説明

患者温度制御システムのための流体殺菌ユニット

通常は水である加温/冷却流体中に細菌が生成する危険を低減するために、流体殺菌ユニット[40]が、患者加温/冷却システム[10]中に組み込まれる。より具体的には、移動可能なハウジング[17]は、ポンプ[23]、加熱/冷却源[24]、貯留器[22]、制御装置[26]、およびユーザがコンポーネントを動作させるのを支援する制御パネル[32]を含む、患者[12]に対して加温/冷却流体を循環させるために動作可能なコンポーネントを含む。貯留器[22]は、水を補給すること、および循環させることのために、それぞれ、上側セクション[22a]、および下側セクション[22b]を有する。UV源[40]は、加温/冷却流体の循環中に、UV光を同時に両方のセクション中へと放出するために、両方の貯留器セクション[22a、22b]を貫通して延びるように取り付けられ、それにより、中に含まれる水を殺菌する。UV源[40]は、完全に透光性があり、かつ飛散防止性を有するように処理された透光性カバー[44]内に保護されたバルブ[42]を含む。ハウジング[17]に取り付けられたセンサ[70]は、貯留器[22]内のUV放出レベルを検出し、かつUVバルブ[42]のオン/オフ状態、および/または貯留器[22]内のUV光の大きさを示す信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書にその全体が明示的に組み込まれる、同じ名称が付された前の米国仮特許出願第60/869739号についての優先権を主張する。
【0002】
本発明は、患者の温度管理に関し、より詳細には、患者に感染を引き起こす汚染の受けやすさを低減する患者温度制御システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
入院中にかかる感染が、重要な健康管理問題ではないかと長い間疑われていた。最近になるまで、この問題がいかに深刻になっているかを示すために利用できる確かなデータがなかった。ペンシルベニア州は、院内感染の数および結果を追跡するデータを収集した最初の州であった。その結果は驚くべきものである。
【0004】
例えば、この収集されたデータによれば、2004年にペンシルベニア州において少なくとも12000人の患者が入院中に感染したことを示していると、出願人は理解している。これらの患者のうち1500人すなわち約12.5%が死亡している。これらの患者を治療するためのさらなる医療に20億ドルが必要となった。これらの数を、米国の残りに対して推定した場合、1日当たりほぼ100人の患者が死亡し、また院内感染に対抗するために、1年当たり余分に500億ドルが費やされることになる。疾病管理予防センターは、毎年、米国の病院で200万人もの感染があり、その結果、約9万人が死亡していると見積もっている。
【0005】
一般に、低体温症の患者は、より感染しやすいことが認識されている。そうではあるが、中核体温を適正に安定化させた状態に保つことは、ほとんどあらゆる病院および外科手術センターで治療の標準となってきた。患者を適正に安定化させた状態に保つことに対するさらなる利点は、麻酔後回復室(「PACU」)エリアで必要な時間である。患者が、外科手術から、PACUを介して速やかに移動する場合、同じ時間量でより多くの外科手術を実施することができる。これは、各外科手術をより費用効果の高いものにする。
【0006】
医療用の患者温度療法に伴うこれまでの一つの難点は汚染である。この問題は、水システムならびに対流式空気システム、すなわち、閉ループの流体流れを有するシステムに関して存在する。例えば、水ベースの低温/加温法システムは、細菌にうってつけの繁殖場所となりうる。細菌はまた、対流式の加温装置中に集まる可能性がある。現行バージョンの送風器に吸引されるほとんどすべての空気は、HEPAレベルの濾過を通してフィルタされる。これは、患者に供給される空気を清浄化するための重要な最初の一歩である。それにもかかわらず、不十分なメンテナンスの実施により、これらのフィルタの全体的な有効性を無効にするおそれがある。汚染物質は、フィルタが取り外されているメンテナンス中または製造中に、ユニットの内部へと入る可能性がある。汚染物質はまた、使用間にホース中に入る可能性もある。そしてこれらの汚染物質が、これらのタイプの装置中に侵入すると、加温された環境が、実際にそのさらなる成長を助長することもありうる。出願人は、デンバーの病院における高い感染率に関して、対流システムに問題があることを示すように思われる情報に気付いた。
【0007】
水ベースのシステムはまた、安全に清浄なままとすることと同等の課題を有する。水ベースの装置が清浄化されたとき、藻類または細菌をかくまう表面域のあらゆる部分が適正に殺菌剤に晒されて、システムを殺菌することになると期待するのは実際的ではない。このことは、清浄化プロセス中に、基本的な誤りが行われた場合には特にそうである。しばしば、接続する水ホースが清浄化されていないことがある。再使用可能な水ブランケットが使用される場合、ブランケットの内部表面は、しばしば、十分に洗浄されない。したがって、これらのコンポーネントが、開始するにあたって清浄ではない場合、循環する水は、清浄な状態に留まることがないことは確実である。さらに、このような装置で使用される蒸留水が、汚染された状態で病院に到着するというよく知られた例もある。この汚染された水は、次いで、清浄な装置で使用されて、システムに、直ちに汚染物質を植え付けるだけであった。これらの状況では、コンポーネントは清浄に開始するが、水によって汚染された状態になる。したがって、患者温度療法は、患者の治療にとって重要なものであり、また病院が外科手術のコスト全体を削減するのを助けるが、院内感染と対抗するという現在も続く重要な必要性がある。さらに統計は、様々な理由で、既存の方法が有効ではないことを示しているので、それを行うための革新的な方法を考え出す必要性があり重要である。
【0008】
明らかに、加温システムを清浄に保つように試みることはよい慣行である。しかし、微生物がなく藻類のない流体を、温度療法を受ける患者に確実に供給するための唯一の方法は、その流体を、患者に近接する直前に完全に清浄化することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
残念ながら、人員的な限界、および/または予算の制限により、患者温度制御システムの流体回路にとって、頻度が極めて低く、または極めて不十分に清浄化されることがすべて当たり前になり過ぎている。適正な清浄化プロトコル、または製造者の示唆が設定された場合であっても、患者温度制御システムの循環流体の清浄化は、おそらく、それが実際に必要であるほどには重要なものと見なされないはずである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、実際的であり、かつ直接的な方法でこれらの問題に対処することを試みる。より具体的には、本発明は、UV光源を、ブランケットなど患者の加温/冷却装置へと循環している補給および循環流体を含む貯留器の上側および下側チャンバ中に直接組み込む。動作中に、貯留器の両方のチャンバ中にUV光を同時に送ることによって、このシステムは、感染を引き起こす細菌を殺菌する。こうすることにより、流路および加温/冷却装置を(再使用される場合)殺菌する必要性に関連する時間と労力をなくす、または少なくとも低減し、それによって、これらの、普通であればよく無視される仕事を達成するのに必要になるはずの労働時間およびコストが低減される。それはまた、蒸留水が、汚染された状態で病院に到着する状況において引き起こされる悪影響を阻止する、または低減する。
【0011】
UV源は、手動操作用に制御パネルの制御ボタンに動作可能に接続されるUV管を含むことが好ましい。UVバルブはまた、システムを通る循環液が開始した後、自動的に作動されてもよい。好ましくは、流体は水であるが、同様の熱伝達容量を有する任意の他の流体とすることもできる。バルブは、好ましくは、100%透光性があり、かつ飛散防止性のある管形状のカバーと共に存在する。
【0012】
貯留器に取り付けられたセンサは、放出されたUV光を感知し、またUV光が動作しているかを示すように、動作可能に制御パネルに接続される。周囲の状況に応じて、センサはある範囲の状態を提供し、例えば、ランプの劣化、または(ランプもしくはセンサそれ自体に付着した不純物、または水の不純物など)センサからバルブへの見通し線(line of sight)上における妨害物質もしくは不明瞭さの存在、またはおそらく水温の影響も示すはずである。
【0013】
出願人の最初の試験では、約20分の「オン」時間が、水中の細菌を殺菌するのに十分の長さであることが示されている。そうではあるが、望ましい場合、UV源は、異なるスケジュールもしくは持続期間に従ってオン/オフを循環させることができるが、あるいは上述したタイプの様々な入力に基づいて制御することも可能である。
【0014】
従来のシステムでは、すでに、循環する水を加温または冷却する効率を最適化するために、上側貯留器と比べて下側貯留器中の水の容積を最小化するように構成されていた。これは、2つの貯留器チャンバを分割するが、それらの間の流体連通を可能にする取外し可能なトレイにより達成される。この既存の構造的レイアウトは、簡単化のために維持されているが、UV源の位置決めにも使用されると有利である。より具体的には、冷却コイルは、すでに入口と出口とを有する貯留器の壁から離間されている。UV源を、直接の見通し線(direct line of sight)上で出口に隣接して配置することにより、下側貯留器から外方向に流れるすべての流体は、UV源に近接した、その見通し線に含まれる下側貯留器の比較的小さな容積部分を通って流れる。したがって、その構造的な方向付けにより、出口を介してハウジングから外方向に流れる水のUV処理が保証される。
【0015】
UV源は、貯留器の上部を覆う上側カバー中に形成されるポート内に取り付けられる。ガスケットがポート中に差し込まれ、管状のカバーを保持するように形作られる。UVバルブは、カバー内で下方向に延びる。カバーおよびバルブ双方は、トレイ中に形成された対応するサイズの開口部を通って下方に延長され、したがって、バルブから放出されるUV光は、上側と下側コンパートメントの両方の内部で循環する水の中へと直接横断することになる。
【0016】
本発明は、患者を加温または冷却するための流体として水を使用することが好ましい。そうではあるが、他の液体を使用することが可能であり、あるいは特定の状況に応じて、おそらく他の非液体の流体であっても使用することが可能なはずである。
【0017】
これらの、および他の特徴は、諸図および以下の詳細な説明を考慮すれば、さらに容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明で使用されるコンポーネントの概略の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による、車輪で支持されたハウジングであって殺菌剤ユニットを収容するハウジングの斜視図である。
【図3】図2の切断線3−3に沿った横断面図である。
【図4】図2の切断線4−4に沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に適用可能なタイプの患者温度制御システム10の概略のレイアウトを示す。このレイアウトは、本発明の細部を説明するための適正な背景およびコンテキストを提供することを意味する。それは、範囲において限定することを意図していない。より具体的には、図1は、加温/冷却装置、この場合ブランケット16が患者12をほぼ覆っている状態で、テーブル14上に支持されている患者12を示す。患者12に対して、加熱または冷却を伝達するために、他のタイプの装置を使用することもできる。水の流路は、破線17で示されるハウジングとブランケット16を相互接続する。より具体的には、図1は、好ましくは水である循環流体をブランケット16に送る流入導管路18と、循環する水をハウジング17へと戻すように送る流出路20とを示す。
【0020】
ハウジング17内では、流出路20からの水が貯留器22へと流れる。循環する水は、タンクすなわち貯留器22からポンプ23へと流れ、そして参照符号24により一様に指定された加熱/冷却装置を通り、そして再度ハウジング17から外方向に流れる。図1の注目点は、貯留器22、ポンプ23、または加熱/冷却装置24など、ハウジング17内に存在する循環水コンポーネントの特定の細部に対するものではない。むしろ、図1では、概要を示すためにこれらのコンポーネントを概略的にブロック形式で示している。図1は、これらのコンポーネントがハウジング17内に配置されていることを概略的に示しており、必ずしもハウジング17中のその構造的な関係を示してはない。図3および図4は、これらのコンポーネント間のより具体的な構造的関係を良好に示している。
【0021】
図1はまた、ハウジング17内に存在する制御装置26を示す。制御装置26は、電気的コネクタ28を介して加熱/冷却源24に、また電気的コネクタ27を介してポンプ23に動作可能に接続される。制御装置26は、水が加熱/冷却源24を出るときに循環する水の温度を感知する第1の温度センサ30と、さらに患者12の体温を感知する第2の温度センサ31と、に接続される。循環水コンポーネントと同様に、ハウジング17中に存在するコンポーネントに接続し、かつ温度センサ30および31と接続される電気的コネクタは、本発明の概略的なレイアウトを示すために、概略的な形で図1に示されているに過ぎない。制御装置26は、制御パネル32に対して動作可能に接続される。
【0022】
操作者は、制御パネル32上に示される押しボタンコントロールによりシステム10の動作を選択的に制御する。つまり、制御装置26は、マイクロプロセッサベースであり、同様に図2で最もよく示される押しボタンを介して、制御パネル32と協動するような方法で、加温および/または冷却を制御するように構成される。加温および/または冷却の一方法の詳細は、参照により本明細書にその全体が明示的に組み込まれる、「Patient Temperature System With Variable Gradient Warming / Cooling」と題する譲受人の公開されたPCT出願第PCT/US2006/041278号でより詳細に述べられている。さらに、この記述は、譲受人の市販の「Blanketrol III」(「B−III」)システムに関し、このシステムは、同時に最大3人の患者まで治療できる。
【0023】
図2は、移動を容易にするための4つの車輪17a上に取り付けられたハウジング17を示す。また、図2は、流入導管路18(装置16、すなわち、ブランケットに対する「流入」)に動作可能に接続される出口18aと、流出路20に動作可能に接続される入口20bと、を示している。ハウジング17の上部の制御パネル32は、その上に取り付けられた制御部およびインジケータを見るのを容易にするために、角度が付けられている。
【0024】
図2は、制御パネル32の上部に、本発明のUV殺菌ユニットに関係する3つのさらなる制御部を示す。これらの制御部には、指定された時間(図示せず)にUVユニットをオンするための押しボタン34と、UVユニットが通電されたかどうか、すなわちオンまたはオフを示すためのインジケータライト35と、以下でより詳細に示すようにUVバルブがUV光を放出しているかどうかを識別するためのインジケータライト36と、がある。所望の制御の程度に応じて、他の制御部またはインジケータを追加することができる。しかし、操作者に対する使いにくさを最小化するためには、ある程度の簡便であることが通常望ましい。
【0025】
より具体的には、図3は、上側すなわち補給貯留器22a、および下側すなわち循環貯留器22bを備える貯留器、すなわちタンク22をより詳細に示している。上側および下側貯留器22a、22bは、取外し可能なトレイ38により画定される。トレイ38は、上側および下側貯留器22a、22b間で、重力によって流体連通を可能にするために、そこに形成された少なくとも1つの、また好ましくは、いくつかの穴39を有する。
【0026】
図3はまた、貯留器22内に取り付けられたUV源40を示す。より具体的には、UV源40は、電線43を介して、制御装置26に動作可能に接続されるUVバルブ42を含む。出願人は、Atlantic Ultra Violetと称する会社により供給されるUV光バルブを使用しており、特に、製品番号05−1119により参照される2.3ワットのUVランプを使用している。しかし、UV放射の十分な線量または大きさがタンク中に送られる限り、他のワット数またはバルブも動作することができる。過剰な殺菌、または過剰な放射を考慮に入れる他の検討事項がさらにある。目標は、水中のすべての細菌を有効に殺菌することであり、UV光の線量は、それに従って設定されるべきである。バルブ42は、保護のために長手方向の水晶管またはカバー44内に存在する。そのカバーは、100%透光性であることが好ましい。さらに、管44は、安全を高めるために、飛散防止性であるように処理されることが好ましい。譲受人は、Barberton、OhioのGlass Surface Systems社を使用し、この会社のSUREGUARD(登録商標)の進歩的なコーティング技術を用いてこの飛散防止性処理を行っている。カバーに塗布されるコーティングは透明であり、カバーにヒビが入って蜘蛛の巣状の外観を生じない限り見ることはできない。
【0027】
カバー44は、トレイ38中に形成されたポート38aを介して上側貯留器22aを通って下方に延在して下側貯留器22b中に入っており、管カバー44がポート38aを通って下方に延びることが可能になっている。カバー44の上部は、ガスケット46内に存在しており、ガスケット46は、貯留器22の上部の境界を画定する上側シート52中に形成されたポート50の内部で位置合わせされてその中に差し込まれている。ハブ58は、ガスケット46に対してネジ止め可能に接続される。他の取付け構成が、貯留器チャンバ22a、22b双方内にUV光の最適な見通し線放出(line of sight emission)を行えること、カバー44の最適な透光性を提供すること、および飛散防止性処理など、操作者に対する高められた安全性を提供することを行える限り、それも同様に適切なものとなるはずである。管44およびUVランプ42は、貯留器22a、22b双方で同時に有効に動作するために、ほぼ同じ長さを有することが好ましい。
【0028】
図3の仮想線60、61、および62は、構造の一部詳細を示す横断面の輪郭を示しており、この構造は、流体入口20aの下流に位置する、加熱/冷却源24を有する。仮想線61および62は、概して、冷却源、すなわち、カプセル化された冷却コイルの輪郭を示す。これは、図4と併せて見た場合、おそらくよく示されており、同様に図4は、下側貯留器22bおよび上側貯留器22aの相対的なサイズを示している、すなわち、下側貯留器22bは、上側貯留器22aのサイズよりも小さい。これは、一部には、加熱/冷却源24の冷却エレメントが、下側貯留器22bの中心部分を形成していることに起因する。
【0029】
トレイ38は、弓形の形状をなしており、これらのエレメントを収容し、かつ下側の容積を最小化する。上述のように、これは、冷却および加熱効率を最適化する。さらに、この構造は、現在、譲受人の市販されているB−IIIシステム中に現在存在する。しかし、この構造は、同様に本発明に対して役立つようにも使用される。より具体的には、水は、一様に、図4において出口18aに向けて右から左に流れる。出口18aは、UV源40に比較的近接して存在しており、したがって、下側貯留器22bを出る循環水は、必然的に、出口18aへの途上でUV源40を通過して流れることに留意されたい。さらに、加熱/冷却コンポーネント24は、出口18aが形成されている貯留器22の壁から離間されている。この構造は、出て行く流体がUVバルブ42に近接しかつその見通し線に含まれる比較的小容積内を確実に流れることを助ける。
【0030】
また、図4は、センサ70を示しており、センサ70は、見通し経路に沿って貯留器22の側壁に取り付けられ、かつUV源40に向けられており、貯留器22内におけるUV光の存在否かを検出する。このセンサ70は、電線路72を介して、制御装置に及びインジケータ36に動作可能に接続されており、UVバルブ42がUV光を放出しているか否かを示す。インジケータ35などの他の表示光が点灯されて、バルブ42に電力が供給されていることを示すことができたとしても、インジケータ36は、センサ出力が所望の閾値以下である場合は点灯しないことになる。さらに、上述のように、センサ70を、種々の程度の放出の大きさ、または不明瞭さを感知するような構成とすることもできる。さらに、1以上の追加のセンサを正常な液面より低い位置、または貯留器チャンバ22a、22bの一方または両方を含む他の位置に取り付け、放出されたUV放射の分布を測定してもよい。さらに、センサ70は、貯留器22の壁に形成された「窓」を通して見るように取り付けてもよい。
【0031】
動作中において、循環する流体は、ハウジング17から、管路18に沿って、患者12を覆うブランケット16へと流れ、そしてハウジング17、具体的には、貯留器22に戻る。貯留器22では、ハウジング17に接続される装置16の数に応じて(最高3つのブランケットとすることができる)、また、例えば一時的な流路の閉塞により生ずる圧力および容積変動により、貯留器22の水位が変化する可能性がある。水位は、上側チャンバ22aにまで及ぶことが好ましい。加熱または冷却された水は、必要に応じて下方に流れて下側貯留器22b中に入り、最終的に出口18aへと流れて、再び患者12へと循環する。水が、上側チャンバ22a中にあるか、それとも下側チャンバ22b中にあるかに関わらず、貯留器22内に存在する間に、UV源40から放出されたUV光は、水を媒介とする細菌を殺菌し、それにより、患者に対する、また病院の職員に対する感染の危険も低減する。これは、起動後の所定時間、例えば、20分間行われる。この時間中、インジケータ35は、電力がバルブ42に供給されていることを示す。また、インジケータ36は、通電され、センサ70は、タンク22内のUV光を受けている、または検出していることを示す。インジケータ36が消えると、それは、UVバルブ42が切れたこと、または細菌を殺菌するためには不十分な放射を行っていることを示す。いずれの場合においても、インジケータ36の消灯は、UVバルブ42を交換する必要性を示している。
【0032】
背景で述べた感染の統計に関わらず、この感染の危険が深く研究され、その結果が広く知られたのは、比較的最近に過ぎない。例えば、本発明は、患者に低体温を誘発するために一般に使用される患者の加温/冷却システムに関して示されている。この発明に対して、適用可能な用途は他にもある。そうではあるが、患者に低体温が誘発された場合、いくつかの理由で感染の危険がより高くなる。例えば、看護士または医師、あるいはおそらく患者の家族のメンバーが、患者に低体温を誘発するためにブランケットが使用されている間に、水ブランケット中に偶発的に穴を開けてしまうことがあった場合、相互汚染の結果は、患者にとって命に関わる可能性もある。したがって、これらのタイプのシステムでは、流体を媒介とする細菌により生ずる可能性のある感染を制御することが、いっそう重要である。本発明により行われる殺菌性の清浄化は、本質的にこの危険を排除する。
【0033】
さらに、他の技術においては、以前からUV光を、液体および他の物質を含む流体を殺菌するために使用できることが知られていたが、出願人は、患者温度制御システム、特に、患者に低体温を誘発するために使用されるタイプにこの知識の利益を組み込むようにする何らかの取組みが従来あったことを知らない。出願人による本発明の試験に先立って、循環流体の殺菌性処理が、この場合は水を殺菌するためにUV光を使用するが、複数の患者を治療するために、病院環境内で、安全に、実際的かつ有効な方法で行うことが可能であることを示す何らかのものが従来あったとは出願人は認識していない。多くのプラスチックは、紫外線光の近傍で使用されるようには製作されていないことがこの状況をさらに複雑化している。
【0034】
この詳細な説明は、本発明の好ましい実施形態を述べているが、当業者であれば、これらの特有の細部は、特許請求の範囲中に読み込まれるものではないことが理解されよう。上記で述べた様々な構成部材およびパラメータは、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、合理的な程度の変形および修正を受けることを本発明は企図しており、また当業者であれば理解されよう。
【符号の説明】
【0035】
10 患者温度制御システム,患者加温/冷却システム、12 患者、14 テーブル、16 ブランケット、装置、17 ハウジング、17a 車輪、18 流入導管路、18a 出口、20 流出路、20a,20b 入口、22 貯留器,タンク、22a 上側貯留器,上側チャンバ,補給貯留器,貯留器チャンバ,上側セクション,貯留器セクション、22b 下側貯留器,下側チャンバ,循環貯留器,貯留器チャンバ,下側セクション,貯留器セクション、23 ポンプ、24 加熱/冷却装置,加熱/冷却源,加熱/冷却コンポーネント、26 制御装置、27 電気的コネクタ、28 電気的コネクタ、30 第1の温度センサ、31 第2の温度センサ、32 制御パネル、35,36 インジケータ,インジケータライト、38 トレイ、38a ポート、39 穴、42 UVバルブ,UVランプ、43 電線、44 カバー,管,管カバー、46 ガスケット、50 ポート、52 上側シート、58 ハブ、70 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に冷却/加温流体を送り、前記患者の温度を制御す流体回路と、
前記流体回路に動作可能に接続され、かつ前記患者に隣接して配置されており、前記患者に所望の加温/冷却効果をもたらす冷却/加温装置と、
前記流体回路の一部を形成し、流体の供給源として働き、かつ動作モード中に余分な流体を受け入れかつ保持するするタンクであって、下側貯留器、および前記下側貯留器と流体連通する上側貯留器を有するタンクと、
前記下側貯留器と共に前記流体回路の一部を形成するポンプおよび熱/冷却源であって、前記流体を前記冷却/加温装置へと循環させ、かつ循環されたとき前記流体を加熱/冷却させるように、それぞれが動作可能であるポンプおよび熱/冷却源と、
前記タンク、前記ポンプ、および前記熱/冷却源を収容するハウジングと、
前記タンクに取り付けられ、かつ前記上側貯留器を貫通して前記下側貯留器へと延在するUV源と、
前記UV源に動作可能に接続される電力源であって、それにより、前記UV源を作動させて、UV放射を前記上側および下側貯留器内に存在する前記流体に向けて外方向に送り、前記貯留器中の前記流体を殺菌させる電力源と、
を備える患者温度制御システム。
【請求項2】
前記ハウジングが移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体が水である、請求項1または2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記装置がブランケットである、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記下側貯留器と連通している前記流体回路が閉ループである、請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記UV源が、
細長いUVバルブと、
前記UVバルブを囲む細長い管状のカバーであって、当該カバーが透光性を有しかつ飛散防止性のあるカバーと、
をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記ハウジングにより運ばれ、かつ前記ポンプ、前記熱/冷却源、および前記UV源に動作可能に接続されて、それによりその動作を制御する制御装置と、
前記制御装置に動作可能に接続され、前記ポンプ、前記熱/冷却源、および前記UV源のユーザの操作を容易にする制御パネルと、
をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記タンクへの感知アクセスができるように前記ハウジングに取り付けられ、それにより、前記UV源から放出されるUV放射の大きさを感知し、かつそれに対応する信号を生成するセンサをさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記タンクへの感知アクセスができるように前記ハウジングに取り付けられたセンサであって、それにより、前記UV源から放出されるUV放射の大きさを感知し、かつそれに対応する信号を生成するセンサと、
前記センサに動作可能に接続され、かつ前記制御パネルに取り付けられたインジケータであって、前記対応する信号を受け取り、かつ前記感知されたUV放射の大きさを示すインジケータと、
をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記タンクが、
前記上側と下側貯留器の間の区画を画定する取外し可能なトレイであって、前記上側と下側貯留器の間で流体連通を可能にする少なくとも1つの開口部を有し、さらに、前記UV源がそれを通って延びる開口部を有するトレイをさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記タンクが、前記装置から流体を受け入れるための入口、および前記装置に流体を送るための出口を含み、
前記下側貯留器の容積が、前記上側貯留器の容積と比べて比較的小さく、
前記UV源が、前記出口に近接して、前記出口との見通し線上に取り付けられ、それにより、流体が前記出口を介して前記下側貯留器を出るときに流体の効果的な殺菌を促進する、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記熱/冷却源の少なくとも一部が、実質的に、前記下側貯留器により囲まれている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記UV源が、所定時間内に、流体を媒介とする細菌を殺菌するのに十分なワット数を有する、請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記UV源の前記ワット数が2から3ワットであり、また前記所定時間が約20分である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
患者の温度を制御する方法であって、
前記患者に隣接して配置された装置を介して、前記患者に供給源から加温/冷却流体を供給するステップと、
前記供給するステップ中に、前記供給源で前記加温/冷却流体を殺菌し、それにより前記患者の汚染されやすさも低減するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
UV放射により殺菌するステップと、
前記UV放射を感知し、それに応じて信号を生成し、UV放射を受けたことを示すステップと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記UV放射を、前記加温/冷却流体がそれを介して循環されるタンクの下側貯留器中と、前記下側貯留器であって当該下側貯留器を重力により補給する下側貯留器に流体連通する上側貯留器中と、に同時に放出するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記放出が、UV源を囲む飛散防止性カバーを通して行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記UV放射が、少なくとも所定の大きさで、かつ少なくとも所定時間に放出され、次いで、停止する、請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記所定の大きさが2から3ワットであり、前記所定時間が約20分である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から14のいずれか一項に記載の前記システムを用いて、請求項15の前記方法を実施する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−512854(P2010−512854A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541589(P2009−541589)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/087412
【国際公開番号】WO2008/076814
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(508119976)シンシナティ・サブ−ゼロ・プロダクツ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】