的な実施例において、LMPRシステム100は、上述の方法で操作してリンク128および吊りシステム400を所望の位置に配置することができる。その後、ホイスト410がスリング420を治療ベッド500の方へ下に操作可能となり、これにより治療ベッド500が支持する人間にスリング420をかけることができる。例えば、スリング420は、人の脚や腕周辺に配置され、ホイスト410は、人の腕や脚がスリング420によって支持されるようスリング420を上げるよう用いられる。例示的な実施例において、ホイスト410は、600ポンドを吊すよう構成される。別の例示的な実施例において、ホイスト410は、700,800,900,1000ポンド以上を含む、より大きな重量を吊すよう構成されてもよい。
【0026】
別の例示的な実施例において、異なる要素がリンク部材128、下部横スライド部材125、またはスリング420に連結されてもよい。例えば、図7を参照すると、ハンドル130は、チェーン131またはホイスト(図示せず)のような連結部材を介して、リンク部材128に連結されてもよい。この例示的な実施例において、LMPRシステム100は前述のように位置決めされ、これによりリンク部材128およびハンドル130が所望の位置に配置される。例示的な実施例において、上部または下部横スライド部材115、125は上部または下部横支持部材110,120に沿ってスライド可能であってもよい。このような例示的な実施例において、人はハンドル130を掴み、ベッド250から出入りする間、ハンドルを掴み続けることができる。横スライド部材115および125は、上部横支持部材110および下部横支持部材120に沿ってスライド可能であり、これにより、ハンドル130が、ベッド250上に直接配置された領域からベッド250上および隣の範囲までスライド可能である。
【0027】
図8と9を参照すると、ロールシートまたは体位交換シート300は、ストラップ305を介してホイスト410に連結されてもよい。図8に示されるように、体位交換シート300が患者310の下に配置され、ストラップ305が患者310の上および横に配置されるホイスト410から延在している。図9に示されるように、ホイスト410は、ストラップ305を引っ張って、体位交換シート300の一部を上げるよう操作可能である。この例示的な実施例において、患者310は、患者の背中をケアできるよう回転されたり、体位交換されうる。ホイスト410は、ストラップ305を伸長したり、患者310が図8に示される位置に戻るよう操作可能である。
【0028】
図10を参照すると、一例示的な実施例において、ホイスト410は、ストラップ305を介してスプレッダバー306に連結される。この例示的な実施例において、体位交換シート300は、ストラップまたはスプレッダバー306に連結されるループ302を具える。例示的な実施例において、体位交換シートは、2008年1月10日出願の米国特許No.11/972,364に開示された体位交換システムに同様に構成されてもよい。
【0029】
図11を参照すると、ベッド250のフットエンド254に向かって移動した患者310の側面図が示されている。この例示的な実施例において、体位交換シート300は、患者310の下に配置されており、ストラップ305を介してホイスト410に連結されたスプレッダバー306にループ302が連結されている。図12の例示的な実施例に示されるように、ホイストを操作してストラップ305を引っ張り、これがスプレッダバー306、体位交換シート300、および患者310を、ベッド250のヘッドエンド252に向かって引っ張る。この方法で、ホイスト410およびLMPRシステム100は、ベッド250内で患者310を再配置する際の介護人を補助することができる。
【0030】
図13および図14を参照すると、別の実施例において、LMPRシステム100は、患者を一の面から他の面へ移動させる介護人の補助をすることができる。例示的な実施例において、患者310はまず、支持面251に配置される。この例示的な実施例において、体位交換シート300が患者310の下に設置され、ループ302はストラップ305を介してホイスト410に連結されるスプレッダバー306に連結される。図12に示されるように、ストラップ305を引っ張るようホイスト410を操作して、スプレッダバー306、体位交換シート300、および患者310をベッド250に向かって引っ張ることができる。この方法で、ホイスト410およびLMPRシステム100は、患者310を支持面251からベッド250へと移動する際の介護人の補助となる。
【0031】
本書記載の例示的な実施例は、多くの利便性をもたらす。例えば、LMPRシステム100および枠組200は、オペレータによって都合よくホイスト410を配置およびアクセス可能なシステムを提供する。例示的な実施例において、LMPRシステム100および枠組200は、特定のベッドまたは他の支持面に関連づけられている。このような例示的な実施例において、オペレータは患者のためにホイストをベッドに配置したり、移動したりする必要はない。さらに、LMPRシステム100は、(トラックに取り付けられる天井のような)固定のオーバーヘッドシステムを設けてホイスト410を支持する必要がない。
【0032】
例示的な実施例において、上部および下部横支持部材110,120のような側面および左右縦支持部材216、218は、粉体塗布された鉄、粉体塗布されたアルミニウム、または硬質の陽極処理アルミニウムのような低摩擦材料からなる。低摩擦インサート116および126と係合させると、LMPRシステム100を位置決めするのに必要な力量が減少する。例示的な実施例において、低摩擦インサート116、126、141、および151は、PTFEのような摩擦減少プラスチック、アセタールレジン(すなわちE.l.DuPont de Nemours and CompanyのDelrin(登録商標))またはオイル含浸レジンでもよい。
【0033】
図15を参照すると、別の例示的な実施例は、左縦部材640および右縦部材650に連結された単一の横支持部材610を有するLMPRシステム600を具える。LMPR600はまた、横支持部材610に連結され、ストラップまたはスリング620を有するホイスト605を具える。この実施例において、ホイスト605は、一対のローラ615を介して横支持部材610に取り付けられる。ローラ615は、ベアリングまたはホイールのような回動部材を具える。ローラ615は、図15ではローラ615の外側ハウジングにあり見えなくなっている。ローラ615は、外側ハウジングが示されていない図16の詳細図で視認できる。図16ではまた、左縦部材640に連結され、縦支持部材216に係合するローラ645も見ることができる。
【0034】
ローラ615により、横支持部材610に対して平行移動が可能となり、ホイスト605が左縦部材640および右縦部材650間を移動可能となる。別の実施例では、ホイスト605は、ホイスト605を横支持部材610に対してスライドまたは平行移動させる別の装置を用いて横支持部材610に取り付けられてもよい。さらに、左縦部材640および右縦部材650は、LMPRシステム600が、ヘッドエンド横部材222およびフットエンド横部材220に向かって、または離れるよう動いてもよいように、左および右縦支持部材216および218に沿って平行移動してもよい。
【0035】
ここで図17を参照すると、別の例示的な実施例は、ホイスト710を枠組200に連結する連結部材705を有するLMPRシステム700を具える。この例示的な実施例において、枠組200は、ヘッドエンド横部材222、右縦支持部材218、フットエンド横部材220、および左縦支持部材216間に、一連の湾曲部分201、202,203,および204を具える。枠組200は、したがって、治療ベッド500上の領域周りの経路を有し、これにより枠組200から外れることなく、LMPRシステム700がヘッドエンド横部材222、右縦支持部材218、フットエンド横部材220、および左縦支持部材216間を動き、ヘッドエンド横部材222へと戻ることができる。これにより、LMPRシステム700が、枠組200に支持されつつ枠組200の外辺部で複数の位置のうちの1つへと移動することが可能となる。
【0036】
ホイスト710はまた、別の機器(例えば、患者を体位交換するのに必要とされるスプレッダバーや体位交換シート、または別の装置)に患者を保持または接続可能なハンドル、ループ、またはストラップ720を具えてもよい。連結部材705は、連結部材705を枠組200周りに動かすのに必要な作用力量を低減する低摩擦インサートまたは回動部材(図示せず)を具えてもよい。連結部材705はまた、LMPRシステム700が枠組200内の所望の位置に配置されたら、その場所に保持可能なロック部材(図示せず)を具えてもよい。
【0037】
本願発明の例示的な実施例が、詳細に上述され、記載されてきたが、本発明の範囲を逸脱せずに変化や変更がなされてもよいことは、当業者にとって明らかだろう。本発明の実際の範囲は、権利が与えられるこのような請求の範囲と同等の全範囲とともに、以下の請求の範囲によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を体位交換するためのシステムであって、前記システムが、
ベッドと;
前記ベッドに連結され、前記ベッド上に延在する枠組であって、第1の縦支持部材、第2の縦支持部材、ヘッドエンド横部材、およびフットエンド横部材を有する枠組と;
前記枠組に取り付けられる吊り装置とを具え、前記吊り装置は、前記枠組から外れることなく、前記ヘッドエンド横部材、前記第1の縦支持部材、前記フットエンド横部材、および前記第2の縦支持部材間を動き、前記ヘッドエンド横部材に戻るよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、前記枠組がさらに、前記ヘッドエンド横部材、前記第1の縦支持部材、前記フットエンド横部材、および前記第2の縦支持部材間に複数の湾曲部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、前記吊り装置がホイストであることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−34894(P2013−34894A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227141(P2012−227141)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2009−549173(P2009−549173)の分割
【原出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(501394620)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】